(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6388323
(24)【登録日】2018年8月24日
(45)【発行日】2018年9月12日
(54)【発明の名称】燃焼機関の燃料供給設備用のインジェクタ、及び当該燃料供給設備
(51)【国際特許分類】
F02M 61/16 20060101AFI20180903BHJP
【FI】
F02M61/16 Q
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-99955(P2013-99955)
(22)【出願日】2013年5月10日
(65)【公開番号】特開2013-238226(P2013-238226A)
(43)【公開日】2013年11月28日
【審査請求日】2015年12月22日
【審判番号】不服2017-4766(P2017-4766/J1)
【審判請求日】2017年4月5日
(31)【優先権主張番号】10 2012 208 075.9
(32)【優先日】2012年5月15日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510153962
【氏名又は名称】マン・エナジー・ソリューションズ・エスイー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・アッケルン
(72)【発明者】
【氏名】マクシミリアン・インドリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン・ケルン
(72)【発明者】
【氏名】クラウディウス・ヴェーバー
(72)【発明者】
【氏名】ルートヴィヒ・マイアー
(72)【発明者】
【氏名】ホルガー・シャール
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフガング・ヴァグナー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・クラウア
(72)【発明者】
【氏名】ハラルド・ヴェレンコッター
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルナー・ヴェルレ
【合議体】
【審判長】
金澤 俊郎
【審判官】
水野 治彦
【審判官】
松下 聡
(56)【参考文献】
【文献】
特表2005−509781(JP,A)
【文献】
特開2009−293541(JP,A)
【文献】
特開2003−148298(JP,A)
【文献】
特開昭64−36973(JP,A)
【文献】
特開平2−241974(JP,A)
【文献】
特表2004−520513(JP,A)
【文献】
特表2003−503629(JP,A)
【文献】
独国特許出願公開第102005020833(DE,A1)
【文献】
米国特許第5375576(US,A)
【文献】
米国特許第5836521(US,A)
【文献】
米国特許第7407120(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
大型ディーゼル燃焼機関又は船舶のディーゼル燃焼機関として形成された燃焼機関のコモンレール式燃料供給設備用の、噴射ノズル(2、2'、2'''')と、制御弁(3、3'、3'''')と、保持体とを備えているインジェクタ(1、1'、1''、1'''、1'''')において、
前記噴射ノズル(2、2'、2'''')及び前記制御弁(3、3'、3'''')が、締付固定された複合体(6、6'、6'''')を形成しており、
前記噴射ノズル(2、2'、2'''')及び前記制御弁(3、3'、3'''')から成る前記複合体(6、6'、6'''')が、ユニットとして前記保持体に組み付け可能とされ、且つ、ユニットとして前記保持体から取り外し可能とされ、
弁板(4、4'、4'''')及び絞り板(5、5'、5'''')のうち少なくとも1つが、前記噴射ノズル(2、2'、2'''')と前記制御弁(3、3'、3'''')との間に位置決めされており、前記弁板(4、4'、4'''')及び前記絞り板(5、5'、5'''')のうち少なくとも1つに、穿孔が施されており、
前記弁板(4、4'、4'''')及び前記絞り板(5、5'、5'''')のうち少なくとも1つが、前記噴射ノズル(2、2'、2'''')及び前記制御弁(3、3'、3'''')と共に前記複合体(6、6'、6'''')に締付固定されており、
前記制御弁(3'''')及び前記噴射ノズル(2'''')内に、長手方向に延びる2つの前記穿孔(17'''')が施されており、前記穿孔(17'''')それぞれが締付ネジ(16'''')と協働し、
前記噴射ノズル(2'''')内のみに、雌ネジ部分(22'''')を有するネジ孔が施されており、前記雌ネジ部分が前記締付ネジ(16'''')の雄ネジ部分(18'''')と協働し、且つ前記制御弁(3'''')内には、段付部(19'''')を有する貫通孔が、前記締付ネジ(16'''')のフランジ部(20'''')を当接させるために施されており、従って前記締付ネジ(16'''')をきつく締めることにより前記複合体(6'''')を締付固定でき、
前記締付ネジ(16'''')が、円筒形止めピン状の円筒面が形成されている拡張部(21'''')であって、前記締付ネジ(16'''')の少なくとも前記弁板(4、4'、4'''')及び前記絞り板(5、5'、5'''')のうち少なくとも1つの前記穿孔に対応する部分に設けられている前記拡張部(21'''')を備えており、前記締付ネジ(16'''')の前記拡張部(21'''')によって、前記穿孔(17'''')内における前記締付ネジ(16'''')の位置が調整且つ固定され、これにより前記複合体(6'''')を締付固定できることを特徴とするインジェクタ。
【請求項2】
前記弁板(4、4'、4'''')及び前記絞り板(5、5'、5'''')のうち少なくとも1つの内部にも、前記締付ネジ(16'''')のための貫通孔が施されていることを特徴とする請求項1に記載のインジェクタ。
【請求項3】
低圧領域を備えており、燃料を燃料供給設備の前記低圧領域から前記燃料供給設備の高圧領域に送るために少なくとも1つの高圧ポンプを含むポンプ機構を備えており、前記高圧領域内では前記ポンプ機構と、シリンダに割り当てられたインジェクタとの間に、少なくとも1つのタンクユニットを備えた永続的に高圧下にある畜圧システムが設けられており、前記畜圧システムが、同様に永続的に高圧下にある少なくとも1つの高圧燃料配管を介して前記ポンプ機構とつながっており、前記畜圧システムが、高圧燃料配管を介して前記インジェクタとつながっている大型ディーゼル燃焼機関又は船舶のディーゼル燃焼機関として形成された燃焼機関のコモンレール式燃料供給設備において、請求項1又は2に記載のインジェクタ(1、1'、1''、1'''、1'''')が形成されていることを特徴とする燃料供給設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に基づく燃焼機関の燃料供給設備用のインジェクタに関する。さらに本発明は、請求項10の上位概念に基づく燃焼機関の燃料供給設備に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、複数のシリンダを備えた燃焼機関、より詳しくは重油により稼働させる船舶のディーゼル燃焼機関を開示しており、この燃焼機関の各シリンダには、コモンレール式燃料供給設備のインジェクタが割り当てられている。このインジェクタにより、燃焼機関の各シリンダ内に燃料を噴射することができ、それゆえこのインジェクタは燃料噴射装置とも呼ばれる。特許文献1に基づくコモンレール式燃料供給設備は、燃料をコモンレール式燃料供給設備の低圧領域から同設備の高圧領域に送るため、複数の高圧ポンプを備えたポンプ機構を含んでおり、高圧領域内ではポンプ機構とインジェクタの間に、永続的に高圧下にある畜圧システムが設けられている。この永続的に高圧下にある畜圧システムはコモンレールとも言い、特許文献1によれば複数のタンクユニットを備えており、且つ同様に永続的に高圧下にある高圧燃料配管を介してポンプ機構とつながっている。この畜圧システムはさらに、噴射サイクルに応じて一時的に高圧になる高圧燃料配管を介してインジェクタとつながっている。インジェクタを畜圧システムとつないでおり、噴射サイクルに応じて一時的に高圧になる高圧燃料配管には、噴射サイクルに応じてインジェクタに燃料を送り込む切替弁が割り当てられている。
【0003】
大型ディーゼル燃焼機関又は船舶のディーゼル燃焼機関では、燃料供給設備のインジェクタと同設備の畜圧システムの間の空間的間隔が比較的大きい可能性があり、それゆえ、インジェクタを畜圧システムとつないでおり、噴射サイクルに応じて一時的に高圧になる高圧燃料配管が比較的長く実施される可能性があるので、圧力損失を減らすため、燃焼機関のシリンダ内への本来の燃料噴射に用いられる噴射ノズルと、制御弁と共に、インジェクタ個別の燃料貯留体積を供するタンクを含んでいるインジェクタが既に知られている。
【0004】
そして特許文献2からは、噴射ノズルと、電磁弁として形成された制御弁と共に、インジェクタ本体と呼ばれる保持体を含むコモンレール式燃料供給設備のインジェクタが知られており、このインジェクタ本体が高圧タンクをもたらしている。電磁弁と噴射ノズルの間には、現況技術に従い絞り板が位置決めされている。インジェクタの噴射ノズル及び電磁弁は多数の部品から構成されている。保持体への電磁弁、絞り板、及び噴射ノズルの組付けは、ノズル締付ナットを使って行われる。ノズル締付ナットを使って保持体に噴射ノズル、絞り板、及び電磁弁を組み付けるのは、既に述べたように、保持体に締付固定すべき要素が多数の部品から成るので手間がかかる。これらの部品は部分的に華奢で繊細であり、従って組み付ける際には高い精度と技能でもって作業しなければならない。このため非常に熟練した人員が必要となる。
【0005】
比較的少ない手間で保持体の領域に組み付けることができ、且つ取り外すことができる燃料供給設備用のインジェクタが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許第10157135号明細書
【特許文献2】オーストリア国特許第505666号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これに基づき本発明の課題は、燃料供給設備用の新規のインジェクタを提供することである。さらに、そのようなインジェクタを備えた新規の燃料供給設備が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、請求項1に基づく燃料供給設備用のインジェクタによって解決される。本発明に従い噴射ノズル及び制御弁は締付固定された複合体を形成しており、この噴射ノズル及び制御弁から成る複合体は、ユニットとして保持体に組み付けることができ、且つユニットとして保持体から取り外すことができる。
【0009】
本発明により、噴射ノズル及び制御弁を、締付固定された複合体として提供し、この噴射ノズル及び制御弁から成る複合体を保持体に組み付け、又は保持体から取り外すことを提案する。従って、それぞれ多数の華奢で繊細な構成部品を有する噴射ノズル及び制御弁が含まれている複合体は、予め複合体として組み付けておくことができる。この場合、予め組み付けられて締め付けられたこの複合体の、保持体への本来の組付けは、あまり訓練されていない人が比較的少ない手間で行うことができる。
【0010】
噴射ノズル及び制御弁から成る締付固定された複合体を提供することのさらなる利点は、特に、保持体と、保持体によりもたらされているタンクもしくは独立したインジェクタ個別のタンクとが比較的磨滅しにくいことから生じ、すなわち磨滅し易い構成部品、つまり噴射ノズル及び電磁弁を、ユニットとして容易に燃焼機関から、より詳しくは燃焼機関のそれぞれの保持体から取り外し、制御弁及び噴射ノズルから成る新しいユニットと交換することができる。
【0011】
第1の有利な変形形態によれば、制御弁及び噴射ノズルは、径方向外面に、それぞれ少なくとも1つの径方向内側に向かう凹部を有しており、この場合、締付スリーブが径方向内側に向かう突出部を有しており、この突出部が、制御弁及び噴射ノズルのそれぞれの径方向内側に向かう凹部に噛合し、その際、締付スリーブは複合体の締付固定すべき要素間の分離面を覆う。本発明のこの変形形態は、構造的及び製造技術的に特に容易である。この凹部は、制御弁及び噴射ノズルの外周面に容易に施すことができる。スリーブは比較的薄肉で安価なものを利用することができる。
【0012】
第2の有利な変形形態によれば、制御弁が、径方向外面に、少なくとも1つの径方向内側に向かう凹部又は少なくとも1つの段付部を有しており、この場合、締付スリーブが第1の部分に少なくとも1つの径方向内側に向かう突出部を有しており、この突出部が、制御弁上での締付スリーブの位置を固定するため、制御弁のそれぞれの径方向内側に向かう凹部又は段付部と協働し、この締付スリーブは第2の部分に雌ネジ部分を有しており、この雌ネジ部分は噴射ノズルの雄ネジ部分と協働し、その際、締付スリーブは複合体の締付固定すべき要素間の分離面を覆う。本発明のこの形態も、構造的に容易に置き換え可能である。この有利な変形形態により、噴射ノズル及び制御弁から成る複合体を締付固定しながら噴射ノズルと螺合されるこの締付スリーブは、再利用することができる。
【0013】
第3の有利な変形形態によれば、制御弁及び噴射ノズル内に、長手方向に延びる穿孔が施されており、この穿孔は締付ネジと協働する。本発明の第3の形態も構造的に容易に置き換え可能であるが、但し制御弁及び噴射ノズル内に、締付ネジのための穿孔を施す必要がある。
【0014】
燃焼機関の本発明における燃料供給設備は請求項10で定義されている。
【0015】
本発明の好ましい変形形態は、従属請求項及び以下の説明から明らかである。本発明の例示的な実施形態を図面に基づいて詳しく説明するが、これに制限されるわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1の例示的な実施形態に基づくコモンレール式燃料供給設備のインジェクタの一部の非常に概略的な断面図である。
【
図2】
図1のインジェクタの非常に概略的な分解図である。
【
図3】本発明の第2の例示的な実施形態に基づくコモンレール式燃料供給設備のインジェクタの一部の非常に概略的な断面図である。
【
図4】
図3のインジェクタの非常に概略的な分解図である。
【
図7】本発明の第3の例示的な実施形態に基づくコモンレール式燃料供給設備のインジェクタの一部の非常に概略的な断面図である。
【
図8】
図7のインジェクタの非常に概略的な分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、大型ディーゼル燃焼機関、特に重油により稼働させる船舶のディーゼル燃焼機関のコモンレール式燃料供給設備に関する。このようなコモンレール式燃料供給設備は低圧領域及び高圧領域を有している。
【0018】
コモンレール式燃料供給設備の高圧領域は、少なくとも1つの高圧ポンプを備えたポンプ機構と少なくとも1つのタンクユニットを備えた畜圧システムとを含んでおり、当該ポンプ機構は、燃料を低圧領域から高圧領域に送り、且つ、少なくとも1つの高圧燃料配管を介して畜圧システムに接続されている。畜圧システムと、畜圧システムをポンプ機構に接続している1つ又はそれぞれの高圧燃料配管とは、永続的に高い作動圧力下にある。
【0019】
燃料は、畜圧システムからインジェクタを介してシリンダ内に噴射可能とされ、インジェクタそれぞれが、少なくとも1つの高圧燃料配管を介して畜圧システムに接続されており、当該高圧燃料配管も永続的に高い作動圧力下にある。
【0020】
図1及び
図2は、コモンレール式燃料供給設備の第1の本発明におけるインジェクタ1の詳細図である。
図1及び
図2は、インジェクタ1のうち噴射ノズル2、制御弁3、及び噴射ノズル2と制御弁3の間に位置決めされた中間板4,5、すなわち弁板4及び絞り板5を表わす。これに加え、インジェクタ1は、
図1及び
図2に表わさない保持体を備えており、当該保持体には制御弁3が取り付けられており、当該保持体は、好ましくはインジェクタ個別の燃料タンクを備えている。
【0021】
噴射ノズル2及び制御弁3は、様々な複雑な構成部品を有している。噴射ノズル2及び制御弁3を、本発明は、それぞれのインジェクタ1の保持体に、ひいては燃焼機関に容易に組み付けるために、噴射ノズル2及び制御弁3を締付固定された複合体6として形成又は提供することを提案する。これにより、噴射ノズル2及び制御弁3から成る複合体6を図示しない保持体にユニットとして容易に組み付け可能となり、且つ、保持体からユニットとして容易に取り外し可能となる。
【0022】
図1及び
図2の例示的な実施形態では、制御弁3と噴射ノズル2との間に弁板4及び絞り板5が位置決めされており、中間板4及び5も、噴射ノズル2及び制御弁3と共に複合体6に締付固定されている。従って、この場合には、このユニットを容易にインジェクタ1の図示しない保持体に組み付け可能となるか、又は保持体から取り外し可能となる。
【0023】
図1及び
図2の例示的な実施形態では、制御弁3、噴射ノズル2、並びに
図1及び
図2の例示的な実施形態では制御弁と噴射ノズルとの間に位置決めされている中間板4,5が、締付スリーブ7を利用して締付固定されており、この場合には、噴射ノズル2が、外周面に径方向内側に向かう凹部8を形成しており、制御弁3の外周面には、径方向内側に向かう凹部9が形成されており、締付スリーブ7の内側に向かう突出部10又は11が、凹部8及び9に噛合する。これに関連して、
図1及び
図2の例示的な実施形態では、凹部8,9それぞれが、噴射ノズル2及び制御弁3の外周面において一周している溝として形成されおり、締付スリーブ7の突出部10,11は、一周している膨出部として形成されており、当該膨出部が当該溝に噛合する。締付スリーブ7は、噴射ノズル2及び制御弁3の上に被せた状態でスライドさせた後に、締付スリーブの突出部10,11が複合体6を締付固定しつつ噴射ノズル2及び制御弁3の凹部8,9に形状結合的に噛合するように変形可能な比較的薄肉の締付スリーブ7である。締付スリーブを可塑的にプレスすることによって締付スリーブ7を変形させることが好ましい。
図1から理解されるように、締付スリーブ7は、複合体6を締付固定した状態において、締付固定された構成部品同士の間の分離面を、すなわち制御弁3と弁板4との間の分離面と、弁板4と絞り板5との間の分離面と、絞り板5と噴射ノズル2との間の分離面とを覆っている。これにより、これら分離面に対する、締付スリーブ7のシール機能が発揮される。
【0024】
図3及び
図4は、噴射ノズル2'と、制御弁3'と、噴射ノズル2'と制御弁3'との間に位置決めされた中間板4',5'、すなわち弁板4'及び絞り板5'の領域において、インジェクタ1'の第2の例示的な実施形態を表わす。
図3及び
図4に表わす例示的な実施形態でも、このサブアセンブリは、複合体6'として相互に締付固定されている。言い換えれば、当該実施例でも、サブアセンブリは、締付スリーブ7'を利用して締付固定されている。従って、当該実施例でも、締付スリーブ7'は、制御弁3'と、噴射ノズル2'と、制御弁3'及び噴射ノズル2'両方の中間板4'及び5'とを締付固定するために利用されており、締付スリーブ7'は、複合体6'を締付固定した状態においても、締付固定された要素2'、3'、4'、5'の間の分離面を覆っている。但し、
図3及び
図4を表わす例示的な実施形態では、締付スリーブ7'の具体的な実施又は形態が、
図1及び
図2に表わす例示的な実施形態と相違する。
【0025】
図3及び
図4に表わす例示的な実施形態では、制御弁3'の径方向外面に段付部12'が形成されており、段付部12'は、締付スリーブ7'の径方向内側に向かう突出部13'と協働することによって、段付部12'及び突出部13'が共に、制御弁3'おいて締付スリーブ7'を確実に位置固定する。反対側の部分では、締付スリーブ7'は雌ネジ部分14'を有しており、雌ネジ部分14'は噴射ノズル2'の雄ネジ部分15'と協働すると、すなわち噴射ノズル2'と締付スリーブ7'とを螺合すると、雌ネジ部分14'及び雄ネジ部分15'によって要素2'、3'、4'、5'が複合体6'として締付固定されるように協働する。
【0026】
図5及び
図6は、それぞれが
図3及び
図4に表わす例示的な実施形態のインジェクタ1'の変形形態を示すインジェクタ1'',1'''を表わす。従って、不要な繰り返しを避けるために、同一のサブアセンブリには同一の符号を付す。
図5及び
図6に表わす例示的な実施形態それぞれが
図3及び
図4に表わす例示的な実施形態と相違する詳細部分のみについて、以下において説明する。
【0027】
図6に表わす例示的な実施形態と
図3及び
図4に表わす例示的な実施形態との唯一の相違点は、締付スリーブ7'の幾何学的形状を短くするために、締付スリーブ7'の突出部13'と協働することによって締付スリーブ7'と制御弁3'との間における位置固定を実現するための制御弁3'の段付部12'が、制御弁3'の中央部分に形成されていることである。
【0028】
図5に表わす例示的な実施形態と
図3及び
図4に表わす例示的な実施形態との相違点は、
図1及び
図2に表わす例示的な実施形態と同様に、制御弁3'の外周面に一周している溝9'が形成されていることである。締付スリーブ7'の一周している突出部11'が、制御弁3'において締付スリーブ7'を位置固定するために、溝9'に形状結合的に噛合する。
【0029】
図7及び
図8は、本発明におけるインジェクタ1''''のさらなる例示的な実施形態を表わす。
図7及び
図8にも、インジェクタ1''''のうち噴射ノズル2''''、制御弁3''''、及び中間板4'''',5''''が表わされている。インジェクタ1''''のうち噴射ノズル2''''、制御弁3''''、及び中間板4'''',5''''は、本発明に従って複合体6''''に締付固定されており、このような複合体は、
図7及び
図8に図示しない保持体にユニットとして容易に組み付け可能となり、又は保持体から取り外し可能となる。
【0030】
図7及び
図8に表わす例示的な実施形態では、上述の要素又は構成部品から成る複合体6''''を締付固定するために、締付ネジ16''''が用いられており、締付ネジ16''''は、対応する穿孔17''''内に螺入されている。穿孔17''''は、上述の構成部品内に、すなわち噴射ノズル2''''、制御弁3''''、及び中間板4'''',5''''内に形成されている。
【0031】
噴射ノズル2''''内に形成されている穿孔17''''は、雌ネジ部分22''''を有するネジ孔である。雌ネジ部分22''''は、締付ネジ16''''の対応する雄ネジ部分18''''と協働する。
【0032】
制御弁3''''及び中間板4'''',5''''内に形成されている穿孔17''''はそれぞれ、ネジ部分のない貫通孔として形成されており、制御弁3''''の貫通孔17''''の領域内には、段付部19''''が形成されている。締付ネジ16''''を締め付ける際には、相応の締付け力を制御弁3''''を介して制御弁3''''、噴射ノズル2''''、及び存在する中間板4'''',5''''から成る複合体6''''に作用させるために、段付部19''''それぞれに締付ネジ16''''それぞれのフランジ部20''''を当接させる。
【0033】
締付ネジ16''''の拡張部21''''には、円筒形止めピン状の円筒面が形成されているので、穿孔17''''内における締付ネジ16''''の位置が調整且つ固定され、これにより複合体6''''を規定に従って確実に締付固定される。
【0034】
図解したインジェクタ1、1'、1''、1'''、1''''の例示的な実施形態それぞれにおいて、噴射ノズル2、2'、2''''と制御弁3、3'、3''''との間に、それぞれ2つの中間板が、すなわち弁板4、4'、4''''及び絞り板5、5'、5''''が位置決めされている。中間板4、4'、4''''又は5、5'、5''''のいずれか一方のみが設けられていても良く、又は中間板が全く設けられていなくても良い。
【符号の説明】
【0035】
1、1'、1''、1'''、1'''' インジェクタ
2、2'、2'''' 噴射ノズル
3、3'、3'''' 制御弁
4、4'、4'''' 弁板
5、5'、5'''' 絞り板
6、6'、6'''' 複合体
7、7' 締付スリーブ
8 凹部
9、9' 凹部
10 突出部
11、11' 突出部
12' 段付部
13' 突出部
14' 雌ネジ部分
15' 雄ネジ部分
16'''' 締付ネジ
17'''' 穿孔
18'''' 雄ネジ部分
19'''' 段付部
20'''' フランジ部
21'''' 拡張部
22'''' 雌ネジ部分