特許第6388636号(P6388636)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6388636所見用ユニーク識別子の生成及び/又は利用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6388636
(24)【登録日】2018年8月24日
(45)【発行日】2018年9月12日
(54)【発明の名称】所見用ユニーク識別子の生成及び/又は利用
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/00 20180101AFI20180903BHJP
【FI】
   G06Q50/24
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-504787(P2016-504787)
(86)(22)【出願日】2014年3月17日
(65)【公表番号】特表2016-515733(P2016-515733A)
(43)【公表日】2016年5月30日
(86)【国際出願番号】IB2014059889
(87)【国際公開番号】WO2014155236
(87)【国際公開日】20141002
【審査請求日】2017年3月15日
(31)【優先権主張番号】61/806,496
(32)【優先日】2013年3月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】バーラト シャム
(72)【発明者】
【氏名】ボロツキー リラ
【審査官】 阿部 潤
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−204378(JP,A)
【文献】 特開2012−048395(JP,A)
【文献】 特開2006−302222(JP,A)
【文献】 特開2003−323492(JP,A)
【文献】 特開2006−167294(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00 − 80/00
G06Q 10/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療施設が備えるコンピューティングシステムが、複数の種々異なる医療施設にアクセス可能な所見用ユニーク識別子(FUID)レポジトリであって、各異なる患者に対する各種々異なる所見のための単一FUIDを記憶する前記FUIDレポジトリから受け取った、同一のFUIDを用いて、患者の同じ所見についての種々異なるイベントからの電子形式の健診結果にタグを付けるステップと、
医療施設が備えるデータレポジトリ又は複数の種々異なる医療施設にアクセス可能な中央データレポジトリが、前記電子形式の健診結果を、所見用ユニーク識別子タグと共に記憶するステップと
を有し、
前記記憶され、タグ付けされた種々異なる電子形式の健診結果は、前記所見の発見から前記所見に対する直近のイベントまでの前記所見についての長期的な記録を提供し、
前記FUIDは、前記所見が発見された施設の識別、患者の識別、及び前記所見のためのユニークな英数字を含む、
方法。
【請求項2】
同じ患者に対する及び同じ施設からの2つの種々異なる所見のための2つのFUIDは、施設の同じ識別及び患者の同じ識別であるが、前記所見のための種々異なるユニークな英数字を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
タグ付けするステップ及び記憶するステップの前に、複数の種々異なる医療施設にアクセス可能な新規FUIDの生成部が、新しく発見された所見に応じて、前記所見のためのFUIDを生成するステップをさらに有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記新規FUIDの生成部が、患者の直前最終のFUIDを識別するステップと、
前記新規FUIDの生成部が、前記直前最終のFUIDに基づいて、FUIDを生成するステップであって、前記FUIDと直前最終のFUIDとは異なる当該ステップと
をさらに有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
複数の種々異なる医療施設にアクセス可能な新規FUIDの生成部が、タグ付けするステップ及び記憶するステップの前に、既存の所見に対応するイベントに応じて、前記所見のための前記FUIDを識別するステップをさらに有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
前記コンピューティングシステムが、前記所見に識別されたFUIDでタグを付けるステップをさらに有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記タグ付けされた種々異なる電子形式の健診結果は、前記中央データレポジトリに記憶される、請求項1ないし6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
各異なる患者に対する各種々異なる所見のための単一FUIDを記憶する所見用ユニーク識別子(FUID)レポジトリと、
新しい所見のために新規FUIDを生成し、前記新規FUIDを前記FUIDレポジトリに記憶する新規FUIDの生成部と
を有し、
前記FUIDレポジトリは、同じFUIDで同じ所見の電子形式の健診結果をタグ付けする複数の医療施設にアクセス可能であり、
グ付けされた種々異なる電子形式の健診結果は、前記所見の発見から前記所見の直近のイベントまでの前記所見の長期的な記録を提供し、
前記FUIDは、前記所見が発見された施設の識別、患者の識別、及び前記所見のためのユニークな英数字を含む、
システム。
【請求項9】
前記新規FUIDの生成部は、新しく発見された所見に応じて、前記所見のための新規FUIDを生成する、請求項に記載のシステム。
【請求項10】
前記新規FUIDの生成部は、患者の直前最終のFUIDを識別し、前記直前最終のFUIDに基づいてFUIDを生成し、
前記FUIDと前記直前最終のFUIDとは異なる、
請求項に記載のシステム。
【請求項11】
前記新規FUIDの生成部は、既存の所見に対応するイベントに応じて、前記所見のための前記FUIDを識別する、請求項に記載のシステム。
【請求項12】
1つ以上のコンピュータ実行可能命令がエンコードされたコンピュータ可読記憶媒体であって、コンピューティングシステムのプロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、
各異なる患者に対する各種々異なる所見のための単一FUIDを記憶し、複数の種々異なる医療施設にアクセス可能な所見用ユニーク識別子(FUID)レポジトリから受け取った、同一のFUIDを用いて、患者の同じ所見についての種々異なるイベントからの電子形式の健診結果にタグを付けさせ、
前記電子形式の健診結果を、所見用ユニーク識別子タグと共に、医療施設が備えるデータレポジトリ又は複数の種々異なる医療施設にアクセス可能な中央データレポジトリに記憶させ、これによって、前記所見の発見から前記所見の直近のイベントまでの所見に対する長期的な記録を作成し、
前記FUIDは、前記所見が発見された施設の識別、患者の識別、及び前記所見のためのユニークな英数字を含む、
コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、医学的所見のための所見用ユニーク識別子の生成及び/又は利用に関する。
【背景技術】
【0002】
所見のライフタイム、例えば所見の発見から所見に対する直近のイベントまで、にわたる医学的所見に関する情報は、救急科、かかりつけの医者、がん専門医、治療センターなどのさまざまな種々異なるソースによって生成され得る。個々のソースは、独自の品質保証及び品質管理を適所に有するが、このようなデータのソース間コミュニケーションは、残念ながら、良好に発展していない。したがって、ソースは、同じ所見に関する別のソースからの情報をアクセスできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
限定はしないが例として、内科的腫瘍学の領域に関して、患者は、初期診断から治療及び治療後の経過観察までの期間、しばしば、さまざまな科(及び、場合によっては、種々異なる施設)を訪れる。科と科との間(及び施設間)のコミュニケーションの欠落により、結果的に、通常、短期及び/又は長期の、特定患者及び特定所見ベースでの結果に基づく(outcome-based)品質保証及び/又は品質管理は無い。結果として、特定の腫瘍のための特定の治療プロトコルと、対応する短期及び/又は長期の結果との間の潜在的な相関関係を導出することができる記録された情報はほとんど又は全く無い。
【課題を解決するための手段】
【0004】
ここに説明される態様は、上述の問題及びその他の問題に対処するものである。
【0005】
1つの態様では、方法は、同一所見用ユニーク識別子(FUID:finding unique identifier)を用いて、患者の同じ所見についての種々異なるイベントからの電子形式の健診結果にタグを付けるステップを含む。本方法は、さらに、電子形式の健診結果を所見用ユニーク識別子タグと共に記憶するステップを含む。記憶されたタグ付きの種々異なる電子形式の健診結果は、所見の発見から所見に対する直近のイベントまでの所見についての長期的な記録を提供する。
【0006】
別の態様によれば、システムは、各異なる患者に対する各種々異なる所見のための単一FUIDを記憶する所見用ユニーク識別子(FUID)レポジトリと、新しい所見のための新規FUIDを生成し、新規FUIDをFUIDレポジトリに記憶する新規FUID生成部とを含む。FUIDレポジトリ中のFUIDは、同じ所見の電子データに同じFUIDでタグを付ける複数の医療施設にアクセス可能である。
【0007】
別の態様では、コンピュータ可読記憶媒体には、1つ以上のコンピュータ実行可能命令がエンコードされ、コンピューティングシステムのプロセッサによって実行されると、プロセッサに、同一所見用ユニーク識別子(FUID)を用いて、患者の同じ所見についての種々異なるイベントからの電子形式の健診結果にタグを付けさせ、これによって、所見の発見から所見に対する直近のイベントまでの所見についての長期的な記録を作成する。
【0008】
本発明は、さまざまなコンポーネント及びコンポーネントの取り合わせ、並びにさまざまなステップ及びステップの取り合わせの形をとり得る。図面は、単に好ましい実施形態を図示するためにあり、本発明を制限するものとして解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、患者に対する特定所見のためのイベントが、同一所見用ユニーク識別子でタグ付けされる例示的システムを模式的に図示する。
図2図2は、新しく発見された所見のための新規所見用ユニーク識別子を生成するための例示的方法を図示する。
図3図3は、所見のためのイベントを、既存の所見用ユニーク識別子でタグ付けするための例示的方法を図示する。
図4図4は、図1図2及び図3に従った、長期的にタグ付けされた腫瘍固有の放射線治療例を図示する。
図5図5は、図1図2及び図3に従った、個々のRT(radiation therapy、放射線治療)利害関係者のデータを生成するための、長期的にタグ付けされた腫瘍固有の放射線治療例を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
下記は、概して、所見のライフタイム、例えば所見の発見から所見に対して行われた直近の処置まで、にわたる特定の医学的所見用にのみ、医療処置の結果を、同一所見用ユニーク識別子と関連付けることに関する。所見の例は、腫瘍、肺炎、無月経、疾病、並びに/又は患者の他の医学的条件及び/若しくは状態を含むが、これらに限定されない。
【0011】
最初に図1を参照すると、システム100は、N個の医療施設102,..,102(ここでは集合的に医療施設102と呼ばれる)を含み、ここで、Nは整数である。ここで使用される通り、医療施設は、病院、病院のネットワーク、診療所、救急センター、医師のオフィス、撮像センター、研究所、心理療法センター、治療センター及びこれらに類するものの1つ以上を含む。
【0012】
医療施設102は、それぞれコンピューティングシステム104,..,104(ここでは、集合的にコンピューティングシステム104と呼ばれる)のセットを含む。特定の医療施設102ための特定のコンピューティングシステムのセット104は、施設全体の1つ以上の科に分散されてもよい。1つ以上のコンピューティングシステム104は、科と科との間及び/又は科内のローカル・エリア・ネットワーク(LAN)を介してネットワーク化され得る。一般に、コンピュータシステムは、マイクロプロセッサ及び物理メモリを有する汎用コンピュータ並びに/又は他のコンピュータを含む。
【0013】
医療施設102はそれぞれ、データレポジトリ106,..,106(ここでは、集合的にデータレポジトリ106と呼ばれる)のセットも含む。特定の医療施設102のための特定のデータレポジトリのセット106は、施設全体の1つ以上の科に分散されてもよく、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)を介してネットワーク化され得る。データレポジトリ106は、電子形式で生成された撮像データ、検査結果などの電子データを記憶する。
【0014】
医療施設102はそれぞれ、ネットワークインタフェース108,..,108(ここでは、集合的にネットワークインタフェース108と呼ばれる)のセットも含み、これは、医療施設102が、例えばワイド・エリア・ネットワーク(WAN)を介して、互いに並びに/又は他のネットワーク及び/若しくはデバイスと通信することを可能にする。
【0015】
システム100は、所見用ユニーク識別子(FUID)レポジトリ110も含む。FUIDレポジトリ110は、FUID、すなわち所見用のユニーク識別子を記憶する。各所見はそれぞれのFUIDが割り当てられ、種々異なる所見用のFUIDは、FUIDレポジトリ110に記憶される。FUIDレポジトリ110は、集中化される(不図示)か又はサブレポジトリにわたって分散され得る。
【0016】
1つの限定ではない例では、FUIDは、連結される少なくとも3つの部分を含む。限定ではない例として、第1部分は、所見が発見された施設を識別し、第2部分は、患者を識別し、第3部分は、所見を継時的な順に識別し、例えば数字「10」、文字「j」などは、所見を、患者の10番目に発見された所見として識別する。
【0017】
3つの部分は、さまざまに結合されてもよく、第1部分に第2部分及び第3部分が続く必要は無い。FUIDの例は、「A−A−A−2400−iv」であり、ここで、「A−A−A」は、所見が発見された施設を意味し、「2400」は、患者を意味し、「iv」は、4番目の所見を意味する。他の例は、「AAA2400iv」、「2400−A−A−A−iv」、「AAA−2400−0004」、「2400−iv−A−A−A」、並びに/又は、より多くの或いはより少ない部分及び/若しくは種々異なる記述子を有するFUIDを含む他のFUIDを含むが、これらに限定されない。
【0018】
施設102は、FUIDレポジトリ110から所見のためのFUIDを要求することができる。これは、患者識別情報(ID)(例えば患者の名前が含まれるが、これに限定されない)及び特定の所見を説明する情報に基づいて、FUIDレポジトリ110に問い合わせを行うことを含んでもよい。一例として、施設102は、臨床医が、患者の病状、来院、イベントなどを既知の所見に対応すると判断する場合に、FUIDを要求する。病状、来院、イベントなどに対応する電子情報は、FUIDでタグ付けされる。施設102が、例えば患者の前回のイベントに対するFUIDを既に有する場合、施設102は、FUIDを要求する必要は無い。
【0019】
臨床医が、現在のケースは新しい所見であり、既知のFUIDと関係しないと判断した場合、新規FUIDを生成するプロセスが開始される。新規FUID生成部112は、新しく発見された所見のためのFUIDを生成する。これは、次の所見部分が決定され得るように、患者に対して前回生成されたFUIDの所見部分を識別するステップを含む。例えば、生成された直近のFUIDについて、所見部分が番号「10」、文字「j」がである場合、新しい所見部分は、番号「11」、文字「k」などである。
【0020】
したがって、同じ患者に対する及び同じ施設からの2つの種々異なる所見のための2つのFUIDは、施設の同じ識別及び患者の同じ識別であるが、所見のための種々異なるユニークな英数字を含む。施設が異なる場合、施設の識別情報も種々異なる。所見部分は、患者のために生成された直近のFUIDについて、FUIDレポジトリ110に問い合わせを行うことによって決定され得る。
【0021】
新規FUID生成部112は、例えば上述した3つの部分、すなわち、所見が発見された施設のアイデンティティ、患者のアイデンティティ、及び新しい所見部分を用いて、新しい所見に対してFUIDを生成する。新規FUIDを生成するにあたり、FUIDは、少なくともFUIDを要求する施設及びFUIDレポジトリ110に提供される。
【0022】
中央データレポジトリ114は、施設102各々からの電子データを記憶する。図示される例では、これは、特定の所見のための全ての結果がその所見に対する同一FUIDに関連付けられるように、撮像データ、研究所の検査結果などを、対応するFUIDと共に記憶することを含む。データは、FUID、患者アイデンティティ及び/又はその他に基づいて記憶され得、FUID、患者アイデンティティ及び/又はその他に基づいてソート可能及び/又は検索可能であり得る。したがって、施設102は、中央データレポジトリ114にデータを要求する及び/又は該レポジトリからデータを受信することができる。
【0023】
データ評価部116は、中央データレポジトリ114に記憶されたデータを評価する。このような評価は、特定の所見、その結果などに対して順序付けられた及び/又は実行された特定の手順を評価することを含んでもよいが、これらに限定されない。複数の患者のためのこのようなデータは、プロトコルを生成するために利用され得、及び/又は、患者のための手順を順序付けるのに臨床医に提供され得る。したがって、施設102は、データ評価部116にデータを要求する及び/又は該評価部からデータを受信することができる。
【0024】
限定ではない一例では、データ評価部116は、患者の生存に関してだけでなく、生活の質、副作用、転移の進行などに関しても、(例えば腫瘍に関しては、腫瘍の位置、癌の型及び亜型などに基づいて)特定の所見のための特定のプロトコルと、対応する長期の結果との間の潜在的な相関関係を導出することができる統計を生成する。
【0025】
新規FUID生成部112及び/又はデータ評価部116は、物理メモリ及び/又は他の非一時的な媒体などの1つ以上のコンピュータ可読記憶媒体に記憶された1つ以上のコンピュータ実行可能命令を実行する1つ以上のコンピュータの1つ以上のプロセッサを介して実行され得る。少なくとも1つの命令が、追加的又は代替的に、搬送波、信号及び/又は非物理的媒体などの一時的な媒体に記憶され得る。データレポジトリ106、FUIDレポジトリ110及び/又は中央データレポジトリ114は、データベース及び/又は他の物理メモリを含むことができる。
【0026】
システム100は、長期の、結果に基づく品質保証(QA:quality assuarance)及び/又は品質管理(QA:quality control)を、特定患者及び/又は特定所見の単位で提供すること、及び、この情報は、特定の所見のための特定のプロトコルと、対応する長期の結果との間の潜在的な相関関係を導出するために使用され得ることを理解されたい。
【0027】
この長期の結果は、所見の初期発見から治療及び後続の経過観察までの患者の経過を、同じFUIDでタグ付けされる所見に関連する各イベントからの情報とリンクさせることができる。これは、結果を改善し、医療処置、プロトコル、ワークフロー及び患者の生活の質を改善するための教育ツールとしても使用され得る総合的なQAシステムとして機能する。
【0028】
図2は、新しく発見された所見のためのFUIDを生成する方法を示す。
【0029】
本方法における行為の順序付けは、限定されるものではないことを理解されたい。したがって、他の順序付けがここに企図される。加えて、1つ以上の行為は省略されてもよく及び/又は1つ以上の追加行為が含まれてもよい。
【0030】
ステップ202では、患者は、医療施設、例えば臨床医によって診断される。これは、予定された通常の健診、特定の病状及び/又は症状、スクリーニング検査などに応じてもよい。
【0031】
ステップ204では、臨床医は、診断結果に基づいて、患者のための新しい所見を識別する。
【0032】
ステップ206では、コンピューティングシステム104が、所見のためのFUIDについて、新規FUID生成部112に電子要求を送信するために利用される。
【0033】
ステップ208では、新規FUID生成部112は、患者のために生成された直近のFUIDについて、FUIDレポジトリ110に問い合わせを行う。
【0034】
ステップ210では、FUIDレポジトリ110は、FUIDが存在すれば直近のFUIDを患者に対して返し、又は、FUIDが存在しない表示を返す。
【0035】
ステップ212は、新規FUID生成部112は、所見のためのFUIDを生成する。ここに説明されるように、一例では、FUIDは、施設の識別と、患者の識別と、及び直前最新の所見のための直近のユニークな英数字に関して通常連続する、所見のためのユニークな英数字とを含む。
【0036】
ステップ214では、診断の結果は、FUIDと共に、データレポジトリ106及び/又は中央データレポジトリ114に電子形式で記憶される。
【0037】
ステップ216では、任意選択で、中央データレポジトリ114に記憶された結果は評価される。ここに説明されるように、これは、特定の所見のための特定プロトコルと、対応する結果との間の潜在的な相関関係の導出を含んでもよい。
【0038】
上記方法は、コンピュータ可読記憶媒体にエンコード又は埋め込まれたコンピュータ可読命令によって実行されてもよく、該命令は、コンピュータのプロセッサによって実行されると、説明された行為をプロセッサに実行させる。追加的に又は代替的に、少なくとも1つのコンピュータ可読命令は、信号、搬送波又は他の一時的な媒体によって実行される。
【0039】
図3は、所見のための電子形式の結果を、所見のためのFUIDでタグ付けする方法を示す。
【0040】
方法における行為の順序付けは、限定されるものではないことを理解されたい。したがって、他の順序付けがここに企図される。加えて、1つ以上の行為は省略されてもよく及び/又は1つ以上の追加行為が含まれてもよい。
【0041】
ステップ302では、患者は、医療施設、例えば臨床医によって診断される。これは、予定された通常の健診、特定の病状及び/又は症状、スクリーニング検査などに応じてもよい。
【0042】
ステップ304では、臨床医は、既存の所見に関連するイベントを判断する。
【0043】
ステップ306では、コンピューティングシステム104が、所見のFUIDについて、FUIDレポジトリに電子要求を送信するために利用される。
【0044】
ステップ308では、FUIDレポジトリ110は、FUIDを返す。ここに説明されるように、一例では、FUIDは、所見が発見された施設の識別、患者の識別、及び直前最新の所見のための直近のユニークな英数字に関して通常連続する、ユニークな英数字を含む。
【0045】
ステップ310では、診断の結果は、FUIDと共に、データレポジトリ106及び/又は中央データレポジトリ114に電子形式で記憶される。
【0046】
ステップ312では、任意選択で、中央データレポジトリ114に記憶された結果は、評価される。ここに説明されるように、これは、特定の所見のための特定のプロトコルと、対応する結果との間の潜在的な相関関係の導出を含んでもよい。
【0047】
ここでの例は、電子形式のデータをタグ付するステップに関して述べられたが、タグ付けされたデータは、必ずしも電子形式でなくてもよいことを理解されたい。例えば、タグは、後で電子形式に変換される紙の報告又は他の物理的な報告に適用され得る。しかしながら、このような報告は、必ずしも変換されなくてもよい。
【0048】
上記方法は、コンピュータ可読記憶媒体にエンコード又は埋め込まれたコンピュータ可読命令によって実行されてもよく、該命令は、コンピュータのプロセッサによって実行されると、説明された行為をプロセッサに実行させる。追加的に又は代替的に、少なくとも1つのコンピュータ可読命令は、信号、搬送波又は他の一時的な媒体によって実行される。
【0049】
下記は、腫瘍学のケースシナリオに関連する例を説明する。しかしながら、この例は限定するものではなく、例示的目的のために提供されるものであり、他のシナリオもここに企図されることを理解されたい。
【0050】
FUIDと共に電子形式で記憶され得るデータの例は、放射線治療、化学療法、外科的切除に対応する情報、他の情報、統計などを含む。
【0051】
放射線治療に関しては、このようなデータは、1つ以上の下記及び/又は他の情報:治療計画プロトコル(例えばシュミレーション、マージン(margin)、目標への線量、リスク臓器(OAR:organs at risk)への線量、フラクショネーション・スキーム(fractionation scheme)など)、デリバリー・プロトコル(例えば患者の設定及び局所化、動作管理など)、RT送出装置(例えば線形加速器(リニアック))の日毎及び/又は月別の品質保証(QA)プロトコル、診断時の年齢などの患者の特性、民族性、前の腫瘍の所見及び関連する治療など、並びに/又は他の情報を含む。
【0052】
化学療法に関して、このようなデータは、1つ以上の下記及び/又は他の情報:生検標本の病理組織学的分析中に検出される特定マーカー、治療の詳細(薬物の使用、投薬レベル、継続期間など)、診断時の年齢などの患者の特性、民族性、前の腫瘍の所見及び関連する治療など、及び/又は他の情報を含む。
【0053】
外科的切除に関して、このようなデータは、1つ以上の下記及び/又は他の情報:使用された外科的マージン、(もしあれば)外科的処置中に遭遇した合併症、診断時の年齢などの患者の特性、民族性、前の腫瘍の所見及び関連する治療など、及び/又は他の情報を含む。
【0054】
他の情報は、転移及び/又は治療の開始についての情報が含まれてもよいが、これらに限定されない。適切な転移情報は、治療している現在の腫瘍が前の腫瘍から転移したものであるかを示してもよく、そうである場合には、これは前の腫瘍のFUIDでタグ付けされるべきか、又はそれぞれのFUIDを持つべきかを示してもよい。臨床医がこの決定を行う。適切な治療開始情報は、治療法(例えば化学療法)が、複数の腫瘍所見に従っているかを示してもよく、そうである場合には、どの特定の腫瘍所見が、化学療法の治療を開始させたのかを示してもよい。
【0055】
適切な統計は、他の所見のためのデータのマイニングから導出された統計を含む。例えば、特定の施設において、集団調査が、左胸のRT治療は、右胸のRT治療に比べて「良好な」結果を示したことを結論付けてもよい。このことは、右胸の治療に使用された治療計画プロトコルのレビューを促すことができる。
【0056】
適切な統計は、特定の利害関係者から導出された他のメトリクスも含んでもよい。RTについては、臨床医、線量測定士、療法士、物理学者及び患者によってしばしば利用されるQAメトリクスは、種々異なる。このデータは、RTプロセスにおいて、全ての利害関係者への付加価値の提供のために、しかるべくマイニングされる。
【0057】
図4は、腫瘍のRT治療例における種々異なるステージを示す。しかしながら、腫瘍でない及び/又は非RT治療法アプリケーションもここに企図されることを理解されたい。
【0058】
種々異なるソース(例えば、患者の電子カルテ(EHR)、プライマリー・ケア施術者(PCP)又は患者にRTを勧める医療専門家、放射線臨床医及び他のRTスタッフ、すなわち、物理学者、線量測定士、療法士など)からの情報は、報告実例に取り入れられる。RTに関係する治療パラメータは、患者の治療される腫瘍の診断報告に始まり、治療計画のためのCTシュミレーション、計画及びデリバリー・プロトコル並びに(短期及び長期の)結果までの、RT処置の全てのステージから記録される。
【0059】
この情報は、治療される腫瘍に特有のFUIDタグが割り当てられる。ここに説明されたように、FUIDは、腫瘍が発見された施設の施設ID、患者ID、及び腫瘍識別子を含む複数の部分を有することができる。同じ患者が、後で、今回の腫瘍とは関係がないと判断された別の腫瘍について治療を受ける場合、この治療は、異なる腫瘍の識別子を有するFUIDが割り当てられる。通常、任意の英数字が、腫瘍識別子を表すのに使用され得るが、各々の異なる腫瘍に対してユニークである必要がある。
【0060】
FUIDは、後で、患者に、腫瘍の所見に関係すると判断された任意の診断/治療を提供する全ての施設によって使用される。よって、これらの患者の来院から生じる任意の報告は、同じFUIDでタグ付けされ、報告の長期継続性をもたらす。
【0061】
データ評価部116は、この一時的にリンクされた情報を処理し、治療プロトコル、治療パラメータ、特定の種類の腫瘍、腫瘍の位置等と、長期の患者の結果との間の潜在的な相関関係を導出することができる:例えば、治療パラメータと(記録データの欠落により現在表示されていない)治療結果との間の相関関係を導出する、結果を区分けし、特定の腫瘍の種類又は所見にリンクさせる、個別化された利害関係者などのための専門のメトリクスを導出する、などである。
【0062】
後者は、RTに関連して、図5に示される。この例では、療法士は、彼/彼女が使用するデリバリー・プロトコルが、どのように患者の長期の結果に影響を与えるかを知ることに興味がある。別の例として、RTのセグメンテーション・エキスパートは、(もしあれば)正常な組織を囲むプロトコルと、長期生存結果及び正常な組織の毒性との間のリンクを知ることに興味がある。別の例として、RTにおける物理学者は、これらプロトコルで治療を受けた患者の長期結果を比較することによって、種々異なる設備のQCプロトコルの適切性を比較することができる。
【0063】
本発明は、好ましい実施形態に関して記述された。変更及び変形が、先行する詳細な説明を読み理解することにより当業者に思い付くであろう。本発明は、このような変更及び変形が添付の請求項又はこれらと等価なものの範囲内にある限り、これらの全てを含むものとして構成されることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5