(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、各図において同一部分には同一符号を付している。以下の実施形態では、本発明の液体吐出ヘッドを具備する液体吐出装置の一例として、インク(液体)を利用して記録紙等の被記録媒体に記録を行うインクジェットプリンタ(以下、単にプリンタという)を例に挙げて説明する。
【0021】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係るプリンタ1の概略構成図である。
プリンタ1は、被記録媒体Sを搬送する一対の搬送手段2,3と、被記録媒体Sにインク(図示せず)を吐出するインクジェットヘッド4と、インクジェットヘッド4にインクを供給するインク供給手段5と、インクジェットヘッド4を被記録媒体Sの搬送方向(Y方向)と直交する走査方向(X方向)に走査させる走査手段6と、を備えている。なお、被記録媒体Sとして、紙や、樹脂フィルム、ガラス、セラミックス等、種々の材料を用いることができる。
【0022】
また、本実施形態のプリンタ1には、搬送手段2,3、インクジェットヘッド4、インク供給手段5、及び走査手段6等に電気的に接続されて相互に信号を送受信する制御ユニット8が設けられている。筺体9は、プリンタ1の外観を構成し、この筺体9に上述した各構成品が搭載されている。また、本実施形態では、Y方向及びX方向の2方向にそれぞれ直交する方向をZ方向(
図1では、上下方向)とする。
【0023】
一対の搬送手段2,3は、Y方向に間隔をあけて配置されており、一方の搬送手段2がY方向の上流(被記録媒体Sの搬送元により近い部分)に位置し、他方の搬送手段3がY方向の下流(被記録媒体Sの搬送先により近い部分)に位置している。これら搬送手段2,3は、X方向に延設されたグリッドローラ2A,3Aと、このグリッドローラ2A,3Aに対して平行に配置されるとともに、グリッドローラ2A,3Aとの間で被記録媒体Sを挟み込むピンチローラ2B,3Bと、グリッドローラ2A,3Aをその軸回りに回転させるモータ等の駆動機構(図示せず)と、をそれぞれ備えている。
そして、一対の搬送手段2,3のグリッドローラ2A,3Aを回転させることで、被記録媒体SをY方向に沿った矢印A方向に搬送することが可能とされている。
【0024】
インク供給手段5は、インクが収容されたインクタンク10と、インクタンク10及びインクジェットヘッド4間を接続するインク配管11と、を備えている。
図1に示す例では、インクタンク10は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の四色のインクがそれぞれ収容されたインクタンク10Y,10M,10C,10BがY方向に並んで配置されている。インク配管11は、例えば可撓性を有するフレキシブルホースであり、インクジェットヘッド4を支持するキャリッジ16の動作(移動)に追従可能とされている。
【0025】
走査手段6は、X方向に延び、Y方向に間隔をあけて互いに平行に配置された一対のガイドレール15と、これら一対のガイドレール15に沿って移動可能に配置されたキャリッジ16と、このキャリッジ16をX方向に移動させる駆動機構17と、を備えている。
駆動機構17は、一対のガイドレール15の間に配置され、X方向に間隔をあけて配置された一対のプーリ18と、これら一対のプーリ18の間に巻回されてX方向に移動する無端ベルト19と、一方のプーリ18を回転駆動させる駆動モータ20と、を備えている。
【0026】
キャリッジ16は、無端ベルト19に連結されており、一方のプーリ18の回転駆動による無端ベルト19の移動に伴ってX方向に移動可能とされている。また、キャリッジ16には、複数のインクジェットヘッド4がX方向に並行して配列された状態で搭載されている。図示の例では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の各インクをそれぞれ吐出する4つのインクジェットヘッド4、すなわちインクジェットヘッド4Y,4M,4C,4Bがキャリッジ16に搭載されている。
上述した搬送手段2,3及び走査手段6により、インクジェットヘッド4と被記録媒体Sとを相対的に移動させる搬送手段が構成されている。
【0027】
(インクジェットヘッド)
次に、インクジェットヘッド4について説明する。インクジェットヘッド4Y,4M,4C,4Bは、供給されるインクの色以外は何れも同一の構成からなるため、以下の説明では、インクジェットヘッド4Y,4M,4C,4Bのそれぞれを、インクジェットヘッド4として説明する。
【0028】
図2は、本実施形態に係るインクジェットヘッド4の斜視図である。
インクジェットヘッド4は、キャリッジ16に固定される固定プレート25と、この固定プレート25上に固定されたヘッドチップ26と、インク供給手段5から供給されたインクを、ヘッドチップ26の後述するインク導入孔41A(
図3参照)にさらに供給するインク供給部27と、ヘッドチップ26に駆動電圧を印加する液体吐出制御回路28と、を備えている。
【0029】
インクジェットヘッド4は、駆動電圧が印加されることで、各色のインクを所定の吐出量で吐出する。このとき、インクジェットヘッド4が走査手段6によりX方向に移動することで、被記録媒体Sにおける所定範囲に記録(印刷)を行うことができ、この走査を搬送手段2,3により被記録媒体SをY方向に搬送しながら繰り返し行うことで、被記録媒体Sの全体に記録を行うことが可能となる。
【0030】
固定プレート25には、アルミ等の金属製のベースプレート30がZ方向に沿って起立した状態で固定されているとともに、ヘッドチップ26のインク導入孔41Aにインクを供給する流路部材31が固定されている。流路部材31の上方には、インクを貯留する貯留室を内部に有する圧力緩衝器32がベースプレート30に支持された状態で配置されている。そして、流路部材31と圧力緩衝器32とはインク連結管33を介して連結され、圧力緩衝器32にはインク配管11が接続されている。
【0031】
そして、圧力緩衝器32は、インク配管11を介してインクが供給されると、インクを内部の貯留室内に一旦貯留した後、所定量のインクをインク連結管33の内部及び流路部材31の内部を介してインク導入孔41Aに供給する。
上述した流路部材31、圧力緩衝器32及びインク連結管33により、インク供給部27が構成されている。
【0032】
また、固定プレート25には、ヘッドチップ26を駆動するための集積回路等の制御回路(駆動回路)35A,35Bが搭載されたIC基板36が取り付けられている。制御回路35Aと、ヘッドチップ26のコモン電極50(後述)及びアクティブ電極52(後述)とは、配線パターンがプリント配線されたフレキシブル基板37を介して電気的に接続されている。これにより、制御回路35Aは、フレキシブル基板37を介してコモン電極50とアクティブ電極52との間に駆動電圧を印加することが可能になる。
制御回路35Bと、外部振動子61(後述)に形成された外部電極とは、電気的に接続されている。これにより、制御回路35Bは、外部電極との間に駆動電圧を印加することが可能になる。
そして、これら制御回路35A,35Bが搭載されたIC基板36、及びフレキシブル基板37により、液体吐出制御回路28が構成されている。IC基板36には、上述した制御ユニット8がフレキシブル基板37(
図1参照)を介して接続される。
【0033】
(ヘッドチップ)
続いて、ヘッドチップ26について説明する。
図3は、本実施形態に係るヘッドチップ26の斜視図である。
ヘッドチップ26は、アクチュエータプレート40、カバープレート41、支持プレート42及びノズルプレート43を備える。ヘッドチップ26は、吐出チャネル45A(後述)の長手方向(Y方向)端部に臨むノズル孔43Aからインクを吐出する、いわゆるエッジシュートタイプのヘッドチップである。
【0034】
アクチュエータプレート40の一方の主面40C(
図5参照)には、カバープレート41が重ね合わされている。
カバープレート41は、例えばアクチュエータプレート40と同じ材料であるPZTセラミックス基板で形成され、アクチュエータプレート40と同様の熱膨張をさせることで、温度変化に対する反りや変形を抑制している。但し、この場合に限られず、アクチュエータプレート40とは異なる材料でカバープレート41を形成しても構わないが、熱膨張係数が近い材料を用いることが好ましい。
【0035】
カバープレート41には、Y方向を長手方向とする平面視矩形状のインク導入孔41Aが形成されている。このインク導入孔41Aには、上述した流路部材31(
図2参照)を介して供給されてきたインクを吐出チャネル45A内に導入させ、かつダミーチャネル45B内への導入を規制する複数のスリット55Aが形成されたインク導入板55が形成されている。つまり、複数のスリット55Aは、吐出チャネル45Aに対応する位置に形成され、各吐出チャネル45A内にのみインクを充填することが可能とされる。なお、インク導入孔41Aは、マニホールド(manifold、分岐管)と呼ばれることがある。
【0036】
流路部材31には、インク導入孔41Aに相対する位置に、外部振動子61が設けられている。外部振動子61の形状は、その長手方向をY方向とし、短手方向をZ方向とする平面視矩形である。複数の吐出チャネル45Aは、それぞれY方向に配列され、外部振動子61に平面視で覆われる。
外部振動子61は、駆動電圧が印加されることにより、その電圧に応じた振幅で主面(YZ方向)の法線方向(X方向)に振動して、流路部材31内のインクの圧力波を発生させる。発生した圧力波は、各吐出チャネル45Aのインクへ伝搬する。伝搬した圧力波は、各吐出チャネル45A内で往復することで、圧力波振動が共振される。なお、本実施形態では、単一の外部振動子61は複数の吐出チャネル45A間で共有される構成としているが、本発明はこれに限らず、各吐出チャネル45Aに、それぞれ対応する外部振動子61が設けられてもよい。
【0037】
図4は、本実施形態に係るヘッドチップ26の分解斜視図である。
図4は、
図3に示すヘッドチップ26において、支持プレート42及びノズルプレート43が取り外された状態を示す。
アクチュエータプレート40は、分極方向が厚さ方向(X方向)で異なる第1アクチュエータプレート40A及び第2アクチュエータプレート40Bの、2枚のプレートを積層した積層プレートとされている(いわゆる、シェブロン方式)。これら第1アクチュエータプレート40A及び第2アクチュエータプレート40Bは、ともに厚さ方向(X方向)に分極処理された圧電基板、例えばPZTセラミックス基板であり、互いの分極方向を反対に向けた状態で接合されている。
【0038】
アクチュエータプレート40の形状は、平面視長方形であり、その長手方向をY方向とし、短手方向をZ方向とする。なお、本実施形態のヘッドチップ26はエッジシュート対応のため、X方向、すなわち厚さ方向がプリンタ1におけるインクジェットヘッド4の走査方向に一致し、Y方向、すなわち長手方向が被記録媒体Sの搬送方向に一致する。
また、本実施形態では、アクチュエータプレート40におけるZ方向の両側に位置する側面のうち、ノズルプレート43に対向する側面を前端面40Dと称し、この前端面40DとはZ方向の反対側に位置する側面を後端面40Eと称する。
【0039】
支持プレート42は、重ね合されたアクチュエータプレート40及びカバープレート41を支持するともに、ノズルプレート43を同時に支持している。支持プレート42には、Y方向に沿って嵌合孔42Aが形成されており、重ね合されたアクチュエータプレート40及びカバープレート41を嵌合孔42A内に嵌め込んだ状態で支持している。この際、支持プレート42は、アクチュエータプレート40の前端面40Dと面一となるように組み合わされている(
図3参照)。
【0040】
ノズルプレート43は、支持プレート42及びアクチュエータプレート40の前端面40Dに、例えば接着等により固定されている。ノズルプレート43は、例えばポリイミド等の樹脂材料からなるフィルム状でもよい。なお、ノズルプレート43は、樹脂材料の他に、ガラス等により形成されてもよく、ステンレスなどの金属材やシリコンにより形成されても構わない。
【0041】
また、ノズルプレート43には、Y方向に所定の間隔をあけて複数のノズル孔43Aが一列に並んだ状態で形成されている。これらノズル孔43Aは、複数の吐出チャネル45Aに対してそれぞれ対向する位置に形成されており、対向する吐出チャネル45A内に連通する。吐出チャネル45Aにはインクが充填されるため、ノズル孔43Aでのインクの圧力Pが所定の圧力の閾値P
thを超えると、ノズル孔43Aからインクが吐出される。ノズル孔43Aでのインクの圧力Pが、閾値P
thと等しいか閾値P
thよりも低い場合には、ノズル孔43Aにおいてインクが吐出されずメニスカスが保たれる。
【0042】
アクチュエータプレート40の一方の主面40C(カバープレート41側に位置する面、
図5参照)には、その長手方向(Y方向)に所定の間隔をあけて並んだ複数のチャネル45が形成されている。これら複数のチャネル45は、Z方向に沿って直線状に延びる溝部である。Z方向の一端のうち、これら複数のチャネル45の間には、断面矩形状でZ方向に延びる駆動壁46が形成され、この駆動壁46によって各チャネル45はそれぞれ区分けされている。
【0043】
また、複数のチャネル45は、インクが充填される吐出チャネル45A(いわゆる、コモン溝)と、インクが充填されないダミーチャネル45B(いわゆる、アクティブ溝)と、に大別される。そして、これら吐出チャネル45Aとダミーチャネル45Bとは、Y方向に交互に並んで配置されている。なお、図示の例において、ダミーチャネル45B内は、空気で満たされている。複数の吐出チャネル45Aの構造、つまり、大きさ、形成される部材は互いに同一である。
【0044】
複数のチャネル45のうち、吐出チャネル45Aは、それぞれアクチュエータプレート40の一方の主面40C(
図5参照、
図4ではX方向)に向けて開口され、インク導入孔41Aを介してインクが充填される。吐出チャネル45Aは、アクチュエータプレート40の後端面40E側に開口することなく、前端面40D側にだけ開口した状態で形成されている。なお、図示の例において、吐出チャネル45Aの後端面40E側は、後端面40Eに向かうに従い漸次浅くなっている。一方、ダミーチャネル45Bについては、アクチュエータプレート40の前端面40D側だけでなく、後端面40E側にも開口するように形成されている。
【0045】
図5は、本実施形態に係るヘッドチップ26の拡大斜視図である。
図5は、
図4に示すヘッドチップ26から、フレキシブル基板37とカバープレート41とが取り外された状態を拡大して示す。
吐出チャネル45Aの内壁面、すなわちY方向に向かい合う一対の側壁面及び底壁面には、コモン電極50が形成されている。このコモン電極50は、吐出チャネル45Aに沿ってZ方向に延び、アクチュエータプレート40の一方の主面40C上に形成されたコモン端子51に導通している。
フレキシブル基板37には、各コモン端子51がそれぞれ電気的に独立するようにパターン形成されている。また、コモン電極50は、上述したように吐出チャネル45Aにおける内壁面の全体に形成されているので、一対の側壁面上に形成された側面電極50Aと、底壁面上に形成され、側面電極50A同士を接続する底面電極50Bと、で断面U字状に形成される。
【0046】
一方、ダミーチャネル45Bの内壁面のうち、Y方向に向かい合う一対の側壁面には、その全面に亘ってアクティブ電極52がそれぞれ形成されている。これらアクティブ電極52は、ダミーチャネル45Bに沿ってZ方向に延び、アクチュエータプレート40の一方の主面40C上に形成されたアクティブ端子53に導通している。
アクティブ電極52は、コモン電極50と同様に、ダミーチャネル45Bの内壁面全体に一旦形成された後、内壁面における底壁面上に形成された電極部分がレーザ加工やダイシング加工等によって分断されることで、ダミーチャネル45Bの一対の側壁面にそれぞれ電気的に切り離された状態で形成される。
【0047】
アクティブ端子53は、アクチュエータプレート40の一方の主面40C上における後端面40E側に形成されており、吐出チャネル45Aを挟んだ両側に位置するアクティブ電極52同士(異なるダミーチャネル45B内に形成されたアクティブ電極52同士)を電気的に接続するように形成されている。この際、アクティブ端子53は、一方の主面40C上において、コモン端子51よりも後端面40E側に離間した位置でY方向に延びることで、アクティブ電極52同士をブリッジ状に接続している。
【0048】
カバープレート41は、アクチュエータプレート40の一方の主面40C上に重ね合されている。このカバープレート41には、上述したようにY方向を長手方向とする平面視矩形状のインク導入孔41Aが形成されている。
インク導入孔41Aには、上述した流路部材31(
図2、
図3参照)を介して供給されてきたインクを吐出チャネル45A内に導入させ、かつダミーチャネル45B内への導入を規制する複数のスリット55Aが形成されたインク導入板55が形成されている。つまり、複数のスリット55Aは、吐出チャネル45Aに対応する位置に形成され、各吐出チャネル45A内にのみインクを充填することが可能とされる。
【0049】
(外部振動子61及びその動作)
図6は、ヘッドチップ26の断面図である。
この図は、
図3のBB’を通る断面を示す。流路部材31の内部に付された破線、流路部材31とカバープレート41との間に付された破線及びカバープレート41とアクチュエータプレート40との間に付された破線は、供給流路39及びインク導入孔41Aの外延を示すために付されたものであって、いかなる部材を示すものではない。なお、符号F1を付した矢印は、ヘッドチップ26内でのインクの通流方向を表す。つまり、ヘッドチップ26内では、流路は、複数回曲げられ、インクはこの曲がった流路を通流する。
【0050】
吐出チャネル45Aには、供給流路39とインク導入孔41Aを介して供給されたインクが充填される。吐出チャネル45Aの長手方向の一端にはノズル孔43Aを有するノズルプレート43が配置される。
流路部材31の一端の開口面の法線方向(例えば、Z方向)とインク連結管33(
図2)の開口面の法線方向とは同一であり、流路部材31の他端の開口面の法線方向(例えば、X方向)とインク導入孔41Aの開口面の法線方向と同一である。流路部材31の内部を、供給流路39と呼ぶ。供給流路39は、流路部材31の一端から通流されたインクが充填される充填部を形成する。供給流路39は、流路の断面積(通流方向を法線とする断面の面積)が吐出チャネル45Aのものより大きい。供給流路39には、内壁面のうちインク導入孔41Aに対向している対向面には、外部振動子61が設けられている。
【0051】
外部振動子61の主面は、流路部材31の対向面の表面と相対し、その一部が外部電極(図示せず)を形成している。外部電極に駆動電圧が印加されると、駆動電圧に応じて振動する。外部振動子61が振動すると、流路部材31内のインクの圧力波が発生し、発生した圧力波は、インク導入孔41Aを介して各吐出チャネル45Aのインクへ伝搬する。以下の説明では、特に断らない限り、外部電極に駆動電圧を印加することを、「外部振動子61に駆動電圧を印加する」と呼ぶことがある。外部振動子61は、厚さ方向(X方向)に分極された圧電基板、例えば、PZT(lead zirconate titanate、チタン酸ジルコン酸鉛)セラミックス基板で形成されている。
外部振動子61は、流路部材31内で曲がった後のインクの通流方向(Z方向)に交差する面に設置されている。外部振動子61は、その面に垂直に振動するので、曲がった後の通流方向へ、効率的に圧力波を生成できる。また、外部振動子61は、曲がる前のインクの通流を妨げることを防止できる。
なお、外部振動子61が生成した圧力波は、吐出チャネル45Aにおいて、その方向が、X方向からZ方向へ曲げられる。また、供給流路39の主面(YZ平面)の面積は、インク導入孔41Aの開口面の面積や各吐出チャネル45Aの開口面の面積の合計よりも大きい。これにより、各吐出チャネル45Aへ外部振動子61が発生させた圧力波を集中させることができ、吐出チャネル45A内のインクの圧力波振動を効率的に共振させることができる。
【0052】
以下、外部振動子61の振動について、詳細を説明する。
外部振動子61は、駆動周波数で振動し、振動により発生させた圧力波によって、吐出チャネル45A内のインクの圧力波振動を共振させる。この駆動周波数は、吐出チャネル45A内に充填されたインクの共振周波数又はその共振周波数から予め定めた範囲(例えば、半値幅)内の周波数である。これにより、外部振動子61は、吐出チャネル45A内に充填されたインクの圧力波振動を共振させることができるので、圧力波を効率よく発生させることができる。なお、吐出チャネル45Aは、ポンプ室と呼ばれることがある。
【0053】
吐出チャネル45A内に充填されたインクの共振周波数は、吐出チャネル45Aの形状や、吐出チャネル45Aに充填されるインクの粘性によって異なる。つまり、外部振動子61の駆動周波数は、吐出チャネル45Aの形状(例えば、吐出チャネル45Aの長手方向の長さ)や、吐出チャネル45Aに充填されるインクの粘性に基づいて決定されていてもよい。
また、一定の大きさ及び形状を有する空間における共振には、一般に複数の振動モードが存在する。各振動モードは、吐出チャネル45Aに充填されたインクの共振は、周期的な圧力波振動として現れる。本実施形態では、例えば、複数の振動モードのうち共振の最も顕著な振動モードに係る周波数、つまり、主振動モードに係る周波数を、共振周波数として採用する。例えば、主振動モードは、吐出チャネル45Aの長手方向の一端であるノズル孔43Aから他端までの間を圧力波が往復する振動モードの1つである。例えば、主振動モードが最低次の振動モードの場合、振動周期は、吐出チャネル45Aの長手方向の両端を圧力波が往復する時間に概ね等しい。なお、共振周波数として、吐出のタイミングに要求される精度やインクの粘性に応じて、最低次以外の次数の振動モードに係る周波数が採用されてもよい。なお、共振周波数、共振周期は、それぞれ自然周波数、音響周期(AC:acoustic period)と呼ばれることがある。
【0054】
なお、吐出チャネル45Aの長手方向の一端では、その大部分がノズルプレート43で覆われているので、外部振動子61による圧力波は、通流方向とは逆方向へ反射する(反射した圧力波を反射波と呼ぶ)。一方、吐出チャネル45Aの長手方向の他端では、流路が曲げられる構造となっており、しかも他端から吐出チャネル45Aの外側にかけて、流路の断面積が大きくなるように構成されている。そのため、他端が固定端として機能するので、当該他端で反射波は、さらに反射され、通流方向へ戻される。つまり、吐出チャネル45Aでは、その内部で、外部振動子61による圧力波が反射して往復し、これにより、圧力波振動が共振する。換言すれば、ヘッドチップ26は、流路において外部振動子61より下流側(ノズル孔43A側)に、反射波をさらに反射させ、外部振動子61による圧力波を往復させる構造を有する。その構造の一例として、ヘッドチップ26は、流路において外部振動子61より下流側に、流路が曲げられる構造を有する。
より詳細には、吐出チャネル45Aの長手方向の一端では、その大部分がノズルプレート43で覆われ、わずかにノズル孔43Aで開口されている。つまり、当該一端は、自由端として機能させることができる場合がある。この場合、当該一端において、他の場所と比較して、圧力波振動による圧力変化を大きくすることができる。一方、その他端については、吐出チャネル45Aのように、流路を曲げることにより、固定端として機能させてもよい。ただし、本発明はこれに限らず、当該他端を自由端として機能させてもよいし、また、一端及び他端は、自由端や固定端でなくてもよい。
【0055】
(吐出チャネルの動作)
次に、吐出チャネル45Aの動作について説明する。
吐出チャネル45Aでは、コモン端子51及びアクティブ端子53間に印加される電圧により、駆動壁46に厚み滑り変形が生じる。例えば、駆動壁46は、駆動電圧に応じて、ダミーチャネル45B側へ突出するように変形又は、ダミーチャネル45Bから陥入されるように変形する。この変形により、吐出チャネル45Aの容積が変化し、吐出チャネル45A内のインクの圧力を変化させることができる。
なお、外部振動子61と駆動壁46では、圧力を変化させるための変位方向が異なる。例えば、外部振動子61は、主にX方向に変位するのに対し、駆動壁46は、Y方向に変位する。また、流路に関して、外部振動子61は、通流方向に変位するのに対し、駆動壁46は、通流方向とは垂直方向に変位する。
【0056】
吐出チャネル45Aは、外部振動子61が共振させた圧力波振動のピークに基づいて、吐出チャネル45Aのインクの圧力をさらに変化させる。具体的には、吐出チャネル45Aには、圧力波振動のピークのタイミング、又は、ピーク値(圧力の極大値、以下同じ)に応じた駆動電圧が印加される。これにより、吐出チャネル45Aは、圧力波振動の時間若しくは圧力のピーク又はこれらのピークの近傍において、圧力波振動の圧力をさらに増減させることができる。これにより、プリンタ1は、インクを吐出させるか否かを制御できる。以下、この制御(吐出制御とも呼ぶ)について、詳細を説明する。
【0057】
(プリンタの機能)
図7は、本実施形態に係るプリンタ1の機能ブロック図を示す。
図7は、吐出制御に関する機能を示すが、プリンタ1は他の機能を備えてもよい。
プリンタ1は、制御ユニット8と、制御回路35A、35Bと、外部振動子61及び複数のスイッチング部62とを含んで構成される。制御回路35A、35Bは、上述した液体吐出制御回路28を形成する。なお、スイッチング部62は、コモン端子51、アクティブ端子53及び、駆動壁46に相当する。以下の説明では、特に断らない限り、コモン端子51及びアクティブ端子53に駆動電圧を印加することを、「スイッチング部62に駆動電圧を印加する」と呼ぶことがある。
【0058】
制御ユニット8は、2個のI/F部81−1,81−2、及びデータバッファ82を含んで構成される。I/F部81−1,81−2は、それぞれデータを送信又は受信する入出力インタフェースである。
制御ユニット8は、記録すべき文字や図形等を示す画像データを外部機器からI/F部81−1を介して受信し、受信した画像データをデータバッファ82に記憶する。画像データは、印刷領域に分布した画素のそれぞれにおける表示の有無(ON/OFF)を示すデータである。カラー画像を示す画像データでは、表示の有無は色成分毎に指定される。
【0059】
制御ユニット8は、データバッファ82から画像データを読み出し、読み出した画像データが示す、インクジェットヘッド4(つまり、キャリッジ16)の位置に応じた画素毎の表示の有無を示す印刷制御データを色成分毎に生成する。制御ユニット8は、色成分毎の生成した印刷制御データをI/F部81−2を介して色成分に対応した制御回路35Aに出力する。他方、制御ユニット8は、外部振動子61を振動させることを指示する外部振動データを生成し、生成した外部振動データを、各色成分に対応した制御回路35Bに出力する。
【0060】
制御回路35Bは、制御ユニット8から外部振動データが入力されたことに応じて所定の駆動周波数及び所定の振幅で電圧が振動する駆動電圧を生成し、生成した駆動電圧を外部振動子61に印加する。制御回路35Bが生成する駆動電圧の波形は、例えば、正弦波である。これにより、外部振動子61はその駆動周波数で振動し、この振動により吐出チャネル45A内に圧力波振動が共振される。換言すれば、駆動電圧の波形(又は、外部振動子61の振動)は、共振させることを目的とするため、変化の急激な矩形波ではなく、変化の緩やかな正弦波又は余弦波とする。
制御回路35Aは、制御ユニット8から入力された印刷制御データに基づいて、各画素に対応した吐出チャネル45Aからのインクの吐出の有無に応じて駆動電圧を制御し、制御した駆動電圧をその吐出チャネル45Aに係るスイッチング部62に印加する。
【0061】
制御回路35Aは、ノズル孔43Aにおける圧力波振動の圧力の時間変化と同期するように、印刷制御データが指示する画素に対応するスイッチング部62に印加する駆動電圧を制御する。これにより、制御回路35Aは、外部振動子61による圧力波振動の共振に同期して、スイッチング部62に吐出チャネル45A内に充填されたインクの圧力を変化させるか否かを制御する。
また、制御回路35Aは、ノズル孔43Aにおける圧力波振動の圧力に応じて、スイッチング部62に印加する駆動電圧の大きさを制御する。これにより、制御回路35Aは、外部振動子61による圧力波振動の圧力を利用して、スイッチング部62に吐出チャネル45A内に充填されたインクを吐出させるか否かを制御する。
【0062】
なお、制御回路35Aは、スイッチング部62に駆動電圧を印加するタイミング、つまり、吐出チャネル45Aの圧力を変化させるタイミングを、制御回路35Bが外部振動子61に駆動電圧を印加するタイミングから、所定の時間τだけ調整してもよい。この時間τは、例えば、スイッチング部62に駆動電圧を印加してから、そのスイッチング圧力波がノズル孔43Aに到達するまでの遅延時間τ1である。ただし、時間τは、外部振動子61に駆動電圧を印加してから、その圧力波振動がノズル孔43Aに到達するまでの遅延時間τ2を考慮したものであってもよいし、圧力波振動の共振が安定するまでの遅延時間τ2を考慮したものであってもよい。また、遅延時間τは、遅延時間τ1とτ2の両方を考慮したものであってもよく、例えば、τ2からτ1を差し引いた値であってもよい。
【0063】
(圧力波振動の例)
次に、外部振動子61の振動により発生した圧力波振動の例について説明する。
図8は、圧力波振動の例を示す図である。縦軸、横軸は、それぞれ圧力、時刻を示す。
図8(A)は、外部振動子61の振動周期が16μs(振動周波数62.5kHzに相当)の場合の吐出圧力、加圧力をそれぞれ曲線a1,a2で示す。この振動周波数は、吐出チャネル45Aの共振周波数と等しい。吐出圧力a1とは、ノズル孔43Aにおける圧力である。加圧力a2とは、外部振動子61の表面における圧力である。時刻は、外部振動子61の振動を開始した時刻からの経過時間を示す。
【0064】
この例では、加圧力a2の極大値は時間経過によらずほぼ一定(1,000Pa)であるのに対し、吐出圧力a1の極大値は振動開始直後において増加する傾向を示し、時刻が0.1msを経過した後、ほぼ一定(4,000〜4,300Pa程度)となる。この結果は、加圧力の4倍を超え、吐出チャネル45A内におけるインクの共振により圧力波振動が効率よく発生することを示す。
【0065】
図8(B)は、外部振動子61の振動周期が13μs(振動周波数76.9kHzに相当)の場合の吐出圧力、加圧力をそれぞれ曲線b1、b2で示す。この例では、吐出圧力、加圧力ともに、極大値は時間経過によらずほぼ一定(1,000Pa)である。この場合には、共振が生じていないため
図8(A)に示す場合ほど、ノズル孔43Aに到達する圧力波振動が効率よく発生していない。
【0066】
(吐出制御の例)
次に、本実施形態における吐出チャネル45Aからのインクの吐出制御の例について説明する。
図9は、本実施形態におけるインクの吐出制御を説明するための図である。
図9の上段は、圧力波振動による吐出圧力の時間変化、スイッチング圧力波による吐出圧力の時間変化を、それぞれ実線P
j1,P
c1で示す。縦軸、横軸は、それぞれ圧力、時刻を示す。また、限界値P
1は、閾値P
thから圧力波振動による圧力の極大値P
maxを差し引いた差分である。
【0067】
圧力波振動の振動周波数は、上述した駆動周波数である。圧力波振動により吐出チャネル45A内のインクの圧力波振動が共振することで、吐出チャネル45A内で周期的な圧力波振動が発生する。圧力波振動による吐出圧力は、時刻t
1,t
2,t
3のそれぞれにおいて極大値P
maxをとる。極大値P
maxは、閾値P
thよりも限界値P
1だけ低い。これに対して、スイッチング圧力波による吐出圧力は、時刻t
1,t
3のそれぞれにおいて限界値P
1となり、時刻t
1,t
3及びその近傍以外の時刻において0となる。そのため、P
j1とP
c1を重ね合わせたノズル孔43Aにおける圧力は、時刻t
1,t
3のそれぞれにおいてP
thを越えるので、インクが吐出される。これに対し、ノズル孔43Aにおける圧力は時刻t
2においてP
thを下回るので、インクが吐出されない。このスイッチング圧力波は、印刷制御データに基づく制御回路35Aの制御により、駆動電圧の印加されたスイッチング部62が振動することによって生じたものである。
【0068】
図9の下段は、吐出チャネル45Aに対して画像データに基づいて制御ユニット8で生成された印刷制御データが表示を行うか否かを示す。表示を行うこと(ON)が上向きの矢印で示され、表示を行わないこと(OFF)が黒丸で示される。時刻t
1−τ,t
2−τ,t
3−τにおいて、印刷制御データは、それぞれON,OFF,ONを指示する。これに基づいて、制御回路35Aは、時刻t
1−τ,t
3−τのそれぞれにおいて、スイッチング部62に印加する駆動電圧を第1電圧値(V1)に制御し、それ以外の時刻において駆動電圧を0Vに制御する。第1電圧値(V1)は、予め定めた正の電圧値である。スイッチング部62に正の電圧値を印加された場合、駆動壁46がダミーチャネル45Bから陥入されるように変形される。この変形により、吐出チャネル45Aの容積が縮小して、圧力を高くするスイッチング圧力波が発生する。時刻t
1−τ,t
3−τは、それぞれ時刻t
1,t
3を遅延時間τだけ先行した時刻である。時刻t
1,t
3において、このスイッチング圧力波による吐出圧力の最大値が限界値P
1となり、ノズル孔43Aにおける圧力がP
thを越えるのでインクが吐出される。それ以外の時刻、例えば、時刻t
2では、ノズル孔43Aにおける圧力がP
thを下回るのでインクが吐出されない。これにより、制御回路35A及びスイッチング部62は、印刷制御データに応じてインクの吐出の有無を制御することができる。
【0069】
このように、表示を行う画素(表示画素、つまり印刷が行われる画素)について圧力波振動の圧力に、スイッチング圧力波の圧力を同期して重畳して圧力波振動の圧力を強める動作態様(モード)を、ノーマリー(normaly)OFFモード(第1のモード)と呼ぶことがある。言い換えれば、ノーマリーOFFモードは、圧力波振動のピーク値P
maxは、ノズル孔43Aからのインクの吐出を可能にする圧力の閾値P
thを下回る動作モードである。また、ノーマリーOFFモードは、インクを吐出させる場合に、スイッチング圧力波の加える圧力が限界値P
1以上の値を有する動作モードである。
【0070】
つまり、ノーマリーOFFモードの場合、制御回路35Aには、第1電圧値(V1)が予め設定される。この第1電圧値(V1)は、圧力波振動の共振がない状態でスイッチング部62に印加された場合、スイッチング圧力波の加える圧力が、限界値P
1以上になるものである。
インクを吐出する場合、制御回路35Aは、例えば、ノズル孔43Aにおける圧力波振動の圧力が極大値P
maxとなったとき、スイッチング圧力波が到達するように、スイッチング部62に印加する駆動電圧を第1電圧値(V1)に制御する。これにより、圧力波振動による圧力P
maxにスイッチング圧力波によるP
1以上の圧力が加わって強め合い、ノズル孔43Aにおける圧力が閾値P
thを超えるので、インクが吐出される。
なお、インクを吐出しない場合、制御回路35Aは、スイッチング部62に印加する駆動電圧を0Vに制御する。
【0071】
以上に説明したように、本実施形態に係るプリンタ1は、インクが充填され、ノズル孔43Aを有する吐出チャネル45Aと、振動により吐出チャネル45Aのインク中の圧力波振動を共振させる外部振動子61を備える。また、プリンタ1は、共振した圧力波振動のピークに基づいて、吐出チャネル45Aのインクの圧力を変化させてノズル孔43Aからインクを吐出させるか否かを制御するスイッチング部62(駆動壁46)を備える。
これにより、プリンタ1は、スイッチング部62により圧力を変化させる際に、圧力波振動による圧力を、その圧力波振動のピークに基づいて利用できる。これにより、プリンタ1は、効率よくインクの吐出を制御することができる。
【0072】
また、プリンタ1において、外部振動子61は、複数の吐出チャネル45Aで共有され、スイッチング部62は、複数の吐出チャネル45Aのそれぞれに備えられる。これにより、プリンタ1は、各吐出チャネル45Aに対して外部振動子61を設ける場合と比較して、簡易に外部振動子61を制御することができる。
また、プリンタ1において、スイッチング部62は、圧力波振動がノズル孔43Aに到達するまでの時間に基づいて、吐出チャネル45Aのインクの圧力を変化させるタイミングを制御する。これにより、プリンタ1は、スイッチング部62は、スイッチング圧力波がノズル孔43Aに到達するまでの時間を考慮して、圧力を変化させることができるので、吐出チャネル45Aからインクを吐出させるか否かの制御を確実に行うことができる。
【0073】
また、プリンタ1において、外部振動子61は、インクの通流方向に沿って、圧力波振動を共振させる。これにより、外部振動子61はインクの通流方向に沿って圧力波振動を共振させるので、最終的にインクが吐出される方向に、振動させることができる。
また、プリンタ1において、インクは、曲がった流路を通流してノズル孔43Aから吐出され、外部振動子61は、流路において、曲がった後のインクの通流方向に交差する面に設置されている。これにより、プリンタ1は、曲がった後のインクの通流方向に交差する面を振動面(外部振動子61の主面)とすることができ、インクの通流の阻害を抑えつつ、外部振動子61を設置できる。また、例えば、
図6に示すように、曲がる前の流路に対して、凹みを設け、凹み部分に外部振動子61を設置してもよい。
【0074】
また、プリンタ1において、外部振動子61は、流路の断面積が、吐出チャネル45Aより大きい充填部(供給流路39)に設置され、振動により充填部のインクに圧力を加えて 圧力波振動を共振させる。これにより、プリンタ1は、充填部から吐出チャネル45Aへ圧力波が伝搬するときに、流路の断面が狭くなるので、断面が広くなる場合と比較して、圧力波の圧力が弱まることを防止できる。
また、プリンタ1において、外部振動子61は、吐出チャネル45Aへインクを通流させる開口面(インク導入孔41A又は吐出チャネル45Aの開口面)に対向する面に設置される。これにより、プリンタ1は、当該開口面に対向しない面に設置された場合と比較して、効率よく、外部振動子61による圧力波を吐出チャネル45Aへ伝搬できる。
【0075】
また、プリンタ1において、外部振動子61の振動面は、吐出チャネル45Aへインクを通流させる開口面又は吐出チャネル45Aにおける流路の断面よりも、大きい面積を有する。これにより、プリンタ1は、当該振動面が当該開口面又は当該断面より大きいので、当該開口面又は当該断面が当該振動面より大きくなる場合と比較して、圧力波の圧力が弱まることを防止できる。
また、プリンタ1において、圧力波振動のピーク値P
maxは、ノズル孔43Aからのインクの吐出を可能にする圧力の閾値P
thを下回る。また、プリンタ1において、インクを吐出させる場合に、スイッチング部62が吐出チャネル45Aのインクに加える圧力は、閾値P
thから圧力波振動のピーク値P
maxを差し引いた差分P
1以上の値を有する。これにより、プリンタ1は、外部振動子61による圧力波振動とスイッチング部62による圧力を利用して、インクを吐出させることができる。これにより、例えば、プリンタ1は、圧力波振動がない場合と比較して、インクを吐出するためにスイッチング部62が必要とする圧力を小さくできる場合がある。
【0076】
また、プリンタ1において、外部振動子61は、振動により吐出チャネル45Aのインクの周期的な圧力波振動を発生させ、圧力波振動のピークは、周期的な圧力波振動の時間変化のピークである。この構成によれば、プリンタ1は、周期的な圧力波振動の時間変化のピークに基づいて、例えば、圧力波振動がピーク値となる時又はその近傍で、スイッチング部62により圧力を変化させることができる。これにより、プリンタ1は、圧力波振動による圧力を、圧力波振動のピークに基づいて利用でき、効率よくインクの吐出を制御することができる。
制御回路35Bは、外部振動子61を振動させ、外部振動子61とノズル孔43Aを有する吐出チャネル45Aに充填されたインク中の圧力波振動を共振させる。制御回路35Aは、圧力波振動のピークに基づいて、吐出チャネル45Aのインクの圧力をスイッチング部62により変化させて、吐出チャネル45Aからインクを吐出させるか否かを制御する。この構成によれば、プリンタ1は、スイッチング部62により圧力を変化させる際に、圧力波振動による圧力を、圧力波振動のピークに基づいて利用できる。これにより、プリンタ1は、効率よくインクの吐出を制御することができる。
【0077】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。上述した実施形態と同一の構成については、同一の符号を付して説明を援用する。
本実施形態に係るプリンタ1のハードウェア構成は、上述したプリンタ1(
図1)のハードウェア構成と同様である。
本実施形態では、プリンタ1は、ノーマリーOFFモードに代え、又は、ノーマリーOFFモードに加え、ノーマリーONモードの制御を行う。
【0078】
表示を行う画素について圧力波振動の圧力に、スイッチング圧力波の圧力を同期して重畳して圧力波振動の圧力を弱める動作態様(モード)を、ノーマリー(normaly)OFFモード(第1のモード)と呼ぶことがある。言い換えれば、ノーマリーONモードは、圧力波振動のピーク値P
maxは、ノズル孔43Aからのインクの吐出を可能にする圧力の閾値P
thを上回る動作モードである。また、ノーマリーONモードは、インクを吐出させない場合に、スイッチング圧力波の減ずる圧力が限界値P
2(後述)以上の値を有する動作モードである。なお、ノーマリーONモードは、インクを吐出させる場合に、スイッチング圧力波を発生させずに圧力を減じないものであってもよいし、スイッチング圧力波の減ずる圧力が限界値P
2以上の値を有するものであってもよい。
【0079】
(吐出制御の例)
次に、本実施形態における吐出チャネル45Aからのインクの吐出制御の例について説明する。
図10は、本実施形態におけるインクの吐出制御を説明するための図である。
図10の上段は、圧力波振動による吐出圧力の時間変化、スイッチング圧力波による吐出圧力の時間変化を、それぞれ実線P
j2、P
c2で示す。縦軸、横軸は、それぞれ圧力、時刻を示す。また、限界値P
2は、圧力波振動による圧力の極大値P
maxから閾値P
thを差し引いた差分である。
【0080】
圧力波振動の振動周波数は、上述した駆動周波数である。圧力波振動による吐出圧力は、時刻t
1,t
2,t
3のそれぞれにおいて極大値P
maxをとる。極大値P
maxは、閾値P
thよりも限界値P
2だけ高い。そのため、P
j2で示すノズル孔43Aにおける圧力は時刻t
1を含む時間(t
11〜t
12)おいてP
thを越えるので、インクが吐出される。これに対して、P
c2で示すスイッチング圧力波による吐出圧力は、時刻t
2,t
3において−P
2となり、また、時間(t
21〜t
22)、(t
31〜t
32)以外の時刻において0となる。P
j2とP
c2を重ね合わせたノズル孔43Aにおける圧力は時刻t
2,t
3のそれぞれを含む時間(t
21〜t
22)、(t
31〜t
32)においてP
thを下回るので、インクが吐出されない。このスイッチング圧力波は、印刷制御データに基づいて制御回路35Aが制御した駆動電圧が印加されたスイッチング部62が振動することによって生じたものである。
【0081】
図10の下段は、吐出チャネル45Aに対して画像データに基づいて制御ユニット8で生成された印刷制御データが表示を行うか否かを示す。時刻t
1−τ,t
2−τ,t
3−τにおいて、印刷制御データは、それぞれON,OFF,OFFを指示する。これに基づいて、制御回路35Aは、時刻t
2−τ,t
3−τのそれぞれにおいて、スイッチング部62に印加する駆動電圧を第2電圧値(V2)に制御し、それ以外の時刻において駆動電圧を0Vに制御する。第2電圧値(V2)は、予め定めた負の電圧値である。スイッチング部62に負の電圧値が印加された場合、駆動壁46がダミーチャネル45Bへ突出するように変形される。この変形により、吐出チャネル45Aの容積が拡大して、圧力を低くするスイッチング圧力波が発生する。時刻t
2,t
3において、このスイッチング圧力波による吐出圧力の最小値が限界値−P
2となり、ノズル孔43Aにおける圧力がP
thを下回るのでインクが吐出されない。他方、時刻t
1では、ノズル孔43Aにおける圧力がP
thを越えるのでインクが吐出される。
これにより、制御回路35A及びスイッチング部62は、印刷制御データに応じてインクの吐出の有無を制御することができる。なお、ノーマリーOFFモードの場合の第1電圧値(V1)とノーマリーONモードの場合の第2電圧値(V2)の絶対値は、同じであってもよいし、また、当該絶対値は異なっていてもよく、例えば第1電圧値(V1)の絶対値は第2電圧値(V2)の絶対値よりも低くても高くてもよい。
【0082】
つまり、ノーマリーONモードの場合、制御回路35Aには、第2電圧値(V2)が予め設定される。この第2電圧値(V2)は、圧力波振動の共振がない状態でスイッチング部62に印加された場合、スイッチング圧力波の減ずる圧力が、限界値P
2以上になるものである。
インクを吐出する場合、制御回路35Aは、スイッチング部62に印加する駆動電圧を0Vに制御する。圧力波振動による圧力P
maxは閾値P
thを超えるので、インクが吐出される。
一方、インクを吐出しない場合、制御回路35Aは、例えば、ノズル孔43Aにおける圧力波振動の圧力が閾値P
thを超えるとき、スイッチング圧力波が到達するように、スイッチング部62に印加する駆動電圧を第2電圧値(V2)に制御する。これにより、圧力波振動による圧力からスイッチング圧力波による圧力が減ざれて弱め合い、ノズル孔43Aにおける圧力が閾値P
thより低くなるので、インクが吐出されなくなる。
【0083】
以上に説明したように、本実施形態に係るプリンタ1では、圧力波振動のピーク値P
maxは、ノズル孔43Aからのインクの吐出を可能にする圧力の閾値P
thを上回る。また、プリンタ1において、インクを吐出させる場合に、スイッチング部62が吐出チャネル45Aのインクから減ずる圧力(圧力の絶対値、圧力の大きさ)は、圧力波振動のピーク値P
maxから閾値P
thを差し引いた差分P
2以上の値を有する。
これにより、プリンタ1は、外部振動子61による圧力波振動とスイッチング部62による圧力を利用して、インクを吐出させることができる。例えば、プリンタ1は、外部振動子61により圧力で液体を吐出させるようにしておき、スイッチング部62による圧力で液体を吐出させない制御をすることができる。これにより、例えば、プリンタ1は、液体を吐出するためにスイッチング部62が必要とする圧力をなくすことができる。
【0084】
(変形例)
なお、本発明の技術範囲は上述した又は後述する実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上述した実施形態では、プリンタ1は、ノーマリーOFFモードとノーマリーONモードを切り替えてもよい。例えば、プリンタ1は、ユーザの設定に基づいて、これらのモードを切り替える。また、プリンタ1は、画像データ又は印刷制御データに基づいて、次の情報を算出し、算出した情報に基づいて、これらのモードを切り替えてもよい。
(1)予め定められた範囲での吐出回数を示す情報
(2)予め定められた範囲での吐出回数と吐出可能回数の割合を示す情報
なお、予め定められた範囲とは、ジョブ毎、画像データ毎、操作毎、時間毎、又は、これらのグループ毎であってもよい。
【0085】
また、例えば、上述した実施形態では、2枚のアクチュエータプレート40A,40Bを積層した、いわゆるシェブロン方式のアクチュエータプレート40を用いる場合について説明したが、これに限られない。例えば、分極方向が厚さ方向に一方向のアクチュエータプレートを用いてもよい。この場合には、駆動壁46の高さ方向中央部までコモン電極及びアクティブ電極を形成することで、駆動壁46を屈曲変形させることができる。
さらに、上述した実施形態では、吐出チャネル45Aとダミーチャネル45Bとが交互に並んだ、いわゆるアイソレートタイプのヘッドチップ26について説明したが、これに限られない。例えば、吐出チャネル45Aが連続的に配列された、いわゆるシェアードウォールタイプのヘッドチップ26を採用することもできる。
【0086】
上述した実施形態では、外部振動子61を供給流路39の内壁面のうちインク導入孔41Aに対向する対向面上に設置する場合を例にとって説明したが、これには限られない。外部振動子61の配置は、振動することによってインク導入孔41Aに向けて圧力波振動を発生させることができ、各吐出チャネル45Aに圧力波振動を均しく伝搬させることができる位置に配置されていればよい。そのような位置は、例えば、インク導入孔41Aのうち吐出チャネル45Aの配列方向(Z方向)に平行な面上における任意の位置、圧力緩衝器32の貯留室の内壁面上における任意の位置、インク連結管33の内壁面上における任意の位置、インク配管11の内壁面上における任意の位置、等である。これらの位置では、外部振動子61によりインクの通流が妨げられない。
また、外部振動子61は、各吐出チャネル45A内に定常的な圧力波振動を発生させることができれば、各吐出チャネル45Aの内壁に設置されてもよい。
また、液体吐出制御回路28は、プリンタ1に装着されずに独立した回路部品として実施されてもよい。
【0087】
上述した実施形態では、インクジェットヘッド4が各吐出チャネル45Aの終端部にノズル孔43Aが設けられたエッジシュート型のインクジェットヘッドである場合を例にとって説明したが、これには限られない。プリンタ1は、インクジェットヘッド4に代え、各吐出チャネル45Aに供給されたインクを圧力緩衝器32の貯留室に還流させるサイドシュート型循環ヘッドが備えられてもよい。インクが循環することにより温度が低い領域でインクが冷却されるので、放熱が効率的に行われる。
【0088】
図11は、本変形例に係るインクジェットヘッドの断面図である。
図11(A)に示すインクジェットヘッド4Iは、サイドシュート型循環ヘッドの一例である。インクジェットヘッド4Xは、圧力緩衝器32と流路部材31との間を接続する2本のインク連結管33A,33Bを備える。流路部材31の内部には、供給流路39Aと排出流路39Bが互いに独立に形成され、供給流路39Aと排出流路39Bには、それぞれインク連結管33A,33Bが接続されている。
【0089】
カバープレート41には、各吐出チャネル45Aにインクを供給するための供給口41Cと各吐出チャネル45Aからインクを排出するための排出口41Dとが互いに独立に形成されている。供給口41Cと排出口41Dは、各吐出チャネル45Aに設けられた2つの開口面の一方と他方のそれぞれに対向している。2つの開口面の一方は、それぞれ吐出チャネル45Aの長手方向(X方向)他端よりも一端に近い位置に配置され、アクチュエータプレート40の主面の一方(Zの負方向)に向けられている。2つの開口面の他方は、それぞれ吐出チャネル45Aの長手方向一端よりも他端に近い位置に配置され、アクチュエータプレート40の主面の一方(Zの負方向)に向けられている。
【0090】
インクは、インク連結管33Aから供給流路39A、供給口41Cを介して吐出チャネル45Aに導かれ、吐出チャネル45Aに導かれたインクは、排出口41D、排出流路39Bを介してインク連結管33Bに排出される。
吐出チャネル45Aのアクチュエータプレート40の主面の他方(Z方向)の側にはノズルプレート43が配置され、ノズルプレート43に形成されたノズル孔43Aは、吐出チャネル45Aの長手方向の両端のほぼ中間に配置されている。
【0091】
この例では、外部振動子61は、排出流路39Bの内壁面上に設置される。本変形例でも、外部振動子61の振動により発生した圧力波振動と、吐出チャネル45Aの容積変化によって発生したスイッチング圧力波とを干渉させてノズル孔43Aからのインクの吐出の有無を制御することができる。上述したように、ノーマリーOFFモード、ノーマリーONモードともに実現することができる。なお、外部振動子61は、供給流路39Aの内壁面上に設置されてもよい。
【0092】
図11(B)に示すインクジェットヘッド4Jは、サイドシュート型循環ヘッドの他の例である。
図11(B)では、流路部材31、インク連結管33A, 33Bの図示が省略されている。
図11(B)に示す例は、吐出チャネル45Aの長手方向の両端部の内壁面のうち供給口41C、排出口41Dにそれぞれ対向している部分が丸みを帯びて湾曲している第1凹部47、第2凹部48を形成している点、コモン電極50が吐出チャネル45Aとノズルプレート43との間に形成されている点が、
図11(A)に示す例とは異なる。第1凹部47、第2凹部48が形成されていることにより、供給流路39Aと供給口41Cとの間や、排出流路39Bと排出口41Dとの間でのインクの循環を円滑に行うことができる。
【0093】
この例では、外部振動子61は、排出口41Dの内壁面上に設置される。本変形例でも、外部振動子61の振動により発生した圧力波振動と、吐出チャネル45Aの容積変化によって発生したスイッチング圧力波とを干渉させてノズル孔43Aからのインクの吐出の有無を制御することができる。上述したように、ノーマリーOFFモード、ノーマリーONモードともに実現することができる。なお、外部振動子61は、供給口41Cの内壁面上に設置されてもよい。
また、
図11(C)に示すように、インクジェットヘッド4Kは、2個の外部振動子61C,61Dを、それぞれ供給口41C、排出口41Dの内壁面上に備えてもよい。
【0094】
インクジェットヘッドとしてサイドシュート型循環ヘッドが用いられる場合、プリンタ1は、インクを循環するための循環ポンプを備える。循環ポンプは、ヘッドチップ26、カバープレート41、流路部材31から離れた部位、例えば、インクタンク10の近傍に配置される。循環ポンプには、所定の周期で圧力が振動する圧力波を発生させてインクを循環させるものがある。そこで、外部振動子61は、その循環ポンプで形成されていてもよい。即ち、循環ポンプが発生する圧力波振動の周波数を、吐出チャネル45Aの共振周波数又はその共振周波数から予め定めた範囲内の周波数に設定する。これにより吐出チャネル45A内に充填されたインクの圧力波振動を共振させることができ、圧力波を発生させる際のエネルギー効率を向上させることができる。
【0095】
なお、上述した実施形態では、外部振動子61は、他の場所及び向きに設けられてもよい。例えば、外部振動子61は、吐出チャネル45A内やインク導入孔41A内に設けられてもよい。また、外部振動子61は、インクジェットヘッド4のインク供給部27に設けられてもよい。
また、上述した実施形態では、液体吐出装置の一例として、プリンタ1を例に挙げて説明したが、インクジェットプリンタに限られるものではない。本実施形態に係る液体吐出装置は、例えば、ファクシミリ装置やオンデマンド印刷機等であっても構わない。
また、上述した実施形態では、インクジェットヘッド4が複数搭載された複数色用のプリンタ1について説明したが、これには限られない。例えば、インクジェットヘッドが、1つの単色用のプリンタ1としても構わない。
【0096】
また、本発明の実施形態で用いられるインクとしては、水性インクや油性インク、UVインク、微細金属粒子インク、炭素インク(カーボンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン、グラフェン)等、種々の材料を用いることができる。なお、上述したインクのうち、水性インクや油性インク、UVインクは複数色用のプリンタ1に好適に用いられ、微細金属粒子インク、炭素インクは単色用のプリンタ1に好適に用いられる。
【0097】
なお、上述した実施形態におけるプリンタ1が備える各部の機能全体あるいはその一部、例えば、制御ユニット8、制御回路35A,35Bは、これらの機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0098】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶部のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。