特許第6388577号(P6388577)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6388577ビニル芳香族のポリマー並びにビニル芳香族−ジエンブロックコポリマーの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6388577
(24)【登録日】2018年8月24日
(45)【発行日】2018年9月12日
(54)【発明の名称】ビニル芳香族のポリマー並びにビニル芳香族−ジエンブロックコポリマーの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 297/04 20060101AFI20180903BHJP
   C08F 212/02 20060101ALI20180903BHJP
   C08F 4/48 20060101ALI20180903BHJP
【FI】
   C08F297/04
   C08F212/02
   C08F4/48
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-519014(P2015-519014)
(86)(22)【出願日】2013年6月24日
(65)【公表番号】特表2015-521681(P2015-521681A)
(43)【公表日】2015年7月30日
(86)【国際出願番号】EP2013063097
(87)【国際公開番号】WO2014001234
(87)【国際公開日】20140103
【審査請求日】2016年3月30日
(31)【優先権主張番号】12173528.6
(32)【優先日】2012年6月26日
(33)【優先権主張国】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】515000100
【氏名又は名称】イネオス・スタイロリューション・ヨーロッパ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】コンラート・クノール
(72)【発明者】
【氏名】ウルリーケ・ダーディン
【審査官】 大久保 智之
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭46−000542(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F297
C08F4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アニオン重合によるビニル芳香族ブロックコポリマーの製造方法であって、ビニル芳香族の重合が、不活性溶媒中に溶解されたn−アルキルリチウムと1,3−ジエンとを1:1〜1:10のモル比にて35〜100℃の温度で反応させることによって得ることができる修飾n−アルキルリチウム開始剤を使用し、ここで、アニオン重合をビニル芳香族及びジエンのブロック重合として逐次的に行い、ここで、続いての重合工程が、ジエン又はビニル芳香族とジエンとの混合物の反応を含むことを特徴とする製造方法。
【請求項2】
分子中へ重合されたジエンのモノマー単位を1〜5個含む、修飾n−アルキルリチウム開始剤を使用することを特徴とする、請求項1に記載のビニル芳香族ブロックコポリマーの製造方法。
【請求項3】
分子中へ重合されたジエンのモノマー単位を1〜3個含む、修飾n−アルキルリチウム開始剤を使用することを特徴とする、請求項1に記載のビニル芳香族ブロックコポリマーの製造方法。
【請求項4】
修飾n−ブチルリチウム開始剤を使用することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
スチレンをビニル芳香族として使用し、1,3−ブタジエンをジエンとして使用することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
不活性溶媒中に溶解されたn−アルキルリチウムと1,3−ジエンとを1:1〜1:10のモル比にて35〜100℃の温度で反応させることによって得ることができる修飾n−アルキルリチウムの、ビニル芳香族のアニオン重合についての開始剤としての使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、修飾n−アルキルリチウム開始剤の助けを借りての、ビニル芳香族のポリマー及びさらにビニル芳香族−ジエンブロックコポリマーの製造方法、並びにアニオン重合反応についての開始剤としてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ビニル芳香族(例えばスチレン)及びジエン(例えばブタジエン)のブロックコポリマーは、直列に互いへ連結された又は任意の他の様式で連結された、複数のポリマー分子領域(ブロックとして公知)から作製されたコポリマーであり、ここで、ブロックはそれら自体内で比較的均一の構造を有する。ジエンモノマーの構造及び含有量に従って、それらは、−任意の特定の温度で−、全体としてエラストマーである特性プロフィール、又は全体としてリジッドでありかつ非エラストマーである特性プロフィールを有することができ、即ち、それらは、ポリジエンのそれと同様の様式で、それらの外的環境に関して全体としてエラストマー挙動を示し、例として、熱可塑性エラストマーとして公知であるものとして重要であり、又は、それらは、透明で強靭かつリジッドなスチレンポリマーのように振る舞う。従来の用語は、耐衝撃性改質ポリスチレンについて使用される用語を参照して、エラストマー挙動を決定する分子部分についての軟質相という用語、及びリジッドな分子部分(ポリスチレンのみからなるフラクション)についての硬質相という用語を使用する。これとは対照的に、SBゴムとして公知の、完全にランダム構造のスチレン−ジエンコポリマーは、熱可塑性物質のように処理することができず、しかし代わりに、使用前に従来のジエンポリマーのように加硫処理しなければならず、即ち、架橋しなければならず、これは、これらについての処理時間を大幅に増加させる。
【0003】
特許文献1は、比較的低い反応性を有する、第1級アルキルリチウム開始剤、具体的にはn−BuLi(n−ブチルリチウム)が、1,1−ジアルキル−エチレン促進剤、例えば、2−メチル−1−ペンテン又はイソブテンを使用しての、シクロヘキサン中におけるモノビニル芳香族化合物、例えばスチレンのアニオン重合についての活性化を必要とすることを開示している。この文献には、活性化剤なしでのn−BuLi開始スチレン重合において生じるタイプのブロードなモル比分布は、不十分な機械的性質をもたらすことも記載されている。この方法の欠点は、比較的多量の活性化剤が必要とされることにあり、これらについての一般に用いられる範囲はアルキルリチウムの質量の150〜1000倍と記載されている。溶媒、通常はシクロヘキサンの回収及び蒸留精製間に、それは除去されなければならない。別の深刻な欠点は、低沸点のために、それが個々の重合工程間の従来の蒸発冷却を妨害することである。
【0004】
特許文献2は、少量のTHF[=テトラヒドロフラン](0.01〜1質量%)の存在下でnon−ブチルリチウムを用いての開始による、好ましくは、スチレン及びブタジエンの逐次アニオン重合を開示している。この方法の欠点は、その後のブタジエン重合の間の少なくとも3〜5%の1,2−結合の数の著しい増加であり、これは、より高いガラス転移温度、即ち、より不十分なエラストマー特性、並びに増加した酸化−及び架橋−感受性をもたらす。
【0005】
特許文献3は、シクロヘキサン中における開始剤としてのsec−ブチルリチウムを用いる熱可塑性エラストマーの製造を開示している。これらの条件下でのスチレン重合は、所望の機械的に有利な狭い分布のリビングポリマーを与え、しかし、sec−ブチルリチウムはn−BuLiよりも高価であり、特に室温での貯蔵時に安定でない。自然発火性水素化リチウムスラリーが、ブテンの遊離を伴って、形成され、空気に触れると自然発火する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】US−A 3,992,483
【特許文献2】EP−A 242 612
【特許文献3】WO−A−95/35335
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は上述の欠点を排除することであった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
従って、ビニル芳香族のポリマー及びさらにビニル芳香族−ジエンブロックコポリマーの製造について、新規かつ改善された方法を見出した。
【0009】
本発明は、アニオン重合によるビニル芳香族ホモポリマー及びさらにビニル芳香族−ジエンブロックコポリマーの製造方法であって、ビニル芳香族の重合が、不活性溶媒中に溶解されたn−アルキルリチウムとジエンとを1:1〜1:50のモル比にて−20〜100℃の温度で反応させることによって得ることができる修飾n−アルキルリチウム開始剤を使用することを特徴とする製造方法を提供する。
【0010】
本発明における修飾アルキルリチウム開始剤という表現は、分子中へ重合されたジエンのモノマー単位を、一般に1〜50個、好ましくは1〜20個、特に1〜10個、特に好ましくは1〜5個、非常に特に好ましくは1〜3個含むアルキルリチウム開始剤を意味する。
【0011】
以下のジエンが、本発明において使用される修飾アルキルリチウム開始剤の製造に適している:1,3−ジエン、好ましくは1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチルブタジエン、及び/又は1,3−ペンタジエン、特に好ましくは1,3−ブタジエン。C1−C22−アルキルリチウム、好ましくはC4−C8−アルキルリチウム、特に好ましくはn−ブチルリチウムが、n−アルキルリチウムとして適切である。
【0012】
ジエンとn−アルキルリチウムとの反応は、好ましくは不活性溶媒の存在下で行うことができる。
【0013】
ジエンとn−アルキルリチウムとの反応は、いかなる活性化剤も添加せずに行うことができる。これに関連して、活性化剤という用語は、極性非プロトン性化合物、例えば、エーテル(例えばTHF)又は第三級アミン(例えば、トリブチルアミン、ピリジン)を意味する。
【0014】
n−アルキルリチウムは、不活性溶媒中non−アルキルリチウムの溶液の形態で使用され、溶液の通常の濃度は、0.1〜20質量%、好ましくは1〜15質量%、特に好ましくは5〜13質量%である。例として、市販non−ブチルリチウム溶液は、一般に、12質量%溶液の形態をとる。
【0015】
本発明の方法において使用される修飾アルキルリチウム開始剤の製造について、初充填として、場合によりさらなる不活性溶媒を添加して、n−アルキルリチウム溶液を使用し、次いで、場合により不活性溶媒を添加して、−20〜100℃、好ましくは20〜80℃、特に好ましくは35〜75℃、特に50〜75℃の温度で、0.5〜100bar、好ましくは1〜10bar、特に好ましくは2〜5barの圧力で、ジエンを添加することが有利である。
【0016】
反応は、一般に不活性ガス下で行われる。高速スターラー、例えばプロペラスターラーを使用することによって、反応混合物の迅速な混合を提供することがさらに有利である。同様に適切である装置は、ミキシングチャンバーであり、これは可動部を有さず、これによって混合物が連続的に流動し、ここで、2つの反応成分が、迅速な乱流混合をもたらす様式でチャンバ―中へ圧力下で注入される。
【0017】
適切な不活性溶媒の例は、脂肪族及び/又は芳香族炭化水素、例えばC5−〜C20−アルカン、例えば、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、オクタン若しくはイソオクタン、C4−〜C20−シクロアルカン、例えば、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、メチルシクロヘキサン、及びデカリン、芳香族及びアルキル芳香族、例えば、ベンゼン、トルエン、オルト−、メタ−及びパラ−キシレン、エチルベンゼン、n−及びイソプロピルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、ナフタレン、メチルナフタレン、及びテトラリン、並びにさらにこれらの混合物である。シクロヘキサン又はシクロヘキサン及びn−ヘキサンの混合物の使用が好ましい。さらに、<4℃の融点を有する不活性溶媒とシクロヘキサンとの混合物が好ましい。
【0018】
n−アルキルリチウム溶液のために及びそのさらなる希釈のために、又はジエンの希釈のために使用される不活性溶媒は、同一であっても異なっていてもよく、好ましくは同一である。
【0019】
反応を不活性ガス下で行うことが好ましい。適切な不活性ガスは、窒素、希ガス、例えば、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、又は炭化水素、例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、又は水素、好ましくは窒素又はアルゴン、特に好ましくは窒素である。
【0020】
不活性溶媒対n−アルキルリチウム溶液の体積比は、一般に、0:1〜10:1、好ましくは0.1:1〜8:1、特に好ましくは0.5:1〜2:1、特に1:1である。
【0021】
不活性溶媒対ジエンの体積比は、一般に、0:1〜10:1、好ましくは0.1:1〜8:1、特に好ましくは0.5:1〜2:1、特に1:1である。
【0022】
上述した通常のn−アルキルリチウム溶液へ追加の不活性溶媒を添加しないことが好ましい。
【0023】
追加の不活性溶媒を添加しない場合、不活性溶媒対ジエンの体積比は、一般に0.5:1〜2:1、好ましくは0.7:1〜1.5:1、特に好ましくは1:1である。
【0024】
n−アルキルリチウム対ジエンのモル比は、一般に1:1〜1:50、好ましくは1:1〜1:20、好ましくは1:1〜1:10、特に好ましくは1:1.2〜1:5、非常に特に好ましくは1:1.5〜1:3である。
【0025】
本発明の方法において使用される、上述したように得ることができる修飾アルキルリチウム開始剤は、本質的に単量体ジエンを含まないべきであり、即ち、開始剤に関して単量体ジエンの濃度は、一般に0〜1000ppm、好ましくは0〜100ppm、特に好ましくは0〜10ppmである。
【0026】
得られた修飾アルキルリチウム開始剤は、場合により不活性ガス下で中間貯蔵することができ、又は本発明の方法のために直接使用することができる。貯蔵のために、開始剤は、例として、製造後、熱交換器を通過させることによって、好ましくは60℃未満である温度へ冷却される。
【0027】
ビニル芳香族モノマーのアニオン単独−又は共重合は公知である(K. Knoll in Kunststoffhandbuch Polystyrol [Plastics Handbook Polystyrene]: volume 4, Gausepohl and Gellert, eds., Hanser Verlag, 1996, pp. 145-160を参照のこと)。逐次アニオン重合によるビニル芳香族単位及びジエンモノマー単位に基づくブロックコポリマーの製造が同様に公知である(同書pp. 161-164)。上述の方法は、参照により本明細書に明示的に組み入れられる。
【0028】
本発明の方法において、修飾アルキルリチウム開始剤を、不活性溶媒、例えば、好ましくはシクロヘキサン中において、ビニル芳香族、例えば、好ましくはスチレンと、0〜120℃、好ましくは20〜100℃、特に好ましくは30〜90℃、特に35〜80℃の温度にて、0.3〜25bar、好ましくは0.5〜5bar、特に好ましくは0.5〜2barの圧力で、反応させる。
【0029】
適切なビニル芳香族は、スチレン、α−メチルスチレン、o−、m−、p−置換アルキルスチレン、ビニルナフタレン及び/又は1,1−ジフェニルエチレン、好ましくはスチレン、α−メチルスチレン、o−、m−、p−置換アルキルスチレン、例えば、o−、m−及び/又はp−メチルスチレン、特に好ましくはスチレンである。本発明の方法は、1つのビニル芳香族又は複数の異なるビニル芳香族を使用することができる。
【0030】
ある好ましい実施態様において、修飾アルキルリチウム開始剤を、上述の条件下で、シクロヘキサンなどの不活性溶媒と好ましくはスチレンなどのビニル芳香族との混合物へ添加することが可能である。ここで別の可能性において、修飾アルキルリチウム開始剤を、その製造直後に、それがまだ暖かいか又は熱い間に、添加する。
【0031】
本発明の方法は、リビングである、即ち、さらなる重合に従順である、即ち、活性かつ従って反応性であり、例として、続いての重合工程において、ジエン又はスチレンなどのビニル芳香族とジエンとの混合物と反応させることができる、ビニル芳香族の狭い分布の線形ポリマー鎖を与えることができる。
【0032】
逐次アニオン重合は、ビニル芳香族及びジエンのブロック重合の形態をとることが好ましい。
【0033】
ブロック重合反応に適したジエンは、1,3−ジエン、好ましくは1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチルブタジエン、及び/又は1,3−ペンタジエン、特に好ましくは1,3−ブタジエン及びイソプレン、非常に特に好ましくは1,3−ブタジエンである。本発明の方法は、1つのジエン又は複数の異なるジエンを使用することができる。
【0034】
逐次アニオン重合反応は、スチレン及び1,3−ブタジエンのブロック重合の形態をとることが好ましい。
【0035】
いかなるランダマイザーも添加しない、リビングポリマー鎖へのビニル芳香族及びジエンの混合物の添加は、その後のビニル芳香族ブロックへの不鮮明な移行を伴うジエンブロックを与える。使用することができるランダマイザーの例は、THF及びカリウムアルコラート(例えば、カリウムtert−アミルアルコラート)である。
【0036】
ビニル芳香族及びジエンの混合物をリビングポリマー鎖へ添加する場合、ランダマイザーの添加はランダムビニル芳香族/ジエンブロックを与えることができる。カリウムアルコラートタイプのランダマイザーを本発明の方法において使用する場合、適切なカリウム対リチウム比は、好ましくは1:30〜1:40、特に好ましくは1:37の範囲内である。
【0037】
ブロックの数、長さ、順序、及び組成は、希望通りに選択することができる。
【0038】
本発明の方法は、少なくとも1つの外部ビニル芳香族ブロックを有するビニル芳香族−ジエンブロックコポリマーの製造に特に適している。
【0039】
重合反応の終了時に、プロトン供与体、例えば、アルコール、好ましくはイソプロパノール、又は水を添加し、ポリマー鎖をプロトン化し、従って不活性化することができ、又は、二官能性若しくはオリゴ官能性カップリング剤を添加し、二重モル質量の対称線形ポリマー又はスターポリマーを得ることができる。別の変形において、1つ又はそれ以上の重合工程後に、モノマーが続く修飾アルキルリチウム開始剤の1つ又はそれ以上のさらなる添加を行うことが可能であり、このようにして、バイ−又はオリゴモーダルモル質量分布が得られる。オリゴ官能性カップリング剤をリビングポリマー鎖と混合する場合、非対称スターポリマーが得られる。
【0040】
修飾アルキルリチウム開始剤は、例として60℃で安定であり、その後の使用のために不活性ガス下で溶液の形態で貯蔵することもできる。
【0041】
本発明において使用される開始剤の助けを借りて製造されたビニル芳香族ホモ−及びブロックコポリマーは、一般に透明であり、それらの組成によって決定されるように、エラストマーとして振る舞うことができ、又は強靭かつリジッドな材料の機械的性質を有することができる。
【0042】
本発明はさらに、分子中へ重合されたジエンのモノマー単位を、1〜50個、好ましくは1〜20個、特に1〜10個、特に好ましくは1〜5個、非常に特に好ましくは1〜3個含む修飾n−アルキルリチウムの、ビニル芳香族のアニオン重合についての開始剤としての使用を提供する。
【実施例】
【0043】
実施例
使用した化学物質:
BASF SE製のスチレン
Chemetall製のシクロヘキサン/n−ヘキサン混合物中のn−ブチルリチウム(12質量%)
BASF SE製のブタジエン
【0044】
スチレンをスチレン工場のスチレン蒸留プロセスから得、さらなる精製なしに使用し、酸化アルミニウムカラムを使用してシクロヘキサンを室温で乾燥させ、酸化アルミニウムを−10℃で使用してブタジエンを乾燥させ、安定剤を除去した。
【0045】
ERC−RI−101屈折率検出器を使用して、DIN 55672に従って、GPC測定を行った。
【0046】
各々の実施例及び比較例について、同時加熱及び冷却が備えられかつクロスブレードスターラーが提供された、10 Lステンレススチールオートクレーブを、窒素でのフラッシング及びシクロヘキサン/sec−BuLiでの熱処理(scalding)によって準備した。
【0047】
次いで、シクロヘキサンを入れ、それぞれの実施例に記載の量の、開始剤及びモノマー、並びに場合によりさらなる溶媒を添加した。
【0048】
反応混合物の温度をリアクタージャケットの加熱又は冷却によって制御した。通常の方法をその後の後処理のために使用した。反応が終了した後、イソプロパノールを添加し、炭素イオンをプロトン化した。
【0049】
比較例1
n−BuLiを用いてのスチレン重合;スチレンポリマーの理論的数平均モル質量Mn=50000g/mol
シクロヘキサン4487mlを初充填として使用し、70℃へ加熱した。n−ブチルリチウム (1.6 M) 18.75mlを次いで添加した。スチレン1655mlを次いで30分にわたって添加した。完全な重合を与えるための30分間の連続反応時間後、活性鎖末端のプロトン性終了のためにイソプロパノール1.5mlを次いで添加した。
サンプルの固形分は30質量%であった。
【0050】
GPC測定によって以下のデータが得られた:
Mn (数平均):46898g/mol
MW (重量平均):57113g/mol
D (多分散度):1.22
Mp (ピーク最大値):70528g/mol
GPCプロットによって二峰性モル質量分布が明らかとなった。
【0051】
実施例1
修飾n−ブチルリチウム開始剤(活性化のためにブタジエン5当量と反応させたn−BuLi)を用いてのスチレン重合、スチレンポリマーの理論的数平均モル質量Mn=50000g/mol
シクロヘキサン1282mlを初充填として使用し、60℃へ加熱した。n−ブチルリチウム(1.6 M) 18.75ml及びブタジエン12.4ml (5当量)を次いで添加し;これらが反応において消費されるのに25分を与え、その後、シクロヘキサン3205mlをさらに添加し、反応温度を70℃へ速やかに上昇させた。スチレン1655mlを次いで30分間にわたって添加した。完全な重合を与えるための30分間の連続反応時間後、活性鎖末端のプロトン性終了のためにイソプロパノール1.5mlを次いで添加した。
サンプルの固形分は30質量%であった。
【0052】
GPC測定によって以下のデータが得られた:
Mn (数平均):44858g/mol
MW (重量平均):51535g/mol
D (多分散度):1.14
Mp (ピーク最大値):52442g/mol
GPCプロットによって単峰性分布が明らかとなった。
【0053】
比較例2
n−BuLiを用いてのスチレン重合;スチレンポリマーの理論的数平均モル質量Mn=10000g/mol
シクロヘキサン4487mlを初充填として使用し、35℃へ加熱した。n−ブチルリチウム (1.6 M) 93.8mlを次いで添加した。スチレン1655mlを次いで2分間にわたって添加し;反応が完了するまで、これを断熱状態で重合させた。最大温度は96℃であった。次いで、イソプロパノール1.5mlを活性鎖末端のプロトン性終了のために使用した。
サンプルの固形分は30質量%であった。
【0054】
GPC測定によって以下のデータが得られた:
Mn (数平均):11770g/mol
MW (重量平均):19956g/mol
D (多分散度):1.70
Mp (ピーク最大値):26740g/mol
【0055】
実施例2
修飾n−ブチルリチウム開始剤(活性化のためにブタジエン10当量と反応させたn−BuLi)を用いてのスチレン重合、スチレンポリマーの理論的数平均モル質量Mn=10000g/mol
シクロヘキサン1282mlを初充填として使用し、75℃へ加熱した。n−ブチルリチウム(1.6M) 93.8ml及びブタジエン25ml (10当量)を次いで2つの等しい部分に分けて添加し、第2部分は15分後に添加し;これが反応において消費されるのに約25分を与え、その後、シクロヘキサン3205mlをさらに添加し、反応温度を40℃へ速やかに低下させた。スチレン1655mlを次いで2分間にわたって添加し;反応が完了するまで、これを断熱状態で重合させた。最大温度は94℃であった。次いで、イソプロパノール1.5mlを活性鎖末端のプロトン性終了のために使用した。
サンプルの固形分は30質量%であった。
【0056】
GPC測定によって以下のデータが得られた:
Mn (数平均):10921g/mol
MW (重量平均):16808g/mol
D (多分散度):1.54
Mp (ピーク最大値):21188g/mol
【0057】
要約:結果(実施例1及び2)は、修飾n−ブチルリチウム開始剤を使用することによって得られたスチレンポリマーは、n−BuLiが先行技術におけるように使用される場合よりも、著しくより狭い分布を有することを示した。