【実施例】
【0055】
反応曲線データから求められるデータペアの形成および使用の一般的方法については、下記の実施例から理解されよう。明瞭を期して、これらの実施例は、特定のデータセットおよびそのデータを解析するための具体的な関数に言及するものである。ただし本発明は、議論されている実施例に限定されるものではない。
【0056】
(実施例1−捕捉データ)
1例として、代表的なリアルタイムPCR反応検出システムによって、1以上の検出色素から発生するシグナルを記憶するデータファイルを作成する。
図1には、本発明による解析方法で使用することができる捕捉反応データのプロットを示してある。この例では、1色素シグナル(DYE1)が捕捉標的データを提供し、別の色素シグナル(DYE2)が捕捉内部対照データを提供し、さらに別の色素シグナル(DYE3)が任意の捕捉基準データを提供する。これらのデータは、標準出力ファイルから取った単一の反応からのデータを代表するものである。この特定のプロットは、何らかの形の複数成分アルゴリズムが適用された初期データを表すものと理解することができる。このプロットにおいて、x軸はサイクル数(例:1〜45)、y軸は相対的な蛍光単位で検出される色素強度を示す。この図においては、3種類の異なる捕捉データセットを、連続曲線として示している。しかしながら実際の捕捉データ値は、各サイクル数で捕捉される別個のシグナル値である。従って、
図1に示した初期データセットは、3組(標的、対照および基準)の好適な別個の値(例えば、この場合には約50値)からなるものであることができる。
【0057】
(実施例2−正規化)
任意ではあるが、いくつかの異なる方法で、捕捉データについて正規化を行うことができる。一つの方法には、相当する基準色素シグナルによる各サイクル読み取り時での標的値と対照値の分割が関与する。あるいは、約数は全サイクルにわたる基準値であったり、一定のサイクルにおける平均であることができる。別の別途実施形態では、増幅シグナルが検出されない場合には、約数は、1以上の比較的初期の(ベースライン)サイクルでの標的色素もしくは対照色素の平均または標的色素および対照色素の平均であることができる。公知の正規化方法を、データ解析に用いることができる。PCRシステムによってすでに正規化されているデータとともに、本発明を用いることができる。
図2は、本発明に従って正規化された標的および対照データセットを示す捕捉反応データのプロットである。この例では、正規化の結果として、y軸スケールは単純な数字で表わされる。この場合、数字は約0〜9である。他の正規化方法が当業界で公知であり、その数字を0〜100の値や他の所望の範囲に変換することができる。
【0058】
正規化は任意であることから、正規化や基準色素を用いずに、本発明を用いて反応データを解析することができる。あるいは、標的シグナルもしくは対照シグナルまたは両方を正規化に用いることができる。
【0059】
(実施例3−スケール調整)
スケール調整は任意であるが、それを行って、オペレータがデータを目視しやすくすることが可能である。スケール調整は解析結果に影響するものではない。スケール調整は、正規化に加えて、正規化を行わずに、または正規化の前もしくは後に行うことができる。
【0060】
スケール調整の一つの方法では、陽性データシグナルが検出される前のベースライン領域で、いくつかの初期サイクル中の値の平均で各データセット値を割る。この例では、4〜8の読み取りの平均を求め、最初に正規化を行った。
図3は、スケール調整を行った標的および対照データを示す反応データのプロットである。この例では、スケール調整は標的および対照の早期値を1とするもので、早期値が1未満であることから、割り算によってその後の値は若干大きい純粋な数値となる。
【0061】
(実施例4−デジタルフィルタリング)
捕捉データに1以上のデジタルフィルタリング法を適用して、シグナルデータセットを「クリーンアップ」し、シグナル/ノイズ比を高めることができる。多くの異なるフィルタリングアルゴリズムが知られている。本発明は、ゼロなしの4極フィルターを用いることができる。それによって、フィルタリングされたシグナルのオーバーシュートの可能性がなくなる。例として、それは、前方および後方の両方のフィルターが位相ずれ(時間遅延)を排除するMATLABのシグナル処理ツールボックス(Signal Processing Toolbox)が添付されたMATLAB関数「フィルトフィルト(filtfilt)」で行うことができる。パラメータおよびMATLAB関数呼び出しの1例は次の通りである。
b=0.3164;
a=[1.0000−1.00000.3750−0.06250.0039];
データ(:,:,アッセイ)=フィルトフィルト(b,a,データ(:,:,アッセイ));
データ(:,:,ic)=フィルトフィルト(b,a,データ(:,:,ic));
【0062】
この例では、「b」および「a」はフィルター係数を含む。「データ(:,:,アッセイ)」および「データ(:,:,ic)」は、正規化、スケール調整またはその両方を行っていても良いまたは行っていなくとも良い捕捉データを含む。この場合、フィルタリングされたデータについて、正規化とスケール調整の両方を行う。
図4は、デジタルフィルタリング後の標的および対照データを示す捕捉反応データのプロットである。値はデジタルフィルタリングによって変化しないが、データセットは若干「平坦化」される。
【0063】
(実施例5−傾き除去/ベースライン化)
任意の傾き除去方法を用いて、検出可能な実際のシグナルが生じる前に早期ベースラインシグナルに存在する残存傾斜を除去することができる。この手順はベースライン化と称することもできるが、一部の実施形態ではオフセットは除去せず、傾きのみである。本発明によれば、傾き除去の場合、標的(DYE1)および対照(DYE2)シグナルの両方を同時に調べる。いずれか最初に出た方のシグナルが前方回帰点を規定し、メソッドは10サイクル戻る。10サイクル戻りがサイクル5以前である場合は、サイクル5を初期回帰点として用いて、比較的早期の一過性シグナルを回避する。これらの点間のシグナルデータを用いて線形回帰線を計算し、各色素についての回帰の傾きを色素のシグナルから引く。この場合、傾き除去を、上記で記載の正規化、スケール調整およびフィルタリングしたデータに適用する。
図5は、勾配値を除去した標的および対照データを示す捕捉反応データのプロットである。これらの各図において、早期サイクルでは傾きはほとんど存在しなかった。従って、傾き除去は捕捉データ値にほとんど影響していない。
【0064】
(実施例6−変換値計算)
本発明の方法の1実施形態は、MaxRatio法である。この方法では、順次測定値間の比率を計算することで、一連の比率を得て、そのそれぞれを時間値およびサイクル数にインデックス付けすることができる。これらの比率を計算する好適な手段が多くあり、いずれか好適な手段を用いることができる。最も簡単なこの比率計算法は、下記の関数を利用するものである。
【0065】
比率(n)=s(n+1)/s(n)
式中、nはサイクル数を表し、s(n)はサイクルnでのシグナルを表し。この計算は、応答のベースライン領域において約1で開始し、成長領域中に最大まで上昇し、平坦領域で約1に戻る曲線を提供する。この計算を効率的に行うMATLAB表現は、下記の通りである。
【0066】
比率=s(2:end,:)./s(1:end−1,:)
式中、「s」は、各列が別個の応答を表すシグナル応答行列を表す。
【0067】
図6は、この比率変換の1例を示す図である。固有のバックグラウンド蛍光のため、その比率は、シグナルが倍加されている場合のPCR反応に予想されるように2には達しない。それとは無関係に、ピークの大きさは増大性強度変動とは独立であり、その点での成長速度または効率に比例する。その比率計算方法は単純であり、効率的に計算される。他の等価な計算を行うことができると考えられる。1例では、正および逆の比率を計算してから、それらの平均を求めるものが考えられる。その比率の逆数を用いることができ、その場合は、曲線はベースライン領域では約1の値で開始し、成長領域で低下し、平坦領域で約1の値に戻る。次に、ピークではなく谷の大きさおよび位置を用いて解析を行うことになると考えられる。この変換は、比率法と実質的に等価な方法で実行することができる。
【0068】
MaxRatioアルゴリズムは上記のように使用可能であるが、各点から定数(例えば、約1)を引くことで曲線をシフトさせることが簡便である。この操作は、元の応答の変換を提供するものであり、ベースライン領域でほぼゼロで始まり、曲線の成長領域で上昇してピークに達し、平坦領域でほぼゼロに戻る。このシフト比率計算は、比率(n)={s(n+1)/s(n)}−1という関数によって説明される。
図7は、このシフト比率計算の出力を示す図である。次に、シフト比率曲線のピークの反応点および大きさを求める。反応点(すなわち、x軸方向の距離)はFCN値を指定するものであり、大きさは効率関連値MR(比率の最大値)を指定するものである。
【0069】
(実施例7−内挿)
サイクル数の分離能を高めるため、内挿を行うことができる。この操作を行うには多くの方法が当業界で知られている。本発明の文脈における一つの内挿方法は、三次スプライン補間であり、それは平滑な内挿を提供することで、捕捉データセットの二次導関数であっても連続的となるものである。本発明を用いて一連のデータ全体を内挿することができる。本発明を用いて、対象の領域を決定し、その領域のみで内挿を行って、周期より小さいまたはサイクルより小さい分離能を達成することができる。三次スプライン補間を行うためのMATLABコマンドの1例は、下記の通りである。
【0070】
out=interp1(x,in,x2,’spline’)
式中、「x」は周期(またはサイクル)数(1、2、3...)を表し、「in」はそれらのサイクルでの未内挿シグナルを表し、「x2」は相対的に高分離能周期(またはサイクル)ベクトル(1.00、1.01、1.02、...)を表し、「out」は「x2」での部分サイクルに相当する内挿シグナルを表す。
【0071】
図8は、内挿されて関数の連続性を提供している標的および対照データを示す捕捉反応データのプロットである。内挿の結果として、データセット中の値の数字が大幅に上昇し、例えば43値から4201値に上昇する。
【0072】
理解すべき点として、上記で記載の段階を異なる順序で行うことができる。例えばフィルタリングを最初に行い、次にベースライン化を行って、その後にスケール調整を行うことができる。しかしながら、内挿を行ってから比率計算を行う場合、比率計算に適した内挿応答値を選択するよう注意を払う必要がある。比率値間の間隔が同一のままとなるようにすることが重要である。従って、サイクルを測定周期として用い、内挿によって時間分離能が0.01サイクルまで上昇する場合、x=2.35でのシフト比率はR=s(3.35)/s(2.35)−1になると考えられる。
【0073】
(実施例8−ピーク発見による標的および対照のFCNおよびERV(例:MR)測定)
別の段階は、一連のデータにおいてピークを選択するというものである。この操作では、(1)局所ピークを発見する段階および(2)任意に基準データ(前記で定義)を用いて、局所ピークから1以上のさらなる解析用ピークを選択する段階を行う。
【0074】
ピーク発見アルゴリズムは、極大を表す正から負への曲線勾配の変化を確認するものである。このアルゴリズムは、ピークの位置および大きさを確認するものである。その計算を行うためのMATLAB関数の1例は次の通りである。
【0075】
【数1】
【0076】
図9は、本発明の実施形態による標的および内部対照色素の確認されたFCNおよびMR値ならびに基準曲線を示す効率計算の図である。標的データに関しては、FINDPEAKSが、一つのピークを0.354の大きさでサイクル軸x=19.42に配置した。内部対照データに関しては、FINDPEAKSがx=2.03、5.29、7.67、12.83、22.70、37.86でピークを発見し、それぞれの大きさは0.0027、0.0027、0.0022、0.0058、0.1738、0.0222である。
【0077】
(実施例9−ピーク選択による標的および対照のFCNおよびERV(例:MR)の測定)
上記で論じた方法において、多くの極大ピークが標的データおよび対照データの両方で確認される場合が多い。それらの極大ピークのどれを用いてFCNおよびERVを求めるかを選択するのに、各種方法を用いることができる。
【0078】
代表的には、そして特に反応が正常に進む時には、最も高いピークまたは最大ピークを選択する。多くの状況で、その選択によって、本明細書で記載のようにさらに計算を行う最も再現性の高い反応点が提供される。しかしながら、状況によっては、最初のピーク、または特定のカットオフより上もしくは特定数のサイクル後の最初のピークが好ましい。従って、特定の例では、Max Peak選択もしくはFirst Peak選択を用いることができ、Max Peakはシフト比曲線での最も大きいピークを見いだすものであり、First Peakは何らかの選択値より高い第1のピークを見いだすものである。
【0079】
基準データが決定されたら、そのデータを用いて、特に弱くてノイズの多いシグナルの場合に、実際の操作時にERV測定用にどのピークを選択するかを決定することもできる。
【0080】
例えば
図9において、色素2データの場合、ピーク発見アルゴリズムが6つの局所ピークを見いだしているが、5番目のピークが最大ピークであり、基準曲線より上にある唯一のピークでもあった。従ってこの例では、色素2について求められるFCNは22.70であり、色素2について求められるMRは0.1738である。
【0081】
情報機器またはシステム装置を用いて、本発明の方法を行うこともできる。
図10は、本発明の実施形態による反応データ特性決定を行うためのフローチャートである。この一般的方法の詳細については、下記の議論から明らかになろう。
【0082】
本明細書に記載の解析方法は、既知もしくは不明の標的濃度を有する反応に適用することができる。1実施形態において、既知標的核酸濃度は、多ウェル反応プレートで行われる反応における較正ウェルに含まれ、反応点のERVおよび値を、これらの既知濃度サンプルから用いて、定量を実施する。既知濃度を用いて、本明細書でさらに説明する基準データを得ることもできる。
【0083】
(実施例10−基準曲線/基準データセットの決定)
他の実施形態において、効率関連値(例:MR値)を、既知濃度の多くのデータセットに関するそれらの反応点値(FCN)値の関するとしてプロットして、特定のアッセイに特徴的な基準曲線を得ることができる。その基準曲線は、特定のアッセイ設計および検出プロトコールの特徴を有し、陽性/陰性結果を高信頼性で求め、ある特定の結果が信頼性がないものとして棄却するか否かを決定し、結果の信頼性尺度を求め、またはそれらの組み合わせを行うのに用いることができる。概して、基準曲線より下にある反応データのペアは、非反応性サンプルまたはかなりの阻害を受ける反応のような非機能性反応を示す。
【0084】
基準データを用いて、反応解析でどのピークを報告もしくは使用またはその両方を行うかを選択することができる。基準データは、陰性結果(例えば、全く存在しない標的)と低量の標的を示す結果との間を識別する自動的な高信頼性の方法を提供する。
【0085】
図11は、6組の既知濃度の反応(すなわち、標準もしくはキャリブレータ)および1組の陰性反応がMR値の計算FCN値の関数としてプロットされたプロットである。このプロットによって、基準曲線を選択することができる。前述の基準曲線は、陽性結果を陰性結果から分ける曲線または直線である。その基準曲線は好ましくは、それが(プロットのx−y空間において)陰性反応データに比較的近く、しかもその上にあるように選択する。
図11では、同一もしくは類似のアッセイ条件下で測定された既知濃度の多くのサンプルからのMR−FCNデータのペアを、サンプルが陰性物とも称されるアッセイの標的を含まないサンプルからのMR−FCNデータのペアとともにプロットする。陰性物は増幅応答を示さないはずであるが、その解析方法はそれらサンプルについてのMR−FCNデータペアを決定するものではない。陰性サンプルについてのこれらのデータは通常、通常はランダム応答である応答出力上のノイズ由来最大値に相当する。ノイズから求められるMR値は非常に低く、既知濃度サンプルからの応答からはかけ離れている。ブリードオーバーなどの系統的ノイズ源がある場合には、陰性反応におけるMR−FCNペアがクラスタ形成する場合があり、その場合には、MR−FCNペアが偽って陽性反応シグナルであるように見える可能性がある.真陰性に対して真陽性のMR−FCN応答を特徴付ける場合、
図11において波線または曲線、すなわち基準曲線によって表されるこれら2組のデータ間の明瞭な分離領域を確認することができる。この図では、各円はFCN−MRデータペアを表す。この場合、円の各クラスタは、標的の既知濃度での複数応答を表す。この例内には、6つの既知濃度で8つの異なる反復がある。例えばプロットの右から、これらの既知濃度は50コピー/mL、5×10
2コピー/mL、5×10
3コピー/mL、4×10
4コピー/mL、5×10
5コピー/mLおよび5×10
6コピー/mLの濃度を表すことができる。これらの基準データクラスターを用いて、基準曲線を得ることができる。
【0086】
複数の比較的単純な基準データセットを用いて、多くのアッセイに特徴的な基準曲線を得ることができる。ある有用なアプローチでは、陰性応答のセットについてMR値の平均を取り、陰性応答についてのMR値の複数の標準偏差をその値に加える。
図11に示した例では、陰性応答についての前記平均+MR値の10個の標準偏差に等しい水平線となるように、基準曲線を設定した。この例での基準値を計算すると、約0.026となった。一部のシステムでは、他の検討を加えることで、例えばクロストークもしくは陽性ブリードオーバーなどの可能なシグナル異常を考慮する上で望ましい基準値の変更を行うことができる(例:FCN−MR値)。クロストークは、複数ウェル装置の陽性ウェルでのシグナルから生じて、異なるウェルからのシグナルに影響を与える可能性がある。ある装置では、2%という量のクロストークが観察されている。そのため、その基準が高くなって、真陰性サンプルを陽性サンプルとして分類することを回避できる。
図11で表したアッセイデータの場合、陽性アッセイにおいて最もMR値は約0.50である。この値のパーセントは0.010である。0.010ずつ基準を上昇させることで、クロストークによる擬陽性を排除すべきである。このアッセイでの最高MR値は相対的に小さいFCN値を有する相対的に高濃度のサンプルでのみ起こることから、クロストークが起こりやすい相対的に小さいFCN値でのみ前記基準を高くすることができる。この変更基準セットは、多成分曲線を記述する一連のデータ対(X
n,Y
n)によって記述することができる。例えば、
図11に示した変更基準曲線は、下記の基準データセットによって特定することができる。
【0087】
(X
1,Y
1)=(1,0.036)
(X
2,Y
2)=(20,0.036)
(X
3,Y
3)=(25,0.026)
(X
4,Y
4)=(45,0.026)。
【0088】
別の例として、
図10に示した基準曲線は下記の基準データセットによって特定することができる。
【0089】
(X
1,Y
1)=(1,0.10)
(X
2,Y
2)=(10,0.10)
(X
3,Y
3)=(20,0.05)
(X
4,Y
4)=(40,0.05)。
【0090】
不要な実験を行うことなく、異なる形状もしくはより複雑な形状またはその両方を有するセットなどの基準曲線および/または基準データセットを決定することができる。PCR使用の所期の用途は、基準線を確立する上での異なるアプローチを必要とするものである。当業者であれば、あるアッセイで高感度が要求される場合、低い基準線を用いることは容易に理解されよう。例えば、母集団コンセンサス配列(すなわち、「野生型」配列)と多形もしくは変異配列(例:「一塩基多形」)などの配列変異体を識別するようアッセイを設計する場合、配列変異体の確認には通常は標的核酸の限界量の検出必要ないことから、比較的高い値の基準線を用いることができる。
【0091】
図11に示した特定の例は、内部対照(IC)シグナル応答からアッセイシグナル応答への陽性ブリードオーバーを示さない。アッセイブリードオーバーに対する陽性ICシグナル応答が存在すると仮定した場合、基準に対する同様の変更を行うことができると考えられる。ICシグナル応答は狭い範囲のFCN値でのみ起こるはずであることから、その基準はその限られた範囲でのみ上昇させることができると考えられる。
【0092】
通常、本明細書においてさらに議論するように、対象とする標的濃度範囲にわたって既知濃度のサンプルについてFCN−MR応答を求めて、「正常」応答を定義する。アッセイ反応を調べるサンプルの母集団における別の試験を行って、アッセイ成績が低下する前にMRにおいてどれだけの劣化が許容されるかを確認することができる。それらの種類の特性決定解析を用いて、標準偏差や標的核酸を含まないサンプルを増幅条件下で処理した時に認められるノイズもしくはベースラインの他の特徴から独立の基準データもしくは基準データセットを確立することができる。
【0093】
本発明の他の実施形態によれば、基準データは、先行技術においてすでに行われているC
t解析においてC
tを求める場合と同様の方法で求めることもできる。設計中の特定のアッセイを多数回行って、それの代表的なMR−RCN応答の特性を決定することができる。その代表的な応答から、基準データセットを定義することができる。しかしながら、C
t解析の場合とは異なり、FCN−MRでは、応答はシグナルとは独立であって、同一サンプルで非常に変動性の高い結果を生じる特定種類の装置においてであっても容易に再現することができる。
【0094】
(実施例11−別の対象領域)
上記で測定される効率関連値のFCN値を調節して、さらに再現性の高い定量値を得ることができるという効果があることが、経験的に認められている。例えば
図12は、同じ初期濃度を有するサンプルについての反応曲線が各種反応異常のためにどのように変動し得るかを示した2組の反応データのプロットである。この図には、等しい量のHIV標的核酸を含むサンプルについての2つの応答を図示してある。しかしながら、一方の応答では、その反応から得られたシグナルは、反応における異常のために早期に低下している。この低下は、
図13に示すように、シフト比曲線の最大値から求めたFCN値を2つのサンプル間で大きく変動させ得る。しかしながらこの図は、その2つの勾配曲線が、グラフのx軸上にプロットされた初期または早期サイクル数と比較的大きく類似していることも示している。
【0095】
そこで本発明では、本明細書に記載の解析について用いることが可能な反応曲線上の別の点の位置である最大効率値のサイクル数(以下、FCN2値と称する)からのオフセットを求める。さらに別の実施形態では、効率関連値閾値(ERVT)または比閾値(RT)値を選択および使用して、対象のサイクル数領域を決定することができる。ERVTまたはRTは、特定のアッセイについて自動的または経験的に求めることができる。RT値は、アッセイ較正時の後者のサイクルで求められる基準データレベル付近もしくはそのレベルで設定することができる。
【0096】
本発明の方法の1実施形態は、シフト比曲線上のFCN値で開始し、その曲線がRT値を通過する相対的に早い反応点を求める。その反応点を、FCN2値として報告する。FCN2値は、非特異的な生成物形成が低コピー数を有するサンプルでの生成物形成の効率を低下させる反応などの、ある種のアッセイにおけるFCN値とは対象的に、低コピー数を有するサンプルにおいて改善された直線性を提供するものと考えられている。
【0097】
図13は、オフセット効率値を用いることが望ましいことを示す図である。この図は、
図12に示した応答におけるシフト比曲線および0.03でのRT線を示す。この例について、FCNおよびFCN2値を表1に示した。
【0098】
【表1】
【0099】
この例では、一方の応答の曲線が早期に平坦となり。他方の応答の曲線と形状が異なっており、シフト比曲線が差を示す。この早期平坦化が相対的に早いピークを生じさせ得る。この例では、FCN2値の方がFCN値より合致性が高い。通常、FCNおよびFCN2値は、C
t値より正確(標準偏差が相対的に低い)ことが認められている。これらの例はMRの使用に焦点を当てたものであるが、増幅反応の効率の他の尺度を本発明のFCNおよびFCN2実施形態で用いることが可能であることは明らかであろう。本発明の文脈において有用な他の効率関連変換値には、(a)一次導関数の使用、(b)連続する周期データ点間の差の使用、および(c)成長曲線の対数の傾きもしくは勾配の使用などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0100】
(実施例12−MR−FCN解析を用いる定量)
各種反応解析において定量が望ましい場合が多い。例えばPCR反応において、定量とは、反応を解析することによって、未知濃度を有する標的の開始時の量もしくは濃度を計算することを指す。本発明には、効率関連値およびサイクル数値(例:FCN)を用いて定量を行うための方法もしくはシステムまたはその両方が関与する。具体的には、試験サンプルのERVを、それぞれが既知量の標的核酸を含む少なくとも1個のキャリブレータ、好ましくは少なくとも2個のキャリブレータ、そして任意に3、4、5もしくは6個のキャリブレータの1以上のERVと比較する。
【0101】
さらに別の実施形態では、定量は、1以上の較正データ捕捉および1異常の定量データ捕捉が関与するものと理解することができる。較正データおよび定量は、定量関係もしくは式の使用に関係する。
【0102】
較正では、捕捉データまたは捕捉データから誘導される値(FCN、FCN2もしくはMRまたはそれらの組み合わせなど)と1以上の開始時濃度既知の反応との間の関係を用いて、定量式における1以上のパラメータを確立する。次にそれらのパラメータを用いて、1以上の未知反応の開始時濃度を求めることができる。
【0103】
反応解析での定量および/または較正を行うには、各種の方法および技術が公知である。例えば、診断PCRの状況では、96ウェル反応プレートで試験サンプルを分析することは珍しいことではない。各96ウェル反応プレートでは、一部のウェルが、既知の初期標的濃度を有するサンプルでの較正反応専用である。次に、それらのサンプルについての較正値を用いて、ウェル中の未知濃度のサンプルを定量することができる。
【0104】
2つの一般的な種類の較正方法が、1点較正および標準曲線(例:多点)較正と称される。これらの種類の例を以下に示す。しかしながら、いずれの好適な較正方法も本発明の文脈において用いることが可能である。
【0105】
阻害や妨害がない場合、PCR反応が進行して、標的配列が指数関数的な成長を示すことで、Nサイクルの複製後、下記の関係に従って、初期標的濃度が増幅されている。
【0106】
Conc
N∝Conc
0(1+e)
N
この式は、下記のようにも表現することができる。
【0107】
【数2】
上記式中、Conc
NはN反応サイクル後の増幅標的濃度を表し;Conc
0は、増幅前の初期標的濃度を表し;Nはサイクル数を表し;eは、標的増幅の効率を表す。
【0108】
定量データ解析を用いてリアルタイムPCR反応曲線を解析することで、許容される程度の正確さまでConc
0を求める。以前のC
t解析方法は、Conc
Nが解析下の全ての反応について同じである反応点でのサイクル数を求めようとするものである。本発明の方法によって求められるFCN値は、入力標的濃度のダイナミックレンジにわたって重大な阻害やシグナル劣化が示されないアッセイにおけるサイクル数Nの良好な推定値を提供する。開始時濃度とFCNとの間の下記の比例関係を用いることができる。
【0109】
【数3】
式中、Conc
0(FCN)は、本発明の方法によって測定されるFCN値を用いることで測定される初期標的濃度の推定値を表す。
【0110】
すなわち、標的の開始濃度が低いほど、PCR反応で求められるFCN値が高くなる。この関係を、較正データと定量データの両方について用いることができる。
【0111】
この比例関係は、下記のような等価な式として表すこともできる。
【0112】
【数4】
式中、Kは較正比例定数を表す。
【0113】
較正データについて、Conc
0(FCN)は標的核酸500000コピー/mLなどの既知濃度を表し;指数部FCNは、上記で求められるFCNサイクル数であり;eは、反応における効率値を表し、e=1は各サイクルの倍加を示す。これらの因子を組み合わせて、比例定数の測定を可能とする関係を形成する。その比例定数測定は、増幅反応の効率eについての演繹的知識がある場合にのみ行うことができる。この演繹的知識は、1点較正を可能とするものである。定量データの場合、標的の未知濃度を有するサンプルが関与する反応についてFCN値を求める。次に、上記の等式を用いることで、FCN値を濃度値に変換する。効率eが演繹的に未知である場合、標準曲線定量法を用いることができる。この場合、較正データについては、各種濃度の既知濃度を有するサンプルを増幅し、それらのサンプルのFCN値を求める。それらのFCN値を、既知濃度の対数(底10)に対してプロットして、対数(濃度)−FCN応答を記述する。入力標的濃度のダイナミックレンジにわたって有意な阻害やシグナル劣化を示さないアッセイの場合、この応答は代表的には、直線によって良好に適合される。下記式は、この標準曲線の形態を記述するものである。
【0114】
Log
10(Conc
0(FCN))=m×FCN+b
式中、Log
10(Conc
0(FCN))は、初期標的濃度の対数(底10)を表し;mは、線形標準曲線の傾きを表し;bは、線形標準曲線の切片を表す。
【0115】
2以上の既知濃度較正サンプルを用いることで、線形回帰を適用して、標準曲線の傾きmおよび切片bを求めることができる。定量データに関しては、未知濃度の試験サンプルが関与する反応についてFCN値を求め、次に上記の一次方程式を用いることで、その値を対数(濃度)値に変換する。結果を、対数(濃度)または適切な変換によって濃度単位で報告することができる。
【0116】
留意すべき点として、1点較正式は、この線形標準曲線型に容易に変換される。
【0117】
【数5】
【0118】
Log
10(Conc
0(FCN))=−log
10(1+e)×FCN+log
10(K)。線形係数mを用いて、特定のPCR反応の効率を計算することができる。
【0119】
(実施例13−定量の調節)
PCR反応が阻害を受ける場合、得られるリアルタイムPCRシグナル強度は、抑制されるか遅延し得る。このシグナル劣化がMRなどの効率関連値に与える効果は、その値における低下である。さらに、部分サイクル数に対するシグナル劣化の効果は、阻害を受けない反応で予想されるものより早いサイクル数でのFCNの確認である。これらの要素により、FCNの関数としての対数(濃度)のプロットが、線形曲線適合関数によって十分に記述されないようになる。標準曲線には比較的高次の曲線適合関数を適用することができるが、直線回帰は相対的に低い較正レベルを必要とし、計算が相対的に簡単である。
【0120】
これらの問題のうちの一部は、上記の定量関係にERVまたは強度値を組み込むことによって、標準曲線解析で取り扱うことが可能である。従って、上記の等式は下記のように書き換えることができる。
【0121】
【数6】
【0122】
式中、強度は測定FCN値での応答強度(バックグラウンドより高い)を表し;MRは、前述のMR値を表す。Conc
0(FCN
強度Adj)は、強度値を用いることで調節されるFCN値を用いることで求められる標的の初期濃度の計算値を表し;Conc
0(FCN
MRAdj)は、MR値を用いることで調節されるFCN値を用いることで求められる標的に初期濃度の計算値を表す。
【0123】
これらの表現は、上記のような、特定FCNサイクルでの強度もしくは特定FCNサイクルで測定されるMRまたはその両方と阻害存在下でのFCN値に対する変化との間で認められる関係を利用するものである。正味の効果は、上記の比例表現の右側が、PCR増幅曲線に影響を与える阻害および他の要素に対して比較的感受性が低いことから、標的の濃度値を求める上での表現としてかなりの堅牢性を提供するというものである。
【0124】
下記の議論は、FCN、FCN
強度AdjおよびFCN
MRAdjの特性および関係をさらに説明するものである。効率が1であると仮定すると、前記式は下記のものに簡略化することができる。
【0125】
【数7】
【0126】
これらの表現に対数底2を取ると、下記のようになる。
【0127】
Log2(Conc
0(FCN))∝FCN
Log2(Conc
0(FCN
強度Adj))∝FCN−Log2(強度)
Log2(Conc
0(FCN
MRAdj))∝FCN−Log2(MR)。
【0128】
これらの表現の右側から、強度またはMRの補償を行って下記式によってFCN値を調節する値が得られる。
【0129】
FCN
強度Adj=FCN−Log2(強度)
FCN
MRAdj=FCN−Log2(MR)。
【0130】
次に、FCN値またはC
t値の使用と類似の調節FCN値を用いることで、この計算によって定量が得られる。留意すべき点として、これらの調節FCN値の使用によって、阻害ならびに未知サンプル中の標的の濃度を測定するのに使用されるCt値などのPCR増幅に影響する他の要素に対するかなりの堅牢性を提供する。対数(濃度)−これら調節FCN値のプロットは、線形標準曲線によって良好に適合される。従って本発明は、サンプル中の標的核酸の量を測定する方法であって、(a)効率関連値、好ましくはMRの最大値に相当する増幅反応の期間もしくはサイクル数を見出す段階、(b)強度の対数もしくはMRの対数を引くことでその値を調節する段階、ならびに(c)前記の得られた値を同じ方法を用いて得られる較正データと比較する段階を有する方法を提供する。
【0131】
(実施例14−標準曲線較正)
既知濃度からの標準曲線の作成と定量におけるそれの使用は当業界で公知であり、下記の実施例からさらに理解が進む。代表的な例では、各増幅または一連の増幅時に多くの較正反応(初期濃度が既知であるウェルでのものなど)を用いて、較正操作を行う。広い範囲の可能な初期濃度でサンプル中の標的核酸を定量しようとした場合に生じる一つの問題は、特定の反応での比較的低量の標的核酸の定量がより困難になるという点である。例えば
図14には、試験サンプル中のHIVの量を定量するよう設計されたアッセイについてのデータを示してある。それらの反応は、50;500;5000;50000;500000;および5000000コピー/mLという標的核酸の6種類の既知濃度について8連で行った。アッセイデータは、コピー数が低い(曲線が右に対して最も遠い)反応での有意なシグナル抑制を示している。標的核酸の4つの最高濃度の量(左側の曲線集合)によって低い変動係数で正確な結果が得られたが、2つの最低濃度では、正確さの低い曲線が得られた。ダイナミックレンジが100000〜1またはそれ以上であるアッセイでの低濃度の標的核酸を定量する上での難しさが原因で生じるその不正確さは、下記の本発明の方法によって扱うことができる。
【0132】
反応プレートでの較正試験は比較的高価であることから、従来では最小数の許容される較正データセットを収集する。例えば、ある実行では、それぞれ500;50000;および5000000コピー/mLサンプル2連の平均を診断アッセイとともに行うことで、較正反応で用いる96ウェルプレートで恐らく6個のウェルが必要である。
【0133】
サイクル数とキャリブレータ濃度の対数の間の関係は実質的に線形であることから、キャリブレータ濃度の対数(例:log
10)とサイクル数との間で線形回帰を行うことができる。この回帰は、エクセルプログラムおよび他の数学的解析ソフトウェアによって容易に行うことができる。
図15には、4種類の異なるサイクル数関連値(例:FCN、FCN2、FCN
MRAdj.およびFCN
int.Adj.)を用いて3点較正データから得られた4つの線形標準曲線を示してある。
【0134】
各曲線適合式において、x軸はLog
10[標的]実際または既知濃度を示す。従って、xについての解法は、サイクル数関連値からアッセイのLog
10(標的)計算濃度への変換に関する表現を提供するものである。アッセイ応答がLog(標的)と直線的でない場合、より高次もしくはより複雑な回帰もしくはより多くの較正曲線またはその両方を用いることができる。本実施例では、下記の式を求めた。
【0135】
FCN=−3.0713
*Log
10(Conc
0)+31.295
FCN2=−3.0637
*Log
10(Conc
0)+25.006
FCN
MRadj=−3.2344
*Log
10(Conc
0)+33.271
FCN
Int.adj=−3.2870
*Log
10(Conc
0)+32.775。
【0136】
(実施例15−各種サイクル数関連値を用いる定量の比較)
上記の異なるサイクル数関連値を用いた較正の異なる特性を調べるため、既知濃度を有する各種サンプルについて定量を行い、計算濃度を既知濃度と比較することができる。そのような比較の1例では、上記で得られたパラメータを有する標準曲線を用いて、
図14に示したアッセイの定量を行った。各既知濃度での8連の計算濃度の平均を、既知濃度値と比較した。
図16は、既知濃度値のlog
10(x軸)を、各濃度での8個のサンプルについての各計算濃度のlog
10の平均と比較するものである。
【0137】
図16によって示したように、50コピー/mLサンプル(log(濃度)=1.7)はFCNを用いると若干上に定量されるが(すなわち、実際の濃度より高い)それより高い濃度での(MRの)FCN法における正確さは非常に良好である。FCN2は最低濃度でより正確であるが、若干下に定量され(すなわち、実際の濃度より低い)、いくつかのそれより高い濃度で比較的低い線形性および正確さを示す。FCN
MRAdj.は、その濃度範囲を通じて非常に正確かつ直線的な定量を示した。FCN
IntAdj.も、最低濃度での非常にわずかな下方定量以外は、FCNと比較して正確さおよび線形性においてかなりの改善を示した。従って、4つのいずれの方法も良好に機能するが、特定の状況では一部のものが他のものより優れている。従って当業者は、特定の用途に適した方法を容易に選択して、優れた結果を得ることができる。
【0138】
(実施例16−1点較正を用いる定量)
1点較正を定量に用いることができる。この場合、50000コピー/mL濃度(Log(4.7))での2つのウェルを較正に用いた。較正定数を計算するため、下記式:K=Conc0
*2
FCN[式中、Kは較正定数を表し;Conc
0はキャリブレータの既知濃度を表し;FCNはキャリブレータの部分サイクル数を表し;前述した反応効率eは1であると仮定する。]を用いる。FCN2、FCN
MRAdj.およびFCN
Int.Adj.などの比例関係を用いて、同様の較正定数を得ることができる。
【0139】
この場合、2つのウェルについて定数を得て、平均を用いた。較正定数が得られたら、各アッセイについての濃度を下記式:Conc=K
FCN/2
FCNで計算する。
図17は、1点較正からの結果を示す図である。
【0140】
図でわかる通り、FCN結果は、最低の2濃度で高く、log(Conc)=3.7以上から正確である。FCN2は、FCNと比較して低濃度で向上した正確さを示しているが、log(標的)=5.7および6.7では低く定量している。FCN−MR調節は、範囲全体で良好な線形性を示し、2つの最低濃度では若干高い定量を示している。FCN−強度調節も、良好な線形性を示し、2つの最低濃度で非常にわずかな下方定量を示している。従って、これらの各実施形態は良好に機能し、当業者はこれらの選択肢から容易に選択することができる。
【0141】
上記のように、FCN−MR解析を用いて、特定の反応を陽性もしくは陰性として特徴付けたり、または反応データを基準データと比較したり、またはその両方を行うことができる。これらの値を用いて、反応を定量することができる。各種定量方法が、C
t解析ではなくFCN−MR解析から恩恵を得ることができる。
【0142】
1実施形態において、FCN値、FCN2値またはFCN調節値を、C
t値が先行技術で用いられていたあらゆる形態で用いることができる。必ずしも必要とは限らないが代表的には、FCN−調節、FCN2−調節またはFCN−調節解析を各種較正データ集合に適用することで、標的の濃度が未知である反応の結果と標的の濃度が既知である反応の結果を比較するための基準データ曲線または等式を得ることができる。従って、本発明を用いて、基準データを形成し、2つの値(例:FCN−MR)を基準データ作成とそのデータに対する比較の実施の両方に用いる比較を行うことができる。
【0143】
MR方法を用いる実験は一様に捕捉データセットについて異なる再処理段階を用いてから、比率関数でデータセットを処理していたが、これらの段階のほとんどが必要ない。特に、実験結果は、スケール調整、基準色素による正規化、ベースライン調整(オフセットおよび傾き補正の両方)およびフィルタリングが必要ないことを示していた。しかしながら、フィルタリングは、それがノイズ存在下での成績を向上させることから、望ましいことが認められている。傾き補正(ベースライン領域に関して)も、それが、標的核酸を含まないサンプルと非常に少量の標的核酸を含むか増幅反応の大幅な阻害を受けるサンプルとの間の区別をわずかに改善することから、望ましいことが認められている。しかしながら、FCN
強度adj.を用いる場合、スケール調整または基準色素に対する正規化など(これらに限定されるものではない)の正規化法を用いることが好ましい。
【0144】
(実施例17−1点較正を用いるHBVデータに適用されるMRアルゴリズム)
10コピー/反応から10
9コピー/反応および陰性の範囲の対照溶液のHBVアッセイを、各濃度6連でABIプリズム(Prism)7000で処理した。捕捉データは、デジタルフィルターのみを用いて処理した。次に、上記のMRアルゴリズムを用いてFCN値を計算した。それらの濃度は、基準キャリブレータとして10
9コピー/反応での応答のうちの3つを用いる1点較正によって計算した。
【0145】
正規化やベースライン調整を行わないとしても、10コピー/反応および100コピー/反応サンプル(すなわち、Log(標的)=1および2サンプル)の許容量の上方定量以外は、得られる定量は非常に良好であった。陰性と10コピー/反応アッセイとの間には非常に明瞭な区別があり、偽陽性も偽陰性もなかった。別の結果は、同じデータをC
t解析で定量した場合、10コピー/反応および100コピー/反応アッセイも若干上方定量し、10コピー/反応より上の全ての濃度での精度はMR解析の場合より良好であることを示していた。この場合、C
t結果は、正規化し、ベースライン調整し、10
3および10
7コピー/反応の各濃度で3連にて2点較正によって較正した。
【0146】
図19には、MR解析およびFCN
MRadj.補正を用いる同じHBVデータの例を示してある。やはり、その定量は、正規化、スケール調整およびベースライン調整を行わずに、10
9コピー/反応で3つの応答での1点較正によって行った。わかるように、低濃度での上方定量が大幅に減少している。すなわち、定量結果が大幅に向上している。
【0147】
(実施例18−HIVデータに適用されるMRアルゴリズム)
本実施例では、対照溶液のHIVアッセイを、6連での陰性、50コピー/mL、および100コピー/mL〜10
6コピー/mLの濃度で行った。応答は、正規化およびベースライン調整を行うFCN
MRAdj.を用いるMRアルゴリズムによって処理した。
図21は、MR解析および例えばキャリブレータとして2連の10
2および10
5コピー/mL応答を用いる2点較正を使用した本実施例の結果を示した。陰性と50コピー/mLアッセイとの間に明瞭な区別があり、偽陽性も偽陰性もなかった。図でわかる通り、良好な線形性と精度がある。
【0148】
(実施例19−標的およびIC(FCN、MR)ペアを用いる妥当性決定)
反応時間もしくはサイクル数値および効率関連値のペア(例:FCN−MR値のペア)が核酸増幅反応、例えばPCR反応についての貴重な情報を得ることができ、それはさらに、内部対照および標的増幅反応の両方についてデータペアを考慮することでさらに向上させることができることが認められている。標的反応単独のペアは反応効率についての重要な情報を有し、基準データとの比較に用いることができるが、サンプルの処理またはサンプル自体で生じる別の要素も、対照データを考慮することでより良好に解析することが可能である。
【0149】
例えば、PCRまたは他の好適な増幅反応で用いられる試料の処理において、サンプルは、標的データのみの評価で検出可能になると考えられる反応への各種阻害因子を有する場合がある。しかしながら、サンプル調製時の標的核酸の異常回収は、単一の増幅反応の解析によっては検出されないのが普通であると考えられる。さらに、例えば配列の多形領域に結合するプローブを用いる場合、標的核酸は、標的核酸の検出を妨害する可能性のある多形配列を有する可能性がある。この領域での多形配列によって引き起こされる不一致が検出されるシグナルに影響を与えることが考えられ、結果的に、単一増幅におけるデータペアの評価を用いて、その増幅は異常だったり阻害されているようには見えない可能性がある。内部対照の標的増幅応答解析との共解析は、他の方法が通常は正しくない反応を示すと考えられる場合に、そのようなサンプル中の標的核酸の正確な定量を提供することができる。
【0150】
従って、反応時間またはサイクル数値と効率関連値のペアを一緒に用いることで、例えば所定の容器もしくはウェルでの所定の反応の妥当性を評価することができる。堅牢性において標的増幅反応に匹敵するか、若干堅牢性が低い内部対照(IC)増幅反応を設計することができると考えられる。この文脈での堅牢性は、サンプル調製やサンプル自体から生じる阻害などのPCR処理経路に影響し得る要素、またはピペットによる不正確な量の増幅試薬の移動などのピペットによる反応混合物の移動における変動性に対する反応成績の感受性を意味する。
【0151】
(実施例20−多重基準データ曲線)
サイクル数値−効率関連値のペア(例:FCN−MRペア)についての多重基準曲線を作成することができ、それは特に妥当性決定での使用において、異なる用途および重要性レベルを有し得る。例えば、第一の基準曲線を選択して、反応性増幅シグナルを非反応性応答から区別可能とすることができる。第二の基準曲線を選択して、第一のものより制約を厳しくすることで、定量において相対的に低い信頼性を有すると考えられる部分阻害を有するものと対照して、正確な定量をもたらすサンプル応答を確認する上でそれが有用となるようにすることが可能である。
図22は、2種類の基準データを示すプロットであり、図中において下方の水平線は、陰性反応を反応性反応から区別する上で好適な基準データを表す。第二の直線集合は、FCN−MRペア応答における正常範囲を示す基準データを表す。これらの基準を用いて、部分的反応阻害が原因であるこの範囲外の値に関連すると考えられる相対的に低い信頼性との対照で、定量における高信頼性を識別することができる。
【0152】
例えば、反応性と非反応性の増幅反応を区別する第一の種類の基準データは、「MR基準データ」と称することができる。これらのデータはカットオフ閾値として働き、反応性応答はMR基準データを超えるMR値を有するが、陰性サンプルは基準値または基準線を越えないMR値を有する。基準データは好ましくは、応答シグナルにおけるノイズが基準を超えず、クロストークやブリードオーバーなどの偏りではないように設定する。
【0153】
第二の種類の基準データは、MR正常範囲と称される。この範囲は、サンプルの定量が正確である所定のFCNにおけるMR値の範囲となると考えられる。シグナル応答が抑制される場合、観察されるMR値が低下する。阻害のためにMR値が低下するに連れて、FCN値は早い方のサイクルにシフトし得るが、閾値に基づくC
tは遅い方のサイクルにシフトし得る。MR正常範囲は、アッセイ標準曲線からサンプル中の標的の濃度を求めるのに使用される場合に、サイクル数に関係する選択値がサンプルについての正確な定量結果を与えると考えられる基準データセットにおけるMR値の範囲であると考えられる。
【0154】
「MR正常範囲」は、当業界では明らかなFCNによるMRの二変量適合を用いて形成することができる。例えば
図23には、50コピー/mL〜5000000コピー/mLのHIVデータについてのFCN−MRプロットを示してある。そのデータを統計ソフトウェア(JMP(SAS Institute,Inc.)など)によって解析して、そのデータに三次元曲線適合を適用した。この三次元曲線適合は、図の中央の実線によって表される。上側および下側の点線は、αレベル0.001での信頼区間個別解析オプションを用いて得られた信頼区間を表す。表2A、2Bおよび2Cは、
図23に関係するサンプルデータの入力および出力を示す図である。
【0155】
【表2】
【0156】
【表3】
【0157】
【表4】
【0158】
統計的に誘導される信頼区間は、示したように、どのデータ点が「正常な」応答を表し、従って定量化すべきかに対する系統的なアプローチである。この区間外にあるデータ点は例外的であり、好ましくはソフトウェアプログラムによってオペレータに特定(identified)されることで、さらなる検討を行うことができる。
【0159】
別の実施形態では、そのような曲線は、1以上の直線部分の形態で単純化することができる。この単純化は、場合によって生データを見る技術者が行うことができるか、あるいは上記のα区間から誘導することができる。
【0160】
同様の統計的適合を、内部対照(IC)データについて行うことができる。例えば
図24には、ICデータ、すなわち
図23に示したデータに関連するICデータについてのFCNの関数としてのMRのプロットを示してある。このデータを用いて、IC基準を決定することができ、その基準は例えばICのMR値の平均より下の5標準偏差である単一の値であることができ、あるいは例えばMRおよびFCN値の平均5標準偏差に基づいた値の範囲もしくはボックスであることができる。
【0161】
そこで本発明は、増幅反応の解析方法であって、第一の値が最大効率関連値(それは好ましくはMRである)であり、第二の値が反応点での時間値もしくはサイクル数値(分数であっても良い)であるペアで提供される特定値の範囲である「信頼コリドー(corridor)」を確立する段階を有する方法をも提供する。その方法はさらに、いずれか特定の周期的時間値または反応点でのサイクル数値(分数であっても良い)で起こる最大効率値が選択範囲内にあるか否かを決定する段階を有する。その値が範囲内でない場合、さらなる検討または結果の無視が示される。いずれか好適な方法を用いて、選択される信頼コリドーを確立することができる。好ましい方法には、アッセイを特徴付けるのに使用される1群の反応から得られるデータの平均からの約1、2、3、5、10または他の好適な数字の標準偏差に信頼コリドーを設定することなどがある。別の好適な方法では、既知の異常もしくは矛盾した結果を観察することで信頼コリドーを変更し、さらなるアッセイでその異常もしくは矛盾する結果の一部を除外するように信頼コリドーを変更する。本発明の信頼コリドーの使用は、標的核酸定量、標準、キャリブレータ、対照のいずれかの解析、またはこれらの組み合わせに適用することができる。
【0162】
(実施例21−妥当性解析)
図25は、内部対照および標的増幅反応の両方についてのERV(例:MR)を引いたサイクル数(例:FCN)のペアの解析によるアッセイ妥当性の評価のための論理解析ツリーを示すフローチャートである。
図26は、サイクル数(例:FCN)−ERV(例:MR)のペアを用いる妥当性基準評価とともに標的結果を報告する論理解析ツリーを示すフローチャートである。
【0163】
これらのフローチャートでは、説明を明瞭にするためにFCNを用いているが、本明細書の別の箇所に記載のように、例えばC
t法、FCN2、FCN
MRAdj.またはFCN
Int.Adj.その他の好適な方法のような他の方法を用いて、反応点値を得ることができる。
【0164】
従って、妥当性チェックは、内部対照(IC)および/または標的データに関する一連の質問として進めても良い。
【0165】
図25において、最も左の矢印ブロックは、この方法の段階の全般的説明を提供する。方法の詳細は、下記のものを検討することでさらに理解することが可能である。その方法は、標的反応および対照(IC)反応の両方からのサイクル数/ERVペアを解析するものである。最初に、(1)ICMRがICMR基準データより上である場合、そして(2)ICFCNが正常範囲内にある場合、さらには(3)ICMRが正常範囲内にある場合に、反応の妥当性が確認される。
【0166】
図に示したように、標的MRの1以上の特徴を考慮することで、無効な結果をさらに特徴付けもしくは説明することができる。
【0167】
図26には、妥当な反応に関する標的データを解析することで、(1)非反応性標的サンプル、(2)アッセイの検出限界未満の濃度の標的、(3)存在するが恐らくサブタイプの不一致のために定量が阻害されている標的、または(4)妥当で定量可能な標的反応を示すものとして妥当な結果をさらに特徴付ける方法を示している。
【0168】
従って、複数標的に基づいた分析を組み合わせ、サイクル数および効率関連値の両方を用いることで、阻害されたサンプルを、サンプル調製時の核酸回収の不首尾があったサンプルから区別することができる。その解析は、内部対照および標的基準データに含まれるアッセイについての予め確立された知見を利用するものである。
【0169】
(実施例22−ピーク幅を用いる妥当性決定)
増幅応答を説明する単一の値のみを提供する先行技術における従来のC
t解析とは対照的に、効率関連値解析(および好ましくはMR解析)は、増幅反応全体またはそれの一部の時間値またはサイクル数値に相当するデータを効率関連変換値曲線に提供することができる。具体的なアッセイ形態内では、正常アッセイ応答は非常に再現性の高い効率関連変換値曲線を与えることが発見されている。特に、一つの特徴は、効率関連変換値曲線のピークの幅である。例えば最大高さの半値での幅によって定義される効率関連変換値のピークの幅は、蛍光強度の大きさが大きく変動する場合であってもほとんど変動しないことが認められている。
【0170】
いずれか好適な方法を用いて、効率関連値のピークの幅を求めることができる。
図27には、効率関連値ピークの幅を求める上でのある好適な方法を示してある。
図27では、全ピーク幅は、最大レベル半値でのピークのサイクルにおける幅である。
図14におけるHIV応答は、約8の相対的に高い濃度のサンプルでは正規化蛍光を示しているが、低濃度のサンプルについての正規化蛍光は約1という低いものである。シフト比法を用いた各増幅反応での効率関連変換値の計算および全ピーク幅計算は、
図28に示した結果を提供する。最終蛍光強度における8倍変化がある場合であっても、ピーク幅は驚くべきことに狭い範囲内に保存される。従って本発明は、増幅反応妥当性基準を提供し、そこでは効率関連値のピークの幅が増幅反応に特徴的な選択範囲内に含まれている場合には、増幅反応は妥当であると考えられる。
図28では、太い点線の水平線は、幅測定値の平均±10標準偏差を表す。約5.5〜8.0の範囲(
図28に示したもの)内にない幅測定値は、妥当でないか少なくとも疑わしいと見なされる。当業者であれば、特定のアッセイの要件に応じて、不要な実験を行うことなく、許容される区間を説明するパラメータを容易に変動させることができる。
【0171】
ピーク幅を用いて、異常アッセイ応答を検出することができる。全ピーク幅計算を、
図12に示した異常応答を含むアッセイデータに適用した。その結果を
図29に示した。図からわかるように、このデータセットにおける正常応答は約6〜9サイクルの全ピーク幅を生じるが、ウェル42の全ピーク幅は17.42である。従って、ウェル42の増幅反応は異常であり、無視される。
【0172】
全ピーク幅計算は、効率関連値の反応点値(例:FCN)の前および後の両方で起こる増幅反応における異常変動によって影響を受ける。効率関連値の反応点後に起こる異常変動は、それらがMR方法によるアッセイ定量に影響し得ないことから、アッセイ妥当性試験では考慮しない。このオプションは、
図27に示したピーク幅半値計算またはそれの等価物を用いて容易に達成することができる。例示した例では、ほぼ最大効率関連変換値半値から最大効率関連値のほぼ反応点値までの周期的時間単位での幅のみを用いる。当然のことながら、ピーク幅およびピーク幅半値を測定する上での他の好適な方法が、当業界において公知である。
【0173】
(実施例23−ソフトウェア実施形態)
本発明のシステムを、多数の好適なコンピュータ製品または情報機器に組み込むことができる。MRソフトウェア実行の若干の詳細を以下に提供する。具体的なユーザーインターフェースの説明および図示は、具体的な実施形態を説明するためにのみ取ったものであり、情報処理業界で公知の多くの異なるユーザーインターフェース方法を、本発明を具体化するシステムで用いることができる。本発明は、下記の実質的に全ての選択肢が存在し、計算され、もしくは情報システムによって提供され、結果的にほとんどユーザーインターフェース選択肢を提供しないシステムも用いることができる。場合により、試作システムの詳細および/または選択肢が例示を目的として説明されており、それらの選択肢および/または詳細の多くが、製造システムには無関係であったり、利用できない場合がある。
【0174】
さらに、ソフトウェアの実施形態は、例えば一つもしくは二つの標的反応、または1以上の内部対照反応、または基準データ、またはそれらの組み合わせでの反応の処理などの各種機能性を含むことができる。本発明での使用に好適なソフトウェアシステムは、開く、閉じる、印刷、保存などの非常に多くの標準的なファイル取り扱い機能を提供することができる。
【0175】
図30には、本発明によるPCRデータ処理のためのユーザーインターフェースを示してある。このインターフェースでは、標的アッセイに相当する適切な色素、内部対照および基準応答の選択は、ウィンドウの左上部分にあるポップアップリストから選択される。異なる表示オプションを選択するためのタブが、ウィンドウの中央に配置されており、水平方向に並んでいる。
図30は、MR−FCNプロットを示すタブが選択されているのを示している。
図31は、ウェル1についての同じデータを示すユーザーインターフェースを図示しているが、シフト比曲線を示している。他のタブによって、全ての応答における生蛍光データ、正規化蛍光およびベースライン化データを表示することができる。さらに、タブによって、個別に各応答の検査を行うことができる。プロットの右手のフィールドは、ベースライン領域でのMR、FCN、C
tおよび標準偏差などの計算応答値を示す。これらの計算値の下には、比率ボタンがあって、それによってユーザーはアッセイデータまたは内部対照データのいずれかを表示することができる。
【0176】
プログラム情報機器における実施形態
図32は、本発明の各種態様を具体化することができる論理素子の1例を示すブロック図である。本明細書にある内容からわかるように、本発明はハードウェアもしくはソフトウェアまたはその両方で実行することができる。一部の実施形態では、本発明の各種態様を、クライアント側ロジックまたはサーバー側ロジックのいずれかで実行することができる。さらに、本発明または本発明の構成要素は、適切に構成されたコンピュータデバイスにロードされた時に、そのデバイスを本発明に従って実行させることができる論理指令もしくはデータまたはその両方を含む固定メディアプログラムコンポーネントで具体化することができる。論理指令を含む固定メディアコンポーネントは、閲覧者のコンピュータに物理的にロードするための固定メディア上で閲覧者に送ることができるか、または論理指令を含む固定メディアが、閲覧者が通信媒体を通じてアクセスしてプログラムコンポーネントをダウンロードできる遠隔サーバー上にあっても良い。
【0177】
図32は、本明細書に記載の画像表示もしくは解析またはその両方に関する論理演算を行うための論理装置として用いることが可能な情報機器またはデジタル装置700を示す図である。そのような装置は、本発明の各種実施形態に従って論理命令を行う汎用コンピュータシステムまたはワークステーションとして具体化することができる。そのような装置は、論理処理を各種サンプル取り扱い操作を行うための機械に統合する特注および/または特殊実験室用もしくは科学用ハードウェアであることもできる。概して、本発明による装置の論理処理コンポーネントは、メディア717もしくはネットワークポート719またはその両方から命令を読み取ることができる。中央演算処理装置は、固定メディア722を有するサーバー720に接続されていても良い。その後、装置700は、本明細書に記載の動作を指示したり、解析を実行する指令を用いることができる。本発明を具体化することができるある種類の論理装置は、CPU707、任意の入力装置709および711、記憶メディア715(例:ディスクドライブ類)および任意のモニター705を含む、700で示したコンピュータシステムである。固定メディア717、またはポート719上の固定メディア722を用いて、そのようなシステムをプログラムすることができるか、またはそのメディアはディスク型の光学メディアもしくは磁気メディア、磁気テープ、固体のダイナミックメモリもしくはスタティックメモリなどを表すことができる。本発明はまた、全体または一部において、この固定メディア上に記録されたソフトウェアで具体化することもできる。通信ポート719を用いて、最初に命令を受信し、それを用いてそのようなシステムをプログラムすることができ、そのポートはあらゆる種類の通信接続を表す。
【0178】
図32は、診断システムの一部となり得る別の構成要素を示す図である。これらの構成要素には、ビューワまたは検出器750または顕微鏡、サンプル取り扱い装置755、UVその他の光源760およびフィルター765、ならびにシグナルデータを捕捉するためのCCDカメラまたはキャプチャー装置780などがある。これらの別の構成要素は、論理解析および/または制御を含む単一システムの構成要素であることができる。これらの装置は、当業界では明らかなように、ネットワーク、バス、無線通信などを介して700などの情報機器とデジタル通信している実質的にスタンドアロンの装置であることもできる。そのようなシステムの構成要素は、いずれか簡便な物理的構成および/または外観を有することができ、合わせて単一の統合システムとすることができる。従って、
図42に示した個々の構成要素は、システムのほんの1例を表しているにすぎない。
【0179】
本発明はまた、特定用途向け集積回路(ASIC)またはプログラム可能論理回路(PLD)の回路機構内で全体または部分的に具体化することもできる。そのような場合、本発明は、本明細書に記載のように動作するASICまたはPLDを作るのに用いることができるコンピュータが理解可能な記述言語で具体化することができる。
【0180】
他の実施形態
以上、具体的な実施形態を参照しながら、本発明について説明した。他の実施形態は、当業者には明らかであろう。特には、ビューワデジタル情報機器は、パーソナルコンピュータなどのコンピュータワークステーションとして説明してきた。しかしながら、そのデジタルコンピュータ装置は本発明の論理方法を実行するのに好適ないずれの機器も意味するものであって、デジタル的に可能な実験室システムもしくは装置、デジタル的に可能なテレビ、携帯電話、携帯情報端末などの機器を含むことができると考えられる。本発明の精神の範囲内での変更は、当業者には明らかであろう。さらに、各種の異なる作業を用いて、本発明の具体的な実施携帯によるシステムとの相互作用を実行することが可能である。例えば、オペレータが音声コマンドを話すことができ、オペレータがキーを押すことができ、クライアント側科学装置上のボタンをオペレータが押すことができ、またはポインティングデバイスを用いる選択をユーザーが行うことができる。
【0181】
本明細書に記載の実施例および実施形態は例示を目的としたものであって、それを考慮した上での各種の修正または変更が、本明細書における記述によって当業者に示唆されるであろうし、それが本願の精神および範囲ならびに特許請求の範囲に包含されるものであることは明らかである。
【0182】
情報開示陳述書の一部として提出された引例を含む、本明細書で引用または本願とともに提出された全ての刊行物、特許および特許出願は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。