(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6388889
(24)【登録日】2018年8月24日
(45)【発行日】2018年9月12日
(54)【発明の名称】ポリアミド66とポリアミド610、ポリアミド1010およびポリアミド1012からなる群から選ばれるポリアミドとを含む組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 77/06 20060101AFI20180903BHJP
【FI】
C08L77/06
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-72300(P2016-72300)
(22)【出願日】2016年3月31日
(62)【分割の表示】特願2014-531217(P2014-531217)の分割
【原出願日】2012年9月20日
(65)【公開番号】特開2016-164268(P2016-164268A)
(43)【公開日】2016年9月8日
【審査請求日】2016年4月27日
【審判番号】不服2017-11734(P2017-11734/J1)
【審判請求日】2017年8月4日
(31)【優先権主張番号】1158396
(32)【優先日】2011年9月21日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】508079739
【氏名又は名称】ローディア オペレーションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ユ, ヨンチュル
(72)【発明者】
【氏名】ジュン, ジンキュン
【合議体】
【審判長】
岡崎 美穂
【審判官】
加藤 友也
【審判官】
大島 祥吾
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−219106(JP,A)
【文献】
特開平10−316849(JP,A)
【文献】
特開昭60−88067(JP,A)
【文献】
特開昭60−13845(JP,A)
【文献】
特開2009−215514(JP,A)
【文献】
特開2008−38099(JP,A)
【文献】
特開2008−231406(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L77/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも:
(a)末端アミン基の量が末端酸基の量よりも大きい、組成物の総重量に対して20重量%〜60重量%のポリアミド66と;
(b)ポリアミド610、ポリアミド1010およびポリアミド1012からなる群から選択される、組成物の総重量に対して31重量%〜70重量%のポリアミドと;
(c)補強材または増量剤と
をブレンドすることによって得られる組成物であって、
前記ポリアミド66が50meq/kg以上の末端アミン基の量を有し、銅化合物が添加されていない、組成物。
【請求項2】
前記ポリアミド66中の末端アミン基および末端酸基の量の間の差が5meq/kg以上であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が繊維充填材および/または非繊維充填材を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物が、前記組成物の総重量に対して、1重量%〜60重量%の補強材または増量剤を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
少なくとも:
(a)末端アミン基の量が末端酸基の量よりも大きい、組成物の総重量に対して20重量%〜60重量%のポリアミド66と;
(b)ポリアミド610、ポリアミド1010およびポリアミド1012からなる群から選択される、組成物の総重量に対して31重量%〜70重量%のポリアミドと;
(c)補強材または増量剤と
をブレンドする工程を含む、組成物の製造方法であって、
前記ポリアミド66が50meq/kg以上の末端アミン基の量を有し、組成物に銅化合物が添加されていない、製造方法。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の少なくとも1つの組成物を用いる、プラスチック物品の製造方法。
【請求項7】
高められた耐化学薬品性を示す物品を製造するための、少なくとも:
(a)末端アミン基の量が末端酸基の量よりも大きい、組成物の総重量に対して20重量%〜60重量%のポリアミド66と;
(b)ポリアミド610、ポリアミド1010およびポリアミド1012からなる群から選択される、組成物の総重量に対して31重量%〜70重量%のポリアミドと;
(c)補強材または増量剤と
をブレンドすることによって得られる組成物の使用であって、
前記ポリアミド66が50meq/kg以上の末端アミン基の量を有し、組成物に銅化合物が添加されていない、使用。
【請求項8】
組成物から得られる物品の耐化学薬品性を増加させるための、少なくとも:
(a)末端アミン基の量が末端酸基の量よりも大きい、組成物の総重量に対して20重量%〜60重量%のポリアミド66と;
(b)ポリアミド610、ポリアミド1010およびポリアミド1012からなる群から選択される、組成物の総重量に対して31重量%〜70重量%のポリアミドと;
(c)補強材または増量剤と
をブレンドすることによって得られる組成物の使用であって、
前記ポリアミド66が50meq/kg以上の末端アミン基の量を有し、組成物に銅化合物が添加されていない、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくともポリアミド66とポリアミド610、ポリアミド1010およびポリアミド1012からなる群から選択されるポリアミドと;任意選択的に充填剤および/または添加剤とを含む組成物に関する。この種の組成物は、特に塩化物におよび冷却液に対して、有効な耐化学薬品性を示す。
【背景技術】
【0002】
射出成形、ガス射出成形、押出、および押出ブロー成形などの技術によって造形することを対象としたポリアミド材料についての統制力を発揮することを多くの場合望まれる特性としては、剛性、耐衝撃性、とりわけ比較的高い温度での、寸法安定性、造形後の低い収縮、様々な方法によって塗装される能力、外観、および密度が挙げられる。ある限度内で、これらの特性は、ポリアミドの選択によって、または充填剤および/または添加剤などの、様々な種類の化合物のポリアミドへの添加によってコントロールすることができる。この後者の場合には、システムはポリマー組成物と言われる。所与の用途向けの材料の選択は、ある種の特性の観点から必要とされる性能のレベルによって、およびそのコストによって一般に導かれる。性能および/またはコストの観点から仕様を満たす能力を有する新規材料が常に探し求められている。ポリアミドは、たとえば、特に自動車工業部門において、広く使用されている材料である。
【0003】
ポリアミドは、耐化学薬品性を有する、高温で安定である、かつ、それらの特性を変性するために他のタイプのポリマーとブレンドされてもよいポリマーである。しかし、ポリアミド66などの、ある種のポリアミドは、たとえば、ポリアミド物品と接触するハロゲン化物溶液、あるいは冷却液中にあるときに応力亀裂に対する高い耐性などの、外的条件の化学的攻撃に対する効果的な耐性を示さない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特に十分な耐衝撃性との、機械的特性の良好な、修正されたバランスを特徴づけながら化学製品に対するより良好な耐性を示すポリアミド66をベースとする材料が望まれている。
【0005】
本出願人は、末端アミン基のバランスがシフトしたポリアミド66とポリアミド610とのブレンドが前述の欠点が改善されることを可能にすることを実証している。この種の調合物は、ポリアミド物品と接触するZnCl
2などの金属ハロゲン化物溶液に対するおよびCaCl
2などのアルカリ土類金属ハロゲン化物溶液、あるいは冷却液に対する耐化学薬品性を有することを、特に、可能にする。
【0006】
CaCl
2は、特に、冷蔵装置に、極寒気候における道路凍結防止のために、またはセメントに使用されている。冷却液は多くの場合、沸騰温度の上昇および/または流体の耐霜性の増加を可能にする、エチレングリコールまたはプロピレングリコールなどの添加物入りの水からなる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明はしたがって、少なくとも:
(a)末端アミン基の量が末端酸基の量よりも大きい、ポリアミド66と;
(b)ポリアミド610、ポリアミド1010およびポリアミド1012からなる群から選択されるポリアミドと;
(c)補強剤または増量剤と
をブレンドすることによって得られる組成物を第一に提供する。
【0008】
本発明はまた、少なくとも:
(a)末端アミン基の量が末端酸基の量よりも大きい、ポリアミド66と;
(b)ポリアミド610、ポリアミド1010およびポリアミド1012からなる群から選択されるポリアミドと;
(c)補強剤または増量剤と
をブレンドする工程を含む、組成物の製造方法に関する。
【0009】
本発明は同様に、高められた耐化学薬品性を示す物品を製造するための、少なくとも:
(a)末端アミン基の量が末端酸基の量よりも大きい、ポリアミド66と;
(b)ポリアミド610、ポリアミド1010およびポリアミド1012からなる群から選択されるポリアミドと;
(c)補強剤または増量剤と
をブレンドすることによって得られる組成物の使用に関する。
【0010】
本発明は同様に、前記組成物から得られる物品の耐化学薬品性を増加させるための、少なくとも:
(a)末端アミン基の量が末端酸基の量よりも大きい、ポリアミド66と;
(b)ポリアミド610、ポリアミド1010およびポリアミド1012からなる群から選択されるポリアミドと;
(c)補強剤または増量剤と
をブレンドすることによって得られる組成物の使用に関する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ポリアミ66、610、1010および1012は、文献に、特にM.I.KohanによるNylon Plastics Handbook;Hanser、1995年に包括的に記載されている。ポリアミド66は、具体的には、少なくとも80質量%のヘキサメチレンアジパミド単位を含むポリアミドを意味すると理解される。ポリアミド610は、具体的には、少なくとも80質量%のヘキサメチレンセバカミド単位を含むポリアミドを意味すると理解される。ポリアミド1010は、具体的には、少なくとも80質量%のデカメチレンセバカミド単位を含むポリアミドを意味すると理解される。ポリアミド1012は、具体的には、少なくとも80質量%のデカメチレンドデカミド単位を含むポリアミドを意味すると理解される。これらのポリアミドはそれ故同じようにうまく(コ)ポリアミドであり得る。ポリアミド66および610は、特に押出によって、一般にホットブレンドされる。
【0012】
ポリアミド66については、末端アミン基の量は、好ましくは50meq/kg以上、より好ましくは70meq/kg以上である。末端アミン基および末端酸基の量の間の差は、好ましくは5meq/kg以上、より好ましくは10meq/kg、特に40meq/kg以上である。
【0013】
末端アミン基および/または末端酸基の量は、ポリアミドの溶解後の電位差分析によって測定される。一方法は、たとえば、「Encyclopedia of Industrial Chemical Analysis」、第17巻、293ページ、1973年に記載されている。末端アミン基(TAG)および/または末端酸基(TCG)の量は、たとえば、トリフルオロエタノールへの、ポリアミドの完全溶解、および過剰の強塩基の添加後の電位差分析によって測定されてもよい。塩基性化学種は次に、強酸の水溶液で滴定される。連鎖移動剤の量は、連鎖移動剤のモル添加量と生成したポリマーの質量との間の比によって計算される。連鎖移動剤の量はまた、ポリアミドの加水分解、引き続く液体クロマトグラフィーによる分析によって測定されてもよい。
【0014】
不均衡化、アミン含有ポリアミド66は、たとえば、重合中の、ジアミンおよび二酸化合物の化学量論的な不均衡への依存、あるいは押出中の、最終不均衡化、アミンポリアミド66を生成する化合物の添加によるなどの、当業者に公知の様々な方法で得ることができる。
【0015】
本組成物は、組成物の総重量に対して、20重量%〜70重量%の、ポリアミド610、ポリアミド1010およびポリアミド1012からなる群から選択されるポリアミドを好ましくは含む。本組成物は、ポリアミド66のならびにポリアミド610、ポリアミド1010およびポリアミド1012からなる群から選択されるポリアミドの総重量に対して、好ましくは40重量%〜80重量%の、ポリアミド610、ポリアミド1010およびポリアミド1012からなる群から選択されるポリアミドを含む。
【0016】
本組成物は、組成物の総重量に対して、好ましくは15〜60重量%のポリアミド66を含む。
【0017】
本発明による組成物は、増強剤または増量剤をさらに含んでもよい。これらの充填剤は、たとえば、繊維充填剤および/または非繊維充填剤であってもよい。
【0018】
繊維充填剤として、ガラス繊維、炭素繊維、天然繊維、アラミド繊維、およびナノチューブ、とりわけカーボンナノチューブが挙げられてもよい。天然繊維として、大麻および亜麻が挙げられてもよい。非繊維充填剤のなかで、アルミナ、カーボンブラック、アルミノシリケート粘土、モンモリロナイト、リン酸ジルコニウム、カオリン、炭酸カルシウム、珪藻土、黒鉛、雲母、シリカ、二酸化チタン、ゼオライト、タルク、ウォラストナイト、たとえば、ジメタクリレート粒子などの、ポリマー充填剤、カラスビーズまたはガラス粉末などの、すべての粒子状物質もしくは薄板状充填剤および/または剥離性もしくは非剥離性ナノフィラーが特に挙げられてもよい。
【0019】
本組成物が幾つかのタイプの補強剤を含むことが本発明によれば完全に可能である。好ましくは、最も広く使用される充填剤は、特に7〜14μmの直径を有する、「チョップト」型の、ガラス繊維であり得る。これらの充填剤は、繊維とポリアミドマトリックスとの間の機械的接着を確実にする、表面サイズを有してもよい。
【0020】
増強剤または増量剤の重量による濃度は有利には、本組成物の総重量に対して、1重量%〜60重量%、好ましくは15重量%〜50重量%である。
【0021】
本組成物はまた、ポリアミド組成物の製造のために通常使用される添加剤を含んでもよい。したがって、滑剤、難燃剤、可塑剤、核剤、耐衝撃性改良剤、触媒、光および/または熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、着色剤、艶消剤、成形助剤または他の通常の添加剤が挙げられてもよい。
【0022】
特に、衝撃強度を修正する試剤をポリアミド組成物に添加することが可能である。それは一般に、この目的のために使用することができるエラストマーポリマーである。靱性を修正する試剤は、おおよそ500MPa未満のASTM D−638引張弾性率を有すると一般に定義される。好適なエラストマーの例は、エチレン/アクリルエステル/無水マレイン酸製品、エチレン/プロピレン/無水マレイン酸製品または任意選択的にグラフト化無水マレイン酸ありのエチレン/プロピレン/ジエンモノマー製品(EPDM)である。
【0023】
ポリアミドと反応する官能基を含む耐衝撃性改良剤がとりわけ好ましい。たとえば、エチレンと、アクリルエステルとグリシジルメタクリレートとのターポリマー、エチレンとアクリル酸ブチルエステルとのコポリマー、エチレンと、n−ブチルアクリレートとグリシジルメタクリレートとのコポリマー、エチレンと無水マレイン酸とのコポリマー、無水マレイン酸でグラフトされたスチレン/マレイミドコポリマー、無水マレイン酸で変性されたスチレン/エチレン/ブチレン/スチレンコポリマー、無水マレイン酸でグラフトされたスチレン/アクリロニトリルコポリマー、無水マレイン酸でグラフトされたアクリロニトリル/ブタジエン/スチレンコポリマー、およびそれらの水素化型が挙げられてよい。全組成物中のこれらの試剤の重量割合は、特に0.1%〜40%、好ましくは5%〜20%である。
【0024】
これらの充填剤および添加剤は、たとえば、重合中にまたは溶融ブレンディングにおいてなどの、各充填剤または添加剤に適切な通常の手段によってポリアミド組成物に添加されてもよい。
【0025】
熱可塑性組成物は、組成物の一部を形成する様々な化合物を混合することによって一般に得られ、熱可塑性化合物は溶融形態にある。本方法は、様々な化合物の性質に従って、多かれ少なかれ高温でおよび多かれ少なかれ高い剪断力で行われる。化合物は、同時にかまたは引き続いて導入することができる。一般的に言えば、原材料が加熱され、剪断力にさらされ、そして搬送される押出装置が用いられる。この種の装置は、当業者に非常によく知られている。第1実施形態によれば、化合物はすべて単一操作中に、たとえば押出操作中に溶融ブレンドされる。たとえば、ポリマー材料の顆粒をブレンドすること、それらを溶融させ、そしてそれらを多かれ少なかれ高い剪断にさらすためにそれらを押出装置に導入することが可能である。特定の実施形態によれば、最終組成物が調製される前に、幾つかの化合物のプレミックスが製造されてもよい。
【0026】
本発明の組成物は、ポリアミド樹脂を溶融材料に維持するのに十分な温度で、たとえば単軸スクリューもしくは二軸スクリュー押出機におけるように、加熱しながら;または特にメカニカルミキサーで、冷たい条件下に様々な構成成分を混合することによって一般に得られる。一般に、得られたブレンドは、顆粒を形成するために小片へカットされるロッドの形態で押し出される。化合物は、特にプラスチックマトリックスとのホットまたはコールドブレンディングによる、プラスチックの製造プロセスの任意のポイントで添加することができる。化合物および添加剤の添加は、純粋な形態のまたは、たとえば、プラスチックマトリックスなどの、マトリックス中の濃厚な混合物の形態のこれらの化合物の融解プラスチックマトリックスへの添加によって実施することができる。
【0027】
組成物は好ましくは、特に、成形プロセスすなわち射出成形プロセスによって物品を製造するために特に使用される、たとえば、顆粒もしくは粉末の形態の、成形組成物である。本発明はそれ故同じく、上記のような組成物を用いる、プラスチック物品の製造方法に関する。本発明による組成物は、たとえば、成形プロセス、特に射出成形、回転成形、焼結もしくはキャスティング、または、押出/ブロー成形およびフィルム形成などの、押出プロセス、あるいはまた紡糸プロセスなどの、任意のプラスチック成形プロセスに使用することができる。本発明はしたがってまた、本発明の組成物を成形することによる成形品または押出品の製造方法に関する。
【0028】
本調合物は、たとえば、チューブ、導管、または溜めなどの、気体または液体などの、流体を回収するまたは搬送することを意図される物品を製造するために特に使用されてもよい。これらの物品は、単層または多層物品であってもよい。本発明の調合物は、様々な可能なポリマーから製造される他の層と、たとえば、組み合わせて、多層物品のこれらの層の1つを形成するために特に使用されてもよい。
【0029】
本発明の原理が容易に理解されるのを可能にするように、特殊言語が本説明では使用されている。それにもかかわらず、この特殊言語の使用によって本発明の範囲の限定はまったく予測されないことが理解されるべきである。修正、改善および洗練は、関係技術分野に精通している者によってその者自身の一般知識に基づいて特に予測され得る。用語「および/または」は、意味および、またはおよびこの用語に関係がある要素の他の可能な組み合わせをすべて含む。本発明の他の詳細または利点は、純粋に指示の目的で以下に示される実施例を踏まえると、よりはっきりと明らかになるであろう。
【実施例】
【0030】
使用される化合物は次の通りである:
− A−1:128mL/gのIV(ISO 307/ギ酸)と81.7meq/kgの末端酸基濃度および48.2meq/kgの末端アミン基濃度とを有する、Rhodiaによって製造された、Technyl 26Aポリアミド66。
− A−2:150mL/gのIV(ISO 307/ギ酸)と32.4meq/kgの末端酸基濃度および74.8meq/kgの末端アミン基濃度とを有する、Rhodiaによって製造された、Technylポリアミド66。
− B:2.8の相対粘度(23℃で硫酸中の1重量%で測定される)と218℃の融点とを有するポリアミド610
− B2:2.5の相対粘度(23℃で硫酸中の1重量%で測定される)と199.6℃の融点とを有するポリアミド1010
− C:Eガラス繊維 長さが4.5mm
− 酸化防止剤および滑剤を含む添加剤
【0031】
組成物は、二軸スクリュー押出機(内径30mm;L/D=30)で化合物をブレンドすることによって製造する。押出機の温度プロフィールは、260〜280℃である。押出速度は、50〜70cmHgの減圧下に250〜300rpmである。
【0032】
得られた、乾燥後のペレットを、80トンの圧縮力および189.44ccの射出容積のEngel射出成形プレスで造形する。バレルの温度は280℃であり、金型の温度は80℃である。射出および冷却のサイクルはおおよそ15秒である。異なる検体を、実施される試験に応じて製造した。
【0033】
調合物を試験し、結果を以下に報告する:
【0034】
実施例1:CaCl
2に対する耐性
試料を、130℃で960時間30重量%のCaCl
2を含む水溶液に入れた、そして結果を下の表1に報告する。
【0035】
【表1】
【0036】
さらに、ダンベル検体を19MPaの圧力および100℃でのチャンバー中で4時間のサイクルにかけた。試料に、50重量%のCaCl
2を含む水溶液を3回毎日(5ml/日)吹き付けた。試料の端の1つを660gの重さによって応力にさらす。亀裂は、組成物C1については3サイクル後に、組成物C2については24サイクル後に、そして組成物1については96サイクル後に初めて、試料の表面上に観察される。
【0037】
実施例2:LLCに対する耐性
試料を、50重量%の水と50重量%のエチレングリコールとを含有するLLC冷却液中に960時間入れ、結果を下の表2に報告する。
【0038】
【表2】
【0039】
調合物1と似ているが、46.3のポリアミドB2をBの代わりに含む調合物は900時間後に59.7%の破壊強度の保持率を生み出すことが指摘されるべきである。
【0040】
実施例3:機械的特性
アイゾッド(Izod)衝撃強度を、実施例1からの調合物C1、C2およびC1で標準ASTM D 256に従って測定した。10.3KJ/m
2が調合物C1について、16.8KJ/m
2が調合物C2について、そして18.6KJ/m
2が調合物1について得られ;さらに、破断点伸び、HDT、および曲げ強度という他の特性は、異なる調合物間で同等であった。