(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コモノマー成分が、3,3’−ジアリルビスフェノールA、ビスフェノールAのジアリルエーテル、ビス−(o−プロペニルフェノキシ)ベンゾフェノン、m−アミノベンズヒドラジド、ビスフェノールAジシアネートエステル、ジアリルフタレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、スチレンおよびジビニルベンゼンから選択された、少なくとも1つのコモノマーからなる、請求項1記載の硬化性混合物。
前記ポリイミド成分が4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン、ビス(3−メチル−5−エチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3,5−ジメチル−4−マレイミドフェニル)メタン、4,4’−ビスマレイミドジフェニルエーテル、4,4’−ビスマレイミドジフェニルスルホン、3,3’−ビスマレイミドジフェニルスルホン、ビスマレイミドジフェニルインダン、2,4−ビスマレイミドトルエン、2,6−ビスマレイミドトルエン、1,3−ビスマレイミドベンゼン、1,2−ビスマレイミドベンゼン、1,4−ビスマレイミドベンゼン、1,2−ビスマレイミドエタン、1,6−ビスマレイミドヘキサン、1,6−ビスマレイミド−(2,2,4−トリメチル)ヘキサン、1,6−ビスマレイミド−(2,4,4−トリメチル)ヘキサン、1,4−ビスマレイミドシクロヘキサン、1,3−ビス(マレイミドメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(マレイミドメチル)シクロヘキサンおよび4,4’−ビスマレイミドジシクロヘキシルメタンから選択された、少なくとも1つのポリイミドからなる、請求項1から6までのいずれか1項に記載の硬化性混合物。
【技術分野】
【0001】
本発明は、m−キシリレンビスマレイミドとポリイミドとコモノマーとをベースとする熱硬化性ポリイミド樹脂組成物に関する。また、本発明は、当該組成物を硬化させることによって得ることができる架橋樹脂に関する。新規の熱硬化性樹脂系は、構造用接着剤として、プリプレグおよび成形用コンパウンドのためのマトリックス樹脂として、ならびに構造用複合材料および/または電気的複合材料として使用される。新規の樹脂組成物は、殊に、湿潤加工技術、例えばフィラメントワインディング成形法、樹脂トランスファー成形法(RTM)、樹脂注入成形法(RIM)およびプリプレグ成形法による先進複合材料の製造に適している。
【0002】
発明の背景
ポリイミド、例えばビスマレイミド機能性化合物は、樹脂複合材料、接着剤および成形用コンパウンドにおいて広い用途を見出した、有用なモノマーである。当該ポリイミドは、重合の能力があり、高いガラス転移温度、高い弾性率および良好な耐熱性を有する、重合製品および重付加製品を生じることが公知である。
【0003】
しかし、重要なビスマレイミド類の構成要素、すなわち単核の芳香族N,N’−ビスマレイミドまたは多核の芳香族N,N’−ビスマレイミドは、高い融点および普通の溶剤中での乏しい溶解性だけを持つので、これらの芳香族N,N’−ビスマレイミドが乏しい取扱い特性を有することは、普通に公知である。前記の性質のせいで、当該N,N’−ビスマレイミド類を含有する硬化性混合物の使用は、しばしば、加工の困難さと関連している。さらに、過去に、当該N,N’−ビスマレイミド類を含む硬化性混合物をベースとする硬化物は脆く、かつ乏しい、熱時/湿潤時の性能を生じる、高い吸湿量を示すことが見い出された。したがって、当該N,N’−ビスマレイミド類をベースとする、多数の常用の硬化性混合物は、用途の点で厳しく制限されている。
【0004】
米国特許第4351932号明細書には、例えば、プリプレグ樹脂として使用するための、N,N’−ビスマレイミド類を含む混合物またはコモノマーとしてのN,N’−ビスマレイミド類とジビニルベンゼンとの混合物が記載されている。
【0005】
前記樹脂は、当該樹脂の短い可使時間および短いゲル化時間のせいで乏しい加工特性だけを持つ。前記樹脂から製造されたプリプレグは、短いアウトタイム(室温に暴露されている時間)ならびに乏しい粘着性および風合いを持つ。さらに、前記硬化物は、脆くかつ高い水分摂取量を示す。
【0006】
欧州特許出願公開第0469684号明細書A1には、N,N’−ビスマレイミド類を含む混合物、またはコモノマーとしてのN,N’−ビスマレイミド類とアルケニルフェノキシアルカンとの混合物が開示されている。前記硬化性混合物は、溶融状態で比較的低い粘度を有するが、当該硬化性混合物は、不安定な結晶化を被り、ホットメルト技術、例えばフィラメントワインディング成形法および樹脂トランスファー成形法による、繊維強化された複合材料の製造にはほとんど使用不可能である。さらに、普通の溶剤中での前記硬化性混合物の溶解性は、乏しく、このことは、溶剤/溶液プリプレグ成形法への当該硬化性混合物の適用性を制限する。
【0007】
米国特許第2008/0075965号明細書A1には、1つだけのマレイミドおよび芳香族ジエンまたは芳香族モノエンを含む接着剤配合物が開示されている。この出願の好ましい組成物は、1,3−ジイソプロペニルベンゼンとそのオリゴマーとをベースとしているか、または好ましいマレイミドとしてのリモネンビスマレイミドと組み合わされたイソプロペニル官能性基を有する化合物をベースとしている。当該組成物は、極めて速硬化性であり、かつそれゆえに、フィラメントワインディング成形法、樹脂トランスファー成形法等による繊維強化された組成物の製造には不適当である。前記混合物は、急速な樹脂の進歩のせいで粘度の不安定さを被る。
【0008】
米国特許第2012/0049106号明細書A1には、無水マレイン酸とアルケニル置換無水コハク酸との混合物を使用することによって合成されている、非晶質の低融点ビスマレイミド混合物が開示されている。しかし、前記混合物は、コモノマーの存在下で硬化した際に、低いガラス転移温度および無水コハク酸前駆体の長い脂肪族側鎖のせいで減少された長時間熱安定性を被る硬化物を提供する。
【0009】
それゆえに、硬化後に強靱でありかつ耐熱性であり、かつ繊維強化された組成物に対して、ホットメルトとして、および/または、溶液としての改善された加工特性を提供する、ポリイミドをベースとする硬化性混合物が必要とされる。
【0010】
単核の芳香族N,N’−ビスマレイミド類または多核の芳香族N,N’−ビスマレイミド類を含有する硬化性混合物の多数の加工の困難さならびに前記芳香族N,N’−ビスマレイミド類の適用の多数の制限が、使用されたビスマレイミド類の融点および普通の溶剤中での乏しい溶解性と関連している場合に、前記欠点を回避させる、ビスマレイミド類またはその混合物を見出すことが技術水準において試みられた。欧州特許出願公開第0469684号明細書A1には、例えば、融点を低下させるために、ビスマレイミド類の共晶混合物が使用されうることが開示されている。殊に、欧州特許出願公開第0469684号明細書A1(実施例5−11)には、強靱な硬化物のために、4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタンと2,4−ビスマレイミドトルエンとの共晶混合物を、コモノマーとしてのビス(アルケニルフェノキシ)アルカンと組み合わせて使用することができるか、単独で使用することができるか、或いは他のコモノマーとの組合せで使用することができることが開示されている。しかし、上記したように、前記硬化性混合物は、溶融状態で比較的低い粘度を有するが、当該硬化性混合物は、不安定な結晶化を被り、ホットメルト技術、例えばフィラメントワインディング成形法および樹脂トランスファー成形法による、繊維強化された複合材料の製造にはほとんど使用不可能である。さらに、普通の溶剤中での前記硬化性混合物の溶解性は、乏しく、このことは、溶剤/溶液プリプレグ成形法への当該硬化性混合物の適用性を制限する。
【0011】
それゆえに、本発明の目的は、低融点であり、最も低い実現可能な温度で低い粘度を有し、さらに、少なくとも、部品の製造に十分な時間の間、加工中の助長がないかまたはわずかしか(低い粘度の)助長がないという点で加工温度で安定性であり、かつさらに、製造プロセスの全体にわたって樹脂成分の結晶化がないという点で安定性である硬化性混合物を提供することである。
【0012】
さらに、本発明の目的は、安定した低粘度溶融樹脂を必要とする技術、例えばフィラメントワインディング成形法(FW)、ホットメルトプリプレグ成形法、樹脂トランスファー成形法(RTM)および樹脂注入成形法(RIM)を用いて繊維強化された複合材料に加工することができる、硬化性混合物および硬化性プレポリマーを提供することである。
【0013】
さらに、本発明の目的は、結晶化および樹脂の溶融状態の助長に関連して安定性である、低融点および低粘度のプレポリマーを提供することである。
【0014】
さらに、本発明の目的は、1,3−ジオキソランを含む低沸点溶剤中で溶解性であり、かつ樹脂の結晶化および助長に関連して、安定した溶液を形成する、硬化性混合物および硬化性プレポリマーを提供することである。
【0015】
したがって、本発明の基礎となる問題は、上述した望ましい特性を示す硬化性混合物を提供することにある。この問題は、下記に定義された硬化性混合物によって解決されることが見い出された。
【0016】
発明の要約
本発明は、1つの視点で、
式(I)
【化1】
のm−キシリレンビスマレイミドをRM%、
ポリイミド成分をRP%および
コモノマー成分をRC%
含む硬化性混合物であって、
前記ポリイミド成分が式(II)
【化2】
〔式中、
Aは、少なくとも2個の炭素原子を有するX官能性基であり、
Xは、2以上の整数であり、かつ
Bは、炭素−炭素の二重結合を有する二官能性基である〕の少なくとも1つのポリイミドからなり、
但し、Bが
【化3】
である場合、Aは、
【化4】
であることができずかつXは、2であることができず;
前記コモノマー成分がアルケニルフェノール、アルケニルフェノールエーテル、フェノールアルケニルエーテル、アルケニルフェノキシベンゾフェノン、ポリアミン、アミノフェノール、アミノ酸ヒドラジド、シアネートエステル、ジアリルフタレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、スチレンおよびジビニルベンゼンから選択された、少なくとも1つのコモノマーからなり、
およびその際に、
RM%は、1質量%〜98質量%として定義されており;
RP%は、1質量%〜98質量%として定義されており;
RC%は、1質量%〜98質量%として定義されており;
およびその際に、RM%、RP%およびRC%の総和は、100質量%以下である、前記硬化性混合物に関する。
【0017】
1つの実施態様において、前記ポリイミド成分は、式(II)の少なくとも1つのポリイミドからなり、上記式中、Aは、次の二官能性基:
a)2〜12個の炭素原子を有するアルキレン;
b)単環または二環の脂肪族基;
c)橋かけ多環の脂肪族基;
d)ヘテロ環式脂肪族基;
e)単環または二環の芳香族基;
f)橋かけ多環の芳香族基;
g)ヘテロ環式芳香族基;
(h)次の基:
【化5】
〔式中、R
17、R
18、R
19、R
20、R
21およびR
23は、同一かまたは異なりかつそのつど、互いに独立して、1〜6個の炭素原子を有するアルキルであり、
およびR
22およびR
24は、同一かまたは異なりかつそのつど、互いに独立して、1〜6個の炭素原子を有するアルキレンである〕の中の1つ;
(i)式(IX)
【化6】
〔式中、R
25は、次の基:
【化7】
の中から選択されている〕によって定義された基から選択されている。
【0018】
1つの実施態様において、式(II)中のBは、次の基:
【化8】
から選択されている。
【0019】
好ましい実施態様において、前記ポリイミド成分は、4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン、ビス(3−メチル−5−エチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3,5−ジメチル−4−マレイミドフェニル)メタン、4,4’−ビスマレイミドジフェニルエーテル、4,4’−ビスマレイミドジフェニルスルホン、3,3’−ビスマレイミドジフェニルスルホン、ビスマレイミドジフェニルインダン、2,4−ビスマレイミドトルエン、2,6−ビスマレイミドトルエン、1,3−ビスマレイミドベンゼン、1,2−ビスマレイミドベンゼン、1,4−ビスマレイミドベンゼン、1,2−ビスマレイミドエタン、1,6−ビスマレイミドヘキサン、1,6−ビスマレイミド−(2,2,4−トリメチル)ヘキサン、1,6−ビスマレイミド−(2,4,4−トリメチル)ヘキサン、1,4−ビスマレイミドシクロヘキサン、1,3−ビス(マレイミドメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(マレイミドメチル)シクロヘキサンおよび4,4’−ビスマレイミドジシクロヘキシルメタンから選択された、少なくとも1つのポリイミドからなる。
【0020】
1つの実施態様において、前記コモノマー成分は、
(a)式(III)
【化9】
〔式中、
R
1は、二官能性基であり、および
R
2およびR
3は、同一かまたは異なり、かつそのつど、互いに独立して、2〜6個の炭素原子を有するアルケニルである〕の化合物;
(b)式(IV)
【化10】
〔式中、
R
4は、二官能性基であり、および
R
5およびR
6は、同一かまたは異なり、かつそのつど、互いに独立して、2〜6個の炭素原子を有するアルケニルである〕の化合物;
(c)式(V)
【化11】
〔式中、
R
8は、二官能性基であり、および
R
7およびR
9は、同一かまたは異なり、かつそのつど、互いに独立して、2〜6個の炭素原子を有するアルケニルである〕の化合物;
(d)式(VI)
【化12】
〔式中、
R
11は、二官能性基であり、および
R
10およびR
12は、同一かまたは異なり、かつそのつど、互いに独立して、2〜6個の炭素原子を有するアルケニルである〕の化合物;
(e)式(VII)
【化13】
〔式中、
R
13は、Y官能性基であり、
R
14は、2〜6個の炭素原子を有するアルケニルであり、および
Yは、1以上の整数である〕の化合物;および
(f)式(VIII)
【化14】
〔式中、
R
15は、Z官能性基であり、
R
16は、2〜6個の炭素原子を有するアルケニルであり、および
Zは、1以上の整数である〕の化合物から選択された、少なくとも1つのコモノマーからなる。
【0021】
1つの実施態様において、R
1およびR
4は、次の基:
【化15】
から選択されており;および
R
2、R
3、R
5およびR
6は、好ましくは、同一であり、かつ1−プロペニルまたは2−プロペニルであり;
R
8およびR
11は、好ましくは、次の基:
【化16】
から選択されており;および
R
7、R
9、R
10およびR
12は、同一であり、かつ1−プロペニルまたは2−プロペニルであり;
R
13およびR
15は、次の基:
【化17】
から選択された二官能性芳香族基であり;および
R
14およびR
16は、1−プロペニルまたは2−プロペニルである。
【0022】
好ましい実施態様において、前記コモノマー成分は、3,3’−ジアリルビスフェノールA、ビスフェノールAのジアリルエーテル、ビス−(o−プロペニルフェノキシ)ベンゾフェノン、m−アミノベンズヒドラジド、ビスフェノールAジシアネートエステル、ジアリルフタレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、スチレンおよびジビニルベンゼンから選択された、少なくとも1つのコモノマーからなる。
【0023】
特に好ましくは、前記コモノマー成分は、3,3’−ジアリルビスフェノールA、ビスフェノールAのジアリルエーテル、ビス−(o−プロペニルフェノキシ)ベンゾフェノン、m−アミノベンズヒドラジドおよびビスフェノールAジシアネートエステルから選択された、少なくとも1つのコモノマーからなる。
【0024】
好ましい実施態様において、RM%は、5質量%〜70質量%として定義されており;RP%は、1質量%〜60質量%として定義されており;およびRC%は、20質量%〜80質量%として定義されている。
【0025】
1つの実施態様において、本発明の硬化性混合物は、さらに、硬化促進剤または硬化抑制剤を含む。
【0026】
1つの視点において、本発明は、工程:
上記に定義したような式(I)のm−キシリレンビスマレイミドと上記に定義したようなポリイミド成分と上記に定義したようなコモノマー成分とを、60℃〜180℃の範囲の温度で配合して硬化性混合物を低融点の低粘性の塊(樹脂)として得る工程
を含む、上記に定義したような硬化性混合物の製造法に関する。
【0027】
1つの視点において、本発明は、複数の工程:
上記に定義したようなm−キシリレンビスマレイミド(I)、上記に定義したようなポリイミド成分および上記に定義したようなコモノマー成分を溶剤中に溶解する工程、および
前記溶剤を取り除いて硬化性混合物を溶剤不含の低融点の低粘性の塊(樹脂)として得る工程
を含む、上記に定義したような硬化性混合物の製造法に関する。
【0028】
1つの実施態様において、前記溶剤は、1,3−ジオキソランまたは1,3−ジオキソラン含有溶剤である。
【0029】
1つの視点において、本発明は、工程:
上記に定義したような硬化性混合物を、熱および/または圧力の適用下になお成形性であるプレポリマーを得るのに十分な時間の間、25℃〜280℃の範囲の温度で維持する工程
を含む、硬化性プレポリマーの製造法に関する。
【0030】
1つの視点において、本発明は、上記に定義したような方法によって得ることができる硬化性プレポリマーに関する。
【0031】
1つの視点において、本発明は、工程:
上記に定義したような硬化性混合物または上記に定義したような硬化性プレポリマーを、硬化を完結させるのに十分な時間の間、70℃〜280℃の範囲の温度へ加熱する工程
を含む、架橋ポリマーの製造法に関する。
【0032】
1つの視点において、本発明は、上記に定義したような方法によって得ることができる架橋ポリマーに関する。
【0033】
1つの視点において、本発明は、複数の工程:
上記に定義したような方法によって得ることができる、安定した低融点の低粘性樹脂の形の硬化性混合物、または上記に定義したようなプレポリマーを、繊維状強化材または粒状強化材(充填材)上に塗布するかまたは当該の繊維状強化材または粒状強化材(充填材)と配合する工程;およびその後に硬化させる工程
を含む、複合材料の製造法に関する。
【0034】
1つの視点において、本発明は、上記に定義したような方法によって得ることができる複合材料に関する。
【0035】
1つの実施態様において、前記複合材料は、繊維強化複合材料または粒子充填複合材料である。
【0036】
1つの視点において、本発明は、プレポリマーまたは架橋ポリマーを製造するための、上記に定義したような硬化性混合物の使用に関する。
【0037】
定義
特許請求の範囲を含めて本明細書中で使用される、共通して使用されている用語は、次の意味を持つ。
【0038】
本明細書中で使用される、“硬化性”の用語は、本来の単数もしくは複数の化合物または単数もしくは複数の混合物材料が化学反応、架橋、放射線架橋等により、固体の、実質的に非流動性の材料へ変換されうることを意味する。
【0039】
本明細書中で使用される、“混合物”の用語は、物理的凝集体または機械的凝集体を意味するかまたは化学的に結合されていない、3つ以上の個々の、化学的に区別される化合物の組合せを意味する。
【0040】
本明細書中で使用される、“ポリイミド成分”の用語は、1つのポリイミドまたは2つ以上のポリイミドの混合物、好ましくは1つのポリイミドまたは2つないし4つのポリイミドの混合物を意味する。
【0041】
本明細書中で使用される、“コモノマー”の用語は、重合または共重合を被ることができ、それによって複数の構成単位をポリマーの基本構造にもたらす化合物を意味する。
【0042】
本明細書中で使用される、“コモノマー成分”の用語は、1つのコモノマーまたは2つ以上のコモノマーの混合物、好ましくは1つのコモノマーまたは2つないし4つのコモノマーの混合物を意味する。
【0043】
本明細書中で使用される、“RM%”の用語は、式(I)のm−キシリレンビスマレイミドが硬化性混合物中に存在する、質量%での量を示す。
【0044】
本明細書中で使用される、“RP%”の用語は、ポリイミド成分が硬化性混合物中に存在する、質量%での量を示す。
【0045】
本明細書中で使用される、“RC%”の用語は、コモノマー成分が硬化性混合物中に存在する、質量%での量を示す。
【0046】
本明細書中で使用される、“アルケニルフェノール”の用語は、少なくとも1個のアルケニル置換フェノール基を含む有機化合物を意味する。“アルケニルフェノール”の用語は、2個のフェノール基が二官能性基、例えばアルケニルビスフェノールを介して架橋されているアルケニルフェノールを含む。例は、3,3’−ジアリル−ビスフェノールAを含む。
【0047】
本明細書中で使用される、“アルケニルフェニルエーテル”の用語は、少なくとも1個のアルケニルオキシフェニル基、すなわち、一方ではエーテル酸素原子が、アルケニル基に結合されておりかつ他方ではフェニル基に結合されているエーテル基を含む有機化合物を意味する。“アルケニルフェニルエーテル”の用語は、2個のフェニル基が二官能性基、例えばアルケニルビスフェノールエーテルによって架橋されているアルケニルフェニルエーテルを含む。例は、ビスフェノールAのジアリルエーテルを含む。
【0048】
本明細書中で使用される、“アルケニルフェノールエーテル”の用語は、少なくとも1個のアルケニルフェノキシ基、例えば、エーテル酸素原子が、一方ではアルケニルフェニル基に結合されておりかつ他方ではアルキル基またはアリール基に結合されているエーテル基を含む有機化合物を意味する。“アルケニルフェノールエーテル”の用語は、2個のアルケニルフェノキシ基が二官能性基、例えば芳香族基、例えばベンゾフェノン基によって架橋されている有機化合物を含む。例は、ビス−(o−プロペニルフェノキシ)ベンゾフェノンを含む。
【0049】
本明細書中で使用される、“ポリアミン”の用語は、2個以上の第一級アミノ基−NH
2を持つ有機化合物を意味する。例は、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジフェニルインダン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、m−キシリレンジアミンおよび脂肪族ジアミン、例えばエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、および1,12−ジアミノドデカンを含むが、しかし、これらに限定されるものではない。
【0050】
本明細書中で使用される、“アミノフェノール”の用語は、アミノ置換フェノールを意味する。例は、m−アミノフェノールおよびp−アミノフェノールを含む。
【0051】
本明細書中で使用される、“アミノ酸ヒドラジド”の用語は、アミノ酸の任意のヒドラジドを意味する。例は、m−アミノベンズヒドラジドおよびp−アミノベンズヒドラジドを含む。
【0052】
本明細書中で使用される、“シアネートエステル”は、ビスフェノールまたはポリフェノール、例えばフェノール性OH基の水素原子がシアノ基によって置換されて−OCN基を生じる、ビスフェノールノボラック型またはポリフェノールノボラック型、ビスフェノール誘導体またはポリフェノール誘導体を意味する。例は、例えばLonza社からPrimaset BADCyとして、またはHuntsman社からAroCy B−10として、ならびに他のPrimasetまたはAroCyタイプとして、商業的に入手可能なビスフェノールAジシアネートエステル、例えばビス(3,5−ジメチル−4−シアナトフェニル)メタン(AroCy M−1O)、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)エタン(AroCy L−10)、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(AroCy F−10)、1,3−ビス(1−(4−シアナトフェニル)−1−メチルエチリデン)ベンゼン(AroCy XU−366)、ジ(4−シアナトフェニル)チオエーテル(AroCy RDX−80371;AroCy T−10)、ビス(4−シアナトフェニル)ジクロロメチリデンメタン(AroCy RD98−228)、ビス(4−シアナトフェニル)オクタヒドロ−4,7−メタノインデン(AroCy XU−71787.02L)、ならびにビス(4−シアナトフェニル)メタン、ビス(3−メチル−4−シアナトフェニル)メタン、ビス(3−エチル−4−シアナトフェニル)メタン、ジ(4−シアナトフェニル)エーテル、4,4−ジシアナトビフェニル、1,4−ビス(1−(4−シアナトフェニル)−1−メチルエチリデン)ベンゼン、およびレゾルシノールジシアネートを含む。好ましい例は、ビスフェノールAジシアネートエステルである。
【0053】
括弧と交差した任意の化学結合は、括弧内の部分を同じ化合物の他の部分に結合する1つの化学結合を示す。例えば、下方に示された基中で、右側の括弧と交差したエテニル基の2個の化学結合は、この一方の部分を、このエテニル基を含む化合物の他方の部分に結合する。
【0054】
【化18】
【0055】
本明細書中で使用される、“ハロゲン”の用語は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子、好ましくはフッ素原子または塩素原子、より好ましくはフッ素原子を意味する。
【0056】
本明細書中で使用される、“アルキル”は、直鎖状アルキル基または分枝鎖状アルキル基を意味する。“n個〜m個の炭素原子を有するアルキル”の用語は、n個〜m個の炭素原子を有するアルキル基を意味する。別記しない場合には、“アルキル”は、1〜6個の炭素原子を有するアルキルを意味する。本発明の記載内容において、好ましいアルキル基は、1〜4個の炭素原子を有する直鎖状アルキル基または1〜4個の炭素原子を有する分枝鎖状アルキル基である。直鎖状アルキル基または分枝鎖状アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、異性体ペンチル、異性体ヘキシル、好ましくはメチルおよびエチル、最も好ましくはメチルを含むが、しかし、これらに限定されるものではない。
【0057】
本明細書中で使用される“アルキレン”は、二官能性アルキル基を意味する。“n個〜m個の炭素原子を有するアルキレン”の用語は、n個〜m個の炭素原子を有するアルキレン基を意味する。別記しない場合には、“アルキレン”は、1〜12個の炭素原子を有するアルキレンを意味する。本発明の記載内容において、好ましいアルキレン基は、1〜9個の炭素原子、より好ましくは1〜6個の炭素原子を有するアルキレン基である。例は、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ヘキサメチレンおよび2,2,4−トリメチルヘキサメチレンを含むが、しかし、これらに限定されるものではない。2,2,4−トリメチルヘキサメチレンが特に好ましい。
【0058】
本明細書中で使用される“アルコキシ”は、酸素原子(−O−)を介して化合物に結合されている直鎖状アルキル基または分枝鎖状アルキル基を意味する。“n個〜m個の炭素原子を有するアルコキシ”の用語は、n個〜m個の炭素原子を有するアルコキシ基を意味する。別記しない場合には、“アルコキシ”は、1〜6個の炭素原子を有する直鎖状アルコキシ基または分枝鎖状アルコキシ基を意味する。本発明の記載内容において、好ましいアルコキシ基は、1〜4個の炭素原子を有する直鎖状アルコキシ基または分枝鎖状アルコキシ基である。
【0059】
本明細書中で使用される“アルケニル”は、炭素−炭素の二重結合を有する直鎖状炭化水素基または分枝鎖状炭化水素基を意味する。“n個〜m個の炭素原子を有するアルケニル”の用語は、n個〜m個の炭素原子を有するアルケニル基を意味する。別記しない場合には、“アルケニル”は、炭素−炭素の二重結合を任意の望ましい位置に有しかつ2〜10個の炭素原子を含む直鎖状炭化水素基または分枝鎖状炭化水素基を意味する。本発明の記載内容において、好ましいアルケニル基は、炭素−炭素の二重結合を任意の望ましい位置に有しかつ2〜6個、より好ましくは2〜4個の炭素原子を含む。アルケニル基の例は、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、イソプロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニルおよびイソブテニルを含むが、しかし、これらに限定されるものではない。好ましい例は、1−プロペニルおよび2−プロペニルである。
【0060】
本明細書中で使用される“単環の脂肪族基”は、シクロアルキレン基を意味する。
【0061】
本明細書中で使用される“シクロアルキレン”は、二官能性の飽和環系を意味する。“n個〜m個の炭素原子を有するシクロアルキレン”の用語は、n個〜m個の炭素原子を有するシクロアルキレン基を意味する。別記しない場合には、“シクロアルキレン”は、3〜8個の炭素原子を有するシクロアルキレン基を意味する。本発明の記載内容において、好ましいシクロアルキレン基は、5〜7個、より好ましくは5または6個の炭素原子を有するシクロアルキレン基である。例は、シクロプロピレン、シクロブチレン、シクロペンチレン、シクロヘキシレン、シクロヘプチレンまたはシクロオクチレン、好ましくはシクロペンチレンおよびシクロヘキシレンを含むが、しかし、これらに限定されるものではない。
【0062】
本明細書中で使用される“二環の脂肪族基”は、二官能性の縮合二環系、架橋二環系または融合飽和二環系を意味する。別記しない限り、“二環の脂肪族基”は、9〜20個の炭素原子を有する、二官能性の縮合二環系、架橋二環系または融合飽和二環系を意味する。例は、デカリニル、ヒドリンダニルおよびノルボルニルを含むが、しかし、これらに限定されるものではない。
【0063】
本明細書中で使用される、“橋かけ多環の脂肪族基”の用語は、炭素−炭素の直接結合によって互いに結合されているかまたは二官能性基、例えば−O−、−S−または1〜3個の炭素原子を有するアルキレンによって互いに結合されている、2個以上の単環または二環の脂肪族基を含む基を意味し;好ましくは、“橋かけ多環の脂肪族基”の用語は、炭素−炭素の直接結合によって互いに結合されているかまたは二官能性基、例えば−O−、−S−または1〜3個の炭素原子を有するアルキレンによって互いに結合されている、2個の単環の脂肪族基を含む基を意味し;特に好ましくは、“橋かけ多環の脂肪族基”の用語は、炭素−炭素の直接結合によって互いに結合されているかまたは二官能性基、例えば−O−、−S−または1〜3個の炭素原子を有するアルキレンによって互いに結合されている、2個のシクロヘキシレン環を意味する。
【0064】
本明細書中で使用される、“ヘテロ環式脂肪族基”の用語は、炭素原子に加えて、窒素原子、酸素原子および/または硫黄原子から選択された、1個、2個または3個の原子を含む二官能性の飽和環系を意味する。好ましいヘテロ環式脂肪族基は、4〜5個の炭素原子および1個の窒素原子、酸素原子または硫黄原子を含む前記ヘテロ環式脂肪族基である。
【0065】
本明細書中で使用される、“単環または二環の芳香族基”の用語は、二官能性の単環または二環の芳香族基、好ましくは6〜12個の炭素原子を有する、二官能性の単環または二環の芳香族基、より好ましくは単環の芳香族系を意味する。例は、トルエン、フェニレン、ナフチレン、テトラヒドロナフチレン、インデニレン、インダニレン、ペンタレニレン、フルオレニレン等、好ましくはトルエン、フェニレンまたはインダニレンを含むが、しかし、これらに限定されるものではない。
【0066】
本明細書中で使用される、“橋かけ多環の芳香族基”の用語は、炭素−炭素の直接結合によって互いに結合されているかまたは二官能性基、例えば−O−、−S−または1〜3個の炭素原子を有するアルキレンによって互いに結合されている、2個以上の単環または二環の芳香族基、好ましくはそのつど6〜12個の炭素原子を有する、2個以上の単環または二環の芳香族基を含む基を意味し;好ましくは、“橋かけ多環の芳香族基”の用語は、炭素−炭素の直接結合によって互いに結合されているかまたは二官能性基、例えば−O−、−S−または1〜3個の炭素原子を有するアルキレンによって互いに結合されている、2個の単環の芳香族基を意味し;特に好ましくは、“橋かけ多環の芳香族基”の用語は、炭素−炭素の直接結合によって互いに結合されているかまたは二官能性基、例えば−O−、−S−または1〜3個の炭素原子を有するアルキレンによって互いに結合されている、2個のフェニレン環を意味する。
【0067】
本明細書中で使用される、“ヘテロ環式芳香族基”の用語は、窒素原子、酸素原子および/または硫黄原子から選択された、1個、2個または3個の原子を含む、単環の芳香族5員環または芳香族6員環を意味するか、或いは1個または2個の環が窒素原子、酸素原子または硫黄原子から選択された、1個、2個または3個の原子を含むことができる、2個の5員環または6員環を含む二環の芳香族基を意味する。例は、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、オキサゾリル、オキシジアゾリル、イソキサゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、チエニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、ピラゾロ[1,5−a]ピリジル、イミダゾ[1,2−a]ピリジル、キノキサリニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、インドリル、インダゾリルを含むが、しかし、これらに限定されるものではない。
【0068】
本明細書中で使用される、“非置換”または“置換”を加えることは、それぞれの基が非置換であるかまたはアルキル、アルコキシおよびハロゲンから選択された、1〜4個の置換基を有することを意味する。好ましい置換基は、メチルまたはエチルである。
【0069】
本明細書中で使用される、それぞれの“X官能性基”、“Y官能性基”および“Z官能性基”の用語は、そのつど、単数もしくは複数のX化学結合、単数もしくは複数のY化学結合または単数もしくは複数のZ化学結合を介して化合物の残分に結合されている基を意味する。好ましくは、“X官能性基”、“Y官能性基”および“Z官能性基”は、二官能性基であり、すなわち、X、YおよびZは、好ましくは2である。
【0070】
本明細書中で使用される、“二官能性基”の用語は、2個の化学結合を介して化合物の残分に結合されている基を意味する。二官能性基は、二官能性脂肪族基および二官能性芳香族基を含むが、しかし、これらに限定されるものではない。二官能性脂肪族基は、次の基:
【化19】
を含むが、しかし、これらに限定されるものではない。
【0071】
二官能性芳香族基は、次の基:
【化20】
を含むが、しかし、これらに限定されるものではない。
【0072】
さらに、二官能性基は、次の基:
【化21】
を含むが、しかし、これらに限定されるものではない。
【0073】
本明細書中で使用される、“ガラス転移温度”または“Tg”の用語は、非晶質固体、例えばポリマーが冷却時に脆性になるかまたは加熱時に軟質になる場合の高い弾性状態とガラス質状態との間の前記ポリマーの可逆的な転移温度を意味する。より詳述すれば、前記の“ガラス転移温度”または“Tg”の用語は、過冷却された融液が、冷却時に、ガラス質構造を生じかつ結晶性材料、例えば等方性の固体材料の性質と同様の性質を生じる、擬似的な二次相転移を定義する。
【0074】
本明細書中で使用される、“曲げ弾性率”の用語は、材料の剛性の基準を意味する。弾性の限界内で、弾性率は、線形歪みに対する線形応力の比であり、曲げ試験中にもたらされた、応力歪み曲線の勾配から測定されうる。
【0075】
発明の詳細な説明
本発明は、1つの視点において、
式(I)
【化22】
のm−キシリレンビスマレイミドをRM%、
ポリイミド成分をRP%および
コモノマー成分をRC%
含む硬化性混合物であって、
前記ポリイミド成分が式(II)
【化23】
〔式中、
Aは、少なくとも2個の炭素原子を有するX官能性基であり、
Xは、2以上の整数であり、かつ
Bは、炭素−炭素の二重結合を有する二官能性の有機基である〕の少なくとも1つのポリイミドからなり、
但し、Bが
【化24】
である場合、Aは、
【化25】
であることができずかつXは、2であることができず;
前記コモノマー成分がアルケニルフェノール、アルケニルフェニルエーテル、アルケニルフェノールエーテル、ポリアミン、アミノフェノール、アミノ酸ヒドラジド、シアネートエステル、ジアリルフタレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、スチレンおよびジビニルベンゼンから選択された、少なくとも1つのコモノマーからなり、
およびその際に、
RM%は、1質量%〜98質量%として定義されており;
RP%は、1質量%〜98質量%として定義されており;
RC%は、1質量%〜98質量%として定義されており;
およびその際に、RM%、RP%およびRC%の総和は、100質量%以下である、前記硬化性混合物に関する。
【0076】
ところで、意外なことに予期せずに、上記に定義したような硬化性混合物は、溶液およびホットメルトにより、強靱でありかつ耐熱性の硬化された生成物に加工されることができることが見い出された。さらに、上記に定義したような本発明の硬化性混合物は、結晶化なしに貯蔵時に安定性であることが見い出された。
【0077】
前記の式(I)のm−キシリレンビスマレイミド、前記ポリイミド成分および前記コモノマーは、商業的に入手可能であるかまたは当業者に公知の方法によって得ることができる。式(II)のポリイミド成分の製造法および構造は、米国特許第3127414号明細書、米国特許第3839358号明細書、米国特許第4229351号明細書、米国特許第4855450号明細書および米国特許第5747615号明細書中に記載されている。アルケニルフェノール、アルケニルフェニルエーテルおよびフェニルアリルエーテルは、米国特許第4100140号明細書、米国特許第4789704号明細書、米国特許第4981934号明細書、米国特許第4632966号明細書および米国特許第4853449号明細書中に記載されている。本明細書中に記載された、本発明の実施例において使用される全てのポリイミド成分およびコモノマーは、例えばEvonik Industries社、Lonza在(シアネートエステル)およびTCI Europe N.V.社(ビス(3−メチル−5−エチル−4−マレイミドフェニル)メタン)から商業的に入手可能である。
【0078】
1つの実施態様において、式(II)のポリイミド中で、Xは、2〜4の整数である。特に好ましいXは、2である。
【0079】
1つの実施態様において、式(II)のポリイミド中で、Aは、次の二官能性基:
h)2〜12個の炭素原子を有するアルキレン;
i)単環または二環の脂肪族基;
j)橋かけ多環の脂肪族基;
k)ヘテロ環式脂肪族基;
l)単環または二環の芳香族基;
m)橋かけ多環の芳香族基;
n)ヘテロ環式芳香族基;
(h)次の基:
【化26】
〔ここで、R
17、R
18、R
19、R
20、R
21およびR
23は、同一かまたは異なり、かつそのつど、1〜6個の炭素原子を有する他のアルキルとは無関係であり、好ましくは、R
17、R
18、R
19、R
20、R
21およびR
23は、メチルであり;
およびR
22およびR
24は、同一かまたは異なり、かつそのつど、1〜6個の炭素原子を有する他のアルキレンとは無関係であり、好ましくは、R
22およびR
24は、メチレンである〕の1つ;
(i)式(IX)
【化27】
〔ここで、R
25は、次の基:
【化28】
から選択されている〕によって定義された基から選択されている。
【0080】
1つの実施態様において、式(II)のポリイミド中で、Aは、次の二官能性基:
a)2〜6個の炭素原子を有する、置換アルキレンまたは非置換アルキレン、好ましくは2,2,4−トリメチルヘキサメチレン;
b)5〜6個の炭素原子を有する、置換シクロアルキレンまたは非置換シクロアルキレン、好ましくはシクロペンチレンまたはシクロヘキシレン;
c)炭素−炭素の直接結合によって互いに結合されているか、または二官能性基、例えば−O−、−S−または1〜3個の炭素原子を有するアルキレンによって互いに結合されている、2個の単環の脂肪族基;
d)4〜5個の炭素原子および1個の窒素原子、酸素原子または硫黄原子を有するヘテロ環式基;
e)6〜12個の炭素原子を有する、単環の芳香族系;
f)炭素−炭素の直接結合によって互いに結合されているか、または二官能性基、例えば−O−、−S−または1〜3個の炭素原子を有するアルキレンによって互いに結合されている、2個の単環の芳香族基;
g)窒素原子、酸素原子および/または硫黄原子から選択された、1個、2個または3個の原子を含む、芳香族の5員環もしくは6員環または部分的に不飽和の5員環もしくは6員環;および
i)式(IX)
【化29】
〔式中、R
25は、
【化30】
である〕によって定義された基
から選択されている。
【0081】
好ましい実施態様において、式(II)のポリイミド中で、Aは、次の二官能性基:
エチレン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレン、ヘキサメチレン、シクロヘキシレン、ジシクロヘキシルメチレン、3,3’−ジフェニルスルホニレン、1,3−ベンゼン、1,2−ベンゼン、2,4−トルエン、2,6−トルエン、
【化31】
から選択されている。
【0082】
1つの実施態様において、式(II)のポリイミド中で、Bは、次の基:
【化32】
から選択されている。
【0083】
好ましくは、Bは、次の基:
【化33】
から選択されている。
【0084】
特に好ましい実施態様において、Bは、
【化34】
である。
【0085】
好ましい実施態様において、前記ポリイミド成分は、4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン、ビス(3−メチル−5−エチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3,5−ジメチル−4−マレイミドフェニル)メタン、4,4’−ビスマレイミドジフェニルエーテル、4,4’−ビスマレイミドジフェニルスルホン、3,3’−ビスマレイミドジフェニルスルホン、ビスマレイミドジフェニルインダン、2,4−ビスマレイミドトルエン、2,6−ビスマレイミドトルエン、1,3−ビスマレイミドベンゼン、1,2−ビスマレイミドベンゼン、1,4−ビスマレイミドベンゼン、1,2−ビスマレイミドエタン、1,6−ビスマレイミドヘキサン、1,6−ビスマレイミド−(2,2,4−トリメチル)ヘキサン、1,4−ビスマレイミドシクロヘキサン、1,3−ビス(マレイミドメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(マレイミドメチル)シクロヘキサンおよび4,4’−ビスマレイミドジシクロヘキシルメタンから選択された、少なくとも1つのポリイミドからなる。
【0086】
1つの実施態様において、前記コモノマー成分は、
(a)式(III)
【化35】
〔式中、
R
1は、二官能性基であり、および
R
2とR
3は、同一かまたは異なり、かつそのつど、互いに独立して、2〜6個の炭素原子を有するアルケニルである〕の化合物;
(b)式(IV)
【化36】
〔式中、
R
4は、二官能性基であり、および
R
5とR
6は、同一かまたは異なり、かつそのつど、互いに独立して、2〜6個の炭素原子を有するアルケニルである〕の化合物;
(c)式(V)
【化37】
〔式中、
R
8は、二官能性基であり、および
R
7とR
9は、同一かまたは異なり、かつそのつど、互いに独立して、2〜6個の炭素原子を有するアルケニルである〕の化合物;
(d)式(VI)
【化38】
〔式中、
R
11は、二官能性基であり、および
R
10とR
11は、同一かまたは異なり、かつそのつど、互いに独立して、2〜6個の炭素原子を有するアルケニルである〕の化合物;
(e)式(VII)
【化39】
〔式中、
R
13は、Y官能性基であり、
R
14は、2〜6個の炭素原子を有するアルケニルであり、および
Yは、1以上の整数である〕の化合物;および
(f)式(VIII)
【化40】
〔式中、
R
15は、Z官能性基であり、
R
16は、2〜6個の炭素原子を有するアルケニルであり、および
Zは、1以上の整数である〕の化合物
から選択された、少なくとも1つのコモノマーからなる。
【0087】
1つの実施態様において、式(III)中で、R
1は、次の基:
【化41】
から選択されている。
【0088】
特に好ましい実施態様において、R
1は、
【化42】
である。
【0089】
1つの実施態様において、式(III)の化合物中で、R
2とR
3は、同一でありかつ1−プロペニルまたは2−プロペニル;好ましくは1−プロペニルである。
【0090】
特に好ましい実施態様において、式(III)の化合物は、式(IIIa)
【化43】
の3,3’−ジアリルビスフェノールAである。
【0091】
1つの実施態様において、式(IV)の化合物中で、R
4は、次の基:
【化44】
から選択されている。
【0092】
特に好ましい実施態様において、R
4は、
【化45】
である。
【0093】
1つの実施態様において、式(IV)の化合物中で、R
5とR
6は、同一でありかつ1−プロペニルまたは2−プロペニル;好ましくは1−プロペニルである。
【0094】
特に好ましい実施態様において、式(IV)の化合物は、式(IVa)
【化46】
のビスフェノールAのジアリルエーテルである。
【0095】
1つの実施態様において、式(V)の化合物中で、R
8は、二官能性の芳香族基である。好ましい実施態様において、R
8は、次の基:
【化47】
から選択されている。
【0096】
特に好ましい実施態様において、R
8は、
【化48】
である。
【0097】
1つの実施態様において、式(V)の化合物中で、R
7とR
8は、同一でありかつ1−プロペニルまたは2−プロペニル;好ましくは1−プロペニルである。
【0098】
特に好ましい実施態様において、式(V)の化合物は、式(Va)
【化49】
のビス−(o−プロペニルフェノキシ)ベンゾフェノンである。
【0099】
1つの実施態様において、式(VI)の化合物中で、R
11は、二官能性の芳香族基である。好ましい実施態様において、R
11は、次の基;
【化50】
から選択されている。
【0100】
特に好ましい実施態様において、R
11は、
【化51】
である。
【0101】
1つの実施態様において、式(VI)の化合物中で、R
10とR
11は、同一でありかつ1−プロペニルまたは2−プロペニル;好ましくは1−プロペニルである。
【0102】
1つの実施態様において、式(VII)の化合物中で、Yは、1〜4、好ましくは1または2の整数である。特に好ましいYは、2である。
【0103】
1つの実施態様において、式(VII)の化合物中で、R
13は、二官能性基である。好ましい実施態様において、R
13は、次の基
【化52】
から選択されている。
【0104】
1つの実施態様において、式(VII)の化合物中で、R
14は、1−プロペニルまたは2−プロペニル;好ましくは1−プロペニルである。
【0105】
1つの実施態様において、式(VIII)の化合物中で、Zは、1〜4、好ましくは1または2の整数である。特に好ましいZは、2である。
【0106】
1つの実施態様において、式(VIII)の化合物中で、R
15は、二官能性の芳香族基である。好ましい実施態様において、R
15は、次の基:
【化53】
から選択されている。
【0107】
1つの実施態様において、式(VIII)の化合物中で、R
16は、1−プロペニルまたは2−プロペニル;好ましくは1−プロペニルである。
【0108】
好ましい実施態様において、前記コモノマー成分は、3,3’−ジアリルビスフェノールA、ビスフェノールAのジアリルエーテル、ビス−(o−プロペニルフェノキシ)ベンゾフェノン、m−アミノベンズヒドラジド、ビスフェノールAジシアネートエステル、ジアリルフタレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、スチレンおよびジビニルベンゼンから選択された、少なくとも1つのコモノマーからなる。
【0109】
特に好ましい実施態様において、前記コモノマー成分は、3,3’−ジアリルビスフェノールA、ビスフェノールAのジアリルエーテル、ビス−(o−プロペニルフェノキシ)ベンゾフェノン、m−アミノベンズヒドラジドおよびビスフェノールAジシアネートエステルから選択された、少なくとも1つのコモノマーからなる。
【0110】
1つの実施態様において、前記ポリイミド成分は、4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン、ビス(3−メチル−5−エチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3,5−ジメチル−4−マレイミドフェニル)メタン、4,4’−ビスマレイミドジフェニルエーテル、4,4’−ビスマレイミドジフェニルスルホン、3,3’−ビスマレイミドジフェニルスルホン、ビスマレイミドジフェニルインダン、2,4−ビスマレイミドトルエン、2,6−ビスマレイミドトルエン、1,3−ビスマレイミドベンゼン、1,2−ビスマレイミドベンゼン、1,4−ビスマレイミドベンゼン、1,2−ビスマレイミドエタン、1,6−ビスマレイミドヘキサン、1,6−ビスマレイミド−(2,2,4−トリメチル)ヘキサン、1,6−ビスマレイミド−(2,4,4−トリメチル)ヘキサン、1,4−ビスマレイミドシクロヘキサン、1,3−ビス(マレイミドメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(マレイミドメチル)シクロヘキサンおよび4,4’−ビスマレイミドジシクロヘキシルメタンから選択された、少なくとも1つのポリイミドからなり、および
前記コモノマー成分は、
(a)式(III)
【化54】
〔式中、
R
1は、二官能性基であり、および
R
2とR
3は、同一かまたは異なり、かつそのつど、互いに独立して、2〜6個の炭素原子を有するアルケニルである〕の化合物;
(b)式(IV)
【化55】
〔式中、
R
4は、二官能性基であり、および
R
5とR
6は、同一かまたは異なり、かつそのつど、互いに独立して、2〜6個の炭素原子を有するアルケニルである〕の化合物;および
(c)式(V)
【化56】
〔式中、
R
8は、二官能性基であり、および
R
7とR
9は、同一かまたは異なり、かつそのつど、互いに独立して、2〜6個の炭素原子を有するアルケニルである〕の化合物
から選択された、少なくとも1つのコモノマーからなる。
【0111】
1つの実施態様において、前記ポリイミド成分は、4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン、ビス(3−メチル−5−エチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3,5−ジメチル−4−マレイミドフェニル)メタン、4,4’−ビスマレイミドジフェニルエーテル、4,4’−ビスマレイミドジフェニルスルホン、3,3’−ビスマレイミドジフェニルスルホン、ビスマレイミドジフェニルインダン、2,4−ビスマレイミドトルエン、2,6−ビスマレイミドトルエン、1,3−ビスマレイミドベンゼン、1,2−ビスマレイミドベンゼン、1,4−ビスマレイミドベンゼン、1,2−ビスマレイミドエタン、1,6−ビスマレイミドヘキサン、1,6−ビスマレイミド−(2,2,4−トリメチル)ヘキサン、1,6−ビスマレイミド−(2,4,4−トリメチル)ヘキサン、1,4−ビスマレイミドシクロヘキサン、1,3−ビス(マレイミドメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(マレイミドメチル)シクロヘキサンおよび4,4’−ビスマレイミドジシクロヘキシルメタンから選択された、少なくとも1つのポリイミドからなり;
前記コモノマー成分は、3,3’−ジアリルビスフェノールA、3,3’−ジアリルビスフェノールF、ビスフェノールAのジアリルエーテル、ビスフェノールFのジアリルエーテル、ビス−(o−プロペニルフェノキシ)ベンゾフェノン、ビス−(2−メトキシ−4−プロペニルフェノキシ)ベンゾフェノン、ビスフェノールAジシアネートエステル、ジアリルフタレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、スチレン、ジビニルベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、1,3−ジアミノベンゼン(m−フェニレンジアミン)、4,4’−ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、m−アミノベンズヒドラジドから選択された、少なくとも1つのコモノマーからなり、
および
RM%は、20質量%〜40質量%の範囲として定義されており;および
RP%は、10質量%〜70質量%の範囲として定義されており;および
RC%は、10質量%〜50質量%の範囲として定義されており;および
RM%、RP%およびRC%の総和は、100質量%以下であることが定義されている。
【0112】
1つの実施態様において、前記ポリイミド成分は、ビス(3−メチル−5−エチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3,5−ジメチル−4−マレイミドフェニル)メタン、3,3’−ビスマレイミドジフェニルスルホン、ビスマレイミドジフェニルインダン、1,2−ビスマレイミドベンゼン、1,6−ビスマレイミド−(2,2,4−トリメチル)ヘキサン、1,4−ビスマレイミドシクロヘキサン、1,3−ビス(マレイミドメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(マレイミドメチル)シクロヘキサンから選択された、少なくとも1つのポリイミドからなり;
および
前記コモノマー成分は、3,3’−ジアリルビスフェノールA、3,3’−ジアリルビスフェノールF、ビスフェノールAのジアリルエーテル、ビスフェノールFのジアリルエーテル、ビス−(o−プロペニルフェノキシ)ベンゾフェノン、ビス−(2−メトキシ−4−プロペニルフェノキシ)ベンゾフェノン、ビスフェノールAジシアネートエステル、ジアリルフタレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、スチレン、ジビニルベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、1,3−ジアミノベンゼン(m−フェニレンジアミン)、4,4’−ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、m−アミノベンズヒドラジドから選択された、少なくとも1つのコモノマーからなり、
および
RM%は、20質量%〜40質量%の範囲として定義されており;および
RP%は、10質量%〜70質量%の範囲として定義されており;および
RC%は、10質量%〜50質量%の範囲として定義されており;および
RM%、RP%およびRC%の総和は、100質量%以下であることが定義されている。
【0113】
1つの実施態様において、RM%は、1質量%〜95質量%;例えば、1質量%〜90質量%、1質量%〜85質量%、1質量%〜80質量%、1質量%〜75質量%、5質量%〜70質量%、10質量%〜70質量%、または10質量%〜65質量%の範囲として定義されている。
【0114】
1つの実施態様において、RP%は、1質量%〜95質量%;例えば、1質量%〜90質量%、1質量%〜85質量%、1質量%〜80質量%、1質量%〜75質量%、1質量%〜70質量%、1質量%〜65質量%、1質量%〜60質量%、2質量%〜55質量%、2質量%〜50質量%または5質量%〜50質量%の範囲として定義されている。
【0115】
1つの実施態様において、RC%は、5質量%〜95質量%;例えば、10質量%〜90質量%、15質量%〜85質量%、20質量%〜80質量%、20質量%〜75質量%、20質量%〜70質量%、21質量%〜65質量%、22質量%〜60質量%、23質量%〜55質量%、24質量%〜50質量%または25質量%〜45質量%の範囲として定義されている。
【0116】
好ましい実施態様において、RM%は、5質量%〜70質量%として定義されており;RP%は、1質量%〜60質量%として定義されており;およびRC%は、20質量%〜80質量%として定義されている。
【0117】
RM%が10質量%〜65質量%の範囲である硬化性混合物は、70℃〜100℃の範囲の温度で結晶化なしに極めて低い粘度を有することが見い出された。本発明の当該の硬化性混合物のさらなる利点は、加工温度で当該硬化性混合物の粘度が安定性であることであり、このことは、錯体および大きな成分の経済的な製造を可能にする。
【0118】
特に好ましい硬化性混合物は、下記の第1表中に示されている:
【表1】
【0119】
本発明の硬化性混合物の多数の技術的用途のために、触媒の添加によって硬化を促進させることは有利である。
【0120】
それゆえに、1つの実施態様において、本発明の硬化性混合物は、さらに、1つ以上の硬化促進剤を含む。
【0121】
硬化促進剤は、例えば塩基性触媒を含めて有効な硬化触媒を含み、第三級アミン、例えばトリエチルアミン、ジメチルアニリン、およびヘテロ環式塩基、例えばアザビシクロオクタン、キノリン、イミダゾールならびにこれらの同族体、および第四級アンモニウム化合物を含むが、しかし、これらに限定されるものではない。また、第三級ホスフィン、例えばトリフェニルホスフィンおよび第四級ホスホニウム化合物、例えばトリフェニルメチルホスホニウムブロミドは、有効な触媒である。さらに、適当な硬化促進剤は、例えばラジカルタイプの触媒、例えばペルオキシド、ヒドロペルオキシド、およびアゾ化合物、例えばアゾビス−イソブチロニトリルである。
【0122】
1つの実施態様において、前記硬化促進剤は、硬化性混合物中に、当該硬化性混合物の全質量に対して、0.05質量%〜1質量%、好ましくは0.06質量%〜0.09質量%の範囲の量で存在する。
【0123】
前記硬化性混合物の多数の技術的用途のために、反応抑制剤の添加により重合を遅延させて加工性を改善することは有利である。
【0124】
それゆえに、他の実施態様において、本発明の硬化性混合物は、さらに、1つ以上の硬化抑制剤を含む。適当な硬化抑制剤は、ヒドロキノン、1,4−ナフトキノンおよびフェノチアジンを含むが、しかし、これらの限定されるものではない。前記抑制剤を前記混合物の製造前の成分の1つの中に溶解することは、有利である。
【0125】
1つの実施態様において、前記硬化抑制剤は、前記硬化性混合物中に、当該硬化性混合物の全質量に対して、0.1質量%〜2質量%、好ましくは0.05質量%〜1質量%の範囲の量で存在する。
【0126】
上記で特定された、硬化促進剤および硬化抑制剤は、当業界で公知でありかつ商業的に入手可能である。
【0127】
さらに、本発明の硬化性混合物は、プレポリマーおよび架橋ポリマーの製造に有用であることが見い出された。
【0128】
それゆえに、1つの視点で、本発明は、プレポリマーまたは架橋ポリマーの製造のための、硬化性混合物の使用に関する。
【0129】
さらに、本発明の硬化性混合物は、結晶化なしに貯蔵時に安定性であることが見い出された。
【0130】
さらに、本発明の硬化性混合物は、溶液を経て処理されてよい。それというのも、前記の本発明の硬化性混合物は、1,3−ジオキソランまたは1,3−ジオキソラン含有溶剤混合物中で45〜65質量%の濃度で溶解性であるからである。
【0131】
本発明の硬化性混合物の製造法
溶融法
1つの視点において、本発明は、工程:
上記に定義したようなコモノマー成分と上記に定義したようなポリイミド成分と上記に定義したような式(I)のマレイミドとを、60℃〜180℃の範囲の温度で配合して硬化性混合物を低融点の低粘性の塊(樹脂)として得る工程
を含む、上記に定義したような硬化性混合物の製造法に関する。
【0132】
この方法の実地においては、配合温度は、比較的広い範囲にわたって変動されうる。1つの実施態様において、前記方法は、90℃〜170℃、好ましくは100℃〜160℃の温度で実施される。
【0133】
溶解法
1つの視点において、本発明は、複数の工程:
上記に定義したようなコモノマー成分、上記に定義したようなポリイミド成分および上記に定義したような式(I)のマレイミドを溶剤中に溶解する工程、および
前記溶剤を取り除いて硬化性混合物を溶剤不含の低融点の低粘性の塊(樹脂)として得る工程
を含む、上記に定義したような硬化性混合物の製造法に関する。
【0134】
1つの実施態様において、上記に定義したようなコモノマー成分、上記に定義したようなポリイミド成分および上記に定義したような式(I)のマレイミドは、高められた温度で溶剤中に溶解される。
【0135】
適当な溶剤は、全ての常用の不活性の有機溶剤である。前記有機溶剤は、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン;グリコールエーテル、例えばメチルグリコール、メチルグリコールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル(メチルプロキシトール)、メチルプロキシトールアセテート、ジエチレングリコールおよびジエチレングリコールモノメチルエーテル;トルエンおよびキシレンを、好ましくは共溶剤としての1,3−ジオキソランと組み合わせて含むが、しかし、これらに限定されるものではない。
【0136】
好ましい実施態様において、前記溶剤は、1,3−ジオキソランまたは1,3−ジオキソラン含有溶剤である。
【0137】
1つの実施態様において、前記溶剤混合物中の1,3−ジオキソランの量は、20質量%〜80質量%、例えば30質量%〜70質量%または40質量%〜60質量%の範囲である。
【0138】
前記硬化性混合物の製造法の実地において、すなわち、溶融法において、および、溶解法において、前記混合物中での不飽和イミド基と反応性アルケニル基とのモル比率は、1.0〜0.1、例えば1.0〜0.2、1.0〜0.3、1.0〜0.4、1.0〜0.5、1.0〜0.6、1.0〜0.7または1.0〜0.8の範囲であって硬化された混合物の望ましい性質、例えば高いガラス転移温度および高い靱性を達成する。
【0139】
本発明の硬化性混合物の製造は、パウダーブレンド法、メルトブレンド法および溶液ブレンド法によって適当な溶剤中に前記成分を配合するための通常の技術により実施されうる。
【0140】
本発明の硬化性混合物は、通常の技術および方法(複数の例も比較すること)によって分離されうる。
【0141】
前記硬化性混合物のプレポリマーおよび本発明のプレポリマーの製造法
本発明の硬化性混合物は、プレポリマーの製造に有用であることが見い出された。この技術のために、前記硬化性混合物が十分高い濃度を有する、当該硬化性混合物の低粘性の結晶安定性の融液または溶液に加工されうることは、必要なことである。
【0142】
したがって、1つの視点において、本発明は、プレポリマーを製造するための、上記に定義したような硬化性混合物の使用に関する。
【0143】
1つの視点において、本発明は、工程:
上記に定義したような硬化性混合物を、溶剤の存在が適切である場合には、熱および/または圧力の適用下になお形成しうるプレポリマーを得るのに十分な時間の間、25℃〜280℃の範囲の温度で維持する工程
を含む、硬化性プレポリマーの製造法に関する。
【0144】
この方法の実地においては、反応温度は、比較的広い範囲にわたって変動されうる。前記方法は、一般に、25℃〜280℃の温度、好ましくは40℃〜220℃の温度、より好ましくは60℃〜200℃の温度、特に好ましくは80℃〜180℃の温度で実施される。
【0145】
前記方法が溶剤の存在下で実施される場合には、高沸点の極性溶剤、例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンおよびブチロラクトンが原理的に使用されうる。しかし、当該溶剤の使用は、一般に、残留溶剤の高い含量を有するプレポリマーを生じる。
【0146】
前記方法が溶剤の存在下で実施される場合には、1つの実施態様において、1,3−ジオキソランを含有する、1,3−ジオキソラン低沸点溶剤混合物が使用されてよい。前記の1,3−ジオキソラン低沸点溶剤混合物は、好ましくは、1,3−ジオキソランとケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンまたはグリコールエーテル、例えばエチレングリコール、プロピレングリコールエーテル、ブチレングリコールエーテルおよびこれらのアセテートとの溶剤混合物を含むが、しかし、これらに限定されるものではない。
【0147】
1,3−ジオキソランおよび上記で特定された溶剤を含む溶剤混合物の沸点のために、当該溶剤混合物は、溶剤不含プレポリマーの製造に有用である。さらに、こうして得られたプレポリマーは、ボイド不含の繊維強化複合材料に加工されうる。
【0148】
1つの実施態様において、前記溶剤混合物は、当該溶剤混合物の全質量に対して、ケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、またはグリコールエーテル、例えばエチレングリコールエーテル、プロピレングリコールエーテル、ブチレングリコールエーテルおよびこれらのアセテートを50質量%まで、好ましくは40質量%まで含む。
【0149】
1つの実施態様において、本発明の硬化性混合物の溶液は、溶剤、例えば1,3−ジオキソラン、または1,3−ジオキソランを含む溶剤混合物、および上記で特定された溶剤を30質量%〜70質量%、好ましくは40質量%〜60質量%含む。当該濃度は、典型的には、工業的浸漬塗布法において使用される。
【0150】
本発明の硬化性混合物のプレポリマーは、一般に、通常の方法(複数の例も比較すること)によって分離されることができ、例えば溶剤の蒸発によって、その後の使用は、溶剤不含である。
【0151】
本発明の方法によって得られたプレポリマーは、選択された有機溶剤中でなお溶解性である。さらに、本発明のプレポリマーは、熱および/または圧力の適用下に、なお可融性でありかつ成形性である。
【0152】
他の視点において、本発明は、上記したような方法によって得ることができる硬化性プレポリマーに関する。
【0153】
硬化性混合物の架橋ポリマーおよび本発明の架橋ポリマーの製造法
本発明の硬化性混合物および硬化性プレポリマーは、架橋ポリマーの製造に有用であることが見い出された。
【0154】
1つの視点において、本発明は、上記に定義したような硬化性混合物の使用または架橋ポリマーの製造のための上記に定義したようなプレポリマーの使用に関する。
【0155】
1つの視点において、本発明は、工程:
上記に定義したような硬化性混合物または上記に定義したような硬化性プレポリマーを、硬化を完結させるのに十分な時間の間、70℃〜280℃の範囲の温度へ加熱する工程
を含む、架橋ポリマーの製造法に関する。
【0156】
この方法の実地においては、反応温度は、比較的広い範囲にわたって変動されうる。1つの実施態様において、前記方法は、80℃〜270℃、より好ましくは90℃〜260℃、最も好ましくは100℃〜250℃の温度で実施される。
【0157】
1つの実施態様において、架橋(硬化)ポリマーへの上記に定義したような硬化性混合物または上記に定義したような硬化性プレポリマーの変換は、硬化触媒の存在下に実施されてよい。
【0158】
硬化触媒、例えば塩基性触媒は、第三級アミン、例えばトリエチルアミン、ジメチルアニリンおよびヘテロ環式塩基、例えばアザビシクロオクタン、キノリン、イミダゾールならびにこれらの同族体、および第四級アンモニウム化合物を含むが、しかし、これらに限定されるものではない。また、第三級ホスフィン、例えばトリフェニルホスフィンおよび第四級ホスホニウム化合物、例えばトリフェニルメチルホスホニウムブロミドは、有効な触媒である。さらに、適当な硬化促進剤は、例えばラジカルタイプの触媒、例えばペルオキシド、ヒドロペルオキシドおよびアゾ化合物、例えばアゾビス−イソブチロニトリルを含む。
【0159】
1つの実施態様において、前記硬化促進剤は、硬化性混合物中に、または硬化性プレポリマー中に、当該硬化性混合物の全質量に対して、0.02質量%〜1質量%、好ましくは0.06質量%〜0.09質量%の範囲の量で存在する。
【0160】
1つの視点において、本発明は、上記に定義したような方法によって得ることができる架橋ポリマーに関する。
【0161】
変換は、圧力下で同時に造形して成形品、積層品、接着剤接合体および発泡体を得ることができる。
【0162】
前記の用途のために、硬化性混合物を添加剤、例えば充填材、顔料、着色剤および難燃剤と混合することができる。適当な充填材は、ガラス繊維または炭素繊維、グラファイト、石英、金属粉末および金属酸化物である。離型剤、例えばシリコーンオイル、ワックス、ステアリン酸Znおよびステアリン酸Kが添加されてもよい。
【0163】
こうして、1つの視点において、本発明は、上記方法によって得ることができる架橋ポリマーに関する。
【0164】
他の視点において、本発明は、本発明の硬化性混合物および硬化性プレポリマーを加工することによって得ることができる、成形品、積層品、接着剤接合体および発泡体に関する。
【0165】
複合材料および本発明の複合材料の製造法
ところで、本発明の硬化性混合物およびプレポリマーは、複合材料の製造に有用であることが見い出された。
【0166】
1つの視点において、本発明は、複数の工程:
上記に定義したような方法によって得ることができる、安定した低融点の低粘性樹脂の形の硬化性混合物、または上記に定義したようなプレポリマーを、繊維状強化材または粒状強化材(充填材)上に塗布するかまたは当該の繊維状強化材または粒状強化材(充填材)と配合する工程;および
その後に硬化させる工程
を含む、積層材料の製造法に関する。
【0167】
1つの実施態様において、上記に定義したような硬化性混合物またはプレポリマーは、標準の加工技術、例えばホットメルトプリプレグ成形法もしくは溶液プリプレグ成形法、樹脂トランスファー成形法(RTM)、樹脂注入成形法(RIM)、フィラメントワインディング成形法(FW)または配合技術を用いて繊維状強化材または粒状強化材(充填材)上に塗布されるかまたは当該の繊維状強化材または粒状強化材(充填材)と配合される。
【0168】
硬化は、70℃〜280℃の範囲の温度、好ましくは80℃〜270℃の範囲の温度、より好ましくは90℃〜260℃の範囲の温度、最も好ましくは100℃〜250℃の範囲の温度で、硬化を完結させるのに十分な時間の間、実施されてよい。
【0169】
1つの視点において、本発明は、上記に定義したような方法によって得ることができる複合材料に関する。
【0170】
1つの実施態様において、前記複合材料は、繊維強化複合材料である。
【0171】
1つの実施態様において、前記複合材料は、粒子充填複合材料である。
【0172】
1つの視点において、本発明は、複数の工程:
(a)上記に定義したような硬化性混合物またはそのプレポリマーを製造する工程、
(b)上記に定義したような硬化性混合物またはそのプレポリマーを繊維状強化材上に塗布するかまたは粒状充填材と配合する工程、
(c)上記に定義したような硬化性混合物またはそのプレポリマーを、70℃〜280℃の範囲の温度で、硬化を完結させるのに十分な時間の間、硬化させる工程、および
(d)同時に圧力を印加して複合材料を得る工程
を含む、複合材料の製造法に関する。
【0173】
方法工程c)は、70℃〜280℃の範囲の温度、好ましくは80℃〜270℃の範囲の温度、より好ましくは90℃〜260℃の範囲の温度、最も好ましくは100℃〜250℃の範囲の温度で、硬化を完結させるのに十分な時間の間、実施されてよい。
【0174】
方法工程c)の実地において、架橋(硬化)ポリマーへの本発明の硬化性混合物またはプレポリマーの変換は、上記に定義したような硬化触媒の存在下に実施されてよい。
【0175】
方法工程d)の実地において、圧力下での造形が実施されて本発明の複合材料が得られる。方法工程c)とd)は、同時に実施される。
【0176】
本発明の硬化性混合物の好ましい適用は、繊維強化複合材料のための樹脂である。当該繊維複合材料を得るために、本発明の硬化性混合物は、ホットメルトとして、キャリアフォイル上の樹脂被膜に加工され、その後に、前記樹脂被膜を使用して、ロービングまたはファブリックの形の繊維を樹脂被膜へ加圧成形することによってプレポリマーが製造される。前記方法にとって、低い温度で低い粘度をもつ硬化性混合物は、繊維のロービングまたはファブリックの適切な含浸を提供するために有利である。
【0177】
他の視点において、本発明は、上記した方法によって得ることができる繊維強化複合材料に関する。
【0178】
本発明の硬化性混合物のさらなる用途
意外なことに、式(I)の化合物およびアルケニルフェノールまたはアルケニルフェノールエーテルを含む、本発明の硬化性混合物は、反応性希釈剤、例えばビスフェノールAのジアリルエーテルの存在下で必要とされる場合には、低い粘度をもちかつホットメルト樹脂被膜の製造に極めて適していることが見い出された。さらなる利点は、本発明の硬化性混合物の結晶化が貯蔵時に生じないことである。
【0179】
他の視点において、本発明は、本発明の硬化性混合物から得ることができるホットメルト樹脂に関する。
【0180】
さらに、本発明の硬化性混合物は、当該硬化性混合物の有利な加工特性、例えば低い粘度および加工温度での耐結晶化性のために、本発明の硬化性混合物は、樹脂トランスファー成形法(RTM)を用いる繊維強化複合材料の製造に適していることが見い出された。
【0181】
こうして、1つの視点において、本発明は、本発明の硬化性混合物から得ることができる繊維強化複合材料に関する。
【0182】
式(I)の化合物を20質量%〜60質量%含む硬化性混合物は、70℃〜100℃の範囲の温度で結晶化なしに極めて低い粘度をもつことが見い出された。本発明の当該硬化性混合物のさらなる利点は、加工温度での当該硬化性混合物の粘度が安定性であることであり、このことは、錯体および大きな成分の経済的な製造を可能にする。
【0183】
本発明は、詳細に記載される一方で、本発明の精神および範囲内での変更は、当業者であれば、直ちに明らかなことであろう。前記考察にかんがみて、発明の背景および発明の詳細な記載に関連する、上記で討論した、技術水準の該当する知識および開示内容は、全て参照のために本明細書に援用される。さらに、本発明の視点およびさまざまな実施態様の部分および下記に引用されたさまざまな特徴および/または付加的な項目におけるさまざまな特徴は、全体的にかまたは部分的に組み合わせてもよいし、交換して融通してもよいと解釈されるべきである。さまざまな実施態様の前記記載において、他の実施態様を参考にする実施態様は、当業者によって評価されるであろう場合には、相応して他の実施態様と組み合わせてよい。さらに、通常の当業者であれば、実施例だけを目的として本発明を限定することを意図するものではないと評価するであろう。
【実施例】
【0184】
実施例
次の実施例は、本発明の単なる特別な実施態様であって本発明を詳説することを意図するものであり、本発明を限定するものではない。
【0185】
1.本発明の硬化性混合物を製造するための一般的な方法
本発明の硬化性混合物は、次の一般的な方法によって得ることができる:
1.1 方法a)(溶融法)− 硬化性混合物の製造
式(I)のマレイミド、すなわちm−キシリレンビスマレイミド(MXBI)、少なくとも1つのポリイミド成分および少なくとも1つのコモノマー成分を、澄明な融液が得られるまで、120〜140℃の温度で溶融混合する。その後に、こうして得られた融液をさらに30〜45分間、145℃へ加熱する。最終的に、前記融液を20hPa[15mm Hg]での真空下に5〜10分間、脱ガス化して硬化性混合物を得る。
【0186】
1.2 方法b)(溶解法)− 硬化性混合物の製造
式(I)のマレイミド、すなわちm−キシリレンビスマレイミド(MXBI)、少なくとも1つのポリイミド成分、少なくとも1つのコモノマー成分およびトルエンを、1:1の固体対溶剤の質量比で、澄明な融液が得られるまで、90〜100℃へ加熱する。その後に、トルエンを減圧下で取り除き、および温度を同時に120℃へ上昇させる。最終的に、前記混合物を20hPa[15mm Hg]での真空下に30分間、脱ガス化して硬化性混合物を得る。樹脂/溶剤比は、成分の溶解性に依存して変動してもよい。
【0187】
2.機械的試験に対して硬化性混合物から硬化板を製造するための一般的な方法−方法c)
例えば、上記した方法a)またはb)によって得られた、本発明の硬化性混合物は、下記した機械的試験のための硬化板へ加工することができる。
【0188】
方法a)またはb)によって製造された硬化性混合物を、予熱された平行六面体の形の型内に流し込み、次に170℃で2時間硬化させ、かつさらに200℃で4時間硬化させる。離型後、板を220℃で2時間、後硬化させ、かつさらに250℃で4時間後硬化させて硬化板を得る。曲げ試験片およびコンパクト・テンション試験片を、急冷した硬化板からダイヤモンドソーを用いて切断した。
【0189】
3.前記硬化性混合物の溶解性試験 − 方法d)
例えば、上記した方法a)またはb)によって得られた硬化性混合物の溶解性は、下記した手順によって試験することができる。
【0190】
例えば、上記した方法a)またはb)によって得られた、本発明の硬化性混合物50質量%と溶剤50質量%とを、反応フラスコ中で、澄明な樹脂溶液が得られるまで、50〜80℃の温度でロータリーエバポレーターを用いて配合する。この樹脂溶液を閉じたガラスフラスコ中で室温で暗くして貯蔵する。この溶液を沈殿時間または結晶化時間にわたって目視的に検査する。
【0191】
4.他の性質
4.0 粘度
次の例は、欧州特許出願公開第0469684号明細書A1(当該欧州特許出願公開明細書からの例5−11)中で使用された、2,4−ビスマレイミドトルエン(TDAB)と4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン(MDAB)またはビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン(ME−MDAB)から選択された1つのポリイミドとの二成分系共晶混合物をベースとして、3,3’−ジアリルビスフェノールAまたは4,4’−ビス(o−プロペニルフェノキシ)ベンゾフェノンから選択された1つのコモノマーを一緒にした硬化性混合物(配合物)に対して、本発明による、m−キシリレンビスマレイミド(MXBI)と4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン(MDAB)またはビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン(ME−MDAB)から選択された1つのポリイミドとの二成分系共晶混合物をベースとして、3,3’−ジアリルビスフェノールAまたは4,4’−ビス(o−プロペニルフェノキシ)ベンゾフェノンから選択された少なくとも1つのコモノマーを一緒にした硬化性混合物(配合物)の利点を証明する。別記しない限り、試料を、方法b)によって製造した。別記しない限り、ビスマレイミド/ポリイミド共晶混合物対コモノマーのモル比は、そのつど、1.0:0.9モル/モルであった。実施例4.0.1、4.0.2、4.0.3および4.0.4は、本発明による硬化性混合物を表わす。比較データは、欧州特許出願公開第0469684号明細書A1中で使用されたかまたは当該欧州特許出願公開明細書の範囲内で使用された、硬化性混合物を表わす。
【0192】
実施例4.0.1
本実施例は、MXBI34.6部とMDAB18.6部との共晶混合物および3,3’−ジアリルビスフェノールA46.7部をベースとする硬化性混合物(配合物)、本発明による混合物、を表わす。この本発明による混合物を方法b)によって製造した。さまざまな温度での粘度値は、第2表中に記載されている。
【0193】
比較例1
本比較例は、TDAB16.3部とMDAB38.1部との共晶混合物および3,3’−ジアリルビスフェノールA45.6部をベースとする硬化性混合物(配合物)、欧州特許出願公開第0469684号明細書A1中で使用された混合物、を表わす。この欧州特許出願公開明細書A1中で使用された混合物を方法b)によって製造した。さまざまな温度での粘度値は、第2表中に記載されている。
【0194】
【表2】
【0195】
実施例4.0.2
本実施例は、MXBI34部とME−MDAB21部との共晶混合物および3,3’−ジアリルビスフェノールA45部をベースとする硬化性混合物(配合物)、本発明による混合物、を表わす。この本発明による混合物を方法b)によって製造した。さまざまな温度での粘度値は、第3表中に記載されている。
【0196】
比較例2
本比較例は、TDAB17.3部とME−MDAB40.4部との共晶混合物および3,3’−ジアリルビスフェノールA42.3部をベースとする硬化性混合物(配合物)、欧州特許出願公開第0469684号明細書A1の範囲内の混合物、を表わす。この欧州特許出願公開明細書A1中で使用された混合物を方法b)によって製造した。さまざまな温度での粘度値は、第3表中に記載されている。
【0197】
【表3】
【0198】
実施例4.0.3
本実施例は、MXBI28.6部とMDAB15.4部との共晶混合物および4,4’−ビス(o−プロペニルフェノキシ)ベンゾフェノン56部をベースとする硬化性混合物(配合物)、本発明による混合物、を表わす。この本発明による混合物を方法b)によって製造した。さまざまな温度での粘度値は、第4表中に記載されている。
【0199】
比較例3
本比較例は、TDAB13.6部とMDAB31.7部との共晶混合物および4,4’−ビス(o−プロペニルフェノキシ)ベンゾフェノン54.8部をベースとする硬化性混合物(配合物)、欧州特許出願公開第0469684号明細書A1中で使用された混合物、を表わす。この欧州特許出願公開明細書A1中で使用された混合物を方法b)によって製造した。さまざまな温度での粘度値は、第4表中に記載されている。
【0200】
【表4】
【0201】
実施例4.0.4
本実施例は、MXBI28.3部とME−MDAB17.5部との共晶混合物および4,4’−ビス(o−プロペニルフェノキシ)ベンゾフェノン54.2部をベースとする硬化性混合物(配合物)、本発明による混合物、を表わす。この本発明による混合物を方法b)によって製造した。さまざまな温度での粘度値は、第5表中に記載されている。
【0202】
比較例4
本比較例は、TDAB14.6部とME−MDAB33.9部との共晶混合物および4,4’−ビス(o−プロペニルフェノキシ)ベンゾフェノン51.5部をベースとする硬化性混合物(配合物)、欧州特許出願公開第0469684号明細書A1の範囲内の混合物、を表わす。この欧州特許出願公開明細書A1中で使用された混合物を方法b)によって製造した。さまざまな温度での粘度値は、第5表中に記載されている。
【0203】
【表5】
【0204】
4.1 硬化性混合物1b)(方法b)/硬化板1c)(方法c)
方法b)
4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン48部(48質量%)(MDAB)とm−キシリレンビスマレイミド12部(12質量%)(MXBI)と3,3’−ジアリルビスフェノールA40部(40質量%)とを、実施例、項目1.2中に上記した方法b)による溶液中に配合する。
【0205】
方法b)によって製造された硬化性混合物1b)の性質:
170℃でのホットプレートゲル化時間:13分、
80℃での粘度:1920mPa.s、
100℃での粘度:257mPa.s、
110℃で4時間後の110℃での粘度:232mPa.s。
【0206】
方法c)によって硬化性混合物1b)から製造された硬化板1c)の性質:
Tg:265℃、250〜270℃でのさらなる後硬化は、Tgを300℃超にまでシフトする。
曲げ弾性率:4.37Gpa/23℃、
曲げ強さ:164Mpa/23℃、
破壊靭性:0.7KN/m
3/
2。
【0207】
4.2 硬化性混合物2a)/b)(方法a)およびb)/硬化板2c)(方法c)
方法a)
4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン12部(12質量%)(MDAB)とm−キシリレンビスマレイミド48部(48質量%)(MXBI)と3,3’−ジアリルビスフェノールA40部(40質量%)とを、実施例、項目1.1中に上記した方法a)によって溶融混合する。
【0208】
方法a)によって製造された硬化性混合物2a)の性質:
170℃でのホットプレートゲル化時間:18分、
80℃での粘度:749mPa.s、
90℃での粘度:280mPa.s、
90℃で4時間後の90℃での粘度:345mPa.s、
100℃での粘度:166mPa.s。
【0209】
方法b)
4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン12部(12質量%)(MDAB)とm−キシリレンビスマレイミド48部(48質量%)(MXBI)と3,3’−ジアリルビスフェノールA40部(40質量%)とを、実施例、項目1.2中に上記した方法b)による溶液中に配合する。
【0210】
方法b)によって製造された硬化性混合物2b)の性質:
170℃でのホットプレートゲル化時間:26分、
80℃での粘度:446mPa.s、
100℃での粘度:117mPa.s、
100℃で2時間後の100℃での粘度:94mPa.s。
【0211】
方法c)によって硬化性混合物2b)から製造された硬化板2c)の性質:
Tg:260℃、250〜270℃でのさらなる後硬化は、Tgを300℃超にまでシフトする。
曲げ弾性率:4.72Gpa/23℃、
曲げ強さ:62Mpa/23℃、
破壊靭性:0.7KN/m
3/
2。
【0212】
4.3 硬化性混合物3a)/b)(方法a)およびb)/硬化板3c)(方法c)
方法a)
4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン30部(30質量%)(MDAB)とm−キシリレンビスマレイミド30部(30質量%)(MXBI)と3,3’−ジアリルビスフェノールA30部(30質量%)とビスフェノールAのジアリルエーテル10部(10質量%)とを、実施例、項目1.1中に上記した方法a)によって溶融混合する。
【0213】
方法a)によって製造された硬化性混合物3a)の性質:
170℃でのホットプレートゲル化時間:27分、
80℃での粘度:1250mPa.s、
100℃での粘度:220mPa.s。
【0214】
方法b)
4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン30部(30質量%)(MDAB)とm−キシリレンビスマレイミド30部(30質量%)(MXBI)と3,3’−ジアリルビスフェノールA30部(30質量%)とビスフェノールAのジアリルエーテル10部(10質量%)とを、実施例、項目1.2中に上記した方法b)による溶液中に配合する。
【0215】
方法b)によって製造された硬化性混合物3b)の性質:
170℃でのホットプレートゲル化時間:30分、
80℃での粘度:470mPa.s、
100℃での粘度:114mPa.s、
100℃で2時間後の100℃での粘度:109mPa.s。
【0216】
方法c)によって硬化性混合物3b)から製造された硬化板3c)の性質:
Tg:260℃、250〜270℃でのさらなる後硬化は、Tgを300℃超にまでシフトする。
曲げ弾性率:4.42Gpa/23℃、
曲げ強さ:169Mpa/23℃。
【0217】
4.4 硬化性混合物4b)(方法b)/硬化板4c)(方法c)
方法b)
4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン30部(30質量%)(MDAB)とm−キシリレンビスマレイミド18部(18質量%)と2,2,4−トリメチルヘキサメチレンビスマレイミド12部(12質量%)とを、実施例、項目1.2中に上記した方法b)による溶液中に配合する。最終的に、100℃へ予熱された、3,3’−ジアリルビスフェノールA40部(30質量%)を添加し、この混合物を100〜120℃で10分間加熱して澄明な融液を得る。
【0218】
方法b)によって製造された硬化性混合物4b)の性質:
170℃でのホットプレートゲル化時間:20分、
80℃での粘度:790mPa.s、
100℃での粘度:173mPa.s、
110℃で4時間後の110℃での粘度:99mPa.s。
【0219】
方法c)によって硬化性混合物4b)から製造された硬化板4c)の性質:
Tg:250℃、250〜270℃でのさらなる後硬化は、Tgを300℃超にまでシフトする。
曲げ弾性率:4.32Gpa/23℃、
曲げ強さ:156Mpa/23℃。
【0220】
4.5 硬化性混合物5b)(方法b)
方法b)
4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン30部(29.7質量%)(MDAB)とm−キシリレンビスマレイミド18部(17.8質量%)と2,2,4−トリメチルヘキサメチレンビスマレイミド12部(11.9質量%)とフェノチアジン1.0部(1.0質量%)とを、実施例、項目1.2中に上記した方法b)による溶液中に配合する。最終的に、100℃へ予熱された、3,3’−ジアリルビスフェノールA40部(39.6質量%)を添加し、この混合物を100〜120℃で10分間加熱して澄明な融液を得る。
【0221】
方法b)によって製造された硬化性混合物5b)の性質:
170℃でのホットプレートゲル化時間:11分、
80℃での粘度:710mPa.s、
100℃での粘度:158mPa.s、
100℃で4時間後の100℃での粘度:156mPa.s。
【0222】
4.6 硬化性混合物6a)/b)(方法a)およびb)
方法a)
ビス(3−メチル−5−エチル−4−マレイミドフェニル)メタン30部(30質量%)とm−キシリレンビスマレイミド30部(30質量%)(MXBI)とビスフェノールAのジアリルエーテル40部(40質量%)とを、実施例、項目1.1中に上記した方法a)によって溶融混合する。
【0223】
方法a)によって製造された硬化性混合物6a)の性質:
170℃でのホットプレートゲル化時間:37分、
80℃での粘度:2035mPa.s、
100℃での粘度:421mPa.s。
溶液の安定性:結晶化なしに1,3−ジオキソラン中50質量%で9週間を超えて安定した溶液。
【0224】
方法b)
ビス(3−メチル−5−エチル−4−マレイミドフェニル)メタン30部(30質量%)とm−キシリレンビスマレイミド30部(30質量%)(MXBI)とビスフェノールAのジアリルエーテル40部(40質量%)とを、実施例、項目1.2中に上記した方法b)による溶液中に配合する。
【0225】
方法b)によって製造された硬化性混合物6b)の性質:
170℃でのホットプレートゲル化時間:37分、
80℃での粘度:154mPa.s、
90℃で4時間後の90℃での粘度:81mPa.s、
100℃での粘度:56mPa.s。
【0226】
4.7 硬化性混合物7a)/b)(方法a)およびb)/硬化板7c)(方法c)
方法a)
ビス(3−メチル−5−エチル−4−マレイミドフェニル)メタン30部(30質量%)とm−キシリレンビスマレイミド30部(30質量%)(MXBI)と3,3’−ジアリルビスフェノールA40部(40質量%)とを、実施例、項目1.1中に上記した方法a)によって溶融混合する。
【0227】
方法b)によって製造された硬化性混合物7a)の性質:
170℃でのホットプレートゲル化時間:47分、
80℃での粘度:2400mPa.s、
100℃での粘度:281mPa.s。
溶液の安定性:結晶化なしに1,3−ジオキソラン中50質量%で9週間を超えて安定した溶液。
【0228】
方法b)
ビス(3−メチル−5−エチル−4−マレイミドフェニル)メタン30部(30質量%)とm−キシリレンビスマレイミド30部(30質量%)(MXBI)と3,3’−ジアリルビスフェノールA40部(40質量%)とを、実施例、項目1.2中に上記した方法b)による溶液中に配合する。
【0229】
方法b)によって製造された硬化性混合物7b)の性質:
170℃でのホットプレートゲル化時間:38分、
80℃での粘度:705mPa.s、
100℃での粘度:164mPa.s、
110℃で4時間後の110℃での粘度:99mPa.s。
【0230】
方法c)によって硬化性混合物7b)から製造された硬化性混合物7c)の性質:
Tg:251℃、250〜270℃でのさらなる後硬化は、Tgを300℃超にまでシフトする。
曲げ弾性率:4.25Gpa/23℃、
曲げ強さ:156Mpa/23℃。
【0231】
4.8 硬化性混合物8b)(方法b)/硬化板8c)(方法c)
方法b)
ビス(3−メチル−5−エチル−4−マレイミドフェニル)メタン30部(29.94質量%)とm−キシリレンビスマレイミド30部(29.94質量%)(MXBI)と3,3’−ジアリルビスフェノールA40部(39.92質量%)とトリフェニルホスフィン0.2部(0.2質量%)を、実施例、項目1.2中に上記した方法b)による溶液中に配合する。
【0232】
方法b)によって製造された硬化性混合物8b)の性質:
170℃でのホットプレートゲル化時間:30分、
80℃での粘度:750mPa.s、
100℃での粘度:182mPa.s、
100℃で4時間後の100℃での粘度:260mPa.s。
【0233】
方法c)によって硬化性混合物8b)から製造された硬化板8c)の性質:
Tg:225℃、250〜270℃でのさらなる後硬化は、Tgを300℃超にまでシフトする。
曲げ弾性率:3.99Gpa/23℃、
曲げ強さ:134Mpa/23℃。
【0234】
4.9 硬化性混合物9b)(方法b)
方法b)
4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン25部(25質量%)(MDAB)とm−キシリレンビスマレイミド25部(25質量%)(MXBI)とビスフェノールAジシアネート50部(50質量%)とを、実施例、項目1.2中に上記した方法b)による溶液中に配合する。
【0235】
方法b)によって製造された硬化性混合物9b)の性質:
170℃でのホットプレートゲル化時間:53分、
80℃での粘度:1350mPa.s、
100℃での粘度:270mPa.s、
90℃で4時間後の90℃での粘度:525mPa.s。
【0236】
4.10 硬化性混合物10b)(方法b)/硬化板10c)(方法c)
方法b)
4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン25部(25質量%)(MDAB)とm−キシリレンビスマレイミド25部(25質量%)(MXBI)とビスフェノールAジシアネート45部(45質量%)と3,3’−ジアリルビスフェノールA5部(5質量%)とを、実施例、項目1.2中に上記した方法b)による溶液中に配合する。
【0237】
方法b)によって製造された硬化性混合物10b)の性質:
170℃でのホットプレートゲル化時間:33分、
80℃での粘度:1120mPa.s、
100℃での粘度:235mPa.s、
110℃で4時間後の110℃での粘度:144mPa.s。
【0238】
方法c)によって硬化性混合物10b)から製造された硬化板10c)の性質:
Tg:235℃、250〜270℃でのさらなる後硬化は、Tgを300℃超にまでシフトする。
曲げ弾性率:4.53Gpa/23℃、
曲げ強さ:111Mpa/23℃、
破壊靭性:0.48KN/m
3/
2。
溶液の安定性:結晶化なしに1,3−ジオキソラン中55質量%で9週間を超えて安定した溶液。
【0239】
4.11 硬化性混合物11b)(方法b)/硬化板11c)(方法c)
方法b)
m−アミノベンズヒドラジド6部(6質量%)を1−メトキシプロパノール−2 50mlと配合し、かつ60℃へ加熱して溶液を得る。4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン5部(5質量%)(MDAB)、m−キシリレンビスマレイミド65部(65質量%)(MXBI)およびトルエン50mlを前記溶液に添加し、混合物を、均一な溶液が得られるまで120℃へ加熱する。この溶液を120℃でさらに20分間維持する。次に、溶液を取り除き、かつ3,3’−ジアリルビスフェノールA24部(24質量%)(80℃へ予熱した)を残りの残分に添加し、生じる均一な融液を真空下に130℃で5分間脱ガス化する。
【0240】
方法b)によって製造された硬化性混合物11b)の性質:
170℃でのホットプレートゲル化時間:31分、
80℃での粘度:179mPa.s、
80℃で4時間後の80℃での粘度:109mPa.s、
100℃での粘度:60mPa.s。
【0241】
方法c)によって硬化性混合物11b)から製造された硬化板11cの性質:
Tg:245℃、250〜270℃でのさらなる後硬化は、Tgを300℃超にまでシフトする。
曲げ弾性率:5.44Gpa/23℃、
曲げ強さ:133Mpa/23℃。
【0242】
硬化性混合物11b)の60質量%溶液の製造:
ホットメルト100gに1,3−ジオキソラン67gを添加して均一な60質量%溶液を得る。
【0243】
樹脂溶液は、次の性質を示す。
170℃でのホットプレートゲル化時間:30分、
25℃での溶液粘度:55±5cP。
【0244】
4.12 硬化性混合物12b)(方法b)
方法b)
4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン45部(45質量%)(MDAB)とm−キシリレンビスマレイミド20部(20質量%)(MXBI)と3,3’−ジアリルビスフェノールA25部(25質量%)とビス(o−プロペニルフェノキシ)ベンゾフェノン10部(10質量%)(BOAP)を、実施例、項目1.2中に上記した方法b)による溶液中に配合する。
【0245】
方法b)によって製造された硬化性混合物12b)の性質:
170℃でのホットプレートゲル化時間:15分、
80℃での粘度:4990mPa.s、
100℃での粘度:700mPa.s、
120℃で4時間後の120℃での粘度:574mPa.s。
【0246】
4.13 硬化性混合物13b)(方法b)/硬化板13c)(方法c)
方法b)
4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン20部(19.87質量%)(MDAB)とm−キシリレンビスマレイミド40部(39.74質量%)(MXBI)と3,3’−ジアリルビスフェノールA30部(29.80質量%)とビス(o−プロペニルフェノキシ)ベンゾフェノン10部(9,34質量%)とフェノチアジン0.66部(0.66質量%)とを、実施例、項目1.2中に上記した方法b)による溶液中に配合する。
【0247】
方法b)によって製造された硬化性混合物13b)の性質:
170℃でのホットプレートゲル化時間:5分、
80℃での粘度:1120mPa.s、
90℃で4時間後の90℃での粘度:686mPa.s、
100℃での粘度:220mPa.s。
【0248】
方法c)によって硬化性混合物13b)から製造された硬化板13c)の性質:
Tg:310℃、
曲げ弾性率:4.80Gpa/23℃、
曲げ強さ:146Mpa/23℃、
破壊靭性:0.53KN/m
3/
2。
【0249】
4.14 硬化性混合物14b)(方法b)/硬化板14c)(方法c)
方法b)
ビス(3−メチル−5−エチル−4−マレイミドフェニル)メタン35部(35質量%)とm−キシリレンビスマレイミド30部(30質量%)(MXBI)と3,3’−ジアリルビスフェノールA25部(25質量%)とビス(o−プロペニルフェノキシ)ベンゾフェノン10部(10質量%)とを、実施例、項目1.2中に上記した方法b)による溶液中に配合する。
【0250】
方法b)によって製造された硬化性混合物14b)の性質:
170℃でのホットプレートゲル化時間:40分、
80℃での粘度:3230mPa.s、
100℃での粘度:508mPa.s、
90℃で4時間後の90℃での粘度:1003mPa.s、
120℃で4時間後の120℃での粘度:121mPa.s。
【0251】
方法c)によって硬化性混合物14b)から製造された硬化板14c)の性質:
Tg:290℃、
曲げ弾性率:3.99Gpa/23℃、
曲げ強さ:116Mpa/23℃。
【0252】
4.15 硬化性混合物15a)(方法a)
方法a)
ビス(3−メチル−5−エチル−4−マレイミドフェニル)メタン30部(30質量%)とm−キシリレンビスマレイミド30部(30質量%)(MXBI)と3,3’−ジアリルビスフェノールA30部(30質量%)とビスフェノールAのジアリルエーテル10部(10質量%)とを、実施例、項目1.1中に上記した方法a)によって溶融混合する。
【0253】
方法b)によって製造された硬化性混合物15a)の性質:
170℃でのホットプレートゲル化時間:35分、
80℃での粘度:2035mPa.s、
100℃での粘度:421mPa.s。
【0254】
硬化性混合物15a)の55質量%溶液の製造:
硬化性混合物15a)の1,3−ジオキソランの55質量%溶液を方法d)によって製造する。この溶液は、室温で僅かな粘度上昇をともなって安定しているが、しかし、6ヶ月間を超えて結晶化がない。
【0255】
4.16 硬化性混合物16b)(方法b)/硬化板16c)(方法c)
方法b)
ビス(3−メチル−5−エチル−4−マレイミドフェニル)メタン30部(30質量%)とm−キシリレンビスマレイミド30部(30質量%)(MXBI)とビス(o−プロペニルフェノキシ)ベンゾフェノン40部(BOAP)とを、実施例、項目1.2中に上記した方法b)による溶液中に配合する。
【0256】
硬化性混合物16b)の55質量%溶液の製造:
1,3−ジオキソラン中の硬化性混合物16b)の55質量%溶液を方法d)によって製造する。この溶液は、室温で僅かな粘度上昇をともなって安定しているが、しかし、6ヶ月間を超えて結晶化がない。