(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
周辺光にさらされたとき、前記アゾベンゼン部分が、光異性化を受け、それにより前記コレステリック液晶材料の前記所定の分子周期を変更する、請求項9に記載の眼科用レンズ。
レンズであって、第1の材料を含み、耐用期間、及び前記レンズ内に埋め込まれた使用適合標識を有し、前記使用適合標識は、外部刺激を受けたとき、所定の期間にわたって不可視状態と可視状態との間で変化可能な材料を含み、前記所定の期間が前記レンズの前記耐用期間と等しく、
前記材料が、光バンドギャップ材料を含み、
前記光バンドギャップ材料が、分子配向の所定の周期を有するコレステリック液晶材料を含む、レンズ。
レンズであって、第1の材料を含み、耐用期間、及び前記レンズ内に埋め込まれた使用適合標識を有し、前記使用適合標識は、外部刺激を受けたとき、所定の期間にわたって不可視状態と可視状態との間で変化可能な材料を含み、前記所定の期間が前記レンズの前記耐用期間と等しく、
前記材料が、所定の分子配向を有するコレステリック液晶材料と、前記外部刺激を受けたときに前記コレステリック液晶材料の前記所定の分子配向を変更するように構成されたアゾベンゼン部分を含むコマンド層とを含む、レンズ。
【発明を実施するための形態】
【0017】
コンタクトレンズ(コンタクトレンズ)又はコンタクト(contacts)は、単に、眼上に設置されるレンズである。コンタクトレンズを医療装置と見なし、視力を矯正するために、及び/又は美容上若しくは他の治療上の理由から装着してもよい。コンタクトレンズは、視力を向上させるために、1950年以降商業的に利用されている。初期のコンタクトレンズは、硬質材料から作製又は製造され、比較的高価で脆弱であった。加えて、これらの初期のコンタクトレンズは、コンタクトレンズを通して結膜及び角膜に十分な酸素を透過しない材料から作製され、このことは、いくつかの臨床的副作用を引き起こす可能性があった。これらのコンタクトレンズが依然として利用されているが、それらは、初期快適性が低いため、全ての患者に適していない。当分野における最近の開発によって、ヒドロゲル系のソフトコンタクトレンズが生み出され、これは現在非常に好評であり、広く利用されている。具体的には、現在利用可能なシリコーンヒドロゲルのコンタクトレンズは、非常に高い酸素透過率を有するシリコーンの利点を、ヒドロゲルの実証された快適性及び臨床成績と組み合わせている。本質的には、これらのシリコーンヒドロゲルベースのコンタクトレンズは、以前の硬質材料で作製されたコンタクトレンズよりも高い酸素透過率を有し、概して、着用がより快適である。
【0018】
現在利用可能なコンタクトレンズは、依然として、視力矯正の費用効果的な手段である。薄いプラスチックレンズは、近視(myopia)又は近眼(nearsightedness)、遠視(hyperopia)又は遠視(farsightedness)、乱視、すなわち、角膜における非球面性、及び老眼、すなわち、遠近調節をする水晶体の能力の喪失を含む、視力欠陥を矯正するために、目の角膜に適合する。コンタクトレンズには、様々な形態のものがあり、様々な材料で作製されて、異なる機能性を提供する。終日装用ソフトコンタクトレンズは、典型的には、酸素透過性を目的として水と合わせられた軟質ポリマー材料から作製される。終日装用ソフトコンタクトレンズは、1日使い捨て又は長期装用使い捨てであってもよい。1日使い捨てコンタクトレンズは、通常、1日装用された後、廃棄されるが、連続装用使い捨てコンタクトレンズは、通常、最大で30日間の期間装用される。カラーソフトコンタクトレンズは、異なる材料を使用して、異なる機能性を提供する。例えば、視認性カラーコンタクトレンズは明るい色合いを用いることで装用者が落としたコンタクトレンズを探す助けとなり、強調カラーコンタクトレンズは、装用者の自然の眼の色を強調することを目的とした半透明の色合いを有し、着色カラーコンタクトレンズは、装用者の眼の色を変えることを目的としたより濃く、不透明な色合いを含み、光濾過カラーコンタクトレンズは、所定の色を強調する一方で他の色を弱めるように機能する。硬質ガス透過性ハードコンタクトレンズは、シロキサン含有ポリマーから作製されるが、ソフトコンタクトレンズよりも硬く、したがって、それらの形状を保持し、より耐久性がある。二重焦点コンタクトレンズは、老眼を有する患者用に設計され、ソフトとハードの両方がある。円環状コンタクトレンズは、乱視を有する患者用に設計され、同様に、ソフトとハードの両方がある。上の異なる態様を合わせたコンビネーションレンズもあり、例えば、ハイブリッドコンタクトレンズが挙げられる。
【0019】
全ての製造業者からのコンタクトレンズは、コンタクトレンズを交換する好適な時期として、製造業者によって決定された設定された期間を有する。この期間は、レンズが形成されている材料の種類、コンタクトレンズが着用される時間的期間、コンタクトレンズに対して使用されるクリーニング方式、並びにいくつかの他の因子を含む、いくつかの因子に基づいて異なる。健康、安全、及び快適のために、コンタクトレンズ着用者は、製造業者が推奨する時間のガイドラインに従うべきである。しかしながら、ガイドラインを守ることは、いくつかの理由に不確実となる場合がある。例えば、活動的な生活様式を有する忙しい大人は、いつ新しいレンズを使用開始したか単に忘れ、これによりいつ交換するかを判定するのが大変難しくなり、ひいては単に長過ぎる期間着用する。青少年は、いつコンタクトレンズを交換するべきかを覚えようともしない場合がある。幼児は、自分たちのレンズの取り扱いを認識しない場合があり、彼らの親もまた忘れる場合がある。これらの全ての理由及びそれ以外の理由のために、本発明は、一対のコンタクトレンズを交換するのが適切である時期として、何らかの形式の標示を提供する、適合標識を目的とする。コンタクトレンズは、また薄くかつ可撓性であるようにも設計される。この薄さ及び可撓性は、コンタクトレンズの着用を快適にするが、反転も生じやすくなる。換言すれば、コンタクトレンズは、取扱い及びクリーニングの間に大変容易に反転、すなわち裏返しになる。あらゆる着用者が知っているように、反転した状態で眼上に配置されたコンタクトレンズは、最適な視覚矯正及び/又は快適さを提供しない。したがって、別の態様によると、本発明は、コンタクトレンズの着用者が明確に見ることができる反転マーキングを目的とする。本発明の適合標識及び反転マーキングの両方は、特定の目的で操作される液晶材料で製作される。以下に説明されるように、本発明による液晶技術を利用する反転マーキング及び適合標識の両方が詳細に記載される。
【0020】
コンタクトレンズは、快適さのために、薄く、可撓性である必要がある。そのような可撓性は、コンタクトレンズを取り扱った後、コンタクトレンズの反転をもたらす場合がある。したがって、コンタクトレンズの通常の状態すなわち非反転状態を反転状態から容易に区別できるように、何らか形態の印でコンタクトレンズをマーキングする必要がある。コンタクトレンズの美的及び光学的特性に影響を与えないように、反転マーキングは、現状では各コンタクトレンズの周辺部における一連の小さい数字の形態で形成されている。このことはマーキングを殆ど見えなくするため、マーキングの位置を特定し及び識別するのに特別な努力と適切な照明を必要とする。コンタクトレンズが眼から外され又は離れた際に非常によく見え、容易に識別可能であるが、眼上では不可視である本発明によるような反転マーキングが非常に望ましい。
【0021】
本発明では、液晶材料中に示される相転移現象を利用することによって、そのような機能性を達成することができる。液晶状態は、材料の固体又は結晶性状態と、液体又は等方性状態との間に観察される互いに異なる相である。位置秩序を有しないが、同一方向に向く傾向を有する分子により特徴付けられるネマチック相、分子がある程度の遷移的秩序を示すスメクチック相、分子に関して整列が存在するが、互いに僅かな角度にて整列するコレステリック又はキラルネマチック相、及び、分子の積み重ね円柱により特徴付けられるカラムナー相(柱状相)が存在する。特に、ネマチック−等方性又はコレステリック−等方性の相転移プロセスを使用して、ネマチック液晶材料の場合に拡散光散乱状態と透明状態との間の変換を誘導し、コレステリック液晶材料の場合に反射状態から透明状態への変換を誘導する。マーキングを形成する目的でコンタクトレンズ中に液晶材料を使用することにより多数の利点が提供され、その利点としては、非常に薄い液晶材料層を使用して高いコントラストを得ることができること、液晶材料の相転移温度を角膜の温度に一致させるよう容易に調整することができること、液晶材料が高い汎用性を有する高コントラスト状態を提供すること、及び液晶材料は比較的安価であることが挙げられる。
【0022】
図1Aは、反転マーキング102をコンタクトレンズ100の周辺部内に組み込んだコンタクトレンズ100を図示する。この例示的な実施形態では、反転マーキング102は、単に文字A、B、及びCを備え、これは眼から外してのみ、例えば、着用者の指先又は手のひらの上にあるときに、可視的になる。図示されるように反転マーキング102の文字が現れている場合、コンタクトレンズ100は、反転しておらず、眼上に配置してもよい。
図1Bは、コンタクトレンズ100を眼上に見られるように図示する。換言すれば、反転マーキング102(
図1A)は、もはや不可視である。
【0023】
本発明によると、
図1Aに図示した例示的な反転マーキング102は、ポリマーを分散した液晶(PDLC)のABCの形態の層を備えるが、コンタクトレンズ着用者がコンタクトレンズ100が反転しているか反転していないかを標示するパターンを認識する限り、任意の適切なパターン又は印が利用されてもよい。本明細書で利用するように、上に説明するABCの形態又は任意の他の印は、ポリマーを分散した液晶及び/若しくは任意の適切な材料が物理的にABCに形作られるか、又は材料の上にABCと印刷されるかのどちらかを意味すると解釈される。液晶微小小滴202を含むポリマーを分散した液晶材料は、
図2A及び
図2Bに図示するように、反転マーキング200を形成するようにポリマーマトリックス中に被包される。液晶微小小滴202は、何らかの記号を含む(dorm)ように配設されてもよい。この例示的な実施形態では、厚さが約10μm程度の薄膜は、
図2A、すなわち、1000cm
−1以上の程度の消光定数(消光定数、又はモル消光係数は、所与の波長範囲においてどれほど強く材料が光を吸収又は拡散するかの尺度である)を有する可視の文字Aを示す強い光散乱、及び
図2Bに図示するそれを通過する光の伝播による認識できるほどの減衰を伴わない不可視の文字Aを示す透明の、2つの異なる光学的状態を有する。強い拡散光散乱は、異なる小滴中の液晶材料の光軸のランダムな配向、ポリマーの屈折率と液晶材料小滴の屈折率との間のミスマッチ、及び/又は両方によって生じる。
【0024】
図3は、温度の関数としてのポリマー分散液晶フィルムの光学的状態の例示的な変化をグラフにより示す。より詳細には、
図3は、温度が角膜温度付近に上昇する際の、低透過/高光散乱状態から透明状態へのポリマー分散液晶フィルムの光学的状態の変化を示す。本質的に、等方性状態にある液晶材料の実効屈折率がポリマーの屈折率と一致する場合、ポリマーマトリクス中の液晶材料を、それらの等方性状態まで加熱することにより、
図3に示すように、材料が光学的に均質な透明状態に変換される。
【0025】
ポリマー分散液晶材料を得るための多数の異なる技術/方法論が存在し、それにより、これらの材料を、異なるコンタクトレンズ生産システムに組み込むための自由度が提供される。例示的な一実施形態によれば、重合誘起相分離(PIPS)を利用して、ポリマー分散液晶材料を得ることができる。重合誘起相分離は、液晶が、重合を経ていない材料、例えばプレポリマーと混合された際に生じる。均質溶液を形成した後、重合反応を開始させる。反応が進行するにつれて、液晶分子が小滴を形成し始める。小滴は、ポリマーバインダーの分子が捕捉され、もはや移動できないよう十分に固形化するまで、成長を継続する。多数の要因が重合誘起相分離における液晶小滴のサイズに影響を与え、前記要因には、重合の速度とポリマー中での液晶の拡散速度及び溶解度とに影響する硬化温度、硬化光強度、並びに使用する材料の化学組成が挙げられる。本質的に、これらの要因は、液晶小滴のサイズに多大な影響を与えることができ、このことは次に、ポリマー分散液晶の拡散光−散乱特性に影響する。
【0026】
本発明により用いられる例示的な重合誘起相分離プロセスは、以下のように数個の工程で記述することができる。第1の工程では、45重量パーセントのネマチック液晶E−7又はE7(Merck,Poole,U.K.により製造及び販売)と、55重量パーセントの新たなNOA−65フレポリマーとの混合物を調製する。Norland Optical Adhesive 65、すなわちNOA−65は、紫外光により硬化可能な、透明な無色フォトポリマーである。第2の工程では、混合物を光学的に均一となるまで連続的かつ徹底的に混合する。第3の工程では、光重合を用いると想定して、この光学的に均一な混合物でセルを満たし、365nmの波長とおよそ10mW/cm
2の光強度を有するUVランプに30秒間〜1分間さらす。重合は、熱的に行われてもよく、又は任意の他の適切な方法でも行われてもよい。代替的に、ポリマー分散液晶材料は、液晶とポリマーとの混合物からの溶媒蒸発により得ることができる。硬化及び冷却後、又は溶媒蒸発後、サンプルは外観不透明に現れ、これは相分離が生じたことを示す。次いで、ポリマーを自立フィルム(free-standing film)として剥離してもよい。代替的な例示的実施形態では、混合物は、70重量パーセントの5CBと、30重量パーセントのプレポリマーとを含んでもよい。5CB又は4−シアノ−4’−ペンチルビフェニルは、別のネマチック液晶材料である。
【0027】
波長、光強度及び期間が上述した例示的なプロセスに具体的に示されているが、波長、光強度及び期間は、異なるプロセスにおいて変動してもよく、異なる結果を達成する場合があることに留意することが重要である。
【0028】
拡散性、透明化温度及びコントラストを含む、ポリマー分散液晶材料の光学的及び熱力学特性は、材料パラメーター、厚さ、及び重合条件を変更することにより、特定の用途の目標に合致するよう最適化することができる。材料パラメーターには、ポリマーのタイプ、液晶材料、及び混合物中のそれらの比が挙げられる。ポリマー分散液晶材料の薄膜は、標準的な室温よりも高く、角膜の温度よりも低い透明化温度により特徴付けることができる。ポリマー分散液晶材料の光透過状態は、
図3に示すように、温度が1℃未満変化した際に、急に切り替わることができることに留意することが重要である。温度がなだらかに上昇した場合でも、光透過における変化は非常に速く、例えば、ミリ秒から秒の範囲内とすることができる。この特性は、材料の消光定数に対する、光透過の指数関数的依存性(exponential dependence)によりもたらされる。
【0029】
本発明の代替的な例示的実施形態では、コンタクトレンズの反転マーキングは、
図4に示すように、波長の可視範囲内に反射バンドギャップを有するコレステリック液晶材料を含んでもよい。
図4は、中心波長が緑色の、反転マーキングとして使用し得るコレステリック液晶材料の反射スペクトルを示す。コレステリック液晶材料は、人間の眼には不可視である約800nmを超える、又は400nm未満の波長範囲への反射バンドギャップシフトにより、角膜温度に近い温度に加熱した際にその反射を失い得る。眼の感度は、青色及び赤色と比較して、緑色波長においてより高いため、初期の低温での緑色は、意図される用途、反転マーキングの目的に対しては好ましい。
【0030】
本発明の更なる別の代替的な例示的実施形態では、コンタクトレンズの反転マーキングは、コレステリック液晶材料を含んでもよく、前記コレステリック液晶材料は、コレステリック液晶が等方性状態に相転移することにより、角膜温度に近い温度にこの材料を加熱した際にその反射を失う。かかる機能性のために設計されたコレステリック液晶混合物は、これらの主要な構成成分、すなわち、ネマチック液晶ホスト、可視的な反射を伴うコレステリック液晶構造を誘起するためのキラル剤、及び透明化温度を角膜の温度に近い値に調整するための化合物に基づいてもよい。コレステリック液晶材料の特性は、温度値が角膜温度を下回る際に前記材料が感知し得る色変化を有しないが、
図5に示すように、角膜温度付近での小さい温度変化に非常に敏感となり、該変化により有色から無色への推移を経るように選定又は選択されることが好ましい。
図5は、温度が角膜温度値の付近に上昇した際に、反転マーキングに使用されるコレステリック液晶材料の反射が500nmブラッグ波長を有する反射状態から透明状態へ変化することを示す。
【0031】
本発明の更なる別の代替的な例示的実施形態では、異なるピッチを有する例えば赤色及び青色の反射色を生じるコレステリック液晶材料の2層は、1つのピッチの層がレンズ内側面に最も接近し第2のピッチの層がレンズ外側面に最も接近するようにレンズに組み込まれてもよく、したがってこれらの表面は、異なる色を有するように視認される。代替的な例示的実施形態では、コレステリック液晶材料は、レンズの表面上に存在してもよいことに留意することが重要である。2つのピッチ層の間の色クロストークは、2つのピッチ層の間に配置された、同様に薄い、温度応答性のポリマー分散液晶材料拡散スペーサを使用することにより防止される。この系における個々のコレステリック液晶層は、3〜5μmの厚さであり、周囲の無偏光において好ましくは約10〜約50パーセントの範囲内である、楽に読み取り可能なコントラストを提供する効率性を有するコレステリック液晶反射バンドギャップ内のスペクトル構成成分の反射を示してもよい。ポリマー分散液晶スペーサフィルムは、10μm未満の厚さであってもよい。
【0032】
以下
図6を参照すると、ブロック又は層、すなわちマーカー材料602が示されている。より詳細には、
図6は、マーカー材料602上での入射光600の作用を示す。コレステリック液晶バンドギャップの赤色縁よりも長い波長の入射光600は、短いピッチの螺旋606で表されるコレステリック液晶層604を通って伝搬し、ポリマー分散液体材料スペーサ層608中の光散乱により遮断される。より短い波長の入射光610は、コレステリック液晶層604により強く反射される。反射光は、ベクトル又は矢印612により示される。コレステリック液晶614の第2のフィルム又は層は、螺旋616で示されるより長いピッチを有し、それによって、より長い波長の光を反射し、より短い波長を透過させ、後者はポリマー分散液晶材料スペーサ層608により遮断される。したがって、観察者には、コレステリック層604からの光は青色に見える一方、コレステリック液体層614からの光は赤色に見えるであろう。
【0033】
異なる態様によれば、コレステリック液晶小滴は、コレステリック液晶ピッチを有する単一のポリマーマトリクスに組み込まれてもよく、得られる反射色は、得られたフィルムの前面から後面へ変化する。
図7は、ポリマー分散液晶材料上のコレステリック液晶小滴を全般的に示す。楕円702は、ポリマー704中のコレステリック液晶小滴を表す。螺旋706は、小滴702中の異なるピッチのコレステリック液晶を表す。反射された色は、ピッチと直接関係する。螺旋702aのピッチがより短く又はより密になるほど、反射光の波長がより短くなり、螺旋702bのピッチがより長くなるほど、反射光の波長がより長くなる。そのようなフィルムの前面及び後面は、異なる色合いを示す。異なる色の間のクロストークは、コレステリック液晶−ポリマー界面における拡散光散乱、及び小滴中のコレステリック液晶軸のランダムな配向により、それらのフィルム中で防止される。
【0034】
ピッチ勾配は、例えばポリマーネットワークの補助により、又はコレステリック液晶の組成物中に液晶の螺旋誘起力を不可逆的に変化させるキラルドーパントを有することにより得られてもよく、また安定化されてもよい。かかるフィルムを光に、特にUV光にさらすことによって、吸収及び散乱により生じる光減衰を原因として、フィルムの前面から後面へ、キラルドーパントの螺旋誘起力の変化がもたらされる。色勾配フィルムの生成は、光重合プロセスに付随してもよい。
【0035】
上述した温度応答性材料をパターン化して、コンタクトレンズの正常な配向の識別を容易にするであろう数字、図形又は表記を示すことができる。パターン化は、異なるプロセスを用いて実現することができる。好ましい例示的な実施形態では、透明な、温度に無反応の背景に対する拡散光散乱ポリマー分散液晶材料のパターン化は、マスクを通って伝搬し、モノマーと液晶材料との混合物上に投射されるUV光を用いて実現することができる。水蒸気凝縮を避けるために一定の窒素流下にて、15℃のような低温で行われる上述した液晶材料とポリマー組成物との(NOA−65中の5CB)重合プロセスにより、強い光散乱性の所望のパターンの形態を有するポリマー分散液晶がもたらされる。第2の工程では、混合物を保持するセルの温度を例えば25℃を超えて上昇させ、マスクを除去し、サンプル全体がUV光を受ける。かくして、第1の工程で光にさらされなかった材料の全部が、周囲温度に無関係に冷却後に透明のまま残留する透明ポリマーフィルムとして重合される。代替的に(Alternately)、フォトリソグラフィーにて実行されるように、材料の非重合部分を洗浄除去し、温度感応性パターンを無傷のまま残してもよい。このポリマー分散液晶技術は、容易かつ安価な製造と、拡散光散乱による幅広い視野角と、の利点を提供する。コレステリック液晶技術は、微光条件下でも可視であり得る鏡様反射と、異なる色の実現可能性と、の利点を提供する。
【0036】
一例として、光応答性液晶材料に対する周囲光の効果により、可視と不可視状態との間の同様の推移を得ることができる。しかしながら、周囲光とは異なり、角膜は、正常なヒトでは34.2℃である平均値を有する、よく制御された温度環境を提供する。この温度は、コンタクトレンズが眼内に挿入される可能性がより高い室温よりも10℃を超えて高く、熱応答性材料を殆どの状況においてより好ましいものとする。温度応答性材料はまた、周囲光内で行われるプロセスと比較した際のその材料の温度応答速度に起因してより好ましい。
【0037】
本発明は、レンズが眼から離れ又は外された際に可視であり、レンズが眼上に存在する際に不可視となるマークを有する反転マーキング層を含むコンタクトレンズに関する。反転マーキング(masking)層の、色、光遮蔽、散乱、光回折及び光反射を含んでもよい光学的特性は、コンタクトレンズの正常な状態と反転状態との容易で明白な識別のために、少なくとも部分的にパターン化されてもよい。任意の好適なパターンを使用することができ、また、光学的諸特性を妨げない任意の好適な位置においてコンタクトレンズに組み込まれる反転マーキング層が、該反転マーキング層の反対側上で異なる光学的特性を有してもよいことを留意することが重要である。可視マークから不可視マークへの変換は、角膜温度付近までの身体からの熱により、周囲光により、及び、コンタクトレンズが保存液から取り出された場合のような湿度変化を含む、多数の要因又はプロセスを介して誘導されてもよい。
【0038】
液晶材料及びポリマーの多くの例が本明細書に示されているが、任意の数の材料が使用できることに留意することが重要である。例えば、反転マーキングフィルムは、ポリマー、液晶、染料、ゲル、ポリマー分散液晶の形態を有するポリマーと液晶との複合材料、ポリマーネットワーク型(polymer networked)液晶の形態を有するポリマーと液晶との複合材料、ポリマー−液晶−ポリマーの連続の形態を有するポリマーと液晶との複合材料、及びナノ材料を含む複合材料を含んでもよい。
【0039】
加えて、屈折率、吸収、光学異方性及び光学軸の配向を含む、反転マーキング層を形成する材料の所定の光学的特性を制御又は調節して、様々な機能性/効果を達成することができる。例えば、これらの特性を、300nm〜1000nmの空間規模において、周期的に、ランダムに、又はこれらの任意の組み合わせを含む任意の様式で調節することができる。コレステリック液晶におけるような分子自己秩序化プロセス、ポリマー分散液晶におけるような相分離プロセス、ホログラフィックポリマー分散液晶におけるような光学的記録プロセス、ポリマー−液晶−ポリマーのスライス又はポリマー化回折格子(polymerization grating)、並びに印刷及びリソグラフィーを、光学的特性の調節に用いることができる。
【0040】
反転マーキングの可視性と不可視性との間の変化は、反転マーキング層の光学的特性の調節のコントラストの低下を含む数個のプロセス及び/又はプロセスの組み合わせにより促進され又は引き起こすことができ、これは最終的に光学的に均質な構造をもたらし、また反転マーキング層の光学的特性の調節の空間規模を、より短い、典型的には300nm未満に、又はより長い、典型的には800nmもの長い波長に変化させる。
【0041】
反転マーキング層は、本明細書に示した薄フィルムを含んでもよく、また、1つ又は2つ以上の保護層を含んでもよい。1つ又は2つ以上の保護層は、それ自体が薄フィルムであってもよい。反転マーキング層は、フォトクロミック材料及び治療薬を含む、機能性材料も含んでもよい。
【0042】
コンタクトレンズは、所与の期間後に交換される必要がある。この期間は、数週間から数か月まで異なる場合がある。コンタクトレンズの殆どの着用者にとっては、いつレンズを新しい対と交換するべきかを記憶するのはしばしば困難である。したがって、様々な種類のレンズに対してあつらえらることができ、好ましくはいつレンズを廃棄するべきかを標示する技術は、着用者の安全、健康、及び快適のために有益である。したがって、別の例示的な実施形態によると、コレステリック液晶材料は、任意の適切な手段を利用してコンタクトレンズ内に導入されてもよく、これは使用適合標識として作用するか、又は構成される。本発明によると、適合標識は、好ましくはそれ自体がコンタクトレンズ内に埋め込まれ、必要なときにその交換を実際的に強要する。本発明による適合標識は、初期の透明性、並びにコンタクトレンズ技術及び材料との適合性を含むいくつかの条件に適合するのが好ましい。適合標識は、特定の期間の経過後に、コンタクトレンズの、例えば、周辺領域などのいずれかのポイント又は領域に現れる、認識可能な色付きの斑点又はマーキングの形態であってもよい。換言すれば、梱包材からコンタクトレンズが除去されたとき、レンズは透明であるが、所与の期間、及び可視光などの外部刺激にさらされた後、色付きのマークが現れ、レンズを交換する時期であることを着用者に標示する。本質的に、材料は、材料の反射率が当初はフォトニックスペクトルの紫外線領域又は赤外線領域のいずれかに見出されるように設計され、かつ構築される場合があり、これらは両者とも人間の眼には不可視である。例えば、可視光にさらすと、ピーク反射率が経時的にフォトニックスペクトルの可視領域にシフトするように周期の変化を生じ、人間の眼に明確に見える色付きの外観を生成する。可視的である場合、コンタクトレンズは、製造業者の推奨する使用可能時間であるか、又はこれを過ぎ、単に廃棄される。
【0043】
色は、典型的には光の吸収に起因して得られる。赤インクなどの材料は、赤インクがその比較的狭いスペクトル内の中心波長が赤の分光成分以外の全ての入射光を吸収するので、赤く見える。分子の吸収に起因して色が付いている染料及び他の材料は、その色に対してさほど制御できることがなく、適切な無色状態を有しない。
図8Aを参照すると、入射白色光802から、例として赤色光以外の、全ての波長の放射を吸収する材料の層800が図示される。赤色の透過光804は、この材料800を通って透過し、かつ赤色の散乱光806も材料800の表面から発せられる。対称的に、光バンドギャップ系、又は材料は、周期的に絶縁体媒体を構築し、これは原子格子の電磁的な類似体ではあるが、スケールは周期的に可視光の波長と同等である。これらの材料の明るい色は、吸収ではなく、反射に起因するものである。
図8Bを参照すると、光バンドギャップ材料808の層が図示される。材料808は、可視光波長(0.4〜0.7μm)の程度の間隔を有する周期的構造を有し、入射白色光812から赤色光810を反射する一方で、全ての他の波長の光814を伝送する。光バンドギャップ構造に起因する色が、蝶の羽の鱗粉などの自然界に見出されることがあることに留意するのは興味深い。上記のコレステリック液晶は、光バンドギャップ系である。
【0044】
上記のコレステリック液晶は、光バンドギャップ系である。いわゆるコレステリック液晶の光バンドギャップ構造は、
図9に図示される。コレステリック液晶材料の桿状の分子の配向は、異なる層の間の空間内で回転して、つるまき状又は螺旋構造を形成する。換言すれば、コレステリック液晶材料900及び902は、材料900及び902のそれぞれの平面において、互いに平行に配向された細長い分子を備える。矢印904及び906で標示されるこの配向の方向は、螺旋又はつるまき線908及び910を形成する空間内で回転する。コレステリック液晶材料は、つるまき線908及び910のピッチの値の周りを中心としたバンドギャップ内の波長の光の分光成分を反射する。つるまき線のピッチは、周期性を決定し、したがってコレステリック液晶材料から反射される光の色は、分子間力の間の平衡の結果である。コレステリック液晶材料の色を劇的に変更するために行われる全てのことは、1つ又は2つ以上の様々な外部の影響又は刺激、例えば、螺旋を作り出す力の平衡に影響を与える可視光などの助けを借りて容易に達成することができる、その周期性の小さい変更である。温度、湿度、及び電磁放射線の任意の波長を含む、任意の形態の刺激が使用されてもよいことに留意することが重要である。コレステリック液晶材料900は、螺旋又はつるまき線908によって表されるより短いピッチを有し、ひいてはより短い波長の光912に影響を与え、より長い波長を伝送し、反射された光を視認する観察者には青く見える一方で、液晶材料902は、螺旋又はつるまき線910によって表されるより長いピッチを有し、ひいてはより長い波長914の光を反射し、より短い波長を伝送し、反射された光を視認する観察者には赤く見える。
【0045】
1つの例示的実施形態によると、コレステリック液晶材料は、アゾベンゼン部分を含む。しかしながら、最終的な使用と同等の任意の適切な材料を利用してもよいことに留意することが重要である。アゾベンゼン分子は、2つの異性体として存在し、すなわち、熱力学的に安定であるトランス異性体、及び準安定であるシス異性体である。
図10は、トランス異性体形態1000の構造、及びシス異性体形態1002の構造を図示する。トランス異性体形態とシス異性体形態との間変換は、光によって誘起される場合がある。典型的には、紫外線がトランス−シス光異性化を誘起する一方で、可視の波長スペクトル内の光は、シス−トランス光異性化を誘起する能力がある。シス異性体の寿命は、
図11に示すように、それらの間のエネルギー障壁に影響を与える分子エンジニアリングによって、数ミリ秒から数年まで様々である場合がある。
図11は、2方向矢印1100によって表される光誘起トランス−シス−トランス異性化プロセス、及び1方向矢印1102で表される自発的シス−トランス異性化プロセスを図示、又は実証するアゾベンゼン分子の概略的なエネルギー図である。トランス異性体状態とシス異性体状態との間のエネルギー障壁ΔU、1104は、自発的シス−トランス光異性化の割合を決定する。アゾベンゼン分子のこれら2つの状態は、それぞれの電気力学特性及び熱力学特性に関して、かなり異なる。したがって、異性化は、コレステリック液晶材料の光バンドギャップ構造を有する場合があるホスト材料の特性について、重要な影響を有する。
【0046】
コレステリック液晶螺旋のピッチは、その構造中にアゾベンゼン基を含む分子を組み込むことによって、紫外線、可視光、及び赤外線の波長を含む大きいスペクトル範囲で変化する場合がある。アゾベンゼン分子の光異性化は、分子秩序に影響を与え、これにより、
図12A及び
図12Bに図示するように、コレステリック液晶材料の螺旋構造のピッチに変化をもたらす。上に説明するように、ピッチは反射の色を決定し、したがって、異性体内容物の効果は、最終的に反射の色を決定する。
図12Aに示すように、全ての異性体1202はトランス異性体状態にあり、より長いピッチ螺旋1204をもたらし、これは今度はより長い波長の光を反射する。
図12Bでは、異性体1206の部分はシス異性体状態(折リ曲げられた)にあり、したがってより短いピッチの螺旋1208を生成し、これは今度はより短い波長の光を反射する。アゾベンゼンと類似の特性を示す他の適切な材料をコレステリック液晶材料に添加してもよいことに留意することが重要である。
【0047】
材料の特定の色は、コレステリック液晶材料の紫外線へのある特定の期間の間の曝露の結果として得られる。色は、紫外線にさらす時間により、可視スペクトルを通して変わる場合がある。異なる色の状態は、利用された材料により、様々な時間期間に対して安定する場合がある。本明細書に記載したように、この期間は、材料の構造的変更により、数ミリ秒から数年までの範囲である場合があり、又は数ミリ秒から数年まで変化する場合がある。コレステリック液晶材料の本来の色は、その期間の満了後、戻される。これらの材料は、例えば、紫外線に曝露されると、色が完全になくなる(不可視)ように変更される場合がある。次いで、色は、材料特性及び光にさらす条件によって制御される所定の時間後に再度現れる(可視)。色の再出現のプロセスは、無色状態の寿命と比べると速い場合がある。
【0048】
コレステリック液晶材料系は、紫外線及び/又は可視光にさらされたときに、それらの反射バンドギャップの様々な色のシフト、例えば青色と赤色とのシフト、を受けるように開発される場合があることに留意することが重要である。
図13を参照すると、光にさらす前及び後のコレステリック液晶材料の反射スペクトルが図示される。コレステリック液晶材料は、その反射バンドギャップ1300が、電磁スペクトルの赤外線の部分にある状況に起因して、当初無色状態である。放射への曝露は、結果としてキラルドーパント分子、例えば、アゾベンゼンのトランス−シス異性化をもたらし、バンドギャップ1302の赤色シフトに起因して、コレステリック液晶材料を可視スペクトル内で反射させる。同様に、コレステリック液晶材料は、当初紫外線反射状態にあり、光異性化によって生じたバンドギャップの赤色シフトに起因して、可視状態に変更される。異性化の動力学、感光性、及びバンドギャップシフトの大きさは、好ましくは、所望の結果を達成するように制御されるパラメーターである。これらのパラメーターの全ては、1つ又は2つ以上のドーパントの使用により本質的に制御される。一実施形態では、1つ又は2つ以上のドーパントは、トランス異性体形態とシス異性体形態とを含んでもよいアゾベンゼン部分を含んでもよい。
【0049】
コレステリック液晶材料バンドギャップの幅は、材料の光学的異方性、及び材料の周期性、すなわち、コレステリック液晶螺旋のピッチによって画定される。ピッチ勾配は、バンドギャップの拡幅につながる。強度の紫外線吸収性材料では、シス異性体が材料の前面においてのみ生成され、これによりシス異性体濃度、したがってコレステリック液晶ピッチの大きい勾配が生成される。したがって、電磁スペクトルの不可視部分内の、反射バンドギャップ1400を有するコレステリック液晶材料は、
図14に図示するように、そのバンドギャップ1402の幅が可視波長に延びるとすぐに、可視光に対して反射するようになる。このプロセスは、プロセスの動力学にわたって追加的な制御を提供し、すなわち、ポリマーネットワークをシステム内に組み込むことによって実現される場合があるシス異性体の拡散である。
【0050】
別の例示的な実施形態によると、光学的に活性化されたコマンド層は、妨げられたコレステリック液晶構造を生成するために利用されてもよい。この例示的な実施形態では、単一の分子のコマンド層は、コレステリック液晶構造に影響を与えるためには実質的に十分である場合がある。コマンド層は、表面に付着し、光を受けると液晶材料に対する配向条件を変えるアゾベンゼン分子を備える。このようにして、コマンド層は、好ましくはコレステリック液晶を巻き、又はほどき、一方でこの構成では、色には目立った変化はない場合があり、2つのコレステリック液晶領域の間の境界は目立ち、使用適合標識として使用されてもよい。
【0051】
本発明の適合標識は、上に説明するいくつかのコレステリック液晶材料を含んでもよく、着色材料をコンタクトレンズ内に組み込むための、スタンプ印刷、インクジェット印刷、埋め込みフィルム、又は任意の他の技法を含む、上述のような任意の適切な様式でコンタクトレンズなどの眼科用レンズ内に組み込まれてもよい。1つの例示的な実施形態では、適合標識を含む材料が、特定のレンズ内での使用に適合したポリマー構造内に埋め込まれる。この実施形態では、この材料を有するポリマー構造の狭い小滴は、例えば、レンズの光学素子部分ではなく、コンタクトレンズの周辺部などの、レンズの特定の領域内に注入されてもよい。
【0052】
本発明の例示的な使用適合標識は、いくつかの異なる実施形態により実現される場合がある。例えば、1つの例示的な実施形態では、使用適合標識は、リセット可能、又は可逆である一方で、別の例示の実施形態では、安全でない適合標識は不可逆である場合がある。換言すれば、使用適合標識が不可視から特定の色になった後、着用者は、コンタクトレンズを更なる期間の間着用し続けたい、又はそうする必要ある場合がある。したがって、紫外線又は完全な暗黒の使用により、使用適合標識の液晶材料はリセットされてもよく、これにより着用者が一時的にレンズの利用を継続することを可能にする。これは複数回リセットされてもよい。あるいは、液晶材料は、一旦状態が変わると戻すことができないように設計されてもよい。他の例示的な実施形態では、色の変化は、深くかつ/又は濃い色にゆっくりと進行してもよく、又は急激に変化してもよい。例えば、レンズの変化に対する期間が2週間である場合、変化は可視光にさらすと同時に開始してもよく、又は代替的に、14日間色の変化は無く、15日目に完全な色の変化若しくは不可視から可視への移行があってもよい。反転マーキングの実施形態では、マーキングは、温度により即座に消失するようにプログラムされるが、使用適合標識の実施形態では、異なる効果を作り出すために変化は異なってもよいことに留意することが重要である。更に他の例示的な実施形態では、適合標識は、光学素子を妨害しないように、レンズの周辺部位置付けられてもよく、又はレンズを交換するように着用者に強要するために、何らかの様式で光学素子を妨害するように設計されてもよい。これは、使用者によって異なる場合がある。例えば、ごく小さい子供に対しては、親又は他の介護者が、いつレンズを交換するかについて間違いを犯すことがないように、明確な可視のマーキングが必要な場合がある。好ましい実施形態では、コンタクトレンズは、使用が適合ウィンドウ内にあるかどうかにかかわらず、常に視覚矯正を提供するべきである。
【0053】
本発明はコンタクトレンズに関して記載されているが、この材料が、任意の他の種類の光学的ウィンドウ使用されてもよいことに留意することが重要である。適合標識の材料は、適合が要求される、又は所望される任意のデバイスとともに使用されてもよい。また、外部刺激にさらすと色が変わる、ブロックコポリマーなどの、液晶材料以外の交互バンドギャップ又は反射材料も、本発明とともに使用されてもよい。光にさらすことは、所望の色の変化を生じさせてもよい、いくつかの可能性のある刺激因子のうちの1つに過ぎないことに留意することも重要である。特にコンタクトレンズに関しては、不純物がほぼ予想される期間にわたって堆積する傾向があるので、不純物の蓄積も、外部刺激として機能する場合がある。最後に、本明細書に記載され、かつ説明された反転マーキング及び適合標識は、レンズ内に同じ構造の部分として組み込まれてもよく、又は別個の構造として組み込まれてもよい。
【0054】
適合標識がこれにわたって不可視から可視に変化する時間期間、すなわち期間は、使用される製品により変化する。一般に、期間はレンズ又は他のデバイスの耐用期間に対応する。この耐用期間は、しかし必ずしも製品の製造業者によって設定又は推奨される必要はない。
【0055】
本明細書に図示及び説明した実施形態は、最も実用的かつ好ましい実施形態であると考えられるが、当業者であれば、本明細書に説明及び図示した特定の設計及び方法からの変更はそれ自体当業者にとって自明であり、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく使用できることは明らかであろう。本発明は、本発明は、記載及び図示された特定の構成に限定されず、添付の特許請求の範囲内に含まれ得る全ての変更物と一致すると解釈されるべきである。
【0056】
〔実施の態様〕
(1) 眼科用レンズであって、
第1の材料から形成され、少なくとも光学部及び周辺部を有し、耐用期間を有する、コンタクトレンズと、
前記コンタクトレンズ内に埋め込まれる使用適合標識であって、外部刺激を受けたときに、前記コンタクトレンズの前記耐用期間に等しい所定の期間にわたって不可視状態と可視状態との間で変化可能な材料を含む、使用適合標識と、
を備える、眼科用レンズ。
(2) 前記使用適合標識が、前記コンタクトレンズの前記周辺部の少なくとも一部内に埋め込まれる、実施態様1に記載の眼科用レンズ。
(3) 製造業者によって規定される前記コンタクトレンズの前記耐用期間が、数日から数か月の範囲内であり得る、実施態様1に記載の眼科用レンズ。
(4) 前記材料が、光バンドギャップ材料を含む、実施態様1に記載の眼科用レンズ。
(5) 前記光バンドギャップ材料が、分子配向の所定の周期を有するコレステリック液晶材料を含む、実施態様4に記載の眼科用レンズ。
【0057】
(6) 前記材料が、1つ又は2つ以上のドーパントを更に含む、実施態様5に記載の眼科用レンズ。
(7) 前記1つ又は2つ以上のドーパントが、アゾベンゼン部分を含む、実施態様6に記載の眼科用レンズ。
(8) 前記アゾベンゼン部分が、トランス異性体形態及びシス異性体形態を含む、実施態様7に記載の眼科用レンズ。
(9) 前記アゾベンゼン部分の前記トランス異性体形態及び前記シス異性体形態が、前記外部刺激から異性化(isisomerization)を受ける、実施態様8に記載の眼科用レンズ。
(10) 前記外部刺激が、可視光を含む、実施態様9に記載の眼科用レンズ。
【0058】
(11) 前記光が、周辺光を含む、実施態様10に記載の眼科用レンズ。
(12) 周辺光にさらされたとき、前記アゾベンゼン部分が、光異性化を受け、それにより前記コレステリック液晶材料の前記所定の分子周期を変更する、実施態様11に記載の眼科用レンズ。
(13) 前記材料が、ポリマーの構造に組み込まれる、実施態様12に記載の眼科用レンズ。
(14) 前記材料が、所定の分子配向及びコマンド層を有するコレステリック液晶材料を含む、実施態様1に記載の眼科用レンズ。
(15) 前記コマンド層が、前記外部刺激を受けたときに、前記コレステリック液晶材料の前記所定の分子配向を変更するように構成されたアゾベンゼン部分を含む、実施態様14に記載の眼科用レンズ。
【0059】
(16) レンズであって、第1の材料を含み、耐用期間、及び前記レンズ内に埋め込まれた使用適合標識を有し、前記使用適合標識は、外部刺激を受けたとき、所定の期間にわたって不可視状態と可視状態との間で変化可能な材料を含み、前記所定の期間が前記レンズの前記耐用期間と等しい、レンズ。
(17) 眼科用レンズであって、
第1の材料から形成されるコンタクトレンズであって、少なくとも光学部及び周辺部を含み、耐用期間を有する、コンタクトレンズと、
前記コンタクトレンズに組み込まれる反転マーキングであって、眼から外したとき可視であり、眼上にあるとき不可視であるように構成された第2の材料、並びに適合標識を含み、前記適合標識が、外部刺激を受けたとき所定の期間にわたって不可視状態と可視状態との間で変化可能な材料を含み、前記コンタクトレンズの前記耐用期間によって前記所定の期間が画定される、反転マーキングと、
を含む、眼科用レンズ。