(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記(A)成分が、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸、ポリアミド酸エステル、ポリアミド酸塩、ポリアミド酸アミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾイミダゾール、及びポリベンゾチアゾールから成る群より選ばれる少なくとも1種の樹脂である、請求項7に記載の感光性樹脂組成物。
前記(A)成分が、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸、ポリアミド酸エステル、ポリアミド酸塩、ポリアミド酸アミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾイミダゾール、及びポリベンゾチアゾールから成る群より選ばれる少なくとも1種の樹脂である、請求項15に記載の感光性樹脂組成物。
前記(A)成分が、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸、ポリアミド酸エステル、ポリアミド酸塩、ポリアミド酸アミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾイミダゾール、及びポリベンゾチアゾールから成る群より選ばれる少なくとも1種の樹脂である、請求項23に記載の感光性樹脂組成物。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
半導体装置の再配線工程においては、層間絶縁膜形成工程を前工程のメーカーと後工程のメーカーで別々に実施するため、前工程で形成したポリベンゾオキサゾール被膜上に、後工程でポリイミド等の樹脂の被膜を形成することが増えてきている。しかしながら、従来の感光性樹脂組成物ではポリベンゾオキサゾール被膜上に追加の被膜を形成する際に、密着性が不充分なために、現像・キュア後に剥離が発生するという問題があった。また、Si基板及びCu基板に対する樹脂の密着性を向上させる密着助剤は従来知られていたが、密着助剤を用いると、レリーフパターンの解像性又は耐熱性が悪化する問題があった。
【0006】
更に、金属再配線層のシード層を形成する際、金属を樹脂の表面に隙間なくスパッタする必要がある。そのためには、感光性樹脂パターンの開口部は、パターニングが終了した時点で、側面が底面に対して垂直よりもなだらかな順テーパー型、好ましくはテーパー角度が80°以下になっていることが望ましいが、従来の感光性樹脂組成物を用いても、パターニングが終了した時点で、開口部の側面を順テーパー型にすることが難しかった。
【0007】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、ポリベンゾオキサゾール樹脂、Si基板及びCu基板との密着性に優れ、解像度及び耐熱性が高く、更には開口部の側面が順テーパー型となる硬化膜を作製するための感光性樹脂組成物、該感光性樹脂組成物を用いる硬化レリーフパターンの製造方法、該硬化レリーフパターンを備える半導体装置、並びに、ポリベンゾオキサゾール樹脂との密着性に優れる樹脂膜がガラス転移温度250℃以下の樹脂基板上に積層されている積層体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、樹脂構造、開始剤の種類、及びカプラーの種類のうちのいずれかを特定することにより得られる感光性樹脂組成物が、ポリベンゾオキサゾール樹脂、Si基板及びCu基板との密着性に優れ、解像度及び耐熱性が高く、更には開口部の側面が順テーパー型となる硬化レリーフパターンを与えること、並びに、特定の樹脂を含み、かつ特定の架橋密度と特定の5%重量減少温度を有する樹脂膜が、ポリベンゾオキサゾール樹脂との密着性に優れると共に、ガラス転移温度250℃以下の樹脂基板上に積層されることができることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]
以下の成分:
(A)ポリイミド前駆体であるポリアミド酸、ポリアミド酸エステル、ポリアミド酸塩、ポリアミド酸アミド、ポリオキサゾール前駆体となり得るポリヒドロキシアミド、ポリアミノアミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾチアゾール、及びフェノール樹脂から成る群より選ばれる少なくとも1種の樹脂;
(B)感光剤;並びに
(C)多官能(メタ)アクリレート及び分子量1000未満の低分子量イミド化合物から成る群より選ばれる少なくとも1種;
を含む感光性樹脂組成物。
[2]
前記(A)成分が、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸、ポリアミド酸エステル、ポリアミド酸塩、ポリアミド酸アミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾイミダゾール、及びポリベンゾチアゾールから成る群より選ばれる少なくとも1種の樹脂である、[1]に記載の感光性樹脂組成物。
[3]
前記(C)成分が、前記分子量1000未満の低分子量イミド化合物である、[1]又は[2]に記載の感光性樹脂組成物。
[4]
前記(A)成分が、下記一般式(A1):
【化1】
{式中、X
1は、4価の有機基であり、Y
1は、2価の有機基であり、lは、2〜150の整数であり、R
1及びR
2は、それぞれ独立に、水素原子、又はラジカル重合可能な1価の有機基である。但し、R
1及びR
2の両者が同時に水素原子であることはない。}
で表されるポリイミド前駆体であり、かつ
前記(C)成分が、下記一般式(C1):
【化2】
{式中、R
3は単結合、水素原子又は1〜3価の有機基であり、R
4及びR
5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基又はハロゲン原子であり、そしてmは、1以上の整数である。}
で表されるマレイミドを含む、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[5]
前記(A)成分が、下記一般式(A2):
【化3】
{式中、X
2は、4価の有機基であり、Y
2は、2価の有機基であり、nは、2〜150の整数であり、R
6及びR
7は、それぞれ独立に、水素原子、下記一般式(A3):
【化4】
(式中、R
8、R
9及びR
10は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3の有機基であり、そしてpは、2〜10の整数である。)
で表される1価の有機基、又は炭素数1〜4の飽和脂肪族基である。但し、R
6及びR
7の両者が同時に水素原子であることはない。}
で表されるポリイミド前駆体である、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[6]
前記(C)成分が、下記一般式(C2):
【化5】
{式中、R
11は単結合、水素原子又は1〜3価の有機基であり、R
12及びR
13は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基又はハロゲン原子であり、そしてqは、2〜4の整数である。}
で表されるマレイミドを含む、[1]〜[5]のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[7]
前記(B)成分が、オキシム系光重合開始剤である、[1]〜[6]のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[8]
前記(B)成分が、下記(B1)及び(B2)成分:
(B1)0.001wt%溶液のi線吸光度が0.15〜0.5であり、かつ0.001wt%溶液のg線吸光度及びh線吸光度が0.2以下である、オキシムエステル化合物;及び
(B2)0.001wt%溶液のi線吸光度が0.1以下であり、かつ0.001wt%溶液のg線吸光度又はh線吸光度が0.05以上である、オキシムエステル化合物;
から成る群より選択される少なくとも1種を含む、[1]〜[7]のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[9]
前記(B1)成分の0.001wt%溶液のi線吸光度が、0.15〜0.35である、[8]に記載の感光性樹脂組成物。
[10]
前記(B1)成分が、下記一般式(B11)及び(B12):
【化6】
{式中、R
14はC
1〜C
10のフッ素含有アルキル基であり、R
15、R
16、及びR
17は、それぞれ独立に、C
1〜C
20のアルキル基、C
3〜C
20のシクロアルキル基、C
6〜C
20のアリール基、又はC
1〜C
20のアルコキシ基であり、かつrは0〜5の整数である。}
【化7】
{式中、R
18はC
1〜C
30の2価の有機基であり、R
19〜R
26は、それぞれ独立に、C
1〜C
20のアルキル基、C
3〜C
20のシクロアルキル基、C
6〜C
20のアリール基、又はC
1〜C
20のアルコキシ基であり、かつsは0〜3の整数である。}
で表されるオキシムエステル化合物から成る群より選択される少なくとも1種を含む、[8]又は[9]に記載の感光性樹脂組成物。
[11]
上記(A)〜(C)成分に加えて、
(D)下記一般式(D1):
【化8】
{式中、R
27及びR
28はC
1〜C
4のアルキル基であり、R
29はC
1〜C
6の2価の有機基であり、R
30は、窒素、酸素、及びイオウから成る群より選ばれる原子によってカルボニル基と結合するC
1〜C
20の有機基であり、tは1、2、及び3から選ばれる整数であり、uは0、1、及び2から選ばれる整数であり、かつt及びuは、t+u=3の関係を満たす。}
で表されるシリコン含有化合物を含む、[1]〜[10]のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[12]
前記(D)成分として、前記式(D1)で表されるシリコン含有化合物に加えて、下記一般式(D2):
【化9】
{式中、R
31及びR
32はC
1〜C
4のアルキル基であり、R
33はC
1〜C
6の2価の有機基であり、vは1、2、及び3から選ばれる整数であり、wは0、1、及び2から選ばれる整数であり、かつv及びwは、v+w=3の関係を満たす。}
で表されるシリコン含有化合物を更に含む、[11]に記載の感光性樹脂組成物。
[13]
上記(A)〜(C)成分に加えて、
(E)下記一般式(E1):
【化10】
{式中、R
34はC
1〜C
20の有機基もしくはシリコン含有有機基、R
35は、窒素、酸素、及びイオウから成る群より選ばれる原子によってチオカルボニル基と結合するC
1〜C
20の有機基である。}
で表されるイオウ含有化合物を含む、[1]〜[10]のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[14]
前記(A)成分100質量部に対して、
前記(B)成分0.1〜20質量部;及び
前記(C)成分1〜40質量部;
を含む、[1]〜[10]のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[15]
前記(A)成分100質量部に対して、
前記(B)成分0.1〜20質量部;及び
前記(C)成分10〜35質量部;
を含む、[1]〜[10]のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[16]
前記(A)成分100質量部に対して、
前記(B)成分0.1〜20質量部;
前記(C)成分1〜40質量部;及び
前記(D)成分0.1〜20質量部;
を含む、[11]又は[12]に記載の感光性樹脂組成物。
[17]
前記(A)成分100質量部に対して、
前記(B)成分0.1〜20質量部;
前記(C)成分10〜35質量部;及び
前記(D)成分0.1〜20質量部;
を含む、[11]又は[12]に記載の感光性樹脂組成物。
[18]
前記(A)成分100質量部に対して、
前記(B)成分0.1〜20質量部;
前記(C)成分1〜40質量部;及び
前記(E)成分0.1〜20質量部;
を含む、[13]に記載の感光性樹脂組成物。
[19]
前記(A)成分100質量部に対して、
前記(B)成分0.1〜20質量部;
前記(C)成分10〜35質量部;及び
前記(E)成分0.1〜20質量部;
を含む、[13]に記載の感光性樹脂組成物。
[20]
以下の成分:
(AX)感光性ポリイミド前駆体と;
下記(B1)及び(B2)成分:
(B1)0.001wt%溶液のi線吸光度が0.15〜0.5であり、かつ0.001wt%溶液のg線吸光度及びh線吸光度が0.2以下である、オキシムエステル化合物、及び
(B2)0.001wt%溶液のi線吸光度が0.1以下であり、かつ0.001wt%溶液のg線吸光度又はh線吸光度が0.05以上である、オキシムエステル化合物、
から成る群より選択される少なくとも1種と;
を含む、感光性樹脂組成物。
[21]
前記(AX)成分が、下記一般式(A2):
【化11】
{式中、X
2は、4価の有機基であり、Y
2は、2価の有機基であり、nは、2〜150の整数であり、R
6及びR
7は、それぞれ独立に、水素原子、下記一般式(A3):
【化12】
(式中、R
8、R
9及びR
10は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3の有機基であり、そしてpは、2〜10の整数である。)
で表される1価の有機基、又は炭素数1〜4の飽和脂肪族基である。但し、R
6及びR
7の両者が同時に水素原子であることはない。}
で表されるポリイミド前駆体である、[20]に記載の感光性樹脂組成物。
[22]
前記(B1)成分の0.001wt%溶液のi線吸光度が0.15〜0.35である、[20]又は[21]に記載の感光性樹脂組成物。
[23]
前記(B1)成分が、下記一般式(B11)及び(B12):
【化13】
{式中、R
14はC
1〜C
10のフッ素含有アルキル基であり、R
15、R
16、及びR
17は、それぞれ独立に、C
1〜C
20のアルキル基、C
3〜C
20のシクロアルキル基、C
6〜C
20のアリール基、又はC
1〜C
20のアルコキシ基であり、かつrは0〜5の整数である。}
【化14】
{式中、R
18はC
1〜C
30の2価の有機基であり、R
19〜R
26は、それぞれ独立に、C
1〜C
20のアルキル基、C
3〜C
20のシクロアルキル基、C
6〜C
20のアリール基、又はC
1〜C
20のアルコキシ基であり、かつsは0〜3の整数である。}
で表されるオキシムエステル化合物より成る群から選択される少なくとも1種を含む、[20]〜[22]のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[24]
前記(AX)成分100質量部に対する前記(B1)成分及び(B2)成分の合計含有量が、0.1〜10質量部である、[20]〜[23]のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[25]
前記(AX)成分100質量部に対する前記(B1)成分及び(B2)成分の合計含有量が0.5〜5質量部である、[20]〜[24]のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[26]
以下の成分:
(AY)ポリイミド前駆体;及び
(D)下記一般式(D1):
【化15】
{式中、R
27及びR
28はC
1〜C
4のアルキル基であり、R
29はC
1〜C
6の2価の有機基であり、R
30は、窒素、酸素、及びイオウから成る群より選ばれる原子によってカルボニル基と結合するC
1〜C
20の有機基であり、tは1、2、及び3から選ばれる整数であり、uは0、1、及び2から選ばれる整数であり、かつt及びuは、t+u=3の関係を満たす。}
で表されるシリコン含有化合物;
を含む、樹脂組成物。
[27]
前記(D)成分として、前記式(D1)で表されるシリコン含有化合物に加えて、下記一般式(D2):
【化16】
{式中、R
31及びR
32はC
1〜C
4のアルキル基であり、R
33はC
1〜C
6の2価の有機基であり、vは1、2、及び3から選ばれる整数であり、wは0、1、及び2から選ばれる整数であり、かつv及びwは、v+w=3の関係を満たす。}
で表されるシリコン含有化合物を更に含む、[26]に記載の樹脂組成物。
[28]
以下の成分:
(AY)ポリイミド前駆体;及び
(E)下記一般式(E1):
【化17】
{式中、R
34はC
1〜C
20の有機基又はシリコン含有有機基であり、R
35は窒素、酸素、及びイオウから成る群より選ばれる原子によってチオカルボニル基と結合するC
1〜C
20の有機基である。}
で表されるイオウ含有化合物;
を含む、樹脂組成物。
[29]
前記(AY)成分が、下記一般式(A2):
【化18】
{式中、X
2は、4価の有機基であり、Y
2は、2価の有機基であり、nは、2〜150の整数であり、R
6及びR
7は、それぞれ独立に、水素原子、下記一般式(A3):
【化19】
(式中、R
8、R
9及びR
10は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3の有機基であり、そしてpは、2〜10の整数である。)
で表される1価の有機基、又は炭素数1〜4の飽和脂肪族基である。但し、R
6及びR
7の両者が同時に水素原子であることはない。}
で表されるポリイミド前駆体である、[26]〜[28]のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
[30]
前記(AY)成分100質量部に対して、
前記(D1)成分0.1〜20質量部;及び
前記(D2)成分0.1〜20質量部;
を含む、[27]に記載の樹脂組成物。
[31]
前記(AY)成分100質量部に対して、前記(E)成分0.1〜20質量部を含む、[28]又は[29]に記載の樹脂組成物。
[32]
(B)感光剤を更に含有する、[26]〜[31]のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
[33]
以下の:
(1)[1]〜[25]のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物又は[32]に記載の樹脂組成物を基板上に塗布して、感光性樹脂層を該基板上に形成する工程と、
(2)該感光性樹脂層を露光する工程と、
(3)該露光後の感光性樹脂層を現像して、レリーフパターンを形成する工程と、
(4)該レリーフパターンを加熱処理に供して、硬化レリーフパターンを形成する工程と、
を含む、硬化レリーフパターンの製造方法。
[34]
[33]に記載の製造方法により得られる硬化レリーフパターンを備える、半導体装置。
[35]
以下の成分:
(A)ポリイミド前駆体であるポリアミド酸、ポリアミド酸エステル、ポリアミド酸塩、ポリアミド酸アミド、ポリオキサゾール前駆体となり得るポリヒドロキシアミド、ポリアミノアミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾチアゾール、及びフェノール樹脂から成る群より選ばれる少なくとも1種の樹脂、
を含み、
架橋密度が1.0×10
−4mol/cm
3以上、3.0×10
−3mol/cm
3以下であり、かつ
5%重量減少温度が250℃以上400℃以下である、
樹脂膜。
[36]
前記架橋密度が、3.0×10
−4mol/cm
3以上、2.0×10
−3mol/cm
3以下である、[35]に記載の樹脂膜。
[37]
前記(A)成分が、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸、ポリアミド酸エステル、ポリアミド酸塩、ポリアミド酸アミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾイミダゾール、及びポリベンゾチアゾールから成る群より選ばれる少なくとも1種の樹脂である、[35]又は[36]に記載の樹脂膜。
[38]
[35]〜[37]のいずれか1項に記載の樹脂膜が、ガラス転移温度が200℃以下の樹脂基板上に積層されている積層体。
[39]
[35]〜[37]のいずれか1項に記載の樹脂膜が、ガラス転移温度が250℃以下の樹脂基板上に積層されている積層体。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ポリベンゾオキサゾール樹脂、Si基板及びCu基板との密着性に優れ、解像度及び耐熱性が高く、更には開口部の側面が順テーパー型となる硬化膜を作製するための感光性樹脂組成物、該感光性樹脂組成物を用いる硬化レリーフパターンの製造方法、該硬化レリーフパターンを備える半導体装置、並びにポリベンゾオキサゾール樹脂との密着性に優れる樹脂膜、及び該樹脂膜がガラス転移温度250℃以下の樹脂基板上に積層されている積層体を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明について、以下に具体的に説明する。なお本明細書を通じ、一般式において同一符号で表されている構造は、分子中に複数存在する場合、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0012】
<樹脂組成物>
(A)ポリイミド前駆体であるポリアミド酸、ポリアミド酸エステル、ポリアミド酸塩、ポリアミド酸アミド、ポリオキサゾール前駆体となり得るポリヒドロキシアミド、ポリアミノアミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾチアゾール、及びフェノール樹脂から成る群より選ばれる少なくとも1種の樹脂;
(B)感光剤;及び
(C)多官能(メタ)アクリレート及び分子量1000未満の低分子量イミド化合物から成る群より選ばれる少なくとも1種;
を含む樹脂組成物について説明する。
【0013】
(A)成分
本組成物中で用いられる(A)成分は、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸、ポリアミド酸エステル、ポリアミド酸塩、ポリアミド酸アミド、ポリオキサゾール前駆体となり得るポリヒドロキシアミド、ポリアミノアミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾチアゾール、及びフェノール樹脂から成る群より選ばれる少なくとも1種の樹脂である。中でも、ポリベンゾオキサゾール樹脂との密着性の観点から、ポリアミド酸、ポリアミド酸エステル、ポリアミド酸塩、ポリアミド酸アミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾチアゾールから成る群より選ばれる少なくとも1種の樹脂が好ましい。
【0014】
これらの樹脂の重量平均分子量は、熱処理後の耐熱性及び機械特性の観点から、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算で、1,000以上であることが好ましく、5,000以上がより好ましい。重量平均分子量の上限は100,000以下であることが好ましい。
【0015】
(A)成分の樹脂は、樹脂組成物でレリーフパターンを形成するために、感光性樹脂であることが好ましい。感光性樹脂は、後述の(B)感光剤とともに使用されると、感光性樹脂組成物を形成し、その後の現像工程において溶解又は未溶解による現像を引き起こす樹脂である。
【0016】
感光性樹脂としては、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸、ポリアミド酸エステル、ポリアミド酸塩、ポリアミド酸アミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾイミダゾール、及びポリベンズチアゾールの中でも、熱処理後の樹脂が耐熱性及び機械特性に優れるという観点から、ポリイミド前駆体、ポリアミド、及び/又はポリイミドが好ましく用いられる。また、これらの感光性樹脂は、後述の(B)感光剤とともに、ネガ型とポジ型の何れの感光性樹脂組成物を調製するかという観点等から、所望の用途に応じて選択されることができる。
【0017】
[ポリイミド前駆体]
本発明の樹脂組成物において、耐熱性及び感光性の観点から、(A)樹脂、(AX)感光性ポリイミド前駆体及び(AY)ポリイミド前駆体の一つは、好ましくは、下記一般式(A1):
【化20】
{式中、X
1は、4価の有機基であり、Y
1は、2価の有機基であり、lは、2〜150の整数であり、R
1及びR
2は、それぞれ独立に、水素原子、又はラジカル重合可能な1価の有機基である。但し、R
1及びR
2の両者が同時に水素原子であることはない。}
で表わされる構造を有するポリアミドであり、より好ましくは、下記一般式(A2):
【化21】
{式中、X
2は、4価の有機基であり、Y
2は、2価の有機基であり、nは、2〜150の整数であり、R
6及びR
7は、それぞれ独立に、水素原子、下記一般式(A3):
【化22】
(式中、R
8、R
9及びR
10は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3の有機基であり、そしてpは、2〜10の整数である。)
で表される1価の有機基、又は炭素数1〜4の飽和脂肪族基である。但し、R
6及びR
7の両者が同時に水素原子であることはない。}
で表される構造を有するポリアミドである。
(A)樹脂、(AX)感光性ポリイミド前駆体、又は(AY)ポリイミド前駆体は、加熱(例えば180℃以上)環化処理によって、ポリイミドに変換される。
【0018】
一般式(A2)中、X
2で表される4価の有機基は、耐熱性及び感光特性の観点から、好ましくは炭素数6〜40の有機基であり、さらに好ましくは、−COOR
6基及び−COOR
7基と−CONH−基とが互いにオルト位置にある芳香族基、又は脂環式脂肪族基である。X
2で表される4価の有機基として、さらに好ましくは、下記式:
【化23】
で表される構造が挙げられるが、これらに限定されるものではない。X
2の構造は1種でも2種以上の組み合わせでもよい。
【0019】
一般式(A2)中、Y
2で表される2価の有機基は、耐熱性及び感光特性の観点から、好ましくは炭素数6〜40の芳香族基であり、例えば、下記式:
【化24】
【化25】
{式中、Aは、メチル基(−CH
3)、エチル基(−C
2H
5)、プロピル基(−C
3H
7)又はブチル基(−C
4H
9)を表す。}
で表される構造が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、Y
2の構造は1種でも2種以上の組み合わせでもよい。
【0020】
R
6及びR
7については、一般式(A3)中のR
8は、水素原子又はメチル基であることが好ましく、R
9及びR
10は、感光特性の観点から水素原子であることが好ましい。また、pは、感光特性の観点から、好ましくは2以上10以下の整数であり、より好ましくは2以上4以下の整数である。
【0021】
(A)成分の樹脂としてポリイミド前駆体を用いる場合、及び(AX)感光性ポリイミド前駆体又は(AY)ポリイミド前駆体を用いる場合に、感光性樹脂組成物に感光性を付与する方式としては、エステル結合型とイオン結合型とが挙げられる。前者は、ポリイミド前駆体の側鎖にエステル結合によって光重合性基、すなわちオレフィン性二重結合を有する化合物を導入する方法であり、後者は、ポリイミド前駆体のカルボキシル基と、アミノ基を有する(メタ)アクリル化合物のアミノ基とをイオン結合を介して結合させて、光重合性基を付与する方法である。
【0022】
[ポリイミド前駆体の調製方法]
エステル結合型のポリイミド前駆体は、まず、前述の4価の有機基X
2を含むテトラカルボン酸二無水物と、光重合性の不飽和二重結合を有するアルコール類及び任意に飽和脂肪族アルコール類とを反応させて、部分的にエステル化したテトラカルボン酸(以下、アシッド/エステル体ともいう)を調製した後、これと、前述の2価の有機基Y
2を含むジアミン類とをアミド重縮合させることにより得られる。
【0023】
(アシッド/エステル体の調製)
エステル結合型のポリイミド前駆体を調製するために好適に用いられる、4価の有機基X
2を含むテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、無水ピロメリット酸、ジフェニルエーテル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルスルホン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルメタン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−無水フタル酸)プロパン、2,2−ビス(3,4−無水フタル酸)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で又は2種以上の混合物として使用されることができる。
【0024】
エステル結合型のポリイミド前駆体を調製するために好適に用いられる、光重合性の不飽和二重結合を有するアルコール類としては、例えば、2−アクリロイルオキシエチルアルコール、1−アクリロイルオキシ−3−プロピルアルコール、2−アクリルアミドエチルアルコール、メチロールビニルケトン、2−ヒドロキシエチルビニルケトン、2−ヒドロキシ−3−メトキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−t−ブトキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルオキシプロピルアクリレート、2−メタクリロイルオキシエチルアルコール、1−メタクリロイルオキシ−3−プロピルアルコール、2−メタクリルアミドエチルアルコール、2−ヒドロキシ−3−メトキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−t−ブトキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルオキシプロピルメタクリレート等が挙げられる。
【0025】
光重合性の不飽和二重結合を有するアルコール類に、炭素数1〜4の飽和脂肪族アルコールとして、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノール等を混合して用いることもできる。
【0026】
上記で説明した好ましいテトラカルボン酸二無水物と上記で説明した好ましいアルコール類とを、ピリジン等の塩基性触媒の存在下、適当な反応溶媒中、温度20〜50℃で4〜10時間に亘って撹拌し、溶解し、混合することにより、酸無水物のエステル化反応が進行し、所望のアシッド/エステル体を得ることができる。
【0027】
反応溶媒としては、アシッド/エステル体、及びこれとジアミン成分とのアミド重縮合生成物であるポリイミド前駆体を完全に溶解する溶媒が好ましく、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。
【0028】
その他の反応溶媒としては、ケトン類、エステル類、ラクトン類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類等が挙げられ、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、シュウ酸ジエチル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジクロロブタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。これらは、必要に応じて、単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。
【0029】
(ポリイミド前駆体の調製)
アシッド/エステル体(典型的には、反応溶媒中の溶液)に、氷冷下、適当な脱水縮合剤、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン、1,1−カルボニルジオキシ−ジ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、N,N’−ジスクシンイミジルカーボネート等を投入し、混合してアシッド/エステル体をポリ酸無水物に変換する。その後、好ましい2価の有機基Y
1を含むジアミン類を別途溶媒に溶解又は分散させた溶液又は分散体を、ポリ酸無水物に滴下し、アミド重縮合させることにより、目的の感光性樹脂を得ることができる。
【0030】
2価の有機基Y
1を含む好ましいジアミン類としては、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノビフェニル、3,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、4,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、1,4−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、9,10−ビス(4−アミノフェニル)アントラセン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(3−アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン、オルト−トリジンスルホン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン;これらのジアミン類のベンゼン環上の水素原子の一部が、メチル基、エチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ハロゲン等で置換された化合物、例えば3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル;並びにこれらの混合物等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0031】
さらに、本発明の感光性樹脂組成物を基板上に塗布することによって基板上に形成される感光性樹脂層と各種基板との密着性を向上させるために、(A)成分の樹脂としてポリイミド前駆体を用いる場合、及び(AX)感光性ポリイミド前駆体又は(AY)ポリイミド前駆体を調製する場合、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラフェニルジシロキサン等のジアミノシロキサン類を共重合することもできる。
【0032】
アミド重縮合反応の終了後、反応液中に共存している脱水縮合剤の吸水副生物を、必要に応じて濾別した後、水、脂肪族低級アルコール、又はその混合液等の貧溶媒を、得られた重合体成分に投入し、重合体成分を析出させ、さらに、再溶解、再沈析出操作等を繰り返すことにより、重合体を精製し、真空乾燥を行い、目的のポリイミド前駆体を単離する。精製度を向上させるために、陰イオン及び/又は陽イオン交換樹脂を適当な有機溶媒で膨潤させて充填したカラムに、この重合体の溶液を通し、イオン性不純物を除去してもよい。
【0033】
エステル結合型のポリイミド前駆体の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算で、8,000〜150,000であることが好ましく、9,000〜50,000であることがより好ましい。重量平均分子量が8,000以上である場合、機械物性が良好であり、150,000以下である場合、現像液への分散性が良好であり、かつレリーフパターンの解像性能が良好である。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーの展開溶媒としては、テトラヒドロフラン、及び/又はN−メチル−2−ピロリドンが推奨される。また分子量は標準単分散ポリスチレンを用いて作成した検量線から求める。標準単分散ポリスチレンとしては、昭和電工社製の有機溶媒系標準試料STANDARD SM−105を選ぶことが好ましい。
【0034】
(B)感光剤
(B)感光剤としては、UV硬化用の光重合開始剤として従来用いられている化合物を任意に選択できる。(B)感光剤として好適に使用できる化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン等のベンゾフェノン誘導体;2,2’−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のアセトフェノン誘導体;チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン等のチオキサントン誘導体;ベンジル(benzil)、ベンジルジメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール等のベンジル誘導体;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等のベンゾイン誘導体;1−フェニル−1,2−ブタンジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、1,3−ジフェニルプロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシプロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム等のオキシム類;N−フェニルグリシン等のN−アリールグリシン類;ベンゾイルパークロライド等の過酸化物類;芳香族ビイミダゾール類等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらの1種を使用しても2種以上の混合物を使用してもよい。これらの中では、特に光感度の観点から、オキシム類がより好ましい。
【0035】
(B)感光剤として用いられるオキシム類は、下記(B1)及び(B2)成分:
(B1)0.001wt%溶液について、g線吸光度及びh線吸光度が0.2以下であり、かつi線吸光度が0.15〜0.5であるオキシムエステル化合物;及び
(B2)0.001wt%溶液について、g線吸光度又はh線吸光度が0.05以上であり、かつi線吸光度が0.1以下であるオキシムエステル化合物;
から成る群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
オキシムエステル化合物の吸光度は、該化合物をN−メチルピロリドンに0.001wt%の濃度で溶解させ、1cmの石英セル及び通常の分光光度計を用いて測定することができる。
【0036】
(B1)成分として好ましい化合物としては、例えばイルガキュアOXE03(BASF社製、商品名)、アデカオプトマーNCI831(ADEKA社製、商品名)、TR−PBG326(常州強力電子新材料有限公司製、商品名)、HTPI426(ヘレウス社製、商品名)、HTPI428(ヘレウス社製、商品名)等、又はこれらの混合物等が挙げられる。
【0037】
(B1)成分として、0.001wt%溶液のi線吸光度が0.15より小さい化合物を使用すると、吸光度が十分でないため、硬化のために大量の開始剤を添加する必要が生ずる。その場合は、塗膜表面における酸素阻害の影響を受け難くなるため、表面硬化度が上がって、露光及び現像後の開口部が順テーパー形状にならない。i線吸光度が0.5を超える場合、又はg線吸光度及びh線吸光度の少なくとも一方が0.2を超える場合についても、吸光度が高すぎて表面硬化が進行し易く、露光及び現像後の開口部が順テーパー形状にならない。
【0038】
より好ましい(B1)成分は、0.001wt%溶液のi線吸光度が0.15〜0.35のオキシムエステル化合物であり、さらに好ましい(B1)成分は、下記一般式(B11)及び(B12):
【0039】
【化26】
{式中、R
14はC
1〜C
10のフッ素含有アルキル基であり、R
15、R
16、及びR
17は、それぞれ独立に、C
1〜C
20のアルキル基、C
3〜C
20のシクロアルキル基、C
6〜C
20のアリール基、又はC
1〜C
20のアルコキシ基であり、かつrは0〜5の整数である。}
【0040】
【化27】
{式中、R
18はC
1〜C
30の2価の有機基であり、R
19〜R
26は、それぞれ独立に、C
1〜C
20のアルキル基、C
3〜C
20のシクロアルキル基、C
6〜C
20のアリール基、又はC
1〜C
20のアルコキシ基であり、かつsは0〜3の整数である。}
で表されるオキシムエステル化合物から成る群より選択される少なくとも1種である。
【0041】
本発明の感光性樹脂組成物において、(B2)成分のオキシムエステル化合物も光重合開始剤として機能する。
(B2)成分のオキシムエステル化合物の吸光度は、(B1)成分のオキシムエステル化合物の場合と同様にして測定されることができる。
【0042】
(B2)成分として好ましい化合物としては、例えばTR−PBG340(常州強力電子新材料有限公司製、商品名)が挙げられる。
【0043】
(B2)成分として、0.001wt%溶液のg線吸光度及びh線吸光度が0.05より小さい化合物を使用すると、吸光度が十分でないため、硬化のために大量の開始剤を添加する必要が生ずる。その場合は、塗膜表面における酸素阻害の影響を受け難くなるため、表面硬化度が上がって、露光及び現像後の開口部が順テーパー形状にならない。i線吸光度が0.1を超える場合についても、吸光度が高すぎて表面硬化が進行し易く、露光及び現像後の開口部が順テーパー形状にならない。
【0044】
(A)樹脂、(AX)感光性ポリイミド前駆体又は(AY)ポリイミド前駆体100質量部に対する(B1)成分及び(B2)成分の合計使用量は、0.1〜20質量部の範囲にあることが好ましく、より好ましくは0.5〜5質量部の範囲である。(B1)成分及び(B2)成分の合計使用量が、(A)樹脂、(AX)感光性ポリイミド前駆体又は(AY)ポリイミド前駆体100質量部に対して、0.1質量部以上であるとき、光感度に優れ、そして20質量部以下であるとき、順テーパー性に優れる。
【0045】
(C)多官能(メタ)アクリレート及び分子量1000未満の低分子量イミド化合物から成る群より選ばれる少なくとも1種
(C)成分は、多官能(メタ)アクリレート及び分子量1000未満の低分子量イミド化合物から成る群より選ばれる少なくとも1種である。「(メタ)アクリレート」は、アクリレート又はメタクリレートを意味する。(C)成分は、重合可能なモノマーでよい。(C)成分のみを重合することにより得られるホモポリマーのガラス転移温度は、200℃以上であることが好ましい。
【0046】
多官能(メタ)アクリレートとしては、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0047】
分子量1000未満の低分子量イミド化合物は、下記一般式(C1):
【化28】
{式中、R
3は単結合、水素原子又は1〜3価の有機基であり、R
4及びR
5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基又はハロゲン原子であり、そしてmは、1以上の整数である。}
で表されるマレイミドであることが好ましい。
式(C1)において、mは、2以上の整数又は3以上の整数でもよい。
【0048】
分子量1000未満の低分子量イミド化合物は、下記一般式(C2):
【化29】
{式中、R
11は単結合、水素原子又は1〜3価の有機基であり、R
12及びR
13は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基又はハロゲン原子であり、そしてqは、2〜4の整数である。}
で表されるマレイミドであることがより好ましい。
【0049】
(C)成分として低分子量イミド化合物を用いることにより、ポリベンゾオキサゾール樹脂上での現像後密着性に優れる硬化膜を得ることができる。ポリベンゾオキサゾール樹脂上でのレリーフパターンが現像後密着性に優れるメカニズムは定かではないが、レリーフパターンの塗膜形成時の溶媒乾燥のための加熱工程(約100℃)において、(C)成分としての低分子量イミド化合物とポリベンゾオキサゾール樹脂とがスタッキングし、樹脂界面で相互作用することにより、現像時における塗膜とポリベンゾオキサゾール樹脂との間の界面への現像液の染み込み、又は溶媒和による溶解が抑止され、結果としてレリーフパターンの剥がれが抑制されると推察される。
【0050】
(C)低分子量イミド化合物の具体例としては、1−フェニルピロリジン−2,5−ジオン、スクシンイミド、N−ペンチルスクシンイミド、グルタジン、2,6(1H,3H)−ピリジンジオン、N−エチルマレイミド、フルオルイミド、N−フェニルマレイミド、N−(4−クロロフェニル)マレインイミド、N−(2−クロロフェニル)マレインイミド、N−(4−メチルフェニル)マレインイミド、N−(4−エトキシフェニル)マレインイミド、N−イソプロピルマレインイミド、N−メチルマレインイミド、N−(2−ニトロフェニル)マレインイミド、N−(2−メチルフェニル)マレインイミド、1−(2,4−ジメチルフェニル)−3−ピロリン−2,5−ジオン、1−(1,1’−ビフェニル−4−イル)−1H−ピロール−2,5−ジオン、N−シクロヘキシルマレインイミド、N−ブチルマレインイミド、1−(ヒドロキシメチル)−1H−ピロール−2,5−ジオン、3−メチル−4−ビニル−1H−ピロール−2,5−ジオン、N−(4−アミノフェニル)マレインイミド、3,4−ジブロモ−3−ピロリン−2,5−ジオン、N−ベンジルマレインイミド、6,7−メチレンジオキシ−4−メチル−3−マレイミドクマリン、マレイミド、2,3−ジクロロマレインイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレインイミド、N−(4−アセチルフェニル)マレインイミド、N−プロピルマレインイミド、N−(1−ピレニル)マレインイミド、N−(4−メトキシフェニル)マレインイミド、N−(フルオランテン−3−イル)マレインイミド、N−(4−ビニルフェニル)マレインイミド、N−(m−ビニルフェニル)マレイミド、4−[(2,5−ジオキソ−1−ピロリル)メチル]シクロヘキサンカルボン酸スクシンイミジル、エオシン−5−マレイミド、スクアレンマレイミド、N−(2,4,6−トリブロモフェニル)マレインイミド、ベンゾフェノン−4−マレイミド、マレイミドニトロキシド、N−(3−ニトロフェニル)マレインイミド、N−(4−ニトロフェニル)マレインイミド、2,5−ジオキソ−3−ピロリン−1−ヘキサン酸、3−(N−マレイミジルプロピオニル)ビオシチン、N−(2,4−ジニトロアニリノ)マレインイミド、クマリンマレイミド、N−(4−ブロモフェニル)マレインイミド、N−イソブチルマレイミド、N−tert−ブチルマレインイミド、N−オクチルマレインイミド、N−デシルマレインイミド、N−ブロモメチルマレイミド、N−シアノメチルマレイミド、N−エトキシメチルマレイミド、N−3−ニトロ−4−メチルベンジルマレイミド、N−アリールオキシメチルマレイミド、N−アミノメチルマレイミド、N−ジエチルアミノメチルマレイミド、N−ジブチルアミノメチルマレイミド、N−(1−ピペリジノメチル)マレイミド、N−(1−モルホリノメチル)マレイミド、N−アニリノメチルマレイミド、N−(2−エトキシエチル)マレイミド、プロピオン酸2−(2,5−ジオキソ−3−ピロリン−1−イル)エチル、N−(2,2,2−トリフルオロエチル)マレイミド、N−(メチルマレオイルエチル)マレイミド、N−(3−アセトキシプロピル)マレイミド、1−(2−ヒドロキシプロピル)−1H−ピロール−2,5−ジオン、N−メトキシマレインイミド、N−アセチルオキシマレイミド、N−ベンジルオキシマレイミド、N−ベンゼンスルホニルオキシマレイミド、N−(ジメチルアミノ)マレイミド、N−アセチルアミノマレイミド、N−(1−モルホリノ)マレイミド、N−(フェニルスルホニル)マレイミド、N−アニリノマレインイミド、N,N’−(1,2−フェニレン)ビス(マレインイミド)、N,N’−(1,3−フェニレン)ビス(マレインイミド)、N,N’−エチレンビス(マレインイミド)、1,6−ビスマレイミドヘキサン、N−ドデシルマレインイミド、N−(2−メトキシフェニル)マレインイミド、N−(クロロメチル)マレインイミド、N,N’−(4−メチル−1,3−フェニレン)ビス(マレインイミド)、4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン、N,N’−(1,4−フェニレン)ビス(マレインイミド)、ポリフェニレンメタンマレイミド、N,N’−[スルホニルビス(4,1−フェニレン)]ビス(マレインイミド)、N−[4−(フェニルアゾ)フェニル]マレインイミド、1,1’−(2,2,4−トリメチルヘキサン−1,6−ジイル)ビス(1H−ピロール−2,5−ジオン)、1,1’−[メチレンビス(2−エチル−6−メチル−4,1−フェニレン)]ビス(1H−ピロール−2,5−ジオン)、N,N’−[(1,3−フェニレン)ビスオキシビス(3,1−フェニレン)]ビス(マレインイミド)、N−(4−マレイミドブチリルオキシ)スクシンイミド、N−(8−マレイミドカプリルオキシ)スクシンイミド、4−[(2,5−ジオキソ−1−ピロリル)メチル]シクロヘキサン−1−カルボン酸3−スルホスクシンイミジル、2,2’,3,3’−テトラフェニル−N,N’−エチレンジマレイミド、フルオレセインマレイミド、N,N’,N’’−[ニトリロトリス(エチレン)]トリス(マレインイミド)、等が挙げられる。
【0051】
ポリベンゾオキサゾール樹脂との分子間相互作用の観点から、低分子量イミド化合物は環状構造を有することが好ましく、環状構造中に不飽和結合を有することがより好ましい。環状構造中に不飽和結合を有する低分子量イミド化合物の中でも、一般式(C1)又は(C2)で表わされるように、平面性があり、かつベンゾオキサゾールと立体的にスタッキングし易いマレイミド構造を有する化合物が、ポリベンゾオキサゾール樹脂上での現像後密着性の観点から、より好ましい。
【0052】
さらに、マレイミド構造を有する化合物の中でも、架橋反応により現像液に溶解し難くなるという観点から、2価のマレイミドが、1価のマレイミドよりも好ましい。また、2価のマレイミドは、3価のマレイミドよりも立体障害が小さく、かつポリベンゾオキサゾールとスタッキングし易い。そのため、ポリベンゾオキサゾール樹脂との密着性という観点から、ビスマレイミドがさらに好ましい。中でも、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン、又はポリフェニレンメタンマレイミドは、感光性樹脂組成物のキュア時の収縮を抑制し、かつポリイミド又はポリベンゾオキサゾール樹脂との密着性を向上させるという観点から、さらに好ましい。
【0053】
(C)成分の配合量は、感光性樹脂組成物が(A)成分の樹脂100質量部、及び(B)成分0.1〜20質量部を含むときに、1〜40質量部であり、好ましくは10〜35質量部である。(C)成分の配合量が1質量部未満であると、密着性が不十分であり、40質量部を超えると、当該組成物から得られる硬化レリーフパターンが脆くなり、パッシベーション膜、バッファーコート膜、層間絶縁膜等の用途に適さない。
【0054】
(D)シリコン含有化合物
(D)成分は、下記一般式(D1):
【化30】
{式中、R
27及びR
28はC
1〜C
4のアルキル基であり、R
29はC
1〜C
6の2価の有機基であり、R
30は窒素、酸素、及びイオウから選ばれる原子によってカルボニル基と結合するC
1〜C
20の有機基であり、tは1、2、及び3から選ばれる整数であり、uは0、1、及び2から選ばれる整数であり、かつt及びuは、t+u=3の関係を満たす。}
で表されるシリコン含有化合物である。
【0055】
R
30としては、具体的には、
メチルアミノ基、エチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、n−ヘキシルアミノ基、n−オクチルアミノ基、イソプロピルアミノ基、イソブチルアミノ基、t−ブチルアミノ基、イソアミルアミノ基、シクロペンチル基、シクロヘキシルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基等のモノ及びジアルキアルアミノ基;
フェニルアミノ基、ベンジルアミノ基、ジフェニルアミノ基等の芳香環含有アミノ基;
ピコリル基、アミノトリアジル基、フルフリルアミノ基、モルホリノ基等の複素環含有アミノ基;
メトキシ基、エトキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘシルオキシ基等のアルコキシ基;
フェノキシ基、ベンジルオキシ基、トリルオキシ基等のアルキルアリールオキシ基又はアリールアルキルオキシ基;
フルフリルアルコキシ基、2−ピリジニルエトキシ基等の複素環含有アルコキシ基;
メチルチオ基、エチルチオ基、n−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基、ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基等のアルキルチオ基又はフェニルチオ基;
これらの混合物、等が挙げられる。
【0056】
式(D1)で表されるシリコン含有化合物は、アミノ基を有するケイ素化合物にイソシアネート化合物を反応させる方法、イソシアネート基を有するケイ素化合物にアミン、アルコール、又はチオールを反応させる方法等により得られる。
【0057】
式(D1)で表されるシリコン含有化合物の配合量は、(A)樹脂、(AX)感光性ポリイミド前駆体又は(AY)ポリイミド前駆体100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましく、耐熱性及び密着性を向上させるという観点から0.5〜10質量部であることがより好ましい。式(D1)で表されるシリコン含有化合物を(A)樹脂、(AX)感光性ポリイミド前駆体又は(AY)ポリイミド前駆体100質量部に対して0.1質量部以上配合することにより、優れた密着性が担保され、20質量部以下で配合することにより、優れた耐熱性が保持される。
【0058】
(D)成分として、式(D1)で表されるシリコン含有化合物に加えて、下記一般式(D2):
【化31】
{式中、R
31及びR
32はC
1〜C
4のアルキル基であり、R
33はC
1〜C
6の2価の有機基であり、vは1、2、及び3から選ばれる整数であり、wは0、1、及び2から選ばれる整数であり、かつv及びwは、v+w=3の関係を満たす。}
で表されるシリコン含有化合物を感光性樹脂組成物に更に加えることが好ましい。
【0059】
式(D2)で表されるシリコン含有化合物としては、例えば、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルエトキシジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルジエトキシメトキシシラン、3−ウレイドプロピルメチルジエトキシシラン、3−ウレイドプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルエチルジエトキシシラン、3−ウレイドプロピルエチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルジメチルエトキシシラン、3−ウレイドプロピルジメチルメトキシシラン等、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0060】
式(D2)で表されるシリコン含有化合物の配合量は、(A)樹脂、(AX)感光性ポリイミド前駆体又は(AY)ポリイミド前駆体100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましく、耐熱性及び密着性を向上させるという観点から0.5〜10質量部であることがより好ましい。本発明の樹脂組成物を感光性樹脂組成物として調製する場合、式(D1)で表されるシリコン含有化合物に加えて、更に式(D2)で表されるシリコン含有化合物を樹脂組成物に添加することにより、得られるレリーフパターンの密着性及び耐熱性を向上させつつ、解像性を向上させることができる。
【0061】
(E)イオウ含有化合物
(E)成分は、下記一般式(E1):
【化32】
{式中、R
34はC
1〜C
20の有機基もしくはシリコン含有有機基、R
35は窒素、酸素、及びイオウから選ばれる原子によってチオカルボニル基と結合するC
1〜C
20の有機基である。}
で表されるイオウ含有化合物である。
【0062】
R
34については、C
1〜C
20の有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、トリル基、ベンジル基等が挙げられ、そしてシリコン含有有機基としては、トリメトキシシリルプロピル基、トリエトキシシリルプロピル基、メチルジメトキシシリルプロピル基、メチルジエトキシシリルプロピル基、トリエトキシシリルエチル基等が挙げられる。
【0063】
R
35としては、例えば、
メチルアミノ基、エチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、n−ヘキシルアミノ基、n−オクチルアミノ基、イソプロピルアミノ基、イソブチルアミノ基、t−ブチルアミノ基、イソアミルアミノ基、シクロペンチル基、シクロヘキシルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基等のモノ及びジアルキアルアミノ基;
フェニルアミノ基、ベンジルアミノ基、ジフェニルアミノ基等の芳香環含有アミノ基;
ピコリル基、アミノトリアジル基、フルフリルアミノ基、モルホリノ基等の複素環含有アミノ基;
メトキシ基、エトキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘシルオキシ基等のアルコキシ基;
フェノキシ基、ベンジルオキシ基、トリルオキシ基等のアルキルアリールオキシ基又はアリールアルキルオキシ基;
フルフリルアルコキシ基、2−ピリジニルエトキシ基等の複素環含有アルコキシ基;
メチルチオ基、エチルチオ基、n−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基、ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基等のアルキルチオ基又はフェニルチオ基;
等が挙げられる。
【0064】
(E)イオウ含有化合物の配合量は、(A)樹脂、(AX)感光性ポリイミド前駆体又は(AY)ポリイミド前駆体100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましく、耐熱性及び密着性を向上させるという観点から0.5〜10質量部であることがより好ましい。(E)イオウ含有化合物を(A)樹脂、(AX)感光性ポリイミド前駆体又は(AY)ポリイミド前駆体100質量部に対して0.1質量部以上で配合することにより、優れた密着性が担保され、20質量部以下で配合することにより、優れた耐熱性が保持される。
【0065】
その他の成分
本発明の脂組成物は、(A)〜(E)成分以外の成分をさらに含有してもよい。
その他の成分としては、溶剤を使用することができる。その場合、(A)〜(E)成分を溶剤に溶解して、ワニス状のネガ型感光性樹脂組成物を得ることができる。
溶剤としては、(A)樹脂、(AX)感光性ポリイミド前駆体又は(AY)ポリイミド前駆体に対する溶解性の観点から、極性の有機溶剤を用いることが好ましい。具体的には、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、シクロペンタノン、γ−ブチロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリノン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン等が使用される。これらは単独又は2種以上の組合せで用いることができる。
【0066】
溶剤は、樹脂組成物の所望の塗布膜厚及び粘度に応じて、(A)樹脂、(AX)感光性ポリイミド前駆体又は(AY)ポリイミド前駆体100質量部に対して、例えば30〜1500質量部の範囲で、好ましくは100〜1000質量部の範囲で使用されることができる。
【0067】
更に、樹脂組成物の保存安定性を向上させるという観点から、アルコール類を含む溶剤が好ましい。アルコール類としては、例えば、分子内にアルコール性水酸基を有し、かつオレフィン系二重結合を有さないアルコールであり、その具体例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等のアルキルアルコール類;乳酸エチル等の乳酸エステル類;プロピレングリコール−1−メチルエーテル、プロピレングリコール−2−メチルエーテル、プロピレングリコール−1−エチルエーテル、プロピレングリコール−2−エチルエーテル、プロピレングリコール−1−(n−プロピル)エーテル、プロピレングリコール−2−(n−プロピル)エーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル等のモノアルコール類;2−ヒドロキシイソ酪酸エステル類;エチレングリコール、及びプロピレングリコール等のジアルコール類が挙げられる。これらの中でも、アルキルアルコール類、乳酸エステル類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、及び2−ヒドロキシイソ酪酸エステル類が好ましい。アルキルアルコール類としてはエチルアルコールが好ましい。乳酸エチル、プロピレングリコール−1−メチルエーテル、プロピレングリコール−1−エチルエーテル、及びプロピレングリコール−1−(n−プロピル)エーテルがより好ましい。
【0068】
溶剤が、オレフィン系二重結合を有さないアルコールを含有する場合、全溶剤中に占める、オレフィン系二重結合を有さないアルコールの含有量は、5〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜30質量%である。オレフィン系二重結合を有さないアルコールの含有量が5質量%以上であると、樹脂組成物の保存安定性が良好であり、50質量%以下であると、(A)樹脂、(AX)感光性ポリイミド前駆体又は(AY)ポリイミド前駆体の溶解性が良好である。
【0069】
本発明の樹脂組成物は、上述した(A)樹脂、(AX)感光性ポリイミド前駆体及び(AY)ポリイミド前駆体以外の樹脂成分をさらに含有してもよい。含有できる樹脂成分としては、エポキシ樹脂、シロキサン樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。これらの樹脂成分の配合量は、(A)樹脂、(AX)感光性ポリイミド前駆体又は(AY)ポリイミド前駆体100質量部に対して、0.01〜20質量部の範囲にあることが好ましい。
【0070】
本発明の樹脂組成物が感光性である場合、樹脂組成物は、上述した(B1)及び(B2)成分以外の感光剤を含んでよく、そして(B1)及び(B2)成分以外の感光剤として、UV硬化のために通常用いられている光重合開始剤を任意に選択できる。
通常用いられている光重合開始剤としては、限定されるものではないが、例えば、
ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン等のベンゾフェノン誘導体;
2,2’−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のアセトフェノン誘導体;
チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン等のチオキサントン誘導体;
ベンジル、ベンジルジメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール等のベンジル誘導体;
ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等のベンゾイン誘導体;
1−フェニル−1,2−ブタンジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、1,3−ジフェニルプロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシプロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、イルガキュアOXE01(BASF社製、商品名)、イルガキュアOXE02(BASF社製、商品名)、アデカオプトマーN−1919(ADEKA社製、商品名)、TR−PBG304(常州強力電子新材料有限公司製、商品名)、TR−PBG305(常州強力電子新材料有限公司製、商品名)等のオキシム類;
N−フェニルグリシン等のN−アリールグリシン類;
ベンゾイルパークロライド等の過酸化物類;
芳香族ビイミダゾール類;
等が好ましい。
これらの1種又は2種以上の混合物を使用してよい。上記の感光剤の中では、光感度の観点から、オキシム類がより好ましい。
【0071】
上記感光剤の配合量は、(A)樹脂、(AX)感光性ポリイミド前駆体又は(AY)ポリイミド前駆体100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましく、光感度の観点から2〜15質量部であることが好ましい。上記感光剤を(A)樹脂、(AX)感光性ポリイミド前駆体又は(AY)ポリイミド前駆体100質量部に対して0.1質量部以上で配合することにより、光感度に優れる感光性樹脂組成物を得ることができ、20質量部以下で配合することにより、厚膜硬化性に優れる感光性樹脂組成物を得ることができる。
【0072】
また、本発明の樹脂組成物が感光性である場合、光感度を向上させるために、樹脂組成物に増感剤を任意に配合することができる。
増感剤としては、例えば、ミヒラーズケトン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,5−ビス(4’−ジエチルアミノベンザル)シクロペンタン、2,6−ビス(4’−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4’−ジエチルアミノベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)カルコン、p−ジメチルアミノシンナミリデンインダノン、p−ジメチルアミノベンジリデンインダノン、2−(p−ジメチルアミノフェニルビフェニレン)−ベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニルビニレン)ベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニルビニレン)イソナフトチアゾール、1,3−ビス(4’−ジメチルアミノベンザル)アセトン、1,3−ビス(4’−ジエチルアミノベンザル)アセトン、3,3’−カルボニル−ビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−アセチル−7−ジメチルアミノクマリン、3−エトキシカルボニル−7−ジメチルアミノクマリン、3−ベンジロキシカルボニル−7−ジメチルアミノクマリン、3−メトキシカルボニル−7−ジエチルアミノクマリン、3−エトキシカルボニル−7−ジエチルアミノクマリン、N−フェニル−N’−エチルエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン、N−p−トリルジエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、4−モルホリノベンゾフェノン、ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、2−メルカプトベンズイミダゾール、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ナフト(1,2−d)チアゾール、2−(p−ジメチルアミノベンゾイル)スチレン等が挙げられる。これらは単独で又は例えば2〜5種類の組合せで用いることができる。
【0073】
光感度を向上させるための増感剤をネガ型感光性樹脂組成物に含有させる場合、増感剤の配合量は、(A)樹脂、(AX)感光性ポリイミド前駆体又は(AY)ポリイミド前駆体100質量部に対して、0.1〜25質量部であることが好ましい。
【0074】
レリーフパターンの解像性を向上させるために、(C)成分とは異なる光重合性の不飽和結合を有するモノマーを樹脂組成物に配合することができる。このようなモノマーとしては、光重合開始剤によりラジカル重合反応する(メタ)アクリル化合物が好ましく、限定されるものではないが、ジエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート等に代表される、エチレングリコール又はポリエチレングリコールのモノ又はジアクリレート及びメタクリレート;プロピレングリコール又はポリプロピレングリコールのモノ又はジアクリレート及びメタクリレート;グリセロールのモノ、ジ又はトリアクリレート及びメタクリレート;シクロヘキサンジアクリレート及びジメタクリレート;1,4−ブタンジオールのジアクリレート及びジメタクリレート;1,6−ヘキサンジオールのジアクリレート及びジメタクリレート;ネオペンチルグリコールのジアクリレート及びジメタクリレート;ビスフェノールAのモノ又はジアクリレート及びメタクリレート;ベンゼントリメタクリレート;イソボルニルアクリレート及びメタクリレート;アクリルアミド及びその誘導体;メタクリルアミド及びその誘導体等が挙げられる。
【0075】
レリーフパターンの解像性を向上させるために、上記の光重合性の不飽和結合を有するモノマーをネガ型感光性樹脂組成物に含有させる場合、モノマーの配合量は、(A)樹脂、(AX)感光性ポリイミド前駆体又は(AY)ポリイミド前駆体100質量部に対して、1〜50質量部であることが好ましい。
【0076】
本発明の樹脂組成物を用いて形成される膜と基材との接着性を向上させるために、接着助剤を樹脂組成物に配合することができる。接着助剤としては、γ−アミノプロピルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ジメトキシメチル−3−ピペリジノプロピルシラン、ジエトキシ−3−グリシドキシプロピルメチルシラン、N−(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)スクシンイミド、N−〔3−(トリエトキシシリル)プロピル〕フタルアミド酸、ベンゾフェノン−3,3’−ビス(N−〔3−トリエトキシシリル〕プロピルアミド)−4,4’−ジカルボン酸、ベンゼン−1,4−ビス(N−〔3−トリエトキシシリル〕プロピルアミド)−2,5−ジカルボン酸、3−(トリエトキシシリル)プロピルスクシニックアンハイドライド、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤;及びアルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート等のアルミニウム系接着助剤が挙げられる。
【0077】
これらの接着助剤の中でも、接着力の観点から、シランカップリング剤が好ましい。ネガ型感光性樹脂組成物が接着助剤を含有する場合、接着助剤の配合量は、(A)樹脂、(AX)感光性ポリイミド前駆体又は(AY)ポリイミド前駆体100質量部に対して、0.5〜25質量部の範囲にあることが好ましい。
【0078】
溶剤を含む溶液の状態で保存される時に、感光性樹脂組成物の粘度及び光感度の安定性を向上させるために、熱重合禁止剤を感光性樹脂組成物に配合することができる。熱重合禁止剤としては、ヒドロキノン、N−ニトロソジフェニルアミン、p−tert−ブチルカテコール、フェノチアジン、N−フェニルナフチルアミン、エチレンジアミン四酢酸、1,2−シクロヘキサンジアミン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、2,6−ジ−tert−ブチル−p−メチルフェノール、5−ニトロソ−8−ヒドロキシキノリン、1−ニトロソ−2−ナフトール、2−ニトロソ−1−ナフトール、2−ニトロソ−5−(N−エチル−N−スルフォプロピルアミノ)フェノール、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩、N−ニトロソ−N(1−ナフチル)ヒドロキシルアミンアンモニウム塩等が用いられる。
【0079】
感光性樹脂組成物中の熱重合禁止剤の配合量は、(A)樹脂、(AX)感光性ポリイミド前駆体又は(AY)ポリイミド前駆体100質量部に対して、0.005〜12質量部の範囲であることが好ましい。
【0080】
所望により、架橋剤を樹脂組成物に配合してよい。架橋剤は、本発明の樹脂組成物を用いて形成されたレリーフパターンを加熱硬化する際に、(A)樹脂、(AX)感光性ポリイミド前駆体又は(AY)ポリイミド前駆体を架橋することができるか、又は架橋剤自身で架橋ネットワークを形成することができる。架橋剤は、ネガ型感光性樹脂組成物から形成された硬化膜の耐熱性及び耐薬品性を更に強化することができる。架橋剤としては、アミノ樹脂及びその誘導体が好適に用いられ、中でも、尿素樹脂、グリコール尿素樹脂、ヒドロキシエチレン尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、及びこれらの誘導体が、より好適に用いられる。特に好ましい架橋剤は、アルコキシメチル化尿素化合物及びアルコキシメチル化メラミン化合物であり、それらの例として、MX−290(日本カーバイド社製)、UFR−65(日本サイテック社製)、及びMW−390(日本カーバイド社製)が挙げられる。
【0081】
耐熱性及び耐薬品性と、それら以外の性能とのバランスを保つために、樹脂組成物中の架橋剤の配合量は、(A)樹脂、(AX)感光性ポリイミド前駆体又は(AY)ポリイミド前駆体100質量部に対して、0.5〜20質量部であることが好ましく、より好ましくは2〜10質量部である。該配合量が0.5質量部以上である場合、良好な耐熱性及び耐薬品性が発現し、20質量部以下である場合、保存安定性に優れる。
【0082】
銅又は銅合金から成る基板を用いる場合には、基板表面の変色を抑制するために、アゾール化合物を樹脂組成物に配合することができる。アゾール化合物としては、1H−トリアゾール、5−メチル−1H−トリアゾール、5−エチル−1H−トリアゾール、4,5−ジメチル−1H−トリアゾール、5−フェニル−1H−トリアゾール、4−t−ブチル−5−フェニル−1H−トリアゾール、5−ヒドロキシフェニル−1H−トリアゾール、フェニルトリアゾール、p−エトキシフェニルトリアゾール、5−フェニル−1−(2−ジメチルアミノエチル)トリアゾール、5−ベンジル−1H−トリアゾール、ヒドロキシフェニルトリアゾール、1,5−ジメチルトリアゾール、4,5−ジエチル−1H−トリアゾール、1H−ベンゾトリアゾール、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α―ジメチルベンジル)フェニル]−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、4−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、4−カルボキシ−1H−ベンゾトリアゾール、5−カルボキシ−1H−ベンゾトリアゾール、1H−テトラゾール、5−メチル−1H−テトラゾール、5−フェニル−1H−テトラゾール、5−アミノ−1H−テトラゾール、1−メチル−1H−テトラゾール等が挙げられる。好ましいアゾール化合物としては、トリルトリアゾール、5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、及び4−メチル−1H−ベンゾトリアゾールが挙げられる。これらのアゾール化合物は、1種で用いても2種以上の混合物で用いてもよい。
【0083】
樹脂組成物中のアゾール化合物の配合量は、(A)樹脂、(AX)感光性ポリイミド前駆体又は(AY)ポリイミド前駆体100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましく、光感度の観点から0.5〜5質量部であることがより好ましい。(A)樹脂、(AX)感光性ポリイミド前駆体又は(AY)ポリイミド前駆体100質量部に対するアゾール化合物の配合量が、0.1質量部以上であると、本発明の樹脂組成物を銅又は銅合金上に形成した場合に、銅又は銅合金表面の変色が抑制され、10質量部以下であると、光感度に優れる。
【0084】
また、銅又は銅合金から成る基板の表面の変色を抑制するために、ヒンダードフェノール化合物を樹脂組成物に配合することができる。ヒンダードフェノール化合物としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,5−ジ−t−ブチル−ハイドロキノン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4、4’−メチレンビス(2、6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオ−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、N,N’ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5−トリス(3−ヒドロキシ−2,6−ジメチル−4−イソプロピルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−s−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス[4−(1−エチルプロピル)−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス[4−トリエチルメチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(3−ヒドロキシ−2,6−ジメチル−4−フェニルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,5,6−トリメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−5−エチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−6−エチル−3−ヒドロキシ−2−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−6−エチル−3−ヒドロキシ−2,5−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−5,6−ジエチル−3−ヒドロキシ−2−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,5−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−5−エチル−3−ヒドロキシ−2−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン等が挙げられるが、これに限定されるものではない。これらの中でも、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン等が好ましい。
【0085】
ヒンダードフェノール化合物の配合量は、(A)樹脂、(AX)感光性ポリイミド前駆体又は(AY)ポリイミド前駆体100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましく、光感度の観点から0.5〜10質量部であることがより好ましい。(A)樹脂、(AX)感光性ポリイミド前駆体又は(AY)ポリイミド前駆体100質量部に対するヒンダードフェノール化合物の配合量が、0.1質量部以上であると、例えば銅又は銅合金の上に本発明の樹脂組成物を形成した場合に、銅又は銅合金の変色・腐食が防止され、20質量部以下であると、光感度に優れる。
【0086】
<硬化レリーフパターンの製造方法及び半導体装置>
本発明の樹脂組成物が感光性である場合、以下の工程:
(1)上述した感光性樹脂組成物を基板上に塗布して、感光性樹脂層を該基板上に形成する工程と、
(2)該感光性樹脂層を露光する工程と、
(3)該露光後の感光性樹脂層を現像して、レリーフパターンを形成する工程と、
(4)該レリーフパターンを加熱処理に供して、硬化レリーフパターンを形成する工程と、
を含む硬化レリーフパターンの製造方法を提供することができる。以下、各工程の典型的な態様について説明する。
【0087】
(1)感光性樹脂組成物を基板上に塗布して感光性樹脂層を該基板上に形成する工程
本工程では、本発明の感光性樹脂組成物を基材上に塗布し、必要に応じて、その後に乾燥させて、感光性樹脂層を形成する。塗布方法としては、従来から感光性樹脂組成物の塗布に用いられていた方法、例えば、スピンコーター、バーコーター、ブレードコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷機等で塗布する方法、スプレーコーターで噴霧塗布する方法等を用いることができる。
【0088】
必要に応じて、感光性樹脂組成物から成る塗膜を乾燥させることができ、乾燥方法としては、風乾、オーブン又はホットプレートによる加熱乾燥、真空乾燥等の方法が用いられる。また、塗膜の乾燥は、感光性樹脂組成物中の(A)樹脂の変性、もしくは(AX)の感光性ポリイミド前駆体、(AY)のポリイミド前駆体(ポリアミド酸エステル)のイミド化が起こらないような条件で行うことが望ましい。具体的には、風乾又は加熱乾燥を行う場合、20℃〜140℃で1分〜1時間の条件で乾燥を行うことができる。以上により基板上に感光性樹脂層を形成できる。
【0089】
(2)感光性樹脂層を露光する工程
本工程では、上記で形成した感光性樹脂層を、コンタクトアライナー、ミラープロジェクション、ステッパー等の露光装置を用いて、パターンを有するフォトマスク又はレチクルを介して又は直接に、紫外線光源等により露光する。
【0090】
この後、光感度の向上等の目的で、必要に応じて、任意の温度及び時間の組合せによる露光後ベーク(PEB)及び/又は現像前ベークを施してもよい。ベーク条件の範囲は、温度は40〜120℃、時間は10秒〜240秒が好ましいが、本発明の感光性樹脂組成物の諸特性を阻害するものでない限り、この範囲に限らない。
【0091】
(3)露光後の感光性樹脂層を現像してレリーフパターンを形成する工程
本工程では、露光後の感光性樹脂層のうち未露光部を現像除去する。露光(照射)後の感光性樹脂層を現像する現像方法としては、従来知られているフォトレジストの現像方法、例えば回転スプレー法、パドル法、超音波処理を伴う浸漬法等の中から任意の方法を選択して使用することができる。また、現像の後、レリーフパターンの形状を調整する等の目的で、必要に応じて任意の温度及び時間の組合せによる現像後ベークを施してもよい。
【0092】
現像に使用される現像液としては、感光性樹脂組成物に対する良溶媒、又は該良溶媒と貧溶媒との組合せが好ましい。良溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン等が好ましく、貧溶媒としてはトルエン、キシレン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、乳酸エチル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート及び水等が好ましい。良溶媒と貧溶媒とを混合して用いる場合には、感光性樹脂組成物中のポリマーの溶解性によって良溶媒に対する貧溶媒の割合を調整することが好ましい。また、各溶媒を2種以上、例えば数種類組合せて用いることもできる。
【0093】
(4)レリーフパターンを加熱処理に供して硬化レリーフパターンを形成する工程
本工程では、上記現像により得られたレリーフパターンを加熱して感光成分を希散させるとともに、(A)樹脂、(AX)感光性ポリイミド前駆体又は(AY)ポリイミド前駆体を加熱硬化ことによって、硬化レリーフパターンに変換する。加熱硬化の方法としては、ホットプレートを用いる方法、オーブンを用いる方法、温度プログラムを設定できる昇温式オーブンを用いる方法等の種々の方法を選ぶことができる。加熱は、例えば200℃〜400℃で30分〜5時間の条件で行うことができる。加熱硬化の際の雰囲気気体としては、空気を用いてもよく、窒素、アルゴン等の不活性ガスを用いてもよい。
【0094】
<半導体装置>
上記で説明した硬化レリーフパターンの製造方法により得られる硬化レリーフパターンを備える、半導体装置を提供することもできる。より詳細には、半導体素子である基材と、上述した硬化レリーフパターン製造方法により該基材上に形成されたポリイミドの硬化レリーフパターンとを有する半導体装置を提供することができる。また、本発明は、基材として半導体素子を用い、上述した硬化レリーフパターンの製造方法を工程の一部として含む半導体装置の製造方法にも適用されることができる。本発明の半導体装置は、上記で説明した硬化レリーフパターンの製造方法により、硬化レリーフパターンを、表面保護膜、層間絶縁膜、再配線用絶縁膜、フリップチップ装置用保護膜、又はバンプ構造を有する半導体装置の保護膜等として形成し、かつ硬化レリーフパターンの製造方法と公知の半導体装置の製造方法と組合せることにより製造されることができる。
【0095】
<樹脂膜>
(A)成分として、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸、ポリアミド酸エステル、ポリアミド酸塩、ポリアミド酸アミド、ポリオキサゾール前駆体となり得るポリヒドロキシアミド、ポリアミノアミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾチアゾール、及びフェノール樹脂から成る群より選ばれる少なくとも1種の樹脂を含み、架橋密度が1.0×10
−4mol/cm
3以上、3.0×10
−3mol/cm
3以下であり、かつ5%重量減少温度が250℃以上400℃以下である樹脂膜も本発明の実施形態の1つである。
【0096】
樹脂膜に含まれる(A)成分は、上記感光性樹脂組成物又は樹脂組成物に含まれる(A)成分として説明された樹脂と同じでよい。ポリベンゾオキサゾール樹脂との密着性の観点から、(A)成分としては、ポリアミド酸、ポリアミド酸エステル、ポリアミド酸塩、ポリアミド酸アミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾイミダゾール、及びポリベンゾチアゾールから成る群より選ばれる少なくとも1種の樹脂が好ましい。樹脂膜中には、(A)成分が、樹脂膜を構成する全ての成分の合計質量に対して、50質量%以上含まれることが好ましく、70質量%以上含まれることがより好ましい。必要に応じて、A成分以外の樹脂が樹脂膜に含まれていてもよい。
【0097】
樹脂膜に含まれている樹脂の重量平均分子量は、熱処理後の耐熱性及び機械特性の観点から、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算で、1,000以上であることが好ましく、5,000以上であることがより好ましい。重量平均分子量の上限は100,000以下であることが好ましい。
【0098】
架橋密度は、樹脂膜1cm
3中に含まれる化学的に架橋している官能基のモル数である。架橋は、(A)成分に架橋性官能基を有するモノマーを共重合させておき、それらの架橋性官能基同士を反応させる方法;(A)成分に、(A)成分と化学的に架橋反応する架橋剤を加えておいて、その架橋剤を介して(A)成分の分子鎖同士を架橋させる方法;(A)成分に多官能モノマーを加えておき、それらの多官能モノマー同士を架橋させる方法等で達成される。樹脂中で架橋が起こった場合、ガラス転移温度以上の貯蔵弾性率が架橋密度に応じて上がる。このとき、弾性が理想的なゴム弾性のみによって引き起こされる場合、架橋密度と貯蔵弾性率の間には下記関係式:
n=E’/3RT
{n:架橋密度、E’:貯蔵弾性率、R:気体定数、T:絶対温度}
が成立することが知られる。
【0099】
従って、理想的なゴム弾性体の場合は、樹脂膜のガラス転移温度以上での貯蔵弾性率を測定することで、架橋密度を求めることができる。ガラス転移温度以上での貯蔵弾性率は、例えば動的粘弾性測定装置を用いて測定することができる。但し、現実の弾性体は理想的なゴム弾性体であるため、必ずしも架橋密度と貯蔵弾性率の間に、この関係式は厳密には成立しない。その場合は、ガラス転移温度以上の貯蔵弾性率が上がったことを、例えば動的粘弾性測定装置を用いて確認しつつ、樹脂膜中に含まれる架橋性の官能基の数及び、その反応率を分光学的な方法で求めることができれば、それから架橋密度を計算することができる。
【0100】
本発明で用いられる樹脂膜の架橋密度は、1.0×10
−4mol/cm
3以上、3.0×10
−3mol/cm
3以下、好ましくは3.0×10
−4mol/cm
3以上、2.0×10
−3mol/cm
3以下である。架橋密度が1.0×10
−4mol/cm
3未満であると、樹脂膜とポリベンゾオキサゾール樹脂との密着性が十分でない。架橋密度が3.0×10
−3mol/cm
3を超えると、樹脂膜が脆くなり、本発明で想定するパッシベーション膜、バッファーコート膜及び層間絶縁膜等の用途に適さない。
【0101】
5%重量減少温度は、窒素下で、熱重量測定装置を用いて、10℃/minの速度で昇温することによって求められる。5%重量減少温度が250℃未満の場合、耐熱性が低すぎて、本発明で想定するパッシベーション膜、バッファーコート膜及び層間絶縁膜等の用途に適さない。5%重量減少温度が400℃を超える場合は、ポリベンゾオキサゾール樹脂との密着性が十分ではない。
【0102】
樹脂膜は、基材上に、例えば、樹脂膜の前駆体となる成分を溶解させた溶液を塗布し、250℃以下の温度で加熱することによって得られる。加熱する前に露光工程があってもよい。また、このとき、加熱温度を250℃以下にすることによって、ガラス転移温度が250℃以下である樹脂基板を含む基材上に当該樹脂膜を形成するか、又は加熱温度を200℃以下にすることによって、ガラス転移温度が200℃以下である樹脂基板を含む基材上に当該樹脂膜を形成して、積層体を得ることができる。
【0103】
本発明の樹脂組成物は、上記のような半導体装置への適用の他に、多層回路の層間絶縁、フレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜、及び液晶配向膜等の用途にも有用である。
【実施例】
【0104】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。実施例、比較例、及び製造例においては、樹脂、樹脂膜及び樹脂組成物の物性を以下の方法に従って測定及び評価した。
【0105】
(1)重量平均分子量
樹脂の重量平均分子量(Mw)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(標準ポリスチレン換算)で測定した。測定に用いたカラムは、昭和電工株式会社製Shodex(商標名)805M/806M直列であり、標準単分散ポリスチレンとしては、昭和電工株式会社製Shodex STANDARD SM−105を選び、展開溶媒はN−メチル−2−ピロリドンであり、そして検出器としては、昭和電工製Shodex(商標名)RI−930を使用した。
【0106】
(2)ポリベンゾオキサゾール樹脂との密着性評価
ポリベンゾオキサゾール樹脂を塗布、硬化した6インチシリコンウエハー上に、樹脂膜の前駆体又は感光性樹脂組成物をスピン塗布し、乾燥して約10μm厚の塗膜を樹脂膜前駆体又は感光性樹脂層として形成した。この塗膜に、テストパターン付レチクルを用いてi線ステッパーNSR2005i8A(ニコン社製)により、1500mJ/cm
2エネルギーを照射して露光した。次いで、ウエハー上に形成した塗膜を、シクロペンタノンを用いて現像機(D−SPIN636型、日本国、大日本スクリーン製造社製)でスプレー現像し、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートでリンスして未露光部を現像除去し、樹脂膜前駆体又は感光性樹脂組成物のレリーフパターンを得た。
【0107】
レリーフパターンを形成したウエハーを昇温プログラム式キュア炉(VF−2000型、日本国、光洋リンドバーグ社製)を用いて、窒素雰囲気下、200〜300℃で2時間加熱処理することにより、ポリベンゾオキサゾール樹脂が塗布、硬化された基板上に、樹脂膜又は感光性樹脂組成物の硬化レリーフパターンを得た。膜厚測定は、Tencor P−15型段差計(ケーエルエーテンコール社製)を用いて行った。得られた各パターンについて、パターン形状及びパターン部の幅を光学顕微鏡下で観察し、以下の基準に従って評価した:
良好:得られた20μmパターンの開口部の面積が、対応するパターンマスク開口面積の1/2以上であり、かつ剥がれがない。
不良:開口部の面積が、対応するパターンマスク開口面積の1/2未満であるか、又は剥がれがある。
【0108】
(3)開口パターンのテーパー角度評価
感光性樹脂組成物を6インチシリコンウエハー上に回転塗布し、乾燥して8.5μm厚の塗膜を形成した。この塗膜に、テストパターン付マスクを介して、プリズマGHI(米国、ウルトラテック社製)により500mJ/cm
2のエネルギーを照射した。次いで、照射後の塗膜を、シクロペンタノンを用いて現像機(D−SPIN636型、日本国、大日本スクリーン製造社製)でスプレー現像し、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートでリンスして未露光部を現像除去することにより、レリーフパターンを得た。
【0109】
このレリーフパターンを有するシリコンウエハーを液体窒素に浸漬し、50μm幅ラインアンドスペース(1:1)部分をラインに対して垂直の方向に割断した。得られた断面を、SEM(日立ハイテクノロジーズS−4800型)によって観察した。
図1A〜
図1Eを参照して、下記工程1〜5を含む方法によってテーパー角度を評価した:
1.開口部の上辺と下辺を引くこと(
図1A);
2.開口部の高さを決めること(
図1B);
3.高さの中央部分を通って上辺及び下辺に平行な直線(中央線)を引くこと(
図1C);
4.中央線と開口部パターンとの交点(中央点)を求めること(
図1D);及び
5.中央点におけるパターンの傾きに合せて接線を引き、その接線と下辺とが形成する角をテーパー角と見なすこと(
図1E)。
【0110】
上記ウエハーについて、昇温プログラム式キュア炉(VF−2000型、日本国、光洋リンドバーグ社製)を用いて、窒素雰囲気下、200〜390℃において2時間加熱処理を行うことにより、シリコンウエハー上に約4〜5μm厚の硬化レリーフパターンを得た。
このレリーフパターンについて、Tencor P−15型段差計(ケーエルエーテンコール社製)を用いて膜厚測定を行い、上記と同様にしてラインアンドスペース(1:1)部分のテーパー角を求めた。
【0111】
(4)最少開口パターンサイズ評価
樹脂組成物を6インチシリコンウエハー上に、回転塗布し、乾燥して8.5μm厚の塗膜を形成した。この塗膜に、テストパターン付マスクを用いて、プリズマGHI(米国、ウルトラテック社製)により、500mJ/cm
2のエネルギーを照射した。次いで、照射後の塗膜を、シクロペンタノンを用いて現像機(D−SPIN636型、日本国、大日本スクリーン製造社製)でスプレー現像し、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートでリンスして未露光部を現像除去することにより、レリーフパターンを得た。
【0112】
このレリーフパターンを形成したウエハーを、昇温プログラム式キュア炉(VF−2000型、日本国、光洋リンドバーグ社製)を用いて、窒素雰囲気下、200〜390℃において2時間加熱処理することにより、シリコンウエハー上及び銅基板上に約4〜5μm厚のポリイミドの硬化レリーフパターンをそれぞれ得た。
膜厚測定は、Tencor P−15型段差計(ケーエルエーテンコール社製)を用いて行った。Si上に得られたパターンについては、パターン形状及びパターン部の幅を光学顕微鏡下で観察し、最少開口パターンのサイズを求めた。
【0113】
(5)硬化膜のガラス転移温度(Tg)の測定
基板となる6インチシリコンウエハー(日本国、フジミ電子工業株式会社製、厚み625±25μm)上に、及びこのシリコンウエハーに200nm厚のTi及び400nm厚のCuをこの順でスパッタしたスパッタ体の上に、それぞれ、硬化後の膜厚が約4〜5μmとなるように樹脂組成物を回転塗布した。次いで、樹脂組成物が感光性である場合は、平行光マスクアライナーPLA−501FA(日本国、キヤノン社製)により、500mJ/cm
2のエネルギーを照射した。樹脂組成物が感光性ではない場合には、この照射を行わなかった。
【0114】
その後、窒素雰囲気下、200〜390℃において2時間加熱して熱硬化することにより、硬化膜を得た。得られた硬化膜をウエハーから剥がして、硬化テープを得た。
得られた硬化テープを、荷重200g/mm
2、昇温速度10℃/分、20〜500℃の範囲で熱機械試験装置(島津製作所製 TMA−50)により測定し、温度を横軸、変位量を縦軸に取った測定チャートにおける硬化テープの熱降伏点の接線交点をガラス転移温度(Tg)とした。
【0115】
(6)硬化膜のSi密着性及びCu密着性の測定
基板となる6インチシリコンウエハー(日本国、フジミ電子工業株式会社製、厚み625±25μm)上に、及びこのシリコンウエハーに200nm厚のTi及び400nm厚のCuをこの順でスパッタしたスパッタ体の上に、それぞれ、硬化後の膜厚が約4〜5μmとなるように樹脂組成物を回転塗布した。次いで、樹脂組成物が感光性である場合は、平行光マスクアライナーPLA−501FA(日本国、キヤノン社製)により、500mJ/cm
2のエネルギーを照射した。樹脂組成物が感光性ではない場合には、この照射を行わなかった。
【0116】
その後、窒素雰囲気下、200℃〜390℃において2時間加熱して熱硬化することにより、硬化膜を得た。
得られた硬化膜のSi又はCuに対する密着性を、碁盤目試験(JIS K5400)により評価した。すなわち、塗膜上に、1mm角の正方形100個ができるようにカッターナイフで傷を付け、上からセロハン(登録商標)テープを貼り付け、気泡がなくなるまで密着させた後、剥離した時、セロハン(登録商標)テープに付着せず基板上に残った正方形の数を数えることにより、評価した。
【0117】
(7)架橋密度
樹脂膜を基材から剥がした後、動的粘弾性測定装置 レオバイブロン モデルDDV−01FP(オリエンテック社製)を用いて、30℃から400℃まで、5℃/minで昇温しながら、3.5、11、35、110Hzの各周波数で、微小な振動を与えることで、各温度での貯蔵弾性率を求めた。また、380型FTIR(ニコレー社製)を用いて、樹脂膜中の架橋基の反応率を求め、それから架橋密度を計算した。
【0118】
(8)5%重量減少温度
樹脂膜を基材から剥がした後、熱重量測定装置(島津製作所製 TGA−50)を用い、30℃から500℃まで、窒素下で10℃/minで昇温し、重量が初期値から5%減少する温度を求めた。
【0119】
<製造例1>((A)成分としてのポリイミド前駆体A(ポリマーA)の合成)
4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gを2リットル容量のセパラブルフラスコに入れ、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)131.2gとγ―ブチロラクトン400mlを入れて室温下で攪拌し、攪拌しながらピリジン81.5gを加えて反応混合物を得た。反応による発熱の終了後に室温まで放冷し、16時間放置した。
【0120】
次に、氷冷下において、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)206.3gをγ−ブチロラクトン180mlに溶解した溶液を攪拌しながら40分かけて反応混合物に加え、続いて4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)93.0gをγ−ブチロラクトン350mlに懸濁したものを攪拌しながら60分かけて加えた。更に室温で2時間攪拌した後、エチルアルコール30mlを加えて1時間攪拌し、次に、γ−ブチロラクトン400mlを加えた。反応混合物に生じた沈殿物をろ過により取り除き、反応液を得た。
【0121】
得られた反応液を3リットルのエチルアルコールに加えて粗ポリマーから成る沈殿物を生成した。生成した粗ポリマーを濾別し、テトラヒドロフラン1.5リットルに溶解して粗ポリマー溶液を得た。得られた粗ポリマー溶液を28リットルの水に滴下してポリマーを沈殿させ、得られた沈殿物を濾別した後、真空乾燥して粉末状のポリマー(ポリイミド前駆体A(以下、「ポリマーA」ともいう))を得た。ポリイミド前駆体Aの分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は20,000であった。
【0122】
<製造例2>((A)成分としてのポリイミド前駆体B(ポリマーB)の合成)
製造例1の4,4’−オキシジフタル酸二無水物155.1gに代えて、3,3’4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物147.1gを用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリイミド前駆体B(以下、「ポリマーB」ともいう)を得た。ポリイミド前駆体Bの分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は22,000であった。
【0123】
<製造例3>(ポリアミド酸(ポリマーC)の合成)
4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)93.0gを2リットル容量のセパラブルフラスコに入れ、N−メチルピロリドン400mlを加えて室温下で撹拌溶解した。その後、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gを加えて80℃で5時間反応させることにより、ポリマーC(ポリイミド前駆体であるポリアミド酸)の溶液を得た。ポリマーA−1の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は20,000であった。
【0124】
<製造例4>(シリコン含有化合物D−1の合成)
500ml3つ口フラスコに、ヘキシルアミン10.2gを入れ、N−メチルピロリドン146.4gを加えて溶解させた後、滴下ロートから3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン26.4gを滴下し、そのまま室温で5時間撹拌反応させることにより、シリコン含有化合物D−1の溶液を得た。
【0125】
<実施例1>
ポリイミド前駆体A(ポリマーA)及びポリイミド前駆体B(ポリマーB)を用いて以下の方法で感光性樹脂組成物を調製し、調製した組成物の評価を行った。(A)成分として、ポリマーA50g及びポリマーB50gを、(B)成分として、アデカオプトマーNCI831(ADEKA社製、商品名、0.001wt%溶液のg線、h線、及びi線吸光度は、それぞれ0、0.13、及び0.22である)2g、(C)成分として、4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン10g、更に、ヘキサメトキシメチルメラミン4g、及びテトラエチレングリコールジメタクリレート8g、(D)成分として、シリコン含有化合物D−1 3g、及び2−ニトロソ−1−ナフト−ル0.05gと共に、N−メチルピロリドン(以下ではNMPという)80gと乳酸エチル20gから成る混合溶媒に溶解した。得られた溶液の粘度を、少量の該混合溶媒を更に加えることによって約35ポイズに調整し、感光性樹脂組成物とした。
該組成物を、前述の(2)ポリベンゾオキサゾール樹脂との密着性評価の方法に従ってシリコンウエハーに塗布して乾燥させ、露光、現像、200℃で熱硬化した時のポリベンゾオキサゾール(PBO)樹脂基材上での密着性は「良好」であった。
【0126】
<実施例2>
実施例1の、本発明における(C)成分としての4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタンの配合量を20gに変更してネガ型感光性樹脂組成物を調製し、実施例1と同様の評価を行った。PBO樹脂基材上での密着性を評価した結果「良好」であった。但し、このとき該組成物の熱硬化温度は200℃とした。
【0127】
<実施例3>
実施例1の、本発明における(C)成分をビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタンに変更して感光性樹脂組成物を調製し、実施例1と同様の評価を行った。PBO樹脂基材上での密着性を評価した結果「良好」であった。但し、このとき該組成物の熱硬化温度は200℃とした。
【0128】
<実施例4>
実施例3の、本発明における(C)成分としてのビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタンの配合量を20gに変更して感光性樹脂組成物を調製し、実施例3と同様の評価を行った。PBO樹脂基材上での密着性を評価した結果「良好」であった。但し、このとき該組成物の熱硬化温度は200℃とした。
【0129】
<実施例5>
実施例1の、本発明における(C)成分をN−フェニルマレイミドに変更して感光性樹脂組成物を調製し、実施例1と同様の評価を行った。PBO樹脂基材上での密着性を評価した結果「良好」であった。但し、このとき該組成物の熱硬化温度は200℃とした。
【0130】
<実施例6>
実施例1の、本発明における(C)成分をN,N’,N’’−[ニトリロトリス(エチレン)]トリス(マレインイミド)に変更して感光性樹脂組成物を調製し、実施例1と同様の評価を行った。PBO樹脂基材上での密着性を評価した結果「良好」であった。但し、このとき該組成物の熱硬化温度は200℃とした。
【0131】
<実施例7>
実施例2において、本発明における(C)成分を、単独重合体のガラス転移温度が200℃以上である多官能メタクリレートである、イソシアヌル酸トリアクリレートに変更して感光性樹脂組成物を調製し、実施例2と同様の評価を行った。PBO樹脂基材上での密着性を評価した結果「良好」であった。但し、このとき該組成物の熱硬化温度は200℃とした。
【0132】
<比較例1>
実施例1の、本発明における(C)成分としての4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタンを抜いてネガ型感光性樹脂組成物を調製し、実施例1と同様の評価を行った。PBO樹脂基材上での密着性を評価した結果「不良」であった。但し、このとき該組成物の熱硬化温度は200℃とした。
【0133】
実施例1〜7及び比較例1の評価結果を下記表1に示す。
【0134】
【表1】
【0135】
表1中の略号の説明
B1:アデカオプトマーNCI831(ADEKA社製、商品名)
C1:4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン
C2:ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン
C3:N−フェニルマレイミド
C4:N,N’,N’’−[ニトリロトリス(エチレン)]トリス(マレインイミド)
C5:イソシアヌル酸トリアクリレート
D1:シリコン含有化合物D−1
【0136】
<実施例8>
(AX)成分として、ポリマーA50g及びポリマーB50g、(B)成分としてイルガキュアOXE03(BASF社製、商品名、0.001wt%溶液のg線、h線、及びi線吸光度は、それぞれ0、0、及び0.27である)2g、テトラエチレングリコールジメタクリレート8g及び2−ニトロソ−1−ナフト−ル0.05g、並びにジフェニルアセトアミド5g、N−(3−(トリエトキシシリル)プロピル)フタルアミド酸0.5g、及びベンゾフェノン−3,3’−ビス(N−(3−トリエトキシシリル)プロピルアミド)−4,4’−ジカルボン酸0.5gを、N−メチルピロリドン及び乳酸エチルから成る混合溶媒(重量比8:2)に溶解し、粘度が約35ポイズになるように溶媒の量を調整することにより、感光性樹脂組成物溶液を得た。
この組成物について、前述の(3)開口パターンのテーパー角度評価及び(4)最少開口パターンサイズ評価方法により評価した。
【0137】
<実施例9>
(AX)成分としてポリマーA50g及びポリマーB50gを、(B)成分としてイルガキュアOXE03 2g、(C)成分として4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン16g、テトラエチレングリコールジメタクリレート8g及び2−ニトロソ−1−ナフト−ル0.05g、並びにジフェニルアセトアミド5g、N−(3−(トリエトキシシリル)プロピル)フタルアミド酸0.5g、及びベンゾフェノン−3,3’−ビス(N−(3−トリエトキシシリル)プロピルアミド)−4,4’−ジカルボン酸0.5gを、N−メチルピロリドン及び乳酸エチルから成る混合溶媒(質量比8:2)に溶解し、粘度が約35ポイズになるように溶媒の量を調整することにより、感光性樹脂組成物溶液を得た。
この組成物について、実施例8と同様の方法により評価した。
【0138】
<実施例10>
実施例9において、(B)成分として、イルガキュアOXE03 2gの代わりにアデカオプトマーNCI831(ADEKA社製、商品名、0.001wt%溶液のg線、h線、及びi線吸光度は、それぞれ0、0.13、及び0.22である)2gを用いた他は、実施例9と同様にして感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、実施例8と同様の方法により評価した。
【0139】
<実施例11>
実施例9において、(B)成分としてTR−PBG340(常州強力電子新材料有限公司製、商品名、0.001wt%溶液のg線、h線、及びi線吸光度は、それぞれ0.04、0.06、及び0.04である)2gを用いた他は実施例9と同様にして感光性樹脂組成物溶液を調製した。
この組成物について、実施例8と同様の方法により評価した。
【0140】
<比較例2>
実施例8において、(B)成分の代替成分として、TR−PBG304(常州強力電子新材料有限公司製、商品名、0.001wt%溶液のg線、h線、及びi線吸光度は、それぞれ0、0、及び0.12である)4gを用いた他は、実施例8と同様に感光性樹脂組成物を調製した。
この組成物について、実施例8と同様の方法により評価した。
【0141】
実施例8〜11及び比較例2の評価結果を下記表2に示す。
【0142】
【表2】
【0143】
表2中の略号の説明
−(B)成分−
B1:イルガキュアOXE03(BASF社製、商品名)
B2:アデカオプトマーNCI831(ADEKA社製、商品名)
B3:TR−PBG340(常州強力電子新材料有限公司製、商品名)
−(C)成分−
C1:4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン
−代替成分−
B4:TR−PBG304(常州強力電子新材料有限公司製、商品名)
【0144】
<実施例12>
(AY)成分としてポリマーC100g、(B)成分としてイルガキュアOXE03(BASF社製、商品名)及び(D)成分としてシリコン含有化合物D−1 3gを、N−メチルピロリドン及び乳酸エチルから成る混合溶媒(質量比8:2)中に溶解し、粘度が約35ポイズになるように溶媒の量を調整することにより、樹脂組成物を得た。
この樹脂組成物について、前述の(5)硬化膜のガラス転移温度(Tg)の測定、(6)硬化膜のSi、Cu密着性の測定、(4)最少開口パターンサイズ評価方法により評価した。
【0145】
<実施例13>
(AY)成分としてポリマーA50g及びポリマーB50g、(B)成分としてイルガキュアOXE03(BASF社製、商品名)4g、(D)成分としてシリコン含有化合物D−1 3g、テトラエチレングリコールジメタクリレート8g、2−ニトロソ−1−ナフト−ル0.05g、及びジフェニルアセトアミド5gを、N−メチルピロリドン及び乳酸エチルがから成る混合溶媒(質量比8:2)に溶解し、粘度が約35ポイズになるように溶媒の量を調整することにより、樹脂組成物を得た。
この樹脂組成物について、前述の(5)硬化膜のガラス転移温度(Tg)の測定、(6)硬化膜のSi、Cu密着性の測定、(4)最少開口パターンサイズ評価方法により評価した。
【0146】
<実施例14>
(AY)成分としてポリマーA50g及びポリマーB50g、(B)成分として、イルガキュアOXE3(BASF社製、商品名)を4g、(D)成分としてシリコン含有化合物D−1 3g及びA−1160(3−ウレイドプロピルトリエトキシシランの50質量%溶液、モメンティブ社製)をメタノール溶液として3g、テトラエチレングリコールジメタクリレート8g、2−ニトロソ−1−ナフト−ル0.05g、及びジフェニルアセトアミド5gを、N−メチルピロリドン及び乳酸エチルから成る混合溶媒(質量比8:2)に溶解し、粘度が約35ポイズになるように溶媒の量を調整することにより、樹脂組成物を得た。
この樹脂組成物について、前述の(5)硬化膜のガラス転移温度(Tg)の測定、(6)硬化膜のSi、Cu密着性の測定、(4)最少開口パターンサイズ評価方法により評価した。
【0147】
<実施例15>
実施例14において、硬化のための加熱温度を200℃から390℃に変えた他は、実施例14と同様にして硬化膜を形成して、評価した。
【0148】
<実施例16>
(AY)成分としてポリマーA50g及びポリマーB50g、(B)成分としてアデカオプトマーNCI831(ADEKA社製、商品名)4g、(C)成分として4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン16g、(D)成分としてシリコン含有化合物D−1 3g及びA−1160(3−ウレイドプロピルトリエトキシシランの50質量%溶液、モメンティブ社製)をメタノール溶液として3g、テトラエチレングリコールジメタクリレート8g、2−ニトロソ−1−ナフト−ル0.05g、及びジフェニルアセトアミド5gと共に、N−メチルピロリドン及び乳酸エチルから成る混合溶媒(質量比8:2)に溶解し、粘度が約35ポイズになるように溶媒の量を調整することにより、樹脂組成物っを得た。
この樹脂組成物について、前述の(5)硬化膜のガラス転移温度(Tg)の測定、(6)硬化膜のSi、Cu密着性の測定、(4)最少開口パターンサイズ評価方法により評価した。
【0149】
<実施例17>
実施例16において、(C)成分を4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタンからビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタンに変えた他は実施例16と同様にして樹脂組成物を得た。
この樹脂組成物について、前述の(5)硬化膜のガラス転移温度(Tg)の測定、(6)硬化膜のSi、Cu密着性の測定、(4)最少開口パターンサイズ評価方法により評価した。
【0150】
<実施例18>
実施例16において、(D)成分の代わりに、(E)成分として、ジシクロヘキシルチオウレア3gを用いた他は実施例16と同様にして樹脂組成物を得た。
この樹脂組成物について、前述の(5)硬化膜のガラス転移温度(Tg)の測定、(6)硬化膜のSi、Cu密着性の測定、(4)最少開口パターンサイズ評価方法により評価した。
【0151】
<比較例3>
実施例12において、(D)成分の代替成分としてN−(3−(トリエトキシシリル)プロピル)フタルアミド酸0.5g及びベンゾフェノン−3,3’−ビス(N−(3−トリエトキシシリル)プロピルアミド)−4,4’−ジカルボン酸0.5gを用いた他は、実施例12と同様にして樹脂組成物を得た。
この樹脂組成物について、前述の(5)硬化膜のガラス転移温度(Tg)の測定、(6)硬化膜のSi、Cu密着性の測定、(4)最少開口パターンサイズ評価方法により評価した。
【0152】
<比較例4>
実施例14において、(D)成分の代替成分として、N−(3−(トリエトキシシリル)プロピル)フタルアミド酸0.5g及びベンゾフェノン−3,3’−ビス(N−(3−トリエトキシシリル)プロピルアミド)−4,4’−ジカルボン酸0.5gを用いた他は、実施例14と同様にして樹脂組成物を得た。
この樹脂組成物について、前述の(5)硬化膜のガラス転移温度(Tg)の測定、(6)硬化膜のSi、Cu密着性の測定、(4)最少開口パターンサイズ評価方法により評価した。
【0153】
<比較例5>
実施例15において、(D)成分の代替成分として、N−(3−(トリエトキシシリル)プロピル)フタルアミド酸0.5g及びベンゾフェノン−3,3’−ビス(N−(3−トリエトキシシリル)プロピルアミド)−4,4’−ジカルボン酸0.5gを用いた他は、実施例15と同様にして樹脂組成物を得た。
この樹脂組成物について、前述の(5)硬化膜のガラス転移温度(Tg)の測定、(6)硬化膜のSi、Cu密着性の測定、(4)最少開口パターンサイズ評価方法により評価した。
【0154】
実施例12〜18及び比較例3〜5の評価結果を下記表3に示す。
【0155】
【表3】
【0156】
表3中の略号の説明
B1:イルガキュアOXE03(BASF社製、商品名)
B2:アデカオプトマーNCI831(ADEKA社製、商品名)
C1:4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン
C2:ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン
D1:シリコン含有化合物D−1
D2:シリコン含有化合物D−1/A−1160(3−ウレイドプロピルトリエトキシシランの50%溶液、モメンティブ社製)
D3:N−(3−(トリエトキシシリル)プロピル)フタルアミド酸/ベンゾフェノン−3,3’−ビス(N−(3−トリエトキシシリル)プロピルアミド)−4,4’−ジカルボン酸
【0157】
<実施例19>
(A)成分としてポリマーA50g及びポリマーB50gを、アデカオプトマーNCI831(ADEKA社製、商品名、0.001wt%溶液のg線、h線、及びi線吸光度は、それぞれ0、0.13、及び0.22である)2g、4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン10g、シリコン含有化合物D−1 3g、及び2−ニトロソ−1−ナフト−ル0.05gと共に、N−メチルピロリドン(以下ではNMPという)80gと乳酸エチル20gから成る混合溶媒に溶解して溶液を得た。得られた溶液の粘度を、少量の該混合溶媒を更に加えることによって約35ポイズに調整し、感光性樹脂組成物を得た。
該組成物を、前述の(2)ポリベンゾオキサゾール樹脂との密着性評価の方法に従ってシリコンウエハーに塗布して乾燥させ、露光、現像、200℃で熱硬化して樹脂膜を得た。このときポリベンゾオキサゾール(PBO)樹脂基材上での密着性は「良好」であった。
また、前述の(7)架橋密度については、IRによるマレイミドの反応率並びに組成、密度から7.0×10
−4mol/cm
3と求められた。また、110Hz、300℃における貯蔵弾性率は0.08GPaであり、前述の(8)5%重量減少温度は340℃であった。
【0158】
<実施例20>
実施例19において、4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタンの添加量20gに変えた他は、実施例19と同様に感光性樹脂組成物を調合した。
該組成物を、前述の(2)ポリベンゾオキサゾール樹脂との密着性評価の方法に従ってシリコンウエハーに塗布して乾燥させ、露光、現像、200℃で熱硬化して樹脂膜を得た。このときポリベンゾオキサゾール(PBO)樹脂基材上での密着性は「良好」であった。
また、前述の(7)架橋密度については、IRによるマレイミドの反応率並びに組成、密度から1.4×10
−3mol/cm
3と求められた。また、110Hz、300℃における貯蔵弾性率は0.16GPaであり、前述の(8)5%重量減少温度は370℃であった。
【0159】
<比較例6>
実施例19において、4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタンを添加しなかった他は、実施例19と同様に樹脂組成物を調合し、該組成物の熱硬化樹脂膜を得た。このとき、前述の(2)ポリベンゾオキサゾール樹脂との密着性評価の方法に従って評価した、ポリベンゾオキサゾール(PBO)樹脂基材上での密着性は「不良」であった。
また、前述の(7)架橋密度については、IRによるマレイミドの反応率並びに組成、密度から0mol/cm
3と求められた。また、110Hz、300℃における貯蔵弾性率は0.02GPaであり、前述の(8)5%重量減少温度は320℃であった。
【0160】
実施例19及び20並びに比較例6の評価結果を下記表4に示す。
【0161】
【表4】