特許第6388910号(P6388910)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6388910
(24)【登録日】2018年8月24日
(45)【発行日】2018年9月12日
(54)【発明の名称】無電解銅めっき溶液
(51)【国際特許分類】
   C23C 18/40 20060101AFI20180903BHJP
   H05K 3/18 20060101ALI20180903BHJP
   H01L 21/288 20060101ALI20180903BHJP
   H01L 21/285 20060101ALI20180903BHJP
   H01L 21/3205 20060101ALI20180903BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20180903BHJP
   H01L 23/532 20060101ALI20180903BHJP
【FI】
   C23C18/40
   H05K3/18 F
   H01L21/288 E
   H01L21/285 301
   H01L21/88 M
【請求項の数】14
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-504640(P2016-504640)
(86)(22)【出願日】2014年3月25日
(65)【公表番号】特表2016-516902(P2016-516902A)
(43)【公表日】2016年6月9日
(86)【国際出願番号】EP2014055979
(87)【国際公開番号】WO2014154702
(87)【国際公開日】20141002
【審査請求日】2017年3月14日
(31)【優先権主張番号】13161418.2
(32)【優先日】2013年3月27日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】300081877
【氏名又は名称】アトテツク・ドイチユラント・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Atotech Deutschland GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】フランク ブリューニング
(72)【発明者】
【氏名】ビアギート ベック
(72)【発明者】
【氏名】エリーザ ラングハマー
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス エツコアン
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル メアシュキー
(72)【発明者】
【氏名】イェアク シュルツェ
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン ロヴィンスキ
【審査官】 菅原 愛
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−507263(JP,A)
【文献】 特開昭60−200969(JP,A)
【文献】 特開昭63−297574(JP,A)
【文献】 特表2008−522038(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C18/00−20/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
−銅イオン源
−還元剤または還元剤源、および
−錯化剤として、
i)N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンまたはその塩と
ii)N’−(2−ヒドロキシエチル)−エチレンジアミン−N,N,N’−三酢酸またはその塩とを含む組み合わせ物
を含み、かつ銅イオンに対する全ての錯化剤の全モル量の比が1:1〜10:1である、無電解水性銅めっき溶液。
【請求項2】
前記錯化剤の組み合わせ物がさらにiii)エチレンジアミン四酢酸またはその塩を含む、請求項1に記載の無電解水性銅めっき溶液。
【請求項3】
銅イオンに対する全ての錯化剤の全モル量の比が1:1〜8:1である、請求項1または2記載の無電解水性銅めっき溶液。
【請求項4】
錯化剤ii)のモル量に対する錯化剤i)のモル量の比が1:0.05〜1:20である、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の無電解水性銅めっき溶液。
【請求項5】
錯化剤ii)と錯化剤iii)との混合物のモル量に対する錯化剤i)のモル量の比が1:0.05〜1:20である、請求項2または3記載の無電解水性銅めっき溶液。
【請求項6】
前記還元剤がグリオキシル酸およびホルムアルデヒドから選択される、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の無電解水性銅めっき溶液。
【請求項7】
基板に請求項1ないし6のいずれか1項に記載の無電解水性銅めっき溶液を接触することを含む、無電解銅めっき方法。
【請求項8】
前記基板がガラス、セラミックまたはプラスチックで作られた基材である、請求項7に記載の無電解銅めっき方法。
【請求項9】
前記基板がガラス基板である、請求項7または8に記載の無電解銅めっき方法。
【請求項10】
前記基板は少なくとも5mの表面積を有する、請求項7ないし9のいずれか1項に記載の無電解銅めっき方法。
【請求項11】
前記基板上に0.5μm〜3μmの厚さを有する銅層を製造する、請求項7ないし10のいずれか1項の無電解銅めっき方法。
【請求項12】
前記基板上に二乗平均平方根粗さパラメーターとして表される5nm〜60nmの粗さを有する銅層を製造する、請求項7ないし11のいずれか1項の無電解銅めっき方法。
【請求項13】
プリント回路基板、集積回路基、ウェハ、成形回路部品、ディスプレイ、ディスプレイ部品またはプラスチック部品をめっきするための、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の無電解水性銅めっき溶液の使用。
【請求項14】
ガラス基をめっきするための、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の無電解水性銅めっき溶液の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無電解銅めっき溶液、該無電解銅めっき溶液を用いる無電解銅めっきの方法及び基板をめっきするための該無電解銅めっき溶液の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
無電解めっきは、電子の外部供給の支援なしでの、連続的な金属膜の制御された自己触媒的析出である。析出のため受容性とするためにまたは触媒作用的とするために非金属表面が前処理され得る。表面のすべての部分または選択された部分が適切に前処理され得る。無電解銅浴の主たる成分は、銅塩、錯化剤、還元剤、及び任意成分として、アルカリ性成分や例えば安定剤としての添加剤である。錯化剤は、析出すべき銅をキレート化して銅が溶液から沈殿すること(すなわち、水酸化物等として沈殿すること)を防止するのに用いられる。銅のキレート化によって、銅イオンを金属形態に変える還元剤に対して有効な銅の状態とする。
【0003】
特許文献1は、銅の無電解析出のための組成を開示する。これは、銅イオン、還元剤としてのグリオキシル酸、及びシュウ酸銅錯体よりも強い銅との錯体を形成することができる錯化剤、例えばEDTAを有する。
【0004】
特許文献2は、水溶性銅化合物、グリオキシル酸およびEDTAのような錯化剤を有する、無電解めっき浴を教示する。
【0005】
特許文献3は、銅イオン源、還元剤としてのグリオキシル酸またはホルムアルデヒドおよび錯化剤としてのEDTA、酒石酸塩またはアルカノールアミンを有する無電解浴を開示する。
【0006】
銅めっき溶液の性能は、予想するのが困難であり、かつその構成要素、特に、錯化剤および還元剤に及びその構成要素のモル比に強く依存する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】US4,617,205
【特許文献2】US7,220,296
【特許文献3】US2002/0064592
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、性能が改善された、特に銅析出率が改善された無電解銅めっき溶液を提供することにある。さらなる本発明の目的は、低い粗度を有する銅析出を得るための無電解銅めっき溶液を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、
−銅イオン源、
−還元剤または還元剤源および
−錯化剤として、
i)N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンまたはその塩と
ii)N’−(2−ヒドロキシエチル)−エチレンジアミン−N,N,N’−三酢酸またはその塩とを含む組み合わせ物
を含有する無電解銅めっき溶液を提供するものである。
【0010】
該錯化剤の組み合わせ物はさらにiii)エチレンジアミン四酢酸またはその塩を含み得る。
【0011】
N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンは、BASF社の商標である「Quadrol」として以下に略する。
【0012】
エチレンジアミン四酢酸は、「EDTA」として以下に称する。
【0013】
N’−(2−ヒドロキシエチル)−エチレンジアミン−N,N,N’−三酢酸は、「HEDTA」として以下に称する。
【0014】
1つの実施形態において、無電解銅めっき溶液は好ましくは0.1mM〜5.5Mの量の範囲のシクロヘキサンジアミン四酢酸(CDTA)を含まない。他の実施形態として、無電解銅めっき溶液は好ましくはCDTAを全く含まない。
【0015】
上記の1つ以上の課題は請求項1に記載の無電解銅めっき溶液(以下、「溶液」として略称する)、または従属請求項および明細書に記載された有利な実施形態によって達成される。本発明の銅めっき溶液は銅析出度の向上を示すのと同時に、銅表面の低い粗度が達成可能であり、これは、ある種の電子デバイスの性能に極めて重要である。より高い析出度のため、銅層のより優れた厚みが同じプロセス時間で達成可能である。
【0016】
本発明の溶液および本発明の方法は、好ましくは、プリント配線基板、チップ担体および半導体ウェハの被覆、あるいは他の回路担体や接続素子の被覆にも用いられる。溶液は、銅で表面、トレンチ、ブラインドマイクロバイア、スルーホールバイア(貫通穴)および類似の構造体をめっきするため特にプリント回路基板やチップ担体に用いられるが、半導体ウェハにも用いられる。
【0017】
特に、本発明の溶液または本発明の方法は、表面上への、トレンチ、ブラインドマイクロバイア、スルーホールバイアおよびプリント回路基板、チップ、担体、ウェハ、他の様々な接続素子における同等の構造への銅の析出のために使用され得る。本発明において使用される、「スルーホールバイア」または「貫通穴」なる用語は、あらゆる種類のスルーホールバイアを包含し、シリコンウェハにおける所謂「スルーシリコンバイア」も含む。
【0018】
本発明の溶液が有益な効果を伴って使用できるための他の適用は、ガラス、セラミックまたはプラスチックから形成された平坦な基板の、好ましくは、広い表面積を有しているそれらの基板の金属被膜(metallization)である。例えば、TFT−ディスプレイおよび液晶ディスプレイ(LCD)のようなありとあらゆる種類のディスプレイが挙げられる。上述したように、銅表面の低い粗度は本発明の溶液によって達成することができる。この効果は、銅層が良好な伝導率を有して製造されるのでディスプレイへの適用において特に有利である。
【0019】
本発明の無電解銅めっき溶液は、ガラス基板、特に、ガラス板のような広い表面積を有するガラス基板上の銅析出に有益に使用することができる。ガラス基板は上述したようなディスプレイの適用の際に使用されるが、特に限定されない。上述したような溶液によるガラス基板上の湿式無電解銅析出は、以前から使用されている金属スパッタリング法と比べて有益である。スパッタリング技術に比べて湿式無電解銅析出で達成可能な利点は、とりわけ、ガラス基板の内部応力の減少および曲げの減少、設備メンテナンスの軽減、金属の有効利用、廃棄物の軽減、製造工程中の温度の軽減にある。
【0020】
さらに、本発明の無電解銅めっき溶液は、ガラス基板、特に、ディスプレイのガラス板のめっきに有益に使用できる。
【0021】
いずれにしても、一般的な湿式無電解析出は、通常、スパッタリング法より粗い金属表面が生じてしまう。ディスプレイ製造の場合、該粗い金属表面は、不十分なスイッチング特性、特に、好ましくない長期化されたスイッチング時間の原因となる。それゆえ、ディスプレイ製造においては、スパッタリング法によって達成され得る範囲内の粗さを有する金属層を調製する必要がある。驚くべきことに、本発明の無電解銅めっき溶液は、高い析出度で金属層を調製することができ、かつ同時に、スパッタリング法によって達成される範囲内の低い粗度を有することができる。
【0022】
さらに言えば、ディスプレイ製造用の基板を次に続く金属層の析出のために金属シード層によって活性させ、必要な回路およびスイッチング素子を構築する。それゆえ、金属シード層には、既に、小さい活性化領域およびより広い活性化領域の組み合わせはもちろん、小さいおよび/または単離された活性化領域をも含む回路およびスイッチング素子の将来的なパターンがディスプレイされている。ガラス基板、特に、小さいおよび/または単離された活性化領域を有するガラス基板上の高い銅析出度は本発明の溶液によって達成される。加えて、本発明の溶液は均一な厚さで、同時に、小さい活性化領域およびより広い活性化領域に高い析出度で金属層を析出することができる。
【0023】
本発明の溶液は、水溶液である。「水溶液」なる用語は、溶液中の溶媒である一般的な液体媒体が水であることを意味する。さらに、水と混和できる他の液体、例えばアルコールおよびその他の極性有機液体も加えることができる。
【0024】
本発明の溶液は、水溶性の液状媒体、好ましくは水にすべての成分を溶かすことによって調製され得る。
【0025】
溶液は、銅イオン源、例えば、任意の水溶性の銅塩を含有する。銅は、例えば、硫酸銅、塩化銅、硝酸銅、酢酸銅、メタンスルホン酸銅((CHS)Cu)、水酸化銅またはそれらの水和物として添加され得るが、これらに限定されるものではない。
【0026】
還元剤は銅イオンを還元するために働き、めっきのために金属銅をもたらす。還元剤としては、例えば、ホルムアルデヒド、グリオキシル酸、次亜リン酸塩、ヒドラジンおよびボロヒドリドを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。好ましい還元剤としては、ホルムアルデヒドおよびグリオキシル酸である。
【0027】
「還元剤源」という文言は、溶液中で還元剤に変換する物質のことをいう。この還元剤源は、例えば、還元剤に変換される還元剤の前駆体である。グリオキシル酸に関する例を以下に説明する。
【0028】
安全面、健康面および環境面の要求を考慮すると、特に好ましい還元剤は、グリオキシル酸である。ホルムアルデヒドは、一般的な無電解銅めっき法において、非常に重要で、かつ確立されているが、ヒト発癌性の可能性が高い物質として分類される。それゆえ、1つの実施態様として、無電解水性銅めっき溶液は、グリオキシル酸またはグリオキシル酸源を含有する。この実施態様において、本発明の溶液はホルムアルデヒドを含まない、あるいは、本発明の溶液は、言い換えれば、ホルムアルデヒド不含である。
【0029】
「グリオキシル酸源」なる用語は水溶液中でグリオキシル酸に転換可能なすべての化合物、例えば、前駆体をも包含する。好ましい前駆体は、ジクロロ酢酸である。グリオキシル酸は銅イオンを元素の銅に還元するための還元剤である。水溶液中には、グリオキシル酸およびグリオキシル酸イオンが存在し得る。ここで使用される「グリオキシル酸」という用語はそれらの塩も包含する。存在する種類(species)、酸又は塩類の正確な特質は、水溶液のpHに依存する。同じ考察が他の弱酸や弱塩基に当てはまる。
【0030】
上述した還元剤に加えて、1種以上の付加的な還元剤、例えば、次亜リン酸、グリコール酸、ギ酸、これら酸の塩類が添加され得る。付加的な還元剤は好ましくは、還元剤として作用するが単独還元剤(sole reducing agent)として用いることができない薬剤である(例えば、US7,220,296、第4欄20〜43行及び54〜62行参照)。この意味で、更なる還元剤は「増強剤」とも称される。
【0031】
上記した還元剤を用いる無電解銅浴は好ましくは、比較的高いpH、通常11〜14、好ましくは12.5〜13.5であり、水酸化カリウム(KOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化リチウム(LiOH)、水酸化アンモニウム、あるいは第四級水酸化アンモニウム、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)によって通常、調整される。それゆえ、溶液は、例示であるが限定でなく、上に挙げた化合物の1つ以上のような、水酸化イオン源を含み得る。例えば、溶液のアルカリpHが望まれるのであれば、そして、該pHがまだ他の成分によってアルカリ範囲にないのであれば、水酸化物源が添加される。
【0032】
水酸化カリウムを使用するのが好ましい。グリオキシル酸を還元剤として採用する場合には、シュウ酸カリウムの溶解性が高いという理由で水酸化カリウムの使用が有利である。シュウ酸アニオンはグリオキシル酸の酸化によって溶液中で形成される。それゆえ、水酸化カリウムは本発明の溶液の安定性に特に好ましい。
【0033】
本発明の溶液は、錯化剤i)のQuadrolまたはその塩と錯化剤ii)のHEDTAまたはその塩との混合物をさらに含む。錯化剤i)のQuadrolまたはその塩と錯化剤ii)のHEDTAまたはその塩との混合物は、さらに、錯化剤iii)のEDTAまたはその塩を含み得る。錯化剤ii)または錯化剤ii)および錯化剤iii)の混合物にQuadrolまたはその塩を添加することは、銅析出を効率的に増加する。本発明が発明される以前は、金属析出率の増加は金属表面の粗さの増加を伴うことが観察されていた。驚くべきことに、本発明においては、高い銅析出率および低い粗度を有する銅表面が得られる。
【0034】
Quadrol、HEDTAまたはEDTAの塩は適切な、水溶性の塩であり得る。Quadrol、HEDTAまたはEDTAの塩の対イオンとしては、好ましくは、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンおよびアンモニウムイオンから選択される。Quadrol、HEDTAまたはEDTAの塩の対イオンとしては、さらに好ましくは、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオンおよびアンモニウムイオンから選択される。
【0035】
本発明の溶液は、有害な共金属不含である。本発明の溶液は、特に、ニッケル不含である。ニッケルはここで使用される錯化剤とともに銅よりも安定した錯体を形成する。したがって、ニッケルは銅錯体形成を減少し、銅析出に悪影響を及ぼし、あるいは銅析出を妨げてしまう。さらに、めっき浴中のニッケルの存在は、ディスプレイ製造において特に避けなければならない不要なニッケル析出を導く。
【0036】
本発明の溶液の1つの実施形態において、全ての錯化剤の全モル量に関し、銅イオンに対する錯化剤のモル比は1:1〜10:1、好ましくは1:1〜8:1、より好ましくは2:1〜8:1、いっそう好ましくは2:1〜5:1、よりいっそう好ましくは1.5:1〜4:1、最も好ましくは2:1〜4:1である。全ての錯化剤の全モル量に関し、銅イオンに対する錯化剤のモル比は、銅イオンのモル量に対する全ての錯化剤の全モル量の比として規定される。全ての錯化剤の全モル量とは全ての錯化剤の個々のモル量の合計を意味する。「全ての錯化剤」とは、錯化剤i)と錯化剤ii)との混合物または錯化剤i)、錯化剤ii)と錯化剤iii)との混合物であり得る。例えば、錯化剤の量は当量としても規定される。1当量とは、与えられた銅イオンの量を完全に錯体化する錯化剤の量のことである。Quadrol、HEDTAおよびEDTAまたはそれらの塩の場合において、錯化剤の1当量とは銅イオンに対する錯化剤のモル比が1:1に相当する。Quadrol、HEDTAおよびEDTAの場合において、銅イオンに対する錯化剤のモル比が1:1〜10:1であることは、銅に基づいた錯化剤の当量が1〜10であることを意味する。
【0037】
より少ない量の錯化剤はめっき浴の不安定性を導くか、あるいは析出が開始しない。銅に基づくより多くの量の錯化剤は、めっき浴の高濃度化を導くだけでなく、めっき浴の寿命を減らすこと、かつ不安定性をも導く。上記で示した範囲を使用することは高い銅析出率と低い粗度との有益な組み合わせを導く。
【0038】
他の実施形態において、全ての錯化剤の全モル量に関し、銅イオンに対する錯化剤のモル比は3:1〜8:1、好ましくは3:1〜5:1、より好ましくは3:1〜4:1である。これらの範囲を使用することは、特に、高い銅析出率と低い粗度との有益な組み合わせを導く。優れた再現可能性、優れた再現可能な銅析出および非常に均一な厚さの銅層を得ることができる。
【0039】
1つの実施形態として、錯化剤ii)のモル量に対する錯化剤i)のモル量の比は1:0.05〜1:20、好ましくは1:0.1〜1:10、より好ましくは1:1〜1:5、いっそう好ましくは1:1〜1:4、最も好ましくは1:2〜1:4である。錯化剤ii)と錯化剤iii)との混合物のモル量に対する錯化剤i)のモル量の比(錯化剤i):[錯化剤ii)+錯化剤iii)])は1:0.05〜1:20、好ましくは1:0.1〜1:10、より好ましくは1:1〜1:5、いっそう好ましくは1:1〜1:4、最も好ましくは1:2〜1:4である。
【0040】
錯化剤ii)と錯化剤iii)との混合物のモル量([錯化剤ii)+錯化剤iii)])とは、錯化剤ii)および錯化剤iii)の個々のモル量の合計である。
【0041】
他の実施態様において、錯化剤ii)のモル量に対する錯化剤i)のモル量の比は1:0.05〜1:5、好ましくは1:0.05〜1:3、より好ましくは1:0:1〜1:2である。錯化剤ii)と錯化剤iii)との混合物のモル量に対する錯化剤i)のモル量の比(錯化剤i):[錯化剤ii)+錯化剤iii)])は1:0.05〜1:5、好ましくは1:0.05〜1:3、より好ましくは1:0.1〜1:2である。
【0042】
他の実施態様において、錯化剤ii)のモル量に対する錯化剤i)のモル量の比は1:5〜1:20、好ましくは1:7〜1:15、より好ましくは1:7〜1:10である。錯化剤ii)と錯化剤iii)との混合物のモル量に対する錯化剤i)のモル量の比(錯化剤i):[錯化剤ii)+錯化剤iii)])は1:5〜1:20、好ましくは1:7〜1:15、より好ましくは1:7〜1:10である。
【0043】
上記に示された範囲を使用することは高い銅析出率と低い粗度との有益な組み合わせを導く。
【0044】
1つの実施形態において、無電解水性銅めっき溶液は、錯化剤として、i)N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン(Quadrol)またはその塩およびii)N’−(2−ヒドロキシエチル)−エチレンジアミン−N,N,N’−三酢酸(HEDTA)またはその塩を含む組み合わせ物を含有する。
【0045】
さらなる実施形態においては、無電解水性銅めっき溶液は、錯化剤として、i)N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン(Quadrol)またはその塩、ii)N’−(2−ヒドロキシエチル)−エチレンジアミン−N,N,N’−三酢酸(HEDTA)またはその塩およびiii)エチレンジアミン四酢酸(EDTA)またはその塩を含む。
【0046】
1つの実施態様において、本発明の溶液は以下の種類の成分を以下の濃度で含有する:
銅イオン:1〜5g/l(0.016〜0.079mol/lに相当)、好ましくは2.0〜3.0g/l;
還元剤:0.027〜0.270mol/l、好ましくはグリオキシル酸2〜20g/l、またはホルムアルデヒド0.8〜8.5g/l;
錯化剤(全ての錯化剤の全量):5〜50g/l、好ましくは20〜40g/l、より好ましくは20〜30g/l。
【0047】
本発明の溶液は、例えば安定剤、界面活性剤、速度制御添加剤、細粒化添加剤のような添加剤、pH緩衝剤、pH調整剤、増強剤のような更なる成分を有してもよい(それは必須で含有されるものではない)。そのような更なる成分は例えば次のような文献に記載され、これらの文献を示すことによってこれらの全体が本明細書に組み込まれる:
US4,617,205(特に第6欄17行〜第7欄25行の開示)
US7,220,296(特に第4欄63行〜第6欄26行の開示)
US2008/0223253(特に段落0033、段落0038参照)。
【0048】
安定剤は、バルク溶液における不必要な沈着(outplating)に対して無電解めっき溶液を安定化する化合物である。「沈着(outplating)」という用語は、例えば、反応槽の底または他の表面の、望ましくない及び/又は制御されていない銅析出を意味する。安定化の機能は例えば触媒毒として作用する物質(例えば硫黄や他のカルコゲン化物を含有する化合物)によって、又は第一銅錯化剤を形成する化合物、すなわち酸化第一銅の形成を抑制する化合物によって果たされる。
【0049】
本発明の溶液は1種以上の安定剤を含有し得る。好適な安定剤は、限定されるわけではないが、ジピリジル(2,2’−ジピリジル、4,4’ジピリジル)、フェナントロリン、メルカプト−ベンゾチアゾール、チオ尿素やその誘導体、NaCN、KCN、K[Fe(CN)]のようなシアン化物、Na、K、チオシアネート、ヨウ化物、エタノールアミン、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールのような重合体、及びそれらの共重合体である。
【0050】
他の態様において、本発明は無電解銅めっき方法に関し、該方法は基板を上記で説明した無電解銅めっき溶液に接触させることを含む。
【0051】
例えば、基材を本発明の溶液中に漬けたり、浸したりしてもよい。該方法において、基材の全表面、あるいは選択された部分のみが銅でめっきされ得る。
【0052】
使用中、本発明の溶液を撹拌することが好ましい。特にワーク撹拌(work-agitation)及び/又は溶液撹拌が用いられ得る。
【0053】
本発明の方法は、必要な厚みの析出物を生じるのに十分な時間の間で実行されるが、それは個別の適用に依存することになる。
【0054】
予想される本発明の方法の一つの適用は、プリント回路基板の調製である。本発明の方法に基づく銅の無電解析出は、プリント回路基板における穴、表面、トレンチ、ブラインドマイクロビアの通しめっき(through-plating)のために特に利用可能である。本発明を用いることによって、両面基板(double sided boards)または多層基板(multilayer boards)がリジッドのものでもフレキシブルのものでもめっきされ得る。
【0055】
本発明の方法は、0.05μm〜10μmの範囲、好ましくは0.1μm〜10μm、0.1μm〜5μm、0.5μm〜3μmの範囲の厚みを有する無電解銅析出を調製するのに有用である。銅層の厚みは、実施例に記載されているような白色光干渉計により測定される。
【0056】
本発明の方法は基板に5nm〜60nm、好ましくは5nm〜55nm、より好ましくは10nm〜45nmの粗さ(二乗平均平方根粗さパラメーターとして表される)を有する銅層を生成する。得られた粗さは、錯化剤ii)のみを使用する方法、錯化剤iii)のみを使用する方法または錯化剤ii)および錯化剤iii)の混合物のみを使用する方法より30%〜60%、好ましくは40%〜50%低くなる。ここで、「のみ」という用語は、Quadrolを添加しないことを意味する。銅層の粗さは、実施例に記載されているような白色光干渉計により測定される。
【0057】
プリント回路基板製造に広く用いられている基材は、最も多くの場合、エポキシ樹脂またはエポキシガラス複合物である。しかしながら、他の基材、特にフェノール樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリイミド、ポリフェニレンオキサイド、ビスマレイミドトリアジン(BT)樹脂、シアン酸エステルおよびポリスルホンが使用可能である。
【0058】
プリント回路基板製造における方法の適用とは別に、ガラス、セラミックまたはプラスチック、例えば、ABS、ポリカーボネート、ポリイミドまたはポリエチレンテレフタレートで作られた基板をめっきするのに有用であることを見出すことができる。
【0059】
本発明の方法の他の実施形態において、基板は、ガラス、セラミックまたはプラスチックで作られた基板、好ましくは広い表面積も有する基板である。広い表面積とは、少なくとも1mの面積、好ましくは少なくとも3m、より好ましくは少なくとも5mを意味する。他の実施態様において、広い表面積は、好ましくは1m〜9m、より好ましくは3m〜9m、いっそう好ましくは3m〜6m、よりいっそう好ましくは5m〜6mである。基板は、平らな表面を有することが好ましい。「平らな」という用語は数ナノメーターの粗さ(SqまたはRMS)を意味する。好ましい粗さは、RMSとして測定され、5〜30nmである。粗さの測定方法および「Sq」および「RMS」の用語の説明は実施例で示される。
【0060】
特別な実施形態において、基材は、ガラス基材であり、好ましくはガラス板である。該ガラス基板、特にガラス板は、TFTディスプレイ、例えば液晶ディスプレイの適用のために使用することができる。それゆえ、ガラス基板は、特に、ディスプレイ適用において使用される仕様、たとえば、厚さおよび滑らかさを満たす。好ましいガラスは、アルカリ不含であり、例えば、アルカリ不含のホウケイ酸ガラスである。
【0061】
ガラス基板は本発明の方法が実施される前に、例えば、金属シードによって前処理され得る。以下に更なる詳細を説明する。
【0062】
本発明の方法の一つの実施形態において、20〜60℃、好ましくは30〜55℃の温度範囲で該方法を実行する。本発明において、他の錯化剤と組み合わせてQuadrolを錯化剤として使用する場合、銅析出はQuadrolを使用しない場合より低温度で行うことができることが示された。温度は低いにもかかわらず、析出率はQuadrolを含有しない浴で行うより高い。
【0063】
基材、即ち、銅でめっきされるべき基材の表面、特に非金属表面は、(例えば米国特許第4,617,205号公報第8欄に記載されたような)従来技術の範囲内の手段によって前処理され、銅析出に対してより受容的または自触媒作用的になるようにしてもよい。表面全体または表面上の選択された部分が前処理され得る。しかしながら、前処理は全ての場合に必要ではなく、基材やその表面の種類に依る。前処理の範囲内で、基材への無電解銅の析出前に、該基材に感応性を与えることが可能である。これは、基材の表面上に(貴金属、例えばパラジウムのような)触媒金属を吸着することによって達成することができる。
【0064】
前処理プロセスは、基材、所望の適用及び銅表面の所望の特性のようなパラメーターに強く依存する。
【0065】
特にプリント回路基板ラミネートや他の適切な基材のための例示的であって限定的では
ない前処理プロセスは1つ以上の次の工程を有し得る:
a)任意に、吸着を増すために基材をクリーニングしコンディショニングすること。クリーナーで有機物や他の残留物が除去される。クリーナーはまた、次の活性化工程のために表面を調製する、即ち、触媒の吸着を高めてより均一に活性化された表面とする追加物質(コンディショナー)を含み得る。
b)銅の表面から、特に穴における内側層から酸化物を除去するために、エッチングすること。これは、過硫酸塩または過酸化物ベースのエッチング系によってなされ得る。
c)塩酸溶液や硫酸溶液のようなプレディップ溶液と接触させること。プレディップ溶液中には任意に塩化ナトリウムのようなアルカリ金属塩も含まれる。
d)基材表面に触媒作用を引き起こすように、貴金属、好ましくはパラジウムのようなコロイド状またはイオン性の触媒金属を含有する活性剤溶液と接触させること。工程c)のプレディップは持ち込み(drag-in)やコンタミネーション(contaminations)から活性剤を保護するのに供せられる(任意に、特に活性剤がイオン性の触媒金属を含有する場合において)。
e)還元剤と接触させること、その際、イオン性の活性剤の金属イオンが還元されて元素の金属になる(あるいは活性剤がコロイド状の触媒金属を含有する場合において)。
f)促進剤と接触させること、その際、コロイド、例えば保護コロイドの成分を触媒金属から除去する。
【0066】
別の種類の前処理プロセスにおいて、過マンガン酸塩エッチング工程が用いられる。いわゆるデスミア(Desmear)プロセスは膨潤工程、過マンガン酸塩エッチング工程および還元工程である多段式のプロセスである。膨潤工程に採用される膨潤剤を有機溶媒の混合によって調製する。この工程の間、基板の表面からドリルの汚れ(drill smear)および他の不純物が取り除かれる。60〜80℃の高温は膨潤剤の浸透を促進し、膨潤表面をもたらす。それゆえ、その後適用される過マンガン酸塩溶液のより強い作用が過マンガン酸塩エッチング工程中に可能である。その後、還元工程の還元剤溶液は過マンガン酸塩エッチング工程中に生成された二酸化マンガンを表面から除く。還元剤溶液は還元剤を含み、任意に、コンディショナーを含み得る。
【0067】
デスミア(Desmear)プロセスは上記の工程と組み合わせることができる。デスミア(Desmear)プロセスは上記の前処理工程の工程a)の前に実行され得るか、あるいはデスミア(Desmear)プロセスは上記の前処理工程の工程a)および工程b)の代わりに実行され得る。
【0068】
ディスプレイ適用のための金属化(metallization)において、およびガラス基材の金属化において特に適切である前処理プロセスにおいては、表面が単にプレディップ溶液や活性剤溶液と接触され、その後に本発明の溶液と接触される。プレディップ工程前のクリーニング溶液および密着増強剤との接触は、先だって実行され得る任意の工程である。
【0069】
ガラス基材のためにしばしば用いられるなお別の方法が銅めっきの前に次の工程で実行されてもよい:めっきされるガラス表面が金属シード層を有する。金属シード層は、スパッタリング技術によって表面にもたらされることができる。代表的なシードは銅、モリブデン、チタン、またはそれらの混合物から構成される層である。前記前処理されたガラス表面が、貴金属、好ましくはパラジムのようなイオン性の触媒金属を含有する活性剤溶液と接触させられ、該表面は触媒作用を引き起こす。イオン性の触媒金属はシード金属によって表面上に還元される。この方法において、更なる還元剤の追加が省略されてもよい。この方法は特にディスプレイ適用のためのガラス基材の銅めっきに用いられる。
【0070】
代表的な前処理工程、又はその個々のステップは、必要と認められたならば、代替的な前処理工程と組み合わされてもよい。
【0071】
更なる態様において、本発明は、プリント回路基板、ウェハ、集積回路基材、成形回路部品(MID)コンポーネント、液晶ディスプレイまたはプラズマディスプレイのようなディスプレイ、特に電子デバイスやTV用のディスプレイ、ディスプレイコンポーネント、または機能目的または装飾目的のためのプラスチック部品のようなプラスチック部品のめっきのための、上記したような無電解銅めっき溶液の使用に関する。
【0072】
本発明を、以下の例によって更に詳細に説明する。これらの例は本発明を説明するため
に述べられるが、本発明を限定するように解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0073】
図1】めっきプロセスの銅厚および粗さにおけるQuadrolと更なる錯化剤EDTAとの組み合わせの効果を示す。
図2】めっきプロセスの銅厚および粗さにおけるQuadrolと更なる錯化剤HEDTAとの組み合わせの効果を示す。
【実施例】
【0074】
粗さの測定法:
光学式粗さ計/白色光干渉計(Model MIC−520、ATOS社、ドイツ)を無電解めっき銅層の厚さ(基準板とめっきパターンとの高差)および表面粗さを測定するのに使用した。白色光干渉計とはCCDカメラの上にサンプルの標的領域を映すという当業者に知られている光学顕微鏡法である。内部ビームスプリッターに備え付けられた干渉対物レンズを使って、その際にCCDカメラの上に高精度の参照ミラーを映す。両方の映像を重ね合わせるために、空間分解干渉縞画像を作り出し、非常に平らな参照ミラーと目的のサンプルとの高差の像を映す。広い高度分布を有するサンプルを映像化するために垂直走査スキームが使用され、それゆえ、目的の領域の干渉縞画像がサンプル-対物レンズ(sample-objective)の異なる距離の範囲内で一連の像として映像化される。これらのデータから完全3次元の映像が作り出される。この方法の使用によって、60μm×60μm〜1.2mm×1.2mmの範囲での凹凸画像は数ナノメートル(nm)範囲において垂直解像度で記録し得る。
【0075】
凹凸データは二乗平均平方根粗さパラメーターとして表される表面粗さを計測するのに使用され、表面形状(形状粗さパラメーター)においてRqまたはRMSとして略され、表面凹凸(面積粗さパラメーター)においてSqとして略される。Rqの意味するところはRMSの意味するところと同一である。RqはDIN EN ISO 4287(1998年のドイツ語版および英語版、4.2.2章)に定義されている意味を示し、Sqは2012年4月付けのISO25178−2(4.1.1章)に定義されている意味を示す。
【0076】
加えて、凹凸データは、基板表面(基準板)とめっき金属パターンの表面との高差に基づきめっき銅層の厚さを算出するのにも使用される。凹凸像、層厚さおよび表面粗さを算出するために、光学式粗さ計/白色光干渉計(Model MIC−520、ATOS社、ドイツ)にコンピューター・ソフトウェア、マイクロマップ123,バージョン4.0(マイクロマップ社)が備え付けられている。
【0077】
測定形態はFocus560Mであった。凹凸像は10倍の倍率を有する対物レンズおよび2倍の倍率を有する接眼レンズで測定された。凹凸像は312μm×312μmの範囲で測定され、かつ480×480ポイントから構成された。
【0078】
実施例1:Quadrolと更なる錯化剤との組み合わせ
基板:アルカリ不含のホウケイ酸ガラス、厚さ0.7mm、スパッタリングされた銅のシード層。
前処理:
1.アルカリクリーナー40℃/1分
2.水でのリンス
3.硫酸プレディップ溶液、室温(RT)/20秒
4.イオンPd活性剤(CuとPdとの交換反応)RT/2分
5.水でのリンス
無電解銅めっき溶液を製造するにあたり、錯化剤として、Quadrol/EDTA(比較例)の組み合わせおよびQuadrol/HEDTA(本発明の実施例)の組み合わせが採用された。Quadrolは0g/l、2.7g/lおよび5.4g/lがそれぞれ添加された。Cu2+イオンはCuSO6HOとして添加された。浴のpHは21℃で13.2であった。
【0079】
基板は上記の個々のめっき溶液と45℃で各12分間接触させた。析出された銅層のサンプルは測定モード「Focus 560 M」の記載された方法によって分析された。結果は以下の表1および表2に示す。図1および図2は得られた結果のグラフを示す。
表1:Quadrol/EDTAの組み合わせ
【表1】
【0080】
表2:Quadrol/HEDTAの組み合わせ
【表2】
【0081】
滞留時間とは基板と無電解銅めっき溶液との接触時間を意味する。
【0082】
Quadrol/EDTAの組み合わせ(表1、図1)またはQuadrol/HEDTAの組み合わせ(表2、図2)は、EDTAのみまたはHEDTAのみのそれぞれと比べて、同じプロセス時間が選択された際の銅厚が増加する。Quadrolの添加は、析出率が増加する一方で、析出した銅層の粗さを顕著に軽減するという結果を示す。HEDTAが既に含有している溶液にQuadrolを添加する場合は、EDTAのみが既に含有している溶液にQuadrolを添加する場合より析出率に関する粗度は低い。
【0083】
実施例2:比較例
実施例1で使用された基板に実施例1と同様にして前処理を行った。無電解銅めっき溶液は実施例1と同様にして調製された。銅めっき溶液は1:20のモル比で錯化剤QuadrolおよびHEDTAの組み合わせ物を含有していた。錯化剤の全モル量は表3に示すように銅イオンのモル比に基づいて変更された。安定剤として、シアン化物と硫黄化合物との混合物が添加された。
【0084】
2つの前処理された基板(サンプルAおよびB)は上記された個々のめっき溶液と45℃で各10分間接触した。析出された銅層のサンプルは実施例1と同様に分析された。その結果を表3に示す。
【0085】
表3:銅イオンに対する錯化剤のさまざまな比率
【表3】
【0086】
両無電解銅めっき溶液は高い析出率で銅を析出するが、得られた銅層の粗さは非常に高かった。加えて、QuadrolおよびHEDTAを0.5:1の銅イオンに対するモル比で使用した場合、無電解銅めっき溶液は不安定であった。QuadrolおよびHEDTAが11:1の銅イオンに対するモル比で使用された場合、析出された銅層は粗っぽい成長、かつ膨れを示した。
図1
図2