(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
固体高分子電解質体を燃料極及び酸化極で挟んだセルとセパレータとを鉛直方向と交差する方向へ向かって交互に複数積層したスタックを備えている固体高分子形燃料電池であって、
前記セパレータが、
前記セルの前記燃料極と対向する面に形成されて燃料ガスを流通させる燃料側流通溝と、
前記セルの前記酸化極と対向する面に形成されて酸化ガスを流通させる酸化側流通溝と、
厚さ方向へ貫通するように前記燃料側流通溝の上方側に形成されて燃料ガスを供給する燃料側供給マニホールドと、
厚さ方向へ貫通するように前記酸化側流通溝の上方側に形成されて酸化ガスを供給する酸化側供給マニホールドと、
前記燃料側供給マニホールドの下方側に形成されて当該燃料側供給マニホールドに接続する燃料側分配室と、
前記酸化側供給マニホールドの下方側に形成されて当該酸化側供給マニホールドに接続する酸化側分配室と、
前記燃料側分配室と前記燃料側流通溝との間に形成されて当該間を接続する燃料側供給孔と、
前記酸化側分配室と前記酸化側流通溝との間に形成されて当該間を接続する酸化側供給孔と、
厚さ方向へ貫通するように前記燃料側流通溝の下方側に形成された燃料側排出マニホールドと、
厚さ方向へ貫通するように前記酸化側流通溝の下方側に形成された酸化側排出マニホールドと、
前記燃料側排出マニホールドの上方側に形成されて当該燃料側排出マニホールドに接続する燃料側回収室と、
前記酸化側排出マニホールドの上方側に形成されて当該酸化側排出マニホールドに接続する酸化側回収室と、
前記燃料側流通溝と前記燃料側回収室との間に形成されて当該間を接続する複数の燃料側排出孔と、
前記酸化側流通溝と前記酸化側回収室との間に形成されて当該間を接続する複数の酸化側排出孔と、
前記燃料側回収室の内部に設けられて前記燃料側排出孔からのガス及び水を案内する複数の燃料側排出ガイドリブと、
前記酸化側回収室の内部に設けられて前記酸化側排出孔からのガス及び水を案内する複数の酸化側排出ガイドリブと
を有し、
前記セパレータの前記燃料側回収室及び前記酸化側回収室の少なくとも一方が、接続する前記排出マニホールド側に位置するほど低い高さ位置の底面となるように、当該底面を傾斜させていると共に、
前記セパレータの前記燃料側回収室の前記底面と各前記燃料側排出ガイドリブの下端との間の各距離及び前記酸化側回収室の底面と各前記酸化側排出ガイドリブの下端との間の各距離の少なくとも一方の各距離を同一にするように、各前記燃料側排出ガイドリブの下端及び各前記酸化側排出ガイドリブの下端の少なくとも一方が、高さ位置をそれぞれ設定されている
ことを特徴とする固体高分子形燃料電池。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る固体高分子形燃料電池の実施形態を図面に基づいて説明するが、本発明は、図面に基づいて説明する以下の実施形態のみに限定されるものではない。
【0016】
〈第一番目の実施形態〉
本発明に係る固体高分子形燃料電池の第一番目の実施形態を
図1〜9に基づいて説明する。
【0017】
本実施形態に係る固体高分子形燃料電池は、
図1に示すように、プロトン伝導性を有する固体高分子電解質体111を、ガス透過性及び導電性を有する燃料極112及び酸化極113で挟んだセル(単電池)110と、水素ガスを含有する燃料ガスを流通させる燃料側流通溝を一方面側に形成されて酸素ガスを含有する酸化ガスを流通させる酸化側流通溝を他方面側に形成された導電性を有するセパレータ120とを鉛直方向と交差する方向へ向かって交互に複数積層したスタック100を備えてなっている。
【0018】
図1〜7に示すように、前記セパレータ120は、前記セル110の前記燃料極112との対向側(一方側)に位置して当該燃料極112との対向面(
図4中、右側面)の中央部分に燃料ガス1を流通させるように長手方向を上下方向へ向けた燃料側流通溝121eが幅方向(
図3中、左右方向)に沿って複数形成された燃料側セパレータ121と、前記セル110の前記酸化極113との対向側(他方側)に位置して当該酸化極113との対向面(
図7中、左側面)の中央部分に酸化ガス2を流通させるように長手方向を上下方向へ向けた酸化側流通溝122eが幅方向(
図6中、左右方向)に沿って複数形成された酸化側セパレータ122と、前記燃料側セパレータ121と前記酸化側セパレータ122との対向面間を仕切る仕切板123とを備えてなっている。
【0019】
図2〜4に示すように、前記燃料側セパレータ121は、燃料ガス1を供給する燃料側供給マニホールド121aが上方側の一方寄り(
図2中、右寄り、
図3中、左寄り)に厚さ方向へ貫通するように形成され、酸化ガス2を供給する酸化側供給マニホールド121bが上方側の他方寄り(
図2中、左寄り、
図3中、右寄り)に厚さ方向へ貫通するように形成され、電気化学反応に寄与しなかった燃料ガス1の残ガス1aを排出する燃料側排出マニホールド121cが下方側の他方寄り(
図2中、左寄り、
図3中、右寄り)に厚さ方向へ貫通するように形成され、電気化学反応に寄与しなかった酸化ガス2の残ガス2aを排出する酸化側排出マニホールド121dが下方側の一方寄り(
図2中、右寄り、
図3中、左寄り)に厚さ方向へ貫通するように形成されている。
【0020】
そして、前記燃料側セパレータ121は、前記燃料側供給マニホールド121aの下方側で当該燃料側供給マニホールド121aに接続する燃料側分配室121fが前記仕切板123との対向面(
図4中、左側面)に形成され、前記燃料側分配室121fの下側と各前記燃料側流通溝121eの上端との間を厚さ方向へ貫通して接続する燃料側供給孔121gが複数形成され、前記燃料側排出マニホールド121cの上方側で当該燃料側排出マニホールド121cに接続する燃料側回収室121hが前記仕切板123との対向面(
図4中、左側面)に形成され、前記燃料側回収室121hの上側と各前記燃料側流通溝121eの下端との間を厚さ方向へ貫通して接続する燃料側排出孔121iが複数形成されている。
【0021】
前記燃料側セパレータ121の前記燃料側回収室121hは、底面121haが、当該燃料側セパレータ121の幅方向(
図2中、左右方向)で前記燃料側排出マニホールド121c側に位置するほど当該燃料側セパレータ121の高さ方向(
図2中、上下方向)で低い高さ位置となるように漏斗状に傾斜すると共に、当該底面121haの当該燃料側排出マニホールド121cとの接続部分が角形とならないように円弧状をなす曲面121hbとなっている。
【0022】
また、前記燃料側セパレータ121の前記燃料側分配室121f内の、隣り合う前記燃料側供給孔121gの各間には、前記燃料側供給マニホールド121aからの燃料ガス1を各上記燃料側供給孔121gへ案内する燃料側供給ガイドリブ121jが長手方向を上下方向へ向けるようにしてそれぞれ突設されており、当該燃料側供給ガイドリブ121jは、すべての上記間に設けられている。
【0023】
前記燃料側セパレータ121の前記燃料側回収室121h内の、隣り合う前記燃料側排出孔121iの間には、当該燃料側排出孔121iからの残ガス1a及び水3を前記燃料側排出マニホールド121cへ向かうように案内する燃料側排出ガイドリブ121kが長手方向を上下方向へ向けるようにして突設されており、当該燃料側排出ガイドリブ121kは、一部の上記間のみに(本実施形態では幅方向一つおきに)設けられている。
【0024】
前記燃料側セパレータ121の各前記燃料側排出ガイドリブ121kの下端(先端)は、その延長線上に位置する前記燃料側回収室121hの前記底面121haとの間の各距離、若しくは、その延長線上に位置する前記燃料側排出マニホールド121cの上端との間の各距離をすべて略同一にするように高さ位置が設定、すなわち、当該燃料側セパレータ121の幅方向(
図2中、左右方向)で前記燃料側排出マニホールド121cから離れる箇所に位置するほど当該燃料側セパレータ121の高さ方向(
図2中、上下方向)で高い位置に位置するように設定されている。
【0025】
なお、
図2,3中、121mは、前記燃料側回収室121h内の残ガス1a及び水3を前記燃料側排出マニホールド121cへ案内するように当該燃料側回収室121h内の当該燃料側排出マニホールド121cの上方で長手方向を上下方向へ向けると共に前記燃料側セパレータ121の幅方向(
図2中、左右方向)へわたって所定の間隔ごとに複数突設された燃料側排出ガイドリブである。
【0026】
図5〜7に示すように、前記酸化側セパレータ122は、燃料ガス1を供給する燃料側供給マニホールド122aが上方側の一方寄り(
図5中、右寄り、
図6中、左寄り)に厚さ方向へ貫通するように形成され、酸化ガス2を供給する酸化側供給マニホールド122bが上方側の他方寄り(
図5中、左寄り、
図6中、右寄り)に厚さ方向へ貫通するように形成され、電気化学反応に寄与しなかった燃料ガス1の残ガス1aを排出する燃料側排出マニホールド122cが下方側の他方寄り(
図5中、左寄り、
図6中、右寄り)に厚さ方向へ貫通するように形成され、電気化学反応に寄与しなかった酸化ガス2の残ガス2aを排出する酸化側排出マニホールド122dが下方側の一方寄り(
図5中、右寄り、
図6中、左寄り)に厚さ方向へ貫通するように形成されている。
【0027】
そして、前記酸化側セパレータ122は、前記酸化側供給マニホールド122bの下方側で当該酸化側供給マニホールド122bに接続する酸化側分配室122fが前記仕切板123との対向面(
図7中、右側面)に形成され、前記酸化側分配室122fの下側と各前記酸化側流通溝122eの上端との間を厚さ方向へ貫通して接続する酸化側供給孔122gが複数形成され、前記酸化側排出マニホールド122dの上方側で当該酸化側排出マニホールド122dに接続する酸化側回収室122hが前記仕切板123との対向面(
図7中、右側面)に形成され、前記酸化側回収室122hの上側と各前記酸化側流通溝122eの下端との間を厚さ方向へ貫通して連結する酸化側排出孔122iが複数形成されている。
【0028】
前記酸化側セパレータ122の前記酸化側回収室122hは、底面122haが、当該酸化側セパレータ122の幅方向(
図5中、左右方向)で前記酸化側排出マニホールド122d側に位置するほど当該酸化側セパレータ121の高さ方向(
図5中、上下方向)で低い高さ位置となるように漏斗状に傾斜すると共に、当該底面122haの当該酸化側排出マニホールド122dとの接続部分が角形とならないように円弧状をなす曲面122hbとなっている。
【0029】
また、前記酸化側セパレータ122の前記酸化側分配室122f内の、隣り合う前記酸化側供給孔122gの各間には、前記酸化側供給マニホールド122bからの酸化ガス2を各上記酸化側供給孔122gへ案内する酸化側供給ガイドリブ122jが長手方向を上下方向へ向けるようにしてそれぞれ突設されており、当該酸化側供給ガイドリブ122jは、すべての上記間に設けられている。
【0030】
前記酸化側セパレータ122の前記酸化側回収室122h内の、隣り合う前記酸化側排出孔122iの間には、当該酸化側排出孔122iからの残ガス2a及び水3を前記酸化側排出マニホールド122dへ向かうように案内する酸化側排出ガイドリブ122kが長手方向を上下方向へ向けるようにして突設されており、当該酸化側排出ガイドリブ122kは、一部の上記間のみに(本実施形態では幅方向一つおきに)設けられている。
【0031】
前記酸化側セパレータ122の各前記酸化側排出ガイドリブ122kの下端(先端)は、その延長線上に位置する前記酸化側回収室122hの前記底面122haとの間の各距離、若しくは、その延長線上に位置する前記酸化側排出マニホールド122dの上端との間の各距離をすべて略同一にするように高さ位置が設定、すなわち、当該酸化側セパレータ122の幅方向(
図5中、左右方向)で前記酸化側排出マニホールド122dから離れる箇所に位置するほど当該酸化側セパレータ122の高さ方向(
図5中、上下方向)で高い位置に位置するように設定されている。
【0032】
なお、
図5,6中、122mは、前記酸化側回収室122h内の残ガス2a及び水3を前記酸化側排出マニホールド122dへ案内するように当該酸化側回収室122h内の当該酸化側排出マニホールド122dの上方で長手方向を上下方向へ向けると共に前記酸化側セパレータ122の幅方向(
図5中、左右方向)へわたって所定の間隔ごとに複数突設された酸化側排出ガイドリブである。
【0033】
図8,9に示すように、前記仕切板123は、燃料ガス1を供給する燃料側供給マニホールド123aが上方側の他方寄り(
図8中、左寄り、
図9中、右寄り)に厚さ方向へ貫通するように形成され、酸化ガス2を供給する酸化側供給マニホールド123bが上方側の一方寄り(
図8中、右寄り、
図9中、左寄り)に厚さ方向へ貫通するように形成され、電気化学反応に寄与しなかった燃料ガス1の残ガス1aを排出する燃料側排出マニホールド123cが下方側の一方寄り(
図8中、右寄り、
図9中、左寄り)に厚さ方向へ貫通するように形成され、電気化学反応に寄与しなかった酸化ガス2の残ガス2aを排出する酸化側排出マニホールド123dが下方側の他方寄り(
図8中、左寄り、
図9中、右寄り)に厚さ方向へ貫通するように形成されている。
【0034】
このようにして構成されたスタック100を備えてなる本実施形態に係る固体高分子形燃料電池においては、当該スタック100の前記セパレータ120の前記燃料側供給マニホールド121a,122a,123a内に燃料ガス1が流通すると共に、前記酸化側供給マニホールド121b,122b,123b内に酸化ガス2が流通すると、当該燃料ガス1が前記燃料側セパレータ121の前記燃料側分配室121f内に流入して前記燃料側供給ガイドリブ121jで前記燃料側供給孔121g内へ案内されて前記燃料側流通溝121e内に送給され、前記セル110の前記燃料極112に供給されると共に、当該酸化ガス2が前記酸化側セパレータ122の前記酸化側分配室122f内に流入して前記酸化側供給ガイドリブ122jで前記酸化側供給孔122g内へ案内されて前記酸化側流通溝122e内に送給され、前記セル110の前記酸化極113に供給される。
【0035】
前記セル110に燃料ガス1及び酸化ガス2が供給されると、燃料ガス1中の水素ガスと酸化ガス2中の酸素ガスとが当該セル110で電気化学的に反応し、電力が発生すると共に、水3が生成する。
【0036】
生成した水3は、上記電気化学反応に寄与しなかった残ガス1a,2aと共に、前記セパレータ121,122の前記流通溝121e,122eを流通して前記排出孔121i,122i内に流入して前記回収室121h,122h内に送給される。
【0037】
このとき、上述したように、前記セパレータ121,122の前記回収室121h,122hの前記底面121ha,122haが漏斗状に傾斜していることから、当該底面121ha,122ha上に水3が溜まりにくく、前記排出マニホールド121c,122d内へ流れやすくなると共に、前記排出ガイドリブ121k,122kが前記酸化側排出マニホールド122dから離れる箇所に位置するほど高い位置に位置するように設定されていることから、上記底面121ha,122ha上を流れる水3が当該排出ガイドリブ121k,122kで阻害されることはない。
【0038】
このため、前記セパレータ121,122の前記回収室121h,122h内に送給された水3は、当該回収室121h,122h内に滞留することなく上記排出マニホールド121c,122d内へ流入し、スタック100の外部へ排出されるようになる。
【0039】
したがって、本実施形態によれば、スタック100をできるだけ小さくするように前記セパレータ120の厚さを薄くすることにより、前記回収室121h,122hの厚さが薄くなっても、当該回収室121h,122h内の水3の滞留を大きく抑制することができるので、前記流通溝121e,122e内を前記ガス1,2が流通しやすくなり、発電効率の低下を防止することができる。
【0040】
また、前記セパレータ121,122の前記回収室121h,122hの前記底面121ha,122haの前記排出マニホールド121b,122dとの接続部分が曲面121hb,122hbとなっていることから、当該底面121ha,122ha上に表面張力によって滞留する水3の高さを低くすることができるので、当該回収室121h,122h内の水3の滞留をさらに確実に抑制することができる。
【0041】
〈第二番目の実施形態〉
本発明に係る固体高分子形燃料電池の第二番目の実施形態を
図10〜14に基づいて説明する。なお、前述した実施形態と同様な部分については、前述した実施形態の説明で用いた符号と同様な符号を用いることにより、前述した実施形態での説明と重複する説明を省略する。
【0042】
本実施形態に係る固体高分子形燃料電池は、
図10に示すように、固体高分子電解質体111を燃料極112及び酸化極113で挟んだセル(単電池)110と、水素ガスを含有する燃料ガスを流通させる燃料側流通溝を一方面側に形成されて酸素ガスを含有する酸化ガスを流通させる酸化側流通溝を他方面側に形成された導電性を有するセパレータ220とを鉛直方向と交差する方向へ向かって交互に複数積層したスタック200を備えてなっている。
【0043】
前記セパレータ220は、前記セル110の前記燃料極112との対向側(一方側)に位置して当該燃料極112との対向面(
図11中、紙面奥側)の中央部分に燃料ガス1を流通させるように長手方向を上下方向へ向けた燃料側流通溝121eが幅方向(
図11中、左右方向)に沿って複数形成された燃料側セパレータ221と、前記セル110の前記酸化極113との対向側(他方側)に位置して当該酸化極113との対向面(
図13中、紙面奥側)の中央部分に酸化ガス2を流通させるように長手方向を上下方向へ向けた酸化側流通溝122eが幅方向(
図13中、左右方向)に沿って複数形成された酸化側セパレータ222と、前記燃料側セパレータ221と前記酸化側セパレータ222との対向面間を仕切る仕切板123とを備えてなっている。
【0044】
図11に示すように、前記燃料側セパレータ221は、燃料側供給マニホールド121aと、酸化側供給マニホールド121bと、燃料側排出マニホールド121cと、酸化側排出マニホールド121dと、燃料側流通溝121eと、燃料側分配室121fと、燃料側供給孔121gと、燃料側排出孔121iと、燃料側供給ガイドリブ121jと、燃料側排出ガイドリブ121k,121mとが、前述した実施形態に係る前記燃料側セパレータ121と同様にして形成されている。
【0045】
また、前記燃料側排出マニホールド121cの上方側で当該燃料側排出マニホールド121cに接続する燃料側回収室221hは、前述した実施形態の燃料側回収室121hと同様に、底面221haが漏斗状に傾斜すると共に、当該底面221haの上記燃料側排出マニホールド121cとの接続部分が曲面221hbとなっている。
【0046】
そして、
図11,12に示すように、前記燃料側セパレータ221の前記燃料側回収室221hの前記底面221haは、前記セル110の前記燃料極112との対向側(
図12中、右側)よりも前記仕切板123側(
図12中、左側)ほど高さ位置が低くなるように、当該燃料側セパレータ221の厚さ方向(
図12中、左右方向)に傾斜、すなわち、当該燃料側セパレータ221の厚さ方向(
図12中、左右方向)で連続的に異なるように変化している。
【0047】
図13に示すように、前記酸化側セパレータ222は、燃料側供給マニホールド122aと、酸化側供給マニホールド122bと、燃料側排出マニホールド122cと、酸化側排出マニホールド122dと、酸化側流通溝122eと、酸化側分配室122fと、酸化側供給孔122gと、酸化側排出孔122iと、酸化側供給ガイドリブ122jと、酸化側排出ガイドリブ122k,122mとが、前述した実施形態に係る前記酸化側セパレータ122と同様にして形成されている。
【0048】
また、前記酸化側排出マニホールド121dの上方側で当該酸化側排出マニホールド121dに接続する酸化側回収室222hは、前述した実施形態の酸化側回収室122hと同様に、底面222haが漏斗状に傾斜すると共に、当該底面221haの上記酸化側排出マニホールド122dとの接続部分が曲面222hbとなっている。
【0049】
そして、
図13,14に示すように、前記酸化側セパレータ222の前記酸化側回収室222hの前記底面222haは、前記セル110の前記酸化極113との対向側(
図14中、右側)よりも前記仕切板123側(
図14中、左側)ほど高さ位置が低くなるように、当該酸化側セパレータ222の厚さ方向(
図14中、左右方向)に傾斜、すなわち、当該酸化側セパレータ222の厚さ方向(
図14中、左右方向)で連続的に異なるように変化している。
【0050】
このようにして構成されたスタック200を備えてなる本実施形態に係る固体高分子形燃料電池においては、前述した実施形態の場合と同様にして、燃料ガス1及び酸化ガス2を供給することにより、燃料ガス1中の水素ガスと酸化ガス2中の酸素ガスとが電気化学的に反応して、電力が発生すると共に、水3が生成し、上記電気化学反応に寄与しなかった残ガス1a,2aと共に、上記水3が前記セパレータ221,222の前記回収室221h,222h内に送給される。
【0051】
このとき、前述した実施形態と同様に、前記セパレータ221,222の前記回収室221h,222hの前記底面221ha,222haが漏斗状に傾斜していることから、当該底面221ha,222ha上に水3が溜まりにくく、前記排出マニホールド121c,122d内へ流れやすくなると共に、前記排出ガイドリブ121k,122kが前記排出マニホールド121c,122dから離れる箇所に位置するほど高い位置に位置するように設定されていることから、上記底面221ha,222ha上を流れる水3が当該排出ガイドリブ121k,122kで阻害されることはない。
【0052】
さらに、本実施形態においては、上述したように、前記セパレータ221,222の前記回収室221h,222hの前記底面221ha,222haが当該セパレータ221,222の厚さ方向(
図12,14中、左右方向)に傾斜、すなわち、前記セパレータ221,222の厚さ方向(
図12,14中、左右方向)で連続的に異なるように変化していることから、当該底面221ha,222haと当該底面221ha,222ha上の水3の液面との間の長さ(高さ)を当該セパレータ221,222の厚さ方向で連続的に異ならせることができるので、当該底面221ha,222ha上の水3に生じる表面張力が当該セパレータ221,222の厚さ方向で異なるようになり、当該底面221ha,222ha上に水3がさらに滞留しにくくなる。
【0053】
したがって、本実施形態によれば、スタック200をできるだけ小さくするように前記セパレータ220の厚さを薄くすることにより、前記回収室221h,222hの厚さが薄くなっても、前述した実施形態の場合よりも、上記回収室221h,222h内の水3の滞留をさらに確実に抑制することができる。
【0054】
〈他の実施形態〉
なお、前述した第二番目の実施形態においては、前記セル110の前記電極112,113との対向側(
図12,14中、右側)よりも前記仕切板123側(
図12,14中、左側)ほど高さ位置が低くなるように、厚さ方向(
図12,14中、左右方向)に傾斜、すなわち、厚さ方向(
図12,14中、左右方向)で連続的に異なるように変化する前記底面221ha,222haをなす前記回収室221h,222hを有する前記セパレータ221,222を適用した場合について説明したが、他の実施形態として、例えば、
図15に示すように、前記セル110の前記電極112,113との対向側(
図15中、右側)よりも前記仕切板123側(
図15中、左側)の高さ位置が低くなるように、厚さ方向(
図15中、左右方向)に階段状をなす、すなわち、厚さ方向(
図15中、左右方向)で断続的に異なるように変化する前記底面321ha,322haをなす前記回収室321h,322hを有する前記セパレータ321,322を適用することも可能である。
【0055】
さらに、例えば、前記仕切板123側よりも前記セル110の前記電極112,113との対向側の高さ位置が低くなるように、厚さ方向に傾斜又は階段状をなす、すなわち、厚さ方向で連続的又は断続的に異なるように変化する底面をなす燃料側回収室や酸化側回収室を有する燃料側セパレータや酸化側セパレータを適用することも可能である。
【0056】
くわえて、例えば、燃料側セパレータの燃料側回収室の底面及び酸化側セパレータの酸化側回収室の底面に、水の表面エネルギを低下させるコーティング(例えば、フッ素樹脂等)を施すと、当該底面上に水がさらに滞留しにくくなり、上記回収室内の水の滞留をさらに確実に抑制することができるので、非常に好ましい。
【0057】
また、前述した実施形態においては、燃料側セパレータの燃料側回収室の底面及び酸化側セパレータの酸化側回収室の底面の全長にわたって、高さ位置を前記厚さ方向で連続的又は断続的に異ならせるように変化させた場合や、上記コーティングを施した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、燃料側セパレータの燃料側回収室の底面の少なくとも燃料側排出マニホールドとの接続部分及び酸化側セパレータの酸化側回収室の底面の少なくとも酸化側排出マニホールドとの接続部分において、高さ位置が前記厚さ方向で連続的又は断続的に異なるように変化してる場合や、上記コーティングが施されている場合であれば、前述した実施形態と同様な作用効果を得ることができる。
【0058】
また、前述した実施形態においては、燃料側セパレータの燃料側回収室及び酸化側セパレータの酸化側回収室の両方に適用した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、燃料側セパレータの燃料側回収室及び酸化側セパレータの酸化側回収室のいずれか一方だけに適用することも可能である。
【0059】
ここで、前記電気化学的反応に伴って生成する前記水3は、前記燃料極112側よりも前記酸化極113側の方が多いので、燃料側セパレータの燃料側回収室及び酸化側セパレータの酸化側回収室の少なくとも酸化側セパレータの酸化側回収室に適用すると、好ましい。