特許第6388628号(P6388628)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6388628
(24)【登録日】2018年8月24日
(45)【発行日】2018年9月12日
(54)【発明の名称】アクチュエータ装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/35 20160101AFI20180903BHJP
   A61B 17/29 20060101ALI20180903BHJP
   B25J 17/00 20060101ALI20180903BHJP
   B25J 18/06 20060101ALI20180903BHJP
【FI】
   A61B34/35
   A61B17/29
   B25J17/00 K
   B25J18/06
【請求項の数】8
【全頁数】43
(21)【出願番号】特願2016-221342(P2016-221342)
(22)【出願日】2016年11月14日
(62)【分割の表示】特願2014-224030(P2014-224030)の分割
【原出願日】2002年7月1日
(65)【公開番号】特開2017-80418(P2017-80418A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2016年11月14日
(31)【優先権主張番号】60/301,967
(32)【優先日】2001年6月29日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】60/327,702
(32)【優先日】2001年10月5日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】10/187,248
(32)【優先日】2002年6月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506410453
【氏名又は名称】インテュイティブ サージカル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】クーパー,トーマス・ジイ
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ステイシイ
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン,エス・クリストファ
(72)【発明者】
【氏名】ウイリアムズ,ダスティン
(72)【発明者】
【氏名】マンゾ,スコット
(72)【発明者】
【氏名】ワレス,ダニエル・ティ
【審査官】 吉川 直也
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05454827(US,A)
【文献】 特開平07−000410(JP,A)
【文献】 特表2000−505328(JP,A)
【文献】 特開平07−163574(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/35
A61B 17/29
B25J 17/00
B25J 18/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピッチ回転及びヨー回転の方向に作動する、複数の開口を有したアクチュエータ・プレートと、
前記アクチュエータ・プレートに接続した近位端と、遠位端を有したシャフトと、
前記シャフトの遠位端に接続した手首と、
前記複数の開口を介して前記アクチュエータ・プレートから前記手首に延びる複数のケーブルと
を備え、前記手首は、前記アクチュエータ・プレートの作動により、ピッチ回転及びヨー回転の方向に運動可能であるとともに、
前記複数の開口は、前記アクチュエータ・プレートの中心からの第1の半径距離を有する複数の第1の開口と、該第1の半径距離より大きな第2の半径距離を有する複数の第2の開口を有し、
前記手首は、少なくとも一つの中位ディスクと少なくとも一つの遠位ディスクを有し、
前記複数のケーブルは、前記複数の第1の開口を介して前記アクチュエータ・プレートから前記少なくとも一つの中位ディスクに延びる複数の第1のケーブルと、前記複数の第2の開口を介して前記アクチュエータ・プレートから前記少なくとも一つの遠位ディスクに延びる複数の第2のケーブルを有することを特徴とする装置。
【請求項2】
ピッチ回転及びヨー回転の方向に作動する、複数の開口を有したアクチュエータ・プレートと、
前記アクチュエータ・プレートに接続した近位端と、遠位端を有したシャフトと、
前記シャフトの遠位端に接続した手首と、
前記複数の開口を介して前記アクチュエータ・プレートから前記手首に延びる複数のケーブルと
を備え、前記手首は、前記アクチュエータ・プレートの作動により、ピッチ回転及びヨー回転の方向に運動可能である装置であって、
前記アクチュエータ・プレートはさらに装着部材を有し、
前記装置はさらに、
第1のアクチュエータ・リンクと、
前記第1のアクチュエータ・リンクを動かすため該第1のアクチュエータ・リンクに回転可能に接続する第1のギヤ・セクションと、
第2のアクチュエータ・リンクと、
前記第2のアクチュエータ・リンクを動かすため該第2のアクチュエータ・リンクに回転可能に接続する第2のギヤ・セクションと
を備え、前記第1、第2のアクチュエータ・リンクは、該第1、第2のアクチュエータ・リンクが長手方向に動かされたときに、前記アクチュエータ・プレートをピッチ回転及びヨー回転方向に動かすために、前記装着部材に回転可能に接続されていることを特徴とする装置
【請求項3】
前記第1、第2のアクチュエータ・リンクを長手方向の同じ方向に動かすことによって前記ピッチ回転を生じさせ、前記第1、第2のアクチュエータ・リンクを長手方向の逆方向に動かすことによって前記ヨー回転を生じさせることを特徴とする請求項に記載の装置。
【請求項4】
前記第1、第2のアクチュエータ・リンクは、ボール・イン・ソケット接合を介して、前記装着部材に接続されることを特徴とする請求項に記載の装置。
【請求項5】
前記第1、第2のギヤ・セクションは扇形歯車を含むことを特徴とする請求項に記載の装置。
【請求項6】
前記アクチュエータ・プレートが搭載される下側ハウジング部材と、該下側ハウジング部材上に配置される上側ハウジング部材をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記手首の少なくとも一つの遠位ディスクの内の最遠位のディスクがエンドエフェクタに接続されることを特徴とする請求項に記載の装置。
【請求項8】
前記第1、第2のギヤ・セクションを駆動するために、該第1、第2のギヤ・セクションに接続する第1、第2の駆動ギヤと、
前記第1、第2の駆動ギヤをそれぞれ作動するよう接続された第1、第2の駆動スプールと
をさらに有することを特徴とする請求項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【従来技術】
【0001】
(関連出願の相互引用)
本出願は、そのすべての開示内容を本願に引用して援用する、2001年6月29日に提出された米国暫定特許出願第60/301,967号、および2001年10月5日に提出された米国暫定特許出願60/327,702号の恩典に基づくとともに、それを主張するものである。
本出願は、その全開示内容を本願に引用して援用する以下の特許および特許出願に関連する。
1998年9月18日に提出され、WO99/50721として公開された「Robotic Apparatus」という名称のPCT国際出願第PCT/US98/19508号。
1999年10月15日に提出された「Surgical Robotics Tools,Data Architecture,and Use」という名称の米国特許出願第09/418,726号。
1998年12月8日に提出された「Image Shifting for a Telerobotic System」という名称の米国特許出願第60/111,711号。
1999年8月20日に提出された「Stereo Imaging System for Use in Telerobotic System」という名称の米国特許出願第09/378,173号。
1999年9月17日に提出された「Master Having Redundant Degrees of Freedom」という名称の米国特許出願第09/398,507号。
1999年9月17日に提出された「Cooperative Minimally Invasive Telesurgery System」という名称の米国特許出願第09/399,457号。
1999年8月13日に提出された「Camera Referenced Control in a Minimally Invasive Surgical Apparatus」という名称の米国特許出願第09/373,678号。
1999年9月17日に提出された「Surgical Tools for Use in Minimally Invasive Telesurgical Applications」という名称の米国特許出願第09/398,958号。
1998年9月15日に発行された、「Endoscopic Surgical Instrument and Method for Use」という名称の米国特許第5,808,665号。
【0002】
本発明は、一般には外科器具に関し、より具体的にはロボット外科手術を行うための外科器具における様々な手首機構に関する。
【背景技術】
【0003】
低侵襲外科技術の進歩により、低侵襲的に行われる外科手術の数を劇的に増加させることができた。低侵襲医療技術は、診断または外科処理時に損傷を受ける無関係な組織の量を減らすことによって、患者の回復時間、不快さ、および有害な副作用を低減することを目的とする。低侵襲外科技術を用いて、標準的な外科手術の病院滞在期間を短縮することもできる。したがって、低侵襲技術の採用が増えたことにより、数百万の病院滞在日数を節約し、入院滞在費用だけで年間数百万ドルも節約することが可能になった。低侵襲外科手術により、患者の回復時間、患者の不快さ、外科手術の副作用、および離職時間を少なくすることもできる。
【0004】
低侵襲外科手術の最も一般的な形態は内視法である。おそらく、最も一般的な内視法の形態は腹腔内部の低侵襲検査や手術であるラパロスコピーである。標準的な腹腔鏡手術では、患者の腹部をガスで膨らませ、カニューレ・スリーブを小さな(約1/2インチ(約12.7mm)の)切り口に通して、腹腔鏡外科用機器の入口を設ける。腹腔外科機器は、一般には(外科領域を見るための)腹腔鏡や操作器具を含む。操作器具は、各機具の操作端またはエンド・エフェクタが、伸長チューブによってハンドルから隔てられていることを除いては、従来の(切開)手術に使用されるものと同様である。本明細書に用いられるように、「エンド・エフェクタ」という言葉は、外科機器の実際の操作部を意味し、例えば鉗子、把持器、鋏、ステープラおよび針保持器を含む。外科手術を行うために、外科医は、これらの操作器具すなわち機器をカニューレ・スリーブから内部の外科部位に通し、腹部の外側からそれらを操作する。外科医は、腹腔鏡から撮影された外科部位の画像を表示するモニタを利用して、処理を監視する。同様の内視鏡技術が、例えば関節鏡検査、腹膜鏡検査、骨盤鏡検査、腎臓鏡検査、細胞鏡検査、脳槽鏡検査、洞房鏡検査、子宮鏡検査、尿道鏡検査などに採用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現行の低侵襲外科(MIS)技術に関して多く欠点がある。例えば、既存のMISは、切開手術に見られる器具の配置の柔軟性を外科医に与えない。たいていの現行の腹腔鏡器具は硬質のシャフトを有するため、小さな切り口を通して操作部位に近づけるのが困難である。また、多くの内視鏡機器の長さおよび構造は、使用する器具のエンド・エフェクタに作用する組織および器官の力を感じ取る外科医の能力を低下させる。内視鏡器具の器用さおよび敏感性の欠如が、低侵襲外科手術の普及に対する大きな障害になっている。
【0006】
内部の外科部位内を操作する際の外科医の器用さを高めるとともに、外科医が、離れた場所から患者に対する操作を行うことを可能にする低侵襲遠隔外科ロボット・システムが開発されつつある。遠隔外科システムでは、コンピュータ・ワークステーションで外科部位の画像が外科医に提供される。外科医は、好適なビュアまたはディスプレイで外科部位の三次元画像を確認しながら、マスタ入力、またはワークステーションの制御デバイスを操作することによって患者に対する外科処理を行う。マスタは、自動制御的に動作される外科機器の動きを制御する。外科処理時に、遠隔外科システムは、マスタ制御デバイスの操作に応じて、外科医の代わりに様々な機能、例えば針の保持または駆動、血管の保持、または組織の切断などを実行する、例えば組織把持器、針駆動のようなエンド・エフェクタを有する様々な外科機器や器具を機械的に駆動し、かつ制御する。
【0007】
いくつかの外科機器は、エンド・エフェクタを3つの垂直軸のまわりの3軸回転動作を与えるためのロール・ピッチ・ヨー機構を採用している。ピッチおよびヨー回転は、典型的には、器具のシャフトとエンド・エフェクタとの間に結合された手首機構によって与えられ、ロールは典型的にはシャフトの回転によって与えられる。約90度のピッチでは、ヨーとロールの回転動作が重複し、特異点と呼ばれる1軸の回転動作のロスが生じる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、器具が、ロール、ピッチおよびヨーに特異点を有さないようにピッチおよびヨー回転を与える手首機構を有する器具の代替実施態様に向けられる。好ましい一実施態様では、手首機構は、積層または直列結合した複数の円板すなわち椎骨を含む。典型的には、積層体の最も近位の椎骨すなわち円板は、器具または機器のシャフトの操作端のような近位の末端部材セグメントに結合され、最も遠位の椎骨すなわち円板は、エンド・エフェクタまたはエンド・エフェクタ支持部材のような遠位端部材セグメントに結合される。各円板は、隣接する円板または末端部材に対して、(例えばピッチまたはヨーにおいて)少なくとも1自由度すなわち1DOFで回転するように構成される。
【0009】
本明細書の説明において、円板すなわち椎骨という言葉は、文脈が近位の末端部材と遠位の末端部材との間に位置する中間セグメントを示すものでなければ、あらゆる近位または遠位端部材を含む。同様に、円板すなわち椎骨という言葉は、本明細書では、セグメント部材またはセグメント・サブアセンブリを示すのに区別なく用いられ、本発明の態様を有する手首機構は、全体的な外観が必ずしも円板状ではない代替的な形状および構成のセグメント部材またはセグメント・サブアセンブリを含むことが理解されるであろう。
【0010】
手首機構の動きを生じさせるために、駆動ケーブルすなわち腱要素を使用して、円板の動きを操作し、かつ制御する。手首機構は、いくつかの点において、腹腔鏡および類似の医療機器に使用されるような腱駆動可動部材に類似している。しかし、本発明の態様を有するマルチ・ディスク手首機構は、いくつかの新規の態様を含む。例えば、本手首の実施態様はポジティブに位置決め可能とすることができ、各々の円板がポジティブに確定可能な角度および向きで回転できる。この理由により、本実施態様をポジティブに位置決め可能なマルチ・ディスク手首(positively positionable multi-disk wrist:PPMD手首)と呼ぶ。
【0011】
本発明の一面を有するいくつかの例示的な実施態様では、各円板は、非結合接触により、隣接する円板に対して回転するように構成される。本明細書に用いられるように、非結合接触とは、締結具、回転ピンまたは他の接合部材によって結合または接合されていない接触を意味する。円板は、例えば駆動ケーブルのテンションによって、相互の接触を維持する。円板は、駆動ケーブルのテンションを解除すると、解放されて分離する。非結合接触は、各円板の間、かつ/または円板と手首のその円板に隣接している遠位または近位の部分との間のロールおよび/またはスライドを含む。
【0012】
特定の実施態様について以下に説明するように、非結合ロール接触が近接する円板のピボットを許しながら、円板の両側のケーブル運動量を平衡させることができるような成形接触面を含むことができる。また、これらの例示的な実施態様の非結合接触態様は、好都合な単純化した製造や組立工程を促し、部品数の削減を促し、全手首径が小さい実施態様において特に有用である。
【0013】
本発明の態様を有する代替的な実施態様は、ピン、リベット、ブッシュングなどの1つまたは複数の締結具デバイスを採用することによって、同一または実質的に類似した構成で、互いに、かつ/または手首の遠位または近位の部分に対してピボット可能に結合される1つまたは複数の近隣の円板を有することができることを理解すべきである。
【0014】
近隣の円板(または円板、およびその円板に隣接した手首の近位または遠位の部分)に係合する放射状プラグを有する1つまたは複数の円板間ストラットを含めることによってケーブル・バランス構成を達成する追加的な実施態様を説明する。中間ストラットと放射状プラグの代替的な実施態様は、非結合接続または結合接続を提供することができる。
【0015】
特定の実施態様では、いくつかのケーブルは、近位の円板から少なくとも1つの中間の円板を通して遠位の円板との最終接続点に延びる遠位ケーブルである。残りのケーブルは、近位の円板から中間の円板との最終接続点に延びる中位ケーブルである。それらのケーブルは、手首機構を偏向させるために各ケーブルを動かすように構成されたケーブル・アクチェータ組立品によって駆動される。1つの例示的な実施態様では、ケーブル・アクチェータ組立品は、ジンバル・ケーブル・アクチェータ・プレートを含んでいる。アクチェータ・プレートは、中位ケーブルを受け入れるための複数の小径穴または溝、および遠位ケーブルを受け入れるための複数の大径穴または溝を含む。それらの穴または溝は、特定のケーブルに対する所定のジンバル動きまたは回転に対して、中位の円板に対する中位ケーブルの移動距離が、遠位の円板に対する遠位ケーブルに比べて小さくなるように(例えばわずか半分になるように)、中位ケーブルを小径の動き(例えば1/2R)に限定し、遠位ケーブルを大径の動き(R)に限定する。複数の中間ケーブル終端セグメントを有する代替的な実施態様では、選定された径(例えばR、2/3Rおよび1/3R)の穴の複数の集合体を有することができる。ここに記載される手首の実施態様は、ロボット外科システムに特に好適であるが、手動で操作する内視鏡器具に含めることもできる。
【0016】
本発明の態様を有するケーブル・アクチェータ組立品を含む実施態様は、実質的な複数のケーブルの同時駆動に対応し、複数の異なるケーブル集合体の動きの所定の比例関係に対応する。このような機能は、非常に複雑な制御機構を回避する単純で安価な構造によって提供される。以下にさらに説明するように、各ケーブル集合体における所定の全断面積、および所定の全円板直径に対して、機械的に余剰数のケーブルが、ケーブル直径をより小さくし、ケーブルのモーメント・アームまたは機械的利点を増加させ、かつ円板の中心線に沿う障害なし縦方向(長手方向)中央管腔をより大きくする。これらの利点は、現在内視鏡外科手術で使用されているような非常に小さな全直径を達成するために構築される手首部材に特に有用である。
【0017】
いくつかの実施態様では、グリッピング・エンド・エフェクタを操作するためのグリップ駆動機構が提供される。ケーブルを使用してエンド・エフェクタを操作するときは、グリップ駆動機構は、器具または機器の近位のベースまたは「バックエンド」に配置されるグリップ・ケーブル・アクチェータを含んでもよい。グリップ駆動ケーブルの経路長は、ケーブル経路が中立軸と一致しない場合は、手首の屈曲時に長さが変化する傾向がある。そのケーブル経路長の変化には、ケーブルの保護および制御を行うのに使用されるバックエンド機構で対応することができる。これは、グリップ・ジョーのようなエンド・エフェクタの制御を手首の屈曲から切り離すように、グリップ駆動機構におけるデバイスを調節するケーブル・テンションを含めることによって達成することができる。
【0018】
具体的な実施態様では、バックエンド機構は、エンド・エフェクタ、手首、および外科機器のシャフトを比較的容易に交換できるように構成される。
【0019】
本発明の一態様によれば、低侵襲外科機器は、操作端と近位端を有し、さらに操作端と近位端の間のシャフト軸を有する細長シャフトを備える。手首部材は、操作端に接続される近位部を有する。エンド・エフェクタは手首部材の遠位部に接続される。手首部材は、細長シャフトの操作端とエンド・エフェクタの間に直列接続される少なくとも3つの椎骨を備える。椎骨は、細長シャフトの操作端に接続される近位椎骨、およびエンド・エフェクタに接続される遠位椎骨を含む。
【0020】
各椎骨は、非結合(または結合)接触を採用したピボット接続により、隣接椎骨に対してピボット可能である。椎骨の少なくとも1つは、シャフト軸に平行しないピッチ軸のまわりを、ピッチ接触により隣接椎骨に対してピボット可能である。椎骨の少なくとも1つは、シャフト軸に平行せず、ピッチ軸に平行しない第2の軸のまわりを、他の接触により隣接椎骨に対してピボット可能である。
【0021】
本発明の他の態様によれば、低侵襲外科機器は、操作端、近位端、および操作端と近位端の間のシャフト軸を有する細長シャフトを備える。手首部材は、操作端に接続される近位部または近位端部材、およびエンド・エフェクタに接続される遠位端部材を有する。手首部材は、細長シャフトの操作端とエンド・エフェクタの間に直列接続される少なくとも3つの椎骨を備える。
【0022】
椎骨は、細長シャフトの操作端に接続される近位椎骨、およびエンド・エフェクタに接続される遠位椎骨を含む。各椎骨は、ピボット可能な椎骨接合により隣接椎骨に対してピボット可能である。椎骨の少なくとも1つは、シャフト軸に平行しないピッチ軸のまわりを、ピッチ接合による近接椎骨に対してピボット可能である。椎骨の少なくとも1つは、シャフト軸に平行せず、ピッチ軸に垂直なヨー軸のまわりを、ヨー接合により隣接椎骨に対してピボット可能である。エンド・エフェクタは手首部材の遠位部に接続される。複数のケーブルは、椎骨に結合されてその椎骨を相互に動かす。複数のケーブルは、遠位椎骨に結合され、そこで終端し、ケーブル・アクチェータの近位まで延びる少なくとも1つの遠位ケーブル、および近位椎骨と遠位椎骨の間に配置される中間椎骨に結合され、そこで終端し、ケーブル・アクチェータに延びる少なくとも1つの中間ケーブルを含む。ケーブル・アクチェータ部材は、遠位の変位だけ遠位ケーブルを移動させ、遠位の変位より短い中間変位だけ中間ケーブルを移動させることによって椎骨の位置を調整する。
【0023】
いくつかの実施態様では、各中間変位と遠位の変位との比は、一般に、近位椎骨から中間ケーブルが接続される中間椎骨までの距離と、近位椎骨から遠位ケーブルが接続される遠位椎骨までの距離との比に比例する。
【0024】
本発明の他の態様によれば、患者の体腔における低侵襲内視鏡外科手術を実施する方法は、操作端を有する細長シャフトを腔に導入することを含む。細長シャフトは近位端を有し、さらに操作端と近位端の間にシャフト軸を有する。手首部材は、細長シャフトの操作端とエンド・エフェクタとの間に直列接続される少なくとも3つの椎骨を備える。椎骨は、細長シャフトの操作端に接続される近位椎骨、およびエンド・エフェクタに接続される遠位椎骨を含む。各椎骨は、非結合接触を採用できるピボット可能結合により隣接椎骨に対してピボット可能である。エンド・エフェクタは、手首部材の遠位部に接続される。エンド・エフェクタは、シャフト軸に平行しないピッチ軸のまわりをピボット可能なピッチ結合により少なくとも1つの椎骨を隣接椎骨に対してピボットさせることによって手首部材を回転させることによって、位置決めされる。エンド・エフェクタは、シャフト軸に平行せず、ピッチ軸に平行しない第2の軸のまわりを、他のピボット可能結合により少なくとも1つの椎骨を隣接椎骨に対してピボットさせることによって手首部材を回転させて、再度位置決される。
【0025】
本発明の他の態様によれば、低侵襲外科機器は、左側ピボットと右側ピボットを有するグリップ支持体を備えたエンド・エフェクタを有する。左側ジョーはグリップ支持対の左側ピボットのまわりを回転可能で、右側ジョーはグリップ支持体の右側ピボットのまわりを回転可能である。左側スライダ・ピンは左側ジョーに結合され、右側ピボット・ピンから間隔をおいて配置され、右側スライダ・ピンは右側ジョーに結合され、右側ピポット・ピンから間隔をおいて配置される。スロット部材は、左側スライダ・ピンが、開き位置と閉じ位置の間で左側ジョーを移動させるようにスライド可能である左側スライダ・ピン・スロット、および右側スライダ・ピンが、開き位置と閉じ位置の間で右側ジョーを移動させるようにスライド可能である右側スライダ・ピン・スロットを含む。スライダ・ピン・アクチェータは、左側スライダ・ピンを左側スライダ・ピン・スロットでスライドさせ、右側スライダ・ピンを右側スライダ・ピン・スロットでスライドさせて、左側ジョーと右側ジョーを開き位置と閉じ位置の間で移動させるように、スロット部材に対して移動可能である。
【0026】
本発明の他の態様による、患者の体腔における低侵襲内視鏡外科手術を実施する方法は、エンド・エフェクタに結合された操作端、近位端、および操作端と近位端の間のシャフト軸を有する細長シャフトを備えた器具を用意することを含む。エンド・エフェクタは、左側ピポットと右側ピポットを有するグリップ支持体;グリップ支持体の左側ピボットのまわりを回転可能な左側ジョーおよびグリップ支持体の右側ピボットのまわりを回転可能な右側ジョー;左側ジョーに結合され、左側ピボット・ピンから間隔をおいて配置される左側スライダ・ピンおよび右側ジョーに結合され、右側ピボット・ピンから間隔をおいて配置される右側スライダ・ピン;ならびに開き位置と閉じ位置の間で左側ジョーを移動させるように左側スライダ・ピンがスライド可能である左側スライダ・ピン・スロットおよび開き位置と閉じ位置の間で右側ジョーを移動させるように右側スライダ・ピンがスライド可能である右側スライダ・ピン・スロットを含むスロット部材を含む。本方法は、エンド・エフェクタを外科部位に導入すること;および左側スロット・ピンを左側スライダ・ピン・スロットでスライドするように移動させ、右側スライダ・ピンを右側スライダ・ピン・スロットでスライドするように移動させて、開き位置と閉じ位置の間で左側ジョーと右側ジョーを移動させることをさらに含む。
【0027】
他の実施態様によれば、医療機器は、操作端、近位端、および操作端と近位端の間のシャフト軸を有するベース・シャフトを備える。セグメント化された手首部材は、手首の縦方向ラインに沿って互いに連続的に隣接して配置される複数の離間セグメント椎骨を備える。複数の椎骨は、シャフト操作端に接続される近位椎骨、エンド・エフェクタを支持する遠位椎骨、および近位椎骨と遠位椎骨の間に配置され、ピボット可動可能なセグメント結合によって各近接椎骨に接続される少なくとも1つの中間椎骨を含む。各セグメント結合は、手首の縦方向ラインに平行しない結合軸を有する。結合軸のうちの少なくとも2つは互いに平行しない。中間椎骨の少なくとも1つは中位椎骨である。複数の移動可能な腱要素が、シャフトおよび手首部材に対して全体的に縦方向に配置される。腱要素は、それぞれ近位部を有し、接続された椎骨をピボット駆動させるように、遠位椎骨と中位椎骨の一方に接続される遠位部を有する。腱の少なくとも1つは少なくとも1つの中位椎骨に接続され、腱の少なくとも1つは遠位椎骨に接続される。腱駆動機構は、駆動できるように腱に結合され、複数の接続顴骨をピボット駆動させて、手首部材をシャフトに対して横方向に屈曲させるように、複数の腱のうちの少なくとも選定された腱を制御可能に移動させるように構成される。
【0028】
他の態様は、開口を通じて患者の体内に挿入するための遠位操作端を有するシャフト状部材を含み、操作端は、複数の可動腱要素の少なくとも1つによって駆動されるように構成された少なくとも1つの遠位可動部材を含む外科機器用腱駆動組立品に向けられる。駆動組立品は、少なくとも1自由度でピボットするように可動的に構成され、複数の腱係合部を含む腱アクチェータ部材を備える。各係合部は、複数の腱の少なくとも1つに駆動的に結合可能である。遠位可動部材を駆動させるようにシャフト状部材に対して腱の少なくとも1つを移動させるように、アクチェータ部材を少なくとも1自由度で制御可能にピボットさせるように、駆動機構がアクチェータ部材に駆動的に結合される。
【0029】
他の態様では、低侵襲外科機器は、操作端、近位端、および操作端と近位端の間のシャフト軸を備える。セグメント化された手首部材は、手首の縦方向ラインに沿って、互いに連続的に近接して配置される複数の離間セグメント椎骨を備える。複数の椎骨は、シャフト操作端に接続される近位椎骨、エンド・エフェクタを支持する遠位椎骨、および近位椎骨と遠位椎骨の間に配置される少なくとも1つの中間椎骨を含む。少なくとも1つの中間椎骨は、ピボット可動可能なセグメント結合によって各近接椎骨に接続される。各セグメント結合は、手首の縦方向ラインに平行しない結合軸を有する。結合軸のうちの少なくとも2つは互いに平行しない。可動セグメント結合は、少なくとも1つの隣接椎骨のピボット運動を調節するように構成された少なくとも1つのばね状要素を含む。複数の可動腱要素は、シャフトおよび手首部材に対して全体的に縦方向に配置される。腱要素は、それぞれ近位部、および遠位椎骨をピボット駆動させるように遠位椎骨に接続される遠位部を有する。腱駆動機構が腱に駆動的に結合され、複数の接続椎骨をピボット駆動させて、シャフトに対して手首部材を横方向に屈曲させるように、複数の腱の少なくとも1つを制御可能に移動させるように構成される。
他の態様は、医療機器の多重セグメント軟質部材の2つの隣接セグメント椎骨をピボット可能に結合させるためのセグメントのピボット可能な結合機構であって、2つの隣接セグメントは互いに対する屈曲方向を有し、軟質部材は少なくとも1つの中立屈曲軸を有するセグメントのピボット可能な結合機構に向けられる。本機器は、隣接椎骨の少なくとも2つの開口を通る少なくとも2つの可動駆動腱を含み、椎骨の少なくとも2つの開口は、ピボット方向に対して中立軸の反対側から間隔をおいて配置され、開口の口は、全体的に開口面を定めるように2つの椎骨の1つの隣接面に配置される。結合機構は、椎骨の各々に結合される少なくとも1つの中間椎骨係合要素を備え、その要素は、少なくとも2つの離間平行共働ピボット軸を定めるように椎骨とピボット係合し、ピボット軸の各々は、軟質部材が屈曲方向に偏向されたときに、中立軸の反対側の腱の運動を平衡させるように、各腱がそれぞれのピボット軸のまわりをピボット移動できるようにするように、隣接腱のそれぞれの開口面内に全体的に整列される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】腹腔鏡型手首の回転を概略的に示す正面図である。
図2図1の腹腔鏡型手首のS形構成を概略的に示す正面図である。
図3】本発明の一実施形態による、ばねにより接続された椎骨を有する腹腔鏡型手首を概略的に示す正面図である。
図4】本発明の実施形態による、波形ばねによって接続された椎骨を有する腹腔鏡型手首の部分断面図である。
図5】本発明の実施形態による、ピッチ回転におけるポジティブに位置決め可能なマルチ・ディスク(PPMD)手首の斜視図である。
図6】ヨー回転における図5のPPMD手首の斜視図である。
図7】直立位置における図5のPPMD手首の正面図である。
図8】ピッチ回転における図5のPPMD手首の正面図である。
図9】本発明の他の実施形態による、直立位置におけるPPMD手首の斜視図である。
図10】ピッチ回転における図9のPPMD手首の斜視図である。
図11】ヨー回転における図9のPPMD手首の斜視図である。
図12図9のPPMD手首における中間円板の上部斜視図である。
図13図12の中間円板の下部斜視図である。
図14】本発明の他の実施形態による、ピッチ回転におけるPPMD手首の斜視図である。
図15】ヨー回転における図14のPPMD手首の斜視図である。
図16】本発明の他の実施形態による、ピッチ回転におけるPPMD手首の斜視図である。
図17】本発明の他の実施形態による、直立位置におけるPPMD手首の斜視図である。
図18】ピッチ回転における図17のPPMD手首の斜視図である。
図19】ピッチ回転における図17のPPMD手首の正面図である。
図20】ヨー回転における図17のPPMD手首の斜視図である。
図21】ヨー回転における図17のPPMD手首の正面図である。
図22】本発明の実施形態による、円板を通じて延びる駆動ケーブルを示す、図17のPPMD手首の正面図である。
図23】ピッチ回転における図17のPPMD手首の正面図である。
図24】ヨー回転における図17のPPMD手首の正面図である。
図25図17のPPMD手首の円板間の結合の断面図で、その間のロール接触を示す図である。
図26】本発明の実施形態によるジンバル・ケーブル・アクチェータの斜視図である。
図27】本発明の他の実施形態による、アクチェータ・リンクがピッチ回転で構成されたジンバル・ケーブル・アクチェータの斜視図である。
図28】アクチェータ・リンクがヨー回転で構成された図27のジンバル・ケーブル・アクチェータの斜視図である。
図29】ピッチ回転における図27のジンバル・ケーブル・アクチェータの斜視図である。
図30】アクチェータ・プレートの詳細を示す、図27のジンバル・ケーブル・アクチェータにおける平行リンク機構の斜視図である。
図31】アクチェータ・プレート上のカバー・プレートを示す、図30の平行リンク機構の斜視図である。
図32】アクチェータ・プレートの詳細を示す、図30の平行リンク機構の他の斜視図である。
図33】アクチェータ・プレート上のカバー・プレート、およびアクチェータ・リンクを装着するためのアクチェータ・プレート付近の取付部材を示す、図30の平行リンク機構の斜視図である。
図34】下方ハウジング部材に装着された、図27のジンバル・ケーブル・アクチェータの斜視図である。
図35】下方ハウジング部材と上方ハウジング部材の間に装着された、図27のジンバル・ケーブル・アクチェータの斜視図である。
図36】本発明の実施形態による外科機器の斜視図である。
図37図36の外科機器の手首およびエンド・エフェクタの斜視図である。
図38図36の外科機器の手首およびエンド・エフェクタの部分破断斜視図である。
図38A図36の外科機器の手首およびエンド・エフェクタの追加的な部分破断斜視図である。
図39図36の外科機器の手首およびエンド・エフェクタの追加的な部分破断斜視図である。
図39A図36の外科機器のエンド・エフェクタに対する開放および閉じアクチェータを示す平面図である。
図39B図36の外科機器のエンド・エフェクタに対する開放および閉じアクチェータを示す平面図である。
図39C】他の実施形態によるエンド・エフェクタの斜視図である。
図40】手首制御ケーブルを示す、図39の斜視図である。
図41図36の外科機器の手首およびエンド・エフェクタの正面図である。
図42】本発明の実施形態による、図36の外科機器のバックエンド機構の斜視図である。
図43】本発明の実施形態による、図42のバックエンド機構における下方部材の斜視図である。
図44】本発明の他の実施形態による、バックエンド機構の斜視図である。
図45】本発明の他の実施形態による、バックエンド機構の斜視図である。
図46】本発明の他の実施形態による、バックエンド機構の斜視図である。
図47】本発明の他の実施形態による、図44から46の外科機器のバックエンドに駆動ケーブルを固定するための機構の斜視図である。
図48】本発明の他の実施形態による、図36の外科機器のバックエンド機構の斜視図である。
図49】本発明の他の実施形態による、図36の外科機器のバックエンド機構の斜視図である。
図50】本発明の他の実施形態による、図36の外科機器のバックエンド機構の斜視図である。
図51】他の実施形態によるPPMD手首の斜視図である。
図52図51のPPMD手首における椎骨すなわち円板セグメントの分解図である。
図53図51のPPMD手首の正面図である。
図54図51のPPMD手首の正面図である。
図55図51のPPMD手首のケーブル接続を示す斜視図である。
図56図51のPPMD手首のケーブル接続を示す斜視図である。
図57】他の実施形態によるジンバル・ケーブル・アクチェータの斜視図である。
図58】他の実施形態によるジンバル・ケーブル・アクチェータの斜視図である。
図59図55のアクチェータのジンバル・プレートの斜視図である。
図60図55のジンバル・ケーブル・アクチェータの分解斜視図である。
図61図55のジンバル・ケーブル・アクチェータの分解斜視図である。
図62図55のジンバル・ケーブル・アクチェータの分解斜視図である。
図63図55のジンバル・ケーブル・アクチェータの他の斜視図である。
図64】他の実施形態によるバックエンドの斜視図である。
図65】他の実施形態によるバックエンドの斜視図である。
図66】他の実施形態によるバックエンドの斜視図である。
図67】他の実施形態によるバックエンドの斜視図である。
図68A】他の実施形態による直線状手首の正面図である。
図68B】曲げ手首の正面図である。
図68C】他の実施形態によるケーブル・アクチェータ・プレートの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本明細書で用いられるように、「エンド・エフェクタ」とは、医療機能、例えば目標組織の所定の処理を実行するために手首部材を利用して操作可能な実際の操作遠位部を意味する。例えば、いくつかのエンド・エフェクタは、解剖刀、ブレードまたは電極のような単一操作部材を有する。他のエンド・エフェクタは、例えば、鉗子、把持器、鋏またはクリップ・アプライヤのような一対または複数の操作部材を有する。ある実施形態では、円板すなわち椎骨は、それらが集まって手首に沿った長手方向の内腔または空間を形成し、エンド・エフェクタの操作に関わるいくつかの代替要素または機器のいずれか1つに対するコンジットを形成するように構成される。例としては、電気的に駆動するエンド・エフェクタ(例えば、電子外科電極、トランスデューサ、センサなど)、(例えば、吸入、ガス注入、洗浄、処理流体、アクセサリ導入、生検摘出などのための)流体、気体または固体用のコンジット、移動エンド・エフェクタ部材を駆動させるための機械的要素(例えば、グリップ、鉗子および鋏を操作するためのケーブル、軟質部材または駆動要素)、導波管、音波伝達要素、光ファイバ要素などが挙げられる。当該縦型コンジットに弾性ポリマー・チューブ、螺旋巻線チューブなどのようなライナ、絶縁体、または誘導要素を設けることができる。
【0032】
本明細書に用いられるように、「外科機器」、「機器」、「外科器具」または「器具」という言葉は、患者の腹腔における外科部位に挿入される1つまたは複数のエンド・エフェクタを担持し、エンド・エフェクタを操作して、外科部位における目標組織の所望の処理または医療機能を実行するために腹腔の外側から駆動可能な操作端を有する部材を意味する。これらの機器または器具は、典型的には、遠位にエンド・エフェクタを担持するシャフトを含み、好ましくは、針の保持または駆動、血管をつまむおよび組織を切断するなどのような機能を実行するために、遠隔外科システムによって自動制御的に駆動される。
【0033】
A.胃鏡型手首
胃鏡型手首は、交互のヨー(Y)およびピッチ(P)軸を有する、積層された複数の椎骨を備えている。例えば、胃鏡型手首の一例は12の椎骨を含む。当該手首は、典型的には、比較的長い弧を描いて曲がる。椎骨は、一緒に保持され、複数のケーブルによって操作される。4本以上のケーブルを使用することにより、手首の一端を手首の他端に対して移動させるときの角度を決定することが可能になる。手首の内部の開口を通してアクセサリをうまく導入することができる。手首を連続的に関節運動させて、良い制御で、特異点を有することなく、(ロール、ピッチ、ヨーにおいて)広い角度範囲で向きを保つことができる。
【0034】
図1および図2は、ヨーとピッチの交互的なピボット配列(YPYP...Y)で直列結合された複数の椎骨すなわち円板を有する典型的な先行技術の胃鏡型軟質手首状マルチ・セグメント部材を示す図である。図1は、隣接椎骨42の間で均一な角度で全体的に好ましく回転している椎骨42からなる胃鏡型手首40の回転を示す図である。これに対して、ピッチとヨーの力が加わると、胃鏡型手首が、図2に示すように、2つの弓形を伴うS形になる。また、隣接椎骨間の角度が積層体に沿って大きく変わると、バックラッシュが問題になる。操作時に、隣接セグメント間のヨーとピッチの角度が、典型的には、曲がっている間にある範囲の不均一または不確定な値を取るということが知られている。すなわち、マルチ・セグメント手首または軟質部材は、腱駆動入力に応じて、予測不可能なまたは部分的にのみ制御される挙動を示すことがある。その上、軟質部材の曲げ精度、反復性および有効強度が低下する。
【0035】
バックラッシュを最小限に抑え、S形構成を回避するための1つの方法は、図3に概略的に示すように、手首50の椎骨52の間にばね54を設けることである。ばね54は、積層体の回転時に、椎骨52間の角度を比較的均一に維持してバックラッシュを最小限に抑えるのに役立つ。ばね54は、また、手首50を硬化させ、回転を安定化させて、S形構成を回避する。
【0036】
図4の手首60に示されるように、椎骨62の間に接続可能な1つのタイプのばねとして、低プロフィルで高いばね力を与える特徴を有する波形ばね64が挙げられる。図4は鋏または鉗子機構66の形態のエンド・エフェクタをも示している図である。その機構66を駆動させるためのケーブルまたはプーリのような駆動部材を、手首60の内部の開口を通して延ばすことができる。内部の開口または内腔は他の物体をも通すことができる。
【0037】
手首60は、特異点がなく、要望に応じて360°曲げるように設計することが可能である。手首60は汎用性が高く、潅注に使用でき、内腔を通してCCDへ達する光ファイバまたはワイヤによるイメージングに、さらにその他の用途に使用できる。手首60を操作チャネルを備えたデリバリ・デバイスとして使用することが可能である。例えば、外科医が手首60を備えた外科機器を位置決めして、生検用操作チャネルを通じて手操作カテーテル・スタイレットまたは胃腸科系機器を外科部位に送ることができる。
【0038】
図1図4(および一般に本明細書の他の箇所)において、ヨーとピッチの違いは、マルチ・セグメント手首または軟質部材の一般化された記述の用語として任意に定めることができ、YおよびP軸は典型的には部材の縦方向中心線に対して垂直であるとともに、典型的には互いに垂直であることに留意されたい。しかし、中心線に垂直でなく、かつ/または互いに垂直でないYおよびP軸を有する、本発明の形態を有する様々な代替実施形態が実現可能であることに留意されたい。同様に、曲げ運動(YまたはP)に単一の自由度しかもたない、単純化された部材も有用でありうる。
【0039】
B.ポジティブに位置決め可能なマルチ・ディスク手首(PPMD手首)
接触速度またはPPMD手首は、回転するように結合された係合で連続的に積層され、ケーブルによって操作される複数の椎骨すなわち円板をも有する。S形構成を回避する5つの円板の一実施形態では(円板の数は末端部材を含む)、1つのケーブル集合体(遠位ケーブル)が、手首の遠位端における最終椎骨または遠位端円板まで延び、そこで終端するのに対して、残りのケーブル集合体(中位ケーブル)は、中間円板まで延び、そこで終端する。中位ケーブル集合体を中位円板で終端させ、第2の遠位ケーブル集合体を遠位円板で終端させることによって、5つの円板の配列の全ピボット自由度をケーブル・アクチェータによって精確に制御することができる。いずれの所定のケーブル駆動の組合せに対しても手首部材または位置についての実質的な不確実性は存在しない。これが、「ポジティブに位置決め可能」という言葉によって示される特性であり、図1および図2に関して上述したS形曲線の曲げまたは予測不可能な曲げの原因を排除する特性である。
【0040】
PPMD手首の中位ケーブル集合体は、所定の全手首運動に対して、遠位集合体より移動距離が短くなる(例えば半分である)ことに留意されたい。その例を以下により詳細に説明するケーブル・アクチェータ機構がこの作動的な運動を提供する。また、ここに示される例は、一般に、同様または同一の大きさの複数の円板すなわちセグメントを有するが、その必要がないことにも留意されたい。したがって、隣接セグメントが異なる大きさを有する場合は、中位集合体と遠位集合体の間の動きの割合は、ここに示される例とは異なることがある。
【0041】
特定の好ましい実施形態では、ヨー(Y)結合またはピッチ(P)結合の一方が、2つの続いたセグメントで繰り返される。したがって、5つの円板のセグメントの間の4つの結合の例示的な配列では、結合配列をYPPYまたはPYYPとすることができ、中位セグメント円板(5つのうち3つ)は、2つのY結合または2つのP結合によって囲まれる。この配列は、「ロール、ピッチ、ヨー」型機器の遠位端に「一定速度」のロールを可能にする特性を有する。換言すれば、機器の遠位部(シャフト/手首/エンド・エフェクタ)を中心線のまわりに軸方向に回転させながら、手首を曲げ、かつエンド・エフェクタを(軟質シャフトねじドライバの操作と類似した)所定の箇所および先端角度に維持する場合に、エンド・エフェクタと機器シャフトの両方が同一の瞬間角速度で回転することになる。
【0042】
この「一定速度」の特性は、巧みな外科操作機器に対するアルゴリズムを単純化し、より円滑な操作特性を導くことができる。この結合配列は、ヨーとピッチ軸の厳格な交互配列を含む、図1および図2に示される先行技術の胃鏡型手首の交互YPYP...結合配列とは全く異なることに留意されたい。
【0043】
図5図8に示される例示的な実施形態では、手首70は、ピッチ、ヨー、ヨー、ピッチ接続を伴う5つの円板72〜76が積層されている(円板数は近位および遠位端部材の円板を含む)。それらの円板は環状で、中空または内腔を形成している。各円板は、駆動ケーブルを通す複数の開口78を有する。それぞれのケーブルに加わる力を低減するために16のケーブルが使用される。8本の遠位ケーブル80は遠位端における5番目の円板76まで延び、8本の中位ケーブル82は中間の3番目の円板74まで延びている。他の実施形態ではケーブルの数が変わってもよいが、最低限3本のケーブル(または対称配列では4本のケーブル)、より望ましくは6本または8本のケーブルが使用される。ケーブルの数および大きさは円板のまわりに設けることが可能な空間によって限定される。一実施形態では、各円板の内径は約3mmで、外径は約2mmで、ケーブルを通る開口は直径が約0.5mmである。各ケーブル集合体(中位または遠位)における所定の全断面積、および所定の円板直径全体に対して、ケーブルの数を多くすると、ケーブルの直径をより小さくすることができ、中位または遠位の円板の中心線から半径方向に外側に位置する開口にケーブルを終端させることができ、作用するケーブルの力のモーメント・アームまたは機械的効果を高める。また、これによりケーブルの直径が小さくなるため、円板の中心線に沿う縦方向の中心内腔の内側が大きくなる。これらの効果は、現在内視鏡外科手術にとって好ましいとされる、全体直径が非常に小さい(約5mm以下の)挿入機器部を達成するために構築される手首部材に特に有用である。
【0044】
図5は、円板の周縁に配置される長いすなわち遠位ケーブル80と短いすなわち中位ケーブル82の対の交互的な配置を示す図である。円板を貫通するケーブル80と82は、円板の中心を貫通する手首中心軸すなわち中立軸83に並列である。手首中立軸83は、手首70を曲げているときの長さが固定されている。円板を直線状に整列させると、ケーブル80と82は直線になり、手首70を曲げている間に円板を回転させると、ケーブル80と82は手首中立軸とともに曲がる。図5〜8に示される例では、円板は、円板の向かい合う両側に位置する開口78に結合されたピン86の対によって形成される中心線で隣接円板間の接触点を維持して非結合ロール接触で互いにロールするように構成されている。ピン86は、円板間にフル・レンジの回転を与え、開口78への結合を維持するように構成され、大きさが決定される。他の実施形態では、開口78を、ピン86を受けるためのスロットに代えることができる。ピン86の輪郭は、好ましくは、円滑なノンスリップ・ロール係合となるように、かつ、円板回転時の係合開口の周界87と一定の円滑接触を成すように、「歯車の歯のような」プロフィルであることに留意されたい。図5および図8は、(2つのピッチ接合による)90°のピッチ位置の手首70を示し、図6は、(2つのヨー接合の回転による)90°のヨー位置の手首70を示す。図7において、手首70は直立または直立位置にある。もちろん、ピッチおよびヨーにおける円板の回転によって、手首部材のピッチ曲げとヨー曲げの組合せを達成することも可能である。
【0045】
手首70は、180°の範囲にわたって特異点がない。グリップのための引張ケーブルを分離させ、かつそれを通すために、環状円板により形成される内腔を使用することができる。手首70に加わる力は、ケーブルの強度によって制限される。一実施形態では、ヨー・モーメントを約0.25N−mとするためにケーブル・テンションを約15 lb(約6.8Kg)とすることが必要である。円板が5つしかないため、グリップ機構はシャープに曲がる必要がある。ケーブル・システムの精度は、開口78にこすれるケーブルの摩擦に依存する。バックラッシュを除去するためケーブル80と82にあらかじめ負荷をかけておくことができる。磨耗が懸念されるため、手首70およびケーブルに耐磨耗材を選択することが望ましい。
【0046】
図9図13は、駆動ケーブルを通すための開口98を含む円板92〜96の間の異なる結合機構を有する手首90の代替的な実施形態を示す図である。図12および図13のディスク94に最もよく示されるように、開口に結合されたピンの代わりに、湾曲突起100の対と円板の反対側に位置するスロット102との間の結合によって円板を接続する。他の2つの中間円板93、95も中間円板94と同様である。湾曲突起100が湾曲スロット102に受け入れられ、例えば、図10に示される手首90の90°ピッチ、および図11に示される手首90の90°ヨーを生成させるために、回転またはロール動きができるようにスロット102に突起100を支持させる。図9は、遠位円板96に延び、そこで終端する2つの遠位ケーブル104、および中間円板94に延び、そこで終端する2つの中位ケーブル106を示す図である。図9図13に示される例は、「一定速度」のYPPY配列ではないが、代替的にそのように構成できることに留意されたい。
【0047】
図14および図15に示される手首120の他の実施形態では、円板に向き合って配置されるかみ合い歯130の間の非結合ロール接触によって、円板122〜126の間の結合を形成する。歯130は、例えば、図14に示される手首120の90°ピッチ、および図15に示される手首120の90°ヨーを生成させるために、円板をヨー回転やピッチ回転させる。
【0048】
図16に示される手首140の他の実施形態では、円板間の結合機構は、互いに共働して、開口へ締結具を挿入してヒンジ機構を形成させる有孔部材150、152を含む。円板の両側に配置されるヒンジ機構は、円板をピッチ回転させるとともにヨー回転させ、例えば、図16に示される手首140の90°ピッチを生成させる。図16に示される例は、「一定速度」のYPPY配列ではないが、代替的にそのように構成できることに留意されたい。
【0049】
図17図24は、円板162〜166間に異なる結合機構を有する手首160のさらに他の実施形態を示す図である。第1すなわち近位の円板162は、約180°離れた反対側に配置される一対のピッチ突起170を含む。第2の円板163は、一方の側に一対のピッチ突起170に結合された一対の整合ピッチ突起172を含み、もう一方の側に、ピッチ突起172から約90°ずれて配置される一対のヨー突起174を含む。第3すなわち中間円板164は、一方の側に一対のヨー突起174に結合された一対の整合ヨー突起176を含み、もう一方の側に一対のヨー突起174と整列する一対のヨー突起178を含む。第4の円板165は、一方の側に一対のヨー突起178に結合された一対の整合ヨー突起180を含み、もう一方の側にヨー突起180から約90°ずれて配置される一対のピッチ突起182を含む。第5すなわち遠位円板166は、第4の円板165のピッチ突起182に結合された一対の整合ピッチ突起184を含む。
【0050】
突起172、176は、互いに非結合ロール接触を成して、円板をピッチ回転させるかヨー回転させ、例えば、図18および図19に見られる手首160の90°ピッチを形成し、図20および図21に見られる手首160の90°ヨーを形成する湾曲した凸状のロール面を有する。ここに示される実施形態では、突起間の結合は、それぞれスロット192に接続されたピン190によって形成される。
【0051】
図22図24は、それぞれ直立位置、90°ピッチ位置および90°ヨー位置を達成するように駆動ケーブルで操作された手首160を示す図である。
【0052】
図25は、ロール接触点200での接触を維持する、円板162、163の突起170、172の湾曲ロール面の間でのロール接触を示す図である。ロール作用は、それぞれ2つの円板162、163上の2つの実効ピボット点202、204を含む。ケーブル212、214、216、218を引くことによって円板162、163の間の相対的な回転を達成する。ケーブルの各対(212、218)および(214、216)は、接触点200ならびに実効ピボット点202、204を通る中心線220から等距離にある。円板162、163が回転すると、引張ケーブルは、破線で示されるように、位置212’、214’、216’、218’にシフトする。円板162は、ケーブルのためのケーブル出口点222を有し、円板163はケーブルのためのケーブル出口点224を有する。具体的な実施形態では、ケーブル出口点222は、円板162の実効ピボット点202と同一平面内にあり、ケーブル出口点224は円板164の実効ピボット点204と同一平面内にある。このように、円板162、163が回転すると、ケーブルの各対(212’、218’)および(214’、216’)が中心線220から同距離に保たれる。その結果、一方の側で繰り出されたケーブル長は、もう一方の側で引き出されたケーブル長に等しくなる。したがって、図25に示される非結合ロール係合輪郭構成は、「ケーブル平衡ピボット機構」と称することができる。この「ケーブル平衡」特性は、最小限のバックラッシュで一対のケーブルの結合を行わせる。図17図24の例は、このケーブル平衡特性を有するが、これらの図の大きさにより、係合ロール輪郭は小さなスケールで示されていることに留意されたい。
【0053】
随意に、かつ特に隣接円板を結合するための「ケーブル平衡ピボット機構」を採用しない実施形態では、機器ケーブル・アクチェータは、ケーブルのゆるみまたはバックラッシュを吸収するケーブル・テンション調節デバイスを採用する。
【0054】
上記実施形態は、5つの円板を示すが、円板の数を7つ、9つなどに増やすことができる。7つの円板の手首では、回転レンジが180°から270°に拡大する。したがって、7つの円板の手首では、典型的にはケーブルの1/3が円板3で終端し、1/3が円板5で終端し、1/3が円板7(最も遠位の円板)で終端する。
【0055】
C.回転プレート・ケーブル・アクチェータ機構
図26は、例えば、図17図21に示されるPPMD手首160においてケーブルを操作するための、本発明の形態を有する例示的な回転プレート・ケーブル・アクチェータ機構240を示す。アクチェータ240は、例えばピッチの回転に対してジンバル・リング246を支持するためのピボット245を備えた一対のジンバル・リング支持体244を有するベース242を含む。リング246は、例えばヨー回転においてロッカーすなわちアクチェータ・プレート250を支持するためのピボット247を含む。アクチェータ・プレート250は、手首160を操作するための16本のケーブルを通すための16の穴252を含む(近位円板162から、8本の遠位ケーブルが遠位円板166に延び、8本の中位ケーブルが中間円板164に延びる)。
【0056】
アクチェータ・プレート250は、ケーブルを受けるための複数の溝を有する中央開口256を含む。8つの小径溝258と8つの大径溝260が中央開口256の周囲にそれぞれ対を成して分布する。小径溝258は、中間円板164に延びる中位ケーブルを受け、大径溝260は、遠位円板166に延びる遠位ケーブルを受ける。溝260の径は、溝258の径の約2倍に等しい。所定のジンバル運動に対して、中位円板164に対する中位ケーブルが、遠位円板166に対する遠位ケーブルの半分しか運動しないように、ケーブルの半分を小径の運動に限定し、ケーブルの半分を大径の運動に限定する溝258および260を通じて中央開口256のリムにケーブルが導かれる。その二重半径溝配列は、アクチェータ・プレート250をジンバル・ケーブル・アクチェータ240内で回転させるときのその運動および制御をし易くする。事前張力を加えた後のケーブル・アタッチメントを固定するために一対の止めねじ266を設けるのが望ましい。ジンバル・ケーブル・アクチェータ240は、スレーブPPMD手首160の動きを操作し、かつ制御するためのマスタとして作用する。様々な種類の従来のアクチェータ(図26に示されていない)をアクチェータ・プレート組立品に結合して、プレートを2自由度傾斜させてケーブルを駆動させることができる。
【0057】
図27図35は、ケーブルを操作してPPMD手首の動きを制御するためのジンバル・ケーブル・アクチェータ300の他の実施形態を示す図である。そこでは、関節様平行ストラット/ボール・ジョイント組立品を採用して、アクチェータ・プレート302に対する「ジンバル」サポートを提供している(すなわち、2DOFのプレート傾斜を可能にするようにそのプレートを支持している)。アクチェータ300は、ジンバル構成で取り付けられたロッカーすなわちアクチェータ・プレート302を含む。第1のアクチェータ・リンク304と第2のアクチェータ・リンク306によってアクチェータ・プレート302を動かして、ピッチとヨー回転を生成させるようになっている。アクチェータ・リンク304、306は、アクチェータ・プレート302付近に配置された取付部材308に回転可能に結合されている。図33に最もよく示されるように、ここに示される実施形態では、アクチェータ・リンク304、306を取付部材308に結合させてボール・イン・ソケット接合を形成するためにボール・エンド310が使用されるが、他の代替的な実施形態では他の好適な回転接続を用いることができる。それぞれ図27図28に示されるように、ピボット・ジョイント318と320を介してアクチェータ・リンク304、306に回転可能に結合される第1、第2の扇形歯車314、316によってアクチェータ・リンク304、306を駆動させ、全体として縦方向に動かす。図34図35に最もよく示されるように、扇形歯車314、316は、駆動スプール334、336で駆動される第1、第2の駆動歯車324、326でそれぞれ回転させられる。
【0058】
アクチェータ302は、図30図33に示される平行リンク機構340に結合される。平行リンク機構340は、一対の平行リング344に結合された一対の平行リンク342を含み、一対のリンクは平行リンク機構340が動くと平行四辺形を形成する。一対の平行リンク342は一対の平行リング344に接続され、一対の平行リング344はピボット348を介して平行リンク機構ハウジング346に回転可能に接続されてピッチ回転を行う。図32に示されるように、ボール・イン・ソケット・ジョイント349を介して一対の平行リンク342をアクチェータ・プレート302に結合させることができるが、代替的な実施形態では他の好適な結合機構を使用できる。
【0059】
図27図29は、アクチェータ・プレート302が平行リンク機構340によってピッチ回転で動くように拘束され、両アクチェータ・リンク304、306とともにピッチ回転するジンバル・ケーブル・アクチェータ300のアクチェータ・プレート302を示す図である。図28において、第1、第2のアクチェータ・リンク304、306は反対方向に動いてアクチェータ・プレート302のヨー回転を生成する。アクチェータ・リンク304、306の混合運動を調整することによりピッチ回転とヨー回転の混合回転が得られる。
【0060】
図30図32に最もよく示されるように、アクチェータ・プレート302は、中位ケーブルを受けるための8つの小径開口360と遠位ケーブルを受けるための8つの大径開口362を含む。図32は例示的な目的のための中位ケーブル364を示す図である。中位および遠位ケーブルは、平行リンク機構ハウジング346の中空とシャフト370(図27図28)の中空を通じて、例えば図17図21のPPMD手首160の中位円板と遠位円板164、166まで延びる。
【0061】
図34は、下方ハウジング部材380に装着されたジンバル・ケーブル・アクチェータ300を示す。図35は、下方ハウジング部材380に装着された上方ハウジング部材382を示す図である。上方ハウジング部材382は、扇形歯車314、316を回転可能に装着するためのピボット384を含む。図27図28図31図33図34に見られるように、カバー・プレート390を締結具392によってアクチェータ・プレート302上に取り付けることができる。
【0062】
最も遠位の円板(例えば図17図21の円板166)は、メス、鉗子、鋏、焼灼器具、リトラクタなどの各種の単要素および多要素エンド・エフェクタに対する装着ベースとして機能することに留意されたい。円板に対して内側の中央内腔は、エンド・エフェクタ・アクチェータ要素(例えばエンド・エフェクタ・アクチェータ・ケーブル)のためのコンジットとして機能することができ、かつ流体コンジット(例えば潅注または吸入)または電気導体を収容することができる。
【0063】
アクチェータ・プレート250のためのジンバル・リング・サポート組立品240が図26に示され、アクチェータ・プレート302のための関節様ジンバル状構造体300が図27図35に示されているが、本発明の形態を有する回転プレート・ケーブル・アクチェータ機構の代替的な実施形態は、アクチェータ・プレート250を支持し、制御可能に動かすための様々な構造および構成を有することができることに留意されたい。例えば、2DOF、例えばスチュアート・プラットフォームなどの少なくとも傾斜運動を可能にするために、様々なタイプの機構および連結リンク機構によってプレートを支持し、動かすことができる。モータ駆動リンク機構、液圧式アクチェータ、電気機械式アクチェータ、リニア・モータ、磁気結合ドライバなどの様々な代替的な駆動機構によって、プレート組立品を制御可能に駆動することができる。
【0064】
D.グリップ駆動機構
図36は、細長シャフト402とそのシャフト402の操作端にエンド・エフェクタ406が配置された手首状機構404を有する外科機器400を示す図である。ここに示される手首状機構404は、図17図21のPPMD手首160に類似している。PPMD手首は、多数の小さな内腔および凹部を有する。無菌性を維持するために、手首404に外筒408Aを配置することができる。あるいは、エンド・エフェクタ406と手首404を覆う外筒408Bを設けることもできる。
【0065】
バックエンド機構すなわち機械走査機構410をシャフト402の反対側に配置し、ロボット・アームまたはシステムに機器400を着脱可能に結合するように構成させている。ロボット・アームを使用して、バックエンド機構410を操作して、手首状機構404とエンド・エフェクタ406を操作する。当該ロボット・システムの例は、1998年9月18日に提出され、WO99/50721として公開された「Robotic Apparatus」という名称のPCT国際出願第PCT/US98/19508号、および1999年9月17日に提出された「Surgical Tools for Use in Minimally Invasive Telesurgical Applications」という名称の米国特許出願第09/398,958号のような上記の様々な関連出願に見いだされる。いくつかの実施形態では、シャフト402はバックエンド機構410に回転可能に結合されて、矢印Hで示される、バックエンド機構410に対するシャフト402の角度変位を可能にする。
【0066】
図37図41には、手首状機構404およびエンド・エフェクタ406がより詳細に示されている。手首状機構404は、図17図21のPPMD手首160と類似し、シャフト402の遠位端に接続された第1または近位の円板412、第2の円板413、第3または中間の円板414、第4の円板415および第5または遠位の円板416を含む。遠位円板416と、一対の操作部材すなわちジョー422、424を含むエンド・エフェクタ406との間にグリップ支持体420が接続されている。図38図40に最もよく示されるように、グリップの動きを促進するために、ジョー422、424は、それぞれピボット・ピン426、428のまわりを回転できるように、グリップ支持体420によって回転可能に支持されている。もちろん、他のエンド・エフェクタを使用することができる。ジョー422、424は単に例示的なものである。
【0067】
図38図40に最もよく示されているが、グリップの動きは、ジョー422、424、開きアクチェータ436、閉じアクチェータ438に接続された一対のスライダ・ピン432、434によって生成される。スライダ・ピン432、434は、それぞれ、閉じアクチェータ438に設けられた一対のスロット442、444内をスライドするようになっている。スライダ・ピン432、434がスロット442、444に沿って互いに外側にスライドすると、ジョー422、424は、ピボット・ピン426、428のまわりを回転して開く。スライダ・ピン432、434がスロット442、444に沿って互いに内側にスライドすると、ジョー422、424は、ピボット・ピン426、428のまわりを回転して閉じる。スライダ・ピン422、424のスライドは、開きアクチェータ436が閉じアクチェータ438に対して動いているときにそれと接触することによって生成される。開きアクチェータ436は、スライダ・ピン432、434上のカムとして作用する。図39Aに示されるように、閉じアクチェータ・ケーブル448を使用して、閉じアクチェータ438を開きアクチェータ436に対してシャフト402のほうへ引くことによってジョー422、424が閉じる。図39Bに示されるように、開きアクチェータ・ケーブル446を使用して、開きアクチェータ436を閉じアクチェータ438に対してシャフト402のほうへ引き戻すことによってジョー422、424が開く。開きアクチェータ・ケーブル446は、典型的には開きアクチェータ436の中空テールに圧入され、閉じアクチェータ・ケーブル448は、典型的には閉じアクチェータ438の中空テールに圧入される。具体的な実施形態では、開きアクチェータ436と閉じアクチェータ438が同時に同速度で、しかも反対方向に動くように、開きアクチェータ・ケーブル446と閉じアクチェータ・ケーブル448を一緒に動かす。以下により詳細に説明するように、駆動ケーブル446、448はバックエンド機構410で操作される。閉じアクチェータ438はスロット部材であるので、閉じアクチェータ・ケーブル446をスロット部材ケーブルと呼ぶことができる。開きアクチェータ436はスライダ・ピン・アクチェータであるので、開きアクチェータ・ケーブル448をスライダ・ピン・アクチェータ・ケーブルと呼ぶことができる。
【0068】
図39Cに示すように、グリップ機構すなわちジョー422’、424’が対称的に動くように、連動歯機構449を採用することができる。この機構449は、一方のジョー424’の近位部に設けられたスロットまたは溝に回転可能に結合される他方のジョー424’の近位部に設けられた歯を含む。機構449は、ジョー422’、424’の反対側(不図示)に他の連動歯およびスロットを含む。
【0069】
図5に示されるものと類似した複数の長いまたは遠位ケーブルと複数の短いまたは中位ケーブルを使用して手首404を操作する。図40に、例示を目的とした1本の遠位ケーブル452、1本の中位ケーブル454を示す。各ケーブル(452、454)は隣接した一組の開口を通り、自由端がほぼ工具シャフト402を通して延び、手首404の長さを通る2つの通路を成す。望ましくは、円板412〜416の周囲に交互に配列された合計4本の遠位ケーブルと4本の中位ケーブルが存在する。
【0070】
駆動ケーブル446、448や、452、454のような手首制御ケーブルは、環状円板412〜416によって形成される内腔からシャフト402を通じてバックエンド機構410まで延び、そこでこれらのケーブルが操作される。いくつかの実施形態では、ケーブルのたるみなどを最小限に抑え、または低減するために、環状円板412〜416によって形成される内腔にコンジット450を設ける(図39を参照のこと)。具体的な実施形態では、近位円板412と遠位円板416の間に接続されたコイルばねによってコンジット450が形成される。コイルばねは、円板412〜416の動きを妨害することなく円板412〜416により曲がる。
【0071】
任意の好適な方法を用いて、グリップ支持体420を手首404に締結することができる。一実施形態では、図38および38Aに示されるように、支持ケーブル462、464によってグリップ支持体420を手首404にしっかりと固定する。各支持ケーブルは、グリップ支持体420内の一対の隣接穴を通じて手首404のほうへ延びる。支持ケーブル462、464は、環状円板412〜416によって形成される内腔からシャフト402を通じてバックエンド機構410に延び、そこで固定される。
【0072】
図41を参照すると、手首404は、手首404を曲げたときに長さが固定される手首中心軸または中立軸470を有する。それぞれのケーブルは、ここに示されるケーブル通路472のような中立軸と一致しないケーブル通路をとると、手首404を曲げたときに長さが変動する。(例えば、手首404内の空間を圧迫することによって)ケーブルが実質的に中立軸470に沿って曲がるように強制すると、ケーブルの長さの変動が低減されるが、過度の磨耗の問題が生じることになる。いくつかの実施形態では、上述したように、バックエンド機構410でケーブル長の変化に対応する。
【0073】
図42図46に、本発明の実施形態によるバックエンド機構410を示す。バックエンド機構410の本実施形態の1つの特徴は、エンド・エフェクタ406(例えば、ジョー422、424の操作部材、アクチェータ436、438、駆動ケーブル446、448)を比較的容易に交換できるようにすることである。
【0074】
図42に示されるように、グリップ支持体420を手首404に固定するのに使用される支持ケーブル462、464(図38および38Aを参照のこと)は、シャフト402を通って中央のチューブを通って延びる。支持ケーブル462、464は、しっかりとねじ止めされた下方アーム480と下方クランプ・ブロック482に固定される。下方アーム480はピボット端486とばね結合端488を含む。図42に示されているように、ピボット端486は、バックエンド・ハウジングまたは構造体490に回転可能に装着される。ばね結合端488は、バックエンド・ハウジング490に固定されているばね492に接続される。ばね492は、下方アーム480を偏向させて支持ケーブル462、464にテンションを加え、グリップ支持体420を手首404にしっかりと固定させる。
【0075】
図43は、クランプ・ブロック482の代わりに、下方アーム480における4つの凹部またはスロット484を使用することによって、支持ケーブル462、464を固定する他の方法を示す図である。スリーブを支持ケーブル462、464の各々の端部に圧着させ、そのスリーブを凹部またはスロット484に押し込む。これは、下方アーム480をばね力に対して内側に押しつけ、スリーブ付ケーブルをそれらのスロットに滑り込ませることによって行われる。
【0076】
図44は、グリップ・ジョー422、424の位置に影響を及ぼすことなく、駆動ケーブル446、448(図39を参照のこと)の長さを変化させる追加的な機構を示す図である。シャフト402を貫通する駆動ケーブル446、448を、ピボット・シャフト500に対して駆動ケーブル締付け部材502の反対側でグリップ駆動ピボット・シャフト500に固定する。締付け部材502は、一方の駆動ケーブルを引きながら、同時に他方のケーブルを緩めてエンド・エフェクタ406のジョー422、424を操作するように、グリップ駆動ピボット・シャフト500により回転する。
【0077】
図47に示されるように、駆動ケーブル446、448を固定するための締付け部材502の代わりに、別のケーブル固定部材502’をグリップ駆動ピボット・シャフト500に使用することができる。ケーブル固定部材502’は、一対の対向する凹部またはスロット504を含む。スリーブを駆動ケーブル446、448の端部の各々に圧着させ、スリーブを凹部またはスロット504に押し込む。これは、上方アーム530をばね力に対して内側に押しつけ、スリーブ付ケーブルをそれらのスロットに滑り込ませることによって行われる。
【0078】
図44図46に示されるように、モータ入力シャフト510に接続される一対の制御ケーブル506、508によってグリップ駆動ピボット・シャフト500を制御する。2本の制御ケーブル506、508をそれぞれ2つのハブ・クランプ512、514によってグリップ駆動ピボット・シャフト500に固定する。ハブ・クランク512、514から、制御ケーブル506、508が2つのハスバ歯車減速アイドラ・プーリ516、518に、次いでモータ入力シャフト510に導かれ、そこで2つのさらなるハブ・クランプ522、524によって固定される。図44に示されるように、2本の制御ケーブル506、508を反対方向に巻いて、時計回りと反時計回りに適切なトルク移動を与える。モータ入力シャフト510を回転させると、制御ケーブル506、508を介してグリップ駆動ピボット・シャフト500がねじれ、それによって一方の駆動ケーブルが引っ張られると同時に他方の駆動ケーブルがゆるめられることにより、エンド・エフェクタ406のジョー422、424が駆動する。
【0079】
グリップ駆動ピボット・シャフト500および一対のハスバ歯車減速アイドラ・プーリ516、518は、リンク・ボックス520によってピボット支持される。リンク・ボックス520はリンク・ビーム522に接続されている。リンク・ビーム522は、グリップ・ジョー422、424を制御する2本の駆動ケーブル446、448の相対位置を変えることなく、グリップ駆動ピボット・シャフト500を前後に移動させて、手首404の曲げによるケーブル長の変化に対応させるために、モータ入力シャフト510の軸に沿ってピボット支持されている。この機構は、手首404の曲げからグリップ・ジョー422、424の制御を切り離す。
【0080】
図45図46は、下方アーム480と類似した上方アーム530を付加した様子を示す図である。上方アーム530は、ピボット端536とばね接合端538も有する。ピボット端536は、下方アーム480のピボット端486と同じピボット軸に沿う遠端ハウジング490に回転可能に装着される。上方アーム530は、グリップ駆動ピボット・シャフト500に接続される。ばね接合端538は、バックエンド・ハウジング490に固定されたばね542に接続される。ばね542は上方アーム530を偏向させて、駆動ケーブル446、448にプレテンションを加える。簡略化および明瞭化するために、ばね492、542は図46に示されていない。
【0081】
バックエンド機構410の構成は、操作部材すなわちジョー422、424と同様アクチェータ436、438と駆動ケーブル446、448も比較的容易に置き換えることができるようにしている。特にケーブルをクリンプされたスリーブ(小さな襞を付けたスリーブ)によって凹部に固定すると、ケーブルを比較的容易にバックエンド機構410から解放することができる(図43図47を参照のこと)
【0082】
図48に示されるバックエンド機構410Aの他の実施形態では、エンド・エフェクタ406ばかりでなく手首404やシャフト402も比較的容易に交換することができる。図27図35に示されるとともに上述したように、手首404を駆動させるための手首ケーブル(例えば、図40における遠位ケーブル452や中位ケーブル454)は、アクチェータ・プレート302の円形リングのバックエンドを終端とする。手首ケーブルは、カバー・プレート390によりアクチェータ・プレート302に固定される(図27図35を参照のこと)。
【0083】
手首404とシャフト402の交換可能スキームを達成するために、手首ケーブルを小プレートに(例えば締め付けによって)固定し、その小プレートをバックエンド・ハウジング490の前部550から送り、アクチェータ・プレート302に固定する。
【0084】
代替的な構成では、アクチェータ・プレート302をバックエンド・ハウジング490の前部550に置き換えて、小プレートをシャフト402の長さ方向に通す必要性を排除することができる。
【0085】
図49図50は、ケーブルを固定する他の方法を示す他のバックエンド機構410Bを示す。支持ケーブル462、464(図38および38Aを参照のこと)は、締付けブロック562によってアーム560に固定される。アーム560は、ピボット端564とばね接合端566を有する。ピボット端564は、バックエンド・ハウジングすなわち構造体490に回転可能に装着される。ばね接合端566は、バックエンド・ハウジング490に固定される1つまたは複数のばね570に接続される。ばね570は、アーム560を偏向させて、支持ケーブル462、464にテンションを加えて、グリップ支持体420を手首404にしっかりと固定する。
【0086】
駆動ケーブル446、448(図39を参照のこと)は、アーム560に接続されたプーリ580の周囲に延びて、モータ入力シャフト590に沿って設けられた一対のハブ・クランプ582、584で終端する。この比較的単純な構成は、ケーブル長の変化およびケーブルの事前張力に適応させることができる。支持ケーブル462、464はばね570によって引っ張られる。駆動ケーブル446、448は、ハブ・クランプ582、584にトルクを加えることによって引っ張られる、上述した実施形態のいくつかに比べて、エンド・エフェクタ406および手首404の交換が少し困難になる。
【0087】
E.よりコンパクトな実施形態
図51図67は、よりコンパクトで製造と組立が容易な特定のコンポーネントを有するように設計される他のPPMD手首器具を示す図である。図51図56に示されるように、器具シャフト602とエンド・エフェクタ604の間にPPMD手首600が接続される。手首600は、好ましくは同一の8つの入れ子にされた円板セグメント611〜618を含むことで、製造効率およびコスト効果を向上させている。個々の円板セグメント610は図52に示される。一対の円板セグメントを接続するのに使用される4つのストラット620が設けられる。個々のストラット620を図52に示す。
【0088】
円板セグメント610は、軸方向に延びる複数のかみ合わせ突出部622(円周のまわりに間隔をおいて配置される4つのかみ合わせ突出部)を有する合せ面、ならびに歯624および歯車スロット626を有するピボット面を含む。歯624と歯車スロット626が、中央開口628に対して向き合うように配置されている。以下により詳細に説明するように、手首駆動用のケーブルを受けるために、12の開口630が円板セグメント610の周囲に配置されている。円板セグメント610は、中央開口628に対して向き合うように配置された一対の放射状溝すなわちスロット632をさらに含む。ここに示される具体的な実施形態では、放射状溝632の位置を歯624および歯車スロット626に合わせている。
【0089】
ストラット620は、リング634、このリング634に向き合って配置される一対の上側放射状プラグすなわち突起636、およびリング634に向き合って配置される一対の下側放射状プラグすなわち突起638を含む。上側放射状突起636と下側放射状突起638は互いに整列して配置される。
【0090】
ストラット620によって一対の円板セグメント610を組み立てるために、一対の下側放射状突起638を下方円板セグメントの一対の放射状溝632に滑り込ませて挿入する。歯624、歯車スロット626、放射状溝632を備えたピボット面がストラット620のほうを向くように、上方円板セグメントを下方円板セグメントの反対側に向かせる。ストラット620の一対の上側放射状突起638を上方円板セグメントの一対の放射状溝632に滑り込ませて挿入させる。具体的な実施形態では、円板セグメント間でピボットし易いように、放射状突起と放射状溝は円筒形になっている。下方円板セグメントの歯624の位置を、それと相対的にピボットする上方円板セグメントの歯車スロット626に合わせ、上方円板セグメントの歯624の位置を、それと相対的にピボットする下方円板セグメントの歯車スロット626に合わせる。これは図51に最もよく示されている。歯624と歯車スロット626の間の動きは、他の非接合接触によって成される。
【0091】
近位すなわち第1の円板セグメント611は、円板セグメント611のかみ合わせ突出部622とシャフト602のかみ合わせ突出部603によって、器具シャフト602の端部に接続される。第2の円板セグメント612は第1の円板セグメント611の反対側に向けられ、ストラット620によって第1のセグメント611に結合される。第2の円板セグメント612の歯624は第1の円板セグメント611の歯車スロット626に係合し、第1の円板セグメント611の歯624は第2の円板セグメント612の歯車スロット626に係合する。第3の円板セグメント613は、第2の円板セグメント612の反対側に向けられ、それらの合せ面が向き合って、かみ合わせ突出部622同士が接続される。第2の円板セグメント612と第3の円板セグメント613が1つの円板を形成している。同様に、第4の円板セグメント614と第5の円板615セグメントで1つの円板を形成し、第6の円板セグメント616と第7の円板セグメント617で他の1つの円板を形成している。他の3つのストラット620は、それぞれ第3、第4の円板セグメント613、614、第5、第6の円板セグメント615、616、ならびに第7、第8の円板セグメント617、618を回転可能に接続するのに使用される。第8すなわち遠位円板セグメント618は、円板セグメント618のかみ合わせ突出部622とエンド・エフェクタ604のかみ合わせ突出部605とによってエンド・エフェクタ604に接続される。
【0092】
図53により明確に示されるように、第1の円板セグメント611と第2の円板セグメント612の間の回転結合は、典型的には約45°のピッチ回転640を与えるのに対して、第7の円板セグメント617と第8の円板セグメント618の間の回転結合は、約90°の全ピッチに対する典型的には追加の約45°のピッチ回転640を与える。中間の4つの円板セグメントは、円周に沿って90°ずれてヨー回転を与える。図54により明確に示されるように、第3の円板セグメント613と第4の円板セグメント614の間の回転結合は、典型的には約45°のヨー回転642を与えるのに対して、第5の円板セグメント615と第6の円板セグメント161の間の回転結合は、約90°の全ヨーに対して典型的には約45°の追加のヨー回転642を与える。もちろん、ピッチとヨー回転の異なる組合せを達成するために、他の実施形態において円板セグメントの異なる配向形態を形成させることができ、手首を90°より大きな角度でピッチおよびヨー回転させるためにさらなる円板セグメントを含めることができる。
【0093】
各ストラット620の一対の突起638と、各隣接円板部610におけるそれぞれの溝632の担持面との係合は、ピボット点がケーブル開口630と同一平面にそろうように隣接円板の互いの「二重ピボット点」を保証することに留意されたい。これにより、「ケーブル平衡」特性が達成され、図25の実施形態に関して上述したのと実質的に同様の効果が得られる。これによって、一方の側で繰り出されたケーブル長が、もう一方の側で引き出されたケーブル長に等しくなる。
【0094】
図55図56に示されるように、手首600の円板セグメントは、円板セグメントの開口630を貫通する6本のケーブル650によって操作される。各ケーブル650は、開口630の隣接したセットを通って、図40に示されるのと同様に手首600の全長を貫く2つの通路を成し、その自由端が器具シャフトを通じてバックエンドに延び、そこでケーブルが操作される。6本のケーブルは、円板セグメントの周囲に交互に配列される3本の長いまたは遠位ケーブルと3本の短いまたは中位ケーブルを含む。内腔チューブ654を手首600の中心から挿入し、器具シャフト602の内部に通してもよいが、これは図55図56に示されていない。ここに示される実施形態では、器具シャフト602の内側に設けられたハイポチューブ656にケーブル650が圧着される。
【0095】
図57図63は、器具のバックエンドにおけるジンバル機構700を示す図である。ジンバル機構700は、図35図40のジンバル・プレート302と平行リンク機構340を備えたジンバル機構よりコンパクトである。ジンバル機構700は、軸704のまわりを回転するように装着される他のジンバル部材またはリング702を含む。ジンバル・プレートすなわちアクチェータ・プレート706は、直交軸708のまわりを回転するように外側リング700に装着される。ロック・プレート710がジンバル・プレート706上に配置される。図59に示されるように、手首600からのケーブル650は、ジンバル・プレート706の12のケーブル穴714、716に挿入され、器具のバックエンドの近位端に向かって、矢印716に沿って実質的に真っ直ぐに引き戻される。ジンバル・プレート706は、遠位ケーブル650Aを受けるための6つの大径開口714、および中位ケーブル650Bを受けるための6つの小径開口716を含む。以下に説明するように、ジンバル・プレート706は、アクチェータ・リンクを接続するための第1のアクチェータ接続部718と第2のアクチェータ接続部719を有する。
【0096】
図60図61は、組立前のジンバル・プレート706とロック・プレート710を示す図である。ロック・プレート710は、ケーブル650にくさびを押しつけることによってケーブル650A、650Bを所定の位置に固定するために使用される。図60に最もよく示されるように、ロック・プレートは、半径方向に外側を向くくさび面を有する3つの外向くさび720と、半径方向に内側を向くくさび面を有する3つの内向くさび722とがロック・プレート710の周辺に交互に配置されている。ジンバル・プレート706は、ロック・プレート710の固定くさび720、722と結合する、対応するルースまたは可動くさびを有する。図61に最もよく示されるように、ジンバル・プレート706は3つの可動内向くさび730と3つの可動外向くさび732を含む。可動内向くさび730は半径方向に内側を向くくさび面と湾曲外向面を有し、可動外向くさび732は半径方向に外側を向くくさび面731と湾曲外向面733を有する。これらの可動くさび730、732は、交互に配置され、ジンバル・プレート706の周囲に円周状に設けられているスロットに挿入される。
【0097】
ロック・プレート710は、ジンバル・プレート706のケーブル穴714、716にケーブル650が挿入された後にジンバル・プレート706に組み付けられる。ロック・プレート710をジンバル・プレート706のほうへ動かすと、ロック・プレート720の3つの外向くさび720が、ジンバル・プレート706のスロット内の3つの可動内向くさび730と結合して、くさび730の湾曲外向面731とジンバル・プレート壁の間に保持される、6つの大径開口714を貫通する6本の遠位ケーブル650Aに可動内向くさび730を押しつける。ロック・プレート720の3つの内向くさび722は、ジンバル・プレート706のスロット内の3つの可動外向くさび732と結合して、くさび732の湾曲内向面733とジンバル・プレート壁の間に保持される、6つの小径開口716を貫通する6本の中位ケーブル650Bに可動外向くさび732を押しつける。図62図63に示されるように、ジンバル・プレート706をロック・プレート710に挿入する、またはロック・プレート710をジンバル・プレート706に挿入することができるねじ切ボルトのような締結具738を使用して、ロック・プレート710をジンバル・プレート706に接合させる。ロック・プレート710をジンバル・プレート706に取り付けることによってすべてのケーブル650を圧着する本実施形態では、終端法によってケーブル・テンションが影響されることはない。
【0098】
図64図67のバックエンド801に示されるジンバル機構700を組み込んだジンバル・ケーブル・アクチェータ800は、図32図40のジンバル・ケーブル・アクチェータ300に類似しているが、よりコンパクトにし、効率を高めるために再配置および再構成されている。ジンバル・ケーブル・アクチェータ800は、バックエンドの下方ハウジング部材に装着されており、上方ハウジング部材は内部の詳部を見せるために取り除かれている。
【0099】
ジンバル・プレート706の第1のアクチェータ接続部に回転可能に結合された第1のアクチェータ・リンク804、およびジンバル・プレート706の第2のアクチェータ接続部719に回転可能に結合された第2のアクチェータ・リンク806によってジンバル機構700のジンバル・プレート706を動かし、ピッチとヨー回転を生成する。第1のアクチェータ接続部718と第2のアクチェータ接続部719における回転可能な結合はボール・イン・ソケット接続でよい。ピボット・ジョイントを介してアクチェータ・リンク804、806に回転可能に結合される第1、第2の扇形歯車814、816によって、それぞれのアクチェータ・リンク804、806が駆動され、全体として縦方向に動かされる。扇形歯車814、816は、それぞれ、駆動スプール834、836によって駆動される第1、第2の駆動歯車824、826によって回転される。扇形歯車814、816は、共通のピボット軸838のまわりを回転する。その構成は、図32図40の構成よりコンパクトである。第1、第2のアクチェータ・リンク804、806は反対方向に動いて、ジンバル・プレート706のヨー回転を生成し、同一方向に動いて、ジンバル・プレート706のピッチ回転を生成する。アクチェータ・リンク804、806の混合運動の調整によりピッチ回転とヨー回転の混合回転が得られる。ハスバ駆動歯車840と被動歯車842を使用してロー回転を生成して、効率およびコスト効率を向上させる。
【0100】
図64図67のバックエンド801構造体は、グリップ支持体を手首に保持するための支持ケーブル462、464(図38および38Aを参照のこと)、およびグリップ・エンド・エフェクタの開閉を駆動するためのグリップ駆動ケーブル446、448(図39を参照のこと)を含むケーブルの固定およびテンショニングを行う代替的な手段を提供する。支持ケーブル462、464は、ピボット軸838のまわりをピボットし、ケーブル・テンショニングばね862によって偏向されるアーム860に固定される。ばね862はアーム860を偏向させて、支持ケーブル462、464にテンションを加えて、グリップ支持体を手首にしっかりと保持する(図38および38Aを参照のこと)。図65図67に最もよく示されるように、グリップ駆動ケーブル446、448は、ばね偏向アーム860に接続されたプーリ870(図66)の周囲に沿って延び、モータ入力シャフト870に沿って設けられる一対のハブ・クランプ866、868で終端する。ハブ・クランプ866、868にトルクを加えることによって駆動ケーブル446、448にテンションを加える。
【0101】
図68A、68B、68Cは、手首が6以上のセグメントまたは円板を含み、ケーブル終端を伴う2つ以上の中位円板を有する、本発明の形態を有するPPMD手首の実施形態と対応するアクチェータ・プレートを概略的に示す図である。本例に示されるPPMD手首は、P、YY、PPおよびY構成の6つのピボット可能結合によって分けられている7つの円板(近位のシャフト末端円板から遠位のエンド・エフェクタ支持円板まで1から7までの番号が付されている)を有する。それぞれ中位円板3、5、7で終端するケーブル集合体c1、c2、c3に対する3つの例示的なケーブル通路が示されている。図68Aは、直線状にした状態の手首を示す図で、図68Bはヨー偏向すなわちヨー曲げ状態の手首を示す図である。手首は、同様に(ページの内側または外側に)ピッチ偏向可能であり、これらの組合せの方向に偏向させることもできる。セグメントとケーブル集合体の数を除いて、手首は、全体的に図17図24に示される実施形態に類似している。
【0102】
ここに示される手首は、少なくとも一対の全体的に平行した近隣軸(例えば、...YPPY...または...PYYP...)を有するタイプであるが、その代わりに、PY、PY、PYの交互垂直軸配列に構成されていてもよい。さらなる実施形態は、PYYPやYPのような円板間結合の組合せ構成を有することができる。ここに示される手首は、一定のセグメント長、および連続的に反復するピボット軸の向きを有する。より一般的な代替的な例示的実施形態では、「Y」軸と「P」軸が実質的に互いに垂直である必要はなく、実質的に中心線に垂直である必要もなく、縦列セグメントが一定の長さである必要がない。
【0103】
図68Cは、それぞれケーブル集合体c1、c2、c3に対応する、ケーブル集合体接続部r1、r2、r3にケーブルを含む、ケーブル・アクチェータ・プレートの配置を概略的に示す図である。4つの接続部がケーブル集合体ごとに示されているが、その数は3であってもよいし、5以上であってもよい。
【0104】
より一般的な形態では、本発明の形態を有する代替的なPPMD手首の実施形態、および対応するアクチェータ・プレートを以下のように構成させることができる。Nが円板セグメント(末端円板を含む)の数を表す場合、ケーブル終端中位円板Mは、M=(N−3)/2とすることができる。遠位ケーブル集合体接続部を含む、ケーブル集合体および対応するアクチェータ・プレート「レバー・アーム」半径の数はM+1になる。
【0105】
一般に、前述した「一定速度」セグメント配列は、後方から前方へ、かつ前方から後方へ交互に配置された万能ジョイント式結合対の偶数配列に類似している。例えば、YP、PYまたはYP、PY、YP、PYセグメント配列は、「一定速度」特性を提供する。これは、N=5、9などのようにN−1が4の倍数である構成に対して達成できる。
【0106】
結合毎の所定の偏角に対して、セグメント数が増加すると手首の全体的な偏角が大きくなる(図68の例は約135°のヨー回転を示す)。
【0107】
上述の装置および方法の構成は、本発明の原理の応用の例示にすぎず請求項に記載されている本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく他の多くの実施形態や改造が可能である。したがって、本発明の範囲は、上述の内容に関してではなく、添付の請求項、ならびにそれらのすべての同等物に関して定められるものとする。
【符号の説明】
【0108】
402:細長シャフト
404:手首状機構
406:エンド・エフェクタ
410:機械走査機構
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