特許第6388586号(P6388586)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6388586トレイシステム、およびカスタマイズされた情報シートを準備する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6388586
(24)【登録日】2018年8月24日
(45)【発行日】2018年9月12日
(54)【発明の名称】トレイシステム、およびカスタマイズされた情報シートを準備する方法
(51)【国際特許分類】
   A61C 19/02 20060101AFI20180903BHJP
   A61C 8/00 20060101ALI20180903BHJP
【FI】
   A61C19/02
   A61C8/00 Z
【請求項の数】12
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-526935(P2015-526935)
(86)(22)【出願日】2013年8月7日
(65)【公表番号】特表2015-529098(P2015-529098A)
(43)【公表日】2015年10月5日
(86)【国際出願番号】EP2013066585
(87)【国際公開番号】WO2014026898
(87)【国際公開日】20140220
【審査請求日】2016年6月21日
(31)【優先権主張番号】12180535.2
(32)【優先日】2012年8月15日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】61/692,786
(32)【優先日】2012年8月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512167079
【氏名又は名称】デンツプライ・アイエイチ・アクチエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】アンデルス・ヨハンソン
(72)【発明者】
【氏名】ヨハン・ベルゲリン
【審査官】 胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−526298(JP,A)
【文献】 国際公開第00/057810(WO,A1)
【文献】 米国特許第01451806(US,A)
【文献】 特開2010−063889(JP,A)
【文献】 米国特許第8336708(US,B2)
【文献】 米国特許第5525314(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0094249(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0130630(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 19/02
A61C 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インプラント構成要素、器具、および/または器具ホルダを保持するための保持構成(6)を有するベース(4)を有するトレイ(2)と、
両方とも前記トレイの前記ベース上に独立に着脱可能に配置されるように適合される少なくとも第1および第2の情報シート(3、3’、3’’)と
を含むトレイシステム(1)であって、
前記第1のシートは前記第2のシートに交換可能であり、その逆も可能であり、
前記第1のシート(3、3’)は、第1の分布を有する第1組の孔(7、7’)を含み、
前記第2のシート(3’’)は、第1の分布と比べて異なる第2の分布を有する第2組の孔(7’’)を含み、
前記第1のシート(3、3’)が前記トレイ(2)の前記ベース(4)上に配置されたとき、前記第1のシート内の前記第1組の孔(7、7’)のうちの各1つが、前記保持構成(6)のうちのそれぞれの1つと位置合わせされるように位置し、その結果、インプラント構成要素、器具、または器具ホルダが、前記第1組の孔(7、7’)のうちのそれぞれの1つを通して前記保持構成(6)のうちの1つの中に配置可能であり、
前記第2のシート(3’’)が前記トレイ(2)の前記ベース(4)上に配置されたとき、前記第2のシート(3’’)内の前記第2組の孔(7’’)の各1つが、前記保持構成(6)のうちのそれぞれの1つと位置合わせされるように位置し、その結果、インプラント構成要素、器具、または器具ホルダが、前記第2組の孔(7’’)のうちのそれぞれの1つを通して前記保持構成(6)のうちの1つの中に配置可能である、
前記トレイシステム(1)。
【請求項2】
前記第1のシート(3、3’)および前記第2のシート(3’’)のうちの少なくとも1つは、孔(7、7’、7’’)のうちの少なくとも1つの隣に色付き領域および/または情報テキストを含む、請求項1に記載のトレイシステム(1)。
【請求項3】
前記第1組の孔および/または前記第2組の孔内のうちの前記孔(7、7’、7’’)の少なくとも1つは、それが位置合わせされる保持構成(6)よりも断面が大きい、請求項1または2に記載のトレイシステム(1)。
【請求項4】
前記第1のシートおよび/または前記第2のシート(3、3’、3’’)は、スナップロック構成によって前記トレイ(2)に配置可能である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のトレイシステム(1)。
【請求項5】
前記保持構成(6)のうちの少なくとも1つは前記ベース(4)内の開口である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のトレイシステム(1)。
【請求項6】
前記開口は貫通孔である、請求項5に記載のトレイシステム(1)。
【請求項7】
前記開口は丸形である、請求項5または6に記載のトレイシステム(1)。
【請求項8】
前記保持構成(6)のうちの各1つは、貫通孔(20)の中心軸を中心に円周に沿って配置された可撓性の突出部(21)を有する該貫通孔(20)を含む、請求項1に記載のトレイシステム(1)。
【請求項9】
前記可撓性の突出部(21)は、ベース(4)のうち、シート(3、3’、3’’)をその上に配置できる面の反対の方向に突出しており、貫通孔(20)は、ベース(4)のうち、シート(3、3’、3’’)をその上に配置できる面における断面積が、可撓性の突出部(21)の端部における貫通孔(20)の断面積よりも大きい、請求項8に記載のトレイシステム(1)。
【請求項10】
前記第1および/または第2のシート(3、3’、3’’)は、プラスチックまたは紙から作られる、請求項1〜9のいずれか1項に記載のトレイシステム(1)。
【請求項11】
インプラント構成要素、器具、および/または器具ホルダを保持するためのあるパターンの保持構成(6)を有するベース(4)を有するトレイ(2)のためのカスタマイズされた情報シート(3、3’、3’’)を準備する方法であって、
使用する保持構成(6)のサブセットの位置に関する情報を収集する工程と、
前記シート(3、3’、3’’)が前記トレイ(2)の前記ベース(4)上に着脱可能に配置されたとき、前記シート内の前記孔(7、7’、7’’)の各1つが、使用される前記保持構成(6)のそれぞれの1つと位置合わせされるように位置し、その結果、インプラント構成要素、器具、または器具ホルダが、前記孔のうちのそれぞれの1つを通して前記保持構成のうちの1つの中に配置可能になるように、保持構成(6)のサブセットの対応する位置を有する孔(7、7’、7’’)を有するシート(3、3’、3’’)を作り出す工程と
を含む、前記方法。
【請求項12】
前記シート(3、3’、3’’)上で孔(7、7’、7’’)のうちの少なくとも1つの隣に配置される色情報および/またはテキスト情報を収集する工程と、
前記色情報および/または前記テキスト情報を前記シート(3、3’、3’’)上に配置する工程と
をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インプラント構成要素、器具、および/または器具ホルダを保持するための保持構成を有するベースを有するトレイを含むトレイシステムに関する。
【0002】
本発明はさらに、インプラント構成要素、器具、および/または器具ホルダを保持するための、特定のパターンの保持構成を有するベースを有するトレイのためのカスタマイズされた情報シートを準備する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
外科手術中、例えば歯科外科手術中に、様々な種類の器具を用いることがある。それらの器具は、外科医が正しい器具を早く見つける助けになるように、特定の位置でトレイに配置されていることが多い。トレイは、器具ホルダ、例えば、グロメットがその中に配置された孔を備えることができる。各ホルダの隣には、一定の手術のために適正な器具を見つけることをより簡単にするために、情報テキストまたは識別のための色をトレイ上に印刷することができる。場合によっては、器具の供給者が、特定の外科手術で使用する器具に一定の色を付ける。トレイ上のテキストおよび色は器具上の色に対応する。
【0004】
外科手術、例えば歯科外科手術の前には、手術トレイは、例えば、使用する様々なドリルおよびインプラントと共に準備される。特注の穿孔および設置プロトコルが、特定の各骨切り術でどのインプラント、ドリル、およびインプラントホルダを使用するかを提示することができる。次いで、適正なドリルおよびインプラントがプロトコルに従ってトレイに配置され、トレイのテキストに従って正しいホルダに配置される。したがって、特定の状況ごとに、すなわち、インプラントのタイプ、サイズなどごとに、トレイには様々な形で積載される。
【0005】
印刷された情報および色は、外科医の助けになるが、特に、実行する特定の骨切り術に関係ない情報がある場合は、情報が多すぎると邪魔になる、または紛らわしいものになり得るので、問題になることもある。
【0006】
さらに、器具がトレイの供給者とは別の供給者から提供される場合は、トレイ上のテキストおよび色が使用する器具の色または順番に対応しないことがあり、そのときは助けになるよりも紛らわしくなる。
【0007】
したがって、手術トレイを改善する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、上記の課題を克服するトレイシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、トレイ内のホルダに関連した情報をそれらホルダから切り離すことを可能にすることによって、よりフレキシブルなトレイシステムを提供できるという見通しに基づいている。本発明者らは、一部のホルダを隠し情報を減らすという選択肢を与えることによって、ユーザが特定の手術で必要になる情報にのみ対処するだけでよくなることも実現している。
【0010】
本発明の第1の態様によれば、これは、インプラント構成要素、器具、および/または器具ホルダを保持するための保持構成を有するベースを有するトレイと、両方とも前記トレイの前記ベース上に独立に着脱可能に配置されるように適合される少なくとも第1および第2の情報シートであって、前記第1のシートは前記第2のシートに交換可能であり、その逆も可能であり、前記第1のシートは、第1の分布を有する第1組の孔を含み、前記第2のシートは、該第1の分布と比べて異なる第2の分布を有する第2組の孔を含む、前記少なくとも第1および第2の情報シートとを含み、前記第1のシートが前記トレイの前記ベース上に配置されたとき、前記第1のシート内の前記第1組の孔のうちの各1つが、前記保持構成のうちのそれぞれの1つと位置合わせされるように位置し、その結果、インプラント構成要素、器具、または器具ホルダが、前記第1組の孔のうちのそれぞれの1つを通して前記保持構成のうちの1つの中に配置可能であり、前記第2のシートが前記トレイの前記ベース上に配置されたとき、前記第2のシート内の前記第2組の孔の各1つが、前記保持構成のうちのそれぞれの1つと位置合わせされるように位置し、その結果、インプラント構成要素、器具、または器具ホルダが、前記第2組の孔のうちのそれぞれの1つを通して前記保持構成のうちの1つの中に配置可能である、トレイシステムによって実現される。
【0011】
異なる組の孔をそれぞれ有する情報シートを2枚有することによって、ユーザは特定の状況に適した情報シートを選択することができる。全種類の情報がその上にあるトレイ内に多数の孔を有する代わりに、ユーザは、特定の使用に適した別個のシートをトレイ上に配置することができ、それにより、ユーザがトレイ上に正しい構成要素を配置し、次いで手術中に再度それを見つけることがより簡単になる。次に例えば前回とは異なる外科手術にそのトレイを使用するときは、その特定の状況により適した孔の分布を有する第2のシートを使用することができる。
【0012】
別個の情報シートを有することによって、全ての種類の決まった情報を有するトレイの代わりに、ユーザは独自のシートを設計することができる。このように、ユーザは、自身の特定のニーズに適合したトレイシステムを得ることができる。第1の情報シートがトレイのベース上に配置されたとき、第1の情報シート内の孔を、前記ベース内の一部の保持構成と位置合わせすることができ、第2の情報シートがトレイのベース上に配置されたとき、第2の情報シート内の孔を、前記ベース内の完全に異なる保持構成と位置合わせすることができる。あるいは、第1および第2のシートの一部の孔を、同じ保持構成と位置合わせすることができ、第2のシートは、例えば、他の保持構成と位置合わせされる追加の孔を有することができる。
【0013】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、前記第1のシートおよび前記第2のシートのうちの少なくとも1つは、孔のうちの少なくとも1つの隣に色付き領域および/または情報テキストを含む。情報テキストおよび色付き領域は、ユーザが保持構成内に配置される物体を整理する助けになり得る。ユーザが、正しい1つの物および/または互いに属する複数の物体を見つける助けにもなり得る。特定のインプラントでは、1つの特別なドリルもしくは複数の特別なドリルおよび/またはツールを使用しなければならないことがあり、次いで、それらは、色およびテキストで確認することができ、すなわち、カラーコーディングすることができる。例えば、直径3.5mmの歯科用インプラントでは、関連の全てのドリルおよびツールに特定の色、例えば赤色のマーキングを施すことができ、次いで、それらをシート上の赤色のマーキングを有する領域に配置することができる。別の歯科用インプラント、例えば直径4.0mmの歯科用インプラントは、異なる色、例えば黄色で関連付けられる。テキスト情報および/または図は、さらに、ユーザが正しい場所に物体を整理する助けになり、ユーザが適正な物体を見つける助けになり得る。
【0014】
情報テキストおよび/または色付き領域、すなわち、情報マーキングは、シートに印刷してもよく、貼り付けラベルによって取り付けてもよく、またはシート内のインモールドデコレーションもしくはインモールドラベリングでよい。
【0015】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、前記第1組の孔および/または前記第2組の孔内のうちの前記孔の少なくとも1つは、それが位置合わせされる保持構成よりも断面が大きい。それが位置合わせされる保持構成よりも断面が大きい孔を有することによって、保持構成中に構成要素を配置することが容易になる。
【0016】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、前記第1のシートおよび/または前記第2のシートは、スナップロック構成(snap locking arrangement)によって前記トレイに配置可能である。スナップロック構成は、簡単なファスナであり、すなわち、配置が簡単なことが多く、取り外しが簡単になるように設計することができる。スナップロック構成は、シート上に配置されたスナップキャッチ(snap catch)でよく、トレイ内の開口部(opening)にカチッと留まる。別の代替形態は、シート内の孔にあるいはシートの縁部を覆うようにカチッと留まる、トレイ上のスナップキャッチである。代替形態として、シートは、トレイ上に緩い状態で配設するだけでよい。
【0017】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、前記保持構成のうちの少なくとも1つは前記ベース内の開口(aperture)である。ベース内の開口は、保持構成を作るのに費用対効果が大きい手法である。
【0018】
例えば、開口は貫通孔でよい。貫通孔は、例えば、物体を保持できるグロメットに嵌まることができる。開口は好ましくは丸形である。貫通孔を有することによって、トレイを閉じた状態で殺菌する場合に、蒸気または他の殺菌剤がシートを貫通するのを可能にすることができる。
【0019】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、前記保持構成は、保持構成の中心軸を中心に円周に沿って配置された可撓性の突出部を含む。その可撓性の突出部は、好ましくは、保持構成の周りに均等に分布する。
【0020】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、前記可撓性の突出部は、ベース(4)のうち、シート(3、3’、3’’)をその上に配置できる面の反対の方向に突出しており、貫通孔は、ベース(4)のうち、シート(3、3’、3’’)をその上に配置できる面における断面積が、可撓性の突出部の端部における貫通孔の断面積よりも大きい。可撓性の突出部は、可撓性の突出部の端部よりも上部における開断面積が大きい貫通孔と一緒になることで、ツールまたはインプラントが保持構成内に配置されたとき可撓性の突出部が離れる方に曲がることが可能であるという利点を有する。このようにして、異なるサイズのツールおよびインプラントを保持構成内に嵌めることができる。面積の変更は、可撓性の突出部がわずかに下向きに保持構成の中心軸に向かって突出することによって実現することができる。少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、可撓性の突出部は、保持構成の中心軸に向かって傾斜していてよい。次いで、可撓性の突出部は、中心軸に向かう方向にも傾斜させることができ、および/または中心軸と平行にさせることができる。全ての可撓性の突出部が同じでもよく、異なる形に設計されてもよい。少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、保持構成は、3つの可撓性の突出部を含む。しかし、それよりも多くても少なくてもよい。
【0021】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、前記第1および/または第2のシートは、プラスチックまたは紙から作られる。シートは、殺菌および/または消毒できる材料、例えばプラスチックで作ることができる。代替形態として、シートは、廃棄できる使い捨てのシートでよい。好ましくは、シートは比較的剛性である。シートの厚さは、好ましくは、保持構成内に保持されるツールおよび/またはパーツよりも厚くなく、すなわち、ツールまたはパーツは、ユーザが簡単にツール/パーツを取り出すことができるようにシートの上に突出すべきである。
【0022】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、前記第1または前記第2のシートは、第3のシートに隣接して前記ベースに配置可能である。これは、大きい1枚のシートの代替形態とすることができる。例えば、クリニックがより小さいモジュール式のシートから作製した独自のシートを構築したい場合に、2枚以上のシートを互いの隣に配置することができる。
【0023】
本発明の第2の態様によれば、本発明の目的は、インプラント構成要素、器具、および/または器具ホルダを保持するためのあるパターンの保持構成を有するベースを有するトレイのためのカスタマイズされた情報シートを準備する方法であって、
使用する保持構成のサブセットの位置に関する情報を収集する工程と、
前記シートが前記トレイの前記ベース上に配置されたとき、前記シート内の前記孔の各1つが、使用される前記保持構成のそれぞれの1つと位置合わせされるように位置し、その結果、インプラント構成要素、器具、または器具ホルダが、前記孔のうちのそれぞれの1つを通して前記保持構成のうちの1つの中に配置可能になるように、保持構成の該サブセットの対応する位置を有する孔を有するシートを作り出す工程と
を含む、前記方法によって実現される。使用する保持構成の位置情報を収集し、それに従ってシートを作り出すと、カスタマイズされたシートを作ることが可能になる。ユーザは、シートの作製者にどの保持構成を使用したいかを伝えることができる。これは、例えばインターネット上で行うことができる。次いで、シートの作製者は、正しい場所に孔を有するシートを作ることができる。次いで、ユーザはカスタマイズされたシートを得る。カスタマイズされたシートの別の利点は、例えば別の作製者による、異なる穿孔プロトコル、プロシージャ、治療の選択肢、またはインプラントシステムを支援するように設計できることである。
【0024】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、前記方法はさらに、
前記シート上で孔のうちの少なくとも1つの隣に配置される色情報および/またはテキスト情報を収集する工程と、
前記色情報および/または前記テキスト情報を前記シート上に配置する工程と
を含む。
【0025】
エンドユーザから情報マーキング上の情報を収集することによって、さらにシートをカスタマイズすることが可能である。エンドユーザは、自身にとって最も適切なシートを得ることができる。ある作製者からのトレイを有し、販売しているパーツ上に一定のカラーコーディングを有し、エンドユーザが、そのトレイを作り出した作製者とは異なる他のカラーコーディングを有する第2の作製者によるインプラントおよびツールを使用したい場合は、第2の作製者のカラーコーディングで働くシートを作ることができる。
【0026】
概して、請求項中で用いる全ての用語は、本明細書で明示的な別段の定義がない限り、技術分野における通常の意味に従って解釈すべきである。「a/an/the[要素、デバイス、構成要素、手段、工程など]」に関する全ての言及は、別段明示的に述べられていない限り、前記要素、前記デバイス、前記構成要素、前記手段、前記工程などの少なくとも1つの例を言及しているものとしてオープンに解釈すべきである。本明細書で開示するどの方法の工程も、明示的に述べられていない限り、開示した正確な順序で実行する必要はない。
【0027】
本発明の他の目的、特徴、および利点は、以下の詳細な開示、添付の従属請求項、ならびに図面から明らかになるであろう。
【0028】
本発明の上記のならびに追加の目的、特徴、および利点は、添付の図面を参照しながら、本発明の例示的な実施形態の、以下の説明的かつ非限定的な詳細な説明を通してより良く理解されるであろう。図面では同様の要素に関して同じ参照番号を用いている。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の少なくとも1つの例示的な実施形態によるトレイシステムを斜視図で示す。
図2】本発明の少なくとも1つの例示的な実施形態によるトレイシステムの分解斜視図を示す。
図3】本発明の少なくとも別の例示的な実施形態によるトレイシステムを分解斜視図で示す。
図4】保持構成のうちの1つにツールが配置された、トレイシステム内のいくつかの保持構成の斜視図を示す。
図5図1図3に上面図で示したトレイシステム内のいくつかの保持構成を示す。
図6図5の保持構成を底面から示す。
図7図5の上面斜視図を示す。
図8図6の底面斜視図を示す。
図9】異なる2つの情報シートの例を示す。
図10】異なる2つの情報シートの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
全ての図が非常に概略的であり、必ずしも縮尺は正確ではなく、本発明を説明するために必要な部分しか示しておらず、他の部分は省略するかまたは単に示唆するに過ぎない。
【0031】
次に、現在好ましい本発明の実施形態を、添付の図面を参照しながらより詳細に説明する。
【0032】
図1および図2に、ベース4と、全周にわたる低い側壁5とを有する矩形のトレイ2を含むトレイシステム1を示す。トレイは低い側壁に限定されない。側壁が全くなくてもよく、より高い側壁でもよい。トレイも矩形のトレイに限定されない。例えば丸くてよい。ベース4上には、情報マーキング12(情報マーキングは図1に示されていない)を有する情報シート3が配置されている。
【0033】
トレイ2は、適切には、プラスチックから作られるが、どの種類の適切な材料から作られてもよい。適切には、トレイは、消毒および/または殺菌できる材料から作られる。トレイ2は蓋10に旋回自在に連結されており、その蓋10は閉じた状態ではベース4をカバーする。あるいは、蓋10は別個の蓋である。蓋10は、蓋10がトレイ2をカバーしているときに、例えばトレイシステム1を殺菌しているときに、蒸気または他の殺菌剤がトレイシステム1を出入りできるようにする開口部11を有する。
【0034】
シート3は、プラスチックシートもしくは紙シートまたは金属製のシートでよい。適切には、シートは比較的剛性である。シートの厚さは、適切には、トレイ内に保持されるツールおよび/またはパーツよりも厚くなく、すなわち、ツールまたはパーツは、ユーザが簡単にツール/パーツを取り出すことができるようにシート3の上に突出すべきである。シート3は、消毒および/または殺菌に耐える場合は、好ましくは、それに適した材料で作製される。シート3上には、情報マーキング12が印刷されている。代替形態として、情報マーキングは、図3に示すような貼り付けラベル13またはインモールドデコレーションもしくはインモールドラベリングによってシートに取り付けることができる。
【0035】
トレイ2のベース4は、横列に配置された開口6(図2参照)を含む。その開口6は、器具、インプラントなどのための保持構成6である。例示の通り、保持構成6自体は、器具、器具ホルダ、または植え込まれるパーツを保持するように設計されている。その設計は、図4図8に関連して一緒に論じる。代替形態として、保持構成6は、例えば既知のグロメットをその中に挿入して器具を保持できる丸い貫通孔でよい。
【0036】
シート3は、シートと一体の第1組の孔7’を含む。孔7’は、第1の分布、すなわち、第1のパターンで、シート全体にわたって分布している。シート3上の孔7’は、シート3がベース4上に配置されたとき、シート3上の各孔7’がトレイ2上のそれぞれの開口6と心合わせされるように、すなわち、それらが互いに位置合わせされるように配置されている。
【0037】
シート3は、第1の分布の孔を有するシート3を別のシートに、すなわち、第2組の孔の分布を有する第2のシート(例えば図9および図10参照)に交換できるようにして、着脱可能にトレイ1に配置される。シート3、3’、3’’は、スナップロック構成によってトレイ上に適位置にカチッと留めることができる。例えば、トレイ上の(1または複数の)スナップキャッチは、シート内の孔にまたはシートの外側の縁部(図示せず)にカチッと留まる。
【0038】
トレイ2は、低くなった領域9、すなわち、トレイのベース4の下方にある領域9を有する。その低くなった領域9では、プロトコル独立の他のツールを収納することができる。シリコンマットをその低くなった領域に配置することができ、より長い器具をその上に配置することができる。こうした器具は、例えば、深度計またはレンチでよい。
【0039】
さらに、その低くなった領域は、シート3を取り外すときに、指または指先がシート3の側部またはシートの下部に接触可能にすることによって、ユーザがシート3を把持する助けになる。次いで、シート3は、矢印A(図1参照)の方向に片側で持ち上げることができる。
【0040】
トレイ2は、高くなった領域25も2つ有し、その領域25は、保持構成6と同様の設計を有することができる第2の保持構成26を有する。その第2の保持構成26では、より大きい構成要素、例えばプロトコル独立のツールを配置することができる。
【0041】
トレイ2は、スタンド15を受けるスロット28(図2参照)もベース4内に有し、そのスタンド15は、スロット28にカチッと留めることができるスナップ式連結部(snap connection)16を有する。スタンド15は、開口18を有するグリッド構造を有する。スタンド15がトレイ2に配置されたとき、グリッド部17が保持構成6をカバーする。グリッド部17は、保持構成内に収納されたパーツを消毒および/または殺菌しているときに、水または殺菌剤がそのパーツに直接当たるのを防止する。その代わりに、殺菌剤はそのパーツの周囲に向けられる。
【0042】
図3に、シート3上に配置される貼り付けラベル13を有するトレイシステム1を示す。貼り付けラベル13は第1の分布の開口部14を有する。シート3は、ここでは、ラベル13上の開口部14よりも多くの孔7を有するシート3として例示される。シート3内の孔7の一部は、第1の分布のラベル13内の開口部14と位置合わせされ、残りは、ラベルによってカバーする(隠す)ことができる。したがって、ラベルにカバーされていない孔7は、第1の分布、すなわち、第1のパターンを有する、シート内の第1組の開口部である。あるいは、シート3は、貼り付けラベルと同じ数の孔および同じ分布を有することができる。
【0043】
図4に、ツール19、すなわち、保持構成6のうちの1つに配置されたドリルを示す。
【0044】
次に、図4図5図6図7、および図8と一緒に保持構成6を説明する。保持構成6は、トレイの上から見ると(図5参照)、Y字形の貫通孔20を含む。保持構成6の形状は、3つの可撓性の突出部21、すなわち、保持突出部21から得られる。その保持突出部21は、保持構成6の中心点を中心に均等に分布しており、トレイの下側に向かう方向に突出している(図6図7、および図8も参照)。それらの突出部は、トレイ2の下側から見ると(図6参照)、縁部の丸い三角形であり、そのため、3つ全ての突出部が外周の円の形状を形成する。各突出部の端部には、貫通孔20の中心点に向かって突出するノーズ22が配置されており、そのノーズ22は丸形である。
【0045】
すなわち、可撓性の突出部21は、ベースのうち、シート3をその上に配置できる面の反対の方向に突出しており、貫通孔は、ベースのうち、シートをその上に配置できる面における断面積が、可撓性の突出部の端部における貫通孔の断面積よりも大きい。可撓性の突出部21は、可撓性の突出部の端部よりも上部における開断面積が大きい貫通孔と一緒になることで、ツールまたはインプラントが保持構成6内に押し込まれるときに可撓性の突出部が離れる方に曲がることが可能であるという利点を有する。このようにして、サイズの異なるツールおよびインプラントを保持構成内に嵌めることができる。ここでは、ノーズ22が突出することで、開面積が小さくなる。ノーズ22のY字形の貫通孔の端部における断面積よりも大きい断面を有する構成要素、例えばツールが保持構成中に挿入されるときは、保持突出部のノーズ22は外側の輪郭上でツールに当接し、保持突出部21はわずかに曲がり、そのため、ツールは貫通することができる。ツールは3つの保持突出部21によって保持され、その保持突出部21は全て、そのノーズでツールを圧迫する。あるいは、構成要素は、突出するノーズ22の上部に着座することができる。可撓性の突出部の形状および数は上記に限定されない。代替形態として、可撓性の突出部は、中心軸に向かう方向に傾斜することができる。
【0046】
構成要素を保持構成6中にガイドするためには、開口部の周りの領域23は、中心点に向かって傾斜し、ガイド面23として働き、逆円錐形である。保持構成6の周りの円形領域24が隆起している。これは設計および/または生産の理由で隆起させることができる。しかし、その領域は隆起していなくてもよい。
【0047】
図9および図10に、異なる孔の分布パターンを有する、異なる2つのシート3’、3’’を示す。これらのシートは、矩形であり、矩形のトレイ2上に嵌合するためにトレイ自体よりもわずかに小さい。しかし、トレイが別の形である、例えば丸い場合は、シートは、トレイ上に嵌まる丸い対応する形状または別の形状を有することもできる。一部の孔、テキスト、および色の配置は図9図10とで同じように分布されているが、図10のシートには孔およびテキストが追加され、カラースキームがいくつか加えられている。次に、図9のシート3’を詳細に論じるが、図10に開示されたものは同様に働く。シート3’は、第1組の孔7’を含み、異なる3つのコーティカルドリル3.5、4.0、および4.5の画像および数字を示すコーティカルドリル陳列領域31を有する。数字は関連するインプラントの直径をmmで示す。コーティカルドリルの画像はそれぞれ、そのネック32’、32’’、32’’’上に異なる色で示され、その色は植え込まれるインプラントと同じ色である。ドリル3.5は黒色のネック32’、ドリル4.0は濃い灰色のネック32’’、ドリル4.5は薄い灰色のネック32’’’を有する。各ドリル画像の隣には、ツールワーキングプラン(tool working plan)33’、33’’、33’’’も配置されており、これらは一定のインプラントにどのツールをどの順番で使用するかを示す。コーティカルドリル陳列領域31の上方にはツール配置領域34があり、そのツール配置領域34は2つの横列を含み、各横列には4つの開口部37(図10では6つ)があり、縦列が作られるように配置される。一方の横列を短い方のツールのために使用し、他方の横列を長い方のツールのために使用することができる。縦列にはそれぞれ番号が付されている。異なるツール、例えばドリルは、異なる孔に配置される。コーティカルドリル画像の隣のツールワーキングプラン33’、33’’、33’’’の数字は、ツール配置領域34内のツールをどの順序で使用するかを示している。例えば、歯科用インプラント3.5に関しては、位置1および3のツール配置領域34内のツールを使用する。位置2は図9のコーティカルドリル陳列領域31内のどのインプラントでも使用しないので、その位置は、図9ではシート3’から省略しているが、インプラント3.0には関連するので図10のシート3’’には存在する。
【0048】
第2のツール配置領域35がやはり2つの横列、あるタイプの骨質には横列A、第2のタイプの骨質には第2の横列Bでシートに配置され、各横列のそれぞれ3つの孔は、インプラントの色に対応する色(黒色、濃い灰色、および薄い灰色)を有する。したがって、第1のツール配置領域34内のツールを使用した後には、ユーザは、骨の構造に応じて他のツールを必要とする場合がある。次いで、ユーザは、3.5インプラントには、黒色の孔に配設されたツールを使用することが分かる。第3のツール配置領域36も配置されており、そこには、非常に硬い骨用のツールを配置でき、色はやはりインプラントに対応している。インプラントドライバを配設するための第4のツール配置領域39も配置されている。図10のシートは、同様の設計を示すが、シート3’’内に異なる組の孔7’’を有しており、すなわち、コーティカルドリル陳列領域31により多くのコーティカルドリルが示されており、したがって、第1、第3、および第4のツール配置領域34、36、39には、より多くのツールを配置することができ、第2のツール配置領域35はより多くの選択肢を有する。さらに、第5のツール配置領域38が、第2のタイプのインプラント、例えば上部が斜めのインプラントのためのインプラントドライバのために配置されている。
【0049】
大きい1枚のシートの代替形態として、例えば、クリニックが、より小さいモジュール式のシート(図示せず)から作製されるクリニックの独自のシートを構築したい場合に、2枚以上のシートを互いの隣に配置することができる。例えば、歯科医が3.0インプラントを用いて作業したい場合は、歯科医は小さいシートを1つ用いるだけでよい。歯科医が3.5インプラントも有したい場合は、その歯科医は3.0インプラント用のシートの隣に3.5用の第2のシートを配置することができる。
【0050】
シート7’、7’’はその設計を有することに限定されない。ユーザは、独自のシート、すなわち、カスタマイズされた情報シートを設計することができ、シートの供給者が、ユーザが使用したい保持構成6のサブセットの位置に関する情報を収集する。次いで、シートの供給者は、シートが前記トレイ上で前記ベース上に配置されたとき、前記シート内の前記孔のうちの各1つが、使用される前記保持構成のうちのそれぞれの1つと位置合わせされるように位置し、その結果、インプラント構成要素、器具、または器具ホルダが前記孔のうちのそれぞれの1つを通して前記保持構成のうちの1つの中に配置可能になるように、孔が保持構成のサブセットの対応する位置を有するシートを作り出す。次いで、シートの供給者は、次の工程または同じ工程で、シート上で少なくとも1つの孔の隣に配置される色情報および/またはテキスト情報を収集することができ、次いで、供給者はその色情報および/または前記テキスト情報をシート上に配置することができる。
【0051】
いくつかの実施形態を参照しながら本発明を概略的に上記で説明してきた。しかし、当業者によって容易に理解されるように、上記で開示した以外の実施形態が、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲内で等しく可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10