【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の1つの目的は、商用車両のような車両において極低温燃料の排出及び補充を可能にするためのツール、システム、及び方法を生成することである。本発明の目的は、請求項1に記載されたツールによって、更にそれ以降の請求項におけるシステム及び方法によって達成される。
【0011】
本明細書に記載される、極低温燃料のための車両タンクを排出及び補充するためのツールは
、熱交換器及び冷却タンクを備え、冷却タンクが、ツールの
使用位置において垂直方向で見た場合に上部及び下部を有し、少なくとも1つの出口弁を有する出口を備え、この出口が、少なくとも1つの出口弁を介して第1の燃料導管及び第2の燃料導管に接続され、第1の燃料導管が、第1の燃料導管を熱交換器の入口に接続するための手段を備え、第2の燃料導管が、第2の燃料導管を車両タンクの入口に接続するための手段を備え、冷却タンクが更に入口を備え、この入口が逆止弁を介して燃料入口導管に接続され、燃料入口導管が、入口を熱交換器の出口に又は車両タンクの出口に接続するための手段を備え、熱交換器の出口が、車両タンクの入口に接続するための手段を備えることを特徴とする。
【0012】
熱交換器に、この熱交換器の入口を車両タンクの燃料出口に接続するための手段を設けることができる。「接続するための手段」という表現は、例えば2つのタンク又はタンクと熱交換器のような2つの要素間で機能的な接続を確立するために必要なあらゆる接続デバイス、弁、パイプ、及びホースを指す。
【0013】
簡略化のため、ツールを車両タンクに接続するために必要な、動作状態の車両には通常搭載されていない弁、コネクタ、ホースなどのような機器は、ツールが移送システムにおいてセットアップされた場合、ツールの部品と見なされる。これについては以下で説明する。しかしながらこのような機器は、容易に交換可能である標準的な構成要素から構成され、ツールに対する限定とは見なされない。従って、以下で記載する燃料移送システムにおいて機能的接続を確立するのに必要な接続デバイス、弁、パイプ、及びホースは、適切なものであればいずれも使用可能である。
【0014】
ツールの出口弁は、ツールの冷却タンクの出口から発する出口導管上に配置することができる。出口導管は、第1の燃料導管を構成する1つの分岐と第2の燃料導管を構成する1つの分岐とに分かれている。分岐点は、冷却タンクの出口からの方向で見た場合に出口弁の下流に配置されている。
【0015】
冷却タンクの入口への燃料入口導管上に配置された逆止弁は、冷却タンクからの所定の背圧12〜24バール、例えば14〜18バールで、好ましくは冷却タンクからの背圧が16バールで開くように適合することができる。従って逆止弁は、冷却タンク内の圧力が所定の背圧を超えない限り、燃料が冷却タンクから出て燃料入口導管を介して逆流するのを防止する。
【0016】
冷却タンクの入口は、ツールの垂直方向において冷却タンクの出口よりも上方に配置することが好都合であり得る。このようにして、冷却タンクの下部からの液体燃料の除去、及び冷却タンクの上部への気体燃料又は液体燃料の供給を容易にする。
【0017】
冷却タンク内部で冷却タンクの入口にスプレーデバイスを接続することができる。スプレーデバイスは、冷却タンクの上部に燃料をスプレーするように適合されている。この目的のため、スプレーデバイスに1つ又はいくつかのスプレーノズルを設けることができ、これらは例えば冷却タンク内に延出するパイプに沿って配置することができる。スプレーデバイスは極低温燃料を冷却タンク内に散布することができ、これによって、冷却タンクに燃料を補充する際に、冷却タンクが空であるか又は少量の液体燃料のみを収容している初期段階で、冷却タンクの壁を急速に冷却することができる。このようにして、液体極低温燃料の不必要な気化を最小限に抑えることができる。
【0018】
更に、冷却タンクの上部にガス出口を配置することができる。このようなガス出口は、1つ又はいくつかの弁を介して1つ又はいくつかのガス出口導管に接続することができる。例えば、1つのガス出口導管に、例えば24バールの所定の最高許容出口圧力で自動的に開いて開放状態を維持するように適合された安全弁を設けることができる。
【0019】
極低温タンクを相互に接続するために断熱導管を用いるにもかかわらず、またタンクも断熱されているにもかかわらず、タンク内の液体極低温燃料はある程度気体状態に変化する可能性がある。この結果、車両タンク及びツールの冷却タンクの双方において望ましくないほど高い過圧が発生することがある。
【0020】
従って、冷却タンクに、タンク内の圧力に応答して自動的に開閉するリリーフ弁を設けることが望ましい場合がある。リリーフ弁は、タンク内の圧力を、例えば14バールから18バールまで、例えば16バールまでに調節するように適切に適合することができる。
【0021】
冷却タンクの上部のガス出口は、機械的又は電気的な制御手段によって手動で開閉するように適合された出口弁を設けたガス出口導管を備えることができる。このような制御可能な弁により、冷却タンク内の圧力を手動で調整することで、特に補充プロセスの初期に起こり得る、冷却タンクに注入された燃料の気化により生じる冷却タンク内の望ましくない圧力増大の発生を打ち消すことができる。冷却タンクの補充中、出口弁を調整することによって、冷却タンク内の圧力を例えば1バール等の所定の値付近に維持すると好都合であり得る。
【0022】
従って、ツールの冷却タンク内の圧力を調節するために余分なガスを抜くことは適切な安全措置である。しかしながら、燃料を抜くことで貴重な燃料が無駄になるのでリソースの無駄が生じる。抜いたガスも利用できるようにするため、排出及び補充システムは、適切な時点で、抜いたガスを冷却タンクに戻すための手段を備えることができる。あるいは、抜いたガスを車両タンク又は双方のタンクに送ることができる。抜いたガスを一方又は双方のタンクに戻すことは、燃料を無駄にせず、車両燃料として用いるために回収することを意味する。しかしながら、燃料を戻すことは、過剰な過圧の発生を防ぐためにタンク内で所定の上限値未満の圧力を維持するように制御して行わなければならない。むろん、抜いたガスを収集して他の目的に使用することも可能である。
【0023】
本明細書に記載されるツールは携帯型にすることができる利点がある。その場合、携帯型ツールは例えば、従来のパレットリフターによる移動が可能なサイズを有する。携帯サイズの冷却タンクは、例えば内部容積を300L〜700Lとすることができる。ツールの冷却タンクは少なくとも450L、好ましくは少なくとも550Lを収容すると有利であり得る。このような容積の場合、一般的なサイズの車両タンクに満杯に収容された内容物をツールの冷却タンクに移送できるからである。更に、ツールは、冷却タンク及び熱交換器が相互に個別に切断、保管、及び移動できる別個の部品であるように設計することができる。
【0024】
また、極低温燃料のための車両タンクを排出又は補充するためのシステムを提供する。このシステムは、本明細書に記載されるツールと、車両上に配置された極低温燃料のための車両タンクとを備え、
車両タンクは、使用位置
において垂直方向で見た場合に上部及び下部を提示し、車両タンクは燃料用の出口及び燃料用の入口を備えている。
【0025】
車両タンクを排出及び補充するためのシステムは追加の冷却タンクを備えることができ、この冷却タンクは、燃料用の出口と、燃料用の入口と、出口及び入口をそれぞれシステム内の他の構成要素に接続するための接続手段と、を提示する。ツールの冷却タンクの入口及び出口に関してすでに記載したように、車両タンク及び/又はシステムに含まれる他のいずれの冷却タンクの入口も、垂直方向において冷却タンクの出口よりも上方に配置されている。
【0026】
更に、車両タンク及び/又はシステムに含まれるいずれかの追加の冷却タンクにも、ツールの冷却タンクに関してすでに記載したように、タンクの上部に1つ又はいくつかのガス導管及び弁を有するガス出口を設けることができる。
【0027】
一部の長距離運搬車両には特大の燃料タンクが搭載されている。例えばこれらを点検する場合、タンクが大量の燃料を収容しているために、ツールの冷却タンクが燃料の全量を収容できないことがある。このような場合、燃料を移送するために追加の体積(volume)を利用することが有利である。また、通常サイズのタンクにおいても、ツールの冷却タンクが充分な量の燃料を収容できない問題が生じ得る。この問題を軽減するため、システムはそのような場合に少なくとも1つの追加の一時的な冷却タンクを備えてもよい。
【0028】
また、極低温燃料のための2つのタンク間で極低温燃料を移送するための方法が提供される。この方法は以下のステップを備える。
A)冷却タンク及び熱交換器を備えた、本明細書に記載する種類のツールを提供するステップ。
B)ツールを車両タンクに接続することによって本明細書に記載する種類のシステムを形成するステップであって、車両タンク及びツールの冷却タンクの一方が極低温の加圧燃料を収容する供給タンクを構成し、これが車両タンク及びツールの冷却タンクの他方に移送されることによって受容タンクを構成する、ステップ。
C)液体極低温燃料をツールの熱交換器に通過させることによって液体極低温燃料を気体状態に変化させるステップ。
D)熱交換器で変化した燃料を注入することによって供給タンク内に吐出圧力を発生させるステップ。
E)燃料を供給タンクから受容タンクへ移送するステップであって、供給タンク内の増大した圧力が供給タンクから受容タンクへの燃料移送を引き起こす、ステップ。
【0029】
従って、本明細書に記載されるツールは、車両タンク及びツールタンクの一方から他方のタンクへの排出を可能とする。つまり、例えば車両を点検する前に、全く同一のツールを用いて、まず車両タンクから燃料を排出し、その後燃料を車両タンクに戻すことができる。排出の2方向の切り換えは、車両タンク及びツールタンクの様々な入口及び出口間で単にホースを切り換えることによって行われる。この方法の基本となるのは、システムに存在する液体燃料の一部を熱交換器に分流してそこで気化させ、この気体燃料を排出対象のタンクに送って圧力を増大させ、燃料を他方のタンク内へ吐出することである。
【0030】
車両タンクから燃料を排出する場合、従ってこれが供給タンクである場合、気化ステップC)における液体極低温燃料は、車両タンクから車両タンクの出口を介して取得することができる。
【0031】
あるいは、受容タンクすなわちツールの冷却タンクに少量の液体極低温燃を収容することができる場合、ステップC)における液体極低温燃料は、ツールの冷却タンクからツールの冷却タンクの出口を介して取得することができる。
【0032】
ツールの冷却タンクが供給タンクである場合、ステップC)における液体極低温燃料は、ツールの冷却タンクから冷却タンクの出口を介して取得することができる。点検作業の後に車両タンクを補充する場合、一般に、方法ステップC)で利用され得る液体燃料は車両タンク内に存在しない。しかしながら、車両の使用中に通常の補充として補充が行われる場合、車両タンク内に多少の液体燃料が残っていることがある。そのような場合は、むろんこの燃料を方法ステップC)で用いることができる。
【0033】
供給タンク内の作業圧力は2〜7バールとすることができ、例えば3〜5バール、又は3バールである。受容タンク内の圧力は供給タンク内の圧力よりも少なくとも1バール低くなければならず、例えば供給タンク内の圧力よりも少なくとも2バール低い。
【0034】
記載されるツールは、例えば作業場で商用車両を点検する場合に、車両タンクからの迅速かつ効率的な排出を可能とするので、強可燃性の極低温燃料が発火する危険なく点検作業が可能となる。点検作業の完了後、本明細書に記載するようにホースを逆にしてから燃料をタンクに戻すことができる。ここで作業場の訪問は終了となり得る。断熱冷却タンクによって、更に断熱導管によっても、気体状態の極低温燃料の温度を燃料の沸点未満に維持することができる。これは例えば、主にメタンから成る燃料では摂氏−163℃未満である。
【0035】
極低温燃料を車両タンクから排出すること及び車両タンクへ戻すことは双方とも、本明細書に記載するツールを用いて、迅速かつ円滑に高い安全性で実行可能である。セットアップの時間を含めて、タンク排出のプロセス全体は約30分から1時間を要する。タンクの補充も等しい時間量を要する。これは、絶えず監督しながら燃料を燃焼させることでタンクから極低温燃料を排出するこれまで使用されてきた方法と比較するべきである。これまでの方法は、排出対象のタンクに燃料が多く残っている場合に数時間を要し得るプロセスである。従って、本明細書に記載するツールは大幅な時間の節約を可能とし、当然これによって車両点検のコストは、労働コストの点でも、点検作業のため車両を使用していないときに生じる収入損失の点でも、大きく削減される。また、経済的な観点から、燃料を車両に戻して再び使用する前の、車両外で燃料を保管する時間を短縮することが重要である。冷却された加圧燃料を断熱冷却タンクで保管する場合であっても、タンク内の温度は時間と共に上昇し、燃料は徐々に気体状態に変化する。安全上の理由から、生成された余分なガスは徐々にタンクから抜かれるが、この結果として、抜かれたガスを回収するために特別な措置を取らない場合、時間の経過と共に燃料の損失が増大する。
【0036】
極低温燃料は、液体状態を保つために極めて低い温度での保管及び取り扱いを必要とする燃料である。極低温燃料の一例は、沸点が摂氏約−163℃の液化天然ガス(LNG)である。このため、商用車両の燃料としてLNGを用いる場合、燃料システムの良好な断熱が必要である。車両タンクから冷却タンクへのLNGの移送は、タンク間の断熱導管によって可能となる。従って、車両タンクを排出及び補充するためのシステムにおいて、冷却タンクの弁と車両タンクの弁との間の接続を、断熱導管によって構成することができる。導管は、好ましくは可撓性であり、例えばホースによって構成することができる。温度を低く保つため、断熱燃料タンクが有利に用いられ、冷却タンクも有利に断熱される。導管が充分に厚い断熱材によって断熱されてタンク間に配置されることで、極めて低い温度を維持することが容易になる。断熱材として用いるのに適切な1つの材料はポリウレタンフォームである。別の可能性として、極めて低い温度による氷形成が、充分な断熱として機能することが考えられる。
【0037】
本明細書に記載される、車両タンクにおいて極低温燃料を排出及び補充するためのツール及びシステムは、作業場外の状況における使用にも好都合である場合がある。例えばこのツールは、商用車両が巻き込まれた交通事故において、車両タンク内に燃料が残っていると火災の危険がある場合に有用であり得る。大きくて扱いにくいタンクは、スペースが充分でない作業場や狭い施設では不都合が生じることがある。また、車両タンクから極低温燃料を排出して、別の車両タンクに同じ燃料を補充する状況もあり得る。こういった状況を改善するため、ツールを携帯型とすることができる。また、車両タンクからの排出のため、及び吐出された極低温燃料を車両タンクに戻すまで一時的に保管するために、2つ以上のより小型のツールを用いることも可能である。
【0038】
一時的なタンクは、多くの状況において車両タンクを排出及び補充するための円滑な解決策を提供する。別の可能性として、いくつかの商用車両タンクから順次排出を行い、商用車両での作業が完了した後に、一時的な冷却タンクからの燃料でそれらを補充することもあり得る。
【0039】
また、例えば走行している場合に車両タンクを排出及び補充できると便利である場合がある。そのような状況では、本明細書に記載するツールが、燃料を充填した冷却タンクを有し、対象の商用車両に付随し、この商用車両が一時的に停止したときに補充を行うことができる。このように商用車両に配置されたスペアのタンクを有することで、環境に優しい燃料供給源を備えた順応性のある車両を提供する。携帯型冷却タンクを有するツールは、車両タンクに関連付けられた車両に取り付けるための手段を備えることができる。
【0040】
極低温燃料を排出及び補充するためのツールを、例えば商用車両を点検する場合に点検技術者等のユーザの近くに配置すると、作業が容易になり、時間とリソースの節約となる。従って、別の可能性として、工場作業での使用に適した、作業場に一時的な冷却タンクを配置することができる。
【0041】
前述のように、極低温燃料は低い沸点によって特徴付けられ、様々なエネルギガス混合物から成る可能性がある。車両の推進に極低温燃料を用いるための必要条件は様々なものであり得る。例えば、給油所の利用可能性は異なる地理的エリアでは異なる場合がある。更に、例えば、車両は絶えず発展しているので古いモデルの車両は新しい車両とは技術的に異なることから、異なる車両では燃料装備が異なることがある。また、燃料が満杯に収容された車両の燃料消費は当然大きくなる。
【0042】
1つの一般的に用いられる極低温燃料はメタンであり、これは天然ガス又は生物ガスから得られる。天然ガスは地上又は海中の堆積物から回収され、70%〜99%のメタン含有量を有し得る。生物ガスは消化された再生可能有機物質から生成され、95%〜99%という極めて高いメタン含有量を有する。
【0043】
メタンの燃焼は主に二酸化炭素と水を生成する。生物ガス又はBLG(Bio Liquid Gas)内のメタンは、光合成によって植物内に蓄えられた空気中の二酸化炭素から生じるので、大気への温室効果ガス二酸化炭素の正味の寄与はない。液体状態に変わった天然ガスは通常、圧縮天然ガス(CNG)と呼ばれる。化石燃料であるCNGの燃焼は、確かにガソリン及びディーゼルよりもクリアな代替燃料であるが、生成される二酸化炭素は大気中の温室効果ガスに寄与する。むろん、車両燃料としてBLG及びCNGの混合物を用いることも可能である。
【0044】
気体が液体に変化すると、体積は大幅に縮小する。例えば1m
3のCNGは約1.6dm
3のLNGに相当する。このため、燃料は液体状態で移送することが有利である。従って、液体状態の燃料を移送する1台のトラックは、気体状態の燃料を移送する多数のトラックに相当し得る。更に、商用車両の燃料タンクに液体状態の極低温燃料を有するとスペース節約となる。そのようなタンクは既定の体積を有し、燃料を移送する商用車両の保管タンクも同様であるので、車両内の燃料の量を明らかにすることができる。これは、トラックがそのタンクでどのくらいの距離を走行できるか前もってわかるということであり、次の給油所に遅れずに到着するためのプランニングが可能となる。更に、タンク体積がわかるので、コストのプランニングも可能となる。
【0045】
本明細書に記載するツールの冷却タンクは、既定量の燃料(LNG)を収容することができる。この燃料を気体状態に変化させて使用して、車両のタンクに送出することができ、ここで気体燃料が過圧の確立のために用いられる。この過圧が、車両タンクからツールの冷却タンクへ液体燃料を吐出する。あるいは、少なくとも初期段階では液体燃料が車両タンクから取得され、ツールの熱交換器で気体状態に変化し、気体となった燃料を車両タンクに戻し、これが車両タンク内に過圧を生成することで、車両タンク内の液体燃料の大部分をツールの冷却タンクに吐出するように、ツールを車両タンクに接続することができる。車両タンクからツールの冷却タンクへ液体燃料を移送する間、ツールの冷却タンクの圧力は車両タンク内の圧力よりも低くなければならない。車両タンク内の適切な作業圧力は2〜7バールとすることができ、例えば3〜5バール、例えば約3バールである。受容タンク内の圧力は車両タンク内の圧力よりも少なくとも1バール低くなければならず、例えば少なくとも2バール低い。
【0046】
車両タンクから液体燃料(LNG)を完全に排出することができるが、タンク内への空気の流入を防ぐため、タンク内にガスを残さなければならない。空気が低温の車両タンク内に入ると、空気は水分を含むので問題が生じ得る。タンク内の低温では、水の結晶が形成され、システムを破壊してしまう。従って、タンクの洗浄中、又はタンクからの完全な排出中に、不活性の窒素でタンクを充填する。
【0047】
極低温燃料のための冷却タンクを使用及び保管する場合、安全性の観点からその位置を検討しなければならない。空気よりも重い圧縮極低温液体ガスを配置する際は、排水路、地下室、及びパイプライン等の低い場所にガスが蓄積することに伴う危険に留意しなければならない。ガスは、−107度までは空気よりも重い。これより高い温度では、ガスは空気よりも軽く、上昇して空気と混合するので、発火の危険が増大する。
【0048】
スペース節約の目的のため、また、記載するツールは常時使用されるわけではないため、かさばらないサイズでなければならない。1つ又はいくつかの相補的な冷却タンクを設ける場合、そのような追加の冷却タンクの使用頻度は高くないことが想定できるので、追加の冷却タンクは体積が小さく、従って保管中にあまりスペースをとらないことが適切であり得る。このため、この少なくとも1つの追加の冷却タンクはツールの第1の冷却タンクよりも小型とすることができる。
【0049】
以下で、添付図面を参照して本発明について更に詳しく説明する。図面において、同一又は同様の細部は同一の参照番号で示す。図面は概略的な表現に過ぎず、本発明の精密な細部を示すことは意図していない。図面は、本発明の典型的な実施形態を例示することだけを意図し、従って本発明の限定として見なされないものとする。