(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6388895
(24)【登録日】2018年8月24日
(45)【発行日】2018年9月12日
(54)【発明の名称】ロック機構およびこれを有する手工具
(51)【国際特許分類】
B25B 25/00 20060101AFI20180903BHJP
B25B 7/14 20060101ALI20180903BHJP
【FI】
B25B25/00 D
B25B7/14
【請求項の数】12
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-201642(P2016-201642)
(22)【出願日】2016年10月13日
(65)【公開番号】特開2017-140691(P2017-140691A)
(43)【公開日】2017年8月17日
【審査請求日】2017年2月12日
(31)【優先権主張番号】104133573
(32)【優先日】2015年10月13日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】516307507
【氏名又は名称】サルスター テクノロジーズ インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】SULLSTAR TECHNOLOGIES,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105795
【弁理士】
【氏名又は名称】名塚 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100105131
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 満
(72)【発明者】
【氏名】ハング、ウェン−ルン
【審査官】
稲葉 大紀
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2015/0165597(US,A1)
【文献】
特開2001−315065(JP,A)
【文献】
実開平06−033662(JP,U)
【文献】
台湾特許第001363676(TW,B)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 1/00−19/00
25/00−33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手工具であって、
第一のハンドルと、
前記第一のハンドルの端部に枢動可能に連結された端部を有する第二のハンドルであって、前記第二のハンドルが前記第一のハンドルから離れる第一の位置と、前記第二のハンドルが前記第一のハンドルに近接する第二の位置との間で枢動する第二のハンドルと、
ロック機構であって、
ラッチであって、
ディスクと、
前記ディスクを貫通しかつ前記ディスクに固定され、前記ディスクと同軸のシャフトと、を備え、
前記第一のハンドルの前記端部に横方向に沿って枢動可能に配置され、第三の位置と第四の位置との間で切替え可能であるラッチと、
前記ラッチを前記第三の位置または前記第四の位置に保持するために、前記第一のハンドルの前記端部に配置されたリテーナと、を備えるロック機構と、を備え、
前記ラッチが前記第三の位置にある際、前記シャフトは前記第二のハンドルを前記第一の位置に止め、前記ラッチが前記第四の位置にある際、前記ディスクは前記第二のハンドルを前記第二の位置に止める、手工具。
【請求項2】
前記リテーナは、前記第一の位置と前記第二の位置との間の前記第二のハンドルの経路にはない、請求項1に記載の手工具。
【請求項3】
前記リテーナは、その中に形成された貫通孔および凹部を有するスリーブであり、前記ラッチは、前記凹部に移動可能に挿入され、前記凹部は、前記貫通孔と連通する、請求項2に記載の手工具。
【請求項4】
前記スリーブはポリウレタンで作られる、請求項3に記載の手工具。
【請求項5】
前記ラッチが前記第三の位置にある際、前記ディスクは前記凹部内にあり、前記ラッチが前記第四の位置にある際、前記ディスクは前記凹部から前記横方向に部分的に突出する、請求項3に記載の手工具。
【請求項6】
前記第一のハンドルの前記端部は、第一のプレート、および前記第一のプレートに対向する第二のプレートを備え、前記第二のハンドルの前記端部は、第三のプレート、および前記第三のプレートに対向する第四のプレートを備え、
前記第二のハンドルの前記端部の前記第三のプレートおよび前記第四のプレートは、前記第一のハンドルの前記端部の前記第一のプレートと前記第二のプレートとの間に挟まれ、前記スリーブの一部は、前記第二のハンドルの前記端部の前記第三のプレートと前記第四のプレートとの間に挟まれる、請求項3に記載の手工具。
【請求項7】
コネクタを加工するためのヘッドをさらに備え、前記ヘッドは、第五のプレート、および前記第五のプレートに対向する第六のプレートを備え、前記ヘッドの前記第五のプレートおよび前記第六のプレートは、前記第一のハンドルの前記端部の前記第一のプレートと前記第二のプレートとの間に挟まれ、前記スリーブの一部は、前記ヘッドの前記第五のプレートと前記第六のプレートとの間に挟まれる、請求項6に記載の手工具。
【請求項8】
前記スリーブの前記横方向に沿った長さは、前記ヘッドの前記第五のプレートと前記第六のプレートとの間の距離とほぼ同じである、請求項7に記載の手工具。
【請求項9】
前記ラッチが前記第三の位置にある際、前記シャフトは前記第二のハンドルの前記第三のプレートおよび前記第四のプレートの一つを前記第一の位置に止め、前記ラッチが前記第四の位置にある際、前記ディスクは前記第二のハンドルの前記第三のプレートおよび前記第四のプレートの一つを前記第二の位置に止める、請求項6に記載の手工具。
【請求項10】
前記第二のハンドルが前記第一の位置にある際、前記第二のハンドルの前記第三のプレートおよび前記第四のプレートの前記一つは、前記ラッチが前記第三の位置から前記第四の位置へ向かって動くのを防ぐよう配置される、請求項9に記載の手工具。
【請求項11】
前記第二のハンドルが前記第二の位置にある際、前記第二のハンドルの前記第三のプレートおよび前記第四のプレートの前記一つは、前記第三の位置と前記第四の位置との間の前記ラッチの移動経路にはない、請求項9に記載の手工具。
【請求項12】
弾性素子が、前記第二のハンドルを前記第一の位置へ向かって付勢するために、前記第一のハンドルの前記端部と前記第二のハンドルの前記端部のピボットに配置される、請求項1に記載の手工具。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、2015年10月13日出願の台湾出願番号104133573“ロック機構およびこれを備えるプライヤ”の優先権の利益を主張し、その内容は、本明細書に参照として組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、手工具のロック機構に関し、特に、二つのハンドルを有するプライヤまたは圧着工具に関する。
【背景技術】
【0003】
プライヤおよび圧着工具は、物品を加工するためによく使われる。圧着工具は、絶縁ワイヤおよびそのコネクタを屈曲、せん断、剥離、および圧着することができる。これらのコネクタは、RJ−45コネクタ、8P8Cモジュールコネクタとして規格化されたコネクタ、およびRJ−11コネクタ、電話接続用コネクタ等を含む。圧着工具は通常、操作時にユーザによって握られる二つのハンドルを含む。概して、圧着工具が収縮位置にある際は、二つのハンドルは互いに当接または近接し、圧着工具が拡張位置にある際は、二つのハンドルは互いから離れる。省力器具として、いくつかの圧着工具は、ハンドルが拡張位置に促されがちになるよう、一方のハンドルを他方に対して付勢するスプリングなどの付勢機構を含む。よってユーザは、圧着工具を使う際、ハンドルを拡張位置から収縮位置に動かしさえすればよく、付勢機構がハンドルを拡張位置に戻す。
【0004】
圧着工具またはプライヤは、ハンドルが収縮されて互いに近くなる際、最少のスペースを占める。したがって、圧着工具またはプライヤが使用されず保管される際は、そのハンドルはまず収縮され、固定されるべきである。ハンドルが収縮位置を離れるのを防ぐために、台湾特許番号I363676に記載されたような、一方のハンドルの端部に、他方のハンドルの端部のノブと係合されるスナップリングを備えることで、二つのハンドルが、保管のために収縮された後に固定できるプライヤが提供される。しかしながら、スナップリングおよびノブはプライヤの外側に配置され、追加のスペースを占めるだけでなく、ケガの原因にもなりうる。
【0005】
上記のことから、追加のスペースを占めず、ユーザにとって安全な、二つのハンドルを有するプライヤまたは圧着工具などの手工具のロック機構が必要となる。
【発明の概要】
【0006】
本発明の一実施形態では、手工具のロック機構が提供され、ロック機構はラッチおよびラッチを保持するためのリテーナを備える。ラッチは、ディスクおよびディスクを貫通するシャフトを備え、シャフトの中間部はディスクの中心に固定される。シャフトはディスクと同軸であり、それらは安定して共に回転する。
【0007】
本発明の他の実施形態では、手工具が提供され、手工具は、第一のハンドルと、第二のハンドルと、ロック機構とを備える。第二のハンドルは、第一のハンドルの端部に枢動可能に連結された端部を有し、第二のハンドルは、第二のハンドルが第一のハンドルから離れる第一の位置と、第二のハンドルが第一のハンドルに近接する第二の位置との間で枢動する。ロック機構は、ラッチとリテーナとを備える。ラッチは、ディスクと、ディスクを貫通しかつディスクに固定されるシャフトとを備える。シャフトはディスクと同軸である。ラッチは、第一のハンドルの端部に横方向に沿って枢動可能に配置され、第三の位置と第四の位置との間で切替え可能である。リテーナは、ラッチを第三の位置または第四の位置に保持するために、第一のハンドルの端部に配置される。ラッチが第三の位置にある際、ラッチのシャフトは第二のハンドルを第一の位置に止め、ラッチが第四の位置にある際、ラッチのディスクは第二のハンドルを第二の位置に止める。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】拡張位置にある、本発明の一実施形態の圧着工具のハンドルを示す模式図。
【
図1B】収縮状態にある、
図1Aの圧着工具のハンドルを示す模式図。
【
図3A】ラッチおよびリテーナが組み立てられた、
図1Aの実施形態のロック機構を示す模式図。
【
図3B】ラッチがリテーナから取り外された、
図1Aの実施形態のロック機構を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の特性、主題、利点、および効果が、本発明の実施形態および付属の図面を参照して以下に詳細に説明される。以下の説明において参照される図面は、単に説明目的であり、必ずしも実施形態の実際の比率および正確な構成を示すものではないことが理解される。よって、図面に示される比率および構成は、本発明の範囲を限定または制限すると見なされるべきではない。
【0010】
図1Aおよび1Bを参照されたい。
図1Aは、拡張位置にある、本発明の一実施形態の圧着工具100のハンドル110、120を示し、
図1Bは、収縮位置にある、本実施形態の圧着工具100のハンドル110、120を示す。
図1Aおよび1Bに示すように、圧着工具100は、第一のハンドル110、第二のハンドル120、およびロック機構130を備える。第二のハンドル120は、第一のハンドル120の端部112に枢動可能に連結された端部122を有し、第二のハンドル120は、第二のハンドル120が第一のハンドル110から離れる(
図1Aに示す)第一の位置(P1)と、第二のハンドル120が第一のハンドル110に近接する(
図1Bに示す)第二の位置(P2)との間の回転経路(R)に沿って枢動する。
図2Aおよび2Bに示すように、スプリング(S)である付勢素子が、第一のハンドル110の端部112と第二のハンドル120の端部122のピボットに設けられる。二つのハンドルが互いに向かって動かされると(例えばユーザの手によって握られると)、スプリング(S)は、第二のハンドル120が回転経路(R)に沿って第一の位置(P)に向かって動きがちになるよう、第二のハンドル120を付勢する。圧着工具100のヘッド150は、絶縁ワイヤのコネクタを圧着するための圧着素子152を備える。第二のハンドル120が第一の位置P1から経路(R)に沿って第二の位置(P2)へと動くよう押圧されると、圧着素子152は第二のハンドル120によって間接的に作動され、
図1Bに示すように上下方向(L1)に沿って圧着位置へと上方に動き、コネクタを圧着する。
【0011】
図2Aおよび
図2Bに示すように、第一のハンドル110の端部112は、第一のプレート112a、および第一のプレート112aに対向する第二のプレート112bを備える。第二のハンドル120の端部122は、第三のプレート122a、および第三のプレート122aに対向する第四のプレート122bを備え、第二のハンドル120の端部122の第三のプレート122aおよび第四のプレート122bは、第一のハンドル110の端部112の第一のプレート112aと第二のプレート112bとの間に挟まれ、かつそれらに枢動可能に連結される。ヘッド150は、第五のプレート150a、および第五のプレート150aに対向する第六のプレート150bを備える。ヘッド150の第五のプレート150aおよび第六のプレート150bは、第一のハンドル110の端部の第一のプレート112aと第二のプレート112bとの間に挟まれ、かつそれらに固定される。
図2Aおよび2Bに示すように、ヘッド150の第五のプレート150aおよび第六のプレート150bは、それぞれ第二のハンドル120の端部122の第三のプレート122aおよび第四のプレート122bと、垂直方向(L1)を横断する方向(L2)において、ほぼ整列する。このように、第二のハンドル120が押圧されて、回転経路(R)に沿って第一のハンドル110へ向かって第二の位置(P2)へと動くと、第二のハンドル120の端部122の第三のプレート122aおよび第四のプレート122bの構成は、第三のプレート122aおよび第四のプレート122bの上周面を、ヘッド150の第五のプレート150aおよび第六のプレート150bの下周面に当接させることで、第二のハンドル120は、第一のハンドル110に向かってさらに動くことおよび第一のハンドル110に当接することを止められる。
【0012】
図3Aは、本発明の一実施形態のロック機構130の斜視図を示す。
図3Bは、ロック機構130の分解組立図を示す。
図3Aおよび3Bに示すように、ロック機構130は、ラッチ131およびリテーナ140を備える。ラッチ131は、ディスク134、およびディスク134を貫通するシャフト132を備え、シャフト132の中間部の周りの領域は、ディスク134の中心に固定される。シャフト132は、ディスク134と同軸である。好ましくは、シャフト132は、ディスク134と一体に形成される。リテーナ140は、その中に形成された貫通孔140aおよび凹部140bを有するスリーブである。ラッチ131は、凹部140bに移動可能に挿入され、凹部140bは、貫通孔140aと連通する。スリーブは、好ましくはポリウレタンである弾性材で作られる。シャフト132の直径は、ディスク134の直径よりも小さい。
【0013】
図2Aおよび2Bに示すように、ラッチ131は、横方向(L2)に沿って、第一のハンドル110の端部112に枢動可能に設けられる。具体的には、ラッチ131のシャフト132が、第一のハンドル110の端部112の第一のプレート112aおよび第二のプレート112bで、その二つの端部をそれぞれ枢動可能に支持される。ラッチ131は、横方向(L2)に沿って軸方向に移動可能であり、よって、第二のハンドル120を第一の位置(P1)または第二の位置(P2)に止めるよう、第三の位置(
図2Aに示す)と第四の位置(
図2Bに示す)との間で切り替え可能である。ラッチ131が
図2Aに示すように第三の位置にある際は、ディスク134は凹部140b内にあり、シャフト132の一端は、第一のハンドル110の第一のプレート112aの側面から突出する。ラッチ131が
図2Bに示すように第四の位置にある際は、ディスク134は凹部140bから横方向(L2)に沿って少なくとも部分的に突出し、シャフト132の他端は、第一のハンドル110の第二のプレート112bの側面から突出する。
【0014】
ラッチ131が第三の位置にある際は、第二のハンドル120は、第一の位置(P1)と第二の位置(P2)との間で、回転経路(R)に沿って枢動可能である。この状況では、
図1Aおよび2Aに示すように、第二のハンドル120にかかる外力がなければ、スプリング(S)は第二のハンドル120を、第一のハンドル110から離れるように動くよう付勢し、ラッチ131のシャフト132は、第二のハンドル120を第一の位置(P1)に止める。
図1Bおよび
図2Bに示すように、第二のハンドル120が押圧されて第一のハンドル110に向かって第二の位置(P2)へと動くと、ラッチ131は第三の位置から横方向(L2)に沿って第四の位置へと動かされ、ラッチ131のディスク134は第二のハンドル120を第二の位置(P2)に止める。この状況では、第二のハンドル120は第二の位置(P2)に固定され、圧着工具100は最少のスペースを占め、これは保管に便利である。このことから、ラッチ131をその第三の位置と第四の位置との間で切り替えることによって、ユーザは第二のハンドル120を、第一の位置(P1)または第二の位置(P2)に止めることができる。
【0015】
本実施形態のリテーナ140は、第一の位置(P1)と第二の位置(P2)との間の、第二のハンドル120の回転経路(R)に位置しないよう配置される。本発明の一実施形態では、リテーナ140は、好ましくはポリウレタンである弾性材で作られるスリーブである。スリーブの少なくとも一部は、第二のハンドル120の端部122の第三のプレート122aと第四のプレート122bとの間に挟まれる。横方向(L2)に沿ったスリーブの長さは、第二のハンドル120の端部122の第三のプレート122aと第四のプレート122bとの間の距離とほぼ同じである。本発明の他の実施形態では、スリーブの少なくとも一部は、ヘッド150の第五のプレート150aと第六のプレート150bとの間に挟まれる。その場合、横方向(L2)に沿ったスリーブの長さは、ヘッド150の第五のプレート150aと第六のプレート150bとの間の距離とほぼ同じである。代替の実施形態では、スリーブの一方の部分は、第二のハンドル120の端部122の第三のプレート122aと第四のプレート122bとの間に挟まれ、スリーブの他方の部分は、ヘッド150の第五のプレート150aと第六のプレート150bとの間に挟まれる。
【0016】
本発明の一実施形態では、リテーナ140は、その中に形成された貫通孔140aおよび凹部140bを有するスリーブである。ラッチ131は、貫通孔140aと連通する凹部140bに移動可能に挿入される。シャフト132は、スリーブ140の貫通孔140aを、その一端が貫通する。シャフト132の二つの端部は、第一のハンドル110の端部112で枢動可能に支持される。ラッチ131が第三の位置に配置されると、ラッチ131は凹部140b内に受容され、ラッチ131のディスク134の露呈した側面は、スリーブ140の側面とほぼ同一面上になる。ラッチ131が押圧されて横方向(L2)に沿って第三の位置から第四の位置へと動くと、ディスク134は凹部140bから動き、そこから少なくとも部分的に突出する。
【0017】
このように、ラッチ134が凹部140bに受容される際(すなわち第三の位置にある際)、シャフト132は第二のハンドル120の回転経路(R)にある。圧着工具100のハンドル110、120が握られないと、第二のハンドル120はスプリング(S)によって付勢され、第一のハンドル110から離れるように動き、第二のハンドル120の端部122の第三のプレート122aまたは第四のプレート122bの少なくとも一つの構成は、第三のプレート122aまたは第四のプレート122bの上周面の少なくとも一つを、シャフト132に当接させて、第二のハンドル120を第一の位置(P1)に止める。図面に示した実施形態では、第三のプレート122aおよび第四のプレート122bの上周面の両方が、シャフト132の側部に当接する。
【0018】
図2Aに示すように、第三のプレート122aおよび第四のプレート122bの上周面が、シャフト132に当接すると(すなわち第二のハンドルが第一の位置(P1)にあると)と、ディスク134の直径が、第四のプレート122bによって当接されたシャフト132の直径よりも大きいため、第四のプレート122bの上部は、横方向(L2)においてディスク134のそばに位置しかつディスク134に重なって、ラッチ134が横方向(L2)に沿って第三の位置から第四の位置へと動くのを防ぐ。この状況では、第二のハンドル120は、第一の位置(P1)と第二の位置(P2)との間を回転経路(R)に沿って自在に枢動し、圧着工具100はロックされない。代替の実施形態では、シャフト132に当接するのは第三のプレート122aおよび第四のプレート122bの一つのみの上周面であり、ラッチ134が外側に動くのを防ぐのは第三のプレート122aでありうる。
【0019】
第二のハンドル120が、第一の位置(P1)から第二の位置(P2)に向かって徐々に動くよう押圧されると、第四のプレート122bの上部とラッチ131のディスク134との重複領域は、徐々に減少する。第二のハンドル120が、
図1Bおよび2Bに示すように第二の位置(P2)に達すると、第四のプレート122bの上部は、横方向(L2)においてラッチ131のディスク134に重ならず、ユーザは、ラッチ131が第三の位置(
図2Aに示す)から第四の位置(
図2Bに示す)に動くよう、ラッチ131のシャフト132を押圧することができる。このように、ディスク134は、凹部140bから横方向(L2)に沿って動き、凹部140bから第二のハンドル120の回転経路(R)に、少なくとも部分的に突出する。ユーザが第二のハンドル120を握った圧力を解放すると、第四のプレート122bの周面は、スプリング(S)によって、ディスク134の周面に当接するよう促されることで、第二のハンドル120は第二の位置(P2)に止められ(ロックされ)、第一のハンドル110から離れて動けなくなる。
【0020】
第二のハンドル120が第二の位置(P2)にあり、ラッチ131によってロックされると、圧着工具は最少のスペースを占める。これは保管モードと呼ばれる。また、第二のハンドル120が第二の位置(P2)にある際は、第四のプレート122bは、第三の位置と第四の位置との間のラッチ131の経路にない。ラッチ131は、よって、第三の位置と第四の位置との間で切替え可能である。ユーザが圧着工具100を保管モードから稼働モードへと切り替えたい場合は、ユーザは、
図2Bに示すように第一のハンドルの第二のプレート112bの側面から突出するラッチのシャフト132を押圧することによって、ディスク134がスリーブ140の凹部140bに後退するよう、単にラッチ131を第四の位置から第三の位置に動かすのみでよい。後退の後、第二のハンドル120は、回転経路(R)に沿って第一のハンドル110に向かって移動可能であり、第一の位置(P1)と第二の位置(P2)との間で自在に枢動可能である。
【0021】
本発明の代替の実施形態では、凹部140bの開口は第一のハンドル110の第一のプレート112aに面するよう配置され(図面の実施形態では、凹部140bは第二のプレート112bに面する)、ラッチ131が二つの位置の間で横方向(L2)に沿って切替可能であるかを制御するのは第三のプレート122aになる。
【0022】
本発明の一実施形態のロック機構130は、構造が単純であるが便利であり、基本的に二つの要素:ディスク134およびシャフト132を有するラッチ131、およびリテーナ140、を含む。さらに、ロック機構130は、概して圧着工具100内に配置される。よって、追加のスペースを占めず、かつユーザを傷つけない。圧着工具に加えて、ロック機構130は、プライヤなどの、二つのハンドルを有する任意の適切な手工具に使うことができる。
【0023】
前述の実施形態は、当業者がここに開示された内容に関する洞察を得て本発明を適宜に実施できるようにするため、本発明の技術概念および特徴を説明するものである。しかしながら、実施形態は本発明の範囲を制限することを意図するものではないことが理解される。ゆえに、開示された実施形態に、本発明の精神および原則から外れることなく為されたの全ての同等の変更または変形は、付属のクレームの範囲内に入るべきである。