【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る開閉体装置の第1の特徴は、外部と内部との間の温度差を維持するように構成された区画室と、前記区画室への出入口となる開口部の周縁部から第1の開閉部材を開閉動作させて前記開口部を仕切る第1の開閉体手段と、前記第1の開閉体手段よりも前記区画室側に設けられ、前記第1の開閉体手段の第1の遮蔽部材に対して所定の間隔となるように前記開口部の周縁部から第2の開閉部材を開閉動作させて前記開口部を仕切る第2の開閉体手段と、前記区画室外に設けられ前記第1及び第2の開閉体手段の開動作を指示する第1の操作子手段と、前記区画室内に設けられ前記第1及び第2の開閉体手段の開動作を指示する第2の操作子手段と、前記第1
又は第2の操作子手段からの開動作の指示に応じて、前記温度差によるエネルギー損失を抑制するように前記第1及び第2の開閉体手段の開閉動作を制御する制御手段と備えたことにある。
【0006】
区画室は、外部と内部との間の温度差を維持するように構成されたものであり、外部よりも内部の温度が低い冷凍庫、冷蔵庫若しくは冷却室、又は外部よりも内部の温度が高い温室などで構成される。すなわち、区画室とは、区画された空間と言う意味であって、例えば、廊下や階段、エレベータ用の竪穴等のような単なる通路や空間のような場合でも、何らかの意味で温度差を設けるために区画されていればよい。この区画室への出入口となる開口部には、断熱加工されたスクリーンカーテンなどの開閉部材が区画室の開口部の周縁部の一つである上部に収納され、まぐさなどのスリットを通過して下降し、開口部を電動で開閉動作する。これ以外にも開閉部材が開口部の側部に収納され電動横引き方式で開閉移動し、開口部の下部に収納され電動上昇方式で開閉移動するものも含む。
【0007】
この発明では、区画室への出入口となる開口部の周縁部から所定の間隔で第1及び第2の開閉部材を開閉動作させて開口部を2枚の開閉部材で仕切るような構成とした。このように2枚の開閉部材で開口部を仕切ることによって、2枚の開閉部材間に空気層を形成し、この空気層によって断熱効果を高め、区画室と外部との間の温度差によるエネルギー損失を抑制するようにした。なお、開口部を2枚の開閉部材で仕切るような構成とし、第1及び第2の開閉部材のいずれか一方の開閉動作のみを実行し、同時に開閉動作を実行しないことによって、区画室と外部との間の温度差によるエネルギー損失を抑制する。また、第1の開閉部材の開閉動作時の移動速度を第2の開閉部材の移動速度よりも十分に速くし、移動速度の早い第1の開閉部材の使用頻度を高くすることによって、区画室と外部との間の温度差によるエネルギー損失を抑制する。
【0008】
本発明に係る開閉体装置の第2の特徴は、前記第1の特徴に記載の開閉体装置において、前記区画室が冷蔵庫、冷凍庫又は冷却庫で構成されていることにある。これは、外部と内部との間の温度差を維持するように構成された区画室を冷凍庫、冷凍庫又は冷却庫に具体的に限定し、これらの庫内から冷気が逃げる場合のエネルギー損失を抑制するようにしたものである。
【0009】
本発明に係る開閉体装置の第3の特徴は、前記第1又は第2の特徴に記載の開閉体装置において、前記制御手段が前記第1及び第2の開閉体手段についていずれか一方の開閉動作のみを実行し、同時に開閉動作を実行しないことにある。これは、第1及び第2の開閉部材のいずれか一方の開閉動作のみを実行するようにしたものである。すなわち、いずれか一方のみを交互に開閉動作し、同時に開閉動作を実行しないことによって、第1及び第2の開閉部材の2枚のいずれか一方が閉じている状態をより多く発生させて、エネルギー損失を抑制している。
【0010】
本発明に係る開閉体装置の第4の特徴は、前記第1又は第2の特徴に記載の開閉体装置において、前記制御手段が前記第1及び第2の開閉体手段に対して信号伝達手段を切り替えてその開閉動作を制御することにある。これは、制御手段から第1及び第2の開閉体手段への信号伝達手段を切り替えることによって、いずれか一方の開閉動作のみが実行されるようにしたものである。
【0011】
本発明に係る開閉体装置の第5の特徴は、前記第1、第2、第3又は第4の特徴に記載の開閉体装置において、前記第2の開閉体手段の開閉動作時の移動速度を前記第1の開閉体手段の開閉動作時の移動速度の約30〜70%とし、前記区画室へ出入りする時に、前記制御手段が前記第1の開閉体手段の開閉動作の使用頻度が前記第2の開閉体手段の開閉動作の使用頻度よりも高くなるように制御することにある。これは、第1の開閉部材の開閉動作時の移動速度を第2の開閉部材の移動速度よりも十分に速くし、移動速度の早い第1の開閉部材の使用頻度を高くすることによって、第1の開閉部材が閉じている状態をより高い頻度で発生させ、区画室と外部との間の温度差によるエネルギー損失を有効に抑制するようにしたものである。
【0012】
本発明に係る開閉体装置の第6の特徴は、前記第5の特徴に記載の開閉体装置において、前記制御手段が、前記区画室へ出入りする時に、前記第1又は第2の操作子手段からの開動作の指示に対応して、前記第2の開閉体手段を先に開動作し、前記第2の開閉体手段の全開停止後に前記第1の開閉体手段の開動作及びその数秒経過後の閉動作を実行し、前記第1の開閉体手段が全閉停止後に第1の時間として数分経過するまでの間は、前記第1又は第2の操作子手段からの開動作の指示に対応して
前記第1の開閉体手段の開動作及びその数秒経過後の閉動作を繰り返し実行し、前記第1の開閉体手段が全閉停止後さらに前記第1の時間が経過した時点で前記第2の開閉体手段を全閉停止させることにある。これは、区画室へ出入りする時に、開動作の指示に対応して、まず、移動速度の遅い第2の開閉体手段の開動作を実行し、その後に移動速度の早い第1の開閉体手段の開動作及び閉動作を実行し、開口部が開放状態にある時間を極力短くして、エネルギー損失を抑制する。さらに、移動速度の遅い第2の開閉体手段の閉動作を第1の時間として数分経過するまで実行しないことによって、区画室に入室してこの第1の時間内に退室する場合には、第2の開閉体手段は全開状態にあるので、移動速度の早い第1の開閉体手段の開動作及び閉動作が直ちに実行され、開口部が開放状態にある時間を極力短くすることができ、それに伴ってスムーズな入退室を実現することができる。
【0013】
本発明に係る開閉体装置の第7の特徴は、前記第6の特徴に記載の開閉体装置において、前記制御手段が、前記第1の開閉体手段が全閉停止後に前記第1の時間よりも十分に大きな第2の時間が経過した時点で前記第1又は第2の開閉体手段の霜取り運転を実行し、その後に前記霜取り運転未実行の前記第1又は第2の開閉体手段について霜取り運転を実行することにある。これは、第1の時間(数分程度)よりも十分に大きな、例えば20乃至40分程度の第2の時間が経過した時点で、第1及び第2の開閉体手段について交互に霜取り運転を実行するようにしたものである。ここでの霜取り運転とは、第1及び第2の開閉体手段の構成部品に霜が付かないように第1及び第2の開閉体手段を定期的に開閉動作させることである。霜取り運転時にいずれか一方が閉鎖状態にあるので、エネルギー損失を極力抑制することができる。
【0014】
本発明に係る開閉体装置の第8の特徴は、前記第1から第7までのいずれか1の特徴に記載の開閉体装置において、前記第1及び第2の開閉体手段が、巻取軸に一端部が巻き回され、その巻取り状態に応じて他端部が開口部を開閉移動するシート状のカーテン手段と、前記巻取軸を回転可能に保持し、スリット状の出入口から前記カーテン手段が出入りするように構成された前記カーテン手段の収納手段と、前記カーテン手段の両側端部を案内するガイド手段とを備えたことにある。これは、第1及び第2の開閉体手段がシート状のカーテンからなるロールスクリーン装置で構成される点を明確にしたものである。
【0015】
本発明に係る開閉体装置の第9の特徴は、前記第1から第8までのいずれか1の特徴に記載の開閉体装置において、冷蔵庫、冷凍庫又は冷却庫で構成されている前記区画室よりも室温が高く、外部よりも室温が低く設定された前室が、前記開口部を介して隣接するように設けられている場合、前記第1から第8までのいずれか1の特徴に記載の開閉体装置が前記前室への出入口となる開口部の周縁部に備えられていることにある。これは、区画室が冷蔵庫、冷凍庫又は冷却庫で構成されている場合に、その庫内温度を安定化させるために、外部よりも室温の低い前室を設けた場合に、この前室にも同様の開閉体装置を設置するようにしたものである。
【0016】
本発明に係る開閉体制御方法の第1の特徴は、外部と内部との間の温度差を維持するように構成された区画室の出入口となる開口部の周縁部に設けられた第1の開閉部材と、前記第1の開閉体手段よりも前記区画室側であって、前記第1の開閉体手段の第1の遮蔽部材に対して所定の間隔となるように前記開口部の周縁部に設けられた第2の開閉部材との開閉動作を、前記区画室の内外にそれぞれ設けられた第1
又は第2の操作子手段からの開動作の指示に応じて前記温度差によるエネルギー損失を抑制するように制御することにある。これは、前記開閉体装置の第1の特徴に対応した開閉体制御方法の発明である。
【0017】
本発明に係る開閉体制御方法の第2の特徴は、前記第1の特徴に記載の開閉体制御方法において、前記区画室が冷蔵庫、冷凍庫又は冷却庫で構成されていることにある。これは、前記開閉体装置の第2の特徴に対応した開閉体制御方法の発明である。
【0018】
本発明に係る開閉体制御方法の第3の特徴は、前記第1又は第2の特徴に記載の開閉体制御方法において、前記第1及び第2の開閉体手段についていずれか一方の開閉動作のみを実行し、同時に開閉動作を実行しないことにある。これは、前記開閉体装置の第3の特徴に対応した開閉体制御方法の発明である。
【0019】
本発明に係る開閉体制御方法の第4の特徴は、前記第1又は第2の特徴に記載の開閉体装置において、前記第1及び第2の開閉体手段に対して信号伝達手段を切り替えてその開閉動作を制御することにある。これは、前記開閉体装置の第4の特徴に対応した開閉体制御方法の発明である。
【0020】
本発明に係る開閉体制御方法の第5の特徴は、前記第1、第2、第3又は第4の特徴に記載の開閉体制御方法において、前記第2の開閉体手段の開閉動作時の移動速度を前記第1の開閉体手段の開閉動作時の移動速度の約30〜70%とし、前記区画室へ出入りする時に、前記第1の開閉体手段の開閉動作の使用頻度が前記第2の開閉体手段の開閉動作の使用頻度よりも高くなるように制御することにある。これは、前記開閉体装置の第5の特徴に対応した開閉体制御方法の発明である。
【0021】
本発明に係る開閉体制御方法の第6の特徴は、前記第5の特徴に記載の開閉体制御方法において、前記区画室へ出入りする時に、前記第1又は第2の操作子手段からの開動作の指示に対応して、前記第2の開閉体手段を先に開動作し、前記第2の開閉体手段の全開停止後に前記第1の開閉体手段の開動作及びその数秒経過後の閉動作を実行し、前記第1の開閉体手段が全閉停止後に第1の時間として数分経過するまでの間は、前記第1又は第2の操作子手段からの開動作の指示に対応して
前記第1の開閉体手段の開動作及びその数秒経過後の閉動作を繰り返し実行し、前記第1の開閉体手段が全閉停止後さらに前記第1の時間が経過した時点で前記第2の開閉体手段を全閉停止させることにある。これは、前記開閉体装置の第6の特徴に対応した開閉体制御方法の発明である。
【0022】
本発明に係る開閉体制御方法の第7の特徴は、前記第6の特徴に記載の開閉体制御方法において、前記第1の開閉体手段が全閉停止後に前記第1の時間よりも十分に大きな第2の時間が経過した時点で前記第1又は第2の開閉体手段の霜取り運転を実行し、その後に前記霜取り運転未実行の前記第1又は第2の開閉体手段について霜取り運転を実行することにある。これは、前記開閉体装置の第7の特徴に対応した開閉体制御方法の発明である。
【0023】
本発明に係る開閉体制御方法の第8の特徴は、前記第1から第7までのいずれか1の特徴に記載の開閉体制御方法において、前記第1及び第2の開閉体手段が、巻取軸に一端部が巻き回され、その巻取り状態に応じて他端部が開口部を開閉移動するシート状のカーテン手段と、前記巻取軸を回転可能に保持し、スリット状の出入口から前記カーテン手段が出入りするように構成された前記カーテン手段の収納手段と、前記カーテン手段の両側端部を案内するガイド手段とを備えて構成されたことにある。これは、前記開閉体装置の第8の特徴に対応した開閉体制御方法の発明である。
【0024】
本発明に係る開閉体制御方法の第9の特徴は、前記第1から第8までのいずれか1の特徴に記載の開閉体制御方法において、冷蔵庫、冷凍庫又は冷却庫で構成されている前記区画室よりも室温が高く、外部よりも室温が低く設定された前室が、前記開口部を介して隣接するように設けられている場合、前記第1から第8までのいずれか1の特徴に記載の開閉体制御方法が前記前室への出入口となる開口部の周縁部に適用されていることにある。これは、前記開閉体装置の第9の特徴に対応した開閉体制御方法の発明である。