特許第6388925号(P6388925)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6388925
(24)【登録日】2018年8月24日
(45)【発行日】2018年9月12日
(54)【発明の名称】金属箔の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C22F 1/10 20060101AFI20180903BHJP
   C22C 19/03 20060101ALI20180903BHJP
   C22F 1/00 20060101ALN20180903BHJP
   H01B 13/00 20060101ALN20180903BHJP
【FI】
   C22F1/10 A
   C22C19/03 G
   C22C19/03 M
   !C22F1/00 622
   !C22F1/00 627
   !C22F1/00 661A
   !C22F1/00 681
   !C22F1/00 682
   !C22F1/00 683
   !C22F1/00 685Z
   !C22F1/00 686A
   !C22F1/00 691B
   !C22F1/00 691C
   !C22F1/00 694A
   !C22F1/00 694B
   !H01B13/00 565D
【請求項の数】9
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-517167(P2016-517167)
(86)(22)【出願日】2014年6月6日
(65)【公表番号】特表2016-528373(P2016-528373A)
(43)【公表日】2016年9月15日
(86)【国際出願番号】DE2014000282
(87)【国際公開番号】WO2014194880
(87)【国際公開日】20141211
【審査請求日】2016年2月8日
(31)【優先権主張番号】102013009575.1
(32)【優先日】2013年6月7日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】399009918
【氏名又は名称】ファオデーエム メタルズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】VDM Metals GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ニコル デ ブール
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ギルゲス
(72)【発明者】
【氏名】ハイケ ハッテンドルフ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ヘックマン
【審査官】 鈴木 毅
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−525156(JP,A)
【文献】 特開2009−245888(JP,A)
【文献】 特表2002−541321(JP,A)
【文献】 特開2007−115561(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22C 19/00 − 19/07
C22F 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量%で示して以下の組成:
W 5〜30%、ここで、Wは完全に又は部分的にMoにより置き換えられていてもよく、
Mg 0.0001〜0.050%、ここで、Mgは完全に又は部分的にCaにより置き換えられていてもよく、
Ti 最大0.10%
Al 最大0.10%
B 最大0.020%
Fe 最大1.0%
Co 最大1.0%
Mn 最大0.20%
Si 最大0.20%
Cr、Cu、Nb それぞれ最大0.20%
P 最大0.020%
C 最大0.050%
N 最大0.020%
S 最大0.020%
Ni 残り
並びに不可避的不純物
を有する合金から金属箔を製造する方法において、次の方法工程:
(a) 前記合金を、1トンを超える量で、真空誘導炉中で処理するか、又は開放系の誘導炉若しくはアーク炉中で処理し、続いてVOD又はVLF装置で処理することにより精錬する工程、
(b) 前記工程(a)において精錬した合金をインゴット、電極又は連続鋳造品として鋳造して中間製品を形成する工程、
(c) 前記工程(b)で得られた前記中間製品を、800〜1350℃の温度で1時間〜300時間にわたって、空気中で又は保護ガス下で焼鈍する工程、
(d) 前記工程(c)で焼鈍された前記中間製品を600〜1300℃の温度で熱間圧延する工程、
(e) 前記工程(d)で得られた中間製品を冷却した後に酸洗いする工程、
(f) 前記工程(e)で酸洗いされた前記中間製品を90%超の変形率で冷間圧延して箔を製造する工程、
(g) 前記箔を条材に切断する工程、
(h) 前記条材を、保護ガス下で1秒〜5時間にわたって連続炉中で焼鈍する工程、
を有する、金属箔の製造方法。
【請求項2】
前記工程(b)において、前記中間製品を形成した後に、更に前記中間製品をVAR及び/又はESRにより1回以上再溶融することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記中間製品を前記工程(d)で熱間圧延して、前記中間製品の厚さを1.5〜200分の1に減少させることにより、前記熱間圧延後の前記中間製品の厚さは1〜100mmであり、かつ前記中間製品は再結晶化又は回復又は動的に再結晶化されておらず、300μm未満の粒度を示すことを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記工程(e)で得られた中間製品を工程(f)において冷間圧延して、10〜600μmの最終厚さが得られることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記工程(g)で中間製品を5〜300mmの条材に切断することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記工程(c)において焼鈍した前記中間製品を、VAR及び/又はESRにより1回以上再溶融することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記工程(d)において、前記中間製品の厚さを1.5〜200分の1に減少させることにより、前記熱間圧延後の前記中間製品の厚さは1〜300mmであり、かつ前記中間製品は再結晶化又は回復又は動的に再結晶化されておらず、300μm未満の粒度を示しこの中間製品を更に800℃〜1350℃の温度で1時間〜300時間にわたって空気中又は保護ガス下で焼鈍して、その後に再び工程(d)において、600〜1300℃の温度で2回又は3回熱間圧延して、前記中間製品の厚さを1.5〜200分の1に減少させることにより、前記中間製品の厚さは最後の圧延の後に1〜100mmであり、かつ前記中間製品は再結晶化又は回復又は動的に再結晶化されておらず、300μm未満の粒度を示すことを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記中間製品を、前記工程(e)の酸洗いの後に研削することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記酸洗いの後に、又は前記酸洗いと前記研削との後に、90%を超える変形率で冷間圧延することにより、10〜300μmの最終厚さの箔を製造することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニッケル50%超を有する合金から、金属箔を製造する方法、特に表面がほぼニッケルとタングステンとからなる金属箔を製造する方法に関する。
【0002】
きわめて純粋なニッケル合金は、特に鋳造インゴット(例えばVIM)を更に再溶融(例えばVAR)させる場合、熱間変形(例えばインゴット−板圧延)の間に、亀裂及び破断のような材料欠損を生じやすい。
【0003】
例えば超伝導帯材のような特別な使用の場合にとって、薄い箔として立方体集合組織の度合いの高い無欠陥表面を有する、きわめて純粋な合金が必要となる。これは、通常の大規模工業による製造方法によって今までに許容できるコストでは製造できなかった。この課題は、通常の大規模工業による製造方法によってこのような箔を許容できるコストで製造することにある。これは、今までには不可能であった。
【0004】
DE 697 06 083 T2は、次の化学組成(質量%)
30% ≦ Ni+Co ≦ 85%
0% ≦ Co+Cu+Mn ≦ 10%
0% ≦ Mo+W+Cr ≦ 4%
0% ≦ V+Si ≦ 2%
0% ≦ Nb+Ta ≦ 1%
0.003% ≦ C ≦ 0.05%
0.003% ≦ Ti ≦ 0.15%
0.003% ≦ Ti+Zr+Hf ≦ 0.15%
0.001% < S+Se+Te < 0.015%
Mg < 0.001%
Ca < 0.0025%
Al ≦0.05%
O < 0.0025%
N < 0.005%
P < 0.01%
Sc+Y+La+Ce+Fe+Nd+Sm <0.01%
で、ここで、残りは鉄及び精錬に由来する不純物であり、ここで、上記化学組成は、更に次の関係:0% ≦ Nb+Ta+Ti+Al ≦ 1%を満たす、
鉄ニッケル合金に関する。
【0005】
この刊行物は、立方体集合組織を有する上記合金からなる冷間圧延帯材の製造方法も開示していて、ここで熱間圧延帯材を製造し、この帯材を80%を超える変形率で冷間圧延し、この冷間帯材(Kaltband)を、550℃より高い温度でかつこの合金の二次再結晶化温度未満の温度で焼鈍して、この帯材に立方体集合組織を付与する。
【0006】
DE 102008016222 A1により、
Niを74〜90%
Wを10〜26%並びに
Al及び/又はMg及び/又はBを次の含有率
Al >0〜最大0.02%
Mg >0〜最大0.025%
B >0〜最大0.005%
(質量%)で有する金属箔は公知となっている。
【0007】
この材料は、溶融冶金により大規模工業的に、1tを超えて製造され、適切な処理の際に再結晶化立方体集合組織を示すことができる。ここでは、確かに溶融冶金による製造方法が述べられているが、所望な特性を低コストで調節できる他のプロセス管理は開示されていない。
【0008】
この金属箔は、エピタキシャル被覆用の金属帯材として使用することができる。
【0009】
DE 2816173は、環型帯状心材(Ringbandkern)の製造方法を開示している。それによると、Ni合金の巻き付けられた条材は900〜1050℃の熱処理に供される。それにより、立方体集合組織を調節することができる。この方法は、ニッケル63〜65.5質量%、モリブデン2〜4質量%、残り鉄を有するNiFeMo合金に用いられる。NiWを基礎とする合金は、ここには述べられていない。
【0010】
DE 102004060900は、純ニッケルからなるか、又はSc、Y、La、Acの群の合金元素を有するニッケル合金からなる半製品を開示していて、これは圧延及び熱処理により立方体集合組織に変換される。NiWを基礎とする合金は、ここではエピタキシャル被覆のために適していないことが明確に示されている。熱処理の具体的な方法は、ここには開示されていない。
【0011】
DE 102005013368は、超伝導層による物理化学的被覆のために使用することができる半製品の製造方法を開示している。ここでは、大規模工業的製造に利用される方法は開示されていない。
【0012】
本発明の基礎となる課題は、1トン超の量を経済的に加工することができる、高温超伝導体用の支持帯材の新規種類の製造方法を提供することである。
【0013】
上記課題は、次の方法工程を有するニッケル50%超を有する合金からなる金属箔の製造方法により解決される:
(a) 上記合金を、1トンを超える量で、真空誘導炉中で、又は開放で誘導炉又はアーク炉中で、続いてVOD又はVLF装置での処理により精錬し、
(b) 引き続き、この合金を、中間製品の形成のために、インゴット、電極又は連続鋳造品(Strangguss)として鋳造し、場合により、続いてVAR及び/又はESUにより1回以上再溶融し、
(c) その後で、この中間製品を、必要な際に、800〜1350℃の温度で1時間〜300時間で、空気中で又は保護ガス下で焼鈍し、
(d) その後で、この中間製品を1300〜600℃の温度で熱間変形、特に熱間圧延し、ここで、投入材料の厚さは1.5〜200分の1に減少され、変形後の中間製品は1〜100mmの厚さを有し、かつ再結晶化されず及び/又は回復され及び/又は300μm未満、特に100μm未満、あるいは70μm未満の粒度で(動的に)再結晶化されていて、
(e) この中間製品を引き続き酸洗いし、
(f) その後で、この中間製品を、10〜600μm、特に40〜150μmの最終厚さの箔の製造のために、90%超の変形率で冷間変形させ、
(g) この箔を、冷間変形に引き続き、5〜300mmの条材(Streifen)に切断し、
(h) この箔の条材を、引き続き、保護ガス下で、600〜1200℃の温度で、1秒〜5時間で連続炉中で焼鈍し、
(i) ここで、焼鈍された箔の材料はこの焼鈍後に再結晶化されていてかつ高い割合の立方体集合組織を有する。
【0014】
本発明による方法の好ましい実施態様は、所属する方法の従属請求項から推知できる。
【0015】
本発明の方法により製造された金属箔は、好ましくは、
W 5〜30%
Mg 0.0001〜0.050%
Ni 残り並びに通常の精錬による不純物
(質量%)からなり、ここで、Wは、必要な場合に完全に又は部分的にMoにより置き換えられていてもよく、かつMgは、必要な場合に完全に又は部分的にCaにより置き換えられていてもよい。
【0016】
金属箔の好ましい実施態様は、所属する物の従属請求項から推知できる。
【0017】
金属箔は、必要な場合に、更に次の元素を含んでいてもよい:
Ti 最大0.10%
Al 最大0.10%
B 最大0.020%
Fe 最大1.0%
Co 最大1.0%
Mn 最大0.20%
Si 最大0.20%
Cr、Cu、Mg それぞれ最大0.20%
P 最大0.020%
C 最大0.050%
N 最大0.020%
S 最大0.020%。
【0018】
更に、次に記載する複数の元素を次のように合金中で調節することができる:
Mg 0.0001〜0.020%
Ti 0.001〜0.050%
Al 0.001〜0.050%
B 最大0.010%
Fe 最大1.0%
Co 最大1.0%
Mn 最大0.05%
Si 最大0.10%
Cr、Cu、Nb、V、Ta それぞれ最大0.10%
P 最大0.010%
C 最大0.030%
N 最大0.010%
S 最大0.010%
O 最大0.030%
Ni 残り。
【0019】
この合金を1トン超の量で真空誘導炉中で、又は開放で誘導炉又はアーク炉中で、続いてVOD又はVLF装置での処理により精錬し、引き続きこの合金を、インゴット、電極又は連続鋳造品として中間製品の形成のために鋳造し、その後で、この中間製品を更に800〜1350℃の温度で、1時間〜300時間で、空気中又は保護ガス下で焼鈍し、続いてVAR及び/又はESUにより1回以上再溶融する場合が好ましい。
【0020】
同様に、この中間製品は、この中間製品を1300〜600℃の温度で熱間圧延し、ここで投入材料の厚さを1.5〜200分の1に減少させて、圧延後の中間製品は1〜100mmの厚さを有し、かつ再結晶化されず及び/又は回復され及び/又は300μm未満の粒度で(動的に)再結晶化されていて、その後で、800℃〜1350℃の温度で1時間〜300時間で空気中で又は保護ガス下での焼鈍の後に、更に2回及び場合により3回1300℃〜600℃の温度で熱間圧延し、ここで、投入材料の厚さを1.5〜200分の1に減少させ、かつ最後の圧延の後に、1〜100mmの厚さを有し、かつ再結晶化されず及び/又は回復され及び/又は300μm未満、特に100μm未満、あるいは70μm未満の粒度で(動的に)再結晶化されている場合が好ましい。
【0021】
更に、この中間製品を、1回以上の熱間圧延及び引き続く酸洗いの後に研削することができる。
【0022】
更に、酸洗い及び/又は研削の後に、10〜300μmの最終厚さの箔の製造を、90%を超える変形率で、2μm未満の粗さの調節のために定義された表面を有するローラを用いる冷間変形によって行うことができる。
【0023】
本発明の他の思想によると、酸洗い及び/又は研削の後に、10〜300μmの最終厚さの箔の製造を、90%を超える変形率で、空気中又は還元性保護ガス下で、550℃〜1200℃の温度でかつ材料のための10秒〜100時間の焼鈍時間での中間焼鈍を伴う冷間変形によって行うことができ、ここで、保護ガスは水素又は水素/窒素混合物又はアルゴン又はこれらのガスの混合物からなることができ、続いて静止する保護ガス又は空気中で、流動する(吹き付けられる)保護ガス又は空気中で冷却し、場合により、続いて酸洗いし、ここで、この材料は、箔の条材の最終的な焼鈍工程の後で回復されている及び/又は70μm未満の粒度を有する。
【0024】
同様に、箔条材の最終的な焼鈍のための保護ガスとして水素又は水素/窒素混合物又はアルゴン又はこれらのガスの混合物を使用する場合が考えられる。
【0025】
更に、保護ガス下の焼鈍は、600℃〜1200℃の多様な温度で1秒〜5時間の複数の保持時間で行うことができる。
【0026】
熱間変形を中断し、引き続きこうして圧延された2つ以上の製品を積み重ねることによって金属プレート積層体(Metallblechpaket)を製造し、ここで、このプレート積層体の周囲を溶接し、その後でこのプレート積層体を、例えば圧延のような機械的変形によって熱間で変形し、ここで、この機械的変形によって、この積層体(Paket)の厚さを1.5〜200分の1に減少させ、ここで、場合により800〜1350℃の温度で1時間〜300時間で空気中で又は保護ガス下で1回以上の中間焼鈍を行い、ここで、場合により、個々のプレートの合金元素はプレート積層体の1つ以上の境界面を通して隣接するプレート内へ拡散し、その後で、この積層体を10〜300μmの最終厚さに90%を超える変形率で冷間変形させ、ここで、全体の積層体の外側の積層体層の少なくとも1つは集合組織を有する場合が特に好ましい。
【0027】
溶接されたプレート積層体は、長さが0.1〜20mで、幅が0.1〜5mであることができる。
【0028】
これとは別に、熱間変形及び酸洗いの後及び/又は冷間変形の中断の後に、2つ以上の中間製品(熱間変形されたか、冷間変形されたか、又はこの両方の混合型の中間製品)を1つの積層体に積み重ねて、ここで、個々の中間製品の厚さは100mm〜0.08mmであり、この中間製品を、場合により積層の前に少なくとも10mmの条材に切断し、この中間製品を、場合により、脱脂し、場合により、続いて個々の層の表面の粗さを高めるために、例えばブラッシング又は研削のような1つ以上の処理を行い、その後に、この積層体を90%を超える変形率で10〜300μmの最終厚さに冷間変形させ、ここで、場合により、個々の帯材の合金元素は、1回以上の焼鈍で、この帯状積層体の1つ以上の境界面を通して隣接する帯材中へ拡散し、ここで、この全体の積層体の外側の積層層の少なくとも1つは集合組織を有することも考えられる。
【0029】
更に、本発明による合金からなる熱間変形又は冷間変形された2つ以上の製品の積層による積層体の製造の際に、積層体に積層されるこれらの層の1つ以上は、他の合金組成を有する金属材料に置き換えられていてもよく、ここで、この積層体の外側の層の少なくとも1つは、更に本発明による合金からなる。
【0030】
更に、この場合、この積層体に積層される1つ以上の層は、場合により他の合金元素を有するCu−Ni合金からなる層、又はNi含有率が少なくとも5%でありかつ場合により他の合金元素を有するNi−Cr合金又はNi−Cr−Fe合金からなる層に置き換えられていてもよく、ここで、この積層体の外側の層の少なくとも1つは、更に本発明による合金からなる。
【0031】
更に、この場合、この積層体に積層される1つ以上の層は、0〜12%の他の合金元素を有するCu−Ni合金からなる層、又はNi含有率が少なくとも5%でありかつ0〜12%の他の合金元素を有するNi−Cr合金又はNi−Cr−Fe合金からなる層に置き換えられていてもよく、ここで、この積層体の外側の層の少なくとも1つは、更に本発明による合金からなる。
【0032】
更に、この場合、この積層体に積層される1つ以上の層は、酸化物層、又は窒化物層、又は接着層に置き換えられていてもよく、ここで、積層体の外側の層の少なくとも1つは、更に本発明による合金からなる。
【0033】
この場合、集合組織が形成される表面での平均粒径は、被覆層の2倍の厚さ以下である場合が好ましい。
【0034】
こうして製造された金属箔は、高温超伝導性酸化物層での被覆のために、特に場合により1種以上の緩衝層を備えた酸化物での被覆のために使用される。
【0035】
金属箔の本発明による製造方法は、次の実施例によって詳説される:
金属箔の製造のために、合金を、大規模工業的に、5トンを超える量で、真空誘導炉中で製造し、引き続きインゴットに鋳造した。
【0036】
表1中には、本発明により大規模工業的に製造し、インゴットとして鋳造された合金の分析結果(質量%)が示されている。
【表1】
【0037】
引き続き、このインゴットを、600℃〜1250℃の温度で熱間圧延して、最終厚さ2〜10mmでかつ平均粒度5〜50μmを有する中間製品にし、ここで、この材料の厚さは、50〜200分の1に減少した。引き続き、この中間製品を酸洗いし、その後で90%を超える変形率で0.08mmの厚さに冷間圧延し、ここで、この冷間圧延を0.5〜5mmの厚さの中間寸法で中断し、更にこの中間製品について600℃〜1200℃の温度でかつ10秒〜100分の焼鈍時間で焼鈍を実施した。引き続き、この箔は、70μm未満の平均粒径を有する。こうして製造された0.08mmの厚さの箔を、引き続き10〜200mmの多様な条材幅を有する条材に切断した。
【0038】
10mm〜200mmの幅の金属箔の条材の部分量を、その後で、連続炉(炉1)中で、他の部分量を他の連続炉(炉2)中で水素下で、750℃〜1100℃の温度で、5分〜60分間焼鈍した。この箔を、引き続き、金属組織学的に、再結晶化されているか及びどの程度の平均粒径を有するのかを調査した。
【0039】
表2中に、この試験からの結果が例示的に記載されている。
【表2】
【0040】
表1及び2に結果がまとめられているこれらの実施例は、金属箔を、1トン超の量で記載された方法により製造可能であり、かつ記載された方法で焼鈍することができ、その結果、この金属箔は再結晶化されていて、70μm未満の平均粒径を有することを示す。
【0041】
金属箔の製造のために、更に、他の合金を、大規模工業的に18トンの量で真空誘導炉中で製造し、引き続き電極に鋳造した。電極から、VARを用いる再溶融によってインゴットを製造した。
【0042】
表3中には、本発明により大規模工業的に製造された合金のインゴットについて3種の異なる箇所で測定した分析結果(質量%)が示されている。
【表3】
【0043】
こうして製造された再溶融されたインゴットを、引き続き、600℃〜1250℃の温度で2〜10mmの厚さに熱間圧延し、ここで、この材料の厚さは、50〜200分の1に減少した。この中間製品の試料を取り出し、この中間製品の平均粒度5〜60μmが測定された。引き続き、この中間製品を酸洗いし、その後で90%超の変形率で0.06mmの厚さに冷間圧延した。この圧延は、中間製品の部分量の取り出しのために0.5〜5mmの中間寸法で中断され、引き続きこの部分量を更に保護ガス下で700℃〜1200℃の温度で10秒〜100分の焼鈍時間で焼鈍し、引き続き更に0.06mmに冷間圧延した。こうして製造された0.06mmの厚さの箔(中間焼鈍あり又はなし)を、引き続き、10mm〜280mmの多様な条材幅を有する条材に切断した。
【0044】
引き続き、この箔の条材の部分量を、2種の異なる連続炉(すでに使用された炉1及び他の炉3)中で600℃〜1200℃の温度で、4分〜250分間、水素中で又はアルゴン/水素混合物中で焼鈍した。
【0045】
引き続き、10mm〜280mmの幅の条材を、公知の方法のEBSD(電子後方散乱回折;Electron Backscattering Diffraction)によって、調査した箔の条材の面積の何%が、立方体が理想的な立方体状態から10°以下の方位差である立方体集合組織(立方体集合組織率)を有するかについて調査し、ここで、理想的とは、立方体集合組織を示すこの結晶粒が、箔表面に対して正確に平行であることを意味し、つまり、この平面から傾いておらず、かつこの平面内の結晶粒は相互にねじれていないことを意味する。
【0046】
表4中に、このEBSD測定からの結果が例示的に記載されている。これらの試料を更に金属組織学的に調査した:これらの試料は再結晶化されていて、かつ10〜40μmの平均粒径を有する。
【表4】
【0047】
表3及び4中に結果がまとめられているこれらの実施例は、記載された方法を用いて金属箔を1トン超の量で製造可能であり、かつ引き続き記載された方法によって焼鈍でき、その結果、この金属箔は再結晶化されていてかつ大きな割合の立方体集合組織を有することを示す。
【0048】
表4中の炉3における番号4の焼鈍の前に、この焼鈍4の前に存在しかつ焼鈍4のための部分量を使用した箔の条材の量から、第2の部分量を他の焼鈍のために取り出し、ここで、この第2の部分量を、次に記載した他の方法で焼鈍した:箔の条材をバッチ式炉中で600℃〜1200℃の温度で、少なくとも5分で最大で250分間アルゴン/水素混合物下で焼鈍した。この焼鈍は、この箔の条材を600℃〜1200℃の温度範囲内で1分あたり1℃〜1分あたり1000℃の加熱速度で加熱し、かつ600℃〜1200℃の温度範囲から1分あたり1000℃〜1分あたり0.1℃の冷却速度で冷却するように実施した。引き続き、この箔の条材を、公知の方法のEBSD(電子後方散乱回折;Electron Backscattering Diffraction)によって、調査した箔の条材の面積の何%が、立方体が理想的な立方体状態から10°以下の方位差である立方体集合組織(立方体集合組織率)を有するかについて調査し、ここで、理想的とは、立方体集合組織を示すこの結晶粒が、箔表面に対して正確に平行であることを意味し、つまり、この平面から傾いておらず、かつこの平面内の結晶粒は相互にねじれていないことを意味する。この箔の条材は、この測定の際に記載されたバッチ式焼鈍により、99%超の立方体集合組織(10°の方位差)の割合を示す。このバッチ式焼鈍の後の立方体集合組織の割合は、連続式焼鈍(立方体集合組織97%(10°の方位差)の番号4の焼鈍)からの結果の99%(10°の方位差)を超える結果と比較可能なほど高い。これらの試料を更に金属組織学的に調査した:上述のようにバッチ式で焼鈍されたこれらの試料は、再結晶化されていて、かつ10〜50μmの平均粒径を有する。従って、このバッチ式で焼鈍した試料の平均粒径は、連続式焼鈍による試料の平均粒径(10〜40μm)と比較可能である。
【0049】
従って、この比較試験(バッチ式焼鈍/連続式焼鈍)により、本発明による方法がパラメータ、例えば連続の代わりにバッチ式での焼鈍を行った材料の適切な選択で同じ結果を提供できることを示すことができた。従って、次の実施例は、本発明による方法に転用することができる。
【0050】
箔の厚さ0.08mm及び条材幅10〜200mmを有する合金1の箔の条材の部分量を、バッチ式炉内で600℃〜1190℃の温度でかつ30分〜100時間の焼鈍時間で水素下で焼鈍し、ここで、600℃〜1190℃の温度範囲内で1分あたり1℃〜1分あたり2000℃の加熱時間で加熱し、かつ600℃〜1190℃の温度範囲内で1分あたり2000℃〜1分あたり0.1℃の冷却速度で冷却した。
【0051】
引き続き、この箔の条材を、公知の方法のEBSD(電子後方散乱回折;Electron Backscattering Diffraction)によって、調査した箔の条材の面積の何%が、立方体が理想的な立方体状態から10°以下の方位差である立方体集合組織(立方体集合組織率)を有するかについて調査し、ここで、理想的とは、立方体集合組織を示すこの結晶粒が、箔の表面に対して正確に平行であることを意味し、つまり、この平面から傾いておらず、かつこの平面内の結晶粒は相互にねじれていないことを意味する。
【0052】
表5中に、このEBSD測定からの結果が例示的に記載されている。これらの試料を更に金属組織学的に調査した:これらの試料は再結晶化されていて、かつ10〜60μmの平均粒径を有する。
【表5】
【0053】
更に、合金2から同様に条材の部分量を、バッチ式炉内で600℃〜1190℃の温度で少なくとも15分でかつ最大で72時間で保護ガス下で焼鈍し、ここで、窒素は700/800℃の温度まで使用し、かつ700/800℃から窒素を水素に置き換えた。この箔の条材の部分量を、アルゴン/5%水素混合物中で焼鈍した。この焼鈍は、この箔の条材を600℃〜1190℃の温度範囲に1分あたり1℃〜1分あたり2000℃の加熱速度で加熱し、かつ600℃〜1190℃の温度範囲から1分あたり2000℃〜1分あたり0.1℃の冷却速度で冷却するように実施した。
【0054】
引き続き、箔の条材の特性の測定のために、こうして焼鈍された箔の条材の立方体集合組織の体積分率を、X線回折計測定によって、微結晶の方位分布(方位分布関数「OVF」又は「ODF」)の測定の公知の方法を用いて測定し、ここで、この場合に、立方体集合組織の体積(立方体集合組織率)を計算するために、立方体の理想的配向から最大5°の相違を使用した。
【0055】
この結果は表6にまとめられている。更に、この試料を金属組織学的に調査して、この試料が再結晶化されていて、かつ焼鈍された箔の条材の20〜40μmの平均粒度が測定された結果を示した。
【表6】
【0056】
例示的に、10mm〜200mmの幅の箔の条材の部分量を上述のように水素中でバッチ式炉内で焼鈍し、他の部分量をアルゴン/5%水素混合物中で上述のように焼鈍し、この箔を引き続き公知の方法のEBSD(電子後方散乱回折;Electron Backscattering Diffraction)により、調査した箔の条材の面積の何%が、立方体が理想的な立方体状態から10°以下の方位差である立方体集合組織(立方体集合組織率)を有するかについて調査した。
【0057】
表7中に、このEBSD測定からの結果が例示的に記載されている。
【表7】
【0058】
表5〜7にまとめられている実施例は、金属箔が大規模工業的に上述の方法により製造でき、かつ引き続き本発明に適した方法によって焼鈍でき、その結果、この金属箔の条材は再結晶化されていてかつ大きな割合の立方体集合組織を有することを示す。
【0059】
更に、合金2からの金属箔の製造は、上述の熱間圧延の後で上述の冷間圧延の際に、しかも中間製品の厚さ1mm及び0.05mmで中断した。部分量を取り出し、この部分量を研磨されたローラで0.06mmの最終厚さに冷間圧延した。その後で、0.06mmの厚さのシートの表面の粗さを調査し、1μm未満の値が検出された。この立方体集合組織の割合は、研磨されたローラによるこの圧延によっては低減しなかった。
【0060】
合金1及び合金2からなる、こうして製造されかつ焼鈍された再結晶化された金属箔に、1層以上の緩衝層及び高温超伝導層のYBCOを被覆した。この被覆された製品では、誘導測定によって、77Kで少なくとも50Aの臨界電流を測定することができた。従って、この実施例は、この方法によって金属箔を製造でき、この金属箔は緩衝層及び超伝導層の被覆のために適していて、従って、超伝導製品を製造することができたことを示す。
【0061】
更に、合金2からの金属箔の製造は、上述の熱間圧延の後で上述の冷間圧延の際に、製品の厚さ1mm及び0.1mmで中断した。この中間製品の部分量を、積層体の製造のために取り出し、ここでこの取り出した合金2からなる中間製品は、被覆層として正確に他の合金(支持層)の他の熱間変形した製品上に施された。
【0062】
この支持層として、3種の異なる合金(合金3、合金4、合金5)を使用し、これらの分析結果は表8に示されている。
【表8】
【0063】
合金3〜5からなる支持層を、溶融、インゴットへの鋳造、600℃〜1300℃の温度範囲での熱間変形によって、4.5mm〜5.5mmの厚さで製造した。引き続き、使用した支持箔の表面及び合金2からなる使用した被覆層箔の表面を研削し、ブラシで粗面化し、脱脂した。積層の前に、この中間製品を10mm〜200mmの幅の金属箔の条材に切断した。その後で、これらから表9に示されているように積層により積層体を生成した(被覆層の材料及び支持層の材料)。それぞれの積層体は、10μm〜300μmの最終厚さに冷間変形させ、ここで、少なくとも1.5〜2.5mmの中間厚さに冷間圧延し、引き続きこの中間製品を600℃〜1300℃の温度範囲内で1〜90分の焼鈍時間でアルゴン下で焼鈍した。この熱処理は、両方の当初の層の間の相互拡散を利用し、それにより、当初の被覆層と当初の支持層との間に強固な結合が生じる。引き続き、この中間製品を70〜300μmの最終厚さに冷間圧延し、ここで、この積層体は90%を超える変形率で変形された。その後、10mm〜200mmの幅の金属箔の条材を、バッチ式炉内で600℃〜1150℃の温度でかつ30分〜100時間の焼鈍時間でアルゴン/水素混合物中で焼鈍し、ここで、1分あたり1℃〜1分あたり2000℃の加熱速度で600℃〜1190℃の温度範囲に加熱し、かつ1分あたり2000℃〜1分あたり0.1℃の冷却速度で600℃〜1190℃の温度範囲から冷却した。引き続き、この条材を解き、繰り出し、次のように調査した:それぞれ製造された最終製品に、金属組織学的研削によって被覆層の平均粒度が測定され、これらの層(被覆層と支持層)の相互の結合を調査し、公知の方法のEBSDにより被覆層の立方体集合組織率(理想的な立方体状態から10°までの方位差)を測定した。これらの金属組織学的調査は、最終厚さに冷間変形した後に、全ての調査された製品は、個々の層は剥離せずに相互の良好な結合を示しかつこの被覆層は再結晶化されていることを示す。
【0064】
表9中には、この調査結果が例示的に示されている。
【表9】
【0065】
11μmの被覆層の厚さを有する合金2/合金5からなる積層体について、焼鈍の後に、少なくとも91%の高い立方体集合組織率が達成された。合金2/合金3からなる積層体からなる、8μmのきわめて薄い被覆層(最終製品)は、この方法によっても42%までの低い立方体集合組織を生じる。従って、被覆材料の薄すぎる層厚の場合には、優れた立方体集合組織はもはや生じないことが明らかとなった。被覆層の層厚が平均粒度の半分を明らかに超えた試料の場合だけ、本発明による方法によって、超伝導層で被覆するための被覆層の十分に多くの割合の立方体集合組織を製造できた。
【0066】
表8及び9にまとめられている実施例は、金属箔が大規模工業的に上述の方法により製造でき、かつ引き続き本発明に適した方法によって焼鈍でき、その結果、この金属箔の条材は再結晶化されていてかつ大きな割合の立方体集合組織を有することを示す。
【0067】
これらの上述の実施例は、上述の方法によって金属箔を大規模工業的に製造できることを示す。コストの理由から、さらに、付加的に例示的に合金の影響の調査のために、他の合金を50kg未満の少量で、実験室用真空炉中で製造し、インゴットに鋳造した。複数の元素の添加は、集合組織の鮮鋭度を悪化させる。これらの元素は、例えば金属箔の表面でこの粒界に又は結晶粒中に酸化物を形成し、これが、箔の集合組織上に酸化物及び超伝導体の整列する成長挙動を阻害する。このメカニズムに寄与する元素の量は、従って、実験室規模でのこの合金中でも著しく低下されたままである。
【0068】
表10中では、この製造された合金製品の分析結果(質量%)が示されている。
【表10】
【0069】
引き続き、こうして製造されたインゴットを、800℃〜1200℃の温度で空気中で焼鈍した。その後で、この焼鈍されたインゴットを、600℃〜1250℃の温度で2〜8mmの間の厚さに熱間圧延し、ここで、この場合に投入インゴットの厚さは8〜12分の1に減少した。
【0070】
熱間圧延によりこうして製造された中間製品を、引き続き酸洗いし、研削し、その後で90%を超える変形率で0.08mmの厚さに冷間圧延し、ここで、この冷間圧延は5mm〜0.7mmの厚さの中間寸法で中断し、付加的にこの中間製品の600℃〜1200℃の温度及び10秒〜100分の焼鈍時間での1回以上の焼鈍を、部分的に窒素(700/800℃未満の温度)下で、及び部分的に水素(700/800℃以上の温度)下で実施した。その後で、この箔は70μm未満の平均粒径を有する。こうして製造された0.08mmの厚さの箔を、この後で10〜50mmの多様な条材幅を有する条材に切断した。
【0071】
この10mm〜50mmの幅の金属箔の条材を、バッチ式炉内で600℃〜1190℃の温度でかつ30分〜100時間の焼鈍時間でアルゴン/5%の水素混合物中で焼鈍し、ここで、600℃〜1190℃の温度範囲で1分あたり1℃〜1分あたり2000℃の加熱速度で加熱し、かつ600℃〜1190℃の温度範囲から1分あたり2000℃〜1分あたり0.1℃の冷却速度で冷却した。
【0072】
引き続き、この条材表面を清浄化し、その後で公知の方法のEBSD(電子後方散乱回折;Electron Backscattering Diffraction)により調査した箔の条材の面積の何%が、立方体が理想的立方体状態から、その理想的状態から10%以下の方位差を示している立方体集合組織を有するかについて調査した。
【0073】
表11中では、箔試料のEBSD測定及び平均粒径の測定の結果が例示的に記載されている。
【表11】
【0074】
表9、10及び11中の実施例は、高められたW含有率により分析値が変化する場合であっても、金属箔を本発明に適した方法で製造可能であり、この金属箔は再結晶化されていてかつ焼鈍後に高い割合の立方体集合組織を有することを示す。