特許第6388684号(P6388684)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6388684ラウリルピリジニウムクロリドを含むウェットティッシュ原緞における拡散性が増加したウェットティッシュ組成物及びそのウェットティッシュ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6388684
(24)【登録日】2018年8月24日
(45)【発行日】2018年9月12日
(54)【発明の名称】ラウリルピリジニウムクロリドを含むウェットティッシュ原緞における拡散性が増加したウェットティッシュ組成物及びそのウェットティッシュ
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/49 20060101AFI20180903BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20180903BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20180903BHJP
   A61K 8/40 20060101ALI20180903BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20180903BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20180903BHJP
   A61K 8/35 20060101ALI20180903BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20180903BHJP
   A47K 7/00 20060101ALI20180903BHJP
   A01N 43/40 20060101ALI20180903BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20180903BHJP
   A01N 25/02 20060101ALI20180903BHJP
【FI】
   A61K8/49
   A61K8/34
   A61K8/36
   A61K8/40
   A61K8/46
   A61K8/44
   A61K8/35
   A61Q19/10
   A47K7/00 C
   A01N43/40 101K
   A01P3/00
   A01N25/02
【請求項の数】8
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2017-77892(P2017-77892)
(22)【出願日】2017年4月11日
(65)【公開番号】特開2017-190330(P2017-190330A)
(43)【公開日】2017年10月19日
【審査請求日】2017年4月11日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0044955
(32)【優先日】2016年4月12日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2017-0031327
(32)【優先日】2017年3月13日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517127218
【氏名又は名称】ミョンジン ニューテック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】トン、ウン ス
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ガ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヘ リム
【審査官】 駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−066919(JP,A)
【文献】 特開2003−155206(JP,A)
【文献】 特開2008−156329(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00−90/00
A01N 1/00−65/48
A01P 1/00−23/00
A47K 7/00− 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)ラウリルピリジニウムクロリド(Laurylpyridinium chloride)0.01以上5未満重量%と、
b)カプリルヒドロキサム酸(Caprylhydroxamic acid)、ビフェニルヒドロキサム酸(Biphenylhydroxamic acid)、シンナモイルヒドロキサム酸(Cinnamoylhydroxamic acid)、オクタンジオール(Octanediol)、ヘキサンジオール(Hexanediol)、プロパンジオール(Propanediol)、安息香酸(Benzoic acid)、安息香酸ナトリウム(Sodium benzoate)、ソルビン酸(Sorbic acid)、ソルビン酸カリウム(Potassium sorbate)、デヒドロアセト酸(Dehydroacetic acid)、デヒドロアセト酸ナトリウム(Sodium dehydroacetic acid)、プロピオン酸(Propionic acid)、プロピオン酸ナトリウム(Sodium propionate)、ギ酸(Formic acid)、ギ酸ナトリウム(Sodium formate)、ヘキサミジンジイセチオネート(Hexamidine diisethionate)、カプリロイルグリシン(Capryloyl glycine)、ウンデシレノイルグリシン(Undecylenoyl glycine)、C12−C14アルキルジアミノエチルグリシンHCL(C12-C14 alkyl diaminoethyl glycine HCl)、ラウリルジエチレンジアミノグリシン(Lauryl diethylene diamino glycine)、ラウリルアミノプロピルグリシン(Lauryl aminopropyl glycine)、トロポロン(Tropolone)、及びクロルフェネシン(Chlorphenesin)からなる群から選択される1種以上の化合物0.005以上5未満重量%と、を含む
ことを特徴とするウェットティッシュ原緞での拡散性が増加したウェットティッシュ組成物。
【請求項2】
前記ウェットティッシュ組成物は、
a)ラウリルピリジニウムクロリド0.03以上0.5未満重量%と、
b)カプリルヒドロキサム酸、ビフェニルヒドロキサム酸、シンナモイルヒドロキサム酸、オクタンジオール、ヘキサンジオール、プロパンジオール、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、デヒドロアセト酸、デヒドロアセト酸ナトリウム、プロピオン酸、プロピオン酸ナトリウム、ギ酸、ギ酸ナトリウム、ヘキサミジンジイセチオネート、カプリロイルグリシン、ウンデシレノイルグリシン、C12−C14アルキルジアミノエチルグリシンHCL、ラウリルジエチレンジアミノグリシン、ラウリルアミノプロピルグリシン、トロポロン、及びクロルフェネシンからなる群から選択される1種以上の化合物0.005以上1未満重量%と、を含む
請求項1に記載のウェットティッシュ原緞での拡散性が増加したウェットティッシュ組成物。
【請求項3】
前記ウェットティッシュ組成物は、
ラウリルピリジニウムクロリド及びカプリルヒドロキサム酸、ビフェニルヒドロキサム酸、シンナモイルヒドロキサム酸、オクタンジオール、ヘキサンジオール、プロパンジオール、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、デヒドロアセト酸、デヒドロアセト酸ナトリウム、プロピオン酸、プロピオン酸ナトリウム、ギ酸、ギ酸ナトリウム、ヘキサミジンジイセチオネート、カプリロイルグリシン、ウンデシレノイルグリシン、C12−C14アルキルジアミノエチルグリシンHCL、ラウリルジエチレンジアミノグリシン、ラウリルアミノプロピルグリシン、トロポロン、及びクロルフェネシンからなる群から選択される1種以上の化合物が1:10乃至10:1の重量割合で混合されたものである
請求項1または2に記載のウェットティッシュ原緞での拡散性が増加したウェットティッシュ組成物。
【請求項4】
前記化合物は、カプリルヒドロキサム酸、ビフェニルヒドロキサム酸、シンナモイルヒドロキサム酸、オクタンジオール、ヘキサンジオール、プロパンジオール、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、デヒドロアセト酸、デヒドロアセト酸ナトリウム、プロピオン酸、プロピオン酸ナトリウム、ギ酸、ギ酸ナトリウムである
請求項1または2に記載のウェットティッシュ原緞での拡散性が増加したウェットティッシュ組成物。
【請求項5】
前記化合物は、カプリルヒドロキサム酸、ビフェニルヒドロキサム酸、及びシンナモイルヒドロキサム酸である
請求項4に記載のウェットティッシュ原緞での拡散性が増加したウェットティッシュ組成物。
【請求項6】
前記ウェットティッシュ組成物は保湿剤及びpH調節剤をさらに含む
請求項1または2に記載のウェットティッシュ原緞での拡散性が増加したウェットティッシュ組成物。
【請求項7】
前記ウェットティッシュ組成物は、黄色葡萄状球菌(Staphylococcus aureus)、大腸菌(Escherichia coli)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、エンテロバクターヒラエ(Enterobacter hirae)、黒カビ(Aspergillus brasiliensis)、カンジダアルビカンス(Candida albicans)、マイコバクテリウムテラエ(Mycobacterium terrae)、及びバークホルデリアセパシア(Burkholderia cepacia)に殺菌力を有する
請求項1または2に記載のウェットティッシュ原緞での拡散性が増加したウェットティッシュ組成物。
【請求項8】
請求項1または2に記載のウェットティッシュ組成物を含有する
ことを特徴とするウェットティッシュ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はラウリルピリジニウムクロリド(Laurylpyridinium chloride)を主成分として含むウェットティッシュ原緞における拡散性が増加したウェットティッシュ組成物及びこれを含有しているウェットティッシュに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ウェットティッシュ(wet wipes)は人体を清潔にするために使用する水分を含有した不織布をいうものであって、1950年代中盤から乳児がある家庭や保育施設、老人福祉施設、飲食店、病院などで多様な用途に使われてきた。初期のウェットティッシュは主として旅行時の洗浄の用途に使われたが、最近には乳児の皮膚洗浄、化粧や汗を拭い取るパッド、痛み緩和、個人衛生、動物管理、健康管理、工場で作業中の皮膚に付着した汚染物の洗浄のために使われており、ウェットティッシュ内に添加される成分によって用途を異にする(非特許文献1〜2)。
【0003】
ウェットティッシュ内に添加される成分は、一般的に精製水に保湿剤や香料のように、目的に従う機能性成分が含まれ、ティッシュが濡れた状態で長期間保管できるように殺菌消毒剤と防腐剤のような保存剤を必須的に添加している。しかしながら、ウェットティッシュは一般的に使用後に水で洗い落とす製品でないので、製品に含まれている保存剤が皮膚にそのまま残留する可能性が高く、製品使用部位が口、手など、化学薬品に敏感な部位であるので、皮膚に刺激が少なく、安定性が優れ、皮膚に残滓する異質物及び病原性微生物に対する除去力が優れなければならない。
【0004】
現在、最も広く使われている防腐剤の1つであるセチルピリジニウムクロリド(cetylpyridinium chloride:CPC)は4級アンモニウム陽イオンであって、バクテリアと微生物に対して殺菌効果があり、歯牙のプラーク(plaque)形成を防止し、歯齦炎を減少させる効果があると知られており、口腔清潔剤、歯磨き、口腔スプレー、鼻腔スプレー、ウェットティッシュなどに使われている。しかしながら、セチルピリジニウムクロリドは、特性上、多量のバブルが生成されて消泡剤を共に使用しなければならず、この場合、製造工程上の汚染及び工程上の問題が表れて、ぬるぬるさ、ウェットティッシュのポップアップ現象発生頻度が増加し、ウェットティッシュ原緞内での拡散が良くならなくて、微生物汚染に脆弱であるという問題点が存在する。
【0005】
また、最近にはセチルピリジニウムクロリド及びベンザルコニウムクロリド(Benzalkonium chloride:BKC)を防腐剤として使用しているウェットティッシュにおいて、バークホルデリアセパシア(Burkholderia cepacia)が防腐剤、即ち、ウェットティッシュ保存料に対する耐性を獲得して多量に増殖することが確認された。したがって、セチルピリジニウムクロリドとベンザルコニウムクロリド防腐剤を取り替えることができる新たなウェットティッシュ防腐剤の開発が必要な実状である。
【0006】
前述したセチルピリジニウムクロリドとベンザルコニウムクロリドの限界及び短所を克服するために、国内外の化粧品防腐剤成分にしばしば使われていたクリムバゾール(Climbazole)の使用量が増加している趨勢である。クリムバゾールは白色の結晶性粉末であって、米国の環境研究非営利団体であるEWGスキンディープ等級で0等級に、刺激度や危険度が他の成分に比べて低いと知られており、卵形鼻腔真菌とトリコフィティック菌に対して排他的で、かつ持続的な殺菌効果があると知られている。しかしながら、クリムバゾールは水に溶けないし、潜在的な毒性がある有害物質であると知られている。
【0007】
したがって、セチルピリジニウムクロリド、ベンザルコニウムクロリド、及びクリムバゾールを取り替えることができる、坑菌活性が優れ、かつ人体に無害な防腐剤の開発が緊急な実状である。
【0008】
ラウリルピリジニウムクロリド(Laurylpyridinium chloride:LPC、dodecylpyridinium chloride)は坑菌効果に優れ、皮膚刺激が低い。また、水に対する溶解度が良くて、ウェットティッシュ原緞に適用した時、原緞での拡散性が優れて、ウェットティッシュへの適用に適した防腐剤である。
【0009】
ここに、本発明者らはラウリルピリジニウムクロリドを防腐剤にしてウェットティッシュ組成物を研究する過程で、本発明のラウリルピリジニウムクロリドを主成分として含むウェットティッシュ組成物が坑菌活性が優れ、ウェットティッシュ原緞での拡散性が優れることを確認することによって本発明を完成することができた。
【0010】
従来、先行技術として、特許文献1には、防菌防黴剤にラウリルピリジニウムクロリドが記載されているが、ウェットティッシュの原緞に防菌防黴剤の吸着率を減少するための方法及びこれに適した防菌防黴剤に塩化セチルピリジニウムが記載されているので、本発明の坑菌効果及び拡散性が優れるラウリルピリジニウムクロリドを主成分として含むウェットティッシュ組成物とは差がある。また、特許文献2には、塩化セチルピリジニウムを含む防腐組成物が記載されているので、本発明のラウリルピリジニウムクロリドを主成分として含むウェットティッシュ組成物とはその構成が異なり、特許文献3には、ウェットティッシュ形態に生産された坑菌組成物が記載されているが、本発明のラウリルピリジニウムクロリドは記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】日本特許第4030633号、防菌防黴剤の吸着量の減少方法、2007. 10. 26. 登録。
【特許文献2】韓国特許第1506185号、4級アンモニウム化合物耐性菌を阻害する防腐組成物、2015. 03. 20. 登録。
【特許文献3】米国特許第9226882号、Eco-friendly non-aqueous antimicrobial composition comprising tropolone with 1,3-proranediol and/or sorbitan caprylate、2016. 01. 05. 登録。
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Moo S.C., Bacterial Contamination in Disposable Wet Wipes from General Restaurants, Korean J. Clin. Lab. Sci., 48(3), 237-241, 2016。
【非特許文献2】Seo J.H., et al., Studies on the antibacterial activity of wet-tissue saturated with electrolytic water of NaCl solution, Journal of Korea TAPPI, 47(6), 147-153, 2015。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、ラウリルピリジニウムクロリド(Laurylpyridinium chloride)を主成分として含むウェットティッシュ原緞での拡散性が増加したウェットティッシュ組成物を提供することにある。
【0014】
また、本発明の目的は、ラウリルピリジニウムクロリドを主成分として含むウェットティッシュ原緞での拡散性が増加したウェットティッシュ組成物を含有しているウェットティッシュを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、a)ラウリルピリジニウムクロリド(Laurylpyridinium chloride);及びb)カプリルヒドロキサム酸(Caprylhydroxamic acid)、ビフェニルヒドロキサム酸(Biphenylhydroxamic acid)、シンナモイルヒドロキサム酸(Cinnamoylhydroxamic acid)、オクタンジオール(Octanediol)、ヘキサンジオール(Hexanediol)、プロパンジオール(Propanediol)、安息香酸(Benzoic acid)、安息香酸ナトリウム(Sodium benzoate)、ソルビン酸(Sorbic acid)、ソルビン酸カリウム(Potassium sorbate)、デヒドロアセト酸(Dehydroacetic acid)、デヒドロアセト酸ナトリウム(Sodium dehydroacetic acid)、プロピオン酸(Propionic acid)、プロピオン酸ナトリウム(Sodium propionate)、ギ酸(Formic acid)、ギ酸ナトリウム(Sodium formate)、ヘキサミジンジイセチオネート(Hexamidine diisethionate)、カプリロイルグリシン(Capryloyl glycine)、ウンデシレノイルグリシン(Undecylenoyl glycine)、C12−C14アルキルジアミノエチルグリシンHCL(C12-C14 alkyl diaminoethyl glycine HCl)、ラウリルジエチレンジアミノグリシン(Lauryl diethylene diamino glycine)、ラウリルアミノプロピルグリシン(Lauryl aminopropyl glycine)、トロポロン(Tropolone)、及びクロルフェネシン(Chlorphenesin)からなる群から選択される1種以上の化合物を含むウェットティッシュ原緞での拡散性が増加したウェットティッシュ組成物に関するものである。
【0016】
前記ウェットティッシュ組成物は、a)ラウリルピリジニウムクロリド0.01〜30重量%;及びb)カプリルヒドロキサム酸、ビフェニルヒドロキサム酸、シンナモイルヒドロキサム酸、オクタンジオール、ヘキサンジオール、プロパンジオール、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、デヒドロアセト酸、デヒドロアセト酸ナトリウム、プロピオン酸、プロピオン酸ナトリウム、ギ酸、ギ酸ナトリウム、ヘキサミジンジイセチオネート、カプリロイルグリシン、ウンデシレノイルグリシン、C12−C14アルキルジアミノエチルグリシンHCL、ラウリルジエチレンジアミノグリシン、ラウリルアミノプロピルグリシン、トロポロン、及びクロルフェネシンからなる群から選択される1種以上の化合物0.001〜40重量%;を含むことができる。
【0017】
前記ウェットティッシュ組成物は、ラウリルピリジニウムクロリド及びカプリルヒドロキサム酸、ビフェニルヒドロキサム酸、シンナモイルヒドロキサム酸、オクタンジオール、ヘキサンジオール、プロパンジオール、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、デヒドロアセト酸、デヒドロアセト酸ナトリウム、プロピオン酸、プロピオン酸ナトリウム、ギ酸、ギ酸ナトリウム、ヘキサミジンジイセチオネート、カプリロイルグリシン、ウンデシレノイルグリシン、C12−C14アルキルジアミノエチルグリシンHCL、ラウリルジエチレンジアミノグリシン、ラウリルアミノプロピルグリシン、トロポロン、及びクロルフェネシンからなる群から選択される1種以上の化合物が1:10乃至10:1の重量割合で混合できる。
【0018】
前記化合物は、好ましくはカプリルヒドロキサム酸、ビフェニルヒドロキサム酸、シンナモイルヒドロキサム酸、オクタンジオール、ヘキサンジオール、プロパンジオール、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、デヒドロアセト酸、デヒドロアセト酸ナトリウム、プロピオン酸、プロピオン酸ナトリウム、ギ酸、ギ酸ナトリウムであり、より好ましくはカプリルヒドロキサム酸、ビフェニルヒドロキサム酸、シンナモイルヒドロキサム酸である。
【0019】
前記ウェットティッシュ組成物は保湿剤及びpH調節剤をさらに含むことができる。
【0020】
前記ウェットティッシュ組成物は、黄色葡萄状球菌(Staphylococcus aureus)、大腸菌(Escherichia coli)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、エンテロバクターヒラエ(Enterobacter hirae)、黒カビ(Aspergillus brasiliensis)、カンジダアルビカンス(Candida albicans)、マイコバクテリウムテラエ(Mycobacterium terrae)、及びバークホルデリアセパシア(Burkholderia cepacia)に殺菌力を有することができる。
【0021】
更に他の一面において、本発明は前記ウェットティッシュ組成物を含有するウェットティッシュに関するものである。
【0022】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0023】
前記ウェットティッシュ組成物は、a)ラウリルピリジニウムクロリド;及びb)カプリルヒドロキサム酸、ビフェニルヒドロキサム酸、シンナモイルヒドロキサム酸、オクタンジオール、ヘキサンジオール、プロパンジオール、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、デヒドロアセト酸、デヒドロアセト酸ナトリウム、プロピオン酸、プロピオン酸ナトリウム、ギ酸、ギ酸ナトリウム、ヘキサミジンジイセチオネート、カプリロイルグリシン、ウンデシレノイルグリシン、C12−C14アルキルジアミノエチルグリシンHCL、ラウリルジエチレンジアミノグリシン、ラウリルアミノプロピルグリシン、トロポロン、及びクロルフェネシンからなる群から選択される1種以上の化合物を含むことができる。
【0024】
前記ウェットティッシュ組成物は、組成物総重量を基準に、a)ラウリルピリジニウムクロリド0.01〜30重量%;及びb)カプリルヒドロキサム酸、ビフェニルヒドロキサム酸、シンナモイルヒドロキサム酸、オクタンジオール、ヘキサンジオール、プロパンジオール、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、デヒドロアセト酸、デヒドロアセト酸ナトリウム、プロピオン酸、プロピオン酸ナトリウム、ギ酸、ギ酸ナトリウム、ヘキサミジンジイセチオネート、カプリロイルグリシン、ウンデシレノイルグリシン、C12−C14アルキルジアミノエチルグリシンHCL、ラウリルジエチレンジアミノグリシン、ラウリルアミノプロピルグリシン、トロポロン、及びクロルフェネシンからなる群から選択される1種以上の化合物が0.001〜40重量%の割合で混合されたものでありうる。好ましくは、a)ラウリルピリジニウムクロリド0.01~5重量%、及び前記b)1種以上の化合物が0.005~5重量%の割合であり、より好ましくは、a)ラウリルピリジニウムクロリド0.03〜0.5重量%、及び前記b)1種以上の化合物が0.005〜1重量%の割合である。
【0025】
前記ラウリルピリジニウムクロリドは、細菌及びかび菌に対する坑菌効果が優れ、特に、黄色葡萄状球菌(Staphylococcus aureus)、大腸菌(Escherichia coli)、エンテロバクターヒラエ(Enterobacter hirae)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)に優れる坑菌効果を表す。また、皮膚刺激が低くて、皮膚に直接的に接触するウェットティッシュ製造に適合し、水に対する溶解度が良くて、ウェットティッシュ原緞に適用した時、原緞での拡散性が優れて、ウェットティッシュ製造時に容易に適用することができる。
【0026】
前記ラウリルピリジニウムクロリドは、現在広く使われている防腐剤であるセチルピリジニウムクロリドを取り替えることができる化合物であって、セチルピリジニウムクロリドの特性上、多量のバブルが生成されて、これを防止するための消泡剤の追加工程での汚染とウェットティッシュのぬるぬるさ、ポップアップ現象(ウェットティッシュを抜く時、続いて多数枚のウェットティッシュが連れ出される現象)、及びウェットティッシュ原緞内での拡散の難しさを克服することができる。
【0027】
前記ラウリルピリジニウムクロリドは、セチルピリジニウムクロリドに対する耐性を獲得したバークホルデリアセパシア(Burkholderia cepacia)に対する坑菌活性を表して、セチルピリジニウムクロリドを取り替えることができる。
【0028】
前記ラウリルピリジニウムクロリドの含量の割合は、ウェットティッシュ組成物総重量を基準に、0.01〜30重量%でありうる。前記ラウリルピリジニウムクロリド含量の割合が0.01重量%未満であれば、ウェットティッシュ組成物の殺菌力がウェットティッシュ製造時、基準になる殺菌力の基準値に及ばず、30重量%を超過しても殺菌力に大差がないし、溶解時に溶解度の限界があり、付加的添加物及び加温工程が必要であるので、経済的でない。
【0029】
前記化合物は前記ラウリルピリジニウムクロリドの坑菌効果を増加させるために混合することができ、前記化合物はヒドロキサム酸及びその塩類(hydroxamic acid and its salts)、アルカンジオール(alkanediol)、有機酸、ヘキサミジン及びその塩類(hexamidine and its salts)、グリシン類(glycine)、トロポロン(tropolone)、及びクロルフェネシン(chlorphenesin)を含むことができる。
【0030】
前記ヒドロキサム酸及びその塩類は、カプリルヒドロキサム酸、ビフェニルヒドロキサム酸、シンナモイルヒドロキサム酸であって、これに限定するものではない。
【0031】
前記アルカンジオールは、オクタンジオール、ヘキサンジオール、プロパンジオールであって、これに限定するものではない。
【0032】
前記有機酸は、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、デヒドロアセト酸、デヒドロアセト酸ナトリウム、プロピオン酸、プロピオン酸ナトリウム、ギ酸、ギ酸ナトリウムであって、これに限定するものではない。
【0033】
前記ヘキサミジン及びその塩類はヘキサミジンジイセチオネートであって、これに限定するものではない。
【0034】
前記グリシン類は、カプリロイルグリシン、ウンデシレノイルグリシン、C12−C14アルキルジアミノエチルグリシンHCL、ラウリルジエチレンジアミノグリシン、ラウリルアミノプロピルグリシンであるが、これに限定するものではない。
【0035】
前記化合物の含量割合は、ウェットティッシュ組成物総重量を基準に、0.001〜40重量%であって、0.001重量%未満であれば、ウェットティッシュ組成物の殺菌力がウェットティッシュ製造時の基準になる殺菌力基準値に及ばず、40重量%を超過しても殺菌力に大差がないので、非経済的であるので、好ましくない。
【0036】
前記ウェットティッシュ組成物は、ラウリルピリジニウムクロリド及びカプリルヒドロキサム酸、ビフェニルヒドロキサム酸、シンナモイルヒドロキサム酸、オクタンジオール、ヘキサンジオール、プロパンジオール、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、デヒドロアセト酸、デヒドロアセト酸ナトリウム、プロピオン酸、プロピオン酸ナトリウム、ギ酸、ギ酸ナトリウム、ヘキサミジンジイセチオネート、カプリロイルグリシン、ウンデシレノイルグリシン、C12−C14アルキルジアミノエチルグリシンHCL、ラウリルジエチレンジアミノグリシン、ラウリルアミノプロピルグリシン、トロポロン、及びクロルフェネシンからなる群から選択される1種以上の化合物が1:4000乃至10:1の重量割合で混合されたものでありうる。好ましくは1:100乃至10:1の重量割合であり、より好ましくは1:10乃至10:1の重量割合である。
【0037】
前記拡散性はウェットティッシュ原緞でウェットティッシュ組成物が吸収されて広がる程度を意味するものであって、拡散性が低ければ防腐剤組成物がウェットティッシュ原緞に均等に広がらないので、防腐剤組成物が含まれていない部分に微生物が育つことがあり、異臭、変色、微生物の副産物による皮膚トラブルが発生することがある。
【0038】
前記ウェットティッシュ組成物は細菌及びかび殺菌効果が優れ、特に、黄色葡萄状球菌(Staphylococcus aureus)、大腸菌(Escherichia coli)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、エンテロバクターヒラエ(Enterobacter hirae)、黒カビ(Aspergillus brasiliensis)、カンジダアルビカンス(Candida albicans)、マイコバクテリウムテラエ(Mycobacterium terrae)、及びバークホルデリアセパシア(Burkholderia cepacia)に対する殺菌効果が最も優れる。
【0039】
前記ウェットティッシュ組成物はそのまま使用するか、または精製水に希釈して使用することができる。
【0040】
前記ウェットティッシュ組成物の希釈は、希釈液総重量を基準に、1倍乃至1000倍希釈することができるが、これは当業者の判断によって変わることがある。
【0041】
前記ウェットティッシュ組成物は、前記ラウリルピリジニウムクロリド及びカプリルヒドロキサム酸、ビフェニルヒドロキサム酸、シンナモイルヒドロキサム酸、オクタンジオール、ヘキサンジオール、プロパンジオール、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、デヒドロアセト酸、デヒドロアセト酸ナトリウム、プロピオン酸、プロピオン酸ナトリウム、ギ酸、ギ酸ナトリウム、ヘキサミジンジイセチオネート、カプリロイルグリシン、ウンデシレノイルグリシン、C12−C14アルキルジアミノエチルグリシンHCL、ラウリルジエチレンジアミノグリシン、ラウリルアミノプロピルグリシン、トロポロン、及びクロルフェネシンからなる群から選択される1種以上の化合物の他にも追加添加剤を含んで製造することができる。
【0042】
前記添加剤は、保湿剤(moisturizer)、pH調節剤(pH regulator)、増粘剤(thickener)、安定化剤(stabilizer)、芳香剤(perfume)、分散剤(dispersant)、及び着色物質などであって、好ましくは保湿剤及びpH調節剤である。
【0043】
前記保湿剤は、プロピレングリコール(Propylene glycol)、ヘキシレングリコール(Hexylene glycol)、ブチレングリコール(Butylene glycol)、グリセリン(Glycerin)、及びメチルプロパンジオール(Methylpropanediol)などであって、好ましくはプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、及びブチレングリコールであり、これに限定するものではない。
【0044】
前記pH調節剤は、クエン酸(Citric acid)、クエン酸ナトリウム(Sodium citrate)、EDTA(Ethylenediaminetetraacetic acid)−2NA、EDTA−4NA、KOHなどであって、好ましくはクエン酸、EDTA−2NAであり、これに限定するものではない。
【0045】
また、本願発明は前記ウェットティッシュ組成物を含有するウェットティッシュに関するものである。
【0046】
前記ウェットティッシュは、ウェットティッシュ原緞にラウリルピリジニウムクロリド0.01〜30重量%、及びカプリルヒドロキサム酸、ビフェニルヒドロキサム酸、シンナモイルヒドロキサム酸、オクタンジオール、ヘキサンジオール、プロパンジオール、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、デヒドロアセト酸、デヒドロアセト酸ナトリウム、プロピオン酸、プロピオン酸ナトリウム、ギ酸、ギ酸ナトリウム、ヘキサミジンジイセチオネート、カプリロイルグリシン、ウンデシレノイルグリシン、C12−C14アルキルジアミノエチルグリシンHCL、ラウリルジエチレンジアミノグリシン、ラウリルアミノプロピルグリシン、トロポロン、及びクロルフェネシンからなる群から選択される1種以上の化合物が0.001〜40重量%が含まれているウェットティッシュ組成物を含浸させて製造することができる。好ましくは、ラウリルピリジニウムクロリド0.01~5重量%、及び前記1種以上の化合物が0.005~5重量%が含まれているウェットティッシュ組成物を含浸させて製造することができ、より好ましくはラウリルピリジニウムクロリド0.03〜0.5重量%、及び前記1種以上の化合物が0.005〜1重量%が含まれているウェットティッシュ組成物を含浸させて製造することができるが、これは当業者の判断によって変わることがある。
【0047】
前記ウェットティッシュは、前記ウェットティッシュ組成物の含有により優れる殺菌効果を有し、ウェットティッシュのぬるぬるさ、ウェットティッシュのポップアップ現象が減少できる。
【0048】
前記ウェットティッシュは前記ウェットティッシュ組成物を含むものであって、当業界に存在する公知の製造方法により製造される全てのウェットティッシュを含むことができる。
【発明の効果】
【0049】
本発明は、ラウリルピリジニウムクロリド(Laurylpyridinium chloride)を主成分として含む拡散性が増加したウェットティッシュ組成物及びこれを含有しているウェットティッシュに関し、より詳しくは、ラウリルピリジニウムクロリド及びヒドロキサム酸及びその塩類、アルカンジオール、有機酸、ヘキサミジン及びその塩類、グリシン類、トロポロン、及びクロルフェネシンからなる群から選択される1種以上の化合物を含む拡散性が増加したウェットティッシュ組成物及びこれを含有するウェットティッシュに関する。
【0050】
前記ウェットティッシュ組成物は細菌及びかび殺菌力が優れ、ウェットティッシュ原緞の拡散性が優れてウェットティッシュ製造が容易であり、製造されたウェットティッシュの品質が優れることを確認した。
【0051】
これを通じて、本願発明のラウリルピリジニウムクロリドを主成分として含む拡散性が増加したウェットティッシュ組成物を用いて、既存のセチルピリジニウムクロリドを含む防腐剤組成物に取り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】本発明のウェットティッシュ組成物の細菌、真菌、及びバークホルデリアに対する坑菌活性を確認した結果の写真
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下、本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。しかしながら、本発明はここで説明される実施例に限定されず、他の形態に具体化されることもできる。なお、ここで紹介される内容が徹底し、完全になり、当業者に本発明の思想を十分に伝達するために提供するものである。
【0054】
<実施例1.ラウリルピリジニウムクロリド及び1種の化合物を含むウェットティッシュ組成物の製造>
ラウリルピリジニウムクロリド及び1種の化合物を含む本発明のラウリルピリジニウムクロリドを主成分とするウェットティッシュ組成物を製造し、この際、以下の<表1>の成分及び含量に該当する物質を精製水に入れて混合して製造した。
【0055】
【表1】
【0056】
<実施例2.ラウリルピリジニウムクロリド及び2種の化合物を含むウェットティッシュ組成物の製造>
ラウリルピリジニウムクロリド及び2種の化合物を含む本発明のラウリルピリジニウムクロリドを主成分とするウェットティッシュ組成物を製造し、この際、以下の<表2>の成分及び含量に該当する物質を精製水に入れて混合して製造した。
【0057】
【表2】
【0058】
<実施例3.ラウリルピリジニウムクロリド及び3種以上の化合物を含むウェットティッシュ組成物の製造>
ラウリルピリジニウムクロリド及び3種以上の化合物を含む本発明のラウリルピリジニウムクロリドを主成分とするウェットティッシュ組成物を製造し、この際、以下の<表3>の成分及び含量に該当する物質を精製水に入れて混合して製造した。
【0059】
【表3】
【0060】
<比較例1乃至比較例21.比較対象のウェットティッシュ組成物製造>
以下の<表4>の成分及び含量に該当する物質を精製水に入れて混合して比較対象のウェットティッシュ組成物を製造した。
【0061】
【表4】
【0062】
<実験例1.ウェットティッシュ組成物の坑菌活性確認>
前記実施例1乃至実施例3及び比較例のウェットティッシュ組成物を用いて坑菌活性を確認し、この際、細菌は黄色葡萄状球菌(Staphylococcus aureus)、大腸菌(Escherichia coli)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)が混合された菌、真菌は黒カビ(Aspergillus brasiliensis)、カンジダアルビカンス(Candida albicans)が混合された菌、及びバークホルデリア(Burkholderia cepacia)菌を用いて坑菌活性を確認した。
【0063】
前記坑菌活性実験はU. S. Pharmacopoeia基準に従って遂行した。具体的に、菌の減少及び死滅率を確認するために平板培養法により実験し、前記ウェットティッシュ組成物を細菌混合液(細菌10〜10CFU/ml、真菌10〜10CFU/ml、バークホルデリア10〜10CFU/ml)に接種し、平板培地に塗布した後、細菌は30〜35℃で24時間間、真菌は25℃で72時間間、バークホルデリアは30〜35℃で48時間間培養した。この際、対照群にはウェットティッシュ組成物を処理しない細菌混合液を用いた。各々の菌を培養した後、平板培地に生成された菌の群落(colony)数を計数した後、以下の<式1>を用いて菌の死滅率を計算し、その結果を<表5>及び図1に示した。
【0064】
<式1>
菌の死滅率=((対照群の接種菌数−ウェットティッシュ内の残存菌数)/対照群の接種菌数)×100
【0065】
ウェットティッシュ組成物に使用可能な菌の死滅率の基準は99.9%以上で、99.9%未満の場合にはウェットティッシュ製造に適しない。
【0066】
【表5】
【0067】
図1及び前記<表5>に示すように、実施例1乃至実施例3のウェットティッシュ組成物の場合、細菌、真菌、及びバークホルデリアに対する菌死滅率が99.9%以上になる一方、比較例1乃至比較例8のようにラウリルピリジニウムクロリド及び化合物が各々1つずつだけ含まれた場合や、比較例9及び比較例10のようにラウリルピリジニウムクロリド及び化合物の含量が本発明の含量より低く含まれる場合には、細菌、真菌、及びバークホルデリアに対する菌死滅率が99.9%未満になることを確認した。
【0068】
また、本発明のラウリルピリジニウムクロリドの代わりにセチルピリジニウムクロリドを含むウェットティッシュ組成物(比較例12乃至比較例21)の場合には、一部の組成物(比較例12、比較例14、比較例16、比較例17、比較例19)でバークホルデリアに対する菌死滅率が99.9%未満であるので、ウェットティッシュ組成物としての基準値を超えないものがあり、菌死滅率が基準値以上であっても、以下の実験例2の原緞拡散性における拡散性が低くて、ウェットティッシュ組成物への利用時、限界点があることが分かった。
【0069】
これを通じて、本発明のラウリルピリジニウムクロリドを主成分として含むウェットティッシュ組成物の場合、細菌、真菌、及びバークホルデリアに対する菌死滅率が高く、特に、現在、主に使われているセチルピリジニウムクロリドに比べてバークホルデリアに対する菌死滅率が優れることが分かるので、セチルピリジニウムクロリドを取り替えることができるウェットティッシュ組成物への使用が期待される。
【0070】
<実験例2.ウェットティッシュ組成物の原緞拡散性確認>
ウェットティッシュの製造時、ウェットティッシュ原緞の中央部分にウェットティッシュ組成物が撒かれるようになるが、拡散性が落ちる場合には原緞の縁がウェットティッシュ組成物が含浸されない問題が発生し、これは微生物が育つことができる環境を提供するので、ウェットティッシュ汚染の原因となることがある。したがって、拡散性の低いウェットティッシュ組成物を用いてウェットティッシュを製造する過程でウェットティッシュ原緞の両側に追加的にノズルを設置して生産する苦情があり、これによって、ウェットティッシュ組成物の消耗量も増加する。
【0071】
ウェットティッシュ組成物の拡散力に対する判断基準は、直径が10cmのウェットティッシュ原緞にウェットティッシュ組成物0.5mlまたは1mlを原緞の中央に落とし、1時間間放置した後、拡散された直径のサイズを測定した。この際、ウェットティッシュ組成物が拡散された直径のサイズがウェットティッシュ組成物0.5mlを落とした場合には、平均3.0cm以上、1mlを落とした場合には平均6.0cm以上の時、ウェットティッシュの製造時、ウェットティッシュの縁までウェットティッシュ組成物が十分に含浸できるので、これを基準に、ウェットティッシュ組成物の拡散性が優れると判断することができる。
【0072】
これによって、前記実施例1乃至実施例3、及び比較例のウェットティッシュ組成物を用いてウェットティッシュ原緞での拡散性を確認した。
【0073】
各々のウェットティッシュ組成物0.5mlまたは1mlをウェットティッシュ原緞に主として使われるレーヨンとポリエチレンが6:4の割合で混ざった不織布に落として吸収される直径のサイズを測定し、その結果を<表6>に示した。
【0074】
【表6】
【0075】
前記<表6>に示すように、比較例12乃至比較例21のようにセチルピリジニウムクロリドが含まれたウェットティッシュ組成物に比べて前記実施例1乃至実施例3のように本発明のラウリルピリジニウムクロリドを主成分として含むウェットティッシュ組成物のウェットティッシュ原緞内での拡散範囲が広いということが分かった。
【0076】
また、ラウリルピリジニウムクロリド及び化合物の総重量%が高まるほど、ラウリルピリジニウムクロリド及び化合物の高い含量によって拡散性が多少落ちることを確認したが、ラウリルピリジニウムクロリドの代わりに同一な重量%のセチルピリジニウムクロリドを含む場合と比較時にはラウリルピリジニウムクロリドを含むウェットティッシュ組成物の拡散性がもっと高いことを確認した。
【0077】
延いては、比較例2乃至比較例10のウェットティッシュ組成物の場合、原緞内での拡散性が高いが、前記実験例1のウェットティッシュ組成物の坑菌活性結果ではウェットティッシュ組成物に使用可能な坑菌活性の基準値より低くて、ウェットティッシュ組成物には適しないということが分かった。
【0078】
これを通じて、本発明のラウリルピリジニウムクロリドを主成分として含むウェットティッシュ組成物の場合、拡散性が優れて、ウェットティッシュ製造に容易に利用できることが分かった。
【0079】
前記実験例1及び実験例2の結果を通じて、本発明のラウリルピリジニウムクロリドを主成分として含むウェットティッシュ組成物が現在主に使われているセチルピリジニウムクロリドに比べて菌の死滅率及びウェットティッシュ原緞内での拡散性が優れて、セチルピリジニウムクロリドを取り替えることができるウェットティッシュ組成物であることが分かる。
【0080】
<実験例3.ウェットティッシュ組成物の拡散性に従う坑菌活性確認>
前記実施例1乃至実施例3及び比較例のウェットティッシュ組成物の拡散性に従う坑菌活性を比較する実験を進行した。
【0081】
前記実施例1−2、実施例2−1、及び実施例3−1のウェットティッシュ組成物と実施例のラウリルピリジニウムクロリドの代わりにセチルピリジニウムクロリドを含有している比較例13、比較例20、及び比較例21のウェットティッシュ組成物を摺紙されたウェットティッシュ原緞(レーヨンとポリエチレンが6:4の割合で混ざった不織布)5枚の上の中央部分に各々原緞重さの2.5倍位を注した後、約5kg重さの物品を1時間間載せておいた。その後、ウェットティッシュ原緞の最初枚及び最後枚を用いて坑菌力を確認した。
【0082】
前記最初枚及び最後枚のウェットティッシュ原緞を滅菌された生理食塩水100mlに入れてウェットティッシュ組成物を十分に湧出させた後、湧出されたウェットティッシュ組成物を用いて前記実験例2と同一な方法により実験を遂行して菌の死滅率を確認し、菌の死滅率が99.9%以上であれば坑菌活性があると、99.9%未満であれば坑菌活性がないと判断し、その結果を<表7>に示した。
【0083】
【表7】
【0084】
前記<表7>から分かるように、前記実施例1−2、実施例2−1、及び実施例3−1のウェットティッシュ組成物の場合、ウェットティッシュ原緞の最初枚及び最後枚の全てで坑菌効果がウェットティッシュ組成物の使用可能基準値を超える一方、比較例13、比較例20、及び比較例21のウェットティッシュ組成物のようにセチルピリジニウムクロリドを主成分として含むウェットティッシュ組成物の場合にはウェットティッシュ原緞の最後枚の坑菌効果がウェットティッシュ組成物の使用可能基準値を超えないことを確認し、これは比較例13、比較例20、及び比較例21のウェットティッシュ組成物のウェットティッシュ原緞内での拡散性が低くて最後枚まで十分に含浸されていないことを予想することができた。
【0085】
これを通じて、本発明のラウリルピリジニウムクロリドを主成分として含むウェットティッシュ組成物が既存に主に使われているセチルピリジニウムクロリドを含むウェットティッシュ組成物を取り替えることができることが分かった。
【0086】
<製造例1.発明のウェットティッシュ組成物を含むウェットティッシュ製造>
前記実施例1乃至実施例3、及び比較例のウェットティッシュ組成物を各々のウェットティッシュ組成物当たり80枚のウェットティッシュ原緞に含浸させてウェットティッシュ製品を製造した。
【0087】
<実験例4.ウェットティッシュの坑菌活性確認>
前記製造例1で製造したウェットティッシュを用いて坑菌活性を確認した。
【0088】
前記ウェットティッシュ1枚を滅菌された生理食塩水100mlに入れてウェットティッシュ組成物を十分に湧出させた後、湧出されたウェットティッシュ組成物を用いて前記実験例2と同一な方法により実験を遂行して菌の死滅率を確認し、菌の死滅率が99.9%以上であれば坑菌活性があると、99.9%未満であれば坑菌活性がないと判断し、その結果を<表8>に示した。
【0089】
【表8】
【0090】
前記<表8>に示すように、実施例1乃至実施例3のウェットティッシュ組成物で製造したウェットティッシュの場合、細菌、真菌、及びバークホルデリアに対する坑菌効果が全て基準値を超える一方、比較例1乃至比較例8のようにラウリルピリジニウムクロリド及び化合物が1つずつだけ含まれた場合や、比較例9及び比較例10のようにラウリルピリジニウムクロリド及び化合物の含量が本発明の含量より低く含まれる場合には、細菌、真菌、及びバークホルデリアに対する坑菌活性が基準値未満のものがあることを確認した。また、本発明のラウリルピリジニウムクロリドの代わりにセチルピリジニウムクロリドを含む比較例12乃至比較例21のウェットティッシュ組成物の場合には、バークホルデリアに対する菌死滅率が基準値を超えないものがあることが分かった。
【0091】
これを通じて、本発明のラウリルピリジニウムクロリドを主成分として含むウェットティッシュ組成物を用いて製造したウェットティッシュが優れる坑菌活性があることが分かった。
【0092】
<実験例5.ウェットティッシュの物理的な特性確認>
前記製造例1で製造したウェットティッシュを用いてウェットティッシュのポップアップ現象及びぬるぬるさのような物理的な特性を確認した。
【0093】
ポップアップ現象の場合、同一な力と速度でウェットティッシュを抜いたものであり、このように抜く過程で一回に2枚以上が連続して抜かれる場合の回数を測定し、その結果を<表9>に示した。
【0094】
【表9】
【0095】
前記<表9>に示すように、前記実施例1乃至実施例3のようにラウリルピリジニウムクロリドを主成分として含むウェットティッシュ組成物を用いて製造したウェットティッシュの場合、比較例13乃至比較例21のようにセチルピリジニウムクロリドを主成分として含むウェットティッシュ組成物を用いて製造したウェットティッシュに比べてポップアップ現象が少なく発生することを確認した。
【0096】
また、ウェットティッシュのぬるぬるさ及びバブル生成の場合にも、本発明のラウリルピリジニウムクロリドを主成分として含むウェットティッシュ組成物を用いて製造したウェットティッシュがセチルピリジニウムクロリドを主成分として含むウェットティッシュ組成物を用いて製造したウェットティッシュに比べてぬるぬるさが少なく、バブル生成が低いことを確認した。
【0097】
これを通じて、本発明のラウリルピリジニウムクロリドを主成分として含むウェットティッシュ組成物で製造したウェットティッシュの品質が優れることが分かった。
図1