(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の継手では、他の管体の接続時に、スパナで継手本体のスパナ掛け部を押さえる必要があり、手間がかかる。特に、狭い空間で継手を他の管体に接続(配管)する際に、スパナで継手本体を押さえて接続作業を行うことが困難である。このため、ナットを締め付けて他の管体と接続する際に、場合によっては、継手本体のホースが捻った状態で取り付けられる可能性があり、改善の余地がある。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、管体の接続作業が容易で、接続時のホースの捻じれを抑制することができる継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するために、
第1の態様に係る継手は、可撓性のホースの端部内側が挿入され、前記ホースの内周面が接触する内側接触部を備えた継手本体と、前記継手本体の軸方向の一端部側に設けられ、前記内側接触部に沿って延在されると共に、前記ホースを前記内側接触部に加締めて固定する金属製の加締部と、前記継手本体の軸方向の他端部側に前記継手本体と相対的に回転可能に設けられ、接続される管体が圧接される接触面を備えた回転体と、前記継手本体の軸方向の他端部側に設けられ、前記回転体に対して回転可能に支持されると共に、前記管体のネジ部が締結される接続部材と、を有する。
【0008】
第1の態様に係る継手によれば、可撓性のホースの端部内側が継手本体に挿入されることで、ホースの内周面が継手本体の内側接触部に接触する。継手本体の軸方向の一端部側には、内側接触部に沿って延在される金属製の加締部が設けられており、加締部を加締めることでホースが内側接触部に固定される。継手本体の軸方向の他端部側には、回転体が継手本体と相対的に回転可能に設けられており、管体の接続時には、管体が回転体の接触面に圧接される。また、継手本体の軸方向の他端部側には、接続部材が回転体に対して回転可能に支持されており、管体のネジ部が接続部材に締結されることで、管体と継手とが接続される。その際、接続部材を締め付けることで、管体が回転体の接触面に圧接され、管体と継手との接続状態が保持される。
【0009】
このような継手では、管体の接続時に、管体が回転体の接触面に圧接されることで、管体と回転体とは相対的に回転できなくなるが、回転体に対して継手本体は回転可能である。このため、管体の継手との接続が容易であると共に、接続部材の締め付け時に、回転体に対して継手本体が回転することにより、継手本体に加締固定されたホースの捻じれの発生を抑制することができる。
【0010】
第2の態様に係る継手は、
第1の態様に記載の継手において、前記継手本体の外周面に設けられた周溝に、前記回転体の半径方向内側に突出する突起部が挿入されており、前記周溝の側壁と前記突起部の側壁との間に隙間が形成されている。
【0011】
第2の態様に係る継手によれば、回転体の突起部が、継手本体の外周面の周溝に挿入されており、周溝の側壁と突起部の側壁との間に隙間が形成されていることで、回転体と継手本体とが相対的に回転しやすくなる。このため、接続部材を締め付けて継手を管体と接続するときに、回転体に対して継手本体が回転することにより、ホースの捻じれの発生をより確実に抑制することができる。
【0012】
第3の態様に係る継手は、
第2の態様に記載の継手において、前記突起部が前記周溝に挿入された状態で、前記継手本体の端面と前記回転体との間に隙間を備える。
【0013】
第3の態様に係る継手によれば、回転体の突起部が継手本体の周溝に挿入された状態で、継手本体の端面と回転体との間に隙間を備えており、回転体と継手本体とが更に相対的に回転しやすくなる。このため、接続部材を締め付けて継手を管体と接続するときに、回転体に対して継手本体が回転することにより、ホースの捻じれの発生を更に確実に抑制することができる。
【0014】
第4の態様に係る継手は、
第1の態様に記載の継手において、前記継手本体の軸方向の他端部に半径方向外側に突出する凸部を備え、前記回転体が前記継手本体に軸方向に移動可能に外挿されており、前記回転体の半径方向内側に突出する突出部が前記凸部に当たることで、前記回転体の前記継手本体からの抜け止めとされている。
【0015】
第4の態様に係る継手によれば、回転体が継手本体に軸方向に移動可能に外挿されており、回転体の半径方向内側に突出する突出部が、継手本体の軸方向の他端部に半径方向外側に突出する凸部に当たることで、回転体の継手本体からの抜け止めとされている。これにより、回転体が継手本体から抜けることが阻止されると共に、接続部材を締め付けて継手を管体と接続するときに、管体が接触する回転体に対して継手本体が軸方向に移動可能である。このため、回転体に対して継手本体が回転しやすくなり、ホースの捻じれの発生をより確実に抑制することができる。
【0016】
第5の態様に係る継手は、
第4の態様に記載の継手において、前記突出部が前記凸部に当たったときに、前記回転体の端部が前記継手本体の軸方向の他端部よりも突出している。
【0017】
第5の態様に係る継手によれば、回転体の突出部が継手本体の凸部に当たったときに、回転体の端部が継手本体の軸方向の他端部よりも突出しており、管体が接触する回転体に対して継手本体がより確実に軸方向に移動する。このため、回転体に対して継手本体が更に回転しやすくなり、ホースの捻じれの発生を更に確実に抑制することができる。
【0018】
第6の態様に係る継手は、
第1の態様から
第5の態様までのいずれか
1つの態様に記載の継手において、前記継手本体の外周面と前記回転体の内周面との対向部に、シール部材が設けられている。
【0019】
第6の態様に係る継手によれば、継手本体の外周面と回転体の内周面との対向部に、シール部材が設けられており、回転体に対して継手本体が回転する場合でも、継手本体と回転体との間のシール性を確保することができる。
【発明の効果】
【0020】
本願発明の継手によれば、管体の接続作業が容易で、接続時のホースの捻じれを抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
〔第1実施形態〕
図1には、本発明の第1実施形態である継手10が示されている。
図1に示されるように、継手10は、軸方向の一端部側にホース14の端部内側が挿入される内側接触部としての芯部12Aを備えた金属製の継手本体(金具本体)12と、この継手本体12の芯部12Aに沿って延在されると共にホース14の外側に配置された金属製の加締部(締金具)16と、を備えている。継手本体12は、略円筒状に形成されており、内部に流体(例えば液体)が通る流路が形成されている。加締部16は、継手本体12の外周面に固定された中間リング18を介して継手本体12に取り付けられている。
【0024】
より詳細に説明すると、中間リング18の内周面には、突起18Aが形成されており、突起18Aが継手本体12の外周部に形成された溝部12Bに係合されることで、中間リング18が継手本体12に固定されている。中間リング18の外周面には、半径方向内側に窪んだ凹部18Bが形成されている。加締部16には、軸方向の一端側に半径方向内側に突出した突出部16Aが形成されており、突出部16Aが中間リング18の凹部18Bに係止させることで、加締部16が中間リング18に取り付けられている。この加締部16が外側から加締られることにより、ホース14が継手本体12の芯部12Aに押圧されて固定されている。
【0025】
継手本体12の芯部12Aの軸方向先端、すなわちホース14内への挿入端側は先細り形状とされており、ホース14の内側を芯部12Aへ容易に挿入できるようになっている。ホース14は、芯部12Aと加締部16との間に挿入されたときに、ホース14の先端部14Aが中間リング18の側壁に接触するまで挿入可能である。
【0026】
芯部12Aの外周面には、断面視にて鋸歯状とされた鋸歯部13が形成されている。鋸歯部13の歯の向きは、芯部12Aの軸方向に対してホース14の挿入方向の傾斜角度よりもホース14の抜け出し方向の傾斜角度が大きくなるように形成されている。すなわち、鋸歯部13の歯の向きは、芯部12Aにホース14の内側が挿入された状態で、ホース14の不用意な抜けに対して抵抗が生じるように設定されている。
【0027】
継手本体12の軸方向の他端部側(中間リング18を挟んで加締部16と反対側)には、継手本体12と相対的に周方向に回転可能な回転体20が設けられている。
図1及び
図2に示されるように、回転体20の軸方向の奥側(中間リング18側)の端部には、半径方向内側に突出する突起部20Aが設けられている。また、継手本体12の軸方向の他端部側の外周面には、半径方向内側に窪んだ周溝12Cが設けられており、回転体20の突起部20Aが継手本体12の周溝12Cに挿入されている。これにより、回転体20の継手本体12からの抜けが阻止されている。継手本体12の周溝12Cの側壁と回転体20の突起部20Aの側壁との間には、隙間Aが形成されている(
図2参照)。
【0028】
回転体20は、軸方向の先端側(加締部16と反対側)に、半径方向内側に突出した内側突出部20Bを備えており、内側突出部20Bの内周面の内径は、継手本体12の内径とほぼ同じに設定されている。
図2に示されるように、回転体20の突起部20Aが継手本体12の周溝12Cに挿入された状態で、内側突出部20Bの奥側の側壁20Cと継手本体12の端面12Dとが対向しており、内側突出部20Bの側壁20Cと継手本体12の端面12Dとの間に隙間Bが形成されている。本実施形態では、継手本体12の周溝12Cの側壁と回転体20の突起部20Aの側壁との間に隙間Aが形成されると共に、内側突出部20Bの側壁20Cと継手本体12の端面12Dとの間に隙間Bが形成されていることで、回転体20と継手本体12とが相対的に周方向に回転しやすくなる。
【0029】
図2に示されるように、継手本体12の外周面には、回転体20の内周面と対向する位置(対向部)に半径方向内側に窪んだ凹部12Eが形成されており、凹部12Eには、シール部材としてのOリング22と、バックアップリング24が装着されている。回転体20と継手本体12とが相対的に周方向に回転する場合でも、Oリング22が回転体20の内周面により押圧されていることで、継手本体12と回転体20との間のシール性が確保されるようになっている。
【0030】
回転体20の軸方向の先端側(加締部16と反対側)には、接続される管体(図示省略)の端面が圧接される接触面としてのシート面20Dが形成されている。シート面20Dは、回転体20の先端側(加締部16と反対側)に向かうにしたがって外周面の外径が徐々に縮小されたテーパー状とされている。本実施形態では、継手10の軸方向に対するシート面(雄シート面)20Dの角度が、例えば30°に設定されている(30°雄シートタイプ)。
【0031】
継手本体12の軸方向の他端部側には、回転体20に対して回転可能に支持された接続部材としてのナット26が設けられている。ナット26の軸方向の奥側(加締部16側)の端部には、半径方向内側に突出した突出部26Aが形成されている。回転体20の軸方向の奥側(加締部16側)の端部には、半径方向内側に窪んだ窪み部20Eが形成されており、ナット26の突出部26Aが回転体20の窪み部20Eに挿入されていることで、ナット26の回転体20からの抜けが阻止されている。ナット26を回転させることにより、ナット26の雌ねじ部26Bに管体(図示省略)の雄ねじ部を締結することで、継手10が管体と接続されるようになっている。管体には、管体の先端に向かうにしたがって内径が徐々に拡大された端面(傾斜面)が形成されており、継手10が管体と接続された状態で、管体の端面が回転体20のシート面20Dに圧接されるようになっている。
【0032】
このような継手10では、シート面20Dを有する回転体20は、強度が要求され、万が一のオーバートルクに備える必要があるため、S−C材(機械構造用炭素鋼)、快削鋼などを使用する必要がある。これに対して、継手本体12は、シート面を備えていないため、上記のS−C材、快削鋼の他に、厚肉鋼管、SS400(一般構造用圧延鋼材)などを使用することが可能である。
【0033】
ここで、回転体20を継手本体12に組み付ける工程について説明する。
【0034】
図3に示されるように、継手本体12の凹部12Eに、バックアップリング24とOリング22を装着する。なお、図示を省略するが、バックアップリング24とOリング22を装着しやすくするために、継手本体12の端面12Dの上端角部12FをR面取り、又はC面取りを施すことが好ましい。
【0035】
図4に示されるように、回転体20の突起部20Aと継手本体12とが干渉しないようにするため、回転体20の突起部20Aを拡径しておき、回転体20を継手本体12の端面12D側から矢印C方向に継手本体12に挿入(外挿)する。
【0036】
さらに、
図5に示されるように、回転体20の突起部20Aを外側から矢印D方向にクリンプすることで、回転体20の突起部20Aが継手本体12の周溝12Cに挿入される。この状態で、回転体20の継手本体12からの抜けが阻止されると共に、回転体20によってOリング22が押圧された状態で、回転体20と継手本体12とが相対的に周方向に回転する。回転体20と継手本体12とは、Oリング22とバックアップリング24の摺動力程度の負荷で、相対的に周方向に回転するようになっている。
【0037】
その後、
図1に示されるように、継手本体12にナット26と中間リング18を装着し、加締部16の突出部16Aを外側からクリンプすることで、加締部16を中間リング18に取り付け、継手10の組み立てが完了する。
【0038】
次に、本実施形態の継手10の作用並びに効果について説明する。
【0039】
継手本体12の軸方向の一端部側には、中間リング18を介して金属製の加締部16が設けられており、加締部16は、継手本体12の芯部12Aに沿って延在されている。可撓性のホース14の端部内側が、継手本体12の芯部12Aと加締部16との間に挿入されることで、ホース14の内周面が継手本体12の芯部12Aに接触する。この状態で、加締部16を加締めることにより、ホース14が継手本体12の芯部12Aに固定されている(
図1に示す状態)。
【0040】
継手本体12の軸方向の他端部側には、回転体20が継手本体12と相対的に周方向に回転可能に設けられている。また、継手本体12の軸方向の他端部側には、回転体20に対してナット26が回転可能に支持されており、管体(図示省略)のネジ部がナット26に締結されることで、管体と継手10とが接続される。その際、ナット26を締め付けることで、管体の軸方向の端面(傾斜面)が回転体20のシート面20Dに圧接され、管体と継手10との接続状態が保持される(図示省略)。
【0041】
このような継手10では、管体(図示省略)の雄ねじ部にナット26の雌ねじ部26Bを締め付けることで、管体と継手10とを容易に接続することができる。また、管体の接続時に、管体が回転体20のシート面20Dに圧接されることで、管体と回転体20とは相対的に回転できなくなるが、回転体20に対して継手本体12が周方向に回転可能である。このため、ナット26の締め付け時に、回転体20に対して継手本体12が周方向に回転することにより、継手本体12の芯部12Aに固定されたホース14の捻じれの発生を抑制することができる。
【0042】
また、継手10では、回転体20の突起部20Aが、継手本体12の外周面の周溝12Cに挿入されており、周溝12Cの側壁と突起部20Aの側壁との間に隙間Aが形成されている(
図2参照)。これにより、回転体20と継手本体12とが相対的に回転しやすくなる。
【0043】
さらに、継手10では、回転体20の突起部20Aが継手本体12の周溝12Cに挿入された状態で、継手本体12の端面12Dと回転体20の内側突出部20Bの側壁20Cとの間に隙間Bが形成されており、回転体20と継手本体12とが更に相対的に回転しやすくなる。このため、ナット26を締め付けて管体を継手10に接続するときに、回転体20に対して継手本体12が周方向に回転することにより、ホース14の捻じれの発生をより確実に抑制することができる。
【0044】
また、継手10では、継手本体12の外周面の凹部12EにOリング22が装着されており、回転体20の内周面によってOリング22が押圧されている。これにより、回転体20に対して継手本体12が周方向に回転する場合でも、継手本体12と回転体20との間のシール性を確保することができる。さらに、継手10では、管体(図示省略)の雄ねじ部にナット26の雌ねじ部26Bを締め付けて管体を接続する。すなわち、継手を管体と接続するときに、継手本体に対して回転体を締め付けて接続する構造ではないため、Oリング22に負荷がかかることを抑制することができる。
【0045】
本実施形態の継手10では、ホースサイズが−04(ホース内径が4/16インチ=6 .3mm)の場合に内圧34.5Mpa、ホースサイズが−06(ホース内径が6/16インチ=9 .5mm)の場合に内圧34.5Mpa、ホースサイズが−08(ホース内径が8/16インチ=12 .7mm)の場合に内圧27.5Mpaが得られることが確認され、加締部の性能が良好であることが確認された。
【0046】
図9には、比較例の継手100が加締部を省略した状態で示されている。
図10には、比較例の継手100に他の管体としてのアダプター120が接続されると共に、アダプター120が機械側の接続部に接続された状態が示されている。
【0047】
図9に示されるように、継手100は、略円筒状の継手本体102を備えており、継手本体102の軸方向の一端部側には、ホース14(
図10参照)の端部内側が挿入される芯部102Aが設けられている。継手本体102の軸方向の中間部102Bは、外径が芯部102Aの外径よりも拡大されており、中間部102Bの外周面には、半径方向内側に窪んだ凹部102Cが形成されている。継手本体102の凹部102Cに、加締部110(
図10参照)の突出部が挿入されることで、継手本体102に加締部110が取り付けられている。
【0048】
継手本体102の中間部102Bには、凹部102Cと隣接する位置(芯部102Aと反対側)に、半径方向外側に拡大された略六角形状のスパナ掛け部104が設けられている。継手本体102の軸方向の他端部(芯部102Aと反対側)には、アダプター120(
図10参照)の端面(傾斜面)が圧接されるテーパー状のシート面106が形成されている。また、継手本体102のスパナ掛け部104と隣接する位置(凹部102Cと反対側)には、周溝102Dが形成されている。継手本体102の軸方向の他端部側(芯部102Aと反対側)には、ユニオンナット108が継手本体102に対して回転可能に設けられている。ユニオンナット108の軸方向の一端部には、半径方向内側に突出した突起部108Aが形成されており、突起部108Aが継手本体102の周溝102Dに挿入されることで、ユニオンナット108の継手本体102に対する抜けが阻止されている。ユニオンナット108の突起部108Aと反対側には、雌ねじ部108Bが設けられており、アダプター120(
図10参照)の雄ねじ部(図示省略)が締結されることで、アダプター120と継手100とが接続されるようになっている。
【0049】
図10に示されるように、継手本体102に取り付けられた加締部110を加締めることで、継手本体102の芯部102A(
図9参照)にホース14が固定されている。機械側本体130の接続部130Aには雌ネジ部が形成されており、接続部130Aにアダプター120の軸方向の一端部側のネジ部120Aが締結固定されている。継手100のユニオンナット108をアダプター120の軸方向の他端部側(ネジ部120Aと反対側)に接続する際には、継手本体102のスパナ掛け部104をスパナ132で押さえると共に、ユニオンナット108に他のスパナ134を掛けてユニオンナット108を締め付けることで、継手100をアダプター120に接続する。
【0050】
このような継手100では、継手100とアダプター120との接続時に、継手本体102のスパナ掛け部104をスパナ132で押さえることで、継手本体102に固定されたホース14の捻じれを抑制するようにしている。しかし、隙間がほとんど無い空間(例えば、建機のエンジンルームなど)で継手100をアダプター120に接続する際には、継手本体102のスパナ掛け部104をスパナ132で押さえながら、ユニオンナット108に他のスパナ134を掛けてユニオンナット108を締め付ける作業が煩雑である。このため、場合によっては、継手本体102のホース14を捻った状態で、継手100とアダプター120とが接続される可能性がある。ユニオンナット108の締め付け時にホース14の捻じれが生じると、加圧時にホース14のあばれなどにより、ホース14の締結部分の寿命低下を招く可能性がある。
【0051】
これに対して、本実施形態の継手10では、ナット26を締め付けて継手10とアダプター(図示省略)とを接続した際に、アダプターの端面(傾斜面)が回転体20のシート面20Dに圧接されることで、アダプターと回転体20とは相対的に回転できなくなるが、回転体20に対して継手本体12が周方向に回転可能である。このため、ナット26の締め付け時に、回転体20に対して継手本体12が周方向に回転することで、継手本体12の芯部12Aに固定されたホース14の捻じれを抑制することができる。
【0052】
さらに、比較例の継手100では、継手本体102にシート面106が設けられているため、加締性能やシート面106の強度を確保するために、継手本体102の材料は、S−C材(機械構造用炭素鋼)、快削鋼、SWRCH材(冷間圧造用炭素鋼線)などの鍛造用材料などに限定され、SS400(一般構造用圧延鋼材)などは使用できない。また、継手本体102は、スパナ掛け部104の形状に合わせて六角鋼材から切削加工する必要があり、削り代が多く、コスト低下を図りにくい。
【0053】
これに対して、本実施形態の継手10では、回転体20にシート面20Dが設けられているため、継手本体12は、S−C材、快削鋼などの他に、厚肉鋼管、SS400などの圧延材が使用可能であり、材料の適用範囲が広がる。また、継手本体12の削り代が少なく、コストを低減することができる。
【0054】
〔第2実施形態〕
次に、
図6及び
図7を用いて、本発明の第2実施形態である継手30について説明する。なお、前述した第1実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0055】
図6に示されるように、継手30は、軸方向の一端部側にホース14の端部内側が挿入される芯部12Aを備えた金属製の継手本体(金具本体)32と、この継手本体32の芯部12Aに沿って延在されると共にホース14の外側に配置された金属製の加締部16と、を備えている。加締部16は、継手本体32の外周面に固定された中間リング18を介して継手本体32に取り付けられている。
【0056】
継手本体32の軸方向の他端部側(中間リング18を挟んで加締部16と反対側)には、継手本体32と相対的に周方向に回転可能に配置された回転体34が設けられている。回転体34は、環状とされ、継手本体32の軸方向の他端部側に外挿されている。
【0057】
図7に示されるように、継手本体32は、中間リング18が設けられた位置から加締部16と反対側に、外径がほぼ同じに設定された外周面32Aを備えている。継手本体32の軸方向の他端部(加締部16と反対側)には、外周面32Aから半径方向外側に突出した凸部32Bが設けられている。
【0058】
回転体34は、軸方向の他端部側(加締部16と反対側)の端部34Aに凸部32Bの外周面と接触する内周面34Bを備えている。回転体34は、内周面34Bよりも軸方向奥側(加締部16側)に半径方向内側に突出する突出部34Cを備えている。突出部34Cの内周面は、継手本体32の外周面32Aと接触するように配置されている。
【0059】
継手本体32は、中間リング18の突起18Aが係合される溝部12Bよりも軸方向中間部側の外径が外周面32Aの外径と同じに設定され、芯部12Aの外径が外周面32Aの外径よりも小さく形成されている。また、回転体34の突出部34Cの内径は、継手本体32の外周面32Aの外径よりも僅かに大きく形成されている。これにより、回転体34は、芯部12Aの先端部から軸方向に押し込むことで、継手本体32の軸方向の他端部側(外周面32A側)に装着することができる。すなわち、回転体34は、継手本体32に軸方向に移動可能に外挿されており、回転体34の突出部34Cが継手本体32の凸部32Bに当たることで、回転体34の継手本体32からの抜け止めとされている。
【0060】
また、回転体34の突出部34Cが継手本体32の凸部32Bに当たったときに、回転体34の端部34Aが継手本体32の軸方向の他端部側の端面32Dよりも突出している。本実施形態では、回転体34の突出部34Cが継手本体32の凸部32Bに当たったときに、回転体34の端部34Aが継手本体32の端面32Dよりも長さEだけ突出している(
図7参照)。
【0061】
継手本体32の外周面32Aには、回転体34の突出部34Cの内周面と対向する位置(対向部)に半径方向内側に窪んだ凹部32Cが形成されており、凹部32Cには、Oリング22と、バックアップリング24が装着されている。回転体34と継手本体32とが相対的に周方向に回転する場合でも、Oリング22が回転体34の突出部34Cの内周面により押圧されていることで、継手本体32と回転体34との間のシール性が確保されるようになっている。
【0062】
回転体34の軸方向の先端側(加締部16と反対側)には、接続される管体(図示省略)の端面が圧接される接触面としてのシート面34Dが形成されている。シート面34Dは、回転体34の先端側(加締部16と反対側)に向かうにしたがって外周面の外径が徐々に縮小されたテーパー状とされている。本実施形態では、継手30の軸方向に対するシート面(雄シート面)34Dの角度が、例えば30°に設定されている(30°雄シートタイプ)。
【0063】
継手本体32の軸方向の他端部側には、回転体34に対して回転可能に支持されたナット26が設けられている。ナット26の軸方向の奥側(加締部16側)には、突出部26Aが形成されている。ナット26の突出部26Aが回転体34の窪み部20Eに挿入されていることで、ナット26の回転体34からの抜けが阻止されている。
【0064】
次に、本実施形態の継手30の作用並びに効果について説明する。
【0065】
継手本体32の軸方向の他端部側には、回転体34が継手本体32と相対的に周方向に回転可能に設けられている。また、継手本体32の軸方向の他端部側には、回転体34に対してナット26が回転可能に支持されており、管体(図示省略)のネジ部がナット26に締結されることで、管体と継手30とが接続される。その際、ナット26を締め付けることで、管体の軸方向の端面(傾斜面)が回転体34のシート面34Dに圧接され、管体と継手30との接続状態が保持される(図示省略)。
【0066】
このような継手30では、管体が回転体34のシート面34Dに圧接されることで、管体と回転体34とは相対的に回転できなくなるが、回転体34に対して継手本体32が周方向に回転可能である。すなわち、管体が回転体34のシート面34Dに圧接された状態で、回転体34に対して継手本体32が軸方向に移動可能であり、回転体34に対して継手本体32が周方向に回転しやすくなる。
【0067】
本実施形態では、回転体34の突出部34Cが継手本体32の凸部32Bに当たったときに、回転体34の端部34Aが継手本体32の軸方向の他端部側の端面32Dよりも長さEだけ突出している。これにより、管体が回転体34のシート面34Dに圧接された状態で、回転体34に対して継手本体32が軸方向に確実に移動可能であり、回転体34に対して継手本体32が周方向に回転しやすくなる。このため、ナット26の締め付け時に、回転体34に対して継手本体32が周方向に回転することにより、継手本体32の芯部12Aに固定されたホース14の捻じれの発生を抑制することができる。
【0068】
本実施形態の継手30では、回転体34にシート面34Dが設けられているため、継手本体32は、S−C材、快削鋼などの他に、厚肉鋼管、SS400などの圧延材が使用可能であり、材料の適用範囲が広がる。また、継手本体32の削り代が少なく、コストを低減することができる。
【0069】
本実施形態の継手30では、ホースサイズが−04(ホース内径が4/16インチ=6 .3mm)の場合に内圧34.5Mpa、ホースサイズが−06(ホース内径が6/16インチ=9 .5mm)の場合に内圧34.5Mpa、ホースサイズが−08(ホース内径が8/16インチ=12 .7mm)の場合に内圧27.5Mpaが得られることが確認され、加締部の性能が良好であることが確認された。
【0070】
〔第3実施形態〕
次に、
図8を用いて、本発明の第3実施形態である継手40について説明する。なお、前述した第1及び第2実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0071】
図8に示されるように、継手40は、軸方向の一端部側にホース14の端部内側が挿入される芯部12Aを備えた金属製の継手本体(金具本体)42を備えている。継手本体42の軸方向の芯部12Aより軸方向中間部側(芯部12Aと隣接する位置)には、雄ねじ部42Aが形成されている。
【0072】
継手40は、継手本体42の芯部12Aに沿って延在されると共にホース14の外側に配置された金属製の加締部(締金具)44を備えている。加締部44の軸方向の一端側には、半径方向内側に突出した突出部44Aが形成されており、突出部44Aの内周面に雌ねじ部44Bが形成されている。加締部44の雌ねじ部44Bが継手本体42の雄ねじ部42Aに締め付けられることで、継手本体42に加締部44が取り付けられている。
このような継手40では、中間リングが不要であり、加締部44の継手本体42への組み付けが容易であると共に、コストを低減することができる。
【0073】
なお、第1〜第3実施形態の継手10、30、40は、回転体20の軸方向の先端側に向かって外周面が縮小されたテーパー状のシート面20Dが形成された、30°雄シートタイプ(軸方向に対する雄シート面の角度が30°)の継手であるが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、回転体の軸方向の先端側に向かって内周面が拡大された逆テーパー状のシート面(接触面)が形成された、30°雌シートタイプ(軸方向に対する雌シート面の角度が30°)、又は37°雌シートタイプ(軸方向に対する雌シート面の角度が37°)などのユニオンナットを使用した継手でも、本発明を適用することができる。