(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記入力フィルタがダイクロイックフィルタを含み、前記出力フィルタがダイクロイックフィルタを含む、請求項1に記載のディスプレイに光を供給するための光学構造。
少なくとも前記入力フィルタ、前記エミッタ領域、及び前記出力フィルタを囲むキャビティを更に含み、前記キャビティが前記励起源からの照明を受け取るように作動する、請求項1又は2に記載のディスプレイに光を供給するための光学構造。
前記エミッタ領域からの照明を受け取るように作動する、角度減少素子を更に含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のディスプレイに光を供給するための光学構造。
少なくとも前記励起源からの照明を受け取るように作動する、角度変換非結像光学系を更に含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のディスプレイに光を供給するための光学構造。
前記出力フィルタと少なくとも第1導光板との間に配置された光学スペーサを更に含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のディスプレイに光を供給するための光学構造。
前記ディスプレイが立体画像のアドレッシングを受け、左側画像及び右側画像が分光された光源によって照らされるように、第1導光板及び第2導光板がスクロールされる、請求項1から11のいずれか一項に記載のディスプレイに光を供給するための光学構造。
前記複数のエミッタが、前記入力フィルタから受け取った光よりも長い波長で光を放射するように調整される、請求項1から12のいずれか一項に記載のディスプレイに光を供給するための光学構造。
前記出力フィルタの通過帯域が立体視用アイウェアの通過帯域に対して赤方偏移している、前記立体視用アイウェア及び前記出力フィルタ内に隣接する通過帯域を配置することを更に含む、請求項19に記載のディスプレイのバックライティング方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、直視型ディスプレイシステム100を示す概略図である。直視型ディスプレイシステム100は、直視型ディスプレイ102と、いくつかのモードで観察するためのアイウェア104と、を含む。アイウェア104は、左目用フィルタ106と、右目用フィルタ108と、を含む。左目用フィルタ106及び右目用フィルタ108は、直視型ディスプレイ102から放射された第1及び第2の光束をデコードするためのリターダスタックを含んでよい。
【0015】
直視型ディスプレイ102は、(1)上級2Dモード、(2)6個の原色スペクトルエミッタを用いた拡大色域モード、(3)プライバシースクリーンモード、(4)2重画像(又は、チャネル多重化)モード、及び(5)立体画像モードを含むいくつかの動作モードで動作してよい。拡大色域モードでは、アイウェア104は不要である。2〜4のモードでは、アイウェア104を用いて、直視型ディスプレイ102上の画像をデコードしてよい。以下の図面を参照して理解するであろうように、フィルタ106、108は異なる構成を有して、動作モードに従って画像をデコードしてよい。
【0016】
図2は、直視ディスプレイ200を示す概略図である。直視型ディスプレイ200は、バックライト300と、光変調パネル210と、バックライトコントローラ220と、光変調器コントローラ230と、バックライト電源240と、モードコントローラ250と、を含む。
【0017】
スペクトルを分離するとき、表示性能メトリックは、白色点(並びに第1セットのスペクトルエミッタ及び第2セットのスペクトルエミッタでの白色点の整合)、色域(並びに第1セットのスペクトルエミッタ及び第2セットのスペクトルエミッタでの色座標の整合)、並びに第1セットのスペクトルエミッタ及び第2セットのスペクトルエミッタとから得られる光束強度を含んでよい。かかる表示性能は、視覚認知、表示画像用ハードウェア、実際のコンテンツ、及び第1セットのスペクトルエミッタ及び第2セットのスペクトルエミッタでの出力整合を向上させるためのソフトウェア補正を含み得る複雑な分析を含む。したがって、温度フィードバックモジュール224に接続された温度センサ222によってバックライト300の温度管理が行われてよい。白色点、明度、及び色制御パラメータは、バックライトコントローラ220によって管理されてよく、この管理には、色センサ226及び光フィードバックモジュール228を通じたパラメータのフィードバックが含まれる。バックライトコントローラ220は、バックライト300に含まれるスペクトルエミッタに電流を供給するバックライト電源240に制御信号を供給してよい。明度コントロール242及びそれぞれの色コントロール244a〜fはまた、ディスプレイ明度及びそれぞれの色強度を調整するためにバックライトコントローラ220に入力を提供してよい。白色点制御入力は、光変調器コントローラ230からのライン234を通じて白色点コントローラモジュール232が受け取ってよい。バックライト制御入力は、光変調器コントローラ230からのライン236を通じてバックライトコントローラモジュール220が受け取ってよい。
【0018】
この実施形態では、モード選択は、モードコントローラ250を介して制御される。モードコントローラ250は、選択したモードに従って第1入力ビデオ信号262と第2入力ビデオ信号264とを切り替え、信号を光変調器コントローラ230及びバックライトコントローラ220に供給してよい。例えば、上級2Dモード及び拡大色域モードでは、単一のビデオ信号がモードコントローラ250に対する入力である。チャネル多重化モード及び立体画像モードでは、2つのビデオ信号262、264が直視型ディスプレイ200に対する入力である。プライバシースクリーンモードでは、単一のビデオ信号262が第1画像に対する直視型ディスプレイへの入力であってよく、第2画像は、モードコントローラ250の画像生成機能によって合成される。画像処理機能は、モードコントローラ250及び/又は光変調器コントローラ230によって実行されてよい。図示するように、入射側偏光子212及び出射側偏光子214は、それぞれ光変調パネル210のいずれかの側に配置されてよい。したがって、直視型ディスプレイ200は、観察者に対して偏光光を出力する。
【0019】
図3は、LEDベースの走査型バックライト300の実施形態を示す概略図である。バックライト300は、第1セットのスペクトルエミッタ310と、第2セットのスペクトルエミッタ320と、を含む。この実施形態で示すように、境界構造330を用いて、光学的に分離されたサブアレイが形成されてよい。
【0020】
ある実施形態では、第1セットのスペクトルエミッタ310は狭透過範囲R1、G1、B1を出力するように作動し、第2セットのスペクトルエミッタ320は、狭透過範囲R2、G2、B2を出力するように作動する。図示するように、スペクトルエミッタは行方向に配列されてよく、列方向では、第1セットのエミッタ310と第2セットのエミッタ320とが交互(例えば、R1、R2、G1、G2、B1、B2、...、R1、R2、G1、G2、B1、B2の順序)であっていてよいが、他の実施形態では、スペクトルエミッタの別の順序及び物理的構成を用いてよいことは明白である。境界構造330の付近では、照明の均質性を制御するように注意する必要がある。均一な明度及び色相は、サブアレイ間の物理的間隔の程度、サブアレイ間でのLED輝度及び色度の整合、及びサブアレイの駆動タイミングに依存する。
【0021】
人間の目の色識別能力は、異なる波長の光に対する網膜における各細胞の検知能力のばらつきに基づいている。網膜は、3種類の色受容細胞、つまり錐体を含む。このうちの1種類は、他の2種類とは比較的異なっており、人間が紫と認識する、波長が約420nmの光に最も反応する(この種類の錯体は、短波長錯体又はS錯体と呼ばれることがある)。他の2種類は、遺伝子的かつ化学的に密接に関連する。このうちの1種類(長波長錯体又はL錯体と呼ばれることがある)は、人間が黄色がかった緑と認識する、波長が約564nmの光に対して最も感度が高く、もう1種類(中波長錯体又はM錯体と呼ばれることがある)は、緑と認識する、波長が約534nmの光に対して最も感度が高い。
【0022】
光は、その波長組成がいかに複雑であっても、目によって3つの色成分に減色される。視野の各位置に対して、3種類の錯体は、それぞれに対する刺激の程度に基づいて3種類の信号を生成する。これらの値は、刺激値と呼ばれる。各種類の錯体に関する波長の関数としての反応曲線は、
図9に示す。曲線は重なり合うため、一部の刺激値は、いずれの入射光の組み合わせに対しても発生しない。例えば、主として中波長/「緑色」錯体を刺激することは不可能であり、他の錯体は、ある程度の刺激を同時に受けざるを得ないであろう。すべての可能な刺激値の集合が人間の色空間を決定する。人間は、おおよそ1,000万の異なる色を区別できると推定されている。
【0023】
概して、R1及びR2の狭透過範囲は、(
図9に示すように)人間の目におけるL錐体受容体の感度波長範囲内に実質的に存在し、G1及びG2の狭透過範囲は、人間の目におけるM錐体受容体の感度波長範囲内に実質的に存在し、B1及びB2の狭透過範囲は、人間の目におけるS錐体受容体の感度波長範囲内に実質的に存在する。本明細書で用いるとき、用語「透過範囲」は、直接出力であるか、色フィルタアレイを通ったスペクトルエミッタの産物としてかにかかわらず、スペクトルエミッタからの出力スペクトルを指す。
【0024】
図4Aは、第1セット及び第2セットのスペクトルエミッタの波長に対する強度を示すグラフである。第1セット及び第2セットのスペクトルエミッタ(R1、R2、G1、G2、B1、B2)のLEDスペクトルは、単一のピーク発光にスケーリングされている。中心波長は、高度のスペクトル分離をもたらし、したがって、開示する動作モードにおいて分離プロセスでの光損失を少量とすることが可能となるように選択される。かかる分離はまた、拡大色域モードの色域を最大化する際に有益である。
【0025】
図4Bは、フィルタを介した場合の第1セット及び第2セットのスペクトルエミッタの波長に対する強度を示すグラフである。この実施形態では、第1セットの狭透過範囲(R1、G1、B1)は、第2セットの狭透過範囲(R2、G2、B2)と実質的に重ならない。本明細書で用いるとき、用語「実質的に重ならない」は、チャネル間のクロストークが好ましくは最小化されるように、大部分のスペクトル発光が別のスペクトルエミッタからの隣接する発光から独立していることを指す。非理想的な既成のスペクトルエミッタ技術を用いると、一部のスペクトルが重なり得る、例えば、
図4Bに示すようにチャネルB1とG2、及びチャネルG1とR2とが重なり得ることを、当業者は理解するべきであろう。しかしながら、スペクトルエミッタチャネル間のかかるクロストークを最小化するように、スペクトルエミッタ(及び、いくつかの実施形態では、スペクトルフィルタ)を慎重に選択する必要がある。スペクトルエミッタの中心波長を慎重に選択することにより、色域が拡大された、最適な色座標を得ることができる。レーザー及び超共振LEDなど他の種類のスペクトルエミッタは、通常のLED構造よりも狭い透過範囲を有するため、「重なる」スペクトル範囲を有しにくいことは理解されるであろう。十分に「重ならない」ように波長分離が行われた場合、第1及び第2のスペクトル光集合の画像を効率的に分離するためにアイウェア104に課せられた要求は、緩和されるであろう。これは、同様の性能を実現するために多大な補助フィルタリングを用い得る、つまり、追加費用及び光効率の低下を意味する、従来のUHPランプのスペクトルとは対照的であり得る。
【0026】
図4Bに示すように、理想的には、長/短の原色発光帯域間(例えば、B2/B1、G2/G1、R2/R1)並びに他の原色の発光帯域の両方にノッチが存在する。好ましくは、この分離は、効率性を得るために、色座標が妥当な明所視感度範囲(例えば、短波長の青色発光B2>430nm、長波長の赤色発光R1<660nm)に残存した許容可能な色座標であるべきことを認識しつつ、最大化される。かかる分離は、直接実現されてよいが、スペクトルエミッタ(例えば、LED)パッケージに組み込まれ得る、追加フィルタリングによってディスプレイ十分な色性能がもたらされてよい。これには、拒否光(reject light)を除去するフィルタ、又は発光構造(例えば、ブラッグ反射器)に組み込まれ、発光媒体に戻すように光を再方向付けするフィルタが挙げられる。主な発光ローブが実質的に捕捉され、発光の尾部だけが減衰するのであれば、このフィルタリングによる効率性への影響は小さいことがある。尾部は比較的に広域にまたがる場合があり、比較的微力である一方、立体モードでの動作時にはゴースト画像に著しい影響を与える可能性がある。かかる尾部発光はクロストークの直接的な原因となり、アイウェア104の性能とは無関係である。これは、対応する画像の効率的な透過を確保するためにアイウェアが有するべき透過波長において生じるためである。
【0027】
図4Cは、光変調パネルに組み込まれたRGB色フィルタアレイのスケーリングしたスペクトルを示すグラフである。各プロファイルは、好ましくは、対応するセット(例えば、R1R2)のLED(又は、他のスペクトルエミッタ)の発光帯域に対して高スループットを提供し、一方では、残る4原色(例えば、G1G2B1B2)の高密度ブロックをもたらして、彩度を最大化する。拡大色域モードでの動作時には、対応する発光帯域のセットを伴うCFAスペクトルの産物により、好ましくは許容可能な色座標が提供され、同時に高スループットが提供される。更に、遷移勾配及び阻止帯域ブロック密度が十分であるので、残る4原色の発光帯域のリークによって色座標の彩度は許容しがたい程度にまで低下しない。開示する一実施形態では、
図4Cを再び参照すると、色フィルタアレイのスペクトルは、スペクトルエミッタ発光帯域の特定の中心波長に合わせて調整されている。例えば、特定セットのR1G1B1原色光によって照らされるAMLCDは、例えば、色フィルタアレイ(CFA)の青色フィルタが、残りのR1G1の発光を高光学密度で吸収する場合、B1の彩度を最大化する。同様に、G1の最大彩度は、CFAの緑色フィルタが残りの(R1B1)発光を高光学密度で吸収するときに生じる。原色帯域の別のセットが表示される場合、同様の議論が当てはまる。
【0028】
CFAに通常用いられる着色フィルタは、遷移勾配(並びにスループットに対するブロック密度)が限定されているので、結果として得られる色座標の彩度にとって、原色帯域の中心波長を慎重に選択することは重要である。6帯域が同一の波長範囲に詰め込まれているため、色域拡大の最大化は、CFAスペクトル性能によって制限される場合がある。
【0029】
図4Dは、色フィルタアレイを通る、第1セット及び第2セットのスペクトルエミッタのスペクトルを示すグラフである。対応する色座標は、修正色空間(u',v')におけるRGB 3角形により画定される光出力集合を示すEBUグラフである
図4Eにおいて、点452、454、及び456によって示される。長波長の青色原色光(例えば、B1)を更に飽和させるためには、短波長の緑色(例えば、G2)の減少は必要であろう。
【0030】
6個の原色スペクトルエミッタを用いた場合、原色帯域では4種類のグループ分けが可能である。例えば、第1セットのスペクトルエミッタをある実施形態においてR1G1B1とし、第2セットのスペクトルエミッタをある実施形態においてR2G2B2としているが、他のスペクトルエミッタの組み合わせが可能である。
図4Fは、別の組み合わせを示しており、第1スペクトルエミッタセット(R2G1B2)及び第2スペクトルエミッタセット(R1G2B1)に対応する。このグラフは、パネルに入射する連続的な白色照明スペクトルを示す。スペクトルエミッタセットの別のグループ分けとしては、R1G1B2/R2G2B1及びR2G1B1/R1G2B2が挙げられる。
【0031】
図4Gは、特定の白色スペクトルが色フィルタアレイの各スペクトルに入射した産物(
図4Cに示される)として、
図4Fの6原色スペクトルから生じた結果を示す。対応する色座標は、修正色空間(u',v')内の第1及び第2のRGB 3角形によって画定された、
図4Gで参照されるスペクトルエミッタに対応した第1及び第2の光出力集合を示すEBUグラフである
図4Hに示す。ここにおいて、第1セットのスペクトルエミッタは、EBU色域図の第1 RGB 3角形462により画定される第1光束を出力し、第2セットのスペクトルエミッタは、第1 RGB 3角形の範囲外の色を含む、EBU色域図の第2 RGB 3角形464により画定される第2光束を出力し、拡大表示モードにおいて、1つの光束により生成される色域よりも広い色域がもたらされる。
【0032】
原則として、120Hzで動作するディスプレイは、時間平均出力を生成するので、実際のグループ分けは性能にとってそれほど重要ではない。時間平均明度及び白色点が生じるであろう。影響し得る微小な事象としては、原色の彩度を決定するスペクトルの重なりについての詳細が挙げられる。例えば、青原色と緑原色との分離におけるCFAの制約を最小化するためには、グループ(B2G2)と(B1G1)とを組み合わせることが好ましいであろう。加えて、フリッカ効果を軽減するためには白色出力スペクトルの輝度を整合させることが有益であろう。
【0033】
原則として、多原色表示を実施するために用いられるグループ分けは、立体モードにおいて用いられるグループ分けとは異なり得る。これは単に、個別にLEDにアドレッシングするためにバックライトに組み込まれる柔軟性に関する実用上の問題によって決定される。
【0034】
立体モードでは、左目及び右目に対してそれぞれ第1画像及び第2画像をデコードするために、実質的に重ならないスペクトルフィルタを用いる。
図4Iは、第1セット及び第2セットのスペクトルエミッタによりそれぞれ照らされた第1画像及び第2画像を観察するための第1及び第2の偏光干渉フィルタを含む実施形態の透過プロファイルを示すグラフである。左目用画像は、LCD偏光子に平行な分析偏光子が後ろに配置された、第1デューティ比を有するリターダスタックを介して供給される。右目用画像は、LCD偏光子と交差する分析偏光子が後ろに配置された、第2デューティ比を有するリターダスタックを介して供給される。各スタックで同一フィルムリターダンスを用いて平行/交差配置を行うと、スペクトル重複点が設計の相対的デューティ比により固定されることに留意されたい。
【0035】
図4Jは、
図4Iの上述の偏光干渉アイウェアを介して各目へと透過された、スペクトルエミッタからの直接のスペクトルを示すグラフである。
図4Kは、各目においてバランスの取れた白色光束強度及び色を実現するように調整された、
図4Jのスペクトルをスケーリングしたものを示すグラフである。各目においてバランスの取れた白色光束強度及び色を実現するためにアイウェアフィルタ設計を最適化する技術は、好適な色補正後に正味明度を最大化することを含む。許容可能な色とは、修正後のフルホワイト(D65)を含んだ許容可能な原色(RGB)が各目により観察される色に対応する。次いで、明度が最も高いチャネルを減衰させて左目と右目との間で明度を整合させることができる。これらの条件下では、2つの表示原色のごく一部を過飽和状態の第3の原色に選択的に加えることにより、効率的に各目に同一の原色色相を観察させることができる。
【0036】
図4Lは、第1セット及び第2セットのスペクトルエミッタによりそれぞれ照らされた第1画像及び第2画像を観察するための第1及び第2の偏光干渉フィルタを含む別の実施形態の透過プロファイルを示すグラフである。この実施形態では、第1フィルタの透過スペクトルは、第1光束(R1、G1、B2)を透過し、第2フィルタの透過スペクトルは、第2光束(R2、G2、B1)を透過する。本開示によると、第1フィルタは、第2光束のスペクトル周波数をブロックし、第2フィルタは、第1光束のスペクトル周波数をブロックする。
【0037】
スペクトルエミッタの種類
前述したように、各種のスペクトルエミッタを用いて、本開示による直視型ディスプレイにバックライト照明をもたらしてよい。記載した実施形態で用いるスペクトルエミッタとしては、本明細書では常にLEDを記載したが、本開示に従うと、レーザー及び超共振LED(又は、サブスレッショルドレーザー)など他の好適なスペクトルエミッタを用いてよい。かかるスペクトルエミッタは、狭スペクトル発光、高速変調、簡便なサブアレイへのパッケージ化、長寿命、及び水銀の不使用など次世代ディスプレイを実施する際にいくつかの利点をもたらすが、これらは、CCFLよりも環境的に許容可能なものである。前述のスペクトルエミッタは、高速変調に関して動作上の利点を有する。LEDの応答時間は、主にドライバ(通常、マイクロ秒)によって制限されるので、パルシングを用いて出力効率/熱管理を最適化し、変調パネルの時間的アーチファクトを管理することができる。コンテンツに応じた調光、積極的な色温度制御など他の利点は、合成スペクトルを電子制御するときの独立性により実現可能であってよい。加えて、LEDは、走査型バックライトシステムを実施するためのサブアレイ又はパッケージ化クラスタの構築に適しているため、時間的アーチファクトが有利に最小化される。大半のLEDにおいて典型的である長寿命及び水銀を含まない構成は、従来のCCFL技術よりも有利である。上記の特徴は、特に高性能映像において冷陰極蛍光ランプ(CCFL)からスペクトルエミッタ(つまり、LED、超共振LED、及びレーザー)を有するバックライト付きシステムへの移行を促す推進力となる。
【0038】
上記の機能に好適なスペクトルエミッタは、多くの形態を取り得る。例えば、有機発光ダイオード(OLED)ストライプを周期的に(例えば、R1、R2、G1、G2、B1、B2)基板上にパターニングする、及び/又は積層することができる。いくつかの実施形態では、スペクトルエミッタセット310及び320を光変調パネル202に直接的に光結合してよく、他の実施形態では、光ガイド、ライトパイプ、光ファイバ、反射器、導波路など光透過性部品を介してスペクトルエミッタセット310及び320を光変調パネル202に光結合してよい。かかる光透過性部品は、プラスチック、ガラス、シリコン基材上のシリカ、又はこれらの組み合わせであってよい。個別のLEDは、パネルの背面に直接実装される線形アレイにパッケージすることができ、1つ以上の端部から光ガイドに結合することもできる。端部照明及び光ガイド、又はパネルの背面に実装されたLEDアレイを用いる、変調パネルに均一な照明光を供給する技術は周知である。
【0039】
LCDディスプレイにおけるモーションアーチファクトに関する問題への対処
モーションの表現は、これまで、従来のLCDディスプレイにおいて課題であった。原因となる要因としては、第1に典型的なLCDパネルの応答が非常に遅いこと、第2にディスプレイのホールドタイム効果が挙げられる。第1の要因に関しては、従来のLCDディスプレイにおいては、行ごとにスクロールしていく方法によりTFTパネルがアドレッシングされる。LC層に電界が印加されとき、LC材料は連続する画像間の階調レベル差を表す状態間で方向を変えるのに数ミリ秒を要する。したがって、照明が続く間、このような移行時に移動オブジェクトが現れる位置はしっかりと画定されたものとならず、不鮮明な画像が知覚される。このモーションアーチファクト問題を軽減する技術の一つは、スイッチング速度がより速いLC材料、整列方法及び構造(例えば、マルチドメイン)、並びにアドレッシング方法(例えば、オーバードライブ)を開発することである。
【0040】
しかしながら、60Hzで動作するホールド型ディスプレイは、どのような環境であっても画像のぼやけを知覚させることが知られている。特定の空間周波数では、無限大に速いスイッチング速度のLCを想定した場合であっても、知覚されるコントラストに完全な損失が生じる。この問題に対処するために、業界では120Hzで動作するパネルの再設計が進行している。かかる周波数では、オンザフライの補間により、ブラケット画像間に代替画像が挿入されるであろう。かかる方法は困難かつ高価であるが、例えば、フリッカのない立体表示を可能にすることにより多機能ディスプレイを可能にする。
【0041】
ホールド型ディスプレイからはぼやけが知覚されるとしても、LCをより高速にスイッチングすることは、モーションアーチファクトを軽減するためにも望ましい。現在、パネルの応答時間は著しく改善されており、ハイエンドのディスプレイにおいては4msがごく標準的である。これは、間違いなく今後も段階的に改善されていくであろう。かかるスイッチング速度は、本開示による多機能ディスプレイを実現するためにも望ましい。
【0042】
ホールドタイム効果の対処に関して、モーションアーチファクトを軽減する他の技術は、照明を変調することを含む。Sluytermanらは、モーションのぼやけを軽減するために黒フレームの挿入を取り入れたCCFLの使用を教示する。しかしながら、CCFLを用いるこの方法によって深刻な問題が発生する。原則として、CCFLを用いて光損失/効率の問題を排除することができるが、別の問題が存在する。つまり、黒フレームを挿入する60Hzでの動作は、フリッカを生じさせる。
【0043】
LCスイッチングに限界があることに関連する上述の制約を考慮すると、本明細書に開示するスペクトルエミッタを用いた走査機能は、照明がパネルへのアドレッシングに追従するように照明のタイミングを最適化するのに望ましい。スクロール型黒帯により、ゴースト画像の前後の出現を除去できなくとも、最小化することができる。いくつかの個別にアドレッシングできるLED(又は別のスペクトルエミッタ)のサブアレイを用いて複数の照明セグメントを形成することができる。実施形態では、タイミングを最適化する目的で、(例えば、3〜10の)サブアレイのコースグルーピングを用いてよい。60Hzの黒帯周期によっても、フリッカが生じ得ることに注意されたい。
【0044】
図5は、黒帯挿入技術を用いた走査型バックライトを示す概略図である。
図5は、簡略化されたディスプレイショット510、520、530、540、550、及び560によってそれぞれ表される、時間周期t0〜t5における様々な段階の直視型ディスプレイを示す。
【0045】
図6は、
図5の走査型バックライトの図に関連した黒帯挿入プロセスを示す論理図である。時間t0において、第1画像510が完全に表示され、スペクトルエミッタR1G1B1により照らされている(工程602)。時間t1においては、サブアレイ502のスペクトルエミッタR1G1B1が消灯され(工程604)、第2画像を表示するようにサブアレイ502に対応する液晶分子が再構成される(工程606)。時間t2においては、サブアレイ502のスペクトルエミッタR2G2B2が点灯され、R2G2B2の原色光に照らされる第2画像の第1部分を表示する(工程608)。工程608の前後又は同時に、サブアレイ504のスペクトルエミッタR1G1B1が消灯され(工程610)、第2画像用にサブアレイ504に対応する液晶分子が再構成される(工程612)。同様に、時間t3において、画像530は、サブアレイ504のスペクトルエミッタR2G2B2が点灯され、R2G2B2の原色光で第2画像の第2部分が表示されたことを示す(工程614)。このシーケンスは画像540及び550について同様の形式で時間t5まで続き、時間t5ではR2G2B2の原色光で第2画像が完全に表示される(工程616)。これに続いて、シーケンスは繰り返されて、再び照明に第1セットのスペクトルエミッタR1G1B1を用いて次フレームの第1画像が表示される。第1画像及び第2画像は、6原色データ、立体画像の左側/右側視野、プライバシースクリーン表示の2つの画像、及びチャネル多重化表示のいずれかに対応したものであってよい。
【0046】
別の実施形態では、第1セットのスペクトルエミッタは、完全に消灯されなくてよいが、第1セットのスペクトルエミッタからの発光スペクトルを通過させるように設計されたフィルタを介してほぼ観察することができない、強度を低めた出力を発光してよい。同様に、デューティサイクルにおける別のフェーズにおいて、第2セットのスペクトルエミッタを完全に消灯させる必要はない。したがって、かかる実施形態では、スペクトルエミッタを、その「オフサイクル」において完全に消灯するのでなく、部分的にバイアスするようにしてよい。これにより、それぞれのスペクトルエミッタセットがその非照明状態において既に部分的にバイアスされているので、照明状態と非照明状態とのスイッチングを高速化できるであろう。
【0047】
図7A〜
図7Hは、バックライト700における第1セットのスペクトルエミッタ710及び第2セットのスペクトルエミッタ720のサブアレイ702〜708による連続的照明を示す。
図7Aは、照明を提供している、第1サブアレイ702の第1セットのスペクトルエミッタ710を示す。その続きとして、
図7Bは、照明を提供している、第2サブアレイ704の第1セットのスペクトルエミッタ710を示す。第1セットのスペクトルエミッタ710のシーケンスは、順番に
図7C及び
図7Dへと続く。その次に、
図7Eは、照明を提供する第1サブアレイ702の第2セットのスペクトルエミッタ720を示し、その続きとして、それぞれ
図7F〜
図7Hにおいて、第2サブアレイ704、第3サブアレイ706、及び第4サブアレイ708の第2セットのスペクトルエミッタ720の照明を示す。
【0048】
図8A〜8Hは、別の実施形態の、光制御フィルム840を備えたLEDベースの走査型バックライト800を示す概略図である。この実施形態の動作シーケンスは、
図7A〜
図7Hを参照して上述したものと類似する。この実施形態では、光制御フィルム840は各セットのスペクトルエミッタからの光のフィルタリング及び拡散を提供して、特にサブアレイ間の各境界付近において照明光を均質にしてよい。光制御フィルム840はまた、サブアレイ802、804、806、及び808において、LEDの輝度及び色度を整合させてよい。
【0049】
LEDアレイの実動作は、パネルの機能性に大きく依存することに留意されたい。十分に速い速度での全体的な更新が可能なパネルについては、サブアレイを用いる、かかる走査型バックライト技術を使用しなくてよく、明度をほぼ犠牲にすることなく点滅モードで照明を動作させることができる。かかる場合、照明器は単に2セットの原色光のいずれかでパネルの投光照明を交互させる(つまり、すべてのR1G1B1スペクトルエミッタを同時に点滅させ、次にR2G2B2スペクトルエミッタを点滅させるなど)。フレーム間に黒周期を挿入することにより、LC(光変調パネル)を沈静させることができる。ブランク機能(用いた場合)の程度は、パネルの応答時間によって異なる。順次走査型パネルにおいては、点滅バックライトを用いることもできるが、明度が多少犠牲となる。
【0050】
拡大色域モード
本開示による、バックライト300を用いたディスプレイは、CCFL又は3原色LEDバックライトを用いた従来方式のバックライト付きディスプレイよりも著しく豊かなカラーパレットを生成することができる。前述したように、拡大域モードでは、各原色の彩度が向上した6原色域が実現されてよい。6原色の帯域及び色フィルタアレイのスペクトルを慎重に選択することにより、色域を著しく拡大することができる。これにより、従来のAMLCDディスプレイでは絶対に不可能であったより広色域での表示が可能になる。
【0051】
拡大色域モードでバックライト300を動作させる(二次元画像を表示する)とき、色点が異なる2セットのスペクトルエミッタの利点が発揮されるであろう。この場合、照明セグメントは、最大の明度及び色域を実現するために、サブアレイ内の全LEDを同時に用いることができる。最大明度条件下では、バックライト300は、赤色フィルタを介したR1及びR2の産物、緑色フィルタを介したG1及びG2の産物、並びに青色フィルタを介したB1及びB2の産物を出力する。調光が必要な場合、表示される画像の色域に寄与する方法で行うことができる。色域が拡大されるように、特定のスペクトルエミッタに電流を選択的に印加することができる。更に、明度の増減を必要とするディスプレイ領域に選択的な照明を提供するために、特定のスペクトルエミッタを点灯若しくは調光してよい。
【0052】
最適化された二次元表示を実現するための上記の走査型バックライト機能は、最適化された6原色表示、スペクトル分割立体表示、プライバシースクリーン表示、又はチャネル多重化表示を実施するときに要求されるものに非常に類似している。バックライトの各サブアレイにおいてRGB LEDアレイを少なくとも2セット設けることにより、スペクトルのスイッチングが可能な走査型バックライトが実現される。連続動作が用いられる程度までは、少なくとも2×フレームレートを用いてフリッカを回避すべきである。しかし、色順次式ディスプレイとは異なり、かかる動作においては、色割れ問題は生じないはずである。これは、各フレームが画像のRGB全表現を含んでいるためである。
【0053】
6原色ディスプレイは、拡大色域が有利となるいくつかの重要な用途を有する。色の透過/表示に精度をもたらす手段を組み込んだ場合、かかるディスプレイは、既に非常に重要である。これが最もタイムリーな問題であるのは、インターネット上で特定の製品を正確に売買することができない電子商取引である。これは、従来のディスプレイでは製品の外観の表現が不一致であるか、若しくは正確に表現できないためである。インターネット上で衣料品を販売する際の限界は、既に著しいものとなっている。これは、モニタに表示されるものは、実際の商品と十分に一致したものでないためである。これにより製品の大量返品が発生し、インターネット上での特定の購入に成功することに対して市民の間に不信を招いている。これは、自動車、家具、室内装飾品(例えば、カーテン、カウンター甲板、床材)などについても当てはまる。
【0054】
6原色ディスプレイはまた、次世代の写真撮影を支えるために必要なインフラの重要な一部でもある。6原色撮像が可能な撮像デバイスには、画像印刷技術と表示技術の両方が必要である。電子的に撮像された画像の比較的少量がハードコピーで閲覧されるため、画像品質を犠牲にすることなくかかる画像を表示することは一層重要になるであろう。実際、かかるシステムにより、性能と利便性の両面において、フィルムによる写真撮影よりも電子的撮像が進んだものとなっている。6色カメラにより撮像され、大型スクリーンの6色AMLCDに表示された画像は、ハードコピーの閲覧よりも格段に優れた体験をもたらすべきである。
【0055】
スペクトルエミッタが個別にアドレッシングでき、ディスプレイが十分に高速にスイッチングする限り、本開示のバックライトの実施形態はまた、シーケンシャルカラーディスプレイをサポートすることができる。かかる実施形態では、各画素がフルカラーが可能となるようにCFAを除去する。シーケンシャルカラー動作を用いる多機能ディスプレイをサポートするためのスイッチング速度に対する要求は、当然のことながら大幅に増加する。6色モードで動作する映像ディスプレイは、フリッカを回避するために、360Hzのフィールドレートを必要とすることが多い。しかしながら、かかるディスプレイは、色割れ効果を生じやすく、そのため、フィールドレート要件が更に増加する。
【0056】
プライバシースクリーンモード
本開示の一態様は、直視型ディスプレイにプライバシースクリーンモードの動作を提供することを含む。このモードを用いて、他人が機密情報又は専有情報を閲覧しないようにすることができ、用途としては、例えばモバイルコンピューティングが挙げられる。かかる懸念は、航空機又は電車で移動する職業人の作業を制限する可能性がある。これは、個人的性質の画像又は文章を閲覧するためにも用いることができる。家庭では、プライバシースクリーン表示は、大人が子供には適切でない番組を閲覧するために用いることができる。これはまた、ディスプレイの視界内にいる他人を邪魔せずに、閲覧者が番組を閲覧できるようにするために用いることもできる。後者の場合、邪魔をしないように、音声入力機能付きアイウェアを着用することができる。これにより、例えば、同じ部屋で、1人はテレビ番組を閲覧し、もう1人は読書することができるようになる。
【0057】
プライバシースクリーンモードでは、2セットのスペクトルエミッタ(例えば、R1G1B1及びR2G2B2のLED)を用いて、1次画像と2次画像とを連続的に照らしてよい。R1G1B1スペクトルエミッタによって照らされる1次画像は閲覧を意図しており、R2G2B2スペクトルエミッタによって照らされる2次画像は、自然光で閲覧したときに1次画像を見えなくすることを意図している。自然光での閲覧時に2つの画像の時間平均として中間階調スクリーンが閲覧されるように、2次画像は、1次画像の逆像として合成される。更に、従来の偏光アイウェアで閲覧したとき、スクリーンはコンテンツがないように見える。しかしながら、専用の波長選択アイウェアセットは、2つの画像をデコードすることができる。アイウェアのフィルタは、1次画像のスペクトルだけを主として透過するか、これのみを透過して、2次画像のスペクトルをブロックするよう設計される。
【0058】
プライバシースクリーンモードで用いるアイウェアは、従来の干渉フィルタ技術(共押出フィルムの堆積又は延伸のいずれかにより形成)、ルゲートフィルタ技術、ホログラフィック技術、又は偏光干渉技術により製造することができる。開示する一実施形態では、両レンズは構造が同一であり、直線偏光子が後ろに配置されるリターダスタックが用いられる。本開示の直視型ディスプレイは分析偏光子を提供し得るため、アイウェアには入射偏光子がなくてよい。この偏光子が存在しなければ、いずれのフィルタリング動作も不完全となるので、自然(非偏光)光では、アイウェアは無彩色を表す。(反射が無いことによる)光制御の向上、視野の向上など偏光干渉のその他すべての利点は、長時間にわたって閲覧するのに快適な高コントラストの画像の表示に役立つと考えられる。ディスプレイを50%のデューティ比モードで動作させるため、2次又は1次セットの低スペクトルがリークするなどの側面は、高コントラストを提供するために重要な側面である。プライバシースクリーン用アイウェアを用いない場合、定義により逆像である2次画像ゴーストは、1次画像を強力に消し去る傾向にある。
【0059】
偏光干渉フィルタアイウェアの重要な側面は、均一なリターダスタックが、有限インパルス応答(FIR)フィルタにより実現されたものであるということである。ベースフィルムのリターダンスの増大はサンプリングレートに反比例するので、周波数(波長)領域の振動を増加させる。かかる周期的コム関数は1次セットに従ってスペクトルを分離するために用いられ、FIRフィルタにおいては自然な現象である。参照することにより本明細書に組み込まれる、本発明の譲受人に譲渡された米国特許第5,751,384号に記載されるようなネットワーク統合技術を用いて、所望のエッジ関数及びデューティ比に従ってリターダスタックを設計することができる。リターダスタックの設計法についての更なる詳細は、参照することにより本明細書に組み込まれる、米国特許出願第09/754,091号に更に詳述されている。
【0060】
反対に、無限インパルス応答(IIR)フィルタにより実現されたものである、薄膜干渉フィルタ(Jorkeシステムで用いるために教示されたフィルタなど)では、狭いノッチを実現するために多数の層を必要とし、かつ層厚を非常に厳しく制御して中心波長及び帯端波長についての厳格な許容誤差に適合させなければならない。当然のことながら、複数のノッチは、個別のノッチフィルタの積層を必要とする。多ノッチ干渉フィルタは、50%ポイントに対する許容誤差が厳格に守られるように製造するのは困難であり、高額な選択肢と位置付けられる。更に、かかる高度な波長選択性を有するフィルタは、入射角の影響を受け易い。視野角効果により、2次画像がにじみ出て、見え方のコントラストと均一性を減少させる。
【0061】
多重化画像モード
本開示の別の側面によると、異なるアイウェアセットを着用した複数の閲覧者は、チャネルの時分割多重化を採用した同一ディスプレイ上で異なるマルチメディア画像を独立して閲覧することができる。
【0062】
チャネル多重化表示モードでは、2チャネルからの、時間平均重畳された画像が自然光で観察される。第1閲覧者は、原色光R1G1B1を用いて第1色域で表示される画像を通過させる第1アイウェアセットを着用する。第2閲覧者は、原色光R2G2B2を用いて第2色域で表示される画像を通過させる第2アイウェアセットを着用する。したがって、それぞれのアイウェアを通して、第1閲覧者は、第1色域に対応する画像を観察し、第2閲覧者は、第2色域に対応する画像を観察する。フィルタを介して観察される画像においてスペクトルが重なっていない程度に、他方のチャネルのゴースト画像は観察されないはずである。ディスプレイを120Hzで動作させると、各閲覧者は、60Hzで50%のデューティサイクルの画像をそれぞれ閲覧する。したがって、例えば、多重化画像モードの用途として、同一の直視型ディスプレイ上で2つのテレビチャネルを、各チャネルがスクリーン全体に表示された状態で閲覧することが可能となる。別の用途として、第1閲覧者がテレビを閲覧しつつ、第2の閲覧者がインターネットサーフィンを行うことが可能となる。第3の用途として、第1ビデオゲームプレーヤがマルチプレーヤビデオゲームの第1表示画像を閲覧しつつ、第2プレーヤが第2表示画像を閲覧することが可能となる。当然のことながら、他の多様な用途において多重化画像モードを利用してよいことは明らかである。
【0063】
立体画像モード
立体画像は、2Dディスプレイ上で奥行きを有する表現を生成するために用いられる。本開示は、マイクロ偏光子アレイなど他のいくつかの立体表示法と異なり、空間分解能が失われない三次元画像を提供する。フリッカ効果を回避するために十分な速度でディスプレイを動作させることができるのであれば、優れた3D体験を実現することができる。
【0064】
慎重にバックライトを設計することにより、2D性能をほとんど劣化させることなく、高品質な3Dディスプレイを、最低限のハードウェアを追加することにより実施することができる。本開示による立体表示は、上述のプライバシースクリーン表示又は拡大色域6原色表示と同様の形式で実行される。立体結像モードでは、(上述したように)第1セット及び第2セットのスペクトルエミッタを有するバックライトの作用により、(好ましくは)実質的に重ならないスペクトル成分を有する、左右の視野像を表す第1画像及び第2画像が順次に提示される。これらの視野は、自然光で閲覧した場合、ディスプレイ上に重なって表される。適切なアイウェアセットを用いることにより、右側レンズにより左側視野がブロックされ、左側レンズにより右側視野がブロックされるように、画像がデコードされる。上述したように、これは、原則として多数の技術を用いることにより実現可能である。しかしながら、上述した側面において、偏光干渉フィルタ技術がその他の技術よりも優れている。
【0065】
記載する立体表示の実施形態では、偏光干渉アイウェアを用いて、画像の左側視野と右側視野とを分離する。かかるアイウェアのレンズは、後ろに分析偏光子が配置される、直線リターダフィルムのスタックを有する。記載される実施形態によると、第1レンズの偏光子に平行に方向付けられ、第2レンズの偏光子に交差するAMLCDの分析偏光子によって、直線偏光出力がもたらされる。リターダスタックの設計は、第1レンズ及び第2レンズにおいて同一である。更に、リターダスタックの設計、特にデューティ比は、各目に対する光結合を最大化し、(画像のクロストークを発生させる)レンズ間でのスペクトルの重なりが最少化されるように選択される。
【0066】
アイウェア設計に関する考慮事項
上述したプライバシースクリーン用アイウェアとは異なり、立体表示用アイウェアは、各目に対して順次的に異なる画像を交互に提示するために用いられる。構造面については、このアイウェアはほぼ上述したとおりである。しかしながら、立体画像閲覧用途については、左側フィルタ及び右側フィルタのそれぞれに対応するスペクトルは、光源と同様に、実質的に重ならない。(ソフトウェアによる補正を無視した場合)ゴースト画像が出現する程度は、主としてフィルタのダイナミックレンジ及びLED(又は他のスペクトルエミッタ)発光の近辺のフィルタのスペクトルが重なる程度に依存する。光源の発光(レーザーが最良であり、超共振LEDが次に良い)が狭い範囲であるほど、アイウェアに求められるフィルタリング動作に対する要求は低くなる。概して、広いダイナミックレンジが望ましいが、精選された光源は、フィルタの遷移勾配を緩和することができる。実際には、この緩和の程度は、製造時の発光中心波長の許容誤差により決定される。したがって、超共振LEDをスペクトルエミッタとして用いることは、上記の設計要素に対処する、良い妥協的な解決策である。
【0067】
立体表示アイウェアの実施形態は、同一のリターダ値を用いて、左側フィルタ及び右側フィルタにリターダスタックを用いることを含む。参照することにより組み込まれる、本発明の譲受人に譲渡された米国特許第5,751,384号に記載されるようなネットワーク統合技術を用いて、各レンズのデューティ比を選択することができる。
図4Iを再び参照すると、このグラフは、第1セット及び第2セットのスペクトルエミッタによりそれぞれ照らされた第1画像及び第2画像を観察するための第1及び第2の偏光干渉フィルタを含む実施形態の透過プロファイルを示している。各フィルタのプロファイルは、平坦な通過帯域及び阻止帯域を含む、一連の急な遷移勾配を有する。本開示によると、各レンズのスペクトルプロファイルのデューティ比は、スペクトルの重なり程度を制御するように選択されてよい。左側画像の平行偏光子スペクトルに右側画像の交差偏光子スペクトルを重ねられると、一定の重なり要素が保証される。これは、各スタックに同一のリターダフィルムを用いることに、力の保存則(principles of conservation of power)が組み合わさった結果である。
【0068】
かかる偏光干渉アイウェアレンズは、従来の3D偏光レンズと非常によく似ており、外観上は無彩色である。これは、リターダスタックが自然光においては完全に透明であるからである。この点において、閲覧者は、当人を見るどの人にとっても、左右が一致した無彩色のアイウェアを着用しているように見えるであろう。着用者には、自然界は各レンズを通して同様に見えるが、主として偏光入射を見たとき、又はこれを見たときのみ異なって見える。したがって、ディスプレイの閲覧時、レンズは、(レンズのフィルタリング動作を無視すると)ほぼ挿入損失なしに、周囲環境の明度を50%低下させるように作用する。現在の高性能直線偏光子を用いると、偏光光の内部挿入損失は緑色では約6%だけである。
【0069】
本開示の実施形態によると、偏光干渉によりもたらされる高度に選択的なスペクトルフィルタリング作用を有する吸収ベースのアイウェアを用いて、快適性、透視性、明度、及びクロストークにおいて最適な性能を得ることができる。更に、視野角効果を最少化するために、レンズを円筒形に形成することができ、又は更には複合曲率を有するように熱成形することができる。更に、二軸延伸リターダフィルムをベースとするリターダスタックは、実質的に入射角によるスペクトル偏移に影響されない。無限遠点はユーザと共に移動しないので、アイウェアの使用は、フルサラウンド3Dにおける頭部追跡にも役立つことができる。
【0070】
前述したように、いくつかの実施形態では、直線偏光出力をもたらすディスプレイを用いる場合、各フィルタに入射偏光子はなくてよく、したがって各フィルタには、1つの、唯一の偏光子が存在する。各フィルタに入射偏光子を付加することにより、スループットが若干低下するが、自然界の見え方に効果を与えることもある(入射偏光子を有するかかるフィルタは、本出願の譲受人に譲渡された米国特許第7,106,509号によって教示され、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる)。これは、各フィルタを通して観察された輝度及び/又は色度の差異の形態を取り得る。閲覧者の目には、表示画像及び周囲環境の一部の両方が入り込むので、各フィルタを通して観察される差異により注意が逸らされる場合がある。更に、1つにはスペクトルが異なる多数の周辺光条件(例えば、太陽光、蛍光光、白色光など)の下で立体表示を見ることができるという理由で、かかる差異を補正することは困難である。表示画像の条件は慎重に制御できるが、各フィルタを通して観察したときの自然界の相対的な現れ方は著しく変化し得る。したがって、あらゆる周辺光条件の下で色度及び輝度が整合する左側/右側のフィルタシステムを提供することが望ましいであろう。ディスプレイの閲覧時に、各目によって観察される白点の色度及び輝度が整合するようにR1G1B1及びR2G2B2のスペクトル発光を変化させることにより、自然界では不可能な入念な補正を行うことができる。自然界が実質的に偏光されていない限り、各フィルタの入射偏光子を省くことにより、これらの状態が最も発生しやすくなる。
【0071】
偏光干渉アイウェアの有利な側面は、コントラストの強化である。適切な原色光セット(例えば、R1G1B1、又はR2G2B2)だけが通過できるように光をフィルタリングすることには、周囲の光源からディスプレイへ入射する広帯域のグレアを除去する効果を有する。入射偏光子を各レンズに付加することにより、無彩色の外観は失われるが、直交偏光をブロックしてグレアを排斥することによりコントラストが更に向上する利点を有する。加えて、入射偏光子により、画像クロストークに対する頭部傾斜による影響が最小化される。この場合、頭部傾斜は、主としてディスプレイの明度を下げるように作用する。
【0072】
2次偏光子を付加せずに頭部傾斜による影響を低下させる技術は、1/4波長リターダ(又は円形リターダ)をディスプレイ及びアイウェアの両方に設置することである。ディスプレイの偏光子に対して45度に方向付けた1/4リターダは、特定の掌性を有する実質的な円偏光を生成する。アイウェア上で−45度に方向付けた、対応する1/4波長の2次リターダは、前者による偏光を打ち消す効果を有する。線形座標系から準円形座標系への変換により、頭部傾斜による影響での1次排除が生じる。0次波長リターダについては、好ましくは位相差値を密接に適合させてゴースト画像を最少化する。
【0073】
別の実施形態では、上述したように1/4波長リターダをディスプレイ及びアイウェアの両方に設け、アイウェア上に入射偏光子を付加する。これにより、クロストークは最少化され、頭部傾斜によるスループットの影響が実質的に減少する。かかるアイウェアは、各目のレンズを一致させる、上述のプライバシースクリーン表示には特に適するであろう。左目及び右目のフィルタが一致する場合(例えば、プライバシースクリーンモード及び多重化表示モードの場合)、自然界の見え方との違いという好ましくない効果は生じない。
【0074】
前述において、多機能ディスプレイに関する考慮事項を説明する目的で様々な実施形態を提示した。そこでは、様々な動作モードが可能である多機能ディスプレイは、単一のバックライトにより可能であることを示した。更に、多機能ディスプレイを実施するには、ディスプレイコストを増加させる特別なフィルム若しくは変調器は不要であることを示した。(例えば)立体モードでの動作時にバランスの取れた出力を実現するためにLEDバックライト設計を選択するには、多数の要因が関与する。明らかに、この実施例は、明所視応答が長波長の赤色出力要件にとって重要であることを示しており、おそらく中心での青色偏移を主張している。現実には、(発光波長に対する)スペクトルエミッタのコスト、スペクトルの拡大、中心周波数及びピーク出力の実現可能性、寿命(及び寿命期間における変化)、熱管理、LEDの種類ごとの数などの多数の要因のすべてが設計における重要な実際的考慮事項である。
【0075】
前述したように、立体視ディスプレイ及び多視点ディスプレイは、例えば、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第8,233,034号(表題「Multi−functional active matrix liquid crystal displays」、Sharp and Robinson)に概して記載されるように、多原色の順次バックライトを提供することにより製造できる。発光ダイオード(LED)光源で選択できる中心波長は限られているが、広いスペクトル帯域幅を有する。これはいずれも、技術上の制約によるものである。立体視でのクロストークを低く抑え、広い色域を実現するには、中心波長を調整した、狭帯域光源が望ましい。
【0076】
本開示によると、光学構造はディスプレイに光を供給することができる。この光学構造は、照明を透過するように作動する励起源と、励起源からの照明を受け取るように作動し、実質的に第1波長帯域の光を透過するように作動し、実質的に第2波長帯域の光を反射するように作動する入力フィルタと、を含んでよい。この光学構造はまた、複数のエミッタを有するエミッタ領域を含んでよく、エミッタ領域は、少なくとも第1波長帯域の光を受け取るように作動し、複数のエミッタは、少なくとも第1波長帯域の光によって励起され、第3波長帯域の光を放射するように作動し、出力フィルタは、少なくともエミッタ領域からの第3波長帯域の光を受け取るように作動し、第4波長帯域の光の帯域幅が第3波長帯域の光の帯域幅よりも狭い、少なくとも第4波長帯域の光を出力するように作動する。複数のエミッタは、入力フィルタから受け取る光よりも長い波長で光を放射するように調整されてよい。
【0077】
入力フィルタ及び出力フィルタのいずれか1つ、又は両方は、ダイクロイックフィルタであってよい。入力フィルタ、エミッタ領域、及び出力フィルタは、キャビティによって完全に、又は部分的に囲まれていてよく、このキャビティは、励起源からの照明を受け取るように作動してよい。キャビティは、白色内壁又は金属化内壁のうちの少なくとも1つを含んでよい。
【0078】
光学構造はまた、エミッタ領域からの照明を受け取るように作動する角度減少素子を含んでよく、角度減少素子はプリズムテープであってよい。光学構造はまた、少なくとも励起源からの照明を受け取るように作動し、ライトパイプ又は複合放物集光器のうちの1つであってよい、角度変換非結像光学系を含んでよい。加えて、光学構造は、出力フィルタからの光を受け取るように作動する、角度増加素子を含んでよい。光学構造では、出力フィルタと少なくとも第1導光板との間に光学スペーサが配置されてよい。更に、励起源と入力フィルタとの間に積分器が配置されてよい。
【0079】
光学構造はディスプレイに光をもたらしてよく、ディスプレイは立体画像のアドレッシングを受け取ってよい。第1導光板及び第2導光板は、左側画像及び右側画像が分光された光源によって照らされ得るようにスクロールされてよい。
【0080】
また、本開示によると、ディスプレイのバックライティング方法は、照明光源から少なくとも第1波長帯域の光を供給することと、入力フィルタにおいて第1波長帯域の光を受け取り、入力フィルタを介して第1波長帯域の光を透過することと、エミッタ領域において第1波長帯域の光を受け取り、エミッタ領域内の複数のエミッタを励起し、これによって、少なくとも第2波長帯域の光を生じさせ、エミッタ領域を介して第1波長帯域の光の少なくとも一部を透過することと、を含んでよい。この方法はまた、出力フィルタにおいて少なくとも第2波長帯域の光を受け取り、第3波長帯域の光の帯域幅が少なくとも第2波長の光の帯域幅よりも狭い、第3波長帯域の光を出力することを含んでよい。この方法は、出力フィルタにおいてエミッタ領域からの第1波長帯域の光の少なくとも一部を受け取り、第4波長帯の光を透過することを更に含み、第4波長帯域の光の帯域幅はエミッタ領域からの第1波長帯域の光よりも狭い。入力フィルタは、エミッタ領域によって生じた第3波長の光を受け取ってよい。第3波長帯域の帯域幅外の波長は、エミッタ領域に向けて戻るように入力フィルタによって方向付けられてよい。
【0081】
説明を続けると、ディスプレイのバックライティング方法は、エミッタ領域において第3波長の光の帯域幅外の波長の光を受け取ることを含み、これにより、エミッタ領域内の複数のエミッタが励起され、第3波長の光の帯域幅内の光を生じさせてよい。第3波長の光は、出力フィルタ向けて戻るように方向付けられてよい。出力フィルタは、少なくとも第1導光板へと光を方向付けて、ディスプレイに立体画像をアドレッシングしてよい。導光板は、ディスプレイ上の第1画像及び第2画像が分光された光源によって照らされるようにスクロールされてよい。右側画像及び左側画像は、高コントラストを得るために、ディスプレイスイッチング期間中に照明の暗帯によって分離されてよい。
【0082】
本開示に更に付け加えると、立体視用アイウェア及び出力フィルタ内に隣接する通過帯域を配置してよく、出力フィルタの通過帯域は立体視用アイウェアの通過帯域に対して赤方偏移している。
【0083】
本明細書では概して、狭帯域かつ極めて色飽和した液晶ディスプレイバックライトの光源として、光学構造を記載している。光学構造の光源としては、青色LEDなど励起源が挙げられてよい。励起源は、本明細書において青色LEDとして記載され得るが、励起源は、エミッタ領域内の複数のエミッタを励起する適切なエネルギーを有する任意の光源であってよい。また、用語「励起源」、「光源」、及び「照明光源」は、限定するためではなく、説明のみを目的として本明細書において同じ意味で用いられる。
【0084】
光学構造は導光板に光をもたらしてよく、液晶ディスプレイのバックライトとして用いられてよい。一実施例では、複数の光学構造は2セットの色、例えば、R1G1B1及びR2G2B2を生じさせてよく、これらは、バックライト付き立体液晶ディスプレイで用いられてよい。光学構造を用いることにより、光学構造へと戻る、より広い帯域幅の光を再利用して、より明るいバックライト構造を製造することができる。
【0085】
一実施形態では、LEDなど励起源と共に量子ドットが用いられて、バックライトに用いる、調整された、狭帯域光源を成してよく、広い色域及び立体視での低いクロストークをもたらす。量子ドット又は蛍光体は、特定の適切な中心波長及び狭スペクトル分布を有するように設計された複数のエミッタであってよい。量子ドットエミッタ及び補助光源は、多機能ディスプレイに用いられ得る、適切なスペクトルエミッタグループを形成することができる。一実施例では、形成され得るスペクトルエミッタグループは、R1G1B1及びR2G2B2であってよい。補助光源としては、LED、レーザー、半導体レーザー、半導体光源、及びこれらの組み合わせなどが挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0086】
光学構造は、入力フィルタと、エミッタ領域と、出力フィルタと、を含んでよい。この光学構造は、ディスプレイでのより広い色域を実現するために、より多くの飽和色を生じさせてよい。更に、光学構造は、光学構造へと戻る、より広い帯域幅の光を再利用して、より明るいバックライト構造を製造することができる。光の再利用については、本明細書で詳述する。
【0087】
一実施例では、出力フィルタは、ある帯域の波長、例えば、λ
青色1+/−Δλ
青色1を透過し、別の帯域の波長、例えば、λ
黄色1+/−Δλ
黄色1を反射してよい。エミッタ領域は、蛍光体又は量子ドットなどエミッタ材料を含んでよく、λ
青色1+/−Δλ
青色1など短波長光によって励起されてよい。続いて、複数のエミッタ又はエミッタ材料は、λ
緑色1+/−Δλ
緑色1及び/又はλ
赤色1+/−Δλ
赤色1など1つ以上の特定のより長い波長で光を放射するように調整されてよい。更に、出力フィルタは、例えば、λ
青色1+/−Δλ
青色11、λ
緑色1+/−Δλ
緑色11、及び/又はλ
赤色1+/−Δλ
赤色11)など1つ以上の帯域の波長を透過してよい。透過光の帯域幅は、入力光よりも実質的に狭くてよい。狭帯域外の光又は波長は、エミッタ領域及び入力フィルタに向けて戻るように出力フィルタによって反射されてよい。したがって、この光は、エミッタ領域内のエミッタ材料を励起し、出力フィルタを透過できる光を生じさせてよい。加えて、エミッタ領域から生じ、入力フィルタに向けて戻るように移動する光は、入力フィルタによって出力フィルタに向けて反射されて、出力光の明度を実質的に向上してよい。
【0088】
光学構造の入力フィルタ及び/又は出力フィルタは、薄膜形成技術を使用して構成されたダイクロイックフィルタであってよい。光学構造の一部は、反射キャビティ内に含まれてよい。反射キャビティは、エミッタ領域内の励起光を増加させ、本明細書の少なくとも
図16に関して示し、記載するように、出力フィルタを出射する光量を増加させるために白色壁又は金属化壁を有してよい。
【0089】
概して、積分器は、LEDなど励起源と入力フィルタとの間に配置されて、少なくとも
図15に関して示し、記載するように、エミッタ領域に達する前に励起光を実質的に均質化してよい。積分器は、白色壁のキャビティ、ライトパイプ、及び/又は拡散器(本明細書で詳述する)であってよい。
【0090】
角度減少素子は、光学構造内に含まれてよい。この角度減少素子(angle reducing angle)は、3M BEF IIテープなど任意の種類のプリズムテープであってよい。概して、角度減少光学素子は、プリズムフィルム、成形構造体、円柱レンズアレイ、球面レンズアレイ、これらの任意の組み合わせなどであってよい。角度変換素子はまた、光学構造内に含まれてよい。角度変換素子は、テーパー状ライトパイプ又は複合放物集光器など非結像光学系であってよい。角度変換素子は、少なくとも
図15に示し、本明細書に記載するように、エミッタ領域と出力フィルタとの間に配置されて、フィルタのカットオフ転移角が小さくなるようにフィルタ面における光の入射角を制御してよい。
【0091】
光学構造はまた、角度増加素子を含んでよい。角度増加素子は、単独としての拡散フィルム、光学粗面、レンチキュラレンズフィルム、又はこれらの組み合わせなどのうちのいずれかであってよい。角度増加素子は、本明細書の少なくとも
図15に関して示し、記載するように、出力フィルタの後ろに配置されて、バックライトの導光板部分に入射する光の均一性を向上してよい。
【0092】
光学構造内には、光学スペーサも含まれてよい。光学スペーサは、光学的に厚いプレートであってよく、出力フィルタと導光板との間に含まれて、導光板の側部に沿って光学構造と実質的にシームレスに隣接できるようにしてよい。これは、本明細書の少なくとも
図19に関して示し、記載する。
【0093】
光学構造は、導光板及びディスプレイの照明光源として用いられてよい。ディスプレイは多機能ディスプレイであってよく、2D画像又は立体画像を表示してよい。この光学構造を使用すると、立体画像がディスプレイ又はLCDにアドレッシングされてよく、LCD及びバックライトは、LCD上の左目画像又は右目画像が分光された光源によって照らされるようにスクロールされてよい。これらの分光された光源は、別個の光学構造によってもたらされてよい。別個の光学構造は、導光板に光をもたらしてよい。ある光学構造は、1つ以上の導光板に光をもたらしてよく、1つ以上の光学構造は、1つの導光板に光をもたらしてよく、又は、任意の数の光学構造は任意の数の導光板に光をもたらしてよい。左目画像及び右目画像は、本明細書の少なくとも
図20に示し、記載するように、高コントラスト及び低立体視クロストークを得るために、LCスイッチング期間中に照明の暗帯によって分離されてよい。別個の2つ以上の光学構造は、少なくとも2セットの色、例えば、R1G1B1及びR2G2B2を生じさせてよい。これらの光学構造は、少なくとも
図20に関して示し、記載するように、バックライト付き立体液晶ディスプレイに用いられてよい。
【0094】
一実施例では、スペクトル的に異なる光学構造が同一の導光板を照明してよく、時系列法で駆動されて、液晶ディスプレイパネルに順次送られ得る左目画像及び右目画像と同期して導光板を照らしてよい。これは、少なくとも
図20に関して示し、記載する。
【0095】
立体システムについて更に付け加えると、立体視用アイウェア内の隣接する通過帯域と出力フィルタとの間にスペクトル間隙を配置してよい。スペクトル間隙は、約5ナノメートルであってよい。出力フィルタの通過帯域は、少なくとも
図17に関して示し、記載するように、アイウェアの通過帯域に対して赤方偏移していて、出力フィルタにおける、広い範囲の光入射角にわたって低立体視クロストークをもたらしてよい。
【0096】
図10に示すように、各スペクトルエミッタグループの光源及び量子ドットは、導光板(LGP)の両端において縦積みされてよい。
図10は、バックライト構造の一実施形態を示す概略図である。
図10のバックライト構造1005は、光源1000と、通過フィルタ1010と、エミッタ領域1020と、調整フィルタ1030と、拡散器1040と、導光板1050と、を含む。光源1000、並びに通過フィルタ1010、エミッタ領域1020、調整フィルタ(tri filter)1030、拡散器1040は、LGPの両端に配置されて、任意の特定の画像フレーム中に両側からLGPを照らしてよく、したがって、より均一な照明光源をもたらす。光源1000は、
図10においてLEDとして示し、本明細書においてLEDとして記載するが、光源1000は、LED、レーザー、半導体レーザー、半導体照明光源、これらの任意の組み合わせなどを含むが、これらに限定されない、任意の適切な光源であってよい。
図10では、通過フィルタ1010、エミッタ領域1020、及び調整フィルタ1030は、キャビティ内に含まれてよい。キャビティについては、本明細書に詳述する。
【0097】
図10についての説明を続けると、光源1000は、波長帯を透過し得る、通過フィルタ1010に照明をもたらしてよい。一実施例では、通過フィルタ1010は青色通過フィルタであってよい。通過フィルタ1010は、適切な波長をもたらす、任意の適切なフィルタであってよい。更に、通過フィルタ又は通過帯域フィルタは、第1波長帯域を透過するように作動し、第2波長帯域を反射するように作動する、任意の入力フィルタであってよい。一実施例では、短波長光がエミッタ領域にもたらされ、エミッタ領域内の複数のエミッタ又はエミッタ材料に対する励起源として機能するように作動してよい。この実施例では、透過波長帯域は、400〜480nmの適切な範囲であってよく、反射波長は、480〜700nmの適切な範囲であってよい。次いで、透過された波長又は波長帯域は、エミッタ領域にもたらされてよい。この波長帯域は、エミッタ材料を励起するように作動してよい。エミッタ材料は、蛍光体又は量子ドットであってよく、短波長光によって励起されてよい。更に、複数のエミッタは、1つ以上の予め定められた波長で光を放射するように調整されてよく、この1つ以上の予め定められた波長は、励起波長よりも長くてよい。量子ドットはまた、本明細書において「QR」又は量子レール(quantum rail)と示される、及び/又は呼ばれる。加えて、用語「エミッタ」及び「エミッタ材料」は、本明細書において同じ意味で使用され得る。出力フィルタは、1つ以上の波長を透過するように作動してよく、透過された波長は、入力光の波長よりも狭い帯域幅を有してよい。
【0098】
この波長帯域がエミッタ領域にもたらされると、複数のエミッタは、短波長光によって励起されてよく、バックライトにとって適切な波長又は波長帯域又は色を生じさせる。この波長帯域は、所望の狭帯域よりも広くてよく、したがって調整フィルタ1030を用いてよい。調整フィルタは、エミッタ領域から受け取った発光波長帯域をLPGによって用いられる適切な狭波長帯域へと狭小化するように作動してよい。一部の波長は、調整フィルタを透過する、適切な狭波長帯域内ではないために、調整フィルタを通過しないことがある。狭帯域外のこれらの波長は、「色の再利用」が行われ、反射して放射領域へと戻されてよく、放射領域内の複数のエミッタを励起して光を更に生じさせるように作動してよい。この光は、出射して調整フィルタに戻ってよい。
【0099】
図10に示すように、LGP入射面において、拡散器又は均一性制御フィルム1040(3M Corporationによって提供される均一性フィルムなど)は、LPG内部での入射角の(AOIの)照明を増加させるために、LGPによって、空間を置いて付近に配置される、隣接する、取り付けられる、合わせて成形される、これらの任意の組み合わせなどであってよい。これにより、短光路にわたってLGB内部における、実質的に均一な照明分布が可能になる。拡散器1040は、バックライトに対して任意の素子であってよい。
【0100】
図10に示すように、通過フィルタ1010は、接着剤1060によってエミッタ領域1020に取り付けられてよい。同様に、エミッタ領域1020は、調整フィルタ1030に取り付けられてよく、拡散器1040は、接着剤1060を介してLGPに取り付けられてよい。接着剤は、感圧接着剤テープ、エポキシ、紫外線接着剤、任意のこれらの組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されない、任意の適切な接着剤であってよい。
図10では、通過フィルタとエミッタ領域との間、エミッタ領域と調整フィルタとの間、及び拡散器とLGPとの間の接着剤がすべて1060と表記されているが、これらは、同一接着剤であっても、そうでなくてもよいことに留意されたい。
【0101】
図10は、照明光源を含むLEDを9つのみ示しているが、これよりも少ない光源又は多い光源が照明光源を含んでよい。同様に、3つの導光パネルが存在するが、必要に応じてこれよりも多いLGP又は少ないLGPが用いられてよい。量子レール及び通過フィルタは、限定ではなく、例示のみを目的として3素子として示されている。光学構造には任意の数の量子レールが存在してよい。量子レールの数は、主としてパネルの垂直解像度(例えば1920×1080)に関連してよい。一実施形態では、10未満の量子レールが光学構造で用いられてよい。加えて、
図10では、量子レールと通過フィルタとの間に断絶部が示されているが、これは例示のみを目的としており、限定するものではない。光学構造では、断絶部が存在し得るが、均一性を著しく損なうことはないであろう。
図11は、
図10に類似の、バックライト構造の別の実施形態を示す概略図である。
図11に示すように、バックライト構造1105の別の実施形態は、照明光源1100と、通過フィルタ1110と、放射領域1120と、プリズムフィルム1125と、調整フィルタ1130と、拡散器1140と、LGP 1150と、を含む。
図10と同様に、バックライト構造1105はまた、接着剤1160を含む。
【0102】
図11に示すように、プリズムフィルム1125(3M Corporationによって提供されるBEFフィルムなど)は、量子ドットと調整フィルタとの間に配置されて、調整フィルタを通る入射角を制御してよい。量子ドット(he quantum dots)又は放射領域1120及び通過フィルタ1110は、プリズムフィルムの入射面に組み込まれてよく、同様に、調整フィルタ1130は、プリズムフィルムの出射面に組み込まれてよい。例えば、コーティング用に別個のプレートを作製するのではなく、プリズム構造上にコーティングを被覆してよい。放射領域1120及び通過フィルタ110、並びに/又は調整フィルタ1130のいずれか1つ又は両方を、プリズムフィルムの入射面及び出射面にそれぞれ組み込んでよい。
【0103】
更に別の実施形態では、調整フィルタは、ダイクロイックフィルタ又はポリマーフィルタであってよく、バックライト構造に追加されて、特定の色帯での放射を更に狭小化してよく、したがって、
図10及び11に示すように、非飽和色及び立体視クロストークをもたらす望ましくない放射を阻止ししてよい。調整フィルタが導光板の一端に配置される場合、これはまた、LGPの反対側に配置された他のスペクトルエミッタグループの放射を実質的に反射して導光板へと戻すように作動してよく、したがって、非飽和色及び立体視クロストークをもたらす望ましくない放射を阻止する。
【0104】
LCDの色フィルタアレイを厚くすると、狭帯域放射を向上し、隣接色又は近辺色が対象の色を非飽和にしないようにすることもできる。
【0105】
図10及び11の両方に示すように、通過帯域フィルタは、励起又は照明光源と放射領域又は量子ドットとの間に配置されてよい。通過帯域フィルタは、量子ドットから放射される光を実質的に励起源から遠ざけて、導光板に向かうように反射するように機能してよい。更に、通過帯域フィルタは、第1波長帯域を透過するように作動し、第2波長帯域を反射するように作動する、任意の入力フィルタであってよい。励起源は青色又は紫外線であってよいが、一実施例では、励起源は青色LEDであってよい。概して、蛍光体及び量子ドットにとって適切な励起波長は、放射波長よりも低くてよい。
【0106】
ダイクロイック調整フィルタの透過は、フィルタに入射する光の入射角(AOI)に依存してよい。透過帯域は、AOIが増加するにつれてスペクトルの青色部分に向けて偏移してよい。これにより、両目の視野間で立体視クロストークが生じ得る。非結像光学系(NIO)は、
図12に示すように、実質的に等方放射する量子ドットと調整フィルタとの間に挿入されて、高AOI源から低AOI源へと放射を移行させ、それによって立体コントラストを向上させてよい。
【0107】
図12は、バックライト構造1205の別の実施形態を示す概略図である。
図12に示すように、バックライト構造1205は、照明光源1200と、通過フィルタ1210と、放射領域1220と、非結像光学系1225と、調整フィルタ1230と、拡散器1240と、LPG 1250と、を含む。
図10及び11と同様に、バックライト構造1205はまた、接着剤1260を含む。NIOは、テーパー状ライトパイプ、複合放物集光器(CPC)、レンズ、これらの任意の組み合わせなどの形態であり得るが、これらに限定されるものではない。テーパー状ライトパイプ又はCPCの場合、テーパーは、一次元又は二次元であってよく、この構造は、ガラス、プラスチック、又は空気で充填されてよい。NIOが一次元のテーパー状である場合、NIOの出力においてほぼ直交次元にある光の角度は、NIOの出射面に成形されたプリズム構造で主として制御される。また、
図12に示すように、放射領域又は量子ドット1220は、NIOに組み込まれてよい。
図12では、調整フィルタとNIOとの間に間隙が示されている。調整フィルタ及びNIOは、相当量の光がNIOからフィルタへと通過し得るように突き合わせ結合されてよい。あるいは、調整フィルタとNIOとの間に接着剤層が存在してよい。
【0108】
通過フィルタは、各NIOに対して1つの通過フィルタが個別素子として示されているが、通過フィルタは、2つ、3つなどの入力領域、又はすべてのNIOを対象とするより大きいフィルタであってよい。反対に、調整フィルタ及び拡散器又は均一性テープは
図12で単一要素として示すが、調整フィルタ及び拡散器は、複数要素であってよい。
【0109】
図13は、非結像光学素子の実施形態を示す概略図である。
図13に示すように、量子ドット又はエミッタ領域1320、調整フィルタ1330、及び青色フィルタ1310は、NIO構造1325にそれぞれ組み込まれてよい。換言すると、青色フィルタ及び調整フィルタは、それぞれNIOの入射面及び出射面にコーティングされてよい。例えば、量子ドット、調整フィルタ、及び青色フィルタは、量子ドット材料にキャビティをもたらすか、
図13に示すようにNIOの出射面又は入射面に直接コーティングすることにより組み込まれてよい。
図13では、通過フィルタ1310は、NIO 1325の入射面をコーティングすることにより作製されてよく、調整フィルタ1330は、NIOの出射面及び/又はファセットをコーティングすることにより作製されてよい。
【0110】
NIOに組み込まれている量子ドットの場合、量子ドットは、ライトパイプをコーティングするか、白色の外側をオーバーモールドすることにより形成されたキャビティ内に組み込まれてよい。ここでは、NIOのテーパー状端部にある、又はその付近にある一面は、実質的に励起源に向いており、別の出射面は実質的にNIOの角度変換部、例えば、
図13に示すようにテーパー状ライトパイプの幅広端部に向いている。
図13に示すように、キャビティ1380は、白色にコーティングされるか、オーバーモールドされてよいが、ライトパイプ1390のテーパー状領域はコーティングされていなくてよい。キャビティは、白色材料でコーティングされて、等方放射する量子ドットからの放射を反射し、散乱させて放射材料へと戻してよい。加えて、ライトパイプのテーパー状領域はコーティングされておらず、全反射を用いることによりライトパイプ内で入射角を維持し、反射を高めてよい。NIOは、光学構造内で角度変換素子として機能してよい。
【0111】
LGPを出射する不均一照明の実施例では、
図14に示すように、LCD透過は(電子的に)漸減して不均一な照明を補償し、均一に照らされた画像をもたらしてよい。
図14は、漸減する照明が補償されたLCD透過の実施形態を示す概略図である。
図14の実施例に示すように、導光板1450は、不均一な照明をもたらしてよい。この実施例では、導光板1450は、A側に少ない照明をもたらしてよく、B側に多くの照明をもたらしてよい。この不均一な照明を補償するために、LCD 1455は、量子的に漸減してよく、C側に高い透過レベルをもたらし、D側に低い透過レベルをもたらしてよい。結果として、LCDディスプレイは実質的に均一に表示し得る。
【0112】
図16は、白色キャビティアセンブリの一実施形態を示す概略図である。これまでの図と同様に、
図16には、照明光源1600と、第2拡散器1603と、通過フィルタ1610と、量子レール1620と、プリズムフィルタ1625と、調整フィルタ1630と、拡散器1640と、が含まれる。
図16にはまた、キャビティ1602及びスペーサ領域1635が含まれる。スペーサ領域1635により、付近のキャビティアセンブリがスペーサ端部において隣接し、スペーサ面全体で実質的に均一の照明を提供できる。照明光源1600、第2拡散器1603、通過フィルタ1610、量子レール1620、プリズムフィルタ1625、調整フィルタ1630、及び拡散器1640は、キャビティ1602内に含まれてよい。キャビティ1602は、エミッタ領域において励起光を増加させ、出力フィルタを出射する光量を増加するために、白色又は金属化キャビティ壁、銀色壁、これらの任意の組み合わせなどを有し得る反射キャビティであってよい。更に、量子レールの端壁はまた、光が実質的にリークしないように反射、白色、及び/又は金属化壁であってよい。一方、残りの量子レールは透過性のままであってよい。照明光源のごく一部、具体的には、
図16のLEDがキャビティ1602内に含まれているが、照明光源のすべてがキャビティ1602内に含まれていてよいか、光源がキャビティ1602の外にあって、光はキャビティ1602に結合されてよい。
【0113】
多機能ディスプレイからの画像、例えば、立体画像をデコードするためのアイウェアは、ダイクロイックフィルタ又はスペクトル依存性偏光制御フィルタのポリマースタックを実装してよい。
図17に示す一実施例では、スペクトル間隙(例えば、約5nm)が、立体視用アイウェア内の隣接する通過帯域とバックライト構造の出力フィルタとの間に配置されてよい。
図17は、調整フィルタとアイウェアとの波長間隙を示すグラフである。出力フィルタの通過帯域又はバックライト構造の調整フィルタは、アイウェアの通過帯域に対して赤方偏移していて、出力フィルタにおける、広い範囲の光入射角にわたって低立体視クロストークをもたらしてよい。
【0114】
本明細書に記載するように、多機能LCDディスプレイ用バックライトは、広い色域及び高い立体コントラストを含んでよい。加えて、向上した光効率、高い色補正効率、及び良好な左右の輝度バランスを実現し得る。
【0115】
一実施形態では、光学構造は、液晶ディスプレイバックライト用の狭帯域の高色飽和光源又は一般照明、例えば精密な色彩照明であってよい。この光学構造を用いて、より広い表示色域を得るためにより多くの飽和色を生じさせてよく、また、これを用いて、より広い帯域幅の光を再利用して光学構造に戻すことによって、より明るいバックライト構造を製造してよい。
図18に示すように、光学構造は、少なくとも励起源、例えば青色LED(
図18に図示せず)、及び第1帯域の波長を透過し、第2帯域の波長を反射するための入力フィルタを含んでよい。
【0116】
図18は、調整フィルタとアイウェア透過との間での青色偏移に関するリークの低減を示す概略図である。
図18に示すように、入力フィルタ1810は、励起源又は照明光源からの初期光又は照明を受けてよい。初期光は、入力フィルタ1810を通過し、エミッタ領域1820に入射してよい。初期光は、放射領域を直接通過し、更に出力フィルタ1830を通過してよい。あるいは、入力フィルタ1810における初期光は、放射領域1820内の一部のエミッタに遭遇してよい。初期光によって励起されると、エミッタは、第2サブセットの光であり得る放射光を生じさせてよい。放射光は、入力フィルタ1810に戻される方向、又は出力フィルタ1830に向かう別方向のいずれかに向けられてよい。入力フィルタ1810における放射光は、入力フィルタから反射されてエミッタ領域に戻されてよく、光の再利用プロセスが再開されてよい。その一方では、出力フィルタ1830に向けられた放射光は、部分的に出力フィルタを通過するように方向付けられ、部分的に反射されてエミッタ領域1820に戻される。エミッタ領域1820内の部分的に反射された光は、光再利用プロセスを再開する。
【0117】
一実施形態では、透過された第1帯域の波長はλ
青色1+/−Δλ
青色1であってよく、反射された第2帯域の波長は、λ
黄色1+/−Δλ
黄色1であってよい。光源はまた、エミッタ領域を含む。エミッタ材料は蛍光体又は量子ドットであってよく、短波長光、例えば、λ
青色1+/−Δλ
青色1によって励起されてよい。エミッタ材料は、1つ以上の特定のより長い波長、例えば、λ
緑色1+/−Δλ
緑色1、及び/又はλ
赤色1+/−Δλ
赤色1で光を放射するように調整されてよい。光源はまた、1つ以上の帯域の波長、例えば、λ
青色1+/−Δλ
青色11、λ
緑色1+/−Δλ
緑色111、及び/又はλ
赤色1+/−Δλ
赤色11を透過するための出力フィルタを含んでよく、透過光の帯域幅は、入力光よりも実質的に狭くてよい。
【0118】
前述したように、狭小化された帯域幅外の光は、出力フィルタによってエミッタ領域及び入力フィルタに向けて戻すように実質的に反射されてよくエミッタ材料を励起し、光を生じさせる機会を有してよい。次いでこの光は、出力フィルタを透過してよい。エミッタ領域によって生成された、つまり生じた光はまた、入力フィルタに向けて戻るように進んでよく、入力フィルタによって出力フィルタに向けて反射されて、出力光の明度を実質的に向上させてよい。一実施例では、入力フィルタ及び出力フィルタはダイクロイックフィルタであってよく、薄膜形成技術を用いて構築されてよい。この実施例について更に付け加えると、角度減少素子、例えば、3M BEF IIなどプリズムテープ、又は角度変換非結像光学系、例えば、テーパー状ライトパイプ又は複合放物集光器がエミッタ領域と出力フィルタとの間に配置されて、フィルタ面付近における光の入射角がフィルタカットオフ転移角未満となるように実質的に制御してよい。
【0119】
図15は、バックライト構造の別の実施形態を示す概略図である。
図15には、照明光源1500、拡散器1542、通過フィルタ1510、放射領域1520、プリズムフィルム1525、調整フィルタ1530、拡散器1540、及びLGP 1550が含まれる。拡散器1542及び拡散器1540は任意である。加えて、
図15の光学構造は、プリズムフィルム1525を用いても、用いなくてもよい。更に、照明光源1500はLEDとして示しているが、本明細書に記載のように、任意の適切な照明光源であってよい。
【0120】
図15は、拡散器フィルム1540、光学粗面、又はレンチキュラレンズフィルムなど角度増加素子を示しており、これはまた、出力又は調整フィルタ1530の後ろに配置されて、バックライトの導光板部分に入射する光の均一性を向上してよい。
図15はまた、白色壁のキャビティ、ライトパイプ、及び/又は拡散器など積分器1507を示しており、これはまた、LEDなど励起源と入力フィルタ又は通過フィルタ1510との間に配置されて、エミッタ領域1520に達する前に励起光を実質的に均質化してよい。
図15では、積分器、拡散器、青色フィルタ、エミッタ、BEFシート、及び調整フィルタは、
図16に示すようにキャビティ内に重ねられてよい。
【0121】
一実施例では、
図20に示すようにバックライト付き立体液晶ディスプレイで用いるために、1つ以上の構造が用いられて、2セットの色、例えば、R1G1B1及びR2G2B2を生じさせてよい。これもまた
図20に示すように、光学構造はスペクトル的に異なってよく、同一の導光板を照らしてよく、時系列法で駆動されてよくて、液晶ディスプレイパネルに順次送られ得る左目画像及び右目画像とほぼ同期して導光板を照らす。単一LGPと対になった単一光学構造として示しているが、1つ以上の光学構造を単一LGPと対にしてよく、複数のLGPを単一光学構造と対にしてよく、他についても同様である。
図20については、以下で詳述する。
【0122】
図19は、隣接する光学構造及び導光板部分の実施形態を示す概略図である。
図19は、光学構造1901A、光学構造1902、LGP 1950、及びLGP 1952を含む。光学構造1及び2は、どちらも照明光源1900、キャビティ1903、及びスペーサ1935を含む。キャビティ1903は、拡散器1942、通過フィルタ1910、放射領域1920、プリズムフィルム1925、調整フィルタ1930、及び拡散器1940を含んでよい。
図19に示す要素は、前述の図、実施例、及び実施形態で同様に名付けた要素に相当する。
図19は2つの光学構造及び2つのLGPのみを示しているが、任意の数の光学構造及びLGPを任意の組み合わせで用いてよい。例えば、1つの光学構造が1つ以上のLGPに対応してよく、1つのLGPが複数の光学構造のうちの1つに対応してよく、光学構造及びLGPの任意の組み合わせが互いに対応してよい。
【0123】
図19に示すように、光学的に厚いプレートなどの光学スペーサ1935は、出力フィルタと導光板との間に含まれて、照明間隙が実質的に低減され得るか、除去され得るように、導光板の側部に沿って光学構造と実質的にシームレスに隣接できるようにしてよい。
図19の光学構造は、互いに最も近い、隣接する(abutting)、互いに隣接する(adjacent to one another)などであってよい。
【0124】
図20は、バックライト付き立体視スクロール構造の実施形態を示す概略図である。
図20に示すように、立体画像は、LCDにアドレッシングされてよく、バックライトは、LCD上の左目画像又は右目画像が、別個の光学構造からの実質的に分光された光源によって照らされるようにスクロールされてよい。左側画像及び右側画像は、高コントラスト及び低立体視クロストークを得るために、LCスイッチング期間中に照明の暗帯によって分離されてよい。
【0125】
本明細書で使用されるとき、用語「実質的に」及び「およそ(ほぼ)」は、それに対応する用語及び/又は項目間の相対性に対して、業界で受け入れられる許容範囲を付与するものである。業界で受け入れられるかかる許容範囲は、1パーセント未満〜10パーセントの範囲であり、成分値、角度などが該当するが、これらに限定されない。このような、項目間の相対性は、1パーセント未満〜10パーセントの範囲である。
【0126】
本明細書に開示する原理による、様々な実施形態を上述してきたが、これらの実施形態は、ただ例示を目的としてのみ示されたのであり、限定するために示されたのではないことに留意されたい。したがって、本開示の広さ及び範囲は、上述した例示的な実施形態のいずれによっても限定されるものではなく、請求項のいずれか、及び本開示に由来するそれらの等価物によってのみ定義されるべきである。更に、上述の利点及び特徴は記載した実施形態において提供されるが、かかる生じる特許請求の範囲の用途を、上述の利点のいずれか又はすべてを達成するプロセス及び構造に限定するものではない。
【0127】
加えて、本明細書におけるセクションの見出しは、37 CFR 1.77の規定するところに従って、さもなくば、編成上の目印として提供されるものである。これらの見出しは、本開示から生じ得る請求項に定める実施形態を限定したり又は特徴付けたりしないものとする。具体的には、単に例示として、「技術分野」という見出しがあるが、いわゆる技術分野を説明するためにこの見出しの下に選択された表現によって、かかる特許請求の範囲が限定されることはない。更に、「背景技術」における技術の説明は、技術が本開示における任意の実施形態の従来技術であるという承認と解釈されるべきではない。「発明の概要」も、生じる特許請求の範囲において定める実施形態の特性付けと見なすべきではない。更に、本開示においては、単数形での「発明」に対するいずれの言及も、本開示における新規な点が1つのみである、ということを主張するために使用されるべきではない。複数の実施形態は、本開示から生じる複数の請求項の限定に従って、述べられる場合がある。したがって、かかる請求項は、この実施形態及びそれらの同等物を定義することによって、それらを保護している。すべての例において、かかる請求項の範囲は、本開示に照らして、固有の利点が考慮されるべきであり、本明細書で定める見出しによって制約されてはならない。