【課題を解決するための手段】
【0008】
従って、ビニル芳香族のポリマー及びさらにビニル芳香族−ジエンブロックコポリマーの製造について、新規かつ改善された方法を見出した。
【0009】
本発明は、アニオン重合によるビニル芳香族ホモポリマー及びさらにビニル芳香族−ジエンブロックコポリマーの製造方法であって、ビニル芳香族の重合が、不活性溶媒中に溶解されたn−アルキルリチウムとジエンとを1:1〜1:50のモル比にて−20〜100℃の温度で反応させることによって得ることができる修飾n−アルキルリチウム開始剤を使用することを特徴とする製造方法を提供する。
【0010】
本発明における修飾アルキルリチウム開始剤という表現は、分子中へ重合されたジエンのモノマー単位を、一般に1〜50個、好ましくは1〜20個、特に1〜10個、特に好ましくは1〜5個、非常に特に好ましくは1〜3個含むアルキルリチウム開始剤を意味する。
【0011】
以下のジエンが、本発明において使用される修飾アルキルリチウム開始剤の製造に適している:1,3−ジエン、好ましくは1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチルブタジエン、及び/又は1,3−ペンタジエン、特に好ましくは1,3−ブタジエン。C
1−C
22−アルキルリチウム、好ましくはC
4−C
8−アルキルリチウム、特に好ましくはn−ブチルリチウムが、n−アルキルリチウムとして適切である。
【0012】
ジエンとn−アルキルリチウムとの反応は、好ましくは不活性溶媒の存在下で行うことができる。
【0013】
ジエンとn−アルキルリチウムとの反応は、いかなる活性化剤も添加せずに行うことができる。これに関連して、活性化剤という用語は、極性非プロトン性化合物、例えば、エーテル(例えばTHF)又は第三級アミン(例えば、トリブチルアミン、ピリジン)を意味する。
【0014】
n−アルキルリチウムは、不活性溶媒中non−アルキルリチウムの溶液の形態で使用され、溶液の通常の濃度は、0.1〜20質量%、好ましくは1〜15質量%、特に好ましくは5〜13質量%である。例として、市販non−ブチルリチウム溶液は、一般に、12質量%溶液の形態をとる。
【0015】
本発明の方法において使用される修飾アルキルリチウム開始剤の製造について、初充填として、場合によりさらなる不活性溶媒を添加して、n−アルキルリチウム溶液を使用し、次いで、場合により不活性溶媒を添加して、−20〜100℃、好ましくは20〜80℃、特に好ましくは35〜75℃、特に50〜75℃の温度で、0.5〜100bar、好ましくは1〜10bar、特に好ましくは2〜5barの圧力で、ジエンを添加することが有利である。
【0016】
反応は、一般に不活性ガス下で行われる。高速スターラー、例えばプロペラスターラーを使用することによって、反応混合物の迅速な混合を提供することがさらに有利である。同様に適切である装置は、ミキシングチャンバーであり、これは可動部を有さず、これによって混合物が連続的に流動し、ここで、2つの反応成分が、迅速な乱流混合をもたらす様式でチャンバ―中へ圧力下で注入される。
【0017】
適切な不活性溶媒の例は、脂肪族及び/又は芳香族炭化水素、例えばC
5−〜C
20−アルカン、例えば、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、オクタン若しくはイソオクタン、C
4−〜C
20−シクロアルカン、例えば、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、メチルシクロヘキサン、及びデカリン、芳香族及びアルキル芳香族、例えば、ベンゼン、トルエン、オルト−、メタ−及びパラ−キシレン、エチルベンゼン、n−及びイソプロピルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、ナフタレン、メチルナフタレン、及びテトラリン、並びにさらにこれらの混合物である。シクロヘキサン又はシクロヘキサン及びn−ヘキサンの混合物の使用が好ましい。さらに、<4℃の融点を有する不活性溶媒とシクロヘキサンとの混合物が好ましい。
【0018】
n−アルキルリチウム溶液のために及びそのさらなる希釈のために、又はジエンの希釈のために使用される不活性溶媒は、同一であっても異なっていてもよく、好ましくは同一である。
【0019】
反応を不活性ガス下で行うことが好ましい。適切な不活性ガスは、窒素、希ガス、例えば、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、又は炭化水素、例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、又は水素、好ましくは窒素又はアルゴン、特に好ましくは窒素である。
【0020】
不活性溶媒対n−アルキルリチウム溶液の体積比は、一般に、0:1〜10:1、好ましくは0.1:1〜8:1、特に好ましくは0.5:1〜2:1、特に1:1である。
【0021】
不活性溶媒対ジエンの体積比は、一般に、0:1〜10:1、好ましくは0.1:1〜8:1、特に好ましくは0.5:1〜2:1、特に1:1である。
【0022】
上述した通常のn−アルキルリチウム溶液へ追加の不活性溶媒を添加しないことが好ましい。
【0023】
追加の不活性溶媒を添加しない場合、不活性溶媒対ジエンの体積比は、一般に0.5:1〜2:1、好ましくは0.7:1〜1.5:1、特に好ましくは1:1である。
【0024】
n−アルキルリチウム対ジエンのモル比は、一般に1:1〜1:50、好ましくは1:1〜1:20、好ましくは1:1〜1:10、特に好ましくは1:1.2〜1:5、非常に特に好ましくは1:1.5〜1:3である。
【0025】
本発明の方法において使用される、上述したように得ることができる修飾アルキルリチウム開始剤は、本質的に単量体ジエンを含まないべきであり、即ち、開始剤に関して単量体ジエンの濃度は、一般に0〜1000ppm、好ましくは0〜100ppm、特に好ましくは0〜10ppmである。
【0026】
得られた修飾アルキルリチウム開始剤は、場合により不活性ガス下で中間貯蔵することができ、又は本発明の方法のために直接使用することができる。貯蔵のために、開始剤は、例として、製造後、熱交換器を通過させることによって、好ましくは60℃未満である温度へ冷却される。
【0027】
ビニル芳香族モノマーのアニオン単独−又は共重合は公知である(K. Knoll in Kunststoffhandbuch Polystyrol [Plastics Handbook Polystyrene]: volume 4, Gausepohl and Gellert, eds., Hanser Verlag, 1996, pp. 145-160を参照のこと)。逐次アニオン重合によるビニル芳香族単位及びジエンモノマー単位に基づくブロックコポリマーの製造が同様に公知である(同書pp. 161-164)。上述の方法は、参照により本明細書に明示的に組み入れられる。
【0028】
本発明の方法において、修飾アルキルリチウム開始剤を、不活性溶媒、例えば、好ましくはシクロヘキサン中において、ビニル芳香族、例えば、好ましくはスチレンと、0〜120℃、好ましくは20〜100℃、特に好ましくは30〜90℃、特に35〜80℃の温度にて、0.3〜25bar、好ましくは0.5〜5bar、特に好ましくは0.5〜2barの圧力で、反応させる。
【0029】
適切なビニル芳香族は、スチレン、α−メチルスチレン、o−、m−、p−置換アルキルスチレン、ビニルナフタレン及び/又は1,1−ジフェニルエチレン、好ましくはスチレン、α−メチルスチレン、o−、m−、p−置換アルキルスチレン、例えば、o−、m−及び/又はp−メチルスチレン、特に好ましくはスチレンである。本発明の方法は、1つのビニル芳香族又は複数の異なるビニル芳香族を使用することができる。
【0030】
ある好ましい実施態様において、修飾アルキルリチウム開始剤を、上述の条件下で、シクロヘキサンなどの不活性溶媒と好ましくはスチレンなどのビニル芳香族との混合物へ添加することが可能である。ここで別の可能性において、修飾アルキルリチウム開始剤を、その製造直後に、それがまだ暖かいか又は熱い間に、添加する。
【0031】
本発明の方法は、リビングである、即ち、さらなる重合に従順である、即ち、活性かつ従って反応性であり、例として、続いての重合工程において、ジエン又はスチレンなどのビニル芳香族とジエンとの混合物と反応させることができる、ビニル芳香族の狭い分布の線形ポリマー鎖を与えることができる。
【0032】
逐次アニオン重合は、ビニル芳香族及びジエンのブロック重合の形態をとることが好ましい。
【0033】
ブロック重合反応に適したジエンは、1,3−ジエン、好ましくは1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチルブタジエン、及び/又は1,3−ペンタジエン、特に好ましくは1,3−ブタジエン及びイソプレン、非常に特に好ましくは1,3−ブタジエンである。本発明の方法は、1つのジエン又は複数の異なるジエンを使用することができる。
【0034】
逐次アニオン重合反応は、スチレン及び1,3−ブタジエンのブロック重合の形態をとることが好ましい。
【0035】
いかなるランダマイザーも添加しない、リビングポリマー鎖へのビニル芳香族及びジエンの混合物の添加は、その後のビニル芳香族ブロックへの不鮮明な移行を伴うジエンブロックを与える。使用することができるランダマイザーの例は、THF及びカリウムアルコラート(例えば、カリウムtert−アミルアルコラート)である。
【0036】
ビニル芳香族及びジエンの混合物をリビングポリマー鎖へ添加する場合、ランダマイザーの添加はランダムビニル芳香族/ジエンブロックを与えることができる。カリウムアルコラートタイプのランダマイザーを本発明の方法において使用する場合、適切なカリウム対リチウム比は、好ましくは1:30〜1:40、特に好ましくは1:37の範囲内である。
【0037】
ブロックの数、長さ、順序、及び組成は、希望通りに選択することができる。
【0038】
本発明の方法は、少なくとも1つの外部ビニル芳香族ブロックを有するビニル芳香族−ジエンブロックコポリマーの製造に特に適している。
【0039】
重合反応の終了時に、プロトン供与体、例えば、アルコール、好ましくはイソプロパノール、又は水を添加し、ポリマー鎖をプロトン化し、従って不活性化することができ、又は、二官能性若しくはオリゴ官能性カップリング剤を添加し、二重モル質量の対称線形ポリマー又はスターポリマーを得ることができる。別の変形において、1つ又はそれ以上の重合工程後に、モノマーが続く修飾アルキルリチウム開始剤の1つ又はそれ以上のさらなる添加を行うことが可能であり、このようにして、バイ−又はオリゴモーダルモル質量分布が得られる。オリゴ官能性カップリング剤をリビングポリマー鎖と混合する場合、非対称スターポリマーが得られる。
【0040】
修飾アルキルリチウム開始剤は、例として60℃で安定であり、その後の使用のために不活性ガス下で溶液の形態で貯蔵することもできる。
【0041】
本発明において使用される開始剤の助けを借りて製造されたビニル芳香族ホモ−及びブロックコポリマーは、一般に透明であり、それらの組成によって決定されるように、エラストマーとして振る舞うことができ、又は強靭かつリジッドな材料の機械的性質を有することができる。
【0042】
本発明はさらに、分子中へ重合されたジエンのモノマー単位を、1〜50個、好ましくは1〜20個、特に1〜10個、特に好ましくは1〜5個、非常に特に好ましくは1〜3個含む修飾n−アルキルリチウムの、ビニル芳香族のアニオン重合についての開始剤としての使用を提供する。