特許第6388498号(P6388498)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6388498
(24)【登録日】2018年8月24日
(45)【発行日】2018年9月12日
(54)【発明の名称】開閉体装置及び開閉体制御方法
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/02 20060101AFI20180903BHJP
【FI】
   F25D23/02 301F
【請求項の数】12
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-124288(P2014-124288)
(22)【出願日】2014年6月17日
(65)【公開番号】特開2016-3816(P2016-3816A)
(43)【公開日】2016年1月12日
【審査請求日】2017年5月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114166
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 浩三
(72)【発明者】
【氏名】高橋 大助
【審査官】 庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−156282(JP,A)
【文献】 特開2000−054765(JP,A)
【文献】 特開2014−098256(JP,A)
【文献】 特開2004−100241(JP,A)
【文献】 特開2004−299800(JP,A)
【文献】 米国特許第06470949(US,B1)
【文献】 特開2013−251159(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 23/02
F25D 13/00
E06B 9/17,9/56−9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部と内部との間の温度差を維持するように構成された区画室と、
前記区画室への出入口となる開口部の周縁部から第1の開閉部材を開閉動作させて前記開口部を仕切る第1の開閉体手段と、
前記第1の開閉体手段よりも前記区画室側に設けられ、前記第1の開閉体手段の第1の開閉部材に対して所定の間隔となるように前記開口部の周縁部から第2の開閉部材を開閉動作させて前記開口部を仕切る第2の開閉体手段と、
前記区画室外に設けられ前記第1及び第2の開閉体手段の開動作を指示する第1の操作子手段と、
前記区画室内に設けられ前記第1及び第2の開閉体手段の開動作を指示する第2の操作子手段と、
前記第1又は第2の操作子手段からの開動作の指示に応じて、記第1及び第2の開閉体手段の開閉動作を制御する制御手段であって、
前記第2の開閉体手段の開閉動作時の移動速度を前記第1の開閉体手段の開閉動作時の移動速度の約30〜70%とし、
前記区画室へ出入りする時に、前記第1の開閉体手段の開閉動作の使用頻度が前記第2の開閉体手段の開閉動作の使用頻度よりも高くなるように制御し、
前記第1又は第2の操作子手段からの開動作の指示に対応して、前記第2の開閉体手段を先に開動作し、前記第2の開閉体手段の全開停止後に前記第1の開閉体手段の開動作及びその数秒経過後の閉動作を実行し、前記第1の開閉体手段が全閉停止後に第1の時間として数分経過するまでの間は、前記第1又は第2の操作子手段からの開動作の指示に対応して前記第1の開閉体手段の開動作及びその数秒経過後の閉動作を繰り返し実行し、前記第1の開閉体手段が全閉停止後さらに前記第1の時間が経過した時点で前記第2の開閉体手段を全閉停止させ、
前記第1の開閉体手段が全閉停止後に前記第1の時間よりも十分に大きな第2の時間が経過した時点で前記第1又は第2の開閉体手段の霜取り運転を実行し、その後に前記霜取り運転未実行の前記第1又は第2の開閉体手段について霜取り運転を実行するこによって、前記温度差によるエネルギー損失を抑制するように前記第1及び第2の開閉体手段の開閉動作を制御する制御手段と
を備えたことを特徴とする開閉体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の開閉体装置において、前記区画室が冷蔵庫、冷凍庫又は冷却庫で構成されていることを特徴とする開閉体装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の開閉体装置において、前記制御手段が前記第1及び第2の開閉体手段についていずれか一方の開閉動作のみを実行し、同時に開閉動作を実行しないことを特徴とする開閉体装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の開閉体装置において、前記制御手段が前記第1及び第2の開閉体手段に対して信号伝達手段を切り替えてその開閉動作を制御することを特徴とする開閉体装置。
【請求項5】
請求項1からまでに記載のいずれか1に記載の開閉体装置において、前記第1及び第2の開閉体手段が、巻取軸に一端部が巻き回され、その巻取り状態に応じて他端部が開口部を開閉移動するシート状のカーテン手段と、前記巻取軸を回転可能に保持し、スリット状の出入口から前記カーテン手段が出入りするように構成された前記カーテン手段の収納手段と、前記カーテン手段の両側端部を案内するガイド手段とを備えたことを特徴とする開閉体装置。
【請求項6】
請求項1からまでに記載のいずれか1に記載の開閉体装置において、冷蔵庫、冷凍庫又は冷却庫で構成されている前記区画室よりも室温が高く、外部よりも室温が低く設定された前室が、前記開口部を介して隣接するように設けられている場合、請求項1からまでのいずれか1に記載の開閉体装置が前記前室への出入口となる開口部の周縁部に備えられていることを特徴とする開閉体装置。
【請求項7】
外部と内部との間の温度差を維持するように構成された区画室の出入口となる開口部の周縁部から第1の開閉部材を開閉動作させて前記開口部を仕切るように設けられた第1の開閉体手段と、前記第1の開閉体手段よりも前記区画室側であって、前記第1の開閉体手段の第1の開閉部材に対して所定の間隔となるように前記開口部の周縁部から第2の開閉部材を開閉動作させて前記開口部を仕切るように設けられた第2の開閉体手段との開閉動作を、前記区画室の内外にそれぞれ設けられた第1又は第2の操作子手段からの開動作の指示に応じて制御する開閉体制御方法であって、
前記第2の開閉体手段の開閉動作時の移動速度を前記第1の開閉体手段の開閉動作時の移動速度の約30〜70%とし、
前記区画室へ出入りする時に、前記第1の開閉体手段の開閉動作の使用頻度が前記第2の開閉体手段の開閉動作の使用頻度よりも高くなるように制御し、
前記第1又は第2の操作子手段からの開動作の指示に対応して、前記第2の開閉体手段を先に開動作し、前記第2の開閉体手段の全開停止後に前記第1の開閉体手段の開動作及びその数秒経過後の閉動作を実行し、前記第1の開閉体手段が全閉停止後に第1の時間として数分経過するまでの間は、前記第1又は第2の操作子手段からの開動作の指示に対応して前記第1の開閉体手段の開動作及びその数秒経過後の閉動作を繰り返し実行し、前記第1の開閉体手段が全閉停止後さらに前記第1の時間が経過した時点で前記第2の開閉体手段を全閉停止させ、
前記第1の開閉体手段が全閉停止後に前記第1の時間よりも十分に大きな第2の時間が経過した時点で前記第1又は第2の開閉体手段の霜取り運転を実行し、その後に前記霜取り運転未実行の前記第1又は第2の開閉体手段について霜取り運転を実行することによって、前記温度差によるエネルギー損失を抑制するように前記第1及び第2の開閉体手段の開閉動作を制御することを特徴とする開閉体制御方法。
【請求項8】
請求項に記載の開閉体制御方法において、前記区画室が冷蔵庫、冷凍庫又は冷却庫で構成されていることを特徴とする開閉体制御方法。
【請求項9】
請求項又はに記載の開閉体制御方法において、前記第1及び第2の開閉体手段についていずれか一方の開閉動作のみを実行し、同時に開閉動作を実行しないことを特徴とする開閉体制御方法。
【請求項10】
請求項又はに記載の開閉体装置において、前記第1及び第2の開閉体手段に対して信号伝達手段を切り替えてその開閉動作を制御することを特徴とする開閉体制御方法。
【請求項11】
請求項から10までに記載のいずれか1に記載の開閉体制御方法において、前記第1及び第2の開閉体手段が、巻取軸に一端部が巻き回され、その巻取り状態に応じて他端部が開口部を開閉移動するシート状のカーテン手段と、前記巻取軸を回転可能に保持し、スリット状の出入口から前記カーテン手段が出入りするように構成された前記カーテン手段の収納手段と、前記カーテン手段の両側端部を案内するガイド手段とを備えて構成されたことを特徴とする開閉体制御方法。
【請求項12】
請求項から11までに記載のいずれか1に記載の開閉体制御方法において、冷蔵庫、冷凍庫又は冷却庫で構成されている前記区画室よりも室温が高く、外部よりも室温が低く設定された前室が、前記開口部を介して隣接するように設けられている場合、請求項からまでのいずれか1に記載の開閉体制御方法に係る装置が前記前室への出入口となる開口部の周縁部に備えられていることを特徴とする開閉体制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大型の冷凍庫や冷蔵庫の出入口などのように外部と内部との間で温度差のある開口部に設置される開閉体装置及びこれを制御する開閉体制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
大型の冷凍庫や冷蔵庫の出入口などのように温度差のある開口部には、断熱加工された扉やシート状のシャッターカーテンなどの開閉体装置が設置される。引き戸式の扉からなる開閉体装置としては、特許文献1,2,3に示すようなものがある。また、引き戸式の扉に変えて、シート状のシャッターカーテンを開口部に備えたものが存在する。
【特許文献1】特開平05−157431号公報
【特許文献2】特開2001−280816号公報
【特許文献3】特開2007−113885号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これらの開閉体装置は、その動作を電動で行うものが多い。このように電動で開閉動作を行うものは、可動部の動作を安定化させるために、一定時間ごとに可動部の霜取りを行うように構成されたものがある。例えば、シート状のシャッターカーテンの場合、シートへの霜の付着を防ぎ、スムーズな開閉を確保するために定期的な開閉動作を行っている。しかしながら、これらの扉やシャッターカーテンは、1枚で構成されているため、通常使用時やメンテナンスや霜取り運転時に冷気が逃げてしまいエネルギーを損失するという問題を有する。また、この問題は室内外の温度差が大きいほど影響する。
【0004】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、室内外の温度差が大きい場合でも開閉動作時のエネルギー損失を極力抑制することのできる開閉体装置及び開閉体制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る開閉体装置の第1の特徴は、外部と内部との間の温度差を維持するように構成された区画室と、前記区画室への出入口となる開口部の周縁部から第1の開閉部材を開閉動作させて前記開口部を仕切る第1の開閉体手段と、前記第1の開閉体手段よりも前記区画室側に設けられ、前記第1の開閉体手段の第1の遮蔽部材に対して所定の間隔となるように前記開口部の周縁部から第2の開閉部材を開閉動作させて前記開口部を仕切る第2の開閉体手段と、前記区画室外に設けられ前記第1及び第2の開閉体手段の開動作を指示する第1の操作子手段と、前記区画室内に設けられ前記第1及び第2の開閉体手段の開動作を指示する第2の操作子手段と、前記第1又は第2の操作子手段からの開動作の指示に応じて、前記温度差によるエネルギー損失を抑制するように前記第1及び第2の開閉体手段の開閉動作を制御する制御手段と備えたことにある。
【0006】
区画室は、外部と内部との間の温度差を維持するように構成されたものであり、外部よりも内部の温度が低い冷凍庫、冷蔵庫若しくは冷却室、又は外部よりも内部の温度が高い温室などで構成される。すなわち、区画室とは、区画された空間と言う意味であって、例えば、廊下や階段、エレベータ用の竪穴等のような単なる通路や空間のような場合でも、何らかの意味で温度差を設けるために区画されていればよい。この区画室への出入口となる開口部には、断熱加工されたスクリーンカーテンなどの開閉部材が区画室の開口部の周縁部の一つである上部に収納され、まぐさなどのスリットを通過して下降し、開口部を電動で開閉動作する。これ以外にも開閉部材が開口部の側部に収納され電動横引き方式で開閉移動し、開口部の下部に収納され電動上昇方式で開閉移動するものも含む。
【0007】
この発明では、区画室への出入口となる開口部の周縁部から所定の間隔で第1及び第2の開閉部材を開閉動作させて開口部を2枚の開閉部材で仕切るような構成とした。このように2枚の開閉部材で開口部を仕切ることによって、2枚の開閉部材間に空気層を形成し、この空気層によって断熱効果を高め、区画室と外部との間の温度差によるエネルギー損失を抑制するようにした。なお、開口部を2枚の開閉部材で仕切るような構成とし、第1及び第2の開閉部材のいずれか一方の開閉動作のみを実行し、同時に開閉動作を実行しないことによって、区画室と外部との間の温度差によるエネルギー損失を抑制する。また、第1の開閉部材の開閉動作時の移動速度を第2の開閉部材の移動速度よりも十分に速くし、移動速度の早い第1の開閉部材の使用頻度を高くすることによって、区画室と外部との間の温度差によるエネルギー損失を抑制する。
【0008】
本発明に係る開閉体装置の第2の特徴は、前記第1の特徴に記載の開閉体装置において、前記区画室が冷蔵庫、冷凍庫又は冷却庫で構成されていることにある。これは、外部と内部との間の温度差を維持するように構成された区画室を冷凍庫、冷凍庫又は冷却庫に具体的に限定し、これらの庫内から冷気が逃げる場合のエネルギー損失を抑制するようにしたものである。
【0009】
本発明に係る開閉体装置の第3の特徴は、前記第1又は第2の特徴に記載の開閉体装置において、前記制御手段が前記第1及び第2の開閉体手段についていずれか一方の開閉動作のみを実行し、同時に開閉動作を実行しないことにある。これは、第1及び第2の開閉部材のいずれか一方の開閉動作のみを実行するようにしたものである。すなわち、いずれか一方のみを交互に開閉動作し、同時に開閉動作を実行しないことによって、第1及び第2の開閉部材の2枚のいずれか一方が閉じている状態をより多く発生させて、エネルギー損失を抑制している。
【0010】
本発明に係る開閉体装置の第4の特徴は、前記第1又は第2の特徴に記載の開閉体装置において、前記制御手段が前記第1及び第2の開閉体手段に対して信号伝達手段を切り替えてその開閉動作を制御することにある。これは、制御手段から第1及び第2の開閉体手段への信号伝達手段を切り替えることによって、いずれか一方の開閉動作のみが実行されるようにしたものである。
【0011】
本発明に係る開閉体装置の第5の特徴は、前記第1、第2、第3又は第4の特徴に記載の開閉体装置において、前記第2の開閉体手段の開閉動作時の移動速度を前記第1の開閉体手段の開閉動作時の移動速度の約30〜70%とし、前記区画室へ出入りする時に、前記制御手段が前記第1の開閉体手段の開閉動作の使用頻度が前記第2の開閉体手段の開閉動作の使用頻度よりも高くなるように制御することにある。これは、第1の開閉部材の開閉動作時の移動速度を第2の開閉部材の移動速度よりも十分に速くし、移動速度の早い第1の開閉部材の使用頻度を高くすることによって、第1の開閉部材が閉じている状態をより高い頻度で発生させ、区画室と外部との間の温度差によるエネルギー損失を有効に抑制するようにしたものである。
【0012】
本発明に係る開閉体装置の第6の特徴は、前記第5の特徴に記載の開閉体装置において、前記制御手段が、前記区画室へ出入りする時に、前記第1又は第2の操作子手段からの開動作の指示に対応して、前記第2の開閉体手段を先に開動作し、前記第2の開閉体手段の全開停止後に前記第1の開閉体手段の開動作及びその数秒経過後の閉動作を実行し、前記第1の開閉体手段が全閉停止後に第1の時間として数分経過するまでの間は、前記第1又は第2の操作子手段からの開動作の指示に対応して前記第1の開閉体手段の開動作及びその数秒経過後の閉動作を繰り返し実行し、前記第1の開閉体手段が全閉停止後さらに前記第1の時間が経過した時点で前記第2の開閉体手段を全閉停止させることにある。これは、区画室へ出入りする時に、開動作の指示に対応して、まず、移動速度の遅い第2の開閉体手段の開動作を実行し、その後に移動速度の早い第1の開閉体手段の開動作及び閉動作を実行し、開口部が開放状態にある時間を極力短くして、エネルギー損失を抑制する。さらに、移動速度の遅い第2の開閉体手段の閉動作を第1の時間として数分経過するまで実行しないことによって、区画室に入室してこの第1の時間内に退室する場合には、第2の開閉体手段は全開状態にあるので、移動速度の早い第1の開閉体手段の開動作及び閉動作が直ちに実行され、開口部が開放状態にある時間を極力短くすることができ、それに伴ってスムーズな入退室を実現することができる。
【0013】
本発明に係る開閉体装置の第7の特徴は、前記第6の特徴に記載の開閉体装置において、前記制御手段が、前記第1の開閉体手段が全閉停止後に前記第1の時間よりも十分に大きな第2の時間が経過した時点で前記第1又は第2の開閉体手段の霜取り運転を実行し、その後に前記霜取り運転未実行の前記第1又は第2の開閉体手段について霜取り運転を実行することにある。これは、第1の時間(数分程度)よりも十分に大きな、例えば20乃至40分程度の第2の時間が経過した時点で、第1及び第2の開閉体手段について交互に霜取り運転を実行するようにしたものである。ここでの霜取り運転とは、第1及び第2の開閉体手段の構成部品に霜が付かないように第1及び第2の開閉体手段を定期的に開閉動作させることである。霜取り運転時にいずれか一方が閉鎖状態にあるので、エネルギー損失を極力抑制することができる。
【0014】
本発明に係る開閉体装置の第8の特徴は、前記第1から第7までのいずれか1の特徴に記載の開閉体装置において、前記第1及び第2の開閉体手段が、巻取軸に一端部が巻き回され、その巻取り状態に応じて他端部が開口部を開閉移動するシート状のカーテン手段と、前記巻取軸を回転可能に保持し、スリット状の出入口から前記カーテン手段が出入りするように構成された前記カーテン手段の収納手段と、前記カーテン手段の両側端部を案内するガイド手段とを備えたことにある。これは、第1及び第2の開閉体手段がシート状のカーテンからなるロールスクリーン装置で構成される点を明確にしたものである。
【0015】
本発明に係る開閉体装置の第9の特徴は、前記第1から第8までのいずれか1の特徴に記載の開閉体装置において、冷蔵庫、冷凍庫又は冷却庫で構成されている前記区画室よりも室温が高く、外部よりも室温が低く設定された前室が、前記開口部を介して隣接するように設けられている場合、前記第1から第8までのいずれか1の特徴に記載の開閉体装置が前記前室への出入口となる開口部の周縁部に備えられていることにある。これは、区画室が冷蔵庫、冷凍庫又は冷却庫で構成されている場合に、その庫内温度を安定化させるために、外部よりも室温の低い前室を設けた場合に、この前室にも同様の開閉体装置を設置するようにしたものである。
【0016】
本発明に係る開閉体制御方法の第1の特徴は、外部と内部との間の温度差を維持するように構成された区画室の出入口となる開口部の周縁部に設けられた第1の開閉部材と、前記第1の開閉体手段よりも前記区画室側であって、前記第1の開閉体手段の第1の遮蔽部材に対して所定の間隔となるように前記開口部の周縁部に設けられた第2の開閉部材との開閉動作を、前記区画室の内外にそれぞれ設けられた第1又は第2の操作子手段からの開動作の指示に応じて前記温度差によるエネルギー損失を抑制するように制御することにある。これは、前記開閉体装置の第1の特徴に対応した開閉体制御方法の発明である。
【0017】
本発明に係る開閉体制御方法の第2の特徴は、前記第1の特徴に記載の開閉体制御方法において、前記区画室が冷蔵庫、冷凍庫又は冷却庫で構成されていることにある。これは、前記開閉体装置の第2の特徴に対応した開閉体制御方法の発明である。
【0018】
本発明に係る開閉体制御方法の第3の特徴は、前記第1又は第2の特徴に記載の開閉体制御方法において、前記第1及び第2の開閉体手段についていずれか一方の開閉動作のみを実行し、同時に開閉動作を実行しないことにある。これは、前記開閉体装置の第3の特徴に対応した開閉体制御方法の発明である。
【0019】
本発明に係る開閉体制御方法の第4の特徴は、前記第1又は第2の特徴に記載の開閉体装置において、前記第1及び第2の開閉体手段に対して信号伝達手段を切り替えてその開閉動作を制御することにある。これは、前記開閉体装置の第4の特徴に対応した開閉体制御方法の発明である。
【0020】
本発明に係る開閉体制御方法の第5の特徴は、前記第1、第2、第3又は第4の特徴に記載の開閉体制御方法において、前記第2の開閉体手段の開閉動作時の移動速度を前記第1の開閉体手段の開閉動作時の移動速度の約30〜70%とし、前記区画室へ出入りする時に、前記第1の開閉体手段の開閉動作の使用頻度が前記第2の開閉体手段の開閉動作の使用頻度よりも高くなるように制御することにある。これは、前記開閉体装置の第5の特徴に対応した開閉体制御方法の発明である。
【0021】
本発明に係る開閉体制御方法の第6の特徴は、前記第5の特徴に記載の開閉体制御方法において、前記区画室へ出入りする時に、前記第1又は第2の操作子手段からの開動作の指示に対応して、前記第2の開閉体手段を先に開動作し、前記第2の開閉体手段の全開停止後に前記第1の開閉体手段の開動作及びその数秒経過後の閉動作を実行し、前記第1の開閉体手段が全閉停止後に第1の時間として数分経過するまでの間は、前記第1又は第2の操作子手段からの開動作の指示に対応して前記第1の開閉体手段の開動作及びその数秒経過後の閉動作を繰り返し実行し、前記第1の開閉体手段が全閉停止後さらに前記第1の時間が経過した時点で前記第2の開閉体手段を全閉停止させることにある。これは、前記開閉体装置の第6の特徴に対応した開閉体制御方法の発明である。
【0022】
本発明に係る開閉体制御方法の第7の特徴は、前記第6の特徴に記載の開閉体制御方法において、前記第1の開閉体手段が全閉停止後に前記第1の時間よりも十分に大きな第2の時間が経過した時点で前記第1又は第2の開閉体手段の霜取り運転を実行し、その後に前記霜取り運転未実行の前記第1又は第2の開閉体手段について霜取り運転を実行することにある。これは、前記開閉体装置の第7の特徴に対応した開閉体制御方法の発明である。
【0023】
本発明に係る開閉体制御方法の第8の特徴は、前記第1から第7までのいずれか1の特徴に記載の開閉体制御方法において、前記第1及び第2の開閉体手段が、巻取軸に一端部が巻き回され、その巻取り状態に応じて他端部が開口部を開閉移動するシート状のカーテン手段と、前記巻取軸を回転可能に保持し、スリット状の出入口から前記カーテン手段が出入りするように構成された前記カーテン手段の収納手段と、前記カーテン手段の両側端部を案内するガイド手段とを備えて構成されたことにある。これは、前記開閉体装置の第8の特徴に対応した開閉体制御方法の発明である。
【0024】
本発明に係る開閉体制御方法の第9の特徴は、前記第1から第8までのいずれか1の特徴に記載の開閉体制御方法において、冷蔵庫、冷凍庫又は冷却庫で構成されている前記区画室よりも室温が高く、外部よりも室温が低く設定された前室が、前記開口部を介して隣接するように設けられている場合、前記第1から第8までのいずれか1の特徴に記載の開閉体制御方法が前記前室への出入口となる開口部の周縁部に適用されていることにある。これは、前記開閉体装置の第9の特徴に対応した開閉体制御方法の発明である。
【発明の効果】
【0025】
本発明の開閉体装置及び開閉開制御方法によれば、室内外の温度差が大きい場合でも開閉動作時のエネルギー損失を極力抑制することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明に係るロールスクリーン装置の概略構成を示す正面図である。
図2図1のロールスクリーン装置を左側から見た側面図である。
図3】メインスクリーン装置及びバックアップスクリーン装置の電動モータを駆動制御する制御装置の概略構成を示す図である。
図4図3の制御装置が実行するシャッター制御処理の一例を示すフローチャート図である。
図5図1のロールスクリーン装置の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下添付図面に従って本発明に係る開閉体装置の好ましい実施の形態について説明する。この実施の形態では開閉体装置として上下に開閉(昇降)制御されるロールスクリーン装置を例に説明する。この開閉体装置は、上方が開方向で下方が閉方向であり、上方の天井部等に収納ボックス11,12を備えている。図1は、本発明に係るロールスクリーン装置の概略構成を示す正面図である。図2は、図1のロールスクリーン装置を左側から見た側面図である。
【0028】
このロールスクリーン装置は、出入口部の通過方向に沿って2台並列に設けられており、前室側に設けられるものがメインスクリーン装置10であり、冷凍庫側に設けられるものがバックアップスクリーン装置20である。冷凍庫は、外部と内部との間の温度差を維持するように構成されたものであり、約−25[°C]に設定され、前室の−5[°C]よりも冷凍庫内の温度が低く設定されている。また、前室も同様に、外部よりも温度が低く設定されている。冷凍庫は、冷蔵庫又は冷却室とも呼ばれる。図2おいて、メインスクリーン装置10とバックアップスクリーン装置20との間の距離を、例えば、約300[mm]とする。この300[mm]という距離は一例であり、これ以上でもこれ以下でもよい。メインスクリーン装置10のスクリーンカーテン15とバックアップスクリーン装置20のスクリーンカーテン25との間に、空気層を形成し、この空気層によって断熱効果を高めるようにしている。なお、図1は、冷凍庫の前室側から見た図なので、メインスクリーン装置10のみが示してある。
【0029】
閉鎖状態におけるメインスクリーン装置10のスクリーンカーテン15とバックアップスクリーン装置20のスクリーンカーテン25との間に空気層を形成するため、閉鎖状態における両者は間隔を開けるように出入口部の通過方向に沿って並列に設けられている。
閉鎖状態における両者の離間間隔は、例えば、約300mmである。なお、この間隔は、当然であるが両者が閉鎖する際に互いに閉鎖の邪魔にならないだけの離間距離を有しており、図2図5に示されているように、例えば、両者(または少なくとも一方)のウエイトバーである閉鎖方向先端部の、出入口部の通過方向の長さが座坂上部に設けられているスクリーンカーテン15のそれよりも大きい長さを備えているのであれば、当該ウエイトバーにおける対向する他方のスクリーンカーテン15の閉鎖方向先端部とは全閉鎖を妨げない程度には離間するように構成されている。
【0030】
また、前述の離間間隔(長さ)は、温度差を確保するためには、あまり大きくない方がよいので、出入口部の幅方向(出入口部の通過方向と直交又は略直交する方向であって上下方向ではない方向)や出入口部の上下方向の長さよりも短い長さとしている。すなわち、言い換えれば、離間間隔(長さ)は、スクリーンカーテン15における出入口部の幅方向の長さやスクリーンカーテン15の開閉移動の長さ(全開から全閉までの移動量)よりも短い長さとしている。
また、図2図5に示されているように、メインスクリーン装置10とバックアップスクリーシ装置20における各収納ボックス(や巻取シャフト外径)の出入口部の通過方向の長さの和よりも短い長さであることが好ましく、さらには図2に示されているように、メインスクリーン装置10やバックアップスクリーン装置20における各収納ボックス(や巻取、ンャフト外径)の出入口部の通過方向の長さのどちらかよりも短い長さであることがより好ましく、どちらよりも短い長さであることがさらに好ましい。
【0031】
この実施の形態に係るメインスクリーン装置10及びバックアップスクリーン装置20は、材質が合成繊維製布地(ポリエステルなど)からなるカーテン布を巻取シャフトに巻き取ったり巻戻したりすることによって、その先端側が冷凍庫の出入口部を開閉移動するものである。このカーテン布の両側にはファスナー部がその全長に渡って設けられている。このファスナー部は、ガイドレール12,13,22,23内に設けられたインナーレール内に挟み込まれて上下方向に自在に摺動するようになっている。このファスナー部は、通常のスライドファスナー(滑り式留金具)の噛み合う部分であるエレメントを利用したものである。このファスナー部は、エレメントが丹銅・アルミ・洋白などの金属で出来ている金属製ファスナーやエレメントがコイル状のポリエステル樹脂でできている樹脂ファスナーやポリアセタールなどの樹脂製のエレメントがテープに射出成型されたビスロンファスナーなどで構成される。
【0032】
ガイドレール12,13,22,23内に内部ガイドレールが設けられているが、その図示は省略して示してある。従って、図1及び図2では、カーテン布の両側にガイドレール12,13,22,23がその全長に渡って設けられているように示してあるが、実際はガイドレール12,13,22,23内に内部ガイドレール(インナーレール)が設けられており、カーテン布の両側は、このガイドレール12,13,22,23内に挟み込まれて上下方向に自在に摺動するような構成になっている。
【0033】
このメインスクリーン装置10及びバックアップスクリーン装置20は、冷凍庫の天井部に直接又は他の部材を介して間接的に設けられたり、冷凍庫上方の梁に直接又は他の部材を関して間接的に設けられたり、冷凍庫内に別途構築されたパーティション用構造体に設けられたりする。このメインスクリーン装置10及びバックアップスクリーン装置20は、それぞれ収納ボックス11,21、ガイドレール12,1322,23、巻取シャフト14,24、合成繊維製布地からなるスクリーンカーテン15,25、及びウエイトバー16,26から構成される。
【0034】
巻取シャフト14,24は、収納ボックス11,21内の左右両側側面の内壁面に設けられた軸受け部(図示せず)とロールエンド部(図示せず)との間に回転可能に取り付けられている。スクリーンカーテン15,25は、その一端部が巻取シャフト14,24に取り付けられており、その他端部にウエイトバー16,26が取り付けられており、収納ボックス11,21の下端部に設けられたスリット状の出入口に案内されるようになっている。従って、スクリーンカーテン15,25は、巻取シャフト14,24の回転に応じて、巻取シャフト14,24に巻き取られたり、スリット状の出入口から繰り出されたりするようになっている。なお、巻取り時にスクリーンカーテン15,25が収納ボックス11,21内で弛んだりした場合の異常状態を検出するための異常検出センサ(図示せず)が収納ボックス11,21の内壁面に取り付けられている。
【0035】
巻取シャフト14,24は、中空パイプ形状をしており、この中空部分に内挿された電動モータによって回転制御される。電動モータの本体外側と巻取シャフト14,24の内側とが固定され、電動モータの出力軸が軸受け部に回転しないようにボルトなどで固定されている。従って、電動モータが正方向に回転することによって、スクリーンカーテン15,25は繰り出されるように動作し、逆方向に回転することによってスクリーンカーテン15,25は巻き取られるように動作する。すなわち、電動モータを正逆方向に回転させることによって開閉体であるスクリーンカーテン15,25の開閉動作を制御している。なお、電動モータは、巻取シャフト14,24内に存在するので図示していない。
【0036】
メインスクリーン装置10は、スクリーンカーテンの開閉時の移動動作速度がバックアップスクリーン装置20のものよりも速くなるように設定されている。例えば、メインスクリーン装置10のスクリーンカーテンの開閉時の移動速度を100%とした場合、バックアップスクリーン装置20のスクリーンカーテン25の開閉時の移動速度をその半分の約50%とする。ここでの50%は一例であり、30〜70%の範囲で任意に設定可能である。これによって、通常の出入り時には、前室側に設けられたメインスクリーン装置10のスクリーンカーテン15の使用頻度が高くなるように設定し、バックアップスクリーン装置20は全開状態とし、その使用頻度が低くなるように設定してある。
【0037】
従って、メインスクリーン装置10は、使用頻度が高く部品の消耗が大きくなるので、メンテナンスの必要性が高くなる。一方、バックアップスクリーン装置20は、使用頻度が低く、部品の消耗が極力抑えられているので、メンテナンスの頻度を少なくすることができる。メンテナンスや霜取運転時は、メインスクリーン装置10又はバックアップスクリーン装置20のいずれか一方のスクリーンカーテン15,25を全閉状態とすることによって、その作業時における冷気の逃げを最小限に抑えることができる。なお、メインスクリーン装置10とバックアップスクリーン装置20の開閉時におけるスクリーンカーテン15,25の開閉速度は、同じであってもよい。
【0038】
図3は、メインスクリーン装置及びバックアップスクリーン装置の電動モータを駆動制御する制御装置の概略構成を示す図である。制御装置30は、マイクロコンピュータ構成になっており、電源ラインを介して外部電源40から直流電圧が供給されている。制御装置30は、メインスクリーン装置10の収納ボックス11内に設けられており、バックアップスクリーン装置20の電動モータは収納ボックス11内の制御装置側から操作されるようになっている。制御装置30は、制御回路31、インバータ回路32、ヒータ回路33、及び切替回路34,35から構成される。この実施の形態では、メインスクリーン装置10及びバックアップスクリーン装置20の2台に対して制御装置30を1台とすることによって、低コスト化を図っている。
【0039】
メインスクリーン装置10の電動モータ17には、その回転位置すなわちスクリーンカーテン15の開閉位置と開閉状態を検出するためのリミットスイッチ18及びこのリミットスイッチ18回りを暖めるヒータ19が設けられている。バックアップスクリーン装置20の電動モータ27には、その回転位置すなわちスクリーンカーテン25の開閉位置と開閉状態を検出するためのリミットスイッチ28及びこのリミットスイッチ28回りを暖めるヒータ29が設けられている。リミットスイッチ18,28は、パルス発生型のロータリーエンコーダ等で構成される。リミットスイッチ18,28からは、電動モータ17,27の回転に応じたパルス信号が制御回路31に出力されるので、電動モータ17,27の回転位置やスクリーンカーテン15,25の閉鎖側先端部の開口部における位置などはこのパルスの発生状況に基づいて制御回路31が演算にて求めることになる
【0040】
制御回路31には、前室側の開口部周縁部付近に設けられた操作スイッチ41からの制御信号、及び冷凍庫内の開口部周縁部付近に設けられた操作スイッチ42からの制御信号がそれぞれ入力される。制御回路31は、これらの操作スイッチ41,42の操作状態に対応した制御信号に基づいたワンショット動作による処理を実行する。インバータ回路32は、制御回路31からの制御信号に基づいて、外部電源40からの直流電圧を交流電圧に変換して、切替回路34を介して電動モータ17,27にそれぞれ電力を切り替えて供給する。ヒータ回路33は、制御回路31からの制御信号に基づいて、切替回路35を介してヒータ19,29にそれぞれ保温用の電力を切り替えて供給する。メインスクリーン装置10が高頻度で開閉動作中はバックアップスクリーン装置20のヒータ29への電力供給はオフとなるので、省エネルギー化を図ることができる。また、制御回路31は、電動モータ17,27に設けられたリミットスイッチ18,28からのシャッター位置情報を示す信号を受信し、それに基づいてインバータ回路32、ヒータ回路33及び切替回路34,35を制御している。制御回路31の制御動作の詳細については後述する。
【0041】
操作スイッチ41,42は、開ボタンだけを備えた操作子であり、開ボタンの操作に対応した信号を制御回路31に出力する。操作スイッチ41,42が開ボタンだけを備えているのは、冷凍庫内の冷気が外部に流出するのを極力抑えるためである。従って、開ボタンの操作によってスクリーンカーテン15,25が開動作した場合、開動作終了後、所定時間(例えば、約3秒程度)が経過すると、スクリーンカーテン15は自動的に閉動作するように構成されている。なお、開閉停のボタンを備えた操作スイッチを設けてもよい。また、操作スイッチ41,42は無線方式の操作子でもよい。スクリーンカーテン15,25の閉鎖側先端部に、障害物検知装置を設けてもよい。
【0042】
図4は、図3の制御装置が実行するシャッター制御処理の一例を示すフローチャート図である。以下、このフローチャートを用いて制御装置が実行する処理動作の一例を説明する。この実施の形態では、前室と冷凍庫との間に設けられたメインスクリーン装置10とバックアップスクリーン装置20の使用頻度が低い時には両方のスクリーンカーテン15,25を全閉状態にして、中間に形成される空気層によって、断熱効果を高めるようにしてある。
ステップS30では、電源投入時の処理すなわちイニシャライズ処理を実行する。ステップS31では、メインスクリーン装置10のスクリーンカーテン15を全閉状態とし、その後バックアップスクリーン装置20のスクリーンカーテン25を全閉状態とする。2枚の開閉部材間に空気層を形成し、この空気層によって断熱効果を高めるためである。
ステップS32では、タイマT0の計時をスタートさせる。
【0043】
ステップS33では、タイマT0の計時時間が5分より大きくなったか否かを判定し、5分より大きい(yes)場合はステップS34に進み、そうでない(no)場合はステップS36に進む。
ステップS34では、バックアップスクリーン装置20のスクリーンカーテン25が全閉状態にあるのか否かの判定を行い、全閉状態(yes)の場合はステップS36に進み、全閉状態でない(no)場合は、ステップS35に進む。
ステップS35では、バックアップスクリーン装置20のスクリーンカーテン25が全閉状態にないので、全閉状態として、その状態で停止させる。すなわち、ステップS33〜ステップS35では、タイマT0の計時開始時点から5分経過後にバックアップスクリーン装置20のスクリーンカーテン25を動作させて、全閉状態とする。
【0044】
ステップS36では、タイマT0の計時時間が30分より大きくなったか否かを判定し、30分以下(no)の場合はステップS37に進み、30分より大きい(yes)場合はステップS341に進む。ここでの30分は一例であり、20乃至40分の範囲で任意に設定可能である。また、冷凍庫内の温度が低い場合には、それに応じた時間を適宜設定することが好ましい。
ステップS37では、操作スイッチ41又は42のいずれかのスイッチ入力有りか否かの判定を行い、入力有り(yes)の場合ステップS38に進み、入力無し(no)の場合はステップS33にリターンする。
【0045】
ステップS38では、操作スイッチ41又は42のいずれかのスイッチ入力が有ったので、バックアップスクリーン装置20のスクリーンカーテン25が全開状態にあるのか否かの判定を行い、全開状態(yes)の場合はステップS40に進み、全開状態でない(no)場合は、ステップS39に進む。
ステップS39では、バックアップスクリーン装置20のスクリーンカーテン25が全開状態でないと判定されたので、バックアップスクリーン装置20のスクリーンカーテン25を全開停止状態にする。
ステップS40では、先の操作スイッチ41又は42のいずれかのスイッチ入力に対応して、メインスクリーン装置10のスクリーンカーテン15の通常開閉処理を行う。ここでの通常開閉処理とは、メインスクリーン装置10のスクリーンカーテン15を全開状態とし、その数秒後(例えば2〜3秒後)にメインスクリーン装置10のスクリーンカーテン15を全閉させる。
【0046】
ステップS41では、メインスクリーン装置10の霜取り運転として1開閉動作を実行する。
ステップS42では、前のステップS41のメインスクリーン装置10の霜取り運転が終了後、バックアップスクリーン装置20の霜取り運転として1開閉動作を実行する。ステップS41及びステップS42の霜取り運転は、ステップS36に設定された時間毎に実施されることになる。すなわち、ステップS36の設定時間が霜取り運転の時間となる。ここでの霜取り運転の1開閉動作とは、メインスクリーン装置10又はバックアップスクリーン装置20のスクリーンカーテン15又は25を全開し、その後全閉するという一連の開閉処理のことである。メインスクリーン装置10の霜取り運転時には、ヒータ19が保温状態となり、バックアップスクリーン装置20の霜取り運転時には、ヒータ29が保温状態となる。
ステップS43では、タイマT0をリセットし、ステップS32へリターンする。
【0047】
上述の実施の形態では、ステップS41でメインスクリーン装置10の霜取り運転後に、ステップS42のバックアップスクリーン装置20の霜取り運転を実行しているが、これはステップS41とステップS42を入れ換えて、バックアップスクリーン装置20の霜取り運転後に、メインスクリーン装置10の霜取り運転を実行するようにしてもよい。
上述の実施の形態では、メインスクリーン装置10の霜取り運転時とバックアップスクリーン装置20の霜取り運転時とでヒータ19,29を切り替えて動作させる場合について説明したが、いずれか一方の動作に応じて同時に保温するようにしてもよい。また、ヒータ19,29による保温は、ステップS41,ステップS42の霜取り動作の直前に行うようにしてもよい。
【0048】
図5は、図2のロールスクリーン装置の変形例を示す図である。図5において、図2と同じ構成のものには同一の符号が付してあるので、その説明は省略する。上述の実施の形態では、図2に示すようにメインスクリーン装置10とバックアップスクリーン装置20とが中間の空気層に対して線対称となるように配置してあるが、これを図5に示すように、バックアップスクリーン装置20の巻取シャフト24側が前室側に近くなるように、すなわち冷凍庫側から遠くなるように配置してもよい。これは、巻取りシャフト24の中空パイプの中空部分に内挿された電動モータを冷凍庫の冷気から遠ざけるようにするためである。
【0049】
上述の実施の形態では、前室よりも温度の低い冷凍庫を例に説明したが、前室よりも温度の高い高温室にメインスクリーン装置10とバックアップスクリーン装置20を設ける場合、図4のシャッター制御処理においてステップS41及びステップS42の霜取り処理を省略するだけで、同一のシャッター制御処理で対応可能である。
上述の実施の形態では、−25の冷凍庫−5[°C]の前室との間に、メインスクリーン装置10とバックアップスクリーン装置20を設ける場合について説明したが、前室への出入口となる開口部に同様のメインスクリーン装置10とバックアップスクリーン装置20を設置してもよい。
【0050】
上述の実施の形態では、メインスクリーン装置10とバックアップスクリーン装置20を1の制御装置30でそれぞれ交互に制御する場合について説明したが、メインスクリーン装置10とバックアップスクリーン装置20に別々に制御装置を設け、それぞれの制御装置を独立制御しても、連携制御してもよい。
上述の実施の形態では、上下昇降方式で繰り出されるスクリーンカーテンを例に説明したが、開閉部材が横引き方式で繰り出されたり、あるいは水平方式で繰り出されたりするものであっても同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0051】
10…メインスクリーン装置
11,21…収納ボックス
12,13,22,23…ガイドレール
14,24…巻取シャフト
15,25…スクリーンカーテン
16,26…ウエイトバー
17,27…電動モータ
18,28…リミットスイッチ
19,29…ヒータ
20…バックアップスクリーン装置
30…制御装置
31…制御回路
32…インバータ回路
33…ヒータ回路
34,35…切替回路
40…外部電源
41,42…操作スイッチ
図1
図2
図3
図4
図5