特許第6388613号(P6388613)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6388613画像処理装置、設計支援システム及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6388613
(24)【登録日】2018年8月24日
(45)【発行日】2018年9月12日
(54)【発明の名称】画像処理装置、設計支援システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 19/102 20140101AFI20180903BHJP
   H04N 19/136 20140101ALI20180903BHJP
【FI】
   H04N19/102
   H04N19/136
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-33085(P2016-33085)
(22)【出願日】2016年2月24日
(65)【公開番号】特開2017-152897(P2017-152897A)
(43)【公開日】2017年8月31日
【審査請求日】2017年8月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】南田 宗佑
(72)【発明者】
【氏名】村山 修一
(72)【発明者】
【氏名】橋本 達也
(72)【発明者】
【氏名】瀬光 孝之
(72)【発明者】
【氏名】根本 亞矢子
(72)【発明者】
【氏名】大澤 淳真
【審査官】 岩井 健二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−130427(JP,A)
【文献】 特開平9−037242(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/129422(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 19/00 − 19/98
H04N 5/225
H04N 5/232
H04N 7/18
H04N 17/00 − 17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1撮影手段の撮影範囲において画質劣化要因となる事象が発生していないときに第2撮影手段によって撮影された前記第1撮影手段の撮影範囲の撮影画像を解析することで前記第1撮影手段の撮影範囲の平常な状態を示す現地画像解析情報を生成する現地画像解析情報生成手段と、
撮影画像の画質劣化要因となる事象の発生状況を示す状況情報、符号化パラメータの設定値及び画質劣化要因となる事象が発生していないときの撮影画像の解析情報を入力とした場合に、画質劣化要因となる事象が発生したときの撮影画像の画質の劣化の程度を示す画質劣化指標を出力とする予測モデルに、前記第1撮影手段の撮影範囲において画質劣化要因となる事象の予想される発生状況を示す状況情報、前記第1撮影手段への設定候補とする符号化パラメータ設定値及び前記現地画像解析情報を入力することで、前記第1撮影手段への設定候補とする符号化パラメータ設定値を設定した場合において前記第1撮影手段の撮影範囲において画質劣化要因となる事象が発生していたときの前記第1撮影手段の撮影画像の画質の劣化の程度を示す画質劣化指標を求める画質劣化指標導出手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記予測モデルは、第3撮影手段の撮影範囲に、撮影画像の画質劣化要因となる事象が発生していないときの前記第3撮影手段による撮影画像と、撮影画像の画質劣化要因となる事象が発生しているときの前記第3撮影手段による撮影画像と、を含むサンプル画像を解析することで生成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記サンプル画像を解析することで前記予測モデルを生成する予測モデル生成手段を有することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
第1撮影手段の撮影範囲において画質劣化要因となる事象が発生していないときに第2撮影手段によって撮影された前記第1撮影手段の撮影範囲の撮影画像を解析することで前記第1撮影手段の撮影範囲の平常な状態を示す現地画像解析情報を生成する現地画像解析情報生成手段と、
撮影画像の画質劣化要因となる事象の発生状況を示す状況情報、符号化パラメータの設定値及び画質劣化要因となる事象が発生していないときの撮影画像の解析情報を入力とした場合に、画質劣化要因となる事象が発生したときの撮影画像の画質の劣化の程度を示す画質劣化指標を出力とする予測モデルに、前記第1撮影手段の撮影範囲において画質劣化要因となる事象の予想される発生状況を示す状況情報、前記第1撮影手段への設定候補とする符号化パラメータ設定値及び前記現地画像解析情報を入力することで、前記第1撮影手段への設定候補とする符号化パラメータ設定値を設定した場合において前記第1撮影手段の撮影範囲において画質劣化要因となる事象が発生していたときの前記第1撮影手段の撮影画像の画質の劣化の程度を示す画質劣化指標を求める画質劣化指標導出手段と、
前記第1撮影手段の撮影範囲において画質劣化要因となる事象が発生していないときに前記第2撮影手段によって撮影された前記第1撮影手段の撮影範囲の撮影画像を、指定された符号化パラメータ値を用いて再符号化することで当該撮影画像の画質を参照画質として算出する参照画質算出手段と、
前記参照画質及び前記画質劣化指標に基づいて、要求された画質を満たす前記第1撮影手段への符号化パラメータ設定値を導出して提示する推奨設定値提示手段と、
を有することを特徴とする設計支援システム。
【請求項5】
コンピュータを、
第1撮影手段の撮影範囲において画質劣化要因となる事象が発生していないときに第2撮影手段によって撮影された前記第1撮影手段の撮影範囲の撮影画像を解析することで前記第1撮影手段の撮影範囲の平常な状態を示す現地画像解析情報を生成する現地画像解析情報生成手段、
撮影画像の画質劣化要因となる事象の発生状況を示す状況情報、符号化パラメータの設定値及び画質劣化要因となる事象が発生していないときの撮影画像の解析情報を入力とした場合に、画質劣化要因となる事象が発生したときの撮影画像の画質の劣化の程度を示す画質劣化指標を出力とする予測モデルに、前記第1撮影手段の撮影範囲において画質劣化要因となる事象の予想される発生状況を示す状況情報、前記第1撮影手段への設定候補とする符号化パラメータ設定値及び前記現地画像解析情報を入力することで、前記第1撮影手段への設定候補とする符号化パラメータ設定値を設定した場合において前記第1撮影手段の撮影範囲において画質劣化要因となる事象が発生していたときの前記第1撮影手段の撮影画像の画質の劣化の程度を示す画質劣化指標を求める画質劣化指標導出手段、
として機能させるためのプログラム。
【請求項6】
コンピュータを、
第1撮影手段の撮影範囲において画質劣化要因となる事象が発生していないときに第2撮影手段によって撮影された前記第1撮影手段の撮影範囲の撮影画像を解析することで前記第1撮影手段の撮影範囲の平常な状態を示す現地画像解析情報を生成する現地画像解析情報生成手段、
撮影画像の画質劣化要因となる事象の発生状況を示す状況情報、符号化パラメータの設定値及び画質劣化要因となる事象が発生していないときの撮影画像の解析情報を入力とした場合に、画質劣化要因となる事象が発生したときの撮影画像の画質の劣化の程度を示す画質劣化指標を出力とする予測モデルに、前記第1撮影手段の撮影範囲において画質劣化要因となる事象の予想される発生状況を示す状況情報、前記第1撮影手段への設定候補とする符号化パラメータ設定値及び前記現地画像解析情報を入力することで、前記第1撮影手段への設定候補とする符号化パラメータ設定値を設定した場合において前記第1撮影手段の撮影範囲において画質劣化要因となる事象が発生していたときの前記第1撮影手段の撮影画像の画質の劣化の程度を示す画質劣化指標を求める画質劣化指標導出手段、
前記第1撮影手段の撮影範囲において画質劣化要因となる事象が発生していないときに前記第2撮影手段によって撮影された前記第1撮影手段の撮影範囲の撮影画像を、指定された符号化パラメータ値を用いて再符号化することで当該撮影画像の画質を参照画質として算出する参照画質算出手段、
前記参照画質及び前記画質劣化指標に基づいて、要求された画質を満たす前記第1撮影手段への符号化パラメータ設定値を導出して提示する推奨設定値提示手段、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、設計支援システム及びプログラム、特に撮影画像の画質に関する。
【背景技術】
【0002】
セキュリティ対策のために、監視システムは様々な施設に導入されている。監視システムの導入時には、監視目的等に応じて監視カメラの設置台数や設置場所を決定し、また各監視カメラの符号化パラメータに対しても設置場所や顧客の要望等に応じて最適な設定値を決定する必要がある。例えば、監視カメラに設定する符号化パラメータとしてフレームレート、ビットレート、解像度等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−004261号公報
【特許文献2】国際公開2010/084902号
【特許文献3】特開2014−180024号公報
【特許文献4】特開2010−187130号公報
【特許文献5】特開2007−267020号公報
【特許文献6】特開2004−213202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
監視システムの導入時には、様々な条件を検討して最適と考えられる設定値を決定するものの、実際に運用を開始してみると顧客の要望に応えられていない場合が発生する。例えば、監視カメラの撮影画像の画質が、顧客が要求する画質に達していないなどである。これは、監視カメラの性能面は十分であっても、監視カメラの撮影範囲内を通過する人や車、木の揺れ、ガラスの反射光等の不確定な要素が画質劣化の要因となっている場合が少なくない。図6には、画質劣化要因となる不確定要素が映り込む可能性のある範囲の一部が示されている。
【0005】
従来においては、このような不確定な要素の影響によりどのくらい撮影画像の画質が劣化するのか、その画質の劣化の程度を示す客観的な指標が提供されていなかった。そのため、設定値を決定する際に画質の劣化の程度を考慮することができず、運用を開始してみると顧客の要望に応えられていない場合が発生していた。
【0006】
本発明は、撮影画像の画質の劣化の程度を示す客観的な指標を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る画像処理装置は、第1撮影手段の撮影範囲において画質劣化要因となる事象が発生していないときに第2撮影手段によって撮影された前記第1撮影手段の撮影範囲の撮影画像を解析することで前記第1撮影手段の撮影範囲の平常な状態を示す現地画像解析情報を生成する現地画像解析情報生成手段と、撮影画像の画質劣化要因となる事象の発生状況を示す状況情報、符号化パラメータの設定値及び画質劣化要因となる事象が発生していないときの撮影画像の解析情報を入力とした場合に、画質劣化要因となる事象が発生したときの撮影画像の画質の劣化の程度を示す画質劣化指標を出力とする予測モデルに、前記第1撮影手段の撮影範囲において画質劣化要因となる事象の予想される発生状況を示す状況情報、前記第1撮影手段への設定候補とする符号化パラメータ設定値及び前記現地画像解析情報を入力することで、前記第1撮影手段への設定候補とする符号化パラメータ設定値を設定した場合において前記第1撮影手段の撮影範囲において画質劣化要因となる事象が発生していたときの前記第1撮影手段の撮影画像の画質の劣化の程度を示す画質劣化指標を求める画質劣化指標導出手段と、を有するものである。
【0008】
また、前記予測モデルは、第3撮影手段の撮影範囲に、撮影画像の画質劣化要因となる事象が発生していないときの前記第3撮影手段による撮影画像と、撮影画像の画質劣化要因となる事象が発生しているときの前記第3撮影手段による撮影画像と、を含むサンプル画像を解析することで生成されたものである。
【0009】
また、前記サンプル画像を解析することで前記予測モデルを生成する予測モデル生成手段を有するものである。
【0010】
本発明に係る設計支援システムは、第1撮影手段の撮影範囲において画質劣化要因となる事象が発生していないときに第2撮影手段によって撮影された前記第1撮影手段の撮影範囲の撮影画像を解析することで前記第1撮影手段の撮影範囲の平常な状態を示す現地画像解析情報を生成する現地画像解析情報生成手段と、撮影画像の画質劣化要因となる事象の発生状況を示す状況情報、符号化パラメータの設定値及び画質劣化要因となる事象が発生していないときの撮影画像の解析情報を入力とした場合に、画質劣化要因となる事象が発生したときの撮影画像の画質の劣化の程度を示す画質劣化指標を出力とする予測モデルに、前記第1撮影手段の撮影範囲において画質劣化要因となる事象の予想される発生状況を示す状況情報、前記第1撮影手段への設定候補とする符号化パラメータ設定値及び前記現地画像解析情報を入力することで、前記第1撮影手段への設定候補とする符号化パラメータ設定値を設定した場合において前記第1撮影手段の撮影範囲において画質劣化要因となる事象が発生していたときの前記第1撮影手段の撮影画像の画質の劣化の程度を示す画質劣化指標を求める画質劣化指標導出手段と、前記第1撮影手段の撮影範囲において画質劣化要因となる事象が発生していないときに前記第2撮影手段によって撮影された前記第1撮影手段の撮影範囲の撮影画像を、指定された符号化パラメータ値を用いて再符号化することで当該撮影画像の画質を参照画質として算出する参照画質算出手段と、前記参照画質及び前記画質劣化指標に基づいて、要求された画質を満たす前記第1撮影手段への符号化パラメータ設定値を導出して提示する推奨設定値提示手段と、を有するものである。
【0011】
本発明に係るプログラムは、コンピュータを、第1撮影手段の撮影範囲において画質劣化要因となる事象が発生していないときに第2撮影手段によって撮影された前記第1撮影手段の撮影範囲の撮影画像を解析することで前記第1撮影手段の撮影範囲の平常な状態を示す現地画像解析情報を生成する現地画像解析情報生成手段、撮影画像の画質劣化要因となる事象の発生状況を示す状況情報、符号化パラメータの設定値及び画質劣化要因となる事象が発生していないときの撮影画像の解析情報を入力とした場合に、画質劣化要因となる事象が発生したときの撮影画像の画質の劣化の程度を示す画質劣化指標を出力とする予測モデルに、前記第1撮影手段の撮影範囲において画質劣化要因となる事象の予想される発生状況を示す状況情報、前記第1撮影手段への設定候補とする符号化パラメータ設定値及び前記現地画像解析情報を入力することで、前記第1撮影手段への設定候補とする符号化パラメータ設定値を設定した場合において前記第1撮影手段の撮影範囲において画質劣化要因となる事象が発生していたときの前記第1撮影手段の撮影画像の画質の劣化の程度を示す画質劣化指標を求める画質劣化指標導出手段、として機能させるためのものである。
【0012】
本発明に係るプログラムは、コンピュータを、第1撮影手段の撮影範囲において画質劣化要因となる事象が発生していないときに第2撮影手段によって撮影された前記第1撮影手段の撮影範囲の撮影画像を解析することで前記第1撮影手段の撮影範囲の平常な状態を示す現地画像解析情報を生成する現地画像解析情報生成手段、撮影画像の画質劣化要因となる事象の発生状況を示す状況情報、符号化パラメータの設定値及び画質劣化要因となる事象が発生していないときの撮影画像の解析情報を入力とした場合に、画質劣化要因となる事象が発生したときの撮影画像の画質の劣化の程度を示す画質劣化指標を出力とする予測モデルに、前記第1撮影手段の撮影範囲において画質劣化要因となる事象の予想される発生状況を示す状況情報、前記第1撮影手段への設定候補とする符号化パラメータ設定値及び前記現地画像解析情報を入力することで、前記第1撮影手段への設定候補とする符号化パラメータ設定値を設定した場合において前記第1撮影手段の撮影範囲において画質劣化要因となる事象が発生していたときの前記第1撮影手段の撮影画像の画質の劣化の程度を示す画質劣化指標を求める画質劣化指標導出手段、前記第1撮影手段の撮影範囲において画質劣化要因となる事象が発生していないときに前記第2撮影手段によって撮影された前記第1撮影手段の撮影範囲の撮影画像を、指定された符号化パラメータ値を用いて再符号化することで当該撮影画像の画質を参照画質として算出する参照画質算出手段、前記参照画質及び前記画質劣化指標に基づいて、要求された画質を満たす前記第1撮影手段への符号化パラメータ設定値を導出して提示する推奨設定値提示手段、として機能させるためのものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、撮影画像の画質の劣化の程度を示す客観的な指標を提供することができる。
【0014】
また、撮影画像の画質の劣化の程度を考慮した符号化パラメータ設定値を推奨することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る設計支援システムの一実施の形態を示したブロック構成図である。
図2】本実施の形態における画像処理装置を形成するコンピュータのハードウェア構成図である。
図3】本実施の形態における推奨設定値提示処理を示したフローチャートである。
図4】本実施の形態における他の推奨設定値提示処理を示したフローチャートである。
図5】本発明に係る設計支援システムの他の実施の形態を示したブロック構成図である。
図6】監視カメラの撮影画像に含まれる画質劣化要因を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に基づいて、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0017】
図1は、本発明に係る設計支援システム10の一実施の形態を示したブロック構成図である。本実施の形態における設計支援システム10は、1又は複数の画像処理装置を含んで構成される。
【0018】
図2は、本実施の形態における画像処理装置を形成するコンピュータのハードウェア構成図である。本実施の形態において画像処理装置を形成するコンピュータは、パーソナルコンピュータ(PC)等で実現可能であり、従前から存在する汎用的なハードウェア構成で実現できる。すなわち、コンピュータは、図2に示したようにCPU21、ROM22、RAM23、ハードディスクドライブ(HDD)24、入力手段として設けられたマウス25とキーボード26、及び表示装置として設けられたディスプレイ27をそれぞれ接続する入出力コントローラ28、通信手段として設けられたネットワークコントローラ29を内部バス30に接続して構成される。なお、本実施の形態では、画像処理装置をPCで実現する場合を例にしているので図2のように図示したが、例えば、タブレット等他の形態のコンピュータを利用する場合は、ユーザインタフェースの構成等が異なってくることは明らかである。
【0019】
図1に戻り、本実施の形態における設計支援システム10は、現地画像解析部11、予測モデル生成部12、推奨設定値提示部13、サンプル画像情報記憶部14及び現地画像記憶部15を有している。
【0020】
監視システムの導入時には、監視目的や顧客の要望等に応じて各監視カメラに設定する符号化パラメータ値を決定する必要がある。監視カメラの撮影画像の画質は、監視カメラの撮影範囲内を通過する人や車両、木の揺れ、ガラスの反射光等の不確定な要素が画質劣化の要因となって低下する場合がある。本実施の形態では、このような画質劣化要因を考慮して、顧客から要求された画質を満たす監視カメラの符号化パラメータ設定値を推奨できるようにしたことを特徴としている。符号化パラメータ設定値を推奨するために、本実施の形態では、現地画像及びサンプル画像情報を事前に用意する。現地画像及びサンプル画像情報は、それぞれ現地画像記憶部15及びサンプル画像情報記憶部14に予め登録される。なお、本実施の形態においては、監視システムに含める監視カメラそれぞれに対して同等の処理を実行して推奨する符号化パラメータ設定値(以下、「推奨設定値」)を提示すればよいので、以下の説明では、任意の1台の監視カメラに着目して説明する。
【0021】
監視システムの設計段階において、監視カメラに設定する符号化パラメータは未定でも、監視カメラの設置位置、撮影範囲及び機種は確定しているものとする。もちろん、提示された推奨設定値を参照してから設置位置等を変更してもよいが、ここでは確定しているものとして説明する。「現地画像」というのは、監視システムを提案するシステムエンジニア(以下、「SE」)等がビデオカメラやスマホ等の撮影機能を有する携帯型撮影機器(第2撮影手段)を用いて、第1撮影手段である監視カメラの設置位置から監視カメラの撮影範囲を撮影することで生成された撮影画像である。そして、監視カメラの撮影範囲内において画質劣化要因となる事象が発生していないときに撮影され生成された画像である。本実施の形態では、「監視カメラの撮影範囲」と「現地」とを同義で用いている。また、「画質劣化要因となる事象が発生していないとき」というのは、「平常な状態」であることを意味する。従って、現地画像は、平常な状態を示す撮影画像である。現地画像は、静止画像でも動画像もよいが、本実施の形態では、両方の撮影画像を生成するものとする。
【0022】
一方、サンプル画像情報には、サンプル画像が含まれている。「サンプル画像」というのは、SE等がビデオカメラやスマホ等の撮影機能を有する携帯型撮影機器(第3撮影手段)による撮影により生成された画像である。第3撮影手段の撮影範囲は、現地画像と異なり、監視カメラの撮影範囲に限定する必要はなく任意のエリアを撮影範囲としてよい。サンプル画像には、当該撮影範囲において、撮影画像の画質劣化要因となる事象が発生していないときの第3撮影手段による撮影画像と、撮影画像の画質劣化要因となる事象が発生しているときの第3撮影手段による撮影画像と、が対比する画像として含まれている。撮影画像の画質劣化要因となる事象は人為的に発生させてもよい。本実施の形態では、「画質劣化要因となる事象が発生しているとき」というのは、「平常でない状態」であることを意味する。サンプル画像は、静止画像でも動画像もよいが、本実施の形態では、動画像で生成されたものとする。第3撮影手段は、第2撮影手段と同じ機器でも異なる機器でもよい。また、推奨精度の向上のためにサンプル画像として数百にも及ぶ多くの撮影画像を得ておくことが望ましいが、各サンプル画像を生成する第3撮影手段は、必ずしも1台の機器とする必要はない。
【0023】
現地画像解析部11は、現地画像解析情報生成手段として設けられ、現地画像記憶部15に記憶された現地画像、特に動画像を解析することで監視カメラの撮影範囲内の平常な状態を示す現地画像解析情報を生成する。現地画像解析部11はまた、参照画質算出手段でもあり、現地画像記憶部15に記憶された現地画像、特に静止画像をSE等に入力指定された符号化パラメータ値を用いて再符号化することで当該現地画像の画質を参照画質として算出する。本実施の形態では、画質を客観的に表す指標としてPSNR(Peak Signal to Noise Ratio)を用いて説明するが、この客観的指標に限定する必要はなく、例えばMSE(Mean Square Error)やSSIM(Structural Similarity)を用いてもよい。
【0024】
予測モデル生成部12は、予測モデル生成手段として設けられ、サンプル画像情報記憶部14に蓄積されたサンプル画像情報に基づいて予測モデルを生成する。予測モデル生成部12が生成する予測モデルは、撮影画像の画質劣化要因となる事象の発生状況を示す状況情報、符号化パラメータ設定値及び画質劣化要因となる事象が発生していないときの撮影画像の解析情報を入力とした場合に、画質劣化要因となる事象が発生したときの撮影画像の画質の劣化の程度を示す画質劣化指標として画質低下度を出力とする。本実施の形態では、状況情報等の入力と画質低下度という出力を関連付けることを「予測」と称している。
【0025】
推奨設定値提示部13は、画質劣化指標導出手段として設けられ、予測モデル生成部12により生成された予測モデルに、監視カメラの撮影範囲において画質劣化要因となる事象の予想される発生状況を示す状況情報、監視カメラへの設定候補とする符号化パラメータ設定値及び現地画像解析情報を入力することで、監視カメラへの設定候補とする符号化パラメータ設定値を設定した場合において監視カメラの撮影範囲において画質劣化要因となる事象が発生していたときの監視カメラの撮影画像の画質の劣化の程度を示す画質低下度を画質劣化指標として求める。推奨設定値提示部13はまた、推奨設定値提示手段として設けられ、参照画質及び画質低下度に基づいて、要求された画質を満たす監視カメラの符号化パラメータ設定値を推奨設定値として導出し提示する。
【0026】
設計支援システム10における各構成要素11〜13は、設計支援システム10に含まれるコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPU21で動作するプログラムとの協調動作により実現される。また、各記憶部14,15は、設計支援システム10に含まれるコンピュータに搭載されたHDD24にて実現される。あるいは、RAM23又は外部にある記憶手段をネットワーク経由で利用してもよい。
【0027】
また、本実施の形態で用いるプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD−ROMやUSBメモリ等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して提供することも可能である。通信手段や記録媒体から提供されたプログラムはコンピュータにインストールされ、コンピュータのCPUがプログラムを順次実行することで各種処理が実現される。
【0028】
以下、推奨設定値を提示するまでの本実施の形態における推奨設定値提示処理について図3に示したフローチャートを用いて説明する。
【0029】
まず、現地画像解析部11は、現地画像記憶部15に蓄積されている現地画像(動画像)を解析することで現地画像解析情報を算出する(ステップ101)。本実施の形態では、現地画像解析情報として、動画像の中の所定範囲毎に画素値が時間をかけてどれくらい変化しているかを示す分散を算出する。例えば、木の枝や葉の部分が揺れていると画素値が大きく変化する、すなわち分散は相対的に大きな値となる。一方、壁の部分の画素値はある程度一定しているため分散は相対的に小さな値となる。
【0030】
続いて、予測モデル生成部12は、サンプル画像情報記憶部14に蓄積されたサンプル画像情報を解析することによって予測モデルを生成する(ステップ102)。本実施の形態では、予測モデルの生成手法として、2つの手法を提示する。
【0031】
予測モデルを生成する既存技術として、1つは回帰アルゴリズムを利用する。回帰アルゴリズムとして線形回帰、回帰木、Decision Forest等を用いてよい。予測モデル生成部12は、回帰アルゴリズムを用いることで、サンプル画像を解析することで得た状況情報、符号化パラメータ設定値及びPSNRや分散等の画像解析情報を入力とし、画質低下度を出力とする予測モデルを生成する。ここで、「状況情報」というのは、撮影手段の撮影範囲内の状況を示す情報である。撮影範囲内において画質劣化要因が発生している場合、状況情報は、例えば、撮影画像に映り込んでいる人や車両等の動物体の数、動物体の移動速度、撮影画像内において枝葉が揺れる木の画像が占める割合等の状況を数値化して表す。なお、本実施の形態では、上記3指標を入力とする予測モデルを生成するが、少なくとも1つを入力とする予測モデルを生成してもよい。
【0032】
予測モデルを生成する既存技術として、もう1つは他クラス識別問題を利用する。他クラス識別問題としては、SVM(Support Vector Machine)やAdaBoost等を用いてよい。他クラス識別問題は、回帰アルゴリズムと同様の指標を入力とした予測モデルを生成するが、これらの指標のうち少なくとも2つを入力するようにしてもよい。なお、多クラスの入力の場合は、2クラスの識別器を多段につなげるなどする。
【0033】
本実施の形態では、上記の通り2つの手法を示したが、その他の手法を用いて予測モデルを生成してもよい。
【0034】
予測モデル生成部12は、具体的には次のようにして予測モデルを生成する。すなわち、予測モデル生成部12は、ある撮影範囲において撮影画像の画質劣化要因となる事象が発生していないときの撮影画像と、発生しているときの撮影画像との組をサンプル画像情報記憶部14から抽出する。そして、各撮影画像を対比して、画質劣化要因となる事象が発生しているときの撮影範囲内における状況を抽出する。例えば、所定時間内に撮影画像内に映り込んだ人の数、通過した車両の台数等を抽出する。このような画像処理を実施することで状況情報を生成する。なお、本実施の形態では、撮影画像を画像解析することで状況情報を自動生成するようにしたが、SE等に入力させるようにしてもよい。あるいは、サンプル画像を事前に解析して状況情報を生成しておき、当該サンプル画像に状況情報を対応付けしてサンプル画像情報としてサンプル画像情報記憶部14に登録しておいてもよい。更に、予測モデル生成部12は、画質劣化要因となる事象が発生していないときの撮影画像を解析することで、現地画像解析部11が解析により得た情報と同じく画像の解析情報として分散を算出する。
【0035】
ところで、本実施の形態では、フレームレート、ビットレート及び解像度という3つの符号化パラメータの設定値を推奨するので、上記のようにして求めた状況情報及び画像の解析情報に加えて、これら3つ符号化パラメータの設定値の組合せを回帰アルゴリズムの入力とし、画質低下度を出力とする予測モデルを生成する。入力する3つ符号化パラメータの設定値は、予測モデルを生成する際に、1組のサンプル画像につきそれぞれの値を調整しながら入力するようにしてもよいし、後述するようにビットレートの設定値のみを調整するようにしてもよい。
【0036】
続いて、推奨設定値提示部13は、監視カメラの撮影範囲内の状況情報及び顧客により要求された画質を取得する(ステップ103)。これらの情報は、SE等により入力されることで、あるいはHDD24の所定の格納場所から読み出されて取得される。なお、本実施の形態では、顧客に要求された画質(PSNR)のことを「要求PSNR」と称することにする。ここで取得する状況情報は、監視カメラの撮影範囲において画質劣化要因となる事象の予想される発生状況を示す情報である。例えば、所定時間内に監視カメラの撮影画像に同時に映り込むと予想される人数が状況情報に含まれる。このように、予測モデル生成部12により生成される状況情報がサンプル画像を解析することで得られた実績情報であるのに対し、推奨設定値提示部13により取得される状況情報は予想情報である。
【0037】
なお、上記ステップ101〜103で得た情報は、以下に説明する推奨設定値を決定するステップ104〜107にて用いられるので、それまでに取得されていればよく、必ずしも図3に示した順番で取得する必要はない。
【0038】
本実施の形態では、フレームレート、ビットレート及び解像度という3つの符号化パラメータの設定値を推奨する。このとき、本実施の形態では、2つの符号化パラメータ値を固定して、1つの符号化パラメータの設定値を調整する方法を採用する。そして、調整対象の符号化パラメータをビットレートする。もちろん、ビットレートに限定する必要はなく、フレームレート及び解像度をそれぞれ調整対象として画質低下度を別途予測するようにしてもよい。ただ、フレームレート及び解像度は、監視目的や監視カメラの仕様、撮影画像を蓄積する記憶容量等に依存し、それぞれのパラメータ設定値は設計段階である程度決められる。従って、フレームレート及び解像度を調整対象として画質低下度を予測することは、必ずしも効果的ではなく、むしろ処理負荷の増大を招く可能性がある。一方、ビットレートは、人の動きが大きかったり、多くの人が映り込んだりしたときでも画質の劣化を防止するために設定値を調整したくなる符号化パラメータである。従って、本実施の形態では、ビットレートのみを調整対象として推奨設定値を求めることにした。
【0039】
推奨設定値提示部13は、まずビットレートのパラメータ設定値を仮設定する(ステップ104)。仮設定する値は、SE等に入力指定させてもよいし、事前に設定された初期値を用いてもよい。パラメータ設定値が仮設定されると、現地画像解析部11は、現地画像記憶部15に蓄積されている現地画像(静止画像)を、フレームレートと解像度、そして仮設定されたビットレートの各パラメータ設定値を用いて再符号化することで当該現地画像の画質を表す指標としてPSNRを算出する(ステップ105)。なお、本実施の形態では、算出するPSNRを「参照PSNR」と称することにする。本実施の形態では、静止画像に基づき参照PSNRを算出するが、動画像に含まれるいずれかのフレーム画像から参照PSNRを算出するようにしてもよい。
【0040】
続いて、推奨設定値提示部13は、ステップ102において生成された予測モデルに、ステップ103において取得された状況情報、固定されたフレームレート及び解像度とステップ104において仮設定されたビットレートの各符号化パラメータ設定値、及びステップ101において算出された現地画像解析情報を入力することで、画質低下度を出力させる。このようにして画質低下度を予測すると(ステップ106)、推奨設定値提示部13は、ステップ105において算出された参照PSNRから画質低下度を減算し、その値と要求PSNRとの差分の絶対値を算出する。参照PSNRというのは、監視カメラの撮影範囲内において画質劣化要因となる事象が発生していないときの撮影画像の画質を示す指標である。仮に、予想される画質劣化要因となる事象が発生すると、仮設定された符号化パラメータ設定値のもと画質低下度で示される画質の劣化が起こりうるので、この画質低下度を参照PSNRから減算することで画質劣化要因となる事象が発生した場合に予想されるPSNRを求めるようにした。なお、参照PSNRから画質低下度を減算したPSNRを「予想PSNR」と称することにする。
【0041】
算出した絶対値が所定の閾値以上の場合(ステップ107でN)、仮設定したビットレートでは、要求された画質(要求PSNR)の撮影画像が監視カメラから得られない場合があると判断する。この場合、仮設定するビットレートの値を変更して(ステップ104)、画質低下度を再度予測し直す(ステップ106)。
【0042】
ここで、絶対値が所定の閾値以上の場合というのは、予想PSNRが要求PSNRを上回る場合と下回る場合とがある。予想PSNRが要求PSNRを上回る場合、必要以上の高画質で撮影されることになる。従って、仮設定されたビットレートが500Kbpsだとすると、ステップ104において例えば400Kbpsなどと現状より小さい値のビットレートを仮設定する。一方、予想PSNRが要求PSNRを下回る場合、要求された画質に達しない画質で撮影されることになる。従って、仮設定されたビットレートが500Kbpsだとすると、ステップ104において例えば600Kbpsなどと現状より大きい値のビットレートを仮設定する。新たに仮設定するビットレートの設定値は、SE等に入力指定させるようにしてもよいし、予め決められた増減幅で自動的に増減させるようにしてもよい。
【0043】
以上の処理(ステップ104〜107)を必要により繰り返し行うことで、絶対値が所定の閾値より小さくなると(ステップ107でY)、ステップ104において仮設定したビットレートの設定値を監視カメラに設定すれば、設置する監視カメラは、画質劣化要因が撮影範囲内において発生しても要求PSNRを満たす画質で撮影が可能であると判断して、推奨設定値提示部13は、そのフレームレート、ビットレート及び解像度の組を推奨設定値として提示する(ステップ108)。提示方法は、ディスプレイ27への表示でもネットワークを経由して顧客やSE等にメール送信してもよい。
【0044】
なお、本実施の形態では、監視カメラの撮影範囲内において発生しうる画質劣化要因となる事象を予想して生成された状況情報を入力するようにした。この予想を変更したい場合には、上記推奨設定値提示処理を再実行し、ステップ103において入力する状況情報の設定内容を変更すればよい。
【0045】
以上説明したように、本実施の形態においては、画質劣化要因となる事象が発生した場合に低下しうる画質レベル、すなわち画質低下度を考慮して監視カメラに設定する符号化パラメータの推奨設定値を提示することができる。よって、この推奨設定値を監視カメラに設定すれば、運用を開始してから顧客に要求された画質の撮影画像が得られないというような不都合を極力回避することが可能になる。
【0046】
なお、ステップ107に示したように、推奨設定値を決める際に|要求PSNR−(参照PSNR−画質低下度)|<閾値という条件式を用いる場合、厳密には予想PSNRが要求PSNRに達していない場合もある。ただ、本実施の形態では、閾値内の差は許容範囲内ということでこの場合も要求された画質を満たすものとして推奨設定値を提示するようにした。仮に、厳密に予想PSNRが要求PSNR以上になってはじめて要求された画質を満たすとすると、推奨設定値を決める条件を、−(閾値)<要求PSNR−(参照PSNR−画質低下度)≦0などと設定する必要がある。
【0047】
また、本実施の形態では、予測モデル生成部12を設けてサンプル画像に基づき予測モデルを生成するようにしたが、サンプル画像が用意できれば予測モデルは生成できることから予測モデルを予め生成して記憶手段に保存しておき、推奨設定値提示部13は、生成済みの予測モデルをその記憶手段から読み出して取得するように構成してもよい。この場合、サンプル画像情報記憶部には予測モデルのみが保存され、記憶領域を大幅に節約できる。あるいは、予測モデルを保存する記憶手段を内部に設けずに外部から読み出し取得するようにしてもよい。この予測モデルを生成せずに外部から読み出して利用する場合のフローチャートを図4に、予測モデルを外部から取得する設計支援システムのブロック構成の例を図5に、それぞれ示す。
【0048】
また、本実施の形態では、予測モデルは、第3撮影手段による撮影画像を含むサンプル画像を解析することで生成されるように説明したが、必ずしも撮影画像に基づき生成されていなくてもよい。例えば、「監視カメラの撮影画像に映し出された人数がn人であればn×0.4低下させる」などのように、サンプル画像を解析せずに、予め決められた規則に従い画質低下度の予測モデルを事前に定義することも可能である。この場合、符号化規格毎に演算処理を解析して上記例示した“0.4"という値を決めなければ精度が得られないため実用的ではないかもしれないが、撮影画像の入手が困難な場合には有効な方法とも考えられる。
【0049】
ところで、第1撮影手段で用いる符号化器とサンプル映像の再符号化に用いる符号化器のアルゴリズムが異なる場合に、後述する符号化器の校正を行うようにしてもよい。
【0050】
符号化については、標準化規格(H.264、H.265など)が制定され、生成される符号化結果はどの復号器を使っても同じように復号できるように厳密に規格化されている。標準化規格ではまた演算能力ごとに、プロファイルという符号化手段の規定を、演算能力をある程度限定するので符号化アルゴリズムについてもそれほど大差はない。そのため、通常はこの作業は不要であるが、符号化アルゴリズムに規格の範囲内でありながら決定的に違いがあることがわかっている場合にはその性能の違いを予測結果に反映するための撮影手段の校正を行ってもよい。
【0051】
校正を行う場合、第1撮影手段の撮影範囲と同じ範囲を第3撮影手段により撮影した校正用映像を用意し、同じ符号化パラメータを使った場合に画質低下度がどれだけ異なるかを記憶しておく。これらの情報をもとに、たとえば、ある符号化パラメータについて複数の校正用映像を再符号化する。それらの画質低下度差分(第1撮影手段の画質低下度−第3撮影手段の画質低下度)の平均を取って校正パラメータとすれば、これを予測モデルによる画質低下度からさらに減算することで第3撮影手段に基づき第1撮影手段の校正を行うことができる。
【0052】
第2撮影手段と第3撮影手段の符号化器が違う場合にも上記と同様なことが言え、上記記載において第1撮影手段を第3撮影手段に、第3撮影手段を第2撮影手段に、それぞれ読み替えることで第2撮影手段に基づき第3撮影手段の校正を行うことができる。
【0053】
以上説明したように、本実施の形態では、画質低下度を監視システムの監視カメラに設定する符号化パラメータの設定値を決定する際に利用する場合を例にして説明したが、利用シーンはこれに限定する必要はなく、画質低下度を考慮して何らかの設定を行うシステム等に適宜適用することは可能である。
【符号の説明】
【0054】
10 設計支援システム、11 現地画像解析部、12 予測モデル生成部、13 推奨設定値提示部、14 サンプル画像情報記憶部、15 現地画像記憶部、16 予測モデル取得部、21 CPU、22 ROM、23 RAM、24 ハードディスクドライブ(HDD)、25 マウス、26 キーボード、27 ディスプレイ、28 入出力コントローラ、29 ネットワークコントローラ、30 内部バス。
図1
図2
図3
図4
図5
図6