(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記内側シャフトアジャスタは、前記少なくとも1つのピンと噛み合うように構成されたキャップをさらに備え、前記キャップと前記少なくとも1つのピンとの協働運動が、前記内側シャフトの移動を生じさせる、請求項1に記載の送入装置。
前記キャップは、前記ハンドルハウジングに対して回転させられるように構成され、第1の方向の前記キャップの回転により、前記少なくとも1つのピンが遠位方向に移動し、反対の第2の方向の前記キャップの回転により、前記少なくとも1つのピンが近位方向に移動する、請求項3に記載の送入装置。
前記少なくとも1つのピンの前記遠位方向の移動によって、前記内側シャフトの前記遠位方向の移動が生じ、前記少なくとも1つのピンの前記近位方向の移動によって、前記内側シャフトの前記近位方向の移動が生じる、請求項4に記載の送入装置。
前記少なくとも1つのピンは、前記ハンドルハウジングの壁の少なくとも1つの開口を貫いて延びており、前記少なくとも1つの開口において近位方向および遠位方向の少なくとも一方にスライドするように構成されている、請求項1に記載の送入装置。
前記少なくとも1つの開口は、前記ハンドルハウジングの前記壁の少なくとも1つの細長いスロットを備えており、前記少なくとも1つの細長いスロットは、近位側−遠位側の方向に延びている、請求項7に記載の送入装置。
前記ハンドルハウジングは、中央スロットおよび側方スロットの少なくとも一方を有する近位側延長部をさらに備え、前記中央スロットおよび側方スロットの少なくとも一方は、近位側−遠位側の方向に延びている、請求項1に記載の送入装置。
前記ハウジングに対して移動することができるキャップをさらに備え、前記ハンドルハウジングに対する前記キャップの移動が前記内側シャフトの動きを引き起こす、請求項1に記載の送入装置。
前記キャップは、ロックを有しており、ロック時に前記キャップは前記インターロックの前記ロック位置から前記非ロック位置への移動を防止するように構成され、非ロック時に前記キャップは前記インターロックの前記ロック位置から前記非ロック位置への移動を許すように構成されている、請求項10に記載の送入装置。
前記キャップは、回転可能であり、ウインドウを有するリップを備えており、前記インターロックは、前記リップの内側に位置し、前記ウインドウに収まるように構成された近位側延長部を備えており、前記近位側延長部が前記リップの内側にあるとき、前記インターロックの前記ロック位置から前記非ロック位置への移動が防止され、ウインドウが前記近位側延長部に整列させられるとき、前記インターロックの前記ロック位置から前記非ロック位置への移動が許される、請求項11に記載の送入装置。
前記少なくとも1つのらせん溝は、前記ハンドルハウジング、外鞘、および前記内側シャフトのうちの少なくとも1つに組み合わせられた突起を受け入れるように構成され、前記少なくとも1つのらせん溝と前記突起との相互作用により、前記キャップと前記ハンドルハウジング、外鞘、および前記内側シャフトのうちの少なくとも1つとの間の相対移動が生じる、請求項14に記載の送入装置。
前記内側シャフトアジャスタは、前記トリガによって前記外鞘が前記内側シャフト上から引き戻される前に、前記ハンドルハウジングおよび前記外鞘の少なくとも一方に対する前記内側シャフトの位置を変化させるように構成されている、請求項1に記載の送入装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現時点において利用可能なステントおよびステント送入システムは、多数の限界および欠点を抱えている。腔内装置および関連の送入装置における改善が、依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
特定の実施形態によれば、複数の腔内装置(例えば、ステント、タック、ステイプル、など)の順次送入のための送入装置であって、複数の腔内装置を送入装置上に圧縮された状態で保持する送入装置を提供することができる。本明細書の目的において、用語「タック」が、送入装置から配置することができる多数の腔内装置のうちの1つを指すために使用される。送入装置は、複数の送入プラットフォームを備えることができ、各々の送入プラットフォームは、タックを圧縮された状態で送入装置上に保持し、非一定な外径、砂時計形状、テーパ状の近位側半分、畝(ridge)、くぼみ(dimple)、などの特有の形状を有するように構成される。この特有の形状を、放射線不透過性マーカであってもよい環状押しバンドの間に配置することができる。
【0007】
いくつかの実施形態において、特有の形状は、より硬い内側シャフトを囲むこの特有の形状を有する柔軟な材料のスリーブによってもたらされる。さらに、環状押しバンドを、放射線不透過性を保ちながら柔軟性を高めるために、ワイヤまたは素材の断片で作製することができる。
【0008】
タックの配置方法は、配置に先立つ外鞘および配置されるべきタックの放射線不透過性マーカの整列を含むことができる。
【0009】
マーカバンドの整列ならびに腔内装置またはタックの送入の方法を、実行することができる。この方法は、圧縮された状態の複数のタックを有している送入装置を治療領域へと前進させるステップであって、各々のタックは、複数のストラット(strut)と、タックの中央領域に配置された放射線不透過性マーカとを備え、各々のタックは、同じサイズであって、放射線不透過性マーカが同じ位置に配置されており、送入装置は、複数のタックのうちの1つをそれぞれ有する複数の送入プラットフォームを有する内側コアと、内側コアおよび送入プラットフォームを覆う外鞘とを備え、外鞘は、遠位端から近位側に配置された放射線不透過性マーカバンドを有しているステップと、外鞘上の放射線不透過性マーカバンドと配置されるべき第1のタック上の放射線不透過性マーカとが整列するまで外鞘を引き戻すステップと、これら2つの放射線不透過性マーカを、タックを解放する前に、治療すべき組織の切開または病変などの治療領域に整列させるステップと、その後に外鞘を引き戻してタックを解放するステップとを含むことができる。
【0010】
いくつかの実施形態において、送入装置は、内側シャフトと、送入プラットフォームと、外鞘とを備えることができる。送入プラットフォームは、どちらも第1の外径を有している内側シャフトの周囲の1対の環状バンドと、スリーブとを含むことができる。スリーブを、内側シャフトへと固定し、環状バンドの間に位置させることができる。スリーブは、内側シャフトよりも小さいデュロメータ(durometer)を有することができ、さらに随意により、1対の環状バンドよりも小さいデュロメータを有することができる。スリーブは、環状バンドの第1の外径よりも小さい非一定な外径をさらに有することができる。送入プラットフォームを、送入装置から脈管内へと配置される腔内装置を受け入れておくように構成でき、環状バンドの間かつスリーブ上に腔内装置を受け入れるように構成することができる。外鞘は、内側シャフトおよび送入プラットフォーム上に配置されてよく、内側シャフトおよび送入プラットフォームを覆ってスライド可能であってよい。外鞘は、送入プラットフォームを覆う配置前位置と、外鞘が引き戻されて送入プラットフォームの環状バンドの少なくとも一方およびスリーブが露出される少なくとも1つの配置位置とを有する。
【0011】
いくつかの実施形態によれば、複数の追加の送入プラットフォームが、複数の腔内装置の順次送入のために含まれてよい。各々の追加の送入プラットフォームは、追加のスリーブおよび追加の環状バンドを備えることができる。環状バンドの各々は、近位端に半径を備えることができ、さらには/あるいは放射線不透過性らせんコイルを備えることができる。放射線不透過性らせんコイルは、スリーブを形成するポリマーよりも大きいデュロメータを有するポリマーに包まれてよい。
【0012】
スリーブは、任意の数の異なる形状およびサイズを含むことができ、畝、点、くぼみ、などを含むことができる。
【0013】
いくつかの実施形態において、送入装置は、ノーズコーン(nose cone)を遠位端に有する内側シャフトと、送入プラットフォームと、外鞘とを備えることができる。送入プラットフォームは、どちらも第1の外径を有しており、内側シャフトへと固定された1対の環状バンドと、内側シャフトへと固定され、環状バンドの間に位置するスリーブとを備えることができる。スリーブは、内側シャフトよりも小さいデュロメータを有することができ、さらに随意により1対の環状バンドよりも小さいデュロメータを有することができる。スリーブは、第1の一定な外径部分と、第1の一定な外径部分よりも大きいが、環状バンドの第1の外径よりは小さい外径を有する第2の一定な外径部分とをさらに有することができ、第2の一定な外径部分は、第1の一定な外径部分よりも軸方向の長さが短く、スリーブは、第1および第2の一定な外径部分の間の滑らかなテーパ状の推移をさらに有する。送入プラットフォームを、送入装置から脈管内へと配置される腔内装置を受け入れておくように構成でき、環状バンドの間かつスリーブ上に腔内装置を受け入れるように構成できる。外鞘を、内側シャフトおよび送入プラットフォーム上に配置でき、内側シャフトおよび送入プラットフォームを覆ってスライドさせることができる。外鞘は、送入プラットフォームを覆う配置前位置と、外鞘が引き戻されて送入プラットフォームの環状バンドの少なくとも一方およびスリーブが露出される少なくとも1つの配置位置とを有することができる。
【0014】
腔内装置の配置方法は、以下のステップのうちの1つ以上を含むことができる。圧縮された状態の複数の腔内装置を有している送入装置を、治療領域へと前進させるステップ。複数の腔内装置の各々は、複数のストラットと、腔内装置の中央領域に配置された放射線不透過性マーカとを備えることができる。複数の腔内装置の各々は、同じサイズであってよく、放射線不透過性マーカが同じ位置に配置されてよい。送入装置は、複数の送入プラットフォームを有しており、複数の腔内装置の各々の腔内装置が複数の送入プラットフォームのうちのそれぞれの送入プラットフォームに配置される内側シャフトと、内側シャフトおよび複数の送入プラットフォームを覆う外鞘とを備えることができ、外鞘は、外鞘の遠位端から近位側に配置される放射線不透過性マーカバンドを有する。外鞘上の放射線不透過性マーカバンドと、複数の腔内装置のうちの配置されるべき第1の腔内装置上の放射線不透過性マーカとが整列するまで、外鞘を引き戻すステップ。整列した放射線不透過性マーカバンドおよび放射線不透過性マーカを、第1の腔内装置の解放の前に、治療領域に整列させるステップ。外鞘を引き戻して第1の腔内装置を解放するステップ。外鞘上の放射線不透過性マーカバンドと、複数の腔内装置のうちの配置されるべき第2の腔内装置上の放射線不透過性マーカとが整列するまで、外鞘を引き戻すステップ。
【0015】
本方法のいくつかの実施形態において、整列した放射線不透過性マーカバンドおよび放射線不透過性マーカを治療領域に整列させるステップは、整列した放射線不透過性マーカバンドおよび放射線不透過性マーカを、第1の腔内装置の解放の前に、組織の切開の中央に位置させるステップを含むことができる。本方法のいくつかの実施形態において、外鞘上の放射線不透過性マーカバンドと、複数の腔内装置のうちの配置されるべき第1の腔内装置上の放射線不透過性マーカとが整列するまで、外鞘を引き戻すステップは、外鞘の最も遠位側の端部と第1の腔内装置の最も遠位側の端部とが整列するまで外鞘を引き戻すステップを含むことができる。本方法のいくつかの実施形態において、外鞘上の放射線不透過性マーカバンドと、複数の腔内装置のうちの配置されるべき第1の腔内装置上の放射線不透過性マーカとが整列するまで、外鞘を引き戻すステップは、放射線不透過性マーカバンドが第1の腔内装置の中央に位置するまで外鞘を引き戻すステップを含むことができる。本方法のいくつかの実施形態において、第1の腔内装置は、放射線不透過性マーカのただ1つの列を有することができ、外鞘上の前記放射線不透過性マーカバンドと、複数の腔内装置のうちの配置されるべき第1の腔内装置上の放射線不透過性マーカとが整列するまで、外鞘を引き戻すステップは、放射線不透過性マーカバンドが放射線不透過性マーカのただ1つの列を取り囲むまで外鞘を引き戻すステップを含むことができる。
【0016】
いくつかの実施形態において、送入装置は、内側シャフトと、外鞘と、外鞘ラックと、ハンドルハウジングと、シャトルと、トリガとを備えることができる。内側シャフトは、1つ以上の腔内装置を配置するための1つ以上の送入プラットフォームを有することができる。外鞘は、内側シャフトを囲むことができ、配置前において1つ以上の送入プラットフォームを覆い、1つ以上の腔内装置の配置の一部として1つ以上の送入プラットフォームのうちの少なくとも1つから引き戻されるように構成されてよい。外鞘ラックは、複数の歯を備えることができ、外鞘ラックは、外鞘に結合している。内側シャフトおよび外鞘ラックの少なくとも一部分は、ハンドルハウジングの内部に位置する。ハンドルハウジングは、外鞘が1つ以上の送入プラットフォームを配置後に再び覆うことを防止するために、外鞘ラックの複数の歯に係合するように構成された少なくとも1つの爪を備えることができる。シャトルは、外鞘ラックの複数の歯に選択的に係合するように構成された1対のたわみアームを有することができる。トリガは、トリガの操作によってシャトルが移動することで、外鞘が、1つ以上の送入プラットフォームを覆っている状態から引き戻されるように、シャトルへと機械的に連結されてよい。
【0017】
いくつかの実施形態によれば、前記複数の歯は、ラックの上側に位置する第1の複数の歯およびラックの下側に位置する第2の複数の歯を含むことができる。第1の複数の歯は、歯の組の繰り返しを含むことができ、歯の組の繰り返しは、繰り返される組の他の歯よりも大きなピッチを持つ第1の歯を有している。トリガを出発位置から終了位置へと操作することによって外鞘が前記1つ以上の送入プラットフォームのうちの1つを覆っている状態から引き戻されることで、トリガを、内側シャフトから前記1つ以上の腔内装置のうちの1つが解放されるように構成することができる。カウンタおよびシャトル爪がさらに含まれてよく、シャトル爪は、カウンタに係合して配置のために利用することができる腔内装置の数の表示を変化させるように構成される。
【0018】
いくつかの実施形態において、ハンドルハウジングは、弓形のチャネルをさらに備えることができ、トリガは、弓形のチャネル内に配置され、弓形の経路にて移動する。トリガの操作を可能にするために安全ボタンの操作が必要であるように、安全ボタンを、トリガを所定の場所に係止するために設けることができる。
【0019】
いくつかの実施形態においては、制御装置を、自己膨張型医療装置を生物の脈管内に配置するために設けることができる。制御装置は、抑止鞘および制御機構を備えることができる。抑止鞘は、近位端および遠位端を有することができ、抑止鞘は、1つ以上の自己膨張型医療装置を覆って延びて医療装置を畳まれた状態に保つとともに、1つ以上の畳まれた医療装置を配置のために露出させるべく引き込まれうるように適合される。制御機構は、抑止鞘を引き込むために抑止鞘の近位端に結合した駆動アセンブリと、弓形の移動経路に沿って移動することができるスライダアセンブリとを備えることができ、抑止鞘の引き込みは、ユーザが制御機構の可動部品へと加える操作力によって可動部品が弓形の経路にて移動することにより、弓形の経路に沿った可動部品の位置に応じて力の印加の角度およびユーザによって加えられる力の機械的倍率が変化することで引き起こされる。
【0020】
いくつかの実施形態による送入装置は、内側シャフトと、外鞘と、ハンドルハウジングと、インターロックと、斜面によるインターフェイスとを備えることができる。内側シャフトは、1つ以上の腔内装置の配置のための1つ以上の送入プラットフォームを有することができる。外鞘は、内側シャフトを囲むことができ、配置前において1つ以上の送入プラットフォームを覆い、1つ以上の腔内装置のうちの1つの配置の一部として1つ以上の送入プラットフォームのうちの1つから引き戻されるように構成されてよい。ハンドルハウジングは、外鞘に機械的に連結されたトリガを有することができ、トリガを操作することによって外鞘が1つ以上の送入プラットフォームのうちの1つを覆っている状態から引き戻される。インターロックは、ロック位置にあるときにトリガおよび内側シャフトに係合し、外鞘の移動を防止する。斜面によるインターフェイスは、インターロックと内側シャフトとの間に位置でき、斜面によるインターフェイスは、インターロックが内側シャフトとの係合から取り除かれたときに外鞘に対する内側シャフトの位置を調節するように構成される。
【0021】
いくつかの実施形態において、インターロックは、インターロックの遠位端によってトリガに係合でき、近位端によって内側シャフトに係合できる。近位端は、内側シャフトおよびハウジングハンドルに係合できる。インターロックの遠位端は、フック状であってよい。斜面によるインターフェイスは、インターロックの突起上の第1の斜面と、内側シャフト上の第2の斜面とを備えることができ、第1および第2の斜面の摺動の係合解放によって内側シャフトが移動させられる。
【0022】
いくつかの実施形態によれば、送入装置は、内側シャフトと、外鞘と、外鞘ラックと、ハンドルハウジングと、引き込みオーバーライドスイッチとを備えることができる。内側シャフトは、1つ以上の腔内装置を配置するための1つ以上の送入プラットフォームを有することができる。外鞘は、内側シャフトを囲むことができ、配置前において1つ以上の送入プラットフォームを覆い、1つ以上の腔内装置のうちの1つの配置の一部として1つ以上の送入プラットフォームのうちの1つから引き戻されるように構成されてよい。外鞘ラックは、複数の歯を備えることができ、外鞘ラックは、近位端などにおいて外鞘に結合している。内側シャフトおよび外鞘ラックの少なくとも一部分は、ハンドルハウジングの内部に位置する。ハンドルハウジングは、外鞘が1つ以上の送入プラットフォームを配置後に再び覆うことを防止するために、外鞘ラックの複数の歯に係合するように構成された少なくとも1つの爪を備えることができる。引き込みオーバーライドスイッチは、外鞘ラックおよび内側シャフトに結合でき、引き込みオーバーライドスイッチの操作は、少なくとも1つの爪を外鞘ラックの複数の歯との係合から解放することで、配置後の1つ以上の送入プラットフォームを外鞘で再び覆うことを可能にするように構成される。
【0023】
いくつかの実施形態において、送入装置は、引き込みオーバーライドロックの特徴をさらに備えることができ、引き込みオーバーライドロックは、引き込みオーバーライドスイッチを少なくとも1つを外鞘ラックとの係合から解放した操作後位置に係止するように構成される。引き込みオーバーライドロックは、ばね金属板を備えることができ、引き込みオーバーライドスイッチは、ばね金属板と係合するカムをさらに備え、カムの操作により、カムをさらなる移動を防止する係止位置へと移動させることができる。外鞘ラックおよび外鞘は、引き込みオーバーライドスイッチの操作によって外鞘ラックが少なくとも1つの爪との係合から外れるように、引き込みオーバーライドスイッチに結合できる。引き込みオーバーライドスイッチを、引き込みオーバーライドスイッチの操作によってハンドルハウジングに対する引き込みオーバーライドスイッチの回転が生じるように構成することができる。外鞘ラックを、引き込みオーバーライドスイッチの操作によってハンドルハウジングに対する外鞘ラックおよび外鞘の回転が生じるように構成することができる。
【0024】
いくつかの実施形態においては、2つ以上の腔内装置を生物の脈管内に配置するためのシステムが提供される。システムは、2つ以上の腔内装置を備えることができる。各々の腔内装置は、少なくとも1つの放射線不透過性マーカを備えることができる。システムの内側シャフトが、近位端および遠位端を有することができ、遠位端が2つ以上の腔内装置の配置のための2つ以上の送入プラットフォームを有し、各々の腔内装置が畳まれた状態で別々の送入プラットフォームに位置する。近位端および遠位端を有する抑止鞘を設けることができ、抑止鞘は、1つ以上の腔内装置を覆って延びて腔内装置を畳まれた状態に保つとともに、1つ以上の畳まれた腔内装置を配置のために露出させるべく引き込まれうるように構成される。抑止鞘は、最も遠位側の腔内装置に対して所定の距離に位置する鞘の遠位部分の鞘側放射線不透過性マーカをさらに備えることができる。制御機構が、抑止鞘を内側シャフトに対して引き込むために抑止鞘の近位端に結合した駆動アセンブリを備えることができる。抑止鞘の引き込みは、ユーザによって制御機構の可動トリガ部品へと加えられる操作力によって引き起こされる。トリガを出発位置から終了位置へと操作することにより、外鞘を1つ以上の送入プラットフォームのうちの1つを覆っている状態から完全に引き戻すことで、1つ以上の腔内装置のうちの1つが内側シャフトから生物の体内の場所へと解放される。これは、抑止鞘の遠位端の鞘側放射線不透過性マーカを残存の最も遠位側の腔内装置に対して所定の距離に位置させることも可能にする。
【0025】
いくつかの実施形態において、管腔内に装置を送入するための送入装置が提供される。送入装置は、内側シャフト、外鞘、ハンドルハウジング、およびインターロックを備えることができる。内側シャフトは、少なくとも1つの腔内装置を配置するための少なくとも1つの送入プラットフォームを有することができる。外鞘は、内側シャフトを囲み、配置前状態および配置状態を有することができる。配置前状態にあるとき、外鞘は、少なくとも1つの送入プラットフォームを覆うことができ、配置状態にあるとき、外鞘は、少なくとも1つの腔内装置のうちの少なくとも1つを配置すべく少なくとも1つの送入プラットフォームのうちの少なくとも1つを露出させることができる。ハンドルハウジングは、外鞘へと作用可能に接続されたトリガを有することができ、トリガは、外鞘を内側シャフト上から引き戻し、配置前状態から配置状態への外鞘の移動を容易にするように構成される。インターロックは、トリガ、外鞘、および内側シャフトのうちの少なくとも1つに係合でき、ロック位置および非ロック位置を有することができる。インターロックを、ロック位置にあるときに内側シャフトおよび外鞘の少なくとも一方のハンドルハウジングに対する移動を実質的に防止するように構成でき、インターロックを、非ロック位置にあるときに内側シャフトおよび外鞘の少なくとも一方のハンドルハウジングに対する移動を許容するように構成することができる。内側シャフトアジャスタを、内側シャフトへと作用可能に接続することができ、かつハンドルハウジングおよびインターロックのうちの1つ以上へと作用可能に接続することができる。内側シャフトアジャスタを、ハンドルハウジングおよび外鞘のうちの少なくとも一方に対する内側シャフトの位置を変化させるように構成することができる。
【0026】
いくつかの実施形態において、内側シャフトアジャスタは、内側シャフトに組み合わせられた少なくとも1つのピンを備え、少なくとも1つのピンは、ハンドルハウジングの一部分を貫いて延びるように構成される。
【0027】
いくつかの実施形態において、内側シャフトアジャスタは、少なくとも1つのピンと噛み合うように構成されたキャップをさらに備え、キャップと少なくとも1つのピンとの協働運動が、内側シャフトの移動を生じさせる。
【0028】
いくつかの実施形態において、内側シャフトアジャスタは、少なくとも1つのピンと噛み合うように構成された少なくとも1つの内側らせん溝を有しているキャップをさらに備える。
【0029】
いくつかの実施形態において、キャップは、ハンドルハウジングに対して回転させられるように構成され、第1の方向のキャップの回転により、少なくとも1つのピンが遠位方向に移動し、反対の第2の方向のキャップの回転により、少なくとも1つのピンが近位方向に移動する。
【0030】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのピンの遠位方向の移動は、内側シャフトの遠位方向の移動を生じさせ、少なくとも1つのピンの近位方向の移動は、内側シャフトの近位方向の移動を生じさせる。
【0031】
いくつかの実施形態において、内側シャフトに組み合わせられた少なくとも1つのピンは、中央部および側方部を備える。
【0032】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのピンは、ハンドルハウジングの壁の少なくとも1つの開口を貫いて延び、少なくとも1つの開口において近位方向および遠位方向の少なくとも一方にスライドするように構成される。
【0033】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの開口は、ハンドルハウジングの壁の少なくとも1つの細長いスロットを備え、少なくとも1つの細長いスロットは、実質的に近位側−遠位側の方向に延びる。
【0034】
いくつかの実施形態において、ハンドルハウジングは、中央スロットおよび側方スロットの少なくとも一方を有する近位側延長部をさらに備え、中央スロットおよび側方スロットの少なくとも一方は、実質的に近位側−遠位側の方向に延びる。
【0035】
いくつかの実施形態において、送入装置は、ハウジングに対して移動することができるキャップをさらに備えることができる。
【0036】
いくつかの実施形態において、キャップは、ロックを有し、ロック時にキャップはインターロックの、ロック位置から非ロック位置への移動を防止するように構成され、非ロック時にキャップはインターロック、のロック位置から非ロック位置への移動を許すように構成される。
【0037】
いくつかの実施形態において、キャップは、回転可能であり、ウインドウを有するリップを備え、インターロックは、リップの内側に位置し、ウインドウに収まるように構成された近位側延長部を備え、近位側延長部がリップの内側にあるとき、インターロックの、ロック位置から非ロック位置への移動が防止され、ウインドウが近位側延長部に整列させられるとき、インターロックの、ロック位置から非ロック位置への移動が許される。
【0038】
いくつかの実施形態において、キャップは、ハンドルハウジングに対して回転可能であり、近位側−遠位側の方向においてハンドルハウジングに対して実質的に固定される。
【0039】
いくつかの実施形態において、キャップは、キャップの内面上に少なくとも1つのらせん溝を備える。
【0040】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのらせん溝は、ハンドルハウジング、外鞘、および内側シャフトのうちの少なくとも1つに組み合わせられた突起を受け入れるように構成され、少なくとも1つのらせん溝と突起との相互作用により、キャップとハンドルハウジング、外鞘、および内側シャフトのうちの少なくとも1つとの間の相対移動が生じる。
【0041】
いくつかの実施形態において、内側シャフトアジャスタは、トリガによって外鞘が内側シャフト上から引き戻される前に、ハンドルハウジングおよび外鞘の少なくとも一方に対する内側シャフトの位置を変化させるように構成される。
【0042】
いくつかの実施形態において、内側シャフトアジャスタは、内側シャフトに組み合わせられた突起と、ハンドルハウジングに対して移動することができる斜面とを備え、突起と斜面とが、係合位置および非係合位置を有する。
【0043】
いくつかの実施形態において、突起および斜面の係合位置から非係合位置への移動により、斜面が突起を押して、内側シャフトを移動させる。
【0044】
いくつかの実施形態において、斜面は、インターロックに組み合わせられる。
【0045】
いくつかの実施形態においては、インターロックのハンドルハウジングに対する係合の解除により、突起および斜面が非係合位置へと移動し、突起および斜面がスライドして係合から外れ、内側シャフトを移動させる。
【0046】
いくつかの実施形態において、内側シャフトアジャスタは、インターロックと内側シャフトとの間の斜面による
インターフェイスを備え、斜面による
インターフェイスは、インターロックが内側シャフトとの係合から取り除かれるときに外鞘に対する内側シャフトの位置を調節するように構成される。
【0047】
いくつかの実施形態においては、インターロックの遠位端が、トリガと係合し、インターロックの近位端が、内側シャフトと係合する。
【0048】
いくつかの実施形態においては、インターロックの近位端が、内側シャフトおよびハンドルハウジングに係合する。
【0049】
いくつかの実施形態においては、腔内装置を送入するための装置が提供される。装置は、内側シャフト、外鞘、ハンドルハウジング、インターロック、および内側シャフトアジャスタを備えることができる。内側シャフトは、腔内装置を配置するための送入プラットフォームを有することができる。外鞘は、内側シャフトを囲むことができ、送入プラットフォームを覆う配置前状態と、送入プラットフォームを露出させる配置状態とを有することができる。ハンドルハウジングは、外鞘へと接続され、近位方向および遠位方向の少なくとも一方への外鞘の移動を生じさせるように構成されたアクチュエータを有することができる。インターロックは、トリガおよび内側シャフトのうちの少なくとも一方に係合でき、ハンドルハウジング、外鞘、および内側シャフトのうちの少なくとも1つに対するハンドルハウジング、外鞘、および内側シャフトのうちの少なくとも1つの移動を防止するロック位置を有するとともに、ハンドルハウジング、外鞘、および内側シャフトのうちの少なくとも1つに対するハンドルハウジング、外鞘、および内側シャフトのうちの少なくとも1つの移動を許す非ロック位置を有することができる。内側シャフトアジャスタを、ハンドルハウジング、外鞘、および内側シャフトのうちの少なくとも1つへと接続でき、ハンドルハウジングおよび外鞘のうちの少なくとも一方に対する内側シャフトの位置を調節するように構成することができる。
【0050】
いくつかの実施形態において、内側シャフトアジャスタは、内側シャフトアジャスタがハンドルハウジングおよび外鞘のうちの少なくとも一方に対する内側シャフトの位置を調節する前は、インターロックのロック位置と非ロック位置との間の行き来を防止するように構成され、内側シャフトアジャスタは、内側シャフトアジャスタがハンドルハウジングおよび外鞘のうちの少なくとも一方に対する内側シャフトの位置を調節した後は、インターロックのロック位置と非ロック位置との間の行き来を許すように構成される。
【0051】
いくつかの実施形態においては、少なくとも1つの腔内装置を管腔内に送入する方法が提供される。用いることができる送入装置は、内側シャフトと、外鞘と、ハンドルハウジングと、インターロックと、内側シャフトアジャスタとを備えることができ、内側シャフトは、少なくとも1つの腔内装置を配置するための少なくとも1つの送入プラットフォームを有し、外鞘は、内側シャフトを囲み、少なくとも1つの送入プラットフォームを覆う配置前状態と、少なくとも1つの送入プラットフォームのうちの少なくとも1つを露出させる配置状態とを有し、ハンドルハウジングは、外鞘へと作用可能に接続されたトリガを有し、トリガは、ハンドルハウジングに対する外鞘の移動を容易にするように構成され、インターロックは、トリガおよび内側シャフトのうちの少なくとも一方に係合でき、内側シャフトおよび外鞘のうちの少なくとも一方のハンドルハウジングに対する移動を実質的に防止するロック位置と、内側シャフトおよび外鞘のうちの少なくとも一方のハンドルハウジングに対する移動を許す非ロック位置とを有し、内側シャフトアジャスタは、内側シャフトへと作用可能に接続され、かつハンドルハウジングおよびインターロックのうちの1つ以上へと作用可能に接続される。方法は、送入装置のうちの少なくとも1つの腔内装置を備えている部分を、対象のボリューム(target volume)へと前進させるステップと、対象のボリュームに対する送入装置の移動を拘束するステップと、内側シャフトアジャスタを操作し、ハンドルハウジングおよび外鞘のうちの少なくとも一方に対する内側シャフトの位置を変化させるステップと、インターロックをロック位置から非ロック位置へと移動させ、少なくとも外鞘のハンドルハウジングに対する移動を可能にするステップと、トリガを操作し、外鞘を内側シャフト上から近位側へと引き戻すステップとを含むことができる。
【0052】
いくつかの実施形態において、内側シャフトアジャスタは、内側シャフトアジャスタがハンドルハウジングおよび外鞘のうちの少なくとも一方に対する内側シャフトの位置を変化させるべく操作されるまで、インターロックをロック位置に保つように構成される。
【0053】
いくつかの実施形態において、内側シャフトは、最も近位側の位置と最も遠位側の位置とによって定められる移動の長さを有し、送入装置のうちの少なくとも1つの腔内装置を備えている部分を対象のボリュームへと前進させるステップの前は、内側シャフトが最も近位側の位置にあり、送入装置のうちの少なくとも1つの腔内装置を備えている部分を対象のボリュームへと前進させるステップの最中は、内側シャフトが最も近位側の位置にある。
【0054】
いくつかの実施形態において、内側シャフトは、最も近位側の位置と最も遠位側の位置とによって定められる移動の長さを有し、内側シャフトアジャスタを操作して内側シャフトの位置を変化させるステップの前は、内側シャフトが最も近位側の位置にある。
【0055】
いくつかの実施形態において、内側シャフトアジャスタを操作して内側シャフトの位置を変化させるステップは、内側シャフトを最も遠位側の位置へと移動させる。
【0056】
いくつかの実施形態においては、インターロックをロック位置から非ロック位置へと移動させることができる前に、内側シャフトが最も遠位側の位置になければならない。
【0057】
いくつかの実施形態においては、少なくとも1つの腔内装置を管腔内に送入する方法が提供される。用いることができる送入装置は、少なくとも1つの腔内装置を保持するように構成された少なくとも1つの送入プラットフォームを有している内側シャフトと、内側シャフトを囲んでおり、内側シャフト上を近位方向および遠位方向の少なくとも一方に移動するように構成された外鞘と、外鞘の移動を容易にするように構成されたトリガを有しているハンドルハウジングと、トリガおよび内側シャフトのうちの少なくとも一方に係合でき、内側シャフトおよび外鞘のうちの少なくとも一方のハンドルハウジングに対する移動を実質的に防止する第1の位置と、内側シャフトおよび外鞘のうちの少なくとも一方のハンドルハウジングに対する移動を許す第2の位置とを有しているインターロックと、内側シャフトへと作用可能に接続され、かつハンドルハウジングおよびインターロックのうちの1つ以上へと作用可能に接続され、ハンドルハウジングおよび外鞘のうちの少なくとも一方に対する内側シャフトの位置を変化させるように構成されるとともに、内側シャフトの位置を変化させるまではインターロックを係止してインターロックの第1の位置から第2の位置への移動を防止するように構成された内側シャフトアジャスタとを備えることができる。方法は、送入装置の一部分を対象のボリュームへと前進させるステップと、対象のボリュームに対する送入装置の移動を拘束するステップと、内側シャフトアジャスタを操作し、ハンドルハウジングおよび外鞘のうちの少なくとも一方に対する内側シャフトの位置を変化させるステップと、インターロックの係止を解除するステップと、インターロックをロック位置から非ロック位置へと移動させ、少なくとも外鞘のハンドルハウジングに対する移動を可能にするステップと、外鞘を内側シャフトに対して移動させるステップとを含むことができる。
【0058】
いくつかの実施形態において、インターロックは、近位側延長部を備え、内側シャフトアジャスタは、ウインドウを備えるリップを有しているキャップを備え、近位側延長部は、係止時にリップの内側に収まり、非係止時に前記ウインドウに収まるように構成される。
【0059】
いくつかの実施形態において、係止を解除するステップは、キャップを回転させてウインドウと近位側延長部とを整列させることを含む。
【0060】
いくつかの実施形態において、インターロックは、内側シャフトアジャスタによって係止することができる近位部分を備え、内側シャフトアジャスタは、近位側−遠位側の方向について実質的に固定されつつ内側シャフトを中心にして回転するように構成されたキャップを備え、キャップは、キャップの内面の少なくとも1つのらせん溝と、不連続部を有する遠位側リップとを備える。
【0061】
いくつかの実施形態において、ハンドルハウジングは、近位側−遠位側の方向に延びる少なくとも1つのスロットを有している近位部分を備え、内側シャフトは、少なくとも1つのスロットを貫いて延びてキャップの内面の少なくとも1つのらせん溝と噛み合うように構成された少なくとも1つのピンを備え、キャップを第1の方向に回転させることで少なくとも1つのピンが少なくとも1つのスロットにおいて遠位方向に移動し、キャップを第2の方向に回転させることで少なくとも1つのピンが少なくとも1つのスロットにおいて近位方向に移動する。
【0062】
いくつかの実施形態において、内側シャフトアジャスタを操作するステップは、キャップを第1の方向に回転させることによって少なくとも1つのピンを前記少なくとも1つのスロットにおいて遠位方向に移動させることで、内側シャフトを遠位方向に移動させることを含む。
【0063】
いくつかの実施形態において、インターロックの係止を解除するステップは、キャップの不連続部がインターロックの近位部分に整列するまでキャップを回転させることを含む。
【0064】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのピンがハンドルハウジングの近位部分の少なくとも1つのスロットの実質的に最も遠位側の端部へと移動するまでは、不連続部はインターロックの近位部分に整列しない。
【発明を実施するための形態】
【0099】
送入装置10を、アテローム性動脈硬化閉塞疾患を治療するための処置の一部として使用することができる。送入装置を、タックなどの1つ以上の腔内装置2を、プラーク蓄積の場所へともたらすために使用することができる。タックは、その場所を安定させ、さらには/あるいはプラーク片を、血流を妨げないように保持することができる。本明細書に記載の送入装置および方法は、主として脈管の処置に関して説明されるが、体の他の部分の治療にも使用可能であることを、理解できるであろう。
【0100】
図1および2が、複数の腔内装置2の順次送入に使用することができる送入装置10の実施形態を示している。送入装置10は、アテローム性動脈硬化閉塞疾患を治療するための処置において使用することが可能であるが、これらの処置に限られるわけではない。
【0101】
図示を容易にするために短くされている
図1の送入装置10は、遠位端4および近位端6を強調している。近位端6を、医師または他の医療専門家が、医療処置の際に保持することができる。近位端6は、1つ以上の腔内装置またはタック2の送入を制御するために使用される。
図2は、6つの腔内装置2を有する遠位端4を示しており、各々の腔内装置2は、専用の送入プラットフォーム8に配置されている。
図1および2を比べると、
図2においては外鞘12が遠位端から引き戻されていることを見て取ることができる。これにより、送入プラットフォーム8およびそれぞれの腔内装置2が露出している。腔内装置2は、好ましくは自己膨張型(self−expandable)であり、どのように送入プラットフォームに収まるのかを示すために、圧縮された状態で図示されている。典型的な使用において、外鞘12が、この状態にあるときの腔内装置2を覆う。さらに詳しく後述されるように、外鞘12を、一度に1つの腔内装置2を所望の治療場所に配置するために、系統だったやり方で引き戻すことができる。
【0102】
例えばセル(cell)の列がただ1つ(
図3および3A)または2つである比較的小さい腔内装置2を、精密な治療場所にもたらし、重なり合うことがないように適度に離すことができる。
図3Aが、
図3のタックの平たくされた一部分を示している。セル14の1つの列が、波形のストラット16からなる2つの同心リングをブリッジ部材18によって接続することによって形成されていることを、見て取ることができる。ブリッジ部材18は、1対のアンカ20と、放射線不透過性マーカ22とを有している。複数の小さな腔内装置2を、1つまたは複数の損傷の治療に使用することができる。これは、体内の異物の量を最小限にしつつ、必要とされる保持力をもたらすことができる。腔内装置および送入装置の種々の実施形態が、本出願の出願人の関連の特許出願、すなわち2011年7月8日に出願され、米国特許出願公開第2012/0035705号として公開された特許出願第13/179,458号(IVAS.002P4)、および2013年1月24日に出願され、米国特許出願公開第2013/0144375号として公開された特許出願第13/749,643号(IVAS.002P6)にさらに詳しく記載されており、これらの特許出願はどちらも、ここでの言及によって本明細書に援用され、本明細書の一部を構成する。
【0103】
各々の放射線不透過性マーカを、腔内装置のそれぞれのブリッジ部材上の円形の小穴へと圧入し、あるいはかしめることができる。かしめは、金型を用い、物品を金型へと押し込むことによって、物品の寸法を変化させる鍛造工程である。かしめは、通常は冷間加工工程であるが、熱間加工工程として行われることもある。かしめは、通常は、工程における材料の喪失が存在しないため、貴金属に適した方法である。腔内装置および送入装置に関して本明細書で述べられる放射線不透過性マーカは、金、白金、およびタンタルなど、いくつかのさまざまな材料であってよい。
【0104】
送入装置および方法が、より大型の装置などの他の腔内装置2にも使用可能であり、セルの列がただ1つまたは2つの腔内装置2における使用に限られないことを、理解できるであろう。
【0105】
次に
図1に戻り、図示の実施形態の近位端6を、ここで説明する。送入装置10は、外鞘12と、近位側ハウジング24と、内側シャフト26とを備えることができる。外鞘12を、ポリマー押し出し材およびポリマー押し出し材に埋め込まれた編組線の積層品として作製することができる。柔軟性および剛性を、編組線の数、編組のパターン、および編組のピッチによって制御することができる。他の実施形態においては、外鞘を、金属製またはプラスチック製のハイポチューブ(hypotube)などのハイポチューブで形成することができる。鞘の柔軟性および剛性を、ハイポチューブの全長におけるらせん状の切れ目の傾きおよび頻度などの多数の特徴によって制御することができる。さらに、外鞘は、遠位端またはその付近に放射線不透過性(RO)マーカ28を備えることができる。いくつかの実施形態において、放射線不透過性マーカ28は、最も遠位側の端部から間隔を空けて位置する環状の帯であってよい。
【0106】
図示のとおり、外鞘12は、編組シャフトであり、近位側ハウジング24は、張力緩和部30を介して外鞘へとつながる二股ルアー(luer)である。張力緩和部30は、ポリオレフィンまたは他の同様の材料で作られるなど、任意の形態を取ることができる。
【0107】
二股ルアー24は、内側シャフト26を受け入れる主アームと、横アームとを有する。二股ルアーを、外鞘の近位端に配置することができる。横アームは、空気を追い出し、鞘と内側シャフトとの間の空間の潤滑性を向上させるために使用されるフラッシングポートを備えている。
【0108】
テューイボルスト(tuohy borst)アダプタ、止血弁、または他のシール機構32を、内側シャフト26と外鞘12との間の空間の近位端を受け入れて封止するために、二股ルアー24の近位側に設け、あるいは二股ルアー24に統合することができる。テューイボルストアダプタは、外鞘と内側シャフトとの間の関係を固定するためのねじ式ロックなどの係止のインターフェイスをもたらすこともできる。これは、医師がタックを時期尚早に配置してしまうことなく遠位端を適切に位置させることを、可能にすることができる。
【0109】
内側シャフトは、近位側ルアーハブ34および配置基準マーク36を備えて図示されている。配置基準マーク36は、各々の配置基準マークの間の間隔が送入プラットフォームの特徴の間の間隔と同じであってよいように、送入プラットフォーム8に対応することができる。例えば、配置基準マークの間の間隔は、送入プラットフォームの中心間の距離と同じであってよい。
【0110】
いくつかの実施形態においては、最も遠位側の配置基準マーク、あるいは太い帯または異なる色を有するなどの他とは異なるマークが、主位置またはホーム位置を示すことができる。例えば、帯の幅が他よりも広い配置基準マークを、二股ルアー24の近位端または止血弁32に整列させることができる。これは、外鞘がノーズコーン38の近位側の内側シャフト26を完全に覆う位置にあることを、医師に知らせることができる。いくつかの実施形態においては、この整列を、外鞘のROマーカ28の内側シャフト26の遠位端のROマーカへの整列と解釈することもできる。
【0111】
いくつかの実施形態においては、配置基準マーク36のうちの1つ以上が、システム内のタックの数を表すことができる。すなわち、ひとたびタックが解放されると、配置基準マーク36が覆い隠され、医師は、残りの配置基準マークが、使用することができる残りのタックの数に相当することを、知ることができる。そのような実施形態においては、二股ルアー24または止血弁32の近位端を、配置を示すために2つの基準マークの間のほぼ真ん中へと進めることができる。
【0112】
次に
図4を眺めると、送入装置10の遠位端4の詳細図が示されている。図示の実施形態の特徴として、遠位側の柔らかい先端38を有する内側シャフト26が挙げられる。先端38は、テーパ状のノーズコーンであってよい。ノーズコーン38は、組織を傷つけることなく押しのけ、脈管構造を通過する送入装置の案内を助けるための拡張構造として機能する。先端38自身が放射線不透過性であってよく、あるいは放射線不透過性の要素27を、先端またはその付近に取り入れることができる。内側シャフト26を通って近位側ルアーハブ34(
図1)まで延びるガイドワイヤ管腔40を見て取ることができる。ガイドワイヤ管腔40は、ガイドワイヤを受け入れて前進させるように構成される。
【0113】
送入プラットフォーム8の各部も示されている。送入プラットフォーム8は、図示の実施形態においては同一であるが、他の実施形態においては、異なる送入プラットフォームの間でサイズおよび構成が違ってもよい。縮められ(crimped)、あるいは圧縮されたタック2が、送入プラットフォーム8に示されている。
【0114】
図2および4に見て取ることができるとおり、1つ以上の送入プラットフォーム8を、送入装置10の遠位端4の付近において内側シャフト26上に配置することができる。送入プラットフォーム8の各々は、1対の環状押しバンド44の間に位置して広がる凹所42を備えることができる。
図5が、送入プラットフォーム8Aの一実施形態における送入装置の断面を示している。図示の実施形態において、第1のプラットフォーム8Aの近位側の環状押しバンド44Aは、すぐ近位側に位置するプラットフォーム8B(一部分だけが図示されている)の遠位側の環状押しバンド44Aでもある。環状押しバンド44は、凹所42における送入プラットフォームと比べて、より大きな外径を有している。いくつかの実施形態においては、凹所を、1つまたは2つの環状押しバンドならびに/あるいは内側シャフト26上のさらなる特徴に隣接し、あるいはこれらの間に位置する小径の領域として画定することができる。
【0115】
環状押しバンド44のうちの1つ以上は、放射線不透過性マーカバンドであってよい。例えば、近位側および遠位側放射線不透過性マーカバンド44を、プラットフォーム8の端部を標準的な視覚化技術を使用して視認できるようにするために設けることができる。環状マーカバンド44は、例えばタンタル、イリジウム、および白金材料のうちの1つ以上を含むなど、任意の適切な形態をとることができる。いくつかの実施形態において、押しバンド44は、4mmの長さであってよく、それらの間に6.75mmの凹所を備えることができる。6.5mmのタックを、押しバンド44の間に配置することができる。いくつかの実施形態において、押しバンドは、凹所および/またはタックのサイズの50〜70%の間であってよい。いくつかの実施形態において、押しバンドは約60%である。他の実施形態において、押しバンドは、はるかに小さくてよく、凹所および/またはタックのサイズの10〜20%の間であってよい。これは、特には、より長いタックに当てはまるかもしれない。いくつかの実施形態において、押しバンド44の少なくとも近位端は、送入装置を引き戻す際に配置済みのタックに引っ掛かる可能性を減らす役に立つような半径を有することができる。
【0116】
凹所とタックとの間の長さの差を小さくすることで、とりわけセルの列が1つまたは2つだけであるタックにおいて、タックの配置の精度を高めることができる。いくつかの実施形態において、凹所とタックとの間の長さの差は、1、0.5、0.4、0.3、0.25、または0.2mm未満であってよい。タックは、長さ4、5、6、6.5、8、10、または12mmなど、任意の数の異なるサイズであってよい。
【0117】
外鞘12を、PEBAXという商標名で入手可能なポリエーテルブロックアミド(PEBA)、すなわち熱可塑性エラストマ(TPE)で作製することができる。いくつかの実施形態において、外鞘12は、TEFLONなどのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)で作られた薄い内側ライナを有することができる。任意の放射線不透過性マーカバンド28または他の放射線不透過性材料を、これら2つの層の間に配置することができる。他の実施形態においては、放射線不透過性マーカバンド28または他の放射線不透過性材料を、外鞘12の1つ以上の層に埋め込むことができる。放射線不透過性マーカバンド28は、幅が0.5mm〜5mmの範囲であってよく、最も遠位側の先端52から近位側0.5mm〜10mmに位置することができる。いくつかの実施形態において、放射線不透過性マーカバンド28は、幅1mmであってよく、最も遠位側の先端52から近位側3mmに位置することができる。
【0118】
図5の断面において、スリーブ46が2つの環状バンド44の間の内側シャフト26の周囲に位置することを、見て取ることができる。いくつかの実施形態において、送入プラットフォーム8は、シャフト26を囲むスリーブ46を備えることができ、ここでスリーブ46は、シャフト26とは異なる材料で作られ、あるいはシャフト26とは異なる材料特性を有する。いくつかの実施形態において、スリーブは、タックを送入プラットフォームの所定の場所にとどまらせる役に立つ粘着性、グリップ、トレッドパターン、および/または他の特徴を有する材料を提供する。いくつかの実施形態においては、スリーブを、PEBAで作製することができる。いくつかの実施形態による内側シャフトは、PTFE/ポリイミド複合材料で作製された複合押し出し材である。スリーブは、内側シャフトおよび/または押しバンド44よりも柔らかくて(デュロメータが小さくて)よい。これは、類似の種類の材料で作製される場合にも当てはまりうる。いくつかの実施形態において、スリーブは、外鞘12を引き戻すときにタックを所定の場所(例えば、内側シャフトに対する長手方向の位置)にとどまらせる役に立つ粘着性、グリップ、トレッドパターン、および/または他の特徴を有する材料であってよい。これは、配置の際の制御性を高めることができ、タックが送入プラットフォームから遠位側へと撃ち出される可能性(業界においてウォーターメロンシーディング(watermelon seeding)として知られている)を減らすことができる。いくつかの場合には、外鞘を途中まで取り去ることによって腔内装置を部分的に露出させることができることで、腔内装置を、完全な解放まで送入装置によって確実に保持しつつ、或る程度まで膨張させることができる。
【0119】
スリーブ46を、タック2が送入プラットフォーム8に位置した状態においてタックと外鞘との間の空間が最小限または皆無であるようなサイズとすることができる。いくつかの実施形態においては、スリーブ46を、内側シャフト26と一緒に成形でき、あるいは内側シャフト26上へと押し出すことができる。いくつかの実施形態においては、送入装置10を、内側シャフト26の或る長さについて延びるただ1つのスリーブ46を備えて形成することができる。例えば、スリーブは、最初の送入プラットフォームから最後の送入プラットフォームまで延びることができる。環状バンド44が、スリーブ46の別々の部分を囲むことができ、あるいはスリーブ46によって包まれてよい。いくつかの実施形態においては、各々の送入プラットフォーム8が、凹所42に位置する別々のスリーブ46を有する。環状バンド44は、異なる材料によって包まれてよく、あるいはまったく包まれなくてもよい。
【0120】
図5から理解されるとおり、スリーブ46は、スリーブの一部分または全長にわたって保たれる円形の断面を有する円筒形であってよい。他の実施形態において、スリーブは、特有の形状を有することができ、テーパ(
図6(a)〜(e))、砂時計形状(
図6(a))、畝(
図6(b))、くぼみ(
図6(c))、点(dot)(
図6(d))、2つ以上の異なる直径(
図6(e))、などのうちの1つ以上を含むことができる。畝、点、およびくぼみなどの特徴を、いくつかの異なる模様またはグループにて配置することができる。さらに、スリーブ(
図6(b)〜(d))またはスリーブ(
図6(e))の一部は、凹所全体にわたって延びる必要はない。いくつかの実施形態においては、スリーブまたは外径の大きい部分の長さが、タックの長さに対応することができる。例えば、スリーブまたは外径の大きい部分が、凹所および/またはタックの3/4、2/3、1/2、2/5、1/3、1/4を延びることができる。さらに、スリーブまたは外径の大きい部分の長さは、最も近位側の波形のリングなど、波形のリング16におけるストラットのサイズに関係でき、例えばストラットの長さまたは最も近位側の波形のリングの長さの全体、4/5、3/4、2/3、または1/2について延びることができる。短いスリーブ、またはスリーブの外径の大きい部分は、好ましくは凹所の近位端から遠位側へと延びる(
図6(d)〜(e))が、凹所の中央に位置しても、遠位端に置かれても(
図6(c))、凹所内の他の位置に置かれてもよい。
【0121】
図6(e)のスリーブは、それらの間に短いテーパを有する2つの異なる一定の外径の部分を有して図示されている。スリーブを、熱によって接合される2つの別々の部分から形成することができる。テーパ部も、2つの一定の外径の部分の間に滑らかな推移が存在するように熱による結合によって生み出されてよい。すでに述べたように、より大きい一定の外径の部分は、好ましくは凹所の近位端から遠位側へと延びる。このより大きな外径の部分は、一定の外径を有していても、有していなくてもよいが、上述したように、凹所の全体にわたって延びる必要はない。
【0122】
いくつかの実施形態において、内側シャフト26は、押し部44の間により小さいデュロメータのスリーブ46を有することができる。タック2を、スリーブ46へと縮めることができ、外鞘12が、縮められたタックをその場に拘束することができる。スリーブ46と外鞘12との間のすき間が、縮められたタック2と内側および外側の要素との間にわずかな干渉を伴うはまり合いをもたらすことができる。このわずかな干渉は、タックがほぼ完全に鞘から露出して、タックの遠位部が「花びら」状に開いて脈管の壁に係合できるまで、送入システムが配置の際に縮められたタックを拘束することを可能にし、飛び出し(jumping)の可能性を減らすことができる。
【0123】
いくつかの実施形態によれば、内側シャフト26を、ポリイミド−PEBAの組み合わせで作製することができ、より小さいデュロメータのPEBAスリーブ46を、押し部44の間に熱によって接合することができる。タック2を、スリーブ46へと縮めることができ、PTFEで内側が覆われた外鞘12が、縮められたタックをその場に拘束することができる。
【0124】
図5に戻ると、放射線不透過性マーカバンド44の特定の実施形態の特徴が示されている。すでに述べたように、スリーブ46は、環状バンド44を包むことができる。あるいは、別の材料が金属製のバンドを包み、環状のマーカバンド44を形成することができる。環状のマーカバンド44は、放射線不透過性を維持しながら柔軟性を増すために、ワイヤ48または複数の材料片で作られてよく、あるいはスリットを有することができる。いくつかの実施形態においては、ワイヤが、内側シャフト26の周囲に巻き付けられたらせんコイルを形成することができる。
【0125】
次に
図7A〜Cに移動し、配置の特定の方法を説明する。送入装置10を、アテローム性動脈硬化閉塞疾患を治療するための処置の一部として使用することができる。送入装置を、タックなどの1つ以上の腔内装置2を、プラーク蓄積の場所へと送入するために使用することができる。タックは、その場所を安定させ、さらには/あるいはプラーク片を、血流を妨げないように保持することができる。
【0126】
タックは、好ましくは自己膨張型である。したがって、鞘12を引き戻してタック2を露出させることで、タックを送入装置10から自己膨張によって配置することができる。鞘を、タックを血管内の所望の場所に順々に送入するために、小さな増分にて引き戻すことができる。いくつかの実施形態において、小さな増分は、配置基準マーク36に対応することができる。配置基準マーク36は、より長いステントにおいて典型的な漸進的な解放よりもむしろ各々のタックを速やかに配置できるよう、少なくともタックの長さの間隔を有することができる。これは、タックのより精密な配置を可能にすることができる。
【0127】
バルーン血管形成術が、体内のあらゆる血管床において閉塞または狭隘化した血管を開く一般に受け入れられた方法である。バルーン血管形成術は、バルーン血管形成カテーテルによって実行される。バルーン血管形成カテーテルは、カテーテルへと取り付けられた葉巻(cigar)状の円柱形のバルーンで構成される。バルーン血管形成カテーテルは、経皮的に生成され、あるいは動脈の開放暴露によって生成される遠隔のアクセス場所から動脈内に配置される。カテーテルは、カテーテルの進行を案内するワイヤ上で血管の内側に沿って通される。カテーテルのバルーンが取り付けられた部位が、治療を必要とするアテローム性動脈硬化プラークの場所に配置される。バルーンは、閉塞疾患の発現の前の動脈の元の直径に一致するサイズへと膨張させられる。いくつかの事例では、バルーンが、薬物または生物学的製剤で被覆され、あるいは他のやり方で薬物または生物学的製剤を組織へともたらすように構成される。バルーンが膨張させられるとき、プラークが割れる。へき開面がプラーク内に形成され、プラークの直径がバルーンの膨張につれて広がることを可能にする。多くの場合、プラークの一部分が、プラークの残りの部分よりも膨張に強く抵抗する。これが生じるとき、より大きな圧力をバルーンへと送り込むことで、バルーンの意図されるサイズへの完全な膨張がもたらされる。バルーンは、収縮させられて取り除かれ、動脈部分が再び検査される。バルーン血管形成術のプロセスは、制御できないプラーク破壊のプロセスである。治療の場所の血管の管腔は、通常は多少大きくなるが、常にではなく、確実にでもない。
【0128】
バルーン血管形成術におけるプラークの割れによって生じるへき開面の一部が、切開(dissection)を形成する可能性がある。より一般的には、切開は、プラークまたは組織の一部が動脈から離れて持ち上げられ、動脈に充分には付着しておらず、移動または遊離しうる場合に生じる。切開によって引き裂かれたプラークまたは組織が、流れへと突出する。プラークまたは組織が完全に血流の方向に持ち上がると、流れを妨げ、血管の急性の閉塞を引き起こす可能性がある。バルーン血管形成術の後の切開を、閉塞を防止し、残存狭窄を解消するように処置しなければならないことは、明らかである。また、いくつかの状況において、血管形成術の後の動脈を開いた状態に保ち、さらには/あるいは切開された物質を再び血管の壁へと押し付けて、血流にとって適切な管腔を生み出すために、ステントまたは他の腔内装置などの金属製の保持構造を配置することが有益であることも、明らかである。
【0129】
さまざまな送入方法および装置を、タック2などの腔内装置の配置に使用することができ、その一部が後述される。例えば、タックを、血管内挿入によって血管内へともたらすことができる。プラーク用タックの異なる実施形態のための送入装置は、異なっていても、あるいは同じでもよく、特定のタックを送入するように特定的に設計された特徴を有することができる。タックおよび設置手順を、タックを血管内の位置へと移動させ、次いで血管内で膨張した状態へと解放することを可能にするために、送入機構(バルーンの膨張など)の膨張力および/または波形のリングの膨張力を利用するという共通の方法を共有するいくつかのやり方にて設計することができる。タックの配置方法は、配置に先立つ外鞘の放射線不透過性マーカおよび配置されるべきタックの整列を含むことができる。
【0130】
次に
図7Aを参照すると、外鞘12を備える送入装置10が、第1の配置前状態にて示されている。複数のタック2を、外鞘12によって送入装置10内に圧縮された状態で保持することができる。いくつかの実施形態において、タック2は、送入装置への搭載を容易にするために圧縮された状態へと急速冷凍される。タックは、すでに述べたように、送入装置の所与の長さについて延びることができる。
【0131】
送入装置を、患者の脈管系内のガイドワイヤ50を覆うようにして治療場所へと前進させることができる。ガイドワイヤ50は、血管形成術のバルーンを配置するために使用されるガイドワイヤなど、先行の処置段階において用いられた同じガイドワイヤであってよい。ひとたび治療の場所に配置されると、外鞘12を、第2の配置前位置(
図7B)へと引き戻し、あるいは引っ込めることができる。第2の配置前位置を、タックの解放前に何らかの調節を必要とする可能性がある伸び、曲折、などを補償すべく、外鞘の位置を調節するために使用することができる。第2の配置前位置において、外鞘の遠位端52を、配置されるべきタックの遠位端またはそのわずかに遠位側に位置させることができる。
【0132】
いくつかの実施形態によれば、外鞘12は、放射線不透過性の環状マーカバンド28を有することができ、タックも、1つ以上の放射線不透過性マーカ22を有することができる。放射線不透過性マーカ22を、タックの周囲の列にて配置することができる。タックの遠位端から放射線不透過性マーカ22までの距離「L」は、外鞘12の遠位端52から放射線不透過性の環状マーカバンド28までの距離と同じであってよい。いくつかの実施形態においては、この距離が、マーカ22およびマーカバンド28の中央までの距離である。いくつかの実施形態においては、外鞘における距離「L」が、タックにおける長さ「L」と少なくとも同じであり、場合によってはわずかに長い。外鞘には、他の放射線不透過性マーカが存在しなくてもよい。さらに、タックにも、他の放射線不透過性マーカまたは放射線不透過性マーカの列が存在しなくてもよい。したがって、外鞘は、少なくともタック2の最も遠位側の端部から放射線不透過性マーカ22または放射線不透過性マーカの列までの距離だけ外鞘12の遠位端52から離れて位置する遠位端のただ1つのマーカバンド28のみを有することができる。図示の実施形態においては、放射線不透過性マーカ22または放射線不透過性マーカの列が、装置の中央に位置している。また、放射線不透過性マーカは、波形のストラット16の隣り合うリングを接続するブリッジ部材18に位置している。いくつかの実施形態においては、放射線不透過性マーカ22または放射線不透過性マーカの列を、波形のストラット16の少なくとも1つのリングによってタックの最も遠位側の端部から離すことができる。図示の実施形態においては、放射線不透過性マーカ22または放射線不透過性マーカの列が、タック2の最も遠位側の端部に位置しておらず、そこから間隔を空けて位置している。
【0133】
タックおよび外鞘に対応する放射線不透過性マーカ22、28を有することで、医師がタックの配置に先立ってマーカ22、28を整列させることを可能にすることができる。さらに、医師は、整列させたマーカを治療すべき所望の領域に整列させることができる。理解されるとおり、この整列はすべて、標準的な視覚化技術を使用して行うことができる。すでに述べたように、内側シャフト上の環状の押しバンド44も、放射線不透過性であってよい。いくつかの実施形態において、押しバンド44は同一であってよく、外鞘上のマーカおよびタック上のマーカの両者から視覚化のもとで違って見えてよい。このようにして、すべてのマーカがどこにあるのか、およびどれがどれであるのかを、医師にとって明確にすることができる。例えば、押しバンド44は、外鞘上のマーカ28およびタック上のマーカよりも軸方向に長くてよい。さらに、送入装置上のマーカが、バンドであってよい一方で、タック上のマーカは、点であってよい。
【0134】
図7Bを参照すると、外鞘12上のマーカ28と第1のタック2上のマーカ22とが整列させられ、鞘の遠位端が第1のタックの遠位端に位置していることを、見て取ることができる。今や送入装置を、放射線不透過性マーカを所望の場所に位置合わせするなどにより、治療すべき病変に対して位置させることができる。次いで、鞘を引き戻すことによって、タックを所望の場所に配置することができる。
【0135】
いくつかの実施形態においては、送入装置が、遠位端のものから少なくともタックの長さの半分だけ近位側に位置する外鞘上のマーカバンドを有することができ、タックは、装置の中央にマーカのただ1つの列を有している。配置の方法は、外鞘上のマーカおよび配置されるべきタックが整列するまで外鞘を引き戻し、次いでこれら2つのマーカを治療すべき病変(または、他の治療の領域)の真ん中に整列させ、その後に外鞘をさらに引き戻すことによってタックの解放をもたらすことを含むことができる。押しバンド44のマーカも、配置前の送入装置の整列を助けるために使用できることを、理解できるであろう。
【0136】
この方法を、複数のタックをもたらすために繰り返すことができる(あくまでも参考までに、タックが圧縮された状態で示されている
図7Cを参照)。タックの配置の合間に、送入装置を、まったく別の病変または治療の領域へと移動させることができ、あるいは単に配置後の隣接タック間の間隔が確保されるように位置をずらすことができる。
【0137】
すでに述べたように、いくつかの実施形態においては、送入装置からのタックの解放時にタック全体の同時配置をもたらすことができる。さらに、複数のタックを、脈管の治療部分における遠位側から近位側への配置にて、所望のとおりに配置することができる。
【0138】
いくつかの実施形態において、
図3および3Aに示したタックなどの膨張式のタックは、広い範囲の脈管の管腔の直径に対して比較的一定の力を作用させることができるため、ただ1つの送入カテーテルで複数のタックをさまざまなサイズの脈管へと配置することを可能にする。理想的には、タックを、サイズが2〜8mmの範囲の脈管を治療するように設計することができるが、他のサイズのタックをもたらすことも可能である。タックによって脈管へと加えられる力は、3mmの膨張範囲において5N以下で変化することが望ましい。より理想的には、加えられる力が、3mmの膨張範囲において1.5N以下で変化する。
【0139】
薬物で被覆されたバルーンが、脈管内へのステントの配置の代案として使用される場合が存在する。バルーンが脈管における狭窄を膨張させ、薬物が、動脈の再狭窄につながりかねない膨張後の炎症反応を最小限にする役に立つ。バルーンと薬物との組み合わせが、短期および長期の両方の足場の提供に歴史的に使用されてきた典型的なステントの埋め込みの代案を提供できることが、臨床的に明らかになっている。薬物で被覆されたバルーンは、脈管内に配置される長期の埋め込み物が存在しない点で望ましい。しかしながら、薬物で被覆されたバルーンの膨張によって、脈管に組織の切開の形態で損傷が生じ、組織のフラップまたは組織片が脈管の管腔へと突出する場合も存在しうる。切開は、バルーン治療の領域内、ならびに治療の領域の外側または治療の領域に隣接して生じうる。これらの場合、切開された組織を動脈の壁に対して留めることが有用である。外向きの力が小さいタックが、ステントが適切または望ましくない可能性がある切開を処置するために、有益に使用されうる。
【0140】
いくつかの実施形態においては、タックの精密な配置を、マーカの位置にもとづく脈管のカテーテルの位置決めによって設定することができる。ひとたび位置決めされると、1つ以上のタックを、カテーテルをその場に保って外鞘をゆっくりと取り去りながら配置することができる。
【0141】
いくつかの実施形態において、1つ以上のタックを、組織の切開に配置することができる。血管形成術が実行されるとき、典型的には、1)さらなるステント留置または過剰処置の実行を必要としない最適な結果、2)脈管が開いたままとなり、以前の閉塞または部分閉塞状態に戻ることがないように、脈管を開いた状態に支え、あるいは足場で支えるために、通常はステントの配置を必要とする残存狭窄、および3)組織の切開、という3つの結果のうちの1つが存在する。組織の切開は、脈管が内膜層の分離につながる動脈壁の破れなどの外傷を被る場合でありうる。これは、流れを妨げることも、妨げないこともある。1つ以上のタックを、そのような組織の切開に有益に配置することができる。小さなタックが、バルーン血管形成術による血管の治療部分について一部分の処置を可能にすることにより、血管形成術の治療領域の全体に及ぶ長い金属ステントの埋め込みを必要としない処置治療を提供する。理想的には、1つ以上のタックを、血管形成術の治療領域の血管の長さの60%以下を処置するために使用することができる。セルが1列(図示のもの)または2列である小型のタックが、組織の切開の処置に一般的に利用することができるステントと比べて、損傷をあまり引き起こさず、回復の時間が短くて済むことが示されている。
【0142】
タックの配置によって、血管内構造物が体内で形成される。体内への配置は、任意の末梢動脈など、任意の適切な脈管においてであってよい。構造物は、必ずしもちょうど2つのタックに限られない。実際に、少なくとも3つである複数の血管内タックを、体内で形成される血管内構造物に設けることができる。一実施形態において、各々のタックは、例えば非圧縮状態において約6mmなど、8mm以下の長さを有する。一構成においては、例えば各々のタックなど、タックのうちの少なくとも1つが、少なくとも約4mm、または約4mmおよび8mmの間、あるいは約6mmおよび8mmの間だけ隣のタックから離される。特定の実施形態は、8mm以下の長さを有するが、他の実施形態は、例えば最大約12または15mmの長さなど、より長くてよい。また、隣接するタックを、特には曲がりまたは他の運動の傾向が少ない脈管において、2mmの隔たりまで近づけて配置することができる。いくつかの実施形態においては、送入装置に、各々が約6.5mmの長さである6つのタックをあらかじめ装てんすることができ、送入装置を、15cmまでの長さの病変の治療に使用することができる。
【0143】
本明細書に記載の種々の送入装置において、埋め込まれるタックの間の間隔を、各々のタックの間に所定または最小限の距離を維持するように制御することができる。理解できるとおり、送入装置および/またはタックは、タック間の所望の距離の維持を助ける特徴を備えることができる。適切なタック間の間隔の維持は、タックが互いに接触したり、あるいは治療対象の脈管の特定の領域に集まったりすることなく、所望の長さにわたって分布することを保証する役に立つことができる。これは、タックが配置された脈管のよじれを防止する役に立つことができる。
【0144】
体内で形成される3つのタックを有する構造物が、特定の適応にとって適切であるかもしれないが、少なくとも5つの血管内タックを有する血管内構造物が、緩んだプラーク、脈管のフラップ、切開、または有意により長い(非集中的(non−focal)な)他の病気の治療に好都合かもしれない。例えば、大部分の切開が集中的(例えば、軸方向に短い)一方で、一連の切開を、より長い病気と考え、治療することができる。
【0145】
いくつかの場合において、さらに短い軸方向の長さのタックを、さらにより間隔を空けて位置する場所を治療するために使用することができる。例えば、各々が約7mm以下の長さを有している複数のタックを、タックによる処置が可能な病気を治療するために脈管内に配置することができる。少なくとも一部のタックを、隣のタックから少なくとも約5mmだけ離すことができる。いくつかの場合、隣接するタックの間に約6mm〜約10mmの範囲であってよいすき間を設けることが好ましいかもしれない。
【0146】
随意により、ひとたびタックが所定の位置に位置すると、血管形成術のバルーンを、治療の場所へと戻し、タックを所望の膨張状態へと膨張させるために膨らますことができる。
【0147】
次に
図8に目を向けると、送入装置のためのハンドル60の実施形態が示されている。ハンドル60を、タック2の制御された順次送入に使用することができる。ハンドル60は、他の利益の中でもとりわけ、医師に片手でのタック送入の方法を有益に提供しつつ、一貫した結果での配置の精度も高めることができる。
【0148】
ハンドル60は、外鞘12の引き戻しを制御するためのトリガ62を備えることができる。例えば、トリガ62を操作するたびに、外鞘がタック2および送入プラットフォーム8の少なくとも一部分を露出させるように引き戻されてよい。ハンドルは、安全の特徴64、66、カウンタ78、近位側ルアーハブ34、および引き込みオーバーライド80など、いくつかの他の特徴をさらに備えることができる。ハンドルの種々の特徴の機能は、以下でさらに詳しく述べられる。特定の実施形態が、説明される特徴のうちの1つ以上を備えることができることを、理解できるであろう。
【0149】
ハンドル60は、トリガ62の望まれたものではない操作などによる外鞘12の早まった引き戻しを防止するために、1つ以上の安全の特徴を備えることができる。例えば、ハンドル60は、トリガ62の操作と同時の操作またはトリガ62の操作前の操作を必要とする安全ボタン64を備えることができる。さらに、ハンドルは、インターロック66を備えることができる。インターロック66は、トリガの操作を防止することができるが、外鞘12と内側シャフト26との関係の維持を助けることもできる。
【0150】
次に
図9に目を向けると、インターロック66を、さらに詳しく見て取ることができる。インターロック66は、医師がタック2をすぐに配置できる状態となるまで、所定の位置にとどまることができる。インターロック66は、内側シャフト26を所定の位置に保持でき、外鞘12に機械的に連結されたトリガ62の移動を防止する。図示の実施形態において、インターロック66は、取り除かれたときにハンドル60との完全な係合を解放する。
【0151】
インターロック66は、トリガ62、ハンドル60のハウジング、および内側シャフト26に係合して示されている。インターロック66は、トリガ上のスロット70およびハンドル本体上のスロット72に係合することができる。いくつかの実施形態においては、インターロック66の両端68、74を、それぞれトリガのスロット70およびハンドルのスロット72との係合に使用することができる。各々の端部68、74は、単純に内側シャフトの1方向の移動を防止でき、あるいは2方向の移動を防止することができる。
【0152】
インターロックを、先入れ後出しの構成など、一貫したやり方での接続および切り離しを可能にするように形作ることができる。図示のとおり、インターロック66の遠位端68が、トリガへと延びることができ、取り外しのためにインターロック66の下方への回転を必要とする。いくつかの実施形態においては、インターロックの遠位端68が、フック状である。近位端74は、スロット72へと進む突起を備えることができる。この配置を反転させてもよく、インターロック66が他のやり方でつながってもよいことを、理解できるであろう。
【0153】
いくつかの実施形態においては、送入装置を、内側シャフトを外鞘の中へと或る程度引っ込めた状態で、患者の脈管構造を通って前進させることが好都合かもしれない。換言すると、送入装置を曲がりくねった管腔を通って前進させるとき、外鞘を内側シャフトを過ぎ、あるいは内側シャフトを覆って或る程度余分に延ばすことが好都合かもしれない。例えば、脈管構造の内部において送入装置の遠位端を前進させる際に、外鞘および内側シャフトが、摩擦および脈管の曲がりくねりに起因して、異なる力に直面すると考えられることを、理解できるであろう。内側シャフト26の初期の調節が、系の平衡を取り直す役に立つことができるとともに、第1の送入プラットフォームを第2の配置前位置へと移動させる。配置前に第1の送入プラットフォームを近位側に離して有することは、第1のタックが時期尚早に解放されることがないように保証する役に立つことができる。さらに、曲がりくねった管腔を前進する際に外鞘を余分に延ばすことで、送入プラットフォームの意図せぬ露出を防止することができ、したがって意図せぬ配置、タックの引っかかり、あるいはタック/配置プラットフォームと周囲の環境との間の望ましくない他の相互作用を防止することができる。内側シャフトを、ねじりまたは曲げの量がどのようであっても第1のタックまたは第1の配置プラットフォームが露出するほどには外鞘が内側シャフトに対してずれることが基本的にないように、外鞘の内部に或る程度引っ込めることができる。ひとたび外鞘が所望の配置位置に位置すると、タックの配置に先立って内側シャフトを所定の距離だけ前進させて、外鞘を内側シャフトに適切に整列させることができる。
【0154】
本明細書のどこかで詳しく説明されるとおり、タックの配置に先立って外鞘および内側シャフトを適切に整列させることが、本明細書に開示の特定の実施形態の適切な機能にとってきわめて重要になり得る。例えば、複数のタックが配置される実施形態において、外鞘および内側シャフトの整列のずれが、外鞘が複数のタックを配置すべく引き戻されるにつれて悪化する可能性がある。さらに、他の実施形態において、外鞘および内側シャフトの整列のずれが、複数のタックの配置にまたがって等しい誤差を引き起こす可能性がある。上述のように、ひとたび治療の場所に配置されると、外鞘を、第2の配置前位置(
図7B)へと内側シャフトおよび/またはハンドルハウジングに対して調節する(例えば、引き戻し、引っ込め、延ばし、あるいは前進させる)ことができる。あるいは、いくつかの実施形態においては、ひとたび治療の場所に配置されると、内側シャフトを、
図7Bに示されている位置と同様の適切な配置前位置へと、外鞘および/またはハンドルハウジングに対して調節する(例えば、引き戻し、引っ込め、延ばし、あるいは前進させる)ことができる。第2の配置前位置(例えば、適切な配置前位置)を、タックの解放前に何らかの調節を必要とする可能性がある伸び、曲がり、などを補償すべく、外鞘の位置を調節するために使用することができる。第2の配置前位置において、外鞘の遠位端52を、配置されるべきタックの遠位端またはそのわずかに遠位側に位置させることができる。
【0155】
加えて、いくつかの実施形態においては、ノーズコーンと最も遠位側の送入プラットフォームとの間の距離が、隣り合う送入プラットフォームの間の距離とは異なる可能性がある。したがって、この相違を、外鞘と内側シャフトとの間の関係に関して前方または後方への調節(例えば、小さな調節)を行うことによって補償することが有用および/または必要かもしれない。この調節は、トリガの操作によって外鞘を配置前位置へと移動させることができ、あるいは第1のタックを配置することができるような位置に、外鞘を位置させることができる。
【0156】
本明細書に開示の送入装置のいくつかの実施形態は、内側シャフトを外鞘および/またはハンドルハウジングに関して(例えば、対して)調節するように構成された内側シャフトアジャスタを備える。本明細書に開示の送入装置の他の実施形態は、外鞘を内側シャフトおよび/またはハンドルハウジングに関して(例えば、対して)調節するように構成された内側シャフトアジャスタを備える。送入装置は、一般に、ハンドルハウジングと、インターロックと、トリガと、内側シャフトと、外鞘と、内鞘アジャスタとを備えることができる。より具体的には、内側シャフトを、内側シャフトアジャスタと相互作用することができる近位側ルアーハブへと接続することができる。当然ながら、内側シャフトアジャスタは、いくつかのやり方のうちのいずれかで上述のように相対位置を調節することができる。調節のためのこれらのシステムおよび方法のいくつかが、さらに詳しく後述される。これらのシステムおよび方法が、あくまでも説明を目的としているにすぎず、多数の他の調節システムおよび方法が使用可能であり、この開示に含まれることを、理解すべきである。
【0157】
いくつかの実施形態においては、内側シャフトを、内側シャフト26を外鞘12の内側において前進させるべくインターロック66を解除することによって外鞘および/またはハウジングに対して調節することができる。これは、送入プラットフォーム8を備える内側シャフト26と外鞘12との間の関係の位置変更および調節に役立つことができ、外鞘をタックの配置に備えた準備完了位置に位置させることができる。インターロック66および内側シャフト26は、斜面による
インターフェイス76を有することができる。斜面による
インターフェイス76は、インターロックおよび内側シャフトの一方または両方に斜面を備えることができる。例えば、いくつかの実施形態においては、往復インターロック(shuttle interlock)が、突起74上の斜面を備えることができ、内側シャフトが、斜面と取り合う丸みを帯びた表面を備えることができるが、実際の斜面は備えない。
【0158】
インターロック66上の斜面がハンドルのハウジング内のスロット72から出るように、斜面による
インターフェイス76を有するインターロック66を取り除くことで、内側シャフト26を遠位側へと移動させることができる。いくつかの実施形態によれば、約6mmの移動量をもたらすことができ、これは、すでに述べたように、いくつかの実施形態のタックが6.5mmの長さであるため、意味のある移動となり得る。
【0159】
図17が、近位端に内側シャフトアジャスタを有しているハンドル60(例えば、ハンドルハウジングを含む)を示している。ハンドル60の他の部分(例えば、トリガ62、安全ボタン64、カウンタ78、および引き込みオーバーライドスイッチ80)が、本明細書のどこかに開示されるものと同じでよく、あるいは違ってもよいことを、理解すべきである。
図17に示される内側シャフトアジャスタ1710は、後述されるように、キャップ式の内側シャフトアジャスタである。
【0160】
図18Aおよび18Bが、
図17のハンドル60の一部分の断面図を示している。これらの図は、ハンドル60を、近位部分1860、近位側ルアーハブ34、およびインターロック66をおおむね有するものとして示している。近位部分1860は、おおむね管状または円筒状のやり方で近位側へと延びているハンドル60の近位側の延長部または部分であってよい。例えば、近位部分1860は、おおむね円筒形の管を定める近位端1861および遠位端1862を有することができる。当然ながら、近位部分1860は、任意の断面形状を有することができ、例えば近位部分1860は、おおむね卵形または楕円の断面形状を有することができる。あるいは、近位部分1860は、おおむね、または実際に、あるいは規則的に三角形、矩形、五角形、六角形、七角形、八角形、または任意の他の幾何学的な断面形状を有することができる。ハンドル60または内側シャフトアジャスタ1710のすべての部分が
図18Aおよび18B(あるいは、他の図)に示されているわけではないことを、理解すべきである。これは、少なくとも
図18Aおよび18Bに関して、例えばとりわけ近位部分1860などのハンドル60の特定の部分をより明瞭に見て取ることができるようにするためである。
【0161】
内側シャフト26のうちのハンドル60内に位置する部分は、ハンドル60を貫いてハンドル60のほぼ中心に位置する例えば内側シャフト軸線などの軸上に実質的に位置し、あるいはそのような軸を定めている。近位部分1860は、例えば内側シャフト軸線上に位置し、あるいは内側シャフト軸線の周囲に位置するなど、おむねこの同じ軸上に位置することができる。したがって、近位部分1860が、遠位端1862において始まり、近位部分1860の近位端1861の付近で終わるまで、ハンドル60からおおむね内側シャフト26と同じ軸の周囲を延びることを、見て取ることができる。近位部分1860および内側シャフト26の両方がどちらも存在するとき、両者を同心であると称することができ、あるいは同じまたは実質的に同じ軸の周囲または軸上に位置すると称することができる。
【0162】
近位部分1860は、いくつかの長さのうちのいずれかを有することができる。例えば、近位部分1860は、約0.5〜6cm、約0.75〜5.5cm、約1〜5cm、約1.25〜4.5cm、約1.5〜4cm、約1.75〜3.5cm、および約2〜2.5cmの範囲内の長さを有することができ、あるいは本明細書に開示の近位部分1860の目的(例えば、内側シャフトアジャスタ1710の支持および操作の容易化)を達成する任意の他の長さを有することができる。同様に、近位部分1860は、いくつかの直径のうちのいずれかを有することができる。例えば、近位部分1860は、約0.25〜3cm、約0.5〜2.75cm、約0.75〜2.5cm、約1〜2.25cm、約1.25〜2cm、および約1.5〜1.75cmの範囲内の直径を有することができ、あるいは本明細書に開示の近位部分1860の目的を達成する任意の他の直径を有することができる。
【0163】
いくつかの実施形態において、ハンドル60の近位部分1860は、1つ以上のスロット1844を備える。
図18Aおよび18Bにおいては、ハンドル60が部分断面にて示されているため、スロット1844を1つだけしか見て取ることができないが、
図18Aおよび18Bに示されているハンドル60が、2つのスロット1844を有することを、理解できるであろう。しかしながら、システムの要件に応じて、近位部分1860は、スロット1844を1つだけ有してもよい。あるいは、やはりシステムの要件に応じて、近位部分1860は、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、あるいは8つものスロット1844を有することができ、あるいは内側シャフト26の前進および/または引き込みなどのシステムの目的の達成に役立つ任意の他の数のスロットを有することができる。
【0164】
少なくとも1つのスロット1844は、近位部分1860の壁の厚さの全体を貫いて延びることができる。2つ以上のスロット1844を有する実施形態においては、スロット1844を、ほぼ等しい刻みで近位部分1860の周囲に放射状に配置することができる。例えば、スロット1844が2つだけ含まれる場合には、スロット1844を(例えば、
図18Aおよび18Bに示されるように)互いに180度離して配置することができ、3つのスロット1844が含まれる場合には、スロット1844を互いに120度離して配置することができ、4つのスロット1844が含まれる場合には、スロット1844を互いに90度離して配置することができる。
【0165】
スロット1844は、いくつかの形状のうちのいずれかを有することができる。例えば、いくつかの実施形態において、スロット1844は、実質的に直線状であり、近位−遠位の方向に延びている。換言すると、スロット1844は、内側シャフト26によって定められる軸に実質的に平行であってよい。さらに換言すると、スロット1844は、ハンドル60から遠ざかるように近位部分1860と実質的に同じ方向に延びることができる。他の実施形態において、スロット1844は、直線状であるが内側シャフト26によって定められる軸に平行でなくてよく、すなわち内側シャフト26によって定められる軸に対して或る角度にあってよい。近位部分1860が実質的に円筒形である実施形態においては、或る角度にあるスロット1844が、らせん状またはねじ山状として表れると考えられ、角度が、スロット1844がどのようにらせん状またはねじ山状に現れるかを決定する。さらに他の実施形態においては、スロット1844の少なくとも一部分が、直線状でない。例えば、スロット1844は、これらに限られるわけではないが、「J」字形、「T」字形、「Z」字形、など、いくつかの形状のうちのいずれかを有することができる。別の形状を備え、あるいは使用する理由は、以下でさらに説明される。さらに、スロット1844は、ハンドル60のサイズから水平方向に眺めたときに(
図18Aおよび18Bに示されるように)両方のスロットを直接見通すことができるように、おおむね互いの鏡像であってよいが、これは必ずしも必要ではなく、いくつかの実施形態においては不可能である。
【0166】
スロット1844は、ピン1834を受け入れるように設定または構成される。後述されるように、そのようなピン1834を、近位側ルアーハブ34に組み合わせることができる。したがって、スロット1844は、ピン1834の直径よりもわずかに大きい幅を有することができる。例えば、スロットは、約0.25〜4mm、約0.5〜3.75mm、約0.75〜3.5mm、約1〜3.25mm、約1.25〜3mm、約1.5〜2.75mm、約1.75〜2.5mm、および約2〜2.5mmの範囲内の幅を有することができ、あるいはピン1834を好都合に受け入れる任意の他の幅を有することができる。
【0167】
たった今述べたように、近位側ルアーハブ34が、ピン1834を有することができる。いくつかの実施形態において、近位側ルアーハブ34は、1つのピン1834を有する。他の実施形態において、近位側ルアーハブ34は、(
図18Aおよび18Bに示されるように)2つのピン1834を有する。さらに他の実施形態において、近位側ルアーハブ34は、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、または8つのピン1834、あるいは例えば内側シャフト26の前進および/または引き込みなどのシステムの目的の達成に役立つ任意の他の数のピンなど、3つ以上のピン1834を有する。ピン1834は、スロット1844の幅よりもおおむね小さい直径を有することができる。ピン1834がスロット1844内を移動するように構成されるとき、ピン1834は、スロット1844よりも適度に小さくてよいが、通常は約0.25〜4mm、約0.5〜3.75mm、約0.75〜3.5mm、約1〜3.25mm、約1.25〜3mm、約1.5〜2.75mm、約1.75〜2.5mm、および約2〜2.5mmの範囲内の直径を有することができ、あるいはスロット1844内に収まり、スロット1844においてスライド移動することができる任意の他の直径を有することができる。ピン1834は、通常は、ピン1834が近位部分1860の外面を過ぎて延びるように、ハンドル60の近位部分1860の壁の厚さよりも長い長さを有する。しかしながら、これは必須ではない。いくつかの実施形態において、ピン1834は、近位部分1860の壁の厚さよりも小さい長さを有する。他の実施形態において、ピン1834は、近位部分1860の壁の厚さに実質的に等しい長さを有する。しかしながら、一般に、ピンは、約0.5〜4mm、約0.75〜3.5mm、約1〜3mm、約1.25〜2.5mm、約1.5〜2mm、および約1.75mmの範囲内の長さを有し、あるいはハンドル60の近位部分1860に対するピン1834および/または近位側ルアーハブ34の移動を容易にする任意の他の直径を有する。
【0168】
図18Cが、近位部分1860、近位側ルアーハブ34、および内側シャフト26の真ん中を水平に切断したハンドル60の水平断面図を示している。説明の目的のために、この断面にハンドル60のすべての部分が示されているわけではないことを、理解できるであろう。このやり方で、装置の種々の部分の構造および相互作用が明瞭に示されている。
【0169】
見て取ることができるとおり、近位部分1860は、全長にわたって中空であってよい。近位部分1860の内径は、近位側ルアーハブ34の外径よりもわずかに大きくてよい。このやり方で、近位側ルアーハブ34は、近位部分1860へと収まり、近位部分1860においてスライドして行き来することができる。図示のとおり、近位側ルアーハブ34は、近位側ルアーハブ34の両側に2つのピン1834を有している。しかしながら、2つのピン1834であるとして示されているが、近位側ルアーハブ34の全体を貫いて延びる単一のピン1834を使用してもよい。ピンは、ハンドル60の近位部分1860の中央側および側方側の両方に位置するスロット1844に収まる。この図にとくに良好に示されるとおり、ピン1834は、スロット1844を通り、スロット1844から出て、近位部分1860のハンドル60の外面を過ぎて延びる。ピン1834およびスロット1844は、ピン1834がスロット1844の遠位端からスロット1844の近位端へと、およびその反対(例えば、近位側−遠位側の方法)に、スロット1844内をスライドして行き来できるように構成されている。スロット1844におけるピン1834のスライドが、近位側ルアーハブ34を(例えば、近位側−遠位側の方向に)移動させることで、内側シャフト26も(例えば、同じ近位側−遠位側の方向に)移動させる。当然ながら、近位側ルアーハブ34へと接続された内側シャフト26の近位端が(例えば、近位側−遠位側の方向に)移動するとき、内側シャフト26の遠位端(すなわち、送入プラットフォームの近く)も、(例えば、近位側−遠位側の方向に)移動する。
【0170】
再び
図18Aおよび18Bに戻ると、
図18Aは、スロット1844内の最も近位側の位置にあるピン1834を示している。対照的に、
図18Bは、スロット1844において最も遠位側の位置へと移動またはスライドしたピン1834を示している。このやり方で、近位側ルアーハブ34を、ハンドル60の近位部分1860に対して往復移動または近位側−遠位側のやり方で移動させることができる。
【0171】
図18Aおよび18Bは、近位側延長部1867を有するインターロック66をさらに示している。近位側延長部1867を、さらに詳しく後述されるように、内側シャフトアジャスタ1710の1つ以上の部分と噛み合いおよび嵌合するように構成することができる。
【0172】
図19が、内側シャフトアジャスタ1710のキャップ1713の実施形態を示している。一般に、キャップ1713は、1つ以上の内側溝と、1つ以上の内側畝と、遠位側リップとを備える。
【0173】
図19に示されるように、キャップ1713は、1つ以上の溝1960を備えることができる。キャップ1713は、単一の溝1960を備えることができ、あるいは、これらに限られるわけではないが、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、または8つの溝1960、もしくはピン1834の移動または閉じ込めを容易にする任意の他の数の溝など、より多くの溝1960を備えてもよい。図示のとおり、溝1960は、らせん状であってよい。しかしながら、いくつかの実施形態において、溝1960は、直線状、「J」字形、「T」字形、「Z」字形、など、いくつかの形状のうちのいずれかであってよい。
【0174】
溝1960は、一般に、1つ以上の畝1962によって定められる。キャップ1713は、単一の畝1962を備えることができ、あるいは、これらに限られるわけではないが、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、または8つの畝1962、もしくはピン1834の移動または閉じ込めを容易にする任意の他の数の溝など、より多くの畝1962を備えてもよい。図示のとおり、畝1962は、らせん状であってよい。しかしながら、いくつかの実施形態において、畝1962は、直線状、「J」字形、「T」字形、「Z」字形、など、いくつかの形状のうちのいずれかであってよい。あるいは、畝1962が含まれていなくてもよい。むしろ、溝1960を、単にキャップ1713の壁に形成することができる(例えば、溝1960の切り欠きを除き、キャップ1713の壁が厚いままである)。
【0175】
さらに後述されるように、溝1960を、ピン1834を受け入れるように構成することができる。スロット1844と同様に、溝1960は、ピン1834の直径よりもわずかに大きい幅を有することができる。換言すると、畝1962は、ピン1834の直径よりもわずかに大きい距離だけお互いから離れて位置することができる。例えば、スロットは、約0.25〜4mm、約0.5〜3.75mm、約0.75〜3.5mm、約1〜3.25mm、約1.25〜3mm、約1.5〜2.75mm、約1.75〜2.5mm、および約2〜2.5mmの範囲内の幅を有することができ、あるいはピン1834を好都合に受け入れる任意の他の幅を有することができる。
【0176】
キャップ1713は、近位端1711および遠位端1712を有する。近位端1711および遠位端1712の一方または両方は、実質的に平坦な端部であってよい。しかしながら、いくつかの実施形態において、遠位端1712は、第1の遠位側リップ部1920、第2の遠位側リップ部1922、第1の段1930、第2の段1931、第3の段1932、およびウインドウ1950(例えば、遠位側リップの不連続部)など、1つ以上の特徴を有することができる。遠位端の遠位側リップの特徴は、後述されるように、キャップがインターロック66と相互作用してインターロック66を係止することを好都合に可能にする。いくつかの実施形態において、遠位端1712は、ウインドウ1950を協働して定める2つの段、すなわち第1の段1930および第2の段1931を有する。しかしながら、図示のとおり、第3の段1932など、別の段が含まれてもよい。ウインドウ1950を除き、遠位側リップは、実質的に平坦であってよい(例えば、内側シャフト26の軸線に実質的に垂直な平面内に位置してよい)。しかしながら、他の実施形態において、遠位側リップは、第1の遠位側リップ部1920および第2の遠位側リップ部1922など、2つ以上の部分を含むことができる。3つ以上の部分が含まれてもよいことを、理解できるであろう。第1の遠位側リップ部1920および/または第2の遠位側リップ部1922は、たった今述べたように、平坦であってよい。しかしながら、遠位側リップ部の一方または両方は、
図19に示されるように傾けられ、あるいは斜めにされてよい。
【0177】
図20Aおよび20Bは、キャップ1713が配置された状態のハンドル60および内側シャフトアジャスタ1710の一部分の断面図を示している。これらの図は、キャップ1713が配置されており、断面が紙面から観察者の「より近く」に配置されている(すなわち、
図19Aおよび19Bにおいてはハンドル60の近位部分1860が二等分されているのに対し、
図20Aおよび20Bにおいては近位部分1860が決して切断されていない)点を除き、
図19Aおよび19Bにきわめて似ている。
図19Aおよび19Bとちょうど同じように、
図20Aおよび20Bは、スロット1844における近位側ルアーハブ34およびピン1834の位置(したがって、キャップ1713の回転位置)を除いて同一である。
【0178】
いくつかの実施形態において、ハンドル60の近位部分1860は、キャップ1713の回転を許しつつキャップ1713を近位側−遠位側の方向において実質的に固定された状態に保持する1つ以上の部分を備えることができる。それらは、
図20Aおよび20Bにおいて、キャップ1713の内側の1つ以上の表面と相互作用する畝または突起として示されている。しかしながら、キャップを回転運動を許しながら軸方向について固定された状態に保持することができる多数のやり方が存在する。見て取ることができるとおり、キャップ1713の内面の溝1960が、ピン1834を受け入れる。溝1960がらせん状であるため、キャップ1713の回転により、溝の縁(すなわち、畝1962)がピン1834を押し上げる。キャップ1713が充分に回転させられる場合、らせん状の溝1960が、ピン1834を押し続ける。このようにして、ピン1834は、スロット1844に沿ってスライドすることができる。当然ながら、第1の方向のキャップ1713の回転は、ピン1834を遠位方向に移動させる。
図20Aおよび20Bにおいては、第1の方向が時計周りの方向として示されているが、第1の方向が時計回りの方向でも、反時計回りの方向でもよいことを、理解すべきである。同じやり方で、第2の方向(反対の方向)のキャップ1713の回転は、ピン1834を近位方向に押し動かす。
図20Aおよび20Bにおいては、第2の方向が反時計周りの方向として示されているが、第2の方向が反時計回りの方向でも、時計回りの方向でもよい(ただし、通常は第1の方向とは反対の方向である)ことを、理解すべきである。このやり方で、近位側ルアーハブ34、したがって内側シャフト26を、単に内側シャフトアジャスタ1710のキャップ1713を回転させることによって近位側−遠位側の方向に移動させることができる。
【0179】
図20Cは、内側シャフトアジャスタ1710のキャップ1713が所定の場所に示されている点を除き、
図19Cとほぼ同じである。近位部分1860、近位側ルアーハブ34、および内側シャフト26の水平中心を通るハンドル60のこの水平断面図は、ピン1834、スロット1844、および溝1960の相互作用を明瞭に示している。
【0180】
図21は、断面が装置の中心を通って直接得られており、中心からずらされているのではない点を除いて、
図20Aと同様のハンドル60の断面図を示している。この図は、インターロック66の近位側延長部1867とキャップ1713の遠位端1712、すなわち遠位側リップとの間の相互作用を、きわめて明瞭に示している。見て取ることができるとおり、キャップ1713がハンドル60の近位部分1860に被さっており、したがってキャップ1713は、近位部分1860の直径よりも大きい直径を有さなければならない。さらに、畝1962の高さが、溝1960の深さ(すなわち、溝の底と近位部分1860の外面との間の空間)を定めている。いくつかの実施形態において、近位側延長部1867は、キャップ1713の遠位側リップの内側に収まるように構成される。すなわち、近位側延長部1867は、溝1960の深さまたは畝1962の高さよりも小さい厚さを有する。このやり方で、キャップ1713の遠位側リップは、インターロック66を本明細書のどこかで説明されるようにトリガ62の移動を防止して外鞘の移動を防止する第1の位置に固定する。
【0181】
図19に明瞭に示されているウインドウ1950が、幅および深さを有する。近位側延長部1867も、ウインドウ1950の幅よりも小さい幅およびウインドウ1950の深さよりも小さい深さを有する。キャップ1713が近位部分1860の周囲で回転させられるとき、ウインドウ1950の半径方向の位置が変化する。キャップ1713を、
図22に示されるようにウインドウ1950と近位側延長部1867とが実質的に整列するまで回転させることができる。この時点で、インターロック66の近位側延長部1867を、インターロック66を解除すべくウインドウ1950へと収めることができ、したがってインターロック66を解除して第1の位置から第2の位置へと移動させる(例えば、装置から取り除く)ことにより、トリガ62および外鞘の移動を可能にすることができる。
【0182】
図20Aに最も良く示されるとおり、ピン1834は、スロット1844において可能な近位側への移動に関して限界を有している。すなわち、ピン1834は、最終的にスロット1844の最も近位側の端部に到達することができ、この地点において、近位方向へのさらなる移動は不可能であってよい。したがって、ひとたびピン1834が最も近位側の位置に達すると、内側シャフトアジャスタ1710のキャップ1713を、もはや回転させることはできない。これは、ピン1834と畝1962/溝1960と間の相互作用ゆえである。すでに述べたように、キャップ1713を回転させることによって、スロット1844においてピン1834を押す/前進させることができる。したがって、
図22Bに示されるように、ピン1834は、スロット1844において可能な遠位側への移動に関して限界を有している。すなわち、ピン1834は、最終的にスロット1844の最も遠位側の端部に到達することができ、この地点において、遠位方向へのさらなる移動は不可能であってよい。したがって、ひとたびピン1834が最も遠位側の位置に達すると、内側シャフトアジャスタ1710のキャップ1713を、もはや回転させることはできない。いくつかの実施形態においては、キャップ1713の1回未満の回転で、ピン1834を最も近位側の位置から最も遠位側の位置まで移動させることができる。他の実施形態においては、キャップ1713の1回の回転で、ピン1834を最も近位側の位置から最も遠位側の位置まで移動させることができる。さらに別の実施形態においては、これに限られるわけではないが2回、3回、または4回など、キャップ1713の1回よりも多い回転で、ピン1834を最も近位側の位置から最も遠位側の位置まで移動させることができる。
【0183】
いくつかの実施形態において、キャップの回転は、インターロック66を(本明細書のどこかに開示されるように)トリガ62の動きを阻止する第1の位置に係止するように機能する。キャップ1713は、係止の解除前に完全に操作されなければならない自動ロックとして機能することができる。このやり方で、潜在的なユーザのミスを取り除くことができ、すなわちインターロック66を解除して装置を使用するために(ユーザが行いそうもない事柄)、ユーザは、内側シャフト26を外鞘に対して自動的に再整列させる行為も(おそらくはユーザの実際の自覚を伴わずに)行わなければならない(2つの行為が相互依存していないならば、平均的なユーザが容易に忘れ、あるいは無視してしまう可能性がある事柄)。例えば、そのような係止キャップ1713の実施形態は、ピン1834を最も近位側の位置から最も遠位側の位置へと移動させるために、1回転未満を必要とすることができる。加えて、ウインドウ1950を、ピン1834の移動およびキャップ1713の回転の最後の最後において近位側延長部1867に整列させることができる。このやり方で、そのような実施形態においては、ウインドウ1950を近位側延長部1867に整列させるために、キャップ1713をそれ以上回転させることができなくなるまで回転させなければならない。ひとたびウインドウ1950を近位側延長部1867に整列させた(さらにピン1834を最も遠位側の位置へと移動させ、内側シャフト26の位置を調節した)ならば、インターロック66をウインドウ1950に収めることができ、装置を使用することができるようにインターロック66を装置から取り除くことができる。ピン1834を完全に前進させるまでインターロック66の取り除きを防止する他の種類の係止キャップも可能である。
【0184】
内側シャフトアジャスタ1710の他の実施形態が、以下で網羅される。例えば、近位側ルアーハブ34が、ばねによって押され、装置の近位端に向かって付勢され、例えば「J」字形のスロットである係止スロット1844を通ってスライド移動するピン1834を有することができる。そのような実施形態においては、近位側ルアーハブ34を、静止時に近位側/引き込まれた位置に保持することができる。次いで、使用のために、近位側ルアーハブ34を、ピン1834が「J」字形のスロット1844を辿るようにばねに逆らって遠位側へと押すことができる。ひとたび(「J」字の形状を辿って)前方へと押されてねじられると、スロット1844の形状が、ばねの近位側への付勢力と協働して、ピン1834を所定の場所に保持することができる。多数の他のそのような実施形態が、この開示に鑑みて容易に明らかであり、この開示の技術的範囲に包含される。
【0185】
いくつかの実施形態においては、内側シャフトアジャスタ1710を備えるよりもむしろ、内側シャフト26を、ハンドルハウジングに固定されることができる近位側ルアーハブ34へと結合させることができる。これは、近位端における外鞘12に対する内側シャフト26の移動を防止することができるが、遠位端は、すでに述べたように或る程度の相対移動を被ることができる。
【0186】
次に
図10に目を向けると、実施形態の一部である場合のインターロック66が取り除かれていることを、見て取ることができる。トリガ62および安全ボタン64を、今や操作することができる。安全ボタン64を、安全解放ヨーク88へと接続することができる。ヨーク88は、安全ボタン64を前進させるとヨークがトリガ62の突起または切り欠き90から遠ざかる方向に枢動するように、点「P」において枢動することができる。ヨーク88と突起90との間の係合が、トリガの前進を防止する。ひとたびヨークによる妨げがなくなると、
図11に見て取ることができるように、トリガを自由に動かすことができる。安全の特徴が、同様の利益をもたらしつつ多数の他のやり方で機能できることを、理解できるであろう。
【0187】
再び
図10および11に目を向けると、トリガ62が湾曲した経路に沿って前進することも見て取ることができる。ハンドルのハウジングが、弓形のチャネルを備えることができ、トリガを、弓形の経路にて移動するように、弓形のチャネル内に配置することができる。トリガ62を、
図10の第1の突出位置または出発位置へとばねによって付勢することができる。トリガを操作することによってばね86を圧縮し、トリガをハンドルのハウジングの中へと前進させることができる。トリガのこの操作を、レバー92によって補助することができる。レバー92は、ハンドル本体のスロット96内に配置されるピンまたは他の突起94を有することができる。トリガ62が上方へと前進するとき、ピン94は、スロット96において前方へとスライドすることができる。これは、トリガを前進させるときにトリガが固まらないようにする役に立つことができる。
【0188】
いくつかの実施形態においては、制御装置を、生物の脈管内に自己膨張型医療装置を配置するために設けることができる。制御装置は、抑止鞘ならびに制御機構またはトリガを備えることができる。抑止鞘は、近位端および遠位端を有することができ、抑止鞘は、医療装置を畳まれた状態に保つべく1つ以上の自己膨張型医療装置を覆って延びるとともに、この1つ以上の畳まれた医療装置を配置のために露出させるべく引き込み可能であるように構成される。制御機構は、抑止鞘を引き込むために抑止鞘の近位端に結合さられた駆動アセンブリを備えることができ、スライダアセンブリが、弓形の移動経路にて移動可能であり、抑止鞘の引き込みは、ユーザが制御機構の可動部品へと加える操作力により、制御機構の可動部品が弓形の経路にて移動し、弓形の経路に沿った可動部品の位置に応じて力の印加の角度およびユーザによって加えられる力の機械的倍率が変化することで引き起こされる。
【0189】
さらに、トリガ62の前進は、シャトル84の移動も引き起こすことができる。シャトル84を、外鞘12へと機械的な連結によって接続することができる。このようにして、シャトル84の前進が外鞘12の前進を引き起こすことができ、したがって外鞘12を引き込み、タック2を配置することができる。トリガ62を出発位置から終了位置まで移動させる完全な操作のたびに、外鞘12を、タックを配置するために充分に引き込み、引き込み後の位置に保つことができる。シャトル84を、復帰ばね86によって付勢することもできる。これにより、トリガの操作後にシャトル84を元の位置または出発位置へと戻すことができる一方で、外鞘は引き込まれた位置にとどまる。このようにして、トリガ62の前進のたびに、外鞘12が内側シャフト26の遠位端からさらに引き込まれる。これを、ハンドルが
図10、11、および12のそれぞれの第1、第2、および第3の位置にあるときの送入装置の遠位端の部分を示している
図10A、11A、および12Aを精査することによって、見て取ることができる。
【0190】
シャトルが初期の位置へと戻るとき、シャトルは、カウンタ78に係合することができる。カウンタ78は、シャトルが係合するたびにカウンタを同じ方向に進めて、配置のために利用することができるタックの残数を数えることができるように、ラチェット式であってよい。いくつかの実施形態においては、シャトルが、カウンタ爪98を備える。カウンタ爪98が、シャトルが初期の位置へと戻るたびにカウンタ78上の異なる歯に係合できる。
図10、11、および12を眺めると、カウンタ爪98がカウンタ78上の歯に係合し、次いでシャトルが前進するにつれて歯から離れ(
図11)、その後に新たな歯に係合し、カウンタを前進または回転させる(
図12)ことを見て取ることができる。
【0191】
次に
図10Bに目を向けると、シャトル84の詳細図が示されている。外鞘の近位端が、外鞘ラック82を備えることができる。ラックは、さらに詳しく後述されるように、いくつかの歯104、110、112を備えることができる。シャトルが、外鞘ラック82を前進させて外鞘を内側シャフト26の遠位端から引き込むために、歯104に係合でき、歯104から離れることができる。ハンドルのハウジングの爪108が、外鞘を引き込み後の位置に保つために、歯110、112のうちの1つ以上に係合することができる。
【0192】
ラック82は、1組以上の歯を備えることができる。図示のとおり、ラックは、上側の歯110、112の組および下側の歯104の組を備える。歯の両方の組は、外鞘を所定の位置に固定するように機能するが、上側の歯の組は、より特定的には、ラックが逆方向に進むことを防止するように設計され、下側の歯の組は、シャトルによるラック82の前進および引き込みを管理するように設計される。シャトル84は、1つ以上のたわみ部材100、102を備えることができる。詳細図において、シャトル84が1対のたわみ部材100、102を備えることを、見て取ることができる。
【0193】
初期の位置において、たわみ部材100、102を、歯104の各側に位置させることができる。これは、ラック82がハウジングに対して移動することを防止することができる。トリガ62およびシャトル84を、トリガ62を操作することでシャトル84の前進が生じるように、機械的に連結することができる。
図9および10Bにおいて最もよく見て取ることができるとおり、トリガおよびシャトル84は、傾斜したインターフェイス114を有する。傾斜したインターフェイス114における斜面および/または斜めの表面が、トリガが湾曲した経路に沿って上方へと移動するときにシャトルを近位側へと前進させる。ハウジング上の突起106が、シャトルが前進するときにたわみ部材100に接触する。これにより、たわみ部材100が
図11に見て取ることができるように下方へと押されるため、歯104がたわみ部材100を過ぎて移動することができる。爪108がラック82の上側の歯110、112に係合し、トリガ62の操作後にラックが遠位側へと移動することを防止する。ひとたびシャトルが初期の位置に戻ると、たわみ部材100、102が、
図12に見て取ることができるように新たな歯104に係合する。
図10〜12Aを眺めると、第1のタックの配置においてトリガおよびシャトルがどのように働くのかを見て取ることができる。
【0194】
いくつかの実施形態において、ラック82は、トリガの部分的な操作の後にタックを再び鞘で覆うことを可能にできる特徴を備えることができる。例えば、第1の歯110におけるピッチを、他の歯112と比べて大きくすることができる。これは、ユーザがトリガの操作を開始し、その後にタックを再び鞘で覆うことを可能にすることができる。図示の実施形態においては、ユーザが、トリガの行程の約1/6(タックの露出が約1mm)においてトリガを放すことができ、外鞘がタックを再び覆うことができる。ひとたびトリガが行程の1/6を超えて操作されると、爪108がラック上の次の歯112に係合し、外鞘が露出したタックを再び覆うことを防止する。しかしながら、ラックにおける爪の係合は、途中までの配置の最中に送入装置の再配置が必要となった場合に状態を維持しつつトリガを放す機会をユーザに与える。他の実施形態においては、トリガの行程の約1/2、1/3、1/4、または1/5の後で、トリガを放して、タックを再び鞘で覆うことができる。いくつかの実施形態においては、ラックが、第1の歯110のピッチが隣接する歯112のピッチよりも大きい一連の歯を有する。いくつかの実施形態においては、ラックが、第1組の歯と第2組の歯との間に空所を有することができる。例えば、歯110をラックから取り除くことができる。いくつかの実施形態においては、ラック上の1つ以上の歯が、タックの最も遠位側の端部における最短のストラットの長さの4/5、3/4、2/3、1/2、40%1/3、30%、または1/4である長さを有することができる。あるいは、2つの隣り合う歯を、タックの最も遠位側の端部における最短のストラットの長さの4/5、3/4、2/3、1/2、40%1/3、30%、または1/4の間隔で位置させることができる。例えば、短いストラットの長さが2mmであってよく、歯の長さが1mmであってよい。
【0195】
次に
図13〜15に目を向け、配置後の鞘の再適用を説明する。医師が、1つ以上のタックの送入後など、送入装置がもはや不要であると判断した後に、内側シャフト26の遠位端を外鞘12で再び覆うことが望ましいかもしれない。また、鞘の再適用は、配置することができるさらなるタックが存在すると医師に誤認させる可能性があるため、再適用後に外鞘を動かぬように係止することが望ましいかもしれない。
【0196】
ハンドル60は、引き込みオーバーライドスイッチ80を備えることができる。引き込みオーバーライドスイッチ80を操作することで、爪108ならびにたわみ部材100、102のうちの1つ以上などのハンドルの内部の係止の特徴を切り離すことができる。図示の実施形態においては、引き込みオーバーライドスイッチ80が回転レバーである。レバー80の回転(
図13から
図14へ)によって、
図14Bに示されるとおり、ラック82上の歯104、110、112が回転し、もはやたわみ部材100、102または爪108と係合しなくなる。したがって、
図15に示されるように、外鞘を遠位側へと前進させ、内側シャフト26の遠位端を外鞘12で再び覆うことができる。
【0197】
引き込みオーバーライドスイッチ80は、さらに係止の特徴も備えることができる。係止の特徴を、鞘の再適用後にトリガがラックに係合することができないことを保証するために使用することができる。ここで
図13Aおよび14Aを参照すると、係止の特徴の実施形態が示されている。
図13Aにおいて、引き込みオーバーライドスイッチ80は、第1の非係合位置にある。ばね鋼板などのばね付勢部材116が、引き込みオーバーライドスイッチ80上の1つ以上の突起および/またはスロットに係合することができる。1つ以上の突起および/またはスロットは、引き込みオーバーライドスイッチ80の一部として回転するカム118上に位置することができる。カム118は、トリガの操作時などのハンドルの初期の使用の際にばね付勢部材116と係合できる第1のスロット120を有することができる。ひとたび所望のタックが配置されると、引き込みオーバーライドスイッチ80を回転させて、カムを回転させることができる。スロット120が、ばね付勢部材116から切り離された状態となることができる。カムを、山124がハウジング上の表面(図示せず)に接触するまで回転させることができる。表面は、カムのさらなる回転を防止する突起または他の表面の特徴であってよい。この位置において、第2の山122がばね付勢部材116に係合でき、カムが再び以前の初期位置へと逆方向に回転させられることを防止することができる。このやり方で、もはやトリガが外鞘を近位側へと前進させるようには機能できないように、ラックを側面において固定することができる。
【0198】
次いで、外鞘12を手動で遠位側へと前進させ、内側シャフト26の遠位端を再び覆うことができる。
【0199】
次に
図16および16Aに目を向けると、送入装置の別の特徴が示されている。近位側ルアーハブ24’の別の実施形態が示されている。近位側ルアーハブ24’は、すでに述べた近位側ルアーハブ24と同様であってよい。理解されるとおり、二股ルアーハブ24’へと一体化されたシール機構32が、内側シャフト26と外鞘12との間の空間の近位端を受け止めて封じるために設けられている。近位側ルアーハブ24’は、主ハウジングへと取り付けられるシールハウジング128を備える2部分からなるアセンブリを含むことができる。
【0200】
遠位動脈再建術に適さず、結果として遠位部の大きな切断を免れない重大な下肢の虚血の患者が多数存在する。バルーン血管形成術およびステント留置術などの方法は、これらの患者の閉塞または狭隘化した動脈を開くための選択肢を提供する。これらの技術は、一般に、ガイドワイヤおよびカテーテルをさらなる治療のために閉塞部または狭隘部へと前進させることができるように、或る程度の血管の開存性を必要とする。一部の患者においては、血管がほぼまたは完全に閉塞し、したがって多くの血管経由の技術に適さない。遠位部静脈動脈血化が、静脈床を末梢組織のかん流のための代替の導管として使用する処置である。最小限の侵襲の技術により、動脈の閉塞の領域が、隣接する静脈管を使用してバイパスされる。典型的には、最も遠位の満足できる動脈が、近位バイパス吻合(proximal bypass anastomosis)に使用される。動脈管としての適切な機能を可能にするために、静脈系において血液の逆流を防止するように機能する静脈弁が、無力化され、あるいは他のやり方でプローブ、切断バルーン、フォガーティ(Fogarty)カテーテル、および弁膜切開具によって破壊される。あるいは、本明細書に記載の複数タック/ステント送入システムによってもたらすことができるステントまたはタックによって弁を無力化することができる。
【0201】
本発明を、特定の好ましい実施形態および例の文脈において開示したが、本発明が、具体的に開示された実施形態を越えて、本発明の他の代案の実施形態および/または使用ならびにその自明な改変および均等物にまで広がることを、当業者であれば理解できるであろう。さらに、本発明のいくつかの変種を詳しく図示および説明したが、本発明の技術的範囲に含まれる他の改変が、この開示にもとづいて当業者にとって容易に明らかである。また、実施形態の具体的な特徴および態様について、種々の組み合わせおよび部分的組み合わせが可能であり、依然として本発明の技術的範囲に含まれると考えられる。したがって、開示された実施形態の種々の特徴および態様を互いに組み合わせ、あるいは互いに置き換えることで、開示された発明のさまざまな様態を形成できることを、理解すべきである。したがって、本明細書において開示された本発明の技術的範囲は、上記開示の特定の実施形態によって限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲の公正な解釈によってのみ決定されなければならない。
【0202】
同様に、この開示の方法は、いずれかの請求項がその請求項に明示的に記載された特徴以上のさらなる特徴を要件とするという意図を反映していると、解釈されるべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲に反映されているように、本発明の態様は、上記開示のいずれかの単一の実施形態のすべての特徴よりも少数の特徴の組み合わせにある。したがって、「発明を実施するための形態」に続く特許請求の範囲は、ここでの言及によってこの「発明を実施するための形態」に明示的に組み込まれ、各々の請求項が別々の実施形態としてそれぞれ有効である。