【実施例】
【0017】
次に、上記特徴を有する好ましい実施例を、図面に基づいて詳細に説明する。
本実施例の開閉装置制御システムは、住宅やビル、倉庫、工場、地下街、トンネル、車両の荷台等の躯体の開口部分や内部に配設され、前記開口部分を開閉したり、躯体内部の空間を仕切ったり開放したりするシャッター装置に適用される。
【0018】
この開閉装置制御システムは、
図1に示すように、空間を上下方向へ仕切ったり開放したりする開閉装置1と、該開閉装置1へ操作信号を送信する操作部2と、開閉装置1の動作を操作部2の操作に応じて制御する制御回路34と、開閉装置1以外の機器3とを備え、予め設定された事前条件を満たし、且つ操作部2の操作が行われた場合に、開閉装置1へ前記操作信号を送信するとともに、開閉装置1以外の機器3に対しても該機器3を制御するための制御信号を送信する。
【0019】
開閉装置1は、上下方向のスライドにより空間を仕切ったり開放したりして開閉動作する開閉体10と、開閉体10をその横幅方向の端部側で上下方向へ案内するガイドレール20と、開放動作した際の開閉体10をその上方側で収納する収納部30とを備える。
【0020】
開閉体10は、平面視略矩形状の開閉体本体11と、該開閉体本体11の下端側に接続されるとともに着座対象部位P(床面や地面、枠部材等)に当接される座板部材12とからなり、収納部30内の巻取軸32によって巻き取られたり繰り出されたりして開閉動作する。
【0021】
ガイドレール20は、開閉体10の幅方向の端部を囲む略コ字状の部材であり、着座対象部位Pと収納部30との間にわたって設けられる。
【0022】
収納部30は、開閉体幅方向へ長尺な略直方体状の収納ケース31と、該収納ケース31内で開閉体10を巻き取ったり繰出したりする巻取軸32と、該巻取軸32をチェーン及びスプロケット等の動力伝達手段を介して駆動回転させたり制動したりする開閉機33と、操作部2からの操作信号に応じて開閉機33を制御する制御回路34とを備える。
【0023】
開閉機33は、例えば実開平01−118084号公報に開示される構造の開閉機を、適宜に改良したものであり、ブラケット等を介して収納ケース31内に支持される。
この開閉機33は、巻取軸32に回転力を伝達する駆動軸、前記駆動軸を回転させる電動モータ、前記駆動軸を拘束したり解放したりするブレーキ装置等を具備しており、制御回路34から出力される制御指令によって制御される。
【0024】
制御回路34は、
図2に示すように、操作部2(3点式スイッチ)及び/又は1点式スイッチ41から入力した信号や、開閉体10の全開状態及び全閉状態を感知するリミットスイッチ42、開閉体10の閉鎖方向側の障害物を感知する障害物感知センサ43、その他の入力信号を処理して、開閉機33及び機器3の動作を制御する電気回路である。この制御回路34は、例えば、マイコン回路やシーケンサー等のプログラムドロジック回路、電子回路あるいはワイヤードロジック回路等により構成される。
【0025】
操作部2は、例えば、矩形状ケースの表部側に、押圧された際にオンとなり、押圧力が解放された際にオフとなる押しボタンスイッチを複数具備し、前記押しボタンスイッチの各操作信号を制御回路34へ入力するように電気配線される。
前記押しボタンスイッチは、例えばメンブレンスイッチやタッチパネル、自動復帰式押しボタンスイッチ等、接点信号を出力するスイッチとすればよい。
複数の前記押しボタンスイッチは、図示例によれば、開閉体10を開放動作させるための開スイッチ2a、開閉体10の動作を停止するための停止スイッチ2b、開閉体10を閉鎖動作させるための閉スイッチ2cである。
【0026】
なお、操作部2は、必要に応じて、一点式スイッチ41に置換することが可能である。一点式スイッチ41は、単一の操作スイッチの接点信号を出力するスイッチである。制御回路34は、一点式スイッチ41からの信号を受ける毎に、出力する制御指令(例えば、開放指令、停止指令、閉鎖指令等)を切り換えるようになっている。
【0027】
機器3は、LED等の発光体により構成される照明装置であり、制御回路34によって点灯及び消灯を制御される。
この機器3(照明装置)は、図示例によれば、収納ケース31の下端面に露出するように設けられるが、他例としては、開閉装置1が装着される建物等、開閉装置1以外の位置に装着されたものとしてもよい。
【0028】
次に、上記構成に開閉装置制御システムの制御動作の一例について、
図3に示すフローチャートに沿って詳細に説明する。
先ず、制御回路34は、機器3(照明装置)が点灯中であるか否かを判断し(ステップ1)、点灯中であれば次のステップ2へ処理を進め、そうでなければ、ステップ41へ処理を移行する。
【0029】
ステップ2では、開閉体10が動作中であるか否かを判断し、開放動作中であれば、次のステップ3へ処理を進め、そうでなければ、ステップ21へ処理を移行する。ここで、前記「動作中」には、開閉体10が開放動作中である場合と、開閉体10が閉鎖動作中である場合とを含む。
【0030】
ステップ3では、機器3(照明装置)の点灯を継続し、処理をステップ1へ戻す。
【0031】
また、ステップ21では、停止スイッチ2bがオンにされたか否かを判断し、オンにされていれば、次のステップ22へ処理を進め、そうでなければ、ステップ31へ処理を移行する。
【0032】
ステップ22では、機器3(照明装置)を消灯し、処理をステップ1へ戻す。
【0033】
ステップ31では、機器3(照明装置)の点灯時間が、予め設定された所定時間に達しているか否かを判断し、達している場合には、次のステップ32へ処理を移行し、そうでなければステップ1へ処理を戻す。
ここで、前記点灯時間を計測する開始時点は、該ステップ31よりも前の制御にて機器3(照明装置)の点灯を開始した最新の時点とすればよい。
また、前記所定時間は、開閉体10の動作中に機器3(照明装置)が消灯してしまうようなことを防ぐために、例えば、開閉体10が全開位置から全閉位置まで閉鎖動作する時間と略同程度に設定すればよい。
【0034】
また、ステップ41では、開閉体10が動作中(開放動作中又は閉鎖動作中である場合を含む)であるか否かを判断し、動作中であればステップ42へ処理を進め、そうでなければ、ステップ51へ処理を移行する。
【0035】
ステップ42では、機器3(照明装置)を点灯して、処理をステップ1へ戻す。
【0036】
また、ステップ51では、停止スイッチ2bがオンにされたか否かを判断し、オンにされていれば、次のステップ52へ処理を進め、そうでなければステップ1へ処理を戻す。
【0037】
ステップ52では、機器3(照明装置)を点灯して、処理をステップ1へ戻す。
【0038】
よって、上記ステップ1,2,21,22によれば、機器3(照明装置)の点灯中に開閉体10の動作が停止しているという、予め設定された事前条件を満たし、且つ、操作部2の操作として停止スイッチ2bがオンにされた場合に、開閉装置1以外の機器3(照明装置)に制御信号を送信して、該機器3(照明装置)を消灯する。
すなわち、開閉体10の動作が停止している時は、停止スイッチ2bを、機器3(照明装置)を消灯するためのスイッチとして用いることができる。
【0039】
また、前記事前条件を満たし、且つ、操作部2の操作として停止スイッチ2bがオンにされなかった場合には、所定時間経過後に機器3(照明装置)を消灯する(ステップ31,32等参照)。
よって、開閉体10の動作が停止している時に、機器3(照明装置)が無駄に点灯しているようなことを防ぐことができる。
【0040】
なお、本実施例において、前記事前条件とは、
図3のフローチャートによる制御が行われる前に予め制御回路34に記憶された条件であって、操作部2に対する操作が行われたか否かの判断(ステップ21,51)よりも前に判断される条件を意味している。
【0041】
また、上記ステップ1,41,42によれば、機器3(照明装置)が消灯中であって、且つ開閉体10が動作中である場合には、機器3(照明装置)が強制的に自動点灯する。したがって、周囲が暗い中で、開閉体10が開放動作又は閉鎖動作するようなことを防ぐことができる。
【0042】
また、上記ステップ1,41,51,52によれば、機器3(照明装置)が消灯中であって、且つ開閉体10が停止中である場合には、停止スイッチ2bを、機器3(照明装置)を点灯させるためのスイッチとして用いることができる。
【0043】
なお、上記フローチャートには、開閉体10の開放動作又は閉鎖動作を開始する処理、開閉体10の開放動作又は閉鎖動作を停止する処理については示していないが、これらの処理は周知技術と略同様である。
すなわち、開閉体10の停止中に、開スイッチ2aがオンにされれば、制御回路34は、開閉機33を動作させて、開閉体10を開放動作する。
また、開閉体10の停止中に、閉スイッチ2cがオンにされれば、制御回路34は、開閉機33を逆方向へ動作させて、開閉体10を閉鎖動作する。
また、開閉体10の動作中(開放動作中及び閉鎖動作中を含む)に、停止スイッチ2bがオンにされれば、制御回路34は、開閉機33のブレーキ装置(図示せず)を作動させて、開閉体10の動作を直ちに停止する。
また、開閉体10の開放動作中に、閉スイッチ2cがオンにされた場合には、制御回路34は、開閉体10を一旦停止した後に閉鎖動作する。
同様に、開閉体10の閉鎖動作中に、開スイッチ2aがオンにされた場合には、制御回路34は、開閉体10を一旦停止した後に開放動作する。
【0044】
また、上記実施例によれば、操作部2を有線方式のスイッチとしたが、他例としては操作部2として無線方式のスイッチを用い、制御回路34側に前記スイッチから無線送信される信号を受信する受信機を具備するようにしてもよい。
【0045】
また、上記実施例によれば、開閉装置1以外の機器3を照明装置としたが、この機器3の他例としては、オーニング装置、照明装置、エアコン、換気扇、凍結防止ヒータ等とすることも可能である。
【0046】
また、上記実施例によれば、制御回路34を開閉装置1と一体に設けたが、制御回路34の他例としては、操作部2に設けられた態様や、機器3に設けられた態様、その他の箇所に別体に設けられた態様とすることが可能である。
【0047】
また、上記実施例以外の制御例としては、予め設定された事前条件として開閉体10が全開状態で停止しており、且つ操作部2の操作として開スイッチ2aによる開操作が行われた場合に、開閉装置1以外の機器3を制御するようにしてもよい。
ここで、機器3は、開閉体10の全開時に動作することが好ましい機器とすればよい。また、開閉体10が全開か否かは、リミットスイッチ42の信号により判断すればよい。
前記態様によれば、開閉体10の全開停止時において通常は不要となる開スイッチ2aを有効に利用することができる。
【0048】
さらに上記実施例以外の他の制御例としては、予め設定された事前条件として開閉体10が全閉状態で停止しており、且つ操作部2の操作として閉スイッチ2cによる閉操作が行われた場合に、開閉装置1以外の機器3を制御するようにしてもよい。
ここで、機器3は、開閉体10の全閉時に動作することが好ましい機器(例えば凍結防止ヒータ等)とすればよい。また、開閉体10が全閉状態か否かは、リミットスイッチ42の信号により判断すればよい。
前記態様によれば、開閉体10の全閉時において通常は不要となる閉スイッチ2cを有効に利用することができる。
【0049】
さらに、上記実施例以外の他の制御例としては、開スイッチ2a、閉スイッチ2c、停止スイッチ2bのうち、予め設定された複数のスイッチが所定時間内に多重押し(同時押し)された場合に、開閉装置1以外の機器3を制御するようにしてもよい。
【0050】
また、他例としては、開閉体10を構成するスラット11aの一部に、換気や採光等の目的で開閉動作する窓部を設けるとともに、前記窓部を開閉操作するためのスイッチを備え、このスイッチを、開閉体10の動作中は開閉装置1以外の機器3を制御するためのスイッチとして用いるようにしてもよい。
【0051】
また、他例としては、前記事前条件として開閉体10が開放動作中であり、且つ操作部2の操作として開スイッチ2aの操作があった場合に、開閉装置1以外の機器3を制御するようにしてもよい。
【0052】
さらに、他例としては、前記事前条件として開閉体10の開放動作中又は閉鎖動作中に、停止スイッチ2bのみを開閉体10を停止するためのスイッチとして有効にするとともに、開スイッチ2a及び/又は閉スイッチ2cを、開閉装置1以外の機器3を制御するためのスイッチとして用いるようにしてもよい。
【0053】
すなわち、開閉体10が動作中である場合には、その動作を指示するためのスイッチ(前記他例によれば開スイッチ2a)を、開閉装置1以外の機器3を制御するためのスイッチとして用いるようにしてもよい。
また、停止以外の所定の動作中(例えば、開放動作中や閉鎖動作中)に、停止以外の何らかの動作を指示するスイッチ(例えば、開スイッチ2a及び/又は閉スイッチ2c)を、開閉装置1以外の機器3を制御するためのスイッチとして用いるようにしてもよい。