特許第6388788号(P6388788)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6388788
(24)【登録日】2018年8月24日
(45)【発行日】2018年9月12日
(54)【発明の名称】内視鏡
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20180903BHJP
   A61B 1/04 20060101ALI20180903BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20180903BHJP
【FI】
   A61B1/00 715
   A61B1/00 731
   A61B1/04 530
   G02B23/24 A
【請求項の数】15
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-99681(P2014-99681)
(22)【出願日】2014年5月13日
(65)【公開番号】特開2014-221203(P2014-221203A)
(43)【公開日】2014年11月27日
【審査請求日】2017年2月13日
(31)【優先権主張番号】20 2013 004 379.2
(32)【優先日】2013年5月13日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508209440
【氏名又は名称】シェリー ファイバーオプティック ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Schoelly Fiberoptic GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】マティアス キューン
(72)【発明者】
【氏名】グレゴア ミュラー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ヴァインマン
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン ビーラー
【審査官】 永田 浩司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−115594(JP,A)
【文献】 特開2011−024800(JP,A)
【文献】 特開2001−037716(JP,A)
【文献】 特開2000−051142(JP,A)
【文献】 特開昭63−021618(JP,A)
【文献】 特開2011−000346(JP,A)
【文献】 特開2004−267351(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0091064(US,A1)
【文献】 国際公開第2010/150825(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0295064(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 − 1/32
G02B 23/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠位の端部(2)に形成される内視鏡先端(3)と、
該内視鏡先端(3)内に配置される少なくとも1つの結像光学系(4)と、
前記内視鏡先端(3)内において前記少なくとも1つの結像光学系(4)の背後に配置される少なくとも1つの撮像センサ(5)と、
を備え、前記少なくとも1つの結像光学系(4)は、少なくとも1つの支持構造(6)に保持されている内視鏡(1)であって、
前記内視鏡先端(3)内に金属箔(7)が配置されており、該金属箔(7)は、前記少なくとも1つの支持構造(6)に密に結合されており、前記少なくとも1つの撮像センサ(5)を収容する内室(8)を密閉しており、
前記金属箔(7)は、金属材料の線材(12,14,15)から、巻き、編み及び組みの少なくともいずれかの方法により製造されており、線材間隙(13)は、前記金属箔(7)を形成するために素材結合を介して、ろう材料により閉鎖されていることを特徴とする、内視鏡(1)。
【請求項2】
遠位の端部(2)に形成される内視鏡先端(3)と、
該内視鏡先端(3)内に配置される少なくとも1つの結像光学系(4)と、
前記内視鏡先端(3)内において前記少なくとも1つの結像光学系(4)の背後に配置される少なくとも1つの撮像センサ(5)と、
を備え、前記少なくとも1つの結像光学系(4)は、少なくとも1つの支持構造(6)に保持されている内視鏡(1)であって、
前記内視鏡先端(3)内に金属箔(7)が配置されており、該金属箔(7)は、前記少なくとも1つの支持構造(6)に密に結合されており、前記少なくとも1つの撮像センサ(5)を収容する内室(8)を密閉しており、
前記金属箔(7)は、収縮箔として形成されていることを特徴とする、内視鏡(1)。
【請求項3】
遠位の端部(2)に形成される内視鏡先端(3)と、
該内視鏡先端(3)内に配置される少なくとも1つの結像光学系(4)と、
前記内視鏡先端(3)内において前記少なくとも1つの結像光学系(4)の背後に配置される少なくとも1つの撮像センサ(5)と、
を備え、前記少なくとも1つの結像光学系(4)は、少なくとも1つの支持構造(6)に保持されている内視鏡(1)であって、
前記内視鏡先端(3)内に金属箔(7)が配置されており、該金属箔(7)は、前記少なくとも1つの支持構造(6)に密に結合されており、前記少なくとも1つの撮像センサ(5)を収容する内室(8)を密閉しており、
前記内視鏡先端(3)内に回路基板(16)が配置されており、該回路基板(16)は、周囲を取り巻く金属被覆された縁部(18)を有し、かつ/又は前記金属箔(7)は、素材結合を介して回路基板(16)の金属被覆された縁部(18)に結合されていることを特徴とする、内視鏡(1)。
【請求項4】
遠位の端部(2)に形成される内視鏡先端(3)と、
該内視鏡先端(3)内に配置される少なくとも1つの結像光学系(4)と、
前記内視鏡先端(3)内において前記少なくとも1つの結像光学系(4)の背後に配置される少なくとも1つの撮像センサ(5)と、
を備え、前記少なくとも1つの結像光学系(4)は、少なくとも1つの支持構造(6)に保持されている内視鏡(1)であって、
前記内視鏡先端(3)内に金属箔(7)が配置されており、該金属箔(7)は、前記少なくとも1つの支持構造(6)に密に結合されており、前記少なくとも1つの撮像センサ(5)を収容する内室(8)を密閉しており、
前記金属箔(7)は、前記内視鏡先端(3)内に挿入されている箔体(21)を形成し、
管状の前記箔体(21)は、遠位の領域(24)において前記少なくとも1つの結像光学系(4)及びカバーガラス(28)により閉鎖され、かつ/又は近位の領域(25)において回路基板(16)及び/又は前記金属箔(7)により閉鎖されていることを特徴とする、内視鏡(1)。
【請求項5】
前記箔体(21)は、深絞り加工部材又は管引抜き加工部材として形成されており、又は前記箔体(21)は、平らな基体(22)から折られ、かつ/又は曲げられており、前記箔体(21)の互いに対応する結合縁部(23)は、素材結合を介して互いに結合されている、請求項4記載の内視鏡(1)。
【請求項6】
前記箔体(21)は、非円形の横断面を有して形成されており、かつ/又は前記箔体(21)は、管状に形成されている、請求項4又は5記載の内視鏡(1)。
【請求項7】
前記箔体(21)は、多角形の横断面を有して形成されている、請求項6記載の内視鏡(1)。
【請求項8】
前記箔体(21)は、円形、楕円形、四角形、六角形、二面において偏平化された形状、三角形、角に丸みが付けられた三角形、眼鏡状、又は滴状の横断面を有して形成されており、かつ/又は前記箔体(21)は、管状に形成されている、請求項4又は5記載の内視鏡(1)。
【請求項9】
前記内視鏡先端(3)は、内部に前記金属箔(7)が配置されている内視鏡管(9)を有し、かつ/又は前記金属箔(7)と内視鏡管(9)との間に照明光学系(11)及び/又は照明用の電子装置が配置されている、請求項1から8までのいずれか1項記載の内視鏡(1)。
【請求項10】
前記金属箔(7)の材料厚さは、300μmより薄い、かつ/又は5μmより厚い、請求項1から9までのいずれか1項記載の内視鏡(1)。
【請求項11】
前記金属箔(7)は、銅及び/又は特殊鋼から製造されている、請求項1から10までのいずれか1項記載の内視鏡(1)。
【請求項12】
前記内視鏡先端(3)内に回路基板(16)が配置されており、該回路基板(16)は、前記少なくとも1つの撮像センサ(5)及び/又は該少なくとも1つの撮像センサ(5)に接続される電子回路(17)を担持し、かつ/又は前記回路基板(16)は、セラミック製の材料又はプラスチックから製造されている、請求項1から11までのいずれか1項記載の内視鏡(1)。
【請求項13】
前記金属箔(7)は、前記少なくとも1つの撮像センサ(5)の少なくとも1つの伝送線路(20)のための少なくとも1つの引出し開口(19)を有し、該引出し開口(19)は、密閉されている、請求項1から12までのいずれか1項記載の内視鏡(1)。
【請求項14】
前記少なくとも1つの支持構造(6)は、前記少なくとも1つの結像光学系(4)のための受口(29)を有し、かつ/又は前記少なくとも1つの支持構造(6)は、シールのために前記少なくとも1つの結像光学系(4)に密に結合されている、請求項1から13までのいずれか1項記載の内視鏡(1)。
【請求項15】
前記少なくとも1つの支持構造(6)は、前記少なくとも1つの撮像センサ(5)とともに、前記内視鏡先端(3)内に挿入可能な光電子式の構成群(27)内に組み込まれている、請求項1から14までのいずれか1項記載の内視鏡(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠位の端部に形成される内視鏡先端と、内視鏡先端内に配置される少なくとも1つの結像光学系と、内視鏡先端内において少なくとも1つの結像光学系の背後に配置される少なくとも1つの撮像センサと、を備え、少なくとも1つの結像光学系は、少なくとも1つの支持構造に保持されている内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の内視鏡は、例えば下記特許文献1において公知である。この公知の内視鏡の場合、撮像センサは、少なくとも内周面にわたって2度めっきされた金属管により保持されている。表面層は、金層として形成され、金属管上の担持層としてのニッケル層上に位置している。
【0003】
さらに下記特許文献2において、撮像センサを有する結像光学系にプラスチック保護層を設けることが公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第102007046609号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第2225998号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、内視鏡先端の可及的小さな横断面積を有する内視鏡を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る内視鏡では、内視鏡先端内に金属箔が配置されており、金属箔は、少なくとも1つの支持構造に密に結合されており、少なくとも1つの撮像センサを収容する内室を密閉するようにした。
【0007】
本発明に係る内視鏡の好ましい態様は、従属請求項に係る発明である。
【0008】
好ましい態様において、内視鏡先端は、内部に金属箔が配置されている内視鏡管を有し、かつ/又は金属箔と前記又は一内視鏡管との間に照明光学系及び/又は照明用の電子装置が配置されている。
【0009】
好ましい態様において、金属箔の材料厚さは、300μmより薄い、好ましくは50μmより薄い、かつ/又は5μmより厚い、好ましくは30μmより厚い。
【0010】
好ましい態様において、金属箔は、線材から、好ましくは巻き、編み及び組みの少なくともいずれかの方法により製造されており、線材間隙は、金属箔を形成するために素材結合(stoffschluessig)を介して、特にろう材料により閉鎖されている。
【0011】
好ましい態様において、金属箔は、収縮箔(Schrumpffolie)として形成されており、かつ/又は金属箔は、コーティングプロセス、特に電鋳、電気めっき、スパッタリング、蒸着及び/又は吹付けにより製造されている。
【0012】
好ましい態様において、金属箔は、銅及び/又は特殊鋼から製造されている。
【0013】
好ましい態様において、内視鏡先端内に回路基板が配置されており、回路基板は、少なくとも1つの撮像センサ及び/又は少なくとも1つの撮像センサに接続される電子回路を担持し、かつ/又は回路基板は、セラミック製の材料又はプラスチックから製造されている。
【0014】
好ましい態様において、回路基板は、好ましくは周囲を取り巻く金属被覆(メタライジング)された縁部を有し、かつ/又は金属箔は、素材結合を介して前記又は一回路基板の前記又は一金属被覆された縁部に結合されている。
【0015】
好ましい態様において、金属箔は、少なくとも1つの撮像センサの少なくとも1つの伝送線路のための少なくとも1つの引出し開口を有し、引出し開口は、密閉、特にモールドされている。
【0016】
好ましい態様において、金属箔は、内視鏡先端内に挿入されている箔体を形成する。
【0017】
好ましい態様において、箔体は、深絞り加工部材又は管引抜き加工部材として形成されており、かつ/又は箔体は、好ましくは平らな基体から折られ、かつ/又は曲げられており、箔体の互いに対応する結合縁部は、素材結合を介して互いに結合されている。
【0018】
好ましい態様において、箔体は、非円形、特に多角形の横断面を有して形成されており、かつ/又は箔体は、管状に形成されている。
【0019】
好ましい態様において、好ましくは管状の箔体は、遠位の領域において少なくとも1つの結像光学系及び/又はカバーガラスにより閉鎖され、かつ/又は近位の領域において前記又は一回路基板及び/又は金属箔により閉鎖されている。
【0020】
好ましい態様において、少なくとも1つの支持構造は、少なくとも1つの結像光学系のための受口を有し、かつ/又は少なくとも1つの支持構造は、シールのために少なくとも1つの結像光学系に密に、特に素材結合を介して結合されている。
【0021】
好ましい態様において、少なくとも1つの支持構造は、少なくとも1つの撮像センサ及び好ましくは前記又は少なくとも1つの回路基板とともに、好ましくはユニットとして内視鏡先端内、特に金属箔から形成される前記又は一箔体内に挿入可能な光電子式の構成群内に組み込まれている。
【発明の効果】
【0022】
本発明では、従来慣用の、切削加工を用いた製造方法により製造された部材の代わりに、金属箔を使用したことにより、少なくとも1つの撮像センサを囲繞するカプセルの壁厚さを可及的小さく選択することが可能である。こうして、内視鏡先端の必要とされる横断面積は、減少可能である。少なくとも1つの撮像センサのカプセルのために金属材料を使用することは、カプセルが熱負荷、例えば医療分野において内視鏡先端の清浄化の際に発生する場合のある熱負荷に対してより高い抵抗性を備えて形成可能であるという利点を有している。
【0023】
本発明の好ましい態様において、内視鏡先端は、内部に金属箔が配置されている内視鏡管を有していてもよい。例えば内視鏡管は、金属管として形成されていてもよい。この場合、内視鏡管が内視鏡先端に所望の機械的安定性を提供することは、有利である。さらに、金属箔と内視鏡管との間に、金属箔により内室から仕切られた、内視鏡の他の機能のための収容室が形成可能であることは、有利である。
【0024】
本発明の一態様において、金属箔と、一内視鏡管、例えば既に言及した内視鏡管との間に照明光学系及び/又は照明用の電子装置が配置されていてもよい。この場合、内視鏡先端への光供給部を設けることができることは、有利である。このために、例えば内視鏡先端内にか、又は内視鏡内、例えば内視鏡の近位の端部に、光源、特にLEDが配置可能である。好ましくは、照明光学系は、既に言及した収容室内に配置されており、この収容室を横断面で見て少なくとも部分的に又はそれどころか完全に充填している。照明光学系の代わりに、又は照明光学系に加えて、照明用、好ましくは直接照明用の電子装置が、内視鏡先端に設けられていてもよい。
【0025】
本発明の一態様において、金属箔の材料厚さは、300μmより薄い。好ましくは、金属箔の材料厚さは、それどころか50μmより薄い。この場合、この金属箔により、切削加工を用いた製造方法により実現可能な壁厚さを明らかに下回る、少なくとも1つの撮像センサのカプセルの壁厚さが、特に容認可能な製造コストで実現可能であることは、有利である。
【0026】
択一的又は付加的に、金属箔の材料厚さは、5μmより厚くてもよい。好ましくは、金属箔の材料厚さは、30μmより厚い。この場合、内室の密な、特に光に対して密な囲繞が達成可能であることは、有利である。このことは、特に、金属箔が外側から一照明光学系及び/又は照明用の電子装置、特に既に言及した照明光学系及び/又は照明用の電子装置により包囲されている場合、有利である。ここで、上述の材料厚さは、照明光学系及び/又は照明用の電子装置から内室への光の侵入、ひいては少なくとも1つの撮像センサの撮像障害が回避可能であるという利点を提供する。さらに上述の材料厚さは、少なくとも1つの支持構造及び少なくとも1つの撮像センサを挿入することが可能な自立型の箔体として金属箔が形成可能であるという利点を有している。これにより、製造プロセスは、さらに簡単化可能である。
【0027】
これにより、本発明における材料厚さの、多くの用途で使用可能な範囲は、5μm〜300μmである。特に好適であるのは、30μm〜50μmの範囲の材料厚さである。
【0028】
本発明の一態様において、金属箔は、線材から製造されており、線材間隙は、金属箔を形成するために素材結合を介して閉鎖されていてもよい。例えばろう材料を用いた素材結合による閉鎖が実施されてもよい。この場合、金属箔が簡単に所望の形状に製造可能であることは、有利である。好ましくは、金属箔を形成するために線材を型体に巻き付けてもよい。択一的又は付加的に、金属箔を形成するために線材を編んでもよい。金属箔を形成するために素材結合を介して間隙を閉鎖してもよい。この場合、線材を巻いたときのそれぞれの巻線は、互いに平行に延びていなくてもよいし、金属箔は、互いに交差するように延びる複層の巻きから製造されていてもよい。こうして、線材間隙の閉鎖後、金属箔を形成する網状に組まれた線材が製造可能である。
【0029】
本発明の一態様において、金属箔は、収縮箔として形成されていてもよい。この場合、簡単に金属箔と少なくとも1つの支持構造との間の密閉が達成可能であることは、有利である。この場合、金属箔が、熱処理後、少なくとも1つの支持構造に密着し、これにより構成スペースが、さらに減少可能であることは、有利である。
【0030】
本発明の一態様において、金属箔は、コーティングプロセスで製造されていてもよい。コーティングプロセスは、例えば電鋳、電気めっき、スパッタリング、蒸着及び/又は吹付けを含んでいてよい。この場合、特に薄い金属箔が実現可能であることは、有利である。例えばコーティングプロセスは、分離層で覆われた型体において実施されてもよい。この場合、内視鏡先端に組み付けるために所望の形状で製造された金属箔が提供可能であることは、有利である。さらにこの場合、コーティングプロセスが、敏感な結像光学系及び/又はやはり敏感な少なくとも1つの撮像センサにおいて実施される必要がないことは、有利である。
【0031】
金属箔は、金属合金から製造されていてもよい。
【0032】
本発明の一態様において、金属箔は、銅から製造されていてもよい。銅の使用は、良好な熱伝導特性が提示されるという付加的な利点を有している。これにより、例えば、金属箔によりカプセル状に囲繞された少なくとも1つの撮像センサの良好な放熱が達成可能である。
【0033】
択一的又は付加的に、金属箔は、特殊鋼から製造されていてもよい。特殊鋼の使用は、金属箔が深絞り加工又は管引抜き加工により製造可能であるという利点を有している。これにより、製造コストはさらに低減可能である。
【0034】
本発明の一態様において、内視鏡先端内にプリント回路板等の回路基板が配置されており、回路基板は、少なくとも1つの撮像センサ及び/又は少なくとも1つの撮像センサに接続される電子回路を担持するようになっていてもよい。この場合、少なくとも1つの撮像センサの接点接続及び/又は少なくとも1つの撮像センサの出力信号の電子式の前処理が内視鏡先端において提供可能であることは、有利である。
【0035】
この場合、回路基板がセラミック製の材料から製造されていると、特に有利である。このことは、回路基板が熱負荷、例えば医学的な使用分野において清浄化プロセスの際に発生する場合のある熱負荷に対してより高い抵抗性を備えて形成可能であるという利点を有している。回路基板は、プラスチックから製造されていてもよい。
【0036】
本発明の一態様において、既に言及した回路基板は、金属被覆された縁部を有していてもよい。この場合、金属箔との素材結合が簡単に達成可能であることは、有利である。好ましくは、金属被覆された縁部は、内室の完全な閉鎖を達成するために、回路基板の周囲を取り巻くように形成されている。
【0037】
本発明の一態様において、金属箔は、素材結合を介して一回路基板、特に既に言及した回路基板の、一金属被覆された縁部、特に既に言及した金属被覆された縁部に結合されていてもよい。この場合、金属箔により収容された内室が簡単に密閉可能であることは、有利である。さらにこの場合、金属箔が簡単に回路基板により保持可能及び位置決め可能であることは、有利である。素材結合は、例えば接着、ろう接又は溶接により形成可能である。
【0038】
本発明の一態様において、金属箔は、少なくとも1つの撮像センサの少なくとも1つの伝送線路のための少なくとも1つの引出し開口を有し、引出し開口は、密閉されているようになっていてもよい。引出し開口は、例えばモールドされていてもよい。このために、例えばエポキシ樹脂又はその他の注型材料が使用可能である。この場合、少なくとも1つの撮像センサの出力信号が、カプセル状に囲繞された内室から導出可能であることは、有利である。
【0039】
製造技術的な簡単化は、金属箔が、内視鏡先端内に挿入されている箔体を形成すると、得られる。この場合、金属箔が、少なくとも1つの敏感な結像光学系及び/又はやはり敏感な撮像センサとは別に製造可能であることは、有利である。
【0040】
例えば、箔体は、深絞り加工部材又は管引抜き加工部材として形成されていてもよい。この場合、箔体が簡単に少なくとも1つの結像光学系の挿入前に形成可能であることは、有利である。
【0041】
択一的又は付加的に、箔体は、基体から折られ、かつ/又は曲げられており、箔体の互いに対応する結合縁部は、素材結合を介して互いに結合されていてもよい。この場合、好ましくは、箔体は、平らな基体から折られ、かつ/又は曲げられている。この場合、より複雑な輪郭及び/又は形状が形成可能であることは、有利である。
【0042】
本発明の一態様において、箔体は、非円形の横断面を有して形成されていてもよい。横断面は、例えば楕円形又は多角形、特に三角形、四角形、五角形、六角形又は七角形以上の多角形に形成されてもよく、それぞれの角には、丸みが付けられていてもよい。この場合、箔体が、円形の横断面を有する内視鏡管内に挿入可能であり、その結果、箔体と内視鏡管との間に、内視鏡の他の機能のための少なくとも1つの収容室が形成可能であることは、有利である。
【0043】
本発明の一態様において、箔体は、管状に形成されていてもよい。この場合、箔体は、円形又は非円形の横断面を有していてもよい。この場合、管状の箔体が、少なくとも1つの撮像センサを配置可能な内室を提供することは、有利である。さらにこの場合、管状の箔体が、少なくとも1つの撮像センサが撮像可能な開口を提供することは、有利である。
【0044】
本発明の一態様において、箔体は、遠位の領域において少なくとも1つの結像光学系及び/又はカバーガラスにより閉鎖されていてもよい。この場合、外部に対する内室の密閉が達成可能であることは、有利である。この場合、好ましくは、箔体は管状、例えば円形又は非円形の横断面を有する管状に形成されている。
【0045】
この場合、択一的又は付加的に、箔体は、近位の領域において一回路基板、特に既に言及した回路基板及び/又は金属箔により閉鎖されていてもよい。この場合、内室が近位の領域において簡単な手段により密閉可能であることは、有利である。この場合、好ましくは、箔体は管状に形成されている。この場合、金属箔は、注型材料によってか、又は別の方法で閉鎖可能な既に言及した引出し開口を有していてもよい。
【0046】
本発明の一態様において、少なくとも1つの支持構造は、少なくとも1つの結像光学系のための受口を有していてもよい。この場合、少なくとも1つの結像光学系が、少なくとも1つの支持構造内に簡単に保持可能であることは、有利である。さらにこの場合、少なくとも1つの結像光学系と金属箔との間の密な結合が達成可能であることは、有利である。
【0047】
外部に対する内室の密閉を達成するために、少なくとも1つの支持構造は、シールのために少なくとも1つの結像光学系に密に結合されていてもよい。シールは、例えば素材結合により達成可能である。
【0048】
少なくとも1つの支持構造が、少なくとも1つの撮像センサとともに、内視鏡先端内に挿入可能な光電子式の構成群内に組み込まれていると、製造技術的に特に有利である。好ましくは、光電子式の構成群は、ユニットとして内視鏡先端内に挿入可能である。光電子式の構成群が、金属箔から形成される一箔体、特に既に言及した箔体内に挿入可能であると、特に有利である。この場合、光電子式の構成群が前組立可能であり、金属箔が光電子式の構成群の敏感なコンポーネントとは別に製造可能であることは、有利である。これにより、光電子式の構成群を形成するために、少なくとも1つの撮像センサは、少なくとも1つの支持構造に結合されていてもよい。好ましくは、光電子式の構成群は、付加的に、少なくとも1つの、特に既に言及した回路基板を含んでいる。
【0049】
以下、本発明について複数の実施の形態を参照しながら詳説するが、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではない。その他の実施の形態は、単独又は複数の請求項に記載の構成の相互の組み合わせ及び/又は実施の形態の単独又は複数の構成との組み合わせから生じる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】本発明に係る内視鏡の概略断面図である。
図2図1に示した本発明に係る内視鏡の一部概略分解立体図である。
図3】本発明に係る内視鏡の巻成された線材からなる箔体を示す図である。
図4】本発明に係る内視鏡の網状に組まれた線材からなる別の箔体を示す図である。
図5】本発明に係る内視鏡用の折られた箔体を製造するための基体を示す図である。
図6図5に示した基体から折られた箔体を示す図である。
図7】本発明に係る内視鏡の深絞り加工により製造された箔体を示す図である。
図8】本発明に係る内視鏡の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下、機能的かつ/又は構造的に同一又は類似の構成部材には、全図において同一の符号を付し、これを使用する。それゆえ、それぞれの説明は、その他の図面においても相応に当てはまる。
【0052】
図1及び図2は、全体として符号1を付した内視鏡のそれぞれ異なる図であり、以下にまとめて説明する。
【0053】
遠位の端部2には、内視鏡先端3が形成されている。内視鏡先端3内には、内視鏡1の結像光学系4が配置されている。
【0054】
結像光学系4の後には、撮像センサ5が配置されている。
【0055】
結像光学系4は、支持構造6内に配置され、保持されている。
【0056】
別の実施の形態において、結像光学系4は、立体視用に設けられ、複数の結像光学系を有していてもよい。これらの結像光学系4は、1つの共通の支持構造6に配置されていても、互いに別体に形成された複数の支持構造に配置されていてもよい。立体視のために2つの撮像センサ5が使用されても、両系統用に1つの共通の撮像センサが形成されていてもよい。
【0057】
この場合、支持構造6は、管状に、例えば円形の旋削部材又は非円形の成形部材として形成されていてもよい。支持構造6は、金属材料から製造されている。
【0058】
内視鏡先端3内には、金属箔7が形成されている。
【0059】
金属箔7は、支持構造6に密に結合されており、内室8をカプセル状に囲繞して外部に対して密閉している。
【0060】
この内室8内に撮像センサ5が配置されているため、撮像センサ5は、金属箔7によりカプセル状に被包される。
【0061】
内視鏡先端3は、外側に内視鏡管9を有している。
【0062】
内視鏡管9は、内視鏡1の軸線又は延在方向に関して半径方向で金属箔7を囲繞している。
【0063】
これにより、金属箔7と内視鏡管9との間には、収容室10が形成されている。
【0064】
別の実施の形態では、図1に示した結像光学系4が2つ、それぞれ1つの金属箔7によりカプセル状に被包されて並置され、立体視のために設けられていてもよい。これらの結像光学系4は、互いに別体に形成された複数の支持構造に配置されていてもよい。この場合、結像光学系には、それぞれ1つの撮像センサが割り当てられている。
【0065】
図1に示した収容室10内には、内視鏡1のその他の機能要素も配置されている。
【0066】
例えば図1は、収容室10内に照明光学系11が配置されていることを示している。照明光学系11により、検査対象としての中空の空間を照らすことが可能である。照明光学系11は、繊維光学系として形成されていてもよい。
【0067】
この照明光学系11は、公知の形式で、図示しない光源、例えばLEDに接続されている。
【0068】
別の実施の形態では、照明光学系11の代わりに又は照明光学系11に加えて、例えば伝送線路、LED及び/又は制御電子装置を有する照明用の電子装置が収容室内に配置されている。
【0069】
図1に示した概略断面図は、正確な縮尺で示したものではないため、念のため言及しておくと、金属箔7の材料厚さは、本実施の形態では、30μm〜50μmに選択されている。
【0070】
図2は、内視鏡管9及び照明光学系11を取り外した状態を示している。
【0071】
図3は、使用可能な金属箔7の一変化態様を示している。
【0072】
図3に示した金属箔7の一部拡大図から看取可能であるように、金属箔7は、巻成された線材12から製造されている。線材12を巻成することで、線材12のそれぞれの巻線間には、線材間隙13が生じる。これらの線材間隙13は、金属箔7を形成するために素材結合を介してろう材料により閉鎖されている。
【0073】
換言すると、金属箔7は、一定の材料厚さを有しているわけではなく、材料厚さは、線材12と線材間隙13との間で変化する。
【0074】
図4は、使用可能な金属箔7の別の実施の形態を示している。この場合、金属箔7は、互いに交差するように延びる三巻の線材12,14,15から形成されている。
【0075】
線材12,14,15は、互いに編成されるように案内されていてもよいが、図4では、図示を簡略化するために、それ以上の詳細は示していない。
【0076】
いずれにせよ、線材12,14,15は、それぞれの線材間に線材間隙13を形成する。これらの線材間隙13は、ろう材料により素材結合を介して閉鎖されている。
【0077】
これにより、図4に示した金属箔7も、一定の材料厚さを有しておらず、延在方向で変化する材料厚さを有している。
【0078】
図3及び図4に示した金属箔7は、例えば図1及び図2に示した内視鏡1において使用可能である。
【0079】
別の実施の形態において、金属箔7は、収縮箔として形成されており、支持構造6上に被嵌され、収縮されている。
【0080】
別の実施の形態において、金属箔7は、電鋳、電気めっき、スパッタリング、蒸着及び/又は吹付け等のコーティングプロセスで製造されている。この場合、コーティングプロセスの終了後、金属箔7は、支持構造6上に引き被される。
【0081】
金属箔7は、撮像センサ5からの熱放出を助けるために、銅又は銅合金から製造されている。
【0082】
撮像センサ5は、セラミック製の回路基板16上に配置され、固定されている。
【0083】
回路基板16は、付加的に、撮像センサ5の接続及び/又は撮像センサ5の出力信号の処理のための自体公知の電子回路17(図示せず)を担持している。
【0084】
回路基板16は、周囲を取り巻く縁部18を有している。縁部18は、自体公知の形式で金属被覆されている。
【0085】
この金属被覆された縁部18は、素材結合を介して、例えばろう接により、金属箔7に結合されている。
【0086】
金属箔7内には、引出し開口19が形成されている。撮像センサ5の伝送線路20は、引出し開口19を挿通されている。
【0087】
引出し開口19は、エポキシ樹脂でモールドされ、こうして密閉されている。
【0088】
図2には、金属箔7が自立型の箔体21を形成していることが看取可能である。
【0089】
この箔体21は、独立して内視鏡先端3に挿入可能である。
【0090】
図7は、この種の箔体21を示している。この箔体21は、深絞り加工部材又は管引抜き加工部材として形成されている。
【0091】
別の実施の形態において、箔体21は、コーティング法で製造されている。コーティングは、内室8を規定するサンプル体上に被着される。この場合、コーティングと上述のサンプル体との間には、分離層が被着されるので、製造された金属箔7は、箔体21として上述のサンプル体から取り外される。
【0092】
図5は、金属箔7からなるフラットな基体22を示している。これにより、基体22はブランクである。このブランクは、折ったり、曲げたりすることができる。
【0093】
基体22を折れば、図6に示した箔体21が生じる。
【0094】
この場合、それぞれの互いに対応し合う結合縁部23は、素材結合を介して互いに結合、例えばろう接により互いに結合される。
【0095】
この場合、それぞれの結合縁部23は、部分的にオーバラップしていてもよく、その結果、面接触が生じる。
【0096】
図2乃至図7は、非円形の四角形の横断面を有する箔体21を示している。
【0097】
さらに図8は、別の実施の形態で実現されているそれぞれ異なる横断面形状を示している。
【0098】
図8は、左から右、上から下の順に個々に説明すると、円形、楕円形、四角形、六角形、二面において扁平化された形状、三角形、角に丸みが付けられた三角形、眼鏡状及び滴状の横断面を示している。図示の横断面形状は、使用事例に応じて種々異なる横断面形状が使用可能であることを示す例である。例えば、それぞれ形成された収容室10を複数の部分室に分割するかつ/又は収容室10の所定の横断面を提供するために、別の横断面形状も使用可能である。
【0099】
箔体21は、図示の実施の形態では管状に形成されており、遠位の領域24及び近位の領域25を有している。
【0100】
この場合、遠位の領域24は、結像光学系4により閉鎖されている一方、近位の領域25は、回路基板16及び/又は金属箔7により閉鎖されている。
【0101】
さらに図1には、撮像センサ5が結像光学系4のガラス体26に結合されていることが看取可能である。
【0102】
これにより、図2に看取可能であるように、内視鏡先端3内に組み付ける前に既に1つのユニットを形成する光電子式の構成群27が生じる。
【0103】
箔体21は、光電子式の構成群27上に引き被せ可能又は差し合わせ可能である。
【0104】
次に、光電子式の構成群27は、被せ嵌められた箔体21とともに内視鏡先端3内に挿入可能である。
【0105】
支持構造6には、カバーガラス28が、受口29において素材結合を介してかつ密に結合されている。これにより、外部に対する内室8の密閉が生じる。
【0106】
内視鏡1において、内視鏡1の遠位の端部2における内視鏡先端3内に結像光学系4及び撮像センサ5を、金属箔7により規定される内室8内に配置することが提案される。
【符号の説明】
【0107】
1 内視鏡、 2 遠位の端部、 3 内視鏡先端、 4 結像光学系、 5 撮像センサ、 6 支持構造、 7 金属箔、 8 内室、 9 内視鏡管、 10 収容室、 11 照明光学系、 12 線材、 13 線材間隙、 14 線材、 15 線材、 16 回路基板、 17 電子回路、 18 縁部、 19 引出し開口、 20 伝送線路、 21 箔体、 22 基体、 23 結合縁部、 24 遠位の領域、 25 近位の領域、 26 ガラス体、 27 光電子式の構成群、 28 カバーガラス、 29 受口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8