(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の段からなり、オンレベルとオフレベルとを周期的に繰り返す複数のクロック信号に基づいて前記複数の段から順次にアクティブな出力信号を出力する、走査信号線を駆動するためのシフトレジスタであって、
前記複数の段の各段を構成する単位回路は、
前記出力信号を出力する出力ノードと、
制御端子,第1の導通端子,および第2の導通端子を有し、第1の導通端子に前記複数のクロック信号の1つが与えられ、前記出力ノードに第2の導通端子が接続された出力制御トランジスタと、
前記出力制御トランジスタの制御端子に接続された出力制御ノードと、
自段よりも前の段から出力される出力信号に基づいて前記出力制御ノードをオンレベルにするための出力制御ノードセット部と、
前記出力ノードおよび前記出力制御ノードの少なくとも一方をターゲットノードとして通常動作期間に当該ターゲットノードをオフレベルで維持するためのターゲットノード制御部と
を有し、
前記ターゲットノード制御部は、
制御端子,第1の導通端子,および第2の導通端子を有し、対応するターゲットノードに第1の導通端子が接続され、第2の導通端子にオフレベルの電位が与えられる、少なくとも1つの安定化トランジスタと、
前記安定化トランジスタの制御端子に接続された安定化ノードと
前記安定化ノードのレベルを制御する安定化ノード制御部と
を含み、
前記複数のクロック信号は、オンデューティが2分の1未満である8相以上のクロック信号であって、
前記安定化ノード制御部は、前記複数のクロック信号のうちの2つ以上のクロック信号に基づいて、通常動作期間のうち50パーセント未満の期間に前記安定化ノードをオンレベルにすることを特徴とする、シフトレジスタ。
前記ターゲットノード制御部は、制御端子,第1の導通端子,および第2の導通端子を有し、自段以外の段を構成する単位回路内の安定化ノードに制御端子が接続され、対応するターゲットノードに第1の導通端子が接続され、第2の導通端子にオフレベルの電位が与えられる、1つのターゲットノードにつき複数のターゲットノード安定化トランジスタを更に含み、
通常動作期間のうち自段を構成する単位回路内の安定化ノードがオンレベルになっている期間以外の期間には、常に、前記複数のターゲットノード安定化トランジスタのそれぞれの制御端子に接続された安定化ノードのうちの少なくとも1つがオンレベルになっていることを特徴とする、請求項1に記載のシフトレジスタ。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数本のソースバスライン(映像信号線)および複数本のゲートバスライン(走査信号線)を含む表示部を備えた液晶表示装置が知られている。このような液晶表示装置に関し、従来、ゲートバスラインを駆動するためのゲートドライバ(走査信号線駆動回路)は、液晶パネルを構成する基板の周辺部にIC(Integrated Circuit)チップとして搭載されることが多かった。しかしながら、近年、液晶パネルを構成する2枚のガラス基板のうちの一方の基板であるTFT基板上に直接的にゲートドライバを形成することが徐々に多くなされている。このようなゲートドライバは「モノリシックゲートドライバ」などと呼ばれている。
【0003】
液晶表示装置において、ソースバスラインとゲートバスラインとの交差点には、画素を形成する画素形成部が設けられている。各画素形成部は、対応する交差点を通過するゲートバスラインにゲート端子が接続されるとともに当該交差点を通過するソースバスラインにソース端子が接続されたスイッチング素子である薄膜トランジスタや、画素電圧値を保持するための画素容量などを含んでいる。液晶表示装置には、また、上述したゲートドライバと、ソースバスラインを駆動するためのソースドライバ(映像信号線駆動回路)とが設けられている。
【0004】
画素電圧値を示す映像信号はソースバスラインによって伝達される。しかしながら、各ソースバスラインは複数行分の画素電圧値を示す映像信号を一時(同時)に伝達することができない。このため、表示部に設けられた複数の画素形成部内の画素容量への映像信号の書き込み(充電)は1行ずつ順次に行われる。そこで、複数本のゲートバスラインが所定期間ずつ順次に選択されるように、ゲートドライバは複数段からなるシフトレジスタによって構成されている。そして、シフトレジスタの各段から順次にアクティブな走査信号が出力されることによって、上述のように、画素容量への映像信号の書き込みが1行ずつ順次に行われる。なお、本明細書においては、シフトレジスタの各段を構成する回路のことを「単位回路」という。
【0005】
図43は、従来の最も簡単な構成の単位回路の回路図である。この単位回路は、4個の薄膜トランジスタT81〜T84と1個のキャパシタCAPとを備えている。また、この単位回路は、ローレベルの直流電源電位VSS用の入力端子のほか、1個の出力端子80と4個の入力端子81〜84とを有している。薄膜トランジスタT81のゲート端子,薄膜トランジスタT83のソース端子,および薄膜トランジスタT84のドレイン端子は互いに接続されている。これらが互いに接続されている領域のことを「出力制御ノード」という。出力制御ノードには、符号NAを付している。なお、一般的には、ドレインとソースのうち電位の高い方がドレインと呼ばれているが、本明細書の説明では、一方をドレイン,他方をソースと定義するので、ドレイン電位よりもソース電位の方が高くなることもある。また、ローレベルの直流電源電位VSSについての電位の大きさのことを便宜上「VSS電位」という。
【0006】
出力端子80からは出力信号Gが出力される。出力信号Gは、この単位回路に接続されているゲートバスラインに走査信号として与えられるとともに、前段の単位回路および次段の単位回路に制御信号として与えられる。入力端子81には、クロック信号CKaが与えられる。入力端子82には、クロック信号CKbが与えられる。なお、クロック信号CKaとクロック信号CKbとは位相が180度ずれている。入力端子83には、前段の単位回路から出力される出力信号Gがセット信号Sとして与えられる。入力端子84には、次段の単位回路から出力される出力信号Gがリセット信号Rとして与えられる。なお、以下においては、「前段の単位回路」のことを単に「前段」と略記し、「次段の単位回路」のことを単に「次段」と略記することもある。
【0007】
薄膜トランジスタT81については、ゲート端子は出力制御ノードNAに接続され、ドレイン端子は入力端子81に接続され、ソース端子は出力端子80に接続されている。薄膜トランジスタT82については、ゲート端子は入力端子82に接続され、ドレイン端子は出力端子80に接続され、ソース端子は直流電源電位VSS用の入力端子に接続されている。薄膜トランジスタT83については、ゲート端子およびドレイン端子は入力端子83に接続され(すなわち、ダイオード接続となっている)、ソース端子は出力制御ノードNAに接続されている。薄膜トランジスタT84については、ゲート端子は入力端子84に接続され、ドレイン端子は出力制御ノードNAに接続され、ソース端子は直流電源電位VSS用の入力端子に接続されている。キャパシタCAPについては、一端は出力制御ノードNAに接続され、他端は出力端子80に接続されている。
【0008】
次に、
図44を参照しつつ、
図43に示す構成の単位回路の動作について説明する。なお、以下においては、各単位回路に関し、対応するゲートバスラインに接続されている画素形成部内の画素容量への書き込み(充電)のための動作が行われる期間のことを「書込動作期間」という。また、書込動作期間以外の期間のことを「通常動作期間」という。
図44においては、時点t80〜時点t82の期間が書込動作期間であり、時点t80以前の期間および時点t82以降の期間が通常動作期間である。
【0009】
まず、書込動作期間の動作について説明する。時点t80になると、入力端子83にセット信号Sのパルスが与えられる。薄膜トランジスタT83は
図43に示すようにダイオード接続となっているので、このセット信号Sのパルスによって薄膜トランジスタT83はオン状態となり、キャパシタCAPが充電される。これにより、出力制御ノードNAの電位が上昇し、薄膜トランジスタT81がオン状態となる。ここで、時点t80〜時点t81の期間中、クロック信号CKaはローレベルとなっている。このため、この期間中、出力信号Gはローレベルで維持される。また、時点t80〜時点t81の期間中、リセット信号Rはローレベルとなっているので、薄膜トランジスタT84はオフ状態で維持される。このため、この期間中に出力制御ノードNAの電位が低下することはない。
【0010】
時点t81になると、クロック信号CKaがローレベルからハイレベルに変化する。このとき、薄膜トランジスタT81はオン状態となっているので、入力端子81の電位の上昇とともに出力端子80の電位が上昇する。ここで、
図43に示すように出力制御ノードNA−出力端子80間にはキャパシタCAPが設けられているので、出力端子80の電位の上昇とともに出力制御ノードNAの電位も上昇する(出力制御ノードNAがブートストラップされる)。その結果、薄膜トランジスタT81のゲート端子には大きな電圧が印加され、出力信号Gの電位は、クロック信号CKaのハイレベルの電位にまで上昇する。これにより、この単位回路の出力端子80に接続されているゲートバスラインが選択状態となる。なお、時点t81〜時点t82の期間中、クロック信号CKbはローレベルとなっている。このため、薄膜トランジスタT82はオフ状態で維持されるので、この期間中に出力信号Gの電位が低下することはない。
【0011】
時点t82になると、クロック信号CKaはハイレベルからローレベルに変化する。これにより、入力端子81の電位の低下とともに出力端子80の電位は低下し、キャパシタCAPを介して出力制御ノードNAの電位も低下する。また、時点t82には、入力端子84にリセット信号Rのパルスが与えられる。これにより、薄膜トランジスタT84はオン状態となる。その結果、出力制御ノードNAの電位はハイレベルからローレベルに変化する。また、時点t82には、クロック信号CKbがローレベルからハイレベルに変化する。これにより、薄膜トランジスタT82はオン状態となる。その結果、出力信号Gの電位はローレベルとなる。
【0012】
以上のようにして、書込動作期間のうちの後半の期間に、この単位回路に対応するゲートバスラインにアクティブな走査信号が与えられる。任意の段の単位回路から出力された出力信号Gは、セット信号Sとして次段に与えられる。これにより、液晶表示装置に設けられている複数本のゲートバスラインが順次に選択状態となり、1行ずつ画素容量への書き込みが行われる。
【0013】
ところが、上記構成によると、通常動作期間に、クロック信号CKaに起因するノイズによって、ローレベルで固定されるべき出力信号G(走査信号)の電位に変動が生じることがある。これについて、以下に説明する。シフトレジスタを構成する単位回路内の薄膜トランジスタの各電極間には寄生容量が形成される。従って、
図43に示す構成においては、薄膜トランジスタT81のゲート−ドレイン間やゲート−ソース間にも寄生容量が形成される。このため、クロック信号CKaがローレベルからハイレベルに変化すると、寄生容量を介して薄膜トランジスタT81のゲート電位が上昇する。すなわち、出力制御ノードNAの電位が、ローレベルで固定されるべきにもかかわらず、いくらか上昇する(出力制御ノードNAの電位が浮く)。これにより、薄膜トランジスタT81にリーク電流が流れ、出力信号Gの電位に変動が生じる。
図44から把握されるように、液晶表示装置の動作期間を通じて、クロック信号CKaは所定の周期でローレベルからハイレベルに変化する。従って、通常動作期間中、所定の周期で出力信号G(走査信号)の電位に変動が生じる。その結果、異常動作や消費電力の増大が引き起こされる。
【0014】
そこで、一般的に、通常動作期間を通じて出力制御ノードNAの電位をローレベルで維持するための回路(以下、「出力制御ノード安定部」という。)が単位回路に設けられている。
図45は、出力制御ノード安定部を有する単位回路の構成を模式的に示した図である。
図45に示すように、単位回路には、バッファ910,走査信号安定部920,出力制御ノードセット部930,出力制御ノードリセット部940に加えて、出力制御ノード安定部950が設けられている。なお、
図43における薄膜トランジスタT81,薄膜トランジスタT82,薄膜トランジスタT83,および薄膜トランジスタT84がそれぞれ
図45におけるバッファ910,走査信号安定部920,出力制御ノードセット部930,および出力制御ノードリセット部940に相当する。
【0015】
出力制御ノード安定部を有する従来の単位回路の具体的な構成については、例えば、国際公開2010/067641号パンフレットに開示されている。
図46は、国際公開2010/067641号パンフレットに開示されている単位回路の構成を示す回路図である。
図46に示す単位回路は、10個の薄膜トランジスタT91〜T100と1個のキャパシタCAPとを備えている。また、この単位回路は、1個の出力端子90と6個の入力端子91〜96とを有している。薄膜トランジスタT91のゲート端子と薄膜トランジスタT92のドレイン端子と薄膜トランジスタT95のソース端子と薄膜トランジスタT96のゲート端子と薄膜トランジスタT97のドレイン端子とは、出力制御ノードNAを介して互いに接続されている。薄膜トランジスタT92のゲート端子と薄膜トランジスタT93のソース端子と薄膜トランジスタT94のドレイン端子と薄膜トランジスタT96のドレイン端子と薄膜トランジスタT100のゲート端子とは互いに接続されている。これらが互いに接続されている領域のことを「安定化ノード」という。安定化ノードには、符号NBを付している。
【0016】
薄膜トランジスタT91については、ゲート端子は出力制御ノードNAに接続され、ドレイン端子は入力端子91に接続され、ソース端子は出力端子90に接続されている。薄膜トランジスタT92については、ゲート端子は安定化ノードNBに接続され、ドレイン端子は出力制御ノードNAに接続され、ソース端子は直流電源電位VSS用の入力端子に接続されている。薄膜トランジスタT93については、ゲート端子およびドレイン端子は入力端子93に接続され(すなわち、ダイオード接続となっている)、ソース端子は安定化ノードNBに接続されている。薄膜トランジスタT94については、ゲート端子は入力端子94に接続され、ドレイン端子は安定化ノードNBに接続され、ソース端子は直流電源電位VSS用の入力端子に接続されている。薄膜トランジスタT95については、ゲート端子およびドレイン端子は入力端子95に接続され(すなわち、ダイオード接続となっている)、ソース端子は出力制御ノードNAに接続されている。薄膜トランジスタT96については、ゲート端子は出力制御ノードNAに接続され、ドレイン端子は安定化ノードNBに接続され、ソース端子は直流電源電位VSS用の入力端子に接続されている。薄膜トランジスタT97については、ゲート端子は入力端子96に接続され、ドレイン端子は出力制御ノードNAに接続され、ソース端子は直流電源電位VSS用の入力端子に接続されている。薄膜トランジスタT98については、ゲート端子は入力端子96に接続され、ドレイン端子は出力端子90に接続され、ソース端子は直流電源電位VSS用の入力端子に接続されている。薄膜トランジスタT99については、ゲート端子は入力端子92に接続され、ドレイン端子は出力端子90に接続され、ソース端子は直流電源電位VSS用の入力端子に接続されている。薄膜トランジスタT100については、ゲート端子は安定化ノードNBに接続され、ドレイン端子は出力端子90に接続され、ソース端子は直流電源電位VSS用の入力端子に接続されている。キャパシタCAPについては、一端は出力制御ノードNAに接続され、他端は出力端子90に接続されている。以上のような構成において、薄膜トランジスタT92,T93,T94,およびT96によって上述した出力制御ノード安定部950が実現されている。
【0017】
図47は、
図46に示す構成の単位回路の動作について説明するための信号波形図である。
図47から把握されるように、この単位回路は、位相が90度ずつずれた4相のクロック信号(クロック信号CKa,クロック信号CKb,クロック信号CKc,およびクロック信号CKd)に基づいて動作する。
図47において、通常動作期間に着目する。通常動作期間には、出力制御ノードNAの電位はローレベルで維持されるので、薄膜トランジスタT96はオフ状態で維持される。また、クロック信号CKcがハイレベルかつクロック信号CKdがローレベルとなっている期間には、薄膜トランジスタT93はオン状態かつ薄膜トランジスタT94はオフ状態となる。また、クロック信号CKcがローレベルかつクロック信号CKdがハイレベルとなっている期間には、薄膜トランジスタT93はオフ状態かつ薄膜トランジスタT94はオン状態となる。以上より、
図47に示すように、通常動作期間には所定期間毎に安定化ノードNBの電位がハイレベルとなる。これにより、通常動作期間には、所定期間毎に薄膜トランジスタT92がオン状態となり、出力制御ノードNAの電位がVSS電位へと引き込まれる。以上のようにして、通常動作期間に出力制御ノードNAの電位が浮くことが防止され、異常動作を引き起こすことのないモノリシックゲートドライバが実現されている。なお、薄膜トランジスタT96については、書込動作期間中に安定化ノードNBの電位がハイレベルとなるのを防ぐために設けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
ところが、
図46に示した構成においては、装置の動作期間のうちのほぼ半分の期間に安定化ノードNBの電位がハイレベルとなる。このため、出力制御ノードNAの電位をVSS電位に引き込むために設けられている薄膜トランジスタT92は、閾値シフト(閾値電圧が変動すること)を引き起こしやすい。従って、装置の使用期間が長くなると、薄膜トランジスタT92の閾値シフトに起因して、通常動作期間を通じて出力制御ノードNAの電位をローレベルで維持するということが困難となる。このように、従来の構成によれば、ゲートバスラインの駆動に関して、長期動作に対する信頼性が充分には確保されていない。
【0020】
そこで本発明は、ゲートバスラインの駆動に関して従来よりも長期動作に対する信頼性を高めることのできるシフトレジスタを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の第1の局面は、複数の段からなり、オンレベルとオフレベルとを周期的に繰り返す複数のクロック信号に基づいて前記複数の段から順次にアクティブな出力信号を出力する、走査信号線を駆動するためのシフトレジスタであって、
前記複数の段の各段を構成する単位回路は、
前記出力信号を出力する出力ノードと、
制御端子,第1の導通端子,および第2の導通端子を有し、第1の導通端子に前記複数のクロック信号の1つが与えられ、前記出力ノードに第2の導通端子が接続された出力制御トランジスタと、
前記出力制御トランジスタの制御端子に接続された出力制御ノードと、
自段よりも前の段から出力される出力信号に基づいて前記出力制御ノードをオンレベルにするための出力制御ノードセット部と、
前記出力ノードおよび前記出力制御ノードの少なくとも一方をターゲットノードとして通常動作期間に当該ターゲットノードをオフレベルで維持するためのターゲットノード制御部と
を有し、
前記ターゲットノード制御部は、
制御端子,第1の導通端子,および第2の導通端子を有し、対応するターゲットノードに第1の導通端子が接続され、第2の導通端子にオフレベルの電位が与えられる、少なくとも1つの安定化トランジスタと、
前記安定化トランジスタの制御端子に接続された安定化ノードと
前記安定化ノードのレベルを制御する安定化ノード制御部と
を含み、
前記複数のクロック信号は、オンデューティが2分の1未満である8相以上のクロック信号であって、
前記安定化ノード制御部は、前記複数のクロック信号のうちの2つ以上のクロック信号に基づいて、通常動作期間のうち50パーセント未満の期間に前記安定化ノードをオンレベルにすることを特徴とする。
【0022】
本発明の第2の局面は、本発明の第1の局面において、
前記ターゲットノード制御部は、前記出力ノードおよび前記出力制御ノードの双方をターゲットノードとし、
前記安定化トランジスタは、
前記出力制御ノードに第1の導通端子が接続された出力制御ノード安定化トランジスタと、
前記出力ノードに第1の導通端子が接続された出力ノード安定化トランジスタと
を含むことを特徴とする。
【0023】
本発明の第3の局面は、本発明の第1の局面において、
前記複数のクロック信号は、オンデューティが4分の1である8相のクロック信号であって、
前記安定化ノード制御部は、通常動作期間に、前記出力制御トランジスタの第1の導通端子に与えられるクロック信号よりも位相が45度進んでいるクロック信号に基づいて前記安定化ノードをオンレベルにし、前記出力制御トランジスタの第1の導通端子に与えられるクロック信号よりも位相が45度遅れているクロック信号に基づいて前記安定化ノードをオフレベルにすることを特徴とする。
【0024】
本発明の第4の局面は、本発明の第1の局面において、
前記複数のクロック信号は、オンデューティが8分の3である8相のクロック信号であって、
前記安定化ノード制御部は、通常動作期間に、前記出力制御トランジスタの第1の導通端子に与えられるクロック信号よりも位相が90度進んでいるクロック信号に基づいて前記安定化ノードをオンレベルにし、前記出力制御トランジスタの第1の導通端子に与えられるクロック信号よりも位相が45度遅れているクロック信号に基づいて前記安定化ノードをオフレベルにすることを特徴とする。
【0025】
本発明の第5の局面は、本発明の第1の局面において、
前記複数のクロック信号は、オンデューティが4分の1である8相のクロック信号であって、
前記安定化ノード制御部は、通常動作期間に、前記出力制御トランジスタの第1の導通端子に与えられるクロック信号よりも位相が90度進んでいるクロック信号に基づいて前記安定化ノードをオンレベルにし、前記出力制御トランジスタの第1の導通端子に与えられるクロック信号よりも位相が45度遅れているクロック信号に基づいて前記安定化ノードをオフレベルにすることを特徴とする。
【0026】
本発明の第6の局面は、本発明の第1の局面において、
前記ターゲットノード制御部は、制御端子,第1の導通端子,および第2の導通端子を有し、自段以外の段を構成する単位回路内の安定化ノードに制御端子が接続され、対応するターゲットノードに第1の導通端子が接続され、第2の導通端子にオフレベルの電位が与えられる、1つのターゲットノードにつき複数のターゲットノード安定化トランジスタを更に含み、
通常動作期間のうち自段を構成する単位回路内の安定化ノードがオンレベルになっている期間以外の期間には、常に、前記複数のターゲットノード安定化トランジスタのそれぞれの制御端子に接続された安定化ノードのうちの少なくとも1つがオンレベルになっていることを特徴とする。
【0027】
本発明の第7の局面は、本発明の第6の局面において、
前記複数のクロック信号は、オンデューティが4分の1である8相のクロック信号であって、
前記安定化ノード制御部は、通常動作期間に、前記出力制御トランジスタの第1の導通端子に与えられるクロック信号よりも位相が45度進んでいるクロック信号に基づいて前記安定化ノードをオンレベルにし、前記出力制御トランジスタの第1の導通端子に与えられるクロック信号よりも位相が45度遅れているクロック信号に基づいて前記安定化ノードをオフレベルにし、
前記複数のターゲットノード安定化トランジスタは、
自段の2段前の段を構成する単位回路内の安定化ノードに制御端子が接続された第1のターゲットノード安定化トランジスタと、
自段の2段後の段を構成する単位回路内の安定化ノードに制御端子が接続された第2のターゲットノード安定化トランジスタと、
自段の4段後の段を構成する単位回路内の安定化ノードに制御端子が接続された第3のターゲットノード安定化トランジスタと
を含むことを特徴とする。
【0028】
本発明の第8の局面は、本発明の第6の局面において、
前記複数のクロック信号は、オンデューティが8分の3である8相のクロック信号であって、
前記安定化ノード制御部は、通常動作期間に、前記出力制御トランジスタの第1の導通端子に与えられるクロック信号よりも位相が90度進んでいるクロック信号に基づいて前記安定化ノードをオンレベルにし、前記出力制御トランジスタの第1の導通端子に与えられるクロック信号よりも位相が45度遅れているクロック信号に基づいて前記安定化ノードをオフレベルにし、
複数のターゲットノード安定化トランジスタは、
自段の2段前の段を構成する単位回路内の安定化ノードに制御端子が接続された第1のターゲットノード安定化トランジスタと、
自段の3段後の段を構成する単位回路内の安定化ノードに制御端子が接続された第2のターゲットノード安定化トランジスタと
を含むことを特徴とする。
【0029】
本発明の第9の局面は、本発明の第1の局面において、
前記単位回路に含まれるトランジスタは、アモルファスシリコンを有する薄膜トランジスタであることを特徴とする。
【0030】
本発明の第10の局面は、本発明の第1の局面において、
前記単位回路に含まれるトランジスタは、酸化物半導体層を有する薄膜トランジスタであることを特徴とする。
【0031】
本発明の第11の局面は、表示装置であって、
複数の走査信号線が配設された表示部と、
前記複数の走査信号線と1対1で対応するように設けられた複数の段からなる、本発明の第1から第10までのいずれかの局面に係るシフトレジスタと
を備えることを特徴とする。
【0032】
本発明の第12の局面は、本発明の第11の局面において、
前記シフトレジスタが前記表示部内に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0033】
本発明の第1の局面によれば、通常動作期間には、所定期間毎に、安定化ノードの電位がオンレベルとなって安定化トランジスタがオン状態となる。これにより、通常動作期間には、所定期間毎に、ターゲットノード(出力ノードおよび出力制御ノードの少なくとも一方)の電位がオフレベル(例えばVDD電位)へと引き込まれる。その結果、クロック信号のクロック動作に起因する異常動作の発生が防止される。ここで、シフトレジスタを動作させるためのクロック信号としてオンデューティ(デューティ比)が2分の1未満である8相以上のクロック信号を採用することにより、通常動作期間のうち安定化ノードの電位がオンレベルとなる期間は50パーセント未満の期間となっている。このように、安定化ノードの電位がオンレベルとなる期間の長さが従来よりも短くなる。従って、ターゲットノードの電位をオフレベルに引き込むことに寄与するトランジスタの閾値シフトの発生が抑制される。以上より、走査信号線の駆動に関して、従来よりも長期動作に対する信頼性を高めることが可能となる。
【0034】
本発明の第2の局面によれば、通常動作期間中、クロック信号のクロック動作に起因するノイズが生じても、出力ノードの電位および出力制御ノードの電位の双方がオフレベルで維持される。
【0035】
本発明の第3の局面によれば、通常動作期間のうち安定化ノードの電位がオンレベルとなる期間は4分の1だけの期間となる。このため、より確実に、本発明の第1の局面と同様の効果が得られる。
【0036】
本発明の第4の局面によれば、通常動作期間のうち安定化ノードの電位がオンレベルとなる期間は8分の3だけの期間となる。このため、より確実に、本発明の第1の局面と同様の効果が得られる。
【0037】
本発明の第5の局面によれば、通常動作期間のうち安定化ノードの電位がオンレベルとなる期間は8分の3だけの期間となる。このため、より確実に、本発明の第1の局面と同様の効果が得られる。
【0038】
本発明の第6〜第8の局面によれば、単位回路には、ターゲットノードの電位をオフレベルに引き込むためのターゲットノード安定化トランジスタが、1つのターゲットノードにつき複数設けられる。そして、通常動作期間には、常に複数のターゲットノード安定化トランジスタおよび安定化トランジスタのうちの少なくとも1つがオン状態となる。このため、通常動作期間には、常に、ターゲットノードの電位はオフレベルへと引き込まれる。以上より、走査信号線の駆動に関して従来よりも長期動作に対する信頼性を高めるとともに、回路動作の安定性を顕著に高めることが可能となる。
【0039】
本発明の第9の局面によれば、アモルファスシリコンを有する薄膜トランジスタが用いられる。アモルファスシリコンを有する薄膜トランジスタは閾値シフトを生じやすいので、本発明の第1の局面と同様の効果が顕著に得られる。
【0040】
本発明の第10の局面によれば、酸化物半導体層を有する薄膜トランジスタが用いられる。このため、良好な表示品位を保持しつつ、消費電力を大幅に削減することができる。
【0041】
本発明の第11の局面によれば、本発明の第1から第10までのいずれかの局面と同様の効果が得られるシフトレジスタを備えた表示装置が実現される。
【0042】
本発明の第12の局面によれば、走査信号線を駆動するための回路や配線を額縁領域に形成する必要がなくなり、いわゆる異形ディスプレイ(画面の形状が矩形ではない表示装置)を実現することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明においては、薄膜トランジスタのゲート端子(ゲート電極)は制御端子に相当し、ドレイン端子(ドレイン電極)は第1の導通端子に相当し、ソース端子(ソース電極)は第2の導通端子に相当する。
【0045】
<1.第1の実施形態>
<1.1 全体構成および動作概要>
図2は、本発明の第1の実施形態に係る液晶表示装置の全体構成を示すブロック図である。
図2に示すように、この液晶表示装置は、電源100と表示制御回路200とソースドライバ(映像信号線駆動回路)300と液晶パネル400とを備えている。液晶パネル400には、画像を表示する表示部(画素領域)410が含まれている。
【0046】
表示部410には、
図3に示すように、複数本(j本)のソースバスライン(映像信号線)SL(1)〜SL(j)と、複数本(i本)のゲートバスライン(走査信号線)GL(1)〜GL(i)とが配設されている。また、ソースバスラインSLとゲートバスラインGLとの交差点に対応して、画素を形成する画素形成部が設けられている。
図4は、画素形成部4の構成を示す回路図である。画素形成部4には、対応する交差点を通過するゲートバスラインGLにゲート端子が接続されると共に当該交差点を通過するソースバスラインSLにソース端子が接続されたスイッチング素子である薄膜トランジスタ(TFT)41と、その薄膜トランジスタ41のドレイン端子に接続された画素電極42と、上記複数個の画素形成部4に共通的に設けられた共通電極45および補助容量電極46と、画素電極42と共通電極45とによって形成される液晶容量43と、画素電極42と補助容量電極46とによって形成される補助容量44とが含まれている。液晶容量43と補助容量44とによって画素容量47が構成されている。なお、画素形成部4の構成は
図4に示す構成には限定されない。例えば、補助容量44および補助容量電極46が設けられていない構成を採用することもできる。
【0047】
また、本実施形態においては、ゲートバスラインGLを駆動するゲートドライバ(走査信号線駆動回路)500が、
図5に示すように表示部410内に形成されている。従来、ゲートドライバは額縁領域(表示部の外側)に設けられていたため、走査信号は額縁領域から表示部内へと与えられていた。これに対して、本実施形態においては、表示部410内に設けられたゲートドライバ500から走査信号が出力される。このような構成が採用されているので、ゲートバスラインGLを駆動するための回路や配線を額縁領域に形成する必要がなくなり、いわゆる異形ディスプレイ(画面の形状が矩形ではない表示装置)を実現することが可能となる。そこで、本実施形態に係る液晶表示装置は例えば
図6に示すような形状を有する車載用途の液晶表示装置であると仮定する。従って、
図3等では表示部410を矩形で表しているが、実際には表示部410は例えば
図6に示したような形状となる。
【0048】
なお、
図5に示すように表示部410内にゲートドライバ500が形成された構成を採用した場合、画面の形状を自由にデザインすることが可能となる。従って、このような構成を有する表示装置は近年「FFD」と呼ばれている。FFDは「Free Form Display」の略である。また、表示部410内(すなわち画素領域内)にゲートドライバ500を形成する技術は近年「IPGDM技術」と呼ばれている。IPGDMは「In−Pixel Gate Driver Monolithic」の略である。
【0049】
以下、
図2,
図5に示す構成要素の動作概要について説明する。電源100は、表示制御回路200とソースドライバ300と液晶パネル400(より詳しくは、液晶パネル400内のゲートドライバ500)とに所定の電源電圧を供給する。表示制御回路200は、外部から送られる画像信号DATおよび水平同期信号や垂直同期信号などのタイミング信号群TGを受け取り、デジタル映像信号DVと、表示部410における画像表示を制御するためのソーススタートパルス信号SSP,ソースクロック信号SCK,ラッチストローブ信号LS,ゲートスタートパルス信号GSP,およびゲートクロック信号GCKとを出力する。なお、本実施形態においては、ゲートクロック信号GCKは、8相のクロック信号で構成されている。
【0050】
ソースドライバ300は、表示制御回路200から出力されるデジタル映像信号DV,ソーススタートパルス信号SSP,ソースクロック信号SCK,およびラッチストローブ信号LSを受け取り、各ソースバスラインSL(1)〜SL(j)に駆動用映像信号V(1)〜V(j)を印加する。ゲートドライバ500は、表示制御回路200から出力されるゲートスタートパルス信号GSPおよびゲートクロック信号GCKに基づいて、アクティブな走査信号GOUT(1)〜GOUT(i)の各ゲートバスラインGL(1)〜GL(i)への印加を1垂直走査期間を周期として繰り返す。なお、ゲートドライバ500についての詳しい説明は後述する。
【0051】
以上のようにして、各ソースバスラインSL(1)〜SL(j)に駆動用映像信号V(1)〜V(j)が印加され、各ゲートバスラインGL(1)〜GL(i)に走査信号GOUT(1)〜GOUT(i)が印加されることにより、外部から送られた画像信号DATに基づく画像が表示部410に表示される。
【0052】
<1.2 薄膜トランジスタ>
本実施形態においては、画素形成部4内の薄膜トランジスタ41はすべてnチャネル型である。また、本実施形態においては、薄膜トランジスタ41には、酸化物半導体TFT(酸化物半導体層を有する薄膜トランジスタ)が採用されている。さらに、本実施形態においては、薄膜トランジスタ41の構造にはチャネルエッチ型が採用されている。但し、エッチストップ型を採用することもできる。これらの点については、ゲートドライバ500を構成する後述のシフトレジスタ510の各単位回路5に含まれている薄膜トランジスタについても同様である。酸化物半導体TFTを用いることにより、良好な表示品位を保持しつつ、液晶パネル400を駆動する回数を大幅に削減し、液晶表示装置の消費電力を大幅に削減することができる。なお、アモルファスシリコンを有する薄膜トランジスタやエッチストップ型の酸化物半導体TFTは閾値シフトを生じやすい。従って、有効性の観点では、アモルファスシリコンを有する薄膜トランジスタやエッチストップ型の酸化物半導体TFTを採用している場合の方がより効果が得られる。
【0053】
図7は、チャネルエッチ型TFTの構成を示す図である。
図7に示すように、チャネルエッチ型TFTは、基板411上にゲート電極412,ゲート絶縁膜413,酸化物半導体層414,ソース電極415およびドレイン電極416を積層し、その上に保護膜417を形成した構造を有する。酸化物半導体層414のうちゲート電極412の上方の部分は、チャネル領域として機能する。チャネルエッチ型TFTでは、チャネル領域上にエッチストップ層が形成されておらず、ソース電極415およびドレイン電極416のチャネル側の端部下面は、酸化物半導体層414の上面と接するように配置されている。チャネルエッチ型TFTは、例えば、酸化物半導体層414上にソース・ドレイン電極用の導電膜を形成し、ソース・ドレイン分離を行うことによって形成される。
【0054】
一方、エッチストップ型TFTでは、チャネル領域上にエッチストップ層が形成されている。ソース電極およびドレイン電極のチャネル側の端部下面は、例えばエッチストップ層上に位置する。エッチストップ型TFTは、例えば、酸化物半導体層のうちチャネル領域となる部分を覆うエッチストップ層を形成した後、酸化物半導体層およびエッチストップ層上にソース・ドレイン電極用の導電膜を形成し、ソース・ドレイン分離を行うことによって形成される。
【0055】
次に、酸化物半導体について説明する。酸化物半導体層に含まれる酸化物半導体は、アモルファス酸化物半導体であってもよいし、結晶質部分を有する結晶質酸化物半導体であってもよい。結晶質酸化物半導体としては、多結晶酸化物半導体、微結晶酸化物半導体、c軸が層面に概ね垂直に配向した結晶質酸化物半導体などが挙げられる。
【0056】
酸化物半導体層は、2層以上の積層構造を有していてもよい。酸化物半導体層が積層構造を有する場合には、酸化物半導体層は、非晶質酸化物半導体層と結晶質酸化物半導体層とを含んでいてもよい。あるいは、酸化物半導体層は、結晶構造の異なる複数の結晶質酸化物半導体層を含んでいてもよい。また、酸化物半導体層は、複数の非晶質酸化物半導体層を含んでいてもよい。酸化物半導体層が上層と下層とを含む2層構造を有する場合、上層に含まれる酸化物半導体のエネルギーギャップは、下層に含まれる酸化物半導体のエネルギーギャップよりも大きいことが好ましい。ただし、これらの層のエネルギーギャップの差が比較的小さい場合には、下層の酸化物半導体のエネルギーギャップが上層の酸化物半導体のエネルギーギャップよりも大きくてもよい。
【0057】
非晶質酸化物半導体および上記の各結晶質酸化物半導体の材料、構造、成膜方法や、積層構造を有する酸化物半導体層の構成などについては、例えば日本の特開2014−7399号公報に記載されている。参考のために、日本の特開2014−7399号公報の開示内容のすべてを本明細書に援用する。
【0058】
酸化物半導体層は、例えば、In(インジウム)、Ga(ガリウム)およびZn(亜鉛)のうち少なくとも1種の金属元素を含んでいてもよい。本実施形態では、酸化物半導体層は、例えば、In−Ga−Zn−O系の半導体(例えば酸化インジウムガリウム亜鉛)を含む。In−Ga−Zn−O系の半導体は、In、Ga、Znの三元系酸化物である。In、GaおよびZnの割合(組成比)は特に限定されない。例えば、In:Ga:Zn=2:2:1、In:Ga:Zn=1:1:1、In:Ga:Zn=1:1:2等の割合を採用することができる。このような酸化物半導体層は、In−Ga−Zn−O系の半導体を含む酸化物半導体膜から形成され得る。
【0059】
In−Ga−Zn−O系の半導体は、アモルファスであってもよいし、結晶質であってもよい。結晶質In−Ga−Zn−O系の半導体としては、c軸が層面に概ね垂直に配向した結晶質In−Ga−Zn−O系の半導体を採用することが好ましい。
【0060】
なお、結晶質In−Ga−Zn−O系の半導体の結晶構造は、例えば、日本の特開2014−7399号公報、日本の特開2012−134475号公報、日本の特開2014−209727号公報などに開示されている。参考のために、日本の特開2012−134475号公報および日本の特開2014−209727号公報の開示内容のすべてを本明細書に援用する。In−Ga−Zn−O系半導体層を有するTFTは、高い移動度(a−SiTFTに比べて20倍を超える移動度)および低いリーク電流(a−SiTFTに比べ100分の1未満のリーク電流)を有する。
【0061】
酸化物半導体層は、In−Ga−Zn−O系半導体の代わりに、他の酸化物半導体を含んでいてもよい。酸化物半導体層は、例えばIn−Sn−Zn−O系半導体(例えばIn
2O
3−SnO
2−ZnO;InSnZnO)を含んでいてもよい。In−Sn−Zn−O系半導体は、In(インジウム)、Sn(スズ)およびZn(亜鉛)の三元系酸化物である。あるいは、酸化物半導体層は、In−Al−Zn−O系半導体、In−Al−Sn−Zn−O系半導体、Zn−O系半導体、In−Zn−O系半導体、Zn−Ti−O系半導体、Cd−Ge−O系半導体、Cd−Pb−O系半導体、CdO(酸化カドミウム)、Mg−Zn−O系半導体、In−Ga−Sn−O系半導体、In−Ga−O系半導体、Zr−In−Zn−O系半導体、Hf−In−Zn−O系半導体などを含んでいてもよい。ここで、Alはアルミニウム、Tiはチタン、Cdはカドミウム、Geはゲルマニウム、Pbは鉛、Mgはマグネシウム、Zrはジルコニウム、Hfはハフニウムを表している。
【0062】
<1.3 ゲートドライバの構成および動作>
次に、
図8〜
図12を参照しつつ、本実施形態におけるゲートドライバ500の構成および動作の概要について説明する。
図8に示すように、ゲートドライバ500は複数段からなるシフトレジスタ510によって構成されている。表示部410に形成されているi本のゲートバスラインGL(1)〜GL(i)と1対1で対応するように、シフトレジスタ510の各段が設けられている。すなわち、シフトレジスタ510にはi個の単位回路5(1)〜5(i)が含まれている。
【0063】
図9は、ゲートドライバ500内のシフトレジスタ510の構成を示すブロック図である。上述したように、このシフトレジスタ510はi個の単位回路5(1)〜5(i)で構成されている。なお、
図9には、(n−3)段目から(n+4)段目までの単位回路5(n−3)〜5(n+4)を示している。以下においては、i個の単位回路5(1)〜5(i)を互いに区別する必要がない場合、単位回路には符号5を付す。
【0064】
単位回路5には、クロック信号CK1を受け取るための入力端子と、クロック信号CK2を受け取るための入力端子と、クロック信号CK3を受け取るための入力端子と、クリア信号CLRを受け取るための入力端子と、セット信号Sを受け取るための入力端子と、リセット信号Rを受け取るための入力端子と、出力信号Qを出力するための出力端子と、出力信号Gを出力するための出力端子とが設けられている。なお、単位回路5には、ローレベルの直流電源電位VSS用の入力端子も設けられている(
図9では不図示)。
【0065】
シフトレジスタ510には、ゲートクロック信号GCKとして、
図10に示すような波形の8相のクロック信号(クロック信号CKA,クロック信号CKB,クロック信号CKC,クロック信号CKD,クロック信号CKE,クロック信号CKF,クロック信号CKG,クロック信号CKH)が与えられる。例えば、n段目の単位回路5(n)については、クロック信号CKAがクロック信号CK1として与えられ、クロック信号CKHがクロック信号CK2として与えられ、クロック信号CKCがクロック信号CK3として与えられる。また、例えば、(n+1)段目の単位回路5(n+1)については、クロック信号CKCがクロック信号CK1として与えられ、クロック信号CKAがクロック信号CK2として与えられ、クロック信号CKEがクロック信号CK3として与えられる。以上のように、連続する2つの単位回路に着目すると、後続の単位回路には、先行する単位回路に与えられる3つのクロック信号と比べてそれぞれ位相が45度遅れた3つのクロック信号が与えられる。また、各単位回路5に与えられる3つのクロック信号に関し、クロック信号CK2の位相はクロック信号CK1の位相よりも45度進んでおり、クロック信号CK3の位相はクロック信号CK1の位相よりも45度遅れている。なお、本実施形態においては、8相のクロック信号のオンデューティ(デューティ比)は8分の2となっている。また、クリア信号CLRについては、全ての単位回路5(1)〜5(i)に共通的に与えられる。
【0066】
また、
図11に示すように、任意の段(ここではn段目とする)の単位回路5(n)について、2段前の段の単位回路5(n−2)から出力される出力信号Q(n−2)がセット信号Sとして与えられ、3段後の段の単位回路5(n+3)から出力される出力信号Q(n+3)がリセット信号Rとして与えられる。但し、1段目の単位回路5(1)および2段目の単位回路5(2)については、ゲートスタートパルス信号GSPがセット信号Sとして与えられる。また、
図11に示すように、任意の段の単位回路5(n)から出力される出力信号Qは、リセット信号Rとして3段前の段の単位回路5(n−3)に与えられるとともにセット信号Sとして2段後の段の単位回路5(n+2)に与えられ、任意の段の単位回路5(n)から出力される出力信号Gは、走査信号GOUT(n)としてゲートバスラインGL(n)に与えられる。
【0067】
以上のような構成において、シフトレジスタ510の1段目の単位回路5(1)および2段目の単位回路5(2)にセット信号Sとしてのゲートスタートパルス信号GSPのパルスが与えられると、8相のクロック信号のクロック動作に基づいて、各単位回路5から出力される出力信号Qに含まれるシフトパルスが1段目の単位回路5(1)からi段目の単位回路5(i)へと順次に転送される。そして、このシフトパルスの転送に応じて、各単位回路5から出力される出力信号Gが順次にハイレベルとなる。これにより、
図12に示すような波形の走査信号GOUTが、表示部410内のゲートバスラインGLに与えられる。
【0068】
<1.4 単位回路の構成>
図13は、本実施形態における単位回路5の構成(シフトレジスタ510の一段分の構成)を示す回路図である。
図13に示すように、この単位回路5は、14個の薄膜トランジスタM1,M2,M5,M6,M6Z,M7,M8,M9,M10,M10A,M12,M12A,M14,およびM14Aと、1個のキャパシタCAPとを備えている。また、この単位回路5は、ローレベルの直流電源電位VSS用の入力端子のほか、6個の入力端子51〜56および2個の出力端子(出力ノード)58,59を有している。ここで、セット信号Sを受け取る入力端子には符号51を付し、リセット信号Rを受け取る入力端子には符号52を付し、クロック信号CK1を受け取る入力端子には符号53を付し、クロック信号CK2を受け取る入力端子には符号54を付し、クロック信号CK3を受け取る入力端子には符号55を付し、クリア信号CLRを受け取る入力端子には符号56を付している。また、出力信号Qを出力するための出力端子には符号58を付し、出力信号Gを出力するための出力端子には符号59を付している。なお、単位回路5内の薄膜トランジスタM1,M2,M5,M6,M6Z,M7,M8,M9,M10,M10A,M12,M12A,M14,およびM14Aは、上述した画素形成部4内の薄膜トランジスタ41(
図4参照)と同じ種類の薄膜トランジスタ(例えば、酸化インジウムガリウム亜鉛を含む薄膜トランジスタ)で実現される。
【0069】
次に、この単位回路5内における構成要素間の接続関係について説明する。薄膜トランジスタM1のソース端子,薄膜トランジスタM2のドレイン端子,薄膜トランジスタM6のゲート端子,薄膜トランジスタM8のドレイン端子,薄膜トランジスタM9のドレイン端子,薄膜トランジスタM10のゲート端子,薄膜トランジスタM10Aのゲート端子,およびキャパシタCAPの一端は出力制御ノードNAを介して互いに接続されている。薄膜トランジスタM5のソース端子,薄膜トランジスタM6のドレイン端子,薄膜トランジスタM6Zのドレイン端子,薄膜トランジスタM7のドレイン端子,薄膜トランジスタM8のゲート端子,薄膜トランジスタM14のゲート端子,および薄膜トランジスタM14Aのゲート端子は安定化ノードNBを介して互いに接続されている。
【0070】
薄膜トランジスタM1については、ゲート端子およびドレイン端子は入力端子51に接続され(すなわち、ダイオード接続となっている)、ソース端子は出力制御ノードNAに接続されている。薄膜トランジスタM2については、ゲート端子は入力端子56に接続され、ドレイン端子は出力制御ノードNAに接続され、ソース端子は直流電源電位VSS用の入力端子に接続されている。薄膜トランジスタM5については、ゲート端子およびドレイン端子は入力端子54に接続され(すなわち、ダイオード接続となっている)、ソース端子は安定化ノードNBに接続されている。薄膜トランジスタM6については、ゲート端子は出力制御ノードNAに接続され、ドレイン端子は安定化ノードNBに接続され、ソース端子は直流電源電位VSS用の入力端子に接続されている。薄膜トランジスタM6Zについては、ゲート端子は入力端子51に接続され、ドレイン端子は安定化ノードNBに接続され、ソース端子は直流電源電位VSS用の入力端子に接続されている。
【0071】
薄膜トランジスタM7については、ゲート端子は入力端子55に接続され、ドレイン端子は安定化ノードNBに接続され、ソース端子は直流電源電位VSS用の入力端子に接続されている。薄膜トランジスタM8については、ゲート端子は安定化ノードNBに接続され、ドレイン端子は出力制御ノードNAに接続され、ソース端子は直流電源電位VSS用の入力端子に接続されている。薄膜トランジスタM9については、ゲート端子は入力端子52に接続され、ドレイン端子は出力制御ノードNAに接続され、ソース端子は直流電源電位VSS用の入力端子に接続されている。薄膜トランジスタM10については、ゲート端子は出力制御ノードNAに接続され、ドレイン端子は入力端子53に接続され、ソース端子は出力端子58に接続されている。薄膜トランジスタM10Aについては、ゲート端子は出力制御ノードNAに接続され、ドレイン端子は入力端子53に接続され、ソース端子は出力端子59に接続されている。
【0072】
薄膜トランジスタM12については、ゲート端子は入力端子56に接続され、ドレイン端子は出力端子58に接続され、ソース端子は直流電源電位VSS用の入力端子に接続されている。薄膜トランジスタM12Aについては、ゲート端子は入力端子56に接続され、ドレイン端子は出力端子59に接続され、ソース端子は直流電源電位VSS用の入力端子に接続されている。薄膜トランジスタM14については、ゲート端子は安定化ノードNBに接続され、ドレイン端子は出力端子58に接続され、ソース端子は直流電源電位VSS用の入力端子に接続されている。薄膜トランジスタM14Aについては、ゲート端子は安定化ノードNBに接続され、ドレイン端子は出力端子59に接続され、ソース端子は直流電源電位VSS用の入力端子に接続されている。キャパシタCAPについては、一端は出力制御ノードNAに接続され、他端は出力端子59に接続されている。
【0073】
なお、キャパシタCAPの他端は、出力端子58に接続されていても良いが、出力端子59に接続されている方が好ましい。その理由は次のとおりである。通常動作期間には入力端子53に与えられるクロック信号CK1のクロック動作に起因して出力制御ノードNAの電位に変動が生じ得るが、より大きな容量を持つ配線にキャパシタCAPの他端を接続しておく方が出力制御ノードNAの電位の変動を抑制することができるからである。また、より大きな容量を持つ配線にキャパシタCAPの他端を接続しておく方が、書込動作期間にクロック信号CK1がローレベルからハイレベルに変化した際に、出力制御ノードNAのブーストラップの効果がより安定して得られるからである。
【0074】
次に、各構成要素のこの単位回路5における機能について説明する。薄膜トランジスタM1は、セット信号Sがハイレベルになっているときに、出力制御ノードNAの電位をハイレベルに向けて変化させる。薄膜トランジスタM2は、クリア信号CLRがハイレベルになっているときに、出力制御ノードNAの電位をVSS電位に向けて変化させる。薄膜トランジスタM5は、クロック信号CK2がハイレベルになっているときに、安定化ノードNBの電位をハイレベルに向けて変化させる。薄膜トランジスタM6は、出力制御ノードNAの電位がハイレベルになっているときに、安定化ノードNBの電位をVSS電位に向けて変化させる。薄膜トランジスタM6Zは、セット信号Sがハイレベルになっているときに、安定化ノードNBの電位をVSS電位に向けて変化させる。
【0075】
薄膜トランジスタM7は、クロック信号CK3がハイレベルになっているときに、安定化ノードNBの電位をVSS電位に向けて変化させる。薄膜トランジスタM8は、安定化ノードNBの電位がハイレベルになっているときに、出力制御ノードNAの電位をVSS電位に向けて変化させる。薄膜トランジスタM9は、リセット信号Rがハイレベルになっているときに、出力制御ノードNAの電位をVSS電位に向けて変化させる。薄膜トランジスタM10は、出力制御ノードNAの電位がハイレベルになっているときに、クロック信号CK1の電位を出力端子58に与える。薄膜トランジスタM10Aは、出力制御ノードNAの電位がハイレベルになっているときに、クロック信号CK1の電位を出力端子59に与える。
【0076】
薄膜トランジスタM12は、クリア信号CLRがハイレベルになっているときに、出力端子58の電位をVSS電位に向けて変化させる。薄膜トランジスタM12Aは、クリア信号CLRがハイレベルになっているときに、出力端子59の電位をVSS電位に向けて変化させる。薄膜トランジスタM14は、安定化ノードNBの電位がハイレベルになっているときに、出力端子58の電位をVSS電位に向けて変化させる。薄膜トランジスタM14Aは、安定化ノードNBの電位がハイレベルになっているときに、出力端子59の電位をVSS電位に向けて変化させる。キャパシタCAPは、書込動作期間中に出力制御ノードNAの電位をハイレベルに維持するための補償容量として機能する。
【0077】
なお、本実施形態においては、薄膜トランジスタM10,M10Aによって出力制御トランジスタが実現され、薄膜トランジスタM8,M14,およびM14Aによって安定化トランジスタが実現されている。また、薄膜トランジスタM8によって出力制御ノード安定化トランジスタが実現され、薄膜トランジスタM14,M14Aによって出力ノード安定化トランジスタが実現されている。さらに、薄膜トランジスタM1によって出力制御ノードセット部が実現され、薄膜トランジスタM5,M6,M6Z,M7,M8,M14,およびM14Aによってターゲットノード制御部512が実現され、薄膜トランジスタM5,M6,M6Z,およびM7によって安定化ノード制御部が実現されている。
【0078】
ところで、本実施形態においては、単位回路5は表示部410内(すなわち画素領域内)に形成される。これに関し、画素間の開口率の差が小さくなるよう、各単位回路5に含まれる薄膜トランジスタ(TFT)やキャパシタは、模式的には
図14に示すように、複数の画素形成部4に分散して配置される。また、画素間の開口率の差が小さくなるよう、画素形成部4には必要に応じてダミー配線が設けられる。これらの点については、国際公開2010/067641号パンフレットに開示されている。
【0079】
<1.5 単位回路の動作>
次に、本実施形態における単位回路5の動作について説明する。ここでは、n段目の単位回路5(n)に着目する。まず、
図1,
図9,
図13,および
図15を参照しつつ、書込動作期間の動作について説明する。
図1は、液晶表示装置の動作期間中の全体の信号波形図である。
図15は、書込動作期間における動作について説明するための信号波形図である。なお、
図15に関し、M1,M5,M6,M6Z,M7,M8,M9,M10,M10A,M14,およびM14Aの波形は、薄膜トランジスタがオン状態であるかオフ状態であるかを示している。
【0080】
時点t00になると、セット信号S(出力信号Q(n−2))がローレベルからハイレベルに変化する。薄膜トランジスタM1は
図13に示すようにダイオード接続となっているので、このセット信号Sのパルスによって薄膜トランジスタM1はオン状態となり、キャパシタCAPが充電される。これにより、出力制御ノードNAの電位が上昇し、薄膜トランジスタM6,M10,およびM10Aがオン状態となる。また、セット信号Sのパルスによって薄膜トランジスタM6Zはオン状態となる。薄膜トランジスタM6,M6Zがオン状態となることによって、安定化ノードNBの電位はVSS電位へと引き込まれる。ここで、時点t00〜時点t02の期間中、クロック信号CKA(CK1)はローレベルとなっている。このため、この期間中、出力信号Q,Gはローレベルで維持される。また、時点t00〜時点t02の期間中、リセット信号R(出力信号Q(n+3)),クリア信号CLR,および安定化ノードNBの電位はローレベルとなっているので、薄膜トランジスタM9,M2,およびM8はオフ状態で維持される。このため、この期間中に出力制御ノードNAの電位が低下することはない。
【0081】
時点t01になると、クロック信号CKH(CK2)がローレベルからハイレベルに変化する。このため、薄膜トランジスタM5はオン状態となる。このとき、上述したように薄膜トランジスタM6,M6Zがオン状態となっているので、薄膜トランジスタM5がオフ状態からオン状態に変化しても安定化ノードNBの電位はローレベルで維持される。
【0082】
時点t02になると、クロック信号CKA(CK1)がローレベルからハイレベルに変化する。このとき、薄膜トランジスタM10,M10Aはオン状態となっているので、入力端子53の電位の上昇とともに出力端子58,59の電位も上昇する。ここで、
図13に示すように出力制御ノードNA−出力端子59間にはキャパシタCAPが設けられているので、出力端子59の電位の上昇とともに出力制御ノードNAの電位も上昇する(出力制御ノードNAがブートストラップされる)。その結果、薄膜トランジスタM10,M10Aのゲート端子には大きな電圧が印加され、出力信号Q,Gの電位(出力端子58,59の電位)がクロック信号CKA(CK1)のハイレベルの電位にまで上昇する。ここで、時点t02〜時点t04の期間中、リセット信号Rはローレベルとなっているので、薄膜トランジスタM9はオフ状態で維持される。また、この期間中、クリア信号CLRはローレベルとなっているので、薄膜トランジスタM2,M12,およびM12Aはオフ状態で維持される。さらに、この期間中、安定化ノードNBの電位はローレベルとなっているので、薄膜トランジスタM8,M14,およびM14Aはオフ状態で維持される。以上より、時点t02〜時点t04の期間中に出力制御ノードNAの電位,出力信号Qの電位,および出力信号Gの電位が低下することはない。
【0083】
時点t03になると、クロック信号CKC(CK3)がローレベルからハイレベルに変化する。このため、薄膜トランジスタM7はオン状態となる。これにより、安定化ノードNBの電位はVSS電位へと引き込まれる。
【0084】
時点t04になると、クロック信号CKA(CK1)がハイレベルからローレベルに変化する。これにより、入力端子53の電位の低下とともに出力端子58,59の電位(出力信号Q,Gの電位)は低下する。出力端子59の電位が低下すると、キャパシタCAPを介して、出力制御ノードNAの電位も低下する。
【0085】
時点t05になると、リセット信号Rがローレベルからハイレベルに変化する。これにより、出力制御ノードNAの電位はローレベルとなる。
【0086】
以上のような動作が各単位回路5で行われることによって、この液晶表示装置に設けられている複数本のゲートバスラインGL(1)〜GL(i)が順次に選択状態となり、1行ずつ画素容量への書き込みが行われる。
【0087】
次に、
図1,
図9,
図13,および
図16を参照しつつ、通常動作期間の動作について説明する。
図16は、通常動作期間の動作について説明するための信号波形図である。通常動作期間には、クロック信号CKH(CK2)がローレベルからハイレベルに変化することによって、薄膜トランジスタM5がオン状態となって安定化ノードNBの電位がローレベルからハイレベルに変化する。また、通常動作期間には、クロック信号CKC(CK3)がローレベルからハイレベルに変化することによって、薄膜トランジスタM7がオン状態となって安定化ノードNBの電位がハイレベルからローレベルに変化する。このように、通常動作期間中、安定化ノードNBの電位は所定期間毎にハイレベルとなる。ところで、通常動作期間中、クロック信号CKA(CK1)は所定期間毎にローレベルからハイレベルに変化する。従って、例えば
図16における時点t11や時点t12に、薄膜トランジスタM10,M10Aの寄生容量に起因して、出力制御ノードNAの電位に変動が生じ得る。すなわち、通常動作期間中、所定期間毎に、出力制御ノードNAの電位が浮いた状態となり得る。また、これに起因して、薄膜トランジスタM10,M10Aにリーク電流が流れて出力信号Q,Gの電位に変動が生じ得る。しかしながら、安定化ノードNBの電位がハイレベルとなっている期間には、薄膜トランジスタM8,M14,およびM14Aはオン状態となる。これにより、出力制御ノードNAの電位,出力信号Qの電位,および出力信号Gの電位はVSS電位へと引き込まれる。以上より、通常動作期間中、クロック信号CKA(CK1)のクロック動作に起因するノイズが生じても、出力制御ノードNAの電位,出力信号Qの電位,および出力信号Gの電位はVSS電位で維持される。
【0088】
なお、クリア信号CLRは、例えば垂直帰線期間や装置の起動直後にハイレベルとされる。クリア信号CLRがハイレベルになると、全ての単位回路5において、薄膜トランジスタM2,M12,M12Aがオン状態となる。これにより、全ての単位回路5において、出力制御ノードNAの電位,出力信号Qの電位,および出力信号Gの電位がVSS電位へと引き込まれる。このようにクリア信号を用いることによって、回路動作の安定性を高めることができる。
【0089】
<1.6 効果>
本実施形態によれば、通常動作期間には、所定期間毎に、安定化ノードNBの電位がハイレベルとなって薄膜トランジスタM8,M14,M14Aがオン状態となる。これにより、通常動作期間には、所定期間毎に、出力制御ノードNAの電位,出力信号Qの電位,および出力信号Gの電位がVSS電位へと引き込まれる。その結果、クロック信号のクロック動作に起因する異常動作の発生が防止される。ここで、本実施形態においては、ゲートドライバ500を構成するシフトレジスタ510を動作させるためのクロック信号として8相のクロック信号が採用されており、当該8相のクロック信号のオンデューティ(デューティ比)は8分の2となっている。また、安定化ノードNBの電位をハイレベルからローレベルに変化させるクロック信号CKC(CK3)の位相は、安定化ノードNBの電位をローレベルからハイレベルに変化させるクロック信号CKH(CK2)の位相よりも90度だけ遅れている。以上より、安定化ノードNBの電位がハイレベルとなる期間は、装置の動作期間のうちのほぼ4分の1の期間となる。これに対して、従来の構成(
図46に示した構成)においては、装置の動作期間のうちのほぼ半分の期間に安定化ノードNBの電位がハイレベルとなっていた。このように、本実施形態によれば、安定化ノードNBの電位がハイレベルとなる期間の長さが従来よりも短くなる。従って、出力制御ノードNAの電位をVSS電位に引き込むことに寄与する薄膜トランジスタM8の閾値シフトの発生が抑制される。以上より、本実施形態によれば、ゲートバスラインGLの駆動に関して、従来よりも長期動作に対する信頼性を高めることが可能となる。
【0090】
<1.7 変形例>
上記第1の実施形態においては、シフトレジスタ510内の単位回路5の構成には
図13に示す構成が採用されていた。しかしながら、本発明はこれに限定されず、例えば以下の第1〜第3の変形例における構成を採用することもできる。なお、後述する第2〜第5の実施形態についても、第1〜第3の変形例と同様の構成を適用することができる。
【0091】
<1.7.1 第1の変形例>
図17は、上記第1の実施形態の第1の変形例における単位回路5の構成(シフトレジスタ510の一段分の構成)を示す回路図である。本変形例においては、上記第1の実施形態とは異なり、単位回路5にはクリア信号CLRによって制御される薄膜トランジスタ(薄膜トランジスタM2,薄膜トランジスタM12,および薄膜トランジスタM12A)が設けられていない。このため、回路動作の安定性については上記第1の実施形態よりも劣るが、回路素子の数を少なくすることができるので、コスト低減や装置の小型化を図ることが可能となる。
【0092】
<1.7.2 第2の変形例>
図18は、上記第1の実施形態の第2の変形例における単位回路5の構成(シフトレジスタ510の一段分の構成)を示す回路図である。上記第1の実施形態においては、薄膜トランジスタM14,M14Aのゲート端子は、安定化ノードNBに接続されていた。これに対して、本変形例においては、薄膜トランジスタM14,M14Aのゲート端子は、クロック信号CK4用の入力端子57に接続されている。そして、n段目の単位回路5(n)において、例えばクロック信号CKEがクロック信号CK4として与えられるようにすれば良い。このように、薄膜トランジスタM14,M14Aの状態をクロック信号によって直接的に制御するようにしても良い。
【0093】
<1.7.3 第3の変形例>
図19は、上記第1の実施形態の第3の変形例における単位回路5の構成(シフトレジスタ510の一段分の構成)を示す回路図である。上記第1の実施形態においては、出力信号Qと出力信号Gとは別々の出力端子から出力されていた。これに対して、本変形例においては、出力信号Qと出力信号Gとは同じ出力端子から出力される。換言すれば、他の段の動作を制御するための信号とゲートバスラインに与えられる走査信号とが1つの信号として1つの出力端子58から出力される。このような構成が採用されている場合にも本発明を適用することができる。
【0094】
<2.第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態について説明する。全体構成および使用される薄膜トランジスタについては、上記第1の実施形態と同様であるので説明を省略する(
図2〜
図7を参照)。なお、本実施形態においても、シフトレジスタ510には8相のクロック信号が与えられる。以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0095】
<2.1 ゲートドライバの構成>
図20は、本実施形態におけるゲートドライバ500内のシフトレジスタ510の構成を示すブロック図である。各単位回路5に与えられるクロック信号に関し、上記第1の実施形態においては、クロック信号CK2の位相はクロック信号CK1の位相よりも45度進んでいた。これに対して、本実施形態においては、クロック信号CK2の位相はクロック信号CK1の位相よりも90度進んでいる。従って、例えば、n段目の単位回路5(n)については、
図21に示すように、クロック信号CKAがクロック信号CK1として与えられ、クロック信号CKFがクロック信号CK2として与えられ、クロック信号CKCがクロック信号CK3として与えられる。また、上記第1の実施形態においては、各段(各単位回路5)には、2段前の段から出力される出力信号Qがセット信号Sとして与えられ、3段後の段から出力される出力信号Qがリセット信号Rとして与えられていた。これに対して、本実施形態においては、各段(各単位回路5)には、3段前の段から出力される出力信号Qがセット信号Sとして与えられ、4段後の段から出力される出力信号Qがリセット信号Rとして与えられる。すなわち、
図21に示すように、任意の段(ここではn段目とする)の単位回路5(n)について、3段前の段の単位回路5(n−3)から出力される出力信号Q(n−3)がセット信号Sとして与えられ、4段後の段の単位回路5(n+4)から出力される出力信号Q(n+4)がリセット信号Rとして与えられる。また、
図21に示すように、任意の段の単位回路5(n)から出力される出力信号Qは、リセット信号Rとして4段前の段の単位回路5(n−4)に与えられるとともにセット信号Sとして3段後の段の単位回路5(n+3)に与えられ、任意の段の単位回路5(n)から出力される出力信号Gは、走査信号GOUT(n)としてゲートバスラインGL(n)に与えられる。なお、単位回路5の内部の構成については、上記第1の実施形態と同様、
図13に示す構成が採用されている。
【0096】
<2.2 単位回路の動作>
次に、本実施形態における単位回路5の動作について説明する。ここでも、n段目の単位回路5(n)に着目する。まず、
図13,
図20,
図22,および
図23を参照しつつ、書込動作期間の動作について説明する。
図22は、液晶表示装置の動作期間中の全体の信号波形図である。
図23は、書込動作期間における動作について説明するための信号波形図である。なお、本実施形態においては、8相のクロック信号のオンデューティ(デューティ比)は8分の3となっている。
【0097】
時点t20になると、セット信号S(出力信号Q(n−3))がローレベルからハイレベルに変化する。このため、薄膜トランジスタM1がオン状態となり、キャパシタCAPが充電される。これにより、出力制御ノードNAの電位が上昇し、薄膜トランジスタM6,M10,およびM10Aがオン状態となる。また、セット信号Sのパルスによって薄膜トランジスタM6Zはオン状態となる。薄膜トランジスタM6,M6Zがオン状態となることによって、安定化ノードNBの電位はVSS電位へと引き込まれる。ここで、時点t20〜時点t23の期間には、上記第1の実施形態における時点t00〜時点t02の期間と同様、出力制御ノードNAの電位が低下することはない。
【0098】
時点t21になると、クロック信号CKF(CK2)がローレベルからハイレベルに変化する。このため、薄膜トランジスタM5はオン状態となる。このとき、薄膜トランジスタM6,M6Zがオン状態となっているので、薄膜トランジスタM5がオフ状態からオン状態に変化しても安定化ノードNBの電位はローレベルで維持される。時点t22になると、クロック信号CKHがローレベルからハイレベルに変化する。この単位回路5(n)にはクロック信号CKHは与えられないので、時点t22には単位回路5(n)の内部状態に変化は生じない。
【0099】
時点t23になると、クロック信号CKA(CK1)がローレベルからハイレベルに変化する。これにより、上記第1の実施形態における時点t02と同様にして、薄膜トランジスタM10,M10Aのゲート端子に大きな電圧が印加され、出力信号Q,Gの電位(出力端子58,59の電位)がクロック信号CKA(CK1)のハイレベルの電位にまで上昇する。ここで、時点t23〜時点t26の期間には、上記第1の実施形態における時点t02〜時点t04の期間と同様、出力制御ノードNAの電位,出力信号Qの電位,および出力信号Gの電位が低下することはない。
【0100】
時点t24になると、クロック信号CKC(CK3)がローレベルからハイレベルに変化する。このため、薄膜トランジスタM7はオン状態となる。これにより、安定化ノードNBの電位はVSS電位へと引き込まれる。時点t25になると、クロック信号CKEがローレベルからハイレベルに変化する。この単位回路5(n)にはクロック信号CKEは与えられないので、時点t25には単位回路5(n)の内部状態に変化は生じない。
【0101】
時点t26になると、クロック信号CKA(CK1)がハイレベルからローレベルに変化する。これにより、入力端子53の電位の低下とともに出力端子58,59の電位(出力信号Q,Gの電位)は低下する。出力端子59の電位が低下すると、キャパシタCAPを介して、出力制御ノードNAの電位も低下する。
【0102】
時点t27になると、リセット信号R(出力信号Q(n+4))がローレベルからハイレベルに変化する。これにより、出力制御ノードNAの電位はローレベルとなる。
【0103】
以上のような動作が各単位回路5で行われることによって、この液晶表示装置に設けられている複数本のゲートバスラインGL(1)〜GL(i)が順次に選択状態となり、1行ずつ画素容量への書き込みが行われる。
【0104】
次に、
図13,
図20,
図22,および
図24を参照しつつ、通常動作期間の動作について説明する。
図24は、通常動作期間の動作について説明するための信号波形図である。通常動作期間には、クロック信号CKF(CK2)がローレベルからハイレベルに変化することによって、薄膜トランジスタM5がオン状態となって安定化ノードNBの電位がローレベルからハイレベルに変化する。また、通常動作期間には、クロック信号CKC(CK3)がローレベルからハイレベルに変化することによって、薄膜トランジスタM7がオン状態となって安定化ノードNBの電位がハイレベルからローレベルに変化する。このように、通常動作期間中、安定化ノードNBの電位は所定期間毎にハイレベルとなる。従って、上記第1の実施形態と同様、通常動作期間中、クロック信号CKA(CK1)のクロック動作に起因するノイズが生じても、出力制御ノードNAの電位,出力信号Qの電位,および出力信号Gの電位はVSS電位で維持される。
【0105】
<2.3 効果>
本実施形態においても、上記第1の実施形態と同様、クロック信号のクロック動作に起因する異常動作の発生が防止される。ここで、本実施形態においては、オンデューティ(デューティ比)が8分の3である8相のクロック信号が用いられている。また、安定化ノードNBの電位をハイレベルからローレベルに変化させるクロック信号CKC(CK3)の位相は、安定化ノードNBの電位をローレベルからハイレベルに変化させるクロック信号CKF(CK2)の位相よりも135度だけ遅れている。以上より、安定化ノードNBの電位がハイレベルとなる期間は、装置の動作期間のうちのほぼ8分の3の期間となる。これに対して、上述したように、従来の構成においては、装置の動作期間のうちのほぼ半分の期間に安定化ノードNBの電位がハイレベルとなっていた。このように、本実施形態によれば、安定化ノードNBの電位がハイレベルとなる期間の長さが従来よりも短くなり、出力制御ノードNAの電位をVSS電位に引き込むことに寄与する薄膜トランジスタM8の閾値シフトの発生が抑制される。以上より、本実施形態においても、ゲートバスラインGLの駆動に関して、従来よりも長期動作に対する信頼性を高めることが可能となる。
【0106】
<3.第3の実施形態>
本発明の第3の実施形態について説明する。全体構成および使用される薄膜トランジスタについては、上記第1の実施形態と同様であるので説明を省略する(
図2〜
図7を参照)。なお、本実施形態においても、シフトレジスタ510には8相のクロック信号が与えられる。以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0107】
<3.1 ゲートドライバの構成>
図25は、本実施形態におけるゲートドライバ500内のシフトレジスタ510の構成を示すブロック図である。各単位回路5に与えられるクロック信号に関し、上記第1の実施形態においては、クロック信号CK2の位相はクロック信号CK1の位相よりも45度進んでいた。これに対して、本実施形態においては、クロック信号CK2の位相はクロック信号CK1の位相よりも90度進んでいる。従って、例えば、n段目の単位回路5(n)については、
図26に示すように、クロック信号CKAがクロック信号CK1として与えられ、クロック信号CKFがクロック信号CK2として与えられ、クロック信号CKCがクロック信号CK3として与えられる。セット信号S,リセット信号R,出力信号Q,および出力信号Gについては、上記第1の実施形態と同様である。なお、単位回路5の内部の構成については、上記第1の実施形態と同様、
図13に示す構成が採用されている。
【0108】
<3.2 単位回路の動作>
次に、本実施形態における単位回路5の動作について説明する。ここでも、n段目の単位回路5(n)に着目する。まず、
図13,
図25,
図27,および
図28を参照しつつ、書込動作期間の動作について説明する。
図27は、液晶表示装置の動作期間中の全体の信号波形図である。
図28は、書込動作期間における動作について説明するための信号波形図である。なお、本実施形態においては、8相のクロック信号のオンデューティ(デューティ比)は8分の2となっている。
【0109】
時点t30になると、セット信号S(出力信号Q(n−2))がローレベルからハイレベルに変化する。このため、薄膜トランジスタM1がオン状態となり、キャパシタCAPが充電される。これにより、出力制御ノードNAの電位が上昇し、薄膜トランジスタM6,M10,およびM10Aがオン状態となる。また、セット信号Sのパルスによって薄膜トランジスタM6Zはオン状態となる。また、時点t30には、クロック信号CKF(CK2)がローレベルからハイレベルに変化する。このため、薄膜トランジスタM5はオン状態となる。このとき、上述したように薄膜トランジスタM6,M6Zがオン状態となっている。従って、薄膜トランジスタM5がオフ状態からオン状態に変化しても安定化ノードNBの電位はローレベルで維持される。ここで、時点t30〜時点t32の期間には、上記第1の実施形態における時点t00〜時点t02の期間と同様、出力制御ノードNAの電位が低下することはない。
【0110】
時点t31になると、クロック信号CKHがローレベルからハイレベルに変化する。この単位回路5(n)にはクロック信号CKHは与えられないので、時点t31には単位回路5(n)の内部状態に変化は生じない。
【0111】
時点t32になると、クロック信号CKA(CK1)がローレベルからハイレベルに変化する。これにより、上記第1の実施形態における時点t02と同様にして、薄膜トランジスタM10,M10Aのゲート端子に大きな電圧が印加され、出力信号Q,Gの電位(出力端子58,59の電位)がクロック信号CKA(CK1)のハイレベルの電位にまで上昇する。ここで、時点t32〜時点t34の期間には、上記第1の実施形態における時点t02〜時点t04の期間と同様、出力制御ノードNAの電位,出力信号Qの電位,および出力信号Gの電位が低下することはない。
【0112】
時点t33になると、クロック信号CKC(CK3)がローレベルからハイレベルに変化する。このため、薄膜トランジスタM7はオン状態となる。これにより、安定化ノードNBの電位はVSS電位へと引き込まれる。
【0113】
時点t34になると、クロック信号CKA(CK1)がハイレベルからローレベルに変化する。これにより、入力端子53の電位の低下とともに出力端子58,59の電位(出力信号Q,Gの電位)は低下する。出力端子59の電位が低下すると、キャパシタCAPを介して、出力制御ノードNAの電位も低下する。
【0114】
時点t35になると、リセット信号R(出力信号Q(n+3))がローレベルからハイレベルに変化する。これにより、出力制御ノードNAの電位はローレベルとなる。
【0115】
以上のような動作が各単位回路5で行われることによって、この液晶表示装置に設けられている複数本のゲートバスラインGL(1)〜GL(i)が順次に選択状態となり、1行ずつ画素容量への書き込みが行われる。
【0116】
次に、
図13,
図25,
図27,および
図29を参照しつつ、通常動作期間の動作について説明する。
図29は、通常動作期間の動作について説明するための信号波形図である。通常動作期間には、クロック信号CKF(CK2)がローレベルからハイレベルに変化することによって、薄膜トランジスタM5がオン状態となって安定化ノードNBの電位がローレベルからハイレベルに変化する。また、通常動作期間には、クロック信号CKC(CK3)がローレベルからハイレベルに変化することによって、薄膜トランジスタM7がオン状態となって安定化ノードNBの電位がハイレベルからローレベルに変化する。このように、通常動作期間中、安定化ノードNBの電位は所定期間毎にハイレベルとなる。従って、上記第1の実施形態と同様、通常動作期間中、クロック信号CKA(CK1)のクロック動作に起因するノイズが生じても、出力制御ノードNAの電位,出力信号Qの電位,および出力信号Gの電位はVSS電位で維持される。
【0117】
<3.3 効果>
本実施形態においても、上記第1の実施形態と同様、クロック信号のクロック動作に起因する異常動作の発生が防止される。また、本実施形態によれば、上記第2の実施形態と同様、安定化ノードNBの電位がハイレベルとなる期間は、装置の動作期間のうちのほぼ8分の3の期間となる。以上より、本実施形態においても、ゲートバスラインGLの駆動に関して、従来よりも長期動作に対する信頼性を高めることが可能となる。
【0118】
<4.第4の実施形態>
本発明の第4の実施形態について説明する。全体構成および使用される薄膜トランジスタについては、上記第1の実施形態と同様であるので説明を省略する(
図2〜
図7を参照)。なお、本実施形態においても、シフトレジスタ510には8相のクロック信号が与えられる。以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0119】
<4.1 ゲートドライバの構成>
本実施形態においては、シフトレジスタ510を動作させるためのゲートクロック信号GCKとして、上記第1の実施形態と同様の8相のクロック信号が用いられる。それら8相のクロック信号についての各単位回路5への与えられ方は上記第1の実施形態と同様である。従って、例えば、n段目の単位回路5(n)については、クロック信号CKAがクロック信号CK1として与えられ、クロック信号CKHがクロック信号CK2として与えられ、クロック信号CKCがクロック信号CK3として与えられる。また、連続する2つの単位回路に着目すると、後続の単位回路には、先行する単位回路に与えられる3つのクロック信号と比べてそれぞれ位相が45度遅れた3つのクロック信号が与えられる。
【0120】
図30は、シフトレジスタ510のn段目の単位回路5(n)の入出力信号について説明するための図である。各単位回路5には、上記第1の実施形態における入力信号に加えて、他の段の単位回路5の安定化ノードNBの電位を表す3つの制御信号Sin1〜Sin3が入力される。また、各単位回路5からは、上記第1の実施形態における出力信号に加えて、安定化ノードNBの電位を表し他の段の単位回路5の動作を制御するための制御信号Soutが出力される。従って、本実施形態における単位回路5には、上記第1の実施形態における入出力端子(
図11参照)に加えて、制御信号Sin1〜Sin3をそれぞれ受け取るための3つの入力端子と、制御信号Soutを出力するための出力端子とが設けられている。
【0121】
図30に示すように、任意の段(ここではn段目とする)の単位回路5(n)について、2段前の段の単位回路5(n−2)から出力される出力信号Q(n−2)がセット信号Sとして与えられ、3段後の段の単位回路5(n+3)から出力される出力信号Q(n+3)がリセット信号Rとして与えられる。但し、1段目の単位回路5(1)および2段目の単位回路5(2)については、ゲートスタートパルス信号GSPがセット信号Sとして与えられる。また、
図30に示すように、任意の段の単位回路5(n)から出力される出力信号Qは、リセット信号Rとして3段前の段の単位回路5(n−3)に与えられるとともにセット信号Sとして2段後の段の単位回路5(n+2)に与えられ、任意の段の単位回路5(n)から出力される出力信号Gは、走査信号GOUT(n)としてゲートバスラインGL(n)に与えられる。
【0122】
さらに、
図30に示すように、任意の段の単位回路5(n)について、2段前の段の単位回路5(n−2)から出力される制御信号Soutが制御信号Sin1として与えられ、2段後の段の単位回路5(n+2)から出力される制御信号Soutが制御信号Sin2として与えられ、4段後の段の単位回路5(n+4)から出力される制御信号Soutが制御信号Sin3として与えられる。さらにまた、
図30に示すように、任意の段の単位回路5(n)から出力される制御信号Soutは、制御信号Sin1として2段後の段の単位回路5(n+2)に与えられ、制御信号Sin2として2段前の段の単位回路5(n−2)に与えられ、制御信号Sin3として4段前の段の単位回路5(n−4)に与えられる。
【0123】
<4.2 単位回路の構成>
図31は、本実施形態における単位回路5の構成(シフトレジスタ510の一段分の構成)を示す回路図である。
図31に示すように、この単位回路5は、上記第1の実施形態で設けられている構成要素(
図13参照)に加えて、9個の薄膜トランジスタM8b,M8c,M8d,M14b,M14c,M14d,M14Ab,M14Ac,およびM14Adを備えている。なお、
図31における薄膜トランジスタM8a,M14a,およびM14Aaは、それぞれ、
図13における薄膜トランジスタM8,M14,およびM14Aに相当する。また、この単位回路5は、上記第1の実施形態で設けられている入出力端子(
図13参照)に加えて、3個の入力端子61〜63および1個の出力端子(出力ノード)69を有している。ここで、制御信号Sin1を受け取る入力端子には符号61を付し、制御信号Sin2を受け取る入力端子には符号62を付し、制御信号Sin3を受け取る入力端子には符号63を付している。また、制御信号Soutを出力するための出力端子には符号69を付している。
【0124】
入力端子61は、自段の2段前の段の単位回路5(n−2)内の安定化ノードNBに接続されている。入力端子62は、自段の2段後の段の単位回路5(n+2)内の安定化ノードNBに接続されている。入力端子63は、自段の4段後の段の単位回路5(n+4)内の安定化ノードNBに接続されている。出力端子69は、自段の2段後の段の単位回路5(n+2)内の安定化ノードNB,自段の2段前の段の単位回路5(n−2)内の安定化ノードNB,および自段の4段前の段の単位回路5(n−4)内の安定化ノードNBに接続されている。
【0125】
薄膜トランジスタM8bについては、ゲート端子は入力端子61に接続され、ドレイン端子は出力制御ノードNAに接続され、ソース端子は直流電源電位VSS用の入力端子に接続されている。薄膜トランジスタM8cについては、ゲート端子は入力端子62に接続され、ドレイン端子は出力制御ノードNAに接続され、ソース端子は直流電源電位VSS用の入力端子に接続されている。薄膜トランジスタM8dについては、ゲート端子は入力端子63に接続され、ドレイン端子は出力制御ノードNAに接続され、ソース端子は直流電源電位VSS用の入力端子に接続されている。薄膜トランジスタM14bについては、ゲート端子は入力端子61に接続され、ドレイン端子は出力端子58に接続され、ソース端子は直流電源電位VSS用の入力端子に接続されている。薄膜トランジスタM14cについては、ゲート端子は入力端子62に接続され、ドレイン端子は出力端子58に接続され、ソース端子は直流電源電位VSS用の入力端子に接続されている。薄膜トランジスタM14dについては、ゲート端子は入力端子63に接続され、ドレイン端子は出力端子58に接続され、ソース端子は直流電源電位VSS用の入力端子に接続されている。
【0126】
薄膜トランジスタM14Abについては、ゲート端子は入力端子61に接続され、ドレイン端子は出力端子59に接続され、ソース端子は直流電源電位VSS用の入力端子に接続されている。薄膜トランジスタM14Acについては、ゲート端子は入力端子62に接続され、ドレイン端子は出力端子59に接続され、ソース端子は直流電源電位VSS用の入力端子に接続されている。薄膜トランジスタM14Adについては、ゲート端子は入力端子63に接続され、ドレイン端子は出力端子59に接続され、ソース端子は直流電源電位VSS用の入力端子に接続されている。なお、安定化ノードNBは出力端子69に接続されている。
【0127】
薄膜トランジスタM8bは、制御信号Sin1がハイレベルになっているときに、出力制御ノードNAの電位をVSS電位に向けて変化させる。薄膜トランジスタM8cは、制御信号Sin2がハイレベルになっているときに、出力制御ノードNAの電位をVSS電位に向けて変化させる。薄膜トランジスタM8dは、制御信号Sin3がハイレベルになっているときに、出力制御ノードNAの電位をVSS電位に向けて変化させる。薄膜トランジスタM14bは、制御信号Sin1がハイレベルになっているときに、出力端子58の電位をVSS電位に向けて変化させる。薄膜トランジスタM14cは、制御信号Sin2がハイレベルになっているときに、出力端子58の電位をVSS電位に向けて変化させる。薄膜トランジスタM14dは、制御信号Sin3がハイレベルになっているときに、出力端子58の電位をVSS電位に向けて変化させる。薄膜トランジスタM14Abは、制御信号Sin1がハイレベルになっているときに、出力端子59の電位をVSS電位に向けて変化させる。薄膜トランジスタM14Acは、制御信号Sin2がハイレベルになっているときに、出力端子59の電位をVSS電位に向けて変化させる。薄膜トランジスタM14Adは、制御信号Sin3がハイレベルになっているときに、出力端子59の電位をVSS電位に向けて変化させる。
【0128】
なお、本実施形態においては、薄膜トランジスタM8b,M8c,M8d,M14b,M14c,M14d,M14Ab,M14Ac,およびM14Adによってターゲットノード安定化トランジスタが実現されている。また、薄膜トランジスタM8b,M14b,およびM14Abによって第1のターゲットノード安定化トランジスタが実現され、薄膜トランジスタM8c,M14c,およびM14Acによって第2のターゲットノード安定化トランジスタが実現され、薄膜トランジスタM8d,M14d,およびM14Adによって第3のターゲットノード安定化トランジスタが実現されている。
【0129】
<4.3 単位回路の動作>
次に、本実施形態における単位回路5の動作について説明する。ここでも、n段目の単位回路5(n)に着目する。まず、
図30,
図31,
図32,および
図33を参照しつつ、書込動作期間の動作について説明する。
図32は、液晶表示装置の動作期間中の全体の信号波形図である。
図33は、書込動作期間における動作について説明するための信号波形図である。なお、本実施形態においては、8相のクロック信号のオンデューティ(デューティ比)は8分の2となっている。
【0130】
時点t40になると、セット信号S(出力信号Q(n−2))がローレベルからハイレベルに変化する。このため、薄膜トランジスタM1がオン状態となり、キャパシタCAPが充電される。これにより、出力制御ノードNAの電位が上昇し、薄膜トランジスタM6,M10,およびM10Aがオン状態となる。また、セット信号Sのパルスによって薄膜トランジスタM6Zはオン状態となる。薄膜トランジスタM6,M6Zがオン状態となることによって、安定化ノードNBの電位はVSS電位へと引き込まれる。ここで、時点t40〜時点t42の期間中、リセット信号R(出力信号Q(n+3)),クリア信号CLR,および安定化ノードNBの電位はローレベルとなっているので、薄膜トランジスタM9,M2,およびM8aはオフ状態で維持される。また、制御信号Sin1,制御信号Sin2,および制御信号Sin3はローレベルとなっているので、薄膜トランジスタM8b,M8c,およびM8dはオフ状態で維持される。以上より、時点t40〜時点t42の期間中に出力制御ノードNAの電位が低下することはない。
【0131】
時点t41になると、クロック信号CKH(CK2)がローレベルからハイレベルに変化する。このため、薄膜トランジスタM5はオン状態となる。このとき、薄膜トランジスタM6,M6Zがオン状態となっているので、薄膜トランジスタM5がオフ状態からオン状態に変化しても安定化ノードNBの電位はローレベルで維持される。
【0132】
時点t42になると、クロック信号CKA(CK1)がローレベルからハイレベルに変化する。これにより、上記第1の実施形態における時点t02と同様にして、薄膜トランジスタM10,M10Aのゲート端子に大きな電圧が印加され、出力信号Q,Gの電位(出力端子58,59の電位)がクロック信号CKA(CK1)のハイレベルの電位にまで上昇する。ここで、時点t42〜時点t44の期間中、リセット信号Rはローレベルとなっているので、薄膜トランジスタM9はオフ状態で維持される。また、この期間中、クリア信号CLRはローレベルとなっているので、薄膜トランジスタM2,M12,およびM12Aはオフ状態で維持される。さらに、この期間中、安定化ノードNBの電位はローレベルとなっているので、薄膜トランジスタM8a,M14a,およびM14Aaはオフ状態で維持される。さらにまた、この期間中、制御信号Sin1,制御信号Sin2,および制御信号Sin3はローレベルとなっているので、薄膜トランジスタM8b,M8c,M8d,M14b,M14c,M14d,M14Ab,M14Ac,およびM14Adはオフ状態で維持される。以上より、時点t42〜時点t44の期間中に出力制御ノードNAの電位,出力信号Qの電位,および出力信号Gの電位が低下することはない。
【0133】
時点t43になると、クロック信号CKC(CK3)がローレベルからハイレベルに変化する。このため、薄膜トランジスタM7はオン状態となる。これにより、安定化ノードNBの電位はVSS電位へと引き込まれる。
【0134】
時点t44になると、クロック信号CKA(CK1)がハイレベルからローレベルに変化する。これにより、入力端子53の電位の低下とともに出力端子58,59の電位(出力信号Q,Gの電位)は低下する。出力端子59の電位が低下すると、キャパシタCAPを介して、出力制御ノードNAの電位も低下する。
【0135】
時点t45になると、リセット信号Rがローレベルからハイレベルに変化する。これにより、出力制御ノードNAの電位はローレベルとなる。
【0136】
以上のような動作が各単位回路5で行われることによって、この液晶表示装置に設けられている複数本のゲートバスラインGL(1)〜GL(i)が順次に選択状態となり、1行ずつ画素容量への書き込みが行われる。
【0137】
次に、
図30,
図31,
図32,および
図34を参照しつつ、通常動作期間の動作について説明する。
図34は、通常動作期間の動作について説明するための信号波形図である。
図34において、時点t50〜時点t54の期間(8相のクロック信号のクロック周期に相当する期間)に着目する。
【0138】
時点t50には、クロック信号CKH(CK2)がローレベルからハイレベルに変化することによって、薄膜トランジスタM5がオン状態となって安定化ノードNBの電位がローレベルからハイレベルに変化する。また、時点t51には、クロック信号CKC(CK3)がローレベルからハイレベルに変化することによって、薄膜トランジスタM7がオン状態となって安定化ノードNBの電位がハイレベルからローレベルに変化する。以上より、時点t50〜時点t51の期間には、薄膜トランジスタM8a,M14a,およびM14Aaがオン状態となる。時点t51〜時点t52の期間には、制御信号Sin2がハイレベルとなっているので、薄膜トランジスタM8c,M14c,およびM14Acがオン状態となる。時点t52〜時点t53の期間には、制御信号Sin3がハイレベルとなっているので、薄膜トランジスタM8d,M14d,およびM14Adがオン状態となる。時点t53〜時点t54の期間には、制御信号Sin1がハイレベルとなっているので、薄膜トランジスタM8b,M14b,およびM14Abがオン状態となる。以上より、通常動作期間には、常に、出力制御ノードNAの電位,出力信号Qの電位,および出力信号Gの電位は、VSS電位へと引き込まれる。
【0139】
<4.4 効果>
本実施形態によれば、上記第1の実施形態と同様、安定化ノードNBの電位がハイレベルとなる期間は、装置の動作期間のうちのほぼ4分の1の期間となる。従って、上記第1の実施形態と同様、出力制御ノードNAの電位をVSS電位に引き込むことに寄与する薄膜トランジスタ
M8aの閾値シフトの発生が抑制される。また、本実施形態によれば、単位回路5には、出力制御ノードNAの電位をVSS電位に引き込むための薄膜トランジスタ,出力端子58の電位(出力信号Qの電位)をVSS電位に引き込むための薄膜トランジスタ,および出力端子59の電位(出力信号Gの電位)をVSS電位に引き込むための薄膜トランジスタが、クリア信号CLRによって制御される薄膜トランジスタ以外にそれぞれ4つずつ設けられる。そして、通常動作期間には常に4つの薄膜トランジスタのいずれかがオン状態となっているように、それら4つの薄膜トランジスタの状態が制御される。このため、通常動作期間には、常に、出力制御ノードNAの電位,出力信号Qの電位,および出力信号Gの電位がVSS電位へと引き込まれる。以上より、本実施形態によれば、ゲートバスラインGLの駆動に関して従来よりも長期動作に対する信頼性を高めるとともに、回路動作の安定性を顕著に高めることが可能となる。
【0140】
<5.第5の実施形態>
本発明の第5の実施形態について説明する。全体構成および使用される薄膜トランジスタについては、上記第1の実施形態と同様であるので説明を省略する(
図2〜
図7を参照)。なお、本実施形態においても、シフトレジスタ510には8相のクロック信号が与えられる。
【0141】
<5.1 ゲートドライバの構成>
本実施形態においては、シフトレジスタ510を動作させるためのゲートクロック信号GCKとして、上記第2の実施形態と同様の8相のクロック信号が用いられる。それら8相のクロック信号についての各単位回路5への与えられ方は上記第2の実施形態と同様である。従って、例えば、n段目の単位回路5(n)については、クロック信号CKAがクロック信号CK1として与えられ、クロック信号CKFがクロック信号CK2として与えられ、クロック信号CKCがクロック信号CK3として与えられる。また、連続する2つの単位回路に着目すると、後続の単位回路には、先行する単位回路に与えられる3つのクロック信号と比べてそれぞれ位相が45度遅れた3つのクロック信号が与えられる。
【0142】
図35は、シフトレジスタ510のn段目の単位回路5(n)の入出力信号について説明するための図である。各単位回路5には、上記第4の実施形態で設けられている入出力端子(
図30参照)のうち制御信号Sin3を受け取るための入力端子が設けられていない。
【0143】
図35に示すように、任意の段(ここではn段目とする)の単位回路5(n)について、3段前の段の単位回路5(n−3)から出力される出力信号Q(n−3)がセット信号Sとして与えられ、4段後の段の単位回路5(n+4)から出力される出力信号Q(n+4)がリセット信号Rとして与えられる。但し、1段目の単位回路5(1)および2段目の単位回路5(2)については、ゲートスタートパルス信号GSPがセット信号Sとして与えられる。また、
図35に示すように、任意の段の単位回路5(n)から出力される出力信号Qは、リセット信号Rとして4段前の段の単位回路5(n−4)に与えられるとともにセット信号Sとして3段後の段の単位回路5(n+3)に与えられ、任意の段の単位回路5(n)から出力される出力信号Gは、走査信号GOUT(n)としてゲートバスラインGL(n)に与えられる。
【0144】
さらに、
図35に示すように、任意の段の単位回路5(n)について、2段前の段の単位回路5(n−2)から出力される制御信号Soutが制御信号Sin1として与えられ、3段後の段の単位回路5(n+3)から出力される制御信号Soutが制御信号Sin2として与えられる。さらにまた、
図35に示すように、任意の段の単位回路5(n)から出力される制御信号Soutは、制御信号Sin1として2段後の段の単位回路5(n+2)に与えられ、制御信号Sin2として3段前の段の単位回路5(n−3)に与えられる。
【0145】
<5.2 単位回路の構成>
図36は、本実施形態における単位回路5の構成(シフトレジスタ510の一段分の構成)を示す回路図である。この単位回路5には、上記第4の実施形態で設けられている構成要素(
図31参照)のうち薄膜トランジスタM8d,M14d,および
M14Adが設けられていない。すなわち、本実施形態においては、出力制御ノードNAの電位をVSS電位に引き込むための薄膜トランジスタとして、クリア信号CLRによって制御される薄膜トランジスタM2以外に3つの薄膜トランジスタM8a,M8b,およびM8cが設けられ、出力端子58の電位(出力信号Qの電位)をVSS電位に引き込むための薄膜トランジスタとして、クリア信号CLRによって制御される薄膜トランジスタM12以外に3つの薄膜トランジスタM14a,M14b,およびM14cが設けられ、出力端子59の電位(出力信号Gの電位)をVSS電位に引き込むための薄膜トランジスタとして、クリア信号CLRによって制御される薄膜トランジスタM12A以外に3つの薄膜トランジスタM14Aa,M14Ab,およびM14Acが設けられている。
【0146】
本実施形態においては、入力端子61は自段の2段前の段の単位回路5(n−2)内の安定化ノードNBに接続され、入力端子62は自段の3段後の段の単位回路5(n+3)内の安定化ノードNBに接続されている。また、出力端子69は、自段の2段後の段の単位回路5(n+2)内の安定化ノードNBおよび自段の3段前の段の単位回路5(n−3)内の安定化ノードNBに接続されている。
【0147】
なお、本実施形態においては、薄膜トランジスタM8b,M8c,M14b,M14c,M14Ab,およびM14Acによってターゲットノード安定化トランジスタが実現されている。また、薄膜トランジスタM8b,M14b,およびM14Abによって第1のターゲットノード安定化トランジスタが実現され、薄膜トランジスタM8c,M14c,およびM14Acによって第2のターゲットノード安定化トランジスタが実現されている。
【0148】
<5.3 単位回路の動作>
次に、本実施形態における単位回路5の動作について説明する。ここでも、n段目の単位回路5(n)に着目する。まず、
図35,
図36,
図37,および
図38を参照しつつ、書込動作期間の動作について説明する。
図37は、液晶表示装置の動作期間中の全体の信号波形図である。
図38は、書込動作期間における動作について説明するための信号波形図である。なお、本実施形態においては、8相のクロック信号のオンデューティ(デューティ比)は8分の3となっている。
【0149】
時点t60になると、セット信号S(出力信号Q(n−3))がローレベルからハイレベルに変化する。このため、薄膜トランジスタM1がオン状態となり、キャパシタCAPが充電される。これにより、出力制御ノードNAの電位が上昇し、薄膜トランジスタM6,M10,およびM10Aがオン状態となる。また、セット信号Sのパルスによって薄膜トランジスタM6Zはオン状態となる。薄膜トランジスタM6,M6Zがオン状態となることによって、安定化ノードNBの電位はVSS電位へと引き込まれる。ここで、時点t60〜時点t63の期間中、リセット信号R(出力信号Q(n+4)),クリア信号CLR,および安定化ノードNBの電位はローレベルとなっているので、薄膜トランジスタM9,M2,およびM8aはオフ状態で維持される。また、この期間中、制御信号Sin1および制御信号Sin2はローレベルとなっているので、薄膜トランジスタM8b,M8cはオフ状態で維持される。以上より、時点t60〜時点
t63の期間中に出力制御ノードNAの電位が低下することはない。
【0150】
時点t61になると、クロック信号CKF(CK2)がローレベルからハイレベルに変化する。このため、薄膜トランジスタM5はオン状態となる。このとき、薄膜トランジスタM6,M6Zがオン状態となっているので、薄膜トランジスタM5がオフ状態からオン状態に変化しても安定化ノードNBの電位はローレベルで維持される。時点t62になると、クロック信号CKHがローレベルからハイレベルに変化する。この単位回路5(n)にはクロック信号CKHは与えられないので、時点t62には単位回路5(n)の内部状態に変化は生じない。
【0151】
時点t63になると、クロック信号CKA(CK1)がローレベルからハイレベルに変化する。これにより、上記第1の実施形態における時点t02と同様にして、薄膜トランジスタM10,M10Aのゲート端子に大きな電圧が印加され、出力信号Q,Gの電位(出力端子58,59の電位)がクロック信号CKA(CK1)のハイレベルの電位にまで上昇する。ここで、時点t63〜時点t66の期間中、リセット信号Rはローレベルとなっているので、薄膜トランジスタM9はオフ状態で維持される。また、この期間中、クリア信号CLRはローレベルとなっているので、薄膜トランジスタM2,M12,およびM12Aはオフ状態で維持される。さらに、この期間中、安定化ノードNBの電位はローレベルとなっているので、薄膜トランジスタM8a,M14a,およびM14Aaはオフ状態で維持される。さらにまた、この期間中、制御信号Sin1および制御信号Sin2はローレベルとなっているので、薄膜トランジスタM8b,M8c,M14b,M14c,M14Ab,およびM14Acはオフ状態で維持される。以上より、時点t63〜時点t66の期間中に出力制御ノードNAの電位,出力信号Qの電位,および出力信号Gの電位が低下することはない。
【0152】
時点t64になると、クロック信号CKC(CK3)がローレベルからハイレベルに変化する。このため、薄膜トランジスタM7はオン状態となる。これにより、安定化ノードNBの電位はVSS電位へと引き込まれる。時点t65になると、クロック信号CKEがローレベルからハイレベルに変化する。この単位回路5(n)にはクロック信号CKEは与えられないので、時点t65には単位回路5(n)の内部状態に変化は生じない。
【0153】
時点t66になると、クロック信号CKA(CK1)がハイレベルからローレベルに変化する。これにより、入力端子53の電位の低下とともに出力端子58,59の電位(出力信号Q,Gの電位)は低下する。出力端子59の電位が低下すると、キャパシタCAPを介して、出力制御ノードNAの電位も低下する。
【0154】
時点t67になると、リセット信号Rがローレベルからハイレベルに変化する。これにより、出力制御ノードNAの電位はローレベルとなる。
【0155】
以上のような動作が各単位回路5で行われることによって、この液晶表示装置に設けられている複数本のゲートバスラインGL(1)〜GL(i)が順次に選択状態となり、1行ずつ画素容量への書き込みが行われる。
【0156】
次に、
図35,
図36,
図37,および
図39を参照しつつ、通常動作期間の動作について説明する。
図39は、通常動作期間の動作について説明するための信号波形図である。
図39において、時点t70〜時点t74の期間に着目する。なお、時点t70〜時点t73の期間が、8相のクロック信号のクロック周期に相当する。
【0157】
時点t70には、クロック信号CKF(CK2)がローレベルからハイレベルに変化することによって、薄膜トランジスタM5がオン状態となって安定化ノードNBの電位がローレベルからハイレベルに変化する。また、時点t71には、クロック信号CKC(CK3)がローレベルからハイレベルに変化することによって、薄膜トランジスタM7がオン状態となって安定化ノードNBの電位がハイレベルからローレベルに変化する。以上より、時点t70〜時点t71の期間には、薄膜トランジスタM8a,M14a,およびM14Aaがオン状態となる。時点t71〜時点t72の期間には、制御信号Sin2がハイレベルとなっているので、薄膜トランジスタM8c,M14c,およびM14Acがオン状態となる。時点t72〜時点t74の期間には、制御信号Sin1がハイレベルとなっているので、薄膜トランジスタM8b,M14b,およびM14Abがオン状態となる。以上より、通常動作期間には、常に、出力制御ノードNAの電位,出力信号Qの電位,および出力信号Gの電位は、VSS電位へと引き込まれる。
【0158】
<5.4 効果>
本実施形態によれば、上記第1の実施形態と同様、安定化ノードNBの電位がハイレベルとなる期間は、装置の動作期間のうちのほぼ8分の3の期間となる。従って、上記第2の実施形態と同様、出力制御ノードNAの電位をVSS電位に引き込むことに寄与する薄膜トランジスタ
M8aの閾値シフトの発生が抑制される。また、本実施形態によれば、単位回路5には、出力制御ノードNAの電位をVSS電位に引き込むための薄膜トランジスタ,出力端子58の電位(出力信号Qの電位)をVSS電位に引き込むための薄膜トランジスタ,および出力端子59の電位(出力信号Gの電位)をVSS電位に引き込むための薄膜トランジスタが、クリア信号CLRによって制御される薄膜トランジスタ以外にそれぞれ3つずつ設けられる。そして、通常動作期間には常に3つの薄膜トランジスタのうちの少なくとも1つがオン状態となっているように、それら3つの薄膜トランジスタの状態が制御される。このため、通常動作期間には、常に、出力制御ノードNAの電位,出力信号Qの電位,および出力信号Gの電位がVSS電位へと引き込まれる。以上より、本実施形態によれば、上記第4の実施形態と同様、ゲートバスラインGLの駆動に関して従来よりも長期動作に対する信頼性を高めるとともに、回路動作の安定性を顕著に高めることが可能となる。
【0159】
<6.第6の実施形態>
<6.1 概要>
本発明の第6の実施形態について説明する。本実施形態においては、表示部410とゲートドライバ500との位置関係が上記第1〜第5の実施形態(
図5参照)とは異なる。本実施形態においては、
図40に示すように、液晶パネル400内の表示部(表示領域)410外の領域にゲートドライバ500が形成されている。以下、このようにゲートドライバ500が形成される領域のことを駆動回路形成領域という。駆動回路形成領域には符号420を付す。なお、ソースドライバ300についても駆動回路形成領域420に形成することができる。
【0160】
本実施形態においては、画素用TFT(
図4の薄膜トランジスタ41)には、例えばIn−Ga−Zn−O系の半導体膜を活性層とする酸化物半導体TFTが用いられる。また、ゲートドライバ500を構成するTFT(回路用TFT)には、例えば多結晶シリコン膜を活性層とした結晶質シリコンTFTが用いられる。
【0161】
ゲートドライバ500の構成・動作および単位回路5の構成・動作については、上記第1〜第5の実施形態のいずれかと同じものを採用することができる。従って、それらについての説明は省略する。
【0162】
<6.2 アクティブマトリクス基板について>
以下、
図41を参照しつつ、本実施形態における液晶パネル400の基板であるアクティブマトリクス基板2について詳しく説明する。
図41には、アクティブマトリクス基板2における結晶質シリコンTFT(以下、「第1薄膜トランジスタ」という。)10Aおよび酸化物半導体TFT(以下、「第2薄膜トランジスタ」という。)10Bの断面構造を示している。
図41に示すように、アクティブマトリクス基板2において、表示部410内の各画素形成部4(
図4参照)には画素用TFTとして第2薄膜トランジスタ10Bが形成され、駆動回路形成領域420には回路用TFTとして第1薄膜トランジスタ10Aが形成されている。
【0163】
アクティブマトリクス基板2は、基板11と、基板11の表面に形成された下地膜12と、下地膜12上に形成された第1薄膜トランジスタ10Aと、下地膜12上に形成された第2薄膜トランジスタ10Bとを備えている。第1薄膜トランジスタ10Aは、結晶質シリコンを主として含む活性領域を有している。第2薄膜トランジスタ10Bは、酸化物半導体を主として含む活性領域を有している。第1薄膜トランジスタ10Aおよび第2薄膜トランジスタ10Bは、基板11に一体的に作り込まれている。なお、ここでの「活性領域」とは、TFTの活性層となる半導体層のうちチャネルが形成される領域を指すものとする。
【0164】
第1薄膜トランジスタ10Aは、下地膜12上に形成された結晶質シリコン半導体層(例えば低温ポリシリコン層)13と、結晶質シリコン半導体層13を覆う第1の絶縁層14と、第1の絶縁層14上に設けられたゲート電極15Aとを有している。第1の絶縁層14のうち結晶質シリコン半導体層13とゲート電極15Aとの間に位置する部分は、第1薄膜トランジスタ10Aのゲート絶縁膜として機能する。結晶質シリコン半導体層13は、チャネルが形成される領域(活性領域)13cと、活性領域の両側にそれぞれ位置するソース領域13sおよびドレイン領域13dとを有している。この例では、結晶質シリコン半導体層13のうち、第1の絶縁層14を介してゲート電極15Aと重なる部分が活性領域13cとなる。第1薄膜トランジスタ10Aは、また、ソース領域13sおよびドレイン領域13dにそれぞれ接続されたソース電極18sAおよびドレイン電極18dAを有している。ソース電極18sAおよびドレイン電極18dAは、ゲート電極15Aおよび結晶質シリコン半導体層13を覆う層間絶縁膜(ここでは、第2の絶縁層16)上に設けられ、層間絶縁膜に形成されたコンタクトホール内で結晶質シリコン半導体層13と接続されている。
【0165】
第2薄膜トランジスタ10Bは、下地膜12上に設けられたゲート電極15Bと、ゲート電極15Bを覆う第2の絶縁層16と、第2の絶縁層16上に配置された酸化物半導体層17とを有している。
図41に示すように、第1薄膜トランジスタ10Aのゲート絶縁膜である第1の絶縁層14が、第2薄膜トランジスタ10Bを形成しようとする領域まで延設されていても良い。この場合には、酸化物半導体層17は、第1の絶縁層14上に形成されていても良い。第2の絶縁層16のうちゲート電極15Bと酸化物半導体層17との間に位置する部分は、第2薄膜トランジスタ10Bのゲート絶縁膜として機能する。酸化物半導体層17は、チャネルが形成される領域(活性領域)17cと、活性領域の両側にそれぞれ位置するソースコンタクト領域17sおよびドレインコンタクト領域17dとを有している。この例では、酸化物半導体層17のうち、第2の絶縁層16を介してゲート電極15Bと重なる部分が活性領域17cとなる。また、第2薄膜トランジスタ10Bは、ソースコンタクト領域17sおよびドレインコンタクト領域17dにそれぞれ接続されたソース電極18sBおよびドレイン電極18dBをさらに有している。なお、基板11上に下地膜12を設けない構成を採用することもできる。
【0166】
第1薄膜トランジスタ10Aおよび第2薄膜トランジスタ10Bは、パッシベーション膜19および平坦化膜40で覆われている。画素用TFTとして機能する第2薄膜トランジスタ10Bでは、ゲート電極15Bはゲートバスラインに接続され、ソース電極18sBはソースバスラインに接続され、ドレイン電極18dBは画素電極42に接続されている。この例では、ドレイン電極18dBは、パッシベーション膜19および平坦化膜40に形成された開口部内で、対応する画素電極42と接続されている。ソース電極18sBにはソースバスラインを介してビデオ信号が供給され、ゲートバスラインからのゲート信号に基づいて画素電極42に必要な電荷が書き込まれる。
【0167】
なお、
図41に示すように、平坦化膜40上に透明導電層48(
図4の共通電極45に相当)が形成され、透明導電層48と画素電極42との間に第3の絶縁層49が形成されていても良い。この場合、画素電極42にスリット状の開口が設けられていても良い。このようなアクティブマトリクス基板2は、例えばFFS(Fringe Field Switching)モードの表示装置に適用され得る。
【0168】
図41に示す例では、第1薄膜トランジスタ10Aは、ゲート電極15Aと基板11(下地膜12)との間に結晶質シリコン半導体層13が配置されたトップゲート構造を有している。一方、第2薄膜トランジスタ10Bは、酸化物半導体層17と基板11(下地膜12)との間にゲート電極15Bが配置されたボトムゲート構造を有している。このような構造を採用することにより、同一基板11上に2種類の薄膜トランジスタ(ここでは第1薄膜トランジスタ10Aおよび第2薄膜トランジスタ10B)を一体的に形成する際に、製造工程数や製造コストの増加をより効果的に抑えることが可能である。なお、第1薄膜トランジスタ10Aおよび第2薄膜トランジスタ10BのTFT構造は
図41に示す例には限定されない。
【0169】
<6.3 効果>
本実施形態によれば、液晶パネル400の基板には、
表示部(表示領域)410に設けられる画素用TFTとして酸化物半導体TFTが採用され、かつ、駆動回路形成領域420に設けられる回路用TFTとして結晶質シリコンTFTが採用された構造を有するアクティブマトリクス基板2が用いられている。このような場合にも、ゲートドライバ500および単位回路5の構成・動作を上記第1〜第5の実施形態のいずれかと同様にすることにより、ゲートバスラインの駆動に関して、従来よりも長期動作に対する信頼性を高めることが可能となる。
【0170】
<7.その他>
上記第1〜第5の実施形態においては、ゲートドライバ500は表示部410内に形成されていた。しかしながら、本発明はこれに限定されない。例えば上記第6の実施形態のように、ゲートドライバ500が額縁領域に形成されている場合にも、本発明を適用することができる。また、上記第1〜第5の実施形態においては、いわゆる異形ディスプレイ(
図6参照)に本発明を適用した例について説明したが、本発明はこれに限定されず、一般的な矩形の表示部410を有する液晶表示装置にも本発明を適用することができる。
【0171】
また、上記各実施形態においては、ゲートクロック信号GCKとして8相のクロック信号が用いられていたが、本発明はこれに限定されない。例えば16相のクロック信号など8相よりも大きい相数のクロック信号を用いることによって、安定化ノードNBの電位がハイレベルとなる期間を装置の動作期間の半分未満の期間にするようにしても良い。
【0172】
さらに、上記各実施形態における単位回路5の構成に関し、安定化トランジスタとして機能する3つの薄膜トランジスタM8,M14,およびM14Aのうちの1つ又は2つだけが設けられている場合にも本発明を適用することができる。但し、回路動作の安定性がやや劣ることになる。
【0173】
さらにまた、休止駆動を採用している液晶表示装置に本発明を適用することもできる。休止駆動とは、リフレッシュフレーム(書き込み期間)とリフレッシュフレーム(書き込み期間)の間に全てのゲートバスラインを非走査状態にして書き込み動作を休止する休止フレーム(休止期間)を設ける駆動方法のことである。ここで、リフレッシュフレームとは、1フレーム分(1画面分)の画像信号に基づいて表示部内の画素容量の充電を行うフレームのことである。なお、休止駆動は、低周波駆動とも呼ばれている。
図42は、その休止駆動の一例を説明するための図である。
図42に示す例では、リフレッシュレート(駆動周波数)が60Hzである一般的な液晶表示装置における1フレーム分のリフレッシュフレーム(1フレーム期間は16.67msである。)と59フレーム分の休止フレームとが交互に現れている。このような休止駆動を採用している液晶表示装置では、休止フレームには、駆動回路(ゲートドライバやソースドライバ)に制御用の信号などを与える必要がない。このため、全体として駆動回路の駆動周波数が低減され、低消費電力化が可能となる。
【0174】
本発明は、採用する薄膜トランジスタについては限定されないが、閾値シフトの大きな薄膜トランジスタが採用されている場合の方が、より顕著に効果が得られる。すなわち、アモルファスシリコンを有する薄膜トランジスタやエッチストップ型の酸化物半導体TFTが採用されている場合に、より効果が得られる。
【0175】
なお、本願は、2015年10月19日に出願された「シフトレジスタおよびそれを備える表示装置」という名称の日本出願2015−205265号に基づく優先権を主張する出願であり、この日本出願の内容は、引用することによって本願の中に含まれる。