【文献】
Molecular and Cellular Biology, 2007, Vol. 27, No. 5, pp. 1823-1843
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1、第2、第3、または第4の追跡可能な融合タンパク質についてのリガンドが、追跡可能な融合タンパク質のスーパーファミリー受容体タンパク質についての天然リガンド、またはそれと競合的に結合する天然もしくは合成化合物である、請求項1記載のシステム。
追跡可能な融合タンパク質のリガンド結合ドメインについてのリガンドの不在下でシステムの追跡可能な融合タンパク質と安定して会合し、かつ、追跡可能な融合タンパク質のリガンド結合ドメインについてのリガンドの存在下で融合タンパク質から解離する、1つまたは複数の化合物および/または組成物をさらに含む、請求項1〜5のいずれか一項記載のシステム。
サンプルが、地表水、地表面下(地下)水、雨水、流去水、井戸水、湧水、飲料水(処理済みもしくは未処理)、河川水、河口水、海水、廃液、処理汚水または未処理汚水を含む水サンプルを含む、請求項12記載のシステム。
サンプルが、地表水、地表面下(地下)水、雨水、流去水、井戸水、湧水、飲料水(処理済みもしくは未処理)、河川水、河口水、海水、廃液、処理汚水または未処理汚水を含む水サンプルを含む、請求項14記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1A〜Eは、グルココルチコイドおよびアンドロゲン汚染についての水サンプルの分析を示す。
図1Aは、対応のホルモン処理に応答してのGFPタグ化GRおよびAR受容体移行の略図である。
図1Bは、30分間のデキサメタゾンでの刺激での哺乳動物細胞系(Walker et al., Methods (Comp. to Meth. Enzym.) 19:386-393, 1999)におけるGFP-GR移行を示す一連の顕微鏡写真である。核はDAPIで染色されている。スケールバー、5μm。
図1Cは、極性有機化学物質統合サンプラー(POCIS)を使用して採取した10個の水サンプルによるGR調節Per1遺伝子の転写活性化を示しており、コルチコステロンによって誘導されるトランス活性化と比較する。データをDMSO単独に対して正規化している。ブランクおよびSS83はPOCIS陰性対照である。エラーバーは平均値±s.e.mを示す、n=3。水サンプルの1つである、SS97は、完全なGFP-GR移行(画像)、および100 nMコルチコステロンによって誘導される活性化よりも高いレベルでのPer1遺伝子の転写活性化(グラフ)を誘導する。スケールバー、5μm。
図1Dは、HPLC分画サンプルSS97(フラクション74-A)のGC/MS全イオンクロマトグラムであり、これは、ピークによって示されるように、揮発性炭化水素の複合混合物の存在を明らかにした。ピーク1〜3に対応する抽出したMSスペクトルのデータベース検索によって、公知のアンドロスタン型ステロイドとの構造的類似性が示された。これらのピークのGC/MS分析を
図3および表3に示す。
図1Eは、100 nMのテストステロン、アンドロスタ-4-エン-3,6-ジオン、およびサンプルSS97(100x)に応答してのGFP-AR核移行の一連の代表的な画像である。スケールバー、5μm。
【
図2】
図2A〜Cは、第1サンプルセットの採取現場、およびGR移行についてのサンプルSS97由来のHPLCフラクションの試験を示す。
図2Aは、POCISによって採取された第1サンプルセットの採取現場の地理的位置を示す。サンプルの1つ(赤色でマーク、SS97)はGFP-GR移行について陽性と出、このことはグルココルチコイド活性の存在を示唆している。陰性サンプルは緑色でマークされている。
図2Bは、30分間の100 nMコルチコステロンでの刺激での哺乳動物細胞系(Walker et al., Methods (Comp. to Meth. Enzym.) 19:386-393, 1999)におけるGFP-GR移行を示す。核はDAPIで染色されている。スケールバー、5μm。
図2Cは、グルココルチコイド活性の存在を測定するための、GFP-GR移行についてのサンプルSS97のHPLCフラクション(フラクションA〜K)の試験を示す一連の顕微鏡写真である。11個のフラクションのうち4個がGFP-GR移行について陽性と出た(
図2C)。GC/MS分析はサンプルSS97中のアトラジンを検出したので、本発明者らはそれを本発明者らの分析に含めた(右下)。しかし、アトラジンはGFP-GR移行を誘導しなかった。
【
図3】
図3は、抽出したMSクロマトグラフィーピーク1〜3(
図1D)のデータベース検索が、化合物が公知のアンドロスタン型ステロイドと構造が類似していたことを示唆していることを示す。クロマトグラフィーピーク1〜3(
図1D)の質量スペクトルとAES 2010データベースからの標準スペクトルとの目視比較は、公知のアンドロスタン型化合物との類似性を示唆している。
【
図4】
図4A〜Eは、ハイスループット自動画像解析による水サンプルスクリーニングを示す。
図4Aは、対照およびコルチコステロン処理3617細胞からの細胞質および核セグメンテーションについてスコアリングされた画像の例を含む。
図4Bは、Perkin Elmer Opera Image Screening Systemを使用してのグルココルチコイド活性を有する環境汚染物質の画像ベースのスクリーニングについてのワークフローの図である。
図4Cは、代表的な実験についての自動画像解析アウトプットを示す。このシリーズにおいて、合計69個からの水サンプル8個(サンプルR4E、R4A、R16W、R27、LF1a、2a、3a、および4a(
図4D)に対応するウェル位置2B、2G、3F、4F、9H、10A、10C、および10Eが、色変化によって示されるように、GFP-GR移行について陽性と出た。ウェル1A〜Dは4つの陰性(DMSO)対照を示す。ウェル1E〜Hは、100 nMコルチコステロンで処理された細胞についての陽性対照であり、ウェル10D、10Fおよび10Hは、100 nMデキサメタゾンで処理された細胞についての陽性対照である。
図4Dおよび
図4Eは、それぞれ、GFP-GRおよびGFP-AR核移行についての定量分析を示す棒グラフである。移行を核対細胞質強度の比率として計算し、各値を対照に対して正規化した。グルココルチコイド活性について陽性のサンプルをアスタリスクでマークする(P<0.01、シングルアスタリスク、およびP<0.05、ダブルアスタリスク)。エラーバーは平均値±s.e.mを示す、n=4。
【
図5】
図5A〜Cは、Opera(Perkin Elmer)自動イメージング分析システムによって検出された、それらのそれぞれのホルモンに応答してのGFP-GRおよびGFP-ARの濃度依存性移行を示す。
図5Aは、既知の濃度のヒドロコルチゾン、デキサメタゾンまたはコルチコステロンで処理すると、GFP-GRが濃度依存性様式で核へ移行することを示す棒グラフである。細胞の細胞質および核セグメンテーションについてのアルゴリズムを使用し、両方の区画中の平均GFP-GR強度を測定し、これらの強度の比率として移行を定量化した。各値を対照サンプルに対して正規化した。エラーバーは平均値±s.e.mを示す、n=6(P<0.05、アスタリスク)。
図5Bは、既知の濃度のテストステロンに応答してのGFP-AR移行を示す棒グラフである。挿入図は、0.1 nMと同じぐらい低いテストステロン濃度が、GFP-AR移行の統計的に有意な増加を誘導したことを示している。P<0.05のサンプルをアスタリスクによって示す。エラーバーは平均値±s.e.mを示す、n=6。
図5Cは、アンドロスタ-4-エン-3,6-ジオンがGFP-AR構築物の濃度依存性移行を誘導することを示す棒グラフである(P<0.05、アスタリスク)。エラーバーは平均値±s.e.mを示す、n=6。
【
図6】
図6A〜Bは、GFP-GR核移行についてスクリーニングした追加のサンプルを示す。
図6Aは、384ウェルプレート上に平板培養したGFP-GR発現細胞の一部を示す画像解析プレートマップである。38個のうち22個のサンプル(58%)がGFP-GR核移行について陽性と出た。ウェル10A〜Hは陰性対照(DMSO)である。ウェル1A〜Hおよび9D、9F、9Hは、それぞれ、100 nMコルチコステロンおよび100 nMデキサメタゾンで処理された陽性対照である。
図6Bは、棒グラフGFP-GR核移行結果概要である。灰色ボックス中のサンプルは全てPOCIS陰性対照である。陽性サンプルをアスタリスクでマークする(P<0.01、シングルアスタリスク、およびP<0.05、ダブルアスタリスク)。エラーバーは平均値±s.e.mを示す、n=4。
【
図7】
図7A〜Bは、GFP-AR核移行についてスクリーニングした追加のサンプルを示す。
図7Aは、384ウェルプレート上に平板培養したGFP-AR発現細胞の一部を示す画像解析プレートマップである。40個のうち21個のサンプル(55%)がGFP-AR核移行について陽性と出た。ウェル10A〜Hは陰性対照(DMSO)である。ウェル1A〜Hは、100 nMテストステロンで処理された細胞についての陽性対照である。
図7Bは、棒グラフGFP-AR核移行結果概要である。灰色ボックス中のサンプルは全てPOCIS陰性対照である。陽性サンプルをアスタリスクでマークする(P<0.01、シングルアスタリスク、およびP<0.05、ダブルアスタリスク)。エラーバーは平均値±s.e.mを示す、n=4。
【
図8】
図8は、採取現場の地理的位置ならびにグルココルチコイドおよびアンドロゲン活性でのそれらの汚染を示す。陰性サンプルは緑色でマークされている。グルココルチコイド活性についての陽性のサンプルを黒色でマークし、アンドロゲン活性陽性サンプルをピンク色でマークし、両方の活性について陽性のサンプルを赤色でマークする。三角はグラブサンプルを示し、一方、円はPOCIS膜の使用を示す。完全なサンプル説明(採取方法ならびに採取時間および移行活性)については、表5Aおよび5Bを参照のこと。
【
図9】
図9A〜Fは、場所SS97で新たに採取したグラブサンプルによって誘導された濃度依存性移行および転写活性化を示す。
図9Aおよび
図9Bは、最初の採取の4年後のサンプルSS97についての濃度依存性GFP-GRおよびGFP-AR移行を示す棒グラフである。移行を自動画像解析から計算し、DMSO処理対照に対して正規化された核対細胞質強度の比率として表した。グルココルチコイドおよびアンドロゲン活性について陽性のサンプルをアスタリスクでマークする(P<0.05)。エラーバーは平均値±s.e.mを示す、n=4。GFP-GR移行の有意な増加がこのサンプルについての1x希釈において検出可能である(挿入図)。有意なGFP-AR移行を誘導する最低濃度は10xであった(B、挿入図)。
図9Cは、核対細胞質強度として示される濃度依存性GFP-GR移行についての代表的なヒートマップを示す。Dex(デキサメタゾン、100 nM)、Cst(コルチコステロン、100 nM)、およびHC(ヒドロコルチゾン、100 nM)を、上記の棒グラフ(
図9A)において示すように、陽性対照として含める。
図9Dは、濃度依存性GFP-AR移行についての代表的なヒートマップである。テストステロン(Testo、100 nM)を、上記の棒グラフ(
図9B)において示すように、陽性対照として含めた。
図9Eは、GR調節遺伝子、Tgm2およびLcn2の濃度依存性転写活性化を示す一対の棒グラフである。試験した濃度の全て(1xを含む)が、ビヒクル(DMSO)処理対照からの倍変化として示される、両方の遺伝子の転写応答を誘導した。Dex(デキサメタゾン、100 nM)、Cst(コルチコステロン、100 nM)、およびHC(ヒドロコルチゾン、100 nM)を陽性対照として含める。エラーバーは平均値±s.e.mを示す、n=4。
図4Fは、LNCaP細胞中におけるサンプルSS7によるAR調節遺伝子、NKX2.1およびRHOUの濃度依存性転写活性化を示す一対の棒グラフである。遺伝子転写は濃度10x、20x、および50xによって誘導され(P<0.05、アスタリスク)、一方、より高い濃度は阻害活性を有するようであった。データをビヒクル(DMSO)処理対照と比較しての倍変化として示す。アンドロスタ-4-エン-3,6-ジオン(A-4)(100 nM)およびテストステロン(Testo、100 nM)を陽性対照として含めた。エラーバーは平均値±s.e.mを示す、n=4。
【
図10】
図10A〜Bは、SS97と同一の場所からの新たに採取したサンプルによって誘導された濃度依存性GFP-GRおよびGFP-AR移行を示す。
図10Aは、現場SS97での既知の濃度の水サンプルに応答しての濃度依存性GFP-GR移行についての一連の代表的な画像である。スケールバー、10μm。
図10Bは、現場SS97での既知の濃度の水サンプルに応答しての濃度依存性GFP-AR移行についての一連の代表的な画像である。スケールバー、10μm。
【
図11】
図11A〜Bは、GL2Wと同一の場所からの新たに採取したサンプルによって誘導された濃度依存性GFP-GRおよびGFP-AR移行を示す。
図11Aは、現場GL2Wでの既知の濃度の水サンプルに応答しての濃度依存性GFP-GR移行についての一連の代表的な画像である。スケールバー、10μm。
図11Bは、現場GL2Wでの既知の濃度の水サンプルに応答しての濃度依存性GFP-AR移行についての一連の代表的な画像である。スケールバー、10μm。
【
図12】
図12A〜Cは、GL2Wと同一の場所からの新たに採取したサンプルに応答しての濃度依存性GFP-GR移行およびGR調節遺伝子の転写活性化を示す。
図12Aは、GL2Wと同一の場所からの新たに採取したサンプルに応答してのGFP-GRの移行を示す棒グラフである(
図11Aも参照のこと)。移行を核対細胞質強度の比率として計算し、さらに各値を対照サンプルについての値に対して正規化した。GFP-GR移行について陽性のサンプルをアスタリスクでマークする(P<0.05)。GFP-GR移行を誘導する最低濃度は10xである。DMSO陰性対照、Dex(デキサメタゾン、100 nM)、Cst(コルチコステロン、100 nM)、およびHC(ヒドロコルチゾン、100 nM)を陽性対照として含めた。エラーバーは平均値±s.e.mを示す、n=4。
図12Bは、パネルAにおけるようなGFP-GR移行についての代表的な生データヒートマップである。
図12Cは、GL2W現場からの新たに採取したサンプルによって誘導された3つのGR調節遺伝子の濃度依存性転写活性化を示す一連の棒グラフである。全ての濃度が、GR調節遺伝子の少なくとも1つの転写活性化を誘導した(P<0.05、アスタリスク)。転写応答をビヒクル対照サンプル(DMSO)と比較しての倍変化として示す。Dex(デキサメタゾン、100 nM)、Cst(コルチコステロン、100 nM)、およびHC(ヒドロコルチゾン、100 nM)を陽性対照として含める。エラーバーは平均値±s.e.mを示す、n=4。
【
図13】
図13A〜Cは、GL2W現場からの新たに採取したサンプルに応答しての濃度依存性GFP-AR移行およびAR調節遺伝子の転写活性化を示す。
図13Aは、GL2W現場での新たに採取した水サンプルについてのGFP-AR濃度依存性移行応答の定量化を示す棒グラフである(
図11Bも参照のこと)。移行を核対細胞質強度の比率として計算し、さらに各値を対照サンプルについての値に対して正規化した。GFP-AR移行について陽性のサンプルをアスタリスクでマークする(P<0.05)。GFP-AR移行を誘導する最低サンプル濃度は10xである。テストステロン(Testo、100 nM)を陽性対照として含める。エラーバーは平均値±s.e.mを示す、n=4。
図13Bは、パネルAにおけるようなGFP-AR移行についての代表的な生データヒートマップである。
図13Cは、内因性ARを発現するLNCaP細胞中におけるGL2W現場からの新たに採取したサンプルによって誘導されたAR調節遺伝子の濃度依存性転写活性化を示す一対のグラフである。濃度10x〜50xがAR調節遺伝子NKX2.1およびRHOUにおいて転写活性化を誘導した(P<0.05、アスタリスク)。100x濃度で、本発明者らは、減少したNKX2.1発現を観察し、RHOU転写の変化は検出せず、このことは、その濃度で明らかとなる阻害活性(恐らく抗アンドロゲン性)の存在を示唆している。転写応答をビヒクル処理(DMSO)対照サンプルと比較しての倍変化として示す。アンドロスタ-4-エン-3,6-ジオン(100 nM)およびテストステロン(Testo、100 nM)を陽性対照として含める。エラーバーは平均値±s.e.mを示す、n=4。
【
図14】
図14A〜Bは、既知の濃度のプロゲステロンに対する移行応答についてのGFP-PR-B細胞系の単細胞クローンの試験を示す。
図14Aは、プレートレイアウトを示し(クローン8122についての8ウェルを除いて、各々4ウェル);
図14Bは、クローンの各々の移行効率の定量化を示す(各試験条件についての8119、8122、8124、8127、および8130の左から右への番号順のバー)。5つの試験したクローンのうち4つ(クローン8122、8124、8127、および8130)がプロゲステロンに応答して移行について陽性である。
【0019】
配列表
添付の配列表に列挙される核酸およびアミノ酸配列を、37 C.F.R. 1.822に規定されるように、ヌクレオチド塩基について標準文字略語、およびアミノ酸について3文字表記を使用して示す。各核酸配列の1つの鎖のみを示したが、相補鎖が表示の鎖の任意の参照によって含まれると理解される。配列表を、約100 KBの、2013年6月5日に作成したSequences.txtという名称のASCIIテキストファイルとして提出し、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0020】
SEQ ID NO: 1は、追跡可能な融合タンパク質eGFP-GR-ER310をコードする核酸配列である。配列は、示されるヌクレオチド位置で以下の特徴を含む:EGFP(1〜717)、GAリンカー(718〜747)、hGR(748〜2400)、およびhER(2401〜3261)。
【0021】
SEQ ID NO: 2は、追跡可能な融合タンパク質eGFP-GR-ER310のアミノ酸配列である。配列は、示されるアミノ酸位置で以下の特徴を含む:EGFP(1〜239)、GAリンカー(240〜249)、hGR(250〜800)、およびhER(801〜1086)。
【0022】
SEQ ID NO: 3は、追跡可能な融合タンパク質eGFP-GR-TR216をコードする核酸配列である。配列は、示されるヌクレオチド位置で以下の特徴を含む:EGFP(1〜717)、GAリンカー(718〜747)、hGR(748〜2400)、およびhTR(2401〜3141)。
【0023】
SEQ ID NO: 4は、追跡可能な融合タンパク質eGFP-GR-TR216のアミノ酸配列である。配列は、示されるアミノ酸位置で以下の特徴を含む:EGFP(1〜290)、GAリンカー(240〜249)、hGR(250〜800)、およびhTR(801〜1046)。
【0024】
SEQ ID NO: 5は、追跡可能な融合タンパク質pCI-nGFP-C656Gをコードする核酸配列である。配列は、示されるヌクレオチド位置で以下の特徴を含む:6X Hisタグ(8〜24)、HAタグ(28〜59)、GFP(60〜780)、GAリンカー(781〜810)、およびC656G突然変異(T→Gの単一点突然変異、TGC→GGCのコドン変化)(2791;下線および太字)をその中に含有するラットGR(829〜3213)。
【0025】
SEQ ID NO: 6は、追跡可能な融合タンパク質pCI-nGFP-C656Gのアミノ酸配列である。配列は、示されるアミノ酸位置で以下の特徴を含む:6X Hisタグ(3〜8)、HAタグ(10〜18)、GFP(23〜260)、GAリンカー(261〜270)、およびC656G突然変異(システインからグリシンへ)(931;下線および太字)をその中に含有するラットGR(277〜1070)。
【0026】
SEQ ID NO: 7は、追跡可能な融合タンパク質eGFP-hARをコードする核酸配列である。配列は、示されるヌクレオチド位置で以下の特徴を含む:EGFP(1〜717)、ベクターポリリンカー(718〜752)、およびhAR(753〜3516)。
【0027】
SEQ ID NO: 8は、追跡可能な融合タンパク質eGFP-hARのアミノ酸配列である。配列は、示されるアミノ酸位置で以下の特徴を含む:EGFP(1〜239)、ベクターポリリンカー(240〜251)、およびhAR(252〜1171)。
【0028】
SEQ ID NO: 9は、追跡可能な融合タンパク質pRevTRE-GFP-mAhRをコードする核酸配列である。配列は、示されるヌクレオチド位置で以下の特徴を含む:6X Hisタグ(8〜27)、HAタグ(28〜58)、GFP(59〜780)、GAリンカー(781〜810)、およびマウスAhR(829〜3243)。
【0029】
SEQ ID NO: 10は、追跡可能な融合タンパク質pRevTRE-GFP-mAhRのアミノ酸配列である。配列は、示されるヌクレオチド位置で以下の特徴を含む:6X Hisタグ(3〜8)、HAタグ(9〜18)、GFP(23〜260)、GAリンカー(261〜270)、およびマウスAhR(277〜1080)。
【0030】
SEQ ID NO: 11は、追跡可能な融合タンパク質eGFP-ratMRをコードする核酸配列である。配列は、示されるヌクレオチド位置で以下の特徴を含む:EGFP(1〜717)、ベクターポリリンカー(718〜732)、およびラットMR(733〜368)。
【0031】
SEQ ID NO: 12は、追跡可能な融合タンパク質EGFP-rMRのアミノ酸配列である。配列は、示されるヌクレオチド位置で以下の特徴を含む:EGFP(1〜239)、ベクターポリリンカー(240〜244)、およびラットMR(245〜1225)。
【0032】
SEQ ID NO: 13は、追跡可能な融合タンパク質eGFP-hPRBをコードする核酸配列である。配列は、示されるヌクレオチド位置で以下の特徴を含む:eGFP(1〜714)、GAリンカー(715〜744)、およびhPRB(757〜3555)。
【0033】
SEQ ID NO: 14は、追跡可能な融合タンパク質eGFP-hPRBのアミノ酸配列である。配列は、示されるヌクレオチド位置で以下の特徴を含む:EGFP(1〜238)、GAリンカー(239〜248)、およびhPRB(253〜1184)。
【0034】
SEQ ID NO: 15〜28は、以下のように、Q-PCR分析のために使用したプライマー配列である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
詳細な説明
I.略語
AhR アリール炭化水素受容体
AR アンドロゲン受容体
ATRA 全トランス型レチノイン酸
CAR 構成的アンドロスタン受容体
cst コルチコステロン
dex デキサメタゾン
ER エストロゲン受容体タンパク質(α、β)
ERR エストロゲン関連受容体(α、β、γ)
FP 蛍光タンパク質
FXR ファルネソイドX受容体
GCNF 生殖細胞核因子
GFP 緑色蛍光タンパク質
GFP-AhR キメラw/アリール炭化水素受容体およびGFP
GFP-AR キメラw/アンドロゲン受容体およびGFP
GFP-GR キメラw/GR(またはGR
*)およびGFP(同様に、GR-GFP)
GFP-GR-ER キメラw/GR移行ドメイン、エストロゲン受容体、およびGFP
GFP-GR-RAR キメラw/GR移行ドメイン、レチノイン酸受容体、およびGFP
GFP-GR-TR キメラw/GR移行ドメイン、甲状腺ホルモン受容体、およびGFP
GFP-PR-B キメラw/GR移行ドメイン、プロゲステロンB受容体、およびGFP
GR グルココルチコイド受容体
GR
* 増加したリガンド結合親和性を有する修飾GR
HNF4 肝細胞核因子4(α、γ)
Hsp 熱ショックタンパク質
LBD リガンド結合ドメイン(受容体タンパク質のもの)
LCA リトコール酸
LRH-1 肝臓受容体ホモログ-1
LTR 長末端反復
LXR 肝臓X受容体(α、β)
MR ミネラルコルチコイド受容体
MMTV マウス乳癌ウイルス
NF1 核因子1
NHR 核内ホルモン受容体
NRNC 核内受容体命名委員会(Nuclear Receptors Nomenclature Committee)
OTF1 オクタマー転写因子1
POCIS 極性有機化学物質統合サンプラー(polar organic chemical integrative sampler)
PPAR ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(α、β/δ、γ)
PR プロゲステロン受容体
PXR プレグナンX受容体
RAR レチノイン酸受容体
ROR RAR関連オーファン受容体(α、β、γ)
RRE Rev応答配列
RXR レチノイドX受容体(α、β、γ)
SF1 ステロイド産生因子1
SHP スモールヘテロダイマーパートナー
SRC1 ステロイド受容体コアクチベータ1
TR 甲状腺ホルモン受容体(α、β)
T
3 トリヨードサイロニン
T
4 サイロキシン
UDCA ウルソデオキシコール酸
VDR ビタミンD受容体
WWTP 廃水処理施設
【0036】
II.用語
特に断りのない限り、技術用語を通常の使用法に従って使用する。本発明の様々な態様の検討を容易にするために、以下の具体的な用語の説明を提供する。
【0037】
細胞ベースシステム:生きている生物から誘導された、単離された、または他の方法で獲得された生細胞を用いることに基づくシステム。この用語は、例えば細胞培養物を含む。
【0038】
キメラ/キメラの:1つまたは複数の核酸配列の部分を1つまたは複数の他の核酸配列へインフレームでクローニングし、ポリペプチドへ転写することができる単一の核酸配列を生じさせることによって作製された組換え核酸分子。このような核酸配列キメラから発現されたポリペプチドは、「キメラタンパク質」または「タンパク質キメラ」と呼ばれる。
【0039】
接触させる:固体または液体の形態を含めて直接的な物理的関係に置くこと。接触は、インビボで、例えば、薬剤を対象に投与することによって行われてもよく、またはインビトロで、例えば、単離された細胞または細胞培養物を用いて行われてもよい。
【0040】
対照:正常であると考えられるサンプル(例えば、試験される変数の不在下での活性または機能の代表)、ならびに、たとえ恐らく任意に設定されるとしても、検査値、このような値は検査室毎に変動することに留意すること。試験群においてのみ適用されるかまたは見られ、その効果が試験される、関心対象の変数を除いて、対照サンプルまたは群は試験サンプルまたは群と実質的に同一である。試験サンプルと対照との差は増加でもよく、減少でもよい。この差は定性的な差でもよく、定量的な差、例えば、統計的に有意な差でもよい。いくつかの例においては、差は、対照と比べての、少なくとも約10%、例えば、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約150%、少なくとも約200%、少なくとも約250%、少なくとも約300%、少なくとも約350%、少なくとも約400%、少なくとも約500%、または500%超の増加または減少である。
【0041】
検出する:因子(例えば、細菌)が存在するかまたは存在しないかを決定すること。いくつかの例においては、これはさらに定量化を含むことができる。例えば、開示される方法の使用は、フローサイトメトリーまたは蛍光顕微鏡などによる、1つまたは複数の標的細菌の検出を可能にする。巨視的な数の分子が同時期にまたは同時に観察され得るように、検出は大量で行うことができる。検出はまた、単一の細菌などの、単一の事象の検出を含むことができる。
【0042】
発光または発光シグナル:光源から発生したある特定の波長の光。特定の例では、フルオロフォアがその励起波長の光を吸収した後に、蛍光タンパク質などのフルオロフォアから発光シグナルが発せられる。
【0043】
環境サンプル:環境から得られるサンプル、例えば、水サンプル(例えば、地表水、地表面下(地下)水、雨水、流去水、井戸水、湧水、飲料水、河川水、河口水、海水、廃液、処理または未処理汚水などの水のもの)、土壌サンプル(水を含有する土壌サンプルを含む)、空気サンプル、または別の物質のサンプル。
【0044】
励起または励起シグナル:さらに高いエネルギーレベルへの電子遷移を励起するのに必要および/または十分な、ある特定の波長の光。特定の例では、励起は、フルオロフォアが、励起シグナルからの光の波長とは異なる(例えば、さらに長い)光の波長を発するような状態に、蛍光タンパク質などのフルオロフォアを励起するのに必要および/または十分な、ある特定の波長の光である。
【0045】
蛍光特性:蛍光タンパク質、例えば、緑色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、黄色蛍光タンパク質、シアン蛍光タンパク質などの、蛍光分子の特徴。蛍光特性の例には、適切な励起波長でのモル吸光係数、蛍光量子効率、励起スペクトルまたは発光スペクトル(「蛍光スペクトル」)の形状、励起波長最大値および発光波長最大値、2つの異なる波長における励起振幅の比、2つの異なる波長における発光振幅の比、励起状態の寿命、または蛍光の異方性が含まれる。蛍光の定量化とは、フルオロフォア、例えば、蛍光タンパク質が発した蛍光の量を求めることをいう。蛍光の量は、フルオロフォアが発した光子の量でもよい。いくつかの例においては、蛍光は、ある特定の波長、例えば、ある特定のフルオロフォア、例えば、蛍光タンパク質の発光最大の波長の蛍光シグナルの強度を測定することによって定量される。蛍光強度はまた、例えば、ある特定のフルオロフォア、例えば、ある特定の蛍光タンパク質の発光最大と重複し、それによって妨害する発光スペクトルを避けるために、ある特定のフルオロフォアの発光最大ではない波長で定量されてもよい。いくつかの例においては、蛍光シグナルは、蛍光タンパク質の集団、例えば、このような蛍光タンパク質を含有する細胞の集団に存在する蛍光タンパク質によって発せられる。例えば、このような蛍光シグナルを発する細胞の数または相対数を求めるために、このようなシグナルを定量することができる。蛍光パターンを検出するとは、蛍光シグナル、例えば、ある特定の波長の蛍光シグナルが生じる場所を決定するために、蛍光シグナルと特定の場所とを相関付けることをいう。いくつかの例においては、例えば、蛍光タンパク質の細胞内局在(例えば、細胞質または核)ならびに細胞内区画および小器官間の絶対的または相関的な定量的分布を含む、蛍光シグナルを発する細胞、例えば、蛍光タンパク質を含有する細胞の場所または形状が、蛍光のパターンから決まる。
【0046】
蛍光タンパク質:検出可能な(かつ従って追跡可能な)蛍光シグナルを発することができるタンパク質。蛍光タンパク質は、それらの発光スペクトルの波長を特徴とすることができる。例えば、野生型緑色蛍光タンパク質(GFP)は、可視スペクトルの緑色部分において蛍光発光スペクトルを有する。緑色蛍光タンパク質に加えて、可視スペクトルの他の領域内の蛍光を発する蛍光タンパク質、例えば、青色蛍光タンパク質、シアン蛍光タンパク質、黄色蛍光タンパク質、橙色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、および遠赤色蛍光タンパク質が周知である。蛍光タンパク質の非限定的な例は以下の特許文献において見ることができる:米国特許第5,804,387号;第6,090,919号;第6,096,865号;第6,054,321号;第5,625,048号;第5,874,304号;第5,777,079号;第5,968,750号;第6,020,192号;第6,146,826号;第6,969,597号;第7,150,979号;第7,157,565号;および第7,166,444号;ならびに国際特許出願公開公報WO07/085923;WO07/052102;WO04/058973;WO04/044203;WO03/062270;およびWO99/64592。蛍光タンパク質のさらなる例は、商品名Living Colors(登録商標)でClontech, Laboratories, Inc. (Mountain View, CA)から入手可能である。このような蛍光タンパク質をコードする核酸は、開示される蛍光性の追跡可能なタンパク質および蛍光性細胞系の製造における使用のために哺乳動物発現ベクター中へ組み込むことができる。
【0047】
融合タンパク質:少なくとも2つのドメインを一緒に融合させているタンパク質であって、少なくとも1つのドメインは、追跡可能な(マーカー)特徴(例えば、蛍光タンパク質ドメイン)を含み、別のドメインまたはドメインのセットは、融合タンパク質へのリガンド(EDC)の特異的結合時に、それが発現される細胞中のある細胞区画または小器官から別のものへの融合タンパク質の移行を提供する。任意で、移行およびリガンド結合特徴は、同一の供給源タンパク質から提供されてもよい(例えば、GFP-GR追跡可能な移行融合タンパク質において)。他の態様において、移行およびリガンド結合特徴は、2つの異なる供給源タンパク質から提供され(従って、融合タンパク質の「キメラ受容体」部分が作製される)、その結果、得られる追跡可能で移行性の融合タンパク質は、少なくとも3つの異なる供給源タンパク質由来のドメインまたはサブドメインを含有する。このような三成分融合タンパク質の例は、GFP、GRのまたはGRから誘導された移行性特徴、およびエストロゲン受容体のリガンド結合ドメインを含有する、GFP-GR-ERタンパク質である。
【0048】
一般に、各タンパク質ドメイン(またはサブドメイン)をコードする核酸分子が、例えば直接的にまたはリンカーオリゴヌクレオチドの使用によって、機能的に一緒に連結され、それによって単一の融合物コーディング(キメラ)核酸分子が生じるという点において、開示される融合物のドメインは、遺伝子的に一緒に融合されている。このような融合物コーディング(キメラ)核酸分子の翻訳産物が、追跡可能な移行性融合タンパク質である。
【0049】
ハイスループット技術:例えば、物質の存在(または不在)を検出または測定するために一度に多くのサンプルを分析するための、高速の、自動または半自動分析プロセス。ある特定の例において、最新のロボット工学、データ処理および管理ソフトウェア、リキッドハンドリング装置、ならびに高感度検出器、ハイスループット技術を組み合わせることによって、短時間でかつしばしば高度に並列な様式で多く(例えば、数百または数千)のサンプルを迅速にスクリーニングすることができる。
【0050】
追跡可能なマーカータンパク質ドメイン:その固有の構造的または機能的特徴、例えば蛍光、に基づいて、検出可能であるタンパク質ドメイン。
【0051】
核内ホルモン受容体ファミリー:核内ホルモン受容体(NHR)は、リガンド活性化転写因子として機能し、哺乳動物発生および分化から代謝恒常性に及ぶ多様な細胞プロセスにおいて役割を有する(Mangelsdorf et al., Cell, 83(6):835-839, 1995; Adams et al., Science, 287:2185-2195, 2000)。NHRは、ホモ二量体、ヘテロ二量体、または単量体として、標的遺伝子プロモーター上の配列特異的DNA応答エレメントへ結合する。NHRファミリーの構造および機能分析によって、受容体が機能性モジュラードメインから構成されていることが実証された。DNA結合ドメイン(DBD)は、標的DNA上の変性6〜8ヌクレオチド配列を認識する十分に特徴付けられたジンクフィンガーモチーフからなる。リガンド結合ドメイン(LBD)は、タンパク質のC末端部分に存在し、共通の、主にαヘリックス折り畳みを共有する(Mangelsdorf et al., Cell, 83(6):835-839, 1995)。示唆されるように、受容体のこのドメインは、受容体の同族リガンドが相互作用し、転写活性化と関連するコンフォメーション変化を誘導する場所である。これらの受容体の公知のリガンドの多くは、レチノイド、甲状腺ホルモン、ビタミンD3、胆汁酸、オキシステロール、および身体において代謝恒常性を制御するようにそれらの同族受容体を介して作用するプロステノイド(prostenoid)を含む必須代謝産物である(Gudas, J. Biol. Chem., 269(22): 15399-15402, 1994)。さらに、NHRはまた、複雑な環境要因に反応および順応する身体の能力の助けとなる。
【0052】
核酸:ホスホジエステル結合を介して連結されたヌクレオチド単位(リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、関連する天然の構造変異体、およびその合成非天然アナログ)から構成されたポリマー、関連する天然の構造変異体、およびその合成非天然アナログ。非天然合成アナログとしては、例えば、非限定的に、ホスホロチオエート、ホスホルアミデート、メチルホスホネート、キラル-メチルホスホネート、2-O-メチルリボヌクレオチド、ペプチド-核酸(PNA)などが挙げられる。このようなポリヌクレオチドは、例えば自動DNAシンセサイザーを使用して、合成することができる。用語「オリゴヌクレオチド」は、典型的に、一般に約50ヌクレオチド以下の、短いポリヌクレオチドを指す。ヌクレオチド配列がDNA配列(即ち、A、T、G、C)によって示される場合、これはまた、「U」が「T」に取って代わるRNA配列(即ち、A、U、G、C)を含むことが、理解される。
【0053】
ヌクレオチド配列を記載するための従来の表記法が本明細書において使用される:一本鎖ヌクレオチド配列の左手末端は5'末端であり;二本鎖ヌクレオチド配列の左手方向は5'方向と呼ばれる。新生RNA転写物へのヌクレオチドの5'から3'への付加方向は転写方向と呼ばれる。mRNAと同一の配列を有するDNA鎖は「コーディング鎖」と呼ばれ;そのDNAから転写されたmRNAと同一の配列を有し、かつ、RNA転写物の5'末端に対して5'に配置されている、DNA鎖上の配列は、「上流配列」と呼ばれ;RNAと同一の配列を有し、かつ、コーディングRNA転写物の3'末端に対して3'にある、DNA鎖上の配列は、「下流配列」と呼ばれる。
【0054】
「cDNA」は、一本鎖または二本鎖形態のいずれかの、mRNAに対して相補的であるかまたはmRNAと同一であるDNAを指す。
【0055】
「コードする」は、規定されたヌクレオチド配列(即ち、rRNA、tRNAおよびmRNA)または規定されたアミノ酸配列のいずれかおよびそれから生じる生物学的特性を有する、生物学的プロセスにおいて他のポリマーおよび高分子の合成のための鋳型として役立つ、遺伝子、cDNA、またはmRNAなどの、ポリヌクレオチド中のヌクレオチドの特定の配列の固有の特性を指す。従って、その遺伝子によって産生されたmRNAの転写および翻訳が細胞または他の生物系中においてタンパク質を産生する場合、遺伝子はタンパク質をコードする。遺伝子またはcDNAのコーディング鎖(そのヌクレオチド配列がmRNA配列と同一であり、通常、配列表に提供される)および非コーディング鎖(転写のための鋳型として使用される)は両方とも、遺伝子またはcDNAのタンパク質または他の産物をコードすると称することができる。特別の定めのない限り、「アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列」は、互いの縮重バージョンでありかつ同一のアミノ酸配列をコードする全てのヌクレオチド配列を含む。タンパク質およびRNAをコードするヌクレオチド配列はイントロンを含んでもよい。
【0056】
その配列が第1配列であるポリヌクレオチドがその配列が第2配列であるポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズする場合、第1配列は第2配列に対して「アンチセンス」である。
【0057】
2つ以上のヌクレオチド配列またはアミノ酸配列間の配列関係を記載するために使用される用語としては、「参照配列」、「より選択された」、「比較ウィンドウ」、「同一の」、「配列同一性のパーセンテージ」、「実質的に同一の」、「相補的な」、および「実質的に相補的な」が挙げられる。
【0058】
機能的に連結された:第1核酸配列が第2核酸配列と機能的な関係に置かれている場合、第1核酸配列は第2核酸配列と機能的に連結されている。例えば、プロモーターがコーディング配列の転写または発現に影響を与える場合、プロモーターは、コーディング配列(例えば、従って本明細書に開示される抗体または断片のコーディング配列)へ機能的に連結されている。一般に、機能的に連結されたDNA配列は、連続的であり、2つのタンパク質コード領域を接続する必要がある場合、同一のリーディングフレーム内に置かれる。
【0059】
ORF(オープンリーディングフレーム):いかなる終止コドンも有さないアミノ酸をコードする一連のヌクレオチドトリプレット(コドン)。これらの配列は、通常、ペプチドに翻訳可能である。いくつかの例において、オープンリーディングフレームは、本明細書に開示されるものなどの、抗体または抗体断片をコードする。
【0060】
ポリペプチド:モノマーが、アミド結合、例えばγアミド結合(例えばグルタミン酸側鎖のγ位由来)またはαアミド結合を介して一緒に連結されているアミノ酸残基であるポリマー。アミノ酸がα-アミノ酸である場合、L光学異性体またはD光学異性体のいずれかを使用することができる。用語「ポリペプチド」または「タンパク質」は、本明細書において使用される場合、任意のアミノ酸配列を包含し、糖タンパク質などの修飾配列を含むように意図される。用語「ポリペプチド」は、天然のタンパク質、ならびに組換えによってまたは合成によって生成されたものを包含するように具体的に意図される。
【0061】
用語「ポリペプチド断片」は、少なくとも1つの有用なエピトープを示すポリペプチドの部分を指す。用語「ポリペプチドの機能的断片」は、ポリペプチド活性を保持するポリペプチドの断片の全てを指す。例えば、生物学的に機能的な断片は、抗体分子に結合することができるエピトープと同じぐらい小さいポリペプチド断片から、細胞内の表現型の変化の特徴的な誘導またはプログラミングに関与することができる大きなポリペプチドまで、サイズが異なり得る。
【0062】
サンプル:例えば、1つまたは複数の標的分子、例えばEDCを含有するかどうかを決定するために、分析される材料。この用語は、生物学的サンプル(例えば、ヒトまたは動物対象から得られる);食物サンプル(例えば、野菜、乳製品、果物または肉サンプル);環境サンプル(例えば、土壌、空気、水、地表);産業および建設サンプルなどを含むが、これらに限定されない。具体的に意図されるのは、例えば、実際のまたは模擬の環境または気候(climactic)条件へさらされると材料の分解または劣化で、少なくとも1つの潜在的内分泌かく乱特性を有する1つまたは複数の化合物(分子)を(例えば、環境または周囲へ)浸出させることが公知であるかまたは潜在的に浸出させ得る材料のサンプルである。
【0063】
汚水:有機物および溶質を含有する水性流体。汚水はヒトおよび非ヒト動物由来の糞便および尿を含んでもよい。汚水は、人間活動からの廃棄物、例えば、ブラックウォーター(例えば、トイレおよび食器洗浄機の廃棄物)およびグレーウォーター(例えば、洗浄活動から生じる廃水)を含んでもよい。住居、機関、商業および産業施設は、トイレ、風呂、シャワー、台所、流し台などに由来する廃棄物を含む、汚水を生じさせ得る。典型的に、汚水は、廃棄物の供給源から運び出すように、例えば、汚水処理施設へ運ぶように意図される廃棄物である。
【0064】
受容体スーパーファミリー:同定可能なリガンド結合ドメインを有する、ステロイド、核内、およびオーファン受容体タンパク質のファミリー。この用語は、本明細書において使用される場合、公知の古典的な核内受容体、ホルモン受容体、およびオーファン受容体、ならびに将来発見され得る同定可能なリガンド結合ドメインを有するタンパク質を包含するように意図される。
【0065】
(表1)代表的な核内受容体
#核内受容体スーパーファミリーについての統一命名法に由来する(Nuclear Receptors Nomenclature Committee, Cell 97(2):161-163, 1999)。
【0066】
特に説明のない限り、本明細書において使用される技術および科学用語は全て、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同一の意味を有する。単語「または」は、文脈がそうではないように明確に示さない限り、「および」を含むように意図される。従って、「AまたはBを含む」は、A、またはB、またはAおよびBを含むことを意味する。核酸またはポリペプチドについて与えられた、全ての塩基サイズまたはアミノ酸サイズ、および全ての分子量または分子質量値は、近似であり、説明のために提供されることがさらに理解される。本明細書に記載のものと同様または等価の方法および材料を本発明の実施または試験において使用することができるが、適切な方法および材料を以下に記載する。本明細書に記載される全ての刊行物、特許出願、特許、アクセッション番号によって指定される配列、および他の参照文献は、参照によりそれらの全体が組み入れられる。矛盾する場合は、本明細書が、用語の説明を含めて、制御する。さらに、材料、方法、および例は、例示のためにすぎず、限定であるようには意図されない。
【0067】
III.序文およびいくつかの態様の概観
環境、水、食物、および消費者向製品中の内分泌かく乱物質(EDC)によって与えられる可能性のある健康上のリスクへの関心が広がっている。ステロイド性EDCは、内分泌系の正常な機能を妨げ、発育障害、代謝障害および癌に関連する。ステロイド汚染についての水源の検出およびモニタリングのための以前のシステムは、それらの化学構造の面倒な分析に頼っていた。
【0068】
ステロイドホルモン、例えばエストロゲンが、水源において検出され、それらの有害な効果は文書で十分に裏付けられている。多くの天然ステロイドが急速に代謝されることを考慮すれば、それらの誘導体は、現在する既存のライブラリーに存在しないことが多く、従って同定することができない。さらに、化学的方法によって検出されたEDCが、哺乳動物システムにおいて特異的な生物学的応答を誘発することができるかどうかは不明である。
【0069】
GFPタグ化核内ステロイド受容体構築物を発現する哺乳動物細胞を使用するEDCの生物学的試験のためのハイスループットアッセイ(自動アッセイを含む)を本明細書に記載する。Stavreva et al. (Sci Rep. 2012;2:937. doi: 10.1038/srep00937. Epub Dec. 6, 2012)も参照のこと。これらのアッセイは、特異的な受容体と相互作用するリガンドの存在下で細胞質から核へ蛍光マーカーが移行することに基づく。本明細書に記載されるような、転写活性化のこのアッセイおよび研究を使用して、米国の14州から採取した水サンプルをスクリーニングし;アンドロゲン活性がサンプルの35%において見られ、以前は未確認のグルココルチコイド(GC)活性がサンプルの27%において見られた。アンドロスタ-4-エン-3,6-ジオンがサンプルのうちの1つにおいて確認された。アンドロゲン受容体(AR)依存性核移行および転写活性化が、2つのAR応答性遺伝子NKX3.1およびRHOUについて確認された。NKX3.1は前立腺癌においてしばしば欠失されるホメオボックス遺伝子であり、RHOUは上皮成長因子受容体シグナル伝達および細胞移動に関与する。グルココルチコイド受容体(GR)依存性転写活性化が、いくつかの標的を使用して検出された。日周リズム遺伝子、Per1の誘導が、1つの水サンプル中に存在したものに等しい濃度で確認された。この水場は、フィルター(POCIS膜)の抽出によって得られたサンプルにおいて、同様に、数年後に得られたグラブ(grab)水サンプルについても陽性であった。EDC(これら2種類のステロイドEDCを含む)での広範囲にわたる汚染は、水界生態系とってだけでなく、ヒトにとっても健康被害の可能性がある。グルココルチコイドおよび多くの他のステロイドEDCの生物活性についての試験は、以前に行われていない。本明細書に記載される自動の、高度に再現性のある、かつ低コストのアッセイは、生物活性ステロイド性EDCを検出し、例えば、ステロイド性EDCでの水質汚染の分析およびモニタリングについての、水サンプルの試験における広範囲の適用に適している。
【0070】
本明細書において態様の最初のセットで提供するのは、環境サンプル中のスーパーファミリー受容体タンパク質のリガンド(例えば、アゴニストまたはアンタゴニスト)を検出または定量化するためのシステムである。それらの例において、システムは、第1の追跡可能な融合タンパク質を発現する第1哺乳動物細胞;第2の追跡可能な融合タンパク質を発現する第2哺乳動物細胞:およびマーカータンパク質の細胞質から核への移行の検出のための検出システムを含み、ここで、第1および第2の追跡可能な融合タンパク質は、独立して以下のいずれかを含む:(1)スーパーファミリー受容体タンパク質、およびマーカータンパク質ドメイン;または(2)グルココルチコイド受容体の細胞質/核移行ドメイン、スーパーファミリー受容体タンパク質のリガンド結合ドメイン、およびマーカータンパク質ドメイン。任意で、哺乳動物細胞はヒト細胞である。
【0071】
環境サンプル中のスーパーファミリー受容体タンパク質のリガンドを検出または定量化するための記載のシステムの例において、第1の追跡可能な融合タンパク質は、第2の追跡可能な融合タンパク質とは異なるリガンドに結合する。
【0072】
環境サンプル中のスーパーファミリー受容体タンパク質のリガンドを検出または定量化するための記載のシステムの例において、マーカータンパク質ドメインは、第1および第2の追跡可能な融合タンパク質において異なる。これは、例えば同一の分析システムまたはサンプル中における、2つの融合タンパク質の分別検出を可能にする。
【0073】
環境サンプル中のスーパーファミリー受容体タンパク質のリガンドを検出または定量化するための記載のシステムのいずれかにおいて、マーカータンパク質ドメインは、任意で蛍光タンパク質ドメインであってもよい。
【0074】
非限定的に、本明細書に提供されるシステムは、以下の(総称的に呼ばれる)追跡可能な融合タンパク質を含む任意の細胞受容体を用いてもよい:GFP-GR、GFP-AR、GFP-AhR、GFP-PR-B、GFP-GR-ER、GFP-GR-RAR、GFP-MR、およびGFP-GR-TR、ならびに異なる波長の光を発する異なる蛍光ドメインでGFPが置き換えられている融合物。具体例として、記載のシステムにおける使用(単独でまたは2つ以上を組み合わせて)について本明細書において意図されるのは、以下の追跡可能な融合タンパク質である:eGFP-GR-ER310(SEQ ID NO: 1および2);eGFP-GR-TR216(SEQ ID NO: 3および4);pCI-nGFP-C656G(SEQ ID NO: 5および6);eGFP-hAR(SEQ ID NO: 7および8);pRefTRE-GFP-mAhR(SEQ ID NO: 9および10);eGFP-ratMP(SEQ ID NO: 11および12);および/またはeGFP-hPRB(SEQ ID NO: 13および14)。
【0075】
さらに、第1または第2の追跡可能な融合タンパク質についてのリガンドが、追跡可能な融合タンパク質のスーパーファミリー受容体タンパク質についての天然リガンド、またはそれと競合的に結合する天然もしくは合成化合物である、環境サンプル中のスーパーファミリー受容体タンパク質のリガンドを検出または定量化するためのシステムを記載する。
【0076】
さらに、追跡可能な融合タンパク質のリガンド結合ドメインについてのリガンドの不在下で追跡可能な融合タンパク質と安定して会合し、かつ、追跡可能な融合タンパク質のリガンド結合ドメインについてのリガンドの存在下で融合タンパク質から解離する、1つまたは複数の化合物および/または組成物をさらに含む、環境サンプル中のスーパーファミリー受容体タンパク質のリガンドを検出または定量化するためのシステムを提供する。
【0077】
さらに別の態様は、異なる追跡可能な融合タンパク質を各々発現する少なくとも4つの哺乳動物細胞系を含み、ここで、少なくとも1つの追跡可能な融合タンパク質がグルココルチコイドに結合し、少なくとも1つの追跡可能な融合タンパク質がアンドロゲンに結合し、少なくとも1つの追跡可能な融合タンパク質がプロゲスチンに結合し、かつ、少なくとも1つの追跡可能な融合タンパク質がアリール炭化水素に結合する、環境サンプル中のスーパーファミリー受容体タンパク質のリガンドを検出または定量化するためのシステムを提供する。
【0078】
本明細書に記載のシステムは任意でキットとして提供される。
【0079】
さらに、環境サンプル中の内分泌かく乱物質(EDC)リガンドを検出または定量化するための方法を記載し、この方法は、環境サンプルと、以下を含む融合タンパク質をその細胞質中において発現する哺乳動物細胞、任意でヒト細胞、とを接触させる工程:リガンドについての受容体であって、リガンド結合の際に細胞質から核へ移行する受容体;およびマーカータンパク質ドメイン;ならびに、次いで、水サンプル中のリガンド結合ドメインのリガンドに応答しての融合タンパク質の細胞質から核への移行を検出する工程を含む。
【0080】
さらに、環境サンプル中の内分泌かく乱物質(EDC)リガンドの濃度を測定する方法を記載し、この方法は、環境サンプルと、以下を含む融合タンパク質をそれらの細胞質中において発現する真核細胞の集団とを接触させる工程:リガンドについての受容体であって、リガンド結合の際に細胞質から核へ移行する受容体;およびマーカータンパク質ドメイン;ならびに1つまたは複数の試験細胞をスキャンして融合タンパク質のマーカーからのシグナルデータを得る工程;シグナルデータを変換して試験細胞中の標識タンパク質の細胞内位置を得る工程;ならびに試験細胞の細胞質および核の間の標識融合タンパク質の分布の変化を計算するためのアルゴリズムを有する分析システムを使用してシグナルデータを分析する工程であって、分析システムがリガンドの濃度の正確なリーディングを提供する能力を有する工程を含む。
【0081】
非限定的に、本明細書に提供される方法は、以下の(総称的に呼ばれる)追跡可能な融合タンパク質を含む任意の細胞受容体を用いてもよい:GFP-GR、GFP-AR、GFP-AhR、GFP-PR-B、GFP-GR-ER、GFP-GR-RAR、GFP-MR、およびGFP-GR-TR、ならびに異なる波長の光を発する異なる蛍光ドメインでGFPが置き換えられている融合物。具体例として、記載の方法における使用(単独でまたは2つ以上を組み合わせて)について本明細書において意図されるのは、以下の追跡可能な融合タンパク質である:eGFP-GR-ER310(SEQ ID NO: 1および2);eGFP-GR-TR216(SEQ ID NO: 3および4);pCI-nGFP-C656G(SEQ ID NO: 5および6);eGFP-hAR(SEQ ID NO: 7および8);pRefTRE-GFP-mAhR(SEQ ID NO: 9および10);eGFP-ratMP(SEQ ID NO: 11および12);および/またはeGFP-hPRB(SEQ ID NO: 13および14)。
【0082】
提供されるシステム、キット、および方法のいずれかにおいて、環境サンプルは、水サンプル、土壌サンプル、または空気サンプルを含むことができる。例として、環境サンプルが水サンプルを含む場合、サンプルは、様々な態様において、地表水、地表面下(地下)水、雨水、流去水、井戸水、湧水、飲料水(処理済みもしくは未処理)、河川水、河口水、海水、廃液、処理汚水または未処理汚水のうちの1つまたは複数を含む。
【0083】
なおさらなる態様を本明細書に記載する。
【0084】
IV.EDCの検出のためのシステムおよびキット
例えば水サンプル中の、1つまたは複数のEDCレベルまたは活性をモニターするための高感度な細胞質から核への移行アッセイの使用を本明細書に開示する。一例において、GFPタグ化グルココルチコイド受容体(GR)(GFP-GR)を発現する細胞系を使用する、水サンプルのハイスループットスクリーンを記載し;サンプル中のEDC/リガンド(例えば、グルココルチコイド)の存在を表示する検出されるアウトプットは、細胞核中における蛍光の蓄積である(即ち、細胞質から核中への蛍光性融合タンパク質の移動)。例として、自動イメージングシステム(例えば、PerkinElmer Opera(登録商標)High Content Imaging System)が、個々の細胞中の蛍光局在の変化を画像化するために使用され得;非自動の直接顕微鏡検査態様も意図される。
【0085】
ハイスループット、低コスト、高感度EDC検出システムを少数の例示的な追跡可能な細胞質から核へのマーカータンパク質に関して詳細に説明するが、提供される原理は、異なる受容体融合物の使用による他のEDC化合物の検出に適用され得ることが、本明細書の教示に基づいて、当業者に明らかである。従って、本明細書において具体的に意図されるのは、以下のディテクター(追跡可能な)融合物の1つまたは複数(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、または9全て)を発現する細胞系を用いる方法およびキットである:GFP-GR、GFP-AR、GFP-AhR、GFP-PR-B、GFP-GR-ER、GFP-GR-RAR、GFP-MR、GFP-hAR、およびGFP-GR-TR、ならびに異なる波長の光を発する異なる蛍光ドメインでGFPが置き換えられている融合物。具体的に意図されるのは、2つ以上の追跡可能な融合物を発現する細胞系を含むキットであり、ここで、各々は、異なるEDCに応答し、異なる様式で蛍光を発する追跡可能なドメインを含有する。異なる細胞質から核へ追跡可能な融合タンパク質を各々が発現する、複数の細胞系を含有するキットも意図される。リガンドに応答して検出可能な細胞内再局在化を示す、核内受容体の突然変異、変異または修飾形態へのGFP融合物も想定される。
【0086】
A.非キメラ受容体を有する追跡可能な移行性融合タンパク質
本明細書に提供される態様は、EDCリガンド化合物の結合でその細胞内局在を変化させる(例えば、細胞質から核中へ移行する)、追跡可能な融合タンパク質を発現する細胞を用いる。このような追跡可能な移行性融合タンパク質の例は、EDCリガンドの認識および細胞質から核中への融合タンパク質の結果として生じる移行の両方について十分である核内スーパーファミリー受容体ドメインへ機能的に融合された、追跡可能なマーカードメイン(蛍光タンパク質ドメイン、例えばGFPによって例示される)を含む。
【0087】
GFP-AR(Klokk, et al., Mol. Cell Biol. 27: 1823-1843, 2007)、GFP-AhR(Elbi et al., Proc Natl Acad Sci USA 101(9):2876-2881, 2004)、GFP-PR-B(Rayasam et al., Mol Cell Biol 25(6):2406-2418, 2005)などの、他の「非キメラ」受容体(即ち、GRの移行ドメインへ融合させる必要がない)を発現する細胞系を、以前、本発明者らの研究室において作製した。水サンプル中の生物活性グルココルチコイドを検出することができた、GFP-GRに加えて、GFP-ARをアンドロゲン活性の検出のために使用し、試験した水サンプルの多くについて陽性結果が得られた。
【0088】
蛍光タンパク質(またはタンパク質ドメイン)は、外因性補因子を添加せずに細胞中で蛍光を発するタンパク質(またはタンパク質の部分)である。即ち、それは、細胞中で発現され得、単に光でタンパク質を励起しそして得られた蛍光を視覚化することによってこれらの細胞中において検出され得る、タンパク質である。このような蛍光タンパク質の例は、オワンクラゲ(Aequorea victoria)からもともと単離された緑色蛍光タンパク質(GFP)である。本明細書において定義される蛍光タンパク質の別の例は、498 nmでの単一の吸収ピークおよび509 nmでの発光ピークを示す、ウミシイタケ(Renilla reniforms)からもともと単離された緑色蛍光タンパク質である(Cubitt et al. TIBS 20:448-455, 1995)。得られるタンパク質が、細胞中で発現された場合に蛍光を発する限り、蛍光タンパク質を修飾してもよいことが、さらに意図される。当技術分野は、例えば、異なる励起および発光ピークを提供するための、安定性を増加させるための、発色団形成の酸化工程の速度を加速させる、より長い波長での輝度を増加させる、ならびに光異性化(pohotoisomerization)および/または光退色を減少させる、既存の蛍光タンパク質に対して行われ得る(行われた)多くの修飾を認識する。
【0089】
任意で、融合タンパク質は、追跡可能な(例えば、蛍光タンパク質)ドメインとステロイドまたは他の受容体ドメインとの間に連結ペプチド配列を含むことができる。例えば、アミノ酸グリシンおよびアラニンの配列、またはアラニンのみの配列を使用することができ;しかし、その応答エレメントへの受容体ドメインの結合に干渉せず、かつ、蛍光タンパク質の蛍光発光を妨害しない、任意のアミノ酸配列および任意の長さを使用することができる。典型的に、リンカーペプチドは、2〜約10個のアミノ酸の範囲であり、しかしより短くてもより長くてもよい。当然ながら、あるリンカーペプチドが他のものよりも好ましい場合があり、例えば、6個からなる鎖中の4個の塩基性アミノ酸の存在は、核局在化シグナルとして事足りる場合があり、その結果、因子の非誘導状態をミスロケートする。リンカーペプチドは、蛍光タンパク質を応答エレメントから構造的に分離するために使用することができ、キメラタンパク質の残りの部分とは無関係に蛍光タンパク質を許容するように機能することができる。典型的に、追跡可能なタンパク質ドメイン(例えば、蛍光タンパク質)は、リガンド受容体ドメインのC末端またはN末端のいずれかへ融合することができ;しかし、任意の具体的な融合タンパク質についての好ましい構造は容易に決定することができる。リンカーペプチドは、検出可能なタンパク質成分とリガンド応答性/移行成分との間にリンカー配列を有する融合タンパク質をコードする核酸を作製することによって、融合タンパク質中の2つのタンパク質ドメインの間に容易に導入することができる。
【0090】
追跡可能な融合タンパク質のリガンド結合ドメイン(例えば、転写因子成分)は、任意の選択される哺乳動物から誘導することができる。さらに、ある哺乳動物由来の転写因子を利用する融合タンパク質は、しばしば別の哺乳動物由来の細胞中において使用することができる。例えば、グルココルチコイド受容体アミノ酸配列は、特に、ラット、ヒトおよびマウス間で結合領域において、高度に保存されており、例えば、ラットグルココルチコイド受容体は、ヒトグルココルチコイド応答エレメントへ高親和性で結合する。しかし、本明細書に提供される様々な態様において、追跡可能な融合タンパク質のリガンド結合および/または移行成分はヒトタンパク質に基づく。
【0091】
記載される方法およびキットにおいて有用な追跡可能な移行性融合タンパク質の構築に関するさらなる情報は、WO97/20931ならびに米国特許第6,455,300号、第7,312,032号および第8,058,395号に提供されており、これらの各々は参照により本明細書に組み入れられる。
【0092】
B.キメラ受容体を有する追跡可能な移行性融合タンパク質
さらに、追跡可能なキメラ受容体、即ち、別のスーパーファミリー受容体のリガンド結合性部分へ機能的に融合された、例えば細胞質/核移行活性を担う核内受容体の部分を含む追跡可能な受容体を用いる細胞系、方法、システムおよびキットも意図される。代表的な例はGR-ERキメラ(Martinez et al., J. Ster. Biochem Mol. Biol. 97:307-321, 2005)であり、これは、ループ1-3のC末端で始まるヒトERα(hERα)LBD配列へ連結された、GRヘリックス1および部分ループ1-3配列から構成されるハイブリッドリガンド結合ドメイン(LBD)の上流に、ラットGR(rGR)N-末端、DNA結合ドメイン(DBD)およびヒンジ領域を含有する。
【0093】
このようなキメラの追跡可能な受容体の例の構築は、米国特許出願公開第2003/0077645号、Mackem et al. (J. Biol. Chem. 276(49):45501-45504, 2001)、およびMartinez et al. (J. Ster. Biochem Mol. Biol. 97:307-321, 2005)に記載されており、これらの各々は参照により本明細書に組み入れられる。これらの参考文献には、グルココルチコイド受容体の移行特徴と、別の核内スーパーファミリー受容体、例えば、エストロゲン受容体、レチノイン酸受容体などとの間のキメラを含有する、蛍光でタグ化された融合タンパク質の作製が記載されている。各場合において、標識化されたキメラは、その同族リガンドの不在下では細胞質中において見られ、リガンドへの細胞の曝露の際に用量依存性様式で核中へ迅速に移行される。
【0094】
C.さらなるキメラ受容体
GFP-GR(pCI-nGFP-C656G)およびGFP-AR(eGFP-hAR)融合タンパク質は、公表されており((Walker et al., Methods (Comp. to Meth. Enzym.) 19:386-393, 1999; Klokk et al., Mol. Cell Biol. 27:1823-1843, 2007)、下記の実施例1に記載されるように、水サンプル中の生物活性グルココルチコイドおよびアンドロゲンの検出において有用であることがわかった。さらなるキメラ(eGFP-GR-ER310およびeGFP-GR-TR216)を構築した。テトラサイクリン調節下でこれらのキメラの各々を発現する哺乳動物細胞系は容易に作製することができる。eGFP-GR-ER310(SEQ ID NO: 1)、eGFP-GR-TR216(SEQ ID NO: 2)、pCI-nGFP-C656G(SEQ ID NO: 5)、eGFP-hAR(SEQ ID NO: 7)、pRevTRE-GFP-mAhR(SEQ ID NO: 9)、eGFP-ratMR(SEQ ID NO: 11)、およびeGFP-hPRB(SEQ ID NO: 13)のヌクレオチド配列を提供する。コードされるタンパク質も本明細書に提供する(それぞれ、SEQ ID NO: 2、4、6、8、10、12、および14)。
【0095】
D.検出細胞系
本明細書に記載の方法およびキットは、本明細書に記載されるような少なくとも1つの追跡可能な移行性融合タンパク質を発現する細胞系を用いる。ある細胞内区画または小器官から別のものへの標識融合タンパク質の移行の検出について、任意の真核細胞を利用することができるが、哺乳動物細胞および特にヒト細胞が意図される。記載される方法およびキットに有用な細胞系の構築のための代表的な方法、ならびにこのような細胞系の例は、WO97/20931、米国特許第6,455,300号、第7,312,032号および第8,058,395号;米国特許出願公開第2003/0077645号、Mackem et al. (J. Biol. Chem. 276(49):45501-45504, 2001)、ならびにMartinez et al. (J. Ster. Biochem Mol. Biol. 97:307-321, 2005)に提供されており、これらの各々は参照により本明細書に組み入れられる。
【0096】
ステロイド受容体に加えて、他のリガンド依存性受容体(例えば、甲状腺ホルモン受容体、レチノイン酸受容体、レチノイドX受容体、TCCD(ダイオキシン)受容体(AhR)、脂肪酸活性化性受容体など)および刺激依存性受容体(例えば、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体、成長因子依存性受容体、例えば、上皮成長因子、神経成長因子など)、および因子(例えば、CREB、NFAT、NFkB/IkBなど)、ならびにそのリガンドがまだ定義されていない他の受容体(例えば、ショウジョウバエテイルレス(tailless)、クニルプス(knirps)、セブンアップ(sevenup)、FTZF1遺伝子などの哺乳動物ホモログ)がある。これらの受容体または因子の多くは、Parker, Steroid Hormone Action (Oxford University Press, New York, pp. 210, 1993)、Tsai & O'Malley (Annu. Rev. Biochem. 63:451-486, 1994)、ならびにGenBankおよび他の公的に入手可能な配列データベースに列挙されているのが見られ得、これらは、さらなる受容体ならびに遺伝子およびcDNAの完全なヌクレオチド配列を含有する。
【0097】
E.環境サンプルおよび他のタイプのサンプル中のEDCを検出および/または定量化するための方法
本開示は、核内スーパーファミリー受容体のアゴニストまたはアンタゴニストの存在を環境サンプル中において検出する方法であって、少なくとも1つの追跡可能な移行性融合タンパク質を発現する細胞とサンプルとを接触させる工程、および細胞内の蛍光(または他の適切な標識)の細胞内位置を直接検出する工程を含む方法を提供し、核内に集められた蛍光の位置は、追跡可能な移行融合タンパク質のリガンド結合性EDC受容体ドメインの少なくとも1つのアゴニストまたはアンタゴニストが環境サンプル中に存在することを示す。本明細書に記載される例示的な方法に加えて、追跡可能な移行融合タンパク質を使用してリガンドを検出または定量化するために一般に適用可能な方法は、WO97/20931、米国特許第6,455,300号、第7,312,032号および第8,058,395号;米国特許出願公開第2003/0077645号、Mackem et al. (J. Biol. Chem. 276(49):45501-45504, 2001)、ならびにMartinez et al. (J. Ster. Biochem Mol. Biol. 97:307-321, 2005)において見ることができ、これらの各々は参照により本明細書に組み入れられる。
【0098】
直接検出は、細胞のいかなる追加の化学反応または処理の必要なく、(紫外または可視)光によって励起されると、細胞内の場所から発せられる蛍光の検出を意味する。蛍光は、その時点で顕微鏡のオペレーターの目によって視覚化されるように、または、視野の写真撮影によってもしくは感光検出器の使用によって顕微鏡から記録されるように、蛍光を検出することができる任意の装置、例えば、蛍光顕微鏡によって直接検出される。当技術分野において公知であるように、蛍光顕微鏡、例えば、共焦点レーザー走査顕微鏡または落射蛍光顕微鏡を、使用することができる。
【0099】
移行を検出するために、細胞は、例えば、任意の追加の試薬による接触または固定または染色の必要がない。従って、生きている細胞をアッセイすることができ、試験サンプルと接触させた直後に(例えば、約30分後に)、結果を得ることができる。さらに、蛍光の核局在化(移行)のスクリーニングは、ハイスループットコンピュータ画像解析に容易に適合させることができる。従って、例えば、多数の環境サンプル(例えば、多数のソースまたは場所由来)の反復検査のために、ならびに多数のEDC汚染物質についてのサンプルのセットの大規模スクリーニングのために、多数のサンプルの分析を自動化することができる。
【0100】
さらに、環境サンプル中のステロイド受容体のアゴニストおよびアンタゴニストのレベルを検出またはモニターする方法であって、経時的に(例えば、毎日、毎週、毎月、半年ごと、毎年、またはより長い期間ベースで)ソースまたは場所から周期的サンプルを得る工程、本明細書に記載の1つまたは複数の追跡可能な移行性融合タンパク質を発現する細胞とサンプルとを接触させる工程、および細胞内の蛍光の位置を検出する工程を含む方法も提供する。任意で、細胞は各々または集団的には、異なるリガンド(例えば、サンプリングされる環境中において汚染物質であることが公知であるかまたは汚染物質である疑いがある異なるEDC)に応答する2つ以上の異なる追跡可能な移行性融合タンパク質のセットを発現する。経時的な単一の場所または場所のセットでのEDC汚染レベルの傾向(上方へまたは下方へ)をモニターするために、細胞質から核への蛍光移動の量または大きさを周期的サンプル間で比較することができる。前に得られたサンプルと比べての後で得られたサンプル中の核移行の減少は、サンプル中の受容体のEDCアゴニストまたはアンタゴニストのレベルの減少を示し、一方、前に得られたサンプルと比べての後で得られたサンプル中の核移行の増加は、サンプル中のステロイド受容体のEDCアゴニストまたはアンタゴニストのレベルの増加を示す。
【0101】
F.自動ハイスループット分析システムおよび画像解析ソフトウェア
PerkinElmer Opera(登録商標)High Content Image Screening Systemおよび付随のソフトウェアパッケージを使用する、環境サンプル中のEDCの存在の自動ハイスループット分析の一態様をここに記載する。この教示を用いて、本明細書に記載のEDC検出および測定方法のさらなるハイスループット適用がここで可能になる。
【0102】
1つまたは複数の追跡可能な移行性融合タンパク質を発現する細胞の「アレイ」の使用が本明細書において意図され、細胞は、マイクロチャネルアレイ、マイクロタイタープレート、または別々の細胞サンプルを異なる試験サンプル(例えば、1つまたは複数のEDCの存在またはレベルについて分析される、環境サンプル、例えば水サンプル)と別々に接触させるのを可能にする他のアレイシステムなどの、アレイ中に配置される。
【0103】
アレイは、この用語が本明細書において使用される場合、支持体上のアドレス可能な位置のアレンジメントであり;各アドレスは、1つまたは複数の細胞または細胞系のサンプルを含有してもよい。「マイクロアレイ」は、ハイブリダイゼーションまたは他の検出シグナルの評価のために顕微鏡検査を必要とするように小型化されているアレイである。「マクロアレイ」は、多少より大きく、その結果、各アドレスでの少なくともスポットが、人間の肉眼によって認識可能である。アレイの細胞内の細胞蛍光(または他の追跡可能なシグナル)の存在および位置についての一次検査は、通常、顕微鏡または他の拡大装置を使用して行われる。
【0104】
アレイ内で、その位置がアレイ表面の少なくとも二次元内で確実にかつ一貫して決定することができるという点で、各々の配置された細胞サンプルはアドレス可能である。従って、整列されたアレイにおいて、各細胞サンプルの位置は、それがアレイへ適用される時点でサンプルへ割り当てられ、各位置を適切な「標的」細胞サンプルと関連させるために、通常、キーが提供される。しばしば、整列されたアレイは、対称的なグリッドパターンに配置されるが、サンプルは他のパターンに(例えば、放射状に分布した線または整列されたクラスターに)配置することができる。
【0105】
本発明に従うアレイを使用して生じたデータ(例えば、1つまたは複数の追跡可能な移行性融合タンパク質の細胞内局在)は、コンピューターシステムを使用することによって解析することができる。例えば、アレイは、コンピューター化された「リーダー」またはスキャナーによって読み取ることができ、アレイ上の個々の細胞および/または細胞内の細胞内区画に対する位置追跡可能なシグナルの定量化は、コンピューターアルゴリズムを使用して行うことができる。このようなアレイ解析は、データが自動リーダーシステムによって集められるという点で、「自動検出」と呼ぶことができる。
【0106】
検出可能な電磁波または粒子を放出する標識の場合、放出される光(例えば、蛍光もしくはルミネセンス)または放射能は、アレイからシグナル(例えば、カラー画像または人工カラー画像)を捕える、高感度カメラ、共焦点スキャナー、画像解析装置、放射性フィルムまたはPhosphoimagerによって検出することができる。次いで、画像解析ソフトウェアを有するコンピューターはこの画像を検出し、アレイ中の、各細胞サンプルロケーション(アドレス)、および任意でロケーション内の個々の細胞、についてシグナルの強度および/またはパターンを解析する。シグナルは、単一のアレイ上のロケーション間で、またはアレイ間で比較することができる(例えば、異なる追跡可能な融合タンパク質の局在化を検出するために異なる波長で連続して分析される単一のアレイ)。
【0107】
コンピューターアルゴリズムはまた、単一のアレイ上または複数のアレイ上のスポット間の比較のために使用することができる。さらに、アレイからのデータは、コンピューターに読み取り可能な形式で保存することができる。
【0108】
自動アレイリーダー(スキャナー)のある例は、リーダーの個々のコンポーネント(例えば、機械的コンポーネント、例えばモーター、分析コンポーネント、例えばシグナル解釈およびバックグラウンド減算)を指図するようにプログラミングされたコンピューターおよびソフトウェアによって制御される。任意で、グラフィックユーザインターフェースおよびリーダーのデータアウトプットを選別、分類、保存、解析、またはその他の方法で処理するための1つまたは複数のシステムを制御するためのソフトウェアをまた、リーダーに提供してもよい。
【0109】
例として、追跡可能に標識された移行性タンパク質(例えば、GFPまたは他の蛍光タンパク質ドメインを含有する融合タンパク質)を発現する細胞を含有するアレイを「読み取る」ために、アレイをリーダー中へ(または、ディテクターシステムの位置に依存して、上へ、または下になど)置くことができ、追跡可能なシグナルがリーダーによって検出される。これらの検出可能なシグナルは、アドレス識別子シグナルと関連付けさせることができる。リーダーは、アドレスの各々から情報を集め、それをアドレス識別子シグナルと関連付け、このようなシグナルを生じさせない(または、異なる種類のシグナル、例えば、細胞の細胞質中の拡散した蛍光を生じさせる)ものとは異なるとして、検出可能なシグナル(特定の種類のシグナル、例えば、細胞核へ局在化された比較的強い蛍光を含む)を有するアドレスを認識する。あるリーダーはまた、シグナル全くなしと高いシグナルとの間の、中間レベルのシグナルを検出することができ、その結果、個々のアドレスでのシグナルの定量化が可能となる。特に有利な態様において、リーダーは、追跡可能なシグナルの細胞内局在を決定および測定するためにそれが個々の細胞および細胞核をマッピングすることを可能にするソフトウェアが備えられている。
【0110】
記載の方法を用いて使用されるアレイからデータを収集するために使用することができる特定のリーダー、特に、蛍光でタグ化された融合タンパク質を使用するものは、光学的放射のための光源を含む。励起光の波長は、通常、UVまたは可視範囲内にあるが、場合によっては、赤外範囲へ拡張されてもよい。ビームスプリッターは、リーダー放射励起ビームを対物レンズへ向けることができ、対物レンズは、例えば、アレイ支持体の表面に関してx、yおよびz方向へそれが動くことができるように取付けられていてもよい。対物レンズは、アレイに、より特にはアレイ上の(微生物細胞)標的に、励起光の焦点を合わせる。励起光よりも長い波長の光が、蛍光標識されたプローブ分子を含有するアレイ上のアドレス(即ち、プローブが結合している細胞を含有するアドレス)から放射される。
【0111】
本発明のある態様において、アレイは、それが読み取られるときにリーダー内に移動可能に配置されてもよく、その結果、リーダーが各アドレスから情報を検出する間、アレイ自体が移動する(例えば、回転する)。あるいは、リーダー検出システムがアレイを横切ってまたはアレイの上または周囲で移動してアレイのアドレスから情報を検出する間、アレイはリーダー内で固定されていてもよい。具体的な可動フォーマットアレイリーダーは、公知であり、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる米国特許第5,922,617号に記載されている。シグナルを焦点化および追跡する光学データ保存を生じさせるための方法の例も公知である(例えば、米国特許第5,461,599号を参照のこと)。
【0112】
G.環境サンプルをスクリーニングするためのキット、およびその使用方法
本明細書に記載される融合タンパク質および細胞は、1つまたは複数のEDCの存在および/またはレベルについて環境サンプルをスクリーニングするために使用され得、この方法は任意でキットを使用して行ってもよいことが、意図される。
【0113】
一つの意図される具体例において、キットは非常にシンプルであり、水または他の環境サンプルが採取される1つまたは複数の水密性容器(1容器当たりサンプル1個)を含む。この態様の例において、容器は、実質的に非反応性であり、採取されるサンプル中へ(例えば、浸出によって)移され得、それによってその後のサンプル分析の間に検出され得る化学物質を含有しない。ほんの一例として、容器は500 ml(またはより小さい)洗浄済みガラス瓶であってもよい。任意で、このようなキットは、例えば発送または他の輸送の間容器を保持するためを含む、サンプル容器を保持するためのシステム(例えば、2つ以上の容器が互いに連結されるように単一単位の部分として容器を提供することを例えば含む、ラックまたは他の装置)を含んでもよい。サンプル採取容器は、例えばプレートまたはシート配置で、互いに連結されていてもよい。場合によっては、キットは、環境サンプルを(例えばpH約3へ)酸性化するために使用される酸性化剤を含み;このような酸性化剤の例は6N塩酸である(しかし、当業者は他の酸性化剤を使用できることを認識する)。キットはまた、いったんサンプルが採取されるとサンプルの冷却、例えば約4℃への冷却を可能にするようにフォーマットされていてもよい。
【0114】
この比較的単純な多様性のキャプチャーキットは、リモート分析システムにおいて使用してもよく、ここで、サンプルをある場所での環境から得、次いで分析のために遠隔地へ(例えば採取されたサンプルを発送することによって)輸送する。任意で、このようなキットは、サンプルが冷たい状態で(例えば、氷上で)発送されるようにフォーマットされており、その結果、採取直後から、サンプルが遠隔地(例えば、中央分析センター、例えばメールオーダー分析サイト)で分析のために処理されるまで、約4℃の温度を維持する。遠隔分析サイトへの発送に意図されるキットに、封筒、例えばプリペイド封筒、および/または採取後に分析サイトへサンプルを発送する方法についての説明書を任意で提供してもよい。定期的サンプル分析システムを用いてもよいことが意図され、例えば、ここで、現場(または現場のセット)が定期的にサンプリングされ、サンプルが同一の分析サイトへ毎日、毎週、半週ごとに、毎月、四半期ごとに、毎年、または他の定期的なベースで戻される。このような場合、例えば、水処理施設または他の設備もしくは機関がサンプルを採取する場合、発送システムまたはピックアップ/デリバリーシステムを、採取現場からサンプルを輸送するために使用することができる。これは、信頼性の高いサンプル移動を可能にし得、同時に、繰り返しサンプル分析のための費用の抑制に役立つ。
【0115】
遠隔分析サイトを手配する必要なくサンプルの分析を意図し可能にする、分析キットも意図される。このようなキットは、環境サンプルなどのサンプルから1つまたは複数のEDCを検出(および任意で定量化する)ために本明細書に記載の方法で使用することができる。このような分析キットは、(例えば、上述のキャプチャーキットの1つまたは複数の成分、例えば、サンプル採取容器に加えて)、各々が少なくとも1つの追跡可能な融合タンパク質を発現する、例えば1つまたは複数(例えば、2、3、4またはそれ以上)の哺乳動物細胞系を含む、環境サンプルを分析するために使用される本明細書に記載のシステムの成分を含む。一態様において、キットは、水サンプル中のスーパーファミリー受容体タンパク質のリガンドを検出または定量化するためのシステムを実施し、このシステムは以下を含む:第1の追跡可能な融合タンパク質を発現する第1哺乳動物細胞;第2の追跡可能な融合タンパク質を発現する第2哺乳動物細胞;および(任意で)マーカータンパク質の細胞質から核への移行の検出(例えば、各マーカータンパク質の細胞内局在の検出)のための検出システム、ここで、第1および第2の追跡可能な融合タンパク質は独立して以下のいずれかを含む:(1)スーパーファミリー受容体タンパク質、およびマーカータンパク質ドメイン;または(2)グルココルチコイド受容体の細胞質/核移行ドメイン、スーパーファミリー受容体タンパク質のリガンド結合ドメイン、およびマーカータンパク質ドメイン。任意で、分析キットは、追跡可能な融合タンパク質のリガンド結合ドメインについてのリガンドの不在下でキットの追跡可能な融合タンパク質と安定して会合する1つまたは複数の化合物および/または組成物を含み、この化合物および/または組成物は、追跡可能な融合タンパク質のリガンド結合ドメインについてのリガンドの存在下で融合タンパク質から解離する。
【0116】
具体的に意図されるのは、異なる追跡可能な融合タンパク質を各々発現する少なくとも4つの哺乳動物細胞系を含むキットであり、ここで、キットの少なくとも1つの追跡可能な融合タンパク質はグルココルチコイドに結合し、キットの少なくとも1つの追跡可能な融合タンパク質はアンドロゲンに結合し、キットの少なくとも1つの追跡可能な融合タンパク質はプロゲスチンに結合し、かつ、キットの少なくとも1つの追跡可能な融合タンパク質はアリール炭化水素に結合する。
【0117】
任意で、本明細書に提供される分析キットは、本明細書に記載の1つまたは複数の追跡可能な移行性融合タンパク質の移行を検出およびモニターするようにプログラムされたポータブル蛍光リーダーを含む。この文脈におけるポータブルは、当業者によって容易に行うことができる装置を指し得る。しかし、さらなる態様において、ポータブル蛍光リーダーは、輸送車両、例えば、環境サンプルの分析を提供するために場所から場所へ移動させることができるポータブル分析バンを必要とするサイズのものである。
【0118】
キットには、説明書、例えば、環境サンプルの採取についての説明書、本明細書に記載のシステムおよび細胞および方法を使用して1つまたは複数のEDCを検出するためのサンプルの分析のための、サンプルの採取後処理についての説明書などを提供してもよい。説明書は、決定された(実験的に測定された)値を比較するために、較正曲線またはチャートを提供することができる。
【0119】
非限定的に、本明細書に提供されるキットは、以下の(総称的に呼ばれる)追跡可能な融合タンパク質を含むがこれらに限定されない、任意の蛍光タンパク質タグ化細胞受容体または受容体サブドメインを含んでもよい:GFP-GR、GFP-AR、GFP-AhR、GFP-PR-B、GFP-GR-ER、GFP-GR-RAR、GFP-MR、およびGFP-GR-TR、ならびに異なる波長の光を発する異なる蛍光ドメインでGFPが置き換えられている融合物。具体例として、記載のキットにおける包含(単独でまたは2つ以上を組み合わせて)について本明細書において意図されるのは、以下の追跡可能な融合タンパク質である:eGFP-GR-ER310(SEQ ID NO: 1および2);eGFP-GR-TR216(SEQ ID NO: 3および4);pCI-nGFP-C656G(SEQ ID NO: 5および6);eGFP-hAR(SEQ ID NO: 7および8);pRefTRE-GFP-mAhR(SEQ ID NO: 9および10);eGFP-ratMP(SEQ ID NO: 11および12);および/またはeGFP-hPRB(SEQ ID NO: 13および14)。
【0120】
ある特定の特徴および/または態様を示すために以下の実施例を提供する。実施例は、記載の特定の特徴または態様へ本発明を限定するように解釈されないべきである。
【実施例】
【0121】
実施例1
米国水源中の蔓延したグルココルチコイドおよびアンドロゲン活性
様々な内分泌かく乱物質(EDC)での環境の汚染は、主な健康上の懸念である。水中のエストロゲン様化合物の存在およびそれらの有害効果が文書で十分に裏付けられている。しかし、コルチコステロイドおよびアンドロゲンを含む、EDCの有効な検出およびモニタリングはない。
【0122】
この実施例において(および参照によりその全体が本明細書に組み入れられるStavreva et al., Sci Rep. 2012;2:937. doi: 10.1038/srep00937. Epub Dec. 6, 2012において)記載するのは、ホルモン活性について米国水源由来のサンプルを試験するための、グルココルチコイド受容体(GR)およびアンドロゲン受容体(AR)によって例示される、緑色蛍光タンパク質(GFP)タグ化核内受容体の細胞内再局在化に基づく高感度生細胞アッセイの使用である。このアッセイは、非占有のGRが、大きな多タンパク質複合体において様々な熱ショックタンパク質およびイムノフィリンへ結合されて、細胞質中にあるという事実に基づく(Pratt & Tort, Endocr. Rev. 18:306-360, 1997; Pratt et al., Exp. Pharmacol. 111-138, 2006)。ホルモンが結合すると、GRはシャペロンから解離し、細胞核へ移行し(
図1Aおよび1B)、ここで、それは、GR調節エレメント(GRE)と相互作用し、GR特異的転写調節を誘発する。この細胞ベースアッセイを、米国北東部における100を超える場所由来の水サンプル中のグルココルチコイドおよびアンドロゲン活性をモニターするために使用する。転写活性化についての研究と組み合わせて、ハイスループットスクリーニングにおいてGFPタグ化グルココルチコイドおよびアンドロゲン受容体(それぞれ、GFP-GRおよびGFP-AR)を発現する細胞系を使用して、以前は未確認のグルココルチコイド活性が、14州由来の全ての試験した水源のうちの27%において発見され、アンドロゲン活性については35%において発見された。核移行に加えて、水サンプルは、GRおよびAR依存性遺伝子発現を誘導した。両方のクラスのステロイドが身体発育、代謝に影響を与え、生殖系、内分泌系および免疫系を妨げる。この蔓延した汚染は野生生物およびヒトに悪影響を与え得る。
【0123】
環境中のステロイド性EDCのレベルは、現在、効率的にモニターおよび/または調節されていない。理由の1つは、コルチコステロイドを含む、生物活性ステロイド性EDCのモニタリングについてハイスループットの、信頼性が高く、かつ低コストの検出方法が開発されておらず、需要があることである(Roy & Pereira, Indian J Exp. Biol 43:975-992, 2005)。
【0124】
EDCの検出のための化学的方法は、中国の水源中のいくつかの種類のステロイドホルモンの存在を明らかにしている(Chang et al., Environ. Sci. Technol. 43:7691-7698, 2009)。オランダ(Schriks et al., Environ. Sci. Technol. 44:4766-4774, 2010)およびまた中国(Chang et al., Environ. Sci. Technol. 41:3462-3468, 2007)の廃水からの質量分析データは、グルココルチコイドでの汚染の可能性を示唆しており、最近の研究によって、環境的に関連する濃度の合成グルココルチコイドが魚類に対して有害効果を有することが実証された(Kugathas & Sumpter, Environ. Sci. Technol. 45:2377-2383, 2011)。しかし、米国水源もEDCによって汚染されているかどうかおよびどの程度までであるかが不明である。水源において検出されたEDCが哺乳動物システムにおいてステロイド特異的生物学的応答を誘発し得るかどうかも不明である。
【0125】
EDC検出についての化学的方法は、高感度であるが、高価で、時間がかかり、かつ大規模サンプル試験と大部分が不適合である。従って、汚染された水または他の環境源中の生物活性EDCの高速で、信頼性が高く、かつ低コストの検出のための方法を開発、試験および実施することは非常に重要である。本明細書において、本発明者らは、米国水源中のグルココルチコイド活性を検出するために細胞質から核への移行に基づく高感度細胞アッセイを利用する。
【0126】
材料および方法
サンプル採取
新たな懸念の内分泌かく乱物質および他の汚染物質の存在および影響をモニターするために実施された継続中のU.S. Geological Survey (USGS)プロジェクトの一部として、環境水サンプルを採取した。それらは米国の異なる地理的位置から2005年から2010年の間に採取され(
図8)、別個のグラブ水サンプル、または極性有機化学物質統合サンプラー(POCIS)によって採取されたサンプルを含んだ(Miege et al., J. Environ. Monit., 14:626-635, 2012; epub Dec. 22, 2011を参照のこと)。Rシリーズのサンプルを、北東部の国立野生動物保護区(National Wildlife Refuge)でまたはその付近で採取し、GLシリーズを五大湖の支流において採取し、両方とも、米国魚類野生生物局(US Fish and Wildlife Services)との共同プロジェクトの一部として採取した。全ての他のサンプルを、USGS Chesapeake Bay Priority Ecosystems Scienceプロジェクトの一部として採取した。グラブ水サンプルを下記のようにUSGS, Leetown Science Centerで処理した。
【0127】
POCISサンプル:POCIS膜を、分析物回収のためにUSGS, Columbia Environmental Research Centerへ発送した。分析についてPOCISサンプルを調製するために使用される手順は以前に記載された(Alvarez et al., Environ. Toxicol. Chem. 28:1084-1095, 2009)。簡単に記載すると、関心対象の化学物質を、50 mLの1:1:8 (V:V:V) メタノール:トルエン:ジクロロメタン、続いて20 mL酢酸エチルを使用してPOCIS吸着剤から回収した。抽出物をロータリーエバポレーションによって減らし、濾過し、2-POCIS等価サンプルへコンポジットし、それによって各サンプル中に存在する化学物質の量を濃縮し、検出を助けた。
【0128】
グラブ水サンプル:グラブ水サンプルを500 ml洗浄済みアンバーガラス瓶(I-Chem, Rockwood, TN)中に採取した。6N塩酸を使用して水をpH 3へ酸性化し、氷上に保持し、4℃で保存した。採取の1週間以内に、保存された水サンプルを、溶媒リンスされたオールガラス装置を使用して、GF/Fフィルター(0.7μm)によって濾過した。フィルターをメタノール1 mlでリンスし、保持された懸濁固体から可溶性化合物を遊離させた。濾過されたサンプルおよびブランクを、既存のプロトコル(Ciparis et al., Sci. Total Environ. 414:268-276, 2012)に従って、OASIS(登録商標)HLB (200 mg)ガラスカートリッジ(Waters Corporation, Milford, MA)を使用して、固相抽出(SPE)へ供した。手短に記載すると、カートリッジを連続してプレコンディションし、濾過されたサンプル400 mlを5〜6 ml/分の流速でカートリッジ上へロードした(連続真空)。分析物を100%メタノールでカートリッジから溶出し、ロータリーエバポレーションによって濃縮した。
【0129】
生物学的試験のために、上記で調製したサンプルをDMSO中に再構成し、DMSOを<0.2%に維持したまま、もとの水体積から最終の1,000 x 濃度へ増殖培地中に希釈した。サンプルを、100 x 濃度で30分間またはテキストに示す通りに、細胞へ添加した。
【0130】
細胞系および移行アッセイ
3617および3108細胞系は、テトラサイクリン抑制性プロモーターの制御下の染色体座から、それぞれ、緑色蛍光タンパク質(GFP)タグ化GR(GFP-GR)およびAR(GFP-AR)を発現する3134マウス乳腺腺癌細胞系の派生物である(Walker et al., Methods (Comp. to Meth. Enzym.) 19:386-393, 1999; Klokk et al., Mol. Cell Biol. 27:1823-1843, 2007)。イメージングの前に、細胞を、6-ウェルプレート当たり2 x 10
5の密度でテトラサイクリンなしで(それぞれ、GFP-GRまたはGFP-ARの発現を可能にするため)活性炭処理血清(charcoal stripped serum)(Hyclone, Logan, UT)を10%含有するDMEM培地中の22-mm
2カバーガラス上において一晩増殖させた。96または384ウェルプレートにおいて行った自動実験について、細胞密度は、それぞれ、1ウェル当たり10,000または2,500細胞であった。細胞を、水サンプルについては100 xの最終濃度で(特別の定めのない限り)、37℃で30分間、ビヒクル対照、ホルモン(100 nM)または水サンプルで処理した。追加の陰性対照は、POCIS膜自体の活性を試験したサンプルを含有した。
【0131】
処理時に、細胞をPBS中4%パラホルムアルデヒドで15分間固定し、PBSで3回洗浄した。22-mm
2カバーガラス上の細胞を、DAPI(Vector Laboratories, Inc.)を含むVECTASHIELD(登録商標)封入剤中にマウントし、Leica 100 x 1.3-N.A.油浸対物レンズを備えたLeica DMRA顕微鏡において検査した。0.067μm直径ピクセルを集めるように構成されたKAF1400チップを備えたSenSys(Photometries)カメラを用いて緑色(GFP-GRおよびGFP-AR)およびUV(DAPI)チャネルで画像を得た。96または384ウェルプレートにおいて行った自動実験について、細胞を1:5000希釈で15分間DRAQ5 (BioStatus Limited)で染色し、PBSでの3回の最終洗浄後、直ちにPerkin Elmer Opera Image Screening Systemにおいて画像化したか、または後のイメージングのためにPBS中において4℃で維持した。
【0132】
Perkin Elmer Opera Image Screening Systemによる自動イメージングおよび分析
Perkin Elmer Opera Image Screening Systemを、細胞の蛍光画像の完全自動収集のために使用した。このシステムは、40x水浸対物レンズ、レーザー照射Nipkowディスク、および冷却CCDカメラを用い、高解像度共焦点蛍光顕微鏡写真(2x2カメラピクセルビニングを含む300 nmピクセルサイズ)をデジタル的にキャプチャーした。Acapella画像解析ソフトウェア開発キット(Perkin Elmer)を使用してアルゴリズムをカスタマイズし、デジタル顕微鏡写真において各細胞の核および細胞質の両方を自動的に分けた。アルゴリズムはまた、両方の区画における平均GFP-GRまたはGFP-AR強度を測定し、移行をこれらの強度の比率として計算した。各値を対照(DMSO)サンプルについての値に対してさらに正規化した。
【0133】
遺伝子転写分析
遺伝子転写研究のために、3134細胞またはLNCaP細胞(それぞれ、内因性GRおよびARを発現する)を、活性炭処理ウシ胎仔血清(Hyclone, Logan, UT)が補われたDMEM(3134細胞)またはRPMI(LNCaP細胞)培地中において各実験の24時間前に24ウェル皿中に平板培養した。細胞を水サンプル、ビヒクル対照(DMSO)、またはGRおよびAR特異的ホルモンで30分間処理した。細胞ストレスを減らすために、これらの実験は、実験期間中、安定したCO
2および温度レベルの条件下で行った(しかし、これはアッセイに必須ではない)。細胞を600μlのRLTバッファー(β-メルカプトエタノールが添加されている)で溶解し、続いてシリンジ/ニードルシアリングを行った。DNaseI消化工程(RNase free DNase Set, Qiagen)を含む、RNeasy Mini Kit (Qiagen)を使用して全RNAを抽出した。1マイクログラム(μg)のRNAを20μl反応体積で逆転写し(iScript cDNA Synthesis Kit, BioRad)、SyBrグリーンおよびBio-Rad IQシステム(BioRad, Hercules, CA)を用いるQ-PCR反応当たり0.5μlを使用した。プライマー配列を設計し、新生RNA(エクソン/イントロン境界を渡るアンプリコン)を増幅させた。プライマー配列を以下に示す。製造業者によって推奨されるようにPCRを行った。標準曲線をテンプレートの10倍連続希釈によって作成した。3つ以上の独立した実験からの発現データを、対照遺伝子β-アクチン(3134細胞)およびGAPDH(LNCaP細胞)の発現に対して正規化し、平均値およびSEMを計算し、対照(DMSO処理)サンプルに関する倍変化として示した。
【0134】
Q-PCR分析用のプライマー配列
【0135】
統計分析
IBM SPSS Statistics 19およびSigmaPlot 11 (SPSS Inc., Chicago, IL)の統計関数を使用して、データを解析した。繰り返し実験から、平均値を各サンプルについて計算した。平均値を一元配置分散分析検定において使用した。P < 0.05の有意なF値が得られた場合、対照群分析に対するDunnettの多重比較を行った。
【0136】
(表2)第1サンプルセットの採取現場および採取時間
【0137】
(表3)サンプルSS97中の対応の分子イオンの存在についての質量分析データをモニターすることによって調べられた合成グルココルチコイド
【0138】
(表4)
図1D中のクロマトグラフィーピーク1〜3の質量スペクトルの最も近いEIMSライブラリーマッチ
【0139】
表5A〜5Bは、GFP-GRおよびGFP-AR移行効率について試験したさらなるサンプルについての情報を含有する。
【0140】
(表5A)水サンプルの採取の地理的位置、時間および方法
【0141】
(表5B)GFP-GRおよびGFP-AR移行アッセイにおけるサンプルの活性(P<0.01およびP<0.05、アスタリスク)
【0142】
結果および議論
累積データは、生物学的に関連する濃度でのグルココルチコイド(GC)による認識されておらずかつ潜在的に広範囲の汚染を示唆している。この可能性を直接検査するために、異なる場所から採取した10個の水サンプル(
図2Aおよび表2)を、GFP-GR移行アッセイを使用してGC活性について試験した。これらのサンプルのうちの1つ(SS97)中のGC活性の存在が、30分以内の核中のGFP-GRの蓄積によって明らかとなった(
図1C、画像)。さらに、このサンプルは、陽性対照、コルチコステロン(100 nMの生理学的に関連する用量で)よりも有意に高いレベルへの、GR調節遺伝子、Per1の新生転写物の増加によって測定されたように転写活性を誘導した(
図1C、グラフ)。
【0143】
サンプルSS97中の活性成分を決定しようとして、公知のコルチコステロイド(デキサメタゾンおよびコルチコステロン)を、高速液体クロマトグラフィー/質量分析(HPLC/MS)分析によって試験し、公表されている技術(Chang et al., Environ. Sci. Technol. 43, 7691-7698, 2009)を使用してC18 HPLCカラムにおけるクロマトグラフィー保持時間を確立した。さらに、対応の分子イオンの存在についての質量分析データをモニターすることによって、20個の他の合成GCを調べた(表3)。これらのアッセイ条件下で、サンプルSS97は、試験したいずれの公知の化合物の証拠も示さなかった。次に、サンプルSS97を、HPLC分画続いて生物学的試験へ供した。11個のHPLCフラクションのうち4個が核移行アッセイにおいて活性を示した(
図2C)。また、これらのフラクションを超高速液体クロマトグラフィー/質量分析(UPLC/MS)によって試験した場合、公知のGC化合物は検出されなかった。活性フラクションをさらにガスクロマトグラフィー/MS(GC/MS)(Mansilha et al., J Chromatogr. A 1217(43):6681-6691, 2010)によって分析し、揮発性成分と組成が類似しているようであった。GC/MS分析から抽出した質量スペクトルを、NIST/EPA/NIH Mass Spectral Library 1998およびWiley Mass Spectra Database of Androgens, Estrogens, and other Steroids 2010 (AES 2010)の両方において検索し、ピークのいずれについても確実性の高いヒットは得られなかった。
【0144】
クロマトグラフィーピーク1〜3(
図1D)の質量スペクトルとAES 2010データベースからの標準スペクトルとの目視比較(
図3)は、公知のアンドロスタン型化合物との類似性を示唆している(
図1D、表4)。これらの化合物のうちの1つ、アンドロスタ-4-エン-3,6-ジオン(ピーク2)を合成し(Hunter & Priest, Steroids 71, 30, 2006)、さらに生物活性について試験した。アンドロスタ-4-エン-3,6-ジオンはGFP-GR移行を誘導しなかった(データを示さず)が、GFP-AR発現細胞系3108(Klokk et al., Mol. Cell Biol. 27:1823-1843, 2007)を使用してGFPタグ化アンドロゲン受容体(GFP-AR)移行を誘導した(
図1E)。これらのデータは、GCに加えて、サンプルSS97はまたアンドロゲン活性を含有することを示唆している。
【0145】
アンドロゲンは、もともとのタンパク同化ステロイドであり、雌性ホルモンである全てのエストロゲンの前駆体である。アンドロゲン受容体(AR)へのそれらの結合によって、それらは、脊椎動物における雄性特徴の発現および維持を制御する(Gottlieb et al., Reprod. Biomed. Online. 10:42-48, 2005)。GRと同様に、ARは、そのリガンドの不在下において大部分は細胞質性であり、テストステロンに応答して核へ迅速に移行する(Klokk et al., Mol. Cell Biol. 27: 1823-1843, 2007)(
図1E)。
【0146】
本発明者らは、環境的分解および代謝プロセスが水サンプル中のグルココルチコイドの構造を変化させ、既存のデータベース中に含まれない生物活性な化学構造が生じると結論付ける。水生微生物によるホルモン性ステロイドの迅速な変換が以前報告された(Yin et al., Environ. Int. 28:545-551, 2002)。本発明者らまた、伝統的な化学分析とは対照的に、本明細書に記載の移行アッセイは、より速く、より安価であり、かつ、化学的方法によっては容易に識別することができない生物学的に関連するホルモン活性をさらに検出すると結論付ける。移行アッセイは、EDCの検出についての先入観のない「非候補物」アプローチを可能にし、新規の生物活性リガンドの発見において「法化学」および分画法と強く結びつけて使用され得る。
【0147】
次に、サーチを、グルココルチコイド活性およびアンドロゲン活性の両方について、米国の14州にわたる水源からの100個の追加のサンプル(表5A)に対するスクリーンへ拡大した。このスクリーニングを達成するために、GFP-GR-およびGFP-AR-発現細胞系(Walker et al., Methods (Comp. to Meth. Enzym.) 19:386-393, 1999; Klokk et al., Mol. Cell Biol. 27: 1823-1843, 2007)を、自動イメージング分析システム(Perkin Elmer Opera Image Screening System)において実施し、細胞質および核セグメンテーションについてのアルゴリズムを使用して移行効率を計算した(
図4Aおよび4B)。自動アッセイの感度および再現性を試験するために、既知の濃度のそれぞれのホルモンに応答しての移行効率を測定した。GFP-GRは、齧歯動物、ヒト、ならびに合成ホルモン(それぞれ、コルチコステロン、ヒドロコルチゾン、およびデキサメタゾン)に応答して濃度依存性様式で核へ移行した(
図5A)。GFPタグ化ARも、テストステロンならびに合成したアンドロスタ-4-エン-3,6-ジオンに応答して濃度依存性様式で核へ移行した(
図5Bおよび5C)。移行アッセイの感度を確信して、さらなる水サンプルを2つのプレートへ分割した後に試験した:プレート1[P1、(
図4D、4E)]およびプレート2[P2、(
図6および6)]。グルココルチコイド活性は、ハイスループットスクリーニングへ供された105個のサンプル(表5Aおよび5B)のうち28%超において(
図4Dおよび
図6)、アンドロゲン活性は37%において(
図4Eおよび
図7)明らかであった。10個のサンプル(表2)の最初の手動スクリーンから得られた結果と組み合わせた場合、グルココルチコイドおよびアンドロゲン活性は同一の範囲内のままであった(それぞれ、27%および35%)。これらの結果は、グルココルチコイド活性およびアンドロゲン活性の両方での14の異なる州からの米国水源の広範囲の汚染を明白に実証している(
図3、表5Aおよび5B)。
【0148】
試験したサンプルを数年の期間にわたって採取したことを考慮して(表2および5A)、本発明者らは、観察された汚染が長期間持続するかどうかを測定しようとした。以前確認された汚染された現場のうちの2ヵ所(SS97およびGL2W)を再び訪れ、新しいグラブ水サンプルを採取した。
図4AおよびB(ならびに
図S6、S7、S8、S9)に示されるように、新たに採取したサンプルは両方とも、濃度依存性様式でGFP-GRおよびGFP-AR核移行を誘導し、このことはこれらの現場での高くかつ持続的な水質汚染を示唆している。両方の場所からの10倍濃縮サンプルは、GRおよびAR移行アッセイにおいて活性であり、転写活性を誘導した。さらに、1x濃度で、サンプルSS97は、有意なGFP-GR移行(
図9A-挿入図)およびGR応答性遺伝子からの遺伝子転写の活性化(
図9E)を誘導した。これらの結果は、場所SS97での水が、長期間持続する生物学的に関連するグルココルチコイド活性を有することを示している。
【0149】
興味深いことには、100x濃度のサンプルSS97(
図9F)およびGL2W(
図13C)は、AR調節遺伝子から遺伝子転写を誘導することにおいて、より低い用量よりも効力が低かった。これは、低用量のEDCの効果が高用量で観察される効果によって予測できない非単調用量応答の周知の現象の例であり得る(doi:10.1210/er.2011-1050として2012年3月14日に印刷前に電子出版された、Vandenberg et al., Endocr. Rev.)。これらの結果は、EDCの生物学的影響についての読み出しとして遺伝子転写分析を使用する場合、濃度の範囲の効果を検査することの重要性を強調している。しかし、阻害性成分または抗エストロゲンの存在は除外することができず、さらなる調査を必要とし得る。対照的に、GFP-GRおよびGFP-AR移行アッセイは、100x用量を含むより広い範囲の濃度へ適用可能である。従って、本明細書に記載の移行アッセイは、他の検出方法によって観察される非単調用量応答効果を大部分が有さず、このためそれはハイスループットスクリーニングに適している。
【0150】
概要
結論として、GFPタグ化核内受容体構築物を発現する哺乳動物細胞系を、水源中の生物活性グルココルチコイドおよびアンドロゲンの検出のための自動の、高度に再現性のある、かつ低コストのアッセイに利用した。転写活性化についての研究と組み合わせた、このハイスループットスクリーニングを使用して、グルココルチコイドおよびアンドロゲン活性が米国の14州のうち8州の水源において発見された。両方の種類のステロイドでの広範囲にわたる汚染のこのレベルは、水界生態系にとって健康被害の可能性があるだけでなく、ヒト集団にも悪影響を及ぼす可能性がある。多くの潜在的な内分泌かく乱物質に関しての大部分は無制限の人間活動は、関心事であり、これらの広範囲の汚染についての主な理由の1つを示す。多くの潜在的な内分泌かく乱物質に関しての大部分は無制限の人間活動および環境中のそれらの検出についての限られた方法(Roy & Pereira, Indian J Exp. Biol 43:975-992, 2005)を考慮して、EDCスクリーニングについてのよりよいアッセイの差し迫った必要性がある。本明細書において議論される結果は、グルココルチコイドおよびアンドロゲン活性での水源の汚染の蔓延を強調するだけでなく、水質をモニターするための新規のアプローチを紹介する。このアプローチは、他の核内受容体へ容易に拡張することができ、環境中の様々な種類のEDCの検出に適用することができる。
【0151】
実施例2
さらなる追跡可能な融合タンパク質
この実施例は、本明細書に記載の方法およびキットにおいて使用することができるさらなる追跡可能な融合タンパク質を提供する。
【0152】
実施例1において用いたものと本質的に同様の分子クローニング法を使用して、以下のさらなる追跡可能な融合タンパク質を構築した:アリール炭化水素(例えば、ダイオキシン)感受性融合タンパク質、pRevTRE-GFP-mAhR(SEQ ID NO: 9/10);ミネラルコルチコイド(例えば、アルドステロン)感受性融合タンパク質、eGFP-ratMR(SEQ ID NO: 11/12);およびプロゲスチン感受性融合タンパク質、eGFP-hPRB(SEQ ID NO: 13/14)。3つのタンパク質を全て哺乳動物細胞中で発現させ、これらは、実施例1に記載のものなどの対応のリガンド(ダイオキシン、アルドステロン、およびプロゲステロン−実施例3を参照のこと)に応答して、予想された移行を示した。
【0153】
実施例3
GFP-PR-B構築物発現細胞系クローンにおける移行
この実施例は、規定量のプロゲステロンへの曝露の際の、追跡可能な融合タンパク質GFP-PR-Bを発現する4つのクローン系の移行応答を示す。
【0154】
同一の追跡可能な融合タンパク質、GFP-PR-B(eGFP-hPRB;SEQ ID NO: 14)を発現する5つの哺乳動物クローン系を、記載のレベルのプロゲステロンと接触させ、次いで、細胞質から核中への融合タンパク質の移行について、本質的に実施例1におけるようにアッセイした。試験した5つのクローンのうちの4つ(クローン8122、8124、8127、8130)が、プロゲステロンに応答して移行について陽性であった。
【0155】
開示される本発明の原理が適用され得る多くの可能性のある態様を考慮して、示される態様は本発明の好ましい例にすぎず、本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではないことが、認識されるべきである。むしろ、本発明の範囲は以下の特許請求の範囲によって規定される。従って、本発明者らは、この特許請求の範囲の範囲および精神内にある全てを本発明者らの発明として特許請求する。