特許第6388714号(P6388714)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6388714少なくとも1本の供給ケーブルを案内するための車両接続システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6388714
(24)【登録日】2018年8月24日
(45)【発行日】2018年9月12日
(54)【発明の名称】少なくとも1本の供給ケーブルを案内するための車両接続システム
(51)【国際特許分類】
   B61G 5/10 20060101AFI20180903BHJP
   B61G 5/06 20060101ALI20180903BHJP
   H02G 11/00 20060101ALI20180903BHJP
【FI】
   B61G5/10
   B61G5/06 A
   H02G11/00
【請求項の数】13
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-515207(P2017-515207)
(86)(22)【出願日】2015年9月16日
(65)【公表番号】特表2017-529279(P2017-529279A)
(43)【公表日】2017年10月5日
(86)【国際出願番号】EP2015071194
(87)【国際公開番号】WO2016042016
(87)【国際公開日】20160324
【審査請求日】2017年5月15日
(31)【優先権主張番号】102014218943.8
(32)【優先日】2014年9月19日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513180370
【氏名又は名称】レオニ カーベル ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100094525
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100094514
【弁理士】
【氏名又は名称】林 恒徳
(72)【発明者】
【氏名】マルクス リトハンメル
【審査官】 林 政道
(56)【参考文献】
【文献】 中国実用新案第201423930(CN,Y)
【文献】 独国特許発明第19614060(DE,C1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61G 5/10
B61G 5/06
H02G 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給ケーブル(4)を保持するための支持部材(8)を備え、この支持部材(8)が独立した接続個所(7)を備え、この接続個所に前記供給ケーブル(4)が電気的に接続可能であり、前記支持部材(8)が終端部材(10)に固定されている、2台の車両の間で少なくとも1本の供給ケーブル(4)を案内するための車両接続システム(2)において、前記供給ケーブル(4)がらせんケーブルとして形成されてケーブル縦軸線(K)回りにらせん状に延在していることと、前記支持部材(8)が剛体であり、前記供給ケーブル(4)の引張り負荷を軽減しかつ前記供給ケーブルを機械的に保持するために、前記支持部材(8)に挟持部材(12)が固定され
前記支持部材(8)が2つの脚部(36a、36b)を備え、前記終端部材(10)と前記供給ケーブル(4)を互いに所定の角度(W)で位置決めし、
前記両脚部(36a、36b)が或る数の側方部分(S)を介して互いに固定連結され、前記接続個所(7)が前記側方部分(S)の一つに配置されていることを特徴とする車両接続システム(2)。
【請求項2】
前記支持部材(8)が垂直な組立て面(MV)を有し、この組立て面に前記挟持部材(12)が固定され、前記組立て面が前記供給ケーブル(4)のケーブル縦軸線(K)に対してほぼ垂直に延在していることを特徴とする請求項1に記載の車両接続システム(2)。
【請求項3】
前記終端部材(10)が前記支持部材(8)の傾斜した組立て面(MS)を介して前記支持部材(8)に固定され、傾斜した前記組立て面(MS)が垂直な前記組立て面(MV)に対して角度(180°−W)をなして配置されていることを特徴とする請求項に記載の車両接続システム(2)。
【請求項4】
1台の前記車両に機械的に連結するために、前記支持部材(8)が前記終端部材(10)によってのみ前記車両に連結さていることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の車両接続システム(2)。
【請求項5】
前記供給ケーブル(4)がそれに固定されたケーブルシュー(16)を介して前記支持部材(8)にボルト止めされていることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の車両接続システム(2)。
【請求項6】
前記供給ケーブル(4)がケーブル端部(6)を有し、このケーブル端部(6)が曲げられて形成されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の車両接続システム(2)。
【請求項7】
前記車両接続システムが複数本の供給ケーブル(4)を案内するように形成され、複数本の前記供給ケーブル(4)の各々が前記支持部材(8)に電気的に接続されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の車両接続システム(2)。
【請求項8】
複数本の前記供給ケーブル(4)が少なくとも1つの接続個所(7)で前記支持部材(8)に電気的にのみ接続され、かつ特に挟持部材(12)によって別の場所で前記支持部材に保持されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の車両接続システム(2)。
【請求項9】
複数本の前記供給ケーブル(4)が共通のケーブル縦軸線(K)回りにらせん状に延在していることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の車両接続システム(2)。
【請求項10】
前記支持部材(8)が孔(24)を有し、この孔に終端部材(10)が挿入されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の車両接続システム(2)。
【請求項11】
前記支持部材(8)が金属板から作られていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の車両接続システム(2)。
【請求項12】
前記支持部材(8)が一体に形成されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の車両接続システム(2)。
【請求項13】
前記車両接続システムが前記供給ケーブル(4)の2つのケーブル端部(6)を接続するために、このケーブル端部(6)の各々について1本の終端部材(10)を備え、この終端部材がそれに固定された支持部材(8)を備えていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の車両接続システム(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給ケーブルを保持するための支持部材を備えている、2台の車両の間で少なくとも1本の供給ケーブルを案内するための車両接続システムに関する。
【背景技術】
【0002】
このような車両接続システムは例えば仏国特許第2713183号明細書に記載されている。
【0003】
特に鉄道分野において、列車の2台の車両の間で供給ケーブルを案内するためにいわゆる車両接続システムが使用される。この車両接続システムは一方の車両から他方の車両へ供給ケーブルを案内する。この場合、供給ケーブルは例えば、特にキロボルト範囲の送電のためのケーブルあるいはデータケーブルまたは信号ケーブルである。原理的には、車両接続システムを用いて複数の供給ケーブルを案内することも可能である。
【0004】
車両接続システムはさらに、両車両の相対運動を可能にするような可撓性の連結部である。例えば一般的に、供給ケーブルの両ケーブル端部をそれぞれケーブルシューによって終端部材に固定することが知られている。その際、供給ケーブルは通常撓曲可能で、それぞれ車両に動かぬように取付けられた終端部材の相対運動を可能にする。
【0005】
しかしながら、この実施形の場合には、運転中付加的な機械的力がそれぞれのケーブルシューに、すなわち供給ケーブルの接続個所に発生するという欠点がある。この機械的力によって、連結がゆるむかまたは切り離されるかあるいは供給ケーブルが損傷または破断する。機械的な応力は特に供給ケーブルに直接作用し、かつ特に接続個所に作用する。従って、接続個所を介しての供給ケーブルの電気的な接続部を、機械的な応力から分離するために、いわゆる挟持部材が使用される。供給ケーブルは、運転中に接続個所が負荷されないかまたは少しだけしか負荷されないように、この挟持部材内で機械的に固定保持される。
【0006】
例えば独国特許第19614060C1号明細書に、互いに相対的に動く2つの車両部分を備えた車両のための電気的連結装置が示してある。その際、弾性連結要素として示された供給ケーブルは先ず最初に挟持部材によって固定されている。挟持部材はさらにブラケットに連結され、このブラケットは絶縁体として形成された支持部材に揺動可能に取付けられている。この支持部材を介して、一方の車両部分に対して機械的な連結が行われる。さらに、電気的な接続部材が支持部材に固定連結されている。この電気的な接続部材には、供給ケーブルがケーブルシューによって電気的に接続されている。さらに、供給ケーブルを車両部分に電気的に接続するために、適当な終端部材が電気的な接続部材に接続可能である。
【0007】
仏国特許第2713183号明細書には、水平平面内で撓曲可能な連結を可能にし、そのために伸縮アームを備えている装置が示してある。この伸縮アームはその両端がそれぞれヒンジを介して絶縁体に取付けられている。供給ケーブルの案内はここでは案内手段によって行われる。この案内手段は伸縮アームのほぼ中央に取付けられ、供給ケーブルの機械的なスタビライザとしての働きをする。そのために、案内手段はOリングとして形成され、このOリングの内径は、案内手段、ひいては伸縮アームと相対的な供給ケーブルの摺動を可能にするために、供給ケーブルの直径よりも大きくなっている。さらに、ヒンジはそれぞれ、各絶縁体に固定連結された板を備えている。この板に、供給ケーブルが電気的に接続されている。
【0008】
独国特許第19614427C2号明細書にはさらに、伸縮棒を備えた結合コネクタが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】仏国特許第2713183号明細書
【特許文献2】独国特許第19614060C1号明細書
【特許文献3】独国特許第19614427C2号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の根底をなす課題は、供給ケーブルを案内するための、簡単で同時に安全な車両接続システムを提供することである。その際、簡単とは特に簡単化された構造であると理解され、安全とは特に供給ケーブルの電気的接続個所の機械的負荷の軽減であると理解される。さらに、車両接続システムをできるだけ低コストで製作すべきである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題は本発明に従い、請求項1の特徴を有する車両接続システムによって解決される。有利な実施形、発展形態および変形は従属請求項の対象である。
【0012】
車両接続システムは、例えば列車の2台の車両の間で少なくとも1本の供給ケーブルを案内する働きをする。車両接続システムは供給ケーブルを保持するために支持部材を備え、この支持部材はさらに、独立した接続個所を備え、この接続個所に供給ケーブルが電気的に接続可能である。さらに、特に供給ケーブルを車両に電気的に連結するためおよび特に挟持部材と支持部材をこの車両に機械的に連結するために、支持部材は終端部材に固定されている。供給ケーブルはらせんケーブルとして形成されてケーブル縦軸線回りにらせん状に延在している。さらに、供給ケーブルの引張り負荷を軽減しかつ供給ケーブルを機械的に保持するために、支持部材に挟持部材が固定されている。支持部材はさらに剛体として形成されている、すなわち相対的に動く部分を備えていない。
【0013】
一方では、それぞれの車両に対する機械的インターフェースと電気的インターフェースが支持部材を介して行われることがきわめて重要である。そのために、支持部材は終端部材に機械的および電気的に連結されている。従って、支持部材を介して1個だけの部材によって、終端部材への間接的な電気的固定および機械的固定が行われる。追加の機械的ホ
ルダまたは追加の電気的接触要素は不要であり、設けられていない。
【0014】
さらに、同時に供給ケーブルの機械的連結部が電気的連結部から分離されていることがきわめて重要である。特に、機械的な負荷に対して非常に敏感である、接続個所における供給ケーブルの連結部分が、運転中力の作用を受けないかまたは少しだけしか受けない。供給ケーブルに作用するかもしれない力はその代わりに挟持部材によって受け止められる。剛性の支持部材を終端部材に固定したことにより、車両とのきわめて簡単な機械的連結および電気的連結が可能である。支持部材を介しての組合せ連結は、車両接続システムのきわめて簡単な構造をもたらす。この場合、支持部材における供給ケーブルの保持と電気的接続との分離に基づいて、特に電気的な接続個所が機械的負荷から解放される。支持部材は挟持部材と終端部材の間の機械的な仲介部材として作用する。挟持部材と終端部材は互いに直接的に連結されないで、支持部材を介して間接的にのみ連結されている。この場合、支持部材自体は相対的に動く部分を有しておらず、それによって機械的にきわめて安定している。特に、支持部材におけるそれぞれの固定部が剛性であるので、挟持部材と終端部材は支持部材と相対的に動かず、きわめて頑丈な構造体を生じる。
【0015】
供給ケーブルは支持部材における保持のために間接的に固定されている、すなわち挟持部材に固定されている。この挟持部材は機械的にしっかりと支持部材に固定連結されている。特に、供給ケーブルは少なくとも1つの保持個所で固定され、例えば供給ケーブルの一部が挟持固定されているかあるいは適当な貫通案内部または孔内に固定されている。すなわち特に、供給ケーブルは挟持部材によって滑らないように支持部材に保持されている。これにより、供給ケーブルに作用する力は運転中挟持部材と支持部材に伝えられる。挟持された供給ケーブルの部分、すなわち保持個所と、接続個所との間にあるケーブル区間には、有利なことにもはや力が作用しない。それによって特に、接続個所に力が作用しないかまたは小さな力だけしか作用しない。らせん状供給ケーブルの場合、特にねじり力が供給ケーブルの巻線に有利に分配され、接続個所には作用しない。その際、保持個所と接続個所は互いに空間的に分離して支持部材に配置されているが、相対的に動かない方が合目的である。それによって、個所の間にあるケーブル区間と接続個所に作用する負荷が最適に防止される。
【0016】
一般的に、供給ケーブルを独立した接続個所に固定する場合、低下した機械的要求に基づいてさらに、固定方法を選択する際にコストおよび/または製作コストを優先的に考慮して固定方法を選択することができる。連結部の機械的安定性が優先されないので有利である。
【0017】
供給ケーブルはさらに、多数の巻線を有するらせんケーブルとして形成されている。この巻線は特に、ケーブル縦軸線回りに延在するらせんを形成する。その際、各巻線はケーブル縦軸線に対してピッチとも呼ばれるねじれ角を有する。このねじれ角は好ましくは少なくとも60°で、そして90°よりも小さい。らせんケーブルのこのような急勾配の形成により、きわめて有利な機械的特性が生じる。特に、機械的負荷、とりわけねじりが供給ケーブルの多数の巻線に分配され、それによって特に挟持部材に作用する負荷が減少する。従って、付加的な保持手段を省略することができるので有利である。
【0018】
供給ケーブルを保持するためおよび引張り負荷を軽減するために、支持部材に挟持部材が固定されている。それによって、支持部材における供給ケーブルの保持は、支持部材の材料と異なる材料で挟持部材を作ることが可能であるという意味できわめて有利である。挟持部材と支持部材がこのように別々に形成可能であることにより、この両部材をそれぞれの機能の観点から優先的に形成することができる。それによって、挟持部材に関しては特に、供給ケーブルのきわめて良好な固定保持と機械的な負荷の適切な受け止めを可能にするような形成が可能である。支持部材は特に供給ケーブルの電気的な接続に基づいて導電材料、例えば金属で作られている。挟持部材は好ましくは同様に金属から作られるが、その代わりに合成樹脂で作ることができる。挟持部材は特に2つの半割り部材を備え、この半割り部材は、供給ケーブルを挟持または挿入する少なくとも1つの貫通案内部を形成する。それによって特に、貫通案内部を寸法通りに形成して、貫通案内部内で摩擦力に基づいて供給ケーブルを固定保持することができる。供給ケーブルを保持するための供給ケーブルの不利な押しつぶしを回避することができる。
【0019】
挟持部材は例えば支持部材にしっかりとボルト止めされる。支持部材における電気的な接続個所に関連して、この接続個所から空間的に分離された、供給ケーブルのための適切な保持個所が、挟持部材によって作られる。
【0020】
合目的な実施形では、支持部材が2つの脚部を有し、終端部材と供給ケーブルを所定の角度を位置決めしている。この角度は直角ではない。それによって、車両接続システムをその都度の使用分野に適切に適合させることができる。角度は好ましくは90°よりも大きく、180°よりも小さく、特に好ましくは110〜160°である。その際、角度は特に、ケーブル縦軸線と終端部材の縦方向または延長方向とがなす角度である。その際、脚部には挟持部材が固定されている。角度をつけて形成することにより、機械的にきわめて頑丈に挟持部材を固定することができる。角度を選択することにより、脚部は好ましくは、らせんケーブルのらせん巻線の平面に対してほぼ平行に配向される。これにより、挟持部材を介しての簡単な機械的衝撃緩和が促進される。
【0021】
挟持部材を支持部材に固定するために、支持部材は好ましくは垂直な組立て面を備えている。この組立て面には挟持部材が固定され、組立て面は供給ケーブルのケーブル縦軸線に対してほぼ垂直に延在している。
【0022】
これは特に、組立て面の配置が約10°よりも大きくない角度だけ、ケーブル縦軸線に対する垂直な配置と相違していることであると理解される。それによって、組立て面は挟持部材のためにきわめて大きな接触面を生じ、車両接続システムは非常に頑丈に形成される。その際、組立て面は特に一つの脚部によって形成されている。
【0023】
挟持部材が垂直な組立て面を備えていると合目的である。この組立て面は固定された状態で支持部材の垂直な組立て面に接触する。挟持部材の垂直な組立て面は特に、挟持部材の一方の半割り部材の外向きの外面によって形成される。その際、挟持部材の組立て面は供給ケーブルの挟持面としての働きをしないで、支持部材に面で接触する。挟持部材は、供給ケーブルを保持するために、付加的な独立した挟持面を特に複数個備えている。ボルト連結によって固定する際に、ボルトはケーブル縦方向に対して平行に延在し、両垂直組
立て平面を通過する。
【0024】
終端部材が垂直組立て面とは異なる支持部材の傾斜した組立て面を介して、支持部材に固定されていると合目的である。特に、支持部材の両組立て面はそれぞれ、上述の脚部の一部であるので、傾斜した組立て面と垂直な組立て面は同様に互いに一致する角度で配置されている。すなわち、180°から、ケーブル縦軸線と終端部材の縦軸線の間の上記角度を差し引いた角度で配置されている。
【0025】
支持部材が剛体として形成されているので、その傾斜した組立て面と垂直な組立て面も相対的に動かないように配置されている、すなわち調節された一定の角度で配置されている。この角度は特に支持部材の製作時に例えば顧客明細に従って調節され、以降はもはや変更不能である。
【0026】
両組立て面はそれぞれ、特に真っ直ぐに、平坦におよび平らに延在している。
【0027】
両組立て面、ひいては特に両脚部は特に、或る数の側方部分を介して互いに固定連結されている。接続個所は好ましくは一方の側方部分に配置され、組立て面の一方には配置されていない。従って、固定個所におけるいかなる機械的負荷も、終端部材と挟持部材の接続個所からできるだけ遠ざけられる。従って、供給ケーブルの電気的接続は支持部材の側方部分で行われ、組立て面の範囲では行われない。
【0028】
適切な変形では、支持部材の両組立て面が互いに平行に延在し、特に支持部材の前面と背面であり、特に実施形では両組立て面が金属板の両側に金属板部分として配置されている。この実施形では、きわめてコンパクトな構造が生じる。支持部材の両組立て面は特に互いに平行に配置され、特に材料厚さのみによって互いに離隔されている。その際特に、上記の変形と異なり、供給ケーブルのための接続個所、終端部材のための固定個所および場合によっては挟持個所のための固定個所はすべて一緒に共通の平面内に配置され、特に組立て面内に配置される。この構成は特に、終端部材の縦軸線がケーブル縦軸線に対して平行に延在している構造に適している。支持部材は変形ではそれにもかかわらず組立て面のエッジに或る数の側方部分を有し、この側方部分は組立て面を連結する働きをせず、側方の翼部として折り曲げられ、特に金属板からなる支持部材の場合機械的安定性を高めるために寄与する。
【0029】
車両への機械的な接続のために、支持部材は合目的な実施形では終端部材によってのみ車両に接続されている。その際、支持部材自体は車両に機械的に連結されないで、終端部材を介して間接的に連結されている。換言すると、支持部材は、終端部材を除けば、車両に対する他の機械的連結部を備えていない。従って、供給ケーブルから支持部材に伝達される力の作用は、終端部材に伝わる。この実施形では、車両に対する供給ケーブルのコストのかかる独立した機械的連結、特に別個の絶縁体による連結を行わずに済むので有利である。従って、車両接続システムは非常に簡単に形成され、特に低コストで製作可能である。
【0030】
支持部材は好ましくは、供給ケーブルを除けば、両車両の他方との機械的連結部を備えていない。従って、供給ケーブルは車両接続システムに関して、両車両の唯一の機械的連結部である。それによって特に、複雑な連結個所を省略することができる。
【0031】
終端部材は特に、電気的接続のための接続接触部を有する導体と、この導体を取り巻く絶縁ケーシングを備えている。この場合、接続接触部は、おねじを有するボルトであると合目的である。終端部材は好ましくは、例えばキロボルトの範囲の電圧を伝送するように設計され、絶縁ケーシングはそれに応じて絶縁体のように形成されている。終端部材はその通常の剛性構造に基づいて特に、機械的負荷を伝達するためにも適している。従って、終端部材は、その導体が支持部材と車両の電気的構成要素との間の電気的接続を行い、同時に剛性のある機械的な連結を可能にするように、二重機能を発揮すると有利である。その際、連結が接続接触部を介して、特に安定性のあるボルトを介して行われると有利である。そのために、接続接触部は支持部材に固定され、好ましくはボルトによって支持部材にボルト止めされている。
【0032】
支持部材は同時に、接続接触部を介して終端部材に電気的に接続されている。運転中、電流は特に供給ケーブルから接続個所を経て支持部材に流れ、そして支持部材から終端部材および車両に流れる。この場合、冒頭で述べた、終端部材への供給ケーブルの直接的な接続が回避される。
【0033】
有利な実施形では、供給ケーブルがそれに固定されたケーブルシューを介して支持部材にボルト止めされている。連結のこの形は非常に低コストであり、特に接続個所が高度な機械的要求を満たす必要がないことによって可能である。従って、通常は機械的に負荷される連結部のためには使用されない銅によって作られたケーブルシューを使用することができる。この銅製のケーブルシューはもちろん、きわめて良好な電気的な特性を有する。ケーブルシューは特に、供給ケーブルのケーブル端部に例えばクリンプさせて取付けられる。ケーブルシューは好ましくは、例えば六角の外側輪郭部材によって圧着される。それによって特に、圧着の際に、供給ケーブルの導体の半径方向にきわめて均一な力の分布が生じ、よって特に適切な保持作用が達成される。支持部材における接続は例えば、ケーブルシューにボルトを通して、支持部材の適切な穴にねじ込むことによって行われる。その際、穴は例えば簡単な貫通穴であり、ボルト連結部はきわめて簡単で低コストのボルトナット連結部である。
【0034】
ケーブル端部が曲げて形成され、それによってらせん状供給ケーブルが支持部材に非常に簡単に連結可能であると有利である。これによって、支持部材はきわめて簡単に形成可能である。すなわち特に、付加的なブラケットまたは接続レールを支持部材に形成または固定する必要がない。さらに、曲げた形成は非常に強い負荷の際にある程度の遊びを許容する。例えば支持部材または挟持部材が大きく曲がるかまたは破壊されるときに、電気的
接続はさしあたり保証される。
【0035】
有利な発展形態では、車両接続システムが複数本の供給ケーブル、特に2本または3本の供給ケーブルを案内するように形成されている。この場合、複数本の供給ケーブルはそれぞれ支持部材に電気的に接続されている。それによって、車両接続システムの伝送可能な出力をきわめて簡単に増減することができる。横断面を大きくすることによって製作が困難になる供給ケーブルの代わりに、それと比較して小さな横断面を有する供給ケーブルが複数本使用される。複数本の供給ケーブルの実施は、冒頭で述べたように終端部材に直接固定する場合には容易ではない。なぜなら、異種の供給ケーブルが、終端部材に一緒に固定することによって互いに妨害するからである。換言すると、供給ケーブルの案内は、機械的連結部を兼ねる共通の接続個所に基づいて困難である。上記の有利な発展形態では、供給ケーブルは接続個所ではなく、支持部材上の他の場所に保持され、特に挟持部材によって保持される。それによって、複数本の供給ケーブルの案内がきわめて簡単になる。例えば真っ直ぐな供給ケーブルよりもはるかに大きな柔軟性を有する巻いた供給ケーブルを使用することができる。従って、有利な実施形では、複数本の供給ケーブルがそれぞれ、ケーブル縦軸線回りにらせん状に延在するらせんケーブルとして形成されている。
【0036】
複数本の供給ケーブルを使用する場合、この供給ケーブルは共通のケーブル縦軸線回りに適切にらせん状に延在している。従って、はがれたまたは折れた供給ケーブルが少なくとも1本の残りの供給ケーブルによって受け止められる、すなわち落下が防止されるという利点が生じる。それによって特に、車両接続システムの安全性が改善される。
【0037】
特に終端部材と支持部材の間の適切な機械的連結を確実にするために、支持部材は終端部材を挿入する孔を有する。その際、終端部材は、電気的接続も行うように支持部材に挿入される。適切な終端部材の場合には、終端部材の導体が終端部材の絶縁された絶縁ケーシングに固定連結されている。この実施形では、機械的連結と電気的連結を行うため
に、導体端部を孔に挿入するだけでよい。
【0038】
支持部材の孔がめねじを有し、このめねじに、終端部材が特にその接続接触部によってねじ込まれると合目的である。この場合、接続接触部はおねじを有するボルトを備えている。その代わりにまたはそれに加えて、ナットがボルトに螺合されると有利である。このナットは特に止めナットである。
【0039】
きわめて低コストの実施形では、支持部材は好ましくは金属板、例えば鋼板または特殊鋼板によって製作されている。このような支持部材はきわめて簡単に製作可能である。その際例えば、金属板が適切な輪郭に切断され、続いて折り曲げられて、挟持部材と終端部材を取付けるための適切な組立て面が形成される。車両接続システムが特に鉄道分野での使用に適し、支持部材が発生し得る機械的負荷に耐えるようにするために、金属板の材料厚さは好ましくは4〜10mmである。孔に挿入される終端部材の接続接触部は好ましくは、金属板の厚さよりも大きな長さ、例えば30mmを有する。従って、接続接触部は支持部材の孔を通過して突出し、止めナットを螺合することが可能である。
【0040】
支持部材が一体に形成されていると合目的である。それによって、支持部材は特に機械的に安定している。この場合特に、相対的に動く部分が省略される。この相対的に動く部分は運転中摩耗し得る。このような支持部材は特に摩耗が小さく、保守整備が少なくて済む。
【0041】
有利な変形では、供給ケーブルの両ケーブル端部が上述のように接続されている。この場合、車両接続システムは、供給ケーブルの両ケーブル端部を接続するために、このケーブル端部の各々のために、支持部材を固定した終端部材を備えている。それによって特に、車両接続システムの両側で上記の利点を利用することができる。この実施形は特に、例えば車両接続システムの一方の側だけが従来のように形成されている非対称構造と異なり、対称構造と呼ばれる。両支持部材は互いに直接的に機械連結されないで、供給ケーブルによってのみ連結されている。従って、車両接続システムは支持部材を連結する連結部材を備えていない。なぜなら、このような連結部材は運転中にそれとの摩擦によって供給ケーブルを損傷させ得るからである。
【0042】
上記の実施は特に鉄道分野に限定されず、可動部分と定置された部分が供給ケーブルによって互いに接続されている例えばロボットシステムまたはその他の製造機械において、相対的に動く2つのユニットの間で供給ケーブルを案内する場合にも有効である。従って、上記の実施は特に、鉄道分野の車両接続システムに限定されるものとは見なされない。
【0043】
次に、本発明の実施の形態を図に基づいて詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】車両接続システムの側面図である。
図2】構造体の一部の平面図である。
図3】供給ケーブルを接続した図1の支持部材を示す図である。
図4図1の支持部材の斜視図である。
図5】車両接続システムの代替的な実施の形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1には、車両接続システム2が側面図で概略的に示してある。この車両接続システムは図示していない列車の同様に図示していない2台の車両の間で電力を伝送する働きをする。この場合、伝送は供給ケーブル4によって行われる。供給ケーブルはここではらせんケーブルとしてあるいは屋根らせんとして形成され、そしてケーブル縦軸線K回りにらせん状に延在している。供給ケーブル4のケーブル端部6はそれぞれ、支持部材8の接続個所7に接続されている。この支持部材8にはさらに、それぞれ終端部材10が接続されている。この終端部材はそれぞれ、車両への機械的および電気的接続部である。図示した車両接続システム2はさらに、対称に形成されている。
【0046】
供給ケーブル4を固定保持するために、支持部材8にそれぞれ挟持部材12が固定されている。それによって、供給ケーブル4は固定に基づいて支持部材8にも保持されている。挟持部材12はここでは互いに向き合って配置され、この挟持部材の間で供給ケーブル4がらせん状に延在している。挟持部材12による固定保持は特に図2との組合せから明らかになる。図2図1の構造体の一部の平面図である。供給ケーブル4を固定保持する働きをする、支持部材8にボルト止めされた挟持部材12が図2から明瞭に認識可能である。挟持部材12は2つの半割り部材12a、12bからなっている。この半割り部材は連結状態で2つの貫通案内部14を形成し、供給ケーブル4がこの貫通案内部を通って案内されている。図示した実施の形態では、供給ケーブル4がそれぞれケーブル縦軸線Kに対して垂直にそれぞれの挟持部材12に挿入されている。その際、貫通案内部14は特に、供給ケーブル4を固定保持する保持個所である。それによって、発生し得る供給ケーブルの機械的負荷が挟持部材12に伝達される。その際、ケーブル端部6は機械的負荷を全く受けないかまたは少しだけしか受けない。ケーブル端部6は図示した実施の形態では供給ケーブル4に押圧装着されたケーブルシュー16を用いて支持部材8に取付けられている。このケーブルシューはボルト18とナット20によって支持部材8に固定されている。
【0047】
これは図3から明らかである。図3は終端部材10を省略した図2の構造体の背面図である。ボルト18はケーブルシュー16と支持部材8の翼部22に挿着され、ナット20で止められている。さらに、支持部材8の中央部分26に孔24が設けられている。この孔24は特に終端部材10を保持するために役立つ。そのために、終端部材10は図2に示すように、電気的な接続接触部28が孔24に挿入されている。図示した実施の形態では、接続接触部28はおねじを有するボルトまたはピンを備えている。このボルトまたはピンは貫通穴として形成された孔24に挿入されている。固定のために、止めナットがボルトに螺合している。供給ケーブル4は特に接続接触部28に直接的に電気接続されないで、支持部材8を介して間接的に接続されている。
【0048】
図4は支持部材8の斜視図である。図示した実施の形態では、支持部材8は金属板によって一体に形成されている。そのために、平らな金属板から適切な輪郭が切り整えられ、続いて適切な曲げ部30、32によって最終形状となる。この場合先ず最初に、曲げ部32によってそれぞれ組立て翼部34が折り曲げられ、続いて曲げ部30によって側方部分Sとしての翼部22が中央部分26から折り曲げられる。両組立て翼部34はケーブル縦軸線Kに対してほぼ垂直に延在する垂直な組立て面MVを形成している。この組立て面を介して特に挟持部材12の組立てが行われる。それに対して、終端部材10は傾斜した組立て面MSを形成する中央部分26に固定される。そのために、孔24が特に貫通穴として形成されているので、終端部材10を支持部材8にボルト止めすることができる。
【0049】
支持部材8は互いに角度Wをなして配置された2つの脚部36a、36bを備えている。図示した実施の形態では、脚部36a、36bを形成するために、曲げ部30、32が互いに適切な角度を付けて形成され、特に角度180°−Wをなしている。それによって特に、傾斜した組立て面MSと垂直な組立て面MV、すなわち組立て翼部34が中央部分26に対して角度180°−Wで配置されている。この角度は180°である半角と、上述の角度Wとの差から生じる。特に図1との組合せから明らかなように、終端部材10は供給ケーブル4の延長方向に対して角度をなして配置されている。特に、終端部材10はそれぞれ、ケーブル縦軸線Kに対して角度Wをなす軸線Aに沿って延在している。図示した実施の形態では、角度Wは約120°である。互いに角度をなして配置された両組立て面MS、MVは側方部分Sを介して互いに固定連結されている。一方の側方部分Sには、接続個所7が配置されている。
【0050】
図5には、図2の構造体の代替的な実施の形態が示してある。車両接続システム2は複数本の、ここでは2本の供給ケーブル4を案内するように形成されている。これに対応して、挟持部材12は4個の貫通案内部14を有し、支持部材8は供給ケーブル4を電気的に接続するための2個の接続部分7を備えている。さらに、一方の供給ケーブル4は他方の供給ケーブル4内に配置されている。それによって、らせん状延在と組み合わさって、一方の供給ケーブル4の落下が防止される。これは、一方供給ケーブルが他方の供給ケーブル4の巻線によって収容保持されることによって行われる。
【符号の説明】
【0051】
2 車両接続システム
4 供給ケーブル
6 (供給ケーブルの)ケーブル端部
7 接続個所
8 支持部材
10 終端部材
12 挟持部材
12a、12b 半割り部材
14 貫通案内部
16 ケーブルシュー
18 ボルト
20 ナット
22 翼部
24 孔
26 中央部分
28 接続接触部
30、32 曲げ部
34 組立て翼部
36a、36b 脚部
A 軸線
K ケーブル縦軸線
MS 傾斜した組立て面
MV 垂直な組立て面
S 側方部分
W 角度
図1
図2
図3
図4
図5