特許第6388603号(P6388603)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6388603
(24)【登録日】2018年8月24日
(45)【発行日】2018年9月12日
(54)【発明の名称】非対称光ファイバカプラ
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/287 20060101AFI20180903BHJP
   G02B 6/036 20060101ALI20180903BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20180903BHJP
   G02B 23/26 20060101ALI20180903BHJP
   G02B 21/06 20060101ALI20180903BHJP
【FI】
   G02B6/287
   G02B6/036
   A61B1/00 730
   G02B23/26 B
   G02B21/06
【請求項の数】24
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-555510(P2015-555510)
(86)(22)【出願日】2014年1月31日
(65)【公表番号】特表2016-513267(P2016-513267A)
(43)【公表日】2016年5月12日
(86)【国際出願番号】CA2014050065
(87)【国際公開番号】WO2014117277
(87)【国際公開日】20140807
【審査請求日】2017年1月20日
(31)【優先権主張番号】61/759,482
(32)【優先日】2013年2月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515207525
【氏名又は名称】ポリヴァロール リミテッド パートナーシップ
【氏名又は名称原語表記】POLYVALOR, LIMITED PARTNERSHIP
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100147692
【弁理士】
【氏名又は名称】下地 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100195534
【弁理士】
【氏名又は名称】内海 一成
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス ゴドブー
(72)【発明者】
【氏名】キャロライン ブードゥ
(72)【発明者】
【氏名】ウェンディ‐ジュリー マドレ
(72)【発明者】
【氏名】サイモン レミア‐ルノー
(72)【発明者】
【氏名】グザヴィエ ダクスヘレット
(72)【発明者】
【氏名】ミカエル ルデュック
【審査官】 橿本 英吾
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0154783(US,A1)
【文献】 特表2011−525255(JP,A)
【文献】 特開2012−209431(JP,A)
【文献】 特開平09−101428(JP,A)
【文献】 米国特許第04586784(US,A)
【文献】 国際公開第2012/132512(WO,A1)
【文献】 特表2002−506225(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/287
G02B 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端部及び第2端部の間に配置された第1クロストーク部を有し、第1シングルモードコアと少なくとも1つのマルチモード内側クラッドと第1外側クラッドとを有する第1光ファイバであって、前記第1クロストーク部は第1エテンデュを有する、第1光ファイバと、
第3端部及び第4端部の間に配置された第2クロストーク部を有する第2光ファイバであって、前記第2クロストーク部は、前記第1エテンデュに対して1とは異なるエテンデュ比を構成する第2エテンデュを有する、第2光ファイバと、
前記第1クロストーク部が前記第2クロストーク部と光学的に結合される結合領域とを備え、
前記エテンデュ比は、前記第1シングルモードコアでシングルモード信号を維持している間における、前記第1光ファイバの少なくとも1つのマルチモード内側クラッドから、前記第2光ファイバの前記第3端部までの、マルチモード信号の50%以上である取り出し効率を示し、
前記第1光ファイバの少なくとも1つのマルチモード内側クラッドが有する第1断面は、前記第2光ファイバが有する第2断面と異なっており、
前記少なくとも1つのマルチモード内側クラッドの内側の1つは、前記第1シングルモードコアの基本モードがシングルモード内側クラッドの基本モードに断熱的に変形され、且つ、前記シングルモード内側クラッドがシングルモードガイド領域に変形されるように、前記シングルモード内側クラッドを形成するためにテーパ化されている、光ファイバカプラ。
【請求項2】
前記マルチモード信号の取り出し効率は60%以上である、請求項に記載の光ファイバカプラ。
【請求項3】
前記マルチモード信号の取り出し効率は70%以上である、請求項に記載の光ファイバカプラ。
【請求項4】
前記エテンデュ比は1.5以上である、請求項1に記載の光ファイバカプラ。
【請求項5】
前記エテンデュ比は2以上である、請求項に記載の光ファイバカプラ。
【請求項6】
前記エテンデュ比は10以上である、請求項に記載の光ファイバカプラ。
【請求項7】
前記クロストーク部は、その長さの一部のみに沿って互いに光学的に結合される、請求項1に記載の光ファイバカプラ。
【請求項8】
前記第1クロストーク部は、第1ダウンストリーム区間と第1直径一定区間と第1アップストリーム区間とを有し、
前記第2クロストーク部は、第2ダウンストリーム区間と第2直径一定区間と第2アップストリーム区間とを有し、
前記結合領域は、前記第1ダウンストリーム区間又は前記第1アップストリーム区間のいずれか一方、及び、前記第1クロストーク部の前記第1直径一定区間の一定区間を、前記第2アップストリーム区間又は前記第2ダウンストリーム区間のうちの対応する一つ、及び、第2クロストーク部の対応する部分に光学的に結合する、請求項に記載の光ファイバカプラ。
【請求項9】
前記第1光ファイバの前記少なくとも1つのマルチモード内側クラッドの第1開口数は、前記第2光ファイバの第2開口数とは異なる、請求項1に記載の光ファイバカプラ。
【請求項10】
前記第1光ファイバの前記第1クロストーク部の少なくとも一部は、前記第2光ファイバに結合される前に予めテーパ化される、請求項に記載の光ファイバカプラ。
【請求項11】
前記第1外側クラッドは、前記第2光ファイバに結合される前に少なくとも前記第1クロストーク部に沿って除去される、請求項1に記載の光ファイバカプラ。
【請求項12】
前記第2光ファイバは、マルチモード光ファイバ、シングルモード光ファイバ、ダブルクラッド光ファイバ、マルチクラッド光ファイバ、及びコアレス光ファイバのうちの1つである、請求項1に記載の光ファイバカプラ。
【請求項13】
光干渉断層法システム及びマルチモード検出システムのうちいずれか一方において使用される、請求項1に記載の光ファイバカプラ。
【請求項14】
前記エテンデュ比が1以上であり、前記第1光ファイバの前記少なくとも1つのマルチモード内側クラッドにおける前記マルチモード信号が前記第2光ファイバへ伝送される、請求項1乃至13いずれか一項に記載の光ファイバカプラ。
【請求項15】
第1端部と、第2端部と、前記第1端部及び前記第2端部の間にある第1中間部と、第1断面とを有し、シングルガイドモードをサポートする第1コアと、マルチモードをガイドする前記第1コアよりも大きい第1内側クラッドとを有する第1光ファイバと、
第3端部と、第4端部と、前記第3端部及び前記第4端部の間にある第2中間部とを有し、構造及び寸法の少なくとも一方について前記第1断面とは異なる第2断面を有し、前記第2断面の寸法は前記第1断面の寸法とは異なる第2光ファイバと、
記第1端部から前記第2端部までの前記第1光ファイバの前記第1コアにシングルモード信号がとどまるように、及び、前記第1光ファイバの前記第1内側クラッドにおいて50%以上のマルチモード信号が前記第2光ファイバに引き出されるように、前記第2中間部に融着された前記第1中間部からなる融着領域と
を備え
前記第1光ファイバは、予めテーパ化されているダブルクラッドファイバであり、
前記第1コアの基本モードは、前記第1光ファイバを予めテーパ化することによって縮小された第1内側クラッドの基本モードに断熱的に変形され、
前記縮小された第1内側クラッドは、シングルモードガイド領域に変形される
光ファイバカプラ。
【請求項16】
前記第2断面の寸法は前記第1断面の寸法より大きい、請求項15に記載の光ファイバカプラ。
【請求項17】
前記マルチモード信号の60%以上は、前記第1光ファイバから前記第2光ファイバに引き出される、請求項16に記載の光ファイバカプラ。
【請求項18】
前記マルチモード信号の70%以上は、前記第1光ファイバから前記第2光ファイバに引き出される、請求項17に記載の光ファイバカプラ。
【請求項19】
前記融着領域は、前記第1及び第2光ファイバの細くなるテーパ部又は太くなるテーパ部の一方に限定される、請求項15に記載の光ファイバカプラ。
【請求項20】
前記第1光ファイバの前記第1中間部の外側クラッドは前記第1光ファイバ及び前記第2光ファイバを共に融着する処理の前に除去される、請求項15に記載の光ファイバカプラ。
【請求項21】
第1端部と第2端部と前記第1端部及び前記第2端部の間にある第1クロストーク部とを有し、第1コアと少なくとも1つの内側クラッドと第1外側クラッドとを有する第1光ファイバであって、前記第1クロストーク部は第1エテンデュを有する第1光ファイバを供給するステップと、
第3端部と第4端部と前記第3端部及び前記第4端部の間にある第2クロストーク部とを有する第2光ファイバであって、前記第2クロストーク部は前記第1エテンデュと異なる第2エテンデュを有する、第2光ファイバを供給するステップと、
少なくとも前記第1クロストーク部をテーパ化するステップと、
前記第1光ファイバの前記第1クロストーク部の少なくとも一定区間を、前記第2光ファイバの前記第2クロストーク部の一定区間に沿って接触するように配置するステップと、
前記第1及び第2クロストーク部の一定区間ともに融着領域を形成するように熱を供給するステップとを含み、
前記融着領域は、シングルモード信号が前記第1光ファイバの前記第1及び第2端部の間の前記第1コアにとどまるようにし、且つ、前記第1光ファイバの少なくとも1つの内側クラッドのうちの1つにおける半分以上のマルチモード信号が前記第2光ファイバへ引き出されるようにする光カプラの製造方法。
【請求項22】
前記第2光ファイバを供給するステップは、さらに、
前記配置するステップと前記第1及び第2光ファイバを供給するステップとの前に、少なくとも前記第クロストーク部をテーパ化するステップを含む、請求項21に記載の光カプラの製造方法。
【請求項23】
前記第1光ファイバを供給するステップは、さらに、
前記配置するステップと前記第1及び第2光ファイバを供給するステップとの前に、前記第1クロストーク部の一部に少なくとも沿って前記第1外側クラッドを化学的にエッチングするステップを含む、請求項21に記載の光カプラの製造方法。
【請求項24】
前記第2光ファイバを供給するステップは、さらに、
前記配置するステップと前記第1及び第2光ファイバを供給するステップとの前に、前記第2クロストーク部の一部に少なくとも沿って前記第2光ファイバの外側クラッドを化学的にエッチングするステップを含む、請求項21に記載の光カプラの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【関連する出願との相互参照】
【0001】
本出願は、2013年2月1日に出願された米国仮出願第61/759,482号からの優先権を主張する。この出願明細書の全体を、参照により本明細書に援用する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、光カプラ、特に、内視鏡、光干渉断層法、共焦点顕微鏡及び共焦点内視顕微鏡用のカプラの分野に関する。
【背景技術】
【0003】
光ファイバカプラは、多くの種類の画像処理及び検知システムにおいて、1以上の入力ファイバ及び1又は複数の出力ファイバとともに用いられる。このようなカプラは、異なる方法、例えば、ファイバを熱で融着してファイバのコアが密着するようにする方法で作成されうる。多くの医療用画像処理システムにおいて、照明はレーザ光源によりカプラの第1ポートで供給され、スキャン装置によりカプラの第2ポートで出力信号のサンプリングが行われ、カプラの第1ポート及び第3ポートの双方で検知が行われる。アプリケーションに応じて様々なタイプの検知が可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光ファイバカプラに基づく医療用画像処理システムは、典型的には2つの大きな課題、1)レーザとシングルモードファイバとを用いる場合に時間的かつ空間的な干渉イメージングに関連する問題であるスペックル、及び、2)第2ポートから第3ポートに引き出され、第3ポートから第2ポートに入射されうるマルチモード信号の量についての理論上の等分配限界、に直面している。
【0005】
したがってこれらの課題を克服しうる光ファイバカプラの開発が必要であり、特に、医療用画像処理及び検知アプリケーション向けの改良型光ファイバカプラを開発する必要がある。
【0006】
先行技術に係る光カプラは、第1及び第2のファイバが同一寸法及び同一構造により特徴づけられている場合、理論上の等分配限界によってマルチモード透過率が50%に限定されていることが知られている(米国特許出願公開2012/0190928号参照、この出願明細書の全体を、参照により本明細書に援用する)。このような光カプラのマルチモード透過率の最高値は43%であるとされていた。理論上の等分配限界の50%に近づいているが、43%を超えて50%に近づくことには課題があるとされていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
先行技術に係る光ファイバカプラの理論上の等分配限界とは異なり、且つこれに限定されない理論限界を有する非対称光カプラがここには記載される。したがって、マルチモード透過率が50%以上を達成することも可能である。
【0008】
光ファイバカプラの非対称性は、G/Gで定義されるエテンデュ比によってその値が示される。Gは、次の式により与えられる。
【0009】
【数1】
【0010】
は光ファイバiのエテンデュであり、Sは光ファイバiのクロストーク部の断面積であり、NAはクロストーク部での光ファイバiの開口数である。エテンデュ比を増すことで、マルチモード透過率はなんの欠陥も現れずに100%に向けて増加することが分かった。したがって、エテンデュ比を増やすように第1及び第2の光ファイバを設計することにより、50%以上のマルチモード透過率が達成されうる。
【0011】
一側面によれば、シングルモード信号をガイドするシングルモードコアと、マルチモード(マルチモード信号ともいう)をガイドする少なくとも1つのマルチモード内側クラッドとを有するマルチクラッド光ファイバが提供される。マルチクラッドファイバは、マルチクラッドファイバと第2ファイバとの間で双方向に光伝送機能を強化した光ファイバカプラを生成するように、異なるエテンデュを有する第2ファイバと結合領域に沿って光学的に結合される。異なるエテンデュは、異なる断面積及び異なる開口数のうち少なくとも1つにより与えられうる。
【0012】
他の一側面によれば、マルチモード透過率が50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上を達成しうる光ファイバカプラが提供される。
【0013】
他の一側面によれば、エテンデュ比が1.5以上、好ましくは2以上、より最も好ましくは10以上であることによって特徴づけられうる光ファイバカプラが提供される。
【0014】
他の一側面によれば、第1端部及び第2端部の間に配置された第1クロストーク部を有し、第1シングルモードコアと少なくとも1つのマルチモード内側クラッドと第1外側クラッドとを有する第1光ファイバであって、前記第1クロストーク部は第1エテンデュを有する、第1光ファイバと、第3端部及び第4端部の間に配置された第2クロストーク部を有する第2光ファイバであって、前記第2クロストーク部は前記第1エテンデュに対して1とは異なるエテンデュ比を構成する第2エテンデュを有する、第2光ファイバと、前記第1クロストーク部が前記第2クロストーク部と光学的に結合される結合領域とを備え、前記エテンデュ比は、前記第1シングルモードコアでシングルモード信号を維持している間における、前記第1光ファイバの少なくとも1つのマルチモード内側クラッドから、前記第2光ファイバの前記第3端部までの、マルチモード信号の50%以上である取り出し効率を示し、前記第1光ファイバの少なくとも1つのマルチモード内側クラッドが有する第1断面は、前記第2光ファイバが有する第2断面と異なっており、前記少なくとも1つのマルチモード内側クラッドの内側の1つは、前記第1シングルモードコアの基本モードがシングルモード内側クラッドの基本モードに断熱的に変形され、且つ、前記シングルモード内側クラッドがシングルモードガイド領域に変形されるように、前記シングルモード内側クラッドを形成するためにテーパ化されている、光ファイバカプラが提供される。
【0015】
他の一側面によれば、第1端部と、第2端部と、前記第1端部及び前記第2端部の間にある第1中間部と、第1断面とを有し、シングルガイドモードをサポートする第1コアと、マルチモードをガイドする前記第1コアよりも大きい第1内側クラッドとを有する第1ファイバと、第3端部と、第4端部と、前記第3端部及び前記第4端部の間にある第2中間部とを有し、構造及び寸法の少なくとも一方について前記第1断面とは異なる第2断面を有し、前記第2断面の寸法は前記第1断面の寸法とは異なる第2ファイバと、前記第1端部から前記第2端部までの前記第1光ファイバの前記第1コアにシングルモード信号がとどまるように、及び、前記第1光ファイバの前記第1内側クラッドにおいて50%以上のマルチモード信号が前記第2ファイバに引き出されるように、前記第2中間部に融着された前記第1中間部からなる融着領域とを備え、前記第1光ファイバは、予めテーパ化されているダブルクラッドファイバであり、前記第1コアの基本モードは、前記第1光ファイバを予めテーパ化することによって縮小された第1内側クラッドの基本モードに断熱的に変形され、前記縮小された第1内側クラッドは、シングルモードガイド領域に変形される光ファイバカプラが提供される。
【0016】
他の一側面によれば、第1端部と、第2端部と、前記第1端部及び前記第2端部の間にある第1クロストーク部とを有し、第1コアと、少なくとも1つの内側クラッドと、第1外側クラッドとを有する第1光ファイバであって、前記第1クロストーク部は第1エテンデュを有する、第1光ファイバを供給するステップと、第3端部と、第4端部と、前記第3端部及び前記第4端部の間にある第2クロストーク部とを有する第2光ファイバであって、前記第2クロストーク部は前記第1エテンデュと異なる第2エテンデュを有する、第2光ファイバを供給するステップと、少なくとも前記第1クロストーク部をテーパ化するステップと、前記第1光ファイバの前記第1クロストーク部の少なくとも一定区間を、前記第2光ファイバの前記第2クロストーク部の一定区間に沿って接触するように配置するステップと、前記第1及び第2クロストーク部の双方の一定区間に融着領域を形成するように熱を供給するステップとを含み、前記融着領域は、シングルモード信号が前記第1光ファイバの前記第1及び前記第2端部の間の前記第1コアにとどまるようにし、且つ、前記第1光ファイバの少なくとも1つの内側クラッドのうちの1つにおける半分以上のマルチモード信号が前記第2光ファイバへ引き出されるようにする、光カプラの製造方法が提供される。
【0017】
他の一側面によれば、以下、より詳細に記載されるように、干渉検出器、内視鏡、マルチモード内視鏡、共焦点内視顕微鏡、共焦点顕微鏡、非線形顕微鏡、非線形内視顕微鏡、光干渉断層法、及び他の応用に用いられうる光カプラが提供される。
【0018】
一実施形態において、融着領域は、第1ポートから第2ポートまで、及び、逆もまた同様に、シングルモードコアに沿って、シングルモード信号をほとんど損失なく透過させる。より具体的には、85%以上、好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上の単一モード透過率を達成しうる光ファイバカプラが提供される。
【0019】
他の一実施形態において、マルチモード信号の70%以上は、光カプラの第2ポートから第3ポートへ取り出されうる。より具体的には、マルチモード信号の50%以上は、マルチクラッドファイバの少なくとも1つの内側クラッドから第2ファイバへ取り出されうる。いくつかの他の実施形態において、第2ポートから第3ポートへのマルチモード信号の取り出し効率は、約60%から約70%の間に含まれる。いくつかの実施形態において、マルチモードの取り出し効率は50%以上である。
【0020】
他の一側面によれば、レーザ切除、熱療法及び/又は熱凝固に基づく治療システムで用いられうる光カプラが提供される。この場合、光ファイバカプラは、マルチクラッドファイバのシングルモードコアを通じたイメージングレーザの放射、及び、ファイバカプラの第3ポートを通じたマルチクラッドファイバの少なくとも1つの内側クラッドにおける治療用レーザの放射に用いられる。
【0021】
他の一実施形態において、マルチモード信号の50%以上は、光カプラの第3ポートから第2ポートへ入射されうる。より具体的には、マルチモード信号の50%以上は、第2ファイバからマルチクラッドファイバの少なくとも1つの内側クラッドへ入射されうる。
【0022】
本改良に係るさらに多くの特徴とこれらの結合が、本開示の解釈に従う当業者には見えるであろう。
【0023】
本発明に係るさらなる特徴や効果は以下の詳細な説明と添付されている図面との結合から明白になるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、第1光ファイバから第2光ファイバへのマルチモード信号の透過率の例をエテンデュ比の関数として示すグラフである。
図2図2は、光ファイバカプラの一般的な実施形態を示す。
図3図3は、異なる寸法の第1及び第2ダブルクラッドファイバを有する光ファイバカプラの実施形態を示す。
図4図4は、化学的にエッチングされた第1ダブルクラッドファイバを有する光ファイバカプラの実施形態を示す。
図5図5は、内側のシングルモードクラッドを得るために変形された第1光ファイバを有する光ファイバカプラの実施形態を示す。
図6図6は、結合領域のダウンストリーム区間とアップストリーム区間との間に、非対称性を示す第1ダブルクラッドファイバと第2コアレスファイバとを有する光ファイバカプラの実施形態を示す。
図7図7は、第1ダブルクラッドファイバと第2マルチモードファイバとを有する光ファイバカプラの実施形態を示す。
図8図8は、第1ダブルクラッドファイバと第2シングルモードファイバとを有する光ファイバカプラの実施形態を示す。
図9図9は、化学的にエッチングされた第1ダブルクラッドファイバと予めテーパ化された第2マルチモードファイバとを有し、第1及び第2ファイバが結合領域のダウンストリーム区間においてのみ融着されている光ファイバカプラの実施形態を示す。
図10図10は、予めテーパ化された第2マルチモードファイバを有する光ファイバカプラの実施形態を示す。
図11図11は、化学的にエッチングされた第1ダブルクラッドファイバと予めテーパ化された第2マルチモードファイバとを有する光ファイバカプラの実施形態を示す。
図12図12は、第1シングルモードコアと第1内側クラッドと第1外側クラッドとを有する第1光ファイバと、第2マルチモードファイバとを有する光ファイバカプラの実施形態を示す。
図13図13は、非対称光ファイバカプラを用いてシングルファイバ内視鏡の例示的な装置を示す。
図14図14は、非対称光ファイバカプラを用いて共焦点内視顕微鏡/共焦点顕微鏡の例示的な装置を示す。
図15図15は、非対称光ファイバカプラを用いて光干渉断層法と蛍光(又はラマン光)の検出とを結合した例示的な装置を示す。
図16図16は、非対称光ファイバカプラを用いて画像ガイド治療システムの例示的な装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
添付の図面を通して、同様の特徴は同様の参照数値によって特定される。
【0026】
図1は、第1光ファイバから第2光ファイバへのマルチモード信号の透過率の例を、従来技術の光カプラ100も含めて、エテンデュ比の関数として示すグラフである。非対称光ファイバカプラの新しい理論モデルは、図1の実線で表されている。より具体的には、図1は、非対称光カプラ300、400、500、及び600のマルチモード透過率がそれぞれ、53%、75%、80%、及び91%であることを、非対称性又はエテンデュ比の関数として示している。これら各非対称光ファイバカプラは、図3、4、5、及び6でそれぞれ説明される。さらに、非対称カプラの他の可能な構成が図2から図12に提示される。
【0027】
図2は、非対称な形状及び光伝達関数を有する光ファイバカプラ200の概要図である。第1光ファイバ202は、第2光ファイバ204と結合領域206(又は融着領域)で融着される。ファイバは、熱源として例えばマイクロトーチを用いて、高温にて並んで融着されうる。結合領域206は、そのときに引っ張られてテーパ状に細くされるので、その断面は小さくなり、一方のファイバから他方のファイバへの光のカップリングを引き起こす。第1光ファイバ202は、第1端部210と第2端部212との間に第1クロストーク部208を有する。第1光ファイバ202は、第1シングルモードコア214、第1マルチモード内側クラッド216、及び第1外側クラッド218も有する。第2光ファイバ204は、第3端部222と第4端部224との間に第2クロストーク部220を有する。
【0028】
マルチモード透過率の向上は、第1光ファイバ202の第1クロストーク部208と第2光ファイバ204の第2クロストーク部220との間のエテンデュの違いによりもたらされうる(且つ、クロストーク部をそれらの長さの一部にのみ沿って互いに光学的にカップリングすることによっても、マルチモード透過率を増加及び増大させうる。図6参照)。同様にこれは、第1光ファイバ202の第1シングルモードコア214においてシングルモード信号を維持することにより、及び、第1光ファイバ202の少なくとも1つの内側クラッド216から第2光ファイバ204へマルチモード信号の少なくとも一部を伝送することにより、非対称の光伝達関数を提供する。図2において、第1光ファイバはダブルクラッドファイバ(DCF)として示されるが、第1光ファイバは、例えば3つの内側クラッドファイバであってもよく、あるいは4つの内側クラッドファイバであってもよく、これらのようなマルチクラッドファイバの他の一形態をとりうる(図12参照)。
【0029】
結合領域206は、第2光ファイバ204の第2クロストーク部220に融着される第1光ファイバ202の第1クロストーク部208からなる。結合領域206において、ファイバのシングルモードコアは分離したままである。第1クロストーク部208は、第1ダウンストリーム区間226(又は第1直径遷移区間)、第1直径一定区間228、及び第1アップストリーム区間230(又は第2直径遷移区間)を有する。第2クロストーク部220は、第2ダウンストリーム区間232、第2直径一定区間234、及び第2アップストリーム区間236を有する。第1及び第2ダウンストリーム区間226、232は、結合領域206の細くなるテーパ部であり、第1及び第2アップストリーム区間230、236は、結合領域206の太くなるテーパ部である。結合領域206は、既定のテーパ比率を有する。既定のテーパ比率は、約0.1から約0.6の間の様々な値となってもよい。
【0030】
図3は、第1光ファイバ302がダブルクラッドファイバであり、これもダブルクラッドファイバである第2光ファイバ304と融着されている光カプラ300の実施形態を示す。第2ダブルクラッドファイバは、シングルガイドモードをサポートする第2シングルモードコア338、及び、第2外側クラッド342に囲まれ、マルチモード信号をガイドする第2マルチモード内側クラッド340を含む。第1ダブルクラッドファイバ302及び第2ダブルクラッドファイバ304は、同一であってもよいし、寸法についてわずかな違いを有してもよい。もしそうであれば、第1ダブルクラッドファイバ302はその寸法が小さくなるようにテーパ化され、一方で第2ダブルクラッドファイバ304はそうではない。このようにすることによって、形状の非対称性又はエテンデュの差異(1より大きい又は1未満のエテンデュ比につながりうる)が生まれる。第1ダブルクラッドファイバ302は、約2の比率で予めテーパ化されてよく、そのとき新品のダブルクラッドファイバ304に融着されてもよい。構造体はさらにテーパ化されてもよい。できあがったカプラはエテンデュの差異を有し、内側クラッド316及び340の異なる直径によりマルチモード部のカップリング性を表してもよい。代わりに、第1ダブルクラッドファイバ及び第2ダブルクラッドファイバは、新品の状態でサイズが異なってもよい。
【0031】
(例1)
【0032】
図3を参照して、上述されるような一般的な構造を有し、第1及び第2光ファイバがエテンデュ比1.5で特徴づけられる光ファイバカプラ300の例では、マルチモード透過率が53%に達する。
【0033】
非対称性は、様々な技術を用いてもたらされてもよい。例えば、ファイバのクロストーク部は、寸法及び/又は構造において初期構成と異なってよい。代替的に、又はこれらの組合せで、2本のファイバの少なくとも1本が、製造後且つ融着前に変形を起こしてもよい。ファイバの初期の直径を小さくするように予めテーパ化して変形させてもよい。また、1本又は両方のファイバの外側材料が除去される化学的エッチングを用いて変形を起こしてもよい。図4は、外側クラッド418の一部が少なくとも結合領域406に沿って化学的にエッチングされ、第2コアレスファイバ404に融着されているダブルクラッドファイバ402を有する光カプラ400を示す例示的実施形態である。この例において、化学的エッチングは、ファイバの一部を20%フッ酸溶液に入れることにより行われる。外側クラッドの一部を除去するために、他の酸も用いられてよい。外側クラッドの一部を除去するためには、プラズマエッチングや研磨のような他の処理も用いられてよい。
【0034】
(例2)
【0035】
図4を参照して、上述されたような一般的構成を有し、第1光ファイバがNufern社の9μm(0.12NA)/105μm(0.20NA)/125μmの寸法を有するDCFであり、第2光ファイバが200μm(0.22NA)の寸法を有するコアレスファイバであり、且つ、エテンデュ比3.6で特徴づけられる光ファイバカプラ400の例では、マルチモード透過率が75%に達する。
【0036】
図5は、第1シングルモード内側クラッドを有する第1光ファイバ502に融着される、第2コアレスファイバ504を有する光カプラ500を示す例示的実施形態である。さらに、DCFのシングルモードコアの基本モードが断熱的に、したがって損失なく、縮小した内側クラッドの基本モードに変形されるようにテーパ化されている。つまり、内側クラッドの1つは、シングルモードコアに沿って伝播するシングルモード信号を第1光ファイバのシングルモード内側クラッドに沿って本質的に損失なく(又は断熱的に)伝播させることができるシングルモード内側クラッドを形成するためにテーパ化されている。内側クラッドは、直径が縮小したためにそれ自身がシングルモードガイド領域となる。テーパ化されたDCFは、他の1本のファイバに融着される。例えば、9/50/125のダブルクラッドファイバは約5の比率で予めテーパ化される。そして、テーパ化され断熱的に変形された第1ダブルクラッドファイバ502は、マルチモードファイバに融着される。マルチモードファイバは、標準サイズであってもよいし、大きいサイズであってもよく、ダブルクラッドファイバは、様々な範囲の直径を有してよく、異なる比率で予めテーパ化されていてもよい。このような光ファイバカプラはエテンデュ比100でマルチモード透過率80%を達成しうることが示される。
【0037】
(例3)
【0038】
図5を参照して、上述されたような一般的構成を有し、第1光ファイバが4.1μm(0.11NA)/25.8μm(0.19NA)/125μmの寸法を有するDCFであり、第2光ファイバが125μm(0.5NA)の寸法を有するコアレスファイバであり、且つ、DCFファイバがエテンデュ比100で特徴づけられるITR0.1でテーパ化されている光ファイバカプラ500の例では、マルチモード透過率が80%に達する。
【0039】
ここで図6には、第1光ファイバ602がダブルクラッドファイバであり、第2光ファイバ604がコアレスファイバである光カプラ600の実施形態が示されている。この実施形態において、第1ダブルクラッドファイバ602は、コアレスファイバ604に融着される前にテーパ化され、断熱的に変形される。両ファイバにおいて、マルチモードはガラスと空気の界面でトラップされる。融着された構造体は、マルチモードとガイド領域に比例する光強度分布とのミキシングを完了させる。
【0040】
いくつかの実施形態において、ダブルクラッドファイバ602のダウンテーパ626、632がコアレスファイバ604に融着され、アップテーパ630、636が融着されないように、構造体が作製されうる。これは、図6にコアレスファイバと組み合わせて示されているが、本明細書に示されている他のいかなる第1光ファイバ/第2光ファイバの構成が備えられてもよい。このことは、結合領域606における中心に位置付けられる横軸Yについての非対称性をもたらすが、結合領域606の内側の種々の位置にアップストリーム及びダウンストリームを備えることもできる。このように結合領域は、融着部と非融着部とを含む。この特徴は、ダブルクラッドファイバのクラッドへのバックカップリングを最小化する。
【0041】
例示的な一実施形態において、ダブルクラッドファイバは、9/50/125の寸法を有して約5の比率でテーパ化されており、コアレスファイバは、−/−/125の寸法を有するコアレスファイバである。面積比25である場合、その構造体はマルチモードカップリング比を4/96%とし、大部分がダブルクラッドファイバの外に取り出される。−/−/125のコアレスファイバは、結合領域の外側でファイバを越えて存在するポリマージャケットにより引き起こされる損失を避けるために、−/200/200のマルチモードファイバの終端に対して終端融着されてもよい。ダブルクラッドファイバの他の例示的な寸法は4.5/105/125や4.5/30/125である。
【0042】
このように、本明細書に記載される非対称光ファイバカプラは、コアレスファイバ、シングルモードファイバ、マルチモードファイバ、及びダブルクラッドファイバのいかなるものとも組み合わせたダブルクラッドファイバからなるようにしてよい。ダブルクラッドファイバと他のダブルクラッドファイバとを組み合わせた場合、ファイバそれぞれの断面を寸法について異ならせることにより非対称性が生まれる。他の全ての場合において、共に融着される異なるタイプのファイバについての視点から、ファイバの断面は構造についてそれぞれ異なる。これらの構成は、構造に加えて寸法についても異なる断面を有してもよい。図6及び図9に示されるように、光ファイバカプラは二重の非対称性を有してもよい。
【0043】
(例4)
【0044】
図6を参照して、上述されたような一般的構成を有し、第1光ファイバが9μm(0.12NA)/105μm(0.19NA)/125μmの寸法を有するDCFであり、第2光ファイバが250μm(0.5NA)の寸法を有するコアレスファイバであり、且つ、DCFファイバがエテンデュ比156で特徴づけられるITR0.5でテーパ化されている光ファイバカプラ600の例では、マルチモード透過率が91%に達する。
【0045】
シングルモード信号をガイドするシングルモードコア714を有する第1光ファイバ702を有する光カプラ700を示す参照例が図7に示される。外側クラッド718に囲まれた、より大きい内側クラッド716がマルチモードをガイドする。ダブルクラッドファイバは、非対称カプラを生成するために異なる光ファイバと融着されてもよい。ダブルクラッドファイバ向けのいくつかの例示的な材料は、シリカ(純シリカ又はドーピングされたシリカ)のような、様々なポリマー及びガラスタイプのものである。
【0046】
いくつかの実施形態において、第2光ファイバ704は、マルチモードファイバである。より大きいコア744がマルチモード信号をサポートし、クラッドにより囲まれている。マルチモードファイバは、ステップインデックス特性又はグレーデッドインデックス特性を有してもよい。融着後に構造体を引き延ばして、約2〜3の間に含まれる比率で元の寸法を縮小することは、ダブルクラッドファイバ702のコア714内の光をシングルモードコア714内にとどまらせる一方で、より大きい内側クラッド716内の光をマルチモードファイバ704へ一部逃がす。
【0047】
ダブルクラッドファイバ702とマルチモードファイバ704との間では、様々なサイズの組合せが可能である。例えば、ダブルクラッドファイバは直径D1/D2/D3が9/105/125であってよく、一方でマルチモードファイバは直径D5/D6が220/240であってよい。特にこの組み合わせでは、より多くの部分がマルチモードファイバから出ていくので、マルチモードのカップリング比が約23/77%となる。コアの直径D1は、約3.0μm±20%から約10.0μm±20%の間で様々な値となってもよい。外側クラッドの直径D3は、約80μm±20%から約200μm±20%の間で様々な値となってもよい。内側クラッドの直径D2も様々な値となってもよい。外側クラッドに伴う十分なスペースが本質的に無損失で光をガイドさせる限りは、直径はできるだけ大きくされてもよい。例えば、外側クラッドの直径D3で制限される限りは、スペースは約10.0μmまたはそれ以上とされてもよい。所望の非対称性が光カプラに得られるならば、マルチモードファイバの直径D5/D6は、125/250、110/140、165/190、430/530、又は他の可能な組み合わせであってもよい。
【0048】
ダブルクラッドファイバは、予めテーパ化されている、又は、新品であってよい。予めテーパ化されているダブルクラッドファイバの場合、直径D1/D2/D3のサイズ縮小は、ダブルクラッドファイバが予めテーパ化されていない場合よりも小さいサイズのマルチモードファイバに融着されるようにしてもよい。光カプラが商業的に利用可能なセグメントから生成された場合、光カプラはコンピュータ制御で融着及びテーパ化を行う装置を用いて得られうる。一実施形態においてこの装置は、3軸のモータ駆動ステージ上で移動する酸素−プロパンマイクロトーチと、引き延ばしのための2つのリニアステージとからなる。また他の装置も使用されてよい。代わりに、商業的に利用可能なセグメントから始めずに光カプラを生成するために、様々な製造技術が用いられてもよい。
【0049】
図8は、シングルモードファイバである第2光ファイバ804を有する光カプラ800がダブルクラッドファイバ802に融着されている実施形態を示す。シングルモードファイバはコア846を含む。
【0050】
一実施形態において、非対称性は第2光ファイバの第3ポートからマルチクラッドファイバの内側クラッドへのマルチモード信号の入射を最大化するために利用されうる一方で、マルチクラッドファイバのコアを通る光は無視できる程度の損失で保存される。このような実施形態において、第2光ファイバはマルチモードファイバであってよい。
【0051】
図9は、第1光ファイバ902が結合領域906に沿って外側クラッド918を除去するように化学的にエッチングされたダブルクラッドファイバであり、第2光ファイバ904が予めテーパ化されたマルチモードファイバであり、クロストーク領域908及び920の両方がそれらの長さの所定の部分に沿ってのみ融着されている、例示的実施形態900を示す。このようにして得られる二重の非対称性は、マルチモードファイバ104からダブルクラッドファイバの内側クラッドへガイドされるマルチモード信号の透過率を好ましいものとする。例えば、9/105/125のダブルクラッドファイバは、ダブルクラッドファイバとの融着前に比率8で予めテーパ化された25/125のマルチモードファイバに融着される。このようにして、マルチモードファイバからダブルクラッドファイバの内側クラッドへの透過率66%が得られてもよい。このような実施形態では、第2光ファイバの第3端部から第1光ファイバの第2端部へマルチモード信号が入射される場合にエテンデュ比が1/2704となりうる一方で、第1光ファイバの第2端部から第2光ファイバの第3端部へマルチモード信号が引き出される場合にエテンデュ比が2704となりうることが示される。
【0052】
(例5)
【0053】
図9を参照して、上述されたような一般的構成を有し、第1光ファイバが9μm(0.12NA)/105μmの寸法を有するカスタム品のDCFであり、第2光ファイバが25.8μm(0.19NA)の寸法を有するマルチモードファイバであり、且つ、マルチモードファイバがエテンデュ比1/2704で特徴づけられたITR0.5でテーパ化されている光ファイバカプラ900の例では、マルチモード入射率が66%に達している。
【0054】
図10は、マルチモードファイバ1004がダブルクラッドファイバ1002と融着される前に予めテーパ化された、光カプラ1000の例示的実施形態を示す。マルチモードファイバのテーパ化される部分は融着される部分よりも長くされる。マルチモードファイバ1004のテーパ化される部分において、光は大きなコア1044から外側クラッドへ逃げる。カプラの太くなっていくテーパ部分において、好ましくは、マルチモード信号はより大きいダブルクラッドファイバにガイドされ、これによってマルチモードファイバからダブルクラッドファイバの内側クラッドへの双方向透過率が50%以上となる。
【0055】
図11は、外側クラッド1118を除去するためにダブルクラッドファイバ1102が化学的にエッチングされ、マルチモードファイバ1104が予めテーパ化された、光カプラ1100の例示的実施形態を示す。ダブルクラッドファイバ1102の外側クラッド1118の除去は、内側クラッド1116へのマルチモード信号の伝送を促進する。
【0056】
一実施形態において、製造プロセスは、第1光ファイバ及び第2光ファイバのクロストーク部の被覆をはがし、これらをアセトンで洗浄することにより始まる。クロストーク部のファイバは、V字状の溝を含むクランプに保持されることによって一緒に押しつけられ、装置上にマウントされた顕微鏡で検査される。コアモード透過率のオンライン特性のために、第1光ファイバは両端においてシングルモードファイバ(SMF)とより継ぎされ、ブロードバンド源と光スペクトルアナライザとにそれぞれ接続される。2本のファイバは、約2分間ファイバに沿って4−8mmにわたり移動するマイクロトーチで、並べて融着される。結合領域は、わずかに低い炎温度で、引き延ばし速度0.1mm/sで、一定の8mm長に沿って前後に移動するマイクロトーチで引き延ばされる。デバイスはクオーツ基板上にパッケージされてもよい一方で、装置上でテンションをかけられたままステンレス鋼のチューブに挿入されてもよい。例示的なダブルクラッドファイバカプラ(DCFC)のコア信号透過率は、従来のブロードバンド源及び光スペクトラムアナライザで製造中に監視されてもよい。
【0057】
図12は、第1光ファイバ1202がトリプルクラッドファイバであり、第2光ファイバ1204がマルチモードファイバである、光カプラ1200の例示的実施形態を示す。第1光ファイバ1202は、シングルモードコア1214と、第1マルチモード内側クラッド1216a及び1216bと、第1外側クラッド1218とを有する。この場合マルチモード信号は、第2光ファイバの、より大きいコア1244から第1マルチモード内側クラッド1216a及び1216bの、より大きいコアへ伝送されうる。図12に示されるこの具体例において、第1マルチモード内側クラッド1216aは、マルチモード信号をガイドするのに十分大きいものでありうる。第1光ファイバのエテンデュは、例えば、伝導する第1マルチモード内側クラッドのNAに基づいて計算されうる。
【0058】
ここまで示されてきた非対称の光カプラは、マルチクラッドファイバからのマルチモード信号の引き出しを最大化するために非対称性を利用している。このことは、シングルモードの部分とマルチモードの部分との両方にとって、信号損失の理論的最小値で稼働する(内視鏡、共焦点内視顕微鏡、分光法のような)医用イメージングシステムの組み立てを可能にする。また診断手法の組合せもサポートされる。設計では内側クラッド領域からの集光率を70%以上とすることが可能である一方で、広スペクトル領域(1250nmから1350nmまで)にわたるほぼ全てのシングルモード信号を伝送することも可能である。この設計はSN比の改善を可能にするものであり、(蛍光やラマン光のような)弱い信号を検出するため、又は、生体内サンプルの画像処理をより速く行うために用いられうるものである。非対称光カプラはスペクトル内視鏡(SEE)装置で実行されてもよく、1秒当たり30フレームでスペックル(小斑点)パターンのない画像(1000x1000ピクセル)の取得を可能にする。コア信号を干渉計にカップリングすることによって三次元再構成が生成されてもよい。参照により本明細書に援用される米国出願公開第2012/0190928号に記載される装置や技術のいくつかは本明細書の光カプラでも用いられている。
【0059】
図13は、例えば非対称光カプラ1300を用いるシングルファイバ内視鏡装置の例示的実施形態である。レーザ1348は、カプラ1300のポート1に照明を供給する。スキャナ1350は、ポート2からの出力信号を抽出する。三次元干渉検知器1352は、ポート1経由でサーキュレータ1354を通って、かつ、遅延線1356を通って存在する。マルチモード内視鏡検出器1362(蛍光、ラマン光、分光法)は、カプラ1300のポート3経由で稼働されてもよい。この装置において、非対称光カプラ1300は、ポート1及びポート3双方で行われる検出からスペックル(小斑点)を除去する。
【0060】
図14は、非対称光カプラ1400を用いる共焦点内視顕微鏡/共焦点顕微鏡装置の例示的実施形態である。レーザ1448は、カプラ1400のポート1に照明を供給する。(米国出願公開第2012/0190928号に記載されているように)テーパ化された端部1458を有するスキャナ1450は、ポート2からの出力信号を抽出する。内視鏡検出器1460は、ポート1経由でサーキュレータ1454を通って存在している。マルチモード共焦点検出器1464(蛍光、ラマン光、分光法)は、カプラ1400のポート3経由で稼働されてもよい。この装置においても、非対称光カプラ1400は、ポート1及びポート3双方で行われる検出からスペックル(小斑点)を除去する。
【0061】
図15は、非対称光カプラ1500を用いる光干渉断層法(OCT)及びマルチモード検出装置の例示的実施形態である。第1レーザ1548は、OCT向けにカプラ1500のポート1に照明を供給する。スキャナ1550は、ポート2からの出力信号を抽出する。OCT検出器1566は、ポート1経由でサーキュレータ1554を通って、かつ、遅延線1556を通って存在する。第2レーザ1568は、カプラ1500のポート3経由で稼働されるマルチモード検出器1570(蛍光、ラマン光、分光法)向けにポート1に照明を供給する。
【0062】
図16は、非対称光カプラ1600を用いるレーザ切除、熱治療及び/又は熱凝固用のイメージガイド治療システムの例を示す。この実施形態において、治療用レーザ1672は、第2光ファイバのポート3に入射されうる。したがって、非対称光カプラ1600は、ポート3からポート2へ、治療用ビーム供給器1674を用いてサンプルに供給されうる治療用ビームを伝播することができる。治療システムを用いる場合、図2から図8に示される非対称光カプラが使用されうるが、図9図10及び図11に示される光カプラが好ましい。
【0063】
非対称光カプラを用いる治療システムはOCT装置と共に示されるが、非対称光カプラを用いる治療システムはポート1を通る他の検出機構と同様のいかなる検出機構からも独立して使用されうることが理解される。ここまでで記載された全ての実施形態において、ダブルクラッドファイバは、コアとマルチ内側クラッドと外側クラッドとを含むマルチクラッドファイバで置き換えられてもよく、ここであらゆる2つの連続する領域は異なる屈折率を有する。
【0064】
光の取り出しを最大化する、及び/又は、スペックル(小斑点)を除去する目的で光カプラの非対称性を利用する他の装置も用いられうる。上述の発明の実施形態は単なる例示的なものであることが意図されている。したがって発明の範囲は、添付した請求項の記載の範囲によって単に制限されていることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16