(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記動作制御手段は、前記調理内容に応じて、前記気流の風量、風速又は風向きの少なくとも1つを制御し、前記換気装置の換気風量を制御する、請求項1に記載の加熱調理器。
前記動作制御手段は、前記選択した組合せに基づいて、前記気流発生手段の動作と前記換気装置の動作を制御している間に、予め定めた条件が成立すると、前記テーブルから前記調理内容に応じた、現在の組合せとは異なる他の組合せを選択する、請求項3に記載の加熱調理器。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
実施形態1.
図1は、本発明の実施形態1に係る換気システム1の構成を示す図である。換気システム1は、調理の際に発生した油煙等を排気するためのシステムであり、加熱調理器2と、レンジフード3とを備える。
【0013】
加熱調理器2は、LDK(Living Dining Kitchen)に配置されたキャビネット4に組み込まれた、いわゆるビルトイン型のIH(Induction Heating)調理器である。なお、加熱調理器2は、キャビネット4に載置する態様で設置されてもよい。
図2は、実施形態1に係る加熱調理器2の外観を示す概略図であり、
図3は、その内部構成を示す図である。
図2及び
図3に示すように、この加熱調理器2は、略直方体の筐体20と、筐体20の上面側に設けられたトッププレート21及び操作受付部22と、筐体20の内部に収容された加熱コイル23と、ファン24と、制御基板25とを備える。また、筐体20の奥側上面の縁に沿って、後述するアシスト気流を放出するための吹出口200が設けられている。
【0014】
トッププレート21は、結晶化ガラス等から構成される。加熱コイル23は、トッププレート21の下方に設けられ、後述する制御基板25の制御により高周波電流が流れることで、誘導磁界を発生する。かかる誘導磁界は、トッププレート21に載置された鍋等の調理容器5に作用し、調理容器5は加熱される(いわゆる、誘導加熱)。これにより、トッププレート21は、調理容器5に入っている水や食品等の被加熱物を間接的に加熱する。トッププレート21及び加熱コイル23は、加熱手段を構成する。
【0015】
操作受付部22、加熱コイル23は、それぞれ、信号線を介して制御基板25に接続する。また、加熱調理器2は、トッププレート21を複数(ここでは、3つ)備え、各トッププレート21に対応して、加熱コイル23を複数(ここでは、3つ)備えている。
【0016】
操作受付部22は、筐体20の手前側(即ち、ユーザ側)の上面に設けられ、電源ボタン220と、タッチパネル221とから構成される。電源ボタン220は、加熱調理器2の電源のON/OFFをユーザから受け付けるためのボタンである。タッチパネル221は、例えば、液晶表示デバイスと、静電容量式のタッチセンサとから構成される。タッチパネル221は、制御基板25の制御の下、調理に関する操作をユーザから受け付けるための操作画面を表示すると共に、ユーザによる操作を受け付け、受け付けた操作に係る信号を制御基板25に送出する。
【0017】
タッチパネル221に表示される操作画面には、
図4に示すように、調理メニュー画面や火力設定画面が含まれる。ユーザは、調理メニュー画面を介して所望の調理メニューを選択することができ、火力設定画面を介して火力(加熱の強度)を所望の強さに設定することができる。
図4の例では、調理メニューとして“揚物”が選択され、火力の強さが“中”に設定された様子を示している。
【0018】
ファン24は、IH調理器が一般的に備える、加熱コイル23や制御基板25を冷却するための冷却用ファンである。また、本実施形態では、ファン24は、トッププレート21の加熱により生じた、臭気、油煙、水蒸気等の排気対象をレンジフード3に誘導するための気流(アシスト気流)を発生させるための気流発生手段としても機能する。
【0019】
ファン24は、例えば、シロッコファン、ラインフローファン、ターボファン、軸流ファン等により構成され、図示しない信号線を介して制御基板25に接続する。ファン24は、吸い込んだ空気に圧力をかけてエネルギーを与え、風速を高めて放出する。ファン24から放出された空気は、
図3に示すような風路を経由して、吹出口200から上方に向かって放出される。これによりアシスト気流が発生する。ファン24の風量は、制御基板25からの指示に従って、強、中、弱の3段階に変更される。強、中、弱の時の風量は、例えば、それぞれ1.7m
3/min、1.2m
3/min、0.7m
3/minである。
【0020】
制御基板25の詳細については後述する。
【0021】
レンジフード3は、加熱調理器2の直上に配置され、
図5に示すように、ファン30と、制御基板31を備えた換気装置である。ファン30は、室外(戸外)の空気(外気)を図示しない換気ダクトを介して取り込み、室内に供給すると共に、加熱調理器2の加熱により生じた排気対象を吸引し、換気ダクトを介して戸外へ排出する。
【0022】
制御基板31は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、通信インタフェース、読み書き可能な不揮発性の半導体メモリ(何れも図示せず)等を含んで構成される。制御基板31は、通信インタフェースを介して加熱調理器2と有線又は無線にて通信し、加熱調理器2からの指示に従ってファン30の駆動を制御する。
【0023】
制御基板31は、ファン30の回転数を変更することで、レンジフード3の換気風量、即ち、吸い込む空気の風量を強、中、弱の3段階に変更できる。強、中、弱の時の換気風量は、例えば、それぞれ600m
3/h、370m
3/h、170m
3/hである。
【0024】
なお、レンジフード3には、図示しない操作ボタンが設けられており、ユーザは、かかる操作ボタンを介した操作によって、レンジフード3を所望の換気風量で動作させることもできる。
【0025】
加熱調理器2の制御基板25は、
図6に示すように、CPU250と、ROM251と、RAM252と、通信インタフェース253と、二次記憶装置254とを備える。これらの構成部は、バス255を介して相互に接続される。CPU250は、加熱調理器2を統括的に制御する。
【0026】
ROM251は、複数のファームウェアやこれらのファームウェアの実行時に使用されるデータ等を記憶する。RAM252は、CPU250の作業領域として使用される。通信インタフェース253は、レンジフード3の制御基板31と無線通信又は有線通信するためのインタフェースを備える。
【0027】
二次記憶装置254は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、フラッシュメモリ等の読み書き可能な不揮発性の半導体メモリ等から構成される。二次記憶装置254は、
図7に示すように、換気制御に関するプログラム(換気制御プログラム2540)と、動作組合せテーブル2541とを記憶する。なお、このほかにも、二次記憶装置254には、一般的なIH調理器としての機能を果たすためのプログラムやデータを記憶する。
【0028】
換気制御プログラム2540は、CPU250によって実行されるコンピュータ・プログラムである。換気制御プログラム2540には、ファン24とレンジフード3を連動して動作させるための処理が記述されている。
【0029】
動作組合せテーブル2541は、動作モード毎のファン24の動作内容とレンジフード3の動作内容の組み合わせを示すデータテーブルである。
図8に示すように、動作モードは、A〜Pまであり、ファン24とレンジフード3の動作内容は、何れも、“停止”、“弱”、“中”、“強”の4段階で示される。
【0030】
続いて、加熱調理器2の本発明特有の機能(図示しない動作制御部の機能)について説明する。かかる動作制御部の機能は、CPU250が二次記憶装置254に記憶されている換気制御プログラム2540を実行することで実現される。
図9は、動作制御部によって実行される換気制御処理の手順を示すフローチャートである。
【0031】
ユーザによって調理メニューが選択されると、即ち、調理内容が入力されると(ステップS101;YES)、動作制御部は、入力された調理内容に対応する動作モードを取得する(ステップS102)。調理内容と動作モードの対応関係は、換気制御プログラムに記述されているものとする。例えば、“揚物”には、動作モードOが対応し、“お湯”には、動作モードCが対応する。なお、調理内容と動作モードを対応付けたテーブルが予め二次記憶装置254に記憶され、動作制御部によって、かかるテーブルが参照される仕様であってもよい。
【0032】
動作制御部は、動作組合せテーブル2541から、取得した動作モードに対応する動作の組合せを選択する(ステップS103)。そして、動作制御部は、選択した動作の組合せからファン24の動作内容を取得する(ステップS104)。例えば、動作モードOに対応する動作の組合せを選択した場合には、ファン24の動作内容として、“中”が取得される。動作制御部は、取得した動作内容でファン24の動作を制御する(ステップS105)。
【0033】
また、動作制御部は、選択した動作の組合せからレンジフード3の動作内容を取得する(ステップS106)。例えば、動作モードOに対応する動作の組合せを選択した場合には、レンジフード3の動作内容として、“強”が取得される。動作制御部は、取得した動作内容でレンジフード3の動作を制御する(ステップS107)。具体的には、動作制御部は、取得した動作内容でレンジフード3を動作させるための指示データを生成してレンジフード3に送信する。
【0034】
なお、動作制御部は、当該調理内容における加熱手段(トッププレート21及び加熱コイル23)による加熱動作の終了後、一定時間経過するとファン24及びレンジフード3の動作を停止させる。
【0035】
以上説明したように、本発明の実施形態1に係る換気システム1では、ユーザが加熱調理器2を使用して調理を行う際、加熱調理器2の上面からレンジフード3に向かう気流(アシスト気流)が発生する。かかるアシスト気流により、油煙等の排気対象をレンジフード3まで誘導することができる。これにより、排気対象の拡散を抑制でき、排気対象の速やかな排気を実現できる。
【0036】
また、加熱調理器2は、ユーザが入力した調理内容に応じてファン24の動作とレンジフード3の動作を制御する。このため、発生する排気対象の種類や空気汚れの程度に応じた適切な動作内容でファン24及びレンジフード3を連動動作させることができる。したがって、調理の際に発生する排気対象を効率的に排気することができる。
【0037】
さらに、IH調理器が一般的に備える冷却用ファンを、アシスト気流を発生させる気流発生手段に流用するため、アシスト気流を発生させるための専用の装置は不要である。このため、換気システム1の設置が容易となる。
【0038】
(変形例)
1つの調理内容に複数の動作モードが対応してもよい。この場合、予め定めたモード遷移条件と遷移後の動作モードの対応関係が、換気制御プログラムに記述されているものとしてもよいし、あるいは、モード遷移条件と遷移後の動作モードを対応付けたテーブルが予め二次記憶装置254に記憶され、動作制御部によって、かかるテーブルが参照される仕様であってもよい。
【0039】
モード遷移条件の判定パラメータには、例えば、温度センサの計測値や、加熱制御の内容が変更されてからの経過時間等が含まれる。温度センサは、加熱調理器2の周囲の空気温度や天板温度を計測する。
図10及び
図11に、調理内容(調理メニュー)が、“揚物”と“お湯”のそれぞれの場合におけるモード遷移条件と遷移後の動作モードの対応関係を示す。
【0040】
このように、1つの調理内容であっても、調理の状況に応じて異なる動作モードを選択可能にすることで、発生する排気対象の種類や空気汚れの程度に応じたより適切な動作内容でファン24及びレンジフード3を連動動作させることができる。
【0041】
実施形態2.
続いて、本発明の実施形態2について説明する。なお、以下の説明において、実施形態1と共通する構成要素等については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0042】
図12は、本発明の実施形態2に係る換気システム1Aの構成を示す図である。換気システム1Aは、換気制御装置6と、加熱調理器2Aと、レンジフード3と、気流発生装置7とを備える。
【0043】
換気制御装置6は、家屋の適切な場所、例えば、キャビネット4内に設置される。換気制御装置6は、加熱調理器2A、レンジフード3及び気流発生装置7と通信可能に接続し、加熱調理器2Aから取得した情報に基づいてレンジフード3と気流発生装置7の動作を制御する。換気制御装置6の詳細については後述する。
【0044】
加熱調理器2Aは、実施形態1の加熱調理器2と同様、キャビネット4に組み込まれた、ビルトイン型のIH調理器である。なお、加熱調理器2Aは、キャビネット4に載置する態様で設置されてもよい。
図13は、加熱調理器2Aの外観を示す概略図である。
図13に示すように、この加熱調理器2Aには、実施形態1の加熱調理器2と異なり、アシスト気流を放出する吹出口200が設けられていない。
【0045】
加熱調理器2Aの制御基板25のハードウェア構成は、実施形態1の加熱調理器2と同様である。但し、加熱調理器2Aの制御基板25における二次記憶装置254には、換気制御プログラム2540及び動作組合せテーブル2541は記憶されていない。即ち、加熱調理器2Aは、アシスト気流を発生させる動作を行わない。加熱調理器2Aの制御基板25は、換気制御装置6と有線又は無線にて通信可能に接続し、ユーザによって操作受付部22を介して入力された調理内容を示す情報(調理内容情報)を換気制御装置6に送信する。調理内容情報には、例えば、選択された調理メニューを示す情報や設定された火力の強さを示す情報が含まれる。
【0046】
本実施形態のレンジフード3は、実施形態1とは異なり、換気制御装置6と有線又は無線にて通信し、換気制御装置6からの指示に従ってファン30の駆動を制御する。
【0047】
気流発生装置7は、加熱調理器2Aの使用により生じた排気対象を、レンジフード3に誘導するためのアシスト気流を発生させるための装置である。気流発生装置7は、キャビネット4に組み込まれた態様で設置される。
【0048】
図14に示すように、気流発生装置7は、ファン70と、制御基板71を備える。ファン70は、例えば、シロッコファン、ラインフローファン、ターボファン、軸流ファン等により構成され、吸い込んだ空気に圧力をかけてエネルギーを与え、風速を高めて放出する。気流発生装置7から放出された空気は、
図15に示すようにキャビネット4の奥側上面の縁に沿って設けられた吹出口40から上方に向かって放出される。これによりアシスト気流が発生する。
【0049】
制御基板71は、CPU、ROM、RAM、通信インタフェース、読み書き可能な不揮発性の半導体メモリ(何れも図示せず)等を含んで構成される。制御基板71は、通信インタフェースを介して換気制御装置6と有線又は無線にて通信し、換気制御装置6からの指示に従ってファン70の駆動を制御する。
【0050】
制御基板71は、ファン70の回転数を変更することで、気流発生装置7の気流発生能力(気流発生負荷)、即ち、アシスト気流の風量を強、中、弱の3段階に変更できる。強、中、弱の時の気流発生負荷は、例えば、それぞれ1.7m
3/min、1.2m
3/min、0.7m
3/minである。
【0051】
換気制御装置6は、
図16に示すように、CPU60と、ROM61と、RAM62と、通信インタフェース63と、二次記憶装置64とを備える。これらの構成部は、バス65を介して相互に接続される。CPU60は、換気制御装置6を統括的に制御する。CPU60によって実現される機能の詳細については後述する。
【0052】
ROM61は、複数のファームウェアやこれらのファームウェアの実行時に使用されるデータ等を記憶する。RAM62は、CPU60の作業領域として使用される。通信インタフェース63は、加熱調理器2Aの制御基板25、レンジフード3の制御基板31及び気流発生装置7の制御基板71のそれぞれと無線通信又は有線通信するためのインタフェースを備える。
【0053】
二次記憶装置64は、EEPROM、フラッシュメモリ等の読み書き可能な不揮発性の半導体メモリ等から構成される。二次記憶装置64は、
図17に示すように、換気制御に関するプログラム(換気制御プログラム640)と、連動定義テーブル641とを記憶する。
【0054】
換気制御プログラム640は、CPU60によって実行されるコンピュータ・プログラムである。換気制御プログラム640には、気流発生装置7とレンジフード3を連動して動作させるための処理が記述されている。
【0055】
連動定義テーブル641は、気流発生装置7による気流発生負荷と、レンジフード3による換気負荷(ここでは、換気風量)との適切な関係が、排気負荷指標に応じて定義されたデータテーブルである。排気負荷指標とは、排気対象を排気するために要する負荷の大きさを示す指標であり、本実施形態では、“0”、“弱”、“中”、“強”の4段階で示される。排気負荷指標は、加熱調理器2Aからの前述した調理内容情報に基づいてCPU60によって決定される。
図18に、連動定義テーブル641の一例を示す。
【0056】
換気制御装置6は、機能的には、
図19に示すように、調理内容取得部600と、指標決定部601と、動作制御部602とを備える。これらの機能部は、CPU60が二次記憶装置64に記憶されている換気制御プログラム640を実行することで実現される。
【0057】
調理内容取得部600は、加熱調理器2Aからの前述した調理内容情報を受信することで、ユーザによって加熱調理器2Aに入力された調理内容を取得する。
【0058】
指標決定部601は、取得した調理内容に基づいて上記の排気負荷指標を決定する。この際、指標決定部601は、調理内容から排気負荷指標を導出するためのテーブル(負荷指標変換テーブル)を参照する。負荷指標変換テーブルは、調理メニューと排気負荷指標との対応関係、火力の強さと排気負荷指標との対応関係、調理メニューと火力の強さの組み合わせと排気負荷指標との対応関係等が定義されたデータテーブルである。負荷指標変換テーブルは予め二次記憶装置64に記憶されているものとする。
【0059】
動作制御部602は、指標決定部601により決定された排気負荷指標に対応する換気負荷でレンジフード3を動作させ、決定された排気負荷指標に対応する気流発生負荷で気流発生装置7を動作させる。より詳細には、先ず、動作制御部602は、連動定義テーブル641を参照して、指標決定部601によって決定された排気負荷指標に対応する、気流発生装置7の気流発生負荷とレンジフード3の換気負荷を取得する。
【0060】
そして、動作制御部602は、取得した気流発生負荷で気流発生装置7を動作させるための第1指示データを生成して気流発生装置7に送信する。また、動作制御部602は、取得した換気負荷でレンジフード3を動作させるための第2指示データを生成してレンジフード3に送信する。
【0061】
第1指示データを受信した気流発生装置7の制御基板71は、指示された気流発生負荷となるようにファン70の駆動を制御する。また、第2指示データを受信したレンジフード3の制御基板31は、指示された換気負荷となるようにファン30の駆動を制御する。
【0062】
図20は、換気制御装置6によって実行される換気制御処理の手順を示すフローチャートである。
【0063】
ユーザによって加熱調理器2Aに調理内容が入力されると、即ち、加熱調理器2Aから調理内容情報を受信すると(ステップS201;YES)、指標決定部601は、受信した調理内容情報に基づいて排気負荷指標を決定する(ステップS202)。
【0064】
動作制御部602は、連動定義テーブル641を参照して、指標決定部601によって決定された排気負荷指標に対応する気流発生装置7の気流発生負荷を取得する(ステップS203)。また、動作制御部602は、連動定義テーブル641を参照して、決定された排気負荷指標に対応するレンジフード3の換気負荷を取得する(ステップS204)。
【0065】
そして、動作制御部602は、取得した気流発生負荷で動作することを気流発生装置7に対して指示する(ステップS205)。具体的には、上述した第1指示データを気流発生装置7に送信する。
【0066】
また、動作制御部602は、取得した換気負荷で動作することをレンジフード3に対して指示する(ステップS206)。具体的には、上述した第2指示データをレンジフード3に送信する。
【0067】
なお、動作制御部602は、当該調理内容における加熱手段(トッププレート21及び加熱コイル23)による加熱動作の終了後、一定時間経過すると気流発生装置7及びレンジフード3の動作を停止させる。
【0068】
以上説明したように、本発明の実施形態2に係る換気システム1Aでは、ユーザが加熱調理器2Aを使用して調理を行う際、気流発生装置7によって、キャビネット4の上面からレンジフード3に向かう気流(アシスト気流)が発生する。かかるアシスト気流により、油煙等の排気対象をレンジフード3まで誘導することができる。これにより、排気対象の拡散を抑制でき、排気対象の速やかな排気を実現できる。
【0069】
また、換気制御装置6は、ユーザが入力した調理内容に基づいて、排気対象を排気するために要する負荷の大きさを示す排気負荷指標を決定する。それから、換気制御装置6は、気流発生装置7による気流発生負荷とレンジフード3による換気負荷の適切な関係が排気負荷指標に応じて定義された連動定義テーブル641を参照して、決定した排気負荷指標に対応する気流発生負荷及び換気負荷を取得する。そして、換気制御装置6は、取得した気流発生負荷で気流発生装置7を動作させ、取得した換気負荷でレンジフード3を動作させる。
【0070】
このため、発生した油煙等による空気汚れの程度に応じた適切な負荷で気流発生装置7及びレンジフード3を連動動作させることができる。したがって、調理の際に発生する排気対象を効率的に排気することができる。
【0071】
また、加熱調理器2Aは、調理内容情報を換気制御装置6に送信する機能を、従来の加熱調理器に追加することで実現可能である。このため、加熱調理器2Aの開発コストを抑えることができる。
【0072】
実施形態3.
続いて、本発明の実施形態3について説明する。なお、以下の説明において、実施形態1,2と共通する構成要素等については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0073】
実施形態3に係る換気システムは、実施形態1の換気システム1の構成と同様である。即ち、実施形態3に係る加熱調理器2は、
図3に示すように、当該加熱調理器2が備えるファン24を用いてアシスト気流を発生させる。
【0074】
本実施形態に係る加熱調理器2の制御基板25は、実施形態2における換気制御装置6と同等の機能を果たすように構成されている。即ち、本実施形態の制御基板25は、ユーザが入力した調理内容に基づいて、排気対象を排気するために要する負荷の大きさを示す排気負荷指標を決定する。それから、本実施形態の制御基板25は、ファン24による気流発生負荷と、レンジフード3による換気負荷の適切な関係が排気負荷指標に応じて定義された連動定義テーブルを参照して、決定した排気負荷指標に対応する気流発生負荷及び換気負荷を取得する。そして、本実施形態の制御基板25は、取得した気流発生負荷でファン24を動作させ、取得した換気負荷でレンジフード3を動作させる。
【0075】
このように、IH調理器が一般的に備える冷却用ファンを、アシスト気流を発生させる気流発生手段に流用するため、換気制御装置6及び気流発生装置7を別途設置する必要がない。
【0076】
本発明は、上記の各実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲での種々の変更は勿論可能である。
【0077】
例えば、本発明は、誘導加熱方式の加熱調理器に限定されず、例えば、ラジエントヒータ方式の加熱調理器にも適用することが可能である。
【0078】
上記の実施形態2,3では、ユーザが入力した調理内容に基づいて、排気対象を排気するために要する負荷の大きさを示す排気負荷指標を決定した。しかしながら、排気負荷指標の決定手法はこれに限定されない。例えば、臭気、油煙、水蒸気、二酸化炭素等の排気対象に関する物理量を計測するセンサを設置し、かかるセンサの計測値に基づいて排気負荷指標を決定してもよい。この場合、前述した負荷指標変換テーブルでは、センサの計測値と排気負荷指標との対応関係が定義されているものとする。
【0079】
また、上記の実施形態2,3において、排気(換気)の強度をユーザが、加熱調理器2A,2の操作受付部22を介して指定できるようにして、指定された排気の強度に応じた換気制御を行うようにしてもよい。この場合、例えば、実施形態2では、換気制御装置6の二次記憶装置64には、排気の強度に応じた複数の連動定義テーブル641が記憶されている。そして、動作制御部602は、指定された排気の強度に対応する連動定義テーブル641を選択すればよい。
【0080】
例えば、ユーザは、早急な排気を希望する場合は、排気の強度“強”を指定し、静音性を希望する場合は、排気の強度“弱”を指定する。この場合、排気の強度“強”で指定されると、動作制御部602は、排気の強度“強”に対応する、例えば、
図18で示される連動定義テーブル641を選択する。一方、排気の強度“弱”で指定されると、動作制御部602は、排気の強度“弱”に対応する、例えば、
図21で示される連動定義テーブル641を選択する。これにより、ユーザの希望を組み入れた換気を行うことが可能となる。
【0081】
また、上記の実施形態1において、ユーザが入力した調理内容に応じてレンジフード3が動作している最中に、ユーザによってレンジフード3の操作ボタンが直接操作される場合もあり得る。このような場合、かかる操作を受け付けないようにしてもよい。その際、ユーザに自動運転中である旨をタッチパネル221に表示する等して報知するようにしてもよい。
【0082】
上記の実施形態2,3において、決定した排気負荷指標と、連動定義テーブル641とから得られた適切な換気負荷でレンジフード3が動作している最中に、ユーザによってレンジフード3の操作ボタンが直接操作された場合も上記と同様である。
【0083】
また、アシスト気流の制御対象は、風量のみに限定されず、風量、風速又は風向きの少なくとも1つを制御対象としてもよい。この場合、風向きについては、図示しないルーバによって調整する。
【0084】
上記の実施形態2では、換気制御装置6のCPU60によって二次記憶装置64に記憶されている換気制御プログラム640が実行されることで換気制御装置6の各機能部(
図19参照)が実現された。しかし、これらの機能部の全部又は一部が、専用のハードウェアで実現されるようにしてもよい。専用のハードウェアとは、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化されたプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又は、これらの組み合わせ等である。
【0085】
また、実施形態2において、CPU60によって実行される換気制御プログラム640は、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)、MO(Magneto-Optical Disk)、USBメモリ、メモリカード等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布することも可能である。そして、かかるプログラムを特定の又は汎用のコンピュータにインストールすることによって、当該コンピュータを実施形態2における換気制御装置6として機能させることも可能である。
【0086】
また、上記のプログラムをインターネット等の通信ネットワーク上のサーバ装置が有するディスク装置等に格納しておき、例えば、搬送波に重畳させて、コンピュータにダウンロード等するようにしてもよい。また、通信ネットワークを介してプログラムを転送しながら起動実行することによっても、上述の処理を達成することができる。さらに、プログラムの全部又は一部をサーバ装置上で実行させ、その処理に関する情報をコンピュータが通信ネットワークを介して送受信しながらプログラムを実行することによっても、上述の処理を達成することができる。
【0087】
なお、上述の機能を、OS(Operating System)が分担して実現する場合又はOSとアプリケーションとの協働により実現する場合等には、OS以外の部分のみを上記の記録媒体に格納して配布してもよく、また、コンピュータにダウンロード等してもよい。
【0088】
本発明は、広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能である。また、上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。つまり、本発明の範囲は、実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。