特許第6388787号(P6388787)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6388787
(24)【登録日】2018年8月24日
(45)【発行日】2018年9月12日
(54)【発明の名称】弾性ストッパ部材及び防振装置
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/08 20060101AFI20180903BHJP
【FI】
   F16F15/08 E
   F16F15/08 C
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-92708(P2014-92708)
(22)【出願日】2014年4月28日
(65)【公開番号】特開2015-209942(P2015-209942A)
(43)【公開日】2015年11月24日
【審査請求日】2016年12月16日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】金子 晃教
(72)【発明者】
【氏名】吉田 敏康
【審査官】 杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−196512(JP,A)
【文献】 特開2007−326523(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動発生部又は振動受け部の一方にインナブラケットを介して取り付けられ前記インナブラケットが内部に嵌挿される筒状部材を備えた第1の取付部材における前記筒状部材を内部に挿通するための連通孔を有し、前記連通孔の周縁に前記連通孔に通じた切欠きが形成された底面部と、
前記底面部から立設されて前記筒状部材を囲むことが可能に形成され、前記筒状部材に対する前記インナブラケットの挿入口となる開口部が前記連通孔と連通して形成された囲い部と、
を有する、前記第1の取付部材の変位量を制限する弾性ストッパ部材。
【請求項2】
動発生部又は動受け部の一方にンナブラケットを介して取り付けられ、前記インナブラケットが内部に嵌挿される状部材が設けられた1の取付部材と、
前記振動発生部又は前記振動受け部の他方にアウタブラケットを介して取り付けられる第2の取付部材と、
前記第1の取付部材と前記第2の取付部材とを弾性的に連結するゴム弾性体と、
前記筒状部材と前記アウタブラケットとの間に介在し、前記アウタブラケットに対する前記第1の取付部材の変位量を制限する請求項1記載の弾性ストッパ部材と、
を有する防振装置。
【請求項3】
振動発生部又は振動受け部の一方にインナブラケットを介して取り付けられ、前記インナブラケットが内部に嵌挿される筒状部材が設けられた第1の取付部材と、
前記振動発生部又は前記振動受け部の他方にアウタブラケットを介して取り付けられる第2の取付部材と、
前記第1の取付部材と前記第2の取付部材とを弾性的に連結するゴム弾性体と、
前記第1の取付部材における前記筒状部材を内部に挿通するための連通孔を有する底面部、及び、前記底面部から立設されて前記筒状部材を囲むことが可能に形成され前記筒状部材に対する前記インナブラケットの挿入口となる開口部が前記連通孔と連通して形成された囲い部を有し、前記筒状部材と前記アウタブラケットとの間に介在し、前記アウタブラケットに対する前記第1の取付部材の変位量を制限する弾性ストッパ部材と、を備え、
前記連通孔の軸方向からみて、前記筒状部材は前記連通孔よりも大き防振装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車のエンジン等の振動発生部を車体等の振動受け部にマウントする際に用いられる防振装置、及び該防振装置に用いられる弾性ストッパ部材に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジン側のインナブラケットにストッパゴム(弾性ストッパ部材)を被せて、第1の取付部材にボルトで固定する構造が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−2328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来例のように、第1の取付部材と弾性ストッパ部材とを別体とすると、該弾性ストッパ部材の種類を変えることで、防振装置における種々の特性チューニングが可能である。
【0005】
しかしながら、振動発生部からの入力による第1の取付部材と弾性ストッパ部材との間のずれを抑制する必要がある。ボルトによる固定ではなく、インナブラケットにストッパゴムを被せて、第1の取付部材に圧入することが考えられるが、実際には圧入困難である。これは、圧入を容易化するために弾性ストッパ部材の構造を大きく変更すると、弾性ストッパ部材に要求される特性を満たすことが難しくなるためである。
【0006】
本発明は、上記事実を考慮して、インナブラケットを第1の取付部材に圧入するタイプの防振装置を容易に製造可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る弾性ストッパ部材は、振動発生部又は振動受け部の一方にインナブラケットを介して取り付けられインナブラケットが内部に嵌挿される筒状部材を備えた第1の取付部材における筒状部材を内部に挿通するための連通孔を有し、前記連通孔の周縁に前記連通孔に通じた切欠きが形成された底面部と、底面部から立設されて筒状部材を囲むことが可能に形成され、筒状部材に対するインナブラケットの挿入口となる開口部が連通孔と連通して形成された囲い部と、を有している。この弾性ストッパ部材は、第1の取付部材の変位量を制限する。
【0008】
この弾性ストッパ部材では、底面部の連通孔に第1の取付部材の筒状部材を挿通すると、該筒状部材が囲い部により囲まれる。これにより、弾性ストッパ部材が筒状部材に組み付けられる。弾性ストッパ部材には開口部が設けられているので、該開口部を通じてインナブラケットを筒状部材に容易に嵌挿することができる。このため、第1の取付部材の筒状部材にインナブラケットを圧入するタイプの防振装置が容易に製造可能となる。
【0010】
また、この弾性ストッパ部材では、連通孔の周縁に連通孔に通じた切欠きが形成されているので、筒状部材を該連通孔に挿通して弾性ストッパ部材に被せる際に、連通孔が弾性的に広がり易い。このため、筒状部材に対する弾性ストッパ部材の組付けが容易となる。
【0013】
請求項に係る防振装置は、振動発生部又は振動受け部の一方にインナブラケットを介して取り付けられ、前記インナブラケットが内部に嵌挿される筒状部材が設けられた第1の取付部材と、前記振動発生部又は前記振動受け部の他方にアウタブラケットを介して取り付けられる第2の取付部材と、前記第1の取付部材と前記第2の取付部材とを弾性的に連結するゴム弾性体と、前記筒状部材と前記アウタブラケットとの間に介在し、前記アウタブラケットに対する前記第1の取付部材の変位量を制限する請求項1記載の弾性ストッパ部材と、を有している。
【0014】
この防振装置では、筒状部材に弾性ストッパ部材を被せ、該弾性ストッパ部材の開口部を通じてインナブラケットを筒状部材に嵌挿できる。このため、第1の取付部材の筒状部材にインナブラケットを圧入するタイプの防振装置の製造が容易となる。
【0015】
請求項の発明は、振動発生部又は振動受け部の一方にインナブラケットを介して取り付けられ、前記インナブラケットが内部に嵌挿される筒状部材が設けられた第1の取付部材と、前記振動発生部又は前記振動受け部の他方にアウタブラケットを介して取り付けられる第2の取付部材と、前記第1の取付部材と前記第2の取付部材とを弾性的に連結するゴム弾性体と、前記第1の取付部材における前記筒状部材を内部に挿通するための連通孔を有する底面部、及び、前記底面部から立設されて前記筒状部材を囲むことが可能に形成され前記筒状部材に対する前記インナブラケットの挿入口となる開口部が前記連通孔と連通して形成された囲い部を有し、前記筒状部材と前記アウタブラケットとの間に介在し、前記アウタブラケットに対する前記第1の取付部材の変位量を制限する弾性ストッパ部材と、を備え、連通孔の軸方向からみて、筒状部材が連通孔よりも大きい。
【0016】
この防振装置では、弾性ストッパ部材の底部の連通孔の軸方向からみて、筒状部材が該連通孔よりも大きいので、弾性ストッパ部材が該筒状部材から抜け難い。このため、筒状部材に対する弾性ストッパ部材の組付けの安定性が高い。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る防振装置によれば、インナブラケットを第1の取付部材に圧入するタイプの防振装置を容易に製造可能にすることができる、という優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施形態に係る防振装置を示す分解斜視図である。
図2】本実施形態に係る防振装置において、弾性ストッパ部材が筒状部材に被せられた状態を示す分解斜視図である。
図3】本実施形態に係る防振装置において、第2の取付部材がアウタブラケットに組み付けられた状態を示す分解斜視図である。
図4】本実施形態に係る防振装置において、第1の取付部材の筒状部材にインナブラケットが嵌挿された状態を示す分解斜視図である。
図5】本実施形態に係る防振装置を示す断面図である。
図6】(A)下方から見た弾性ストッパ部材を示す斜視図である。(B)上方から見た弾性ストッパ部材を示す斜視図である。(C)弾性ストッパ部材を示す底面図である。(D)弾性ストッパ部材を示す側面図である。
図7】(A)上方から見た他の実施形態に係る弾性ストッパ部材を示す斜視図である。(B)下方から見た他の実施形態に係る弾性ストッパ部材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づき説明する。図1において、本実施形態に係る防振装置10は、例えば自動車のエンジン等の振動発生部14(図5)を車体等の振動受け部16(図5)にマウントする際に用いられる。この防振装置10は、第1の取付部材11と、第2の取付部材12と、ゴム弾性体18と、弾性ストッパ部材20とを有している。
【0020】
第1の取付部材11は、振動発生部14又は振動受け部16の一方、例えば振動発生部14に、インナブラケット22を介して取り付けられる。この第1の取付部材11には、インナブラケット22が内部に嵌挿される筒状部材24が設けられている。この第1の取付部材11は、金属材料を用いて構成されている。第1の取付部材11の下部は、ゴム弾性体18に埋設されている。筒状部材24は、第1の取付部材11の上部に設けられ、断面四角形の筒状に構成されている。筒状部材24の外表面は、例えばゴム弾性体26で被覆されている。
【0021】
インナブラケット22は、差込み部22Aと、取付部22Bとを有している。差込み部22Aは、筒状部材24に嵌挿される部位である。取付部22Bは、差込み部22Aを筒状部材24に嵌挿したときに、該筒状部材24の外側に位置する。取付部22Bには、複数の貫通孔22Cが形成されている。貫通孔22Cには、インナブラケット22を振動発生部14に締結するためのボルト等(図示せず)が通される。
【0022】
第2の取付部材12は、振動発生部14又は振動受け部16の他方、例えば振動受け部16に、アウタブラケット32を介して取り付けられる部材である。第2の取付部材12は、例えば略円筒状の金属部材であり、下端部がテーパ状に絞られている。第2の取付部材12は、アウタブラケット32の円筒部36に下方から嵌挿される(図5)。第2の取付部材12の軸方向(矢印V方向)と筒状部材24の軸方向(矢印L方向)とは、略直交している。一例として、防振装置10を自動車に組み付けた際に、第2の取付部材12の軸方向が鉛直方向となるのに対し、筒状部材24の軸方向は水平方向となる。
【0023】
図5において、ゴム弾性体18は、第1の取付部材11と第2の取付部材12とを弾性的に連結する部材である。第1の取付部材11は第2の取付部材12の上方に位置しており、ゴム弾性体18はその間に位置している。ゴム弾性体18の下端部は、第2の取付部材12の内周面に接着されている。ゴム弾性体18と、筒状部材24の外表面を被覆するゴム弾性体26とは、例えば一体的に成形されている。
【0024】
図1において、アウタブラケット32における円筒部36の上端には、板状部38が設けられている。板状部38には、円筒部36と同軸となる貫通孔38Aが形成されている。図5に示されるように、貫通孔38Aの周縁とゴム弾性体26との間には隙間が形成されている。これは、ゴム弾性体26の変形時に、該ゴム弾性体26が貫通孔38Aの周縁に接触しないようにするためである。
【0025】
また、板状部38における貫通孔38Aの径方向外側には、一対の側壁部40が立設されている。側壁部40の上端同士は、上壁部42により連結されている。一対の側壁部40には、脚部44が夫々設けられている。この脚部44は、振動受け部16への取付部となっており、貫通孔44Aが形成されている。この貫通孔44Aには、振動受け部16に対する締結用のボルト等(図示せず)が通される。図5に示されるように、アウタブラケット32において、インナブラケット22の挿入側(図5の表側)は、側壁部40、上壁部42及び板状部38で囲まれた部分が開口している。これに対し、インナブラケット22の反挿入側には、上壁部42から連続した奥壁部46が設けられており、筒状部材24の該奥壁部46側への変位量が制限されるようになっている。
【0026】
図1図5図6において、弾性ストッパ部材20は、筒状部材24とアウタブラケット32との間に介在し、アウタブラケット32に対する第1の取付部材11の変位量を制限する部材であり、底面部48と、囲い部50とを有している。弾性ストッパ部材20は、ゴム等の弾性体を用いて構成されている。図6(A)〜(C)に示されるように、底面部48は、第1の取付部材11における筒状部材24を内部に挿通するための、例えば円形の連通孔48Aを有している。連通孔48Aの軸方向からみて、筒状部材24は連通孔48Aよりも大きい。具体的には、平面視における筒状部材24の最大寸法が、連通孔48Aの直径d(図6(C))よりも大きい。最大寸法は、長さ寸法、幅寸法、対角線の長さ等のうち、最も大きな寸法である。連通孔48Aの周縁には、変形容易部の一例たる切欠き54,56が形成されている。この切欠き54,56は、連通孔48Aに夫々通じており、連通孔48の内径が拡大する方向に底面部48を変形可能としている。
【0027】
囲い部50は、底面部48から立設されて筒状部材24を囲むことが可能に形成され、開口部58が連通孔48Aと連通して形成されている。開口部58は、筒状部材24に対するインナブラケット22の挿入口となる。囲い部50は、一対の側壁部60と、上壁部62と、奥壁部64とを有している。側壁部60は、底面部48における連通孔48Aの径方向外側に立設されている。上壁部62は、一対の側壁部60の上端同士を連結している。奥壁部64は、開口部58の反対側に立設されている。側壁部60及び上壁部62の外側には、例えばインナブラケット22(図1)の差込み方向(矢印I方向)に延びる溝60A,62Aが形成されている。弾性ストッパ部材20を筒状部材24に組み付けたとき、側壁部60、上壁部62及び奥壁部64は、筒状部材24を覆う弾性体26に密着するようになっている。つまり、弾性ストッパ部材20は、筒状部材24に対して密着状態で組み付けられるようになっている。
【0028】
底面部48の開口部58側の端部には、該開口部58からインナブラケット22の差込み方向と反対方向へ突出した張出し部66が一体的に設けられている。この張出し部66は、底面部48の延長上に位置し、該底面部48よりも肉厚に構成されている。張出し部66の下面には、開口部58の幅方向に延びる溝66Aが形成されている。図6(D)に示されるように、張出し部66は、根本部66Bを中心として、矢印U方向に弾性的に折り畳むことができるようになっている。
【0029】
図6(A),(C)に示されるように、切欠き54は、張出し部66の溝66Aから連通孔48Aの中心に向かって延び、該連通孔48Aに通じている。切欠き56の形成方向は、囲い部50の奥壁部64から底面部48を通り、連通孔48Aの中心に向かって延び、該連通孔48Aに通じている。図6(C)に示されるように、切欠き54,56は、インナブラケット22(図1)の差込み方向(矢印I方向)と平行で、かつ連通孔48Aの中心を通る直線上に位置している。これは、連通孔48Aに筒状部材24を通す際に、側壁部60の間隔を広げるように底面部48を矢印W方向に開き易くするためである。
【0030】
図6(C)に示されるように、弾性ストッパ部材20の奥壁部64側の角部にも、切欠き68が夫々設けられている。この切欠き68は、弾性ストッパ部材20の高さ方向の全体に形成されている。この切欠き68により囲い部50の角部の剛性を低下させることにより、弾性ストッパ部材20が変形し易くなっている。従って、弾性ストッパ部材20を第1の取付部材11の筒状部材24に被せ易い。
【0031】
(作用)
本実施形態は、上記のように構成されており、以下その作用について説明する。本実施形態に係る防振装置10の組立は、例えば次のようにして行われる。まず、図1図2に示されるように、弾性ストッパ部材20が筒状部材24に被せられる。具体的には、弾性ストッパ部材20の底面部48における連通孔48の内径が拡大する方向に底面部48を変形させて、該連通孔48に第1の取付部材11の筒状部材24を挿通する。すると、筒状部材24が弾性ストッパ部材20の囲い部50の内側に入り、該囲い部50により囲まれた状態となる。弾性ストッパ部材20の側壁部60、上壁部62及び奥壁部64は、筒状部材24を覆う弾性体26に密着する。これにより、弾性ストッパ部材20が、筒状部材24に対して密着状態で組み付けられる。
【0032】
連通孔48Aの周縁には、変形容易部としての切欠き54,56が形成されているので、筒状部材24を該連通孔48Aに挿通して弾性ストッパ部材20に被せる際に、連通孔48Aが弾性的に広がり易い。このため、筒状部材24に対する弾性ストッパ部材20の組付けが容易となる。
【0033】
また、弾性ストッパ部材20の底部の連通孔48Aの軸方向からみて、筒状部材24が該連通孔48Aよりも大きいので、弾性ストッパ部材20が該筒状部材24から抜け難い。このため、筒状部材24に対する弾性ストッパ部材20の組付けの安定性が高い。
【0034】
次に、図2図3に示されるように、第2の取付部材12が、アウタブラケット32に組み付けられる。具体的には、弾性ストッパ部材20が被せられた筒状部材24が、アウタブラケット32における板状部38の貫通孔38Aに下方から通され、第2の取付部材12が円筒部36に圧入される。
【0035】
この作業を、張出し部66を矢印U方向(図6(D))に弾性的に折り畳みながら行うことにより、張出し部66が妨げとなり難い。弾性ストッパ部材20が被せられた筒状部材24が貫通孔38Aに通された後、張出し部66の拘束を解けば、該張出し部66はその弾性により矢印D方向(図6(D))に倒れ、板状部38の上方に展開する(図3図5)。この張出し部66により、インナブラケット22と板状部38の接触を抑制できる。
【0036】
次に、図3図4において、インナブラケット22が、筒状部材24に嵌挿される。弾性ストッパ部材20には開口部58が設けられているので、該開口部58を通じてインナブラケット22を筒状部材24に容易に嵌挿することができる。このように、本実施形態によれば、第1の取付部材11の筒状部材24にインナブラケット22を圧入するタイプの防振装置10が容易に製造可能となる。
【0037】
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態の一例について説明したが、本発明の実施形態は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【0038】
図7(A),(B)には、他の実施形態に係る弾性ストッパ部材30が示されている。この弾性ストッパ部材30では、囲い部50の上壁部62、奥壁部64及び底面部48に連なる切欠き70が一対形成されている。この切欠き70は、上壁部62ではL字形に形成されて終端し、底面部48では連通孔48Aに通じている。
【0039】
また、底面部48の連通孔48Aの周縁における切欠き70と異なる位置には、該連通孔48Aに通じた短い切欠き72が一対形成されている。一対の切欠き72は、インナブラケット22(図1)の差込み方向(矢印I方向)と直交する方向(矢印W方向)で、かつ連通孔48Aの中心を通る直線上に位置している。つまり、一対の切欠き72は、矢印W方向における連通孔48Aの直径方向の両側に位置している。
【0040】
切欠き70,72を設けることにより、連通孔48Aに筒状部材24(図1)を通す際に、底面部48を矢印I方向及び矢印W方向に開き易くなる。
【0041】
他の部分については弾性ストッパ部材20と同様であるので、同様の部分には図面に同一の符号を付し、説明を省略する。
【0042】
また、上記実施形態では、弾性ストッパ部材20の底面部48に変形容易部が形成されるものとしたが、底面部48の連通孔48Aに筒状部材24を通すことができれば、変形容易部が形成されていなくてもよい。また、変形容易部の一例として、連通孔48Aに通じた切欠き54,56,70,72を挙げたが、変形容易部はこれに限られるものではなく、薄肉部等、底面部48の曲げ剛性を低下させることができる構造であればよい。
【0043】
連通孔48Aの軸方向からみて、筒状部材24が該連通孔48Aよりも大きいものとしたが、筒状部材24の長手方向が連通孔48Aよりも大きければよく、筒状部材24の短手方向が連通孔48Aより小さくてもよい。
【符号の説明】
【0044】
10 防振装置
11 第1の取付部材
12 第2の取付部材
14 振動発生部
16 振動受け部
18 ゴム弾性体
20 弾性ストッパ部材
22 インナブラケット
24 筒状部材
30 弾性ストッパ部材
32 アウタブラケット
48 底面部
48A 連通孔
50 囲い部
58 開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7