特許6388614IP Force 特許公報全文掲載

技術分野

粉体又は造粒物の熱中性子透過量測定装置に関する。さらに詳述すると、本発明は、石炭火力発電所で発生する石炭灰のホウ素濃度の定量分析に用いて好適な熱中性子透過量測定装置に関する。

発明が解決しようとする課題[発明の詳細な説明]から抜粋

しかしながら、環境庁告示第46号による溶出液の調製には、石炭灰を水に浸漬して6時間もの長時間の振とう処理が必要であり、このことに起因して石炭灰からのホウ素の溶出量の定量分析に長時間を要しているという問題がある。また、このような前処理を行うこと自体が煩雑であるという問題もある。 ところで、石炭灰からのホウ素の溶出量と石炭灰のホウ素濃度との間には相関が認められることが報告されている(J. Jankowski, C.R. Ward, D. French, S. Groves: “Mobility of trace elements from selected Australian fly ashes and its potential impact on aquatic ecosystems”, Fuel, 85, 243-256, (2006).、B. Cetin and A.H. Aydilek: “pH and fly ash type effect on trace metal leaching from embankment soils”, Resources, Conservation and Recycling, 80, 107-117, (2013).)。 したがって、石炭灰のホウ素濃度を簡易且つ迅速に定量分析することができれば、石炭灰からのホウ素の溶出量を、環境庁告示第46号による溶出液の調製を行うことなく、簡易且つ迅速に予測できるものと考えられる。 しかしながら、石炭灰のホウ素濃度を簡易且つ迅速に定量分析する方法は確立されていないのが現状である。例えば、固体中の微量元素濃度を定量分析する方法として、底質調査法(環境省環境管理局水環境部:「底質調査方法について」、環水大水発第120725002号、(2012).)が知られており、この方法により石炭灰のホウ素濃度の定量分析を行うことは可能である。しかし、この方法を採用する場合、石炭灰をアルカリ融解等により全分解して溶液化する前処理が必須となり、むしろ環境庁告示第46号による溶出液の調製以上の手間や時間を要することになる。また、固体の全分解処理を必要としない微量元素の定量分析方法として、エネルギー分散型X線分析法(EDS)が知られているが、この分析方法では軽元素であるホウ素の定量分析は困難である。 また、石炭灰に限らず、粉体又は造粒物全般について、その構成元素の濃度を簡易且つ迅速に定量分析する手法を確立することは、産業上極めて有意義なものであると考えられる。 そこで、本発明は、石炭灰等の粉体又は造粒物について、ホウ素等の元素の濃度を簡易且つ迅速に定量分析する方法、装置及びプログラムを提供することを目的とする。 また、本発明は、石炭灰等の粉体又は造粒物について、ホウ素等の元素の濃度を定量分析する際に必要となるデータを簡易且つ迅速に取得することのできる測定装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段[発明の詳細な説明]から抜粋

かかる目的を解決するため、本発明者は、従来知られている固体中の微量元素濃度の定量分析方法とは全く異なる方法にて、石炭灰のホウ素濃度を簡易且つ迅速に定量分析することについて鋭意検討を重ねた。その結果、石炭灰のホウ素濃度を簡易且つ迅速に定量分析する手法、さらには石炭灰のホウ素濃度を定量分析する際に必要となるデータを簡易且つ迅速に取得することのできる測定装置の構成を確立するに至った。そしてその手法・・・ 続きを知財ポータルサイト IP Force にログインして見る
【発明の効果】
本発明の熱中性子透過量測定装置によれば、底質調査法等で定められたアルカリ溶融による湿式分解溶液の調製等のように煩雑且つ長時間を要する調製を行うことなく、石炭灰等の粉体又は造粒物をそのまま測定に供して、熱中性子透過量を簡易且つ迅速に測定することが可能となる。したがって、熱中性子透過量を利用した石炭灰等の粉体又は造粒物中の元素(ホウ素、ガドリニウム又はリチウム)の濃度の簡易且つ迅速な定量分析に資するものとできる。 また、本発明の熱中性子透過量測定装置によれば、石炭灰等の粉体又は造粒物の非破壊測定が可能である。したがって、測定に供した粉体又は造粒物を廃棄することなく有効活用することができる。また、底質調査法等で定められたアルカリ溶融による湿式分解溶液の調製等のように、湿式分解後に廃液等が生じないので、これらの後処理を行う必要も無い。 さらに、本発明の熱中性子透過量測定装置において、試料ホルダを、分析対象物の熱中性子透過方向の厚みを一定に規定するものとした場合には、分析対象物の嵩密度の影響を抑えながら熱中性子透過量の測定を行うことが可能となる。したがって、熱中性子透過量の測定値を利用して分析対象物の分析対象元素濃度を定量分析するに際し、この熱中性子透過量測定装置を用いることで、嵩密度の影響を抑えるための補正を行わずとも、高精度且つ高確度に分析を行うことが可能となる。したがって、熱中性子透過量を利用した石炭灰等の粉体又は造粒物中の元素(ホウ素、ガドリニウム又はリチウム)の濃度を、分析対象物の嵩密度を算定するための重量及び体積を測定することなく、さらに簡易且つ迅速に定量分析することが可能となる。 さらに、本発明の熱中性子透過量測定装置において、試料ホルダを、分析対象物の熱中性子透過方向の厚みを一定に規定するものとした場合には、分析対象物の嵩密度の影響を抑えながら熱中性子透過量を測定することが可能となる。したがって、この熱中性子透過量測定装置により得られた分析対象物の熱中性子透過量の測定値に基づいて分析対象物の分析対象元素の濃度を定量分析することで、嵩密度の影響が十分に抑えられた分析値を得ることが可能となり、嵩密度の影響を考慮した補正等を省くことも可能となる。この場合、分析対象物の嵩密度を得るための重量及び体積測定を省くことが可能となり、さらに簡易且つ迅速な定量分析に資するものとなる。

この発明についての権利主張の範囲[特許請求の範囲]

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この特許公報に記載されている図面[図面の簡単な説明]から抜粋

【図1】本発明の熱中性子透過量測定装置の第一の実施形態の一例を示す構成概略図である。

【図2】本発明の熱中性子透過量測定装置の第一の実施形態の他の例を示す構成概略図である。

【図3】本発明の熱中性子透過量測定装置の第二の実施形態の一例を示す構成概略図である。

【図4】本発明の熱中性子透過量測定装置の第二の実施形態の他の例を示す構成概略図である。

【図5】本発明の定量分析方法の第一の実施形態の一例を示すフロー図である。

【図6】本発明の定量分析装置の第一の実施形態の一例を示すブロック図である。

【図7】ホウ素濃度を算定する手段の一例を示すブロック図である。

【図8】本発明の定量分析方法の第二の実施形態の一例を示すフロー図である。

【図9】本発明の定量分析装置の第二の実施形態の一例を示すブロック図である。

【図10】本発明の定量分析方法の第三の実施形態の一例を示すフロー図である。

【図11】本発明の定量分析装置の第三の実施形態の一例を示すブロック図である。

【図12A】実施例1において使用した熱中性子透過量測定装置(中性子ホウ素計:横型レイアウト)を示す上面図である。

【図12B】実施例1において使用した熱中性子透過量測定装置(中性子ホウ素計:横型レイアウト)を示す正面図である。

【図12C】実施例1において使用した熱中性子透過量測定装置(中性子ホウ素計:横型レイアウト)を示す中性子線源の拡大図である。

【図13】実施例1において比例計数管の間隔の検討に用いた試料ホルダの構成概略図である。

【図14】実施例1において比例計数管間隔とホウ素偏在の影響について検討した結果を示す図である。

【図15】実施例1において比例計数管を各種間隔に設定した場合の検量線を示す図である。

【図16】実施例1において比例計数管を各種間隔に設定した場合のホウ素検出下限値を示す図である。

【図17】実施例1において測定試料の厚さについて検討した結果を示す図である。

【図18】実施例1において各種減速材を用いた場合の検量線を示す図である。

【図19】実施例1において各種減速材を用いた場合のホウ素検出下限値と減速材の水素量との関係を示す図である。

【図20】実施例1において減速材の厚みを各種値に設定した場合のホウ素検出下限値を示す図である。

【図21】実施例1において各種測定時間におけるホウ素検出下限値とブランク値の変動を示す図である。

【図22】実施例1においてホウ素濃度が既知の単一性状の石炭灰に、ホウ素を標準添加した試料を用いて作成した検量線を示す図である。

【図23】実施例1において各種石炭灰に含まれるホウ素濃度のヒストグラムである。

【図24】実施例2において従来法による実機灰中のホウ素濃度と中性子ホウ素計による実機灰中のホウ素濃度との相関を示す図である。

【図25】実施例2において2変数による重回帰分析結果を示す図である。

【図26】実施例2において従来法による実機灰中のホウ素濃度と中性子ホウ素計による実機灰中のホウ素濃度(2変数による重回帰予測値)との相関を示す図である。

【図27】実施例2において従来法による実機灰中のホウ素濃度と中性子ホウ素計による実機灰中のホウ素濃度(3変数による重回帰予測値)との相関を示す図である。

【図28】実施例3において使用した熱中性子透過量測定装置(中性子ホウ素計:縦型レイアウト)の構成概略図である。

【図29】実施例3において試料ホルダの厚みについて検討した結果を示す図である。

【図30】実施例3において比例計数管の角度について検討した結果を示す図である。

【図31】実施例3において測定時間について検討した結果を示す図である。

【図32A】実施例1の横型レイアウトの中性子ホウ素計における、8項目の残差平方和を示す図である。

【図32B】実施例3の縦型レイアウトの中性子ホウ素計における、8項目の残差平方和を示す図である。

【図33】実施例4において、ホウ素濃度の異なる5種の実機灰を選択して検量線を作成し、中性子ホウ素計におけるホウ素の定量性を検討した結果を示す図である。

【図34】実施例4において従来法による実機灰中のホウ素濃度と中性子ホウ素計による実機灰中のホウ素濃度との相関を示す図である。

【図35】横型レイアウトの中性子ホウ素計を用いて嵩密度で補正した実施例2の結果と縦型レイアウトの中性子ホウ素計を用いた実施例4における結果とを比較検討した結果を示す図である。

【図36】本発明の熱中性子透過量測定装置の第二の実施形態のさらに他の例を示す図である。

【図37】減速材の試料ホルダとの対向面における熱中性子透過量の面内分布を示す図である。

選択図 図1出願人が指定した本件の代表的な図

1a、1b、1c 定量分析装置   2 重量測定手段   3 体積測定手段   5 カリウム濃度測定手段   6 嵩密度算定手段   7a、7b、7c ホウ素濃度算定手段   10 コンピュータ   20、20a、20b、20c 熱中性子透過量測定装置   21 試料ホルダ   21a 目盛り   22 減速材   23 中性子線源   25 筐体   26 検出器、比例計数管

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