(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6388936
(24)【登録日】2018年8月24日
(45)【発行日】2018年9月12日
(54)【発明の名称】指で迂回されるインラインオクルダーを有する注入ポンプカセット
(51)【国際特許分類】
A61M 5/142 20060101AFI20180903BHJP
A61M 39/28 20060101ALI20180903BHJP
【FI】
A61M5/142 504
A61M39/28 110
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-526092(P2016-526092)
(86)(22)【出願日】2015年7月17日
(65)【公表番号】特表2017-502708(P2017-502708A)
(43)【公表日】2017年1月26日
(86)【国際出願番号】US2015040860
(87)【国際公開番号】WO2016099604
(87)【国際公開日】20160623
【審査請求日】2016年7月6日
(31)【優先権主張番号】62/093,198
(32)【優先日】2014年12月17日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】502300657
【氏名又は名称】ゼヴェクス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100117411
【弁理士】
【氏名又は名称】串田 幸一
(72)【発明者】
【氏名】ジューリッヒ,ジェフリー・ティー
(72)【発明者】
【氏名】マーシャル,マイケル・エイ
【審査官】
安田 昌司
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2012/044506(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0015490(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0082438(US,A1)
【文献】
実開昭61−010704(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0312719(US,A1)
【文献】
国際公開第2014/077940(WO,A1)
【文献】
特表2013−538649(JP,A)
【文献】
特表2004−528091(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/14− 5/142
A61M 39/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
投与セットチューブ(24,26,28)を注入ポンプ(10)に動作可能に接続するためのカセット(14)であって、
上向きの親指面(32A)を含む親指タブ(32)と、
インラインオクルダー(36)を含むチューブコネクタ(20)であって、前記インラインオクルダー(36)は、前記親指タブ(32)から横方向に離間される、チューブコネクタと、を備え、
前記親指タブ(32)は、可撓アームではなく、
前記カセット(14)は、ユーザの手の親指で前記親指面(32A)を押圧し、前記ユーザの手の少なくとも1本の指で前記親指タブ(32)の周り及びその下を包むことによって、前記ユーザの手が前記カセット(14)を抱えるように構成され、それによって、ユーザは、前記親指で前記親指面(32A)を押圧する方向とはほぼ反対方向に、前記インラインオクルダー(36)に対応する場所で前記チューブコネクタに接続されたチューブ(28)に圧力を加えて、前記インラインオクルダー(36)を過ぎて流路を開くことができる、カセット。
【請求項2】
前記親指面は、凹状である、請求項1に記載のカセット。
【請求項3】
前記親指面は、トラクションリブを含む、請求項1に記載のカセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的に、流動食及び薬物の患者への制御された送達のための注入ポンプに関する。より具体的には、本発明は、投与チューブセットが注入ポンプに動作可能に接続される、取り外し可能なカセット、及びカセットのインラインオクルダーを手動で迂回する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プログラム可能な注入ポンプは、経腸栄養補給のための流動食、及び種々の目的、例えば疼痛管理のための薬物投与の制御された送達を行うために使用される。一般的な配設において、注入ポンプは、該ポンプによって取り外し可能に受容されるカセットと、該ポンプを通しての流体送達経路を提供するための、カセットに接続される可撓性チューブとを備える、使い捨て投与セットを受容する。
【0003】
投与セットは、ポンプのローター機構を取り囲むチューブのポンピング区分を含むことができ、カセットは、チューブ区分の両端部が接続される1対のチューブコネクタを含むことができる。ローター機構は、ローターが回転するときにチューブ区分を変形させて、蠕動運動の様式でチューブを通して流体を段階的に付勢するピンチローラー又はフィンガーを有することができる。カセットは、流体源から流体を搬送する流入チューブ及び患者に通じる流出チューブを接続するための別の1対のチューブコネクタを有することができる。その結果、流入チューブから、チューブ区分を通して、流出チューブまでの流路が提供される。
【0004】
ポンプが動作モードではない場合に流体が意図せず患者に自由に流れることを防止するための安全特徴として、カセットの一部としてインラインオクルダーを提供することが知られている。インラインオクルダーは、カセットのチューブコネクタの1つに組み込むことができる。オクルダーを通過する流路は、インラインオクルダーに近い所定の場所で可撓性チューブに係合することによって、意図的に確立することができる。例えば、米国特許第7,815,612号で開示されるように、流路を開くために、ドアを閉じたときにチューブに係合するようにポンプのドア上の突出部を配設することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
インラインオクルダーによってもたらされる1つの課題は、患者に注入する前にチューブから空気を除去し、チューブを液体で満たすために、人が投与セットのチューブを手動プライミングすることをオクルダーが困難にしていることである。ユーザが投与セットチューブをポンプの中へ装填し、ポンプを操作して流体を前進させる、自動化プライミングが1つのオプションであり得るが、自動化プライミングは、認識された欠点を有する。例えば、ポンプは、プライミング中に低速で流体を送達する場合があり、プライミングを完了するまでに非常に長い時間がかかり得る。緊急時には、そのような時間遅延が望ましくない場合がある。プライミングのためにポンプを使用することに関連する別の問題は、自動化プライミングが継続している間に看護人が他の作業を行い始める場合があること、及びプライミングが完了しつつあるときに投与セットチューブの適切な監視を怠る場合があることである。よって、オプションとして手動プライミングを提供することが非常に望ましい。
【0006】
本明細書の出願人であるZevex,Inc.,より入手可能なENTERALITE(登録商標)INFINITY(登録商標)及びINFINITY ORANGE(登録商標)注入ポンプは、インラインオクルダーを有するカセットとともに動作する。投与セットを手動でプライミングするために、ユーザは、流路を開くために、インラインオクルダーに対応する場所でチューブを親指と人差し指との間で優しく挟持するように指示され、一方でまた、流体のバッグをカセットの上側に保持し、流体がオクルダーを過ぎるのを強いるようにバッグを絞るようにも指示される。挟持圧力が強過ぎた場合、又は誤った場所に加えられた場合、インラインオクルダーに損傷を与え、それによって、その有効性を妨げる危険性がある。また、ユーザが自分の爪をチューブに突き立ててチューブに穴をあけ、それによって、漏出を生じさせる危険性もある。
【0007】
手動プライミングを容易にするために、チューブの横に沿って延在し、支持されていないアーム端部にアクチュエータパッドを有するカセット上に、片持ちのプライミングアームを提供することが知られている。このタイプのプライミングアームは、米国特許出願公開第2011/0082438号及び同第2012/0083737号で開示されている。プライミングアームは、オクルダーを過ぎて流体流路を開くために、撓ませて、アクチュエータパッドをチューブに手動で押圧することができる。プライミングアームは、手動圧力が解放されたときにチューブからパッドを除去し、その結果、インラインオクルダーが再度流れを遮断する、ばねとして作用する。この解決策は、カセット設計に対するコスト及び複雑さを増大させ、カセットの取り扱いを誤った場合に、可撓性プライミングアームを破壊する場合がある。
【0008】
上記の問題点を伴わずに、投与セットチューブの手動プライミングを可能にするカセットが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
投与セットチューブを注入ポンプに動作可能に接続するためのカセットは、流れを止めるためのインラインオクルダーを含み、また、ユーザが、一方の手の親指及び指を用いて投与セットをプライミングして、インラインオクルダーを迂回するチューブの流路を手動で作り出すように構成される。一実施形態において、カセットは、親指面を含む親指タブと、インラインオクルダーを含むチューブコネクタとを備え、インラインオクルダーは、親指タブから横方向に離間される。カセットは、ユーザの手の親指で親指面を押圧し、ユーザの手の少なくとも1本の指で親指タブの周り及びその下を包むことによって、ユーザの手がカセットを抱えるように構成され、それによって、ユーザは、親指で親指面を押圧する方向とはほぼ反対方向に、インラインオクルダーに対応する場所でチューブコネクタに接続されたチューブに圧力を加えることができる。
【0010】
本発明はまた、カセットに接続されたチューブの流路を手動で開く方法によっても具現化され、カセットは、チューブを通る流れを遮断するインラインオクルダーを有するチューブコネクタを含む。この方法は、全般的に、手の中でカセット及びチューブを保持するステップと、手の親指でカセットの親指タブ上の親指面を押圧するステップと、手の指で親指タブの周り及びその下を包むステップと、親指で親指面を押圧する方向とはほぼ反対方向に、インラインオクルダーに対応する場所でチューブに指で圧力を加えるステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明の性質及び動作形態はこれから、添付図面を参照して、本発明の以下の詳細な説明においてより十分に説明される。
【
図1】注入ポンプの斜視図であり、本発明の実施形態に従って形成されるカセットを有する投与セットが注入ポンプの中に装填されて示される。
【
図2】概してカセットの上から見たときの、
図1で示されるカセットの斜視図である。
【
図3】概してカセットの下から見たときの、
図1で示されるカセットの別の斜視図である。
【
図4】カセットに接続される投与セットのチューブを示す、投与セットのポンピング区分アセンブリの斜視図である。
【
図5A】本発明の実施形態による手動プライミングの準備におけるカセット及びチューブに対する手動の把持を示す斜視図である。
【
図5B】
図5Aの斜視図に類似する斜視図であるが、本発明の実施形態によるチューブに対する手動の加圧を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、投与セット12が取り外し可能に受容される注入ポンプ10を示す。投与セット12は、カセット14を含み、該カセットは、
図2及び
図3に単独で示される。カセット14は、流入コネクタ16と、流入コネクタ16と流れ連通している上流のポンピング区分コネクタ18と、下流のポンピング区分コネクタ20と、下流のポンピング区分コネクタ20と流れ連通している流出コネクタ22とを含むことができる。
図4で示されるように、投与セット12は更に、一方の端部が流入コネクタ16に嵌合され、反対側の端部(図示せず)が流体源に接続される、流入チューブ24と、一方の端部が流出コネクタ22に接続され、反対側の端部(図示せず)が患者に接続される、流出チューブ26とを含むことができる。最後に、投与セット14は更に、一方の端部が上流のポンピング区分コネクタ18に嵌合され、反対側の端部が下流のポンピング区分コネクタ20に嵌合された、チューブのポンピング区分28を含むことができる。
【0013】
例示される実施形態において、ポンプ10は、ローター30を有する回転蠕動ポンプであり、ポンピング区分28は、ローター30を取り囲むようにされ、また、ローターが回転するときにローター30上の角度を付けて離間されたローラーによって係合されて、投与セット12のチューブを通して液体を押し出す蠕動運動のポンピング作用を提供する。
図1を参照することによって理解できるように、ローター30が反時計方向に回転するときに、液体は、流入チューブ24から、流入コネクタ16及び上流のポンピング区分コネクタ18を通って、ポンピング区分28まで移動し、次いで、ポンピング区分28から、下流のポンピング区分コネクタ20及び流出コネクタ22を通って、流出チューブ26まで移動する。本発明は、回転蠕動運動ポンプの文脈で説明されているが、本発明は、このタイプの注入ポンプに限定されない。本発明は、カセットを有する投与セットを受容する任意のタイプの注入ポンプによって実践することができる。
【0014】
カセット14は、下流のポンピング区分コネクタ20の中へ組み込むことができるインラインオクルダー36を含む。インラインオクルダー36は、ポンプドア38が開いているときに流れを阻止する。ポンプドア38の下側のアクチュエータ39は、ドア38が閉じられているときにオクルダー36の周囲の流路を開く様式で、ポンピング区分28に係合する。理解されるように、注入のためにポンプ10を準備することは、チューブから空気を除去するために、投与セット12をプライミングすることを必要とする。この目的のために、ユーザは、投与セット12がポンプ10の外側にあるときに、インラインオクルダー36を過ぎて流路を手動で開くことができることが望ましい。
【0015】
本発明の実施形態によれば、カセット14は、上向きの親指面32Aを有する親指タブ32を備える。分かり得るように、下流のポンピング区分コネクタ20のインラインオクルダー36は、親指タブ32から横方向に離間される。その結果、カセット14は、プライミング中にインラインオクルダー36を簡単かつ直観的に手動で迂回するように構成される。より具体的には、
図5A及び5Bは、ユーザの手の親指で親指面32Aを押圧し、ユーザの手の少なくとも1本の指で親指タブ32の周り及びその下を包むことによって、ユーザの手がカセットを抱えるように構成される、カセット14を例示する。したがって、
図5Bで示されるように、ユーザは、インラインオクルダー36に対応する場所で下流のポンピング区分コネクタ20に接続されるポンピング区分28のチューブに圧力を加えることができる。加えた圧力は、親指を親指面32Aに押圧する方向とほぼ反対方向であり、インラインオクルダー36を過ぎて流路を開く。示される実施形態において、ユーザの手の人差し指は、圧力をポンピング区分28に加えるために使用される。親指面32Aは、ユーザの親指が親指面32Aから滑り落ちることを防止するのを補助するために、凹状とすることができ、また、トラクションリブ33を含むことができる。
【0016】
本発明は、チューブを通る流れを遮断するインラインオクルダーを有するチューブコネクタを含むカセットに接続されたチューブの流路を手動で開く方法を包含する。この方法は、手の中でカセット及びチューブを保持するステップと、手の親指でカセットの親指タブ上の親指面を押圧するステップと、手の指で親指タブの周囲及びその下を包むステップと、親指で親指面を押圧する方向とはほぼ反対方向に、インラインオクルダーに対応する場所でチューブに指で圧力を加えるステップとを含む。
【0017】
本発明は、インラインオクルダーの迂回を作動させるための、カセットの追加的な構成要素、例えば可撓アームに対する必要性を排除する。本発明はまた、2本の指でチューブを挟持する必要性も排除し、それによって、チューブに穴をあける危険性を回避する。この設計は、より直感的で、コスト効率的で、かつ信頼性のある方法でインラインオクルダーを迂回するために、自然な形状を利用し、ユーザの手に適合する。
【0018】
本発明を例示的な実施形態に関連して説明してきたが、詳細な説明は、本発明の範囲を記載される特定の形態に限定することを意図しない。本発明は、本発明の範囲内に含むことができるような、説明される実施形態の代替例、修正例、及び均等物を包含する。
以上説明したように、本発明は以下の形態を有する。
[形態1]
投与セットチューブを注入ポンプに動作可能に接続するためのカセットであって、
親指面を含む親指タブと、
インラインオクルダーを含むチューブコネクタであって、前記インラインオクルダーは、前記親指タブから横方向に離間される、チューブコネクタと、を備え、
前記カセットは、ユーザの手の親指で前記親指面を押圧し、前記ユーザの手の少なくとも1本の指で前記親指タブの周り及びその下を包むことによって、前記ユーザの手が前記カセットを抱えるように構成され、それによって、ユーザは、前記親指で前記親指面を押圧する方向とはほぼ反対方向に、前記インラインオクルダーに対応する場所で前記チューブコネクタに接続されたチューブに圧力を加えて、前記インラインオクルダーを過ぎて流路を開くことができる、カセット。
[形態2]
前記親指面は、凹状である、形態1に記載のカセット。
[形態3]
前記親指面は、トラクションリブを含む、形態1に記載のカセット。
[形態4]
カセットに接続されたチューブの流路を手動で開く方法であって、前記カセットは、前記チューブを通る流れを遮断するインラインオクルダーを有するチューブコネクタを含み、前記方法は、
手の中で前記カセット及びチューブを保持するステップと、
前記手の親指で前記カセットの親指タブ上の親指面を押圧するステップと、
前記手の指で前記親指タブの周り及びその下を包むステップと、
前記親指で前記親指面を押圧する方向とはほぼ反対方向に、前記インラインオクルダーに対応する場所で前記チューブに前記指で圧力を加えるステップと、を含む、方法。
[形態5]
前記指は、前記ユーザの手の人差し指である、形態4に記載の方法。