【文献】
CATT,HARQ/scheduling timing with FDD as PCell for FDD-TDD CA[online], 3GPP TSG-RAN WG1#74bis R1-134094,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_74b/Docs/R1-134094.zip>,2013年10月 7日
【文献】
CATT,General discussion on FDD-TDD carrier aggregation[online], 3GPP TSG-RAN WG1#74bis R1-134093,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_74b/Docs/R1-134093.zip>,2013年10月 7日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
キャリアアグリゲーション又はデュアルコネクティビティを適用して、FDDセルであるプライマリセル及びDynamic TDDセルであるセカンダリセルを含む複数のセルを介して無線通信を行うユーザ端末であって、
前記プライマリセルから送信される制御情報を受信し、前記Dynamic TDDセルから送信されるセル固有の下りリンク信号を受信する受信部と、
前記制御情報に基づいて前記Dynamic TDDセルにおける1つ又は複数のサブフレームが上りリンクサブフレームか下りリンクサブフレームかを判定し、かつ、前記Dynamic TDDセルに対する動作を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記プライマリセルから通知されたセルにおいて上りデータを再送することを制御することを特徴とするユーザ端末。
キャリアアグリゲーション又はデュアルコネクティビティを適用して、FDDセルであるプライマリセル及びDynamic TDDセルであるセカンダリセルを含む複数のセルと無線通信を行うユーザ端末であって、
前記プライマリセルから送信される制御情報を受信する受信部と、
前記制御情報に基づいて前記Dynamic TDDセルにおける1つ又は複数のサブフレームが上りリンクサブフレームか下りリンクサブフレームかを判定し、かつ、前記Dynamic TDDセルに対する動作を制御する制御部と、を有し、
前記Dynamic TDDセルにおける下り共有チャネルのスケジューリングと、前記プライマリセル以外の1つのセルにおける前記下り共有チャネルに対する送達確認信号のスケジューリングと、を示すスケジューリング情報が、前記プライマリセルにおいて受信された場合、前記制御部は、前記スケジューリング情報に基づいて前記送達確認信号を送信するように制御することを特徴とするユーザ端末。
キャリアアグリゲーション又はデュアルコネクティビティを適用して、FDDセルであるプライマリセル及びDynamic TDDセルであるセカンダリセルを含む複数のセルを介して無線通信を行うユーザ端末の無線通信方法であって、
前記プライマリセルから送信される制御情報を受信し、前記Dynamic TDDセルから送信されるセル固有の下りリンク信号を受信する工程と、
前記制御情報に基づいて前記Dynamic TDDセルにおける1つ又は複数のサブフレームが上りリンクサブフレームか下りリンクサブフレームかを判定し、かつ、前記Dynamic TDDセルに対する動作を制御する工程と、を有し、
前記ユーザ端末は、前記プライマリセルから通知されたセルにおいて上りデータを再送することを制御することを特徴とする無線通信方法。
キャリアアグリゲーション又はデュアルコネクティビティを適用して、FDDセルであるプライマリセル及びDynamic TDDセルであるセカンダリセルを含む複数のセルを介して無線通信を行うユーザ端末の無線通信方法であって、
前記プライマリセルから送信される制御情報と、前記Dynamic TDDセルから送信されるセル固有の下りリンク信号と、を受信する工程と、
前記制御情報に基づいて前記Dynamic TDDセルにおける1つ又は複数のサブフレームが上りリンクサブフレームか下りリンクサブフレームかを判定し、かつ、前記Dynamic TDDセルに対する動作を制御する工程と、を有し、
前記Dynamic TDDセルにおける下り共有チャネルのスケジューリングと、前記プライマリセル以外の1つのセルにおける前記下り共有チャネルに対する送達確認信号のスケジューリングと、を示すスケジューリング情報が、前記プライマリセルにおいて受信された場合、前記ユーザ端末は、前記スケジューリング情報に基づいて前記送達確認信号を送信するように制御することを特徴とする無線通信方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
図1は、TDD−FDD CAの概要を説明する図である。
図1Aは、プライマリセル(PCell:Primary Cell、PCC)にFDDキャリアを用いて、セカンダリセル(SCell:Secondary Cell、SCC)にDynamic TDDキャリアを用いたTDD−FDD CAを示している。
図1Bは、プライマリセル(PCC)にDynamic TDDキャリアを用いて、セカンダリセル(SCC)にFDDキャリアを用いたTDD−FDD CAを示している。
図1において、“D”はDLサブフレーム、“U”はULサブフレーム、“S”はスペシャルサブフレーム(特殊サブフレーム)を示している。
【0018】
FDDでは、DLアサインメント及びULグラントは、全DLサブフレームの物理下りリンク制御チャネル(PDCCH:Physical Downlink Control Channel)又は拡張物理下りリンク制御チャネル(EPDCCH:Enhanced PDCCH)で送信され、同一サブフレームで下り共有チャネル(PDSCH:Physical Downlink Shared Channel)またはその4ms後に上り共有チャネル(PUSCH:Physical Uplink Shared Channel)が送信される。
【0019】
また、FDDでは、ユーザ端末は、全DLサブフレームのPDCCH又はEPDCCHの受信を試みる。ユーザ端末は、全DLサブフレームで参照信号が送信されていると仮定して、チャネル品質(CQI:Channel Quality Indicator)や受信電力(RSRP:Reference Signal Received Power)の測定を行う。
【0020】
一方、TDDでは、DLアサインメント及びULグラントを送信するDLサブフレームはUL−DL構成(UL-DL configuration)により異なり、特定のサブフレームに限られる。UL−DL構成として、具体的には、
図2に示すようにULサブフレームとDLサブフレーム間の送信比率が異なる7つのフレーム構成であるUL−DL構成#0から#6が規定されている。TDDでは、PDSCH又はPUSCHの送信タイミングもUL−DL構成及びサブフレーム番号ごとに異なる。
【0021】
また、TDDでは、ユーザ端末は、設定されたUL−DL構成及びスペシャルサブフレーム構成に基づいて特定のDLサブフレームでPDCCH又はEPDCCHの受信を試みる。ユーザ端末は、設定されたUL−DL構成及びスペシャルサブフレーム構成に基づいて特定のDLサブフレームで参照信号が送信されていると仮定して、チャネル品質(CQI)や受信電力(RSRP)の測定を行う。
【0022】
Rel.12では、既存のUL−DL構成を動的に切り替えることにより、TDDのフレーム構成を上下トラフィックに応じて動的に切り替えるDynamic TDD(Rel.12 eIMTA(enhanced Interference Management and Traffic Adaptation)とも呼ばれる)が検討されている。Rel.12 Dynamic TDDを適用する場合、フレーム構成の動的な変更により、再送制御(HARQ:Hybrid Automatic Repeat reQuest)タイミングが動的に切り替わることを避けるため、準静的(semi-static)なHARQタイミングを用いることが検討されている。
【0023】
すなわち、Rel.12 Dynamic TDDでは、HARQタイミングをUL−DL構成の動的な切り替えとは独立させることで適切な制御情報の送信タイミングを保障することが検討されている。HARQ送信タイミングとして、例えば上りリンクはSIB1(System Information Block Type1)のTDD UL−DL構成に従い、下りリンクは上位レイヤシグナリング(RRCシグナリング、報知信号など)で通知されるRel.8 TDD UL−DL構成{2、4、5}から選択することが議論されている。
【0024】
なお、HARQのため利用される制御情報としては、例えば肯定応答(ACK:Acknowledgement)、否定応答(NACK:Negative ACK)などの確認応答信号(再送制御信号とも呼ぶ)が用いられる。
【0025】
したがって、TDD−FDD CAでクロスキャリアスケジューリングをする際には、HARQタイミングは上述の制限に従うことで、プライマリセル(PCC)にFDDキャリア及びTDDキャリアのいずれを用いる場合であっても、Rel.12 Dynamic TDDをサポートできる可能性が高い。
【0026】
ところで、一般にマクロセルはFDDで運用される場合が多いため、TDD−FDD CAにおいてプライマリセル(PCC)にFDDキャリアを用いる場合が多いと考えられる。また、TDDキャリアをセカンダリセル(SCC)に用いる場合、上りトラフィックに対して通信量が大きな下りトラフィックに対応するため、セカンダリセル(SCC)に用いるTDDキャリアを下りリンクのみにするDL only carrierが検討されている。
【0027】
DL only carrierとは、TDDにおける新しいUL−DL構成として、(1)10DLサブフレーム、(2)9DLサブフレーム及び1 non−ULサブフレーム、又は(3)8DLサブフレーム及び2 non−ULサブフレームのいずれかを規定するものである。
【0028】
上記(2)又は(3)において、non−ULサブフレームは、スペシャルサブフレームのアップリンクパイロットタイムスロット(UpPTS:Uplink Pilot Time Slot)以外のULシンボルを含まないサブフレームである。例えば、一部又は全てのシンボルをブランクとし、残りをDLシンボルとするサブフレームであっても良いし、スペシャルサブフレームであっても良い。
【0029】
DL only carrierは、既存のUL−DL構成とは異なり、ULサブフレームが存在しないため、キャリアアグリゲーション(CA)におけるセカンダリセル(SCC)としての利用が前提となる。
【0030】
一方で、スモールセルのようにユーザ数が少ない環境では、バースト的に上りトラフィックが増大する場合もあるため、Dynamic TDDによりULサブフレームとDLサブフレームの比率を変えることができるように構成することが好ましい。
【0031】
しかしながら、セカンダリセル(SCC)にDL only carrierを適用した場合、Rel.12 Dynamic TDDを適用することはできない。Rel.12 Dynamic TDDでは、SIB1で通知されるUL−DL構成を基準に、ULサブフレームとDLサブフレームとを動的に切り替える。ここで、後方互換性を確保するため、DLサブフレーム又はスペシャルサブフレームをULサブフレームに変更することは許容されていない。
【0032】
一方で、上りリンクキャリアアグリゲーション(UL CA)できないユーザ端末がRel.12 Dynamic TDDを適用するCCに接続する場合には、これらのCCをDL only carrierとして扱うことが望ましい。
【0033】
そして、Rel.8 TDD UL−DL構成には必ずULサブフレームが含まれるため、Rel.12 Dynamic TDDを適用する限りULサブフレームが残ってしまう。また、Rel.12 Dynamic TDDではHARQタイミングに制限があり、遅延が大きい。したがって、Rel.12 Dynamic TDDを適用するためには何らかの仕様化が必要となる。
【0034】
そこで本発明者らは、TDD−FDD CAでプライマリセル(PCC)にFDDキャリアを用いることを前提としてDynamic TDDを設計した場合、プライマリセル(PCC)には常に制御情報を送受可能なDLサブフレーム及びULサブフレームが存在することに着目し、TDD−FDD CAを前提とした拡張(enhanced)Dynamic TDDの実現方法を見出した。
【0035】
また、発明者らは、TDD−FDD CAを前提とした拡張Dynamic TDDにおいて、従来の再送制御(HARQ)をそのまま用いた場合に、データ信号の再送を所望のタイミングで実施できない、PCCのPUCCHリソースが逼迫するなどの課題があることを発見し、拡張Dynamic TDDに適したHARQのスケジューリング方法を見出した。
【0036】
以下、
図3、4を参照して本実施の形態における拡張Dynamic TDDを実現するための上下サブフレーム構成法(態様1)について説明し、
図5−7を参照して本実施の形態における拡張Dynamic TDDにおける再送制御(HARQ)の実現方法(態様2、態様3)について説明する。
【0037】
(態様1)
図3は、本実施の形態の態様1における拡張Dynamic TDDの概要を説明する図である。拡張Dynamic TDDは、UL−DL構成に縛られない、配置フリー(Configuration-free)のDynamic TDDともいうことができる。
【0038】
なお、拡張Dynamic TDDの構成において、プライマリセル(PCC)とセカンダリセル(SCC)との関係性は、キャリアアグリゲーション(CA)であっても良いし、デュアルコネクティビティ(DC)であっても良い。以下の説明では一例としてキャリアアグリゲーション(CA)を適用する場合について説明する。
【0039】
図3に示すようにセカンダリセル(SCC)として利用するDynamic TDDキャリアの制御情報をプライマリセル(PCC)で送受することにより、Rel.12 Dynamic TDDよりフレキシブルな拡張Dynamic TDDを実現することができる。プライマリセル(PCC)を用いてあらゆる制御情報を送信することにより、例えばデータ信号、参照信号、同期信号などのセカンダリセル(SCC)に対するあらゆる信号の送受を高い自由度で動的に変更可能とする。
【0040】
セカンダリセル(SCC)に対しては、ユーザ端末に対して上下リンクを時分割で用いるTDDベースのキャリアを設定する。このTDDベースのキャリアは、既存のTDDのように特定のUL−DL構成及びスペシャルサブフレーム構成を設定するのではなく、ユーザ端末はプライマリセル(PCC)からの動的な指示に基づいて、各サブフレームがULサブフレームかDLサブフレームかを判定する。ユーザ端末はULサブフレームかDLサブフレームかの指示を受信していないサブフレームをDLサブフレームとみなしてもよい。
【0041】
具体的には、プライマリセル(PCC)は、MACレイヤ又は物理レイヤのシグナリングにより、セカンダリセル(SCC)における1つ又は複数のサブフレームがULサブフレーム又はDLサブフレームであることをユーザ端末に通知する。したがって、ユーザ端末は、特定のUL−DL構成を示す情報などでTDDキャリアにおけるULサブフレーム又はDLサブフレームをあらかじめ知らされている必要はない。このとき、DLアサインメントとPDSCHのタイミング関係、又はULグラントとPUSCHのタイミング関係は、それぞれFDDの場合と同一でも良いし、他の固定のタイミング関係でも良いし、上位レイヤシグナリング(RRCシグナリング、報知信号など)を用いて通知してもよい。
【0042】
このように構成することにより、例えばDLサブフレームが連続して構成され、数フレーム後にULサブフレームに切り替わるようなDynamic TDDを実現できる。
【0043】
ユーザ端末は、プライマリセル(PCC)の指示に基づいて、セカンダリセル(SCC)におけるメジャメント(measurement)、セカンダリセル(SCC)におけるCSI(Channel State Information)測定、セカンダリセル(SCC)における同期信号、制御チャネル、データチャネル又はディスカバリ信号などのDL受信、セカンダリセル(SCC)におけるRACH(Random Access Channel)送信、セカンダリセル(SCC)におけるUL送信、セカンダリセル(SCC)におけるUCI(Uplink Control Information)フィードバック又はセカンダリセル(SCC)におけるサウンディング用信号の送信などを行う。
【0044】
プライマリセル(PCC)からユーザ端末に対してこれらの指示を行うことにより、ユーザ端末の確実な制御を実現できる。プライマリセル(PCC)がマクロセルでセカンダリセル(SCC)がスモールセルのような場合には、ユーザ端末が移動することによりセカンダリセル(SCC)が変わるため、セカンダリセル(SCC)から制御信号を送信する場合に比べて、プライマリセル(PCC)から制御信号を送信する場合にはより品質を担保できるためである。
【0045】
なお、プライマリセル(PCC)はオペレータに割り当てられたライセンスバンド(Licensed Band)であり、セカンダリセル(SCC)はライセンスバンド(Licensed Band)でも良いし、あるいは例えばIEEE 802.11シリーズに準拠した無線LANで利用されているような非ライセンスバンド(Unlicensed Band)であっても良い。
【0046】
非ライセンスバンドに関して、非ライセンスバンドをLTEに用いるLTE−U(LTE-Unlicensed)が提案されている。
図4は非ライセンスバンドの3つの利用モードを示している。具体的には、
図4Aはキャリアアグリゲーション(CA)(又はデュアルコネクティビティ(DC))モード、
図4Bは付加下りリンク(SDL:Supplemental DownLink)モード、
図4Cはスタンドアローンモードを示している。この中で、キャリアアグリゲーション(CA)モード及び付加下りリンク(SDL)モードは、それぞれLTEのキャリアアグリゲーション(CA)を用いて、セカンダリセル(SCC)として非ライセンスバンドを利用するものである。非ライセンスバンドにおいては、無線アクセス方式としてSC−FDMAを用いるPUSCHにかわり、OFDMAを用いるEPUSCHを用いる可能性がある。
【0047】
TDD−FDD CAと非ライセンスバンドとを組み合わせた場合に、制御情報を非ライセンスバンドで送信すると、他システムの信号との衝突によって制御信号の品質が低くなる、又は送信機会が担保されないという問題がある。これに対して、本実施の形態の態様1では、プライマリセル(PCC)をライセンスバンドとすることで、制御情報をライセンスバンドで送信することができ、TDD−FDD CAと非ライセンスバンドとを組み合わせた場合であっても、制御情報の信頼性を担保できる。
【0048】
また、TDD−FDD CAと非ライセンスバンドとを組み合わせることにより、非ライセンスバンドCCでサポートする機能を最小限に留めることができるため、システムの低コスト化が可能となる。なお、低コスト化という観点では、非ライセンスバンドCCをなるべくCCに閉じた簡易な制御にする方向もあり得る。しかし、この場合、非ライセンスバンドCCの動作はスタンドアローン動作に近くなるため、干渉コーディネーションなどの高度化が難しくなる。
【0049】
TDD−FDD CAと非ライセンスバンドとを組み合わせた場合に、プライマリセル(PCC)をFDDとした場合は、任意のタイミングで制御情報を送受信可能となる。
【0050】
非ライセンスバンドではあらゆるタイミングで他システムから強い干渉を受ける可能性があるため、Dynamic TDDと非ライセンスバンドとを組み合わせることにより、Dynamic TDDにおける無線基地局間干渉の影響を相対的に小さくすることができる。
【0051】
また、ライセンスバンドでは隣接バンドへの干渉を避けるためにDynamic TDDの適用が限定される場合がある。一方、非ライセンスバンドでは送信電力が限定されることはあるものの、Dynamic TDDの適用に対する制限はない。したがって、Dynamic TDDと非ライセンスバンドとを組み合わせることにより、トラフィックに合わせて最大限のULリソース又はDLリソースを割り当てることが可能となる。
【0052】
TDD−FDD CAと非ライセンスバンドとを組み合わせた場合、Dynamic TDDと非ライセンスバンドとを組み合わせた場合の双方において、非ライセンスバンドにおけるLTEは後方非互換キャリア(Non-backward compatible carrier)となるため、より高度な拡張が許容される。
【0053】
続いて、本実施の形態の態様1に係る拡張Dynamic TDDに適したHARQのスケジューリング方法について説明する。以下、上りリンクのデータ信号に対するHARQ(UL HARQ)と、下りリンクのデータ信号に対するHARQ(DL HARQ)のそれぞれについて、従来のHARQスケジューリングを用いた場合の課題と、本実施の形態に係るHARQ構成を詳細に説明する。
【0054】
(態様2)
本実施の形態に係る態様2は、態様1の拡張Dynamic TDDに適したUL HARQのスケジューリングである。従来のHARQスケジューリングを拡張Dynamic TDDに適用する場合には、上りデータ(PUSCH)の再送とDLサブフレームとが衝突するという課題がある。以下、上りデータの再送を、UL再送又はPUSCH再送とも呼ぶ。
【0055】
上述のとおり、本実施の形態に係る態様1の拡張Dynamic TDDは、上り/下りサブフレームの割り当てについて、ユーザ端末個別のシグナリングにより通知することで、自由度の高いDynamic TDDを実現するものである。一方で、拡張Dynamic TDDにおいて、セル固有のDL信号(例えば、同期用や品質測定用の信号)の送信が必要である。
【0056】
このようなセル固有のDL信号をサブフレームに割り当てる方法として、周期的なDLサブフレーム割り当てと非周期的なDLサブフレーム割り当ての双方が考えられる。DLサブフレーム割り当てに係るシグナリング方法としては、(E)PDCCHを用いて通知されても良いし、上位レイヤシグナリング(RRCシグナリング、報知信号など)を用いて通知しても良いし、それらの組み合わせとしても良い。以下、セル固有のDL信号が割り当てられたDLサブフレームを、セル固有DLサブフレームとも呼ぶ。
【0057】
しかしながら、いずれの割り当てを用いた場合も、セル固有DLサブフレーム割り当てによってPUSCH再送がブロックされてしまう可能性がある。特に、周期的な割り当てにおいて、この問題は顕著である。
【0058】
図5を参照して、この問題について説明する。
図5は、従来のHARQスケジューリングにおいて、Dynamic TDDセルでセル固有DLサブフレームとUL HARQとが衝突する場合の一例を示す図である。
図5では、セル固有のDL信号は、10サブフレーム周期で割り当てられるDLサブフレームを用いて送信されている。
【0059】
図5は、ユーザ端末が、UL grantを受信したタイミングから、所定のサブフレーム(例えば、4サブフレーム)後に指定されたULサブフレーム(
図5の左から3番目のサブフレーム)でPUSCHによるデータ送信を行い、当該PUSCHに対して無線基地局がNACKを送信した場合の例を示す。通常、NACKを受信したユーザ端末は、所定の再送タイミングでPUSCHを再送するが、
図5の場合は、再送タイミングとなるサブフレームが、セル固有DLサブフレームであるため、当該タイミングでPUSCH再送を行うことができない。ここで、再送タイミングは、上りデータの再送を行う可能性があるサブフレームのことをいう。
【0060】
また、
図5においてPUSCH再送を強制的に行うようにすると、セル固有のDL信号と干渉することになり、同期や品質測定を適切に実施することができない。つまり、従来のUL HARQスケジューリングを拡張Dynamic TDDに適用する場合には、PUSCH再送とセル固有DLサブフレームとが同じタイミングで発生する場合に、いずれかを諦めなければならないという課題がある。
【0061】
本実施の形態に係る態様2は、PUSCH再送及びセル固有DLサブフレームのタイミングが衝突しないようにHARQスケジューリングを実施する。態様2は、さらに以下の4つに大別することができる(態様2.1−態様2.4)。
【0062】
態様2.1では、セル固有DLサブフレームを、UL再送と衝突しないタイミングで送信するようにスケジューリングする。セル固有DLサブフレームを周期的に割り当てる場合には、例えばUL HARQが8 ms周期とすると、DLサブフレームを8X ms(8 msの倍数)周期に設定する(例えば、40 ms周期)。そしてUL HARQの周期と異なるタイミングにセル固有DLサブフレームを割り当てることで、衝突が回避できる。
【0063】
また、セル固有DLサブフレームを任意のサブフレームに割り当てる場合にも、上記と同様に、UL送信が発生し得ないサブフレームをDLサブフレームとすることで、衝突が回避できる。
【0064】
態様2.2では、UL再送を行うサブフレームを、セル固有DLサブフレームと衝突しないタイミングに変更する。例えば、再送間隔(PHICH(Physical HARQ Indicator Channel)送信タイミング又はPUSCH送信タイミング)を変更しても良いし、非同期HARQを適用しても良い。ここで、非同期HARQとは、再送間隔が一定でないHARQのことを表す。
【0065】
再送間隔変更を適用する場合、シグナリングによりタイミングを通知可能にしても良いし、既存のHARQ再送間隔と異なる所定の再送間隔を予めユーザ端末に設定しておいても良い。例えば、通常PHICHを受信してから4 ms後にPUSCH送信を実施するが、これを5 ms後、6 ms後などに変更することができる。
【0066】
また、ユーザ端末は、非同期HARQを、検出したPHICHがACKであり、かつPDCCHにUL再送を指示する情報が含まれる場合(例えば、PDCCHに含まれるNDI(New Data Indicator)が、新規データを指示しない場合)に実施するが、これに限られない。例えば、ユーザ端末は、PHICHによらず、PDCCHによってUL再送を判断する構成としても良い。この場合、予め非同期HARQの適用に関する情報をシグナリングしても良い。
【0067】
また、非同期HARQを用いる場合、UEはPUSCHの送信後、所定の期間(例えば、4 ms)以降の任意のタイミングで、再送を指示するUL grantを受信する。
【0068】
なお、再送間隔変更及び非同期HARQにおけるシグナリングはいずれも、(E)PDCCHを用いて通知されても良いし、上位レイヤシグナリング(RRCシグナリング、報知信号など)を用いて通知しても良いし、これらの組み合わせとしても良い。
【0069】
以上の態様2.1及び態様2.2をまとめると、Dynamic TDDセルからセル固有の下りリンク信号を受信する下りリンクサブフレーム、及びDynamic TDDセルから上りデータを再送するサブフレームの少なくとも一方を変更することで、両サブフレームを異ならせるように制御することが実現できる。
【0070】
態様2.3では、再送を指定されたCCで行う。つまり、上りデータの初回送信は拡張Dynamic TDDセルで行うが、再送上りデータを異なるセルで実施する。ここで、再送に用いるCCは、PCCからのシグナリングで通知される。
【0071】
当該シグナリングは、(E)PDCCHを用いて通知されても良いし、上位レイヤシグナリング(RRCシグナリング、報知信号など)を用いて通知しても良いし、これらの組み合わせとしても良い。
【0072】
態様2.4では、拡張Dynamic TDDセルでUL HARQをサポートしない(無効とする)。これにより、UL再送が発生しないため、セル固有DLサブフレームと衝突することが防止できる。特に、スモールセルのようなカバレッジの小さい環境では、態様2.4が好適である。
【0073】
UL HARQをサポートしないことに関する情報は、上位レイヤシグナリング(RRCシグナリング、報知信号など)で通知しても良いし、拡張Dynamic TDDではUL HARQを実施しないように、予めユーザ端末に設定しておいても良い。
【0074】
なお、拡張Dynamic TDDに係るUL HARQのスケジューリングについては、態様2.1−態様2.4のいずれか1つを用いても良いし、態様2.1−態様2.3の組み合わせにより衝突を避けるように構成しても良い。
【0075】
以上、本実施の形態に係る無線通信方法の態様2によれば、PUSCH再送及びセル固有DLサブフレームのタイミングが衝突しないようにHARQスケジューリングを実施する。この構成によれば、同期信号や品質測定用信号などのセル固有のDL信号を妨害することなく受信できるため、安定した通信を実現できる。また、上りデータ信号の再送を所望のタイミングで実施することができるため、システムのスループット低下を抑制することができる。
【0076】
(態様3)
本実施の形態に係る態様3は、態様1の拡張Dynamic TDDに適したDL HARQのスケジューリングである。
【0077】
拡張Dynamic TDDセルに係るPUCCH(HARQ−ACK)をPCC(マクロセル)に送信することは、以下の観点で効率的ではない。まず、PCCは通常SCCより物理的に離れた箇所にあると考えられるため、必要な送信電力が大きくなり、ユーザ端末のバッテリの消費が増大してしまう。また、ユーザ端末が接続するSCC(スモールセル)が増えるほど、PCCのPUCCHリソースが消費され、PCCのPUCCHリソースが逼迫する。
【0078】
一方で、PCCではなくSCCにPUCCHを送信する場合には、Dynamic TDDの動作が複雑になる。また、SCCが非ライセンスバンドであった場合、十分な品質性が担保できない。
【0079】
以上を鑑みると、従来のDL HARQスケジューリングを拡張Dynamic TDDに適用する場合には、拡張Dynamic TDDセル(SCC)のために送信されるPUCCHを低減することが課題となる。
【0080】
なお、HARQ−ACK以外のUCIについては、拡張Dynamic TDDを適用する場合でも問題は少ないと考えられる。具体的には、CSIは、UL grantによりトリガーされ、PUSCHを用いて非周期に送信することができるため、PUCCH以外で送信させることが可能である。また、Scheduling RequestはSCCだけのために送信するものではないため、問題とはならない。
【0081】
本実施の形態に係る態様3は、拡張Dynamic TDDに係るPUCCH(HARQ−ACK)をPCCへできるだけ送信しないようにHARQスケジューリングを実施する。態様3は、さらに以下の3つに大別することができる(態様3.1−態様3.3)。
【0082】
態様3.1では、HARQ−ACKをPUSCHで送信させる。PCCからSCCへの下りスケジューリング(クロスキャリアスケジューリング)と同時にUL grant相当のシグナリングを行い、HARQ−ACKをPUSCHで送信させても良い。この場合、PUCCHを送信するタイミングで上記シグナリングにより割り当てられたPDSCHがあれば、当該PDSCHを用いてHARQ−ACKを送信することができる。PUSCHでのHARQ−ACKを送信するサブフレームを指示する情報を上記シグナリングに含めてもよいし、上記シグナリングの送信タイミングを下りスケジューリングとは異なるサブフレームとし、対応するPDSCHを示す識別子を上記シグナリングに含めてもよい。
【0083】
また、態様3.1では、所定のサブフレームにおけるHARQ−ACK送信用のリソースブロックを、PCCから予め上位レイヤシグナリング(RRCシグナリング、報知信号など)でユーザ端末に通知しておくことで、ユーザ端末はUL grantなしにHARQ−ACKをPUSCHで送信する構成としても良い。
【0084】
図6は、本実施の形態に係る無線通信方法において、拡張Dynamic TDDを利用するSCCでPUSCH(HARQ−ACK)を送信する場合の一例を示す図である。この例ではユーザ端末は2つのセルと接続されており、
図6には、FDDを利用するPCC及び拡張Dynamic TDDを利用するSCCの所定の期間のサブフレームが示されている。
【0085】
PCCの左から1番目のDLサブフレームにおいて、拡張Dynamic TDDを利用するSCCの左から4番目のサブフレームをDLサブフレームとするDLスケジューリングが行われる。
【0086】
態様3.1によれば、当該DLスケジューリングと同時に、4サブフレーム後にHARQ−ACKの送信を指定する情報を明示的に通知することで、上記SCCの左から8番目のULサブフレームのPUSCHでHARQ−ACKを送信する。
【0087】
また、態様3.1によれば、PCCから予め、上記SCCの左から8番目のサブフレームの所定のリソースブロックをHARQ−ACKに用いるように上位レイヤシグナリングなどで通知することで、UL grantによらず暗黙的に上記リソースブロックにHARQ−ACKを割り当ててPUSCHで送信することができる。
【0088】
態様3.2では、PCCから、HARQ−ACKをPUCCHで送信するCCをシグナリングする。当該シグナリングは、(E)PDCCHを用いて通知されても良いし、上位レイヤシグナリング(RRCシグナリング、報知信号など)を用いて通知しても良いし、これらの組み合わせとしても良い。
【0089】
図7は、本実施の形態に係る無線通信方法において、拡張Dynamic TDDを利用するSCCと異なるSCCでPUCCH(HARQ−ACK)を送信する場合の一例を示す図である。この例ではユーザ端末は3つのセルと接続されており、
図7には、FDDを利用するPCC、FDDを利用するSCC及び拡張Dynamic TDDを利用するSCCの所定の期間のサブフレームが示されている。
【0090】
図6と同様に、PCCの左から1番目のDLサブフレームにおいて、拡張Dynamic TDDを利用するSCCの左から4番目のサブフレームをDLサブフレームとするDLスケジューリングが行われる。
【0091】
また、態様3.2に基づいて、別途PCCからHARQ−ACKをPUCCHで送信するCCとしてFDDを利用するSCCが通知される。これにより、ユーザ端末は、FDDを利用するSCCの左から8番目のULサブフレームのPUSCHでHARQ−ACKを送信する。
【0092】
態様3.3では、拡張Dynamic TDDセルでDL HARQをサポートしない(無効とする)。これにより、上りリンクでHARQ−ACKを送信する必要がないため、拡張Dynamic TDDセルのためのPUCCH送信を防止できる。
【0093】
DL HARQをサポートしないことに関する情報は、上位レイヤシグナリング(RRCシグナリング、報知信号など)で通知しても良いし、拡張Dynamic TDDではDL HARQを実施しないように、予めユーザ端末に設定しておいても良い。
【0094】
なお、拡張Dynamic TDDに係るDL HARQのスケジューリングについては、態様3.1−態様3.3のいずれか1つを用いても良いし、態様3.1及び態様3.2の組み合わせにより拡張Dynamic TDDセルのために送信されるPUCCHを低減するように構成しても良い。
【0095】
以上、本実施の形態に係る無線通信方法の態様3によれば、拡張Dynamic TDDセル(SCC)のためにPCCに送信されるPUCCHを低減するようにHARQスケジューリングを実施する。この構成によれば、ユーザ端末の上りリンクに係る送信電力を低減することができると共に、HARQ−ACKをFDDセル(PCC)以外にオフロードすることで、PCCのPUCCHリソースの使用を抑えることができる。また、拡張Dymanic TDDセルでPUCCHを送信することがないため、Dynamic TDDの動作が簡潔となり、ユーザ端末の実装コストを低減することができる。
【0096】
なお、拡張Dynamic TDDに係るHARQのスケジューリングについては、態様2及び3のいずれか1つを用いても良いし、態様2及び3の両方を用いてUL HARQ及びDL HARQの両方に関して好適なスケジューリングを実施する構成としても良い。
【0097】
(無線通信システムの構成)
以下、本実施の形態に係る無線通信システムの構成について説明する。この無線通信システムでは、上記態様2及び/又は態様3に係る無線通信方法が適用される。
【0098】
図8は、本実施の形態に係る無線通信システムの一例を示す概略構成図である。
図8に示すように、無線通信システム1は、複数の無線基地局10(11および12)と、各無線基地局10によって形成されるセル内にあり、各無線基地局10と通信可能に構成された複数のユーザ端末20と、を備えている。無線基地局10は、それぞれ上位局装置30に接続され、上位局装置30を介してコアネットワーク40に接続される。
【0099】
図8において、無線基地局11は、たとえば相対的に広いカバレッジを有するマクロ基地局で構成され、マクロセルC1を形成する。無線基地局12は、局所的なカバレッジを有するスモール基地局で構成され、スモールセルC2を形成する。なお、無線基地局11および12の数は、
図8に示す数に限られない。
【0100】
マクロセルC1およびスモールセルC2では、同一の周波数帯が用いられても良いし、異なる周波数帯が用いられても良い。また、無線基地局11および12は、基地局間インターフェース(たとえば、光ファイバ、X2インターフェース)を介して互いに接続される。
【0101】
無線基地局11と無線基地局12との間、無線基地局11と他の無線基地局11との間または無線基地局12と他の無線基地局12との間では、デュアルコネクティビティ(DC)またはキャリアアグリゲーション(CA)が適用される。
【0102】
ユーザ端末20は、LTE、LTE−Aなどの各種通信方式に対応した端末であり、移動通信端末だけでなく固定通信端末を含んでいても良い。ユーザ端末20は、無線基地局10を経由して他のユーザ端末20と通信を実行できる。
【0103】
上位局装置30には、たとえば、アクセスゲートウェイ装置、無線ネットワークコントローラ(RNC)、モビリティマネジメントエンティティ(MME)等が含まれるが、これに限定されるものではない。
【0104】
無線通信システム1では、下りリンクのチャネルとして、各ユーザ端末20で共有される下り共有チャネル(PDSCH:Physical Downlink Shared Channel)、下り制御チャネル(PDCCH:Physical Downlink Control Channel、EPDCCH:Enhanced Physical Downlink Control Channel)、報知チャネル(PBCH:Physical Broadcast Channel)などが用いられる。PDSCHにより、ユーザデータや上位レイヤ制御情報、所定のSIB(System Information Block)が伝送される。PDCCH、EPDCCHにより、下り制御情報(DCI:Downlink Control Information)が伝送される。また、PBCHにより、同期信号や、MIB(Master Information Block)などが伝送される。
【0105】
無線通信システム1では、上りリンクのチャネルとして、各ユーザ端末20で共有される上り共有チャネル(PUSCH:Physical Uplink Shared Channel)、上り制御チャネル(PUCCH:Physical Uplink Control Channel)などが用いられる。PUSCHにより、ユーザデータや上位レイヤ制御情報が伝送される。
【0106】
図9は、本実施の形態に係る無線基地局10の全体構成図である。無線基地局10は、MIMO伝送のための複数の送受信アンテナ101と、アンプ部102と、送受信部103(送信部)と、ベースバンド信号処理部104と、呼処理部105と、インターフェース部106とを備えている。
【0107】
下りリンクにより無線基地局10からユーザ端末20に送信されるユーザデータは、上位局装置30からインターフェース部106を介してベースバンド信号処理部104に入力される。
【0108】
ベースバンド信号処理部104では、PDCPレイヤの処理、ユーザデータの分割・結合、RLC(Radio Link Control)再送制御の送信処理などのRLCレイヤの送信処理、MAC(Medium Access Control)再送制御、たとえば、HARQの送信処理、スケジューリング、伝送フォーマット選択、チャネル符号化、逆高速フーリエ変換(IFFT:Inverse Fast Fourier Transform)処理、プリコーディング処理が行われて各送受信部103に転送される。また、下り制御信号に関しても、チャネル符号化や逆高速フーリエ変換等の送信処理が行われて、各送受信部103に転送される。
【0109】
ベースバンド信号処理部104は、MACレイヤのシグナリング、物理レイヤのシグナリングまたはRRCシグナリングを含む上位レイヤシグナリングにより、ユーザ端末20に対して、当該セルにおける通信のための制御情報を通知する。この制御情報には、たとえば、TDDセルで利用するDLサブフレームおよびULサブフレーム構成に関する情報が含まれる。
【0110】
各送受信部103は、ベースバンド信号処理部104からアンテナごとにプリコーディングして出力された下り信号を無線周波数帯に変換する。アンプ部102は、周波数変換された無線周波数信号を増幅して送受信アンテナ101により送信する。
【0111】
一方、上り信号については、各送受信アンテナ101で受信された無線周波数信号がそれぞれアンプ部102で増幅され、各送受信部103で周波数変換されてベースバンド信号に変換され、ベースバンド信号処理部104に入力される。
【0112】
各送受信部103は、拡張Dynamic TDDセルで利用するDLサブフレームおよびULサブフレーム構成に関する情報を含む制御情報をMACレイヤのシグナリングで送信する送信部として機能する。
【0113】
ベースバンド信号処理部104では、入力された上り信号に含まれるユーザデータに対して、FFT処理、IDFT処理、誤り訂正復号、MAC再送制御の受信処理、RLCレイヤ、PDCPレイヤの受信処理がなされ、インターフェース部106を介して上位局装置30に転送される。呼処理部105は、通信チャネルの設定や解放などの呼処理や、無線基地局10の状態管理や、無線リソースの管理を行う。
【0114】
インターフェース部106は、基地局間インターフェース(たとえば、光ファイバ、X2インターフェース)を介して隣接無線基地局と信号を送受信(バックホールシグナリング)する。あるいは、インターフェース部106は、所定のインターフェースを介して、上位局装置30と信号を送受信する。
【0115】
図10は、本実施の形態に係る無線基地局10が有するベースバンド信号処理部104の主な機能構成図である。
図10に示すように、無線基地局10が有するベースバンド信号処理部104は、制御部301と、DL信号生成部302と、サブフレーム構成選択部303(選択部)と、マッピング部304と、UL信号復号部305と、判定部306と、を少なくとも含んで構成されている。本実施の形態に係る無線基地局10はFDDセルであるプライマリセルを形成するものとするが、これに限られない。
【0116】
制御部301は、PDSCHで送信される下りユーザデータ、PDCCHと拡張PDCCH(EPDCCH)の両方、またはいずれか一方で伝送される下り制御情報、下り参照信号などのスケジューリングを制御する。また、制御部301は、PRACHで伝送されるRAプリアンブル、PUSCHで伝送される上りデータ、PUCCHまたはPUSCHで伝送される上り制御情報、上り参照信号のスケジューリングの制御(割り当て制御)も行う。割り当て制御に関する情報は、下り制御信号(DCI)を用いてユーザ端末20に通知される。
【0117】
制御部301は、上位局装置30からの指示情報や各ユーザ端末20からのフィードバック情報に基づいて、下りリンク信号および上りリンク信号に対する無線リソースの割り当てを制御する。つまり、制御部301は、スケジューラとしての機能を有している。制御部301は、決定したスケジューリング結果に従って各部の制御を行う。
【0118】
制御部301は、ユーザ端末20がセカンダリセル(SCC)のDynamic TDDキャリアに接続する場合には、サブフレーム構成選択部303で選択されたDLサブフレームおよびULサブフレームの構成に基づいて、各サブフレームに対するDL信号およびUL信号の割り当てを制御する(態様1)。
【0119】
また、制御部301は、ユーザ端末20がセカンダリセル(SCC)の拡張Dynamic TDDキャリアに接続する場合には、本実施の形態に係る態様2でUL HARQのスケジューリングを、態様3でDL HARQのスケジューリングを実施する。
【0120】
具体的には、制御部301は、拡張Dynamic TDDセルのPUSCH再送及びセル固有のDL信号を受信するDLサブフレーム(セル固有DLサブフレーム)のタイミングが衝突しないようにUL HARQスケジューリングを制御する(態様2)。
【0121】
例えば、制御部301は、ユーザ端末20が、セル固有DLサブフレームをUL再送と衝突しないタイミングで送信するようにスケジューリングしても良い(態様2.1)。また、制御部301は、ユーザ端末20が、UL再送タイミングを、セル固有DLサブフレームと衝突しないタイミングに変更するように制御しても良い(態様2.2)。また、制御部301は、ユーザ端末20が、UL再送を、指定されたセルで送信するようにスケジューリングしても良い(態様2.3)。また、制御部301は、ユーザ端末20が、拡張Dynamic TDDセルでUL HARQをサポートしない(無効とする)ように制御しても良い(態様2.4)。
【0122】
なお、制御部301は、拡張Dynamic TDDに係るUL HARQのスケジューリングについては、態様2.1−態様2.4のいずれか1つを用いて制御しても良いし、態様2.1−態様2.3の組み合わせを用いて制御しても良い。
【0123】
さらに、制御部301は、ユーザ端末20が、拡張Dynamic TDDセルのDLサブフレームに対する送達確認信号(HARQ−ACK)をプライマリセル以外へ送信するようにDL HARQスケジューリングを制御する(態様3)。
【0124】
例えば、制御部301は、ユーザ端末20が、HARQ−ACKを拡張Dynamic TDDセルのPUSCHで送信するようにスケジューリングしても良い(態様3.1)。また、制御部301は、ユーザ端末20が、HARQ−ACKを所定のセルのPUCCHで送信するようにスケジューリングしても良い(態様3.2)。また、制御部301は、ユーザ端末20が、拡張Dynamic TDDセルでDL HARQをサポートしない(無効とする)ように制御しても良い(態様3.3)。
【0125】
なお、制御部301は、拡張Dynamic TDDに係るDL HARQのスケジューリングについては、態様3.1−態様3.3のいずれか1つを用いても良いし、態様3.1及び態様3.2の組み合わせを用いて制御しても良い。
【0126】
DL信号生成部302は、制御部301により割り当てが決定された下り制御信号や下りデータ信号、下り参照信号などを生成する。具体的には、DL信号生成部302は、制御部301からの指示に基づいて、DL信号の割り当てを通知するDLアサインメントおよびUL信号の割り当てを通知するULグラントを生成する。また、DL信号生成部302は、サブフレーム構成選択部303で選択されたサブフレーム構成に関する情報を生成する。
【0127】
また、DL信号生成部302は、ユーザ端末20が拡張Dynamic TDDキャリアについて実施するUL HARQ及び/又はDL HARQのスケジューリングに関する情報を生成する。なお、当該スケジューリングに関する情報は、(E)PDCCHを用いて通知するための下りリンク制御情報(DCI)として生成しても良いし、上位レイヤシグナリング(RRCシグナリング、報知信号など)により通知するための情報として生成しても良い。
【0128】
サブフレーム構成選択部303は、トラフィックなどを考慮してセカンダリセルの拡張Dynamic TDDで利用するサブフレーム構成を選択する。
【0129】
マッピング部304は、制御部301からの指示に基づいて、DL信号生成部302で生成された下り制御信号と下りデータ信号の無線リソースへの割り当てを制御する。
【0130】
UL信号復号部305は、上り制御チャネルでユーザ端末から送信された送達確認信号などのフィードバック信号を復号し、制御部301へ出力する。UL信号復号部305は、上り共有チャネルでユーザ端末から送信された上りデータ信号を復号し、判定部306へ出力する。
【0131】
判定部306は、UL信号復号部305の復号結果に基づいて、再送制御判定を行うとともにその結果を制御部301へ出力する。
【0132】
図11は、本実施の形態に係るユーザ端末20の全体構成図である。
図11に示すように、ユーザ端末20は、MIMO伝送のための複数の送受信アンテナ201と、アンプ部202と、送受信部(受信部)203と、ベースバンド信号処理部204と、アプリケーション部205と、を備えている。
【0133】
下りリンクのデータについては、複数の送受信アンテナ201で受信された無線周波数信号がそれぞれアンプ部202で増幅され、送受信部203で周波数変換されてベースバンド信号に変換される。このベースバンド信号は、ベースバンド信号処理部204でFFT処理や、誤り訂正復号、再送制御の受信処理などがなされる。この下りリンクのデータのうち、下りリンクのユーザデータは、アプリケーション部205に転送される。アプリケーション部205は、物理レイヤやMACレイヤより上位のレイヤに関する処理などを行う。また、下りリンクのデータのうち、報知情報もアプリケーション部205に転送される。
【0134】
一方、上りリンクのユーザデータについては、アプリケーション部205からベースバンド信号処理部204に入力される。ベースバンド信号処理部204では、再送制御(HARQ:Hybrid ARQ)の送信処理や、チャネル符号化、プリコーディング、DFT処理、IFFT処理などが行われて各送受信部203に転送される。送受信部203は、ベースバンド信号処理部204から出力されたベースバンド信号を無線周波数帯に変換する。その後、アンプ部202は、周波数変換された無線周波数信号を増幅して送受信アンテナ201により送信する。
【0135】
送受信部203は、ユーザ端末20がセカンダリセルである拡張Dynamic TDDセルと接続する場合に、プライマリセルから送信されるDynamic TDDセルのサブフレーム構成の動的な指示を含む制御情報を受信する受信部として機能する。また、送受信部203は、上記制御情報に基づいて制御される拡張Dynamic TDDセルのHARQ(UL HARQ、DL HARQ)のスケジューリングに関する情報を受信する受信部として機能する。なお、当該スケジューリングに関する情報も制御情報といえるため、これらをまとめて制御情報として無線基地局10及びユーザ端末20で扱う。
【0136】
図12は、ユーザ端末20が有するベースバンド信号処理部204の主な機能構成図である。
図12に示すように、ユーザ端末20が有するベースバンド信号処理部204は、DL信号復号部401と、サブフレーム構成判断部402と、判定部403と、制御部404と、UL信号生成部405と、マッピング部406と、を少なくとも含んで構成されている。
【0137】
DL信号復号部401は、下り制御チャネルで送信された下り制御信号を復号し、スケジューリング情報を制御部404へ出力する。DL信号復号部401は、下り共有チャネルで送信された下りデータ信号を復号し、判定部403へ出力する。
【0138】
サブフレーム構成判断部402は、プライマリセル(無線基地局10)から通知されるセカンダリセルの拡張Dynamic TDDセルのDLサブフレームおよびULサブフレームに関する制御情報を判断する。サブフレーム構成判断部402は、拡張Dynamic TDDセルのDLサブフレームおよびULサブフレームに関する情報を制御部404へ出力する(態様1)。サブフレーム構成判断部402と制御部404は、本実施の形態に係るユーザ端末の制御部を構成する。
【0139】
判定部403は、DL信号復号部401の復号結果に基づいて、再送制御判定を行うとともに、その結果を制御部404へ出力する。例えば、受信したPDSCHをDL信号復号部401が正しく復号できた場合は、当該PDSCHに対する再送は不要である旨を制御部404へ出力する。
【0140】
制御部404は、無線基地局10から送信された下り制御信号(PDCCH信号)や、受信したPDSCH信号に対する再送制御判定結果に基づいて、上り制御信号(HARQ−ACKなど)や上りデータ信号の生成を制御する。
【0141】
制御部404は、サブフレーム構成判断部402から出力される拡張Dynamic TDDセルのDLサブフレームおよびULサブフレーム構成に関する情報に基づいて、上りリンク信号(上り制御信号、上りデータ信号、上り参照信号)の送信及び下りリンク信号(下り制御信号、下りデータ信号、下り参照信号)を制御する。制御部404は、プライマリセル(無線基地局10)からの指示に基づいて、たとえばメジャメント、CSI測定、RACH送信、UCIフィードバックまたはサウンディングなどの拡張Dynamic TDDセルに対する動作を制御する。
【0142】
制御部404は、サブフレーム構成判断部402から出力される拡張Dynamic TDDセルのDLサブフレームおよびULサブフレーム構成に関する情報や、プライマリセル(無線基地局10)から通知される他のシグナリングに含まれる情報などの制御情報に基づいて、拡張Dynamic TDDセル固有のDL信号(同期信号、測定用参照信号など)を受信するDLサブフレーム(セル固有DLサブフレーム)と、拡張Dynamic TDDセルのULサブフレームで送信した上りデータを再送し得るサブフレームと、が異なるサブフレームとなるように制御する(態様2)。
【0143】
具体的には、制御部404は、制御情報に基づいて、セル固有DLサブフレームを、上りデータを再送し得るサブフレーム以外となるよう変更して制御することができる(態様2.1)。例えば、制御部404は、セル固有DLサブフレームの周期に関する情報を含むシグナリングに基づいて、拡張Dynamic TDDセルから、上りデータの再送タイミングの周期の整数倍で、セル固有の下りリンク信号を受信するように制御しても良い。この場合、セル固有DLサブフレームと上りデータの再送タイミングが同じサブフレームとならないように、DLサブフレームの開始サブフレームにオフセットを指定しても良い。例えば、セル固有DLサブフレームと、上りデータの再送タイミングとなるサブフレームとの最小間隔が、オフセットの値となるように制御しても良い。
【0144】
また、制御部404は、制御情報に基づいて、上りデータを再送するサブフレームを、セル固有DLサブフレーム以外となるよう変更して制御することができる(態様2.2)。例えば、制御部404は、再送間隔に関する情報を含むシグナリングに基づいて、再送間隔(PHICH送信タイミング又はPUSCH送信タイミング)を変更しても良い。また、制御部404は、非同期HARQの適用に関する情報を含むシグナリングに基づいて、非同期HARQを適用しても良い。また、PHICHによらず、PDCCHによってUL再送を判断する構成としても良い。
【0145】
また、制御部404は、制御情報に基づいて、UL再送を、プライマリセルから指定されたセルで送信することができる(態様2.3)。例えば、制御部404は、再送に用いるセル(CC)に関する情報を含むシグナリングに基づいて、拡張Dynamic TDDセルと異なるセルに、上りデータの再送を行うように制御しても良い。
【0146】
また、制御部404は、拡張Dynamic TDDセルでUL HARQをサポートしない(無効とする)ように制御しても良い(態様2.4)。例えば、制御部404は、UL HARQをサポートしないことに関する情報を含むシグナリングに基づいて、拡張Dynamic TDDセルでのUL HARQを無効としても良いし、シグナリングによらず予めUL HARQを無効とするように設定されていても良い。
【0147】
なお、制御部404は、拡張Dynamic TDDに係るUL HARQのスケジューリングについては、態様2.1−態様2.4のいずれか1つを用いて制御しても良いし、態様2.1−態様2.3の組み合わせを用いて制御しても良い。
【0148】
さらに、制御部404は、サブフレーム構成判断部402から出力される拡張Dynamic TDDセルのDLサブフレームおよびULサブフレーム構成に関する情報や、プライマリセル(無線基地局10)から通知される他のシグナリングに含まれる情報などの制御情報に基づいて、拡張Dynamic TDDセルのDLサブフレームに対する送達確認信号(HARQ−ACK)をプライマリセル以外へ送信するように制御する(態様3)。
【0149】
具体的には、制御部404は、制御情報に基づいて、HARQ−ACKを拡張Dynamic TDDセルのPUSCHを用いて上りデータとして送信するように制御することができる(態様3.1)。例えば、制御部404は、PCCからSCCへの下りスケジューリング(クロスキャリアスケジューリング)と同時に通知されたUL grant相当のシグナリングに基づいて、HARQ−ACKを拡張Dynamic TDDセルのPUSCHで送信するように制御しても良い。また、制御部404は、HARQ−ACK送信用のリソースブロックに関する情報を含むシグナリングに基づいて、UL grantなしに、HARQ−ACKを拡張Dynamic TDDセルの所定のサブフレームのPUSCHで送信するように制御しても良い。なお、シグナリングに基づいて、HARQ−ACKを拡張Dynamic TDDセル以外のセルのPUSCHで送信するように制御する構成としても良い。
【0150】
また、制御部404は、制御情報に基づいて、HARQ−ACKを所定のセルのPUCCHを用いて上り制御信号として送信するように制御することができる(態様3.2)。例えば、制御部404は、HARQ−ACKをPUCCHで送信するセル(CC)に関する情報を含むシグナリングに基づいて、HARQ−ACKを所定のセルのPUCCHで送信するように制御しても良い。
【0151】
また、制御部404は、拡張Dynamic TDDセルでDL HARQをサポートしない(無効とする)ように制御しても良い(態様3.3)。例えば、制御部404は、DL HARQをサポートしないことに関する情報を含むシグナリングに基づいて、拡張Dynamic TDDセルでのDL HARQを無効としても良いし、シグナリングによらず予めDL HARQを無効とするように設定されていても良い。
【0152】
なお、制御部404は、拡張Dynamic TDDに係るDL HARQのスケジューリングについては、態様3.1−態様3.3のいずれか1つを用いても良いし、態様3.1及び態様3.2の組み合わせを用いて制御しても良い。
【0153】
UL信号生成部405は、制御部404からの指示に基づいて、たとえば送達確認信号やフィードバック信号などの上り制御信号を生成する。UL信号生成部405は、制御部404からの指示に基づいて、上りデータ信号や、上りデータ信号の再送信号を生成する。また、上り参照信号を生成しても良い。拡張Dynamic TDDセルの構成としてDL only carrierが設定される場合には、UL信号生成部405は、上りデータ信号の生成は行わずに、DL信号に対する上り制御信号を生成する。
【0154】
マッピング部406は、制御部404からの指示に基づいて、上り制御信号と上りデータ信号の無線リソースへの割り当てを制御する。
【0155】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。