特許第6388630号(P6388630)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6388630音響ゾーン内の音像を制御する方法、装置、及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6388630
(24)【登録日】2018年8月24日
(45)【発行日】2018年9月12日
(54)【発明の名称】音響ゾーン内の音像を制御する方法、装置、及びシステム
(51)【国際特許分類】
   H04R 3/00 20060101AFI20180903BHJP
【FI】
   H04R3/00 310
【請求項の数】12
【外国語出願】
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-233768(P2016-233768)
(22)【出願日】2016年12月1日
(65)【公開番号】特開2017-143506(P2017-143506A)
(43)【公開日】2017年8月17日
【審査請求日】2017年12月27日
(31)【優先権主張番号】15198409.3
(32)【優先日】2015年12月8日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】502208205
【氏名又は名称】アクシス アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ハンソン, ニクラス
(72)【発明者】
【氏名】ニールゴード リンデル, アルヴィド
【審査官】 渡邊 正宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−170593(JP,A)
【文献】 特開2012−025270(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K 11/00−13/00
H03F 1/00− 3/45
H03F 3/50− 3/52
H03F 3/62− 3/64
H03F 3/68− 3/72
H03G 1/00− 3/34
H04R 3/00− 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一以上のスピーカがそれぞれ配置された複数の音響ゾーンを含む音響システムにおいて、音響ゾーンの音像を調整する方法であって、
複数の音響ゾーンのうちのいずれか1つである制御音響ゾーンの音像を、マイク部によって録音すること(101、802)、
録音された音像に対応する音響データを、各音響ゾーンのスピーカとマイク部とに接続されたコントローラに送信すること(102、803)、
送信された音響データをコントローラによって評価すること(103、103a、804)、
評価に基づいて、複数の音響ゾーンから制御音響ゾーン以外の調整音響ゾーンをコントローラによって選択すること(104、805)、及び
制御音響ゾーンの音像が変化するように、調整音響ゾーンの一以上のスピーカのうちのいずれか1つである調整スピーカを調整すること(105、105a、105b、807)
を含み、
マイク部が、制御音響ゾーンの様々な位置に配置された複数のマイク素子を含み、送信された音響データを評価すること(103a)が、録音された音像の音声が何れの方向から伝わっているかを判定すること(301)を含み、選択することは、判定された方向に配置された音響ゾーンを調整音響ゾーンとして選択することを含む、
若しくは、
コントローラが、各音響ゾーンに供給されている音響に関するデータへのアクセスを有し、送信された音響データを評価すること(103a)が、制御音響ゾーン以外の音響ゾーンのいずれかによって供給される音響を音像が含んでいるか判定すること(302)を含み、制御音響ゾーン以外の音響ゾーンのいずれかによって供給される音響を音像が含むと判定した場合、選択することは、音響を提供していると判定された音響ゾーンを調整音響ゾーンとして選択することを含む、方法。
【請求項2】
送信された音響データ評価すること(103a)が、
音響データが、所定の音量閾値を上回る音量を有する音像に対応するかどうかを判定することを含み、
調整が、音量が所定の音量閾値を上回ると判定された場合にのみ実施される、
請求項に記載の方法。
【請求項3】
調整スピーカの調整(105a)が、調整スピーカのスピーカ音量を下げること(402)を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
スピーカ音量が、所定のスピーカ音量閾値を上回る場合にのみ当該スピーカ音量が下げられる(402)、請求項に記載の方法。
【請求項5】
調整スピーカの調整(105、105a、105b、807)が、調整スピーカのベース音量を下げることを含む、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
調整音響ゾーンに複数のスピーカが配置されており、
一以上のスピーカのうち別のものである更なる調整スピーカのスピーカ音量を上げること(403)を更に含む、請求項からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
調整スピーカの調整(105b)が、
調整スピーカを調整すること(501)、
制御音響ゾーンの更なる音像をマイク部によって録音すること(502)、
録音された更なる音像に対応する更なる音響データをコントローラに送信すること(503)、及び
更なる音響データをコントローラによって評価し(504)、音像が変化したかどうかを判定することを含み、
音像が変化していない場合、音像が変化するまで調整が繰り返される、
請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
音響システム内の他の音響ゾーンに対する音響ゾーンの優先度に相当する優先値を、各音響ゾーンに割り当てること(801)、及び
制御音響ゾーンが、調整音響ゾーンよりも高い優先度を有するかどうかを判定すること(806)を更に含み、
調整スピーカの調整(807)は、制御音響ゾーンが調整音響ゾーンよりも高い優先度を有する場合にのみ実施される、
請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
一以上のスピーカ(20、21、60、61、63、64、65、66、67、68、69、70、72、73、74、75)がそれぞれ配置された複数の音響ゾーン(2A、2B、6A、6B、6C、6D、7A、7B、7C)、
複数の音響ゾーンのうちのいずれか1つである制御音響ゾーンに位置し、録音した制御音響ゾーンの音像に対応する音響データを送信する、マイク部(202)、及び
各音響ゾーンのスピーカとマイク部とに接続されたコントローラ(203、603、643、673、683、76)であって、
マイク部によって送信された音響データを受信し、
受信した音響データを評価し、
評価に基づいて、複数の音響ゾーンから制御音響ゾーン以外の調整音響ゾーンを選択し、
制御音響ゾーンの音像が変化するように、調整音響ゾーンの一以上のスピーカのうちのいずれか1つである調整スピーカを調整する、コントローラ
を含み、
マイク部が、制御音響ゾーンの様々な位置に配置された複数のマイク素子を含み、コントローラが、送信された音響データを評価して録音された音像の音声が何れの方向から伝わっているかを判定し、及び、判定された方向に配置された音響ゾーンを調整音響ゾーンとして選択するように構成されている、
若しくは、
コントローラが、各音響ゾーンに供給されている音響に関するデータへのアクセスを有し、コントローラが、送信された音響データを評価して制御音響ゾーン以外の音響ゾーンのいずれかによって供給される音響を音像が含んでいるか判定し、制御音響ゾーン以外の音響ゾーンのいずれかによって供給される音響を音像が含むと判定した場合、音響を提供していると判定された音響ゾーンを調整音響ゾーンとして選択するように構成されている、
音響システム。
【請求項10】
選択される調整音響ゾーンが、制御音響ゾーンに隣接する音響ゾーンである、請求項に記載の音響システム。
【請求項11】
各音響ゾーンに、音響システム内の他の音響ゾーンに対する優先度が割り当てられる、請求項9又は10に記載の音響システム。
【請求項12】
ネットワークによって相互に接続された一以上のスピーカ(20、21、60、61、63、64、65、66、67、68、69、70、72、73、74、75)がそれぞれ配置された複数の音響ゾーン(2A、2B、6A、6B、6C、6D、7A、7B、7C)を含む音響システム(2、6、7)の、制御スピーカであって、
音像を録音し、録音された音像に対応する音響データを送信する、マイク部(202)、及び
マイク部によって送信された音響データを受信し、
受信した音響データを評価し、
評価に基づいて、複数の音響ゾーンから、制御スピーカが位置している音響ゾーン以外の調整音響ゾーンを選択し、
音像が変化するように、調整音響ゾーンの一以上のスピーカのうちのいずれか1つである調整スピーカを調整する、コントローラ(203、603、643、673、683)
を含み、
マイク部が、様々な位置に配置された複数のマイク素子を含み、コントローラが、録音された音像の音声が何れの方向から伝わっているかを判定し、及び、判定された方向に配置された音響ゾーンを調整音響ゾーンとして選択するように構成されている、
若しくは、
コントローラが、各音響ゾーンに供給されている音響に関するデータへのアクセスを有し、コントローラが、送信された音響データを評価して制御音響ゾーン以外の音響ゾーンのいずれかによって供給される音響を音像が含んでいるか判定し、制御音響ゾーン以外の音響ゾーンのいずれかによって供給される音響を音像が含むと判定した場合、音響を提供していると判定された音響ゾーンを調整音響ゾーンとして選択するように構成されている、
制御スピーカ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響ゾーンが複数存在する音響システム内のいずれか1つの音響ゾーンにおける音像を調整する方法に関する。本発明は、音響システム、及び制御スピーカにも関する。
【背景技術】
【0002】
音響ゾーンが複数存在する音響システムの使用が一般的となりつつある。各音響ゾーンには、音声を供給する一以上のスピーカが備えられている。例えば、建物内で、音響ゾーンが異なればカバーされる部屋も異なる。そのような音響システムを用いて、音楽、音声メッセージ、音響信号などの音声が供給され得る。また、今日では家庭内で音響システムを使用することもよくある。個々の部屋に一以上の音響ゾーンを設けて音楽やラジオを流すというものである。複数の音響ゾーンに同じ音声を供給すべく2つ以上の音響ゾーンをまとめることもある。無論、異なる音響ゾーンが別々の音声を供給することもある。
【0003】
音響ゾーンに音声を供給するに際しては、通常、他の音声、例えば別の音響ゾーンから来る音声などは、最低限に抑えることが望ましい。米国特許第8126159号は、そのような課題を解決するものである。この開示にかかる音響システムでは、音響ゾーン内の受音向上のためにノイズキャンセリング技術が採用されている。しかしながら、ノイズキャンセリング技術の実施は電力を消費するものであり、且つ現状の音響システムを考慮してコンフィギュレーションする必要が生じ得る。
【0004】
従って、好ましくは様々な種類の音響システムに実装でき、コンフィギュレーションが最小限で済む、音響ゾーンにおける音像の簡単な調整方法が求められている。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、音響ゾーンの音像調整方法の提供を目的とする。同じ目的で、音響システム及び制御スピーカを提供することも目的である。
【0006】
第1の態様によれば、各音響ゾーンに一以上のスピーカが配置された複数の音響ゾーンを有する音響システム内で、いずれかの音響ゾーンの音像を調整する方法が提供される。方法は、複数の音響ゾーンのうちのいずれか1つである制御音響ゾーンの音像を、マイク部によって録音すること、録音された音像に対応する音響データを、各音響ゾーンのスピーカとマイク部とに接続されたコントローラに送信すること、送信された音響データをコントローラによって評価すること、評価に基づいて、複数の音響ゾーンから制御音響ゾーン以外の調整音響ゾーンを、コントローラによって選択すること、及び、制御音響ゾーンの音像が変化するように、調整音響ゾーンの一以上のスピーカのうちのいずれか1つである調整スピーカを調整すること
を含む。
【0007】
本発明の目的は、いずれか1つの音響ゾーンにおける音像を、同じ音響システムの他の音響ゾーンを考慮して調整できるようにすることである。音響システムに複数の音響ゾーンが存在する場合、第2の音響ゾーンからの音声が第1のゾーンに運ばれ聴こえてしまう可能性がある。通常、第1の音響ゾーンにおける他の音響ゾーンからの影響は最小限に抑えることが望ましい。上述のように、この課題に対する従来の解決法は、音像が変化させられる第1の音響ゾーンに、ノイズキャンセリング法を適用することである。本発明に係る方法はこれとは別のアプローチをとる。録音された第1の音響ゾーンの音像を考慮して、第1の音響ゾーンではなく第2の音響ゾーンの一以上のスピーカ(一又は複数)を、調整するのである。本発明の方法により、複雑なノイズキャンセリング法よりもシンプルな音像調整方法がもたらされる。本方法は、種々の音響システムに対してシステム固有のコンフィギュレーションをするまでもなく適用することができる。
【0008】
音響システムが音響ゾーンを自動的に調整し得るので、システムユーザは、音響ゾーン内でスピーカの音量を上げることが、他の音響ゾーンの音像を考慮したうえで、許容されているのだと確信することができる。このように、本方法はユーザの側からも有利である。
【0009】
音像の変化は、絶対的な変化、即ちその音像の任意の変化として定義してもよければ、或いは、条件を満たす特定の音像変化、即ちその音像が一以上の所望の特性を満たしている変化として定義してもよい。例えば、測定された音像の音量が所定の所望の音量閾値を下回った場合、その音像は変化したと判定される。
【0010】
一実施形態では、マイク部が、様々な位置に配置された複数のマイク素子を有する。この実施形態で、送信された音響データの評価は、録音された音像の音声が何れの方向から伝わっているかを判定することを含む。
【0011】
複数のマイク素子を用いることにより、録音された音像が現実を最適に表現し得る。
【0012】
録音された音像の音声が何れの方向から伝わっているかを判定することにより、調整音響ゾーンの選択が単純化され得る。音声が伝わってくる方向に位置していない音響ゾーンは、調整音響ゾーンの選択において無視され得る。
【0013】
一実施形態では、送信された音響データの評価が、その音響データが所定の音量閾値を上回る音量を有する音像に対応するかどうかを判定することを含む。この実施形態で、調整は、音量が所定の音量閾値を上回ると判定される場合にのみ実施される。所定の閾値は、制御音響ゾーンの許容最大音量として定められ得る。
【0014】
一実施形態では、調整スピーカの調整が、当該調整スピーカのスピーカ音量を下げることを含む。下げるための条件は、当該スピーカ音量が所定のスピーカ音量閾値を上回ると判定されることであり得る。
【0015】
一実施形態では、調整スピーカの調整が、調整スピーカのベース音量を下げることを含む。ベース音は典型的に長く伝搬し、調整音響ゾーン内の音声で唯一の影響部分であり得る。ベース音量のみを下げることにより、スピーカ音量及び他の音声パラメータが調整されずにおかれ得るので、必要な調整を最小限に抑えることができる。
【0016】
一実施形態では、調整音響ゾーンには複数のスピーカが配置されている。この実施形態の方法は、一以上のスピーカのうち別のものである更なる調整スピーカのスピーカ音量を上げることを更に含み得る。この実施形態により、調整音響ゾーンに供給される音声が、当該供給される音声の制御音響ゾーンの音像への影響を最小限に抑えることを考慮して、最適化され得る。
【0017】
一実施形態では、調整スピーカの調整が、調整スピーカを調整すること、制御音響ゾーンの更なる音像をマイク部によって録音すること、録音された更なる音像に対応する更なる音響データをコントローラに送信すること、及び、更なる音響データをコントローラによって評価して音像が変化したかどうかを判定することを含み、音像が変化していない場合、音像が変化するまで調整が繰り返される。この実施形態の目的は、制御音響ゾーンの音像の(所望の)変化が達成されるまで、調整音響ゾーンの段階的な調整のために、コントローラにフィードバックを提供することである。
【0018】
一実施形態によれば、本方法は、音響システム内の他の音響ゾーンに対する音響ゾーンの優先度に相当する優先値を、各音響ゾーンに割り当てること、及び、制御音響ゾーンが、調整音響ゾーンよりも高い優先度を有するかどうかを判定することを更に含み、調整スピーカの調整は、制御音響ゾーンが調整音響ゾーンよりも高い優先度を有する場合にのみ実施される。この実施形態により、音響ゾーンが、他の音響ゾーンを調整することを許容されるか又は許容されず、他よりも重要度の高い音響ゾーン、例えば静かな音響ゾーンや保安上の音声メッセージを供給するゾーンなどの環境には有益であり得る。
【0019】
本発明の第2の態様によれば、音響システムが提供される。音響システムは、それぞれ一以上のスピーカが配置された複数の音響ゾーン、複数の音響ゾーンのうちのいずれか1つである制御音響ゾーンに位置し、録音した制御音響ゾーン音像に対応する音響データを送信する、マイク部、及び、各音響ゾーンのスピーカとマイク部とに接続されたコントローラであって、マイク部によって送信された音響データを受信し、受信した音響データを評価し、評価に基づいて、複数の音響ゾーンから制御音響ゾーン以外の調整音響ゾーンを選択し、制御音響ゾーンの音像が変化するように、調整音響ゾーンの一以上のスピーカのうちのいずれか1つである調整スピーカを調整する、コントローラ、を含む。
【0020】
先に述べた方法の利点は、当該音響システムにも当てはまる。無用な繰り返しを避けるため上述を参照されたい。
【0021】
一実施形態では、選択される調整音響ゾーンが、制御音響ゾーンに隣接する音響ゾーンである。この実施形態により、隣接する音響ゾーンではない音響ゾーンは無視され得るので、選択が単純化され得る。この選択方法は、制御音響ゾーン内の音声が、他の、より離れた音響ゾーンよりも、隣接する音響ゾーンによって供給される可能性が高いということに基づいている。
【0022】
一実施形態では、マイク部が、制御音響ゾーン内の様々な位置に配置された複数のマイク素子を有する。複数のマイク素子を用いることにより、録音された音像が現実を最適に表現し得る。録音された音像の音声が何れの方向から伝わるかも判定され得る。
【0023】
一実施形態では、各音響ゾーンに、音響システム内の他の音響ゾーンに対する優先度が割り当てられ得る。
【0024】
第3の態様によれば、音響システムの制御スピーカが提供される。音響システムは、ネットワークによって相互に接続された一以上のスピーカがそれぞれ配置された複数の音響ゾーンを含み、制御スピーカは、音像を録音し、録音された音像に対応する音響データを送信する、マイク部と、コントローラであって、マイク部によって送信された音響データを受信し、受信した音響データを評価し、評価に基づいて、複数の音響ゾーンから、制御スピーカが位置している音響ゾーン以外の調整音響ゾーンを選択し、調整音響ゾーンの一以上のスピーカのうちのいずれか1つである調整スピーカを音像が変化するように調整する、コントローラと、を含む。
【0025】
先に述べた方法の利点は、制御スピーカにも当てはまる。無用な繰り返しを避けるため上述を参照されたい。
【0026】
全体として、特許請求項で使用されるすべての用語は、本明細書において明示的に規定されない限り当技術分野における通常の意味にしたがって解釈されるものである。本明細書において特別に規定されない限り、「1つの/この(素子、装置、コンポーネント、手段、ステップなど)」の呼称は、前記素子、装置、コンポーネント、手段、ステップなどのうちの少なくとも1つの例を指すものとして広義に解釈される。本明細書に開示される任意の方法の工程は、明示的に記載されない限り、開示される順序に厳格に従って実行される必要はない。
【0027】
本発明の上記の態様及びその他の態様を、本発明の実施形態を示す添付の図面を参照しながら更に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の一実施形態に係る、音響ゾーン音像の調整方法を示す。
図2】2つの音響ゾーンを含む音響システムを示す。
図3図1の方法で音響データをどのように評価するかについての種々の実施形態を示す。
図4図1の方法で調整スピーカをどのように調整するかについての実施形態を示す。
図5図1の方法で調整スピーカをどのように調整するかについての実施形態を示す。
図6】4つの音響ゾーンを含む音響システムを示す。
図7】1つの室内で3つの音響ゾーンを含む音響システムを示す。
図8】音響ゾーン音像の調整方法の実施形態を示す。
図9】制御スピーカの動作構造の一例を示す。 明確性のため、図面は縮尺通りに描かれていないことに留意されたい。
【発明を実施するための形態】
【0029】
これより、本発明の現時点で好ましい実施形態を示す添付図面を参照して、本発明をより詳細に説明する。しかしながら、本発明は多くの異なる形態で実施され得、本明細書に明記される実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない。
【0030】
本発明の実施形態に係る、音響ゾーンの音像を調整する方法1が図1に示されている。音響ゾーンは複数の音響ゾーンの1つであり、複数の音響ゾーンが音響システムを形成している。各音響ゾーンは、対応する音響ゾーンに音響を供給する、一以上のスピーカを有する。方法1の目的は、制御音響ゾーンと称される、音響ゾーンのうちのいずれか1つにおいて、所望の音像を達成すべく音響システムを調整することである。
【0031】
方法1は、制御音響ゾーンの音像を録音すること101を含む。音像は、制御音響ゾーン内に位置するマイク部によって録音される。マイク部は、互いに独立に音声を録音し得る一以上のマイク素子を含む。マイク部は、制御音響ゾーンのスピーカとは別のデバイスであるか、又はその一部であってよい。
【0032】
制御音響ゾーンは、音響システムの複数の音響ゾーンの1つである。音響システムの各音響ゾーンが、制御音響ゾーンとしての役割をなし得る。言い換えれば、制御音響ゾーンの役割は永続的である必要がなく、様々な音響ゾーン間で変更されるか、或いは、複数の音響ゾーンに同時に割り当てられてもよい。後者の場合、音響システム内で方法1が平行して実施される。
【0033】
音像とは、音響ゾーン内で聴かれる(又は聴かれ得る)音声の体感の表現を意味する。音像は、例えば、周波数成分、音量、様々な音声がどこから伝わっているかに関する情報を含み得る。録音された音像は、音響ゾーンの実際の音像を表すものとされるべきである。
【0034】
方法1は、録音された音像に対応する音響データを、コントローラに送信すること102を更に含む。マイク部、又は、含まれているマイク素子のうちの任意のものが、音響データを送信する。従来の技術によれば、音響データは録音された音像を表す。
【0035】
コントローラは音響システムの一部である。コントローラは、音響システムのスピーカ及びマイク部に接続されている。コントローラは、音響ゾーンの何れかのスピーカのうちの1つとは別個のデバイスであるか、又はその一部であってもよい。コントローラは、例えば、クラウドサービスにより提供された仮想のコントローラであってもよい。接続は無線又は有線接続であってよく、グローバル又はローカルであってよい。
【0036】
方法1は、コントローラによって音響データを評価すること103を更に含む。評価103の例については後で詳述する。
【0037】
方法1は、複数の音響ゾーンから調整音響ゾーンを選択すること104を更に含む。調整音響ゾーンは、制御音響ゾーンとは別の音響ゾーンである。選択104は、評価103の結果に基づく。選択104の別の実施形態については後で詳述する。
【0038】
方法1は、制御音響ゾーンの音像が変化するように、調整音響ゾーンのスピーカ(一又は複数)のうちのいずれか1つである調整スピーカを調整すること105を更に含む。
【0039】
音像の変化は、絶対的な変化、即ちその音像の任意の変化として定義され得るか、或いは、音像の十分な変化、即ちその音像が一以上の所望の特性を満たしている変化として定義され得る。例えば、測定された音像の音量が所定の所望の音量閾値を下回った場合、その音像は変化したと判定され得る。
【0040】
調整105は、調整音響ゾーンの複数の調整スピーカに適用され得る。一以上の調整スピーカはコントローラによって選択される。スピーカにおいて調整され得るパラメータの例は、スピーカ音量及びベース音量であり得る。複数の調整スピーカが選択されて、調整スピーカのパラメータの調整が互いに対して実施されてもよい。調整105の更なる実施形態については後で詳述する。
【0041】
本発明の目的は、音響ゾーンのうちのいずれか1つにおける音像を、同じ音響システムの他の音響ゾーンを考慮して調整できるようにすることである。音響システムに複数の音響ゾーンが存在する場合、第2の音響ゾーンからの音声が第1のゾーンに運ばれ聴こえてしまう可能性がある。第1の音響ゾーンにおける他の音響ゾーンからの影響は最小限に抑えることが望ましいであろう。上述のように、この課題に対する従来の解決法は、音像が変化させられる第1の音響ゾーンに、ノイズキャンセリング法を適用することである。本発明に係る方法はこれとは別のアプローチをとる。録音された第1の音響ゾーンの音像を考慮して、第1の音響ゾーンではなく第2の音響ゾーンの一以上のスピーカ(一又は複数)を、調整するのである。このアプローチを図2を参照して説明する。図2は、方法1が適用され得る音響システム2を示している。
【0042】
音響システム2は、第1の音響ゾーン2Aと第2の音響ゾーン2Bを有する。第1の音響ゾーン2Aは第1のスピーカ20を有する。第1のスピーカ20は、第1のスピーカ部201、マイク部202、及びコントローラ203を有する。マイク部202及び/又はコントローラ203は、別々のデバイスを形成していてもよい。第2の音響ゾーン2Bは第2のスピーカ部211を備えた第2のスピーカ21を有する。音響データが交換され得るよう、またコントローラ203が第2のスピーカ21を調整し得るよう、第1及び第2のスピーカ20、21は相互に接続されている。
【0043】
第1及び第2の音響ゾーン2A、2Bは、建物の別々の部屋に位置し得る。建物の非限定的な例としては、個人宅、学校、オフィス、列車の駅、図書館、及び店舗などがある。
【0044】
方法1は下記のように適用され得る。マイク部202が、第1の音響ゾーン2Aの音像を録音する。録音された音像は、マイク部202の音響データで表される。音響データがマイク部202からコントローラ203へ送信される。コントローラ203は、受信した音響データを評価する。コントローラ203は、音響システム2内の調整音響ゾーンを選択する。この例では第2の音響ゾーン2Bである。コントローラ203は、第2の音響ゾーン2Bの調整スピーカを調整する。この例では、第2のスピーカ21が調整スピーカとして選択されているので、調整される。例えば、コントローラ203が第2のスピーカ21のスピーカ音量を下げるよう要求することで、第2のスピーカ21がコントローラ203によって調整され得る。これにより、制御音響ゾーンの音像が、第2の音響ゾーン2Bで供給され第1の音響ゾーン2A内で聴かれる少量(又は無量)の音声ぶん、変化し得る。
【0045】
制御音響ゾーンの役割が、第1の音響ゾーン2Aと第2の音響ゾーン2Bとの間で変更されてもよい。或いは、第1の音響ゾーン2Aと第2の音響ゾーン2Bの両方が同時に制御音響ゾーンとしての役割をなして互いを調整してもよい。
【0046】
方法1の一部であり得る音響データの評価103aの起こり得る様々な部分が、図3に示されている。
【0047】
評価103aは、音声の方向、即ち、録音された音像が何れの方向から伝わっているかを判定すること301を含み得る。この評価部分は、複数のマイク素子を有するマイク部によって録音された音像に対応する音響データに対して実施され得る。マイク素子は、制御音響ゾーンの様々な位置に位置している。音声の方向は、例えば、同じ音声素子の異なるマイク素子による録音間の時間差を評価することによって、判定され得る301。例えば、音声素子が第2のマイク素子によって録音される前に第1のマイク素子によって録音される場合、音声が第1のマイク素子から第2のマイク素子へ向かう方向に伝わると判定され得る。言い換えれば、音声が伝わってくる音源が、第2のマイク素子よりも第1のマイク素子の近くに位置していると判定され得る。この情報は、コントローラが調整音響ゾーンを選択する際に役立つ。例えば、第2のマイクのより近くに位置する音響ゾーンは選択から無視され得る。
【0048】
或いは、又は加えて、評価103aが、音像が既知の音響を含んでいるかどうかを判定すること302を含む。この評価部分は、各音響ゾーンに供給されている音響に関するデータに、コントローラがアクセスできる音響システムで実施され得る。これにより、コントローラは、受信した音響データを、ほぼ同じときに制御音響ゾーン以外の音響ゾーンによって供給された音響に対応する音響データと、比較し得る。比較は、例えば、録音された音声の周波数解析を行い、この解析の結果を、ほぼ同じときに他の音響ゾーンに供給された音声の、対応する周波数解析の結果と比較することにより、実施され得る。コントローラは、音声が他の音響ゾーンから制御音響ゾーンへ伝わる時間差を考慮し得る。
【0049】
コントローラが、受信した音響データが、別の音響ゾーンに供給された音響に対応する音響データに一致しないと判定した場合、この特定の別の音響ゾーンは、調整音響ゾーンの選択から無視され得る。対して、コントローラが、受信した音響データが別の音響ゾーンに供給された音響に対応する音響データに一致すると判定した場合、この特定の別の音響ゾーンが調整音響ゾーンとして選択され得る。
【0050】
或いは、又は加えて、評価103aが、音像の音量を判定すること303を含んでもよい。言い換えれば、コントローラは、受信した音響データを評価して、対応する音像の音量を判定し得る。コントローラは更に、音量が所定の音量閾値を上回るかどうかを判定し得る。所定の音量閾値は、部屋に許容される最大音量として定められ得る。音量が所定の音量閾値を上回る場合、コントローラは、他の音響ゾーンの調整スピーカの調整によって、音像を調整しようとする。音量閾値に到達すると、即ち音量が所定の音量閾値を下回ると、コントローラは調整がなされないと判定し得る。
【0051】
方法1の一部であり得る、調整スピーカをどのように調整105aするかについての実施形態が図4に示されている。調整105aは、調整スピーカの音量を下げること402を含む。音量は、スピーカ音量に、又はベース音量に、又はこれらの両方に対応し得る。
【0052】
任意選択的に、調整105aは、調整音響ゾーンの音量を判定401する先行ステップを含んでもよい。判定された調整音響ゾーンの音量が、所定の音量閾値と比較され得る。調整スピーカの音量の低下402は、判定された調整音響ゾーンの音量が所定の音量閾値を上回るという条件で実施され得る。この条件により、制御音響ゾーンが調整音響ゾーンを消音することを許容されないことが確実となる。
【0053】
調整105aは、調整音響ゾーン内の調整スピーカ以外の一以上のスピーカの音量を上げること403を任意選択的に含み得る。この機能によって、調整音響ゾーンにおける全体としての音量は部分的又は完全に維持され得る。例えば、コントローラは、調整音響ゾーンのスピーカのうち制御音響ゾーンの最も近くに位置している調整スピーカの音量を下げ得る。コントローラは、同時に、調整音響ゾーンの一以上の他のスピーカ、即ち制御音響ゾーンからより遠くに位置しているスピーカの音量を上げ得る。
【0054】
方法1の一部であり得る、調整スピーカの調整105bの実施の仕方の別の実施形態が図5に示されている。この実施形態の目的は、調整音響ゾーンを段階的に調整するために、制御音響ゾーンの変化した音像が達成されるまで、コントローラにフィードバックを供給することである。
【0055】
調整105bは、上記の例に従って実施され得る調整スピーカの調整501を含み得る。調整105bは、制御音響ゾーンの更なる音像を録音すること502を更に含む。更なる音像は制御音響ゾーンのマイク部により録音される。調整105bは、録音された更なる音像に対応する更なる音響データを送信すること503を更に含む。音響データはマイク部からコントローラへ送信される。調整105bは、更なる音響データをコントローラによって評価し504、音像が変化したかどうかを判定することを更に含む。更なる音響データは、前に録音された音声データと比較される。音像が変化していないと判定された場合、音像が変化するまで調整が繰り返される。言い換えれば、調整スピーカの調整501、更なる音像の録音502、更なる音響データの送信503、及び更なる音響データの評価504が繰り返される。
【0056】
評価504は、更なる音響データを、先の繰り返しで録音された音響データと、又は第1の繰り返しなどの特定の繰り返しで録音された音響データと比較することを含み得る。
【0057】
上記のように、「音像が変化した」の意味するところは実施形態によって異なる定義を有し得る。変化とは、絶対的な変化、即ち、音像に対応する音響データが何らかの意味で変化したと定義され得る。或いは、変化が、音像の特定の変化と定義されてもよい。特定の変化の非限定的な例としては、音声の一以上の特定の周波数の変化、ベース音量などの音量の低下、任意選択的にはある音量閾値を下回る低下が含まれる。音像が変化したかどうかを評価するために、評価504は、録音された音像に対応する音響データの周波数解析を実施し、前に録音された音像と録音された更なる音像との間で一以上の周波数の音声成分が変化したかどうかを比較することを含み得る。
【0058】
従って、評価504がどのように実施されるかは、音像の所望の変化に依存する。所望の変化は、本方法を実施する様々な音響システムによって異なっていてよい。
【0059】
図5に示す繰り返しのフィードバック方法を用いることにより、ベース音量の低下又はスピーカ音量の低下などの異なる調整が別々の繰り返しで評価されて、音像の変化を達成することができる。
【0060】
本発明の実施形態に係る音響システム6の別の例を図6に示す。音響システム6は、建物内の部屋をそれぞれカバーする4つの音響ゾーン6A、6B、6C、6Dを含む。
【0061】
第1の音響ゾーン6Aは、第1のスピーカ60、第2のスピーカ61、及び第3のスピーカ63を有する。第1の音響ゾーン6Aの第1のスピーカ60はスピーカ部601とコントローラ603を含む。第1の音響ゾーン6Aの第2のスピーカ61はスピーカ部611とマイク素子612を含む。第1の音響ゾーン6A第3のスピーカ63はスピーカ部631を含む。第1の音響ゾーン6Aはまた、マイク素子622を有したマイクデバイス62を含む。スピーカ60、61、63、及びマイクデバイス62は互いに接続されている。
【0062】
第2の音響ゾーン6Bは、第1のスピーカ64、第2のスピーカ65、及び第3のスピーカ66を有する。第2の音響ゾーン6Bの第1のスピーカ64は、スピーカ部641、スピーカ部642、及びコントローラ643を含む。第2の音響ゾーン6Bの第2のスピーカ65はスピーカ部651を含む。第2の音響ゾーン6Bの第3のスピーカ66はスピーカ部661を含む。スピーカ64、65、66は互いに接続されている。
【0063】
第3の音響ゾーン6Cは、スピーカ部671とコントローラ673とを有した第1のスピーカ67を含む。
【0064】
第4の音響ゾーン6Dは第1のスピーカ68と第2のスピーカ69を含む。第4の音響ゾーン6Dの第1のスピーカ68は、スピーカ部681、スピーカ部682、及びコントローラ683を含む。第4の音響ゾーン6Dの第2のスピーカ69はスピーカ部691とマイク素子692を含む。第4の音響ゾーン6Dの第1のスピーカ68と第2のスピーカ69は互いに接続されている。
【0065】
音響ゾーン6A、6B、6C、6Dは、当該音響ゾーン間でデータが交換され得るよう、相互に接続されている。
【0066】
図6は、本発明の範囲内で可能な音響システム6の種々の副構成を示しており、以下で説明される。
【0067】
第1の音響ゾーン6Aで見て取れるように、マイク素子622は、スピーカではないマイクデバイス62の一部である。従って、マイク部のマイク素子は音響ゾーンのスピーカとは別に配置され得る。
【0068】
第1の音響ゾーン6Aのマイク部は2つのマイク素子612、622を含む。従って、マイク部は、部分的には別個のマイク素子で、部分的には音響ゾーンのスピーカの一部であるマイク素子で、形成されている。
【0069】
音響システム6の第3の音響ゾーン6Cのように、音響ゾーンがマイク部を含まなくてもよいことにも留意されたい。
【0070】
音響システム6は幾つかのコントローラ603、643、673、683を含む。従って、音響システムは複数のコントローラを含んでもよい。各音響ゾーン6A、6B、6C、6Dはコントローラ603、643、673、683を有する。本発明の方法によれば、音響システム6は、各コントローラ603、643、673、683が、音響システム6の他の音響ゾーンのスピーカを調整し得るよう、構成され得る。或いは、本発明の方法によれば、1つのコントローラが、音響システム6の他の音響ゾーンのスピーカを調整するように(一時的又は永続的に)任命され得る。例えば、第2の音響ゾーン6Bのコントローラ643が、他の音響ゾーン6A、6C、6Dのスピーカのうちの幾つか又はすべてを調整することを許容され得る。
【0071】
言い換えれば、スピーカを制御するコントローラの音響システム内での位置は重要ではない。コントローラは、音響システムの音響ゾーンのうちのいずれか1つに位置していてもよく、或いはクラウドサービスなど音響ゾーンの外に配置されていてもよい。
【0072】
本発明の方法がどのように実行され得るかについての種々のシナリオを、図6の音響システム6を参照して述べる。
【0073】
第1のシナリオでは、第1の音響ゾーン6Aが制御音響ゾーンである。第1の音響ゾーン6Aの音像が、第1の音響ゾーン6Aのマイク素子612、622を含むマイク部によって録音される。録音された音像に対応する音響データが、第1の音響ゾーン6Aのコントローラ603に送信される。コントローラ603は送信された音響データを評価する。評価は上記の例に従って実施され得る。例えば、評価は、録音された音像の音声が何れの方向から伝わっているかを判定することを含み得る。コントローラ603は、複数の他の音響ゾーン6B、6C、6Dから調整音響ゾーンを選択する。選択は、隣接する音響ゾーンでない音響ゾーンを無視することを含み得る。言い換えれば、音響ゾーン6Dは無視され、コントローラは、第2の音響ゾーン6Bと第3の音響ゾーン6Cのうちの一方を調整音響ゾーンとして選択する。隣接する音響ゾーンでない音響ゾーンを無視することにより、調整音響ゾーンの選択が単純化され得る。この選択方法は、制御音響ゾーン内の音声は、他のより離れた音響ゾーンよりも、隣接する音響ゾーンによって供給される可能性が高いということに基づいている。
【0074】
音声がマイクデバイス62のマイク素子622から第2のスピーカ61のマイク素子612に向かう方向に伝わるとコントローラ603が判定した例では、音声がこの方向から伝わるので、コントローラ603が、調整音響ゾーンとして第3の音響ゾーン6Cを選択し得る。コントローラ603は、第1の音響ゾーン6Aの音像が変化するように、第3の音響ゾーン6Cのスピーカ67を調整し得る。
【0075】
代替的な例では、コントローラ603が、他の音響ゾーン6B、6C、6Dのうちの一以上に供給されている音響に関するデータにアクセスを有し得る。そして、録音された音声の評価は、録音された音声が、コントローラ603にとって既知の、他の音響ゾーンのうちの任意のものによって(本質的に)同じときに供給された任意の音声に対応するかどうかを判定することを含み得る。一致が見出される場合、対応する他の音響ゾーンが調整音響ゾーンとして選ばれ得る。一例として、比較を実施するのに、それら種々の音声の周波数解析が用いられ得る。
【0076】
上述の例の部分が組み合わされてもよいことに留意されたい。例えば、コントローラ603による音響データの評価は、何れの方向から音声が伝わるかを判定することと、その音声が他の音響ゾーンのうちの何れかから供給されるかどうかを判定することの両方を含み得る。この組み合わせは、例えば、第2の音響ゾーン6Bと第4の音響ゾーン6Dによって同様の音声が供給される場合に有用であり得る。まず、第3の音響ゾーン6Cが第1の音響ゾーン6Aで受信した音声を供給しないので、コントローラ603は、調整音響ゾーンの選択において第3の音響ゾーン6Cを無視し得る。次に、音声が第4の音響ゾーン6Dの方向から伝わると判定される場合、コントローラ603は、調整音響ゾーンとして第4の音響ゾーン6Dを選択し得る。
【0077】
第2のシナリオでは、第2の音響ゾーン6Bが制御音響ゾーンである。第2の音響ゾーン6Bの音像が録音され、音像に対応する音響データが第2の音響ゾーン6Bのコントローラ643に送信される。コントローラ643は、音響データを評価し、評価に基づいて調整音響ゾーンを選択する。例えば、コントローラ643は、調整音響ゾーンとして第1の音響ゾーン6Aを選択する。コントローラ643は、第1の音響ゾーン6Aの第2のスピーカ61及び第3のスピーカ63が制御音響ゾーン、即ち第2の音響ゾーン6Bの最も近くに位置していることに基づき、これらのスピーカを調整スピーカとして選択し得る。コントローラ643は、スピーカ及び/又は調整スピーカ61、63のベース音量を下げることにより、調整スピーカ61、63を調整し得る。この低下を補償するために、コントローラ643はまた、第1の音響ゾーン6Aの第1のスピーカ60のスピーカ及び/又はベース音量を上げ得る。これは、供給される音声の、音響ゾーンの音像に対する影響を最小限に抑えるために、調整音響ゾーンに供給される音声がどのようにして最適化され得るかの一例である。
【0078】
上述の例は、制御音響ゾーンのコントローラが音像の調整を実施していることが述べられているが、制御音響ゾーン外のコントローラ、例えば音響システムの別の音響ゾーンのものが調整を実施してもよいことに留意されたい。調整音響ゾーンのコントローラが調整を実施してもよい。単一のコントローラによって調整が実施されることが述べられているが、種々のコントローラが本方法の別々の工程を実施し、それらが集合的に単一の共通コントローラとみなされてもよいことに留意されたい。
【0079】
図7は、部屋700に設けられた音響システム7の実施形態を示す。音響システム7は、第1の音響ゾーン7A、第2の音響ゾーン7B、及び第3の音響ゾーン7Cを含む。第1の音響ゾーン7Aは、スピーカ部701を有するスピーカ70を含む。第2の音響ゾーン7Bは、スピーカ部721を有する第1のスピーカ72と、スピーカ部731を有する第2のスピーカ73とを含む。第3の音響ゾーン7Cは第1のスピーカ74と第2のスピーカ75を含む。各スピーカ74、75はスピーカ部741、751とマイク素子742、752を含む。音響システム7は、マイク素子712を有するマイクデバイス71も含む。
【0080】
スピーカ70、72、73、74、75とマイクデバイス71は、コントローラ76に接続されている。コントローラ76は部屋700の外に位置している。コントローラ76は、音響システム7のすべてのスピーカ及びマイク部に共通のものである。
【0081】
音響システム7は、本発明による音響システムの種々の音響ゾーンが単一の部屋に設けられ得ることを例示している。音響ゾーンは第1の音響ゾーン7Aと第2の音響ゾーン7Bのように重なり合っていてもよく、或いは、第3の音響ゾーン7Cのように他の音響ゾーンとは別個であってもよい。
【0082】
音響システム7は、マイクデバイス71のマイク素子712のように、マイク部又はマイク素子が複数のゾーンの部分であり得ることも例示している。このマイク素子712は、第1の音響ゾーン7A及び/又は第2の音響ゾーン7Bの音像を録音し得る。
【0083】
図8は、音響ゾーンを調整する方法の一部として含まれ得る方法8を示す。方法8は、図1に例示した方法1に基づいている。録音802、送信803、評価804、及び選択805の部分は、方法1の対応部分に関して上記で示されている。従ってこれらの部分については再度詳しく述べない。
【0084】
方法8は、音響システムの各音響ゾーンに優先値を割り当てること801を含む。割り当て801は、音像の録音802の前に実施され得る。調整音響ゾーンの選択805後、方法8は、制御音響ゾーンが調整音響ゾーンよりも高い優先度を有するかどうかを判定すること806を含む。判定806の結果に基づき、調整スピーカの調整807が実施される。言い換えれば、制御音響ゾーンが調整音響ゾーンよりも高い優先度を有しない場合、調整807は許容されない。この条件によって、音響ゾーン、他の音響ゾーンの調整を許容されることもあり、許容されないこともある。
【0085】
例えば、静かであることが企図されるエリアをカバーする音響ゾーンには最も高い優先度が割り当てられ得、音響システムの任意の他の音響ゾーンを調整することが許容されることを意味する。従って、その音響ゾーンの音像の音量は、音響システムの他の音響ゾーンによって供給される音声に対して最小に抑えられ得る。
【0086】
別の例として、重要な音声メッセージ、例えば警告信号又は保安上のメッセージなどでの使用が企図される音響ゾーンには、最も高い優先度が割り当てられることで、音響システムの他の音響ゾーンはその音量を下げることを許容されない。
【0087】
優先値は従来式の方法によって割り当てられてよい。一例としては、優先度に対応する種々の数値、例えば1〜5の数を音響ゾーンに割り当て、1が最も高い優先度に相当し5が最も低い優先度に相当する。
【0088】
図9は、制御スピーカ9を示す。制御スピーカ9は、本発明による音響システム、例えば上記で例示した音響システムの何れかに配置され得る。
【0089】
制御スピーカ9は、マイク部の一部であるマイク素子93を含む。マイク素子93は、音像を録音し、録音された音像に対応する音響データを送信する。音響データは、コントローラとして機能し得るプロセッサ90によって受信される。プロセッサ90は、受信した音響データを評価し、調整音響ゾーンを選択し、調整音響ゾーンの一以上のスピーカの調整スピーカを調整する。これらの機能の例は、前の実施形態に関連して説明済みである。
【0090】
制御スピーカ9は、制御スピーカ9が位置している音響ゾーンに音響を供給するスピーカ部94も含む。
【0091】
制御スピーカ9は、例えば音響システムの他のスピーカなど、接続されたデバイスとの間でデータを送受信する送信機91及び受信機92も含む。送信機91は、調整スピーカの調整に関するデータの送信に使用され得る。受信機92は、マイク部に含まれる他のマイク素子からの音響データの受信に使用され得る。
【0092】
当業者は、本発明はいかなる意味においても、上述した好ましい実施形態に限定されないことを理解するであろう。寧ろ、添付の特許請求項の範囲内で多くの修正例及び変形例が可能である。例えば、本方法が、スピーカ部をそれぞれ含むカメラの形態をとる複数のスピーカを有した音響システムに応用されてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9