特許第6389076号(P6389076)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6389076
(24)【登録日】2018年8月24日
(45)【発行日】2018年9月12日
(54)【発明の名称】食品用容器の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/00 20060101AFI20180903BHJP
   B65D 81/34 20060101ALI20180903BHJP
   B65D 81/24 20060101ALI20180903BHJP
【FI】
   A47J27/00 107
   B65D81/34 U
   B65D81/24 G
【請求項の数】3
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-143411(P2014-143411)
(22)【出願日】2014年7月11日
(65)【公開番号】特開2016-19553(P2016-19553A)
(43)【公開日】2016年2月4日
【審査請求日】2017年5月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】501428187
【氏名又は名称】昭和電工パッケージング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109911
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義仁
(74)【代理人】
【識別番号】100071168
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 久義
(72)【発明者】
【氏名】苗村 正
【審査官】 豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−085853(JP,A)
【文献】 実開平06−031618(JP,U)
【文献】 特開平10−218235(JP,A)
【文献】 特開2009−045255(JP,A)
【文献】 特開平03−289440(JP,A)
【文献】 特開平09−290815(JP,A)
【文献】 特開2001−206335(JP,A)
【文献】 特開2015−051783(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00 − 36/42
B65D 81/24
B65D 81/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属層を含有しない樹脂製の内側容器と、少なくとも金属層を含有する成形用シートとを準備する工程と、
前記成形用シートに絞り成形を行うことによって、外側容器を成形すると同時に、該外側容器を前記内側容器の外面に重ね合わせて、前記両容器を分離可能に一体化させる工程と、を含み、
前記準備した絞り成形を行う前の内側容器の開口部の外径を「X」とし、前記外側容器の絞り成形を行う際に用いる絞り成形金型のダイスの開口部の内径を「Y」としたとき、
X≧Y
の関係式が成立することを特徴とする食品用容器の製造方法。
【請求項2】
0mm≦(X−Y)≦10mm
の関係式が成立する請求項1に記載の食品用容器の製造方法。
【請求項3】
0.5mm≦(X−Y)≦4.0mm
の関係式が成立する請求項1に記載の食品用容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状、固形状等の食品を中に入れるための容器であって、電子レンジでの加熱の際のスパーク発生を防止できる食品用容器及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属層を含む容器は、ガスバリア性に優れることから、食品用容器として広く普及しているが、このような金属層を含む容器に充填された食品を電子レンジで加熱する際、従前は、ガラス製容器や陶磁器製容器に食品を移し替えてから電子レンジで加熱していた。このような食品の移し替えを行っていたのは、金属層を含む容器を電子レンジで使用した場合、容器のフランジ端部に露出した金属層でスパークを発生して、容器が燃える可能性があるし、内容物の食品の品質に影響を及ぼす等の問題があったためである。
【0003】
金属層を含む容器を電子レンジで使用した際の上記問題を解決するものとして、特許文献1には、金属箔の両面を熱可塑性樹脂で被覆した構成からなる容器において、該容器のフランジ端部を外装体で覆った構成とし、前記容器の底部外面の中央部に、損失係数(ε・tanδ)が0.001以下、軟化点温度が100℃以上の樹脂からなり、高さが3.5mm以上のスパーク防止部材を設け、前記スパーク防止部材の断面積が容器底面積に対して1%以上、且つ、20mm2以上であることを特徴とする電子レンジ用容器を用いることが提案されている。上記諸特徴を備えたスパーク防止部材を設けると共に、容器のフランジ端部を外装体で覆って金属層の端部が露出しないようにすることによって、電子レンジでの加熱の際のスパーク発生を防止できることが特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−131270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の容器は、金属層が露出する部分はないものの、金属層を含む容器であるため、この容器を電子レンジで加熱すると、金属層の存在により電磁波が遮蔽されてしまって、容器に入っている食品への電磁波照射は、容器の開口部(通常、容器の上端の開口部)のみからとなり、食品の加熱効率が低いし、食品の加熱温度にムラが生じやすく(食品において部分的に加熱温度にムラが生じやすく)、また液状物を含む食品では加熱ムラにより突沸現象が生じることが懸念される。
【0006】
また、特許文献1に記載の容器では、容器中の金属層が熱伝導率が大きいので、電子レンジで加熱された食品の温度(熱量)を容器の外面に伝えやすく、容器が高温になるので、電子レンジで加熱した後に容器を取り出す際にそのまま手で持ちづらいという問題があった。
【0007】
更に、特許文献1に記載の容器は、他の物品との接触、外的衝撃等により、金属層の一部が露出する可能性があり、このように金属層の一部が露出した容器を電子レンジで加熱すると、スパークを発生する。
【0008】
本発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、容器としてのガスバリア性に優れていて酸素や水分から食品を保護することができる一方、電子レンジで加熱を行う際に、スパーク発生を防止できると共に、容器が高温になり難く、食品の加熱効率が高く、食品の加熱にムラが生じ難い食品用容器及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
【0010】
[1]金属層を含有しない樹脂製の内側容器と、少なくとも金属層を含有する成形用シートとを準備する工程と、
前記成形用シートに絞り成形を行うことによって、外側容器を成形すると同時に、該外側容器を前記内側容器の外面に重ね合わせて、前記両容器を分離可能に一体化させる工程と、を含み、
前記準備した絞り成形を行う前の内側容器の開口部の外径を「X」とし、前記外側容器の絞り成形を行う際に用いる絞り成形金型のダイスの開口部の内径を「Y」としたとき、
X≧Y
の関係式が成立することを特徴とする食品用容器の製造方法。
【0011】
[2]0mm≦(X−Y)≦10mm
の関係式が成立する前項1に記載の食品用容器の製造方法。
【0012】
[3]0.5mm≦(X−Y)≦4.0mm
の関係式が成立する前項1に記載の食品用容器の製造方法。
【0013】
[4]金属層を含有しない樹脂製の内側容器と、
少なくとも金属層を含有する外側容器と、を備え、
前記内側容器の外面に前記外側容器が重ね合わされて前記両容器が分離可能に一体化されてなり、
前記一体化されている両容器を分離したときに、前記分離状態の内側容器の開口部の外径を「E」とし、前記分離状態の外側容器の開口部の内径を「F」としたとき、
E≧F
の関係式が成立することを特徴とする食品用容器。
【0014】
[5]0mm≦(E−F)≦10mm
の関係式が成立する前項4に記載の食品用容器。
【0015】
[6]前記外側容器の上端の開口部の周縁から水平方向の外方に向けて第4フランジ部が延設され、該第4フランジ部の外方側の周縁から略上方に向けて段部が延ばされ、該段部の上端から水平方向の外方に向けて第5フランジ部が延設され、
前記内側容器の上端の開口部の周縁から水平方向の外方に向けて第6フランジ部が延設され、該第6フランジ部の下面が前記外側容器の第4フランジ部の上面に当接して積層され、前記第6フランジ部の先端縁が、前記外側容器の段部の内周面に当接していることを特徴とする前項4または5に記載の食品用容器。
【0016】
[7]前記外側容器の第5フランジ部の上面における少なくとも外方側の周縁部に、前記内側容器の構成部材が積層されていない前項6に記載の食品用容器。
【0017】
[8]前記内側容器の上端の開口部の周縁から水平方向の外方に向けて第1フランジ部が延設され、該第1フランジ部の外方側の周縁から略下方に向けて段部が延ばされ、該段部の下端から水平方向の外方に向けて第2フランジ部が延設され、
前記外側容器の上端の開口部の周縁から水平方向の外方に向けて第3フランジ部が延設され、該第3フランジ部の上面が前記内側容器の第1フランジ部の下面に当接して積層され、前記第3フランジ部の先端縁が、前記内側容器の段部の内周面に当接していることを特徴とする前項4または5に記載の食品用容器。
【0018】
[9]前記内側容器の第2フランジ部の下面における少なくとも外方側の周縁部に、前記外側容器の構成部材が積層されていない前項8に記載の食品用容器。
【0019】
[10]前記内側容器の外面の材質が、ポリプロピレン又は結晶性ポリエチレンテレフタレートであり、
前記外側容器の内面の材質が、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、エポキシ樹脂、エポキシメラミン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂またはアルミニウムである前項4〜9のいずれか1項に記載の食品用容器。
【0020】
[11]電子レンジ加熱を行うまでは前記両容器が一体化された状態で使用され、電子レンジ加熱を行う際に前記両容器が分離されて前記内側容器のみが電子レンジ加熱に供されて使用されるものである前項4〜10のいずれか1項に記載の食品用容器。
【0021】
[12]前項4〜11のいずれか1項に記載の一体化状態の食品用容器の内側容器内に食品を充填する工程と、
前記内側容器に蓋体を接合して該内側容器の開口部を封止する工程と、
前記封止後の食品用容器を加熱殺菌処理する工程と、を含むことを特徴とする食品充填済み2重容器の製造方法。
【発明の効果】
【0022】
[1]及び[2]の発明によれば、絞り成形を利用することで、金属層を含有しない樹脂製の内側容器の外面に金属層を含有する外側容器が重ね合わされて前記両容器が分離可能に一体化された食品用容器を製造できる。この時、準備した絞り成形を行う前の内側容器の開口部の外径を「X」とし、前記外側容器の絞り成形を行う際に用いる絞り成形金型のダイスの開口部の内径を「Y」としたとき、X≧Yの関係式が成立する態様で製造を行うので、内側容器と外側容器とが十分な一体化強度で一体化された食品用容器を製造することができる。従って、得られた食品用容器は、保管時、食品充填時等において、両容器が分離することを十分に防止できる。一方、食品用容器に対し殺菌のための加熱処理を行った後は、その後の冷却の時の内側容器と外側容器の熱収縮差によって、十分な一体化強度で一体化されていた内側容器と外側容器の一体化強度が低減されたものとなるので、加熱殺菌処理後は、内側容器と外側容器を人の手で容易に分離することができる。
【0023】
そして、食品が充填された前記食品用容器を保存している状態では、外側容器が金属層を含有することにより、容器としてのガスバリア性に優れていて酸素や水分から食品を保護することができる。
【0024】
一方、食品が充填された前記食品用容器の中の食品に対して電子レンジで加熱を行う際には(既に加熱殺菌処理が行われているので)内側容器と外側容器を人の手で容易に分離することができて、食品が充填された内側容器だけを電子レンジに入れて加熱を行うことができ、該内側容器は、金属層を含有しない構成であるので、電子レンジで加熱を行う際に、スパーク発生を防止できると共に、容器が高温になり難く、食品の加熱効率が高く、食品の加熱にムラが生じ難いという効果が得られる。
【0025】
[3]の発明によれば、0.5mm≦(X−Y)≦4.0mmの関係式が成立する態様で製造を行うので、内側容器と外側容器の一体化強度をより増大させることができて、両容器が一体化された状態をより安定させることができる。
【0026】
[4]及び[5]の発明(食品用容器)は、上記[1]〜[3]のいずれかの製造方法によって得られた食品用容器の特徴を規定したものであり、この食品用容器は、金属層を含有しない樹脂製の内側容器の外面に、金属層を含有する外側容器が重ね合わされて前記両容器が分離可能に一体化された構成であって、前記一体化されている両容器を分離したときに、前記分離状態の内側容器の開口部の外径を「E」とし、前記分離状態の外側容器の開口部の内径を「F」としたとき、E≧Fの関係式が成立する構成になっている。このような構成の食品用容器は、内側容器と外側容器とが十分な一体化強度で一体化されている。
【0027】
そして、食品が充填された本発明の食品用容器を保存している状態では、外側容器が金属層を含有することにより、容器としてのガスバリア性に優れていて酸素や水分から食品を保護することができる。
【0028】
一方、食品が充填された前記食品用容器の中の食品に対して電子レンジで加熱を行う際には(既に加熱殺菌処理が行われているので)内側容器と外側容器を人の手で容易に分離することができて、食品が充填された内側容器だけを電子レンジに入れて加熱を行うことができ、該内側容器は、金属層を含有しない構成であるので、電子レンジで加熱を行う際に、スパーク発生を防止できると共に、容器が高温になり難く、食品の加熱効率が高く、食品の加熱にムラが生じ難いという効果が得られる。
【0029】
[6]の発明では、内側容器と外側容器の一体化強度をより増大させることができて、両容器が一体化された状態をより安定させることができる。
【0030】
[7]の発明では、外側容器の第5フランジ部の上面における少なくとも外方側の周縁部に、内側容器の構成部材が積層されていない構成であるから、即ち外側容器の第5フランジ部が、内側容器の構成部材(第6フランジ部など)より外方に突出した構成であるから、内側容器と外側容器の分離作業をスムーズに行うことができる。
【0031】
[8]の発明では、内側容器と外側容器の一体化強度をより増大させることができて、両容器が一体化された状態をより安定させることができる。
【0032】
[9]の発明では、内側容器の第2フランジ部の下面における少なくとも外方側の周縁部に、外側容器の構成部材が積層されていない構成であるから、即ち内側容器の第2フランジ部が、外側容器の構成部材(第3フランジ部など)より外方に突出した構成であるから、内側容器と外側容器の分離作業をスムーズに行うことができる。
【0033】
[10]の発明では、内側容器の外面の材質及び外側容器の内面の材質が、それぞれ特定のものに限定されているから、内側容器は、分離状態でも形状保持できるし、耐熱性に優れていて電子レンジで加熱されても形状が十分に保持されると共に、両容器が十分に分離可能な状態で一体化されたものとなる。
【0034】
[11]の発明では、電子レンジ加熱を行うまでは両容器が一体化された状態で使用されるものであるので、電子レンジ加熱を行うまでの間は、外側容器が金属層を含有することにより、容器としてのガスバリア性に優れていて酸素や水分から食品を保護することができる。一方、電子レンジ加熱を行う際に両容器が分離されて、金属層を含有しない内側容器のみが電子レンジ加熱に供されて使用されるものであるから、電子レンジで加熱を行う際に、スパーク発生を防止できると共に、容器が高温になり難く、食品の加熱効率が高く、食品の加熱にムラが生じ難い。
【0035】
[12]の発明では、食品を充填して封止した後の食品用容器に対し殺菌のための加熱処理(例えば、レトルト殺菌、ボイル殺菌等)を行うので、この時の加熱を経てその後に冷却されて食品用容器に熱収縮が生じるが、この時、外側容器は金属層を有しているので熱収縮が小さいのに対し、内側容器は金属層を含有しない樹脂製容器であるので相対的に熱収縮が大きく、このような熱収縮差によって、十分な一体化強度で一体化されていた内側容器と外側容器の一体化強度が低減されたものとなり、従って電子レンジ加熱を行う際には、内側容器と外側容器を人の手で容易に分離することができる。
【0036】
即ち、本発明の食品用容器を用いれば、食品用容器が製造されてから、食品用容器の内側容器内に食品を充填して開口部の封止を経て加熱殺菌処理が終了するまでの間は、内側容器と外側容器とが十分な一体化強度で一体化されていて両容器が分離してしまうことを十分に防止できる一方、食品を充填して加熱殺菌処理を行った後において、電子レンジ加熱を行うときには内側容器と外側容器を人の手で容易に分離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明に係る食品用容器の製造方法を工程順次に従って示す断面図であって、(A)は成形用シートと内側容器を絞り成形装置にセットした状態、(B)は絞り成形を行っている途中状態、(C)は絞り成形が終了した状態をそれぞれ示す。
図2】(A)は、絞り成形金型の底面図であり、(B)は、準備した絞り成形を行う前の内側容器の底面図(図1(A)の配置状態での内側容器の上面図)である。
図3】本発明の製造方法で得られる食品用容器の一例を示す断面図である。
図4図3の食品用容器を内側容器と外側容器とに分離した状態を示す断面図である。
図5】本発明の製造方法で得られる食品用容器の他の例を示す断面図である。
図6図5の食品用容器を内側容器と外側容器とに分離した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明に係る食品用容器の製造方法について図1を参照しつつ説明する。図1において、81は、底リブ押し型であり、その成形面は、図3の外側容器3の底面の形状に適合する形状に形成されている。82は、ダイスである。83は、パンチであり、パンチ台84の上に固定されている。85は、支持部(しわ押さえ部)であり、前記ダイス82のしわ抑え面82aとの間に成形用シート80を挟み込むものであり、上下移動できるように構成されている。底リブ押し型81、ダイス(メス型)82、パンチ(オス型)83、パンチ台84、支持部(しわ押さえ部)85で絞り成形金型が構成されている。
【0039】
而して、図1(A)に示すように、パンチ83に内側容器2をセットする。この時、内側容器2の底壁2aを上方にして、開口部20を下方にした態様で、パンチ83の外側に上方側からセットする。前記内側容器2は、真空成形又は射出成形により製造されたものである。次いで、支持部(しわ押さえ部)85及び内側容器2の上に、金属層52を含有する成形用シート80を載置する。次いで、図1(B)に示すように、ダイス82を下降移動させて、支持部(しわ押さえ部)85の上面とダイス82のしわ抑え面82aとで、平面視円形状の成形用シート80の周縁部を挟み込んで、更にダイス82を下降移動させる。次いで、図1(C)に示すように、しわ抑え面82aを支持部(しわ押さえ部)85の上面に当接するまで更に下降移動させると共に、底リブ押し型81も下降移動させることによって、成形用シート80を絞り成形し、この絞り成形により金属層を含有する外側容器3を形成させつつ、この外側容器3を内側容器2の外面に重ね合わせることにより、図3の食品用容器1を得ることができる。即ち、金属層を含有しない樹脂製の内側容器2の外面に金属層を含有する外側容器3が重ね合わされて前記両容器2、3が分離可能に一体化された食品用容器1を製造することができる。
【0040】
本発明の製造方法では、前記準備した絞り成形を行う前の内側容器2の開口部20の外径を「X」(mm)とし、前記外側容器3の絞り成形を行う際に用いるダイス82の開口部の内径を「Y」(mm)としたとき(図1(A)及び図2参照)、
X≧Y
の関係式が成立する態様で絞り成形を行うことが重要である。このような関係式が成立する態様で絞り成形を行うことによって、内側容器2と外側容器3とが十分な一体化強度で一体化された食品用容器1を製造することができる。
【0041】
(X−Y)は、0mm以上10mm以下の範囲に設定されているのが好ましい。中でも、(X−Y)は、0.5mm以上4.0mm以下の範囲に設定されているのがより好ましい。
【0042】
本発明の製造方法は、絞り成形を利用して製造するものであり、成形の過程で加熱を行わないので、外側容器3の内面の材質(成形用シート80における内側容器2と当接する側の面の材質)は、内側容器2の外面の材質と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0043】
本発明の製造方法で得られる食品用容器1は、金属層を有しない樹脂製の内側容器2と、少なくとも金属層52を有する外側容器3と、を備え、前記内側容器2の外面に前記外側容器3が重ね合わされて前記両容器2、3が分離可能に積層一体化されている。
【0044】
そして、上記製造方法で製造されたものであるために、この食品用容器1では、以下の関係式が成立する構成となっている。
【0045】
即ち、前記一体化されている両容器(後述する加熱殺菌処理が行われていない段階のもの)を分離したときに、前記分離状態の内側容器2の開口部20の外径を「E」とし、前記分離状態の外側容器3の開口部30の内径を「F」としたとき(図4参照)、
E≧F
の関係式が成立するという特徴を備えている。
【0046】
本発明の製造方法で得られる食品用容器1の一実施形態を図3に示す。内側容器2は、底壁2aと、該底壁2aの周縁から上方に向けて立ち上げられた周側壁2bとを備え、前記周側壁2bの上端に開口部20が設けられている。外側容器3は、底壁3aと、該底壁3aの周縁から上方に向けて立ち上げられた周側壁3bとを備え、前記周側壁3bの上端に開口部30が設けられている。本実施形態では、前記内側容器2の底壁2aは、平面視円形状であり、前記内側容器2の周側壁2bは、略円筒形状である。また、本実施形態では、前記外側容器3の底壁3aは、平面視円形状であり、前記外側容器3の周側壁3bは、略円筒形状である。
【0047】
前記外側容器3の上端の開口部30の周縁(周側壁3bの上端)から水平方向の外方に向けて第4フランジ部34が延設され、該第4フランジ部34の外方側の周縁から略上方に向けて段部36が延ばされ、該段部36の上端から水平方向の外方に向けて第5フランジ部35が延設されている(図3参照)。
【0048】
前記内側容器2の上端の開口部20の周縁(周側壁2bの上端)から水平方向の外方に向けて第6フランジ部26が延設されている(図3参照)。
【0049】
本実施形態では、前記内側容器2は、単一の樹脂層(単層)で形成された内側容器であり、前記外側容器3は、金属層52の一方の面に第1樹脂層(内側層)51が積層され、前記金属層52の他方の面に第2樹脂層(外側層)53が積層された3層構成の外側容器である(図3参照)。
【0050】
しかして、前記内側容器2の外面に前記外側容器3が重ね合わされて前記両容器2、3が分離可能に一体化されている。即ち、前記内側容器2の底壁2aの外面に前記外側容器3の底壁3aの内面が当接して配置され、前記内側容器2の周側壁2bの外面に前記外側容器3の周側壁3bの内面が当接して配置され、前記内側容器2の第6フランジ部26の下面が前記外側容器3の第4フランジ部34の上面に当接して配置され、前記第6フランジ部26の先端縁が、前記外側容器3の段部36の内周面に当接して配置されて、前記内側容器2の外面に前記外側容器3が略適合状態に重ね合わされて前記両容器2、3が分離可能に一体化されている(図3参照)。
【0051】
また、前記外側容器3の第5フランジ部35の上面に、前記内側容器2の構成部材が積層されていない構成になっている。即ち、外側容器3の第5フランジ部35が、内側容器2の構成部材(第6フランジ部26など)より外方に突出した構成であり、このような構成により、内側容器2と外側容器3を分離する際の分離作業をスムーズに行うことができる。例えば、外方に突出している外側容器3の第5フランジ部35を手で持って該第5フランジ部35を変形させると、内側容器2と外側容器3の間に空気が入り、これにより、一体化されていた内側容器2と外側容器3とを分離できる。
【0052】
そして、この図3の食品用容器1は、本発明の製造方法で製造されたものであるので、一体化されている両容器(後述する加熱殺菌処理が行われる前の段階のもの)を分離したときに、前記分離状態の内側容器2の開口部20の外径を「E」とし、前記分離状態の外側容器3の開口部30の内径を「F」としたとき(図4参照)、
E≧F
の関係式が成立する構成になっている。
【0053】
このような関係式が成立する構成の食品用容器は、内側容器2と外側容器3とが十分な一体化強度で一体化されている。従って、得られた食品用容器1は、保管時、食品充填時等において、一体化されている両容器2、3が分離することを十分に防止できる(分離防止性に優れている)。一方、食品用容器に対し殺菌のための加熱処理を行った後は、その後の冷却の時の内側容器と外側容器の熱収縮差によって、十分な一体化強度で一体化されていた内側容器2と外側容器3の一体化強度が低減されたものとなるので、加熱殺菌処理後は、内側容器2と外側容器3を人の手で容易に分離することができる。
【0054】
上記構成の食品用容器1では、保存中等の電子レンジ加熱を行うまでの間は内側容器2と外側容器3が一体化された状態で使用されるのであるが、この時、外側容器3が金属層52を含有しているので、食品用容器1は、ガスバリア性に優れていて酸素や水分から食品を保護することができる。
【0055】
一方、食品が充填された前記食品用容器の中の食品に対して電子レンジで加熱を行う際には(既に加熱殺菌処理が行われているので)内側容器2と外側容器3を人の手で容易に分離することができて、食品が充填された内側容器2だけを電子レンジに入れて加熱を行うことができ(図4参照)、この時、内側容器2は、金属層を含有しない構成であるので、電子レンジで加熱を行う際に、スパーク発生を防止できると共に、容器2が高温になり難く、食品の加熱効率が高く、食品の加熱にムラが生じ難いという効果が得られる。
【0056】
本発明の製造方法で得られる食品用容器1の他の実施形態を図5に示す。内側容器2は、底壁2aと、該底壁2aの周縁から上方に向けて立ち上げられた周側壁2bとを備え、前記周側壁2bの上端に開口部20が設けられている。外側容器3は、底壁3aと、該底壁3aの周縁から上方に向けて立ち上げられた周側壁3bとを備え、前記周側壁3bの上端に開口部30が設けられている。本実施形態では、前記内側容器2の底壁2aは、平面視円形状であり、前記内側容器2の周側壁2bは、略円筒形状である。また、本実施形態では、前記外側容器3の底壁3aは、平面視円形状であり、前記外側容器3の周側壁3bは、略円筒形状である。
【0057】
前記内側容器2の上端の開口部20の周縁(周側壁2bの上端)から水平方向の外方に向けて第1フランジ部21が延設され、該第1フランジ部21の外方側の周縁から略下方に向けて段部23が延ばされ、該段部23の下端から水平方向の外方に向けて第2フランジ部22が延設されている(図5参照)。
【0058】
前記外側容器3の上端の開口部30の周縁(周側壁3bの上端)から水平方向の外方に向けて第3フランジ部33が延設されている(図5参照)。
【0059】
本実施形態では、前記内側容器2は、単一の樹脂層(単層)で形成された内側容器であり、前記外側容器3は、金属層52の一方の面に第1樹脂層(内側層)51が積層され、前記金属層52の他方の面に第2樹脂層(外側層)53が積層された3層構成の外側容器である(図5参照)。
【0060】
しかして、前記内側容器2の外面に前記外側容器3が重ね合わされて前記両容器2、3が分離可能に一体化されている。即ち、前記内側容器2の底壁2aの外面に前記外側容器3の底壁3aの内面が当接して配置され、前記内側容器2の周側壁2bの外面に前記外側容器3の周側壁3bの内面が当接して配置され、前記外側容器3の第3フランジ部33の上面が前記内側容器2の第1フランジ部21の下面に当接して配置され、前記第3フランジ部33の先端縁が、前記内側容器2の段部23の内周面に当接して配置されて、前記内側容器2の外面に前記外側容器3が略適合状態に重ね合わされて前記両容器2、3が分離可能に一体化されている(図5参照)。
【0061】
また、前記内側容器2の第2フランジ部22の下面に、前記外側容器3の構成部材が積層されていない構成になっている。即ち、内側容器2の第2フランジ部22が、外側容器3の構成部材(第3フランジ部33など)より外方に突出した構成であり、このような構成により、内側容器2と外側容器3を分離する際の分離作業をスムーズに行うことができる。例えば、外方に突出している内側容器2の第2フランジ部22を手で持って該第2フランジ部22を変形させると、内側容器2と外側容器3の間に空気が入り、これにより、一体化されていた内側容器2と外側容器3とを分離できる。
【0062】
そして、この図5の食品用容器1は、本発明の製造方法で製造されたものであるので、一体化されている両容器(後述する加熱殺菌処理が行われる前の段階のもの)を分離したときに、前記分離状態の内側容器2の開口部20の外径を「E」とし、前記分離状態の外側容器3の開口部30の内径を「F」としたとき(図6参照)、
E≧F
の関係式が成立する構成になっている。
【0063】
このような関係式が成立する構成の食品用容器は、内側容器2と外側容器3とが十分な一体化強度で一体化されている。従って、得られた食品用容器1は、保管時、食品充填時等において、一体化されている両容器2、3が分離することを十分に防止できる(分離防止性に優れている)。一方、食品用容器に対し殺菌のための加熱処理を行った後は、その後の冷却の時の内側容器2と外側容器3の熱収縮差によって、十分な一体化強度で一体化されていた内側容器2と外側容器3の一体化強度が低減されたものとなるので、加熱殺菌処理後は、内側容器2と外側容器3を人の手で容易に分離することができる。
【0064】
上記構成の食品用容器1では、保存中等の電子レンジ加熱を行うまでの間は内側容器2と外側容器3が一体化された状態で使用されるのであるが、この時、外側容器3が金属層52を含有しているので、食品用容器1は、ガスバリア性に優れていて酸素や水分から食品を保護することができる。
【0065】
一方、食品が充填された前記食品用容器の中の食品に対して電子レンジで加熱を行う際には(既に加熱殺菌処理が行われているので)内側容器2と外側容器3を人の手で容易に分離することができて(図6参照)、食品が充填された内側容器2だけを電子レンジに入れて加熱を行うことができ、この時、内側容器2は、金属層を含有しない構成であるので、電子レンジで加熱を行う際に、スパーク発生を防止できると共に、容器2が高温になり難く、食品の加熱効率が高く、食品の加熱にムラが生じ難いという効果が得られる。
【0066】
本発明において、前記内側容器2の厚さは、0.5mm〜1.0mmに設定されるのが好ましい。前記内側容器2は、金属層を含まない樹脂製の容器であれば、特に限定されず、単層(単一樹脂層)で構成されていてもよいし、複層(複数種の樹脂層の積層体)で構成されていてもよい。中でも、ポリプロピレン製内側容器、ポリエチレンテレフタレート製内側容器は、良好な耐熱性を備えているので、好適である。
【0067】
前記外側容器3の厚さは、コスト面を考慮すると薄い方が望ましいが、食品が充填された後の食品用容器が必要とする剛性により決められる。前記外側容器3の厚さは、0.05mm〜0.5mmに設定されるのが好ましい。前記外側容器3は、金属層52のみからなる単層で構成されていてもよいし、少なくとも金属層52を含む複層(積層体)で構成されていてもよい。前記積層体構成の外側容器3としては、例えば、金属層52の一方の面に第1樹脂層51が積層され、前記金属層52の他方の面に第2樹脂層53が積層された3層構成の外側容器3を例示できる(図3、5参照)。前記外側容器3は、大きい剛性を必要とする場合には、例えば、CPP(30μm)/AL(120μm)/CPP(200μm)、CPP(50μm)/AL(100μm)等の構成(積層構成及び各層の厚さ)を例示できるし、大きい剛性を必要としない場合には、例えば、CPP(30μm)/AL(40μm)/Ny(25μm)、PET(25μm)/AL(60μm)/PE(30μm)等の構成(積層構成及び各層の厚さ)を例示できる。
【0068】
前記金属層52を構成する金属としては、特に限定されるものではないが、例えば、アルミニウム、鉄、銅、銀、タンタル等の単金属の他、これら金属の合金、或いはマグネシウム合金、チタン合金などが挙げられる。中でも、前記金属層52は、アルミニウム層で形成されているのが、コスト面から、好ましい。アルミニウムとしては、特に限定されるものではないが、純アルミニウム系合金または8000番系合金を使用することができる。
【0069】
内側容器2の材料と、外側容器3の材料の組み合わせの好適例を表1に示す。なお、外側容器の構成例において積層構成である場合には左側に記載の材料が内面(内側容器と接する面)になる材料である。
【0070】
【表1】
【0071】
なお、表1、2を含め本明細書中に記載の下記略号は、それぞれ下記材料(層)を意味する。
【0072】
「PP」:ポリプロピレン
「C−PET」:結晶性ポリエチレンテレフタレート
「CPP」:未延伸ポリプロピレン(フィルム)
「AL」:アルミニウム(箔)
「Fe」:鉄
「PE」:ポリエチレン
「Ny」:ナイロン
「樹脂コート」:樹脂が塗布されて形成された樹脂層であり、その樹脂種としては、エポキシ樹脂、エポキシメラミン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂等が挙げられる。このような樹脂を溶剤に溶解したものをコートすることで樹脂コート層が形成される。
【0073】
なお、本発明では、内側容器2と外側容器3の分離防止性をより向上させるための補助構成として、例えば、内側容器2の底壁2aと外側容器3の底壁3aとが粘着剤で粘着されている構成を採用してもよい。
【0074】
本発明の食品用容器1の形状は、上記実施形態の形状に特に限定されるものではなく、食品を収容できる形状であれば特に限定されない。また、食品用容器1の平面視形状(上面視形状)としては、特に限定されるものではないが、例えば、真円形状、楕円形状、四角形状(正方形状、菱形形状、長方形状等)、正五角形状、その他の正多角形状などが挙げられる。
【0075】
また、本発明の食品用容器1は、上記例示説明した製造方法で製造されるものに特に限定されるものではなく、上記製造方法は、その一例を示したものに過ぎない。
【0076】
本発明の食品用容器1は、次のような充填工程、封止工程、加熱殺菌処理工程等を経て、最終製品(商品)として消費者に供給される。即ち、一体化状態の食品用容器1の内側容器2内に食品(液状、固形状等の食品)を充填した後、内側容器2のフランジ部(第1フランジ部21、第6フランジ部26など)に蓋体の周縁部をシール接合して内側容器2の開口部20を封止する。しかる後、封止状態の食品用容器を加熱殺菌処理する。加熱温度は、80℃〜130℃に設定されるのが一般的である。また、加熱殺菌処理の時間は、10分〜1.5時間が一般的である。なお、前記蓋体としては、特に限定されるものではないが、例えば、PET/AL/PET/シーラントまたはPET/AL/PET/ヒートシールラッカー等の積層構成の積層フィルム等が挙げられる。
【0077】
上記加熱殺菌処理後の食品用容器(内側容器内に食品が充填されている)では、加熱を経てその後に冷却されて食品用容器に熱収縮が生じるが、この時、外側容器は金属層を有しているので熱収縮が小さいのに対し、内側容器は金属層を含有しない樹脂製容器であるので相対的に熱収縮が大きく、このような熱収縮差によって、十分な一体化強度で一体化されていた内側容器と外側容器の一体化強度が低減されたものとなり、従って電子レンジ加熱を行う際には、内側容器2と外側容器3を人の手で容易に分離することができる。
【0078】
即ち、本発明の製造方法で得られる食品用容器1を用いれば、食品用容器が製造されて以降、食品用容器の内側容器内に食品を充填して開口部の封止を経て加熱殺菌処理が終了するまでの間(分離しないことが求められる加熱殺菌処理終了まで)は、内側容器2と外側容器3とが十分な一体化強度で一体化されていて両容器が分離してしまうことを十分に防止できる一方、食品を充填して加熱殺菌処理を行った後において、電子レンジ加熱を行う際には内側容器2と外側容器3を人の手で容易に分離することができる。
【0079】
なお、上述したとおり、上記加熱殺菌処理、その後の冷却を経ることにより、食品用容器に熱収縮が生じるが、この時、内側容器(金属層を含有しない樹脂製容器)の収縮率は、0.5%〜3%(PP製で0.8%〜1.8%)であるから、加熱殺菌処理、冷却後の内側容器(分離状態)の開口部の外径を「M」とし、当該内側容器(分離状態)の加熱殺菌処理前の開口部の外径を「E」とすると、
(E−M)/E=0.005〜0.03
の関係式が成り立ち、この関係式から、加熱殺菌処理前の内側容器(分離状態)の開口部の外径Eは、次式で求められ、
E=(M/0.995)〜(M/0.97)
従って、加熱殺菌処理、冷却後の内側容器(分離状態)の開口部の外径Mを測定すれば、加熱殺菌処理前の内側容器(分離状態)の開口部の外径Eを算出することができる。
【0080】
また、同様に、上記加熱殺菌処理、その後の冷却を経ることにより、食品用容器に熱収縮が生じるが、この時、外側容器(金属層を有している)の収縮率は、0.1%〜1%であるから、加熱殺菌処理、冷却後の外側容器(分離状態)の開口部の内径を「K」とし、当該外側容器(分離状態)の加熱殺菌処理前の開口部の内径を「F」とすると、
(F−K)/F=0.001〜0.01
の関係式が成り立ち、この関係式から、加熱殺菌処理前の外側容器(分離状態)の開口部の内径Fは、次式で求められ、
F=(K/0.999)〜(K/0.99)
従って、加熱殺菌処理、冷却後の外側容器(分離状態)の開口部の内径Kを測定すれば、加熱殺菌処理前の外側容器(分離状態)の開口部の内径Fを算出することができる。
【0081】
このようにして、加熱殺菌処理、冷却後の内側容器(分離状態)の開口部の外径Mを測定すれば、加熱殺菌処理前の内側容器(分離状態)の開口部の外径Eを算出できると共に、加熱殺菌処理、冷却後の外側容器(分離状態)の開口部の内径Kを測定すれば、加熱殺菌処理前の外側容器(分離状態)の開口部の内径Fを算出できるので、加熱殺菌処理、冷却後の食品用容器から、加熱殺菌処理前の状態時において当該食品用容器が、前記[4]や[5]の発明の構成要件(Eの数値、Fの数値、(E−F)の値)を備えていたか否かを判別することが可能である。
【0082】
なお、本発明において、上述した「X」、「E」、「F」、「M」、「K」を求める際に、食品用容器1の平面視形状(上面視形状)が真円形状である場合には容器が真円形状になっている状態でのX、E、F、M、Kをそれぞれ意味するものとする。その他、食品用容器1の平面視形状(上面視形状)が、楕円形状、四角形状(正方形状、菱形形状、長方形状等)、正五角形状、その他の正多角形状等である場合にも同様とする。即ち、上述した「X」、「E」、「F」、「M」、「K」は、正規の平面視形状から歪んだ形状で測定された値を意味するものではない。
【0083】
なお、食品用容器1の平面視形状(上面視形状)が、楕円形状、四角形状(正方形状、菱形形状、長方形状等)、正五角形状、その他の正多角形状等である場合には、上述した「X」、「Y」、「E」、「F」、「M」、「K」は、いずれも最長の内径を意味するものとする。即ち、例えば、平面視形状が正方形状である場合には、「内径」は、正方形状の対角線上での内径を意味するものとする。
【実施例】
【0084】
次に、本発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれら実施例のものに特に限定されるものではない。
【0085】
<実施例1>
前項で説明した本発明の製造方法(図1参照)を実施することにより図3に示す食品用容器1を製造した。成形用シート80として、未延伸ポリプロピレンフィルム層(内側層)(30μm)/アルミニウム層(120μm)/未延伸ポリプロピレンフィルム層(外側層)(200μm)の3層積層体からなる外側容器用シートを用い、内側容器2として、ポリプロピレンで形成された厚さ0.5mmの内側容器を用い、成形用シート80に絞り成形を行うことによって外側容器3を成形すると同時に、該外側容器3を内側容器2の外面に重ね合わせることにより、厚さ0.5mmの内側容器2の外面に厚さ350μmの外側容器3が重ね合わされて前記両容器2、3が分離可能に一体化された食品用容器1を製造した。なお、前記準備した絞り成形を行う前の内側容器の開口部の外径Xは63.4mmであり、前記外側容器の絞り成形を行う際に用いる絞り成形金型のダイス82の開口部の直径(内径)Yは63.4mmであり、従って(X−Y)の値は0.0mmであった。
【0086】
<実施例2>
前記準備した絞り成形を行う前の内側容器の開口部の外径Xを変更して、(X−Y)の値を0.5mmに設定した以外は、実施例1と同様にして図3に示す食品用容器1を製造した。
【0087】
<実施例3>
前記準備した絞り成形を行う前の内側容器の開口部の外径Xを変更して、(X−Y)の値を1.0mmに設定した以外は、実施例1と同様にして図3に示す食品用容器1を製造した。
【0088】
<実施例4>
前記準備した絞り成形を行う前の内側容器の開口部の外径Xを変更して、(X−Y)の値を2.0mmに設定した以外は、実施例1と同様にして図3に示す食品用容器1を製造した。
【0089】
<実施例5>
前記準備した絞り成形を行う前の内側容器の開口部の外径Xを変更して、(X−Y)の値を3.0mmに設定した以外は、実施例1と同様にして図3に示す食品用容器1を製造した。
【0090】
<実施例6>
前記準備した絞り成形を行う前の内側容器の開口部の外径Xを変更して、(X−Y)の値を4.0mmに設定した以外は、実施例1と同様にして図3に示す食品用容器1を製造した。
【0091】
<実施例7>
前記準備した絞り成形を行う前の内側容器の開口部の外径Xを変更して、(X−Y)の値を5.0mmに設定した以外は、実施例1と同様にして図3に示す食品用容器1を製造した。
【0092】
<比較例1>
前記準備した絞り成形を行う前の内側容器の開口部の外径Xを変更して、(X−Y)の値を「−1.0mm」に設定した以外は、実施例1と同様にして、食品用容器を製造した。
【0093】
上記のようにして得られた各食品用容器について下記の「成形性評価法」、「密着性評価法」、「加熱殺菌処理前の分離防止性評価法」に基づいて評価を行った。また、得られた各食品用容器に対し加熱殺菌処理に相当する温度で加熱処理した後のものについて下記の「加熱殺菌処理後の分離容易性評価法」に基づいて評価を行った。これらの結果を表2に示す。
【0094】
【表2】
【0095】
<成形性評価法>
得られた食品用容器の内側容器や外側容器に破断、皺がなく成形性に優れていたものを「○」、容器の深さが浅い場合には破断、皺がないものの、容器の深さが深い場合には破断又は皺が認められることが稀にあったものを「△」、破断又は皺が認められたものを「×」とした。
【0096】
<密着性評価法>
内側容器と外側容器とが十分に一体化していたものを「○」、内側容器と外側容器とが一体化していて実使用可能なものを「△」、内側容器と外側容器との一体化強度が不十分であったものを「×」とした。
【0097】
<加熱殺菌処理前の分離防止性評価法>
人の手で容易に分離できたものを「×」、人の手でやや大きな力を加えなければ分離できなかったものを「△」、人の手で大きな力を加えなければ分離できなかったもの(分離防止性に優れるもの)を「○」とした。
【0098】
<加熱殺菌処理後の分離容易性評価法>
得られた食品用容器を100℃の恒温槽の中に10分間配置した後、取り出して25℃の室内で自然冷却せしめてから24時間経過後に人の手で食品用容器の分離性を評価した。大きな力を要することなく人の手で容易に分離できたものを「○」、大きな力を用いれば人の手で分離できたものを「△」、人の手では分離が困難であったものを「×」とした。
【0099】
表2から明らかなように、本発明の実施例1〜7の食品用容器は、成形性に優れていて、破断等がなく、容器としてのガスバリア性に優れていることがわかった。また、本発明の実施例1〜7の食品用容器は、分離しないことが求められる加熱殺菌処理するまでの間は、分離することを十分に防止できる一方、加熱殺菌処理した後においては人の手で容易に内側容器と外側容器とを分離することができた。
【0100】
これに対し、比較例1の食品用容器では、加熱殺菌処理する前の段階で、容易に分離できるものであり、保管時、食品充填時等において内側容器と外側容器とが分離してしまう可能性がある。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明の食品用容器は、特に限定されるものではないが、例えば、スープ、おかゆ等の液状食品、魚肉類や野菜の調理済み食品等の固形状食品等の食品が中に充填される食品用容器として用いられる。食品が充填された本発明の食品用容器の中の食品に対して電子レンジで加熱を行う際には、内側容器と外側容器を分離して、食品が充填された内側容器だけを電子レンジに入れて加熱を行う。
【符号の説明】
【0102】
1…食品用容器
2…内側容器
3…外側容器
20…開口部
21…第1フランジ部
22…第2フランジ部
23…段部
26…第6フランジ部
30…開口部
33…第3フランジ部
34…第4フランジ部
35…第5フランジ部
36…段部
52…金属層
80…成形用シート
82…ダイス(メス型)
83…パンチ(オス型)
図1
図2
図3
図4
図5
図6