(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6388904
(24)【登録日】2018年8月24日
(45)【発行日】2018年9月12日
(54)【発明の名称】車両のための駆動ユニットおよび車両の2つの出力シャフトの間でトルクをシフトさせるための方法
(51)【国際特許分類】
F16H 48/22 20060101AFI20180903BHJP
B60K 6/54 20071001ALI20180903BHJP
B60K 1/00 20060101ALI20180903BHJP
F16H 48/11 20120101ALI20180903BHJP
B60L 15/20 20060101ALI20180903BHJP
【FI】
F16H48/22
B60K6/54
B60K1/00
F16H48/11
B60L15/20 K
【請求項の数】15
【外国語出願】
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-255390(P2016-255390)
(22)【出願日】2016年12月28日
(65)【公開番号】特開2017-141955(P2017-141955A)
(43)【公開日】2017年8月17日
【審査請求日】2017年2月22日
(31)【優先権主張番号】14/991,201
(32)【優先日】2016年1月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508151105
【氏名又は名称】デーナ、オータモウティヴ、システィムズ、グループ、エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ケネス イー. クーパー
【審査官】
塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−105573(JP,A)
【文献】
特開平09−079347(JP,A)
【文献】
特開2001−287550(JP,A)
【文献】
特開2010−247690(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 48/22
B60K 1/00
B60K 6/54
B60L 15/20
F16H 48/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
差動ケージであって、その中に配置されたダブル遊星差動ギア機構を有し、前記ダブル遊星差動ギア機構は2つの出力シャフトと駆動係合する、差動ケージと、
前記ダブル遊星差動ギア機構を支持し、第1出力シャフトと駆動係合する遊星キャリアと、
前記モータと駆動係合する第1ギアと、
前記モータおよび前記ダブル遊星差動ギア機構の複数の遊星ギアと駆動係合する第2ギアであって、前記第1ギアが前記第2ギアに対して前記モータによりオーバードライブされることが可能である、第2ギアと、
第2ピニオンに連結される第1ピニオンと、
前記第1ギアと第2出力シャフトとの間に配置され、前記第1ギアから前記第2出力シャフトへ選択的にトルクを伝達する、第1の可変的に係合可能なクラッチと、
前記第1ギアと前記遊星キャリアとの間に配置され、前記遊星キャリアを介して前記第1ギアから前記第1出力シャフトへ選択的にトルクを伝達する、第2の可変的に係合可能なクラッチと、
を備え、
前記第1ピニオンおよび前記第2ピニオンが、前記モータと前記第1ギアおよび前記第2ギアとの間に配置され、前記第2ピニオンが前記第1ギアおよび前記第2ギアと同時に駆動係合する、車両のための駆動ユニット。
【請求項2】
前記モータは電気モータである、請求項1に記載の駆動ユニット。
【請求項3】
前記モータは油圧モータである、請求項1に記載の駆動ユニット。
【請求項4】
前記第1ギアおよび前記第2ギアは、それらに配置された複数のギア歯を有し、前記第1ギアの前記複数のギア歯の数は、前記第2ギアの前記複数のギア歯の数よりも少ない、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の駆動ユニット。
【請求項5】
前記第1ギアおよび前記第2ギアの前記複数のギア歯の数は、2から4.5パーセントのオーバースピード条件を生成するように選択される、請求項4に記載の駆動ユニット。
【請求項6】
前記第1ギアの前記複数のギア歯の数は50であり、前記第2ギアの前記複数のギア歯の数は51である、請求項4または請求項5に記載の駆動ユニット。
【請求項7】
前記モータと前記第1ギアおよび前記第2ギアとの間に配置された減速ギアセットをさらに備え、前記減速ギアセットは、前記モータと前記第1ギアおよび前記第2ギアとに駆動的に係合される、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の駆動ユニット。
【請求項8】
前記モータと前記第1ギアおよび前記第2ギアとの間に配置された第3クラッチ装置であって、前記モータを、前記第1ギアおよび前記第2ギアと選択的に接続したり切り離したりするための第3クラッチ装置をさらに備える、請求項1に記載の駆動ユニット。
【請求項9】
前記第3クラッチ装置は噛み合いクラッチである、請求項8に記載の駆動ユニット。
【請求項10】
前記モータと前記第3クラッチ装置との間に配置された減速ギアセットをさらに備え、前記減速ギアセットは、前記モータと駆動係合する、請求項8または請求項9に記載の駆動ユニット。
【請求項11】
前記第1ピニオンおよび第2ピニオンが、前記第3クラッチ装置と前記第1ギアおよび前記第2ギアとの間に配置され、前記第1ピニオンは、前記第3クラッチ装置によって選択的に係合される、請求項8から請求項10のいずれか1項に記載の駆動ユニット。
【請求項12】
前記第1ピニオン、前記第2ピニオン、前記第1ギア、および前記第2ギアは、それらの端部に配置された複数の歯を有する、請求項8から11のいずれか1項に記載の駆動ユニット。
【請求項13】
前記第2ピニオンの前記複数の歯の数は17であり、前記第1ギアの前記複数の歯の数は50であり、前記第2ギアの前記複数の歯の数は51である、請求項12に記載の駆動ユニット。
【請求項14】
前記第1ギアおよび前記第2ギアの前記複数の歯の数は、2から4.5パーセントのオーバースピード条件を生成するように選択される、請求項12に記載の駆動ユニット。
【請求項15】
車両の2つの出力シャフトの間でトルクをシフトさせるための方法であって、
モータと、差動ケージであって、その中に配置されたダブル遊星差動ギア機構を有し、前記ダブル遊星差動ギア機構は2つの出力シャフトと駆動係合する、差動ケージと、前記ダブル遊星差動ギア機構を支持し、第1出力シャフトと駆動係合する遊星キャリアと、前記モータおよび一対の可変的に係合されるクラッチと駆動係合する第1ギアと、前記モータおよび前記ダブル遊星差動ギア機構の複数の遊星ギアと駆動係合する第2ギアであって、前記第1ギアが前記第2ギアに対して前記モータによりオーバードライブされることが可能である、第2ギアと、第2ピニオンに連結される第1ピニオンであって、前記第1ピニオンおよび前記第2ピニオンが、前記モータと前記第1ギアおよび前記第2ギアとの間に配置され、前記第2ピニオンが前記第1ギアおよび前記第2ギアと同時に駆動係合する、第1ピニオンと、を備える駆動ユニットを提供する段階と、
前記第1ギアと第2出力シャフトとの間に配置された第1の可変的に係合可能なクラッチを係合することにより、前記モータから前記第2出力シャフトへトルクをシフトさせる段階と、
前記第1ギアと前記遊星キャリアとの間に配置され、前記遊星キャリアを介して前記第1ギアから前記第1出力シャフトへ選択的にトルクを伝達するための第2の可変的に係合可能なクラッチを係合することにより、前記モータから前記第1出力シャフトへトルクをシフトさせる段階と、
を有する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの出力シャフトの間でトルクをシフトさせるべく、ダブル遊星差動機構、および、ダブル遊星差動機構の2つの出力シャフトと可変的に係合され得るオーバードライブギアを利用する、駆動ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の駆動ユニットが、通常、モータと、モータによって生成される回転運動を低減するように配置された減速機とを含む。減速機から差動アセンブリにトルクが伝達され、差動アセンブリは、複数の動輪のための2つの出力シャフトにトルクを分ける。
【0003】
駆動ユニットを使用する複数の電気またはハイブリッド車両が昔から知られている。複数のハイブリッド電気自動車は、通常、2つの動力源である電気モータと内燃エンジンを組み合わせた構成を有して、より少ない排出物を生成する。複数の被駆動前輪の組および複数の被駆動後輪の組の両方に電気モータとエンジンが動力を伝達することができるように、複数の全輪駆動車両に使用するための複数のハイブリッド電気駆動ユニットが開発されてきている。
【0004】
全輪駆動の複数のハイブリッド電気自動車においては、通常、減速ギアセットが、電気モータからの出力速度を低減し、低減された出力速度を差動ギアアセンブリへと伝達する。差動ギアアセンブリは、導入されたトルクを2つの出力シャフトに分配する。それにより、2つの出力シャフトのうちの一方が、互いに対して異なる速度で回転することができる。
【0005】
自動車に対して改善された安定性と敏捷性を提供すべく、2つの出力シャフトおよびそれぞれの車輪の間で正確にトルクを分配することが可能な駆動ユニットを開発することは有益だろう。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、2つの出力シャフト間でトルクをシフトさせるべく、ダブル遊星差動ギア機構およびオーバードライブギアを利用した駆動ユニットに関する。駆動ユニットは、モータと、2つの出力シャフトと駆動係合するダブル遊星ギア機構を収容する差動ケージと、遊星キャリアと、第1ギアと、第2ギアと、可変係合される一対のクラッチとを含む。遊星キャリアは、ダブル遊星差動ギア機構を支持し、第1出力シャフトと駆動係合する。第1ギアは、モータおよび可変的に係合される複数のクラッチと駆動的に係合される。第2ギアは、モータおよび差動ギア機構の複数の遊星ギアと駆動係合する。第1ギアは、モータによって、第2ギアに対してオーバードライブされることが可能である。第1の可変的に係合可能なクラッチは、第1ギアと第2出力シャフトとの間に配置され、第2の可変的に係合可能なクラッチは、第1ギアと遊星キャリアとの間に配置される。第1の可変係合可能なクラッチが作動された場合、増大したトルクが第1出力シャフトに加えられる。第2の可変的に係合可能なクラッチが作動された場合、増大したトルクが第2出力シャフトに加えられる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明の上述した利点、並びにその他複数の利点は、次の添付の複数の図面を考慮して検討された場合に、以下の詳細な説明から、本技術分野の当業者には容易に明らかになるだろう。
【
図1】本発明の好ましい実施形態に従った駆動ユニットアセンブリの略図である。
【
図2】本発明の別の好ましい実施形態に従った駆動ユニットアセンブリの略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、そうでないということが明確に特定されている場合を除いて、様々な代替的な方向性および段階の順番を取り得ることが理解されるべきである。添付の複数の図面に示された、および、以下の明細書に説明された特定の複数の装置およびプロセスは、添付の特許請求の範囲にて定義される複数の発明の概念の、単なる例示的な複数の実施形態に過ぎないこともまた理解されるべきである。従って、開示される複数の実施形態に関する特定の寸法、方向、またはその他の物理的特性は、特許請求の範囲にてそうでないことを明確に述べていない限り、限定的とみなされるべきではない。
【0009】
ここで、複数の図面のうちの
図1を参照すると、電気駆動ユニットアセンブリ10の、1つの好ましい実施形態が提供される。
【0010】
図1に示されるように、モータ11が、第1ハウジング部材12および出力シャフト13に接続される。モータ11は、電気モータまたは油圧モータを含め、任意の種類のモータであり得る。第1ハウジング部材12は、モータ11から軸方向に延在し、出力シャフト13と比べると、半径方向外側にある。出力シャフト13は、モータから軸方向に延在し、第1ハウジング部材12から半径方向内側にある。
【0011】
出力シャフト13は、減速ギアセット14に駆動的に係合される。減速ギアセット14は、第1減速ギア14aと第2減速ギア14bを含む。第1減速ギア14aは、出力シャフト13から半径方向内側に配置される。第1減速ギア14aは、出力シャフト13と駆動的に係合される。
【0012】
第2減速ギア14bは、第1減速ギア14aから軸方向に延在するシャフト14cによって、第1減速ギア14aに接続される。第2減速ギア14bの駆動ギアが、第1クラッチ装置15と係合されることが可能である。
【0013】
第1クラッチ装置15は、第2減速ギア14bから半径方向外側に配置され、第2ハウジング部材16によって支持される。第1クラッチ装置15は、任意の手段、具体的には、電気機械式、油圧式または電磁式手段によって作動され得る。
図1に示されるように、第1クラッチ装置は噛み合いクラッチであるものの、任意の種類のクラッチ装置であり得る。
【0014】
第1クラッチ装置15は、第2減速ギア14bおよびピニオンギア17に選択的に連結することが可能である。ピニオンギア17は、軸方向に延在するシャフト17cによって接続された2つのピニオン17a、17bを有する。ピニオンギア17は、減速ギアセットのシャフト14cの周りに回転可能である。ピニオン17a、17bは、それらに形成された複数の歯を有する。ピニオン17aは、第1クラッチ装置15を係合することが可能である。ピニオン17bは、一組のリングギア18、19と駆動的に係合される。ピニオン17bおよびリングギア18、19は、共通の中心距離を有する。
【0015】
リングギア18、19は、ピニオンギア17から半径方向内側に配置される。リングギア18、19は、それらに配置された複数の歯を有する。第1リングギア18は、第2リングギア19よりも少ない数のギア歯を有するので、第1リングギア18が第2リングギアよりも速く駆動されることが可能である。従って、第1リングギア18は、第2リングギア19に対してオーバードライブされる。
【0016】
1つの好ましい実施形態において、ピニオンギア17は17枚の歯を有し、第1リングギア18は50枚の歯を有し、第2リングギア19は51枚の歯を有する。その他複数の実施形態において、第2リングギア19に対して約2から約4.5パーセントの第1リングギア18のオーバースピードを与えるように、それぞれのギアの歯の数が選択され得る。
【0017】
第1ハウジング部材12は、リングギア19から半径方向外側に配置され、第2ハウジング部材16は、リングギア18から半径方向外側に配置される。ギア18と19との間に第3ハウジング部材20が配置される。
図1に示されるように、第3ハウジング部材20の一部は、第1ハウジング部材12と第2ハウジング部材16との間に位置され、複数の保持ボルトを含む追加の保持手段を必要とせずに、第3ハウジング部材20の軸方向の位置を固定する。
図1に示されるように、第3ハウジング部材20の形状が、このハウジングの回転を防ぐ。その他複数の実施形態において、複数のだぼを含め、その他の手段が回転を防ぐために使用され得る。
【0018】
第1リングギア18は、ラジアルシャフト21に接続される。ラジアルシャフト21は、第1リングギア18から半径方向内側に延在し、自身の他方の端部から軸方向外側に延在する第1クラッチハブ22を有する。クラッチハブ22は、それ自身において半径方向外側に延在する一組のクラッチプレート23と、それ自身において半径方向内側に延在する第2の組のクラッチプレート24を有する。
【0019】
クラッチハブ22と平行且つそこから半径方向外側の第2クラッチハブ25が、それ自身において半径方向内側に延在する一組のクラッチプレート26を有する。クラッチプレート23および25は、クラッチパックを形成すべく、交互に配置される。第2クラッチハブ25は、半径方向に延在する出力シャフト27から軸方向に延在する。出力シャフト27は、第2クラッチハブ25の端部から回転軸Zに向かって半径方向内側に延在する。クラッチプレート23、26、クラッチハブ22、25、およびシャフト27は、第1の可変的に係合可能なクラッチ28を形成する。シャフト27は、半径方向内側端部に形成され、第1出力シャフト29と駆動的に係合されるギア27aを有する。出力シャフト29は、自動車の車軸ハーフシャフトである。第1の可変的に係合可能なクラッチ28が係合された場合、モータから、第1リングギア18およびシャフト27を通って、出力シャフト29へとトルクが伝達される。
【0020】
クラッチハブ22と平行且つそこから半径方向内側の第3クラッチハブ30が、それ自身において半径方向外側に延在する一組のクラッチプレート31を有する。クラッチプレート24、31は、クラッチパックを形成すべく、交互に配置される。クラッチプレート24、31、クラッチハブ22、30、およびシャフト27は、第2の可変的に係合可能なクラッチ32を形成する。
【0021】
第3クラッチハブ30は、遊星ギアキャリア33の端部に接続される。遊星ギアキャリア33は、第3クラッチハブ30から遊星差動ギア機構39に向けて軸方向に延在し、回転軸Zの周りに回転可能である。
【0022】
遊星ギアキャリア33は、一組の遊星ギア35、36に対する支持を提供し、第2出力シャフト34に駆動的に接続される。遊星ギアキャリア33は、平行なラジアルセクション33c、33dに接続される、2つの平行な軸方向セクション33a、33bを有する。セクション33a、33bは、遊星ギアセット35、36を支持する。セクション33aは、セクション33bから半径方向外側にあり、遊星ギアセット35を支持する。セクション33bは、33aから半径方向内側にあり、遊星ギアセット36を支持する。
【0023】
第2の可変的に係合可能なクラッチ32が係合された場合、モータから、第1リングギア18および遊星ギアキャリア33を通って、出力シャフト34へとトルクが伝達される。
【0024】
可変的に係合可能なクラッチ28、32は、個別の複数のアクチュエータによって作動され得る。または、常に1つのクラッチのみを動作させるように構成された単一のアクチュエータによって作動され得る。可変的に係合可能なクラッチ28、32は、任意の機械的手段、すなわち、モータ、複数のアクチュエータギア、ボールランプアクチュエータによって、もしくは、油圧式または電磁式手段によって作動され得る。
【0025】
第2リングギア19は、シャフト37を介して差動ケージ38に取り付けられる。シャフト37は、第2リングギア19から半径方向内側に延在し、差動ケージ38から半径方向外側に延在する。差動ケージ38は、釣鐘形状をしており、遊星差動ギア機構39を収容する。差動ケージ38は、軸方向セクション38aを含む。差動ケージのセクション38aは、それ自身において半径方向内側に延在するギア40を有する。ギア40は、第2遊星ギアセット36に駆動的に係合される第1遊星ギアセット35と駆動的に係合される。第1遊星ギアセット35は、第2遊星ギアセット36から半径方向外側にある。第2遊星ギアセット36は、出力シャフト29に接続される太陽ギア41に駆動的に係合される。
【0026】
第1ベアリング42が、ラジアルシャフト21とハウジング部材20との間に配置され、ギア18を支持する。第2ベアリング43が、差動ケージ38とハウジング部材20との間に配置され、遊星差動ギア機構39を支持する。第2ベアリング43は、第1ベアリング42に隣接する。ベアリング42、43の両方が、ハウジング部材20によって支持される。
【0027】
出力シャフト29、34は、それぞれ、自動車の右車輪および左車輪(図示せず)に接続された複数の車軸ハーフシャフトである。駆動ユニットは、リア駆動ユニットまたはフロント駆動ユニットとして使用され得る。出力シャフト29、34は、必要であれば、差動動作が生じることを可能にしつつ、同じ方向且つ同じ速度で回転する。
【0028】
標準的な動作の間、可変的に係合可能なクラッチ28、32にわたって生じる速度差は小さく、低クラッチドラフト、低減されたクラッチクリアランス、および高駆動速度を可能にする。
【0029】
第1クラッチ装置15は、係合された場合、減速ギアセット14をピニオンギア17へ連結する。第1クラッチ装置15が係合解除された場合、モータ11および減速ギアセット14が出力シャフト29、34から切り離され、出力シャフト29、34がアイドル状態となることを可能にする。二次全車輪ドライブラインとして使用された場合、出力シャフト29、34が車輪の速度で回転し、モータを安定にすること、抗力を低減すること、および燃費を改善することを可能にする。さらに、第1クラッチ装置15は、高駆動速度下において、最大モータ速度を制限すべく係合解除され得る。
【0030】
可変的に係合可能なクラッチ28、32を制御することにより、トルクは、出力シャフト29、34間で強制的に伝達され得る。出力シャフト29にてさらにトルクが必要な場合、第1の可変的に係合可能なクラッチ28が係合されることができ、第1リングギア18を通じて出力シャフト29への第2動力経路を形成することが可能である。出力シャフト34にてさらにトルクが必要な場合、第2の可変的に係合可能なクラッチ32が係合されることができ、第1リングギア18および遊星キャリア33を通じて出力シャフト34への第2動力経路を形成することが可能である。
【0031】
第1クラッチ装置15が係合解除され、モータと複数のリングギアとが切り離された場合、トルクをバランスさせて出力シャフト29、34へと流すために、可変的に係合可能なクラッチ28、32が依然として制御され得る。
【0032】
図2は、本発明の別の実施形態に従った電気駆動ユニットを示す。
図2に示される実施形態は、
図1に示される電気駆動ユニットと類似した複数の構成要素を含む。電気駆動ユニット100の類似した複数の構造上の特徴は、以下に説明される複数の特徴を除いて、同じ参照番号およびプライム(')符号を含む。
【0033】
図2に示される電気駆動ユニット110の実施形態は、
図1に示されるピニオンギア17と類似の動作をする、3つのピニオン117a、117b、117cを有するピニオンギア117を使用することを除いて、電気駆動ユニット10と類似している。ピニオンギア117は、軸方向に延在するシャフト117dに接続された3つのピニオン117a、117b、117cを有する。ピニオン117aは、第1クラッチ装置15'を係合することが可能である。ピニオン117bはリングギア18'と駆動的に係合され、ピニオン117cはリングギア19'に駆動的に係合される。ピニオン117a、117b、117cは、それらに形成された複数の歯を有する。ピニオン117bの歯の数およびピニオン117cの歯の数は、互いに異なり、第1ギア18'および第2ギア19'の間の代替的な複数の速度比を可能にする。
【0034】
特許法の規定に従って、本発明は、その複数の好ましい実施形態を表すと考えられるものにおいて説明されてきた。しかしながら、本発明は、その主旨または範囲から逸脱することなく、具体的に示され、説明されているものとは異なるように実施され得ることに留意すべきである。