特許第6389098号(P6389098)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社テイエルブイの特許一覧

<>
  • 特許6389098-センサ固定器具 図000002
  • 特許6389098-センサ固定器具 図000003
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6389098
(24)【登録日】2018年8月24日
(45)【発行日】2018年9月12日
(54)【発明の名称】センサ固定器具
(51)【国際特許分類】
   G01D 11/30 20060101AFI20180903BHJP
   G01K 1/14 20060101ALI20180903BHJP
   F16B 2/10 20060101ALI20180903BHJP
   F16B 2/12 20060101ALI20180903BHJP
【FI】
   G01D11/30 S
   G01K1/14 E
   F16B2/10 A
   F16B2/12 C
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-217487(P2014-217487)
(22)【出願日】2014年10月24日
(65)【公開番号】特開2016-85099(P2016-85099A)
(43)【公開日】2016年5月19日
【審査請求日】2017年8月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000133733
【氏名又は名称】株式会社テイエルブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【弁理士】
【氏名又は名称】寺薗 健一
(72)【発明者】
【氏名】田中 義明
【審査官】 榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭60−129641(JP,U)
【文献】 実開昭59−006717(JP,U)
【文献】 特開2013−170691(JP,A)
【文献】 特開平09−138178(JP,A)
【文献】 特開2000−121425(JP,A)
【文献】 特開2002−195887(JP,A)
【文献】 特開2013−195173(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 11/30
G01K 1/14
G01H 1/00
F16B 2/10
F16B 2/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端が検出部であるケーシングを有するセンサを測定対象物に固定するセンサ固定器具であって、
上記ケーシングの先端が上記測定対象物へ向かって挿入される上記センサの連結孔を有する保持部材と、
上記保持部材における上記連結孔の上記測定対象物側の端部に設けられ、上記連結孔の軸方向と直交し且つ上記ケーシングの先端が接する平坦な第1の接触面と、該第1の接触面と対向し且つ上記測定対象物の表面に沿って接する第2の接触面とを有する測定座と、
上記保持部材の両端に回動可能に接続され、上記測定対象物を挟持することによって上記ケーシングの先端を上記測定座を介して上記測定対象物に押し付ける一対の挟持部材とを備えている
ことを特徴とするセンサ固定器具。
【請求項2】
請求項1に記載のセンサ固定器具において、
上記保持部材は、上記連結孔の上記測定対象物側の端部において上記測定座の上記第1の接触面を含む一部が嵌め込まれて上記測定座が設けられる凹部を有している
ことを特徴とするセンサ固定器具。
【請求項3】
請求項1または2に記載のセンサ固定器具において、
上記測定座の上記第2の接触面は、上記測定対象物の表面に沿った円弧状に形成されている
ことを特徴とするセンサ固定器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、センサを測定対象物に固定するセンサ固定器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
センサを測定対象物に固定する固定器具として、例えば特許文献1に開示されているものがある。この固定器具は、センサが取り付けられる保持部材と、測定対象物(スチームトラップの入口部)を保持部材とで挟持する挟持部材とを備えている。センサは、保持部材の連結孔にネジ締結されて取り付けられる。そして、センサが取り付けられた保持部材と挟持部材とで測定対象物を挟持することで、センサの先端が測定対象物に接触した状態でセンサが固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−170686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述したようなセンサを測定対象物に接触させて固定する固定器具では、測定対象物の表面の粗さによって、センサと測定対象物との接触度合いが悪くなり、センサの検出精度が損なわれる虞があった。一般にセンサの先端面積は小さいところ、測定対象物の表面に細かな凹凸が存在するだけで、すぐさま上述した接触度合いの悪化に繋がってしまう。
【0005】
本願に開示の技術は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、測定対象物の表面の粗さに関係なく、センサの検出精度を確保することが可能なセンサ固定器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に開示の技術は、先端が検出部であるケーシングを有するセンサを測定対象物に固定するセンサ固定器具を対象としている。本願のセンサ固定器具は、保持部材と、測定座と、一対の挟持部材とを備えている。上記保持部材は、上記ケーシングの先端が上記測定対象物へ向かって挿入される上記センサの連結孔を有している。上記測定座は、上記保持部材における上記連結孔の上記測定対象物側の端部に設けられている。また、上記測定座は、上記連結孔の軸方向と直交し且つ上記ケーシングの先端が接する平坦な第1の接触面と、該第1の接触面と対向し且つ上記測定対象物の表面に沿って接する第2の接触面とを有している。上記一対の挟持部材は、上記保持部材の両端に回動可能に接続され、上記測定対象物を挟持することによって上記ケーシングの先端を上記測定座を介して上記測定対象物に押し付けるものである。
【発明の効果】
【0007】
本願のセンサ固定器具によれば、センサはそのケーシングが連結孔に挿入されて取り付けられる。センサが取り付けられた状態では、ケーシングの先端が測定座の第1の接触面に接すると共に、測定座の第2の接触面が測定対象物に接する。つまり、センサは、測定座を介して測定対象物の表面に接し、測定対象物の温度や振動等を測定座を通じて検出する。そして、測定座の第2の接触面は測定対象物の表面に沿って接するため、測定対象物の熱や振動等が確実に測定座に伝わる。一方、測定座の第1の接触面は連結孔の軸方向(即ち、ケーシングの軸方向)と直交する平坦な面であるため、センサの先端と測定座との接触度合いを良好に保つことができる。以上より、本願のセンサ固定器具によれば、測定対象物の表面の粗さに関係なく、センサの先端と測定座との接触度合いは常に良好であるため、センサの検出精度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係るセンサ固定器具の概略構成をセンサ装置と共に示す正面図である。
図2図2は、実施形態に係るセンサ固定器具を拡大して示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本願の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本願に開示の技術、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0010】
図1に示すように、本実施形態のセンサ固定器具10は、センサ装置1を測定対象物に固定するものである。本実施形態において、測定対象物はスチームトラップの入口部9である。
【0011】
センサ装置1は、例えば上下方向に延びる状態で入口部9に固定される。センサ装置1は、センサ本体2と、無線機3と、接続軸4とを備えている。接続軸4は、中空軸であり、両端がナット5,6によってセンサ本体2と無線機3に連結されている。センサ本体2は、略円柱状のケーシング2aを有し、入口部9の振動や温度を検出する。無線機3は、図示しないが、信号処理回路や発信部が内蔵されており、センサ本体2によって検出された測定対象物の振動や温度に関する信号を取得して外部に送信する。
【0012】
図2にも示すように、センサ固定器具10は、保持部材11と、一対の挟持部材21,25と、締付け部材35とを備えている。
【0013】
保持部材11は、図2において左右に延びる部材であり、両端部が下方に向かってやや屈曲している。保持部材11の中央には、1つの連結孔12が形成されており、その連結孔12にセンサ本体2のケーシング2aが挿入されて連結される。具体的に、ケーシング2aの外周面には雄ねじ部2bが形成され、ケーシング2aの先端2cは振動や温度の検出部となっている。連結孔12は、内周面にケーシング2aと螺合する雌ねじ部が形成されており、ケーシング2aがねじ締結される。連結孔12は、上方からケーシング2aの先端2cが測定対象物である入口部9へ向かって挿入されるようになっている。こうして、センサ本体2のケーシング2aが連結孔12に挿入されてねじ締結されることで、センサ装置1が保持部材11に連結される(取り付けられる)。保持部材11は、例えばアルミニウムの削り出しまたはアルミダイカスト等により作製される。
【0014】
一対の挟持部材21,25は、それぞれ、薄板(例えば、ステンレス製)を間隔をおいて二枚重ねることにより作製されている。なお、図1および図2では片側の板のみを示している。一対の挟持部材21,25は、左右対称の略S字状に形成されている。具体的に、挟持部材21,25は、それぞれ、第1湾曲部22,26と第2湾曲部23,27とを有し、第1湾曲部22,26と第2湾曲部23,27との間の切返し部分に突起部24,28を有している。突起部24,28は、挟持部材21,25における中央部よりもやや下方の位置に形成され、測定対象物である入口部9側に突出している。挟持部材21,25は、それぞれ、一端(上端)が保持部材11の両端にリベット14によって回動可能に接続(連結)されている。挟持部材21,25は、入口部9をその左右から挟持するものである。つまり、挟持部材21,25は、それぞれの突起部24,28が入口部9の左右に接して挟持する。
【0015】
挟持部材21,25の他端(下端)には、締付け部材35が設けられている。締付け部材35は、一対の挟持部材21,25を連結して挟持方向に締付けるものである。締付け部材35は、ボルト36とナット38を有する。また、挟持部材21,25の他端(下端)には、二枚の薄板を連結する連結板31,32が設けられている。挟持部材21,25の他端は、ボルト36が各連結板31,32の貫通孔に挿入されてナット38で固定されることにより連結される。つまり、ナット38を締付けることにより、挟持部材21,25がその挟持方向に変位する。
【0016】
なお、ボルト36の頭部37は円錐状に形成されている。また、ナット38は、いわゆる球座ナットが用いられており、そのため、連結板32との接触面積を平面座ナットよりも大きくすることができる。したがって、挟持部材21,25の他端をより強固に締付けることが可能である。
【0017】
さらに、本実施形態のセンサ固定器具10は、ケーシング2aの先端2cと入口部9との間に位置する測定座40を備えている。測定座40は、保持部材11における連結孔12の入口部9側の端部(下端部)に設けられる略矩形体の部材である。測定座40の上面41(第1の接触面)は、連結孔12の軸方向(即ち、ケーシング2aの軸方向)と直交し且つケーシング2aの先端2cが接する平坦な面である。測定座40の下面42(第2の接触面)は、上面41と対向し且つ入口部9の表面に沿って接する面である。具体的に、測定座40の下面42は、円筒状の入口部9の外周面に沿った円弧状に形成されている。
【0018】
保持部材11には、連結孔12の入口部9側の端部(下端部)に座取付部13が設けられている。座取付部13は、保持部材11の下面に形成され連結孔12の下端と接続される(連通する)凹部であり、測定座40の上部(上面41を含む一部)が嵌め込まれる。座取付部13は、測定座40と略同じ平面視矩形に形成されている。
【0019】
本実施形態のセンサ固定器具10では、締付け部材35によって挟持部材21,25の他端(下端)が締付けられることにより挟持部材21,25が入口部9を左右から挟持する。この挟持部材21,25の挟持動作によって、保持部材11が測定座40を入口部9へ押し付けると共に、保持部材11がケーシング2aの先端2cを測定座40の上面41に押し付ける。つまり、挟持部材21,25は、入口部9を挟持する挟持動作を行い、その挟持動作に伴いケーシング2aの先端2cを測定座40を介して入口部9に押し付けている。こうしてセンサ装置1が入口部9に固定された状態では、ケーシング2aの先端21dが測定座40の上面41に接すると共に、測定座40の下面42が入口部9の表面に接する。つまり、センサ本体2は、測定座40を介して入口部9の表面に接し、入口部9の温度および振動を測定座40を通じて検出する。
【0020】
以上のように、上記実施形態のセンサ固定器具10によれば、ケーシング2aの先端2cを測定座40を介して測定対象物である入口部9に接触させるようにした。そして、測定座40の下面42を入口部9の表面に沿って接触させるようにしたため、入口部9の熱や振動が確実に測定座40に伝わる。一方、ケーシング2aの先端2cが接する測定座40の上面41を連結孔12の軸方向(ケーシングの軸方向)と直交する平坦な面に形成したため、ケーシング2aの先端2cと測定座40との接触度合いを良好に保つことができる。これにより、入口部9(測定対象物)の表面の粗さに関係なく、ケーシング2aの先端2cと測定座40との接触度合いは常に良好であるため、センサ装置1の検出精度を確保することができる。
【0021】
しかも、測定座40の下面42を円筒状の入口部9の外周面(表面)に沿った円弧状に形成しているため、入口部9に測定座40をより密着させることができ、測定座40と入口部9との接触度合いをより良好に保つことができる。したがって、確実に入口部9の熱および振動を測定座40に伝えることができる。これにより、入口部9の温度および振動をより正確に検出することができる。
【0022】
また、上記実施形態のセンサ固定器具10によれば、挟持部材21,25の挟持動作に伴い測定座40が保持部材11によって入口部9に押し付けられるので、測定座40を入口部9により密着させることができると共に、測定座40を強固に保持することができる。これにより、センサ装置1の検出精度を向上させることができる。さらに上記実施形態では、保持部材11に形成した凹部(座取付部13)に測定座40の上部(上面41を含む一部)を嵌め込むようにしたため、測定座40、特にはその上面41をより強固に保持することができる。
【0023】
また、上記実施形態のセンサ固定器具10では、下面の形状が互いに異なる複数の測定座を用意しておけば、その測定座を付け替えるだけで、形状の異なる種々の測定対象物に対応することができる。しかも、上記実施形態のように測定座40を保持部材11の凹部(座取付部13)に嵌め込むだけの形態であれば、測定座の付け替えも容易である。
【0024】
なお、上記実施形態では、測定座40を保持部材11に嵌め込んで設けるようにしたが、本願に開示の技術はこれに限らず、例えば、測定座を保持部材の下面と入口部とで挟持して設けるようにしてもよい。つまり、連結孔は保持部材の下面に開口し、その下面と測定座の上面とが接するようにしてもよい。また、測定座と保持部材とを一体成形するようにしてもよい。
【0025】
また、上記実施形態において、測定座40の形状は、上述した矩形体に限らず、例えば上下に延びる円柱体であってもよいし、測定座40の下面42は、上述した円弧状に限らず、例えば平面状に形成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本願に開示の技術は、センサを測定対象物に固定するセンサ固定器具について有用である。
【符号の説明】
【0027】
1 センサ装置(センサ)
2a ケーシング
2c 先端
9 入口部(測定対象物)
10 センサ固定器具
11 保持部材
12 連結孔
13 座取付部(凹部)
21,25 挟持部材
40 測定座
41 上面(第1の接触面)
42 下面(第2の接触面)
図1
図2