(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の弁装置では、圧縮コイルばねは流体の流路上に配置されているため、流体の流れによって倒れや変形が生じてしまうことがあった。例えば、流体の流量が過大になった場合に、圧縮コイルばねの一部が弁座の開口(弁ポート)に吸い込まれるように嵌まりこんでしまい、弁装置が正常に動作できなくなってしまう可能性があった。このように圧縮コイルばねが移動することによる弁装置の動作異常を解消するために、圧縮コイルばねにおける弁体と反対側の端部(他端部)の直径を弁ポートに対して充分に大きくするという対応が考えられるものの、装置全体の大型化を招いてしまう。また、圧縮コイルばねを流体の流路上に配置しないようにする(特許文献1の
図5参照)対応も考えられるが、この場合においても、装置の全長(圧縮コイルばねの軸方向に沿った寸法)が長くなってしまい、即ち大型化してしまう。
【0006】
本発明の目的は、装置全体を小型化するとともに、ばね部材の他端部の移動による動作異常を抑制することができる弁装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、弁座を有する弁ハウジングと、前記弁座に対して接離するように動作して着座及び離座する弁体と、前記弁ハウジングの内側における流体の流路上に配置されるとともに前記弁体を動作方向の弁開側に付勢するばね部材と、を備え、前記ばね部材は、前記動作方向を軸方向とする螺旋状に形成されたものであって、前記弁体に接続される一端部と、該一端部から前記弁座側に向かって延びるばね本体部と、前記弁ハウジングに接続される他端部と、を有し、前記他端部は、自由状態において前記ばね本体部に対して拡
径され、前記弁ハウジングは、前記他端部を自由状態から圧縮変形させた状態で保持する他端保持部を有
し、前記ばね本体部及び前記他端部は、前記一端部側を小径側として全体が円錐台状に形成され、前記他端部は、前記ばね本体部よりも前記動作方向に対する傾斜角度が大きいことを特徴とする弁装置である。
【0008】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載の発明において、前記他端部は、連続する複数の円環部によって自由状態において円錐台状に形成され、前記他端保持部は、前記他端部における前記複数の円環部が径方向に並ぶように、前記他端部を前記動作方向の両側から挟持するように構成されていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項3に記載された発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記弁体は、前記一端部を保持する一端保持部を有することを特徴とするものである。
【0011】
請求項
4に記載された発明は、請求項1〜
3のいずれか1項に記載の発明において、前記弁ハウジングは、前記弁座を有するハウジング本体と、前記弁体を収容するとともに前記ハウジング本体に取り付けられる円筒状のプラグ部材と、を有し、前記プラグ部材における前記動作方向の前記他端部側の先端部と、前記ハウジング本体のうち前記動作方向において前記先端部に対向する対向部と、によって前記他端保持部が構成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載された発明によれば、ばね部材の他端部が、弁ハウジングの他端保持部によって自由状態から圧縮変形した状態で保持されていることで、ばね部材に生じる復元力によって大きな保持力を得ることができる。従って、流体の流量が過大になった場合でもばね部材の他端部が移動しにくくなり、弁装置の動作異常を抑制することができる。このとき、他端部の直径を大きくする必要がなく、装置全体を小型化することができる。
また、ばね本体部が円錐台状に形成されていることで、径方向に沿った外力による変形を抑制することができる。また、他端部の傾斜角度がばね本体部の傾斜角度よりも大きいことで、ばね本体部の円錐台の外側に他端保持部を配置することができ、他端部を保持しやすくすることができる。
【0013】
請求項2に記載された発明によれば、複数の円環部が径方向に並ぶように、他端部が他端保持部によって動作方向から挟持されることで、他端部をより強固に保持することができ、弁装置の動作異常をさらに抑制することができる。尚、ばね部材は螺旋状であるため閉環状の部分は形成されないが、周方向において基準位置を定め、この基準位置から一周分を円環部と呼ぶものとする。
【0014】
請求項3に記載された発明によれば、弁体の一端保持部によってばね部材の一端部が保持されることで、一端部が弁体から脱落することを抑制し、弁装置の動作異常をさらに抑制することができる。
【0016】
請求項
4に記載された発明によれば、プラグ部材の先端部とハウジング本体の対向部とによって他端保持部が構成されていることで、ハウジング本体にプラグ部材を取り付けることにより容易に他端部を保持させることができる。即ち、弁体を収容したプラグ部材をハウジング本体に取り付ける際に、プラグ部材の先端部によって他端部を対向部との間に挟み込むようにすれば、他端保持部によって容易に他端部を保持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。尚、第2実施形態においては、第1実施形態で説明する構成部材と同じ構成部材及び同様な機能を有する構成部材には、第1実施形態と同じ符号を付すとともに説明を省略する。
【0019】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態の弁装置1Aは、パイロット型電磁弁であって、
図1に示すように、弁ハウジング2と、弁体としての主弁体3と、ばね部材4と、電磁コイル装置5と、を備える。弁装置1Aは、例えば空気調和機において冷媒(流体)が通過する流路に設けられる。本実施形態において、主弁体3の動作方向をZ方向とし、流体の流入及び流出方向をX方向とし、Z方向及びX方向に略直交する方向をY方向とする。また、弁装置1Aは、主弁体3が
図1の上方側に移動することにより弁開し、下方側に移動することにより弁閉するように構成され、以下では
図1の上方側を弁開側と呼び、下方側を弁閉側と呼ぶ。
【0020】
弁ハウジング2は、X方向に延びる筒状のハウジング本体21と、ハウジング本体21の長手方向略中央部に略垂直に接続されるプラグ部材22と、を有する。
【0021】
ハウジング本体21は、
図1における右側の流入口211と、流入口211に連なる流入通路212と、左側の流出口213と、流出口213に連なる流出通路214と、流出通路214に連通して流入通路212と区画されるようにZ方向に沿って延びて弁開側に開口する弁ポート215と、弁ポート215の端部に形成された弁座216と、プラグ部材22を保持するためのプラグ保持部217と、を有する。
【0022】
プラグ部材22は、Z方向に延びる円筒状に形成されるとともに、主弁体3を収容することによって一次側弁室221と背圧室222とに区画され、プラグ保持部217によってハウジング本体21にカシメ固定されて取り付けられる。プラグ部材22の内側の空間のうち主弁体3よりもZ方向弁閉側が一次側弁室221となり、弁開側が背圧室222となる。
【0023】
一次側弁室221は、常に流入通路212と連通するとともに、主弁体3が弁開することにより弁ポート215と連通するようになっている。また、プラグ部材22の内周面と主弁体3との間には隙間が形成されており、背圧室222は一次側弁室221と連通している。従って、背圧室222は流入通路212と連通している。
【0024】
図2に拡大して示すように、プラグ保持部217の内周面にZ方向弁開側を向いたストッパ面217Aが形成され、プラグ部材22にZ方向弁閉側を向いたストッパ面22Aが形成され、ストッパ面217A、22A同士が当接することにより、プラグ部材22がハウジング本体21に対してZ方向弁閉側に入り込みすぎないようになっている。
【0025】
このようにストッパ面217A、22A同士が当接すると、プラグ部材22のZ方向弁閉側の先端部223は、ハウジング本体21における弁座216の周囲の部分(対向部218)とZ方向において対向するとともに、先端部223と対向部218とが離隔した状態となる。先端部223と対向部218との間にばね部材4の後述する他端部43が配置されて保持されるようになっており、先端部223と対向部218とが他端保持部23を構成する。即ち、他端保持部23は、他端部43をZ方向の両側から挟み込むような位置に設けられている。尚、先端部223と対向部218との間隔Gは、ばね部材4を構成する線材の直径と略等しく、先端部223の幅(径方向寸法)は、線材の直径の3倍(他端部43を構成する円環部の個数)程度とする。
【0026】
主弁体3は、Z方向を軸方向とする円柱状の弁本体31と、円筒状に形成されて内側に弁本体31が圧入される外筒体32と、を有し、プラグ部材22の内側に収容される。
【0027】
弁本体31の略中心部には、軸方向に沿って延びるとともに上面(弁開側の面)から下面(弁閉側の面)まで貫通したパイロット通路311が形成されている。また、弁本体31の下面が弁座216に当接することにより、主弁体3が弁座216に着座し、弁本体31の下面が弁座216から離れることにより、主弁体3が弁座216から離座する。
【0028】
外筒体32は、弁開側においてその外周面がプラグ部材22の内周面に対して摺動するように設けられ、ばね部材4の後述する一端部41を保持する一端保持部321が弁閉側に形成されている。一端保持部321は、小径な溝部321Aと、溝部321Aの弁閉側に形成された大径な係止部321Bと、で構成され、くびれ形状を有している。
【0029】
主弁体3には、その前後(上面側及び下面側)の圧力差や各部(主弁体3自身や後述するプランジャ52等)の重量、後述するプランジャばね53の弾性力等によって弁閉力が加えられ、これに抗するようにばね部材4によって弁開側に付勢されるようになっている。
【0030】
ばね部材4は、
図3にも示すように、金属製の線材がZ方向を軸方向として螺旋状に巻き回されることによって、弁開側から順に、主弁体3に接続される一端部41と、一端部41から弁座216側に向かって延びるばね本体部42と、弁ハウジング2における主弁体3よりも弁座216側(弁閉側)に接続される他端部43とを有する。ばね部材4は、連続する複数の円環部によって形成されたものとみなすことができる。尚、
図3は自由状態のばね部材4を示し、
図1、2には、自由状態から変形したばね部材4が示されている。
【0031】
一端部41は、例えばばね部材4の一端側に形成された座巻であって、軸方向に互いに当接又は近接した3巻程度(3個程度の円環部)によって構成され、自由状態においてZ方向を軸方向とする円筒状に形成されている。一端部41を構成する円環部が主弁体3の溝部321Aに設けられることにより、これらの円環部が係止部321Bによって係止されて弁閉側への移動が規制され、一端部41が一端保持部321に保持される。
【0032】
ばね本体部42は、例えばばね部材4のうち圧縮されて主弁体3を付勢するための部分であって、軸方向に互いに離隔した5巻程度(5個程度の円環部)によって構成され、自由状態において、Z方向を軸方向とするとともに弁開側を小径側とする円錐台状に形成されている。ばね本体部42の巻数がばね部材4の有効巻数となる。ばね本体部42のZ方向に対する傾斜角度θ1は25〜35°程度である。ばね本体部42を構成する円環部が軸方向に離隔していることで、軸方向に圧縮されたばね本体部42には、軸方向に伸長しようとする復元力が生じる。
【0033】
他端部43は、例えばばね部材4の他端側に形成された座巻であって、軸方向に互いに当接又は近接した3巻程度(3個程度の円環部)によって構成され、自由状態において、Z方向を軸方向とするとともに弁開側を小径側とする円錐台状に形成されている。他端部43のZ方向に対する傾斜角度θ2は40〜50°程度である。従って、ばね本体部42および他端部43のZ方向に対する傾斜角度θ1、θ2は、θ1<θ2の関係を有している。尚、一端部41、ばね本体部42及び他端部43の巻数は、上記の数に限定されず、線材の線径や制御する流体の圧力等に応じて適宜に設定されればよい。
【0034】
自由状態における他端部43の高さHは、他端保持部23を構成する先端部223と対向部218との間隔Gよりも大きい。さらに、
図4(A)に示すように、他端部43を構成する各円環部431〜433は、それぞれ弁開側に隣り合う円環部の外径と略等しい内径を有する。即ち、他端部43をZ方向から見たときに、隣り合う円環部の内周と外周とが重なり合う。尚、
図4は、他端部43のX方向入口側の様子を示しているが、他端部43は、線材の端部を除き、他の周方向位置においてもほぼ同様の構成を有している。
【0035】
先端部223と対向部218との間隔Gが、他端部43の高さHよりも小さいことから、他端保持部23は、他端部43を自由状態から圧縮変形させた状態で保持する。さらに、間隔Gがばね部材4の線材の線径と略等しいことから、円環部431〜433が径方向に並び、他端部43が他端保持部23によってZ方向から挟持される。即ち、他端部43が先端部223及び対向部218の両方に当接する。
【0036】
以上のようなばね部材4は主弁体3及び弁ハウジング2に接続される。主弁体3が弁座216から離座した状態において、ばね部材4は自由状態からやや圧縮されるとともにさらに圧縮可能であり、弁閉時にはばね部材4がさらに圧縮され、復元力によって主弁体3を弁開側に付勢するようになっている。
【0037】
電磁コイル装置5は、主弁体3の背圧室222を形成するとともにZ方向を軸方向とする円筒部51と、円筒部51に収容されたプランジャ52と、プランジャ52を弁閉側に付勢するプランジャばね53と、円筒部51の外側に配置されてプランジャ52を弁開側に移動させるためのコイル54と、プランジャ52よりも弁開側に配置された吸引子55と、を有する。
【0038】
プランジャ52の先端(弁閉側端部)には、パイロット弁としてのボール弁521が設けられている。プランジャ52が弁閉側に移動することで、主弁体3に形成されたパイロット通路311の開口がボール弁521によって閉塞されるようになっている。
【0039】
ここで、ハウジング本体21にプラグ部材22を取り付ける手順について説明する。まず、ばね部材4の一端部41を主弁体3に接続し、主弁体3をプラグ部材22に収容する。このとき、ばね部材4の他端部43がプラグ部材22の先端部223に対してZ方向に重なり合うようにする。このようなプラグ部材22をハウジング本体21に対してZ方向に接近させ、先端部223とハウジング本体21の対向部218との間に他端部43を配置させ、上記のように圧縮変形させる。その後、ハウジング本体21のプラグ保持部217によってプラグ部材22をカシメ固定するとともにろう付けし、取り付けが完了する。ろう付けを行うことにより、弁内部の気密性を確保するとともに、他端部43の弁開側への復元力によってプラグ部材22が持ち上げられてしまったり、ばね部材4が移動してしまったりすることが抑制される。
【0040】
以下、弁装置1A全体の弁開及び弁閉動作について説明する。まず、コイル54がオフとなっている場合、プランジャばね53によってプランジャ52が弁閉側に移動することにより、主弁体3のパイロット通路311が閉塞されるとともに、主弁体3がばね部材4の弾性力に抗して弁閉側に移動させられて弁座216に着座し、弁装置1Aは弁閉状態となる。
【0041】
このとき、流出通路214は、主弁体3によって一次側弁室221と区画されるとともに、ボール弁521によって背圧室222と区画される。一次側弁室221及び背圧室222が流入通路212と略同圧であり、流入通路212の方が流出通路214及び弁ポート215よりも高圧であることから、主弁体3は弁閉側への力を受ける。
【0042】
このような弁閉状態においてコイル54がオンとなり、プランジャ52と吸引子55とが磁力によって互いに引き合うことにより、プランジャ52が弁開側に移動すると、ボール弁521が主弁体3の上面から離れ、パイロット通路311が背圧室222に対して開放される。これにより、背圧室222内の圧力が低下して流出通路214の圧力と略等しくなる。主弁体3の上面に加わる力が下面に加わる力と等しくなるか又は小さくなり、さらにばね部材4の復元力によって主弁体3が弁開側に移動して弁座216から離座し、弁装置1Aは
図1に示すような弁開状態となる。
【0043】
これにより、流入通路212が一次側弁室221及び弁ポート215を介して流出通路214と連通し、流入口211から流出口213まで流体が流れることができるようになる。このとき、ばね部材4は、弁ハウジング2の内側における流体の流路上に配置されている。
【0044】
このような本実施形態によれば、以下のような効果がある。即ち、ばね部材4の他端部43が、弁ハウジング2の他端保持部23によって自由状態から圧縮変形した状態で保持されていることで、ばね部材4に生じる復元力によって大きな保持力を得ることができる。従って、流体の流量が過大になった場合でも他端部43が移動しにくくなり、弁装置1Aの動作異常を抑制することができる。このとき、他端部43の直径を大きくする必要がなく、弁装置1A全体を小型化することができる。
【0045】
また、主弁体3の一端保持部321によってばね部材4の一端部41が保持されることで、一端部41が主弁体3から脱落することを抑制し、主弁体3の動作異常をさらに抑制することができる。
【0046】
また、ハウジング本体21のストッパ面217Aとプラグ部材22のストッパ面22Aとが当接するように構成されていることで、ストッパ面同士が当接するようにハウジング本体21にプラグ部材22を組み付けることにより、これらの相対位置のずれを抑制することができる。また、他端部43が他端保持部23によって正常に保持されない場合にはストッパ面同士が当接しにくく、作業者が組み付け不良に気付きやすい。さらに、このようにハウジング本体21とプラグ部材22との相対位置のずれが抑制されていることから、ばね部材4が主弁体3に加える弁開力のばらつきを抑制することができる。
【0047】
また、ばね本体部42が円錐台状に形成されていることで、径方向に沿った外力による変形を抑制することができる。さらに、他端部43の傾斜角度θ2がばね本体部42の傾斜角度θ1よりも大きいことで、ばね本体部42の円錐台の外側に他端保持部23を配置することができ、他端部43を保持しやすくすることができる。
【0048】
さらに、プラグ部材22の先端部223とハウジング本体21の対向部218とによって他端保持部23が構成されていることで、ハウジング本体21にプラグ部材22を取り付けることにより容易に他端部43を保持させることができる。
【0049】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態の弁装置1Bは、パイロット型電磁弁であって、
図5に示すように、弁ハウジング6と、弁体としての主弁体3Bと、ばね部材7と、電磁コイル装置5と、を備える。本実施形態において、主弁体3Bの動作方向をZ方向とし、Z方向に略直交する方向をX方向及びY方向とする。また、弁装置1Bは、主弁体3Bが
図5の上方側に移動することにより弁開し、下方側に移動することにより弁閉するように構成され、以下では
図5の上方側を弁開側と呼び、下方側を弁閉側と呼ぶ。
【0050】
弁ハウジング6は、Z方向に延びるとともに弁座611を有する筒状のハウジング本体61と、X方向に延びて流入通路を形成するとともにハウジング本体61に接続される流入管部材62と、Z方向に延びて流出通路を形成するとともにハウジング本体61に接続される流出管部材63と、ハウジング本体61に取り付けられるリング部材64と、を有する。
【0051】
リング部材64は、
図6にも示すように、ばね部材7の後述する他端部73を保持することができるように円環状に形成され、ハウジング本体61における対向面612に対してZ方向において対向するとともに離隔し、ハウジング本体61に固定される。リング部材64は、ハウジング本体61のうち弁座611を構成する円筒部613の外周に圧入固定される。このとき、リング部材64の上面と円筒部613の上面とが一致する(同じ高さになる)ようすることで、リング部材64がZ方向において位置決めされる。他端部73に対してZ方向の両側に配置されたリング部材64及び対向面612によって他端保持部65が構成され、他端保持部65によって他端部73が保持される。
【0052】
本実施形態の弁装置1Bでは、主弁体3Bがハウジング本体61に収容されるとともに、電磁コイル装置5がプラグ部材を介さずにハウジング本体61に直接接続されている。また、主弁体3Bは、外筒体を備えず弁本体のみで構成され、その外周面には、ハウジング本体61の内周面に対して摺動する部分と、第1実施形態の主弁体3と同様の一端保持部と、が形成されている。
【0053】
ばね部材7は、
図6にも示すように、主弁体3Bに接続される円筒形状の一端部71と、円筒形状のばね本体部72と、弁ハウジング6における主弁体3Bよりも弁閉側(弁座611側)に接続される他端部73と、を有する。
【0054】
他端部73は、自由状態において、一端部71及びばね本体部72に対して縮径され、Z方向弁閉側に向かうにしたがって直径が小さくなるような傾斜を有し、弁閉側を小径側とする円錐台状に形成されている。即ち、他端部73を保持するためのリング部材64は、ばね部材7の内側に配置される。また、リング部材64と対向面612との間に配置された他端部73は、前記第1実施形態のばね部材4の他端部43と同様に、円環部が径方向に並ぶように圧縮される。
【0055】
このような本実施形態によれば、前記第1実施形態と同様の効果が奏される。さらに、ばね部材7の他端部73がばね本体部72よりも縮径され、リング部材64がばね部材7の内側に配置されていることで、ばね部材7の内側のスペースを有効利用することができる。さらに、ばね部材を流体の流路上に配置しないようにする構成と比較して、弁装置1Bの全長(Z方向寸法)を短くすることができる。
【0056】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
【0057】
例えば、前記第1及び第2実施形態では、円筒状のプラグ部材22の先端部223や円環状のリング部材64が他端保持部を構成し、周方向全体に亘ってばね部材の他端部を保持するものとしたが、他端保持部は流体の流れに対して充分な保持力を有するものであればよく、他端部を周方向全体に亘って保持するものでなくてもよい。
【0058】
例えば
図7に示すように、第2実施形態のリング部材64に代えてZ方向視C字状の押さえ部材66を用いてもよい。このとき、ハウジング本体61の内周面にザグリ溝614が形成されることにより、押さえ部材66が嵌め込み固定される。即ち、押さえ部材66の外周側の部分が保持されるようになっている。さらに、押さえ部材66は、その上面がザグリ溝614の下面に当接することでZ方向において位置決めされる。尚、リング部材や押さえ部材をハウジング本体に固定する方法は、第2実施形態のような圧入や、上記のような溝への嵌め込みに限定されず、ばね部材の他端部の復元力によって移動してしまわないような固定力を得られる適宜な方法であればよい。
【0059】
また、前記第1及び第2実施形態では、ばね部材の一端部を保持する一端保持部が主弁体に設けられるものとしたが、例えば一端部の軸方向寸法が大きい場合や、主弁体への接続時に一端部を大きく弾性変形させて復元力によって大きな保持力が得られる場合等、一端部が主弁体から脱落しにくい場合、或いは、例えば一端部が流体の流路上に配置されず、一端部と主弁体との相対位置がずれにくい場合には、主弁体に一端保持部が設けられずに一端部が接続されていてもよい。ここでの「接続」とは互いに固定されていない構成も含む概念であり、主弁体の特定の位置に対して一端部が当接して押圧するようになっていればよい。例えば、主弁体の下面に位置決め用の溝等が形成され、一端部が単にこの溝部内に位置することにより、一端部が主弁体に接続される構成であってもよい。
【0060】
また、前記第1実施形態では、ばね部材4の他端部43を形成する複数の円環部431〜433がZ方向から見て重なり合うものとしたが、ばね部材の弾性力が大きく、他端保持部によって充分な保持力が得られる場合には、これらの円環部は重なり合っていなくてもよい。
【0061】
また、前記第1及び第2実施形態では、他端保持部が他端部を挟持し、他端部における複数の円環部が径方向に並ぶものとしたが、他端保持部は他端部を挟持しなくてもよく、少なくとも弁開側から他端部に当接して保持するものであればよい。さらに、他端部が保持された際に複数の円環部が径方向に並んでいなくてもよいし、1つの円環部のみを有する他端部が保持されてもよい。
【0062】
また、前記第1実施形態では、ばね部材4の他端部43を構成する各円環部431〜433がそれぞれ弁開側に隣り合う円環部の外径と略等しい内径を有するものとしたが、隣り合う円環部同士の内径と外径との関係は、適宜に設定されていればよい。即ち、各円環部がそれぞれ弁開側に隣り合う円環部の外径よりも小さい内径を有することにより、Z方向から見て円環部同士が重なり合ってもよいし、各円環部がそれぞれ弁開側に隣り合う円環部の外径よりも大きい内径を有することにより、Z方向から見て円環部同士が離れていてもよい。
【0063】
ここで、Z方向から見て円環部431〜433同士が重なり合う構成について、
図8に示す。他端部43は自由状態において、
図8(A)に示すように、弁開側から2番目の円環部432の内径DI2が1番目の円環部431の外径DO1よりも小さく、3番目の円環部433の内径DI3が2番目の円環部432の外径DO2よりも小さく、隣り合う円環部431〜433同士がZ方向から見て重なり合う。
【0064】
このような他端部43が他端保持部によって保持されると、
図8(B)に示すように、他端部43が自由状態からZ方向において圧縮され、円環部431〜433が径方向に並ぶ。このとき、自由状態の他端部43において、円環部431〜433同士がZ方向から見て重なり合うことで、変形した他端部43において、各円環部431〜433が隣り合う円環部と干渉することによって直径が拡大または縮小され、隣り合う円環部431〜433同士が復元力によって径方向において押し付け合う。
【0065】
図示の例では、簡単のため、中央に位置する2番目の円環部432が自由状態からほとんど変位せず、出口側(内側)に位置する1番目の円環部431が自由状態から出口側及び弁閉側に変位し、入口側(外側)に位置する3番目の円環部433が自由状態から入口側及び弁開側に変位するものとする。このとき、1番目の円環部431がZ方向の復元力によって弁開側に位置する先端部223に押し付けられるとともに、3番目の円環部433がZ方向の復元力によって弁閉側に位置する対向部218に押し付けられる。先端部223と対向部218との間隔Gがばね部材4の線材の直径よりも大きいことから、円環部431〜433はZ方向において互いにずれた状態となる。
【0066】
さらに、1番目の円環部431及び3番目の円環部433が径方向の復元力によって2番目の円環部432に押し付けられる。このとき、1番目の円環部431は、円環部432よりも弁開側にずれていることから、2番目の円環部432によって受けた反力により、さらに先端部223に押し付けられる。3番目の円環部433も同様に、2番目の円環部432によって受けた反力により、さらに対向部218に押し付けられる。従って、Z方向に重ならない円環部を有する他端部を圧縮する場合と比較して、円環部431、433は他端保持部23に対してより強く押し付けられ、保持力を大きくすることができる。
【0067】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部、もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。