特許第6389007号(P6389007)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6389007ステープルカートリッジユニットと当該ステープルカートリッジユニットを使用する医療用ステープラー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6389007
(24)【登録日】2018年8月24日
(45)【発行日】2018年9月12日
(54)【発明の名称】ステープルカートリッジユニットと当該ステープルカートリッジユニットを使用する医療用ステープラー
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/072 20060101AFI20180903BHJP
【FI】
   A61B17/072
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-531738(P2017-531738)
(86)(22)【出願日】2015年12月22日
(65)【公表番号】特表2018-502628(P2018-502628A)
(43)【公表日】2018年2月1日
(86)【国際出願番号】CN2015098180
(87)【国際公開番号】WO2016107449
(87)【国際公開日】20160707
【審査請求日】2017年6月13日
(31)【優先権主張番号】201410841670.6
(32)【優先日】2014年12月30日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515067000
【氏名又は名称】タッチストーン インターナショナル メディカル サイエンス カンパニーリミテッド
【氏名又は名称原語表記】TOUCHSTONE INTERNATIONAL MEDICAL SCIENCE CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェン ワンドン
(72)【発明者】
【氏名】シュ トゥォ
(72)【発明者】
【氏名】イェ イェンピン
(72)【発明者】
【氏名】ガオ フゥイ
【審査官】 吉川 直也
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/040984(WO,A1)
【文献】 特開2011−200664(JP,A)
【文献】 特開2010−279694(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/072
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステープルカートリッジコネクタと、プッシュ・ブレードロッドとを含むステープルカートリッジユニットであって、
バネを更に含み、
前記バネには第1貫通溝が設けられ、前記プッシュ・ブレードロッドは複数枚の薄片を重ねて構成され、
前記ステープルカートリッジユニットが初期状態と閉鎖状態にあるとき、前記プッシュ・ブレードロッドの一部は前記第1貫通溝内に位置し、前記第1貫通溝は前記複数枚の薄片の重ね方向に前記複数枚の薄片の相互分離を制限し、
前記ステープルカートリッジユニットのトリガー過程中、前記プッシュ・ブレードロッドは前記ステープルカートリッジユニットの先端に向けて移動することにより前記バネを押圧して変形させ、前記プッシュ・ブレードロッドは徐々に前記第1貫通溝を離脱し、
前記ステープルカートリッジユニットのトリガーが完了したときに、前記プッシュ・ブレードロッドは前記第1貫通溝を離脱することを特徴とするステープルカートリッジユニット。
【請求項2】
前記プッシュ・ブレードロッドは前記複数枚の薄片を重ねて形成された第1端面及び前記第1端面と乖離する第2端面を含み、前記ステープルカートリッジユニットが初期状態と閉鎖状態にあるとき、前記バネの最高点と前記第1端面の距離は前記最高点と前記第2端面の距離より大きく、前記ステープルカートリッジユニットのトリガー過程中、前記最高点は徐々に前記第2端面から離隔するとともに前記第1端面に近づき、前記ステープルカートリッジユニットのトリガーが完了したときに、前記バネは前記プッシュ・ブレードロッドと離れることを特徴とする請求項1に記載のステープルカートリッジユニット。
【請求項3】
前記バネは前記ステープルカートリッジコネクタに可動接続された第1端及び第2端を含み、前記ステープルカートリッジユニットのトリガー過程中、前記第1端は前記ステープルカートリッジユニットの先端に向けて移動すると同時に、前記第2端は前記ステープルカートリッジユニットの基端に向けて移動することを特徴とする請求項1に記載のステープルカートリッジユニット。
【請求項4】
前記バネは、前記ステープルカートリッジコネクタに可動接続された第1端と、前記ステープルカートリッジコネクタに固定接続された第2端とを含み、前記ステープルカートリッジユニットのトリガー過程中、前記第1端は前記ステープルカートリッジユニットの先端に向けて移動することを特徴とする請求項1に記載のステープルカートリッジユニット。
【請求項5】
ストップブロックを更に含み、前記第1端と前記第1貫通溝の間に第2貫通溝が設けられ、前記第2貫通溝は前記ストップブロックを介し前記ステープルカートリッジコネクタと可動接続され、前記ステープルカートリッジユニットが初期状態と閉鎖状態にあるとき、前記第2貫通溝と前記ストップブロックは互いに相対的に静止し、前記ステープルカートリッジユニットのトリガー過程中に、前記ストップブロックは前記第2貫通溝内にスライド可能であり、前記第2貫通溝は前記ストップブロックに対して前記ステープルカートリッジユニットの先端に向けて移動することを特徴とする請求項4に記載のステープルカートリッジユニット。
【請求項6】
前記ストップブロックはストップビンであり、前記ストップビンは前記ステープルカートリッジコネクタと固定接続されることを特徴とする請求項5に記載のステープルカートリッジユニット。
【請求項7】
前記プッシュ・ブレードロッドはプッシュ・ブレードロッド本体と末端を含み、前記末端は前記プッシュ・ブレードロッド本体の基端に位置し、前記第1貫通溝の基端と前記第2端の間は当接部であり、前記プッシュ・ブレードロッドが前記ステープルカートリッジユニットの先端に向けて移動するとき、前記末端は前記当接部を押圧することにより、前記バネを変形させることを特徴とする請求項4に記載のステープルカートリッジユニット。
【請求項8】
前記バネは前記ステープルカートリッジコネクタの基端と先端との中間位置に存在することを特徴とする請求項1に記載のステープルカートリッジユニット。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のステープルカートリッジユニットを含むことを特徴とする医療用ステープラー。
【請求項10】
トリガーロッドを更に含み、前記医療用ステープラーのトリガーが完了したときに、前記トリガーロッドは前記バネに当接することを特徴とする請求項9に記載の医療用ステープラー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は出願日2014年12月30日、出願番号201410841670.6、発明名称「ステープルカートリッジユニットと当該ステープルカートリッジユニットを使用する医療用ステープラー」の中国特許出願の優先権を主張し、その内容は全体として本明細書に引用される。
本発明は、医療機器分野に関し、具体的に、ステープルカートリッジユニットと当該ステープルカートリッジユニットを使用する医療用ステープラーに関する。
【背景技術】
【0002】
医療用ステープラーは、腸などの生理組織に対して外科手術を行うときによく使われる一種の医療器械であり、医学で伝統の手動縫合の代わりに使用される設備でもある。現代科学技術の発展と製造技術の改善によって、現在臨床で用いられる医療用ステープラーは、品質に信頼性があり、使いやすくて厳密であり、適度な遊びがある。特に、それによる縫合が早くて、操作が簡単で、副作用と手術の合併症が滅多にないというメリットがあるとともに、手術を通じて切除できない腫瘍を切除できる場合もあるため、国内外の臨床外科医師から愛顧と推奨を受けている。しかし、その機器の性能の相違は、手術の効果に関して極めて重要な役割を果たしている。
【0003】
現在、医療用ステープラーのプッシュ・ブレードロッドは、複数枚の薄片薄片で構成され、各薄片の厚さが約0.25mmである。薄片が薄くて弾性を有するので、複数枚の薄片で構成されたプッシュ・ブレードロッドは外力の作用で曲げ変形可能である。実際の応用では、医療用ステープラーのトリガー中及びプッシュ・ブレードロッドを曲げたとき、複数枚の薄片が非常に大きな外力を受けるため、複数枚の薄片は複数枚の薄片の重ね方向に変形または相互分離しやすくなる。その結果、医療用ステープラーは、正確な位置まで打ち込めない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、ステープルカートリッジユニットと当該ステープルカートリッジユニットを使用する医療用ステープラーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的の一つを実現するために、一実施形態において、ステープルカートリッジユニットを提供する。前記ステープルカートリッジユニットはステープルカートリッジコネクタとプッシュ・ブレードロッドを含む。前記ステープルカートリッジユニットはバネを更に含む。前記バネには第1貫通溝が設けられ、前記プッシュ・ブレードロッドは複数枚の薄片を重ねて構成される。前記ステープルカートリッジユニットが初期状態と閉鎖状態にあるとき、前記プッシュ・ブレードロッドの一部は前記第1貫通溝内に位置し、前記第1貫通溝は前記複数枚の薄片の重ね方向に前記複数枚の薄片の相互分離を制限し、前記ステープルカートリッジユニットのトリガー過程中、前記プッシュ・ブレードロッドは前記ステープルカートリッジユニットの先端に向けて移動することにより前記バネを押圧して変形させ、前記プッシュ・ブレードロッドは徐々に前記第1貫通溝を離脱し、前記ステープルカートリッジユニットのトリガーが完了したときに、前記プッシュ・ブレードロッドは前記第1貫通溝を離脱する。
【0006】
好ましい実施例において、前記プッシュ・ブレードロッドは前記複数枚の薄片を重ねて形成された第1端面及び前記第1端面と乖離する第2端面を含み、前記ステープルカートリッジユニットが初期状態と閉鎖状態にあるとき、前記バネの最高点と前記第1端面の距離は前記最高点と前記第2端面の距離より大きく、前記ステープルカートリッジユニットのトリガー過程中、前記最高点は徐々に前記第2端面から離隔するとともに前記第1端面に近づき、前記ステープルカートリッジユニットのトリガーが完了したときに、前記バネは前記プッシュ・ブレードロッドと離れる。
【0007】
好ましい実施例において、前記バネは前記ステープルカートリッジコネクタに可動接続された第1端及び第2端を含み、前記ステープルカートリッジユニットのトリガー過程中、前記第1端は前記ステープルカートリッジユニットの先端に向けて移動すると同時に、前記第2端は前記ステープルカートリッジユニットの基端に向けて移動する。
【0008】
好ましい実施例において、前記バネは前記ステープルカートリッジコネクタに可動接続された第1端と、前記ステープルカートリッジコネクタに固定接続された第2端とを含み、前記ステープルカートリッジユニットのトリガー過程中、前記第1端は前記ステープルカートリッジユニットの先端に向けて移動する。
【0009】
好ましい実施例において、前記ステープルカートリッジユニットはストップブロックを更に含み、前記第1端と前記第1貫通溝の間に第2貫通溝が設けられ、前記第2貫通溝は前記ストップブロックを介し前記ステープルカートリッジコネクタに可動接続され、前記ステープルカートリッジユニットが初期状態と閉鎖状態にあるとき、前記第2貫通溝と前記ストップブロックは互いに相対的に静止し、前記ステープルカートリッジユニットのトリガー過程中、前記ストップブロックは前記第2貫通溝内にスライド可能であり、前記第2貫通溝は前記ストップブロックに対して前記ステープルカートリッジユニットの先端に向けて移動する。
【0010】
好ましい実施例において、前記ストップブロックはストップビンであり、前記ストップビンは前記ステープルカートリッジコネクタと固定接続される。
【0011】
好ましい実施例において、前記プッシュ・ブレードロッドはプッシュ・ブレードロッド本体と末端を含み、前記末端は前記プッシュ・ブレードロッド本体の基端に位置し、前記第1貫通溝の基端と前記第2端の間は当接部であり、前記プッシュ・ブレードロッドが前記ステープルカートリッジユニットの先端に向けて移動するとき、前記末端は前記当接部を押圧することにより、前記バネを変形させる。
【0012】
好ましい実施例において、前記バネは前記ステープルカートリッジコネクタの基端と先端との中間位置に存在する。
【0013】
本発明の目的の一つを実現するために、一実施形態において、医療用ステープラーを提供し、前記医療用ステープラーは以上の実施例に記載されたステープルカートリッジユニットを含む。
【0014】
好ましい実施例において、前記医療用ステープラーはトリガーロッドを更に含み、前記医療用ステープラーのトリガーが完了したときに、前記トリガーロッドは前記バネに当接する。
【発明の効果】
【0015】
従来技術と比べて、本発明は、下記の有利な作用効果を奏する。バネにおける第1貫通溝により複数枚の薄片の位置を制限するため、複数枚の薄片は前記複数枚の薄片の重ね方向に互いに離隔しない。また、バネの変形により、プッシュ・ブレードロッドは順調に前記医療用ステープラーの先端または基端に向けて移動でき、バネがプッシュ・ブレードロッドの移動を阻害することが回避される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態による医療用ステープラーの構造概要図である。
図2】本発明の一実施形態におけるステープルカートリッジユニットの平面図である。
図3】本発明の一実施形態におけるステープルカートリッジユニットを模式的に示す構造分解図である。
図4】本発明の一実施形態におけるステープルカートリッジユニットの初期状態にあるときの構造概要図である。
図5】本発明の一実施形態におけるステープルカートリッジユニットは初期状態にあるときのバネの構造概要図である。
図6】本発明の一実施形態におけるステープルカートリッジユニットのトリガー過程中の構造概要図である。
図7】本発明の一実施形態におけるステープルカートリッジユニットのトリガーが完了したときの構造概要図である。
図8】本発明の一実施形態におけるステープルカートリッジユニットのトリガーが完了したときのバネの構造概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に示された具体的な実施形態を参照し、本発明を詳細に説明する。これら実施形態は本発明を限定しない。当業者はこれら実施形態に基づいて作り出した構造、方法、或いは機能性変更は、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
【0018】
本発明に記載された位置と方向を表す言葉は、いずれも器械オペレータを参照とし、オペレータに近い一端を基端とし、オペレータから離れた一端を先端とする。
【0019】
本発明の実施形態において、内視鏡外科のカットステープラー(Endo-GIA)を例として本発明の医療用ステープラーを詳細に説明する。以下の実施形態にかかる技術について、他の形態のステープラーにも応用することができる。
【0020】
図1図3に示すように、医療用ステープラーは、複数の縫合ビンを人体の生理組織に加えると同時に、生理組織を対応するようにカットするために用いられる。前記医療用ステープラーは器械本体10、器械本体10にマッチングする回転リング20、及び前記器械本体10をピボット接続するトリガーハンドル30を含む。
【0021】
前記器械本体10の先端にステープルカートリッジユニット40が設けられている。前記ステープルカートリッジユニット40はステープルカートリッジ41、ビンアンビル42、ステープルカートリッジフレーム43、ステープルカートリッジコネクタ44、エ形ナイフ45、及びステープルカートリッジコネクタ44の先端に設けられた関節46を含む。関節46の回転方向及び回転角度を制御することにより、ステープルカートリッジ41とビンアンビル42に限定された区域をステープルカートリッジコネクタ44に対し回転させ、多角度切断吻合手術に適応する。
【0022】
前記ステープルカートリッジフレーム43は一つの支持チャネルを限定し、ステープルカートリッジ41を着脱可能にその中に収納する。前記ステープルカートリッジフレーム43は前記ステープルカートリッジ41を前記ステープルカートリッジコネクタ44に接続する。
【0023】
本実施形態において、ステープルカートリッジ41とビンアンビル42は相対的に回転することができるように配置されている。ステープルカートリッジ41とビンアンビル42は開いている状態に回転したときに、操作された目標である生理組織がこれらの間に置かれる。この後、ステープルカートリッジ41とビンアンビル42は閉鎖状態に回転することにより、これらの間に置かれた目標である生理組織は締付けられ、後のカットと縫合操作を行う。
【0024】
前記医療用ステープラー・ステープルカートリッジユニット40が初期状態にあるとき、前記ビンアンビル42の基端にあるビンアンビルの末端に外力が作用することにより、前記ビンアンビル42とステープルカートリッジ41の開いている状態を維持し、前記エ形ナイフ45は前記ステープルカートリッジユニット40の基端に位置する。
【0025】
前記医療用ステープラー・ステープルカートリッジユニット40が閉鎖状態にあるとき、前記エ形ナイフ45の駆動を受け、前記ビンアンビル42とステープルカートリッジ41は閉鎖し、目標である生理組織は締付けられている。前記初期状態に対し、前記エ形ナイフ45は前記医療用ステープラー・ステープルカートリッジユニット40の先端に向けて一定の距離を移動したが、依然として前記ステープルカートリッジユニット40の基端に位置する。
【0026】
前記医療用ステープラー・ステープルカートリッジユニット40がトリガー状態にあるとき、前記ビンアンビル42とステープルカートリッジ41は依然として閉鎖し、前記エ形ナイフ45は前記ステープルカートリッジユニット40の基端から先端に向けて移動し、締付けられた生理組織をカットし、前記ステープルカートリッジユニット40の先端において位置決めされて移動を停止する。
【0027】
図3に示すように、前記ステープルカートリッジフレーム43は前記ビンアンビル42から離れかつ前記エ形ナイフ45の一端451と協働する第1当接面432を含む。前記ビンアンビル42はビンアンビル面と反対しかつ前記エ形ナイフ45の他端452に合う第2当接面を含む。
【0028】
ステープルカートリッジ41、ビンアンビル42、ステープルカートリッジフレーム43には、前記エ形ナイフ45に係合するナイフ溝411、421、431が形成されている。前記ナイフ溝411、421、431はそれぞれ前記ステープルカートリッジ41、前記ビンアンビル42、前記ステープルカートリッジフレーム43の基端から先端に向けて延びている。前記ステープルカートリッジ41と前記ビンアンビル42が閉鎖した後に、前記ナイフ溝411、421、431が互いに協働することにより、前記エ形ナイフ45は前記ステープルカートリッジユニット40の基端から先端に向けて、または先端から基端に向けて移動するチャンネルを形成することができる。
【0029】
前記ステープルカートリッジユニット40は前記エ形ナイフ45の基端に接続したプッシュ・ブレードロッド47を更に含み、前記プッシュ・ブレードロッド47は前記エ形ナイフ45を前記ナイフ溝411、421、431の基端から先端に向けて、または先端から基端に向けて移動させることができる。この期間に、ナイフ溝411、421、431はエ形ナイフ45とプッシュ・ブレードロッド47に対し移動ルートを提供し、同時にガイドする。ビンアンビル42とステープルカートリッジ41に限定された区域はステープルカートリッジコネクタ44に対し一定の角度を回転したときに、プッシュ・ブレードロッド47も一定の角度で曲げ、よってエ形ナイフ45は順調に医療用ステープラーの先端に向けて移動する。
【0030】
図4図8に示すように、ステープルカートリッジユニット40はバネ50を更に含む。前記バネ50には第1貫通溝55が設けられ、図3に示すように、前記プッシュ・ブレードロッド47は複数枚の薄片で構成されている。図4図5に示すように、ステープルカートリッジユニット40が初期状態と閉鎖状態にあるとき、前記プッシュ・ブレードロッド47の一部は前記第1貫通溝55内に位置し、前記第1貫通溝55は前記複数枚の薄片の重ね方向に前記複数枚の薄片の相互分離を制限する。図6に示すように、ステープルカートリッジユニット40のトリガー過程中、前記プッシュ・ブレードロッド47は前記ステープルカートリッジユニット40の先端に向けて移動することにより、前記バネ50を押圧する。すると、前記バネ50が変形し、前記プッシュ・ブレードロッド47は徐々に前記第1貫通溝55を離脱する。図7に示すように、ステープルカートリッジユニット40のトリガーが完了した後に、前記エ形ナイフ45は前記ステープルカートリッジユニット40の先端において位置決めされて停止し、前記プッシュ・ブレードロッド47は完全に前記第1貫通溝55を離脱する。
【0031】
本実施形態において、前記第1貫通溝55の前記複数枚の薄片の重ね方向での幅は、前記複数枚の薄片の重ね厚さに等しい、或いは前記複数枚の薄片の重ね厚さより大きい。よって第1貫通溝55は前記複数枚の薄片の重ね方向にプッシュ・ブレードロッド47を構成した複数枚の薄片の相互分離を一層制限することができる。
【0032】
本実施形態において、図4図5に示すように、前記バネ50は前記ステープルカートリッジコネクタ44に接続された第1端51及び第2端52を含む。前記第1端51と前記第2端52のうちの少なくとも一つは前記ステープルカートリッジコネクタ44と可動接続される。本実施形態において、第1端51はステープルカートリッジコネクタ44と可動接続されかつ第2端52はステープルカートリッジコネクタ44と固定接続される形態を示例しており、ステープルカートリッジユニット40のトリガー過程中、前記第1端51は前記ステープルカートリッジユニット40の先端に向けて移動したが、これに限られるものではなく、示例の一つに、前記第2端52はステープルカートリッジコネクタ44と可動接続されかつ第1端51はステープルカートリッジコネクタ44と固定接続され、ステープルカートリッジユニット40のトリガー過程中、前記第2端52は前記ステープルカートリッジユニット40の基端に向けて移動する。ほかの示例として、前記第1端51と前記第2端52はいずれもステープルカートリッジコネクタ44と可動接続され、ステープルカートリッジユニット40のトリガー過程中、前記第1端51は前記ステープルカートリッジユニット40の先端に向けて移動し、同時に前記第2端52は前記ステープルカートリッジユニット40の基端に向けて移動する。
【0033】
本実施形態において、図4図5に示すように、前記第1端51はステープルカートリッジコネクタ44と可動接続され、前記第1端51と前記第1貫通溝55の先端の間に第2貫通溝56が設けられている。前記第2貫通溝56はストップブロック53を介して前記ステープルカートリッジコネクタ44と接続され、ストップブロック53とステープルカートリッジコネクタ44は互いに固定されている。ステープルカートリッジユニット40が初期状態、閉鎖状態及びトリガー完了時、前記第2貫通溝56と前記ストップブロック53は互いに相対的に静止する。ステープルカートリッジユニット40のトリガー過程中、前記ストップブロック53は前記第2貫通溝56内にスライド可能であり、前記第2貫通溝56は前記ストップブロック53に対し前記ステープルカートリッジユニット40の先端に向けて移動する。前記ストップブロック53はストップビン53でもよく、ストップビン53のトップの最大直径は第2貫通溝56の複数枚の薄片の重ね方向での幅より大きい。よって第2貫通溝56はストップブロック53を離脱することを防止できる。
【0034】
本実施形態において、前記第2端52は前記ステープルカートリッジコネクタ44と固定接続され、前記プッシュ・ブレードロッド47はプッシュ・ブレードロッド本体473と末端474を含む。前記末端474は前記プッシュ・ブレードロッド本体473の基端に位置し、末端474は前記第2端52の方向へ前記プッシュ・ブレードロッド本体473を押出す。前記第1貫通溝55の基端と前記第2端52の間は当接部57であり、前記末端474と前記当接部57が互いに干渉したとき、前記末端474は前記バネ50を押圧することにより、前記バネ50を変形させる。
【0035】
本実施形態において、前記第1貫通溝55及び第2貫通溝56はいずれもバネ50の厚さ方向に前記バネ50を貫通し、前記当接部57はバネ50を貫通しない。実際に、前記当接部57はバネ50の一部である。
【0036】
本実施形態において、前記プッシュ・ブレードロッド47の基端は、伝動ブロック60を介してトリガーロッド70と接続され、トリガーロッド70は、前記ステープルカートリッジユニット40の先端及び基端に向けて移動するように前記プッシュ・ブレードロッド47を制御する。
【0037】
本実施形態のステープルカートリッジユニット40の具体的な作業プロセスを以下に示す。本実施形態において、ステープルカートリッジユニット40を水平に置き、ステープルカートリッジ41はビンアンビル42の下に位置する形態を示例とし、他の方位性を描く言葉について、上述の説明をもとにする。また、本実施形態において、バネ50はステープルカートリッジコネクタ44の下の区域に設置される形態を示例とし、ステープルカートリッジコネクタ44の下の区域はステープルカートリッジ41に隣接する区域であるが、これに限られるものではなく、他の本実施形態において、バネ50は他の区域に設置してもよく、前記プッシュ・ブレードロッド47は前記複数枚の薄片を重ねて形成された第1端面471及び前記第1端面471と乖離する第2端面472を含む。
【0038】
図4図5に示すように、前記ステープルカートリッジユニット40が初期状態と閉鎖状態にあるとき、前記バネ50の最高点54と前記第1端面471の距離は前記最高点54と前記第2端面472の距離より大きく、好ましくは、前記最高点54は前記第2端面472より高い。前記プッシュ・ブレードロッド47の末端474は前記バネ50の当接部57から離れ、前記第2貫通溝56と前記ストップブロック53は互いに相対的に静止し、前記プッシュ・ブレードロッド47の一部は前記第1貫通溝55内に位置し、第1貫通溝55は前記複数枚の薄片の重ね方向に前記複数枚の薄片の相互分離を制限する。
【0039】
図6に示すように、ステープルカートリッジユニット40のトリガー過程中、前記最高点54は徐々に前記第2端面472から遠く離れるとともに前記第1端面471に近づく。前記プッシュ・ブレードロッド47は前記ステープルカートリッジユニット40の先端に向けて移動するとき、前記プッシュ・ブレードロッド47の末端474は徐々に前記当接部57に近づいて、かつ前記当接部57を押し、よって前記バネ50は変形する。前記第2貫通溝56は前記ストップブロック53に対し前記ステープルカートリッジユニット40の先端に向けて移動し、このとき、前記プッシュ・ブレードロッド47の一部は依然として前記第1貫通溝55内に位置し、第1貫通溝55は前記複数枚の薄片の重ね方向に前記複数枚の薄片の相互分離を制限する。最高点54を徐々に前記第1端面471の近くに降ろしたとき、前記プッシュ・ブレードロッド47の末端474は徐々に前記当接部57を離脱し、トリガーロッド70は徐々にバネ50に当接する。このとき、プッシュ・ブレードロッド47、伝動ブロック60及びトリガーロッド70はいずれも前記バネ50の上に移動でき、また、プッシュ・ブレードロッド47はステープルカートリッジユニット40の最も遠い端に達するまでに、プッシュ・ブレードロッド47、伝動ブロック60及びトリガーロッド70はバネ50の上方においてバネ50を押し続けることができる。
【0040】
図7図8に示すように、ステープルカートリッジユニット40のトリガーが完了したときに、前記バネ50と前記プッシュ・ブレードロッド47は離れている。前記プッシュ・ブレードロッド47の末端474は前記バネ50の当接部57を遠く離れ、前記第2貫通溝56と前記ストップブロック53は相対的に静止し、前記バネ50はプッシュ・ブレードロッド47、伝動ブロック60及びトリガーロッド70の下に位置することにより、前記プッシュ・ブレードロッド47はステープルカートリッジユニット40の基端に向けて移動したときに、前記プッシュ・ブレードロッド47、伝動ブロック60及びトリガーロッド70はいずれも前記バネ50の上に移動できる。図4に示すように、前記バネ50は前記ステープルカートリッジコネクタ44の基端と先端の間の真ん中に近い位置に配置される。当該位置とは、プッシュ・ブレードロッド47を対応する角度で曲げたときに複数枚の薄片が互いに最も離れやすい位置を指す。
【0041】
本実施形態において、ビンアンビル42とステープルカートリッジ41に限定された区域はステープルカートリッジコネクタ44に対し一定の角度だけ回転したときに、プッシュ・ブレードロッド47も一定の角度で曲げ、プッシュ・ブレードロッド47の先端が第1ナイフ溝411と第2ナイフ溝421内に挟持され、プッシュ・ブレードロッド47の基端が第1貫通溝55内に挟持されている。プッシュ・ブレードロッド47はエ形ナイフ45を推進し前に進むときに、第1貫通溝55のプッシュ・ブレードロッド47の基端に対する制限作用により、プッシュ・ブレードロッド47を構成する複数枚の薄片は互いに離れていない。その結果、プッシュ・ブレードロッド47は安定にエ形ナイフ45を推進し前に進むことができる。
【0042】
上述のように、本発明はバネ50における第1貫通溝55により複数枚の薄片の位置を制限し、よって複数枚の薄片は前記複数枚の薄片の重ね方向にお互いに離れておらず、かつ、バネ50の変形により、プッシュ・ブレードロッド47は順調に前記ステープルカートリッジユニット40の先端または基端に向けて移動でき、バネ50がプッシュ・ブレードロッド47の移動を妨げることが回避される。
【0043】
実施形態に基づいて本発明を説明したが、各実施形態は一つの独立した解決手段のみを含むものではなく、本発明の理解を容易にするためのものであり、各実施形態における解決手段を適宜組み合わせることも可能である。これにより、当業者は理解できる他の実施形態を形成する。
【0044】
上記のように各実施形態に対する説明は本発明の実現可能な実施方式に対する具体的な説明であり、本発明を限定するためのものではない。本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。したがって、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8