特許第6388319号(P6388319)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6388319
(24)【登録日】2018年8月24日
(45)【発行日】2018年9月12日
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/3233 20160101AFI20180903BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20180903BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20180903BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20180903BHJP
   H05B 33/12 20060101ALI20180903BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20180903BHJP
【FI】
   G09G3/3233
   G09G3/20 611H
   G09G3/20 622C
   G09G3/20 622D
   G09G3/20 623C
   G09G3/20 623D
   G09G3/20 624B
   G09G3/20 642A
   G09G3/20 670K
   G09G3/20 670D
   H05B33/14 A
   H01L27/32
   H05B33/12 B
   G09F9/30 338
   G09F9/30 365
【請求項の数】9
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2016-553959(P2016-553959)
(86)(22)【出願日】2015年9月29日
(86)【国際出願番号】JP2015004936
(87)【国際公開番号】WO2016059756
(87)【国際公開日】20160421
【審査請求日】2017年3月3日
(31)【優先権主張番号】特願2014-211843(P2014-211843)
(32)【優先日】2014年10月16日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】514188173
【氏名又は名称】株式会社JOLED
(74)【代理人】
【識別番号】100189430
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100190805
【弁理士】
【氏名又は名称】傍島 正朗
(72)【発明者】
【氏名】三木 隆
【審査官】 橋本 直明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−071450(JP,A)
【文献】 特開2003−216100(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/063988(WO,A1)
【文献】 特開2009−276744(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0174629(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0061291(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/3233
G09F 9/30
G09G 3/20
H01L 27/32
H01L 51/50
H05B 33/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
行列状に配置された複数の画素を備える表示装置であって、
前記複数の画素の各々は、
供給される電流量に応じて発光する発光素子と、
前記発光素子の発光を制御するトランジスタと、
前記トランジスタのゲートに接続された第1スイッチとを有し、
前記表示装置は、前記表示装置に対する電源供給が停止した場合に前記複数の画素の各々における前記ゲートの電荷を引き抜く電荷引抜部を備え
前記電荷引抜部は、
前記表示装置の外部から供給される電源電圧が、当該電源電圧の最大値であるハイレベル電圧よりも小さい第1閾値電圧以下になったことを検出する第1検出器と、
前記電源電圧が、前記第1閾値電圧より小さくかつ当該電源電圧の最小値であるローレベル電圧よりも大きい第2閾値電圧以下になったことを検出する第2検出器と、を有し、
前記電荷引抜部は、前記第1検出器により前記電源電圧が前記第1閾値電圧以下となったことが検出された時点から、前記第2検出器により前記電源電圧が前記第2閾値電圧以下となったことが検出された時点までの間に、前記第1スイッチを導通させることにより前記電荷を引き抜く
表示装置。
【請求項2】
前記第1スイッチは、第1配線と前記ゲートとの導通及び非導通を切り替え、
前記電荷引抜部は、前記第1検出器により前記電源電圧が前記第1閾値電圧以下となったことが検出された場合、前記第1配線の電圧が所定の電圧となった後に、前記第1スイッチを導通させる
請求項に記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示装置は、さらに、前記ゲートに接続された第2スイッチを備え、
前記電荷引抜部は、前記第1検出器により前記電源電圧が前記第1閾値電圧以下となったことが検出された場合、前記第2スイッチを導通させることにより前記電荷を引き抜く
請求項に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1スイッチは、第1配線と前記ゲートとの導通及び非導通を切り替え、
前記第2スイッチは、前記第1配線と異なる第2配線と前記ゲートとの導通及び非導通を切り替え、
前記第2配線には、所定の電圧が印加されている
請求項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1スイッチ及び前記第2スイッチは、第1配線と前記ゲートとの導通及び非導通を切り替え、
前記電荷引抜部は、前記第1検出器により前記電源電圧が前記第1閾値電圧以下となったことが検出された場合、前記第1配線の電圧が所定の電圧となった後に、前記第2スイッチを導通させる
請求項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第1配線は、前記複数の画素に対して、前記発光素子の発光を制御するための電源電圧を供給する電源線、又は、前記発光素子の輝度に対応する信号電圧を供給する信号線である
請求項2、4及び5のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記電荷引抜部は、一端が前記ゲートに接続された抵抗素子を含み、
前記抵抗素子の他端には、前記電源供給が停止した場合に所定の電圧が印加される
請求項1に記載の表示装置。
【請求項8】
前記所定の電圧は、前記トランジスタへの電気的ストレスを抑制する電圧である
請求項2、4、5及び7のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記トランジスタは、前記発光素子に電流を供給する駆動トランジスタである
請求項1〜のいずれか1項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、行列状に配置された複数の画素を備える表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL(Electro Luminescence)を利用した有機ELディスプレイ等のアクティブマトリクス方式の表示装置には、駆動トランジスタとして薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)が用いられている。
【0003】
このような薄膜トランジスタとして、酸化物半導体層にチャネルが形成される酸化物薄膜トランジスタを用いた表示装置では、当該表示装置に対する電源電圧の供給が停止した場合に、画素の特定のノードに電荷が保持され続けることにより、表示品質の悪化等の不具合が生じる虞がある。
【0004】
そこで、表示装置に対する電源電圧の供給が停止した場合に、駆動トランジスタのゲートとソースとを電気的に接続するトランジスタを設けることにより、上記の不具合を抑制する構成が開示されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−218311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような構成では、表示装置に対する電源電圧の供給が停止した場合に、駆動トランジスタのゲートの電荷が十分に抜けない虞がある。よって、駆動トランジスタのゲートに残った電荷によって当該駆動トランジスタに負荷がかかるので、信頼性の劣化、及び、特性の劣化が生じる虞がある。このような画素内のトランジスタの劣化は、表示装置の長期信頼性に影響を及ぼすという問題がある。
【0007】
本開示は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、表示装置に対する電源供給が停止している期間における画素内のトランジスタの劣化を抑制できる表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題に鑑みて、本開示に係る表示装置は、行列状に配置された複数の画素を備える表示装置であって、複数の画素の各々は、供給される電流量に応じて発光する発光素子と、発光素子の発光を制御するトランジスタと、トランジスタのゲートに接続された第1スイッチとを有し、表示装置は、表示装置に対する電源供給が停止した場合に複数の画素の各々におけるゲートの電荷を引き抜く電荷引抜部を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、表示装置に対する電源供給が停止している期間における画素内のトランジスタの劣化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施の形態1に係る表示装置の構成例を示すブロック図である。
図2図2は、図1中の表示パネルの構成例を示すブロック図である。
図3図3は、実施の形態1における画素の構成を示す回路図である。
図4図4は、実施の形態1に係る表示装置における電源停止動作を示すタイミングチャートである。
図5図5は、実施の形態1に係る表示装置の通常動作及び電源停止動作の詳細なタイミング例を示すタイミングチャートである。
図6図6は、実施の形態1において、駆動トランジスタの各ノードから電荷が引き抜かれる様子を説明する説明図である。
図7図7は、実施の形態1の変形例において、駆動トランジスタの各ノードから電荷が引き抜かれる様子の一例を説明する説明図である。
図8図8は、実施の形態1の変形例において、駆動トランジスタの各ノードから電荷が引き抜かれる様子の他の一例を説明する説明図である。
図9図9は、実施の形態2に係る表示装置の構成例を示すブロック図である。
図10図10は、図9中の表示パネルの構成例を示すブロック図である。
図11図11は、実施の形態2における画素の構成を示す回路図である。
図12図12は、実施の形態2に係る表示装置における電源停止動作を示すタイミングチャートである。
図13図13は、実施の形態2において、駆動トランジスタの各ノードから電荷が引き抜かれる様子を説明する説明図である。
図14図14は、実施の形態2の変形例1における画素の構成を示す回路図である。
図15図15は、実施の形態2の変形例2における画素の構成を示す回路図である。
図16図16は、実施の形態2の変形例3に係る表示装置の構成を示すブロック図である。
図17図17は、実施の形態2の変形例3における画素の構成を示す回路図である。
図18図18は、実施の形態1の他の変形例において、駆動トランジスタのゲートから電荷が引き抜かれる様子を説明する説明図である。
図19図19は、実施の形態2の他の変形例における画素の構成を示す回路図である。
図20図20は、他の実施の形態における画素の構成を示す回路図である。
図21図21は、フラットパネルディスプレイの外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示に係る表示装置の一態様は、行列状に配置された複数の画素を備える表示装置であって、複数の画素の各々は、供給される電流量に応じて発光する発光素子と、発光素子の発光を制御するトランジスタと、トランジスタのゲートに接続された第1スイッチとを有し、表示装置は、表示装置に対する電源供給が停止した場合に複数の画素の各々におけるゲートの電荷を引き抜く電荷引抜部を備える。
【0012】
このように、表示装置は、当該表示装置に対する電源供給が停止した場合にトランジスタのゲートの電荷を引き抜く。よって、表示装置に対する電源供給が停止している期間においてトランジスタにかかる負荷を抑制できる。したがって、本態様に係る表示装置は、当該期間における画素内のトランジスタの劣化を抑制できる。すなわち、表示装置の長期信頼性を確保できる。
【0013】
また、電荷引抜部は、表示装置の外部から供給される電源電圧の低下を検出することにより、電源供給の停止を検出する検出部を備えてもよい。
【0014】
これにより、表示装置の電源電圧がローレベル電圧(例えば、0[V])となる前に、当該電源供給の停止を検出することができる。よって、電荷引抜部による電荷の引き抜きに内部電圧が必要な場合であっても、トランジスタのゲートの電荷を引き抜くことができる。
【0015】
また、電荷引抜部は、検出部により電源供給の停止が検出された場合、第1スイッチを導通させることにより電荷を引き抜いてもよい。
【0016】
このように、本態様では、各画素に設けられている第1スイッチを導通させることにより電荷を引き抜く。よって、電荷を引き抜くための新たな構成を設ける必要がないので、画素構成を簡素化できる。
【0017】
また、第1スイッチは、第1配線とゲートとの導通及び非導通を切り替え、電荷引抜部は、検出部により電源供給の停止が検出された場合、第1配線の電圧が所定の電圧となった後に、第1スイッチを導通させてもよい。
【0018】
また、表示装置は、さらに、ゲートに接続された第2スイッチを備え、電荷引抜部は、検出部により電源供給の停止が検出された場合、第2スイッチを導通させることにより電荷を引き抜いてもよい。
【0019】
これにより、簡易な制御でトランジスタのゲートの電荷を引き抜くことができる。
【0020】
また、第1スイッチは、第1配線とゲートとの導通及び非導通を切り替え、第2スイッチは、第1配線と異なる第2配線とゲートとの導通及び非導通を切り替え、第2配線には、所定の電圧が印加されていてもよい。
【0021】
これにより、第2配線の電圧を切り替える必要が無いので、一層簡易な制御でトランジスタのゲートの電荷を引き抜くことができる。
【0022】
また、第1スイッチ及び第2スイッチは、第1配線とゲートとの導通及び非導通を切り替え、電荷引抜部は、検出部により電源供給の停止が検出された場合、第1配線の電圧が所定の電圧となった後に、第2スイッチを導通させてもよい。
【0023】
また、第1配線は、複数の画素に対して、発光素子の発光を制御するための電源電圧を供給する電源線、又は、発光素子の輝度に対応する信号電圧を供給する信号線であってもよい。
【0024】
このように、本態様では、表示装置に対する電源供給が行われている通常時において電源電圧又は信号電圧が供給されている第1配線の電圧を、当該電源供給が停止した電源停止時において所定の電圧とする。つまり、本態様では、第1配線の電圧を通常時と電源停止時とで切り替えることにより、第1配線を介して電荷を引き抜くことができる。すなわち、電荷を引き抜くための新たな構成を設ける必要がないので、構成を簡素化できる。
【0025】
また、電荷引抜部は、一端がゲートに接続された抵抗素子を含み、抵抗素子の他端には、電源供給が停止した場合に所定の電圧が印加されてもよい。
【0026】
これにより、スイッチを導通させることにより電荷を引き抜く構成と比較して、当該スイッチの導通及び非導通を切り替える制御が不要となるので、簡易な構成及び制御で、表示装置に対する電源供給が停止した場合にトランジスタのゲートの電荷を引き抜くことができる。
【0027】
また、所定の電圧は、トランジスタへの電気的ストレスを抑制する電圧であってもよい。
【0028】
これにより、トランジスタのゲートから電荷が引き抜かれて平衡状態となった場合、つまり、電荷の引き抜きが完了した場合、当該ゲートの電圧は、当該トランジスタへの電気的ストレスを抑制する電圧となる。よって、当該トランジスタにおける、信頼性の劣化、及び、特性の劣化を一層抑制できる。
【0029】
また、トランジスタは、発光素子に電流を供給する駆動トランジスタであってもよい。
【0030】
以下、本開示に係る表示装置の一態様について、図面を参照しながら具体的に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0031】
なお、発明者は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。例えば、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、以下の各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示したものではない。
【0032】
(実施の形態1)
以下、本開示の実施の形態1について説明する。
【0033】
[1−1.構成]
[1−1−1.表示装置]
まず、本実施の形態に係る表示装置の構成について、図1及び図2を用いて説明する。
【0034】
図1は、実施の形態1に係る表示装置の構成例を示すブロック図である。図2は、図1中の表示パネルの構成例を示すブロック図である。
【0035】
図1に示すように、表示装置1は、検出部10と、パネル制御部20と、表示パネル30とを備える。
【0036】
検出部10は、表示装置1に対する電源供給の停止を検出する。具体的には、検出部10は、表示装置1の外部から供給される電源電圧の低下を検出することにより、電源供給の停止を検出する。
【0037】
電源供給の停止とは、例えば、ユーザによるリモコンの電源ボタンの押下、表示装置1本体の電源ボタンの押下、ユーザによるオフタイマーの設定によるオフ時刻の到来、ユーザの無操作時間を計測するタイマーによる設定時間の経過、停電時のAC電源電圧の低下などによる電源電圧の低下を含む。
【0038】
検出部10は、具体的には、電源電圧が第1閾値電圧以下になったことを検出し、検出したタイミングで検出信号POR1を出力する第1検出器11と、電源電圧が第1閾値電圧より小さい第2閾値電圧以下になったことを検出し、検出したタイミングで検出信号POR2を出力する第2検出器12とを有する。つまり、検出部10は、電源供給が停止されることにより低下している電源電圧が第1閾値電圧になったときに検出信号POR1を出力し、その後も引き続いて低下している電源電圧が第2閾値電圧になったときに検出信号POR2を出力する。
【0039】
第1閾値電圧は、電源電圧の最大値であるハイレベル電圧VDDより小さく、かつ、電源電圧の最小値であるローレベル電圧VSSより大きな電圧である。第2閾値電圧は、第1閾値電圧より小さく、かつ、ローレベル電圧VSSより大きな電圧である。
【0040】
パネル制御部20は、検出部10により電源供給の停止が検出された場合、表示パネル30に対して、電源停止動作をさせるためのパネル制御信号Sig1、Sig2を出力する。具体的には、パネル制御部20は、第1検出器11から検出信号POR1が出力された場合にパネル制御信号Sig1を出力し、第2検出器12から検出信号POR2が出力された場合にパネル制御信号Sig2を出力する。
【0041】
表示パネル30は、表示装置1の外部から供給される電源を用いて動作する、例えば有機ELパネルである。この表示パネル30は、具体的には、図2に示すように、電源部31と、データ線駆動回路32と、走査線駆動回路33と、画素アレイ34とを備える。
【0042】
画素アレイ34は、少なくとも、互いに平行に配置されたN(例えばN=1080)本の走査線であるScan線と、Scan線に直交して配置されたM本のソース信号線であるData線とを有する。さらに、画素アレイ34は、Scan線とData線との各交点に、薄膜トランジスタおよびEL素子から構成される画素を有する。なお、画素の構成の詳細については、後述する。
【0043】
電源部31は、データ線駆動回路32、走査線駆動回路33、及び、画素アレイ34に電力を供給するとともに、画素アレイ34に各種電源電圧を供給する。ここでいう各種電源電圧は、図2に示すように、VINI、VREF、VTFT、VELであり、それぞれ、後述する初期化電源線、基準電圧電源線、ELアノード電源線、ELカソード電源線を介して各画素に供給される。
【0044】
データ線駆動回路32は、画素アレイ34のData線を駆動する。より具体的には、データ線駆動回路32は、所定のタイミングで、Data線に信号電圧DATAを出力する。
【0045】
走査線駆動回路33は、画素アレイ34のScan線等を駆動する。より具体的には、走査線駆動回路33は、所定のタイミングで、後述するScan線、Ref線、Enable線、Init線に走査信号、REF信号、イネーブル信号、init信号を出力することにより、画素内の各スイッチの導通及び非導通を制御する。
【0046】
ここで、電源部31、データ線駆動回路32及び走査線駆動回路33は、パネル制御部20からパネル制御信号Sig1、Sig2が出力された場合、画素アレイ34に供給する各種電源電圧、各種信号の電圧、及び、信号電圧(以下、「画素アレイ34への供給電圧」と記載する場合あり)を次のように低下させる。
【0047】
具体的には、電源部31、データ線駆動回路32及び走査線駆動回路33は、パネル制御部20からパネル制御信号Sig1が出力された場合、画素アレイ34への供給電圧のうちパネル制御信号Sig1に対応付けられた各種電源電圧、各種信号の電圧、及び、信号電圧(以下、「パネル制御信号Sig1に対応する電圧」と記載する場合あり)を低下させる。また、パネル制御部20からパネル制御信号Sig2が出力された場合、画素アレイ34への供給電圧のうちパネル制御信号Sig2に対応付けられた各種電源電圧、各種信号の電圧、及び、信号電圧(以下、「パネル制御信号Sig2に対応する電圧」と記載する場合あり)を低下させる。
【0048】
例えば、本実施の形態において、パネル制御信号Sig1に対応する電圧は、VINI、VREF、VTFT、VEL、VDATAであり、パネル制御信号Sig2に対応する電圧は、走査信号SCAN、REF信号REF、イネーブル信号ENB、init信号INIである。
【0049】
ここで、画素アレイ34への供給電圧はパルス波形の場合もあるが、この場合、パネル制御信号Sig1に対応する電圧、及び、パネル制御信号Sig2に対応する電圧は、当該パルス波形のハイレベル電圧に相当する。
【0050】
以上のように構成された表示装置1では、当該表示装置1に対する電源供給が停止した場合に、複数の画素の各々における駆動トランジスタのゲートの電荷を引き抜くことができる。本実施の形態において、この電荷の引き抜きは、検出部10、パネル制御部20、電源部31、データ線駆動回路32、及び、走査線駆動回路33によって、実現される。すなわち、表示装置1に対する電源供給が停止した場合に複数の画素の各々における駆動トランジスタのゲートの電荷を引き抜く電荷引抜部は、本実施の形態では、検出部10、パネル制御部20、電源部31、データ線駆動回路32、及び、走査線駆動回路33に相当する。
【0051】
なお、電源供給が停止した場合における当該電荷が引き抜かれるメカニズムについては、後述する。
【0052】
なお、表示装置1は、例えば、図示しないが、CPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを格納したROM(Read Only Memory)などの記憶媒体、RAM(Random Access Memory)などの作業用メモリ、および通信回路を有するとしてもよい。
【0053】
[1−1−2.画素]
続いて、画素アレイ34に配置された画素の構成の一例について、図3を用いて説明する。図3は、実施の形態1における画素の構成を示す回路図である。
【0054】
図3に示す画素160は、表示パネル30が有する一画素であり、Data線176を介して供給されたデータ信号(信号電圧)に応じた発光量で発光する。この画素160は、上述したように行列状に配置され、駆動トランジスタ161と、スイッチ162〜165と、EL素子166と、容量素子167と、を備えている。また、画素160には、Data線176と、基準電圧電源線168(VREF)と、ELアノード電源線169(VTFT)と、ELカソード電源線170(VEL)と、初期化電源線171(VINI)とを備える。
【0055】
ここで、Data線176は、信号電圧DATAを供給するための信号線である。
【0056】
基準電圧電源線168(VREF)は、容量素子167の第1電極の電圧値を規定する基準電圧VREFを供給する電源線である。ELアノード電源線169(VTFT)は、駆動トランジスタ161のドレイン電極の電位を決定するための高電圧側電源線である。ELカソード電源線170(VEL)は、EL素子166の第2電極(カソード)に接続された低電圧側電源線である。初期化電源線171(VINI)は、駆動トランジスタ161のゲート−ソース間の電圧すなわち容量素子167の電圧を初期化するための電源線である。
【0057】
EL素子166は、発光素子の一例であり、画素アレイ34において行列状に配置される。EL素子166は、駆動電流が流されて発光する発光期間と、駆動電流が流されず発光しない非発光期間とを有する。具体的には、EL素子166は、駆動トランジスタ161から供給される電流量に応じた発光量で発光する。EL素子166は、例えば有機EL素子である。EL素子166は、カソードが、ELカソード電源線170に接続され、アノードが、駆動トランジスタ161のソース(ソース電極)に接続されている。ここで、ELカソード電源線170に供給されている電圧はVELであり、例えば0[v]である。
【0058】
駆動トランジスタ161は、EL素子166への電流の供給量を制御する電圧駆動の駆動素子であり、EL素子166に電流(駆動電流)を流すことでEL素子166を発光させる。具体的には、駆動トランジスタ161は、ゲート電極が容量素子167の第1電極に接続され、ソース電極が容量素子167の第2電極およびEL素子166のアノードに接続されている。
【0059】
駆動トランジスタ161は、スイッチ163がオフ状態(非導通状態)にされて基準電圧電源線168と容量素子167の第1電極とが非導通で、かつ、スイッチ165がオン状態(導通状態)にされてELアノード電源線169とドレイン電極と導通した場合に、当該信号電圧に応じた電流である駆動電流をEL素子166に流すことにより、EL素子166を発光させる。ここで、ELアノード電源線169に供給されている電圧はVTFTであり、例えば20Vである。これにより、駆動トランジスタ161は、ゲート電極に供給された信号電圧を、当該信号電圧に対応した信号電流に変換し、変換された信号電流をEL素子166に供給する。
【0060】
また、駆動トランジスタ161は、スイッチ163がオフ状態(非導通状態)にされて基準電圧電源線168と容量素子167の第1電極とが非導通で、かつ、スイッチ165がオフ状態(非導通状態)にされてELアノード電源線169とドレイン電極とが非導通である場合に、駆動電流をEL素子166に流さないことでEL素子166を発光させない。
【0061】
容量素子167は、駆動トランジスタ161の流す電流量を決める電圧を保持する。具体的には、この容量素子167は、駆動トランジスタ161のゲート−ソース間に設けられ、容量素子167の第2電極(駆動トランジスタ161のソース側の電極)は、駆動トランジスタ161のソース(ELカソード電源線170側)とEL素子166のアノードとの間に接続されている。容量素子167の第1電極(駆動トランジスタ161のゲート側の電極)は、駆動トランジスタ161のゲートに接続されている。また、容量素子167の第1電極は、基準電圧電源線168(VREF)とスイッチ163を介して接続されている。
【0062】
スイッチ162は、信号電圧を供給するためのData線176(信号線)と容量素子167の第1電極との導通および非導通を切り換える。具体的には、スイッチ162は、ドレインおよびソースの一方の端子がData線176に接続され、ドレインおよびソースの他方の端子が容量素子167の第1電極に接続され、ゲートが走査線であるScan線172に接続されているスイッチングトランジスタである。換言すると、スイッチ162は、Data線176を介して供給された信号電圧(データ信号)を容量素子167に書き込むための機能を有する。
【0063】
スイッチ163は、基準電圧VREFを供給する基準電圧電源線168と容量素子167の第1電極との導通および非導通を切り換える。具体的には、スイッチ163は、ドレインおよびソースの一方の端子が基準電圧電源線168(VREF)に接続され、ドレインおよびソースの他方の端子が容量素子167の第1電極に接続され、ゲートがRef線173に接続されているスイッチングトランジスタである。換言すると、スイッチ163は、容量素子167の第1電極(駆動トランジスタ161のゲート)に対して基準電圧(VREF)を与える機能を有する。
【0064】
スイッチ164は、容量素子167の第2電極と初期化電源線171との導通および非導通を切り換える。具体的には、スイッチ164は、ドレインおよびソースの一方の端子が初期化電源線171(VINI)に接続され、ドレインおよびソースの他方の端子が容量素子167の第2電極に接続され、ゲートがInit線174に接続されているスイッチングトランジスタである。換言すると、スイッチ164は、容量素子167の第2電極(駆動トランジスタ161のソース)に対して初期化電圧(VINI)を与える機能を有する。
【0065】
スイッチ165は、ELアノード電源線169と駆動トランジスタ161のドレイン電極との導通および非導通を切り換える。具体的には、スイッチ165は、ドレインおよびソースの一方の端子がELアノード電源線169(VTFT)に接続され、ドレインおよびソースの他方の端子が駆動トランジスタ161のドレイン電極に接続され、ゲートがEnable線175に接続されているスイッチングトランジスタである。
【0066】
以上のように構成された画素160は、データ線駆動回路32からData線176を介して供給された信号電圧(データ信号)に応じた輝度で発光する。
【0067】
なお、画素160を構成するスイッチ162〜スイッチ164とスイッチ165とはn型TFTとして、以下では説明を行うが、それに限られない。スイッチ162〜スイッチ164とスイッチ165とは、p型TFTであってもよい。また、スイッチ162〜スイッチ164とスイッチ165とにおいて、n型TFTとp型TFTとが混在して用いられてもよい。なお、p型TFTのゲートに接続された信号線については以下で説明する電圧レベルを逆転させればよい。
【0068】
また、基準電圧電源線168の電圧VREFと初期化電源線171の電圧VINIとの電位差は駆動トランジスタ161の最大閾値電圧よりも大きな電圧に設定される。
【0069】
また、基準電圧電源線168の電圧VREF及び初期化電源線171の電圧VINIは、EL素子166に電流が流れないように、次のように設定されている。
【0070】
電圧VINI<電圧VEL+(EL素子166の順方向電流閾値電圧)、
(基準電圧電源線168の電圧VREF)<電圧VEL+(EL素子166の順方向電流閾値電圧)+(駆動トランジスタ161の閾値電圧)
【0071】
ここで、電圧VELは、上述したように、ELカソード電源線170の電圧である。
【0072】
[1−2.動作]
次に、上述したように構成された本実施の形態に係る表示装置1の動作について図4図6を用いて説明する。
【0073】
図4は、本実施の形態に係る表示装置1における電源停止動作を示すタイミングチャートである。図5は、本実施の形態に係る表示装置1の通常動作及び電源停止動作の詳細なタイミング例を示すタイミングチャートである。図6は、本実施の形態において、駆動トランジスタ161の各ノードから電荷が引き抜かれる様子を説明する説明図である。ここで、駆動トランジスタ161のノードとは、駆動トランジスタ161のゲート、ドレイン又はソースである。
【0074】
なお、図4には、表示装置1の電源電圧と、検出信号POR1と、検出信号POR2と、画素アレイ34への供給電圧のうちパネル制御信号Sig1に対応する電圧Sig1*と、画素アレイ34への供給電圧のうちパネル制御信号Sig2に対応する電圧Sig2*とが示されている。ただし、図中のSig1*、Sig2*は、画素アレイ34への供給電圧の傾向を模式的に示した一例である。つまり、画素アレイ34への供給電圧は、図中のSig1*、Sig2*のように最小電圧がVSSかつ最大電圧がVDDでない場合もある。また、画素アレイ34への供給電圧は、ハイレベル電圧が図中のSig1*、Sig2*のような傾向を示すパルス波形の場合もある。
【0075】
また、図5には、画素アレイ34へ供給される各種電源電圧及び各種信号が示されている。ここでいう各種電源電圧はVINI、VREF、VTFT、VELであり、各種信号は、走査信号SCAN、REF信号REF、イネーブル信号ENB、init信号INI、信号電圧DATAである。
【0076】
[1−2−1.通常動作]
まず、本実施の形態に係る表示装置1の通常動作について説明する。ここで、通常動作とは、表示装置1に対する電源供給が停止される前(図4の時刻t1より前)の表示装置1の動作である。なお、通常動作とは、検出部10によって電源供給の停止が検出される前(図4の時刻t2より前)の動作でもよい。
【0077】
図4に示すように、通常動作では、各種電源電圧及び各種信号として、所定のタイミングかつ所定の電圧が供給される。具体的には、図5に示すように、通常動作では、各種電源電圧は一定の電圧が連続して供給され、各種信号の各々は、一定の電圧(スイッチ162〜165を導通させるハイレベル電圧)が所定のタイミングで供給される。これにより、通常動作では、画素160は、以下の(i)〜(iv)のように動作する。
【0078】
具体的には、(i)INIをHIGH、かつ、REFをHIGHにすることにより、スイッチ163、164を導通させ、駆動トランジスタ161の閾値電圧補償を行うためのドレイン電流を流すのに必要な初期電圧を容量素子167に保持させる(初期化動作)。次に、(ii)INIをLOWにした後にENBをHIGHとすることにより、スイッチ165を導通させてドレイン電流を流す。これにより、駆動トランジスタ161の閾値電圧に相当する電圧を容量素子167に保持させる(閾値補償動作)。その後、(iii)ENB、RFFをLOWにした後にSCANをHIGHにすることにより、スイッチ162を導通させて信号電圧DATAを書き込む(書き込み動作)。最後に、(iv)ENBをHIGHにすることによりスイッチ165を導通させてEL素子166を発光させる(発光動作)。
【0079】
このような動作により、通常動作において、表示装置1は、各画素160の駆動トランジスタ161の閾値電圧のバラつきを抑制して発光することができる。
【0080】
[1−2−2.電源停止動作]
ここで、このような画素160において、駆動トランジスタ161のゲートは、スイッチ162を介してData線176に接続されている。また、当該ゲートは、スイッチ163を介して基準電圧電源線168に接続されている。すなわち、当該ゲートは、スイッチ162、163が非導通になった場合、いずれの配線にも接続されないフローティング状態となる。
【0081】
これにより、表示装置1に対する電源電圧の供給が停止した場合、駆動トランジスタ161のゲートの電荷が十分に抜けない虞がある。これは以下のような理由による。
【0082】
具体的には、通常、駆動トランジスタ161には、電子の移動度が高いことから薄膜トランジスタが用いられる。特に、酸化物薄膜トランジスタは、オフ時のリーク電流が極めて小さく、リーク電流の大きさがpAオーダーであるという長所があることから駆動トランジスタ161に適している。しかしながら、このような酸化物薄膜トランジスタは、リーク電流が極めて小さいために、表示装置1の電源供給が停止された後であっても、各画素160の内部では電源供給が停止される直前での電荷が保持される。
【0083】
このような駆動トランジスタ161のゲートに保持された電荷によって、次のような問題を生じる虞がある。
【0084】
具体的には、このような電荷により駆動トランジスタ161に印加される電圧は、当該駆動トランジスタ161に対する電気的ストレスとなる。これにより、駆動トランジスタ161の閾値電圧シフトが生じる虞がある。すなわち、駆動トランジスタ161の信頼性の劣化、及び、特性の劣化が生じる虞がある。このような画素内のトランジスタの劣化は、表示装置の特性及び信頼性に影響を及ぼす虞がある。
【0085】
そこで、本実施の形態に係る表示装置1では、当該表示装置1に対する電源供給が停止した場合に、駆動トランジスタ161のゲートの電荷を引き抜くことにより、上記の問題を解決する。以下、本実施の形態に係る表示装置1の電源停止動作について、具体的に説明する。
【0086】
図4に示すように、時刻t1において、例えば表示装置1本体の電源ボタンが押下されることにより当該表示装置1に対する電源供給が停止すると、時刻t1以降では、電源電圧が次第に低下する。
【0087】
時刻t2において、電源電圧が第1閾値電圧以下になると、検出部10によって検出信号POR1が出力される。よって、パネル制御部20によって、表示パネル30に対して電源停止動作をさせるためのパネル制御信号Sig1が出力される。したがって、画素アレイ34への供給電圧のうち、パネル制御信号Sig1に対応する電圧(本実施の形態では、VINI、VREF、VTFT、VEL、VDATA)が、図中のSig1*のように低下する。
【0088】
これにより、時刻t3において、パネル制御信号Sig1に対応する電圧(本実施の形態では、VINI、VREF、VTFT、VEL、VDATA)が、ローレベル電圧(例えば、VSS)となる。
【0089】
次に、時刻t4において、電源電圧が第2閾値電圧以下になると、検出部10によって検出信号POR2が出力される。よって、パネル制御部20によって、表示パネル30に対して電源停止動作をさせるためのパネル制御信号Sig2が出力される。したがって、画素アレイ34への供給電圧のうち、パネル制御信号Sig2に対応する電圧(本実施の形態では、走査信号SCAN、REF信号REF、イネーブル信号ENB、init信号INI)が、図中のSig2*のように低下する。
【0090】
ここで、時刻t3〜t4では、Sig1*はローレベル電圧になっているものの、Sig2*は低下していない。よって、図5に示すように、パネル制御信号Sig2に対応する電圧(信号)であるINI、REF、ENB、SCANが通常動作と同様にHIGHになることにより、スイッチ162〜165が導通する。
【0091】
これにより、時刻t3〜t4では、図6に示すように、駆動トランジスタ161のゲート、ドレイン及びソースの電荷が引き抜かれる。
【0092】
具体的には、駆動トランジスタ161のゲートの電荷は、スイッチ162を介してローレベル電圧(例えば、VSS)が印加されたData線176に引き抜かれる。また、さらに、当該ゲートの電荷は、スイッチ163を介してローレベル電圧(例えば、VSS)が印加された基準電圧電源線168に引き抜かれる。さらに具体的には、駆動トランジスタ161のゲートの電荷は、スイッチ162及びData線176を介してデータ線駆動回路32に引き抜かれる、又は、スイッチ163及び基準電圧電源線168を介して電源部31に引き抜かれる。
【0093】
また、駆動トランジスタ161のドレインの電荷は、スイッチ165を介してローレベル電圧(例えば、VSS)が印加されたELアノード電源線169に引き抜かれる。さらに具体的には、駆動トランジスタ161のドレインの電荷は、スイッチ165及びELアノード電源線169を介して電源部31に引き抜かれる。
【0094】
また、駆動トランジスタ161のソースの電荷は、スイッチ164を介してローレベル電圧(例えば、VSS)が印加された初期化電源線171に引き抜かれる。さらに具体的には、駆動トランジスタ161のソースの電荷は、スイッチ164及び初期化電源線171を介して電源部31に引き抜かれる。
【0095】
その後、時刻t4〜t5において、電源電圧の低下に伴ってSig*2も次第に低下し、電源電圧がローレベル(例えば、VSS)となった時刻t5において、Sig*2もローレベルとなる。つまり、時刻t5以降では各スイッチ162〜164が非導通状態となることにより、駆動トランジスタ161のゲート、ドレイン及びソースはフローティング状態となる。
【0096】
このように、本実施の形態に係る表示装置1では、検出部10によって電源供給の停止が検出された場合、各種電源電圧及び信号電圧(VINI、VREF、VTFT、VEL、VDATA)を低下させた後に、スイッチ162〜165を導通させる。これにより、表示装置1は、スイッチ162〜165を介して、駆動トランジスタ161のゲート、ドレイン及びソースの電荷を引き抜くことができる。
【0097】
ここで、上述したように、駆動トランジスタ161のゲート、ドレイン及びソースの電荷は、上述の時刻t3〜t4において引き抜かれている。よって、時刻t5において、駆動トランジスタ161のゲート、ドレイン及びソースがフローティング状態となったとき、これらゲート、ドレイン及びソースに保持される電荷を抑制できる。
【0098】
よって、本実施の形態に係る表示装置1では、フローティング状態になったときに駆動トランジスタ161のゲートに電荷が保持されていることにより生じる駆動トランジスタ161への負荷を抑制できる。つまり、表示装置1では、駆動トランジスタ161の信頼性の劣化、及び、特性の劣化を抑制できる。その結果、表示装置1の特性及び信頼性を保つことができる。
【0099】
なお、時刻t3〜t4の期間は、例えば、1フレーム期間以上であればよい。これにより、全ての画素行において、各種電源電圧及び信号電圧(VINI、VREF、VTFT、VEL、VDATA)をローレベル電圧まで低下させた後に、スイッチ162〜165を導通させることができる。よって、全ての画素行において、スイッチ162〜165を介して、駆動トランジスタ161のゲート、ドレイン及びソースの電荷を引き抜くことができる。
【0100】
また、上記説明では、各画素160からの電荷の引き抜きは、時刻t3〜t4において行順次に行われているとした。つまり、電源停止動作においても、通常動作と同様に、走査信号SCAN、REF信号REF、イネーブル信号ENB、init信号INIを行順次にHIGHにすることにより、全画素160から電荷を引き抜いている。これにより、走査線駆動回路33は、通常動作と電源停止動作とで、走査信号SCAN、REF信号REF、イネーブル信号ENB、init信号INIをHIGHにするタイミングを変える必要がないので、簡易な制御で電荷を引き抜くことができる。
【0101】
なお、各画素160からの電荷の引き抜きは、時刻t3〜t4のいずれかのタイミングで一斉に行われてよい。つまり、各種電源電圧及び信号電圧(VINI、VREF、VTFT、VEL、VDATA)がローレベル電圧まで低下した後に、全ての画素行に対して、走査信号SCAN、REF信号REF、イネーブル信号ENB、init信号INIをHIGHにしてもよい。これにより、電荷の引き抜きに要する時間を短縮できる。
【0102】
[1−3.効果等]
以上説明したように、本実施の形態に係る表示装置1は、行列状に配置された複数の画素160を備える表示装置であって、複数の画素160の各々は、供給される電流量に応じて発光するEL素子166と、EL素子166の発光を制御する駆動トランジスタ161と、駆動トランジスタ161のゲートに接続された第1スイッチであるスイッチ162、163とを有し、表示装置1は、当該表示装置1に対する電源供給が停止した場合に複数の画素160の各々におけるゲートの電荷を引き抜く電荷引抜部を備える。
【0103】
このように、本実施の形態に係る表示装置1は、表示装置1に対する電源供給が停止した場合に駆動トランジスタ161のゲートの電荷を引き抜く。よって、表示装置1に対する電源供給が停止している期間において駆動トランジスタ161にかかる負荷(電気的ストレス)を抑制できる。したがって、本実施の形態に係る表示装置1は、当該期間における画素160内の駆動トランジスタ161の劣化を抑制できる。すなわち、表示装置1の長期信頼性を確保できる。
【0104】
ここで、本実施の形態において、表示装置1に対する電源供給が停止した場合に複数の画素160の各々における駆動トランジスタ161のゲートの電荷を引き抜く電荷引抜部は、検出部10、パネル制御部20、電源部31、データ線駆動回路32及び走査線駆動回路33に相当する。
【0105】
つまり、本実施の形態では、電荷引抜部は、表示装置1の外部から供給される電源電圧の低下を検出することにより、電源供給の停止を検出する検出部10を備える。
【0106】
これにより、表示装置1の電源電圧がローレベル電圧(例えば、VSS)となる前に、当該電源供給の停止を検出することができる。よって、電荷引抜部による電荷の引き抜きに内部電圧が必要な場合であっても、駆動トランジスタ161のゲートの電荷を引き抜くことができる。
【0107】
また、電荷引抜部は、検出部10により電源供給の停止が検出された場合、スイッチ162、163を導通させることにより電荷を引き抜く。
【0108】
このように、本実施の形態では、各画素160に設けられているスイッチ162、163を導通させることにより電荷を引き抜く。よって、電荷を引き抜くための新たな構成を設ける必要がないので、画素構成を簡素化できる。
【0109】
具体的には、スイッチ162、163は、本実施の形態における第1配線であるData線176及び基準電圧電源線168と駆動トランジスタ161のゲートとの導通及び非導通を切り替え、電荷引抜部は、検出部10により電源供給の停止が検出された場合、Data線176及び基準電圧電源線168の電圧がローレベル電圧となった後に、スイッチ162、163(いずれも第1スイッチ)を導通させる。
【0110】
ここで、Data線176及び基準電圧電源線168は、複数の画素160に対して、EL素子166の発光を制御するための電源電圧を供給する電源線、又は、EL素子166の輝度に対応する信号電圧DATAを供給する信号線である。
【0111】
このように、本実施の形態では、表示装置1に対する電源供給が行われている通常時において電源電圧又は信号電圧が供給されているData線176及び基準電圧電源線168の電圧を、当該電源供給が停止した電源停止時においてローレベル電圧(例えば、VSS)とする。つまり、本実施の形態では、Data線176及び基準電圧電源線168の電圧を通常時と電源停止時とで切り替えることにより、Data線176及び基準電圧電源線168を介して電荷を引き抜くことができる。すなわち、電荷を引き抜くための新たな構成を設ける必要がないので、構成を簡素化できる。
【0112】
また、例えば、ローレベル電圧(例えば、VSS)は、駆動トランジスタ161への電気的ストレスを抑制する電圧である。
【0113】
これにより、駆動トランジスタ161のゲートから電荷が引き抜かれて平衡状態となった場合、つまり、電荷の引き抜きが完了した場合、当該ゲートの電圧は、当該駆動トランジスタ161への電気的ストレスを抑制する電圧となる。よって、当該駆動トランジスタ161における、信頼性の劣化、及び、特性の劣化を一層抑制できる。
【0114】
なお、本実施の形態では、電気的ストレスを抑制できる電圧としてローレベル電圧(例えば、0[V]等のVSS)を例に説明したが、これに限らない。例えば、電気的ストレスを抑制できる電圧は、駆動トランジスタ161のゲート−ソース間電圧が当該駆動トランジスタ161の閾値電圧となるような電圧であってもよい。
【0115】
(実施の形態1の変形例)
上記実施の形態1では、表示装置1に対する電源供給が停止した場合、駆動トランジスタ161のゲートの電荷は、スイッチ162及びData線176と、スイッチ163及び基準電圧電源線168とを介して、データ線駆動回路32及び電源部31に引き抜かれた。しかし、図7及び図8に示すように、表示装置1に対する電源供給が停止した場合、駆動トランジスタ161のゲートの電荷は、スイッチ162及びData線176と、スイッチ163及び基準電圧電源線168との一方を介して引き抜かれてもよい。図7及び図8は、実施の形態1の変形例において、駆動トランジスタ161の各ノードから電荷が引き抜かれる様子を説明する説明図である。具体的には、これらの図は、実施の形態1の変形例において、図4の時刻t3〜t4における画素160の状態を示す説明図である。
【0116】
すなわち、図6図8に示すように、電源部31及びデータ線駆動回路32は、検出部10により電源供給の停止が検出された場合、駆動トランジスタ161のゲートに接続されたスイッチ162、163の少なくとも1つを導通させることにより、当該ゲートの電荷を引き抜けばよい。具体的には、電源部31及びデータ線駆動回路32は、検出部10により電源供給の停止が検出された場合、当該少なくとも1つに接続された配線(Data線176又は基準電圧電源線168)の電圧がローレベル電圧(VSS)となった後に、当該少なくとも1つを導通させればよい。
【0117】
言い換えると、上記実施の形態1では、画素アレイ34への供給電圧のうちパネル制御信号Sig1に対応する電圧は、VINI、VREF、VTFT、VEL、VDATAであった。また、画素アレイ34への供給電圧のうちパネル制御信号Sig2に対応する電圧(信号)は、走査信号SCAN、REF信号REF、イネーブル信号ENB、init信号INIであった。しかしながら、これらパネル制御信号Sig1、Sig2と画素アレイ34への供給電圧との対応付けは、上記実施の形態1に限らない。
【0118】
すなわち、パネル制御信号Sig1に対応する電圧(信号)は、VINI、VREF、VTFT、VEL、DATA、さらに、REF信号REFであってもよく、パネル制御信号Sig2に対応する電圧(信号)は、走査信号SCAN、イネーブル信号ENB、init信号INIであってもよい。これにより、図7に示すように、表示装置1に対する電源供給が停止した場合、駆動トランジスタ161のゲートの電荷は、スイッチ162及びData線176を介して引き抜かれる。
【0119】
また、パネル制御信号Sig1に対応する電圧(信号)は、VINI、VREF、VTFT、VEL、DATA、さらに、走査信号SCANであってもよく、パネル制御信号Sig2に対応する電圧(信号)は、REF信号REF、イネーブル信号ENB、init信号INIであってもよい。これにより、図8に示すように、表示装置1に対する電源供給が停止した場合、駆動トランジスタ161のゲートの電荷は、スイッチ163及び基準電圧電源線168を介して引き抜かれる。
【0120】
(実施の形態2)
次に、本開示の実施の形態2について、実施の形態1と異なる点を中心に説明する。上記実施の形態1では、表示装置1に対する電源供給が停止した場合に、通常動作においてEL素子166の発光を制御するためのスイッチ162、163を介して、駆動トランジスタ161のゲートの電荷を引き抜いた。これに対して、本実施の形態では、スイッチ162、163以外のスイッチであって、表示装置1に対する電源供給が停止した場合に駆動トランジスタ161のゲートの電荷を引き抜くためのスイッチを備える。
【0121】
[2−1.構成]
[2−1−1.表示装置]
まず、本実施の形態に係る表示装置の構成について、図9及び図10を用いて説明する。
【0122】
図9は、実施の形態2に係る表示装置の構成例を示すブロック図である。図10は、図9中の表示パネルの構成例を示すブロック図である。
【0123】
これらの図に示すように、本実施の形態に係る表示装置2は、実施の形態に係る表示装置1とほぼ同様であるが、パネル制御部220から表示パネル230に出力される信号、及び、表示パネル230の構成が異なる。
【0124】
パネル制御部220は、実施の形態1におけるパネル制御部20と比較して、さらにリセット信号RSTを出力する。具体的には、パネル制御部220は、検出部10により電源供給の停止が検出された場合、表示パネル230に対して、リセット信号RSTを出力する。より具体的には、パネル制御部220は、第1検出器11によって検出信号POR1が出力されてから、第2検出器12によって検出信号POR2が出力されるまでの期間、HIGHとなるようなリセット信号RSTを出力する。
【0125】
また、実施の形態1におけるパネル制御部20は、第1検出器11から検出信号POR1が出力された場合にパネル制御信号Sig1を出力し、第2検出器12から検出信号POR2が出力された場合にパネル制御信号Sig2を出力したが、本実施の形態におけるパネル制御部220は、第2検出器12から検出信号POR2が出力された場合にパネル制御信号Sig1、Sig2を出力する。
【0126】
表示パネル230は、実施の形態1における表示パネル30と比較して、電源部231によって供給される電圧が異なる。また、画素アレイ234に配置された画素の構成が異なる。
【0127】
電源部231は、実施の形態1に係る電源部31と比較して、さらに、リセット電圧VRSTを画素アレイ234に供給する。ここで、このリセット電圧VRSTは、例えば、駆動トランジスタ161への電気的ストレスを抑制する電圧(例えば、0[V])である。
【0128】
画素アレイ234は、実施の形態1における画素アレイ34と比較して、画素の構成が異なる。
【0129】
[2−1−2.画素]
続いて、画素アレイ234に配置された画素の構成の一例について、図11を用いて説明する。図11は、実施の形態2における画素の構成を示す回路図である。
【0130】
図11に示す画素260は、実施の形態1における画素160と比較して、さらに、スイッチ261〜263を備える。
【0131】
スイッチ261は、リセット電圧VRSTを供給するリセット電源線264と駆動トランジスタ161のゲートとの導通および非導通を切り換える。具体的には、スイッチ261は、ドレインおよびソースの一方の端子がリセット電源線264(VRST)に接続され、ドレインおよびソースの他方の端子が駆動トランジスタ161のゲートに接続され、ゲートがReset線271に接続されているスイッチングトランジスタである。
【0132】
スイッチ262は、ドレインおよびソースの他方の端子が駆動トランジスタ161のドレインに接続されている点を除き、スイッチ261と同様に接続されている。スイッチ263は、ドレインおよびソースの他方の端子が駆動トランジスタ161のソースに接続されている点を除き、スイッチ261と同様に接続されている。
【0133】
[2−2.動作]
次に、上述したように構成された本実施の形態に係る表示装置2の動作について図12及び図13を用いて説明する。
【0134】
図12は、本実施の形態に係る表示装置2における電源停止動作を示すタイミングチャートである。図13は、本実施の形態において、駆動トランジスタ161の各ノードから電荷が引き抜かれる様子を説明する説明図である。
【0135】
なお、図12には、表示装置2の電源電圧と、リセット信号RSTと、リセット電圧VRSTと、画素アレイ234への供給電圧のうちパネル制御信号Sig1に対応する電圧Sig1*と、画素アレイ234への供給電圧のうちパネル制御信号Sig2に対応する電圧Sig2*とが示されている。ただし、図中のSig1*、Sig2*は、画素アレイ234への供給電圧の傾向を模式的に示した一例である。つまり、画素アレイ234への供給電圧は、図中のSig1*、Sig2*のように最小電圧がVSSかつ最大電圧がVDDでない場合もある。また、画素アレイ234への供給電圧は、ハイレベル電圧が図中のSig1*、Sig2*のような傾向を示すパルス波形の場合もある。
【0136】
[2−2−1.通常動作]
本実施の形態に係る表示装置2の通常動作は、実施の形態1における通常動作と同様である。つまり、表示装置2は、当該表示装置2に対して電源電圧が供給されている通常時において、実施の形態1で述べたような(i)初期化動作、(ii)閾値補償動作、(iii)書き込み動作、及び、(iv)発光動作を順に行うことにより、表示装置2は、各画素260の駆動トランジスタ161の閾値電圧のバラつきを抑制して発光することができる。
【0137】
[2−2−2.電源停止動作]
次に、本実施の形態に係る表示装置1の電源停止動作について、具体的に説明する。
【0138】
図12に示すように、時刻t1において、例えば表示装置2本体の電源ボタンが押下されることにより当該表示装置2に対する電源供給が停止すると、時刻t1以降では、電源電圧が次第に低下する。
【0139】
時刻t2において、電源電圧が第1閾値電圧以下になると、検出部10によって検出信号POR1が出力される。よって、パネル制御部220によって、RSTがHIGHへと立ち上がる。したがって、スイッチ261〜263が導通する。
【0140】
次に、時刻t4において、電源電圧が第2閾値電圧以下になると、検出部10によって検出信号POR2が出力される。よって、パネル制御部220によって、RSTがLOWへと立ち下がる。したがって、スイッチ261〜263が非導通となる。また、パネル制御部220によって、表示パネル230に対して電源停止動作をさせるためのパネル制御信号Sig1、Sig2が出力される。したがって、画素アレイ234への供給電圧のうち、パネル制御信号Sig1、Sig2に対応する電圧(本実施の形態では、走査信号SCAN、REF信号REF、イネーブル信号ENB、init信号INI、VINI、VREF、VTFT、VEL、VDATA)が、図中のSig1*、Sig2*のように低下する。
【0141】
ここで、時刻t2〜t4では、RSTがHIGHとなっているので、スイッチ261〜263が導通している。
【0142】
これにより、時刻t2〜t4では、図13に示すように、駆動トランジスタ161のゲート、ドレイン及びソースの電荷が、スイッチ261〜263を介してリセット電源線264に引き抜かれる。
【0143】
このように、本実施の形態に係る表示装置2では、検出部10によって電源供給の停止が検出された場合、スイッチ261〜263を導通させる。これにより、表示装置2は、スイッチ261〜263を介して、駆動トランジスタ161のゲート、ドレイン及びソースの電荷を引き抜くことができる。
【0144】
よって、本実施の形態に係る表示装置2は、実施の形態1に係る表示装置1と同様の効果を奏する。すなわち、表示装置2に対する電源供給が停止している期間において駆動トランジスタ161にかかる負荷(電気的ストレス)を抑制できる。したがって、本実施の形態に係る表示装置2は、当該期間における画素260内の駆動トランジスタ161の劣化を抑制できる。
【0145】
[2−3.効果等]
以上説明したように、本実施の形態に係る表示装置2は、実施の形態1に係る表示装置1と比較して、さらに、駆動トランジスタ161のゲートに接続された第2スイッチであるスイッチ261を備え、電荷引抜部は、検出部10により電源供給の停止が検出された場合、スイッチ261を導通させることにより電荷を引き抜く。
【0146】
これにより、簡易な制御で駆動トランジスタ161のゲートの電荷を引き抜くことができる。
【0147】
ここで、本実施の形態において、表示装置1に対する電源供給が停止した場合に複数の画素260の各々における駆動トランジスタ161のゲートの電荷を引き抜く電荷引抜部は、検出部10、パネル制御部220、電源部231、データ線駆動回路32及び走査線駆動回路33に相当する。
【0148】
具体的には、スイッチ261は、第1配線(スイッチ162が接続されたData線176、スイッチ163が接続された基準電圧電源線168)と異なる第2配線であるリセット電源線264と駆動トランジスタ161のゲートとの導通及び非導通を切り替え、リセット電源線264には、ローレベル電圧が印加されている。
【0149】
これにより、リセット電源線264の電圧を切り替える必要が無いので、一層簡易な制御で駆動トランジスタ161のゲートの電荷を引き抜くことができる。
【0150】
(実施の形態2の変形例1)
なお、スイッチ261〜263は、図14に示すように、駆動トランジスタ161の各ノードとData線176との導通及び非導通を切り換えてもよい。図14は、実施の形態2の変形例1における画素260Aの構成を示す回路図である。
【0151】
同図に示す画素260Aにおいても、検出部10により表示装置2への電源供給の停止が検出された場合、Data線176(第1配線)の電圧がローレベル電圧(例えば、0[V])となった後に、スイッチ261(第2スイッチ)を導通させることにより、実施の形態1、2と同様の効果を奏する。
【0152】
(実施の形態2の変形例2)
また、実施の形態2では、表示装置2に対する電源供給が停止した場合に、駆動トランジスタ161の各ノードの電荷が引き抜かれていたが、駆動トランジスタ161のドレイン及びソースの電荷は引き抜かれなくてもよい。
【0153】
つまり、図15に示すように、画素260Bは、画素260と比較してスイッチ262、263を備えず、表示装置2に対する電源供給が停止した場合に、駆動トランジスタ161のドレイン―ソース間を導通するスイッチ265を備えてもよい。図15は、実施の形態2の変形例2における画素260Bの構成を示す回路図である。
【0154】
このような構成であっても、表示装置に対する電源供給が停止している期間における駆動トランジスタ161の劣化を抑制できる。
【0155】
(実施の形態2の変形例3)
また、実施の形態2におけるスイッチ261〜263の各々に代わり抵抗素子を設けてもよい。これにより、スイッチ261〜263の導通及び非導通を切り替える制御が不要となるので、簡易な構成及び制御で、表示装置に対する電源供給が停止した場合に駆動トランジスタ161の各ノードの電荷を引き抜くことができる。
【0156】
図16は、実施の形態2の変形例3に係る表示装置2Cの構成を示すブロック図であり、図17は、実施の形態2の変形例3における画素260Cの構成を示す回路図である。
【0157】
図16に示すように、本変形例に係る表示装置2Cは、実施の形態2に係る表示装置2と比較して、検出部10及びパネル制御部20を備えなくてもよい。
【0158】
また、本変形例に係る表示装置2Cは、表示パネル230に代わり、画素アレイ234Cを備える表示パネル230Cを備える。画素アレイ234Cは、実施の形態2における画素アレイ234と比較して各画素の構成が異なる。
【0159】
すなわち、実施の形態2では、表示装置2に対する電源供給が停止した場合に、スイッチ261〜263を導通させることにより、駆動トランジスタ161の各ノードの電荷を引き抜いた。これに対し、本変形例では、表示装置2Cに対する電源供給が停止した場合、抵抗361〜363が、当該抵抗361〜363の時定数に従って、駆動トランジスタ161の各ノードの電荷を放電する(引き抜く)。
【0160】
具体的には、表示装置2Cに対する電源供給が停止した場合、当該表示装置2Cの電源電圧は次第に低下する。よって、VRSTは、次第にローレベル電圧へと低下する。したがって、抵抗361〜3632を介して、駆動トランジスタ161の各ノードの電荷が放電される。つまり、本変形例では、実施の形態1で説明したような検出部10及びパネル制御部20がなくてもよい。
【0161】
つまり、変形例において、表示装置2Cに対する電源供給が停止した場合に複数の画素260Cの各々における駆動トランジスタ161の各ノードの電荷を引き抜く電荷引抜部は、抵抗361〜363に相当する。
【0162】
ここで、抵抗361〜363は、表示装置2Cに対する電源供給が行われている通常時に、EL素子166の発光に影響を及ぼさないような高抵抗値の抵抗であることが望ましい。
【0163】
以上のように、本変形例では、抵抗361〜363によって、駆動トランジスタ161の各ノードの電荷が引き抜かれる。これにより、本変形例に係る表示装置2Cは、実施の形態1、2と同様の効果を奏する。すなわち、表示装置2Cに対する電源供給が停止している期間における駆動トランジスタ161の劣化を抑制できる。
【0164】
(他の実施の形態)
以上、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態及び変形例について説明した。しかしながら、本開示における技術は、これらに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、上記実施の形態及び変形例で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
【0165】
そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
【0166】
例えば、上記説明では、表示装置に対する電源供給が停止した場合、複数の画素の各々における駆動トランジスタの各ノードの電荷が引き抜かれるとして説明したが、少なくとも駆動トランジスタ161のゲートの電荷が引き抜かれていればよい。
【0167】
具体的には、実施の形態1に係る表示装置1は、図18に示すように電荷を引き抜いてもよい。図18は、実施の形態1の他の変形例において、駆動トランジスタ161のゲートから電荷が引き抜かれる様子を説明する説明図である。
【0168】
同図に示す画素160は、実施の形態1と同様の構成を有する。ただし、パネル制御信号Sig1に対応する電圧が、VINI、VREF、VTFT、VEL、VDATA、REF信号REF、イネーブル信号ENB、init信号INIであり、パネル制御信号Sig2に対応する電圧が、走査信号SCANである点が異なる。これにより、駆動トランジスタ161のドレイン及びソースの電荷は引き抜かれず、駆動トランジスタ161のゲートの電荷は引き抜かれる。
【0169】
また、実施の形態2において、各画素は、図19のように構成されていてもよい。図19は、実施の形態2の他の変形例における画素260Dの構成を示す回路図である。このように構成された画素260Dでは、駆動トランジスタ161のドレイン及びソースの電荷は引き抜かれず、駆動トランジスタ161のゲートの電荷は引き抜かれる。
【0170】
また、画素の構成は上記説明の構成に限らず、図20のような構成であってもよい。
【0171】
図20は、他の実施の形態における画素の構成を示す回路図である。図20の画素は、駆動トランジスタ161と、スイッチ162と、EL素子166と、容量素子167とを備え、図3に示した画素よりも簡素化された構成である。
【0172】
同図の駆動トランジスタ161はn型TFTではなくp型TFTが用いられ、そのドレインは電圧V1の電源線に接続されている。
【0173】
容量素子167の一方の電極は電圧V2の電源線に接続されている。電圧V1は電圧V2と同じでもよい。
【0174】
スイッチ162のソースおよびドレインの一方はData線176に接続され、ソースおよびドレインの他方は容量素子167の他方の電極に接続されている。スイッチ162のゲートはScan線172に接続されている。
【0175】
この構成における電源停止動作では、検出部10により電源供給の停止が検出された場合、Data線176(第1配線)の電圧がローレベル電圧(例えば、0[V])となった後に、スイッチ162(第1スイッチ)を導通させる。これにより、駆動トランジスタ161のゲートの電荷を引き抜くことができる。よって、表示装置に対する電源供給が停止している期間における画素内の駆動トランジスタ161の劣化を抑制できる。
【0176】
また、画素の構成は、例えば、図20の回路例に対して、電圧V1の電源線と駆動トランジスタ161の間にスイッチを追加し、そのゲートにEnable線175を接続した構成であってもよい。また、図20の回路例に対して、電圧V2の電源線と駆動トランジスタ161の間にスイッチを追加し、そのゲートにRef線173を接続した構成であってもよい。また、図20の回路例に対して、EL素子166のアノードにスイッチを介して初期化電源線171を接続し、そのスイッチのゲートにInit線174を接続した回路構成であってもよい。
【0177】
また、図2のように駆動トランジスタ161はn型であってもよいし、p型であってもよい。
【0178】
また、スイッチ162〜164の少なくとも1つのトランジスタはp型であってもよい。このようにトランジスタをp型で構成することにより、表示装置に対する電源供給が停止した場合、走査線駆動回路33から出力される各信号(走査信号SCAN、REF信号REF、イネーブル信号ENB、init信号INI)がローレベル(例えば0V)となることにより、当該少なくとも1つのトランジスタが導通する。
【0179】
よって、表示装置に対する電源供給が停止した場合に走査線駆動回路33から出力される各信号をローレベルにするような制御及び構成が必要ないので、制御及び構成が簡素化できる。
【0180】
また、駆動トランジスタのゲートの電荷が引き抜かれる構成に限らず、画素内の他のトランジスタ(スイッチングトランジスタ)のゲートの電荷が引き抜かれてもよい。具体的には、電源供給が停止されることにより画素内のスイッチが非導通になった場合に、いずれの配線にも接続されないフローティング状態となるゲートの電荷が引き抜かれる構成であればよい。これにより、表示装置に対する電源供給が停止している期間における、当該ゲートを含むトランジスタの劣化を抑制できる。
【0181】
また、引き抜かれる電荷は、負電荷(電子)に限らず、正電荷(ホール)であってもよい。
【0182】
また、上記実施の形態2において、スイッチ261〜263は、画素260Aごとに設けられていてもよいし、複数の画素260Aに共通して設けられていてもよい。
【0183】
また、例えば、本開示の発光画素において使用される駆動トランジスタ及びスイッチングトランジスタの半導体層の材料は、特に限定されないが、例えば、IGZO(In−Ga−Zn−O)などの酸化物半導体材料が採用され得る。IGZOなどの酸化物半導体からなる半導体層を備えるトランジスタは、リーク電流が少ない。また、スイッチとして、IGZOなどの酸化物半導体からなる半導体層を備えるトランジスタを用いる場合、閾値電圧を正とできるため、駆動トランジスタのゲートからのリーク電流を抑制することができる。
【0184】
また、上記説明では、発光素子として有機EL素子を用いたが、電流に応じて発光量が変化する発光素子であれば任意の発光素子を用いることができる。
【0185】
また、上述した有機EL表示装置などの表示装置については、図21に示すようなフラットパネルディスプレイとして利用することができ、テレビジョンセット、パーソナルコンピュータ、携帯電話など、表示装置を有するあらゆる電子機器に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0186】
本開示は、表示装置に利用でき、特にテレビジョンセットなどの表示装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0187】
1、2、2C 表示装置
10 検出部
20、220 パネル制御部
30、230、230C 表示パネル
31、231 電源部
32 データ線駆動回路
33 走査線駆動回路
34、234、234C 画素アレイ
160、260、260A、260B、260C、260D 画素
161 駆動トランジスタ
162、163、164、165、261、262、263、265 スイッチ
166 EL素子
167 容量素子
168 基準電圧電源線
169 ELアノード電源線
170 ELカソード電源線
171 初期化電源線
172 Scan線
173 Ref線
174 Init線
175 Enable線
176 Data線
264 リセット電源線
271 Reset線
361、362、363 抵抗
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21