(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6388529
(24)【登録日】2018年8月24日
(45)【発行日】2018年9月12日
(54)【発明の名称】アンカー装置およびアンカー装置の設置方法
(51)【国際特許分類】
E02D 5/76 20060101AFI20180903BHJP
E02D 5/80 20060101ALI20180903BHJP
E02D 17/20 20060101ALI20180903BHJP
【FI】
E02D5/76
E02D5/80 Z
E02D17/20 103G
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-237802(P2014-237802)
(22)【出願日】2014年11月25日
(65)【公開番号】特開2016-98602(P2016-98602A)
(43)【公開日】2016年5月30日
【審査請求日】2017年9月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231110
【氏名又は名称】JFE建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】特許業務法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲鶴▼見 明俊
(72)【発明者】
【氏名】浅井 信秀
(72)【発明者】
【氏名】鎌崎 祐治
(72)【発明者】
【氏名】小室 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】野▲崎▼ 裕介
【審査官】
石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−163433(JP,A)
【文献】
特開2010−248841(JP,A)
【文献】
特開2005−351055(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 5/76
E02D 5/80
E02D 17/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤に打ち込まれる管体からなる一対のアンカー本体と、前記一対のアンカー本体同士を連結する板材からなる受圧板と、前記一対のアンカー本体それぞれの頭部に設置されるキャップと、を具備し、
前記受圧板は、矩形状の受圧面と、該受圧面の両側縁に設けられた係止用突起とを具備し、
前記一対のアンカー本体のそれぞれは、管軸方向に平行で頭部に到達するように形成され、前記受圧面の両側縁が侵入可能な係止用スリットと、管軸方向に平行で外面に設置され、前記係止用スリットに対して管軸回りで90°だけ位相が相違するアンカー羽根と、を具備し、
前記一対のアンカー本体のそれぞれに形成された前記係止用スリットに、前記受圧板の側縁がそれぞれ侵入して、前記係止用突起が前記係止用スリットに抜け出し不能に係止することを特徴とするアンカー装置。
【請求項2】
前記キャップのそれぞれにワイヤー設置手段が設けられ、
前記ワイヤー設置手段に第1ワイヤーの両端がそれぞれ連結され、
前記第1ワイヤーに、第2ワイヤーを連結するためのワイヤー連結手段が設置され、
該ワイヤー連結手段に前記第2ワイヤーが連結されることを特徴とする請求項1記載のアンカー装置。
【請求項3】
前記地盤が一方から他方に向かって傾斜し、前記受圧板が前記地盤の傾斜した方向に対して垂直で、前記アンカー羽根が前記地盤の傾斜した方向に対して平行であり、
前記ワイヤー設置手段および前記ワイヤー連結手段は、二等辺三角形の頂点に相当する位置に配置されることを特徴とする請求項2記載のアンカー装置。
【請求項4】
地盤に打ち込まれる管体からなる一対のアンカー本体と、前記一対のアンカー本体同士を連結する板材からなる受圧板と、前記一対のアンカー本体それぞれの頭部に設置されるキャップと、を具備するアンカー装置の設置方法であって、
前記受圧板は、矩形状の受圧面と、該受圧面の両側縁に設けられた係止用突起とを具備し、
前記一対のアンカー本体のそれぞれは、管軸方向に平行で頭部に到達するように形成され、前記受圧面の両側縁が侵入可能な係止用スリットと、管軸方向に平行で外面に設置され、前記係止用スリットに対して管軸回りで90°だけ位相が相違するアンカー羽根と、を具備し、
前記係止用スリットが互いに対向する姿勢になるように、前記一対のアンカー本体をそれぞれ地盤に打ち込む工程と、
前記一対のアンカー本体のそれぞれに形成された係止用スリットに、前記受圧板の側縁をそれぞれ侵入させて、前記受圧板を地盤に打ち込む工程と、
前記一対のアンカー本体のそれぞれに前記キャップを抜け出し不能に設置する工程と、
前記キャップのそれぞれに第1ワイヤーの両端のそれぞれを連結する工程と、
前記第1ワイヤーに、ワイヤー連結手段を介して第2ワイヤーを連結する工程と、
を有することを特徴とするアンカー装置の設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアンカー装置およびアンカー装置の設置方法、特に、地盤に設置される管体からなるアンカー本体を有するアンカー装置およびアンカー装置の設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アンカー装置は、傾斜した地盤における岩石の浮き上がりや岩石の脱落(落石)を防止するために設けられるネットを固定するものであって、かかるネットは傾斜した地盤を覆っているから、アンカー装置も傾斜した地盤に設置され、地盤から突出した部分に、ネットに固定されたワイヤーが取り付けられる。
したがって、落石が発生した場合、落石を受け止めた際にネットにかかる力は、ワイヤーを経由してアンカー装置に作用する。そのため、落石に伴う外力によって、ワイヤーの位置(ネットの位置に同じ)がずれないように、アンカー装置を、地盤に打ち込まれるアンカー本体と、アンカー本体をその側方から指示するためのアンカー用鞘管とを具備するアンカー装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4839256号公報(第5−7頁、
図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された発明(アンカー用鞘管)は、地盤に打ち込まれる方形状の断面の外管と、この外管の上端側の開口を塞ぎ、アンカー本体が挿通可能な貫通孔が形成された天板と、外管の内側に配されてアンカー本体を支持する内管と、内管および外管とを連結する連結材とを備え、外管が地盤内に打ち込まれる際、内管および連結材は地盤に食い込むものである。
すなわち、外管が方形状の断面を有しているので、外管が円形状断面を有する従来のアンカー用鞘管に比べて、搬送スペースを大きくすることなく、このアンカー用鞘管の外管と土砂等との接触面積を増やし、この外管に作用する土砂等の抵抗力を大きくすることができるという作用効果が得られる。
【0005】
しかしながら、かかる発明は、外管(アンカー用鞘管)が方形状の断面を有する函体であるため、以下の問題がある。
すなわち、円形状断面の外管に比べて、搬送スペースは減少するものの、依然大きな空間を占めていた(搬送スペースは更なる減少が求められていた)。
また、外管の傾斜した地盤の低い方に位置する面は土圧を受けるものの、外管の傾斜した地盤の高い方に位置する面は土圧を受けない。すなわち、地盤の高い方に位置する面は土圧を受けない部材であるにも関わらず、土圧を受ける部材と同じ構造であるため、過剰な強度と剛性とを有し、軽量化を阻害している。
さらに、アンカー本体が1本であるため、局所的な軟弱土壌に打設された場合には、予定した支持力が得られない。
【0006】
本発明は、前記問題を解決するものであって、搬送スペースを減少すると共に、軽量化を促進し、しかも、予定した支持力を確実に得ることができるアンカー装置およびアンカー装置の設置方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係るアンカー装置は、地盤に打ち込まれる管体からなる一対のアンカー本体と、前記一対のアンカー本体同士を連結する板材からなる受圧板と、前記一対のアンカー本体それぞれの頭部に設置されるキャップと、を具備し、
前記受圧板は、矩形状の受圧面と、該受圧面の両側縁に設けられた係止用突起とを具備し、
前記一対のアンカー本体のそれぞれは、管軸方向に平行で頭部に到達するように形成され、前記受圧面の両側縁が侵入可能な係止用スリットと、管軸方向に平行で外面に設置され、前記係止用スリットに対して管軸回りで90°だけ位相が相違するアンカー羽根と、を具備し、
前記一対のアンカー本体のそれぞれに形成された係止用スリットに、前記受圧板の側縁がそれぞれ侵入して、前記係止用突起が前記係止用スリットに抜け出し不能に係止することを特徴とする。
(2)また、前記キャップのそれぞれにワイヤー設置手段が設けられ、
前記ワイヤー設置手段に第1ワイヤーの両端がそれぞれ連結され、
前記第1ワイヤーに、第2ワイヤーを連結するためのワイヤー連結手段が設置され、
該ワイヤー連結手段に前記第2ワイヤーが連結されることを特徴とする。
(3)また、前記地盤が一方から他方に向かって傾斜し、前記受圧板が前記地盤の傾斜した方向に対して垂直で、前記アンカー羽根が前記地盤の傾斜した方向に対して平行であり、
前記ワイヤー設置手段および前記ワイヤー連結手段は、二等辺三角形の頂点に相当する位置に配置されることを特徴とする。
【0008】
(4)本発明に係るアンカー装置の設置方法は、地盤に打ち込まれる管体からなる一対のアンカー本体と、前記一対のアンカー本体同士を連結する板材からなる受圧板と、前記一対のアンカー本体それぞれの頭部に設置されるキャップと、を具備するアンカー装置の設置方法であって、
前記受圧板は、矩形状の受圧面と、該受圧面の両側縁に設けられた係止用突起とを具備し、
前記一対のアンカー本体のそれぞれは、管軸方向に平行で頭部に到達するように形成され、前記受圧面の両側縁が侵入可能な係止用スリットと、管軸方向に平行で外面に設置され、前記係止用スリットに対して管軸回りで90°だけ位相が相違するアンカー羽根と、を具備し、
前記係止用スリットが互いに対向する姿勢になるように、前記一対のアンカー本体をそれぞれ地盤に打ち込む工程と、
前記一対のアンカー本体のそれぞれに形成された係止用スリットに、前記受圧板の側縁をそれぞれ侵入させて、前記受圧板を地盤に打ち込む工程と、
前記一対のアンカー本体のそれぞれに前記キャップを抜け出し不能に設置する工程と、
前記キャップのそれぞれに第1ワイヤーの両端のそれぞれを連結する工程と、
前記第1ワイヤーに、ワイヤー連結手段を介して第2ワイヤーを連結する工程と、
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
したがって、アンカー装置は、構成部材が分解された状態で搬送されるから、搬送スペースを減少することができる。
また、従来の外管は、傾斜した地盤の高い方に位置する部材が土圧を受けるにも関わらず、土圧を受ける傾斜した地盤の低い方に位置する部材と同じ構造であったのに対し、本発明のアンカー装置は、土圧を受けない部材を具備しないから、部材点数が減少し、軽量化および低廉化を図ることができる。
さらに、アンカー本体が2本であるため、一方が局所的な軟弱土壌に打設された場合であっても、予定した支持力を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施の形態に係るアンカー装置を説明する正面図。
【
図2】
図1に示すアンカー装置を説明するものであって、(a)は
図1のA−A断面における断面図、(b)は底面図。
【
図3】
図1に示すアンカー装置を説明する正面視の断面図。
【
図4】
図1に示すアンカー装置を説明するものであって、(a)は一部(アンカー本体)の側面図、(b)は一部(アンカー本体)の底面図。
【
図5】本発明の実施の形態に係るアンカー装置の設置方法を説明するフローチャート。
【
図6】本発明の実施の形態に係るアンカー装置の設置方法を説明する設置状況を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[実施の形態1]
図1〜
図4は、本発明の実施の形態に係るアンカー装置を説明するものであって、
図1は正面図、
図2の(a)は
図1のA−A断面における断面図、
図2の(b)は底面図、
図3は正面視の断面図、
図4の(a)は一部(アンカー本体)の側面図、
図4の(b)は一部(アンカー本体)の底面図である。なお、各図は模式的に描かれたものであって、本発明は描かれた形態に限定するものではない。
【0012】
図1〜
図4において、アンカー装置100は、図示しないそれぞれ別個に地盤に打ち込まれるアンカー本体10a、10bと、地盤に打ち込まれたアンカー本体10aとアンカー本体10bとを連結した状態で地盤に打ち込まれる受圧板20と、アンカー本体10a、10bの頭部に設置されるキャップ30a、30bとを有している。
なお、アンカー本体10aとアンカー本体10bとは同じ形状(正確には面対称)であり、キャップ30aとキャップ30bとは同じ形状であるから、以下、何れか一方について説明し、他方の説明を省略する。すなわち、それぞれを構成する部位の符号に付した添字「aまたはb」を「bまたはa」に読み替える。
【0013】
(受圧板)
受圧板20は、矩形状の受圧面21と、受圧面21の両側縁に設けられた係止用突起22a、22bとを具備している。
【0014】
(アンカー本体)
アンカー本体10a、10bは管体であって、管軸方向に平行で頭部に到達する係止用スリット11a、11bが形成されている。係止用スリット11a、11bは、受圧面21の側縁が侵入可能で、係止用突起22a、22bが抜け出し不可能な幅で、受圧面21の側縁の全長が侵入可能な長さを具備している。
さらに、アンカー本体10aの外面には、管軸方向に平行で、係止用スリット11aに対して管軸回りで90°だけ位相が相違するアンカー羽根12a、13aが設置され、アンカー羽根12a、13aの上端に羽根保持板14aが設置されている。
【0015】
羽根保持板14aの中央部には、アンカー本体10aが貫通可能な保持板貫通孔15aと、保持板貫通孔15aと一方の側縁とに跨がる保持板切欠溝16aとが形成されている。そして、羽根保持板14aは、保持板切欠溝16aが係止用スリット11aに連通した状態で、保持板貫通孔15aを貫通したアンカー本体10aに接合(溶接接合)されている。同様に、羽根保持板14bには、保持板貫通孔15bと保持板切欠溝16bとが形成されている。
さらに、アンカー本体10aの頭部には、アンカー羽根12a、13aに平行なアンカー貫通孔17a、18aが形成されている。同様に、アンカー本体10bの頭部にはアンカー貫通孔17b、18bが形成されている。
【0016】
(キャップ)
キャップ30aは、円盤状のキャップ天板31aと、上端がキャップ天板31aに接合されたキャップ筒32aと、キャップ筒32aに対向して形成されたキャップ貫通孔33a、34aとを具備している。同様に、キャップ30bは、キャップ天板31bとキャップ筒32b(キャップ貫通孔33a、34aが形成されている)とを具備している。
なお、キャップ天板31aはアンカー本体10aの頭部を覆い、キャップ筒32aはアンカー本体10aの頭部の内部に侵入可能である。
【0017】
(設置方法)
図5および
図6は、本発明の実施の形態に係るアンカー装置の設置方法を説明するものであって、
図5はフローチャート、
図6は設置状況を示す平面図である。なお、
図6は模式的に描かれたものであって、本発明は描かれた形態に限定するものではない。
図5において、アンカー装置100は、傾斜した地盤(図示しない)に、まず、アンカー本体10aとアンカー本体10bとを別個に地盤に打ち込む(S1)。
このとき、アンカー本体10aとアンカー本体10bとの距離は、受圧板20の係止用突起22aと係止用突起22bとの距離よりも僅かに短く、係止用スリット11aと係止用スリット11bとを結ぶ仮想線は、地盤の最大傾斜線に対して垂直になっている。
また、アンカー羽根12aおよびアンカー羽根13aは、同一平面内にあって、最大傾斜線に対して平行になり、アンカー羽根12bおよびアンカー羽根13bは、同一平面内にあって、最大傾斜線に対して平行になっている。
【0018】
次に、受圧面21の一方の側縁が係止用突起22aがアンカー本体10aの係止用スリット11aに侵入し、受圧面21の他方の側縁が係止用突起22aがアンカー本体10bの係止用スリット11bに侵入した状態で、受圧板20を地盤に打ち込む(S2)。
そうすると、受圧板20の係止用突起22aはアンカー本体10aの中に、係止用突起22bはアンカー本体10aの中に入っていく。
【0019】
そして、受圧板20の上端が、羽根保持板14a、14bと略同じ位置になったところで、受圧板20の地盤への打ち込みを停止し、アンカー本体10a、10bの頭部にキャップ30a、30bを設置する(S3)。このとき、アンカー本体10aのアンカー貫通孔17a、18aとキャップ30aのキャップ貫通孔33a、34aとの位置が一致される。
【0020】
そして、キャップ貫通孔33a、34aを貫通する連結ボルト40aを設置して、連結ボルト40aに連結ナット41aを螺合する(S4)。また、同様に、アンカー本体10bのアンカー貫通孔17b、18bとキャップ30bのキャップ貫通孔33b、34bとの位置が一致され、これらを貫通する連結ボルト40bを設置して、連結ボルト40bに連結ナット41bを螺合する(S4)。
なお、後記するように、連結ボルト40aおよび連結ナット41aと、連結ボルト40bおよび連結ナット41bとは、それぞれ「ワイヤー連結手段」として機能する。
【0021】
次に、アンカー本体10aの頭部およびアンカー本体10bの頭部に、第1ワイヤー50の両端を連結する(S5)。
図5に示すように、第1ワイヤー50の両端にはそれぞれサツマ51a、50bが形成されているから、サツマ51aを、連結ボルト40a(および連結ナット41a)と羽根保持板14aとの間でアンカー本体10aに係止し、サツマ51bを、連結ボルト40b(および連結ナット41b)と羽根保持板14bとの間でアンカー本体10bに係止する。
さらに、第1ワイヤー50の中央にシャックル(「ワイヤー連結手段」に同じ)60を設置して、シャックル60を介して、第1ワイヤー50に第2ワイヤー70を連結する(S6)。
【0022】
したがって、傾斜した地盤(図示しない)の高い方から低い方に向かって第2ワイヤー70が配置され、第2ワイヤー70が受圧板20に対して垂直であるとき、第2ワイヤー70にかかる低い方に向かった力は、第1ワイヤー50を経由して、アンカー本体10aおよびアンカー本体10bに、等しく伝達される。
そうすると、前記力のうちの傾斜して地盤の低い方に向かった分力(受圧板20に対して垂直方向の分力)は、アンカー本体10a、アンカー本体10bおよび受圧板20に作用し、これらは高い方に向かった反力を受けることになる。
また、前記力のうちの水平方向の分力(受圧板20に平行な方向の分力)は、アンカー本体10aおよびアンカー本体10bを経由して、受圧板20を幅方向に圧縮する力となる。このとき、アンカー本体10a、アンカー本体10b、アンカー羽根12a、13aおよびアンカー羽根12b、13bには土圧が作用して、受圧板20の受圧面21における面内方向の圧縮を抑える方向の反力を受けるから、受圧面21の幅方向の圧縮は抑えられ、受圧面21の座屈の発生が防止される。
【0023】
したがって、アンカー装置100は、構成部材が分解された状態で搬送されるから、搬送スペースを減少することができる。また、土圧が作用しない部材を有しないから、無駄な部材がなく、軽量化を得ることができる。さらに、アンカー本体が2本であるため、局所的な軟弱土壌に打設された場合には、予定した支持力を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は以上の構成であって、部材を変形や破損することなく、アンカー本体とアンカー用鞘管とを予定した姿勢に正確に設置することができるから、傾斜した地盤に限定されることなく、各種地盤に設置されるアンカー装置として広く利用することができる。
【符号の説明】
【0025】
10a:アンカー本体
10b:アンカー本体
11a:係止用スリット
11b:係止用スリット
12a:アンカー羽根
12b:アンカー羽根
13a:アンカー羽根
13b:アンカー羽根
14a:羽根保持板
14b:羽根保持板
15a:保持板貫通孔
15b:保持板貫通孔
16a:保持板切欠溝
16b:保持板切欠溝
17a:アンカー貫通孔
17b:アンカー貫通孔
18a:アンカー貫通孔
18b:アンカー貫通孔
20 :受圧板
21 :受圧面
22a:係止用突起
22b:係止用突起
30a:キャップ
30b:キャップ
31a:キャップ天板
31b:キャップ天板
32a:キャップ筒
32b:キャップ筒
33a:キャップ貫通孔
33b:キャップ貫通孔
34a:キャップ貫通孔
34b:キャップ貫通孔
40a:連結ボルト
40b:連結ボルト
41a:連結ナット
41b:連結ナット
50 :第1ワイヤー
51a:サツマ
51b:サツマ
60 :シャックル
70 :第2ワイヤー
100:アンカー装置