(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記冷却器は、前記ガス化炉で生成されたガス燃料と、前記ガス化炉に供給する空気との間で熱交換を行い、前記ガス燃料を冷却する熱交換器であることを特徴とする請求項1または2に記載のバイオマスガス化システム。
前記フィルタ装置は、前記ガス燃料の通過方向と逆の方向から不活性ガスを噴射し、捕集した異物を除去する逆洗機構を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のバイオマスガス化システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなガス化炉とボイラとを組み合わせた設備にあっては、ボイラ本体内に、燃焼バーナによりガス燃料と空気を噴射すると共に、別の燃焼バーナにより化石燃料と空気を噴射し、着火して燃焼させる。ここで、ボイラとしては、液体または気体の化石燃料を燃料に用いる、いわゆる油・ガス焚きボイラがある。油・ガス焚きボイラは、石炭等に比べ、不純物が少ない燃料を燃焼させている。このため、バイオマスから生成するガス燃料に含まれる不純物が多いと、ボイラでの燃焼に影響を与える。
【0005】
本発明は上述した課題を解決するものであり、油・ガス焚きボイラに与える影響を少なくしつつ、かつ、効率よく燃焼させることができるガス燃料を生成するバイオマスガス化システム及びこれを用いるボイラ設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための本発明は、バイオマスからガス燃料を生成するバイオマスガス化システムであって、バイオマスを燃料として燃焼・ガス化させることでガス燃料を生成するガス化炉と、バイオマスを乾燥した後、前記ガス化炉にバイオマスを供給するバイオマス供給ユニットと、前記ガス化炉で生成されたガス燃料を、400℃以上500℃以下に冷却する冷却器と、前記冷却器を通過したガス燃料に含まれる異物を捕集し、異物を捕集したガス燃料を400℃以上で排出するフィルタ装置と、各部の動作を制御する制御装置と、を有することを特徴とする。
【0007】
ここで、前記冷却器と前記フィルタとの間の温度を検出する温度検出器と、を有し、前記制御装置は、前記温度検出器の検出結果に基づいて、前記冷却器の冷却を制御し、前記冷却器から排出されるガス燃焼を400℃以上500℃以下とすることが好ましい。
【0008】
また、前記冷却器は、前記ガス化炉で生成されたガス燃料と、前記ガス化炉に供給する空気との間で熱交換を行い、前記ガス燃料を冷却する熱交換器であることが好ましい。
【0009】
また、前記フィルタ装置は、前記ガス燃料の通過方向と逆の方向から不活性ガスを噴射し、捕集した異物を除去する逆洗機構を有することが好ましい。
【0010】
また、前記ガス化炉と前記冷却器との間の前記ガス燃料が通過する経路に配置された燃焼装置を有し、前記制御装置は、前記ガス化炉の起動時に前記燃焼装置を稼動し、前記ガス燃料を燃焼させ、前記経路及びフィルタ装置を加熱することが好ましい。
【0011】
また、前記ガス化炉は、内部の灰分が排出される灰処理装置を有し、前記灰処理装置は、灰分の一部をバイオマス供給装置の前記バイオマスを乾燥させる機構よりも上流側に供給することが好ましい。
【0012】
上記の目的を達成するための本発明は、ボイラ設備であって、上記のいずれかに記載のバイオマスガス化システムと、前記バイオマスガス化システムから供給されたガス燃料と、液体または気体の燃料と、を燃焼させるボイラと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、油・ガス焚きボイラに与える影響を少なくしつつ、かつ、効率よく燃焼させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0016】
図1は、本実施形態に係るボイラ設備を表す概略構成図である。
図2は、
図1に示すボイラ設備のボイラを表す概略構成図である。
【0017】
図1に示すボイラ設備1は、バイオマスを用いて生成したガス燃料と油やLNGなどの液体または気体の化石燃料とを燃料として併用して燃焼させ、この燃焼により発生した熱を回収することが可能なボイラ設備である。
【0018】
この実施例1のボイラ設備1は、
図1に示すように、バイオマスを燃焼・ガス化させることでガス燃料を生成するバイオマスガス化システム2と、バイオマスガス化システム2で生成されたガス燃料と、気体または液体の化石燃料を混合して燃焼するボイラ30と、を有する。
【0019】
バイオマスガス化システム2は、バイオマスを乾燥して供給するバイオマス供給装置3と、供給されたバイオマスをガス化しガス燃料を生成するガス化炉4と、ガス化炉4で生成されたガス燃料を冷却する空気予熱器5と、空気予熱器5を通過しガス燃料の異物を捕集するフィルタ装置6と、各部の動作を制御する制御装置7と、を有する。
【0020】
ここで、バイオマスとは、再生可能な生物由来の有機性資源であって、化石資源を除いたものと定義する。例えば、間伐材、廃材木、流木、草類、廃棄物、汚泥、タイヤ及びこれらを減量としたリサイクル燃料(ペレットやチップ)などペレットなどであり、ここに提示したものに限定されることはない。
【0021】
バイオマス供給装置3は、バイオマス貯留部(バイオマスヤード)70と、運搬機72と、受入部74と、搬送コンベヤ76、78と、磁選機80と、鉄分貯留ヤード82と、ホッパ84と、乾燥装置86と、計量コンベア88と、ホッパ90と、供給配管92と、を有する。バイオマス貯留部(バイオマスヤード)70は、加工前のバイオマスが貯留されている。バイオマス貯留部70には、外部からバイオマスが搬送される。運搬機72は、油圧ショベル、ホイールローダ等であり、バイオマス貯留部70に貯留されているバイオマスを搬送する。受入部74は、運搬機72で搬送されたバイオマスが投入される。搬送コンベヤ76は、受入部74に投入されたバイオマスを搬送コンベア78に搬送する。搬送コンベア78は、搬送コンベア76から搬送されたバイオマスをホッパ84に搬送する。磁選機80は、電磁石等でバイオマスに含まれる金属製の異物を吸着し、バイオマスから除去する。異物としては、釘や蝶番が例示される。磁選機80は、バイオマスから除去した金属製の異物を鉄分貯留ヤード82に排出する。ホッパ84は、所定量のバイオマスを貯留可能な装置である。ホッパ84は、搬送コンベア78から供給されたバイオマスを貯留し、貯留したバイオマスを乾燥装置86に供給する。乾燥装置86は、バイオマスから水分を除去する。乾燥装置86としては、バイオマスに熱風を供給する乾燥装置や、加熱源を内部に配置しつつ、バイオマスを流動化させて移動させる流動層乾燥装置を用いることができる。計量コンベア88は、乾燥装置86から排出された乾燥されたバイオマスを、計量した後、ホッパ90に搬送する。ホッパ90は、所定量のバイオマスを貯留可能であり、スクリューフィーダ等で、貯留したバイオマスを所定量ずつ供給する。供給配管92は、ホッパ90とガス化炉4とを接続しており、ホッパ90から排出されたバイオマスをガス化炉4に供給する。
【0022】
バイオマス供給装置3は、以上のような構成であり、バイオマスから異物を除去し、乾燥させた後、ガス化炉4に供給する。バイオマス供給装置3の構造は、これに限定されない。例えば、バイオマス供給装置3は、さらにバイオマスを粉砕するミル等の粉砕装置を備えていてもよい。
【0023】
ガス化炉4は、循環流動層形式のガス化炉であって、ガス化炉本体11と、サイクロン17と、排出配管18と、循環配管19と、シールポッド20と、空気供給配管21と、空気供給分岐配管22と、灰排出配管23と、ガス燃料ライン24と、灰処理装置27と、流動材搬送装置28と、起動用バーナ29と、を有する。ガス化炉4は、循環流動層形式のガス化炉であるが、循環流動層形式に限らず気泡型循環流動層形式であってもよい。
【0024】
ガス化炉本体11は、中空形状をなして鉛直方向に沿って設置され、上下及び周囲の各壁部が全面耐火材料により構成され、外部への放熱が防止可能な構造であり、例えば、500〜1000℃で運転可能となっている。このガス化炉本体11は、流動材としての流動砂と燃料としてのバイオマスを供給可能となっており、内部でバイオマスを燃焼・ガス化することで流動砂を高温化すると共に、二酸化炭素を主成分とする可燃性ガスが発生し、この可燃性ガスをガス化剤としてガス化反応が起こる。ここで、流動砂としては、例えば、珪砂(主成分として、SiO
2、Al
2O
3など)であり、また、ガス化炉本体11内で発生したガスから硫黄を除去(脱硫)するために、炭酸カルシウム(CaCO
3)を投入してもよい。
【0025】
また、ガス化炉本体11は、上側部が排出配管18を介してサイクロン17の上側部に連結されている。サイクロン17は、可燃性ガスと流動砂を分離する。サイクロン17は、下部が循環配管19を介してガス化炉本体11の下側部に連結されており、この循環配管19にシールポッド20が装着されている。
【0026】
空気供給配管21と、空気供給分岐配管22とは、ガス化炉本体11に接続され、燃焼・ガス化用の空気を供給する。空気供給配管21は、端部がガス化炉本体11の下部に連結される。空気供給分岐配管22は、空気供給配管21から分岐し、シールポッド20に連結されている。空気供給配管21は、空気予熱器5で例えば200〜350℃に加熱された高温空気をガス化炉本体11の下部から内部に供給することができる。空気供給分岐配管22は、空気予熱器5で例えば200〜350℃に加熱された高温空気をシールポッド20に供給する。
【0027】
灰排出配管23は、ガス化炉本体11の下部に接続され、堆積した灰を排出する。灰排出管23は、灰と流動材と異物が混在した状態で排出される。ガス燃料ライン24は、サイクロン17の上部に接続されている。ガス燃料ライン24は、サイクロン17を通過した可燃性ガス、つまりガス燃料が排出される。ガス燃料ライン24は、空気予熱器5に接続されている。
【0028】
灰処理装置27は、灰排出配管23から排出された灰と流動材と異物の混合物を処理する。灰処理装置27は、搬送ベルト27aと、分離装置27bと、流動材搬出ライン27cとを有する。搬送ベルト27aは、灰排出配管23から排出された灰と流動材と異物の混合物を分離装置27bに搬送する。分離装置27bは、灰と流動材と異物の混合物を分離し、流動材を流動材搬出ライン27cに供給し、その他の物質を灰循環装置100に供給する。なお、灰処理装置27は、分離装置27bで分離を行わず、そのまま、流動材搬出ライン27cと灰循環装置100に混合物を供給してもよい。
【0029】
流動材搬送装置28は、流動材搬出ライン27cから供給された流動材を含む物質をガス化炉本体11及び循環配管19に供給する。ガス化炉4は、このようにガス化炉本体11及び循環配管19を循環する経路内に、流動材を戻す。起動用バーナ29は、ガス化炉本体11に接続されている燃焼装置である。起動用バーナ29は、燃料(例えばLNG、液化天然ガス)を供給する燃料供給装置29aと、空気を供給する空気供給装置29bとを有する。燃料供給装置29aから燃料を供給しつつ、空気供給装置29bから空気を供給することで、火炎を発生させて、ガス化炉本体11を加熱する。起動用バーナ29は、バイオマスガス化システム2の起動時にガス化炉本体11を加熱する場合に使用される。
【0030】
空気予熱器5は、ガス燃料ライン24及びガス燃料ライン118と接続されており、ガス燃料ライン24から供給されたガス燃料を、熱交換で冷却した後、ガス燃料ライン118に排出する。空気予熱器5は、送風ファン116と接続されている。空気予熱器5は、送風ファン116から供給された空気とガス燃料との間で熱交換を行い、空気を200〜300℃に加熱して昇温させ、ガス燃料を400℃以上500℃以下に減温させる。空気予熱器5は、空気供給配管21及び空気供給分岐配管22と接続しており、昇温した空気を空気供給配管21及び空気供給分岐配管22に供給する。
【0031】
フィルタ装置6は、ガス燃料ライン118及びガス燃料ライン124と接続されており、ガス燃料ライン118から供給されたガス燃料を、異物を除去した後、ガス燃料ライン124に排出する。フィルタ装置6は、セラミックフィルタ等の高温、具体的には400℃以上の温度に使用可能なフィルタを有する。フィルタ装置6は、ガス燃料の温度低下を抑制しつつ、フィルタを用いて異物を除去することができればよく、ガス燃料が固定したフィルタを通過する構造としても、サイクロン式の構造としてよい。異物排出装置122は、フィルタ装置6でガス燃料から分離された異物を外部に搬送する。ガス燃料ライン124は、フィルタ装置6から供給されたガス燃料をボイラ30に供給する。
【0032】
制御装置7は、バイオマスガス化システム2の各部の動作を制御する。制御装置7による動作制御については後述する。
【0033】
また、バイオマスガス化システム2は、灰循環装置100と、ダクトバーナ114と、温度検出器120と、を有する。灰循環装置100は、灰処理装置27の分離装置27bから排出された灰を含む混合物をバイオマス供給装置3の受入部74に供給する。灰循環装置100は、循環ライン102と、供給ファン104と、を有する。循環ライン102は、分離装置27bと受入部74とを接続する配管である。供給ファン104は、空気を送ることで循環ライン102内に分離装置27bから受入部74に向かう流れを形成する。灰循環装置100は、供給ファン104で空気を送ることで、分離装置27bから循環ライン102に供給された灰を含む混合物を受入部74に送る。
【0034】
ダクトバーナ114は、ガス燃料ライン24に設置されている。ダクトバーナ114は、ガス燃料ライン24内で火炎を発生させる燃焼装置である。ダクトバーナ114は、火炎を発生させ、設置されている配管を加熱する。また、ダクトバーナ114は、火炎を発生させ、ガス燃料ライン24を流れている空気を加熱することで下流側の機器を加熱する。また、ダクトバーナ114は、ガス燃料ライン24をガス燃料等の可燃成分が流れている場合、可燃成分を燃焼させる。
【0035】
温度検出器120は、ガス燃料ライン118に設置され、空気予熱器5を通過したガス燃料の温度を検出する。
【0036】
一方、ボイラ30は、油・ガス焚きのコンベンショナルボイラであって、ガス燃料と、油やLNGなどの液体または気体の化石燃料とを燃焼可能なボイラ本体31を有している。このボイラ本体31は、中空形状をなして鉛直方向に設置され、このボイラ本体31を構成するボイラ本体壁の下部に燃焼装置32が設けられている。この燃焼装置32は、ボイラ本体壁に装着された複数の化石燃料用の燃焼バーナ33と、複数のガス燃料用の燃焼バーナ34とを有している。本実施例にて、化石燃料用の燃焼バーナ33は、周方向に沿って4個配設されたものが上下方向に4段配置されている。一方、ガス燃料用の燃焼バーナ34は、複数の化石燃料用の燃焼バーナ33の下方であって、周方向に沿って4個配設されたものが上下方向に1段配置されている。なお、化石燃料用の燃焼バーナ33とガス燃料用の燃焼バーナ34の配置関係は上下逆であってもよい。また、各燃焼バーナ33,34にて、周方向の数は4個に限るものではなく、段数も4段や1段に限るものではない。更に、各燃焼バーナ33,34に対向するように配置してもよい。
【0037】
そして、化石燃料用の燃焼バーナ33は、微粉炭供給部35が供給配管36を介して連結されると共に、燃料油(または、燃料ガス)供給部37が供給配管38を介して連結されており、この場合、化石燃料として、微粉炭または燃料油を供給可能となっている。一方、ガス燃料用の燃焼バーナ34は、ガス化炉4からのガス燃料ライン24が連結されている。この場合、ガス燃料ライン24からガス燃料用の燃焼バーナ34に供給されるガス燃料は、400℃以上に維持することが望ましい。
【0038】
また、燃焼装置32は、各燃焼バーナ33,34に燃焼用空気を供給可能な空気供給配管39を有しており、この空気供給配管39は、基端部に送風機40が装着され、先端部がボイラ本体31の外周側に設けられた風箱41に連結されている。そのため、この風箱41に供給された空気を各燃焼バーナ33,34に供給することができる。
【0039】
ボイラ本体31は、上部に煙道42が連結されており、この煙道42に、対流伝熱部として排ガスの熱を回収するための、過熱器43,44、再熱器45,46、節炭器47,48,49が設けられており、ボイラ本体31での燃焼で発生した排ガスと水との間で熱交換が行われる。
【0040】
煙道42は、その下流側に熱交換を行った排ガスが排出される排ガス配管50が連結されている。この排ガス配管50は、空気供給配管39との間にエアヒータ51が設けられ、空気供給配管39を流れる空気と、排ガス配管50を流れる排ガスとの間で熱交換を行い、燃焼バーナ33,34に供給する燃焼用空気を200〜300℃の範囲に昇温することが望ましい。排ガス配管50は、エアヒータ51より上流側に位置して、選択還元型触媒54が設けられ、エアヒータ51より下流側に位置して、電気集塵機55、誘引送風機56、脱硫装置57が設けられ、下流端部に煙突58が設けられている。
【0041】
従って、ボイラ30にて、送風機40を駆動して空気を吸引すると、この空気は、空気供給配管39を通してエアヒータ51で加熱された後に風箱41を介して各燃焼バーナ33,34に供給される。また、化石燃料としての微粉炭または燃料油は、供給配管36,38を通して化石燃料用の燃焼バーナ33に供給されると共に、ガス化炉4からのガス燃料は、ガス燃料ライン24を通してガス燃料用の燃焼バーナ34に供給される。
【0042】
すると、化石燃料用の燃焼バーナ33は、燃焼用空気と化石燃料をボイラ本体31に噴射すると同時に着火し、また、ガス燃料用の燃焼バーナ34は、燃焼用空気とガス燃料をボイラ本体31に噴射すると同時に着火する。このボイラ本体31では、燃焼用空気、化石燃料、ガス燃料が燃焼して火炎が生じる。ボイラ本体31内の下部で火炎が生じると、燃焼ガスがこのボイラ本体31内を上昇し、煙道42に排出される。
【0043】
このとき、図示しない給水ポンプから供給された水は、節炭器47,48,49によって予熱された後、図示しない蒸気ドラムに供給されボイラ本体壁の各水管(図示せず)に供給される間に加熱されて飽和蒸気となり、図示しない蒸気ドラムに送り込まれる。更に、図示しない蒸気ドラムの飽和蒸気は過熱器43,44に導入され、燃焼ガスによって過熱される。過熱器43,44で生成された過熱蒸気は、図示しない発電プラント(例えば、タービン等)に供給される。また、タービンでの膨張過程の中途で取り出した蒸気は、再熱器45,46に導入され、再度過熱されてタービンに戻される。なお、ボイラ本体31をドラム型(蒸気ドラム)として説明したが、この構造に限定されるものではない。
【0044】
その後、煙道42の節炭器47,48,49を通過した排ガスは、排ガス配管50にて、選択還元型触媒54でNOxなどの有害物質が除去され、電気集塵機55で粒子状物質が除去され、脱硫装置57により硫黄分が除去された後、煙突58から大気中に排出される。
【0045】
ここで、本実施形態のバイオマスガス化システム2の動作について説明する。バイオマスガス化システム2は、バイオマス供給装置3の各部でバイオマスを搬送し、金属性の異物を除去し、乾燥した後、ガス化炉4に供給する。ガス化炉4は、供給されたバイオマスと流動材とともに流動させつつ加熱することでガス燃料を生成する。具体的には、ガス化炉本体11は、流動材搬送装置28から流動砂が供給されており、バイオマス供給装置3からバイオマスが供給される。また、ガス化炉本体11は、空気供給配管21により下部からガス化用の高温空気が供給される。すると、ガス化炉本体11内にて、流動砂とバイオマスとが流動混合すると共に、バイオマスが燃焼・ガス化して可燃性ガスが発生する。この燃焼・ガス化により発生した可燃性ガスは、流動砂と共に排出配管18を通してサイクロン17に排出され、このサイクロン17により可燃性ガスと流動砂とに分離される。そして、分離された可燃性ガスは、ガス燃料としてガス燃料ライン24を通して空気予熱器5に供給される。サイクロン17で分離された高温の流動砂は、シールポッド20を介して循環配管19によりガス化炉本体11に戻される。また、灰排出配管23から排出された混合物は、一部が流動材搬送装置28でガス化炉本体11及び循環配管19に戻され、一部が灰循環装置100でバイオマス供給装置3に供給される。ここで、ガス化炉4の内部の温度は、500℃以上1000℃以下である。ガス化炉4は、供給する空気の火を変化させることで、温度を制御することができる。ガス化炉4で生成されるガス燃料は、主成分が一酸化炭素(CO)、水素(H
2)、二酸化炭素(CO
2)、窒素(N)などから構成され、300〜1100kcal/Nm
3程度の低カロリーガスであり、650〜850℃の範囲となる。
【0046】
バイオマスガス化システム2は、ガス化炉4から排出され、ガス燃料ライン24を通過したガス燃料が空気予熱器5に供給される。空気予熱器5は、供給されたガス燃料と空気とを熱交換することで、ガス燃料の温度を400℃以上500℃以下とする。また、空気予熱器5は、大気温度の空気を例えば200〜350℃に加熱に加熱する。
【0047】
バイオマスガス化システム2は、空気予熱器5で400℃以上500℃以下としたガス燃料をガス供給ライン118でフィルタ装置6に供給し、ガス燃料に含まれる異物を除去する。バイマスガス化システム2は、フィルタ装置6で異物を除去し、400℃以上を維持した状態のガス燃料をボイラ30に供給する。なお、バイオマスガス化システム2は、予め運転条件を設定することで、各位置での温度を上記範囲とすることができる。
【0048】
バイオマスガス化システム2は、ガス燃料を400℃以上500℃以下とした後、フィルタ装置6で異物を除去することで、500℃以下で析出するガス燃料に含まれるアルカリ金属成分をフィルタ装置6で除去することができる。また、ガス燃料が400℃以上を維持した状態でフィルタ装置6を通過させボイラ30に供給することで、タール分の析出を抑制することができる。これにより、タール分が付着することを抑制でき、ボイラ30で燃焼可能な成分をより多くすることができる。また、ガス燃料が400℃以上を維持した状態でフィルタ装置6を通過させボイラ30に供給することで、ガス燃料をエネルギが高い状態でボイラ30に供給することができる。これにより、ボイラ設備1の運転効率を高くすることができる。また、油・ガス焚きのボイラ30にアルカリ金属が投入されることを抑制でき、油・ガス焚きのボイラ30でガス化したバイオマスを好適に燃焼させることができる。
【0049】
ここで、フィルタ装置6は、ガス燃料の通過方向と逆の方向から不活性ガスを噴射し、捕集した異物を除去する逆洗機構を有することが好ましい。ここで、不活性ガスとしては、ボイラ30の排ガスや、二酸化炭素、窒素等が例示される。フィルタ装置6の洗浄に不活性ガスを用いることで、温度が高い状態でガス燃料が通過するフィルタ装置6内で、ガス燃料が燃焼することを抑制することができる。
【0050】
バイオマスガス化システム2は、灰循環装置100を設け、灰の一部をバイオマス供給装置3に供給することで、燃焼成分が含まれる灰を再度バイオマスの搬送経路に戻すことができ、燃料を効率よく使用することができる。また、バイオマス供給装置3の乾燥装置86よりも上流側の湿潤状態のバイオマスが搬送または貯留されている領域に、乾燥した灰を供給することで、湿っている状態を改善することができ、バイオマスのハンドリング性を向上させることができる。
【0051】
図3は、バイオマスガス化システムの動作の一例を示すフローチャートである。
図3に示す動作は、制御装置7が各部の動作を実行することで、実現することができる。制御装置7は、温度検出器120で温度を検出する(ステップS12)。制御装置7は、温度を検出したら、ガス燃料ライン118を流れるガス燃料の温度が400℃以上であるか判定する(ステップS14)。制御装置7は、温度が400℃以上ではない(ステップS14でNo)、つまり、400℃未満であると判定した場合、供給する空気の量を減少させる(ステップS16)。制御装置7は、送風ファン116の動作を制御し、空気予熱器5に供給する空気の量を減少させる。空気予熱器5に供給する空気の量を減少させることで、空気予熱器5でのガス燃料に対する空気の吸熱量が低減し、空気予熱器5から排出されるガス燃料の温度を高くすることができる。
【0052】
制御装置7は、温度が400℃以上である(ステップS14でYes)と判定した場合、ガス燃料ライン118を流れるガス燃料の温度が500℃以下であるか判定する(ステップS18)。制御装置7は、温度が500℃以下ではない(ステップS18でNo)、つまり、500℃より高いと判定した場合、供給する空気の量を増加させる(ステップS20)。制御装置7は、送風ファン116の動作を制御し、空気予熱器5に供給する空気の量を増加させる。空気予熱器5に供給する空気の量を増加させることで、空気予熱器5でのガス燃料に対する空気の吸熱量が増加し、空気予熱器5から排出されるガス燃料の温度を低下させることができる。制御装置7は、温度が500℃以下である(ステップS18でYes)と判定した場合、本処理を終了する。
【0053】
バイオマスガス化システム2は、温度検出器120の検出結果に基づいて、送風ファン116の動作を制御し、空気予熱器5の熱交換を制御することで、フィルタ装置6に供給するガス燃料をより確実に400℃以上500℃以下とすることができる。これにより、ガス燃料からアルカリ金属を好適に除去することができ、かつ、タール分の発生を抑制することができる。また、上記制御では、下限の400℃と上限の500℃を制御の判定基準としたが、判定基準は、400℃よりも高い温度と、500℃よりも低い温度とを用いることが好ましい。これにより、制御に誤差が生じても、フィルタ装置6に供給するガス燃料をより確実に400℃以上500℃以下とすることができる。
【0054】
ここで、上記実施形態のバイオマスガス化システム2は、ガス化炉4から排出されたガス燃料を空気予熱器5による熱交換で冷却しつつ、空気を加熱することで、システム全体の熱を効率よく利用することができる。なお、バイオマスガス化システム2は、空気予熱器5に代えて、冷却器を設けてもよい。また、ガス化炉2に供給する空気以外の媒体とガス燃料とを熱交換してもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、温度検出器120をガス燃料ライン118に設置し、ガス燃料ライン118の検出結果に基づいて制御を行ったがこれに限定されない。例えば、ガス燃料ライン24に温度検出器を設置し、その結果に基づいて制御を行ってもよい。また、上記実施形態では、空気予熱器5に供給する空気の量を制御したが、他の制御を行ってもよい。例えばダクトバーナ114で管路を加熱し、温度を上昇させてもよい。
【0056】
図4は、バイオマスガス化システムの動作の一例を示すフローチャートである。
図4に示す動作は、制御装置7が各部の動作を実行することで、実現することができる。制御装置7は、システム(バイオマスガス化システム2)起動時であるかを判定する(ステップS32)。制御装置7は、システム(バイオマスガス化システム2)起動時である(ステップS32でYes)と判定した場合、ダクトバーナを稼動させる(ステップS34)。制御装置7は、システム(バイオマスガス化システム2)起動時ではない(ステップS32でNo)と判定した場合、ダクトバーナ114を停止させる(ステップS36)。
【0057】
バイオマスガス化システム2は、このようにシステムの起動時にダクトバーナ114を起動させ、ガス燃料ライン24を加熱することで、システム全体の温度の上昇を速くすることができ起動時間を短くすることができる。また、起動時にガス化炉4から排出されるガス燃料をダクトバーナ114で燃焼させることができる。これにより、低温のガス燃料が流通し、タール分が析出することを抑制することができる。
【0058】
また、ダクトバーナ114は、ボイラ30の状態によって、ガス燃料を投入できない場合もガス燃料を燃焼させ、ボイラ30内にガス燃料が流入することを抑制することができる。つまりダクトバーナ114は、フレアスタックとしても用いることができる。これにより、バイオマスガス化システム2にフレアスタックを用いる必要が無くなり、装置構成を簡単にすることができる。