【実施例】
【0088】
実験セクション
実施例1
シクロデキストリン包接錯体は、Neoh,T.L.et al.,J.Agric.Food Chem.2007,55,11020−11026“Kinetics of Molecular Encapsulation of 1−Methylcyclopropene into α−Cyclodextrin”によって記載される技法を用いて、α−シクロデキストリン及び1−メチルシクロプロペン(1−MCP)から形成される。包接錯体は「1−MCP/c/α−CD」と呼ばれる。500mLのボトルに、97.0gのイソボルニルアクリレート、1.0gのヘキサンジオールジアクリレート、1.0gの1−MCP/c/α−CD、及び1.0gの1−ヒドロキシシクロヘキシルベンゾフェノン(IRGACURE(登録商標)184、Ciba Specialty Chemicals Corp.(Tarrytown,NY)から得られる)を入れる。ボトルに堅くフタをして、ボトルを手で簡単に振とうさせることによって成分を混合する。
【0089】
定量点滴器(metered dropper)を用いて約2mLの混合物を取り出し、8.5インチ×11インチのPETフィルムに施し、25ミクロンのコーティング厚さが得られる測定棒(Mayer rod)を用いてドローダウンする。次に、被覆PETフィルムを、200ワット/インチ(79ワット/cm)で作動する中圧水銀アークランプの約5cm下方で平坦な表面に置く。ランプの下で30秒後に、フィルムを除去する。シリコーン被覆PETシート(約50ミクロン厚)を硬化コーティングの上に置き、研究室ベンチに一晩放置させる。
【0090】
ダイカッターを用いて、シートのコーティング部分を1cm×1cmの正方形に切断する。被覆正方形片からライナーを除去し、被覆正方形片を250mLの血清ボトル(serum bottle)に入れる。次に、テフロン(登録商標)シリコーン隔膜を用いてボトルを密封する。被覆正方形片をボトルに導入してから1時間後に1−MCPのヘッドスペース濃度を測定する。FID検出器を有するGCカラムに直接連結されたガスサンプリングバルブを用いて1mLのガスをサンプルボトルから取り出すことによって、ガスクロマトグラフィを用いて1−MCPヘッドスペース濃度を定量化する。ジャーのヘッドスペース内の湿度が不足しているので、測定可能な濃度の1−MCPは検出されない。
【0091】
次に、50μLの脱イオン水をジャーに注入する。液体水が被覆正方形片と直接接触しないように注意を払った。水を注入してから1時間、密封したジャーを研究室ベンチに放置させ、次に、第2のヘッドスペースサンプルを分析する。最終ヘッドスペースサンプルは、水の注入の24時間後に分析する。水の注入の1時間後に、ヘッドスペース内に0.5ppmの1−MCPが測定される。24時間後に、ヘッドスペース内に0.5ppmの1−MCPが測定される。
実施例2
1−ブテン(99.0%純粋、Scott Specialty Gases,Plumsteadville,PA)を1−MCPの代わりに飽和α−シクロデキストリン溶液中にバブリングさせたことを除いて、Neoh,T.L.et al.,J.Agric.Food Chem.2007, 55, 11020−11026“Kinetics of Molecular Encapsulation of 1−Methylcyclopropene into α−Cyclodextrin”によって記載される技法を用いて1−ブテン及びα−シクロデキストリンの包接錯体を形成した。プロセスの間に沈殿物が形成され、これを、10ミクロンのフリットフィルタ(fritted filter)によるろ過によって捕集し、周囲温度、0.1mmHgで約24時間乾燥させた。包接錯体を「1−ブテン/c/α−CD」と名付けた。
【0092】
粉末がボトルの壁に付着しないことを保証するために注意を払いながら、隔膜キャップ
を備えた250mLのガラスボトルに100mgの捕集及び乾燥した沈殿物を添加することによって、1−ブテン/c/α−CDを分析した。約1時間後、RTx−5GCカラム、30m×0.25mm I.D.、0.25μmフィルム(Restek,Inc.,(Bellefonte,PA)から入手)を使用し、フレームイオン化検出器(FID)が備えられたガスクロマトグラフ(GC、Hewlett Packard 5890)に直接連結された、6ポート、2位置のガスサンプリングバルブ(Valco #EC6W)を用いて、250μLのヘッドスペースガスをボトルから取り出した。ボトルのヘッドスペース内の湿度(水蒸気)が不足しているので、測定可能な濃度の1−ブテンは検出されなかった。次に、隔膜を介して3mLの水をボトルに注入し、ボトルをメカニカルシェーカーに置き、約1時間激しく混合した。振とうの後、250μLのヘッドスペースガスを取り出し、隔膜キャップを備えた空の250mLのボトルに添加するが、ここで、ボトルの内部には窒素ガスをパージした。6点の1−ブテン(99.0%純粋、Scott Specialty Gases,Plumsteadville,PA)較正曲線により較正済みのFID検出器を有するGCカラムに直接連結された6ポート、2位置のガスサンプリングバルブ(Valco ♯EC6W)を用いて、250μLのガスを250mLのボトルから取り出すことによって、第2のボトルにおいて、ガスクロマトグラフィを用いて、1−ブテンのヘッドスペース濃度を定量化した。この方法を用いると、錯体化1−ブテン/c/α−CDの収率は72.5%であることが分かった。
【0093】
20mLのボトルに、9.8gのUVコーティングVP10169/60MF−2NE(Verga GmbH(Aschau am Inn,Germany)から入手)及び0.2gの1−ブテン/c/α−CDを入れた。ボトルに堅くフタをし、均一に分散されるまでボトルを手で振とうさせることによって成分を混合する。
【0094】
点滴器により約3mLの混合物を取り出して、ガラスパンに施した。ゴムインクローラーを用いて、混合物をガラス及びローラー上に広げた。次に、ローラーを用いて、ポリエチレン押出コーティング紙(REYNOLDS(登録商標)Freezer Paper、90ミクロンの全厚)20cm×20cm片の被覆面に混合物をコーティングした。ローラーは、0.3ミクロンの公称厚さのコーティングをもたらした。カミソリの刃を用いて被覆シート5cm×10cmの矩形を切断した。次に、被覆切断矩形片は、200ワット/インチ(79ワット/cm)で作動する中圧水銀アークランプの約10cm下を手で通過させた。ランプに1.5秒暴露した後、硬化した矩形片を取り出した。コーティング面を下にして、硬化矩形片を研究室ベンチで一晩放置させた。
【0095】
この方法で6枚の複製の被覆矩形片を作った。各矩形片を250mLの血清ボトルに入れた。次に、6つのボトルを、テフロン(登録商標)仕上げのシリコーン隔膜で密封した。FID検出器を有するGCカラムに直接連結された6ポート、2位置のガスサンプリングバルブを用いて、250μLのガスをサンプルボトルから除去することによって、ガスクロマトグラフィを用いて1−ブテンのヘッドスペース濃度を定量化した。ボトルヘッドスペース中で、測定可能な濃度の1−ブテンは検出されなかった。
【0096】
次に、50μLの脱イオン水を各ボトルに注入した。液体水が被覆矩形片と直接接触しないように注意を払った。水の注入の0.5、1、2、4、8、24、及び96時間後に6つの密封ボトルのそれぞれのヘッドスペースを分析した。ここで、各分析のために、約3mLの250mLのボトルのヘッドスペース容積を取り出した。各サンプリングにおいて、0.998の相関係数を有する6点の1−ブテン較正曲線に対して、UV被覆された矩形片から放出される1−ブテンの量をガスクロマトグラフィにより定量した。表1及び
図1は、1−ブテンのヘッドスペース濃度の6つの複製サンプルの平均及び標準偏差を示す。
【0097】
【表2】
【0098】
実施例3
20mLのボトルに、9.6gのUVコーティングVP10169/60MF−2NE(Verga GmbH(Aschau am Inn,Germanyから入手)を入れた。次に、0.4gの「1−MCP/c/α−CD」と呼ばれる1−MCP/α−シクロデキストリン錯体(4.7%の1−MCP、AgroFresh(Spring House,PA)から得られる)をボトルに添加した。次にボトルに堅くフタをし、ブレンドが均一に分散されたと思われるまで手で振とうさせ、4.0重量%の1−MCP/c/α−CDブレンドが得られた。2.0重量%、1.0重量%及び0.5重量%の1−MCP/c/α−CDを含有する3つの付加的なブレンドを同じ方法で調製した。
【0099】
実施例2の技法を使用し、ゴムインクローラーを用いて、20cm×20cmのポリエチレン押出コーティング紙シートに、薄い(公称0.3μm)コーティングをもたらした。
【0100】
カミソリの刃を用いて、各シートのコーティング部分から2.5cm×10cmの矩形を切断した。次に、実施例2の手順を用いて被覆矩形シートを硬化させた。硬化した被覆矩形片をそれぞれ250mLの血清ボトルに入れた。次に、テフロン(登録商標)仕上げのシリコーン隔膜を用いてボトルを密封した。次に、各ボトルに20μLの脱イオン水を注入した。液体水が被覆矩形片と直接接触しないように注意を払った。実施例2で使用される技法を使用し、実施例2に記載されるように6点の1−ブテン較正曲線を用いて、水の注入の24時間後に1−MCPについてヘッドスペースを分析した。表2及び
図2は、被覆及び硬化矩形シートのそれぞれについて、24時間の平均1−MCPヘッドスペース濃度及び標準偏差を与える。これらのデータは、水蒸気(湿度)に暴露されたときにコーティング中の1−MCP/c/α−CDの重量%の増大と共に直線的に(0.99相関係数)、1−MCPがヘッドスペース内に放出されたことを示す。
【0101】
【表3】
【0102】
実施例4
実施例3の技法に従って、4.0重量%の1−MCP/c/α−CDブレンドを作った。実施例2の技法を使用し、ゴムインクローラーを用いて、20cm×20cmのポリエチレン押出コーティング紙シートに、公称厚さ0.3μmを有するコーティングをもたらした。実施例2の手順に従って被覆シートを硬化させた。
【0103】
カミソリの刃を用いて、シートのコーティング部分から26cm
2、52cm
2、及び78cm
2のサンプルを切断した。各サンプルを250mL血清ボトルに入れた。テフロン(登録商標)仕上げのシリコーン隔膜を用いてボトルを密封した。次に、20μLの脱イオン水を各ボトルに注入した。液体水が試験サンプルと直接接触しないように注意を払った。ボトルヘッドスペースの分析は、水の注入の0.17時間、0.5時間、1時間、2時間、4時間及び24時間後に、実施例3の技法に従って実行した。1−MCPのヘッドスペース濃度は、試験サンプル面積及び時間の関数として、表3及び
図3に提供される。これらのデータは、コーティングが水蒸気(湿度)に暴露されたときに、4.0重量%の1−MCP/c/α−CDを有する被覆表面積が増大するにつれて、時間と共に予測可能な形で1−MCPがヘッドスペース内に放出されたことを示す。
【0104】
【表4】
【0105】
実施例5
カミソリの刃を用いて、実施例3のように調製され、1.0重量%、2.0重量%及び4.0重量%の1−MCP/c/α−CDを有する20cm×20cmシートのコーティ
ング部分から6枚の5cm×10cm矩形片を切断し、実施例2の技法に従って、被覆矩形片を硬化させた。矩形片を個々に250mL血清ボトルに入れた。テフロン(登録商標)仕上げのシリコーン隔膜を用いてボトルを密封した。次に、20μLの脱イオン水を各ボトルに注入した。液体水が試験サンプルと直接接触しないように注意を払った。実施例3の技法を用いて、水の注入の4、8、24及び48時間後にボトルヘッドスペースを分析した。結果は、表4及び
図4に提供され、異なる重量%の1−MCP/c/α−CDコーティングについて、平均ヘッドスペース濃度及び標準偏差が時間の関数として与えられる。これらのデータは、水蒸気(湿度)に暴露されたときにコーティング中の1−MCP/c/α−CDの重量%が増大するにつれて、時間と共に予測可能な形で1−MCPがヘッドスペース内に放出されたことを示す。
【0106】
【表5】
【0107】
実施例6
100mLの石英ビーカーに、54gの2−イソオクチルアクリレート、6gのアクリル酸、及び0.60gの1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(IRGACURE(登録商標)184、Ciba Specialty Chemicals Corp.(Tarrytown,NY))を入れた。ビーカーにメカニカルスターラーを備え付け、乾燥ヘリウムをスパージしながら内容物を約5分間混合した。次に、ビーカーの側面から約15cmに位置する79ワット/cmで作動する中圧水銀アークランプでビーカーを照射した。フラスコの内容物が蜂蜜のような粘稠度になったときに光をオフにした(約1.5分)。ビーカーに更に、3.23gの1−MCP/c/α−CD、0.89gのIRGACURE(登録商標)184、5.8gのイソオクチルアクリレート、及び0.72gのアクリル酸を入れた。ビーカーの内容物を、均一に分散されるまで混合した(約5分)。
【0108】
定量点滴器を用いてボトル内の約4mLの混合物を取り出し、30.5cm×30.5cmの白色紙ラベルストックに施し、25ミクロンのコーティング厚さが得られる測定棒
(Meyerコーティング棒#30)を用いてドローダウンした。次に、21.5cm×28cmのシリコーンコーティングされたポリエステル(PET)フィルムシート(120μm厚)(3M Company(St.Paul,MN)から入手)を、気泡を取り込まないように注意を払いながら被覆ラベルストック上に置いた。ペーパーカッターを用いて、コーティング及び被覆ラベルストックを10cm×20cmの矩形に切断した。カットサンプルは、79ワット/cmで作動する中圧水銀アークランプの約15cm下を手で通過させた。UV光の下を手で多数回通過させるか、ランプの下に約30秒間置くことを用いて、接着剤を硬化させた。被覆ラベルストックシートを、PET面を上にして研究室ベンチで一晩放置させた。
【0109】
ペーパーカッターを用いて、シートから6枚の複製の2.5cm×2.5cmの正方形を切断した。UV硬化コーティング組成物は感圧接着剤またはPSAなので、2.5cm×2.5cmの正方形片は「PSAラベル」と呼ばれる。シリコーンコーティングされたPETがまだ定位置にある各PSAラベルを250mLの血清ボトルに入れた。テフロン(登録商標)仕上げのシリコーン隔膜を用いて各ボトルを密封した。分析のために250μLのガスをサンプルボトルから取り出したことを除いて実施例3の技法を用いて、PSAラベルをボトルに導入してから1時間後に1−MCPのヘッドスペース濃度を測定した。1−MCPは、0.01ppmの定量限界よりも少なかった。
【0110】
次に、50μLの脱イオン水を各ボトルに注入した。液体水がラベルと直接接触しないように注意を払った。実施例3の技法を用いて、10分、30分、及び60分で密封ボトルのヘッドスペースを分析した。最終ヘッドスペースサンプルは、水の注入の16時間後に分析した。これらのデータは表5に示される。データは、水蒸気(湿度)に暴露されたときに1−MCPがPSAラベルからヘッドスペース内に放出され、その濃度が時間と共に増大することを示す。
【0111】
【表6】
【0112】
実施例7
この方法は、固定容積を画定するフィルムの表面に接着されたPSAラベルからの放出の後、ポリエチレンフィルムを通って、閉鎖した固定容積のヘッドスペースへの1−MCPの透過性を測定するように設計される。方法論は、初めは低い相対湿度を有する柔軟性フィルムパッケージのヘッドスペースをシミュレートし、1−MCPを含有するPSAラベルはパッケージの外側に接着される。新鮮な農産物の呼吸によってパッケージ内部の湿度が上昇すると、水蒸気の濃度が増大し、パッケージフィルムを通って環境の外に拡散するが、PSA内にも拡散する。従って、水蒸気がフィルムを通ってパッケージフィルムの外側に接着された1−MCP接着剤ラベル内に拡散するので、ラベル接着剤から固定容積(ヘッドスペース)内へ放出される1−MCPを測定した。
【0113】
実施例6の手順に従って作った被覆硬化ラベルストックシートを、手で11cm直径の円に切断した。次に、ラベルからPETライナーを除去し、13.5cm直径、1ミル(25μm)厚のポリエチレン(PE)フィルム(Pliant Corporation(Schaumburg,IL)から入手される)にラベルをPSAにより接着した。次に、この構造の紙の側にアルミニウム箔を被覆した。箔/紙/PSA/PE層状構造を、1,000mLのガラス反応ケトル底(6947−1LBO、Corning Glass(Corning,NY)から)の開放端部に取り付け、アルミニウム密封リングを用いてケトルのガラスフランジに密封した。PEフィルムを内側に向け、アルミニウムを外側に向けて、層状構造を11cmの開口部に配置した。シリコーン隔膜ポートによりガラス反応ケトルを変更し、1,000mLのヘッドスペースのサンプリングを可能にした。250μLのヘッドスペース容積を1,000mLのガラスケトルから取り出し、実施例3の技法に従って分析することによって、ヘッドスペースの分析を実行した。
【0114】
フィルム及びラベルを反応ケトル底のフランジに密封してから2時間後、そして1,000mL容積の内部に水を全く添加せずに、初期ヘッドスペース分析を実行し、検出可能なレベルの1−MCPが存在しない(<0.01ppm)ことを明らかにした。次に、200μLの水を、隔膜ポートを通してガラスケトルの内部に添加した。実施例3で使用される技法を用いて、水の注入の17、25及び90時間後に、ヘッドスペースを1−MCPについて分析した。水の注入の17時間、25時間、及び90時間後、1−MCPのヘッドスペース濃度はそれぞれ、3.6ppm、7.0ppm及び8.0ppmの1−MCPであった。これらの結果は、1−MCPを含有し、蒸気透過性フィルム表面に接着されたPSA被覆ラベルが、パッケージヘッドスペース内の水蒸気の導入の後に、1−MCPをパッケージのヘッドスペース内へ放出できることを実証する。
対照実施例A
α−CDの水溶解度は、典型的な周囲温度で14.5グラム/100mL、または14.5重量%である(Szejtli,J.(1988年),Cyclodextrin Technology,Kluwer Academic Publishers,12頁)。1−MCP/c/α−CD粉末のサンプルを入手した(AgroFresh(Spring House,PA))。供給業者の仕様書によると、1−MCPはα−CDの4.7重量%であり、或いは1−MCP対α−CDの1:1の理論的モル比に基づいて、88.7重量%の1−MCP錯体であった。これは、8,600ppmのヘッドスペース濃度が得られることに相当する。一連の試験を実行して、供給された1−MCP/c/α−CDからの1−MCPの解離を添加された水の関数として測定した。まず、供給された1−MCP/c/α−CD粉末の0.1gのアリコートを、5,250mLのボトルのそれぞれに添加し、次に、テフロン(登録商標)仕上げの隔膜によりこれにフタをした。シリンジにより様々な量の水をボトルに添加し、次に、ボトルを1時間機械的に振とうさせた後、実施例3の手順に従って1−MCPについてのヘッドスペース測定を行った。供給された1−MCP/c/α−CD錯体0.1g当たりに添加された水の量、及び約20Cで1時間後に得られたヘッドスペース測定値は表6に示される。
【0115】
本試験の結果は、5.8重量%の1−MCPまたは111重量%の1−MCP/c/α−CD錯体(1:1錯体よりも多い)を示し、10,610ppmのヘッドスペース濃度が得られた。0.10グラムの1−MCP/c/α−CD当たり1.0グラムの水の場合、α−CDの水溶解度を超えたが、1−MCPは66%しか解離しなかった。多項式回帰を用いて、表6の5つのサンプルについてヘッドスペースにおいて100%RHでの解離を計算した(即ち、250mL容積当たり4.3ミリグラムの水、この情報の源及び計算については実施例8を参照)。100%のRHで解離した1−MCPの計算値は18重量%であった。
【0116】
α−CDを完全に溶解させるために必要とされる量(上記で報告されるように、14.5グラム/100mL)を超える著しく過剰の水が、錯体化1−MCPを100%解離させるために必要とされたので、これらの結果は驚くべきものであった。
【0117】
【表7】
【0118】
実施例8
4.0重量%の1−MCP/c/α−CDコーティングブレンドを実施例3の技法に従って作った。20cm×20cmのポリエチレン押出コーティング紙シートに、実施例2の技法を用いて混合物をコーティングした。ペーパーカッターを用いて、シートから9枚の5cm×10cmの矩形を切断し、被覆矩形片は、79ワット/cmで作動する中圧水銀アークランプの約10cm下を手で通過させた。1.5秒間ランプに暴露した後、サンプルを取り出した。硬化サンプルを、コーティング面を下にして研究室ベンチに一晩放置させた。
【0119】
各硬化サンプルを250mLの血清ボトルに入れた。テフロン(登録商標)仕上げのシリコーン隔膜により各ボトルを密封した。蒸気の形態において20℃で100%相対湿度(RH)に相当し得る液体水の量(http://hyperphysics.phy−astr.gsu.edu/hbase/kinetic/vappre.html#cで提供される)は、17.3g/m
3、または1000L当たり17.3gである。20℃における水の密度は0.9982g/mLである。従って、20℃では、250mLの封入容積に添加された(他に水を含有しない)4.3μLの液体水は蒸発して、100%のRHを与えるであろう。本発明の研究室施設の温度は20℃±5℃であった。
【0120】
ボトルのうちの3つに10μLの脱イオン水を注入し、3つに20μLの脱イオン水を注入し、3つに50μLの脱イオン水を注入した。液体水が被覆正方形片に直接接触しないように注意を払った。水の注入から2時間、4時間、8時間、24時間、及び48時間後に各ボトルのヘッドスペースを1−MCPについて分析した。ここで、ヘッドスペースの分析は、実施例3で使用される分析技法を用いて実行した。平均ヘッドスペース濃度及び標準偏差の結果は表7及び
図5に提供される。
【0121】
【表8】
【0122】
実施例9
サーマルインクジェットカートリッジ及び産業印刷のために設計されたUV硬化性インクを1−MCP/c/α−CDと共に配合し、UVインクがどのようにして柔軟性パッケージ構造に取り込まれて1−MCPを放出できるかを実証するために、フィルムに印刷した。ImTech UVBLKシリーズ912カートリッジは、ImTech Inc.(Corvallis,OR)から入手した。約40gの黒色インクを、インクが供給されているカートリッジから取り出した。3Aのモレキュラーシーブを有する閉鎖容器内でインクを一晩乾燥させ、インク内に含有される残留水を除去した。次に、17.5gの乾燥インクを、50gの3mmガラスビーズが充填された70mLローラーミルジャーに移し、0.875gの1−MCP/c/α−CDをUVインクに添加した。ジャーを密封し、ローラーミルにおいて140rpmで4時間回転させた。1−MCP/c/α−CDを分散させるための4時間の回転の最後に、付加的な4.375gの乾燥UVインクを添加して、4重量%の1−MCP/c/α−CDを含有するインクを作った。次に、ガラスビーズからインクをデカンテーションした。
【0123】
ゴムインクローラーを用いて、10cm×20cmのPETフィルム片(120ミクロン厚、3M Company(St.Paul,MN)から入手)に、実施例2に記載される方法で、不連続の薄い(公称3μm)が均一のUVインクコーティングをコーティングした。UVインクがコーティングされた矩形片は、1.5秒間のランプへの暴露のために、79ワット/cmで動作する中圧水銀アークランプの約10cm下を手で通過させた。インク面を下にして硬化サンプルを研究室ベンチに一晩放置させた。
【0124】
ペーパーカッターを用いて、硬化インク被覆PETフィルムシートから2つのサンプル、20cm
2及び81cm
2を切断した。サンプルを個別に250mLの血清ボトルに入れた。次に、テフロン(登録商標)仕上げのシリコーン隔膜によりボトルを密封した。次に、200μLの脱イオン水をボトルに注入した。液体水がインク被覆PETフィルムと
直接接触しないように注意を払った。水をボトルに注入した後、実施例3で使用される分析技法を用いてヘッドスペースの1−MCPを測定した。試験結果は表8において一覧にされ、結果は、UVインクから放出される1−MCPを実証する。結果は更に、1−MCPがゆっくり放出され、時間と共にボトルヘッドスペース濃度が増大されることを実証する。
【0125】
【表9】
【0126】
実施例10
実施例9からの4重量%の1−MCP/c/α−CDを含有するインクを、予め空にされたカートリッジに戻した。カートリッジを再充填した後、これをHP Inkjet 1600Cプリンター(Hewlett−Packard Company(Palo Alto,CA)から入手)に設置し、較正またはヘッドクリーニング機能を実行した。Microsoft EXCELソフトウェアプログラム2003(Microsoft
Corporation(Redman,WA)から入手)から得られる中密度の黒色クロスハッチパターンを用いて、印刷可能な頁全体をフォーマットした。実施例9の4重量%の1−MCP/c/α−CDを含有する乾燥した粉砕インクを用いて、3MのCG3460Transparency Film(HPインクジェットプリンター用のポリエステルフィルム120ミクロン厚、3M Company(St.Paul,MN)から入手)に、EXCELパターン画像を印刷した。印刷の直後に、透明フィルムの印刷面は25μmのポリエチレンフィルムで覆われ、次に、3秒間のランプへの暴露のために、ポリエチレン面をランプに向けて、79ワット/cmで動作する中圧水銀アークランプの約10cm下を手で通過させた。方法論は多層柔軟性パッケージをシミュレートし、多層柔軟性材料の外側の透明層の内側表面を印刷した(リバース印刷と呼ばれる)。次に、印刷表面を他の層に積層した。外側層自体は、インクを乱用から保護する働きをする。
【0127】
以下の技法は、多層農産物パッケージの「内側層」としてのPEフィルムを通して、リバースインクジェット印刷された3M透明フィルムから放出される1−MCPの透過性を測定するために設計された。多層農産物パッケージにおいて、新鮮な農産物の呼吸によってパッケージ内部の湿度が上昇すると、水蒸気は、パッケージの外側に拡散することが可能になる濃度に到達する。この例では、水は、1−MCP/c/α−CDを含有するインク層を通しても拡散する。PETフィルム上のリバース印刷されたインクは1−MCPを放出し、ボトルヘッドスペース内部の低い1−MCP濃度と、多層構造内の高い1−MC
P濃度との勾配により、これはPEフィルムを通ってパッケージの内部(ヘッドスペース)に拡散する。
【0128】
ペーパーカッターを用いて、PETシート上の印刷された硬化インクがPEで覆われた多層構造から、5.5cm×16cmの矩形(88cm
2)を切断した。矩形片を250mLの血清ボトルに入れた。次に、テフロン(登録商標)仕上げのシリコーン隔膜を用いてボトルを密封した。次に、100μLの脱イオン水をボトルに注入した。液体水が試験サンプルと直接接触しないように注意を払った。水の注入から0.17、0.5、1、2、4、及び24時間後に、実施例3で使用される技法を用いてボトルヘッドスペースを分析した。表8の結果は、「多層」フィルムについて、1−MCPのヘッドスペース濃度を時間の関数として示す。
【0129】
透明フィルムがPEフィルムで被覆されていないことを除いて実施例9と同様に、第2のPET透明フィルム片を印刷した。実施例9と同様の方法で、79ワット/cmで動作する中圧水銀アークランプを用いて、PETフィルム表面の印刷されたImTech UVBLK Series 912インクを硬化させた。次に、ペーパーカッターを用いて、1.2cm×16cmの矩形(19cm
2)をシートから切断した。矩形片を250mLの血清ボトルに入れた。次に、テフロン(登録商標)仕上げのシリコーン隔膜を用いてボトルを密封した。次に、100μLの脱イオン水をボトルに注入した。液体水が試験サンプルと直接接触しないように注意を払った。水の注入から0.17、0.5、1、2、4、及び24時間後に、実施例3で使用される技法を用いてボトルヘッドスペースを分析した。「単層」フィルムについて、時間の関数としての1−MCPのヘッドスペース濃度は表9においても報告される。
【0130】
【表10】
【0131】
実施例11
ポリエチレン押出コーティング板紙は、最も一般的に使用される新鮮な農産物の包装材料の1つである。通常、板紙は再利用可能であり、片面または両面にポリエチレンの薄い(通常、30μm以下)層を有する。押出コーティング表面は、1−MCPを含有するUV硬化性コーティングによってコーティングまたは印刷することができる。
【0132】
20mLのボトルに、9.6gのUV硬化性コーティング配合物(VP10169/60MF−2NE、Verga GmbH(Aschau am Inn,Germany)から入手)を入れた。次に、0.4gの1−MCP/c/α−CD(4.7%の1−MCP、AgroFresh(School House,PA)から入手)をボトルに添
加した。ボトルに堅くフタをし、内容物が均一に分散されたと思われるまでボトルを手で振とうさせることによって成分を混合し、UV硬化性混合物が提供された。
【0133】
加熱真空プレスを用いて、600μm厚の固体漂白硫酸塩(solid bleached sulfate)(SBS)板紙(Graphic Packaging Internationalから入手)の20cm×20cm片に、30μm厚のポリエチレンフィルムを加熱積層することによって、ポリエチレンコーティング板紙を調製した。実施例2の技法を使用し、ゴムインクローラーを用いて、実験室で調製したポリエチレンコーティング板紙に、UV硬化性混合物の薄い(公称0.3μm)コーティングをもたらした。ペーパーカッターを用いて、板紙のコーティング部分の20cm×10cmの矩形を切断した。被覆矩形片は、79ワット/cmで動作する中圧水銀アークランプの約10cm下を手で通過させた。1.5秒間のランプへの暴露の後、サンプルを取り出した。コーティング面を下にして、硬化サンプルを研究室ベンチで一晩放置させた。
【0134】
硬化の後、20cm×10cmの矩形から5cm×5cm片を切断した。テフロン(登録商標)仕上げの隔膜(Fisher Scientific P/N 14−965−84)を備えた250mLのジャー(背が高く透明なWM SEPTA−JAR(商標)、Fisher Scientific P/N 05−719−452、Fisher
Scientific(Waltham,MA)から入手)に、各片を個別に入れた。各ジャーに200μLの脱イオン水を注入した。液体水が被覆正方形片と直接接触しないように注意を払った。水の注入から5つの時間間隔(.0.17、0.5、1、2、4及び7時間)の後、実施例3で使用される分析技法を用いて、ジャーのヘッドスペースを1−MCPについて分析した。1−MCPの平均ヘッドスペース濃度及び標準偏差は、表10で一覧にされる。結果は、時間が経つにつれてより大量の1−MCPがUV被覆基質からヘッドスペース内へ放出されたことを例証する。
【0135】
【表11】
【0136】
代表的な実施形態
ここで、本発明の特定の代表的な実施形態が列挙される。本発明はこれらの実施形態に限定されず、上記の他の実施形態も本発明の実施形態であるか、或いは、以下に記載される実施形態の任意の組み合わせと組み合わせられる場合に本発明の実施形態である。
実施形態1.
実施形態1は、単独で、或いは上記または以下のリストにおいて記載される任意の付加的な限定または要素と更に組み合わせられた場合に、適切に本発明の実施形態である。実施形態1は、上記または以下のリストにおいて記載される2つ以上の付加的な限定または要素の組み合わせと組み合わせることができる。以下のリストは、上記の任意の1つまたは複数の他の限定または要素との組み合わせを含み、本発明の更なる態様として実施形態
1とあらゆる方法で組み合わせられることが意図される限定または要素を含有する。
【0137】
本発明の実施形態1は、1つまたは複数の放射線重合性モノマーと、シクロデキストリン包接錯体とを含むシクロデキストリン組成物であり、シクロデキストリン包接錯体は、シクロデキストリン化合物と、農産物のエチレン発生のオレフィン系抑制剤とを含み、オレフィン系抑制剤は、構造
【0138】
【化1】
【0139】
(式中、R
1、R
2はそれぞれ独立して水素またはC
1〜16ヒドロカルビル基であり、R
3及びR
4は独立して水素またはC
1〜16ヒドロカルビル基であるが、ただし、R
1またはR
2の少なくとも1つはメチルであるものとする)
を有する化合物を含む。
【0140】
付加的な限定または要素のリストには以下のものが含まれるが、これらに限定されない:
a.1つまたは複数の放射線重合性モノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、アクリレートエステル、メタクリレートエステル、アクリルアミド、ジアクリレート、トリアクリレート、テトラアクリレート、またはこれらの混合物を含む;
b.アクリレートまたはメタクリレートエステルは、1〜18個の間の炭素を有しするアルコールのエステルであり、線状、分枝状、または環状エステルである;
c.組成物は光開始剤を更に含む;
d.組成物は、1つまたは複数のプレポリマーを更に含む;
e.シクロデキストリンは、シクロデキストリン誘導体を含む;
f.シクロデキストリン包接錯体は、シクロデキストリン1モル当たり約0.1〜0.99モルのオレフィン系抑制剤を含有する;
g.オレフィン系抑制剤は、1−メチルシクロプロペンを含む;
h.シクロデキストリンは、α−シクロデキストリンを含む;
i.シクロデキストリン包接錯体は、α−シクロデキストリン1モル当たり約0.80〜0.99モルの1−メチルシクロプロペンを含有する;
j.組成物は、組成物の重量に基づいて0.01重量%〜10重量%の間のシクロデキストリン包接錯体を含む;
k.組成物はコーティング可能である;
l.組成物は印刷可能である;
m.組成物はインクである;
n.組成物はUV硬化性インクである;
o.組成物は、1つまたは複数の着色剤を更に含む;
p.組成物は、1つまたは複数の接着促進剤、防汚剤、熱安定剤、酸化安定剤、水捕捉剤、補助剤、可塑剤、またはこれらの2つ以上の組み合わせを更に含む;
q.組成物は、1つまたは複数の乾燥剤を更に含む;
r.組成物は、シリカゲル、モレキュラーシーブ、またはこれらの組み合わせを含む1つまたは複数の乾燥剤を更に含む。
実施形態2
実施形態2は、単独で、或いは上記または以下のリストにおいて記載される任意の付加的な限定または要素と更に組み合わせられた場合に、適切に本発明の実施形態である。実施形態2は、上記または以下のリストにおいて記載される2つ以上の付加的な限定または要素の組み合わせと組み合わせることができる。以下のリストは、上記の任意の1つまたは複数の他の限定または要素との組み合わせを含み、本発明の更なる態様として実施形態2とあらゆる方法で組み合わせられることが意図される限定または要素を含有する。
【0141】
本発明の実施形態2は、包装材料と、包装材料の1つの表面の少なくとも一部に配設された硬化シクロデキストリン組成物とを含む処理包装材料であり、硬化シクロデキストリン組成物は、1つまたは複数の放射線重合性モノマーから誘導されるポリマーと、シクロデキストリン包接錯体とを含み、シクロデキストリン包接錯体は、シクロデキストリンと、農産物のエチレン発生のオレフィン系抑制剤とを含み、オレフィン系抑制剤は、構造
【0142】
【化2】
【0143】
(式中、R
1、R
2はそれぞれ独立して水素またはC
1〜16ヒドロカルビル基であり、R
3及びR
4は独立して水素またはC
1〜16ヒドロカルビル基であるが、ただし、R
1またはR
2の少なくとも1つはメチルであるものとする)
を有する化合物を含む。
【0144】
付加的な限定または要素のリストには以下のものが含まれるが、これらに限定されない:
a.処理包装材料は、フィルム、シート、箔、バッグ、果物かご、皿、カップ、カバー、ラベル、板紙、板紙カートン、または処理パッケージインサートを含む;
b.包装材料は、ポリオレフィンまたはポリエステルを含む;
c.表面は、プラズマ処理表面を含む;
d.処理包装材料は、包装材料と、硬化シクロデキストリン組成物との間に配設されたプライマーを更に含む
e.硬化シクロデキストリン組成物は、水及びオレフィン系抑制剤に対して透過性である;
f.硬化シクロデキストリン組成物は、水及びオレフィン系抑制剤に対して特異な透過性を有する;
g.処理包装材料は、フィルム、シート、処理パッケージインサート、またはラベルを含み、更に、硬化シクロデキストリン組成物の上部に配設されたライナーを含む;
h.ライナーは、UV光に対して透明である;
i.ライナーは箔である;
j.ライナーは、1つまたは複数の乾燥剤を更に含む;
k.ライナーは、ライナー及び硬化シクロデキストリン組成物の界面で優先多的に除去可能である;
l.ライナーは水に不透過性である;
m.包装材料は水に不透過性である;
n.包装材料はオレフィン系抑制剤に対して不透過性である;
o.包装材料は水に透過性である、オレフィン系抑制剤に透過性である、または水及びオレフィン系抑制剤の両方に透過性であり
p.包装材料は選択的透過性膜である;
q.硬化シクロデキストリン組成物は感圧接着剤を含む;
r.硬化シクロデキストリン組成物は、包装材料上のコーティングとして存在する;
s.コーティングは、約0.01ミクロン〜1ミリメートルの厚さである;
t.コーティングは、印刷された特徴を有する;
u.硬化シクロデキストリン組成物は、包装材料に結合される;
v.包装材料は処理積層物を含む;
w.包装材料は、その第1の面でオレフィン系抑制剤に対して透過性であり、その第2の面でオレフィン系抑制剤に対して不透過性である処理積層物を含む;
x.包装材料は、少なくともその第1の面で水に透過性である処理積層物を含む;
y.処理包装材料はテンタリングされる。
実施形態3.
実施形態3は、単独で、或いは上記または以下のリストにおいて記載される任意の付加的な限定または要素と更に組み合わせられた場合に、適切に本発明の実施形態である。実施形態3は、上記または以下のリストにおいて記載される2つ以上の付加的な限定または要素の組み合わせと組み合わせることができる。以下のリストは、上記の任意の1つまたは複数の他の限定または要素との組み合わせを含み、本発明の更なる態様として実施形態3とあらゆる方法で組み合わせられることが意図される限定または要素を含有する。
【0145】
本発明の実施形態3は処理包装材料を含む容器であり、容器は封入容積を含み、処理包装材料は、包装材料の表面の少なくとも一部に配設された硬化シクロデキストリン組成物を含み、硬化シクロデキストリン組成物は、1つまたは複数の放射線重合性モノマーから誘導されるポリマーと、シクロデキストリン包接錯体とを含み、シクロデキストリン包接錯体は、農産物のエチレン発生のオレフィン系抑制剤を含み、オレフィン系抑制剤は、構造
【0146】
【化3】
【0147】
(式中、R
1、R
2はそれぞれ独立して水素またはC
1〜16ヒドロカルビル基であり、R
3及びR
4は独立して水素またはC
1〜16ヒドロカルビル基であるが、ただし、R
1またはR
2の少なくとも1つはメチルであるものとする)
を有する化合物を含む。
【0148】
付加的な限定または要素のリストには以下のものが含まれるが、これらに限定されない:
a.容器は、バッグ、果物かご、皿、カップ、または板紙カートンである;
b.硬化シクロデキストリン組成物は、容器の内側表面の少なくとも一部の上のコーティングとして存在する;
c.硬化シクロデキストリン組成物が、容器の外側表面の少なくとも一部の上のコーテ
ィングとして存在する;
d.硬化シクロデキストリン組成物は、パッケージインサート上のコーティングとして存在する;
e.容器は処理積層容器である;
f.容器は処理積層容器であり、ここで、積層物構造はその第1の面でオレフィン系抑制剤に対して透過性であり、その第2の面でオレフィン系抑制剤に対して不透過性である;
g.容器は処理積層容器であり、ここで、積層物構造は、少なくともその第1の面で水に透過性である;
h.容器は、乾燥剤を更に含む;
i.容器は、農産物品を更に含む;
j.封入容積は、約0℃〜20℃の間の温度で50%〜100%の間の相対湿度を含む;
k.封入容積は、約0℃〜20℃の間の温度で100%の相対湿度を含み、そして更に、液体水を含む;
l.容器は、変更雰囲気パッケージを含む;
m.容器は、制御雰囲気パッケージを含む
n.容器は、選択的透過性膜を含む;
o.オレフィン系抑制剤は、約2.5ppb〜10ppmの濃度で封入容積中に存在する;
p.オレフィン系抑制剤は、約25ppb〜1ppmの濃度で封入容積中に存在する。実施形態4
実施形態4は、単独で、或いは上記または以下のリストにおいて記載される任意の付加的な限定または要素と更に組み合わせられた場合に、適切に本発明の実施形態である。実施形態4は、上記または以下のリストにおいて記載される2つ以上の付加的な限定または要素の組み合わせと組み合わせることができる。以下のリストは、上記の任意の1つまたは複数の他の限定または要素との組み合わせを含み、本発明の更なる態様として実施形態4とあらゆる方法で組み合わせられることが意図される限定または要素を含有する。
【0149】
本発明の実施形態4は、処理包装材料を製造する方法であって、本方法は、
1つまたは複数の放射線重合性モノマーと、シクロデキストリン組成物の重量に基づいて約0.05重量%〜10重量%のシクロデキストリン包接錯体とを含むシクロデキストリン組成物を形成するステップであって、シクロデキストリン包接錯体がシクロデキストリン及び農産物のエチレン発生のオレフィン系抑制剤を含み、オレフィン系抑制剤が、構造
【0150】
【化4】
【0151】
(式中、R
1、R
2はそれぞれ独立して水素またはC
1〜16ヒドロカルビル基であり、R
3及びR
4は独立して水素またはC
1〜16ヒドロカルビル基であるが、ただし、R
1またはR
2の少なくとも1つはメチルであるものとする)
を有する化合物を含むステップと、
包装材料の1つの表面の少なくとも一部にシクロデキストリン組成物を約0.01ミクロン〜1ミリメートルの厚さで配設して、コーティングを形成するステップと、
コーティングを放射線源に暴露して、硬化シクロデキストリン組成物を形成するステップと
を含む。
【0152】
付加的な限定または要素のリストには以下のものが含まれるが、これらに限定されない:
a.シクロデキストリン組成物は、組成物の重量に基づいて約0.1重量%〜5重量%の1つまたは複数の光開始剤を更に含み、ここで、照射はUV放射線により達成される;
b.シクロデキストリン組成物は、組成物の重量に基づいて約0.1重量%〜5重量%の1つまたは複数の光開始剤を更に含み、そして更に、コーティングの前にシクロデキストリン組成物の放射線源への付加的な暴露を含み、ここで、放射線源は紫外放射線である;
c.1つまたは複数の付加的なモノマー、付加的な光開始剤、またはこれらの組み合わせは、付加的な暴露の後、配設の前にシクロデキストリン組成物に添加される;
d.放射線源は電子ビーム放射線である;
e.放射線源は紫外放射線である;
f.コーティングは、包装材料の1つの主表面の全体にわたって配設される;
g.コーティングは、包装材料の1つの主表面の一部に配設される;
h.配設は印刷によって達成される;
i.印刷は、グラビア印刷、フレキソ印刷、またはインクジェット印刷である;
j.硬化シクロデキストリン組成物は感圧接着剤を含む;
k.ライナーは、シクロデキストリン組成物の上に配設される;
l.ライナーは、照射の前に配設される;
m.ライナーは、照射の後に配設される;
n.ライナーは乾燥剤を含む;
o.処理包装材料は処理容器である;
p.方法は、処理包装材料から処理容器を形成するステップを更に含む;
q.方法は、処理包装材料から処理パッケージインサートを形成するステップを更に含む;
r.方法は、処理包装材料から処理ラベルを形成するステップを更に含む;
s.方法は、処理積層物を形成するステップを更に含む;
t.方法は、処理積層容器を形成するステップを更に含む;
u.方法は、封入容積を有する容器の内側に硬化シクロデキストリン組成物を配設する(ここで、硬化シクロデキストリン組成物は封入容積と接触する)ステップを更に含む;
v.方法は、封入容積を有する容器の外側に硬化シクロデキストリン組成物を配設する(ここで、硬化シクロデキストリン組成物は封入容積と直接接触しない)ステップを更に含む;
w.方法は、農産物品を容器の内部に封入するステップを更に含む。
【0153】
上記は、本発明の実施形態を開示する。本記載及び特許請求の範囲において、例えば、組成物中の成分の量、濃度、容積、プロセス温度、プロセス時間、収率、流速、圧力、及び同様の値、及びその範囲を修飾する、本開示の実施形態の説明で使用される「約」は、例えば、化合物、組成物、濃縮物の製造または配合物の使用のために使用される典型的な測定及び取扱い手順によって、これらの手順における不注意な誤差によって、方法を実行するために使用される出発材料または成分の製造、供給源、または純度の差異によって、そして同様の近似の検討事項によって生じ得る数量の変動を指す。また「約」という用語は、特定の初期濃度または混合物を有する配合物の経年劣化により異なる量、及び特定の初期濃度または混合物を有する配合物の混合または加工のために異なる量も包含する。「
約」という用語によって修飾されている場合、本明細書に付属の特許請求の範囲は、これらの量と同等の量を含む。「任意の」または「任意選択により」は、これに続いて記載される事象または状況が発生し得るが、必ずしも発生しなくてもよいこと、そしてその記載が、事象または状況が発生する場合及び発生しない場合を含むことを意味する。本発明は、適切に、開示または列挙されるあらゆる要素を含む、これらからなる、本質的にこれらからになることができる。従って、本明細書において説明として開示される本発明は、本明細書において明確に開示されていない任意の要素が存在しなくても適切に実施することができる。単数形の使用は、通常、複数形を含み、少なくとも複数形を排除しない。
【0154】
明細書、図面、実施例及びデータは、今まで開発されてきたように本発明の詳細な説明を提供する。しかしながら、本発明は、本発明の趣旨または意図される範囲から逸脱することなく、他の実施形態の形を取ることができる。従って、本発明は付属の特許請求の範囲に存在する。
(項目1)
1つまたは複数の放射線重合性モノマーと、シクロデキストリン包接錯体とを含むシクロデキストリン組成物であって、前記シクロデキストリン包接錯体が、シクロデキストリン化合物及び農産物のエチレン発生のオレフィン系抑制剤を含み、前記オレフィン系抑制剤が、構造
【0155】
【化1】
【0156】
(式中、R
1、R
2はそれぞれ独立して水素またはC
1〜16ヒドロカルビル基であり、R
3及びR
4は独立して水素またはC
1〜16ヒドロカルビル基であるが、ただし、R
1またはR
2の少なくとも1つはメチルであるものとする)
を有する化合物を含むシクロデキストリン組成物。
(項目2)
前記1つまたは複数の放射線重合性モノマーが、アクリル酸、メタクリル酸、アクリレートエステル、メタクリレートエステル、アクリルアミド、ジアクリレート、トリアクリレート、テトラアクリレート、またはこれらの混合物を含む、項目1に記載の組成物。
(項目3)
前記組成物が光開始剤を更に含む、項目1に記載の組成物。
(項目4)
前記組成物が1つまたは複数のプレポリマーを更に含む、項目1に記載の組成物。
(項目5)
前記オレフィン系抑制剤が1−メチルシクロプロペンを含む、項目1に記載の組成物。(項目6)
前記シクロデキストリン化合物がα−シクロデキストリンを含む、項目5に記載の組成物。
(項目7)
前記組成物が、前記組成物の重量に基づいて約0.01重量%〜10重量%のシクロデキストリン包接錯体を含む、項目1に記載の組成物。
(項目8)
包装材料と、前記包装材料の1つの表面の少なくとも一部に配設された硬化シクロデキストリン組成物とを含む処理包装材料であって、前記硬化シクロデキストリン組成物が、1つまたは複数の放射線重合性モノマーから誘導されるポリマーと、シクロデキストリン包接錯体とを含み、前記シクロデキストリン包接錯体が、シクロデキストリンと、農産物のエチレン発生のオレフィン系抑制剤とを含み、前記オレフィン系抑制剤が、構造
【0157】
【化2】
【0158】
(式中、R
1、R
2はそれぞれ独立して水素またはC
1〜16ヒドロカルビル基であり、R
3及びR
4は独立して水素またはC
1〜16ヒドロカルビル基であるが、ただし、R
1またはR
2の少なくとも1つはメチルであるものとする)
を有する化合物を含む処理包装材料。
(項目9)
前記処理包装材料が、フィルム、シート、バッグ、果物かご、皿、カップ、カバー、ラベル、板紙、または処理パッケージインサートを含む、項目8に記載の処理包装材料。
(項目10)
前記包装材料がポリオレフィンまたはポリエステルを含む、項目8に記載の処理包装材料。
(項目11)
前記硬化シクロデキストリン組成物が感圧接着剤を含む、項目8に記載の処理包装材料。
(項目12)
前記硬化シクロデキストリン組成物が、印刷またはエンボス加工された特徴を含む、項目8に記載の処理包装材料。
(項目13)
前記処理包装材料が処理積層物である、項目8に記載の処理包装材料。
(項目14)
処理包装材料を含む容器であって、前記容器が封入容積を含み、前記処理包装材料が、包装材料の表面の少なくとも一部に配設された硬化シクロデキストリン組成物を含み、前記硬化シクロデキストリン組成物が、1つまたは複数の放射線重合性モノマーから誘導されるポリマーと、シクロデキストリン包接錯体とを含み、前記シクロデキストリン包接錯体が農産物のエチレン発生のオレフィン系抑制剤を含み、前記オレフィン系抑制剤が、構造
【0159】
【化3】
【0160】
(式中、R
1、R
2はそれぞれ独立して水素またはC
1〜16ヒドロカルビル基であり、R
3及びR
4は独立して水素またはC
1〜16ヒドロカルビル基であるが、ただし、R
1またはR
2の少なくとも1つはメチルであるものとする)
を有する化合物を含む容器。
(項目15)
前記容器が処理積層容器である、項目14に記載の容器。
(項目16)
前記硬化シクロデキストリン組成物がパッケージインサート上のコーティングとして存在する、項目14に記載の容器。
(項目17)
農産物品を更に含む、項目14に記載の容器。
(項目18)
前記封入容積が約0℃〜20℃の間の温度で50%〜100%の間の相対湿度を含む、項目14に記載の容器。
(項目19)
前記封入容積が、約0℃〜20℃の間の温度で100%の相対湿度を含み、そして更に液体水を含む、項目14に記載の容器。
(項目20)
前記オレフィン系抑制剤が、約2.5ppb〜10ppmの濃度で前記封入容積内に存在する、項目14に記載の容器。
(項目21)
処理包装材料を製造する方法であって、
a.1つまたは複数の放射線重合性モノマーと、シクロデキストリン組成物の重量に基づいて約0.05重量%〜10重量%のシクロデキストリン包接錯体とを含むシクロデキストリン組成物を形成するステップであって、前記シクロデキストリン包接錯体がシクロデキストリン及び農産物のエチレン発生のオレフィン系抑制剤を含み、前記オレフィン系抑制剤が、構造
【0161】
【化4】
【0162】
(式中、R
1、R
2はそれぞれ独立して水素またはC
1〜16ヒドロカルビル基であり、R
3及びR
4は独立して水素またはC
1〜16ヒドロカルビル基であるが、ただし、R
1
またはR
2の少なくとも1つはメチルであるものとする)
を有する化合物を含むステップと、
b.包装材料の1つの表面の少なくとも一部に前記シクロデキストリン組成物を約0.01ミクロン〜1ミリメートルの厚さで配設して、コーティングを形成するステップと、
c.前記コーティングを放射線源に暴露して、硬化シクロデキストリン組成物を形成するステップと
を含む方法。
(項目22)
前記シクロデキストリン組成物が更に、組成物の重量に基づいて約0.1重量%〜5重量%の1つまたは複数の光開始剤を含み、前記放射線源が紫外放射線である、項目21に記載の方法。
(項目23)
前記シクロデキストリン組成物が更に、組成物の重量に基づいて約0.1重量%〜5重量%の1つまたは複数の光開始剤を含み、そして更に、前記シクロデキストリン組成物を配設する前に紫外放射線に暴露することを含む、項目21に記載の方法。