【実施例】
【0064】
以下、本発明の効果を明確にするために実施した実施例により本発明を詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
【0065】
[潤滑油タイプ]
以下の表1、及び表2に示す配合で、潤滑油タイプとしての実施例1〜実施例10、比較例1〜比較例3を調製した。使用した原料は以下の通りである。
【0066】
(実施例1)
フッ素系表面活性剤A 平均分子量4480:1.0重量部
潤滑油 ポリαオレフィン(動粘度(40℃):30mm
2/s):97.8重量部
酸化防止剤 ヒンダードフェノール系酸化防止剤(下記の一般式(5)参照):0.2重量部
【0067】
【化7】
【0068】
粉塵 (JIS Z 8901 1種、2種、7種、8種を1:1:1:1で混合):1.0重量部
【0069】
(実施例2)
フッ素系表面活性剤A 平均分子量4480:0.01重量部
潤滑油 ポリαオレフィン(動粘度(40℃):30mm
2/s):98.8重量部
酸化防止剤 ヒンダードフェノール系酸化防止剤:0.2重量部
粉塵 (JIS Z 8901 1種、2種、7種、8種を1:1:1:1で混合):1.0重量部
【0070】
(実施例3)
フッ素系表面活性剤A 平均分子量4480:5.0重量部
潤滑油 ポリαオレフィン(動粘度(40℃):30mm
2/s):64.8重量部
酸化防止剤 ヒンダードフェノール系酸化防止剤:0.2重量部
粉塵 (JIS Z 8901 1種、2種、7種、8種を1:1:1:1で混合):30.0重量部
【0071】
(実施例4)
フッ素系表面活性剤B 平均分子量1490:1.0重量部
潤滑油 ポリαオレフィン(動粘度(40℃):30mm
2/s):97.8重量部
酸化防止剤 ヒンダードフェノール系酸化防止剤:0.2重量部
粉塵 (JIS Z 8901 2種、8種を1:1で混合):1.0重量部
【0072】
(実施例5)
フッ素系表面活性剤C 部分フッ素化アルコール置換グリコール:1.0重量部
潤滑油 ポリαオレフィン(動粘度(40℃):30mm
2/s):97.8重量部
酸化防止剤 ヒンダードフェノール系酸化防止剤:0.2重量部
粉塵 (JIS Z 8901 1種、2種、7種、8種を1:1:1:1で混合):1.0重量部
【0073】
(実施例6)
フッ素系表面活性剤D パーフルオロアルキルトリアルキルアンモニウム塩(粘度(25℃)6.7mPa・s):1.0重量部
潤滑油 ポリαオレフィン(動粘度(40℃):30mm
2/s):97.8重量部
酸化防止剤 ヒンダードフェノール系酸化防止剤:0.2重量部
粉塵 (JIS Z 8901 1種、2種、7種、8種を1:1:1:1で混合):1.0重量部
【0074】
(実施例7)
フッ素系表面活性剤E パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物(粘度(25℃)430mPa・s):1.0重量部
潤滑油 ポリαオレフィン(動粘度(40℃):30mm
2/s):97.8重量部
酸化防止剤 ヒンダードフェノール系酸化防止剤:0.2重量部
粉塵 (JIS Z 8901 1種、2種、7種、8種を1:1:1:1で混合):1.0重量部
【0075】
(実施例8)
フッ素系表面活性剤F パーフルオロアルキル含有オリゴマー(比重(25℃)1.26):1.0重量部
潤滑油 ポリαオレフィン(動粘度(40℃):30mm
2/s):97.8重量部
酸化防止剤 ヒンダードフェノール系酸化防止剤:0.2重量部
粉塵 (JIS Z 8901 1種、2種、7種、8種を1:1:1:1で混合):1.0重量部
【0076】
(実施例9)
フッ素系表面活性剤A 平均分子量4480:0.005重量部
潤滑油 ポリαオレフィン(動粘度(40℃):30mm
2/s):98.8重量部
酸化防止剤 ヒンダードフェノール系酸化防止剤:0.2重量部
粉塵 (JIS Z 8901 1種、2種、7種、8種を1:1:1:1で混合):1.0重量部
【0077】
(実施例10)
フッ素系表面活性剤B 平均分子量1490:0.005重量部
潤滑油 ポリαオレフィン(動粘度(40℃):30mm
2/s):98.8重量部
酸化防止剤 ヒンダードフェノール系酸化防止剤:0.2重量部
粉塵 (JIS Z 8901 1種、2種、7種、8種を1:1:1:1で混合):1.0重量部
【0078】
(比較例1)
潤滑油 ポリαオレフィン(動粘度(40℃):30mm
2/s):98.8重量部
酸化防止剤 ヒンダードフェノール系酸化防止剤:0.2重量部
粉塵 (JIS Z 8901 1種、2種、7種、8種を1:1:1:1で混合):1.0重量部
【0079】
(比較例2)
清浄分散剤A 過塩基性金属Caスルホネート(粘度(100℃)52cSt):1重量部
潤滑油 ポリαオレフィン(動粘度(40℃):30mm
2/s):97.8重量部
酸化防止剤 ヒンダードフェノール系酸化防止剤:0.2重量部
粉塵 (JIS Z 8901 1種、2種、7種、8種を1:1:1:1で混合):1.0重量部
【0080】
(比較例3)
清浄分散剤B コハク酸イミド(粘度(100℃)570cSt):1重量部
潤滑油 ポリαオレフィン(動粘度(40℃):30mm
2/s):97.8重量部
酸化防止剤 ヒンダードフェノール系酸化防止剤:0.2重量部
粉塵 (JIS Z 8901 1種、2種、7種、8種を1:1:1:1で混合):1.0重量部
【0081】
ここで、フッ素系表面活性剤A、及び、フッ素系表面活性剤Bは、出願当初の特許請求の範囲の請求項5に記載のパーフルオロアルキル基含有化合物を含有している。また、フッ素系表面活性剤C、フッ素系表面活性剤D、及び、フッ素系表面活性剤Eは、出願当初の特許請求の範囲の請求項3に記載のパーフルオロアルキル基含有化合物を含有している。フッ素系表面活性剤Fは、出願当初の特許請求の範囲の請求項4に記載のパーフルオロアルキル基含有化合物を含有している。
【0082】
実施例1〜実施例10及び比較例1〜比較例3では、各原料をスクリュー瓶に秤量し、攪拌混合した。
【0083】
【表1】
【0084】
【表2】
【0085】
表1及び表2に示す○は、スクリュー瓶の底に粉塵の分離沈降が観察された。一方、△は、スクリュー瓶の底に粉塵の分離沈降が見られるものの、粉塵を同じ量だけ添加した○の評価の実施例よりも粉塵の沈降量が少なかった。×は、スクリュー瓶の底に粉塵の分離沈降が観察されなかった。
【0086】
図3は、比較例1と実施例1の各試料の異物の混合状態を示す写真である。
図4は、
図3の模式図である。
図3、
図4に示す左側の写真及び模式図は、比較例1であり、右側の写真及び模式図は、実施例1である。
図3、
図4に示すように、比較例1は、溶液全体が濁った状態になり、異物除去がなされていないことが観察された。このように濁った状態になるのは、JIS Z 8901のうち粒径が小さい7種や8種が潤滑油内で混合した状態を保つためである。一方、
図3、
図4に示すように、実施例1は、溶液全体が半透明な状態になっており、異物は潤滑油から排除されて底に沈降していることが確認された。表2に示す「粉塵の分離沈降」が△の評価の実施例9、及び実施例10では、○の評価の実施例よりも異物の沈降量が少なかった。
【0087】
続いて、ガラス板(SiO
2)に、上記した実施例1と比較例1の各試料を塗布した。次に、石油ベンジンに浸漬させ、脱脂した。その後、石油ベンジンを乾燥させ、ガラス板表面をSEM−EDXにて観察した。
【0088】
図5は、比較例1のSEM−EDXの定性分析結果である。
図6は、実施例1のSEM−EDXの定性分析結果である。
【0089】
図5の比較例1に対し、
図6の定性分析により、実施例1ではフッ素が検出されており、ガラス表面にフッ素が吸着していることがわかった。
【0090】
[グリースタイプ]
以下の表3、表4に示す配合で、グリースタイプとして、実施例11〜実施例18、比較例4を調製した。使用した原料は以下の通りである。
【0091】
(実施例11)
フッ素系表面活性剤A 平均分子量4480:0.5重量部
基油 ポリαオレフィン(動粘度(40℃):30mm
2/s):77.3重量部
増ちょう剤 リチウム石けん(12−ヒドロキシステアリン酸リチウム):7.0重量部
酸化防止剤 ヒンダードフェノール系酸化防止剤:0.2重量部
固体潤滑剤A ポリテトラフルオロエチレン(平均粒径6.5μm):5.0重量部
固体潤滑剤B メラミンシアヌレート(平均粒径3.1μm):5.0重量部
固体潤滑剤C 超高分子量ポリエチレン(平均粒径30μm):5.0重量部
粉塵 (JIS Z 8901 1種、2種、7種、8種を1:1:1:1で混合):2.0重量部
なお、粉塵は、グリース調製後に混合した。以下の試料においても同様である。
【0092】
(実施例12)
フッ素系表面活性剤A 平均分子量4480:1.0重量部
基油 ポリαオレフィン(動粘度(40℃):30mm
2/s):76.8重量部
増ちょう剤 リチウム石けん(12−ヒドロキシステアリン酸リチウム):7.0重量部
酸化防止剤 ヒンダードフェノール系酸化防止剤:0.2重量部
固体潤滑剤A ポリテトラフルオロエチレン(平均粒径6.5μm):5.0重量部
固体潤滑剤B メラミンシアヌレート(平均粒径3.1μm):5.0重量部
固体潤滑剤C 超高分子量ポリエチレン(平均粒径30μm):5.0重量部
粉塵 (JIS Z 8901 1種、2種、7種、8種を1:1:1:1で混合):15.0重量部
【0093】
(実施例13)
フッ素系表面活性剤A 平均分子量4480:0.01重量部
基油 ポリαオレフィン(動粘度(40℃):30mm
2/s):77.8重量部
増ちょう剤 リチウム石けん(12−ヒドロキシステアリン酸リチウム):7.0重量部
酸化防止剤 ヒンダードフェノール系酸化防止剤:0.2重量部
固体潤滑剤A ポリテトラフルオロエチレン(平均粒径6.5μm):5.0重量部
固体潤滑剤B メラミンシアヌレート(平均粒径3.1μm):5.0重量部
固体潤滑剤C 超高分子量ポリエチレン(平均粒径30μm):5.0重量部
粉塵 (JIS Z 8901 1種、2種、7種、8種を1:1:1:1で混合):2.0重量部
【0094】
(実施例14)
フッ素系表面活性剤A 平均分子量4480:10.0重量部
基油 ポリαオレフィン(動粘度(40℃):30mm
2/s):67.8重量部
増ちょう剤 リチウム石けん(12−ヒドロキシステアリン酸リチウム):7.0重量部
酸化防止剤 ヒンダードフェノール系酸化防止剤:0.2重量部
固体潤滑剤A ポリテトラフルオロエチレン(平均粒径6.5μm):5.0重量部
固体潤滑剤B メラミンシアヌレート(平均粒径3.1μm):5.0重量部
固体潤滑剤C 超高分子量ポリエチレン(平均粒径30μm):5.0重量部
粉塵 (JIS Z 8901 2種、8種を1:1で混合):2.0重量部
【0095】
(実施例15)
フッ素系表面活性剤B 平均分子量1490:1.0重量部
基油 ポリαオレフィン(動粘度(40℃):30mm
2/s):76.8重量部
増ちょう剤 リチウム石けん(12−ヒドロキシステアリン酸リチウム):7.0重量部
酸化防止剤 ヒンダードフェノール系酸化防止剤:0.2重量部
固体潤滑剤A ポリテトラフルオロエチレン(平均粒径6.5μm):5.0重量部
固体潤滑剤B メラミンシアヌレート(平均粒径3.1μm):5.0重量部
固体潤滑剤C 超高分子量ポリエチレン(平均粒径30μm):5.0重量部
グリース調製後に粉塵を混合
粉塵 (JIS Z 8901 1種、2種、7種、8種を1:1:1:1で混合):2.0重量部
【0096】
(実施例16)
フッ素系表面活性剤C 部分フッ素化アルコール置換グリコール:1.0重量部
基油 ポリαオレフィン(動粘度(40℃):30mm
2/s):76.8重量部
増ちょう剤 リチウム石けん(12−ヒドロキシステアリン酸リチウム):7.0重量部
酸化防止剤 ヒンダードフェノール系酸化防止剤:0.2重量部
固体潤滑剤A ポリテトラフルオロエチレン(平均粒径6.5μm):5.0重量部
固体潤滑剤B メラミンシアヌレート(平均粒径3.1μm):5.0重量部
固体潤滑剤C 超高分子量ポリエチレン(平均粒径30μm):5.0重量部
粉塵 (JIS Z 8901 1種、2種、7種、8種を1:1:1:1で混合):2.0重量部
【0097】
(実施例17)
フッ素系表面活性剤A 平均分子量4480:0.005重量部
基油 ポリαオレフィン(動粘度(40℃):30mm
2/s):77.8重量部
増ちょう剤 リチウム石けん(12−ヒドロキシステアリン酸リチウム):7.0重量部
酸化防止剤 ヒンダードフェノール系酸化防止剤:0.2重量部
固体潤滑剤A ポリテトラフルオロエチレン(平均粒径6.5μm):5.0重量部
固体潤滑剤B メラミンシアヌレート(平均粒径3.1μm):5.0重量部
固体潤滑剤C 超高分子量ポリエチレン(平均粒径30μm):5.0重量部
粉塵 (JIS Z 8901 1種、2種、7種、8種を1:1:1:1で混合):2.0重量部
【0098】
(実施例18)
フッ素系表面活性剤B 平均分子量1490:0.005重量部
基油 ポリαオレフィン(動粘度(40℃):30mm
2/s):77.8重量部
増ちょう剤 リチウム石けん(12−ヒドロキシステアリン酸リチウム):7.0重量部
酸化防止剤 ヒンダードフェノール系酸化防止剤:0.2重量部
固体潤滑剤A ポリテトラフルオロエチレン(平均粒径6.5μm):5.0重量部
固体潤滑剤B メラミンシアヌレート(平均粒径3.1μm):5.0重量部
固体潤滑剤C 超高分子量ポリエチレン(平均粒径30μm):5.0重量部
粉塵 (JIS Z 8901 1種、2種、7種、8種を1:1:1:1で混合):2.0重量部
【0099】
(比較例4)
基油 ポリαオレフィン(動粘度(40℃):30mm
2/s):79.8重量部
増ちょう剤 リチウム石けん(12−ヒドロキシステアリン酸リチウム):10.0重量部
酸化防止剤 ヒンダードフェノール系酸化防止剤:0.2重量部
固体潤滑剤D 超高分子量ポリエチレン(平均粒径10μm):10.0重量部
粉塵 (JIS Z 8901 1種、2種、7種、8種を1:1:1:1で混合):2.0重量部
【0100】
基油の存在下、リチウム石けんを合成し、攪拌しながら温度を上昇させた。次いで、80℃以下に冷却した後、各種添加剤を処方して、三段ロールミル、ディスパーミルやコロイドミル等を使用することにより均一なグリース組成物を得ることができた。
【0101】
混和ちょう度は、280〜310の間にて調整した。なお、試験方法はJIS K 2220に基づく。混和ちょう度調整後に、規定量の粉塵をグリース中に混合した。
【0102】
<グリースの評価方法>
グリースは粘ちょう状物質であるため、潤滑油のような粉塵の沈降で評価することはできない。そのため、摩擦係数にて評価した。
【0103】
<摩擦係数の実験条件>
試験片:PA66GF30ピン(φ4mm)/Al板
荷重:1000gf
グリース塗布膜厚:0.2mm
試験温度:室温
摺動速度:10mm/sec
摺動幅:20mm/片道
摺動回数:10往復
【0104】
図7は、往復摺動試験方法を説明するための模式図である。
図7に示す符号3は、固定ピンを示し、符号4は、Al板を示す。そして、Al板4を、A方向に往復摺動させた。
【0105】
各試料において、粉塵添加前と粉塵添加後の各動摩擦係数を測定し、下記の計算式で摩擦係数の変化率を算出した。
【0106】
すなわち、10回往復摺動後における粉塵混合後動摩擦係数を、μ1とし、10回往復摺動後における粉塵混合前動摩擦係数をμ0とした。そして、摩擦係数変化率(%)を、{(μ1−μ0)/μ0}×100にて求めた。その実験結果が以下の表3、表4に示されている。
【0107】
【表3】
【0108】
【表4】
【0109】
ここで、表3及び表4に示す「変化率」欄の◎は、変化率が30%未満を示し、○は、変化率が30%以上40%未満を示し、△は、変化率が40%以上45%未満であることを示し、×は、変化率が45%以上であることを示す。
【0110】
表3、表4に示すように、初期時における摩擦係数の変化率は、実施例では45%未満に抑えることができるとわかった。また、実施例11〜実施例16では、変化率を40%未満に抑えることができるとわかった。また、実施例11及び実施例14では、変化率を30%未満に抑えることができるとわかった。ここで、摺動回数を10往復させた状態で摩擦係数を測定しており、すなわち初期状態を少しだけ摺動させた状態としたのは最初の数回は、摺動部材とグリースとのなじみが低く、摩擦係数のばらつきが大きいためである。
【0111】
次に、実施例11及び比較例4の各試料を用いて、摺動速度を1mm/s、及び、10mm/sと変化させた際の、往復摺動回数と摩擦係数との関係について調べた。なお摩擦係数の実験条件は、上記の摺動速度回数及び摺動回数を除いて同じとした。
【0112】
図8は、実施例11と比較例4との摺動速度に対する、異物を含まない状態での、往復摺動回数と摩擦係数との関係を示すグラフである。一方、
図9は、実施例11と比較例4との摺動速度に対する、異物を含んだ状態での、往復摺動回数と摩擦係数との関係を示すグラフである。
【0113】
図8に示すように、異物を含まない状態では、実施例11及び比較例4ともに、摺動速度によって摩擦係数は大きく変化しないが、実施例11のほうが比較例4に比べて、摩擦係数を低く抑えることができるとわかった。
【0114】
次に
図9に示すように、異物を含んだ状態でも、実施例11では、摺動速度によって摩擦係数は大きく変化しないことがわかった。これに対して、比較例4では、特に摺動速度が低速になるほど摩擦係数が不安定になることがわかった。