特許第6388766号(P6388766)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6388766
(24)【登録日】2018年8月24日
(45)【発行日】2018年9月12日
(54)【発明の名称】粘着剤層及び粘着シート
(51)【国際特許分類】
   C09J 133/00 20060101AFI20180903BHJP
   C09J 133/14 20060101ALI20180903BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20180903BHJP
   C09J 7/20 20180101ALI20180903BHJP
【FI】
   C09J133/00
   C09J133/14
   C09J11/06
   C09J7/20
【請求項の数】1
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2013-249793(P2013-249793)
(22)【出願日】2013年12月3日
(65)【公開番号】特開2014-208756(P2014-208756A)
(43)【公開日】2014年11月6日
【審査請求日】2016年9月23日
(31)【優先権主張番号】特願2013-73361(P2013-73361)
(32)【優先日】2013年3月29日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101362
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 幸久
(72)【発明者】
【氏名】渡部 奈津子
(72)【発明者】
【氏名】三井 数馬
(72)【発明者】
【氏名】天野 立巳
(72)【発明者】
【氏名】新美 健二郎
【審査官】 磯貝 香苗
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−007981(JP,A)
【文献】 特開平09−316407(JP,A)
【文献】 特開2004−029204(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースポリマーとしてのアクリル系ポリマーと、
前記アクリル系ポリマー100重量部に対して2〜9重量部のイソシアネート系架橋剤および/またはエポキシ系架橋剤と、
前記アクリル系ポリマー100重量部に対して0.2〜4重量部のアニオン性界面活性剤とを含み、
前記アクリル系ポリマーの構成モノマー成分におけるヒドロキシル基含有モノマーの割合は3〜11重量%であり、
前記アニオン性界面活性剤は、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、ジアルキルアリールスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、高級脂肪酸アルカリ金属塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、およびポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類からなる群より選択される少なくとも一種を含み、
下記(1)および(2)の特性を有する粘着剤層を有する、光学的特性を有する部材の表面保護用粘着シート
(1)前記粘着剤層を有する粘着シートAを下記被着体Xの表面に、温度23℃、湿度30%にて貼り付けた後、温度50℃、圧力5atm、時間15分の条件でオートクレーブで密着させ、温度23℃、湿度30%で12時間静置し、前記粘着シートAを剥離した後の、前記被着体X表面の水接触角Aが70°以下
(2)前記粘着剤層を有する粘着シートAを下記被着体Xの表面に、温度23℃、湿度30%にて貼り付けた後、温度50℃、圧力5atm、時間15分の条件でオートクレーブで密着させ、温度23℃、湿度30%で12時間静置し、前記粘着シートAを剥離した後の前記被着体X表面に対する、アクリルテープ(日東電工社製、品番No.31B、基材厚25μm)の粘着力(剥離角度180°、引張速度300mm/分)が、下記被着体X表面に対するアクリルテープ(日東電工社製、品番No.31B、基材厚25μm)の粘着力(剥離角度180°、引張速度300mm/分)よりも高い
被着体X:水接触角が80°以上100°以下であるハードコートフィルム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着剤層及び粘着シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、光学部材や電子部材の輸送時、あるいは製品組み立て時に、光学部材等の表面に汚れや傷が生じないように、光学部材等の表面を表面保護シートで保護することが一般的に行われている。表面保護シートとして、粘着性を有する粘着シートが挙げられる(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−224811
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
表面保護シートは、光学部材の輸送工程後など、部材表面の保護が不要となった段階で、光学部材から剥離される。表面保護シートの剥離後、表面保護シートを貼り付けていた被着体表面に他の機能を有する層(他の層)などが、設けられる場合がある。表面保護シートを剥離した後の被着体表面の状態によっては、他の層に対する濡れ性が悪くなったり、他の層が被着体と十分に密着(接着)しないなどが原因で、他の層が期待される機能を発揮できない場合や製品が不良となる場合があった。
具体的には、タッチパネル機能を有する層、ガラスやプラスチックから構成される保護層などの他の層を液晶ディスプレイ表面に設置する際に、液晶ディスプレイ表面の偏光板(例えば、表層がハードコート層である偏光板など)の表面を保護するために設けられた表面保護シートを剥離した後、他の層と液晶ディスプレイ表面の偏光板表面との間に層間充填剤を塗布して透明な層を設ける場合において、偏光板表面の層間充填剤に対する濡れ性や、偏光板表面と層間充填剤との密着性が十分でないことがあった。
【0005】
すなわち、粘着シート(表面保護シート)を剥離した後、粘着シートを貼り付けていた被着体表面に他の層を設ける際、被着体表面を、他の層に対する濡れ性に優れ、且つ被着体表面と他の層との密着性に優れる状態にできる粘着シートは知られていないのが現状である。
【0006】
従って、本発明の目的は、被着体表面を汚れや傷から保護することができ、表面保護シートを剥離した後に、層間充填剤等の他の積層部材に対する被着体表面の密着性が損なわれることを防止できるようにした粘着剤層を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明者らが鋭意検討した結果、粘着シートを剥離した後の被着体表面の水接触角を特定の範囲とし、且つ粘着シートを剥離した後の被着体表面のアクリルテープに対する密着性に優れる粘着シートを形成できる特性を有する粘着剤層を用いると、粘着シートを剥離した後、粘着シートを貼り付けていた被着体表面に他の層を設ける際、被着体表面を、他の層に対する濡れ性に優れ、且つ被着体表面と他の層との密着性に優れる状態にできることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、ベースポリマーを含有し、下記(1)、(2)の特性を有することを特徴とする粘着剤層を提供する。
(1)上記粘着剤層を有する粘着シートAを下記被着体Xの表面に、温度23℃、湿度30%にて貼り付けた後、温度50℃、圧力5atm、時間15分の条件でオートクレーブで密着させ、温度23℃、湿度30%で12時間静置し、上記粘着シートAを剥離した後の、上記被着体X表面の水接触角Aが70°以下
(2)上記粘着剤層を有する粘着シートAを下記被着体Xの表面に、温度23℃、湿度30%にて貼り付けた後、温度50℃、圧力5atm、時間15分の条件でオートクレーブで密着させ、温度23℃、湿度30%で12時間静置し、上記粘着シートAを剥離した後の上記被着体X表面に対する、アクリルテープ(日東電工社製、品番No.31B、基材厚25μm)の粘着力(剥離角度180°、引張速度300mm/分)が、下記被着体X表面に対するアクリルテープ(日東電工社製、品番No.31B、基材厚25μm)の粘着力(剥離角度180°、引張速度300mm/分)よりも高い
被着体X:水接触角が80°以上100°以下であるハードコートフィルム
【0009】
上記粘着剤層は、ベースポリマーとして、アクリル系ポリマーを含むことが好ましい。
【0010】
上記粘着剤層は、さらにアニオン性界面活性剤を含むことが好ましい。
【0011】
上記アニオン性界面活性剤の含有量が、上記ベースポリマー100重量部に対して0.2〜4重量部であることが好ましい。
【0012】
また、本発明は、上記粘着剤層を有する粘着シートを提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の粘着剤層は、上記特性を有するので、粘着シートを剥離した後、粘着シートを貼り付けていた被着体表面に他の層を設ける際、被着体表面を、他の層に対する濡れ性に優れ、且つ被着体表面と他の層との密着性に優れる状態にできる粘着シートを形成できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[粘着剤層]
本発明の粘着剤層は、下記(1)の特性を有する。
(1)本発明の粘着剤層を有する粘着シートAを下記被着体Xの表面に、温度23℃、湿度30%にて貼り付けた後、温度50℃、圧力5atm、時間15分の条件でオートクレーブで密着させ、温度23℃、湿度30%で12時間静置し、上記粘着シートAを剥離した後の、上記被着体X表面の水接触角Aが70°(度)以下(例えば55〜70°)。
被着体X:水接触角が80°以上100°以下であるハードコートフィルム
【0015】
本明細書において、本発明の粘着剤層を有する粘着シートを、「粘着シートA」または「本発明の粘着シート」と称する場合がある。また、粘着シートAを上記被着体Xの表面に、温度23℃、湿度30%にて貼り付けた後、温度50℃、圧力5atm、時間15分の条件でオートクレーブで密着させ、温度23℃、湿度30%で12時間静置し、上記粘着シートAを剥離した後の、被着体X表面の水接触角を、「水接触角A」と称する場合がある。
水接触角は、後述の(評価)の「(1)水接触角」に記載の方法によって測定することができる。
【0016】
上記水接触角Aは、70°以下(例えば55〜70°)であり、例えば、好ましくは、65°以下(例えば55〜65°)である。上記水接触角Aが70°以下であることにより、上記粘着シートAを剥離した後の被着体表面に他の層を設ける際、被着体表面の他の層に対する濡れ性に優れる。そのため、他の層のハジキ性(粘着剤や塗料などがはじかれて、均一に付着しない性質)が低減される。
【0017】
上記粘着シートAを剥離した後に、上記被着体表面に設けられる上記他の層としては、特に限定されないが、例えば、型番「SVR7000シリーズ」(デクセリアルズ社製)商品名「WORLD ROCK HRJ−21」(協立化学産業社製)などの液状の層間充填剤を塗布して設けられる層、層間接着剤などを塗布して設けられる層、光学用透明粘着テープ(例えば商品名「LUCIACS CS9886U」(日東電工社製)など)を貼付して設けられた層、が挙げられる。中でも、反射が防止され、映り込みが起こりにくくなるという観点から、アクリル系ポリマーからなる層(例えば、商品名「LUCIACS CS9886U」(日東電工社製)など)が好ましい。
【0018】
本発明の粘着剤層は、さらに、下記(2)の特性も有する。
(2)上記粘着シートAを上記被着体Xの表面に、温度23℃、湿度30%にて貼り付けた後、温度50℃、圧力5atm、時間15分の条件でオートクレーブで密着させ、温度23℃、湿度30%で12時間静置し、上記粘着シートAを剥離した後の上記被着体X表面に対する、アクリルテープ(日東電工社製、品番No.31B、基材厚25μm)の粘着力(剥離角度180°、引張速度300mm/分)が、上記被着体X表面に対するアクリルテープ(日東電工社製、品番No.31B、基材厚25μm)の粘着力(剥離角度180°、引張速度300mm/分)よりも高い。
本明細書において、粘着シートAを被着体Xの表面に、温度23℃、湿度30%にて貼り付けた後、温度50℃、圧力5atm、時間15分の条件でオートクレーブで密着させ、温度23℃、湿度30%で12時間静置し、上記粘着シートAを剥離した後の上記被着体X表面に対する、アクリルテープ(日東電工社製、品番No.31B、基材厚25μm)の粘着力(剥離角度180°、引張速度300mm/分)を、「粘着力A」と称する場合がある。また、上記被着体X表面(粘着テープを貼り付けるなどの処理をしていない被着体X表面)に対するアクリルテープ(日東電工社製、品番No.31B、基材厚25μm)の粘着力(剥離角度180°、引張速度300mm/分)を、「粘着力B」と称する場合がある。
すなわち、本発明の粘着剤層は、上記粘着力Aが上記粘着力Bよりも高くなる特性を有する。
【0019】
上記粘着力Aは、特に限定されないが、例えば、7.0〜7.6N/19mmが好ましく、より好ましくは7.2〜7.6N/19mmである。
【0020】
上記粘着力Aと上記粘着力Bとの差は、特に限定されないが、例えば、0.1N/19mm以上であることが好ましく、より好ましくは0.3N/19mm以上、さらに好ましくは0.6N/19mm以上である。
【0021】
上記粘着力Aは、本発明の粘着シートが貼り合わされていた被着体X表面に、長さ70mm、幅19mmのアクリルテープ片(日東電工社製、品番No.31B、基材厚25μm)の粘着面を温度23℃、湿度30%で貼り付け、0.25MPa、300mm/分で圧着することにより貼付し、温度23℃、湿度30%で30分間放置した後、引張試験機を用いて測定した180°ピール粘着力(温度23℃、湿度30%RH、剥離角度180°、引張速度300mm/分)(N/19mm)をいうものとする。上記粘着力Bは、上記被着体X表面(粘着テープを貼り付けるなどの処理をしていない被着体X表面)にアクリルテープ片を貼り付ける以外は、上記粘着力Aと同様の方法で測定した180°ピール粘着力をいうものとする。より具体的には、後述の(評価)の「(2)アクリルテープNo.31Bの粘着力」に記載の方法によって測定することができる。
【0022】
上記特性(1)及び(2)の測定に用いる被着体Xの水接触角(被着体Xであるハードコールフィルムのハードコート層側表面の水接触角)は、80〜100°であり、より好ましくは85〜90°、さらに好ましくは86〜88°である。
【0023】
本発明の粘着剤層は、ベースポリマーを少なくとも含有する。また、本発明の粘着剤層は、粘着剤組成物により形成される。上記粘着剤組成物は、粘着剤層の形成に用いられる組成物であり、粘着剤の形成に用いられる組成物の意味を含むものとする。
【0024】
本発明の粘着剤層におけるベースポリマーの含有量は、特に限定されないが、粘着剤層全量(100重量%)に対して、70重量%以上であることが好ましく、より好ましくは75重量%以上である。
【0025】
上記粘着剤組成物としては、特に限定されないが、ベースポリマーを必須成分とする粘着剤組成物、モノマー混合物又はその部分重合物を必須成分とする粘着剤組成物などが挙げられる。ベースポリマーを必須成分とする粘着剤組成物としては、いわゆる溶剤型の粘着剤組成物が挙げられる。また、モノマー混合物又はその部分重合物を必須成分とする粘着剤組成物としては、いわゆる活性エネルギー線硬化型の粘着剤組成物が挙げられる。また、上記粘着剤組成物は、必要に応じて、界面活性剤などの各種添加剤が含まれていてもよい。なお、上記「モノマー混合物」とは、ベースポリマーを構成するモノマー成分の混合物を意味する。上記「モノマー混合物」とは、モノマー成分のみからなる組成物であり、モノマー成分として1種のみを含む場合もモノマー混合物に含まれる。また、上記「部分重合物」とは、上記モノマー混合物のうち1又は2以上の成分が部分的に重合している組成物を意味する。
【0026】
上記ベースポリマーとしては、特に限定されないが、例えば、アクリル系ポリマー、ゴム系ポリマー、ビニルアルキルエーテル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリアミド系ポリマー、ウレタン系ポリマー、フッ素系ポリマー、エポキシ系ポリマーなどが挙げられる。なお、上記ベースポリマーは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0027】
本発明の粘着剤層は、特に限定されないが、必要に応じて、モノマーの選択を行い、粘着剤の設計を容易に行うことができる点より、ベースポリマーとして、アクリル系ポリマーを含むことが好ましい。すなわち、本発明の粘着剤層を形成する粘着剤組成物は、ベースポリマーとして、アクリル系ポリマーを含むことが好ましい。上記アクリル系ポリマーは、構成モノマー成分として、アクリル系モノマー(分子中に(メタ)アクリロイル基を有するモノマー)を含むポリマーである。
なお、本明細書において、本発明の粘着剤層を形成する粘着剤組成物を「本発明の粘着剤組成物」と称する場合がある。
上記アクリル系ポリマーは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0028】
上記アクリル系ポリマーは、ポリマーを構成するモノマー成分として、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含むことが好ましい。上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、へキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレートなどの炭素数6〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。中でも、炭素数7〜13のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、より好ましくは、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレートである。
上記アクリル系モノマーは、単独で、または2種以上組み合わせて使用することができる。
【0029】
上記アクリル系ポリマーを構成する全モノマー成分(100重量%)に対する上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルの割合は、特に限定されないが、例えば、70重量%以上(例えば、70〜98重量%)が好ましく、より好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは85重量%以上である。(メタ)アクリル酸アルキルエステルの割合が85重量%以上であることにより、本発明の粘着シートが被着体への密着しやすくなる。
【0030】
上記アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分は、さらにヒドロキシル基含有モノマーを含んでいることが好ましい。上記ヒドロキシル基含有モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート、(4−ヒドロキシメチルシクロへキシル)メチルアクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ビニルアルコール、アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテルなどが挙げられる。
上記ヒドロキシル基含有モノマーは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0031】
上記アクリル系ポリマーを構成する全モノマー成分(100重量%)に対する上記ヒドロキシル基含有モノマーの割合は、特に限定されないが、例えば、0.1〜15重量%が好ましく、より好ましくは0.5〜13重量%であり、さらに好ましくは3〜11重量%であり、特に好ましくは6〜10重量%である。ヒドロキシル基含有モノマーの割合が0.1重量%以上であることにより、架橋点ができ凝集力が得られるため、本発明の粘着シートを剥離した後の被着体表面に糊残りが生じにくく、剥離した後の被着体表面の均一な濡れ性、粘着性の効果が得られる。ヒドロキシル基含有モノマーの割合が15重量%以下であることにより、本発明の粘着シートが被着体に過度に密着し重剥離化することを防ぐ。特に6〜10重量%の場合には、粘着シートの剥離性と被着体表面と他の層との密着性の両立が図れる粘着シートを得ることができる。
【0032】
上記アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分に、アクリル系ポリマーに架橋構造を導入することができ、必要な凝集力が得られるという観点から、例えば、多官能モノマーが含まれていてもよい。
【0033】
上記多官能モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6へキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、N,N´−メチレンビスアクリルアミドなどが挙げられる。
上記多官能モノマーは、単独で、または2種以上組み合わせて使用することができる。
【0034】
上記アクリル系ポリマーを構成する全モノマー成分(100重量%)に対する上記多官能モノマーの割合は、特に限定されないが、例えば、0.1〜30重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜10重量%である。多官能モノマーの割合が、0.1重量%以上であることにより、柔軟性、接着性に優れる。多官能モノマーの割合が、30重量%以下であることにより、凝集力が高くなりすぎず、適度な粘着力が得られる。
【0035】
上記アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分は、特に限定されないが、さらにアルキレンオキシド基含有反応性モノマーを含んでいることが好ましい。
【0036】
上記アルキレンオキシド基含有反応性モノマーのオキシアルキレン単位の平均付加モル数としては、特に限定されないが、界面活性剤を使用した場合の界面活性剤との相溶性の観点から3〜40であることが好ましく、より好ましくは4〜35、さらに好ましくは5〜30である。上記平均付加モル数が3以上の場合、界面活性剤使用による被保護体の汚染低減効果が効率よく得られる傾向がある。また、上記平均付加モル数が40より大きい場合、界面活性剤との相互作用が大きく、被着体表面への濡れ性向上効果が低下する傾向があるため好ましくない。なお、オキシアルキレン鎖の末端は、水酸基のままや、他の官能基などで置換されていてもよい。
【0037】
上記アルキレンオキシド基含有反応性モノマーは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。上記アルキレンオキシド基含有反応性モノマーの含有量は、特に限定されないが、例えば、上記アクリル系ポリマーを構成する全モノマー成分(100重量%)に対して、10重量%以下が好ましく、より好ましくは7重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下、特に好ましくは3重量%以下、特に好ましくは1重量%以下である。アルキレンオキシド基含有反応性モノマーの含有量が10重量%超えると、粘着剤組成物の凝集力が低くなり易く、被着体への汚染性から好ましくない。
【0038】
上記アルキレンオキシド基含有反応性モノマーのオキシアルキレン単位としては、炭素数1〜6のアルキレン基を有するものがあげられ、たとえば、オキシメチレン基、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基などがあげられる。オキシアルキレン鎖の炭化水素基は直鎖でもよく、分岐していてもよい。
【0039】
上記アルキレンオキシド基含有反応性モノマーは、例えば、エチレンオキシド基を有する反応性モノマーであることがより好ましい。エチレンオキシド基を有する反応性モノマーを構成成分として有するアクリル系ポリマーをベースポリマーとして用いることにより、ベースポリマーと界面活性剤との相溶性が向上し、被着体へのブリードが好適に抑制され、低汚染性の粘着剤組成物が得られる。
【0040】
上記アルキレンオキシド基含有反応性モノマーとしては、たとえば、(メタ)アクリル酸アルキレンオキシド付加物や、分子中にアクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基などの反応性置換基を有する反応性界面活性剤などがあげられる。
【0041】
上記(メタ)アクリル酸アルキレンオキシド付加物の具体例としては、たとえば、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリブチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール−ポリブチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどがあげられる。
【0042】
また、上記アルキレンオキシド基含有反応性モノマーとしての上記反応性界面活性剤の具体例としては、たとえば、(メタ)アクリロイル基またはアリル基を有するアニオン型反応性界面活性剤、ノニオン型反応性界面活性剤、カチオン型反応性界面活性剤などがあげられる。
【0043】
アニオン型反応性界面活性剤としては、たとえば、式(A1)〜(A10)で表されるものなどがあげられる。
【0044】
【化1】
【0045】
[式(A1)中のR1は水素またはメチル基を表し、R2は炭素数1から30の炭化水素基またはアシル基を表し、Xはアニオン性親水基を表し、R3およびR4は同一または異なって、炭素数1から6のアルキレン基を表し、平均付加モル数mおよびnは0〜40、ただし(m+n)は3〜40の数を表す。]。
【0046】
【化2】
【0047】
[式(A2)中のR1は水素またはメチル基を表し、R2およびR7は同一または異なって、炭素数1から6のアルキレン基を表し、R3およびR5は同一または異なって、水素またはアルキル基を表し、R4およびR6は同一または異なって、水素、アルキル基、ベンジル基またはスチレン基を表し、Xはアニオン性親水基を表し、平均付加モル数mおよびnは0〜40、ただし(m+n)は3〜40の数を表す。]。
【0048】
【化3】
【0049】
[式(A3)中のR1は水素またはメチル基を表し、R2は炭素数1から6のアルキレン基を表し、Xはアニオン性親水基を表し、平均付加モル数nは3〜40の数を表す。]。
【0050】
【化4】
【0051】
[式(A4)中のR1は水素またはメチル基を表し、R2は炭素数1から30の炭化水素基またはアシル基を表し、R3およびR4は同一または異なって、炭素数1から6のアルキレン基を表し、Xはアニオン性親水基を表し、平均付加モル数mおよびnは0〜40、ただし(m+n)は3〜40の数を表す。]。
【0052】
【化5】
【0053】
[式(A5)中のR1は炭化水素基、アミノ基、カルボン酸残基を表し、R2は炭素数1から6のアルキレン基を表し、Xはアニオン性親水基を表し、平均付加モル数nは3〜40の整数を表す。]。
【0054】
【化6】
【0055】
[式(A6)中のR1は炭素数1から30の炭化水素基、R2は水素または炭素数1から30の炭化水素基を表し、R3は水素またはプロペニル基を表し、R4は炭素数1から6のアルキレン基を表し、Xはアニオン性親水基を表し、平均付加モル数nは3〜40の数を表す。]。
【0056】
【化7】
【0057】
[式(A7)中のR1は水素またはメチル基を表し、R2およびR4は同一または異なって、炭素数1から6のアルキレン基を表し、R3は炭素数1から30の炭化水素基を表し、Mは水素、アルカリ金属、アンモニウム基、またはアルカノールアンモニウム基を表し、平均付加モル数mおよびnは0〜40、ただし(m+n)は3〜40の数を表す。]。
【0058】
【化8】
【0059】
[式(A8)中のR1およびR5は同一または異なって、水素またはメチル基を表し、R2およびR4は同一または異なって、炭素数1から6のアルキレン基を表し、R3は炭素数1から30の炭化水素基を表し、Mは水素、アルカリ金属、アンモニウム基、またはアルカノールアンモニウム基を表し、平均付加モル数mおよびnは0〜40、ただし(m+n)は3〜40の数を表す。]。
【0060】
【化9】
【0061】
[式(A9)中のR1は炭素数1から6のアルキレン基を表し、R2は炭素数1から30の炭化水素基を表し、Mは水素、アルカリ金属、アンモニウム基、またはアルカノールアンモニウム基を表し、平均付加モル数nは3〜40の数を表す。]。
【0062】
【化10】
【0063】
[式(A10)中のR1、R2、およびR3は同一または異なって、水素またはメチル基を表し、R4は炭素数0から30の炭化水素基(炭素数0の場合はR4がないことを示す)を表し、R5およびR6は同一または異なって、炭素数1から6のアルキレン基を表し、Xはアニオン性親水基を表し、平均付加モル数mおよびnは0〜40、ただし(m+n)は3〜40の数を表す。]。
【0064】
上記式(A1)〜(A6)、および(A10)〜(A10)中のXは、アニオン性親水基を表す。アニオン性親水基としては、下記式(a1)〜(a2)で表されるものがあげられる。
【0065】
【化11】
【0066】
[式(a1)中のM1は水素、アルカリ金属、アンモニウム基、またはアルカノールアンモニウム基を表す。]。
【0067】
【化12】
【0068】
[式(a2)中のM2およびM3は同一または異なって、水素、アルカリ金属、アンモニウム基、またはアルカノールアンモニウム基を表す。]。
【0069】
上記ノニオン型反応性界面活性剤としては、たとえば、式(N1)〜(N6)で表されるものなどがあげられる。
【0070】
【化13】
【0071】
[式(N1)中のR1は水素またはメチル基を表し、R2は炭素数1から30の炭化水素基またはアシル基を表し、R3およびR4は同一または異なって、炭素数1から6のアルキレン基を表し、平均付加モル数mおよびnは0〜40、ただし(m+n)は3〜40の数を表す。]。
【0072】
【化14】
【0073】
[式(N2)中のR1は水素またはメチル基を表し、R2、R3およびR4は同一または異なって、炭素数1から6のアルキレン基を表し、平均付加モル数n、m、およびlは0〜40であって、(n+m+l)が3〜40となる数を表す。]。
【0074】
【化15】
【0075】
[式(N3)中のR1は水素またはメチル基を表し、R2およびR3は同一または異なって、炭素数1から6のアルキレン基を表し、R4は炭素数1から30の炭化水素基またはアシル基を表し、平均付加モル数mおよびnは0〜40、ただし(m+n)は3〜40の数を表す。]。
【0076】
【化16】
【0077】
[式(N4)中のR1およびR2は同一または異なって、炭素数1から30の炭化水素基を表し、R3は水素またはプロペニル基を表し、R4は炭素数1から6のアルキレン基を表し、平均付加モル数nは3〜40の数を表す。]。
【0078】
【化17】
【0079】
[式(N5)中のR1およびR3は同一または異なって、炭素数1から6のアルキレン基を表し、R2およびR4は同一または異なって、水素、炭素数1から30の炭化水素基、またはアシル基を表し、平均付加モル数mおよびnは0〜40、ただし(m+n)は3〜40の数を表す。]。
【0080】
【化18】
【0081】
[式(N6)中のR1、R2、およびR3は同一または異なって、水素またはメチル基を表し、R4は炭素数0から30の炭化水素基(炭素数0の場合はR4がないことを示す)を表し、R5およびR6は同一または異なって、炭素数1から6のアルキレン基を表し、平均付加モル数mおよびnは0〜40、ただし(m+n)は3〜40の数を表す。]。
【0082】
上記アルキレンオキシド基含有反応性モノマーとしては、たとえば、ブレンマーPME−400、ブレンマーPME−1000、ブレンマー50POEP−800B(以上、いずれも日本油脂社製)、ラテムルPD−420、ラテムルPD−430(以上、いずれも花王社製)、アデカリアソープER−10、アデカリアソープNE−10(以上、いずれも旭電化工業社製)など市販品を用いてもよい。
【0083】
上記アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分には、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル、上記ヒドロキシル基含有モノマー、上記多官能モノマー、上記アルキレンオキシド基含有反応性モノマー以外のモノマー(他のモノマー)が含まれていてもよい。上記他のモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、シアノ基含有モノマー、ビニルエステルモノマー、芳香族ビニルモノマー、アミド基含有モノマー、イミド基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、ビニルエーテルモノマー、N−アクリロイルモルホリンなどが挙げられる。中でも、凝集力、耐熱性を向上させる観点から、シアノ基含有モノマー、ビニルエステルモノマー、芳香族ビニルモノマーが好ましい。また、接着力の向上や、架橋下記点として働く官能基を有するという観点から、アミド基含有モノマー、イミド基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、ビニルエーテルモノマー、N−アクリロイルモルホリンが好ましい。
上記他のモノマーは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0084】
上記シアノ基含有モノマーとしては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。
【0085】
上記ビニルエステルモノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリン酸ビニルなどのビニルエステル類が挙げられる。
【0086】
上記芳香族ビニルモノマーとしては、例えば、スチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、α−メチルスチレン、その他の置換スチレンなどが挙げられる。
【0087】
上記アミド基含有モノマーとしては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N,N´−メチレンビスアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドなどが挙げられる。
【0088】
上記イミド基含有モノマーとしては、例えば、シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、イタコンイミドなどが挙げられる。
【0089】
上記アミノ基含有モノマーとしては、例えば、アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどがあげられる。
【0090】
上記エポキシ基含有モノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテルなどが挙げられる。
【0091】
上記ビニルエーテルモノマーとしては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテルなどが挙げられる。
【0092】
上記アクリル系ポリマーを構成する全モノマー成分(100重量%)に対する上記他のモノマーの割合は、特に限定されないが、例えば、0〜40重量%(0重量%より多く40重量%以下)であることが好ましく、0〜35重量%(0重量%より多く35重量%以下)であることがより好ましく、0〜30重量%(0重量%より多く30重量%以下)であることが特に好ましい。
【0093】
上記アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分は、被着体に対する粘着力の上昇性を抑制するという観点から、カルボキシル基含有モノマー、スルホ基含有モノマー、リン酸基含有モノマー、酸無水物基含有モノマーを含まないことが好ましい。即ち、上記その他のモノマーには、カルボキシル基含有モノマー、スルホ基含有モノマー、リン酸基含有モノマー、酸無水物基含有モノマーが含まれないことが好ましい。
【0094】
上記アクリル系ポリマーは、上記モノマー成分を重合することにより得ることができる。重合方法としては、特に限定されないが、例えば、溶液重合、乳化重合、塊状重合、懸濁重合、光重合(活性エネルギー線重合)などが挙げられる。中でも、コストや生産性の観点から、溶液重合方法が好ましい。得られるアクリル系ポリマーは、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体などいずれでもよい。
【0095】
上記溶液重合方法としては、特に限定されないが、例えば、上記モノマー成分、重合開始剤などを、溶剤に溶解し、加熱して重合し、アクリル系ポリマーを含むアクリル系ポリマー溶液を得る方法が挙げられる。
【0096】
溶液重合方法に用いられる上記溶剤としては、各種の一般的な溶剤を用いることができる。このような溶剤(重合溶剤)としては、例えば、トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類;n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類などの有機溶剤が挙げられる。
上記溶剤は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0097】
上記溶剤の配合割合は、特に限定されないが、例えば、上記アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量(100重量部)に対して、10〜1000重量部が好ましく、より好ましくは50〜500重量部である。
【0098】
溶液重合方法に用いられる重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、過酸化物系重合開始剤、アゾ系重合開始剤などが挙げられる。上記過酸化物系重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、パーオキシカーボネート、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステルなどが挙げられ、より具体的には、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカンなどが挙げられる。上記アゾ系重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル、2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、4,4′−アゾビス−4−シアノバレリアン酸、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2′−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2′−アゾビス(N,N′−ジメチレンイソブチルアミジン)ヒドロクロライド、2,2′−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ハイドレートなどが挙げられる。
上記重合開始剤は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0099】
上記重合開始剤の配合割合は、特に限定されないが、例えば、上記アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量(100重量部)に対して、0.01〜5重量部が好ましく、より好ましくは0.05〜3重量部である。
【0100】
上記溶液重合方法で、加熱して重合する際の加熱温度としては、特に限定されないが、例えば、50〜80℃が挙げられる。加熱時間としては、特に限定されないが、例えば、1〜24時間が挙げられる。
【0101】
本発明の粘着剤層を形成する粘着剤組成物に上記アクリル系ポリマーが含まれる場合、上記アクリル系ポリマーは粘着剤の主成分となるベースポリマーである。本発明の粘着剤層を形成する粘着剤組成物中の上記アクリル系ポリマーの含有量は、特に限定されないが、例えば、本発明の粘着剤組成物全量(100重量%)に対して、70重量%以上であることが好ましく、より好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上である。本発明の粘着剤層を形成する粘着剤組成物中の上記アクリル系ポリマーの含有量が70重量%以上であることにより、本発明の粘着シートを剥離した後の被着体表面に他の層を設ける際、被着体表面と他の層との粘着力が一層高くなる。
【0102】
上記アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、特に限定されないが、例えば、10万〜500万が好ましく、より好ましくは20万〜400万、さらに好ましくは30万〜300万である。重量平均分子量が10万より小さい場合は、凝集力が小さくなり、本発明の粘着シートを剥離した後の被着体表面に糊残りが生じ、剥離した後の被着体表面の均一な濡れ性、粘着性の効果が得られない場合がある。重量平均分子量が500万を超えると、本発明の粘着シートを剥離した後の被着体表面の濡れ性が不充分となる場合がある。
上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法により測定して得られたものをいう。より具体的には、例えば、GPC測定装置として、商品名「HLC−8220GPC」(東ソー(株)製)を用いて、下記の条件にて測定し、標準ポリスチレン換算値により算出することができる。
(分子量測定条件)
・サンプル濃度:0.2重量%(テトラヒドロフラン溶液)
・サンプル注入量:10μL
・サンプルカラム:TSKguardcolumn SuperHZ−H(1本)+TSKgel SuperHZM−H(2本)
・リファレンスカラム;TSKgel SuperH−RC(1本)
・溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
・流量:0.6mL/min
・検出器:示差屈折計(RI)
・カラム温度(測定温度):40℃
【0103】
上記アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、特に限定されないが、例えば、0℃以下が好ましく、より好ましくは−10℃以下である。ガラス転移温度が0℃より高い場合は、本発明の粘着シートを剥離した後の被着体表面の濡れ性が不充分となる場合がある。なお、上記アクリル系ポリマーのガラス転移温度は、アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分の組成比を変えることにより、調整することができる。
【0104】
ガラス転移温度(℃)は、各モノマーによるホモポリマーのガラス転移温度Tgn(℃)として、下記の式により求めることができる。
1/(Tg+273)=Σ〔Wn/(Tgn+273)〕
〔式中、Tg(℃)は共重合体のガラス転移温度、Wn(−)は各モノマーの重量分率、Tgn(℃)は各モノマーによるホモポリマーのガラス転移温度、nは各モノマーの種類を表す。〕
【0105】
上記アクリル系ポリマーの酸価は、特に限定されないが、例えば、15以下であることが好ましい。酸価は、自動滴定装置(平沼産業株式会社製、COM−550)を用いて測定を行い、以下の式より算出できる。
A={(Y−X)×f×5.611}/M
A;酸価
Y;サンプル溶液の滴定量(ml)
X;混合溶媒50gのみの溶液の滴定量(ml)
f;滴定溶液のファクター
M;ポリマーサンプルの重量(g)。
測定条件は下記の通りである。
サンプル溶液:ポリマーサンプル約0.5gを混合溶媒(トルエン/2−プロパノール/蒸留水=50/49.5/0.5、重量比)50gに溶解してサンプル溶液とした。
滴定溶液:0.1N、2−プロパノール性水酸化カリウム溶液(和光純薬工業社製、石油製品中和価試験用)
電極:ガラス電極;GE−101、比較電極;RE−201
測定モード:石油製品中和価試験1。
【0106】
本発明の粘着剤層には、本発明の粘着シートを剥離した後の被着体表面の濡れ性が一層向上するという観点から、さらに界面活性剤を含んでいることが好ましい。すなわち、本発明の粘着剤を形成する粘着剤組成物は、さらに界面活性剤を含むことが好ましい。
【0107】
上記界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシアルキレン誘導体、ポリオキシアルキレンアルキルアミン類、ポリオキシアルキレンアルキルアミン脂肪酸エステル類などの非イオン性界面活性剤、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸塩、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸塩、ジアルキルアリールスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸アルカリ金属塩などのスルホコハク酸塩、高級脂肪酸アルカリ金属塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル塩類、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル塩類などのアニオン性界面活性剤、アルキレンオキシド基を有するカチオン性界面活性剤や両イオン性界面活性剤などが挙げられる。また、分子中に(メタ)アクリロイル基、アリル基などの反応性置換基を有していてもよい。
上記界面活性剤は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0108】
中でも、上記界面活性剤としては、本発明の粘着シートを被着体に貼付した際、被着体表面に移行しやすく、また、本発明の粘着シートを剥離した後の被着体表面に他の層を設ける際、被着体表面と他の層との粘着力が一層高くなるという観点から、アニオン性界面活性剤が好ましい。中でも、特に優れた効果が得られるアニオン性界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類(特に、ポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム)、ジアルキルスルホコハク酸アルカリ金属塩(特にジオクチルスルホコハク酸ナトリウム)が挙げられる。
他にも、優れた効果が得られる界面活性剤として、下記の式(1)及び式(2)で挙げられる化合物が挙げられる。
【化19】
[式(1)中のRは、炭素数1〜12の炭化水素基(特に炭素数10の炭化水素基や炭素数12炭化水素基)を表し、Xはアニオン性親水基を表し、平均付加モル数nは3〜40の数を表す。]
【化20】
[式(2)中のXはアニオン性親水基を表す。]
上記式(1)で挙げられる化合物及び上記(2)で挙げられる化合物におけるアニオン性親水基としては、上記式(a1)〜(a2)で表されるものがあげられる。
【0109】
上記式(1)で挙げられる化合物としては、例えば、ポリオキシエチレン−1−(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸アンモニウムなど挙げられる。また、上記式(2)で挙げられる化合物としては、例えば、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸アンモニウムなど挙げられる。
【0110】
上記アニオン性界面活性剤は、一般の市販品を用いることができ、例えば、商品名「アクアロンHS−10」(第一工業製薬社製)、商品名「ネオコールP」(第一工業製薬社製)、商品名「ハイテノールN−08」(第一工業製薬社製)などが挙げられる。他にも、商品名「ハイテノールNF−13」(第一工業製薬社製)、商品名「ハイテノールNF−17」(第一工業製薬社製)、商品名「アクアロンKH−10」(第一工業製薬社製)などが挙げられる。
【0111】
上記界面活性剤の配合量は、特に限定されないが、例えば、本発明の粘着剤層を形成する粘着剤組成物の全重量(100重量%)に対して、0.1〜4重量%が好ましく、より好ましくは0.15〜3重量%である。
本発明の粘着剤層を形成する粘着剤組成物に上記アクリル系ポリマーが含まれる場合は、上記界面活性剤の配合量は、特に限定されないが、例えば、上記アクリル系ポリマー100重量部に対して、0.2〜4重量部が好ましく、より好ましくは0.2〜3重量部、さらに好ましくは0.3〜3重量部である。アクリル系ポリマー100重量部に対する界面活性剤の配合量が、0.2重量部以上であることにより、本発明の粘着シートを剥離した後の被着体表面の濡れ性が一層向上する。4重量部以下であることにより、本発明の粘着シートを剥離した後の被着体表面に他の層を設ける際、被着体表面と他の層との粘着力が一層高くなる)。
【0112】
本発明の粘着剤層は、適度な凝集力が得られるという観点から、さらに架橋剤を含んでいてもよい。すなわち、本発明の粘着剤層を形成する粘着剤組成物は、さらに架橋剤を含んでいてもよい。上記架橋剤としては、特に限定されず、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メラミン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、および金属キレート系架橋剤などが用いられる。中でも、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤が好ましい。
上記架橋剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いられる。
【0113】
上記イソシアネート系架橋剤としては、例えば、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの低級脂肪族ポリイソシアネート類、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロへキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族イソシアネート類、2,4−トリレンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート類、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物(商品名「コロネートL」日本ポリウレタン工業社製)、トリメチロールプロパン/へキサメチレンジイソシアネート3量体付加物(商品名「コロネートHL」日本ポリウレタン工業社製)、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(商品名「コロネートHX」日本ポリウレタン工業社製)などのイソシアネート付加物などが挙げられる。
【0114】
上記エポキシ系架橋剤としては、例えば、ビスフェノールA、エピクロルヒドリン型のエポキシ系樹脂、エチレングリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジアミングリシジルアミン、N,N,N´,N´−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン(商品名「TETRAD−X」三菱瓦斯化学社製)、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロへキサン(商品名「TETRAD−C」三菱瓦斯化学社製)などが挙げられる。
【0115】
上記架橋剤の配合量は、特に限定されないが、例えば、本発明の粘着剤層を形成する粘着剤組成物の全重量(100重量%)に対して、0.01〜15重量%が好ましく、より好ましくは0.5〜10重量%である。
本発明の粘着剤層を形成する粘着剤組成物に上記アクリル系ポリマーが含まれる場合は、上記架橋剤の配合量は、特に限定されないが、例えば、上記アクリル系ポリマー100重量部に対して、0.01〜15重量部が好ましく、より好ましくは0.5〜10重量部、さらに好ましくは2〜9重量部、特に好ましくは6〜8重量部である。アクリル系ポリマー100重量部に対する架橋剤の配合量が、0.01重量部以上であることにより、凝集力が得られるため、本発明の粘着シートを剥離した後の被着体表面に糊残りが生じにくく、剥離した後の被着体表面の均一な濡れ性、粘着性の効果が得られる。15重量部以下であることにより、本発明の粘着シートを剥離した後の被着体表面の濡れ性が一層向上する。特に6〜8重量部であることにより剥離した後の被着体表面の均一な濡れ性と軽剥離な粘着性の両立効果が得られる。
【0116】
本発明の粘着剤層は、さらに架橋触媒を含んでいてもよい。すなわち、本発明の粘着剤層を形成する粘着剤組成物は、さらに架橋触媒を含んでいてもよい。上記架橋触媒としては、特に限定されず、例えば、テトラ−n−ブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、ナーセム第二鉄、ブチルスズオキシド、ジオクチルスズジラウレートなどの金属系架橋触媒(特にスズ系架橋触媒)が挙げられる。
上記架橋触媒は、単独で又は2種以上組み合わせて用いられる。
【0117】
上記架橋触媒の配合量は、特に限定されないが、例えば、本発明の粘着剤層を形成する粘着剤組成物の全重量(100重量%)に対して0.004〜0.05重量%が好ましく、より好ましくは0.004〜0.03重量%である。
本発明の粘着剤組成物に上記アクリル系ポリマーが含まれる場合は、上記架橋触媒の配合量は、特に限定されないが、例えば、上記アクリル系ポリマー100重量部に対して、0.001〜0.05重量部が好ましく、より好ましくは0.003〜0.04重量部、さらに好ましくは0.005〜0.03重量部である。アクリル系ポリマー100重量部に対する上記架橋触媒の配合量が上記範囲であることにより、架橋が速やかに進行するため、生産性を向上させることができる。
【0118】
本発明の粘着剤層は、さらに架橋遅延剤を含んでいてもよい。すなわち、本発明の粘着剤層を形成する粘着剤組成物は、さらに架橋遅延剤を含んでいてもよい。上記架橋遅延剤としては、特に限定されず、例えば、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸オクチル、アセト酢酸オレイル、アセト酢酸ラウリル、アセト酢酸ステアリル等のβ−ケトエステルや、アセチルアセトン、2,4−ヘキサンジオン、ベンゾイルアセトン等のβ−ジケトンが挙げられる。中でも、アセチルアセトンが好ましい。
上記架橋遅延剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いられる。
【0119】
上記架橋遅延剤の配合量は、特に限定されないが、例えば、本発明の粘着剤層を形成する粘着剤組成物の全重量(100重量%)に対して0.1〜10重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜3重量%である。
本発明の粘着剤組成物に、上記アクリル系ポリマーが含まれる場合は、上記架橋遅延剤の配合量は、特に限定されないが、例えば、上記アクリル系ポリマー100重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜5重量部、さらに好ましくは0.1〜3重量部である。アクリル系ポリマー100重量部に対する上記架橋遅延剤の配合量が上記範囲であることにより、粘着剤の可使時間を延長することができる。
【0120】
本発明の粘着剤層を形成する粘着剤組成物は、さらに溶剤が含まれていてもよい。すなわち、本発明の粘着剤層を形成する粘着剤組成物は、溶剤系粘着剤組成物であってもよい。本発明の粘着剤層を形成する粘着剤組成物における溶剤としては、例えば、上述の溶液重合方法に用いられる溶剤が挙げられる。本発明の粘着剤層を形成する粘着剤組成物における溶剤は、溶液重合方法に用いられる溶剤と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
本発明の粘着剤層を形成する粘着剤組成物における溶剤は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0121】
本発明の粘着剤層を形成する粘着剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、可塑剤、老化防止剤、着色剤(顔料や染料など)、帯電防止剤、粘着付与樹脂などの添加剤を含んでいてもよい。
【0122】
本発明の粘着剤層を形成する粘着剤組成物は、特に限定されないが、例えば、必要に応じて加えられる上記アクリル系ポリマー、上記架橋剤、上記架橋触媒、上記架橋遅延剤、及びその他の添加剤等を混合して調製することができる。
【0123】
[粘着シート]
本発明の粘着シート(粘着シートA)は、本発明の粘着剤層を少なくとも1層有する。本発明の粘着シートは、本発明の粘着剤層以外にも、基材、本発明の粘着剤層以外の粘着剤層(「他の粘着剤層」と称する場合がある)等を有していてもよい。また、本発明の効果を損なわない範囲で、中間層、下塗り層などを有していてもよい。本発明の粘着剤層以外の層は、それぞれ、1層のみ設けられていても、2層以上設けられていてもよい。本発明の粘着シートは、例えば、ロール状に巻回された形態や、シートが積層された形態であってもよい。
なお、「粘着シート」には、「粘着テープ」の意味も含むものとする。即ち、本発明の粘着シートは、テープ状の形態を有する粘着テープであってもよい。
【0124】
本発明の粘着シートは、該シートの片面のみが粘着剤層表面(粘着面)である(即ち、本発明の粘着剤層表面である)片面粘着シートであってもよいし、該シートの両面が粘着剤層表面である両面粘着シートであってもよい。
【0125】
本発明の粘着シートは、基材(基材層、支持体、支持フィルム)を有しない粘着シート、いわゆる「基材レスタイプ」の粘着シート(「基材レス粘着シート」と称する場合がある)であってもよいし、基材を有する粘着シートであってもよい。上記基材レス粘着シートとしては、例えば、本発明の粘着剤層のみからなる両面粘着シートや、本発明の粘着剤層と他の粘着剤層からなる両面粘着シート等が挙げられる。上記基材を有する粘着シートとしては、例えば、基材の片面側に本発明の粘着剤層を有する片面粘着シートや、基材の両面側に本発明の粘着剤層を有する両面粘着シートや、基材の一方の片面側に本発明の粘着剤層を有し、他方の片面側に他の粘着剤層を有する両面粘着シート等が挙げられる。なお、本発明の粘着剤層のみからなる両面粘着シートとは、本発明の粘着剤層そのものをいう。
中でも、被着体の表面を保護する性質に優れるという観点から、基材を有する粘着シートが好ましく、より好ましくは基材の片面側に本発明の粘着剤層を有する片面粘着シートである。
なお、上記の「基材」とは、本発明の粘着シートを被着体に使用(貼付)する際には、粘着剤層とともに被着体に貼付される部分であり、粘着シートの使用(貼付)時に剥離されるセパレータ(剥離ライナー)は含まない。
【0126】
上記基材としては、特に限定されないが、例えば、紙などの紙系基材;布、不織布、ネットなどの繊維系基材;金属箔、金属板などの金属系基材;各種樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体などのポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂、ナイロン6、ナイロン6,6、部分芳香族ポリアミドなどのポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、トリアセチルセルロース、又はこれらの樹脂の組合せなど)によるフィルムやシートなどのプラスチック系基材;ゴムシートなどのゴム系基材;発泡シートなどの発泡体系基材や、これらの積層体(例えば、プラスチック系基材と他の基材との積層体など)などが挙げられる。上記基材は、上記基材で挙げた素材を組み合わせた素材から形成された基材であってもよい。上記基材は単層の形態を有していてもよく、また、複層の形態を有していてもよい。
【0127】
上記基材の厚みは、特に限定されないが、例えば、20〜200μmが好ましく、より好ましくは20〜100μmである。また、基材には、必要に応じて、背面処理、帯電防止処理、下塗り処理などの各種処理が施されていてもよい。
【0128】
本発明の粘着剤層の厚みは、特に限定されないが、例えば、5〜100μmが好ましく、より好ましくは5〜20μmである。本発明の粘着剤層の厚みが5μm以上であることにより、本発明の粘着シートを剥離した後の被着体表面の濡れ性が一層向上する。
【0129】
本発明の粘着剤層中の上記アクリル系ポリマーの含有量は、特に限定されないが、例えば、本発明の粘着剤層100重量%に対して、75重量%以上であることが好ましく、より好ましくは85重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上である。本発明の粘着剤層中の上記アクリル系ポリマーの含有量が90重量%以上であることにより、本発明の粘着シートを剥離した後の被着体表面に他の層を設ける際、被着体表面と他の層との粘着力が一層高くなる。
【0130】
上記他の粘着剤層としては、特に限定されないが、例えば、ウレタン系粘着剤、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、エポキシ系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、フッ素系粘着剤などの公知の粘着剤から形成された公知慣用の粘着剤層が挙げられる。
上記他の粘着剤層を形成する上記粘着剤は単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0131】
本発明の粘着シートにおける粘着剤層(例えば、本発明の粘着剤層)の表面は、剥離ライナー(セパレータ)によって保護されていてもよい。本発明の粘着シートが両面粘着シートである場合は、片側表面のみが剥離ライナーによって保護されていてもよいし、両側表面が剥離ライナーによって保護されていてもよい。
【0132】
上記剥離ライナーとしては、特に限定されないが、例えば、紙やプラスチックフィルム等の基材(ライナー基材)の表面がシリコーン処理された剥離ライナー、紙やプラスチックフィルム等の基材(ライナー基材)の表面がポリオレフィン系樹脂によりラミネートされた剥離ライナーなどが挙げられる。ライナー基材における上記プラスチックフィルムとしては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムなどが挙げられる。ライナー基材の表面にラミネートする上記ポリオレフィン系樹脂は、特に限定されないが、ポリエチレン系樹脂が好ましい。
【0133】
上記剥離ライナーの厚みは、特に限定されないが、例えば、10〜100μmが好ましく、より好ましくは15〜30μmである。
【0134】
本発明の粘着シートの製造方法は、公知乃至慣用の製造方法を用いることができ、特に限定されないが、例えば、上記アクリル系ポリマー、上記界面活性剤、上記架橋剤、上記架橋触媒、上記架橋遅延剤などを上記溶剤に溶かした本発明の粘着剤組成物(溶液)を、基材又はセパレータ上に塗布(塗工)し、乾燥及び/又は硬化する方法が挙げられる。
【0135】
本発明の粘着剤組成物の塗布に際しては、慣用のコーター(例えば、グラビヤロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーロールコーターなど)を用いることができる。
【0136】
本発明の粘着シートの厚みは、特に限定されないが、例えば、25〜220μmが好ましく、より好ましくは25〜120μmである。
【0137】
本発明の粘着シートは、本発明の粘着シートを上記被着体Xの表面に貼り付け、剥離した後の、被着体X表面の上記水接触角Aを70°以下(例えば50〜70°など)とすることができる粘着シートである。
【0138】
本発明の粘着シートは、上記被着体X以外にも、例えば、アクリル板などの被着体に貼付した場合でも、本発明の粘着シートを剥離した後の被着体表面の水接触角を低減させ、粘着シートを貼り付けていた被着体表面に他の層を設ける際、被着体表面を、被着体表面が他の層に対する濡れ性に優れる状態にすることができる。
【0139】
本発明の粘着シートは、上記粘着力Aを上記粘着力Bよりも高くすることができる粘着シートである。
【0140】
一般的に、被着体に貼付した粘着シートを剥がす際に、粘着シートの粘着剤層の一部が被着体に残り、被着体表面の汚染により、被着体表面に他の層を設ける際、被着体表面と他の層との密着性(粘着性)は低下することが多い。しかしながら、本発明の粘着シートは、本発明の粘着シートを剥離した後の被着体表面の密着性が向上する。
本発明の粘着剤組成物に界面活性剤が含まれると、被着体表面に界面活性剤が移行することで、本発明の粘着シートを剥離した後の水接触角が低くなりやすく、他の層に対する濡れ性が一層優れる。また、他の層のハジキ性が低減する。特に、アニオン性界面活性剤は、被着体表面に移行しやすいため、他の層に対する濡れ性の向上効果が大きい。中でも、本発明の粘着剤層に、アクリル系ポリマー及びアニオン性界面活性剤が含まれると、被着体表面にアニオン性界面活性剤とアクリル系ポリマーが移行し、アニオン性界面活性剤とアクリル系ポリマーが相互作用して他の層との密着性を向上させるためか、被着体表面の他の層に対する濡れ性が一層向上し、且つ被着体表面と他の層との密着性に一層優れる。特に、この効果は、粘着剤の一部が剥がれる場合と異なり、被着体全面に均一に得られる。
【0141】
本発明の粘着シートは、特に限定されないが、例えば、光学的特性(例えば、偏光性、光屈折性、光散乱性、光反射性、光透過性、光吸収性、光回折性、旋光性、視認性など)を有する部材の表面を保護し、且つ剥離した後に、本発明の粘着シートを貼り付けていた被着体表面に他の層を設ける際、被着体表面を、被着体表面が他の層に対する濡れ性に優れ、被着体表面と他の層との密着性に優れる状態する用途に用いられる。即ち、光学的特性を有する部材の表面保護用粘着シートであることが好ましく、より好ましくは、光学的特性を有する部材の表面保護、濡れ性向上、密着性向上用粘着シートである。
【0142】
上記光学的特性を有する部材としては、特に限定されないが、例えば、表示装置(画像表示装置)や入力装置等の光学製品を構成する部材又はこれらの機器(光学製品)に用いられる部材が挙げられ、具体的には、偏光板、波長板、位相差板、光学補償フィルム、輝度向上フィルム、導光板、反射フィルム、反射防止フィルム、透明導電フィルム(ITOフィルムなど)、意匠フィルム、装飾フィルム、表面保護板、プリズム、レンズ、カラーフィルター、透明基板、これらが積層されている部材などが挙げられる。中でも、偏光板が好ましく、特に好ましくは上記被着体Xである。
【0143】
本発明の粘着シートを剥離した被着体に他の層を設ける方法としては、特に限定されないが、例えば、被着体に本発明の粘着シートを貼付する工程(貼付工程)、本発明の粘着シートを被着体から剥離する工程(剥離工程)、被着体表面に他の層を設ける工程(他の層を設ける工程)を含む方法が挙げられる。
【0144】
上記貼付工程における被着体としては、例えば、上述の光学的特性を有する部材が挙げられる。中でも、上記被着体Xが好ましい。被着体に本発明の粘着シートを貼り付ける際の温度及び圧力としては、例えば、温度0〜50℃、圧力1〜10atmが挙げられる。
【0145】
上記貼付工程の後に、温度0〜50℃で1〜120時間静置させる工程(静置工程)を含んでいてもよい。静置する工程により、本発明の粘着シートから、密着性を向上させる成分が、被着体表面に一層転写しやすくなる。
【0146】
上記剥離工程において、剥離条件としては、例えば、引張速度300〜100000mm/分、剥離角度(引張角度)90〜180°が挙げられる。なお剥離工程における温度は、上記貼付工程や、静置工程と同じであってもよいし、異なっていてもよい。剥離工程における温度としては、例えば温度0〜50℃が挙げられる。
【0147】
上記他の層を設ける工程は、上記剥離工程に連続して設けられてもよいし、間隔(例えば1〜24時間)が空いてもよい。
上記他の層を設ける工程における他の層としては、例えば、上述のものが挙げられる。中でも、上記層間充填剤を塗布して設けられた層が好ましい。
【0148】
本発明の粘着シートを貼付した被着体に他の層を設ける方法によれば、被着体と他の層とが密着性に優れる。
【実施例】
【0149】
以下、本発明について実施例及び比較例を挙げてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【0150】
(実施例1)
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた四つ口フラスコに、2−エチルヘキシルアクリレート200重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート8重量部、重合開始剤として2,2´−アゾビスイソブチロニトリル0.4重量部、溶剤として酢酸エチル312重量部を仕込み、緩やかに撹拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の液温を65℃付近に保って6時間重合反応を行い、アクリル系ポリマー溶液(40重量%)を調製した。上記アクリル系ポリマーの重量平均分子量は54万、ガラス転移温度(Tg)は−68℃、酸価は0.0であった。
上記アクリル系ポリマー溶液(40重量%)を酢酸エチルで20重量%に希釈し、この溶液中の固形分100重量部に対して、アニオン系界面活性剤であるポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム(商品名「アクアロンHS−10」、第一工業製薬社製)0.3重量部、架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(商品名「コロネートHX」、日本ポリウレタン工業社製)3重量部、架橋触媒としてジラウリン酸ジブチルスズ(商品名「OL−1」、東京ファインケミカル社製、0.5重量%酢酸エチル溶液)0.03重量部、架橋遅延剤としてアセチルアセトンを全溶剤量に対して3重量部を加えて混合撹拌を行い、アクリル系粘着剤組成物を調製した。
上記アクリル系粘着剤溶液を、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、130℃で20秒間加熱して、厚み10μmの粘着剤層を形成した。次いで、上記粘着剤層の表面に、片面にシリコーン処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み25μm)のシリコーン処理面を貼り合わせ、粘着シートを作製した。
【0151】
(実施例2)
20重量%に希釈したアクリル系ポリマー溶液中の固形分100重量部に対して、アニオン系界面活性剤であるポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム(商品名「アクアロンHS−10」、第一工業製薬社製)を0.7重量部添加した以外は、実施例1と同様にして、アクリル系粘着剤組成物及び粘着シートを作製した。
【0152】
(実施例3)
20重量%に希釈したアクリル系ポリマー溶液中の固形分100重量部に対して、アニオン系界面活性剤であるポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム(商品名「アクアロンHS−10」、第一工業製薬社製)を2重量部添加した以外は、実施例1と同様にして、アクリル系粘着剤組成物及び粘着シートを作製した。
【0153】
(実施例4)
ポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム(商品名「アクアロンHS−10」、第一工業製薬社製)の代わりに、アニオン系界面活性剤であるジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(商品名「ネオコールP」、第一工業製薬社製)を使用した以外は、実施例1と同様にして、アクリル系粘着剤組成物及び粘着シートを作製した。
【0154】
(実施例5)
20重量%に希釈したアクリル系ポリマー溶液中の固形分100重量部に対して、アニオン系界面活性剤であるジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(商品名「ネオコールP」、第一工業製薬社製)を0.5重量部添加した以外は、実施例4と同様にして、アクリル系粘着剤組成物及び粘着シートを作製した。
【0155】
(実施例6)
20重量%に希釈したアクリル系ポリマー溶液中の固形分100重量部に対して、アニオン系界面活性剤であるジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(商品名「ネオコールP」、第一工業製薬社製)を1重量部添加した以外は、実施例4と同様にして、アクリル系粘着剤組成物及び粘着シートを作製した。
【0156】
(実施例7)
20重量%に希釈したアクリル系ポリマー溶液中の固形分100重量部に対して、アニオン系界面活性剤であるジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(商品名「ネオコールP」、第一工業製薬社製)を3重量部添加した以外は、実施例4と同様にして、アクリル系粘着剤組成物及び粘着シートを作製した。
【0157】
(実施例8)
ポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム(商品名「アクアロンHS−10」、第一工業製薬社製)0.3重量部の代わりに、アニオン系界面活性剤であるポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸アンモニウム(商品名「ハイテノールNF−13」、第一工業製薬社製)0.5重量部を使用した以外は、実施例1と同様にして、アクリル系粘着剤組成物及び粘着シートを作製した。
【0158】
(実施例9)
ポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム(商品名「アクアロンHS−10」、第一工業製薬社製)0.3重量部の代わりに、アニオン系界面活性剤であるポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸アンモニウム(商品名「ハイテノールNF−17」、第一工業製薬社製)0.5重量部を使用した以外は、実施例1と同様にして、アクリル系粘着剤組成物及び粘着シートを作製した。
【0159】
(実施例10)
ポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム(商品名「アクアロンHS−10」、第一工業製薬社製)0.3重量部の代わりに、ポリオキシエチレン−1−(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸アンモニウム(商品名「アクアロンKH−10」、第一工業製薬社製)0.5重量部を使用した以外は、実施例1と同様にして、アクリル系粘着剤組成物及び粘着シートを作製した。
【0160】
(比較例1)
界面活性剤を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして、アクリル系粘着剤組成物及び粘着シートを作製した。
【0161】
(比較例2)
20重量%に希釈したアクリル系ポリマー溶液中の固形分100重量部に対して、アニオン系界面活性剤であるポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム(商品名「アクアロンHS−10」、第一工業製薬社製)を0.1重量部添加した以外は、実施例1と同様にして、アクリル系粘着剤組成物及び粘着シートを作製した。
【0162】
(比較例3)
20重量%に希釈したアクリル系ポリマー溶液中の固形分100重量部に対して、アニオン系界面活性剤であるポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム(商品名「アクアロンHS−10」、第一工業製薬社製)を5重量部添加した以外は、実施例1と同様にして、アクリル系粘着剤組成物及び粘着シートを作製した。
【0163】
(比較例4)
20重量%に希釈したアクリル系ポリマー溶液中の固形分100重量部に対して、アニオン系界面活性剤であるジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(商品名「ネオコールP」、第一工業製薬社製)を0.1重量部添加した以外は、実施例4と同様にして、アクリル系粘着剤組成物及び粘着シートを作製した。
【0164】
(比較例5)
20重量%に希釈したアクリル系ポリマー溶液中の固形分100重量部に対して、アニオン系界面活性剤であるジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(商品名「ネオコールP」、第一工業製薬社製)を5重量部添加した以外は、実施例4と同様にして、アクリル系粘着剤組成物及び粘着シートを作製した。
【0165】
(比較例6)
20重量%に希釈したアクリル系ポリマー溶液中の固形分100重量部に対して、アニオン系界面活性剤であるポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム(商品名「アクアロンHS−10」、第一工業製薬社製)を0.3重量部添加する代わりに、ノニオン系界面活性剤であるポリオキシアルキレンアルケニルエーテル(商品名「ラムテルPD−420」、花王社製)1重量部を添加した以外は、実施例1と同様にして、アクリル系粘着剤組成物及び粘着シートを作製した。
【0166】
(比較例7)
20重量%に希釈したアクリル系ポリマー溶液中の固形分100重量部に対して、アニオン系界面活性剤であるポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニ.ルエーテル硫酸アンモニウム(商品名「アクアロンHS−10」、第一工業製薬社製)0.3重量部、架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(商品名「コロネートHX」、日本ポリウレタン工業社製)3重量部を添加する代わりに、ノニオン系界面活性剤である商品名「アデカプルロニック25R−1」、株式会社ADEKA製)0.7重量部、架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(商品名「コロネートHX」、日本ポリウレタン工業社製)4重量部を添加した以外は、実施例1と同様にして、アクリル系粘着剤組成物及び粘着シートを作製した。
【0167】
(評価)
上記の実施例及び比較例で得られた粘着シートについて、水接触角、アクリルテープNo.31Bの粘着力、層間充填剤の濡れ性、層間充填剤の密着性を評価した。評価方法を以下に示す。評価結果は表1に示した。
【0168】
(1)水接触角
粘着シートを被着体(ハードコートフィルム)の表面に、温度23℃、湿度30%にて貼り付けた後、オートクレーブに投入して温度50℃、圧力5atm、時間15分の条件で処理して密着させ、温度23℃、湿度30%で12時間静置し剥離した。水接触角測定装置(商品名「DM700」、協和界面化学社製)を用いて、液適法により、温度23℃、湿度30%RHの雰囲気下で、粘着シートが貼付されていた被着体表面に、約2.8μLの水滴を滴下し、滴下から1秒後の被着体表面と滴下水滴端部の接線からなる角度を測定し、「水接触角(°)」とした。上記水接触角が70°以下の場合を「良好(○)」、70°より大きいの場合を「不良(×)」と評価した。
なお、何も処理をしていない被着体の水接触角は、87.6°であった。すなわち、本評価で用いた被着体は、水接触角が87.6°のハードコートフィルムである。
【0169】
(2)アクリルテープNo.31Bの粘着力
粘着シートを被着体(ハードコートフィルム)の表面に、温度23℃、湿度30%にて貼り付けた後、オートクレーブに投入して温度50℃、圧力5atm、時間15分の条件で処理して密着させ、温度23℃、湿度30%で12時間静置し、上記粘着シートを剥離した。その後、粘着シートが貼り合わされていた被着体表面に、長さ70mm、幅19mmのアクリルテープ片(日東電工社製、品番No.31B、基材厚25μm)の粘着面を、温度23℃、湿度30%で貼り付け、0.25MPa、300mm/分で圧着することにより貼付し、温度23℃、湿度30%で30分間放置した後、引張試験機を用いて180°ピール粘着力(温度23℃、湿度30%RH、剥離角度180°、引張速度300mm/分)(N/19mm)を測定し、得られた値を「アクリルテープNo.31Bの粘着力(N/19mm)」とした。
何も処理をしていない被着体に対するアクリルテープNo.31Bの粘着力(N/19mm)は、6.91N/19mmであった。
粘着シートを剥離した後の被着体に対するアクリルテープNo.31Bの粘着力(N/19mm)が、6.91N/19mmより高い場合を「良好(○)」、6.91N/19mm以下である場合と「不良(×)」と評価した。
なお、本評価で用いた被着体は、上記「(1)水接触角」の評価で用いた被着体と同じである。
【0170】
(3)層間充填剤の濡れ性
粘着シートを被着体の表面に、温度23℃、湿度30%にて貼り付けた後、オートクレーブに投入して温度50℃、圧力5atm、時間15分の条件で処理して密着させ、温度23℃、湿度30%で12時間静置した。その後、粘着シートを貼り付けた被着体を、長さ40mm、幅40mmに切り取り、長さ50mm、幅50mmのガラス板に貼り付け、そのガラス板をスピンコーター(商品名「K−359SD1」、共和理研社製)に固定した。その後、粘着シートを被着体から剥がし、粘着シートが貼付されていた被着体表面に、層間充填剤として商品名「SVR7000シリーズ」(デクセリアルズ社製)を4ml塗布し、1500rpm、15秒回転させ、層間充填剤を均一に伸ばした。温度23℃、湿度30%にて1時間静置した後、層間充填剤が、被着体の縁からはじかれた距離を定規で測定した。
また、層間充填剤として商品名「WORLD ROCK HRJ−21」(協立化学産業社製)を用いて、同様の測定を行った。
「SVR7000シリーズ」及び「WORLD ROCK HRJ−21」の何れの層間充填剤を用いた場合でも、縁からはじかれた距離が2mmより短い場合を「良好(○)」、何れか一方又は両方の層間充填剤を用いた場合に、縁からはじかれた距離が2mm以上となる場合を「不良(×)」と評価した。
なお、何も処理をしていない被着体は、「不良(×)」であった。なお、本評価で用いた被着体は、上記「(1)水接触角」の評価で用いた被着体と同じである。
【0171】
(4)層間充填剤の密着性
粘着シートを被着体の表面に、温度23℃、湿度30%にて貼り付けた後、オートクレーブに投入して温度50℃、圧力5atm、時間15分の条件で処理して密着させ、温度23℃、湿度30%で12時間静置し、上記粘着シートを剥離した。
粘着シートが貼付されていた被着体表面に、アプリケーターを用いて、層間充填剤(商品名「SVR7000シリーズ」デクセリアルズ社製)を100μmの厚みとなるように塗布し、層間充填剤が空気に触れないようPETフィルムで被覆した。その後、5000mJ以上のUVを照射して、層間充填剤を硬化させた。硬化後、長さ70mm、幅25mmの大きさに切りだした。引張試験機を用いて、被着体に対する層間充填剤からなる層の180°ピール粘着力(温度23℃、湿度30%RH、剥離角度180°、引張速度300mm/分)(N/25mm)を測定した。
また、層間充填剤として、商品名「WORLD ROCK HRJ−21」(協立化学産業社製)を用いて、同様の測定を行った。
一方、光学用透明粘着テープ(商品名「LUCIACS CS9886U」日東電工社製)の軽剥離セパレータを剥離してPETフィルムを貼り付け、長さ70mm幅25mmに切りだした光学用透明粘着テープを用意した。上記光学用透明粘着テープの重剥離セパレータを剥離し、上記と同様にして粘着シートを剥離した被着体の、粘着シートが貼付されていた被着体表面に、上記光学用透明粘着テープの粘着面を温度23℃、湿度30%の条件で貼り付け、0.25MPa、300mm/分で圧着し、温度23℃、湿度30%で30分放置した。その後、引張試験機を用いて、被着体に対する光学用透明粘着テープの180°ピール粘着力(温度23℃、湿度30%RH、剥離角度180°、引張速度300mm/分)(N/25mm)を測定した。
層間充填剤の密着性を、被着体に対する層間充填剤からなる層の180°ピール粘着力が1.47N/25mより高く、且つ、被着体に対する光学用透明粘着テープの180°ピール粘着力が16.7N/25mmより高い場合(粘着シートが貼付されていた被着体表面に対する商品名「SVR7000シリーズ」からなる層の180°ピール粘着力が何も処理していない被着体に対する商品名「SVR7000シリーズ」からなる層の180°ピール粘着力より高く、且つ、粘着シートが貼付されていた被着体表面に対する商品名「WORLD ROCK HRJ−21」からなる層の180°ピール粘着力が何も処理していない被着体に対する商品名「WORLD ROCK HRJ−21」からなる層の180°ピール粘着力より高く、且つ、粘着シートが貼付されていた被着体表面に対する上記光学用透明粘着テープの180°ピール粘着力が何も処理していない被着体に対する180°ピール粘着力より高い場合)を「良好(○)」、被着体に対する層間充填剤からなる層の180°ピール粘着力が1.47N/25m以下の場合、及び/又は被着体に対する光学用透明粘着テープの180°ピール粘着力が16.7N/25mm以下の場合を「不良(×)」と評価した。
なお、何も処理をしていない被着体に対する、商品名「SVR7000シリーズ」からなる層の180°ピール粘着力は、1.47N/25mmであった。
また、何も処理をしていない被着体に対する、光学用透明粘着テープの180°ピール粘着力は、16.7N/25mmであった。なお、本評価で用いた被着体は、上記「(1)水接触角」の評価で用いた被着体と同じである。
【0172】
【表1】