(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
測位システムが設置された建築物に配設され、固有の識別子を有する複数の火災感知器と、複数の前記火災感知器と通信可能に接続された火災受信手段と、前記火災受信手段に接続され、前記火災感知器の状況を表示する表示手段と、を有する自動火災報知設備であって、
前記火災感知器は、
前記測位システムに基づいて位置情報を取得する測位部と、
前記測位部への駆動電源の供給を制御する測位部電源制御部と、
前記火災受信手段と通信する感知器送受信部と、
前記感知器送受信部が測位指令を受信したときに、前記測位部へ電源を供給させるように前記測位部電源制御部を制御するとともに、前記測位部から取得した位置情報を前記識別子とともに前記感知器送受信部から送出させるように制御し、前記送出の後は前記測位部への電源の供給を断つように前記測位部電源制御部を制御する感知器制御部と、
を備え、
前記火災受信手段は、
停電時に前記火災受信手段および前記火災感知器に電源を供給し、前記測位部の駆動電源となる予備電源と、
前記火災感知器と通信する受信手段送受信部と、
前記表示手段の操作に基づく測位指令を受信したときに、前記測位指令を前記受信手段送受信部から前記火災感知器へ送信させる受信手段制御部と
を備え、
前記火災感知器から前記火災受信手段を介して受信した前記位置情報と前記識別子とを関連付けて記憶する感知器情報記憶部と、
前記火災受信手段と接続され、火災を感知した火災感知器からの前記識別子を含む火災情報を受信する通信部と、
建築物の地図情報を記憶するマップ記憶部と、
前記マップ記憶部から読み出した地図情報上に前記感知器情報記憶部から読み出した前記火災感知器の位置を表示させた重畳マップを作成する重畳マップ作成部と、
を備え、
前記重畳マップ作成部は、前記通信部が受信した前記火災情報の前記識別子に基づき前記感知器情報記憶部を参照して、火災を感知した火災感知器の位置を特定し、前記重畳マップに火災発生場所を表示することを特徴とする自動火災報知設備。
前記火災受信手段と通信可能に接続された総合操作盤または外部サーバ、または携帯端末、または、前記火災受信手段の内部に設けられ、前記重畳マップ作成部において作成された重畳マップを表示する表示部をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の自動火災報知設備。
【背景技術】
【0002】
従来より、防火対象物としての建築物には、火災を自動的に感知して報知する自動火災報知設備(以下、自火報設備と称する)が設置され、各所に火災を感知する火災感知器が配設される。火災感知器は防災センタに設置された火災受信機に接続され、火災発生時は、火災感知器からの信号に基づいて火災受信機が火災発生位置を表示するとともに警報音を発して火災を報知する。この火災感知器には固有の識別子(例えば、アドレス)を有するものがあり、この固有の識別子に基づいて、火災を感知した火災感知器の位置を表示するように、建築物の地図を表示装置に映出させる火災受信機もある。この表示装置は、火災受信機自体に備わる簡易な表示装置である場合もあれば、接続された火災受信機からの信号に基づいて上記表示を詳細に行う総合操作盤のような場合もある。
【0003】
このような表示装置は、建築物の階毎に水平方向の地図を表す「平面地図」、建築物の高さ方向の断面を表す「断面地図」、のうち、一方または両方が予め記憶された地図情報に基づいて画面に表示されるようになっている。そして、その地図表示に表示される火災感知器の位置も、その地図情報に含まれるものであった。すなわち、建築物毎に、配設される火災感知器の位置情報を含む地図情報を予め作成して記憶させておく必要があった。このため、このような地図情報を予め建築物に応じて作成するために大きな労力を要し、製造期間や施工期間の増大、費用の増大を招いていた。
【0004】
そこで、地図情報の作成を省力化するために、火災感知器が自らの位置情報を取得し、この情報に基づいて、表示する地図情報に火災感知器の位置を反映させる方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。特許文献1には、火災感知器相当のセンサ装置が取付位置を計測するための位置測位部を備え、計測された位置情報を火災受信機相当の中央処理装置へ出力する防災システムが開示されている。そして、中央処理装置は、各センサ装置から出力された位置情報を各センサ装置に固有のアドレス(識別子)として用いるようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1において、外部の位置計測手段から位置情報を取得して内部の位置情報記憶手段に記憶するセンサ装置は、施工時に接続した位置計測手段を取り外して位置情報記憶手段に記憶した位置情報をアドレスに代わる識別子として用いるものであって、防災システムの運用中は位置情報を取得することができない。一方、建築物では間仕切り変更等の改装が頻繁に行われ、未警戒区域を解消するためにセンサ装置を移動することがある。しかし、このときの位置情報は、単にセンサ装置を個々に識別するための識別子としてしか機能せず、センサ装置の位置を示すものではない。また、位置計測手段を内蔵したセンサ装置は、任意に位置情報を取得することはできるが、上述したセンサ装置と異なり、アドレスに代わる識別子として用いる位置情報を記憶する手段を有しない。したがって、中央処理装置と通信を行う際に必須となる識別子を得るため位置情報を取得せねばならないことから、常に電力を消費する。
【0007】
ところで、火災感知器の消費電力は非常に少なく、一般的に煙感知器等は数μA程度の消費電流が流れるに過ぎない。このように省電力な火災感知器でも、巨大な建築物では、数千〜数万もの数量が配設されるので、自動火災報知設備全体では相応の消費電力となる。そして、自動火災報知設備は停電時であっても機能を喪失することなく所定時間動作し続けるものでなくてはならない。例えば、日本国では、1時間もの監視時間を維持したのちに火災警報動作を10分以上行い得るように、二次電池から成る予備電源を火災受信機等に備えねばならない。しかしながら、位置計測手段の消費電力は、火災感知器の消費電力よりも桁違いに大きい(例えば、測位システムIMESの位置計測手段の消費電力は数十mWに達する)。このように、火災感知器とは桁違いの電力を常時消費する特許文献1のセンサ装置を用いた場合、火災受信機が備えねばならない予備電源は、桁違いに容量の大きなものとするしかなく、火災受信機に内蔵不可能な巨大なものとなってしまう。
【0008】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、火災感知器の設置位置を任意に取得して、表示装置の地図情報に反映できるようにするとともに、通常の運転状況において位置計測手段による消費電力の増加を無くし、予備電源の容量増加を必要としない自動火災報知設
備を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の自動火災報知設備は、測位システムが設置された建築物に配設され、固有の識別子を有する複数の火災感知器と、複数の火災感知器と通信可能に接続された火災受信手段と、火災受信手段に接続され、火災感知器の状況を表示する表示手段と、を有する自動火災報知設備であって、火災感知器は、測位システムに基づいて位置情報を取得する測位部と、測位部への駆動電源の供給を制御する測位部電源制御部と、火災受信手段と通信する感知器送受信部と、感知器送受信部が測位指令を受信したときに、測位部へ電源を供給させるように測位部電源制御部を制御するとともに、測位部から取得した位置情報を識別子とともに感知器送受信部から送出させるように制御し、送出の後は測位部への電源の供給を断つように測位部電源制御部を制御する感知器制御部と、を備え、火災受信手段は、
停電時に火災受信手段および火災感知器に電源を供給し、測位部の駆動電源となる予備電源と、火災感知器と通信する受信手段送受信部と、
表示手段の操作に基づく測位指令を受信したときに、測位指令を受信手段送受信部から火災感知器へ送信させる受信手段制御部と、を備え、火災感知器から火災受信手段を介して受信した位置情報と識別子とを関連付けて記憶する感知器情報記憶部と、
火災受信手段と接続され、火災を感知した火災感知器からの識別子を含む火災情報を受信する通信部と、建築物の地図情報を記憶するマップ記憶部と、マップ記憶部から読み出した地図情報上に感知器情報記憶部から読み出した火災感知器の位置を表示させた重畳マップを作成する重畳マップ作成部と、を備え
、重畳マップ作成部は、通信部が受信した火災情報の識別子に基づき感知器情報記憶部を参照して、火災を感知した火災感知器の位置を特定し、重畳マップ上に火災発生場所を表示するものである。
【0010】
なお、
自動火災報知設備は、火災受信手段と通信可能に接続された総合操作盤または外部サーバ、または携帯端末、または、火災受信手段の内部に設けられ、重畳マップ作成部において作成された重畳マップを表示する表示部をさらに有していてもよい。
【0011】
また、受信手段制御部は、測位指令が所定の火災感知器に対するものである場合には、測位指令を受信手段送受信部から所定の火災感知器へ送信させ、測位指令が所定の火災感知器に対するものでない場合には、測位指令を受信手段送受信部から全ての火災感知器へ逐次または一斉に送信させるものでもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の自動火災報知設
備によれば、施工時や点検時など、火災感知器の位置情報を確認することが必要なときに、任意に火災感知器の位置情報を取得して火災感知器に固有の識別子と関連付けて記憶するので、予め作成する地図情報に火災感知器の位置を登録することなく、地図情報に重ねて火災感知器の位置を表示することができる。また、火災感知器の位置情報を取得するときだけに火災感知器の測位部に通電して火災感知器の位置情報を取得するので、平常時は測位部が電力を消費しない。したがって、火災受信手段としての火災受信機の予備電源の容量を増すことなく、火災感知器の位置情報を取得できる自動火災報知設備を実現できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら自動火災報知設備の実施形態について説明する。
図1は本発明の自動火災報知設備の実施形態を示す模式図であり、
図2は本発明の自動火災報知設備の実施形態を示すブロック図である。
図1及び
図2の自動火災報知設備1は、火災を感知して警報を出力するものであって、例えば、マンション、ビル、地下街等の地下施設等の防火対象物である建築物に設置される。
図1においては、自動火災報知設備1が地上施設である建築物BLに設置された場合について例示している。
【0015】
自動火災報知設備1は、複数の火災感知器10と、複数の火災感知器10と通信可能に接続された火災受信手段である火災受信機20と、火災受信機20と通信可能に接続された表示手段である表示装置30とを有している。なお、
図1及び
図2においては、複数の火災感知器10が信号線SGを介してそれぞれ送り配線で接続されている場合について例示する。そして、火災受信機20と表示装置30とは信号線を介して通信可能に接続されている。また、建築物BLには、位置情報取得を可能とする図示しない測位システムが設置されている。
【0016】
各火災感知器10は、例えば建築物の天井等に配設され、火災を感知した際に信号線SGを介して発報信号を火災受信機20に送信するものであり、感知部11、感知器記憶部12、感知器送受信部13、感知器制御部14、測位部15、測位部電源制御部16を有している。感知部11は、設置場所の火災に起因する物理現象(例えば、煙、熱、赤外線放射、紫外線放射、燃焼ガス、等)を検出することによって火災を感知するものである。
【0017】
感知器記憶部12は、感知器制御部14を動作させるためのプログラムおよび機器固有の識別子としてのアドレスが格納されている。アドレスは、例えば複数の火災感知器10同士で重複しないように付与された番号からなっている。感知器送受信部13は、火災受信機20に対して信号を送信し、火災受信機20から送信された信号を受信するものであって、感知器制御部14により制御されている。感知器制御部14は、感知器記憶部12に記憶された制御プログラムに従い火災感知器10全体の動作を制御するものである。
【0018】
さらに、各火災感知器10は、建築物BLに設置された測位システムに基づいて火災感知器10の位置情報を取得する測位部15を有している。測位部15の電源供給は測位部電源制御部16によって断続制御され、測位部15および測位部電源制御部16の動作は感知器制御部14により制御される。具体的には、感知器制御部14は感知器送受信部13を介して、火災受信機20からの位置情報を取得する旨の測位指令信号を受信すると、測位部電源制御部16が測位部15に電源を供給してこれを始動し、測位部15が測位システムに基づいて位置情報を取得するように制御する。そして、感知器制御部14は、測位部15が取得した位置情報をアドレスとともに火災受信機20へ送信させるように感知器送受信部13を制御する。そして、この送信が完了すると、測位部15への電源供給を断つように測位部電源制御部16を制御する。
【0019】
なお、測位部15が自己の位置情報を取得するために用いる測位システムとしては、例えば、人工衛星を用いた測位システムとして、GPS(Global Positioning Syatem)、GLONASS、Galileo、IRNSS(Indian Regional Navigational Satellite System)、QZSS(Quasi−Zenith Satellite Syatem)等を利用することができる。また、これら人工衛星を用いた測位システムの衛星電波を利用できない屋内における測位システムとしては、擬似衛星GPS(スードライト)、GPSリピータ、IMES(Indoor MEssaging System)、無線LAN測位システム、QRコード(登録商標)や電子タグ等の電子標識による測位システム、等を利用することができる。
【0020】
次に、
図1及び
図2を参照して火災受信機20について説明する。火災受信機20は、受信手段送受信部21、受信手段記憶部22、表示操作部23、受信手段制御部24、受信手段通信部25、電源部26を備えている。受信手段送受信部21は、火災感知器10と通信を行うものであって、各火災感知器10に対して信号を送信し、各火災感知器10から送信された信号を受信するものである。受信手段記憶部22は、受信手段制御部24を動作させるためのプログラムが記憶されているとともに、各火災感知器10のアドレスが記憶されている。
【0021】
表示操作部23は、例えばタッチパネルからなり、火災感知器10が感知した火災に関する情報又は火災感知器10の状態等を表示する画面又はランプなどの表示部と、火災受信機20又は自動火災報知設備1全体に対するオペレータからの操作を受け付ける操作部とを有している。なお、表示操作部23がタッチパネルからなる場合について例示しているが、表示部と操作部とがそれぞれ別体として設けられてもよい。受信手段通信部25は、受信手段制御部24に制御されて表示装置30に対して信号を送信し、また、表示装置30から送信された信号を受信する。
【0022】
受信手段制御部24は、受信手段記憶部22に記憶された制御プログラム等に基づき、受信手段送受信部21、表示操作部23、受信手段通信部25等、火災受信機20全体又は自動火災報知設備1全体の動作を制御するものである。特に、受信手段制御部24は、表示装置30の操作に基づく測位指令を、受信手段通信部25を介して受信したとき、受信手段送受信部21から火災感知器10へ測位指令を送信し、火災感知器10に位置情報を取得させる機能を有している。この際、受信手段制御部24は、複数の火災感知器10に対し逐次位置情報を取得するように制御してもよいし、特定の火災感知器10の位置情報を取得するように制御してもよい。そして、受信手段送受信部21が火災感知器10からアドレスを付与した位置情報を受信したとき、受信手段制御部24は、アドレスを付与した位置情報を受信手段通信部25から表示装置30へ送信させる。
【0023】
電源部26は、外部から供給される交流電源を火災受信機20に必要な電源に変換するものであって、二次電池から成る予備電源を備えた予備電源部26aを備えている。そして、停電が生じた場合、予備電源部26aから電源が供給される。なお、予備電源の容量は、少なくとも、所定時間(1時間)の火災監視ができ、火災感知器10が火災を感知した場合には10分間の火災警報動作ができる、規格上定められた容量になっている。
【0024】
次に、
図1及び
図2を参照して表示手段としての表示装置30について説明する。表示装置30は、例えば総合操作盤からなり、複数の火災感知器10の状態、火災を感知した火災感知器10の情報等の火災感知器10の状況を表示するものである。なお、
図1及び
図2において、表示装置30が総合操作盤からなる場合について例示しているが、パーソナルコンピュータを利用して総合操作盤を構成するようにしてもよい。また、表示装置30は、これに限らず、火災受信機20と一体に形成されてもよいし、インターネット等の通信回線を介して火災受信機20と通信可能に設けられたWebシステムのようなサーバであってもよい。
【0025】
表示装置30は、火災感知器10に関する情報として、火災感知器10が設置された屋内のマップ情報に火災感知器10の設置場所を表示させる。具体的には、表示装置30は、通信部31、位置情報管理部32、感知器情報記憶部33、重畳マップ作成部34、マップ記憶部35、表示部36、入力部37を有している。
【0026】
通信部31は、火災受信機20との間でデータ伝送を行うものであって、信号線を介して火災受信機20に接続されている。通信部31は、火災感知器10の位置情報を取得するときには、火災受信機20から火災感知器10のアドレス及び対応する位置情報を受信し、火災発生時には、火災を感知した火災感知器10のアドレスを含む火災感知器10からの火災情報を受信する。位置情報管理部32は、火災受信機20から伝送された火災感知器10の位置情報をアドレスとともに管理するものである。
【0027】
位置情報管理部32は、複数の火災感知器10の位置情報及びアドレスを感知器情報記憶部33に記憶するとともに、火災感知器10の移設等がなされた場合には、再度、火災感知器10の位置情報を表示装置30に取得させ、感知器情報記憶部33に記憶されている火災感知器10の位置情報を更新するようになっている。このように、感知器情報記憶部33は、火災感知器10から火災受信機20を介して受信した位置情報とアドレスとを関連付けて記憶する。
【0028】
重畳マップ作成部34は、複数の火災感知器10の位置情報を建造物の地図情報上に重畳させた重畳マップSPを作成するものである。ここで、建造物の地図情報は、例えば火災感知器10が設置された屋内の部屋割り等が描画されたものであって、マップ記憶部35に記憶されている。また、建造物の地図情報の緯度、経度、階数情報等の座標情報は、測位システムに基づく位置情報に対応している。重畳マップ作成部34は、マップ記憶部35に記憶された建造物の地図情報上に、感知器情報記憶部33に記憶された複数の火災感知器10の位置情報を重畳させた重畳マップSPを作成する。そして、重畳マップ作成部34において作成された重畳マップSPは表示部36に表示される。
【0029】
入力部37は、例えばマウス又はキーボード等からなり、使用者が表示部36を見ながら所定の操作を行うことにより、例えば建築物BLのフロアの階数等を指定して重畳マップSPを表示させることができる。また、使用者は入力部37を操作することにより、火災感知器10の位置情報の取得を指令し、火災受信機20を介して火災感知器10に測位指令が送信される。この際、使用者は、複数の火災感知器10に対し一括して位置情報を取得することを指令することができ、もしくは特定の火災感知器10のアドレス等を指定して位置情報を取得するように指令することもできる。
【0030】
図3は
図2の重畳マップ作成部において作成される重畳マップの一例を示す模式図である。
図3の重畳マップSPにおいて、建造物の地図情報上に各火災感知器10の位置情報を示すアイコンが重畳して表示されている。そして、複数の火災感知器10は例えば種類に応じて異なるアイコンを用いて表示されている。具体的には、火災感知器10が光電式感知器である場合には「S」マークのアイコンが表示されており、火災感知器10が熱感知器である場合には「T」マークのアイコンが表示されている。また、各火災感知器10のアイコンに隣接して各火災感知器10のアドレス(例えばID:1等)が表示されている。なお、重畳マップ作成部34は、重畳マップSP上に各火災感知器10の位置を表示するだけでなく、火災発生時、火災感知器10からの火災情報を、火災受信機20を介して受信すると火災を感知した火災感知器のアドレスに基づき、感知器情報記憶部33を参照して火災を感知した火災感知器10の位置を特定し、火災発生場所を表示する。このとき、例えば、火災を感知した火災感知器10のアイコンを、炎を示すマークを付したものを表示する等して、火災発生場所を表示するとよい。
【0031】
このように、火災感知器10の位置を予め登録することなく、測位システムに基づく複数の火災感知器10の位置を重畳マップSP上で確認することができるため複数の火災感知器10の位置を一目で確認することができ、また、火災を感知した火災感知器10のアドレスと、そのアドレスと関連付けて記憶した位置情報とに基づいて、火災発生場所を表示することができる。
【0032】
さらに、表示装置30において、オペレータが所定アドレスの火災感知器10を指定して、その位置情報を再取得する場合、指定された指定火災感知器10xの位置情報を更新して、その位置を重畳マップSP上に表示する機能を有している。すなわち、
図2の位置情報管理部32は、マウス又はキーボード等の入力部37から所定アドレスの火災感知器10が指定された場合、指定された火災感知器10xの位置情報を取得できるようにしておく。このとき、表示装置30は通信部31を介して火災受信機20に指定アドレスの火災感知器10xに位置情報の取得を指令して指定アドレスの火災感知器10xに位置情報を取得させ、アドレスと関連付けて記憶する感知器情報記憶部33の位置情報を更新する。そして、重畳マップ作成部34は、指定アドレスの火災感知器10xの位置情報に基づいて、指定アドレスの火災感知器10xのアイコンを強調して表示する。これにより、オペレータは特定した火災感知器10の位置の確認を重畳マップSP上において容易に行うことができ、メンテナンス性の向上を図ることができる。
【0033】
図4は、
図1及び
図2の自動火災報知設備の動作例を示すフローチャートであり、
図1〜
図4を参照して自動火災報知設備1の動作例について説明する。施工時や点検時等、火災感知器10の位置情報を取得する必要が生じた際に、オペレータが表示装置30を操作したとき、火災感知器10の位置情報を取得するための測位指令が表示装置30から火災受信機20へ送信される(ステップST1)。すると、火災受信機20において測位指令が受信され(ステップST2)、アドレスが初期化されるとともに(ステップST3)、アドレスを指定して火災感知器10へ測位指令が送信される(ステップST4)。
【0034】
火災感知器10において測位指令が受信されると(ステップST5)、測位部電源制御部16の制御により測位部15に駆動電源が通電される(ステップST6)。その後、測位部15において火災感知器10の位置情報が取得され(ステップST7)、アドレスを付与した位置情報が火災感知器10から火災受信機20へ送信される(ステップST8)。その後、火災感知器10における測位部15の電源が遮断され(ステップST9)、再び測位指令がなされるまで測位部15への通電が遮断された状態になる(ステップST5)。
【0035】
一方、火災受信機20から表示装置30にアドレスと位置情報とが関連付けされて転送される(ステップST10)。表示装置30において、火災感知器10の位置情報がアドレスに関連付けされた状態で記憶される(ステップST11)。
【0036】
その後、最終アドレスの火災感知器10について位置情報が取得されたか否かが判断される(ステップST12)。位置情報の取得が最終アドレスまで完了していない場合(ステップST12のNO)、次のアドレスがセットされ(ステップST13)、セットされたアドレスの火災感知器10に対し、位置情報の取得が行われる(ステップST4〜ステップST11)。そして、最終アドレスの火災感知器10の位置情報が取得された場合(ステップST12のYES)、火災感知器10の位置情報の取得が完了する。なお、
図4において、火災感知器10の位置情報が取得される度に火災受信機20から表示装置30へ転送・記憶される場合について例示しているが、すべての位置情報を取得した後に表示装置30へ一括して転送するようにしてもよい。
【0037】
その後、表示装置30の重畳マップ作成部34により、感知器情報記憶部33に記憶された建造物の地図情報上に火災感知器10の設置位置に火災感知器10のアイコンが表示された重畳マップSPが作成され、表示部36に表示される。
【0038】
なお、上記実施形態では、個々の火災感知器10を順次指定して測位指令を発して位置情報を取得させるものであったが、これに限るものではない。例えば、全ての火災感知器10に対して一斉に測位指令を送信するようにしてもよい。更に、前回測位の位置情報を火災感知器10各々が感知器記憶部12に記憶するようにしておき、新たに測位した位置情報との間に所定誤差以上の変化が生じている場合に、感知器記憶部12の位置情報を更新すると共に当該火災感知器10が新たな位置情報を送信するようにし、火災受信機20を介して表示装置30がその位置情報を取得し更新するようにしてもよい。また、火災感知器10自体が、定期的に位置情報を取得するようにしてもよい。
【0039】
上記実施形態によれば、施工時や点検時など、火災感知器10の位置情報を確認することが必要なときに、任意に火災感知器10の位置情報を取得して火災感知器10の識別子としてのアドレスと関連付けて記憶するので、予め作成する地図情報に火災感知器10の位置を登録することなく、地図情報に重ねて火災感知器10の位置を表示することができる。また、火災感知器10の位置情報を取得するときだけに火災感知器10の測位部15に通電して火災感知器10の位置情報を取得するので、平常時は測位部15が電力を消費しない。したがって、火災受信機20の予備電源の容量を増すことなく、火災感知器10の位置情報を取得できる自動火災報知設備1を実現できる。
【0040】
すなわち、従来のように、火災感知器10の位置情報の計測が施工時に1度だけ行われるような場合、火災感知器10が設置された後に移動された場合には正確な位置を把握することができない。よって、改築もしくは部屋の区画の変更等により火災感知器10が移設された場合には、感知器情報記憶部33に記憶されている、移設された火災感知器10の位置情報を更新する必要を生じる。これを怠ると、火災発生時に誤った火災発生場所が表示される虞がある。一方、
図1及び
図2の自動火災報知設備1において、火災感知器10が移設された場合、管理者が表示装置30を操作して測位指令を出力し、測位指令が出力されたときに測位部15が駆動して位置情報を取得し更新することができるため、移設された火災感知器の位置情報を容易に更新することができる。
【0041】
また、測位部15が一定期間毎に位置情報を計測する場合、位置情報を取得する測位部15の消費電力は通常の火災感知器10の消費電力よりも大きいため、結果として自動火災報知設備1全体の消費電力が大きくなってしまう。具体的には、測位部15の消費電力は感知部11等の火災の検知に関する構成部品の消費電力よりも桁違いに大きく、例えば煙感知器の消費電流は通常μAオーダーであるのに対し、IMESシステムによる測位部15の場合は数十mAにもなるからである。
【0042】
しかしながら、
図1及び
図2の自動火災報知設備1の場合、火災感知器10内に消費電力の大きい測位部15が内蔵されていても、施工時や点検時以外には測位部15に通電する必要がないため、通常の稼働時にはシステム全体の消費電力が増大しないようにすることができるという効果を奏する。ひいては、停電時における自動火災報知設備1の所定時間の動作(例えば、監視状態を1時間維持したのちに火災警報動作を10分間維持する動作)を保証するために、火災受信機20に設けられる二次電池から成る予備電源の容量を増やす必要がないという効果を奏する。
【0043】
本発明の実施形態は、上記実施形態に限定されない。たとえば、上記実施形態において、複数の火災感知器10が火災受信機20に信号線SGを介して接続されている場合について例示しているが、無線式の火災感知器10についても適用することができる。この場合、複数の火災感知器10に電池電源がそれぞれ設けられており、複数の火災感知器10が測位指令を受信した場合、感知器制御部14は、測位部15に電池電源から必要な駆動電力を供給するとともに、測位部15が位置情報を測位するように制御する。この場合であっても、無線式では電線を追って火災感知器10の位置を特定することができないが、アドレスを指定して火災感知器10の位置情報を容易に取得できる。また、通常の稼働時には測位部15に通電することはないので、電池電源の無線式火災感知器に適用したとしても、電池寿命が著しく短縮することがない。
【0044】
また、表示装置30は、通信手段を介して地図情報を表示させる図示しない携帯端末であってもよい。また、
図2の構成に加えて、携帯端末装置の現在位置を測位システムに基づいて取得する端末位置測位部及び端末位置測位部を有する携帯端末と、端末位置測位部が取得した携帯端末の現在位置から指定された目的地、例えば所定のアドレスの火災感知器の位置までのルートを検索するルート検索部を備えていてもよい。そして、重畳マップ作成部34は、建造物の地図情報に火災感知器10の位置を表示させるとともに、携帯端末に、現在位置及びルート情報を重畳した重畳マップSPを作成するようにしてもよい。
【0045】
1 自動火災報知設備、10 火災感知器、10x 指定火災感知器、11 感知部、12 感知器記憶部、13 感知器送受信部、14 感知器制御部、15 測位部、16 測位部電源制御部、20 火災受信機、21 受信手段送受信部、22 受信手段記憶部、23 表示操作部、24 受信手段制御部、25 受信手段通信部、26 電源部、26a 予備電源部、30 表示装置、31 通信部、32 位置情報管理部、33 感知器情報記憶部、34 重畳マップ作成部、35 マップ記憶部、36 表示部、37 入力部、BL 建築物、SG 信号線、SP 重畳マップ。