特許第6388912号(P6388912)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6388912多糖類繊維および当該多糖類繊維の製造のための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6388912
(24)【登録日】2018年8月24日
(45)【発行日】2018年9月12日
(54)【発明の名称】多糖類繊維および当該多糖類繊維の製造のための方法
(51)【国際特許分類】
   D01F 2/00 20060101AFI20180903BHJP
   D01F 9/00 20060101ALI20180903BHJP
   D03D 15/00 20060101ALI20180903BHJP
   D04B 1/14 20060101ALI20180903BHJP
   D04B 21/00 20060101ALI20180903BHJP
   D04H 1/42 20120101ALI20180903BHJP
   D04H 3/013 20120101ALI20180903BHJP
   D21H 13/02 20060101ALI20180903BHJP
【FI】
   D01F2/00 Z
   D01F9/00 Z
   D03D15/00 A
   D04B1/14
   D04B21/00 B
   D04H1/42
   D04H3/013
   D21H13/02
【請求項の数】16
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-505650(P2016-505650)
(86)(22)【出願日】2014年4月4日
(65)【公表番号】特表2016-520726(P2016-520726A)
(43)【公表日】2016年7月14日
(86)【国際出願番号】AT2014000072
(87)【国際公開番号】WO2014161019
(87)【国際公開日】20141009
【審査請求日】2017年3月9日
(31)【優先権主張番号】A257-2013
(32)【優先日】2013年4月5日
(33)【優先権主張国】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】500077889
【氏名又は名称】レンツィング アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】デュルンベルガー、 フランツ
(72)【発明者】
【氏名】レッドリンガー、 シーグリッド
(72)【発明者】
【氏名】シュレンプ、 クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ルフ、 ハルトムート
(72)【発明者】
【氏名】フィーゴ、 ハイリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】クローナー、 ガート
【審査官】 清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−298999(JP,A)
【文献】 特表2002−535501(JP,A)
【文献】 米国特許第07000000(US,B1)
【文献】 特表平07−509024(JP,A)
【文献】 米国特許第05486230(US,A)
【文献】 特表平10−501851(JP,A)
【文献】 米国特許第05725821(US,A)
【文献】 特表2014−534294(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0087938(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D01F 1/00−6/96
9/00−9/04
D21B 1/00−1/38
D21C 1/00−11/14
D21D 1/00−99/00
D21F 1/00−13/12
D21G 1/00−9/00
D21H 11/00−27/42
D21J 1/00−7/00
D04B 1/00−1/28
21/00−21/20
D03D 1/00−27/18
C08K 3/00−13/08
C08L 1/00−101/14
C08B 1/00−37/18
D04H 1/00−18/04
Japio−GPG/FX
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミンオキシド水溶液と、繊維形成物質として、セルロースとα(1→3)−グルカンとの混合物と、を含有する紡糸溶液を紡糸する工程を含む、リヨセル繊維を製造する方法。
【請求項2】
前記繊維形成物質が、1重量%〜99重量%のα(1→3)−グルカンを含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記繊維形成物質が、5重量%〜30重量%のα(1→3)−グルカンを含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記アミンオキシドが、N−メチルモルホリン−N−オキシドである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記α(1→3)−グルカンの少なくとも90%が、ヘキソース単位であり、前記ヘキソース単位の少なくとも50%が、α(1→3)−グリコシド結合を介して連結している、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記リヨセル繊維が、ステープルファイバーまたは連続フィラメントである、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
セルロースおよびα(1→3)−グルカンを含有することを特徴とするリヨセル繊維。
【請求項8】
繊維形成物質が1重量%〜99重量%のα(1→3)−グルカンを含有する、請求項に記載のリヨセル繊維。
【請求項9】
繊維形成物質が5重量%〜30重量%のα(1→3)−グルカンを含有する、請求項7に記載のリヨセル繊維。
【請求項10】
前記α(1→3)−グルカンの少なくとも90%が、ヘキソース単位であり、前記ヘキソース単位の少なくとも50%が、α(1→3)−グリコシド結合を介して連結している、請求項に記載のリヨセル繊維。
【請求項11】
テープルファイバーまたは連続フィラメントである、請求項〜請求項10のいずれか一項に記載のリヨセル繊維。
【請求項12】
請求項7〜請求項11のいずれか一項に記載のリヨセル繊維を含む、ヤーン、織物および編物からなる群より選択されるテキスタイル製品。
【請求項13】
ピーチスキン効果を有する、請求項7〜請求項11のいずれか一項に記載のリヨセル繊維を含むテキスタイル製品。
【請求項14】
請求項7〜請求項11のいずれか一項に記載のリヨセル繊維を含むテキスタイルを機械的または酵素的に研磨する工程を含む、テキスタイル製品の製造方法。
【請求項15】
請求項7〜請求項11のいずれか一項に記載のリヨセル繊維を含む不織物。
【請求項16】
請求項7〜請求項11のいずれか一項に記載のリヨセル繊維を含む紙。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルロースとα(1→3)−グルカンとの混合物を繊維形成物質として含有する多糖類繊維の製造のための方法、ならびに、当該多糖類繊維から製造された繊維および当該多糖類繊維の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
多糖類は、再生可能な原材料から得られる材料であるため、増々重要なものとなっている。最も頻繁に見受けられる多糖類の一つが、セルロースである。綿繊維は、ほとんどセルロースのみからなっており、多糖類の重要な一例である。しかしながら、他のセルロース系原材料から得られる材料、例えばセルロース系合成繊維もまた、重要性を増し続けている。
【0003】
誘導体を形成することなく有機溶媒中で溶液から製造されるセルロース繊維には、BISFA(the International Bureau for the Standardization of Man−made Fibers)により、「リヨセル繊維」という一般名が割り当てられた。
【0004】
しかしながら、リヨセル型繊維の大規模製造のための方法は、現在までにただ一つしか受け入れられておらず、すなわち、アミン−オキシドプロセスしか受け入れられていない。この方法においては、第三級アミンオキシド、好ましくはN−メチルモルホリン−N−オキシド(NMMO)が溶媒として使用される。
【0005】
第三級アミンオキシドは長い間、代替的なセルロース用溶媒として公知であった。US2,179,181からは、例えば、第三級アミンオキシドが誘導体化を伴わずにパルプを溶解できること、および、このような溶液からセルロース成形体、例えば繊維を製造できることが公知になっている。US3,447,939には、セルロース用溶媒として環状アミンオキシドが記載されている。
【0006】
数多くの特許明細書および他の刊行物からは、上記方法をどのように実施するかが当業者にかなり以前より公知となっていた。例えばEP356419B1には、上記溶液がどのように調製されるかが記載されており、EP584318B1には、上述のセルロースの含水第三級アミンオキシド溶液がどのように紡糸されるかが記載されている。
【0007】
アミンオキシドプロセスに使用される主要なセルロース系原材料は、木材から得られるパルプである。木材中に、および、コットンリンター、麦ワラ等の他の植物主体型セルロース源中に存在するセルロース分子は、非常に長い鎖を形成しており、すなわち、高い重合度を示す。大規模加工によく適したセルロース紡糸溶液を得るためには、セルロース分子の重合度を特別に調節することが必要であるが、それにより、ポリマー分子の一部が不可避的に短くなる。このようなことは、通例のパルプ調製方法においても、漂白、酸処理または放射線照射等の別個の予備処理工程においても、元々長いセルロース分子が分断されることによって起こる。これにより、望ましい重合度を有するより短くなった鎖に加えて、オリゴマーまたはさらにはモノマー等といった著しくより短くなったフラグメントも生成され、この著しくより短いフラグメントは、沈殿浴中での紡糸溶液の沈殿後に溶液中に残留し、繊維の形成には寄与せず、したがって、損失となる。このプロセス中の原材料の損失量はかなり多くになり得るし、アミンオキシドプロセス全体の対費用効果にも影響し得る。
【0008】
US7,000,000には、α(1→3)−グリコシド結合を介して連結したヘキソース繰り返し単位から実質的になる多糖類の溶液を紡糸することによって得られる繊維が記載されている。この多糖類は、サッカロースの水溶液を、ストレプトコッカス・サリバリウス(Streptococcus salivarius)から単離したGtfJグルコシルトランスフェラーゼと接触させることによって、製造することができる(Simpsonら、Microbiology、第41巻、1451〜1460ページ(1995))。上記との関連において使用されるとき、「実質的に」は、他の結合配置が発生し得る偶発的な欠陥箇所が、多糖類の鎖の内部に存在していてもよいことを意味する。本発明の目的では、このような多糖類を、「α(1→3)−グルカン」と呼ぶ。
【0009】
US7,000,000には最初に、単糖類からのα(1→3)−グルカンの酵素的製造が可能であることが開示されている。この方法では、ポリマー鎖がモノマー単位から構築されるため、比較的鎖が短い多糖類をモノマー単位の損失なしで製造することができる。鎖が短いセルロース分子の製造とは対照的に、α(1→3)−グルカンの製造は、ポリマー鎖が短い場合には反応器内で必要な滞留時間が短くなるため、ポリマー鎖が短くなるほど費用がより安くなる。
【0010】
US7,000,000号によれば、α(1→3)−グルカンは誘導体化することが可能であり、好ましくはアセチル化される。好ましくは、溶媒は、有機酸、有機ハロゲン化合物、フッ素化アルコール、またはこのような成分の混合物である。これらの溶媒は費用が高く、再生が複雑である。
【0011】
したがって、商業用に適用される大規模プロセス条件下、アミンオキシドプロセスにおいてセルロースの代わりにα(1→3)−グルカンを使用するという試みがなされた。残念ながら、このような条件下ではα(1→3)−グルカンを繊維へと満足に加工できないことが見出された。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述の先行技術を鑑みて、本目的は、上記欠点を含まない多糖類繊維および当該多糖類繊維の製造のための方法を提供することだった。多糖類原材料は、製造が安価なものであるべきであったし、加工方法は、公知で対費用効果が良く、既存施設において実行可能であるべきだった。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的は、紡糸溶液が、アミンオキシド水溶液と、繊維形成物質として、セルロースとα(1→3)−グルカンとの混合物と、を含有する、リヨセル繊維の製造のための方法によって解決される。本発明の目的では、このような繊維は、セルロース以外のさらに別の繊維形成多糖類、すなわちα(1→3)−グルカンを含有しているが、リヨセル繊維と呼ぶものとする。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の目的では、「繊維」という用語は、規定のステープル長さを有するステープルファイバーと、連続フィラメントとの両方を含むものとする。以下に記載されている本発明に関するすべての原理は、原則的に、ステープルファイバーと連続フィラメントの両方に適用される。
【0015】
本発明の繊維の単繊維繊度は、0.1dtex〜10dtexであり得る。好ましくは、本発明の繊維の単繊維繊度は、0.5dtex〜6.5dtex、より好ましくは0.9dtex〜3.0dtexである。ステープルファイバーの場合、ステープル長さは通例、0.5mm〜120mm、好ましくは20mm〜70mm、より好ましくは35mm〜60mmである。連続フィラメントの場合、フィラメントヤーン中の個々のフィラメントの数は、50〜10,000、好ましくは50〜3,000である。
【0016】
α(1→3)−グルカンは、サッカロースの水溶液を、ストレプトコッカス・サリバリウスから単離されたGtfJグルコシルトランスフェラーゼと接触させることによって、調製することができる(Simpsonら、Microbiology、第41巻、1451〜1460ページ(1995))。
【0017】
本発明による方法の好ましい実施形態において、α(1→3)−グルカンの少なくとも90%は、ヘキソース単位であり、ヘキソース単位の少なくとも50%が、α(1→3)−グリコシド結合を介して連結している。
【0018】
本発明の繊維の調製のための方法は、下記工程からなる:
【0019】
1. 下記2つの方法のうちの一方に従って、アミンオキシド水溶液と、繊維形成物質として、セルロースとα(1→3)−グルカンとの混合物と、を含有する紡糸溶液を調製すること:
【0020】
a. α(1→3)−グルカンは、アミンオキシド水溶液の溶液の形態で、公知の方法によって調製したセルロース溶液に添加してもよい。
【0021】
b. α(1→3)−グルカンは、パルプに前もって混合した後、アミンオキシド水溶液と接触させてもよい。
【0022】
2. ダイを通過し、エアギャップを経由し、アミンオキシド水溶液を含有する紡糸浴に入るように紡糸溶液を押し出し、再生繊維を洗浄してアミンオキシドを除去し、乾燥させること。
【0023】
紡糸溶液中の繊維形成物質の濃度は、5重量%〜20重量%であり得、好ましくは8重量%〜15重量%であり得、より好ましくは10重量%〜14重量%であり得る。
【0024】
本発明による方法における繊維形成物質は、1重量%〜99重量%のα(1→3)−グルカンを含有してもよい。5重量%〜30重量%のα(1→3)−グルカン含量が好ましく、10重量%〜20重量%のα(1→3)−グルカン含量が特に好ましい。5%より低い場合、添加されたα(1→3)−グルカンによる経済的利益が、本発明の繊維の典型的な種類の使用には低すぎる。30%より高い場合、繊維が紡糸プロセス中にくっつき合う程度が増大する可能性がある。しかしながら、特定の条件下および/または本発明の繊維の特定の種類の使用においては、上記両方の限界を超過してもよく、本発明の範囲にはさらに、1重量%〜5重量%のα(1→3)−グルカン含量を有する繊維と、30重量%〜99重量%のα(1→3)−グルカン含量を有する繊維のそれぞれを明示的に含める。例えば、紡糸口金の開口部密度が低い場合、すなわち、エアギャップ内にある個々のフィラメントの間に大きな間隔がある場合、くっつき合う危険性が著しく低下する。
【0025】
重量平均DPとして表される、本発明による方法において用いられるα(1→3)グルカンの重合度は、200〜2000であり得るが、500〜1000の値が好ましい。好ましくは、アミンオキシドは、N−メチルモルホリン−N−オキシドである。
【0026】
本発明によるプロセスにおいては、下記プロセスパラメータもまた好ましい:90℃〜135℃、好ましくは120℃〜130℃のダイにおける紡糸溶液の押出温度;目標の単繊維繊度に応じて0.01g/開口部min〜0.2g/開口部min、好ましくは0.02g/開口部min〜0.1g/開口部minの紡糸口金からの押出量;7mm〜70mm、好ましくは20mm〜35mmのエアギャップの長さ;0重量%〜35重量%、好ましくは0重量%〜25重量%の紡糸水溶液浴中でのNMMOの濃度。
【0027】
セルロースおよびα(1→3)−グルカンを含有するリヨセル繊維もまた、本発明の主題である。
【0028】
本発明によれば、本発明の繊維の繊維形成物質は、1重量%〜99重量%のα(1→3)−グルカンを含有し得る。より好ましくは、α(1→3)−グルカンの含量は5重量%〜30重量%であり、特に好ましくは、α(1→3)−グルカンの含量は10重量%〜20重量%である。5%より低い場合、添加されたα(1→3)−グルカンによる経済的利益が、典型的な種類の使用には低すぎる。30%より高い場合、繊維がくっつき合う程度が増大する可能性がある。しかしながら、特定の場合および/または本発明の繊維の特定の種類の使用においては、上記両方の限界を超過してもよく、本発明の範囲にはさらに、1重量%〜5重量%のα(1→3)−グルカン含量を有する繊維と、30重量%〜99重量%のα(1→3)−グルカン含量を有する繊維のそれぞれを明示的に含める。
【0029】
好ましい実施形態において、本発明のリヨセル繊維のα(1→3)−グルカンの少なくとも90%が、ヘキソース単位であり、ヘキソース単位の少なくとも50%が、α(1→3)−グリコシド結合を介して連結している。
【0030】
ヤーン、織物または編物等のテキスタイル製品の製造のための本発明の繊維の使用もまた、本発明の主題である。
【0031】
驚くべきことに、例えばSchmidt M.,Lenzinger Berichte 9(1994)、95〜97ページからリヨセル繊維加工の当業者に一般に公知となっている処理方法による、ピーチスキン効果を有するテキスタイルの製造には、本発明の繊維が非常によく(α(1→3)−グルカンを含んでいない市販のリヨセル繊維よりさらに良好に)適していることが発見された。上記適合性は、本発明による繊維の高いフィブリル化能に起因している。
【0032】
テキスタイル鎖に対する様々な処理工程中に出現するフィブリルを繊維表面から除去するためには、大抵の場合、いわゆる機械的研磨工程または酵素的研磨工程(「バイオ研磨」;例えばSchmidt M.,Lenzinger Berichte 9(1994)、95〜97ページを参照されたい。)が用いられる。本発明の繊維は一般に、このような機械的研磨工程または酵素的研磨工程が用いられる、テキスタイルのための製造方法における使用に非常によく適している。したがって、このような本発明の繊維の使用もまた、本発明の主題である。本発明による繊維から製造された染色済みの布(テキスタイル)では、ホワイトアブレイジョン挙動の改善もさらに示されるし、洗浄後には、灰色化の低減とピリングの低減も示される。
【0033】
本発明の繊維は、乾式堆積プロセスまたは湿式堆積プロセスによって製造できるすべての製品に特によく適している。これには例えば、すべての紙関連用途および不織布、いわゆる不織製品が挙げられる。フィブリル化は、例えば水等の液体に分散されているときの本発明による繊維に強力な機械的衝撃を与えることによって、誘導することもできる。適切な装置は例えば、紙関連の産業において周知のリファイナーである。100%セルロースからなるリヨセル繊維と比較すると、本発明による繊維は、直径がより大きいフィブリルを形成しており、それにより、そのようなフィブリル化した繊維が上記不織物用途に特に良好に適するようになる。
【0034】
さらに、本発明の繊維は、他の成形体またはシート状構造の表面処理用に大幅に短くした形態にして使用する、すべての種類の使用に非常によく適している。こうした表面処理には、とりわけ、表面コーティングおよびフロック加工が挙げられる。この目的では、本発明の繊維は、例えば切断ミル内で切断または粉砕することによって、10μm〜およそ500μmの長さに製造される。
【0035】
実施例を参照しながら本発明を以下に記載する。しかしながら、本発明は、これらの実施例に限定されないのは明らかであり、同じ発明概念に基づいている他のすべての実施形態も含む。
【実施例】
【0036】
α(1→3)−グルカンの重合度を、DMAc/LiCl中でGPCによって測定した。この後、常に、重合度の重量平均(DP)を特定する。
【0037】
13重量%の固体(セルロース+α(1→3)グルカン)/77重量%のN−メチルモルホリン−N−オキシド/10重量%の水をそれぞれが含有する紡糸溶液を、130℃で紡糸口金からエアギャップ(長さ30mm)を経由させて水中に紡糸した。エアギャップ内では、乾燥空気(すなわち、湿度=0%r.h.)を、室温で吹き込むのに使用した。紡糸口金からの押出量は、0.05g/開口部minだった。使用されたセルロース系原材料は、450ml/gのSCAN粘度を有するSaiccorパルプだった。相異なる2つの重合度を有するα(1→3)グルカンを使用した。グルカン量は、繊維形成物質中のα(1→3)−グルカンの比率に関するものである。
【0038】
得られた繊維の特性を表1に列記している。
【0039】
【表1】
【0040】
上記表中での意味:
【0041】
FFk 繊維の強度(調整)
FDk 繊維の伸び(調整)
FFn 繊維の強度(湿潤)
FDn 繊維の伸び(湿潤)