(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6388834
(24)【登録日】2018年8月24日
(45)【発行日】2018年9月12日
(54)【発明の名称】斜壁用簡易梯子
(51)【国際特許分類】
E06C 1/397 20060101AFI20180903BHJP
E04G 21/32 20060101ALI20180903BHJP
E04D 15/00 20060101ALI20180903BHJP
E04G 3/28 20060101ALI20180903BHJP
E06C 7/48 20060101ALI20180903BHJP
【FI】
E06C1/397
E04G21/32 A
E04D15/00 V
E04G3/28 302A
E06C7/48
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-7563(P2015-7563)
(22)【出願日】2015年1月19日
(65)【公開番号】特開2016-132903(P2016-132903A)
(43)【公開日】2016年7月25日
【審査請求日】2017年8月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000166432
【氏名又は名称】戸田建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】特許業務法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河村 佳和
(72)【発明者】
【氏名】吉田 建司
【審査官】
五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−331372(JP,A)
【文献】
特開2006−348579(JP,A)
【文献】
実開昭47−037146(JP,U)
【文献】
特開2001−132369(JP,A)
【文献】
特開平11−256968(JP,A)
【文献】
米国特許第04179011(US,A)
【文献】
米国特許第04458783(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06C 1/00−9/14
E04D 15/00
E04G 3/28
E04G 21/32
E06C 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
並設される梯子と、
梯子を平行に適宜間隔を置いて並べて少なくとも上下の位置で互いに連結固定する梯子連結部材と、
前記並設される梯子の上端部で連結されると共に、建物の屋上のパラペットに係止される梯子支持部材と、
前記梯子連結部材と前記梯子支持部材とに、建物の斜壁に沿って横方向に移動可能にすべく設けられたキャスターとからなること、
を特徴とする斜壁用簡易梯子。
【請求項2】
梯子支持部材と該梯子支持部材と対向した位置にある建物のパラペットとを連結して、梯子の落下を防止するために設けられたワイヤーロープとからなること、
を特徴とする請求項1に記載の斜壁用簡易梯子。
【請求項3】
並設される梯子の下端部に立設され、梯子からの落下を防止する落下防止手段とからなること、
を特徴とする請求項1または2に記載の斜壁用簡易梯子。
【請求項4】
並設される梯子の下部であって斜壁の無い部分の下側空間に設けられ、落下を防止する養生ネットとからなること、
を特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の斜壁用簡易梯子。
【請求項5】
並設された梯子と梯子支持部材との連結部分において、当該梯子が前記梯子支持部材に対して斜壁に沿って回転可能にすべく設けられた回転手段とからなること、
を特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の斜壁用簡易梯子。
【請求項6】
梯子支持部材から立設され、梯子に対して移動する作業員が手で掴むことで該作業員の支えとなる支持棒とからなること、
を特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の斜壁用簡易梯子。
【請求項7】
並設される梯子の側面に配設される電源用線とコンセントとから構成される電源供給手段とからなること、
を特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の斜壁用簡易梯子。
【請求項8】
並設される梯子の下部側の梯子連結部材に取り付けられるキャスターは、支持軸周りに回転自在であり、梯子支持部材に取り付けられるキャスターは、支持軸周りに回転しないように固定されていること、
を特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の斜壁用簡易梯子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の壁を補修する際に、壁が斜めになっていて、その建物の周囲にわざわざ足場を組む程の補修範囲でも無い場合に、簡易に斜壁に設置して足場として使用できる斜壁用簡易梯子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の最上階に斜壁の躯体があるような既存建物の壁面の補修工事等は、前記斜壁部分まで下から足場を架設するのが一般的である。また、足場として梯子を使用したものに関する先行技術文献は、下記の特許文献1を参照のこと。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−105458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記壁面の斜め部分まで高さがある建物の場合に、その建物の周囲に足場を組立したのでは、該足場の資材費や組立工事費等にコストが嵩むことになる。他に、屋上から長柄ローラー等を使用すれば、表面塗装程度はできるが、補修工事としては不十分である。また、場合によっては、斜め壁上部から猿回しの要領で人が降りながら補修することもあるが、かなり危険な高所作業となって、作業用道具や材料等の落下のおそれもある。
本発明に係る斜壁用簡易梯子は、このような課題を解決するために提案されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る斜壁用簡易梯子の上記課題を解決して目的を達成するための要旨は、並設される梯子と、梯子を平行に適宜間隔を置いて並べて少なくとも上下の位置で互いに連結固定する梯子連結部材と、前記並設される梯子の上端部で連結されると共に、建物の屋上のパラペットに係止される梯子支持部材と、前記梯子連結部材と前記梯子支持部材とに、建物の斜壁に沿って横方向に移動可能にすべく設けられたキャスターとからなるものである。
【0006】
前記梯子支持部材と該梯子支持部材と対向した位置にある建物のパラペットとを連結して、梯子の落下を防止するために設けられたワイヤーロープとからなることである。
【0007】
また、前記並設される梯子の下端部に立設され、梯子からの落下を防止する落下防止手段とからなることである。
【0008】
前記並設される梯子の下部であって斜壁の無い部分の下側空間に設けられ、落下を防止する養生ネットとからなることである。
【0009】
前記並設された梯子と梯子支持部材との連結部分において、当該梯子が前記梯子支持部材に対して斜壁に沿って回転可能にすべく設けられた回転手段とからなること、
【0010】
前記梯子支持部材から立設され、梯子に対して移動する作業員が手で掴むことで該作業員の支えとなる支持棒とからなることである。
【0011】
前記並設される梯子の側面に配設される電源用線とコンセントとから構成される電源供給手段とからなることである。
【0012】
前記並設される梯子の下部側の梯子連結部材に取り付けられるキャスターは、支持軸周りに回転自在であり、梯子支持部材に取り付けられるキャスターは、支持軸周りに回転しないように固定されていることを含むものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の斜壁用簡易梯子によれば、組立・解体が容易な足場となり、また、キャスター付きなので横移動が容易な足場となる。また、仮設足場の材料費及びその組立解体費用を大幅に低減することができる。
【0014】
梯子支持部材に対する梯子の斜めの角度を調節できるようにしたので、角度の異なる斜壁にも柔軟に対応できるようになる。また、梯子の下部に、落下防止手段や養生ネットを設けることで、高所からの人や物の落下を防止できて、高所作業の安全性が向上する。
【0015】
更に、梯子支持部材に支持棒を立設することで、梯子に対して出入りする作業員がこれに掴まることで、該作業員が安全に出入りできるようになり、作業員の不安が取り除かれて、高所作業の安全性が向上する。
【0016】
梯子に電源供給手段を設けることで、電動工具・機器等を使用する際の利便性が向上する。更に、梯子の下部側のキャスターを回転自在にして、梯子支持部材側のキャスターを軸周りに回転しないで固定することで、梯子の横移動がスムーズに行われるものであるという優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る斜壁用簡易梯子の使用状態の側面図と平面図である。
【
図2】同本発明の斜壁用簡易梯子の他の実施例に係る側面図と平面図である。
【
図3-A】同斜壁用簡易梯子の他の実施例における、梯子側の一部拡大斜視図である。
【
図3-B】同斜壁用簡易梯子の他の実施例における、梯子支持部材側の一部拡大斜視図である。
【
図3-C】同斜壁用簡易梯子の他の実施例における、梯子と梯子支持部材とを組立てた状態の一部拡大斜視図である。
【
図4】同斜壁用簡易梯子の更に他の実施例に係る一部拡大斜視図である。
【
図5】同斜壁用簡易梯子の、屋上の斜め上から見た使用状態斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係る斜壁用簡易梯子1は、
図1に示すように、建物の屋上のパラペットに引っ掛ける様にした梯子支持部材と、その梯子支持部材に連結され並設された連結梯子とからなるものである。
【実施例1】
【0019】
前記斜壁用簡易梯子1は、
図1に示すように、例えば市販のアルミニウム製で並設された梯子1a,1bと、該梯子1a,1bを平行に適宜間隔を置いて並べて、少なくとも上下の位置で互いに連結固定する軽量鉄骨部材でなる梯子連結部材2a,2bと、前記並設された梯子1a,1bの上端部で連結されると共に、建物5の屋上のパラペット(胸壁)3に係止されるもので、軽量鉄骨部材でなる梯子支持部材4と、前記梯子連結部材2a,2bと前記梯子支持部材4とに、建物5の斜壁6に沿って横方向に移動可能にすべく設けられた転動自在なキャスター7,7aとからなる。
【0020】
図1において、前記並設される梯子1a,1bの下部側の梯子連結部材2bに取り付けられるキャスター7aは、該キャスターの支持軸周りに回転自在であり、梯子支持部材4に取り付けられるキャスター7,7は、該キャスター7の支持軸周りに回転しないように固定されているものである。
【0021】
また、
図2に示すように、前記梯子支持部材4と、該梯子支持部材4と対向した位置にある建物のパラペット3aとを連結して、梯子1a,1bの落下を防止するために設けられた例えば鋼線製のワイヤーロープ8が設けられている。
【0022】
前記ワイヤーロープ8は、その一端部が梯子支持部材4の脚部4aに巻き付けて繋着され、他端部がアンカー9を介してパラペット3aに繋着されている。斜壁用簡易梯子1は、パラペット3に沿って移動するので、前記アンカー9の箇所も、適宜に、パラペット3aに沿って複数箇所に設けられるものである。このワイヤーロープ8によって、斜壁用簡易梯子1による高所作業の安全性が、確実に保持される。
【実施例2】
【0023】
更に、
図2に示すように、他の安全性を確保する手段として、例えば、並設される梯子1a,1bの下端部に立設され、梯子1a,1bからの落下を防止する落下防止手段10が設けられる。この落下防止手段10は、例えば、鋼製の筐体でなる防護枠などである。
【0024】
他の落下防止手段11として、
図2に示すように、並設される梯子1a,1bの下部であって斜壁6の無い部分の下側空間に設けられ、落下を防止する養生ネット11を設けるものである。このような落下防止手段10,11により、高所から作業員や物が落下するのを防止できるものである。
【実施例3】
【0025】
斜壁用簡易梯子1の他の実施例として、建物5の斜壁6の角度が異なる場合があることに対応できるように、
図3−A乃至
図3−Cに示すように、並設された梯子1a,1bと梯子支持部材4との連結部分において、当該梯子1a,1bが前記梯子支持部材4に対して、斜壁6に沿って回転可能にすべく設けられた回転手段12がある。
【0026】
前記回転手段12は、
図3−Aに示すように、例えば、梯子1bの側壁に金属製の回転板12aが、複数箇所の固定孔12dに挿着するボルト・ナットにより固定される。該回転板12aには、回転案内溝12bが円弧状で板に貫通して穿設されている。また、梯子支持部材4にボルトで固定するための貫通させた固定孔12cが穿設されている。
【0027】
図3−Bに示すように、梯子支持部材4側には、ボルトを挿通させるための、係止孔4bと角度の位置決めをするための位置決め孔4cとが穿設されている。前記回転板12と梯子支持部材4とを、
図3−Cに示すように、ボルト・ナット(図示せず)により、仮止めし位置決めした後、締結して位置固定するものである。前記回転案内溝12bにより、斜壁6の梯子支持部材4に対する任意の角度θに合わせて、梯子1a,1bを設置できるものである。
【実施例4】
【0028】
図4に示すように、梯子支持部材4から立設され、梯子1a,1bに対して移動する作業員が手で掴むことで、該作業員の姿勢の支えとなる金属製、プラスチック製、木製の支持棒13が設けられている。該支持棒13を手で掴んで作業員が梯子1a,1bに出入りすれば、作業員の体が安定して、作業員の移動中における安全性が確保されるものである。
【実施例5】
【0029】
また、
図4に示すように、並設される梯子1a,1bの側面に配設される、電源用線14aとコンセント14bとから構成される電源供給手段14がある。この電源供給手段14により、梯子1a,1b上で各種の電気工具・器具(ブロアー、ドリル、釘・鋲打ち機、塗布機など)を使用の際に、作業員の手元で直ちに電気的接続ができて、作業能率が向上するものである。
【0030】
以上のように、
図5乃至
図6に示す本発明に係る斜壁用簡易梯子1を使用することで、任意の角度の斜壁6において、梯子1a,1bが簡易に組み立てられて足場を確保することができる。キャスター7,7aによって、斜壁6の上を横移動する事が可能であり、連続して次の作業に取りかかることができる。
【0031】
また、斜壁用簡易梯子1は、
図6に示すように、市販のアルミニウム製梯子1a,1bを活用して、軽量鉄骨部材で梯子連結部材2a,2b、梯子支持部材4を製作するので、建物5の屋上で短時間で容易に組み立てられる。更に、該斜壁用簡易梯子1を解体してコンパクトにまとめて収納し、屋上に置いておくことができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明に係る斜壁用簡易梯子1によれば、建物の屋上において簡易な足場が組み立てられ、斜壁に設置することができるので、多様な斜壁に適用することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 斜壁用簡易梯子、
1a,1b 梯子、
2a,2b 梯子連結部材、
3,3a パラペット(胸壁)、
4 梯子支持部材、 4a 脚部、
4b 係止孔、 4c 位置決め孔、
5 建物、
6 斜壁、
7,7a キャスター、
8 ワイヤーロープ、
9 アンカー、
10 落下防止手段(筐体)、
11 落下防止手段(養生ネット)、
12 回転手段、 12a 回転板、
12b 回転案内溝、 12c 係止孔、
12d 固定孔、
13 支持棒、
14 電源供給手段、
14a 電源用線、 14b コンセント。