【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1.記者会見及び試乗会での公開 (1)公開日 平成26年5月8日 (2)公開場所 日本自動車研究所 城里テストセンター(茨城県東茨城郡城里町大字小坂字高辺多1328番地23) (3)公開者 UDトラックス株式会社 (4)公開内容 大型トラック「クオン」リニューアルと称し、日本自動車研究所 城里テストセンターにて、記者会見及び試乗会を行い、発明した衝突被害軽減システムについて説明した。 2.特許権の承継について 公開の事実に記載の公開行為により公開された発明は石川賢市によって発明されたものであり、発明直後(平成25年5月10日)にその発明の特許を受ける権利がUDトラックス株式会社に譲渡された。UDトラックス株式会社は、その発明を公開した平成26年5月8日(公開の事実に記載の公開行為時)において、特許を受ける権利を保有していた。平成26年5月29日に、その発明に係る特許を受ける権利は、UDトラックス株式会社から親会社であるボルボ トラック コーポレーションに譲渡され、その後、平成26年10月21日にボルボ トラック コーポレーションが特許出願を行った。
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0011】
<第1実施形態>
図1、
図2を参照して、本発明の第1実施形態に係る衝突被害軽減システム100について説明する。
図1は、衝突被害軽減システム100のブロック図であり、
図2は、衝突被害軽減システム100におけるブレーキ制御部10の作動状態と解除状態との切り換え動作を説明するフローチャートである。
【0012】
衝突被害軽減システム100は、車両(図示省略)に搭載されるコントロールユニット1によって制御される。
【0013】
衝突被害軽減システム100は、車両と車両の前方に存在する障害物との間の相対距離を測定する車間距離センサ41を備える。車間距離センサ41は、先行する他の車両などの障害物を検出するものである。車間距離センサ41は、例えば、出射した電波が障害物に反射して戻ってきたのを受信し、車両と障害物との相対距離を測定する電波レーダーである。また、車両は、車両の走行速度を検出する車速センサ42を備える。
【0014】
コントロールユニット1は、衝突における被害を軽減するための制御を実行するブレーキ制御部10と、ブレーキ制御部10がブレーキ12を自動的に作動させる作動状態とブレーキ12の自動的な作動を停止させる解除状態とを切り換えるシステム解除部20と、ブレーキ制御部10を解除状態から作動状態に復帰させるか否かを判定するシステム復帰判定部30と、を備える。
【0015】
車間距離センサ41と車速センサ42との検出信号は、コントロールユニット1に入力される。コントロールユニット1は、車間距離センサ41と車速センサ42との検出信号に基づいて、車両が進行方向上の障害物に衝突するおそれがあるかを判定する。車両が障害物に衝突するおそれがあると判定された場合には、ブレーキ制御部10は、ブレーキECU11にブレーキ12を自動的に作動させる信号を出力する。
【0016】
このように、車両が障害物に衝突するおそれがある場合には、運転者がブレーキ12を作動させる操作をしていなくても、ブレーキ12が自動的に作動する。これによって、車両を減速させて、車両が障害物に衝突したときの衝突エネルギを抑制して、衝突による被害を軽減することが可能である。
【0017】
なお、衝突被害軽減システム100では、制御に用いる各種しきい値を変更することによって、車両が障害物に衝突する前に車両を停止させ、車両と障害物との衝突を防止することも可能である。
【0018】
衝突被害軽減システム100は、車両内に設けられ運転者に向けて警報メッセージを表示する警報表示器31と、車両の車内に設けられ運転者に向けて警報音を鳴らす警報ブザー32と、を備える。警報表示器31と警報ブザー32とによって、ブレーキ12が自動的に作動していることが運転者に通知される。
【0019】
警報表示器31は、ブレーキ12が自動的に作動した場合に、車両の運転者に向けて警報メッセージを表示するものである。警報メッセージは、例えば、「EMERGENCY」という文字の表示や、警報インジケータの点灯などである。
【0020】
警報ブザー32は、ブレーキ12が自動的に作動した場合あるいは作動する直前に、車両の運転者に向けて警報音を鳴らすものである。警告音は、例えば、「緊急ブレーキを作動します」という音声や、電子音などである。
【0021】
衝突被害軽減システム100は、自動解除モード選択スイッチ51または手動解除スイッチ52の入力に基づいて、ブレーキ制御部10がブレーキ12を自動的に作動させる作動状態と、ブレーキ12の自動的な作動を停止させる解除状態と、を切り換えるシステム解除部20を備える。
【0022】
手動解除スイッチ52は、運転者によって操作され、手動解除スイッチ52からの切換信号はシステム解除部20に入力される。手動解除スイッチ52からの切換信号に基づいて、システム解除部20は、ブレーキ制御部10がブレーキ12を自動的に作動させる作動状態と、ブレーキ12の自動的な作動を停止させる解除状態と、を切り換える。
【0023】
運転者は、例えば、高速道路を走行中に、ETCゲートに接近したときに、手動解除スイッチ52を切り換えることで、ブレーキ12の自動的な作動を停止させる解除状態とする。これにより、衝突被害軽減システム100が、ETCレーンの出口にある開閉バーなどを障害物と認識して、不必要にブレーキ12が作動してしまうことを防止できる。
【0024】
また、工事現場などでは、路面に鉄板が敷かれている場合がある。このような場所を走行していると、車間距離センサ41の電波が鉄板の縁の部分で反射することがある。これにより、コントロールユニット1が鉄板を障害物と認識して、不必要にブレーキ12を作動させてしまう恐れがある。このような場合にも、運転者が手動解除スイッチ52によって、ブレーキ制御部10をブレーキ12の自動的な作動を停止させる解除状態に切り換えることで、不必要にブレーキ12を作動させてしまうことを防止できる。
【0025】
手動解除スイッチ52は、オルタネート式の押しボタンスイッチが使用される。システム解除部20は、手動解除スイッチ52を押すたびに、作動状態から解除状態へ、解除状態から作動状態へと切り換えられる。なお、手動解除スイッチ52は、オルタネート式の押しボタンスイッチに限らず、どのような形式のものであってもよい。また、手動解除スイッチ52は、他の機能のボタンスイッチと兼用されてもよい。この場合、例えば、他の機能のボタンスイッチを一定時間以上押し続けることで、手動解除スイッチ52としての切り換え操作を実行させることができる。
【0026】
自動解除モード選択スイッチ51は、自動解除モードを選択する押しボタンスイッチである。自動解除モードとは、所定の条件を満たした場合に、ブレーキ制御部10を自動的に解除状態とするモードである。具体的には、例えば、高速道路を走行中、システム解除部20は、GPSなどによって取得した車両位置情報と、ナビゲーションシステムに格納された道路地図情報と、に基づいて、自車両位置と料金所のETCゲートとの距離を演算する。ブレーキ制御部10は、システム解除部20によって車両が料金所のETCゲートに所定の距離まで近づいたと判定された場合に、自動的に解除状態に切り換えられる。これによって、衝突被害軽減システム100が、ETCレーンの出口にある開閉バーなどを障害物と認識して、ブレーキ12を自動的に作動させてしまい、不必要に車両が減速されることが防止される。
【0027】
なお、この他にも、所定の条件として、例えば、車載のETC通信機が、料金所側のETCシステムと交信中か否かなどといった条件を用いてもよい。また、高速道路走行中における車両と料金所との距離に限らず、例えば、特定の地点や施設に近づいたとき、あるいはナビゲーションシステムにおける目的地に近づいたときなどの条件をあらかじめ特定しておくことで、どのような状況でもブレーキ制御部10を自動的に解除状態とすることができる。
【0028】
システム解除部20には、あらかじめ異なる条件の自動解除モードが複数格納されている。システム解除部20は、自動解除モード選択スイッチ51を押すたびごとに、自動解除モードのいずれか、あるいは、自動解除モードをOFF状態にするモードに切り換えられる。
【0029】
なお、自動解除モードは、必ずしも複数である必要はなく、1つのモードだけであってもよい。
【0030】
次に、システム復帰判定部30について説明する。
【0031】
システム復帰判定部30には、車速センサ42で検出した車両の速度が入力される。
【0032】
システム復帰判定部30は、ブレーキ制御部10が解除状態に切り換えられている場合、車両が所定の速度以上で連続した所定の時間走行したか否かを判定する。システム復帰判定部30によって車両が所定の速度以上で連続した所定の時間走行したと判定されると、システム解除部20は、ブレーキ制御部10を解除状態から作動状態に自動的に復帰させる。例えば、高速道路を走行するのであれば、時速70km/h以上で、5分間以上走行していれば、ブレーキ制御部10を作動状態に自動的に復帰させるようにしきい値が設定されている。これに限らず、速度のしきい値を道路の制限速度−5km/h(道路の制限速度から5km/h減じた速度)に設定し、時間のしきい値を1分間に設定するなど、適宜設定することができる。
【0033】
また、ナビゲーションシステムや車載カメラから、道路の制限速度情報を適宜受信し、走行中に制限速度が変化しても、システム復帰判定部30によって速度のしきい値を道路の制限速度−5km/h(道路の制限速度から5km/h減じた速度)として適宜変更させる構成とすることもできる。
【0034】
次に、
図2を参照して、衝突被害軽減システム100におけるブレーキ制御部10の作動状態と解除状態の切り換え動作について説明する。
【0035】
はじめに、作動状態から解除状態への切り換えに関するフローについて説明する。
【0036】
車両のイグニッションスイッチ(図示省略)がONにされると、
図2に示す制御が実行される。
【0037】
ステップS1では、ブレーキ制御部10が作動状態であるか否かを判定する。ブレーキ制御部10が作動状態であればステップS2へ移行し、ブレーキ制御部10が解除状態であればステップS7へ移行する。イグニッションスイッチ(図示省略)がOFFからONにされた初期状態では、ブレーキ制御部10は作動状態である。
【0038】
ステップS2では、自動解除モード選択スイッチ51によって複数の自動解除モードのうち、どのような自動解除のモードが選択されているかについて情報を取得する。
【0039】
ステップS3では、自動解除モードがONであるか否かを判定する。自動解除モードがONであれば、ステップS4に移行し、自動解除モードがOFFであれば、ステップS5に移行する。
【0040】
ステップS4では、自動解除モード選択スイッチ51によって選択されているモードの条件に基づいて、システム解除部20は、ブレーキ制御部10を解除状態に切り換えるか否かを判定する。選択されているモードの条件を満たしていないと判定されるとステップS5に移行し、選択されているモードの条件を満たしていると判定されるとステップS6に移行する。
【0041】
例えば、車両が、ETCゲートに所定の距離まで近づいたときに、ブレーキ制御部10を解除状態に切り換える自動解除モードを選択した場合について説明する。
【0042】
システム解除部20は、GPSなどによって取得した車両位置情報と、ナビゲーションシステムの道路地図情報と、に基づいて、自車両位置と料金所のETCゲートとの距離を演算する。システム解除部20によって、車両が料金所のETCゲートに所定の距離まで近づいたと判定された場合(ステップS4の「YES」)に、ブレーキ制御部10は自動的に解除状態に切り換えられる(ステップS6)。
【0043】
ステップS5では、手動解除スイッチ52による解除操作があるか否かを判定する。解除操作があればステップS6へ移行し、手動解除スイッチ52の解除操作がなければ、ブレーキ12を自動的に作動させる作動状態が継続され、再びスタートに移行し、このフローが繰り返される。
【0044】
ステップS6では、システム解除部20が、ブレーキ制御部10を解除状態に切り換える。これにより、ブレーキ12の自動的な作動が停止される。このように、自動解除モード選択スイッチ51によって選択されたモードの条件を満たすか、あるいは、手動解除スイッチ52によって解除状態が選択されることで、システム解除部20は、ブレーキ制御部10を作動状態から解除状態に切り換える。
【0045】
なお、衝突被害軽減システム100は、自動及び手動によって作動状態から解除状態に切り換え可能な構成としたが、自動または手動のいずれかのみによって切り換える構成としてもよい。
【0046】
次に、ブレーキ制御部10を解除状態から作動状態に復帰させるフローについて説明する。
【0047】
ブレーキ制御部10が解除状態である場合、ステップS1において「NO」と判定され、ステップS7へ移行する。
【0048】
ステップS7では、手動解除スイッチ52によって、ブレーキ制御部10を解除状態から作動状態に復帰させる復帰操作があるか否かを判定する。復帰操作があれば、ステップS8に移行し、システム解除部20は、ブレーキ制御部10を作動状態に復帰させる。手動解除スイッチ52による復帰操作がなければ、ステップS9に移行する。
【0049】
ステップS9では、システム復帰判定部30のタイマーを作動させる。次いで、ステップS10では、システム復帰判定部30が車速センサ42で検出した車両の速度を取得する。
【0050】
ステップS11では、システム復帰判定部30において、ステップS10で取得した車両の速度が所定の速度以上であるか否かを判定する。車両の速度が所定の速度以上であれば、ステップS12に移行する。車両の速度が所定の速度以上でなければ、ステップS13へ移行する。
【0051】
ステップS12では、システム復帰判定部30において、ステップS9にて作動したタイマーが作動してから所定の時間以上経過したか否かを判定する。所定の時間以上経過していれば、ステップS8へ移行し、所定の時間以上経過していなければ、再びステップS10に戻って車両の速度を取得する。
【0052】
ステップS13では、タイマーがリセットされ、再びステップS1に戻ってブレーキ制御部10が作動状態であるか否かを判定する。
【0053】
このように、システム復帰判定部30では、ステップS9〜S12の処理を行うことで、ブレーキ制御部10が解除状態に切り換えられているときに、車両が所定の速度以上で連続した所定の時間走行したか否かを判定する。システム解除部20は、システム復帰判定部30によって車両が所定の速度以上で連続した所定の時間走行したと判定されると、ブレーキ制御部10を解除状態から作動状態に自動的に復帰させる。
【0054】
以上の第1実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0055】
自動的にブレーキ12が作動しないようにブレーキ制御部10を解除した後、運転者がブレーキ制御部10を自動的にブレーキ12を作動させる状態に復帰させる操作を忘れても、車両が所定の速度以上で所定の時間走行すると、作動状態に自動的に復帰する。したがって、ブレーキ制御部10を自動的にブレーキ12を作動させる状態に復帰させていない状態で走行を続けることを防止することができる。
【0056】
さらに、車両が所定の速度以上で所定の時間走行すれば、ブレーキ制御部10が作動状態に復帰するので、前方の障害物と衝突するようなおそれのある状況になっても、ブレーキ12が自動的に作動し、車両を減速させて、車両が障害物に衝突したときの衝突エネルギを抑制して、衝突による被害を軽減することができる。
【0057】
また、ブレーキ制御部10の解除状態からの復帰の条件を所定の速度以上で連続走行した所定の時間としたことにより、ブレーキ制御部10が解除状態であるときに、所定の速度以上で走行したり、あるいは、所定の時間以上経過したりしても、所定の速度以上で連続した所定の時間走行しなければブレーキ制御部10が自動的に復帰することがない。これにより、ブレーキ制御部10の解除状態で、例えば、路面に鉄板が敷かれている工事現場などを走行しているときに、一時的に所定の速度以上になったり、あるいは、長時間作業していても、車間距離センサ41が鉄板を障害物と認識して、不必要にブレーキ12が作動してしまうことを防止できる。
【0058】
さらに、自動解除モード選択スイッチ51を備えたことにより、運転者がブレーキ制御部10を解除状態に切り換えなくとも、例えば、ETCゲートに近づいたときに、自動的に解除状態に切り換わる。これにより、運転者が切り換え操作を忘れても、ETCゲートに近づいたときに、自動的に解除状態に切り換わるので不必要にブレーキ12が作動してしまうことを防止できる。また、手動解除スイッチ52を備えたことにより、運転者が任意のときに、例えば、路面に鉄板が敷かれている工事現場で作業するときに、ブレーキ制御部10を解除状態にすることができる。これにより、コントロールユニット1が鉄板を障害物と認識して、不必要にブレーキ12を作動させてしまうことを防止できる。
【0059】
<第2実施形態>
以下、
図3を参照して、本発明の第2実施形態に係る衝突被害軽減システム200について説明する。
図3は、衝突被害軽減システム200のブロック図である。
【0060】
第2実施形態では、ブレーキ制御部10を解除状態から作動状態に自動的に復帰させる条件として、第1実施形態におけるシステム復帰判定部30が、車両が所定の速度以上で連続した所定の時間走行したか否かを判定することに加え、道路地図情報61と車両位置情報62とから、車両が道路地図情報61におけるあらかじめ定められた復帰ポイントに到達したか否かを並行して判定する点で相違している。
【0061】
車両は、ナビゲーションシステム60を備える。ナビゲーションシステム60は、道路地図情報61を格納する記憶媒体と、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)により車両位置情報62を取得する位置情報取得手段としてのGPSアンテナ63と、を備える。システム復帰判定部30は、ナビゲーションシステム60の道路地図情報61と車両位置情報62とに基づいて、あらかじめシステム復帰判定部30に記憶された所定の復帰ポイントに到達したか否かを判定する。復帰ポイントとは、例えば、料金所のETCゲートから進行方向に、所定距離離れた地点である。
【0062】
システム復帰判定部30には、例えば、ETCゲートから進行方向に向かって1km離れた地点が復帰ポイントとしてあらかじめ記憶される。車両が走行中である場合、システム復帰判定部30が、ナビゲーションシステム60からETCゲートの位置情報と、車両位置情報62とを認識し、ETCゲート通過後、車両が復帰ポイントに到達したと判定した場合に、システム解除部20は、ブレーキ制御部10を解除状態から作動状態に自動的に復帰させる。
【0063】
なお、復帰ポイントを、どのような施設からどのような距離離れた場所として登録するかは、適宜選択できる。また、道路地図情報61が格納される記憶媒体と車両位置情報62を取得する位置情報取得手段として、ナビゲーションシステム60を例示したが、これに限らず、道路地図情報61が格納された記憶媒体と、車両位置情報62を取得する位置情報取得手段と、を備えていれば、どのようなものであってもよい。
【0064】
上記の第2実施形態によれば、第1実施形態の効果に加え、以下の効果を奏する。
【0065】
道路地図情報61と車両位置情報62から、車両が道路地図情報61におけるあらかじめ登録された復帰ポイントに到達したか否かに基づいて、ブレーキ制御部10を解除状態から作動状態に自動的に復帰させることができる。これにより、ブレーキ制御部10を解除状態にする必要がある場所を離れれば、自動的にブレーキ制御部10は解除状態から作動状態に復帰される。よって、車両が所定の速度以上で連続した所定の時間走行していなくても、復帰ポイントに到達すれば、ブレーキ制御部10が自動的に解除状態から作動状態に復帰されるので、ブレーキ制御部10を自動的にブレーキ12が作動する状態に復帰させていない状態で走行を続けることをより一層防止することができる。
【0066】
<第3実施形態>
以下、
図4を参照して、本発明の第3実施形態に係る衝突被害軽減システム300について説明する。
図4は、衝突被害軽減システム300のブロック図である。
【0067】
第3実施形態ではブレーキ制御部10を解除状態から作動状態に自動的に復帰させる条件として、第1実施形態におけるシステム復帰判定部30が、車両が所定の速度以上で連続した所定の時間走行したか否かを判定することに加え、道路地図情報161と車両位置情報162と道路情報164とから、車両が道路地図情報161におけるあらかじめ定められた復帰ポイントに到達したか否かを並行して判定する点で相違している。
【0068】
車両は、ナビゲーションシステム160を備える。ナビゲーションシステム160は、道路地図情報161が格納された記憶媒体と、GPSにより車両位置情報162を取得する位置情報取得手段としてのGPSアンテナ163と、道路情報取得手段としてのVICS(登録商標)アンテナ165と、を備える。VICSアンテナ165は、VICS情報を取得する装置である。VICS情報には、道路の渋滞情報、工事情報、及び車線規制情報などの道路情報164が含まれる。
【0069】
システム復帰判定部30は、道路情報取得手段によって取得された道路情報164に、渋滞箇所、工事箇所、あるいは車線規制箇所に関する情報が含まれていると、これらの箇所の所定の距離手前にある地点を復帰ポイントとして記憶する。
【0070】
ブレーキ制御部10が解除状態に切り換えられているときに、システム復帰判定部30は、道路地図情報161、車両位置情報162、及び道路情報164に基づいて、車両が復帰ポイントに到達したか否かを判定する。
【0071】
システム復帰判定部30が、車両が復帰ポイントに到達したと判定したときに、システム解除部20は、ブレーキ制御部10を解除状態から作動状態に自動的に復帰させる。
【0072】
上記の第3実施形態によれば、第1実施形態の効果に加え、以下の効果を奏する。
【0073】
時間とともに変化する道路情報164によっても、ブレーキ制御部10を解除状態から作動状態に自動的に復帰させることができる。よって、車両が所定の速度以上で連続した所定の時間走行していなくても、復帰ポイントに到達すれば、ブレーキ制御部10が自動的に解除状態から作動状態に復帰されるので、ブレーキ制御部10を自動的にブレーキ12が作動する状態に復帰させていない状態で走行を続けることをより一層防止することができる。
【0074】
<第4実施形態>
以下、
図5を参照して、本発明の第4実施形態に係る衝突被害軽減システム400について説明する。
図5は、衝突被害軽減システム400のブロック図である。
【0075】
第4実施形態ではブレーキ制御部10を解除状態から作動状態に自動的に復帰させる条件として、第1実施形態におけるシステム復帰判定部30が、車両が所定の速度以上で連続した所定の時間走行したか否かを判定することに加え、車両が車線を逸脱した逸脱状態であるか否かを並行して判定する点で相違している。
【0076】
車両は、車載カメラ71と、車載逸脱警報装置としての車載逸脱警報ECU72と、を備える。車載カメラ71は、車両の前方または後方の所定位置に所取り付けられ、車両の前方又は後方の画像を撮影する。車載逸脱警報ECU72は、車載カメラ71で撮影された画像を画像処理して車線境界線を検出する。車載逸脱警報ECU72は、車両が走行中の車線を逸脱しているか否かを監視し、所定の時間以上車線を逸脱している場合、あるいは、所定の頻度以上逸脱している場合には、車両が逸脱状態にあると判定して、システム解除部20に信号を送信する。システム解除部20は、ブレーキ制御部10を解除状態であるときに、車載逸脱警報ECU72から車両が逸脱状態であることを示す信号を受信すると、ブレーキ制御部10を解除状態から作動状態に復帰させる。
【0077】
また、車載逸脱警報ECU72は、車両が逸脱状態であるときには、警報表示器31や警報ブザー32にも信号を送信する。これにより、警報表示器31には、運転者に向けて警報メッセージが表示され、警報ブザー32からは、運転者に向けて警報音が発せられる。
【0078】
上記の第4実施形態によれば、第1実施形態の効果に加え、以下の効果を奏する。
【0079】
車両が車線を逸脱した逸脱状態であるときには、ブレーキ制御部10を解除状態から作動状態に自動的に復帰させることができる。よって、運転者の居眠りなどにより、車両が車線を外れて走行している場合、あるいは、車両がふらついて走行している場合には、ブレーキ制御部10が自動的に解除状態から作動状態に復帰されるので、ブレーキ制御部10を自動的にブレーキ12が作動する状態に復帰させていない状態で走行を続けることを防止することができる。
【0080】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。また、上記実施形態は、適宜組み合わせることも可能である。