特許第6389100号(P6389100)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6389100
(24)【登録日】2018年8月24日
(45)【発行日】2018年9月12日
(54)【発明の名称】ラッチ装置
(51)【国際特許分類】
   E05C 21/02 20060101AFI20180903BHJP
【FI】
   E05C21/02
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-220081(P2014-220081)
(22)【出願日】2014年10月29日
(65)【公開番号】特開2016-84679(P2016-84679A)
(43)【公開日】2016年5月19日
【審査請求日】2016年9月13日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000135209
【氏名又は名称】株式会社ニフコ
(74)【代理人】
【識別番号】100098202
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100077241
【弁理士】
【氏名又は名称】桑原 稔
(72)【発明者】
【氏名】垣添 奈月
【審査官】 家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−050722(JP,A)
【文献】 特開平11−006352(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05C 1/00−21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定体側に取り付けられる本体と、前記固定体に移動可能に支持される可動体側に取り付けられるラッチ受けとを備え、
所定の大きさの振動によって基準位置から前方に移動される球体によって、前記本体を構成する係合体を前記ラッチ受けに係合可能とする位置まで移動させるようにしてなるラッチ装置であって、
前記本体における前記基準位置にある前記球体の載置面よりも前方に位置される箇所を除いた箇所に、前記本体を構成する側壁によって、前記載置面から離れるに従って傾斜を大きくする前記球体の案内面を備えると共に、
前記本体を構成する天面によって前記案内面との間に前記球体の移動時に前記球体の上下の動きを規制する前記球体の直径よりもやや大きい間隔を形成させており、
しかも、前記案内面における前記載置面と前記本体の最後部との間の距離を、前記球体の直径よりも大きくさせてなる、ラッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、地震などの所定の大きさの振動が作用されたときに、この振動により引き起こされる固定体に移動可能に支持された可動体の予期しない移動、例えば、前記固定体としての家具本体や収納体本体に支持される前記可動体としての扉や抽斗の開き出しを、阻止するために用いられるラッチ装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
固定側部材に取り付けられるラッチ本体を構成するアームを、所定の大きさの振動の作用時に前方に移動される球状ウエイトによって押圧して、前記アームを可動側部材に取り付けられたラッチ受けに掛合させる位置まで回動させ、これにより、固定側部材から離れる向きの可動側部材の移動を阻止するようにしたラッチ装置として、特許文献1に示されるものがある。
【0003】
ここで、前記所定の大きさの振動によって球状ウエイトにはある瞬間にはこれを後方に移動させる向きの力が作用される場合もある。このとき、球状ウエイトが前方に移動するよりも速く可動側部材が固定側部材から離れる向きに移動してしまうと、アームは前記ラッチ受けに掛合可能な位置に移動されないため、可動側部材の前記移動を阻止することができない。例えば、固定側部材としての家具や収納体本体に納められていた収納物が崩れるなどして可動側部材としての扉を押すなどした場合、このような事態が生じる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−50722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明が解決しようとする主たる問題点は、この種のラッチ装置において、前記のように後方に移動した球状ウエイト(球体)を可及的速やかに前方に移動させるようにして、前記のような事態をできるだけ生じさせないようにする点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を達成するために、この発明にあっては、ラッチ装置を、固定体側に取り付けられる本体と、前記固定体に移動可能に支持される可動体側に取り付けられるラッチ受けとを備え、
所定の大きさの振動によって基準位置から前方に移動される球体によって、前記本体を構成する係合体を前記ラッチ受けに係合可能とする位置まで移動させるようにしてなるラッチ装置であって、
前記本体における前記基準位置にある前記球体の載置面よりも前方に位置される箇所を除いた箇所に、前記本体を構成する側壁によって、前記載置面から離れるに従って傾斜を大きくする前記球体の案内面を備えると共に、
前記本体を構成する天面によって前記案内面との間に前記球体の移動時に前記球体の上下の動きを規制する前記球体の直径よりもやや大きい間隔を形成させており、
しかも、前記案内面における前記載置面と前記本体の最後部との間の距離を、前記球体の直径よりも大きくさせてなる、ものとした。
【0007】
前記所定の大きさの振動によって球体は載置面から移動するが、ある瞬間には載置面よりも後方に球体が移動される場合もある。このとき、球体が前方に移動するよりも速く可動体が固定体から離れる向きに移動すると、係合体は前記ラッチ受けに係合可能な位置、すなわち、前記係合位置に移動されないため、可動体の前記移動を阻止することができない。しかるに、この発明にかかるラッチ装置にあっては、前記載置面の後方に前記案内面を備えていることから、前記のように後方に移動した球体を可及的速やかに前方に移動させることができ、前記の可動体の移動を阻止できない事態をできるだけ生じさせないようにすることができる。
【0008】
前記案内面は、前記載置面から離れるに従って傾斜を大きくしてなる、ものとしておくことが、この発明の好ましい態様の一つとされる。また、前記本体における前記載置面よりも前方に位置される箇所を除いた箇所に、前記載置面から離れるに従って高まる傾斜面を備えさせ、この傾斜面の一部を前記案内面とさせてなる、ものとしておくことが、この発明の好ましい態様の一つとされる。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、所定の大きさの振動が作用されたとき、可動体の移動が始まるよりも先に、固定体側に取り付けられた本体の係合体を、可動体側に取り付けられたラッチ受けに係合される位置に、確度高く移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、この発明の一実施の形態にかかるラッチ装置の分解斜視図である。
図2図2は、前記ラッチ装置の分解斜視図であり、斜め下方から見て示している。
図3図3は、前記ラッチ装置を構成するラッチ受けの斜視図である。
図4図4は、前記ラッチ受けの斜視図であり、これを斜め下方から見て示している。
図5図5は、前記ラッチ装置の使用状態を示した要部破断側面図であり、球体は基準位置にある。
図6図6は、図5の状態の平面図であり、蓋の記載を省略して示している。
図7図7は、前記ラッチ装置の使用状態を示した要部破断側面図であり、球体は基準位置よりも後方に移動している。
図8図8は、図7の状態の平面図であり、蓋の記載を省略して示している。
図9図9は、前記ラッチ装置の使用状態を示した要部破断側面図であり、球体によって係合体は係合位置に移動されている。
図10図10は、図9の状態の平面図であり、蓋の記載を省略して示している。
図11図11は、前記ラッチ装置の使用状態を示した要部破断側面図であり、係合体がラッチ受けに係合した状態から可動体を移動前の位置に向けて復動させた状態を示している。
図12図12は、図1におけるA−A線位置での断面図である。
図13図13は、図12におけるB−B線位置での要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図1図13に基づいて、この発明の典型的な実施の形態について、説明する。この実施の形態にかかるラッチ装置は、地震などの所定の大きさの振動が作用されたときに、この振動により引き起こされる固定体Sに移動可能に支持された可動体Mの予期しない移動、例えば、前記固定体Sとしての家具本体や収納体本体に支持される前記可動体Mとしての扉や抽斗の開き出しを、阻止するために用いられるものである。
【0012】
かかるラッチ装置は、前記固定体S側に取り付けられる本体1と、前記可動体M側に取り付けられるラッチ受け6とから構成されている。そして、かかるラッチ装置は、前記所定の大きさの振動によって基準位置から前方に移動される球体5によって、前記本体1を構成する係合体4を前記ラッチ受け6に係合可能とする位置(以下この位置を係合位置という。)まで移動させるようにしており、これにより前記可動体Mの予期しない移動を阻止するようになっている。
【0013】
より具体的には、前記所定の大きさの振動が作用しない状態では、前記球体5は基準位置にとどまり、前記係合体4は前記係合位置には移動されず、前記可動体Mの移動はラッチ装置により阻止されない(図5)。
【0014】
前記所定の大きさの振動が作用されて前記球体5が基準位置から前方に移動されると、この球体5に押されて係合体4は前記係合位置に移動される。この状態において閉じ位置にある前記可動体Mが開き出すと前記ラッチ受け6に前記係合体4が係合し、前記可動体Mのそれ以上の開き出しが阻止されるようになっている(図9)。
【0015】
前記本体1は、ケース2と、蓋3と、前記係合体4と、前記球体5とから構成されている。
【0016】
ケース2は、中央空間20と、可動体M側に位置される前側空間21と、これと反対の後側空間22とを備えている。中央空間20と後側空間22は上面において開放されている。前側空間21は、上面と下面と前面とおいてそれぞれ開放されている。
【0017】
ケース2を構成する左右側壁23、23間の距離は、中央空間20においては一定である。一方、ケース2を構成する左右側壁23、23間の距離は、後側空間22においては、後方に向かうに従って減少しており、次第に近接される左右側壁23、23によってケース2の最後部には頂部24が形成されている。
【0018】
中央空間20と前側空間21とは、ケース2の左右方向中程の位置において連通している。前側空間21に臨んだ左右側壁23、23の内面側の上部にそれぞれ、前記係合体4の軸受け部25が形成されている。軸受け部25は、前記前側空間21内における側壁23の前後方向中程の位置において縦向きに延びる第一リブ25aと、この第一リブ25a下端から後方に延びる第二リブ25bとにより形成され、前記係合体4の後述の軸突起43を上方から受容して第一リブ25aと第二リブ25bとの接し合う箇所において支持するようになっている。
【0019】
中央空間20の左右にはそれぞれ、側壁23の上端に続いて水平方向に延びる板状耳部26が形成されている。本体1は、この板状耳部26に形成した通し孔26aを利用して図示しないビスなどの軸状固定体を固定体Sの天板などに打ち込むことで、かかる固定体Sに取り付けられるようになっている。本体1の固定体Sへの取り付けは、公知の各種の方法を用いて構わない。例えば、かかる取り付けは、本体1の上部に固定体Sに設けた取付用穴にはめ込まれるダボ状部などを付設することによってもなすことができる。
【0020】
蓋3は、ケース2の中央空間20及び後側空間22の開放箇所を塞ぐ主体部30と、前側空間21の上側の開放箇所を塞ぐ細幅の延長部31と、この延長部31の前端から下方に延びる垂下部32とを有している。図中符号33で示す主体部30の前縁部の左右に形成された突起を中央空間20の前側の側壁23に形成された凹部27aに係合させると共に、主体部30の後端に形成された突起34を後側空間22の頂部24に形成された凹部27bに係合させることで、蓋3はケース2に組み合わされ、前記板状耳部26と一緒に本体1の天面を形成するようになっている。かかるケース2に対する蓋3の取り付けも、公知の各種の方法を用いて構わない。例えば、前記のような突起を前記垂下部32に設けてかかる取り付けをなすようにしても構わない。
【0021】
係合体4は、前後方向に長い主体部40と、左右方向に長い係合軸部41と、左右方向に長い当接部42とを備えている。
【0022】
前記主体部40の前端が前記係合軸部41の長さ方向中程の位置に一体に連接され、前記主体部40の後端が前記当接部42の長さ方向中程の位置に一体に連接されている。
【0023】
係合軸部41は棒状である。一方、当接部42は、板状を呈している。この当接部42における後方側に位置される面は、その左右方向に亘る各位置において、後方側を湾曲内側とするように湾曲した面42aとなっている。
【0024】
主体部40における後端側に、軸突起43が形成されている。軸突起43は、係合軸部41と当接部42の下端とを結ぶ仮想の線分よりも上方に位置されている。軸突起43は、主体部40の左右にそれぞれ備えられている。
【0025】
ケース2の中央空間20に当接部42を納める向きで、ケース2の前側空間21の軸受け部25に主体部40の軸突起43を納めた後、ケース2に前記のように蓋3を組み合わせることで、前記軸突起43を中心とした回動を可能とした状態で、本体1に係合体4が備えられる。係合体4の主体部40は、前側空間21を通過してケース2から突き出し、係合軸部41はケース2の前方に位置される。
【0026】
係合体4の重心は、前記軸突起43を通る仮想の垂直線x(図5参照)よりも前方に位置されている。これにより、係合体4は、前記球体5が基準位置にある状態、すなわち、前記当接部42が前記球体5で押されていない状態においては、主体部40の下部に形成した後方に向いた段差部40aを中央空間20における前側空間21との連通箇所に位置されるケース2の底部の前縁に向き合わせた待機位置に位置づけられる(図5)。
【0027】
球体5は、典型的には金属から構成される。ケース2の後側空間22の前側には、前記ケース2の底部に、球体5の載置面22aが形成されている。この載置面22aは極浅いすり鉢状の形状となっており(図12図13参照)、前記所定の大きさの振動が作用されない状態では、球体5は、前記載置面22aにその下端を支持されて前記待機位置にある係合体4に接しない基準位置に位置づけられるようになっている(図5)。図12及び図13において、前記載置面22aは符号S1で示す仮想の円の円弧の一部に沿った曲面となっている(なお、図12及び図13において、符号S2は前記円の接線となる水平線である。)
【0028】
中央空間20における後方側には、ケース2の底部には、左右方向に亘る凹所20aが形成されている。前記所定の大きさの振動が作用されて前記球体5が基準位置から前方に移動されると、球体5の下端は前記凹所20aに入り込み、係合体4の当接部42の下端に球体5が当たってこれを押す。これにより、係合体4は前記待機位置から係合位置に回動し、この係合位置に位置づけられるようになっている。
【0029】
ラッチ受け6は、垂直板部60と、この垂直板部60の上端から水平に突き出す水平板部61と、左右の係合爪62と、中央弾性片63とを備えている。ラッチ受け6は、垂直板部60に形成した通し孔60aを利用して図示しないビスなどの軸状固定体を可動体Mに打ち込むことで、かかる可動体Mに取り付けられるようになっている。
【0030】
係合爪62は、水平板部61の突き出し端であって、この水平板部61の左右にそれぞれ形成されている。係合爪62は、水平板部61の突き出し端との間に湾曲箇所を形成すると共に、爪先端を垂直板部60側に向けたフック状を呈している。中央弾性片63は、水平板部61に形成された割り溝61aによって区分された水平板部61の一部によって構成されている。中央弾性片63は垂直板部60側を基部とし、水平板部61の突き出し端側を自由端63aとし、この自由端63aを左右の係合爪62、62の間に位置させている。
【0031】
係合体4が係合位置にある状態から、可動体Mが固定体Sより離れる向きに移動されると、係合軸部41の左右方向中程の位置が中央弾性片63の自由端63aに当たってこの中央弾性片63を上方に撓ませる。そして、この中央弾性片63の撓みにより、係合軸部41の端部の係合爪62内への入り込みが許容されるようになっている。係合軸部41の端部の係合爪62内への入り込みにより、本体1側の係合体4がラッチ受け6に係合し、可動体Mの移動が阻止される(図9)。このとき、中央弾性片63は弾性復帰し、係合軸部41の左右方向中程の位置にその自由端63aを係当させる(図9)。なお、地震が止むなどした後の、本体1とラッチ受け6との係合は、可動体Mを固定体Sに近づける向きに押し込み操作することで解除可能となっている。すなわち、図9の状態から可動体Mを押し込み操作すると、中央弾性片63の前記係当により係合体4は後方に移動されるようになっている。そして、係合体4のこの移動により当接部42に押されて球体5は後方に移動され基準位置に戻されるようになっている。また、係合体4が後方に移動されて軸突起43が蓋3に当たると可動体Mの押し込み操作力により中央弾性片63が上方に撓み込まされ、係合爪62内からの係合軸部41の端部の抜け出しが許容される(図11)。そして、係合爪62と係合軸部41との係合が解かれると係合体4は自重により前記待機位置(図5)に復動されるようになっている。
【0032】
この実施の形態にあっては、前記本体1における前記基準位置にある前記球体5の載置面22aの少なくとも後方に、前記載置面22aから離れるに従って高まる前記球体5の案内面28aが形成されている。
【0033】
図示の例では、前記本体1における前記載置面22aよりも前方に位置される箇所を除いた箇所に、前記載置面22aから離れるに従って高まる傾斜面28を備えており、この傾斜面28の一部を前記案内面28aとさせている。
【0034】
具体的には、ケース2の前記後側空間22を構成する側壁23は、この後側空間22の前側の中央に形成された前記載置面22aを巡る各位置において、この載置面22aを底とするように傾斜した構成となっている。
【0035】
また、前記案内面28aは、前記載置面22aから離れるに従って傾斜を大きくするように構成されている。また、前記案内面28aは、前記載置面22aと前記ケース2の最後部の頂部24との間に亘って形成されている。かかる載置面22aと頂部24との間の距離は、前記球体5の直径よりも大きくなっている。
【0036】
また、図示の例では、前記蓋3の内面に、突出部35が形成されていると共に、この突出部35は後方に向かうに従って突き出し寸法を漸減させており、前記後側空間22において前記案内面28aとの間に前記球体5の直径よりもやや大きい間隔を形成するようになっている。これにより、球体5の移動時に球体5の上下の動きを規制するようになっている。
【0037】
前記所定の大きさの振動によって球体5は載置面22aから移動するが、ある瞬間には載置面22aよりも後方に球体5が移動される場合もある。このとき、球体5が前方に移動するよりも速く可動体Mが固定体Sから離れる向きに移動すると、係合体4は前記ラッチ受け6に係合可能な位置、すなわち、前記係合位置に移動されないため、可動体Mの前記移動を阻止することができない。例えば、固定体Sとしての家具や収納体本体1に納められていた収納物が崩れるなどして可動体Mとしての扉を押すなどした場合、このような事態が生じる可能性がある。しかるに、この実施の形態にかかるラッチ装置にあっては、前記載置面22aの後方に前記案内面28aを備えていることから、前記のように後方に移動した球体5を可及的速やかに前方に移動させることができ、前記のような事態ができるだけ生じさせないようにすることができる。
【0038】
前記案内面28aは、前記載置面22aから離れるに従って傾斜を大きくするようになっていることから、球体5が後方に移動すればするほど、この球体5を前方に移動させる運動エネルギーは大きくなる。
【0039】
また、この実施の形態にあっては、前記本体1における前記載置面22aよりも前方に位置される箇所、つまり、前記中央空間20側を除いた箇所に、前記載置面22aから離れるに従って高まる傾斜面28が形成されていることから、球体5が前方以外のいずれの方向に移動した場合であってもかかる傾斜面28により球体5を可及的速やかに前方に移動させることができる。
【0040】
なお、当然のことながら、本発明は以上に説明した実施態様に限定されるものではなく、本発明の目的を達成し得るすべての実施態様を含むものである。
【符号の説明】
【0041】
S 固定体
M 可動体
1 本体
22a 載置面
28a 案内面
4 係合体
5 球体
6 ラッチ受け
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13